説明

作業車両

【課題】作業領域から路上走行の移行時に、急発進を防ぎ安全性を高めた作業車両の提供である。
【解決手段】エンジン回転数設定スイッチ177a,bによるエンジン回転数の記憶部102と現在の回転数を記憶部102の回転数に設定する記憶エンジン回転数設定部と路上走行時に回転数に応じて自動変速する自動変速機能部とを有する制御装置100と、複数の変速段に操作可能な副変速レバー179と、自動変速機能部の入切操作用のATシフトスイッチ199,200と、エンジン回転数の手動変更用アクセルレバー176とを有し、圃場から路上走行の移行時にアクセルレバー176がアイドリングであり、副変速レバー179が路上走行速でATシフト路上スイッチ199が入りの時、現在の回転数を記憶部102の回転数にする処理の作動が中止される安全走行機能部を備えた作業車両である。エンジン回転数は記憶部102の回転数まで上昇せず急発進を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用、建築用、運搬用等の作業機を連結した作業車両、特にトラクタなどのエンジン回転数の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械などの作業車両のエンジン回転数は、オペレータが作業内容に応じて手動で設定、調整して運転を行っていた。しかし、作業種目(作業内容)によってその作業に最適なエンジン回転数に設定する必要があるため、その都度オペレータが調整しなければならず、調整作業が煩雑となり、オペレータの負担になっていた。
【0003】
そこで、下記特許文献1には、作業項目に対応したエンジン回転数を記憶し、次回からは作業種目信号入力スイッチによって記憶しているエンジン回転数にして、作業種目に最適なエンジン回転数を初回のみ設定するだけで、後は自動設定することで、オペレータの作業性向上を図っている。
【特許文献1】特開平6−346771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の構成では、作業項目に対応したエンジン回転数を記憶し、次回からは作業種目信号入力スイッチによって記憶しているエンジン回転数にしようとするものである。しかし、記憶されている作業エンジン回転数と路上走行(高速走行)との関係は明示されていない。
【0005】
路上走行時のエンジン回転数は圃場内における作業エンジン回転数に比べると高いが、圃場内等の作業領域の走行から路上走行に移行する場合の路上走行時に、前記記憶されている作業エンジン回転数になった場合は、作業エンジン回転数は作業車両の発進時の回転数よりも高いため、いきなりその記憶されたエンジン回転数で発進しようとすると、急発進が起こる場合もある。
【0006】
本発明の課題は、作業領域から路上走行に移行する場合の路上走行時(高速走行時)に、急発進を防いで安全性を高めた作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、耕耘を含む作業時のエンジン回転数を設定するエンジン回転数設定手段(177a,177b)と、該エンジン回転数設定手段(177a,177b)により設定されたエンジン回転数を記憶する記憶手段(102)と現在の回転数を前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数にする処理を行う記憶エンジン回転数設定部と路上走行時にエンジン回転数に応じて適切な速度に自動で変速する自動変速機能部とを有する制御装置(100)と、路上走行速を含む複数の変速段に変速操作が可能な変速操作手段(179)と、前記制御装置(100)の自動変速機能部を入り切り操作するための自動変速操作手段(199)と、エンジン回転数を手動で変更するアクセル操作手段(176)とを有する作業車両であって、作業領域から路上走行の移行時に、前記アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されている場合に、前記制御装置(100)は、前記記憶エンジン回転数設定部による現在のエンジン回転数を前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数にする処理の作動中であって、前記変速操作手段(179)により路上走行速の変速段に設定され、更に自動変速操作手段(199)により自動変速機能が入りに操作されていると、前記記憶エンジン回転数設定部による前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数にする処理の作動を中止する制御を行う安全走行機能部を備えている作業車両である。
【0008】
このように、アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されている場合には記憶エンジン回転数設定部による作動が中止されてエンジン回転数はアイドリング回転数に制御される。
【0009】
請求項2記載の発明は、作業領域から路上走行の移行時に、前記アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されていない場合に、前記制御装置(100)の安全走行機能部は、前記アクセル操作手段(176)により操作されているエンジン回転数が前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数よりも大きい場合は前記記憶されているエンジン回転数にする処理の作動を中止しない制御を行う請求項1記載の作業車両である。
【0010】
作業領域(作業走行)から路上走行に移行する場合に、オペレータは、通常、アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数をアイドリング回転数に戻す操作をするが、この操作をしないで路上走行に移行してしまう場合がある。このような場合、エンジン回転数は、路上走行に移行前のアクセル操作手段(176)による操作位置のエンジン回転数となる。
【0011】
しかし、前記記憶手段(102)により記憶されたエンジン回転数よりもアクセル操作手段(176)により操作されているエンジン回転数の方が大きい場合は、記憶手段(102)により記憶されたエンジン回転数になり、すなわち、より小さいエンジン回転数になるように制御装置(100)により制御される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、作業領域から路上走行に移行する場合の路上走行時において、変速操作手段(179)により路上走行速の変速段に設定され、更に自動変速操作手段(199)により自動変速機能が入りに操作された状態でエンジン回転数が記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数に制御されると、記憶されたエンジン回転数は作業時のエンジン回転数であるために作業車両の発進時のエンジン回転数よりも高い。このため、車速が急に上昇して作業車両が急発進する場合がある。
【0013】
しかし、このような場合は、記憶手段(102)に記憶されているエンジン回転数にする処理の作動が中止される安全走行機能が働くことで、エンジン回転数は記憶手段(102)に記憶されているエンジン回転数とは無関係になるため、アイドリング回転数に制御され、路上走行時における作業車両の急発進を防ぐことが可能となる。
【0014】
もし、前記アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されていない場合に、エンジン回転数が記憶手段(102)により記憶されたエンジン回転数よりもアクセル操作手段(176)により操作されているエンジン回転数の方が大きい時、前記安全走行機能によって記憶手段(102)により記憶されたエンジン回転数にする処理の作動が中止されてしまうと、エンジン回転数はアクセル操作手段(176)で操作されている大きい回転数となる不具合がある。
【0015】
このように記憶手段(102)に記憶されているエンジン回転数への制御が中止されると、アクセル操作手段(176)により操作されたエンジン回転数がアイドリング回転数である場合は問題ないが、そうでない場合は、エンジン回転数はアクセル操作手段(176)により操作されているエンジン回転数にいきなり上がって急激な加速になってしまう可能性がある。
【0016】
そこで、請求項2記載の発明によれば、このような場合は、前記安全走行機能が働かず、記憶手段(102)により記憶されたエンジン回転数にする処理が行われ、すなわちアクセル操作手段(176)により操作されているエンジン回転数よりも小さいエンジン回転数になるように制御装置(100)により制御されることで、エンジン回転数の急激な上昇を防止できて、車両の急発進も防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について以下図面と共に説明する。なお、本明細書では車両の前進方向に向かって左右をそれぞれ左、右といい、前後をそれぞれ前、後ということにする。ここで、本明細書において左右の走行車軸とは、作業車両の進行方向を向いて左右方向の走行車軸をいう。そして、本発明の実施の形態によれば、作業車両の一例であるトラクタを例として以下に説明する。
【0018】
図1には本発明の実施形態のトラクタの左側面図を示し、図2には、図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図を示す。更に図3には図2の動力伝動図の油圧回路図を示し、図4には図1の変速装置の前後進動力入切用の油圧クラッチシリンダの構成図を示す。また、図5には図1のトラクタの制御ブロック図を示す。
【0019】
乗用四輪駆動の走行形態を有するトラクタ車体Tは、ステアリングハンドル73で前輪61を操向しながら走行運転する。車体Tの後部にはロータリ耕耘装置等の作業機を3点リンク機構により昇降可能に装着して対地作業を行うことができる。この車体Tは、前端部にフロントアクスルハウジング(図示せず)に支架させるエンジンブラケットを介してエンジン62を搭載し、このエンジン62の後側にクラッチハウジングや、ミッションケース65等を一体的に連結し、このミッションケース65の最後部にリヤアクスルハウジング(図示せず)を設けて、左右両側部に後輪63を軸装する。
【0020】
図2には、図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図を示す。
エンジン62は後側に突出のエンジン軸1を有し、このエンジン軸1をクラッチハウジング部の入力軸2に連結する。ミッションケース65内の伝動機構を介して後端部の出力軸3及びPTO軸14を連動すると共に、ミッションケース65の下部に設けた前輪出力軸5を連動する構成としている。この出力軸3はミッションケース65内の後部の略中央部において前後方向に沿うように軸受されて後端にドライブピニオンギヤ53を有し、リヤデフ45のデフリングギヤ46に噛合し、リヤアクスルハウジングに沿って軸装されたリヤデフ軸10と後輪軸11を遊星減速機構を介して連動する。また、前輪出力軸5はミッションケース65の下部からエンジン62の下部を経て、フロントアクスルハウジングの中央部に設けられるフロントデフ47の入力軸26に連結され、このフロントアクスルハウジングに沿って軸装されるフロントデフ軸12及び遊星減速機構等を介して前輪軸13へ連動する構成としている。なお、入力軸2から油圧ポンプ80(図3)への動力取り出し用のギヤ駆動軸15,17が入力軸2に並列配置されている。
【0021】
図2に示すトランスミッションの噛合式変速装置は、エンジン軸1によって駆動される入力軸2から入力ギヤ31に連動されるPTO変速カウンタギヤ44を有するPTOカウンタ軸9上にPTOクラッチパック66を設けている。PTOクラッチパック66や入力ギヤ31などからなるPTOの動力伝達部の構成をPTOクラッチEということにする。
【0022】
また入力軸2には前後進切替用の前後進切替ギア42、42が遊転状態に設けられ、一方の後進側の前後進切替ギア42には入力軸2と並列配置されたバックカウンタ軸8に設けられたバックカウンタギア43が噛合し、他方の前進側の前後進切替ギア42には主変速軸19上に固定した入力ギヤ48と該主変速軸19上に遊転自在に設けた有効径の異なる4つの主変速ギヤ33を設ける。これら4つの主変速ギヤ33は、四段変速に構成され、クラッチパック76によって切替シフトされ、4つの主変速ギヤ33から構成される変速装置を主変速油圧クラッチAということにする。
【0023】
前記主変速軸19上には、前記主変速油圧クラッチAの4つの主変速ギヤ33のうち、最も有効径の小さい主変速ギヤ33(第1速用)と3番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第3速用)との間にクラッチパック76を固定して設け、2番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第2速用)と最も有効径の大きい主変速ギヤ33(第4速用)との間にクラッチパック76を固定して設ける。前記2つのクラッチパック76には、各主変速ギヤ33を主変速軸19と一体回転するように連結する摩擦クラッチが各々設けられている。
【0024】
また、前後進切替ギヤ42の前進側のギヤと噛合可能な入力ギヤ48は、前後進切替ギヤ42の後進側のギヤともバックカウンタ軸8上のバックカウンタギヤ43と噛合っており、該前後進切替ギヤ42のうちの前進側のギヤ42と後進側のギヤ42とを、前後独立した摩擦クラッチから成る2つの前後進切替クラッチパック60の切替によって択一的に入力軸2と一体化して、前進走行と後進走行とに切替えられる構成である。後述する油圧シリンダ85(図3)を含めこれらギヤ42とクラッチパック60などからなる構成を前後進油圧クラッチDということにする。
【0025】
また、前後進油圧クラッチDの切替を手動で行う前後進切替レバー115(図6)をステアリングハンドル73のポスト部分に設け、クラッチぺダル119(図6)はハンドルポストの足下に設けている。
【0026】
主変速軸19と同軸芯位置に設けられた副変速軸20にはクラッチパック76によって切替シフトされる有効径の異なる2つの高低速切替ギヤ34が設けられており、主変速後の駆動力を更に減速して高速と低速とに切り替えることができる。この高速と低速とに切り替え可能なギア構成をハイ・ロー変速クラッチBということにする。
【0027】
さらに副変速軸20と同軸上には有効径の異なる3つの副変速ギヤ35を有する出力軸3が配置されている。出力軸3は副変速ギヤ35により三段変速する構成としている。この三段変速可能なギヤ35の構成を副変速ギア伝動機構Cということにする。
【0028】
また、副変速ギヤ35に噛合するクリープカウンタギヤ49を備えたクリープカウンタ軸21が出力軸3に並列位置に設けられている。また主変速ギヤ33や高低速切替ギヤ34等と噛合する主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギヤ40を有する走行カウンタ軸6が主変速軸19や副変速軸20と並列位置に配置されており、主変速軸19から伝動される回転が主変速ギヤ33で変速されて、その回転が主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギア40を順次経由して副変速軸20に設けられた高低速切替ギヤ34に伝達される。高低速切替ギヤ34に伝達された動力はクラッチパック76を介して副変速軸20上に設けた副変速ギヤ35による変速機構を介して出力軸3に伝達される。
この走行動力伝達系では、PTO正逆切替ギヤ37機構を備えたPTO連動軸4を回転する伝動形態である正逆転PTOを設けている。
【0029】
また、前記副変速ギヤ35と噛み合う副変速カウンタギヤ38の副変速カウンタ軸27を回転自在に支持すると共に、出力軸3から前輪取出ギヤ36を介して連動される前輪連動ギヤ51を有する前輪連動軸28を設け、この前輪連動軸28の前方延長軸芯上にはPTO減速ギヤ50を有するPTO減速軸23を設けている。さらに、前輪連動軸28の並行位置にPTO連動軸4を設け、該PTO連動軸4と同軸芯上前端部にPTO連動軸4を正転と逆転に切替えるPTO正逆切替ギヤ37のPTO正逆切替軸22と、PTO変速ギヤ32のPTO変速軸18を配置している。
【0030】
また、PTO正逆切替ギヤ37と噛合するPTO逆回転カウンタギヤ52を有するPTO逆回転カウンタ軸24が前記PTO正逆切替軸22の側部に設けられ、PTOクラッチパック66の入りによって、入力軸2からPTO変速ギヤ32、PTO変速カウンタギヤ44及びPTO正逆切替ギヤ37等を介してPTO正逆切替軸22へ動力が伝動するように構成している。前記正逆切替ギヤ37は前記PTO変速ギヤ32と同形態のクラッチリングを用いる形態としている。このPTO正逆切替軸22の側方にはPTO逆回転カウンタギヤ52を有する逆回転カウンタ軸24を設け、PTO逆回転カウンタギヤ52は、PTO減速ギヤ50からの連動を受けてPTO正逆切替ギヤ37を逆回転することができる。なお、前記PTOカウンタ軸9の後方に減速軸23が配置される。
【0031】
更に、ミッションケース65内の下段部に配置された前輪出力軸5は、ミッションケース65の後部底部に軸装されて、前輪連動軸25やカップリング等を介して前記フロントデフ47の入力軸26へ連結する。この前輪出力軸5の横側には前輪駆動軸7が配置されている。前輪駆動軸7の後端には前輪ギヤ55が設けられている。また、前記出力軸3の後端部の前輪取出ギヤ36に前輪連動軸28上の第1の前輪連動ギヤ51が噛合し、該第1の前輪連動ギヤ51を介して前輪連動軸28に伝達される出力軸3の駆動力は、前輪連動軸28と一体回転する第2の前輪連動ギア54に伝達されて、該前輪連動ギア54から前輪駆動軸7に伝達される。
【0032】
また前輪駆動クラッチパック67を前輪駆動軸7上に設け、この駆動軸7の前端部から前輪出力軸5へギヤ連動する。また、有効径の異なる2つの前輪駆動切替ギヤ41が前輪駆動クラッチパック67の左右に配置されており、該2つの前輪駆動切替ギヤ41は、カウンタ軸59に設けた有効径の異なる2つの切替駆動カウンタギヤ56に各々噛み合わされ、前輪駆動クラッチパック67を択一的に接続することにより、2つの減速比のうちのいずれか一方の減速比で前輪駆動軸7を駆動することができる。
【0033】
前輪駆動クラッチパック67を中立位置にシフトするときは前輪61を駆動させない後輪駆動の二駆形態とし、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて低速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約1倍の等速駆動させる四駆形態とし、また、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて高速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約2倍に増速駆動させる四駆形態とすることによって走行することができる。
【0034】
上記構成からなる噛合式変速装置により、エンジン62の回転動力は主クラッチを構成する前後進油圧クラッチDを経由して4段の変速段からなる主変速油圧クラッチAと2段の変速段からなるハイ・ロー変速クラッチB及び3段の変速段からなる副変速ギア伝動機構Cで合計24段のうちのいずれかの変速段に変速され、得られた回転動力はリヤデフ45を経て後輪63が駆動される。また、前記副変速ギア伝動機構Cで変速された回転動力は前輪駆動クラッチパック(二駆四駆切替クラッチ)67にも伝達され、該クラッチパック67により前輪61が「等速」もしくは「増速」に切り換えられた後、フロントデフ47を経て前輪61が駆動される。
【0035】
また、PTO変速ギヤ32、走行系の主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び副変速ギヤ35等を、ドライブピニオンギヤ53を有する出力軸3の軸芯上に沿って配置する構成とする。走行系の伝動は、入力軸2から出力軸3の軸芯上に配置される主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び複変速ギヤ35等を介してドライブピニオンギヤ53へ多段変速連動される。また、PTO系の変速は、この出力軸3の軸芯上の前端部に設けられるPTO変速ギヤ32を介して連動される。
【0036】
次に図3には図2の動力伝動図の油圧回路図を示す。
図3の油圧回路図では左右の後輪63を独立して制動する左右のブレーキシリンダ83、前輪61へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換クラッチシリンダ99、ステアリングハンドル73の回転操作により作動するパワーステアリング装置103、PTOクラッチシリンダ104、PTOクラッチ切替換弁105、PTOクラッチ比例圧力制御弁106などが設けられている。なお、一点鎖線部分の回路101はメイン油圧回路(作業機昇降・作業機水平や外部油圧取出しなど)となり、サブ回路(走行・ブレーキ・デフロック・PTO側回路)とあまり関係がないため、回路図の図示を省略している。
【0037】
油圧ポンプ80から吐出した作動油は、減圧弁81aを介して主変速油圧クラッチAの第4速用と第2速用の各ギア33をクラッチパック76を介してそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ87と油圧クラッチシリンダ88を切り替える主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁89に供給され、さらに主変速油圧クラッチAの第1速用と第3速用の各ギア33をそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ91と油圧クラッチシリンダ92を切り替える主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁93に供給される。
【0038】
減圧弁81aを経由する作動油は、前後進クラッチシリンダ85のオン・オフ制御弁129を介して前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側の油圧クラッチDを切り替える切替弁86に供給される。該前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側の油圧クラッチDのいずれに作動油が供給されているかは前進側クラッチ圧力センサ110(図5)と後進側クラッチ圧力センサ111(図5)で検出できる。
【0039】
同様に、上記及び下記油圧クラッチシリンダに供給される作動油はそれぞれの油圧クラッチシリンダへの入口側の油路に設けた圧力センサ(例えば油圧クラッチAの第1速用から第4速用までの圧力センサ145a〜145dやPTOクラッチEの圧力センサ146など(図5))で検知できる構成になっている。
【0040】
また、油圧ポンプ80から吐出した作動油は、減圧弁81bを介してブレーキバルブ82aを経由して左右のブレーキシリンダ83に分岐供給される。前記ブレーキバルブ82aは後輪63を選択する切替制御弁であり、該ブレーキバルブ82aはブレーキ力を調整する圧力制御弁82bと一体構成となっている。
【0041】
さらに、減圧弁81bを経由する作動油は、前記第1速〜第4速用の各ギア33で変速された速度を「高速」と「低速」の二つのギヤ40のいずれかにクラッチパック76を介して作動させるハイ・ロー油圧クラッチシリンダ95を切り替えるための制御弁96a,96bに供給される。
【0042】
また、減圧弁81bを経由する作動油は、デフロック制御弁97を経てフロントデフ47用の前輪デフロックシリンダ98a及びリアデフ45用の後輪デフロックシリンダ98bに分岐される。
【0043】
さらに、前輪駆動クラッチパック67のギア41の切替用の油圧シリンダ99には切替制御弁94を経て前記減圧弁81bを経由する作動油が供給される。
同様に、減圧弁81bを経由する作動油は、PTO用バルブ105,106を介してPTOクラッチシリンダ104に供給され、PTOクラッチEの圧力を調整する。
また図3に示す油圧ポンプ80からの油圧は、パワステアリングハンドル73の操作で作動されるオービットロール107に作動油を供給する構成である。
【0044】
図4には、前後進ギア42,42の切替を行う前後進クラッチシリンダ85の断面構成図を示す。
シリンダ85の前後一対のシリンダ85F、85R内には流入する作動油(オイル)によりそれぞれ作動するピストン78F、78Rと該ピストン78F、78Rの作動で互いに接触する複数組の摩擦板からなる前後進切替クラッチパック60、60がそれぞれ設けられている。
【0045】
クラッチペダル119の非操作時(足踏み式ペダル119の踏み込み操作をしていない時)には前進と後進用のいずれかのシリンダ85F、85R内にオイルが流入してピストン78F又は78Rが作動状態であり、前後進切替クラッチパック60、60が接続状態となり、エンジン動力が変速装置24内の前進側の駆動機構又は後進側の駆動機構に伝達される。また各シリンダ85F、85R内にはリターンスプリング(圧縮スプリング)77F、77Rが設けられており、該リターンスプリング77F、77Rはそれぞれ前進、後進クラッチパック60、60の接続状態を解除する側に付勢される。したがってクラッチペダル119を操作すると(足踏み式ペダル119の踏み込み操作をすると)とシリンダ85F又は85R内のオイルが流出して、リターンスプリング77F又は77Rの付勢力でピストン78F又は78Rが戻し方向に移動し、該前進又は後進用のクラッチパック60の接続状態が解除される。
【0046】
また、図6には、図1のトラクタの操縦席付近の上面図を示し、図7には同じく斜視図を示し、図8(a)には図6及び図7に示したスイッチボックス180の平面図を示し、図8(b)には図8(a)の側面図を示す。
トラクタの操縦席16の左側には、トラクタの前進と後進の切り替えを行う前後進切替レバー115や駐車ブレーキ172、前方側のPTOチェンジレバー173a(2速−N(中立)−1速にチェンジ可能)、後方側のPTOチェンジレバー173b等を配置している。後方側のPTOチェンジレバー173bは、型式によって3種類ある(機能が異なるだけで図は同じである)。
【0047】
Z型は正逆切換レバー(前側が正転、後側が逆転)であり、WX型はエコノミーPTO切換レバー(前側が切−後側が入)であり、入りにすると、PTO軸が所定回転ダウンする。また、GWD型はグランドPTO切換レバー(前側が切−後側が入)であり、入りにするとPTO軸の回転が車速に同期(シンクロ)する。
【0048】
一方、トラクタの操縦席16の右側には、アクセルペダル175やアクセルレバー176(前に倒すとエンジン回転数増大、一番手前にするとアイドリングになる)、更に圃場や建設、土木作業場など(以下、圃場という)の作業領域(以下、圃場内という)における作業時のエンジン回転数を設定して記憶部102に記憶させるためのエンジン回転数記憶スイッチ177aなどがある。エンジン回転数記憶スイッチ177aは、いわゆるシーソースイッチであり、上側又は下側を押して指を離すと自動的に押していない状態に戻る。また、コントローラ100の記憶部102には2通りのエンジン回転数を記憶できるので、その切換スイッチである。
【0049】
例えば、エンジン回転数記憶スイッチ177aの上側(上側スイッチセンサ177aa)を押すとエンジン回転数がA回転数になり、下側(下側のスイッチセンサ177ab)を押すとB回転数となる。上側を押して指を離すとエンジン回転数記憶スイッチ177aは押す前の位置に戻るが、スイッチ177aは入り状態になっており、エンジン回転数はコントローラ100によりA回転数になるように制御されて保持される。同様に、下側を押して指を離すとエンジン回転数記憶スイッチ177aは押す前の位置に戻るが、スイッチ177aは入り状態になっており、エンジン回転数はコントローラ100によりB回転数に制御されて保持される。
【0050】
前記A回転数やB回転数に制御された状態を解除するためには、再びエンジン回転数記憶スイッチ177aを押し操作する。A回転数であれば上側を押し、B回転数であれば下側を押すと解除される。ただし、記憶部102内のA回転数とB回転数の値は消去されない。また、記憶部102内のA回転数とB回転数の値を消去する機能は搭載していない。A回転数とB回転数については、工場出荷時に所定回転数(使用頻度が多い回転数)が記憶されている。例えば、A回転数は1800rpmが、B回転数は1600rpmが予め記憶されている。
【0051】
本実施形態の場合は2通りのエンジン回転数を記憶できる例を示しているが、それよりも多い3通り以上の回転数を記憶できる構成でも良い。この場合は、スイッチを換える必要があり、例えば、上下左右にシーソーするスイッチにすると4通りの回転数が記憶可能となる。
【0052】
また、エンジン回転数記憶スイッチ177aの後方のエンジン回転数設定スイッチ177bもシーソースイッチであり、上側又は下側を押して指を離すと自動的に押していない状態に戻る。そして、エンジン回転数記憶スイッチ177aを押した後(上側又は下側)、押した状態のままエンジン回転数設定スイッチ177bの上側を押すとエンジン回転数が上昇し、又は下側を押すとエンジン回転数が下降する。エンジン回転数記憶スイッチ177aは押した状態でなくてもよい。
【0053】
記憶部102に記憶された回転数(A回転数とB回転数)を変更して、当該変更した回転数を記憶部102に更新、記憶させたい場合には、次の操作をする。
まず、エンジン回転数記憶スイッチ177aでA回転数又はB回転数を選んだ後、エンジン回転数記憶スイッチ177bの上側(+側)を押すと回転数が上昇し、下側(−側)を押すと回転数が下降する。そして、エンジン回転計(図示せず)の指示が記憶させたい希望のエンジン回転数(A±α回転数又はB±β回転数(α≧0、β≧0))を指示したところでエンジン回転数記憶スイッチ177bから指を離すと、所定時間後に希望の回転数(A±α回転数又はB±β回転数(α≧0、β≧0))が新たなA回転数又はB回転数として記憶部102に記憶される。
【0054】
また、エンジン回転数は変更、再記憶したエンジン回転数となり、解除したい場合はエンジン回転数記憶スイッチ177aを押すと解除され、アクセルレバー176で操作されている位置のエンジン回転数となる。
【0055】
エンジン回転数記憶スイッチ177aを押すと、エンジン回転数記憶スイッチ177aの上側スイッチセンサ177aa、下側のスイッチセンサ177abからのセンサ信号がそれぞれ入力されることで、記憶部102に記憶されたエンジン回転数(上側スイッチ177a(スイッチセンサ177aa)の場合はA回転数、下側スイッチ177a(スイッチセンサ177ab)の場合はB回転数)を呼び出して現在のエンジン回転数をA回転数またはB回転数に変更する制御がコントローラ100により行われる。現在のエンジン回転数とは、アクセルレバー176で操作されているエンジン回転数である。
【0056】
更に、アクセルレバー176の後方には副変速レバー179(低速、中速、高速、路上走行速)を設けており、低速8段、中速8段、高速8段、路上走行速4段(高速8段の上側4段)などの変速が可能である。副変速レバー179はレバーガイド179cに沿って前後方向と左右方向に作動し、前方右側に倒すと高速、前方左側に倒すと路上走行速、後方右側に倒すと中速、後方左側に倒すと低速となる。そして、前後方向位置は副変速レバー位置前後センサ179aにより、左右方向位置は副変速レバー位置左右センサ179bによりそれぞれ検出されて、当該センサ信号がコントローラ100に入力される。
【0057】
図2には副変速ギア伝動機構Cの拡大図を示している。
副変速レバー179の位置が低速では、ギア137がギア139に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、副変速カウンタギヤ38、ギア134、ギア140、ギア135、クリープカウンタギヤ49a、クリープカウンタギヤ49b、ギア136、ギア139、ギア137、出力軸3となる。
副変速レバー179の位置が中速では、ギア131がギア133に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、副変速カウンタギヤ38、ギア134、ギア140、ギア133、ギア131、出力軸3となる。
【0058】
副変速レバー179の位置が高速では、ギア131がギア130に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、ギア130、ギア131、出力軸3となる。
【0059】
路上走行速では副変速のレバー位置の変更はなく、高速位置の状態であり、高速の上側4段(5速〜8速)を使用する。副変速レバー179の位置は、副変速レバーセンサ179a、179bにより検出されてコントローラ100に送信される。
【0060】
なお、トランスミッション内の副変速ギア伝動機構Cは3段であるが、副変速レバー179の変速位置は、4段(低速、中速、高速、路上走行速)である。主変速油圧クラッチAは4段、ハイ・ロー変速クラッチBは2段であるため、低速、中速、高速で副変速の位置に対する変速段数は各8段となる。すなわち、副変速が低速で8段、副変速が中速で8段、副変速が高速で8段となる。路上走行速については、高速8段の上側(高速側)4段となり、コントローラ100により上側4段のみ使用することにしている。したがって、副変速レバー179を路上走行速にしても、トランスミッション内の変速機構は何も動かず、高速位置のままである。
【0061】
また、サブコントロールレバー1連目178aは外部油圧取り出しレバーのことであり、トラクタのロータリ耕耘装置を外して別の作業機を駆動するときなどに高圧のオイルを供給するためのものである。サブコントロールレバー1連目178aの後方にはサブコントロールレバー2連目178bを配置しており、3連目(図示せず)や4連目(図示せず)を設けても良い。
【0062】
そして、ドラフト比調整ダイヤル182は、ドラフトコントロールの感度を調整するダイヤルであり、左側に回すとポジション側、右側に回すとドラフト側となり、ポジション側(左側)にするほど負荷にかかわらず、設定している耕耘深さを維持する制御となる。また、ドラフト比調整ダイヤル182を右側に回すと負荷優先となる。すなわち、所定以上の負荷が作業機に作用すると、耕深よりも負荷を軽くするために作業機(ロータリ耕耘装置など)の図示しない作業機の昇降シリンダを少し上げるように制御する。
【0063】
したがって、圃場の状態やオペレータの好みでドラフト比を調整できる。表1には、ドラフト比の調整と圃場の状態との関係を示す。
(表1)
ドラフト比 1 5
調整ダイヤル (左回し) (右回し)
耕深 浅くする ←→ 深くする
土質 軽い ←→ 重い
【0064】
すなわちポジション側(左)に回すほど、負荷に対するロータリ耕耘装置の昇降変化量が少なくなり、耕す深さを優先する。ドラフト側(右)に回すほど負荷に対するロータリ耕耘装置の昇降変化量が大きくなり、負荷の軽減を図るようにする。
【0065】
そして、ロータリ耕耘装置の上げ調整ダイヤル183は、ロータリ耕耘装置の高さを調整するためのものであって、左側に回すとロータリ耕耘装置の高さが低くなり、右側に回すと高くなる。上げ調整ダイヤル183により、ロータリ耕耘装置の3点リンク機構の高さを調整できる。作業機によっては最も高く上げるとトラクタ本体に当たる場合もあるが、作業機の高さをリフトシリンダの伸縮により調整することで、このような不具合を防止できる。また、それほど上げる必要のない作業機は、この上げ調整ダイヤル183で調整して、効率的な作業を行うことができる。
【0066】
そして、傾き調整ダイヤル184は、ロータリ耕耘装置の傾きを調整するもので、左側に回すと右上がりとなり、右側に回すと右下がりとなる。更に4WD切替スイッチ185は走行ローダと2WDと4WDとフルターンと2WDターンに切換ができる。
【0067】
走行ローダは、路上走行やローダ作業時に使用し、通常は2輪駆動である。しかし、トラクタがぬかるみに入ったり、急な坂道、凹凸道になった場合は、自動的に4輪駆動になる。そして、ブレーキをかけると自動的に4輪駆動になったり、運転中に停止すると4輪駆動になる。すなわち、4輪駆動になることで2輪駆動の場合と比べて走行ブレーキ機能がより発揮され、安定して走行停止ができるようになる。
【0068】
2WD(2輪駆動)の場合は後輪63、63が駆動し、4WD(4輪駆動)の場合は4輪(前輪61、61、後輪63、63)が駆動する。また、フルターンは4WDにおいて旋回時に前輪61、61の速度が増速され、素早い旋回となる。更に2WDターンは固い圃場などでは、旋回時のみ前輪61、61の駆動となり、旋回が素早くスムーズに行える。
【0069】
更に、水平シリンダ(図示せず)の手動上げ下げスイッチ186を手動で操作することにより、ロータリ耕耘装置などの3点リンク機構の水平シリンダを動かすことができる。そして、圃場の状態により、ロータリ耕耘装置の左右傾斜を調整する。また、手動上げ下げスイッチ186は、ロータリ耕耘装置などの作業機の脱着等に使用する。
【0070】
また、PTO入り切りスイッチ187を押しながら右側に回すとPTOが入りになってロータリ耕耘装置が作動し、PTOが入り状態の時に押すと自動でPTOが切りに戻るとロータリ耕耘装置が停止する。更に、PTO手動自動スイッチ188を左側に回すと手動になり、ロータリ耕耘装置の作動を手動で設定して操作する。この場合は、PTO入り切りスイッチ187により、PTO変速が入っているとロータリ耕耘装置が常時作動する。
【0071】
また、PTO手動自動スイッチ188を右側に回すと自動になり、ロータリ耕耘装置の作動が自動で行われる。この場合、ロータリ耕耘装置を上昇させると自動でロータリ耕耘装置の回転が止まり、ロータリ耕耘装置を下降させると自動でロータリ耕耘装置の回転が再開する。
【0072】
そして、PTO手動自動スイッチ188が手動側に設定されている場合は、PTO入り切りスイッチ187が入りの状態で、チェンジが入っていると(PTOチェンジレバー173が中立以外の時の状態をいう)常時PTO軸14が回転する。PTO手動自動スイッチ188が自動側に設定されている場合は、クラッチペダル119を踏んだり、ロータリ耕耘装置を上昇させることにより回転が止まる。この機能は、主に水田作業で利用する。
【0073】
そして、デフロックスイッチ189は、シーソースイッチであり、操縦席16とは反対側を押すとデフロックとなり、もう一度押すとデフロックは解除される。なお、オペレータの腕などが不用意に当たることによる誤操作を防止するため、座席16側は押せない構成である。
【0074】
そして、操縦席16右側のアームレスト部には作業機の昇降位置をコントロールするための作業機ポジションレバー190が配置されており、作業機ポジションレバー190を後側に倒すと作業機は上昇し、前側に倒すと作業機は下降する。この作業機ポジションレバー190の操作角度をポテンショメータ(図示せず)により検出することでその検出値に応じて作業機は昇降する。
【0075】
また、作業機昇降スイッチ191はシーソースイッチであり、後側をワンプッシュするとロータリ耕耘装置は最大位置まで上昇し、前側をワンプッシュすると作業機ポジションレバー190の設定位置まで下降する。最大位置とは、上げ調整ダイヤル183で調整した位置のことである。
【0076】
更に、走行変速スイッチ192aは、変速段のシフトアップ用のスイッチであり、一回押すごとに変速段がシフトアップし、低速8段、中速8段、高速8段、路上走行速4段に変速可能である。一方、走行変速スイッチ192bは、変速段のシフトダウン用のスイッチであり、一回押すごとに変速段がシフトダウンし、低速8段、中速8段、高速8段、路上走行速4段に変速可能である。また、これらスイッチの後方にはシガーライター194がある。
【0077】
そして、スイッチボックス180にある作業機上昇・下降モニターランプ195はロータリ耕耘装置などの作業機が上昇又は下降する際に点灯する。また、ATシフト作業感度ダイヤル196は、後述するATシフト作業スイッチ200が入りのときに作用する。 ATシフト作業スイッチ200を入りにすると、後述する自動変速(オートドライブ)が作用するが、ATシフト作業感度ダイヤル196は、この自動的に車速を増減速する自動変速の感度を変更するダイヤルであり、右側に回すと感度がアップし、左側に回すと感度がダウンする。なお、スイッチボックス180内のスイッチを操作しない場合は蓋211を閉じてスイッチボックス180内に埃などが入ることを防いでいる。
【0078】
下げ速度ダイヤル197は、作業機下降速度を調整するダイヤルであって、右側に回すと速度が大きくなって作業機は速く降りる。したがって、重量が軽い作業機(例えば水田の代掻機など)などに好適である。一方、左側に回すと速度が小さくなって作業機は遅く降りる。この場合は重量が重い作業機(例えばスキ作業機)などに好適である。
【0079】
そして、ブレーキ調整ダイヤル198を左側に回すとブレーキが弱くなり、右側に回すとブレーキが強くかかる。ブレーキ調整ダイヤル198は、後述するオートブレーキ入切スイッチ206が入りのときに作用する。
【0080】
また、ATシフト路上スイッチ199を入りにすると、副変速レバー179を路上走行速に設定した路上走行のときにエンジン回転数に応じて副変速高速8段の上側4段のうちの適切な変速段に自動で変速する変速可能な自動変速(オートドライブ)機能がオンして自動変速制御となる。ATシフト路上スイッチ199が入りのときは走行変速スイッチ192a、192bを操作しても無効となり、アクセルペダル175の踏み込みのみで変速する。
【0081】
なお、走行変速スイッチ192a、192bを手動操作するときは、ATシフト路上スイッチ199が切りのときである。副変速が路上走行速のときは、副変速高速の上側4段(5速〜8速)を使用するが、ATシフト路上スイッチ199が切りのときに走行変速スイッチ192a、192bを操作して、例えば、3速〜8速にして、その後、ATシフト路上スイッチ199を入り状態にすると、アクセルペダル175の操作のみで3速〜8速の間を自動変速する。
【0082】
そして、ATシフト作業スイッチ200を入りにすると、記憶部102には副変速レバー179のそれぞれの位置(低速、中速、高速)における使用時間が一番長い主変速位置(1速〜8速の8段の変速段)が記憶されているが、ATシフト作業スイッチ200を入りにして、副変速レバー179を変速操作(低速、中速、高速)すると、記憶部102に記憶されている主変速位置に自動的に変速されるようになる。
【0083】
副変速レバー179の位置が路上走行速である路上走行時に、ATシフト路上スイッチ199を入りにするとエンジンの回転数に応じて自動で変速制御され、発進、停止時のクラッチ119の操作のみで走行中の変速操作は要しない。また、クラッチペダル119を踏んでいなくても、前後進切替レバー115が中立の場合は車体Tが停車した状態であり、前後進切替レバー115を操作してアクセルペダル175を踏み込んでいくと加速しながら自動変速される。そして、自動変速(オートドライブ)制御時には、アクセルペダル175の踏み込み量に応じたエンジン回転数に対応する車速になるように自動的に変速される。
【0084】
すなわち、アクセルペダル175を踏み込んだ状態ではエンジン回転数が高回転数になり、現在の主変速位置(図2の主変速油圧クラッチAとハイロー変速クラッチBの8段変速のうちの現在の変速位置である。ただし、8速より上はないため、8速は除く)では加速しても車速を上げることができない場合は、コントローラ100により現在の変速位置に対してシフトアップする。ブレーキを踏んで減速するときには、アクセルペダル175は踏んでいないので、車速に対応した変速位置に自動変速する。
【0085】
そして、接続感度変速スイッチ201を押すと入り、再び押すと切りになり、接続感度変速スイッチ201を入り切りすることで、主変速油圧クラッチAにより主変速を変速したときの接続フィーリングを変更できる。例えば、接続感度変速スイッチ201を入りにするとランプ201aが点灯して緩やかな変速をし、切りにするとランプ201aが消灯して急接続(クラッチの早めの接続)をする。プラウなどを後部に装着する牽引系の作業で接続感度変速スイッチ201を使用して切りにすると、主変速油圧クラッチAによる主変速の変速操作時に主変速油圧クラッチAの接続時間が短くなる。
【0086】
更に、接続感度PTOスイッチ202はPTOクラッチEのつながり方の変更ができる接続感度PTOスイッチ202を押すたびに、ロータリ、牧草1、牧草2の順で点灯する。接続感度PTOスイッチ202をロータリにすると、PTOクラッチEのつながり方が速くなる。主にロータリ耕耘装置などの作業機で使用する。PTO軸14が回転し始めると、すぐに圃場の土の抵抗に負けない回転力で回る。
【0087】
また、接続感度PTOスイッチ202を牧草1あるいは牧草2にすると、PTOクラッチEのつながりが緩やかになる。牧草1と牧草2で2種類の変速が可能である。主に牧草作業機やスノーブロワーなどPTOクラッチEの接続をゆっくり行う作業機で使用する。接続感度PTOスイッチ202をロータリにした場合と同様にPTO軸14で使用する。
【0088】
水平感度スイッチ203は、作業機の自動水平制御装置の動作感度を切り換えるためのスイッチであり、水平感度スイッチ203を押すと、動作感度が鈍くなって自動水平制御の動きが遅くなる。そして、再び水平感度スイッチ203を押すと動作感度が元に戻る。 そして、バックアップ入切スイッチ204を入りにすると、トラクタの後進時にロータリ耕耘装置が自動で上昇する。
【0089】
また、オートリフト入切スイッチ205を入りにしてステアリングハンドル73を回すと、自動でロータリ耕耘装置が上昇する。更にオートブレーキ入切スイッチ206を入りにしてステアリングハンドル73を回すと、自動で旋回内側の後輪63のみにブレーキがかかる。そして、水平切換スイッチ207により、ロータリ耕耘装置などの作業機の水平制御を行うことができる。水平切換スイッチ207を押すと、自動水平、手動、平行、傾斜の順にランプが点灯する。自動水平では、水平センサ(図示せず)により、自動的に水平を保持する。手動の場合は、傾き調整ダイヤル184で手動調整する。平行では、トラクタ車体Tに対して、ロータリ耕耘装置を常に平行に保つ。そして、傾斜では、地面に対してロータリ耕耘装置をある一定の角度をもたせるように制御する。
【0090】
3点切換スイッチ208は、リフトシリンダ(図示せず)の取り付け穴の選択によって、スイッチボックス180の3点切換スイッチ208の選択を行う。カテゴリ1の作業機(ロワーリンクの前穴に付けるとき)は1を選択し、カテゴリ2の作業機(ロワーリンクの後穴に付けるとき)は2を選択する。そして、オートアクセルスイッチ209は、入りにした状態でロータリ耕耘装置を上昇すると、エンジン回転数が1700rpm程度まで低下する。
【0091】
そして、本実施形態によるトラクタは、上述のようにエンジン回転数記憶スイッチ177aやエンジン回転数設定スイッチ177bなどのスイッチにより圃場内における作業時のエンジン回転数を設定、変更、記憶させることができる。
【0092】
また、エンジン回転数記憶スイッチ177aが入り状態になると、現在の回転数を記憶部102に記憶されているエンジン回転数(本実施形態によればA回転数又はB回転数)にするためのセンサ信号がエンジン回転数記憶スイッチセンサ177aa,177abから入力されて、コントローラ100により記憶部102に記憶されたエンジン回転数を呼び出して現在の回転数を記憶されたエンジン回転数にする処理(記憶エンジン回転数設定処理)が作動する。なお、この処理を、以下、エンジン回転メモリと略称する場合がある。
【0093】
そして、通常は圃場内などでの走行(作業走行)から路上走行に移行する場合、アクセルレバー176はアイドリング位置に操作される。このアイドリング状態である場合、エンジン回転メモリの作動中に副変速レバー179の位置が路上走行速であり、更にATシフト路上スイッチ199が入りで自動変速(オートドライブ)制御に設定されている時(自動変速機能がオン時)は、前記記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動を中止して当該作動を解除する安全走行機能を備えた構成としたことを特徴としている。
【0094】
なお、副変速レバー179を操作することで、副変速レバー位置前後センサ179a及び副変速レバー位置左右センサ179bから副変速レバー179の前後及び左右の位置を検出し、センサ信号がコントローラ100に入力される。また、ATシフト路上スイッチ199が入りの場合は、ATシフト路上スイッチセンサ199aから当該センサ信号が入力される。そして、コントローラ100によりそれぞれの操作内容に応じた制御が行われる。
【0095】
副変速レバー179の変速位置が路上の高速位置に変速操作されたときに、ATシフト路上スイッチ199が入り状態でこのスイッチの機能が作動しているときには、コントローラ100はエンジン回転数記憶スイッチ177aの機能を作動させないようにする。したがって、記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理(エンジン回転メモリ)の作動が中止され、エンジン回転数はアクセルレバー176により操作されているアイドリング回転数になる。そして、前述のようにアクセルペダル175を踏み込むと、アクセルペダル175の踏み込み量に応じたエンジン回転数に対応する車速になるように自動変速する。
【0096】
なお、ATシフト路上スイッチ199やATシフト作業スイッチ200が入りで自動変速機能が働くときは、アクセルペダル175の踏み込みによりエンジン回転数を加減する。アクセルペダル175を使用する場合は、路上や圃場内での移動走行のときであり、アクセルペダル175は、ペダル175から足を離すと元の位置(アイドリング回転数)に戻る。
【0097】
そして、アクセルレバー176を使用する場合は、圃場内での作業時である。作業時においては、アクセルレバー176を操作してエンジン回転数を所定回転数(ほとんどが定格回転数や最大回転数)まで上昇させる。そして、アクセルレバー176から手を離してもアクセルレバー176はその位置を保持し、エンジン回転数もレバー176の指示位置を保持する。
【0098】
通常、圃場内走行(作業走行)から路上走行に移行する場合に、オペレータは、アクセルレバー176をアイドリング位置に戻す操作をして、副変速レバー179を路上走行速に操作する。そして、ATシフト路上スイッチ199が切りの場合は主変速スイッチ192a、192bによる手動操作によって、ATシフト路上スイッチ199が入りの場合はアクセルペダル175による自動変速制御によって変速操作をする。
【0099】
図9には、コントローラ100による当該制御のフローを示す。
トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われる。このときにアクセルレバー176により操作されている位置を確認する。そして、アクセルレバー176により操作されている位置がアイドリング位置の場合に、エンジン回転数記憶スイッチ177aなどのスイッチが入り状態でコントローラ100により記憶部102に記憶されたエンジン回転数を呼び出して現在の回転数を記憶されたエンジン回転数にする処理(エンジン回転メモリ)が作動中であって、ATシフト路上スイッチ199が入りで自動変速制御に設定されており、更に副変速レバー179の位置が路上走行速である場合は前記記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動が解除される。
【0100】
なお、当該処理の作動前はATシフト路上スイッチ199が切りで自動変速(オートドライブ)制御に設定されていなかったり、副変速レバー179の位置が路上走行速でない場合でも、当該処理の作動中にATシフト路上スイッチ199が入りになったり、副変速レバー179の位置が路上走行速に設定されたときは、同様に記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動が解除され、アクセルレバー176により操作されているアイドリング回転数になる。
【0101】
路上走行時のエンジン回転数は圃場内における作業エンジン回転数(本実施形態によればA回転数又はB回転数など)に比べると高いが、圃場内走行(作業走行)から路上走行に移行する場合の路上走行時において、自動変速制御である場合に、エンジン回転数が記憶部102に記憶されたエンジン回転数に制御されると、記憶されたエンジン回転数は作業時のエンジン回転数であるためにトラクタの発進時の回転数よりも高いため、車速が急に上昇してトラクタが急発進する場合がある。しかし、このような場合でも、記憶部102に記憶されているエンジン回転数にする処理の作動が中止され、当該作動が解除されることで、アイドリング回転数に制御され、路上走行時におけるトラクタの急発進を防ぐことが可能となる。
【0102】
圃場内走行では、作業走行時のエンジン回転数が高く設定されていても、作業機駆動用のPTO軸14に動力が使用されるため走行系に作用する駆動力が少なくなること、また圃場内の場合は作業が目的であることからエンジン回転数が比較的高く設定されているという認識がオペレータにあるため、上記路上走行時におけるような急発進の問題は生じない。
【0103】
しかし、圃場内走行から路上走行に移行する場合に、エンジン回転数を下げる操作を忘れることもあり、この操作はオペレータにとっても負担となる。
また、圃場内走行から路上走行に移行する場合には、路上走行速に移行するために副変速レバー179の操作が必要になる。そして、エンジン回転数記憶スイッチ177aが操作されてA回転数又はB回転数に制御される状態であると、現在の回転数を記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする制御が行われて、上述のようにトラクタが急発進してしまう。
【0104】
この急発進を防ぐためには、上記エンジン回転数を下げる操作、すなわち記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする制御を解除する必要があり、そのためには、エンジン回転数記憶スイッチ177aを再び操作する必要がある。
【0105】
なお、本実施形態のエンジン回転数記憶スイッチ177aによれば、A回転数に設定されている場合はスイッチ177aの上側(スイッチセンサ177aa)を、B回転数に設定されている場合はスイッチ177aの下側(スイッチセンサ177ab)を押す操作をすることで、スイッチ177aが切り状態になる。このように副変速レバー179の操作の他にもエンジン回転数記憶スイッチ177aを切り状態にする操作など煩雑な操作が必要となる。
【0106】
しかし、本構成を採用することにより、このようにエンジン回転数記憶スイッチ177aの切り操作が不要になれば、路上走行時におけるトラクタの急発進を防ぐことで安全性が高まり、更にトラクタの操作性も向上し、オペレータの操作負担も軽減する。
【0107】
また、圃場内走行(作業走行)から路上走行に移行する場合に、オペレータは、通常、アクセルレバー176によりエンジン回転数をアイドリング回転数に戻す操作をするが、この操作をしないで路上走行に移行してしまう場合もある。
もし、アクセルレバー176によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されていない場合に、記憶部102に記憶されているエンジン回転数にする処理の作動が中止されると、路上走行に移行前のアクセルレバー176による操作位置のエンジン回転数となってしまう。
【0108】
このようにアクセルレバー176により操作されたエンジン回転数がアイドリング回転数である場合は問題ないが、そうでない場合は、エンジン回転数はアクセルレバー176により操作されているエンジン回転数にいきなり上がって急激な加速になってしまうという不具合がある。
【0109】
そこで、圃場内走行から路上走行の移行時にアクセルレバー176がアイドリング位置に操作されていない場合は、記憶部102に記憶されたエンジン回転数(本実施形態によればA回転数又はB回転数)とアクセルレバー176により操作(指示)されている位置の回転数を比較して、アクセルレバー176により操作(指示)されている位置の回転数の方が大きい場合には、先の記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動を中止しないで当該作動を解除しない構成とする。
【0110】
なお、アクセルレバー176の位置を検出するアクセルレバーセンサ176aにより検出されたセンサ値によってコントローラ100はエンジン回転数を調整する。
【0111】
例えば、アクセルレバー176を前に倒してエンジン回転数をフルにしていたときに(例えば3000rpm)上述のフロー(図8)に示すように記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動が解除されると、エンジン回転数がアクセルレバー176により指示されたフル回転数である3000rpmにいきなり上がって急激な加速になってしまう可能性がある。
【0112】
したがって、アクセルレバー176により指示されていた回転数が記憶部102に記憶された回転数よりも大きい場合は記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動を解除せず、記憶部102に記憶された回転数(アクセルレバー176により指示された回転数よりも小さい回転数)になるようにコントローラ100により制御されることが望ましい。本構成を採用することにより、エンジン回転数の急激な上昇を防止できる。
【0113】
図10には、コントローラ100による当該制御のフローを示す。
図10に示すフローは、圃場内走行から路上走行の移行時にアクセルレバー176によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されていない場合のフローである。
まず、トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われて、アクセルレバー176により操作されている位置を確認する。そして、このフローでは、アクセルレバー176により操作されている位置がアイドリング位置でない場合、記憶部102に記憶されたエンジン回転数にする処理の作動中に、アクセルレバー176により指示された回転数(アクセルレバー指示回転数)と記憶部102に記憶された回転数(エンジン回転メモリ指示回転数)を比較する工程を設けている。
【0114】
そして、アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数(エンジン回転メモリ指示回転数)以下の場合には、エンジン回転メモリ指示回転数にする処理の作動を解除して、アクセルレバー指示回転数に制御するが、アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数よりも大きい場合には、記憶部102に記憶された回転数にする処理の作動を解除しない構成とする。
【0115】
すなわち、アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数よりも大きい場合はエンジン回転メモリ指示回転数になるように制御して、当該エンジン回転メモリ指示回転数で所定時間(エンジン回転数記憶スイッチ177aの機能が作動している時間)保持するホールド状態にする(ステップP)。
【0116】
本構成を採用することにより、アクセルレバー176によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されていない場合において、アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数よりも大きい場合には、記憶部102に記憶された回転数に制御され、アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数以下の場合には、アクセルレバー176により指示された回転数に制御される。したがって、アクセルレバー176の位置がアイドリング位置でない場合でも、コントローラ100によって回転数の低い方に制御されることで、エンジン回転数の急激な上昇を防止でき、安全性が高い。
【0117】
また、アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数よりも大きい場合に、エンジン回転メモリ指示回転数を所定時間(図10の場合と同じ)保持するホールド状態(ステップP)の後、エンジン回転メモリ指示回転数にする処理の作動を解除する構成としても良い。
【0118】
アクセルレバー176により指示された回転数が記憶部102に記憶された回転数よりも大きい場合に、エンジン回転数をエンジン回転メモリ指示回転数で保持するホールド状態にすることで、エンジン回転数の急激な上昇を防止できると共に、記憶部102に記憶された回転数にする処理の作動はエンジン回転数記憶スイッチ177aの切り操作をすることなく解除が可能となるので、操作性に優れる。
【0119】
図11には、コントローラ100による当該制御のフローを示す。
図11に示すフローと図10に示すフローでは、アクセルレバー176により指示された回転数(アクセルレバー指示回転数)と記憶部102に記憶された回転数(エンジン回転メモリ指示回転数)を比較してアクセルレバー指示回転数の方が大きい場合に、エンジン回転メモリ指示回転数を保持する工程(ステップP)を設けている点は同じである。
【0120】
しかし、エンジン回転メモリ指示回転数で所定時間保持している時に(ホールド状態)、エンジン回転数記憶スイッチ177aを再び操作すると、制御の途中でもエンジン回転メモリの作動は解除される。これは、オペレータの操作を優先させるためである。
すなわち、図11に示すフローでは、エンジン回転メモリ指示回転数を一旦保持した(ホールド状態)後、記憶部102に記憶された回転数にする処理の作動を解除する工程を設けている。これは、アクセルレバー指示回転数の方が大きいとはいっても、発進時の急加速等を防止すれば問題はないために、その後は記憶部102に記憶された回転数にする処理の作動を解除してオペレータの操作を優先するようにしたものである。
【0121】
本構成を採用することにより、エンジン回転数を記憶部102に記憶された回転数で保持することで、エンジン回転数の急激な上昇を防止できる。また、当該記憶部102に記憶された回転数にする処理の作動が解除されることで、エンジン回転メモリ指示回転数の保持状態を早めに解除したい場合でもオペレータの操作を優先することで対応可能である。
【0122】
また、図10及び図11によりホールド状態であるエンジン回転数(エンジン回転メモリ指示回転数)をアクセルレバー176の操作により当該ホールド状態を解除する構成としても良い。
図10、図11のステップPでエンジン回転数をエンジン回転メモリ指示回転数で保持中において、アクセルレバー176をあまり操作しない場合はメモリの回転数保持を続行し、アクセルレバー176を比較的大きく操作すると、エンジン回転メモリ指示回転数による保持を解除してアイドリング状態に戻すものである。
例えば、エンジン回転メモリが作動中(エンジン回転数がエンジン回転メモリ指示回転数に保持されている状態時)にアクセルレバー176を操作して、アクセルレバー176のセンサ値と現在のセンサ値に一定値以上の変化があった場合にホールド状態を解除する。
【0123】
図12には、コントローラ100による当該制御のフローを示す。
図10及び図11のステップPにおいてエンジン回転数をエンジン回転メモリ指示回転数で保持しているときに(ホールド状態)、オペレータがアクセルレバー176を操作して、アクセルレバー176の位置を検出するアクセルレバーセンサ176aによるセンサ値から一定値以上の変化があった場合に、コントローラ100はエンジン回転メモリ指示回転数の保持状態を解除して、アイドリング回転数に制御する。
【0124】
一方、オペレータがアクセルレバー176をあまり操作せずアクセルレバー176のセンサ値と現在のセンサ値に一定値以上の変化がない場合は、そのままホールド状態を保ち、エンジン回転数をエンジン回転メモリ指示回転数で保持する。
圃場内走行(作業走行)から路上走行に移行する場合に、オペレータは、通常、アクセルレバー176をアイドリング位置に戻す操作をするが、このアクセルレバー176の戻す操作をしないで路上走行に移行してしまう場合がある。しかし、本構成を採用することにより、オペレータにアクセルレバー176を操作させることによって、記憶部102に記憶された回転数の保持状態を解除し、路上走行の開始時にアクセルレバー176をアイドリング位置に戻す操作を促すことが可能となる。
【0125】
また、オペレータがアクセルレバー176をアイドリング位置でない位置に操作した場合でも、アクセルレバーセンサ176aによるセンサ値に一定値以上の変化があった場合はアイドリング状態になるように制御する。したがって、オペレータがアイドリング位置に戻すことを忘れていても対応できる。
【0126】
このように、圃場内走行から路上走行へ移行する際に、エンジン回転数記憶スイッチ177aに記憶されたメモリ指示回転数の保持を解除するためにはアクセルレバー176を操作することで容易に解除される。そして、路上走行に移行するときにはこの機能を使用してエンジン回転数の保持を解除することができる。
【0127】
次に、本実施形態によるトラクタの駆動制御について説明する。
クラッチハウジング部の入力軸2には入力軸2の回転数(後輪回転数)を検出する入力軸回転数センサ152(図2)を設け、出力軸3には出力軸3の回転数(前輪回転数)を検出する出力軸回転数センサ153(図2)を設けている。そして、圃場内走行時に、コントローラ100は、入力軸回転数センサ152及び出力軸回転数センサ153により入力軸2の回転数と出力軸3の回転数をモニタリングして、両回転数に差が生じた時(例えば、出力軸3の回転数/入力軸2の回転数が、0.85〜1.17の間は2輪駆動で、これを外れると4輪駆動にする)に自動で4WDに切り換える制御を行う。この制御は燃費の面で有効であるために行われる。また、この制御は路上走行時においても同様に行われている。
【0128】
そして、この場合に、副変速レバー179の位置が「路上走行」位置の時は、入力軸2及び出力軸3の両回転軸のセンサ152、153による検出が不可能な領域(例えば車速が0.3km/h程度以下)では4WDではなく2WDに切り換える制御を行うと良い。
【0129】
従来のトラクタでは、入力軸回転数センサ152及び出力軸回転数センサ153による入力軸2の回転数と出力軸3の回転数が検出不可能な領域では4WDとして、予め走破性を向上させている。しかし、路上走行では4WDである必要はなく、逆に4WDであるが故にタイヤがすり減りやすくなるという不具合がある。特に路上走行の場合は路面が土ではなくアスファルトで舗装されている場合が多いため、車速が検出不可能な超低速の場合に強制的に4WDにすると、タイヤの摩耗が大きくなる。
【0130】
しかし、本構成を採用することにより、入力軸回転数センサ152及び出力軸回転数センサ153による入力軸2の回転数と出力軸3の回転数が検出不可能な領域では2WDにすることで、4WDである場合に比べてタイヤの寿命を長くすることができる。
【0131】
また、PTOクラッチEがオフであり作業機が上昇しているような非作業中と判定された時も、4WDではなく2WDに切り換える制御を行うと良い。PTOクラッチEがオフの時とは、PTO手動自動スイッチ188が手動時に設定されている場合はPTO入り切りスイッチ187が切りの時で、PTO手動自動スイッチ188が自動時に設定されている場合はクラッチペダル119を踏んだり、ロータリ耕耘装置などの作業機を上昇させている時であり、PTOクラッチパック66にエンジン62からの動力が伝達されていないときの状態を言う。
【0132】
従来のトラクタでは非作業中も4WDとしているが、非作業中は2WDになっている必要が無い。したがって、本構成を採用することにより、非作業中は2WDにすることで、4WDである場合に比べてタイヤの寿命を長くすることができる。従来のトラクタでも2WDと4WDの切換はあるが、圃場内で4WDで作業走行をした後、2WDにするのを忘れてそのまま路上走行することもある。したがって、4WDが必要ない場合は、自動的に2WDにしようとするものである。
【0133】
また、車速検出領域(例えば0.3km/h程度以上)で走行中の状態から車速検出が無い状態(例えば0.3km/h程度以下)に変化した時に、規定時間(例えば5〜10秒程度)は4WDとしても良い。車速は車速センサ170(図5)により検出され、当該センサ信号がコントローラ100に入力される。
【0134】
上述のように車速検出が不可能な領域である場合に2WDという仕様にすると、ブレーキを踏んで急停車すると車速が落ちて2WDになってしまう。このようにブレーキを踏むと前輪駆動軸7がミッションケース65内のミッションと繋がって、ミッションを回転させようとして、更に前輪61、61をブレーキをかける側に回転させようとする。したがって、ブレーキを踏むと2WDになる場合はブレーキの効きが4WDに比べて悪くなる。
【0135】
しかし、本構成を採用することにより、ブレーキを踏んで車速検出が無い状態(例えば0.3km/h程度以下)となっても、規定時間は4WDにすることで、ブレーキの効きが悪くなることを防止できる。
【0136】
また、トラクタの発進操作後の所定時間(例えば数秒間程度)または車速が車速検出可能領域になるまでは2WDとし、その後は上述の入力軸2の回転数と出力軸3の回転数に差が生じた時に自動で4WDに切り換える構成に戻しても良い。
【0137】
クラッチペダル119を非操作状態から踏んで(クラッチ切りから入りとなる)、前後進切替レバー115を中立位置から前進側または後進側に操作すると、トラクタは発進する。
【0138】
トラクタの発進時に4WDになっているとタイヤがすり減りやすいが、トラクタの発進操作後の所定時間は2WDにすることで、タイヤの摩耗を軽減できる。
【0139】
更に、トラクタの発進操作後の所定時間または車速が車速検出可能領域になるまでは2WDとし、その後は入力軸2の回転数と出力軸3の回転数に差が生じた時に自動で4WDに切り換える構成である場合に、トラクタの前後方向の傾斜角度を検出する傾斜センサ215を設け、傾斜角度が一定角度以上(当該傾斜センサ215から検出されるセンサ値が一定値以上)になっていると、発進操作の直後でも4WDのままにすると良い。
【0140】
例えば、トラクタのトラックへの積み込み、積み卸し時にあゆみ板上で停車した後に走行を開始する場合などは、2WDであるよりも4WDのままの方が安全性が確保される。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、トラクタなどの作業車両の操作性を良くすることができ、農業用、建築用、運搬用等の様々な作業車両に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施形態のトラクタの左側面図である。
【図2】図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図である。
【図3】図2の動力伝動図の油圧回路図である。
【図4】図1の変速装置の前後進動力入切用の油圧クラッチシリンダの構成図である。
【図5】図1のトラクタの制御ブロック図である。
【図6】図1のトラクタの操縦席付近の上面図である。
【図7】図1のトラクタの操縦席付近の斜視図である。
【図8】図8(a)は図6及び図7のスイッチボックスの平面図であり、図8(b)は側面図である。
【図9】図1のトラクタのコントローラによるエンジン回転数の制御のフローである。
【図10】図1のトラクタのコントローラによるエンジン回転数の制御の別の例のフローである。
【図11】図1のトラクタのコントローラによるエンジン回転数の制御の別の例のフローである。
【図12】図1のトラクタのコントローラによるエンジン回転数の制御の別の例のフローである。
【符号の説明】
【0143】
1 エンジン軸 2 入力軸
3 出力軸 4 PTO連動軸
5 前輪出力軸 6 走行カウンタ軸
7 前輪駆動軸 8 バックカウンタ軸
9 PTOカウンタ軸 10 リヤデフ軸
11 後輪軸 12 フロントデフ軸
13 前輪軸 14 PTO軸
15,17 ギヤ駆動軸 16 操縦席
18 PTO変速軸 19 主変速軸(主変速出力軸)
20 副変速軸 21 クリープカウンタ軸
22 PTO正逆切替軸 23 PTO減速軸
24 PTO逆回転軸 25 前輪連動軸
26 入力軸 27 副変速カウンタ軸
28 前輪連動軸 30 アームレスト
31 入力ギヤ 32 PTO変速ギヤ
33 主変速ギヤ 34 高低速切替ギヤ
35 副変速ギヤ 36 前輪取出ギヤ
37 PTO正逆切替ギヤ 38 副変速カウンタギヤ
39 主変速カウンタギヤ 40 高低速切替ギヤ
41 前輪駆動切換ギヤ 42 前後進切替ギヤ
43 バックカウンタギヤ 44 PTO変速カウンタギヤ
45 リヤデフ 46 デフリングギヤ
47 フロントデフ 48 入力ギヤ
49 クリープカウンタギヤ 50 PTO減速ギヤ
51 前輪連動ギヤ 52 PTO逆回転ギヤ
53 ドライブピニオンギヤ 54 前輪連動ギヤ
55 前輪ギヤ 56 切替駆動カウンタギヤ
59 カウンタ軸 60 前後進切替クラッチパック
61 前輪 62 エンジン
63 後輪 65 ミッションケース
66 PTOクラッチパック 67 前輪駆動クラッチパック
73 ステアリングハンドル 76 クラッチパック
77F、77R リターンスプリング
78F、78R ピストン 80 油圧ポンプ
81a,81b 減圧弁 82a ブレーキバルブ
82b 圧力制御弁 83 ブレーキシリンダ
85 前後進クラッチシリンダ 86 前後進クラッチ比例圧力制御弁(切替弁)
86F、86R ソレノイド 89 主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁
87,88,91,92 油圧クラッチシリンダ
93 主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁
94 切替制御弁 95 ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ
96a,96b 制御弁 97 デフロック制御弁
98a 前輪デフロックシリンダ 98b 後輪デフロックシリンダ
99 四駆切替クラッチシリンダ 100 制御処理装置(コントローラ)
101 メイン油圧回路 102 記憶部
103 パワーステアリング装置 104 PTOクラッチシリンダ
105,106 PTOクラッチ比例圧力制御弁
107 オービットロール 110 前進側クラッチ圧力センサ
111 後進側クラッチ圧力センサ 112 エンジン回転数センサ
115 前後進切替レバー 119 クラッチペダル
129 オン・オフ制御弁
130,131,133〜137,139,140 ギア
145、146 圧力センサ 152 入力軸回転数センサ
153 出力軸回転数センサ 170 車速センサ
172 駐車ブレーキ 173 PTOチェンジレバー
175 アクセルペダル 176 アクセルレバー
176a アクセルレバーセンサ 177a エンジン回転数記憶スイッチ
177b エンジン回転数設定スイッチ
177aa、ba エンジン回転数記憶スイッチセンサ
178a、178b サブコントロールレバー
179 副変速レバー 179a 副変速レバー位置前後センサ
179b 副変速レバー位置左右センサ
179c レバーガイド 180 スイッチボックス
182 ドラフト比調整ダイヤル 183 上げ調整ダイヤル
184 傾き調整ダイヤル 185 4WD切替スイッチ
186 手動上げ下げスイッチ 187 PTO入り切りスイッチ
188 PTO手動自動スイッチ 189 デフロックスイッチ
190 作業機ポジションレバー 191 昇降用スイッチ(作業機昇降スイッチ)
192a、b走行変速スイッチ 194 シガーライター
195 作業機上昇・下降モニターランプ
196 ATシフト作業感度ダイヤル
197 下げ速度ダイヤル 198 ブレーキ調整ダイヤル
199 ATシフト路上スイッチ 199a ATシフト路上スイッチセンサ
200 ATシフト作業スイッチ 201 接続感度変速スイッチ
201a ランプ 202 接続感度PTOスイッチ
203 水平感度スイッチ 204 バックアップ入切スイッチ
205 オートリフト入切スイッチ 206 オートブレーキ入切スイッチ
207 水平切換スイッチ 208 3点切換スイッチ
209 オートアクセルスイッチ 211 蓋
215 傾斜センサ
A 主変速油圧クラッチ B ハイ・ロー変速クラッチ
C 副変速ギア伝動機構 D 前後進クラッチ
E PTOクラッチ T トラクタ車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘を含む作業時のエンジン回転数を設定するエンジン回転数設定手段(177a,177b)と、
該エンジン回転数設定手段(177a,177b)により設定されたエンジン回転数を記憶する記憶手段(102)と現在の回転数を前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数にする処理を行う記憶エンジン回転数設定部と路上走行時にエンジン回転数に応じて適切な速度に自動で変速する自動変速機能部とを有する制御装置(100)と、
路上走行速を含む複数の変速段に変速操作が可能な変速操作手段(179)と、
前記制御装置(100)の自動変速機能部を入り切り操作するための自動変速操作手段(199)と、
エンジン回転数を手動で変更するアクセル操作手段(176)と
を有する作業車両であって、
作業領域から路上走行の移行時に、前記アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されている場合に、前記制御装置(100)は、前記記憶エンジン回転数設定部による現在のエンジン回転数を前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数にする処理の作動中であって、前記変速操作手段(179)により路上走行速の変速段に設定され、更に自動変速操作手段(199)により自動変速機能が入りに操作されていると、前記記憶エンジン回転数設定部による前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数にする処理の作動を中止する制御を行う安全走行機能部を備えていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
作業領域から路上走行の移行時に、前記アクセル操作手段(176)によりエンジン回転数がアイドリング回転数に操作されていない場合に、前記制御装置(100)の安全走行機能部は、前記アクセル操作手段(176)により操作されているエンジン回転数が前記記憶手段(102)により記憶されているエンジン回転数よりも大きい場合は前記記憶されているエンジン回転数にする処理の作動を中止しない制御を行うことを特徴とする請求項1記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−156190(P2009−156190A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336475(P2007−336475)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】