説明

作業車両

【課題】作業中のエンジンの負荷状態を検出して、オペレータに現在のエンジン負荷状態を知らせることにより、オペレータが適切なエンジン回転数と走行速度及びPTO回転数で運転ができる作業車両を提供すること。
【解決手段】エンジン回転数とエンジン負荷を算出し、算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数の適否を判断し、エンジン回転数が適正でないと判断された場合はエンジン回転数を適正な回転数に変更指示し、変更指示された指示エンジン回転数に伴い機体の走行速度とPTO回転数をエンジン回転数変更指示前の状態に維持する側に変速指示する。そして、指示エンジン回転数が所定回転数以上のときには、エンジン回転数変更指示手段と変速指示手段による変速指示を行い、エンジン回転数が所定回転数未満のときにはエンジン回転数変更指示手段に所定回転数を指示する制御装置を設けた作業車両である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや建設車両等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンで機械を駆動する場合、高負荷時にはエンジン回転数を高くしないと負荷に見合った出力が得られないが、中〜低負荷時にはエンジン回転数を低く設定することにより、燃料消費量を低減することができる。トラクタにより農作業などを行う際には、オペレータは、目標とする作業精度や作業能率が得られるように、エンジン回転数、走行速度、PTO回転数などの運転条件を設定して行うことが多いが、その際オペレータは、エンジンの音や排気煙の色、エンジン作動時の振動状態などから感覚的、経験的に運転条件を設定するため、必ずしも燃料消費量の少ない適正な運転条件を設定できなかった。
【0003】
このような背景を踏まえ、特開2006−125295号公報記載の発明には、経験に頼ることなく、トラクタの作業負荷を検出し、適正なエンジン回転数、走行速度とPTO回転数を算出して制御する技術について開示されている。
また、特開2006−123724号公報記載の発明には、トラクタの作業負荷を検出し、燃料消費量の少ない適正なエンジン回転数、走行速度段とPTO変速段を算出して指示する技術について開示されている。
【特許文献1】特開2006−125295号公報
【特許文献2】特開2006−123724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、エンジン回転数とエンジンの排気温度とからエンジン負荷を算出し、エンジン回転数の適否を判断して、エンジン回転数が適正でない場合は、適正なエンジン回転数への変更に伴い機体の走行速度とPTO回転数は変化しないように変速制御をする技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、エンジン回転数を減速する場合にエンジン回転数の制限値が設けられていないので、エンジン回転数が下がり過ぎてしまうと、急な負荷が作用したときにエンストしてしまう問題点がある。たとえば、設定エンジン回転数よりも実際のエンジン回転数が下がった状態で、ロータリなどの作業機に大きな負荷(石や木の切れ端などが噛み込むときなど)が作用すると、エンジンが停止状態となってしまう問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2においても、エンジン回転数を減速指示する場合にエンジン回転数の制限値が設けられていないので、指示通りにエンジン回転数を下げ過ぎてしまうと、急な負荷が作用したときに前述と同様な問題点がある。
【0007】
本発明の課題は、作業中のエンジンの負荷状態を検出して、オペレータに現在のエンジン負荷状態を知らせてエンジン回転数と走行速度及びPTO回転数の変更を指示したり、自動的にエンジン回転数と走行速度及びPTO回転数の変更制御を行うことにより、適切な状態で運転ができる作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、機体に搭載したエンジン(5)と機体に連結した作業機(18)と、エンジン回転数検出手段(119)と、エンジン(5)に作用するエンジン負荷を算出するエンジン負荷算出手段(111)と、算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数(N)の適否を判断するエンジン回転数適否判定手段(113)と、エンジン回転数(N)が適正でないと判断された場合はエンジン回転数を適正な回転数に変更指示するエンジン回転数変更指示手段(114)と、該エンジン回転数変更指示手段(114)で変更指示された指示エンジン回転数(Nk,Nj)に伴い機体の走行速度とPTO回転数を前記エンジン回転数変更指示前の状態に維持する側に変速指示する変速指示手段(115,116)とを設けた作業車両であって、前記指示エンジン回転数(Nk)と予め設定した所定回転数(Ns)とを比較する比較手段(117)を設け、該指示エンジン回転数(Nk)が所定回転数(Ns)以上のときには、前記エンジン回転数変更指示手段(114)と変速指示手段(115,116)による変速指示を行い、前記指示エンジン回転数(Nk)が所定回転数(Ns)未満のときには前記エンジン回転数変更指示手段(114)に当該所定回転数(Ns)を指示する制御装置(100)を設けたことを特徴とする作業車両である。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、エンジン回転数検出手段(119)で現在の実エンジン回転数が検出されて制御装置(100)に入力される。制御装置(100)内ではエンジン負荷が算出される。算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数の適否が判定される。エンジン回転数が適正でないと判定されると、エンジン回転数変更指示手段(114)にて適正なエンジン回転数に変更指示される。そして、適正なエンジン回転数に変更指示する場合は、機体の走行速度とPTO回転数は変わらないように維持する必要があるので、変速指示手段(115,116)にて走行速度とPTO回転数をエンジン回転数変更指示前の状態に維持する側に変速指示する。
【0010】
制御装置(100)内には所定のエンジン回転数が設定されている。この所定回転数は、急な負荷が作用したときにはエンストを起こしてしまう回転数である。エンジン回転数変更指示手段(114)によって変更指示されるエンジン回転数が、予め設定している前記エンストを起こしてしまう所定回転数よりも大きい場合には、エンジン回転数の変更指示と走行速度及びPTO回転数の変速指示をする。しかしながら、エンジン回転数変更指示手段(114)よって変更指示されるエンジン回転数が、予め設定しているエンストを起こしてしまう所定回転数よりも小さい場合には、前記所定回転数となるように指示する。
【0011】
請求項2記載の発明は、機体に搭載したエンジン(5)と機体に連結した作業機(18)と、エンジン回転数検出手段(119)と、エンジン(5)に作用するエンジン負荷を算出するエンジン負荷算出手段(111)と、算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数(N)の適否を判断するエンジン回転数適否判定手段(113)と、エンジン回転数(N)が適正でないと判断された場合はエンジン回転数予測手段(118)で適正なエンジン回転数を予測して、該予測エンジン回転数(Nk’,Nj’)に変更制御するエンジン回転数制御手段(126)と、該予測エンジン回転数に伴い機体の走行速度とPTO回転数を前記予測エンジン回転数(Nk’,Nj’)への変更制御前の状態に維持する側に変速する変速手段(127,128)とを設けた作業車両であって、前記予測エンジン回転数(Nk’)と予め設定した所定回転数(Ns’)とを比較する比較手段(117)を設け、該予測エンジン回転数(Nk’)が所定回転数(Ns’)以上のときには、前記エンジン回転数制御手段(126)と機体の走行速度とPTO回転数の変速手段(127,128)により変更制御を行い、前記予測エンジン回転数(Nk’)が所定回転数(Ns’)未満のときには前記エンジン回転数制御手段(126)によって所定のエンジン回転数(Ns’)に変更制御する制御装置(100)を設けたことを特徴とする作業車両である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、エンジン回転数検出手段(119)で現在の実エンジン回転数が検出されて制御装置(100)に入力される。制御装置(100)内ではエンジン負荷が算出される。算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数の適否が判定される。エンジン回転数が適正でないと判定されると、エンジン回転数予測手段(118)にて適正なエンジン回転数が予測される。そして、予測された適正なエンジン回転数に変更する場合は、機体の走行速度とPTO回転数は変わらないように維持する必要があるので、変速手段(127,128)にて走行速度とPTO回転数を予測エンジン回転数への変更前の状態に維持する側に変速する。
【0013】
エンジン回転数予測手段(118)によって予測されるエンジン回転数が、予め設定している前記エンストを起こしてしまう所定回転数よりも大きい場合には、予測されたエンジン回転数へ変更制御すると共に、走行速度及びPTO回転数も変速する。
【0014】
しかしながら、エンジン回転数予測手段(118)によって予測されたエンジン回転数が、予め設定している前記エンストを起こしてしまう所定回転数よりも低い場合には、エンジン回転数は所定回転数となるように変更制御する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、エンジン負荷を算出して適正なエンジン回転数になるようにエンジン回転数を変更指示し、さらに機体の走行速度とPTO回転数がエンジン回転数変更指示前の状態に維持されるように指示することで、適正な負荷状態で運転が可能となり、燃料消費量を削減できる。また、変更指示されるエンジン回転数が予め設定しているエンストを起こしてしまう所定回転数未満であるときには、エンジン回転数を前記所定回転数にすることで急な負荷が作用したときにエンストを防止することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、エンジン負荷を算出して適正なエンジン回転数を予測し、この予測回転数になるようにエンジン回転数を変更する制御を実行し、さらにエンジン回転数を予測回転数になるように変更することに伴って機体の走行速度とPTO回転数がエンジン回転数を予測回転数に変更する前の状態に維持されるように変速制御するので、適正な負荷状態で運転が可能となり、燃料消費量を削減できる。また、エンジン回転数が前記エンストを起こしてしまう所定回転数未満であるときには、エンジン回転数を該所定回転数まで高くすることで急な負荷が作用したときにエンストを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例を図面と共に説明する。本実施例は、主変速8段、副変速3段、併せて24段の変速が可能なトラクタであり、図1にトラクタ1の側面図、図2に動力伝動機構図、図3に副変速レバー設置部の側面略図(図3(a))とレバーガイドの平面図(図3(b))を示す。
【0018】
副変速レバー34によって副変速装置の切換えを行い、副変速レバー34のノブに設けた増減速スイッチ37,38を操作することによって主変速の増減速切換えを1段ずつ行い、アクセルペダル58の操作によっても主変速の切換えが行なえるようにしたトラクタである。
【0019】
このトラクタ1は操舵用の前輪2,2と推進車輪としての後輪3,3を有し、ボンネット4内に搭載したエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置によって適宜減速し、その回転動力を後輪3,3に伝達するように構成している。エンジン5の回転動力を後輪3,3のみならず、前輪2,2にも伝えて四輪全部を駆動する構成としても良い。
【0020】
また、ミッションケース6内には機体の進行方向を切換える前後進切換装置9と8段の変速が可能な主変速装置10、11と3段の変速が可能な副変速装置12が直列に接続されている。なお、これら伝動系については図2に基づいて後から説明する。
【0021】
図1において、ミッションケース6の上部には油圧シリンダケース14が設けられ、この油圧シリンダケース14の左右両側にはリフトアーム15,15が回動自在に枢着されている。リフトアーム15,15とロワーリンク16,16との間にはリフトロッド17,17が介装連結され、ロワーリンク16,16の後部には作業機であるロータリ耕耘装置18が連結されている。
【0022】
油圧操作レバー28を操作して油圧シリンダケース14内に収容されている油圧シリンダ14aに作動油を供給するとリフトアーム15,15が上昇側に回動され、リフトロッド17、ロワーリンク16等を介して作業機(ロータリ耕耘装置18)が上昇する。反対にこの油圧操作レバー28を下降側に操作すると油圧シリンダ14a内の作動油は油圧タンクを兼ねるミッションケース6内に排出され、リフトアーム15,15を下降させる。
【0023】
トラクタ1の機体の後方にはロータリ耕耘装置18が連結されており、該ロータリ耕耘装置18は耕耘部19と耕耘部19上方を覆う主カバー20と主カバー20の後部に枢着されたリヤカバー22等を有する。
【0024】
また、ステアリングハンドル24を支えるハンドルポスト25の左側上部には前記前後進切換装置9を操作する前後進切換レバー27が設けられ、この前後進切換レバー27を中立位置から前側に倒すと機体は前進し、反対に後側に引くと機体は後進するようになっている。
【0025】
次に図2に示す動力線図に基づいて動力伝達系について説明する。
エンジン5の後部には主クラッチ30が設けられ、この主クラッチ30の伝動後位に前後進切換装置9が設けられている。前後進切換装置9は多板摩擦式の油圧クラッチ9a,9bからなり、常態では中立位置に保たれ、前後進切換レバー27を前後方向に操作することにより、前進側油圧クラッチ9aが接続され、あるいは後進側油圧クラッチ9bが接続される。
【0026】
前進側油圧クラッチ9aが接続されるときには入力ギヤ60からカウンタ軸61のギヤ62とリバーサ軸64のギヤ65を経由して、前進側油圧クラッチ9aに動力が伝達され、リバーサ軸64が正回転する。
また後進側油圧クラッチ9bが接続されるときには、入力ギヤ60からカウンタ軸61のギヤ62とカウンタ軸61のギヤ66とカウンタ軸68のギヤ69を経由して、リバーサ軸64の後進用ギヤ73を経由して、後進側油圧クラッチ9bに動力が伝達され、リバーサ軸64が逆回転する。
【0027】
この前後進切換装置9の後位には4段変速可能なシンクロメッシュ式の第1主変速装置10が設けられ、後述するコントローラ100からの指令を受けてアクチュエータ31,31が伸縮するとシフター32,32が前後に移動させられて変速を行なう。図2において前側のシフター32が前後に移動すると4速と3速が得られ、後側のシフター32が前後に動くと2速と1速が得られる。なお、この場合において、主変速が切換えられるときには、まず最初に油圧式の前後進切換装置9の油圧クラッチが中立に戻され、変速後に再びこの前後進切換装置9の油圧クラッチが接続されるように構成している。
【0028】
そして、この第1主変速装置10の後部には高低2段に切換可能な油圧式の第2主変速装置11が設けられている。前側の油圧クラッチ11aが高速用のクラッチであり、後側の油圧クラッチ11bが低速用の油圧クラッチである。従って、この実施例における主変速装置10,11では4×2の併せて8段の変速が可能である。
【0029】
更にこの第2主変速装置11の後部には3段の変速が可能で減速比が主変速装置10,11よりも比較的大きな副変速装置12が設けられている。図2と図3に示すように、副変速レバー34を操作して前側のシフター35を前後に移動させると高速(H)と中速(M)が得られ、後側のシフター35を後側に移動させると低速(L)が得られる。
【0030】
副変速装置12を操作するときには主クラッチ30の入切操作を要す。即ち、主クラッチペダル29を踏み込んで副変速操作レバー34を前後方向あるいは左右方向に操作し、変速操作後には主クラッチペダル29を離してエンジン回転動力を変速装置側に伝える。
【0031】
なお、主変速装置10,11については副変速レバー34のノブに設けた増速スイッチ37と減速スイッチ38を押し込んで変速を行なう(図2参照)。増速スイッチ37を押しても減速スイッチ38を押しても1段ずつしか変速は行なわれない。速度が遅い1速から速度が速い8速までの範囲で主変速装置10,11の変速がなされる。そして、この副変速装置12によって減速された動力をドライブピニオン軸40に伝え、後輪デフ装置41、最終減速装置42を順次介して後輪3,3を駆動する。
【0032】
後輪デフ装置41の手前で後輪駆動系より分岐した動力は前輪駆動系として利用され、前輪駆動系の中には前輪2,2を後輪3,3と等速で駆動させたり、前輪2,2を後輪3,3よりも増速させて回転させたりする前輪増速装置44が設けられている。この前輪増速装置44の前側の油圧クラッチ44aが接続されると前輪増速状態となり、後側の油圧クラッチ44bが接続されると等速四輪駆動状態になり、両方の油圧クラッチ44a,44bがOFFになると後輪3,3のみ駆動される二輪駆動の状態になる。前輪駆動軸には前輪デフ装置46と前輪最終減速装置47が設けられている。
【0033】
なお、この図2の動力伝達線図において、副変速装置12が高速(H)速になっているときに限り、副変速レバー34をそのまま横に移動させると(図3(b)参照)、路上走行速に適した路上速位置(HH)に切り換わる。この場合、主変速は1速から8速までのうち、高速側の5速、6速、7速、8速が選択できるが、1速から4速までの低速側4段はいくら増減速スイッチ37,38を操作してもプログラム上選択できないようになっている。道路を走行する場合は高速走行を前提としているので高速側のみを優先し、低速側を自動的にカットさせ変速操作が行なわれても1〜4速には入らないようにして操作性を向上させている。
【0034】
また、この実施例では選択可能な高速側の変速パターンを5速、6速、7速、8速の4段としたが、6速、7速、8速の3段としたり、あるいは7速、8速の2段だけというように変速段数を減らしても良い。
【0035】
図3は副変速レバー34と操縦席48、及びレバーガイド49の位置関係を示すものである。レバーガイド49は操縦席48の左側に設けられ、その形状は平面から見ると逆U字状をなし、このレバーガイド49の溝内を副変速レバー34が移動する。図から明らかなように、高速(H)と中速(M)は対向した位置関係にあり、反対側の溝では路上速(HH)と低速(L)が対向している。
【0036】
高速(H)と路上速(HH)とは副変速装置12の変速位置は変わらずに主変速装置10,11の変速範囲だけが変わる。即ち、副変速装置12の位置は高速(H)位置にあり、この状態で主変速装置10,11の変速可能な範囲だけがプログラムによって変更されるものである。そして、副変速装置12を操作する副変速レバー34がどの変速位置にあるかを検出するためにレバーガイド49には4個のスイッチ50,51,52,53が設けられている。これらのスイッチ50,51,52,53に代えてポテンショメータ式の位置センサーで副変速操作レバー34の位置を検出するように構成しても良い。
【0037】
PTO出力軸83の駆動は次のようにして行われる。
入力ギヤ60からカウンタ軸61のギヤ62を介してPTOクラッチ70の駆動用ギヤ75に動力が伝達され、PTOクラッチ70に動力伝達される。PTOクラッチ70が入り状態になると、2つの油圧シリンダ76と77によりスライド制御される4段変速ギヤ機構(3段目のギヤ81aと1段目のギヤ81bと4段目のギヤ81cと2段目のギヤ81dからなる)で選択されている変速段でPTO駆動軸71が駆動される。
【0038】
例えば、油圧シリンダ76によりスライドされる従動軸79上のギヤ80aがPTO変速軸72のギヤ81aと噛合すると、PTO変速軸72から従動軸79の出力ギヤ82を経由してPTO出力軸83の出力ギヤ85に動力伝達されてPTO駆動軸71が駆動する(PTO2速)。同様に油圧シリンダ76によりギヤ80bがギヤ81bに噛合するとPTO4速になる。
【0039】
油圧シリンダ77によりギヤ80cがギヤ81cに噛合するとPTO1速になる。油圧シリンダ77によりギヤ80dがギヤ81dに噛合するとPTO3速になる。
また、前記ギヤ80aがギヤ81aに噛んでいない状態であって、逆転軸86上の逆転ギヤ87をスライドさせて前記ギヤ81aに噛み合わせるとともにギヤ80aにも噛んでいる状態になると、PTO駆動軸71は逆転駆動する。逆転の場合はこの1速のみである。
【実施例1】
【0040】
従来、オペレータはエンジン5の音や排気煙の色、振動などから感覚的、経験的にのみトラクターの負荷率を認識することしか出来なかった。
そこで、本実施例では、特許文献1記載の方法でエンジン回転数とエンジン排気温度に対応させた走行負荷とPTOの負荷の和を算出してエンジン5に作用するエンジン負荷とする。前記PTO駆動軸71(図2)の負荷率は、各エンジン回転数におけるPTO最大出力に対する現在出力中のPTO出力の割合から算出する。また、前記走行負荷は、例えば乾田では5%から10%程度であり、エンジン5に作用するエンジン負荷は主にPTO駆動軸71の負荷に基づく。
【0041】
前記走行負荷とPTOの負荷の和から得られたエンジン負荷に基づき、現在出力中のエンジン回転数が適切であるか否かを判断し、エンジン回転数が適正でないと判断された場合は、エンジン回転数を適正な回転数に変更する。
【0042】
また、適正なエンジン回転数の変更に伴い、機体の走行速度とPTO回転数は変化させないようにする。これは次のような理由による。
トラクタは圃場の状況に応じて最も相応しい走行速度とPTO回転数を選択して作業している。作業中は、選択した一定の走行速度と選択した一定のPTO回転数で作業及び走行を行っている。このとき圃場の状況に合わせて走行速度とPTO回転数を変更させるが、変更後も一定の走行速度とPTO回転数で作業及び走行を行う。
【0043】
しかし、前述のようにエンジン負荷に基づき現在出力中のエンジン回転数を適正な回転数に変更した場合には走行速度とPTO回転数も変わってしまう。そこで、エンジン回転数変更前の走行速度及びPTO回転数になるように(維持するように)することが必要である。本実施例の変速装置は無段変速装置ではなく、ギヤ噛合式の有段変速装置を用いているので、エンジン回転数変更前の走行速度及びPTO回転数に一番近い変速段にすることが望ましい。本実施例では図8に示しているように、軽負荷Aのときには走行段とPTO段を1段上げる構成とし、重負荷Cのときには走行段とPTO段を1段下げる構成としている。なお、静油圧式無段変速装置(HST)やその他のベルト式無段変速装置、トライダル式無段変速装置を搭載した変速装置を用いると、変更前のエンジン回転数の走行速度に略一致させることができる。
【0044】
図4には本実施例の制御装置(コントローラ)100を備えたブロック図を示し、図5には車両が現在図中に記した負荷A,B、Cのうちのいずれのエンジン負荷状態であるかを求めて、エンジン回転数の変更指示と走行速度及びPTO回転数の変更指示を行うフローチャートを示している。なお、図5に示すフローチャートで「PTO回転数とエンジン回転数よりPTO段数」の計算は
PTO減速比=(PTO軸回転数)/(エンジン回転数)
を求めることにより行うことができる。
【0045】
PTO軸回転数は図2に示すPTO駆動軸71の回転数であり、PTO軸回転数検出手段124aで検出する。また、PTO段数については、PTO位置検出手段124によってPTO変速レバーの変速位置を直接検出してもよい。
【0046】
また、「PTOはONになっているか?」のステップS14は実際にPTO駆動型作業機を使用する場合にオンとなるスイッチが押されたかどうかを検出するものであり、PTO駆動型作業機が使用されない場合は、トラクタは路上走行時(ステップS27)と判断して本実施例の指示は行わない。ただし、プラウなどのように、PTO駆動を行わないけん引作業も指示の対象とすることができる。その場合には、「PTOはONになっているか?」がNOの時には、エンジン回転数と走行速度段のみを指示する。
【0047】
本実施例では、エンジン回転数検出手段(センサ)119で検出された現在のエンジン回転数と排気温度検出手段(センサ)120で検出されたエンジン排気ガス温度に対応したエンジン負荷を、図7に示す予め設定した所定のエンジン負荷マップ112から負荷A,B、Cのいずれのゾーンに属するかをエンジン負荷算出手段111により算出する。
【0048】
まず、図5のステップS10でエンジン5の排気温度を検出し、ステップS11でエンジン回転数とPTO回転数を検出する。PTO回転数はPTO駆動軸71の回転数であり、センサ124aで検出する。ステップS12では、PTO回転数とエンジン回転数とから現在のPTO変速段を算出する。別実施例として、PTO変速レバーの位置を直接検出してもよい。
【0049】
ステップS13では、排気温度とエンジン回転数から図7に示す負荷を算出する。
ステップS14では、PTOが作動中であるかどうかをPTOの駆動開始と停止用のPTOスイッチがオンになっていることで確認して次のエンジン負荷を適正にするステップに移る。
【0050】
次いで、ステップS15では実エンジン回転数Nrが所定回転数Ns(例えば予め設定した1600rpm)を超えているか否かを判断し、所定回転数未満である場合には、ステップS16で指示係数「0」を選択して表示部に表示する。そして、ステップS23では「エンジン回転数を所定回転数Ns(1600rpm)以上に上げて下さい」という表示を行う。
【0051】
また、実エンジン回転数Nrが所定回転数Ns(1600rpm)以上であると、算出されたエンジン負荷の状態が図7のマップのエンジン負荷A,B、Cのいずれに属するかにより、現在の検出された実エンジン回転数Nrの適否をエンジン回転数適否判定手段113により判断する。
図7のマップは、図4のブロック図に示すように、制御装置100内にエンジン負荷マップ112として備えている。
【0052】
なお、エンジン負荷A,B、Cの定義は、それぞれ、あるエンジン回転数における負荷が軽い状態の「軽負荷」、負荷が適正な状態の「適正負荷」、負荷が大きい状態の「重負荷」にそれぞれ対応する。図5のステップ17で軽負荷Aであるか否かを、ステップ18で適正負荷Bであるか否かを判断している。ステップS19で重負荷Cを判断している。
【0053】
エンジンの回転数が所定回転数以上であって、前記エンジン負荷が「軽負荷A」又は「重負荷C」であると、エンジン回転数変更の指示をエンジン回転数変更指示手段114で算出した指示エンジン回転数Nk,Njを表示部125に出力する。Nkは軽負荷時の指示エンジン回転数であり、Njは重負荷時の指示エンジン回転数である。
【0054】
ただし、指示エンジン回転数(軽負荷時の指示エンジン回転数)Nkが所定回転数Ns未満の場合は、エンジン回転数を所定回転数Nsになるように指示する。表示部125はディスプレイ表示であるが、音声などで出力してもよい。また、エンジン回転数変更指示手段114で変更指示された指示エンジン回転数Nk,Njに伴い機体の走行速度とPTO回転数を、前述のエンジン回転数変更前の走行速度及びPTO回転数になるように(維持するように)変速指示する。
【0055】
図5のステップS17で軽負荷Aであると判断されると、このステップS17では同時にエンジン回転数適否判定手段113でエンジン回転数の適否が判定される。そして、エンジン回転数が適正でないと判断されると、ステップ20ではエンジン回転数変更指示手段114にて変更する指示エンジン回転数Nkを算出する。
【0056】
ステップ21では、変更指示された軽負荷時の指示エンジン回転数Nkと所定回転数Ns(1600rpm)とを比較手段117で比較する。特に、軽負荷Aの場合は、エンジン回転数を下げる操作であるので、所定回転数Nsよりも下げすぎないことが重要である。
【0057】
指示された指示エンジン回転数Nkが所定回転数Ns未満の場合はステップS16へと進み、前述したようにエンジン回転数は所定回転数Nsとなるように指示を行う。
これにより、指示されるエンジン回転数Nkは所定回転数Nsよりも下がることを防止できるようになるので、急な負荷が作用したときのエンストを防止できるようになる。
【0058】
指示された指示エンジン回転数Nkが所定回転数Ns以上の場合は、ステップS22へと進み、指示係数「1」を選択して表示部125に表示する。そして、ステップS23では「エンジン回転数を指示回転数Nkに下げて走行段とPTO段を1段上げて下さい」の表示を行う。
【0059】
これにより、軽負荷Aの場合はエンジン回転数を下げることで燃費が向上するようになる。また、走行段とPTO段を1段上げることで、エンジン回転数変更前の走行速度とPTO回転数から極端に離れることがなくなるので、安定した作業が可能となる。
【0060】
ステップS17で軽負荷Aでないと判断されると、ステップS18へ進んで適正負荷Bか否かを判断する。適正負荷Bの場合はステップS24へと進んで表示部125に指示係数「2」を表示し、さらにステップS23へと進んで「適正なエンジン回転数です」の文字表示を行う。
【0061】
ステップS18で適正負荷でないと判断されると、ステップS19へ進んで重負荷Cと判断する。このステップS19では同時にエンジン回転数適否判定手段113でエンジン回転数の適否が判定される。そして、ステップS25ではエンジン回転数変更指示手段114にて変更する重負荷時の指示エンジン回転数Njを算出してステップS26へ進む。
【0062】
ステップS26では表示部125に指示係数「3」の表示を行い、ステップS23へ進んで表示部125に「エンジン回転数を指示回転数Njに上げて走行段とPTO段を1段下げて下さい」の表示を行う。
【0063】
これにより、重負荷状態でのエンジンドロップの防止やエンジンからの黒煙排出の低減ができるとともに、エンジン回転数変更前の走行速度とPTO回転数から極端に離れることを防止できるので、安定した作業が可能となる。重負荷Cの場合はエンジン回転数を下げるということは無いので、軽負荷Aのときのような所定回転数Nsとの比較は行なわない。
【0064】
なお、上記「指示エンジン回転数」は次式(1)により算出した数字である。
指示エンジン回転数=
現在のエンジン回転数−(現在の回転数×0.25×(2−指示係数)) (1)
上記式(1)で係数「0.25」を選択するのはトラクタの車速変速1段につき、平均25%の変化があるためである。
ここで、指示係数は図8に示す通り、0〜3までの整数がそれぞれのエンジン負荷に対応して設定される。
【0065】
上記したように、得られたエンジン5の負荷状態に応じて適正なエンジン回転数への変更指示に伴い、指示エンジン回転数と予め設定している所定回転数とを比較して、指示エンジン回転数が所定回転数以上のときには、エンジン回転数を適正にする変更指示を行い、適正なエンジン回転数で運転が可能となる。特に、軽負荷Aの場合は燃料消費量を削減できる。また、指示エンジン回転数が前記所定回転数未満であるときには、指示エンジン回転数を所定回転数に変更して指示することで、急な負荷が作用したときにエンストすることがない。
【0066】
ここで、エンジン回転数変更指示手段114による表示部125への表示や音声による指示が、オペレータによっては冗長にすぎて「煩わしい」と感じることがあるので、前記表示部125への表示時間や音声での指示時間を任意に変えることができるようにしておく事が望ましい。
【0067】
また適正負荷Bで運転中は表示部125の画面には「ECO」などの表示が付いたインジケータランプを表示させるとオペレータは省エネルギー作業中であることを自覚することができる。
【0068】
また、上記エンジン回転数と排気温度に基づきエンジンの負荷状態を判定し、図9に示すようなエンジンの回転数とPTO出力、温度の関係を各エンジン回転数ごとの回帰曲線として求め、オペレーターに現在のエンジン5の負荷を知らせることができる構成としてもよい。
【0069】
この場合、エンジン5の音や排気煙の色、振動などから感覚的、経験的にトラクターのエンジン負荷状態を認識することが熟練のオペレータでなくても判るようになるので、作業中にエンジン負荷に余裕がある場合、エンジン回転数を制限して走行し、負荷大になってくると減速比を変更することで最高車速を制限するなどの操縦により省エネルギー運転が可能になる。
【0070】
本実施例では副変速位置は複数段(3段変速)であるが、副変速位置検出手段122による副変速の変速位置が最高速位置にある場合は路上走行中であるので、上記エンジン回転数変更指示手段114による前記表示部125への表示や音声による指示を行わない構成とする。
【実施例2】
【0071】
前述した図5のフローチャートは、負荷状態によりエンジン回転数の変更の指示を行うとともに、走行速度及びPTO回転数の変更の指示のみを行う構成であるが、図6に示すフローチャートの実施例は、エンジン回転数の変更と、走行速度及びPTO回転数の変更を自動的に行うものである。
【0072】
本実施例でも、前記実施例1と同一の手順でエンジン回転数検出手段(センサ)119で検出された現在の実エンジン回転数Nr’と排気温度検出手段(センサ)120で検出されたエンジン排気ガス温度に対応したエンジン負荷を図7に示す予め設定した所定のエンジン負荷マップから図7のエンジン負荷A,B、Cのいずれに属するかをエンジン負荷算出手段111により算出する。
【0073】
まず、図6のステップS10からステップS13までの処理は、図5の場合と同じである。ステップS13の次のステップS30においては、図5の場合と同様にPTOがオンになっているか否かを判断する。このステップS30では、さらに、自動変速がオンになっているか否かを判断する。自動変速のオン状態は、副変速レバー34の自動モードスイッチ55(図3)のオンで行われる。
【0074】
ステップS30でPTOと自動変速が共にオンになっていると、ステップS15へと進む。ステップS15における実エンジン回転数Nr’が所定回転数Ns’以上か否かの判断と、ステップS17における軽負荷Aの判断と、ステップS18における適正負荷Bの判断と、ステップS19における重負荷Cの判断については、図5の場合と同じである。
【0075】
ステップS15において実エンジン回転数Nr’が所定回転数Ns’よりも低い場合はステップS31へと進み、ガバナ126により自動的にエンジン回転数を所定回転数Ns’(1600rpm)に変更する。
【0076】
ステップS17で軽負荷Aと判断されると、ステップS32へと進む。ステップS32ではエンジン回転数予測手段118により軽負荷時の予測エンジン回転数Nk’を計算する。特に、軽負荷Aの場合は、エンジン回転数を下げる操作であるので、所定回転数Ns’よりも下げすぎないことが重要である。
【0077】
ステップS33で軽負荷時の予測エンジン回転数Nk’が所定回転数Ns’以下であるとステップS31へと進み、エンジン回転数を自動的に所定回転数Ns’となるように制御する。また、ステップS33で予測エンジン回転数Nk’が所定回転数Ns’以上のときはステップS34へと進む。
【0078】
ステップS34では、エンジン回転数を予測回転数Nk’になるように制御し、さらに、主変速(走行段)を1段上げると共にPTO変速位置(PTO段)を1段上げる判断を行う。そして、ステップS35では、ガバナ126で自動的にエンジン回転数を予測回転数Nk’になるように制御する。さらに、主変速制御部127で主変速(走行段)を1段上げると共にPTO変速制御部128でPTO変速位置(PTO段)を1段上げる制御を自動的に行う。
【0079】
これにより、軽負荷Aのときにはエンジン回転数は自動的に下げるように制御されるので、無駄な燃料消費を抑制することができるようになる。また、エンジン回転数を下げても走行速度とPTO回転数は、エンジン回転数変更前の状態に近い状態とすることで、安定した作業走行を行うことができるようになる。
【0080】
ステップS18で適正負荷Bと判断されるとステップS36へと進み、走行速度とPTO変速は行わない。
ステップS18で適正負荷Bでないと判断されるとステップS19へと進んで重負荷Cと判断する。重負荷Cと判断されるとステップS37へと進んでエンジン回転数予測手段118で重負荷時の予測エンジン回転数Nj’を算出する。重負荷Cの場合は、エンジン回転数は上げる操作なので、所定回転数Ns’との比較は行なわない。
【0081】
次にステップS35へと進んで、エンジン回転数を予測回転数Nj’になるように制御し、さらに、主変速(走行段)を1段下げると共にPTO変速位置(PTO段)を1段下げる判断を行う。
ステップS35では、ガバナ126で自動的にエンジン回転数を予測回転数Nj’になるように制御する。さらに、主変速制御部127で主変速(走行段)を1段下げると共にPTO変速制御部128でPTO変速位置(PTO段)を1段下げる制御を自動的に行う。
【0082】
これにより、重負荷Cのときにはエンジン回転数を自動的に上昇させることで、エンジンストールを防止できるようになる。また、エンジン回転数を上げても走行速度とPTO回転数は、エンジン回転数変更前の状態に近い状態とすることで、安定した作業走行を行うことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の走行車両は、PTOを備えたトラクタや建設車両などの省エネルギー作業が可能な作業車両として利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施例のトラクタの側面図である。
【図2】図1のトラクタのエンジンからの動力伝動機構図である。
【図3】図1のトラクタの副変速レバー設置部の側面略図(図3(a))とレバーガイドの平面図(図3(b))である。
【図4】図1のトラクタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1の制御のフローチャートである。
【図6】実施例2の制御のフローチャートである。
【図7】図1のトラクタのエンジン負荷マップである。
【図8】図1のトラクタのエンジン負荷状態と変更状態である。
【図9】図1のトラクタのエンジン回転数毎の排気温度とPTO出力との関係図である。
【符号の説明】
【0085】
1 トラクタ 2 前輪2
3 後輪 4 ボンネット
5 エンジン 6 ミッションケース
9 前後進切換装置 9a,9b 油圧クラッチ
10 第1主変速装置 11 第2主変速装置
11a,11b 油圧クラッチ 12 副変速装置
14 油圧シリンダケース 14a 油圧シリンダ
15 リフトアーム 16 ロワーリンク
17 リフトロッド 18 作業機(ロータリ耕耘装置)
19 耕耘部 20 主カバー
22 リヤカバー 24 ステアリングハンドル
25 ハンドルポスト 27 前後進切換レバー
28 油圧操作レバー 29 主クラッチペダル
30 主クラッチ 31 アクチュエータ
32 シフター 34 副変速レバー
35 シフター 37 増速スイッチ
38 減速スイッチ 40 ドライブピニオン
41 後輪デフ装置 42 最終減速装置
44 前輪増速装置 44a,44b 油圧クラッチ
46 前輪デフ装置 47 前輪最終減速装置
48 操縦席 49 レバーガイド
50〜53 スイッチ 55 自動モードスイッチ
58 アクセルペダル 60 入力ギヤ
61 カウンタ軸 62 ギヤ
64 リバーサ軸 65 ギヤ
66 伝動ギヤ 68 カウンタ軸
69 ギヤ 70 PTOクラッチ
71 PTO駆動軸 72 PTO変速軸
73 後進用ギヤ 75 ギヤ
76,77 油圧シリンダ 79 従動軸
80a〜80d ギヤ 81a〜81d ギヤ
82 出力ギヤ 83 PTO出力軸
85 出力ギヤ 86 逆転軸
87 ギヤ 100 制御装置(コントローラ)
111 エンジン負荷算出手段 112 エンジン負荷マップ
113 エンジン回転数適否判定手段
114 エンジン回転数変更指示手段
115 走行変速指示手段 116 PTO変速指示手段
117 比較手段 118 エンジン回転数予測手段
119 エンジン回転数検出手段 120 排気温度検出手段
122 副変速位置検出手段 124 PTO変速位置検出手段
124a PTO軸回転数検出手段 125 表示部
126 エンジン回転数制御手段 127 走行速度変速手段
128 PTO変速手段 N エンジン回転数
Nr 実エンジン回転数 Nr’ 実エンジン回転数
Nk 軽負荷時の指示エンジン回転数
Nj 重負荷時の指示エンジン回転数
Nk’ 軽負荷時の予測エンジン回転数
Nj’ 重負荷時の予測エンジン回転数
Ns 所定回転数 Ns’ 所定回転数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に搭載したエンジン(5)と機体に連結した作業機(18)と、
エンジン回転数検出手段(119)と、
エンジン(5)に作用するエンジン負荷を算出するエンジン負荷算出手段(111)と、
算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数(N)の適否を判断するエンジン回転数適否判定手段(113)と、
エンジン回転数(N)が適正でないと判断された場合はエンジン回転数を適正な回転数に変更指示するエンジン回転数変更指示手段(114)と、
該エンジン回転数変更指示手段(114)で変更指示された指示エンジン回転数(Nk,Nj)に伴い機体の走行速度とPTO回転数を前記エンジン回転数変更指示前の状態に維持する側に変速指示する変速指示手段(115,116)と
を設けた作業車両であって、
前記指示エンジン回転数(Nk)と予め設定した所定回転数(Ns)とを比較する比較手段(117)を設け、
該指示エンジン回転数(Nk)が所定回転数(Ns)以上のときには、前記エンジン回転数変更指示手段(114)と変速指示手段(115,116)による変速指示を行い、
前記指示エンジン回転数(Nk)が所定回転数(Ns)未満のときには前記エンジン回転数変更指示手段(114)に当該所定回転数(Ns)を指示する制御装置(100)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
機体に搭載したエンジン(5)と機体に連結した作業機(18)と、
エンジン回転数検出手段(119)と、
エンジン(5)に作用するエンジン負荷を算出するエンジン負荷算出手段(111)と、
算出されたエンジン負荷状態に基づいてエンジン回転数(N)の適否を判断するエンジン回転数適否判定手段(113)と、
エンジン回転数(N)が適正でないと判断された場合はエンジン回転数予測手段(118)で適正なエンジン回転数を予測して、該予測エンジン回転数(Nk’,Nj’)に変更制御するエンジン回転数制御手段(126)と、
該予測エンジン回転数に伴い機体の走行速度とPTO回転数を前記予測エンジン回転数(Nk’,Nj’)への変更制御前の状態に維持する側に変速する変速手段(127,128)と
を設けた作業車両であって、
前記予測エンジン回転数(Nk’)と予め設定した所定回転数(Ns’)とを比較する比較手段(117)を設け、
該予測エンジン回転数(Nk’)が所定回転数(Ns’)以上のときには、前記エンジン回転数制御手段(126)と機体の走行速度とPTO回転数の変速手段(127,128)により変更制御を行い、
前記予測エンジン回転数(Nk’)が所定回転数(Ns’)未満のときには前記エンジン回転数制御手段(126)によって所定のエンジン回転数(Ns’)に変更制御する制御装置(100)を設けたことを特徴とする作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−107456(P2009−107456A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281139(P2007−281139)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】