使用者のジェスチャの検出結果に依存した、加工物の一回の測定の複数の結果の表示
本発明は、加工物の一回の測定の複数の結果の表示に関する。ジェスチャ検出装置(41a、41b)が、加工物の存在している一つの個体(9)のところで、または加工物の存在している一つの個体(9)の一つの画像(11)のところで、使用者の片手(47)または両手で行われる動きである、使用者のジェスチャを検出する。識別装置(45)が、前記ジェスチャを、ある一つの記号を表している、予め定義された一つのジェスチャとして識別する。選択装置(45)が、前記ジェスチャの識別結果に依存して一つの測定結果を選択する。引き続き前記測定結果を表示する、またはこれにマーキングを施すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物の一回の測定の複数の結果を表示するための方法および配置に関する。特に本発明は、座標測定装置の稼動から得られた複数の測定結果の表示に関する。加工物とは、ここでは、手作業または機械により、または他の方法により製造することができる、ありとあらゆる物体であると解釈される。
【背景技術】
【0002】
座標測定装置とは、加工物の座標、特に表面座標を測定することができるあらゆる装置であると解釈される。そこでは、例えば、光学的および/または機械的(すなわち機械的に走査する)測定法を使用することができる。光学的測定法には、加工物の内部に関する(例えば、内部の材料境界に関する)情報を進入する光線によって得る方法も含まれる。本明細書において「加工物の座標の決定」について述べるとき、これには、加工物の幅または直径などの寸法の決定も含まれることになる。
【0003】
加工物は、現代の様々な測定法を利用して、ほぼ完全に測定することができる。加工物の表面のみを測定することができる座標測定装置を使用する場合は、相応に加工物の表面だけをほぼ完全に測定することができる。通常、測定結果は、紙やコンピュータの画面など2次元の表示媒体に表示される。加工物の個体(これは、座標測定装置を使用して測定が行われた個体であっても、それとは別の個体であってもよい)が観察者の使用に供されている場合は、様々な測定結果が、それぞれに対応している個体の領域と照合されることが非常に重要となる。そのために観察者は、個体の観察者に対する相対的な向きおよび位置を測定結果の表示方式に合わせる、および/または測定結果の表示方式を、個体の観察者に対する相対的な向きおよび位置に合わせることが必要となる。例えば観察者は、加工物のある一つの特定の領域において、加工物の形状または寸法に、基準状態と実状態との間で著しい偏差を生じている場合は、それが加工物のどの領域であるかが、可能な限り一目で識別できることを望んでいる。例えば、加工物のある一つの表面領域が、設定された基準値とは著しく相違する形状または寸法に構成された領域である場合は、この加工物の表面領域を、裸眼で、または光学補助手段(例えばルーペや顕微鏡)を使用して、より正確に観察することができるようするために、観察者は、コンピュータの画面上に測定結果が表示されるのであれば、視線を交互にコンピュータの画面と個体とに振り向けなければならない。しかしそれにもかかわらず、特に不良領域が非常に小さい場合は、この不良領域が、加工物の実際に存在している個体のどの領域であるのかを、観察者が確実に識別するのは不可能である。
【0004】
さらに、測定結果の表示および照合に際しては、使用に供されている、加工物の測定から得られた情報が、多数に及ぶ点が問題となることが多い。測定プロトコルには、書類で数百ページに、電子文書でもそれと同程度のページ数に達する上に、例えば数千項目もの個別試験の特徴や評価結果を収録したものがかなりある。測定結果が多数ある場合は、特定の測定結果を、それが属している加工物の領域に割り当てさせることが、非常に困難となる。
【0005】
特許文献1から、目標物を、現存する幾何寸法が要求公差と一致するかをテストするための方法およびシステムが知られている。このターゲットの選択されたある一つの特徴が測定され、現存する幾何寸法および要求公差が、ユーザインターフェースに入力される。この入力には、ある一つの幾何寸法とある一つの公差の特性を表す図形記号である、一つのアイコンを選択する工程も含まれている。この文献には、テストされたある一つの特定の特徴が、既に以前に測定されたものであるかどうかを、使用者が決定することができることについても記載されている。使用者は、この以前に測定された特徴を選択できるようになっている。この特徴の選択方式には二通りの選択肢がある。一方では、この特徴を、測定済みのすべての特徴に対してラベルが一つずつ付されている、一つの特徴リストから選択できるようになっている。第2の選択肢によれば、使用者は、測定済みの特徴を、画面から、すなわちCAD用ディスプレイの分類のインターフェースを使用して、選択することが可能である。使用者は、テスト対象となる特徴を、その特徴のグラフィック表示の上にポインタを移動することによって選択することができる。ボタンの選択によって、ターゲットの透視図を示すCAD用ディスプレイの分類のインターフェースが表示される。使用者は、マウスやタッチスクリーンなどのポインタ移動装置を使用することで、ターゲット上の測定対象となる特徴を選択することができる。
【0006】
しかし、ターゲットのこの透視図は、加工物の存在している個体の画像ではない。したがって、そのような実際に存在している個体との照合は困難なものとなる。また、特許文献1は、画面上に同時に表示される測定結果が既に多数存在している場合には、もはや何の役にも立たなくなる。特許文献1に提案されるのは、ある一つの特定の測定結果を選択するために、これを一つのリストから選択するか、またはその選択のためにCAD用ディスプレイの類による加工物の再現画像を利用することだけである。しかし、使用者が、例えば、加工物の実際に存在している個体で、明らかに基準状態に合致していない領域に気付いたとしても、この領域をCAD用ディスプレイの分類による表示に割り当てるのは、事情によっては困難である。
【0007】
使用者は、測定装置のまわりにいるときには、安全規定に留意しなければならない。例えば、測定装置の稼動中に加工物に触れるのは危険である場合がある。したがって、測定の前および間には、加工物の付近への立入りが認められないことが多い。測定結果は、測定の完了を受けて初めて、後から選択できるようにしなければならない。その後で使用者は、事情によっては、加工物を再び近くから観察することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国公開特許第2003/0125901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、加工物の座標測定から得られる様々な測定結果を、加工物の存在している個体の一つの当該付属領域と、使用者が容易に照合できるようにする、冒頭に掲記した種類の方法および配置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
使用者が行う様々なジェスチャを識別して、これらを個々の測定結果と割り当てさせることが提案される。ある一つのジェスチャが自動的に識別された場合は、そのジェスチャに対して割り当てられている少なくとも一つの測定結果が選択されるか、またはそのジェスチャに対して割り当てられている測定結果が存在しないことが決定されることになる。少なくとも一つの測定結果が選択された場合は、この一つの測定結果またはこれらの選択された測定結果のみを表示できるようになる。少なくとも一つの測定結果のそのような選択的な表示方式とは、その選択に対応して、一つまたは複数の測定結果の既存の表示方式が変更される表示方式である、例えば、選択された測定結果と照合された加工物の一つの領域が表示されている画面の領域に、選択された測定結果のみが表示される表示方式であるとも解釈されるものである。あるいはその代わりに、選択された測定結果については、それまでとは異なる方式で表示される一方で、選択されなかった測定結果については、これらが選択されなかったにもかかわらず、表示されるようにしてもよい。したがって、特に、その選択による当該領域以外の領域の測定結果については、引き続きそのまま表示される、および/または例えば画面からフェードアウトされるようにするとよい。選択された測定結果の表示とは、その表示または変更後の表示のために表示装置が必要とする情報が生成されることでもあると解釈されるものである。この表示装置自体は、必ずしも本発明にしたがった配置に含まれる必要はない。
【0011】
本明細書で「加工物」について述べるとき、これには、複数の個別部品から成る配置のケースも包含されることになる。
【0012】
観察用に供される加工物は、必ずしも、加工物の測定済み個体である必要はない。例えば、同一または同等の製造ロットからの別の個体、または(例えば親部品であるために)十二分に、または正確に基準状態と合致している個体であってもよい。これは、量産の場合がそうであるように、加工物の多数の異なる個体を測定して、観察者がそれらの測定結果を鑑定しなければならない場合は、特に有利である。
【0013】
ジェスチャとは、特に、使用者の片手または両手で行われる動きであると解釈される。例えばジェスチャによって、空間内または表面(例えば画面の表面)上の任意の形状記号および/または位置記号(例えば規格ISO1101に基づく図記号、すなわち、形状記号および/または位置記号という概念は、特にこのISO規格の主意で解釈できるものであり、任意選択により、特にこのISO規格に予め定義されている図記号を、ジェスチャによって表示することができる)についても、表示することが可能となる。例えば使用者は、空間内または表面上に、伸ばした人差し指により、円運動を実行するとよい。それにより、ISO−1101においては、例えば形状記号「真円度公差の検査」に相当する、予め定義されたジェスチャ「円」が、この円運動により実行されることになる。例えば、一つの円錐台、一つの平行四辺形(および、この平行四辺形により一つの平面)、一つの半円、一つの円柱、一本の直線、またはそれ以外の形状に相当している、別の形状記号および/または位置記号についても同様に、一つのジェスチャによって模倣することができる。上記の様々な可能性の代わりに、またはそれらに追加して(すなわち特に上記の様々な形状記号の代わりに、またはそれらに追加して)、ある一つのジェスチャにより、様々な形状を互いに関連付ける、および/または様々な形状を様々な評価の種類に関連付けるようになっている、別の複数の記号、例えば、斜めに延びる一つの矢印、一本の直線によって結ばれた斜め平行に延びる複数の矢印、二つの同心円、鋭角または直角を成す二辺、平行な二直線、円錐台のシルエットに相当する非平行な二直線、または十字線付きの円などが定義されるようにしてもよい。
【0014】
したがって、ジェスチャによって模倣された記号は、加工物または加工物の一領域の形状(例えば円、球、円筒形、異形輪郭形状、平らな面など)に関するだけではなく、その代わりに、またはそれに追加して、評価の種類(例えば真直度、平面度、真円度、線の異形度、面の異形度、直角度、角度、平行度、対称度、同心度など)にも関するものであることが好ましい。例えば、ISO−1101に基づく図記号「円周振れ公差」によって、加工物の面に関して、理想の円形面と加工物の表面領域との公差が選択されることになる。
【0015】
相応数のジェスチャが予め定義されていることが好ましい。例えば何らかの画像捕捉装置および識別装置により、またはタッチスクリーンにより、ジェスチャが識別されることによって、ひょっとすれば存在するかもしれない、予め定義されている、いずれかのジェスチァであるとの判定が下されて、それにより、そのジェスチャが当該している少なくとも一つの測定結果の選択が開始されるようにするとよい。またその際には、この測定結果により、それぞれの測定点の座標が、加工物のそれぞれの基準値および/または基準状態と関係付けられることが好ましい。
【0016】
本発明のさらなる思想によれば、少なくとも一つの測定結果の選択は、ジェスチャのみに依存して行われるのではなく、他にもジェスチャの場所および/または向きにも依存して行われる。ジェスチャの場所および/または向きは、加工物の実際に存在している個体に関して、かつ/またはこの実際に存在している個体の画像表示に関して、検出されることが好ましい。例えば使用者は、存在している個体のすぐ近くで、すなわち好ましくは選択対象である測定結果と照合される個体の領域内で、予め定義されたジェスチャを行う。表示されている画像のところで、このジェスチャが行われる場合は、このジェスチャの位置および/または向きの検出結果が、画像表示装置の座標系、例えばタッチスクリーンの2次元表面に関係付けられることが好ましい。
【0017】
例えば同じ記号によって選択することができるが、照合される加工物の場所および/または領域が異なっている、例えば少なくとも二つの同種の測定結果(例えば二つの異なるボアの真円度)が存在する場合は、ジェスチャの位置の検出結果から、使用者がそのジェスチャを通じてどの測定結果を選択したかが算出される。
【0018】
ジェスチャは、例えば、一本の鉄筆または一つの別の長い棒状の物体などの物体を用いて行うことができる。その場合この物体は、使用者が信号をジェスチャ検出ユニットに出力できるようにするために利用される手段を有しているとよい。例えば鉄筆には、何らかの作動要素およびワイヤレス送信装置が備えられるとよいが、それにより、この作動要素が作動されるときには、信号が鉄筆(または別の物体)からジェスチャ検出装置に出力されることになる。そのような信号を利用して、使用者は、そのジェスチャにとっては、現時点で取られている手または物体の位置および/または向きが重要であることを、明示できるようになる。
【0019】
しかしながらジェスチャ検出装置は、ジェスチャを行うために手以外の物体を何一つとして必要としないような、片手または両手により行われるジェスチャを識別するように構成されることが好ましい。これは、手に、何らかの物体、例えば指輪が装着される可能性を除外するものではない。しかしこの物体は、ジェスチャを行うためには、不要であるし、重要ではない。
【0020】
加工物の存在している個体のところでジェスチャを行う場合、使用者は、ジェスチャを行う際に、この個体に触れても、触れなくてもよい。それにもかかわらず、いずれのケースにおいても、そのジェスチャが、この個体のある一つの特定の領域に割り当てされるようにするとよい。特に存在している個体のところでジェスチャを行う際には、しかしまた画面のところでジェスチャを行う場合にも、画像を連続撮影または繰り返し撮影する、またそれによりジェスチャを検出するようになっている、少なくとも一つのカメラが備えられるようにするとよい。一つのジェスチャにつき一つの画像だけが捕捉されるようにすることも可能である。この場合はそれぞれのジェスチャが、手の動きがなくとも、少なくとも一つの測定結果の選択を可能とするようなものに定義されることになる。例えば使用者が、右手および左手の人差し指を使用して、個体の表面の一点および個体の画像の表面の一点をそれぞれ指し示すことによって、両者のこれらの表面地点が決定されるようにするとよい。これには、例えば、いずれも人差し指によって選択された地点と合致している、またはその付近に位置している2点間の距離の評価結果が割り当てされるようにするとよい。選択を行うためにそもそも利用することができるこれらの地点は、例えば加工物のコーナーポイントなど、特殊な地点であるとよい。選択に利用可能な地点のそのように限定することにより、有意な測定結果を得るために重要となる地点の選択が容易になる。
【0021】
例えば加工物の表面の一点が選択されている場合は、しかしまた他のケースにおいても、識別されたジェスチャの種類に依存して測定結果を選択する際に、このジェスチャに対応した評価結果、ひいてはこれに対応した測定結果が、加工物の表面のどの地点または領域と照合されるかについて、検査されるようにするとよい。その後で、使用者が選択した場所の最も近くに位置する場所と照合された測定結果を選択することが、自動的に決定されるようにするとよい。しかし、疑わしい場合には、さらにもう一回のジェスチャの形式で、および/または別の形式で、使用者に承認を要求することもできる。例えば、そのジェスチャの結果としてもたらされることになる、複数の可能性のある測定結果の中から、幾つかが予め自動的に選択されるようにするとよい。予め選択されたこれらの測定結果が、画面に表示されて、使用者により、予め定義された方法により(例えば、キーボード、コンピュータ・マウスの操作を通じて、および/またはさらにもう一回のジェスチャによって)さらなる選択が行われる、すなわち、予備選択された測定結果のうちの少なくとも一つが排除されるようにするとよい。その後で、残されている一つまたは複数の測定結果が表示されるようにするとよい。
【0022】
基本的に、本明細書においては、何らかのジェスチャを利用したある一つの測定結果の選択が、同時にこの測定結果の排除をもたらし得るものである、といえる。すなわち、その結果として行われる、この選択された測定結果の表示は、この測定結果がもはや表示されないことにより、行われることがある。
【0023】
少なくとも一つの測定結果の選択を意味するジェスチャの他に、少なくともさらにもう一つのジェスチャによって、さらにもう一つのプロセスが誘発されるようにする、例えば、第1のジェスチャの結果として選択された測定結果が、表示される、棄却される、削除される、印刷される、記憶される、および/または別の装置に転送されるようにするとよい。
【0024】
本発明は、特に、量産方式で製造される加工物の測定結果の表示に関する。例えば、量産の枠内で、製造された個々の個体またはすべての個体が、一台の座標測定装置によって、または複数の座標測定装置からなる配置によって測定されるようにするとよい。その後で、そこから得られた測定結果が、例えば製造された個体が通過する製造設備の別の場所で、使用者のジェスチャによって選択されるようにするとよい。例えば、製造設備のこの場所では、何らかの画面、または何らかの画像もしくは光線投射設備を利用できるようになっており、それらのうち一つまたは複数を用いて、選択された一つまたは複数の測定結果が、個体のところに直接、または個体のすぐ近くに表示されるようにしている。量産現場では、製造時に故障が生じたときに製造プロセスにできるだけ早期に介入できるようにするためにも、補助手段を用いずに多数の測定結果から特定の測定結果を選択できるようにすると、特に有利である。
【0025】
特に、次の方法、すなわち、加工物の測定結果を表示するための方法であって、
a1)加工物の存在している一つの個体のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出して識別する工程、または
a2)加工物の存在している一つの個体の一つの画像のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出して識別する工程、
b)またその際には、前記ジェスチャの前記検出工程において、前記ジェスチャが行われる少なくとも一つの位置を検出して、
c)前記ジェスチャの識別結果および前記ジェスチャの位置の検出結果に依存して、測定結果を選択して表示する工程から成る方法
が提案される。
【0026】
さらに、加工物の測定結果を表示するための配置が提案されるが、この配置は、
i.様々な測定結果を受信するための、一つのインターフェース、および/または様々な測定結果を記憶するための、一つの記憶装置と、
ii.加工物の存在している一つの個体のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出するための、または加工物の存在している一つの個体の一つの画像のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出するための、一つのジェスチャ検出装置と、
iii.前記ジェスチャが行われる位置を検出するための、一つの位置検出装置と、
iv.前記ジェスチャを、予め定義されたある一つのジェスチャとして識別するための、一つの識別装置と、
v.前記位置の検出結果および前記ジェスチャの識別結果に依存して、前記加工物の座標を決定するある一つの測定結果を選択するための、一つの選択装置
とを有している。
【0027】
この配置構成には、他にも、選択された測定結果が表示される一つの画像表示装置が含まれているとよい。
【0028】
多くの場合、位置を検出する以外にも、ジェスチャの向きを検出して、測定結果を選択するために、この向きに配慮すると有利である。例えば、円運動を行うときに、その円が水平面内にあるか、垂直面内にあるか、またはそれ以外の平面内にあるかに応じて、異なる測定結果が選択されるようにするとよい。それに対応して、ジェスチャの位置を検出するための位置検出装置以外にも、その代わりに、またはそれに追加して、向き検出装置が備えられるようにするとよい。その場合、これら二つの検出装置は、一つの同じ検出装置であってもよい。例えば、少なくとも一台のカメラを用いて検出する場合は、このカメラによって撮影されたそれぞれの画像の評価から、ジェスチャの位置も、また向きも、得ることができる。
【0029】
特に、測定結果を選択するために、ジェスチャの向きも重要である場合は、ジェスチャおよびその位置および/または向きを検出するために、ジェスチャを行うことができる領域に異なるアングルで向けられた複数のカメラが採用されることが好ましい。
【0030】
ある一つの測定結果とある一つのジェスチャとの照合は、例えば、トレーニング・プロセスにおいて、どのジェスチャがどの測定結果またはどの種類の測定結果と照合されるかを検出装置に提示することによって、学習させることができる。このために、使用者は、例えばジェスチャを一回または複数回行って、そのジェスチャを所望の測定結果に割り当てさせる。またその際にはこのジェスチャを、特定の個体の測定によって得られた具体的な測定結果に割り当てさせるのではなく、球の直径の決定など、測定結果の種類に割り当てさせることが好ましい。
【0031】
選択に利用可能な測定結果は、任意の種類の測定結果でよい。それに対応して、選択された少なくとも一つの測定結果の表示方式も、まちまちであってよい。例えば、基準値と実際値の偏差の度合いに依存して大小のサイズが選択される記号、フラグ、および/またはバーを利用して、特に不良の表面領域にマーキングが施されるようにするとよい。また、測定結果を表示するために、数値および/または文字を使用することもできる。特に、規格ISO1101(または匹敵する規格)に収録されている評価の種類はことごとく、本発明との関連においても使用できるものである。これらの評価により、相応の測定結果をもたらすことができるが、その中から、使用者が行ったジェスチャに基づいて、少なくとも一つの測定結果が選択されることになる。
【0032】
散見する評価の種類は、例えば真円度、平面度、または真直度などの、輪郭形状の評価である。選択された結果をより良く表示するために、輪郭形状が描く線が誇張して表示されるようにするとよい。
【0033】
例えば、測定結果は、様々な色および/またはグレースケールを使って画面またはディスプレイ上に表示することも可能であるが、この場合は、個々の色および/またはグレースケールがそれぞれ、測定結果の一つのカテゴリに対応することになる。例えば、加工物の基準状態からより著しく外れている加工物の表面領域を、基準状態から外れていない、またはわずかしかずれていない表面領域とは異なる色で表示するとよい。偏差の度合いの単位ごとに、一つの色を割り当てさせるとよい。この偏差は、例えば、ある一つの基準点に対する、ある一つの表面地点の相対位置の偏差、および/または表面の断面輪郭形状の偏差(例えば波形または粗さ)であるとよい。色および/またはグレースケールを用いた測定結果の表示は、文献では擬色表示と呼ばれる。
【0034】
選択された測定結果は、例えば、好ましくは、実際に存在している個体の画像に関して位置が適正となるように、または観察者(すなわち例えば使用者)の視野内にある加工物の個体に関して位置が適正となるように、表示されるとよい。位置が適正となるように表示されるとは、その場所が同時に、測定された各座標に当該している固体の場所であることを、観察者がその都度見出すことになるような、何らかの画像表示装置の場所に、様々な情報が表示される、と解釈されるものである。例えば、擬色表示においては、加工物の実際に存在している個体のある一つの表面領域が、その時々の色で着色されることになる。またその際には、色の他に、実際に存在している個体の現実の表面も、観察者にとり識別可能であることが好ましい。
【0035】
上述した提案によれば、加工物の個体の座標、すなわち実状態の座標が測定される。そこから、これらの座標に割り当てされた実状態に関する情報を生成することができる。これは、これらの座標を、ただ単に、例えば特定のデータフォーマットなど、特定の形式で表示したものであるとよい。しかし、座標に割り当てさせた情報を生成する際には、基準状態に関する評価が既に行われるようにすることが好ましい。例えば、複数の表面地点について測定された様々な座標の一つまたは複数の集合を対象として、加工物もしくは加工物のある一つの座標系の一つの基準点に関して、または基準物体(例えば加工物の別の表面など)に関して、表面地点が基準状態からどれだけ離れているかを計算することができる。例えば、ある一つの表面地点が、加工物の基準状態に基づく一つの当該地点の位置から、ある一定の距離量の分だけ、ある一定の方向に離間して位置していることが、明らかになるとよい。この距離が、任意選択によりその方向と合わせて、例えば擬色表示(上記参照)により表示されるようにするとよい。加工物の座標測定からの測定結果を記述する様々な可能性については、この距離以外にも当業者によく知られており、これらも同様に使用することができる。一般に、例えば、形状偏差、寸法偏差、および/または位置偏差が測定結果として決定されて、任意選択により、使用者のジェスチャによる選択後に、やはり位置が適正となるように表示されるようにするとよい。
【0036】
ジェスチャを用いて測定結果を選択し、任意選択により、実状態または基準状態(例えばCADモデル)に対応している加工物の個体に関連付けて、実状態に関する情報を位置が適正となるように表示することにより、実際に存在している現実の個体およびその様々な領域(特にそのそまぞまな表面領域)にこれらの情報を割り当てさせることが観察者にとってかなり容易になる。これにより、例えば、加工物の任意の個体の製造不良の原因を容易に識別できるようになる。
【0037】
現実の加工物の個体は、ジェスチャが行われる間に実際に観察者の視野内に位置しているとよい。しかしまた、加工物が例えば観察者の視野外にあり、少なくとも一つの測定結果の選択のために画像生成装置によって一つの画像が生成され、この画像が画面上に表示されるようにすることも可能である。この個体は、これが視野内にある場合は、表示装置の後方に位置し、表示装置によって隠されていてもよいし、または表示装置を通して観察されるようにしてもよい。いずれにせよ、この個体が存在することにより、画像表示装置とは関係なく、観察者が加工物を観察可能であることを実現している。例えば観察者は、加工物が小型であれば、その個体を手に取り、ルーペを用いてより詳しく観察することができる。加工物が大型であれば、観察者は、例えばその個体の周りを一周する、または個体に近づくことができる。
【0038】
特に有利であるのは、例えば、以下に記載する二つの構成形態である。
【0039】
第1の構成形態では、実際に存在している個体が、観察位置から見て、画像表示装置の後方(すなわち特に画面の後方)に配置され、観察者はこの個体を、画像表示装置(特に画面)を通して見ることができる。この目的のために使用することができる相応の半透明画面は、それ自体知られている。
【0040】
他方の構成形態では、画像表示装置は半透明でなく、加工物の実際に存在している一つの画像が画面上に表示されるようになっている。この実施形態は、個体の表示も、また測定結果の表示も、例えば表示の明度、コントラスト、および/または色強度に関して、またはそれ以外の形式で変更することが可能であり、それにより、例えば、実際に存在している個体の表面がより鮮明に見える、または実状態に関する情報をより明瞭に認識できるようになるという利点を有する。それに対し、半透明画面を用いる構成形態では、実際に存在している個体の表面から発して画面を通過する光の強度に上限がある。半透明画面は、この光の一部を反射し、一部を吸収する。
【0041】
特に、半透明でない画面を用いる構成形態の場合は、ポータブルコンピュータ、例えばいわゆるハンドヘルドコンピュータ(例えば、今日市場において入手できるような、大型ディスプレイおよび相応の計算能力を有する移動電話)、オーガナイザ、PDA(携帯情報端末)およびタブレットPC)、さらにはノートブックコンピュータ(例えば典型的には8インチよりも大きい画面対角寸法を有する折畳み式のフラットパネルディスプレイを装備)なども、本発明のための検討対象となる。これらのコンピュータの画面またはディスプレイは、画像表示装置として使用することができる。現代の移動電話またはハンドヘルドコンピュータでは、多くのケースで画面の反対側に配置されるカメラレンズが存在するが、加工物の実際に存在している個体の画像を生成するためにこれらを使用することができる。ノートブックコンピュータでは、例えば、コンピュータの開いたディスプレイ部の裏側に個体を配置して、この加工物の画像を撮影する一つのカメラが、このディスプレイ部に取り付けられるようにするとよい。
【0042】
加工物の存在している個体の位置および向きは自動的に検出され、さらに、任意選択により、選択された少なくとも一つの測定結果に依存して、この少なくとも一つの測定結果が、位置が適正となるように表示されることが好ましい。あるいはその代わりに、またはそれに追加して、選択された測定結果が画像表示装置に表示される間に、この個体の運動が追跡されて、測定結果の表示が、運動の追跡結果に対応して継続的に適合されるようにしているが、それにより情報は、永久的に位置が適正となるように表示されることになる。情報を位置が適切となるように表示できるようにするために、まず、この個体の運動の追跡結果は、データ処理技術により演算処理されるために、短い時間遅延を伴って位置が適正となるように表示を行うことができる。しかし、高性能のマイクロプロセッサを用いれば、この短い時間遅延は観察者にはほとんど知覚されない。
【0043】
加工物の個体の位置および向きを検出するためにも、また個体の運動を追跡するためにも、いわゆるトラッキング・システムが使用されるとよい。その際には、トラッキング(すなわち追跡)のすべての既知の原理が使用されるようにするとよい。例えば、トラッキング・システムは、磁気的原理に基づくシステムであるとよい。このために、ある一つの外部磁場の中で、通例は極小サイズに諸元決定された、電流が流れる少なくとも一つのコイル(または複数のコイルから成る一つの配置)が追跡されるようになっている。このコイルは、加工物の個体と機械的に接続されているために、この個体の位置、向き、および運動も検出することができる。そのようなトラッキング・システムは、例えば、Ascension−Technology−Corporation(米国バーモント州バーリントン(Burlington,VT05402,USA))が製造している。
【0044】
あるいはその代わりに、またはそれに追加して、使用者の位置および/または視線方向を自動的に検出して、座標を決定する少なくとも一つの測定結果を選択する際には、これに配慮するとよい。任意選択により、さらに、使用者の位置および/または視線方向のこの検出結果に依存して、測定結果が画像表示装置に位置が適正となるように表示されるようにするとよい。この位置および/または視線方向を決定するために、再びトラッキング・システムが使用されるとよい。例えば観察者の頭部に、トラッキング・センサ(例えば上述のコイル、または複数のコイルから成る配置)が装着される。装着に適しているのは、例えば、観察者の耳に掛けることができる眼鏡またはテンプルである。
【0045】
一般に、本発明は、画像表示装置としてデータグラスを用いて実現することもできる。この場合は、トラッキング・センサが、様々な拡張現実装置において多く行われているように、データグラスに組み込まれるか、またはデータグラスと機械的に接続されるものであるとよい。文献において用いられるデータグラスを表す別の用語は、ヘッドマウントディスプレイである。観察者の頭部に装着される装置は、典型的な眼鏡の形態をとる必要がないことから、このように言われるようになっている。またその場合、このディスプレイは、透過性を示す必要はない、すなわち半透明である必要はない。
【0046】
以下、本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】半透明画面を通して観察者が観察することができる加工物の個体を有する配置の概略図である。
【図2】基準状態からの偏差の程度が異なる二つの表面領域と、さらにもう一つの測定結果が表示された、加工物の画面表示を示す図である。
【図3】加工物の個体の外観がカメラによって捕捉される、図1に示される配置の代替形態を示す図である。
【図4】加工物の個体の近くにある使用者の手を概略的に示す図であるが、そこでは、この手により行われるジェスチャに対応する少なくとも一つの測定結果を選択するために、このジェスチャが多数のカメラによって捕捉されるようになっている。
【図5】量産設備の一部を上から見た上面概略図であるが、そこではこの設備が他にも、製造されたそれぞれの個体の座標を測定するための一つの測定ステーションを有しており、さらにそこには、この測定ステーションの代わりに、またはこれに追加して、好ましくは加工物のある一つの個体の測定結果を、ある一つの画面上に、この画面の観察者が、加工物の別の個体を見ている間にも、表示できるようになっている、一つの評価ステーションが備えられている。
【図6】図5に示される量産設備の測定ステーションを示す図である。
【図7】輪郭形状が描く線を決定する測定結果が表示された画面を示す図であるが、そこではこの輪郭形状が描く線が誇張して表示されている。
【図8a】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8b】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8c】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8d】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8e】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8f】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8g】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8h】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8i】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8j】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8k】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8l】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8m】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8n】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8o】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1に、一つの半透明画面3が概略的に示されているが、これには、一つのデータ処理装置5による制御下で、加工物の座標の測定から得た様々な測定結果を表示できるようになっている。図2に示されるように、これらの測定結果は、例えば擬色表示方式で、および/または寸法として、表示することができる。これについて、さらに詳細に述べる。
【0049】
観察者(図1には図示せず)は、観察位置7から、半透明画面3を通して、加工物の個体9を観察する。この個体9は、図1に直方体11で示されるサイズで画面3の平面内に現れる。画面3の像平面内にあるように見える物体11が、実際に存在している個体9の画像に過ぎないことを、四本の線8a〜8dが明示している。
【0050】
この配置の代替構成形態において、この物体11は、画面3を適宜制御することによって画像表示装置により生成されるイメージ・オブジェクトであるとよい。この場合は、例えば、画面3の裏面に個体9を撮像する一つのカメラが配置されることになる。
【0051】
しかし、図1に示される配置の場合には、画面3の制御部5によって測定結果のみが画面3上に表示され、加工物は表示されない。観察者または他の使用者のジェスチャによって少なくとも一つの測定結果が選択された後、この少なくとも一つの測定結果は、位置が適正となるように、すなわち、観察者が個体9のある一つの特定の領域を見出すことになる画像表示装置上の場所に表示され、また、物体のこの領域に割り当てさせた付属測定情報も表示される。「割り当てさせた」とは、加工物のこの個体または別の個体のこの領域が既に測定されており、測定によって得る実状態に関する情報は、この過去の測定結果から得られたものであると、解釈できるものである。一般には、そのために、加工物のこの領域の座標を測定し、そこから、この領域の実状態に関する情報、すなわち測定結果を得るようになっている。任意選択により、測定結果を、選択前に既に位置が適正となるように表示することもできる。しかし、多くの場合、測定結果は余りにも多過ぎるために、使用者が、現時点での使用者の興味の対象である特定の測定結果を、加工物の個体および/または個体の特定の領域に割り当てさせることは不可能であるか、または割り当てさせることができたとしても、様々な制約に縛られることになる。
【0052】
測定結果は、図1の左側に矢印で示唆されたインターフェースを介して、画面3の制御機能も備えるデータ処理装置5に供給される。これは、画面3上に測定結果を表示する間に行われるとよい。しかし多くのケースにおいて、座標測定には多少の時間がかかるために、加工物の測定を事前に行うことが有利であるように思われる。この加工物は、存在している、使用者が直接または間接的に観察することができる固体と同一である必要はない。
【0053】
図1には、さらに、(図の上の部分に長方形で図式的に)トラッキング・システム15が示されているが、このトラッキング・システム15は、連続的に個体9の位置および向きを検出する。この検出は、図の右上の部分に示された矢印で示唆されている。特に、一つの同じトラッキング・システムで、個体9の位置および向きも、また使用者のジェスチャも、検出することも可能となっている。そのような構成形態は、図4を参照してさらに説明する。このようなトラッキング・システムは、個体およびジェスチャの画像を捕捉するための少なくとも一つのカメラを使用することが好ましい。
【0054】
個体の位置および向きに対応して、トラッキング・システム15が信号を発生し、それらの信号がデータ処理部5に供給される。これは、図の左上の二つの矢印で表される。データ処理部5は、それらの信号から、画面3上で測定結果を位置が適正となるように表示するために必要な情報を生成する。
【0055】
特に、個体9の位置および向きを決定する際にトラッキング・システムが基準としている座標系と、画面3上に表示するための画像コンテンツの座標系の見当合わせが、表示の開始前または開始時に行われるようになっている、すなわち、これらの座標系は、測定結果を位置が適正となるように表示することができるように、互いに関係付けられるようになっている。この見当合わせは、例えば対話式に、データ処理装置5が、画面3上の選択された位置に画像コンテンツ(例えば一つの矢印)を表示し、使用者が、それに対応する個体9の表面の照合された箇所に、トラッキング・システム15により現在位置を検出できるようになっている一つの特殊な信号発生器を用いて触れて、信号をトラッキング・システム15またはデータ処理装置5に出力することによって、行われるようにするとよい。このようにして、トラッキング・システム15またはデータ処理装置5は、現時点で画面3上に示されている位置が個体9の表面のある一つの特定の場所に当たることを学習することができる。個体9の表面の少なくとも3箇所に関してこの手順が行われると、完全な対話式の見当合わせを行うことができる。
【0056】
しかし、例えば個体9の画像を自動的に捕捉して、これらの画像を自動的に評価することによって、個体9の位置および向きを決定することもできる。この場合は、例えば、表面の特徴的な場所が画像から識別されて、(基準状態についても再現可能な)加工物のコンピュータ・モデルを用いて、現実の個体9の現時点での位置に割り当てされることになる。
【0057】
そのような方法では、初期見当合わせを行う必要はない。それどころかこの方法により、個体9の正確な位置および向きを連続的に算出することができる。しかし、個体9の運動およびこの運動に結び付いた個体9の場所の位置および向きの変化の追跡結果を、より少ない計算コストで、したがってより迅速に把握することができるために、初期見当合わせの方が優先される。特に、このような運動の追跡は、トラッキング・システムにより自動的に行われるようにするとよい。しかし、トラッキング・システムをデータ処理装置5に組み込むことも可能である。
【0058】
図2には、特に図1の事例を対象とする、しかしまた別の事例も対象とする、観察対象の加工物の表面の第1の領域21および第2の領域23を、位置が適正となるような表示方式で、図式的に示したものである。加工物は、図2でも図式的に直方体で表され、これは、画像表示装置によって画面上にアクティブ表示される画像、および/または観察者が画面3を通して物体を直接見ることができるために、見かけ上は画面3の像平面内に位置する画像である。さらに図2においては両方向矢印により、画面3上に直方体11の一つの寸法、すなわち直方体11のほぼ水平に延びる上面と下面間の距離が表示されることが、示唆されている。この距離は、例えば、直方体11のこの左側の縁部における局所的な距離であっても、上記の両表面間の平均距離であってもよい。
【0059】
ここで、問題となっているのが一つの像平面であるとしても、本発明はそれにより、像平面を一つだけ有するパネル状の画像表示装置に限定されない。それどころかむしろこの画像表示装置は、例えば様々な立体表示法を用いて3次元画像を表示するための装置であってもよい。また、観察者の両目は互いに離れており、したがって2箇所の異なる場所に位置しているために、半透明画面である場合は、観察者が、図1のケースでは、実際に存在している個体9を両目で2箇所の観察位置から観察する点にも留意すべきである。これは、位置が適正となるように表示する際に考慮に入れられることが好ましい。特に、立体表示では、加工物の実状態に関する情報を、それぞれの目に対して独自の、その目に合わせた表示が行われるようにするとよい。これには、それぞれの目に対して、別個の画面、または同じ一つの画面の別個の領域(例えば半透明データグラスなど)が使用されるケースも包まれている。
【0060】
図2に示される加工物の表面の領域21、23には、図2の描写では、異なるハッチングが施されている。実地においては、ハッチングの代わりに、例えば、それぞれの領域を異なる色で表示する、または異なるグレースケールで表示することができる。これらの領域21、23はいずれも、使用される色またはグレースケール(ここではハッチング)に割り当てさせた、加工物表面の位置偏差のある一定の度合いを示している。「偏差」とは、ここでは、実状態の測定結果が、基準状態から外れていると解釈されるものである。例えば、領域21に当該する表面領域は、基準位置から0.1〜0.2μm外れており、また領域23によってマーキングされた表面領域は、表面の基準位置から0.2〜0.3μm外れている。
【0061】
さらに、既述のように、加工物の一つの寸法が画面3上に表示されるようになっている。図2に示される描写は、簡略化した一例にしか過ぎない。実地においては、通例、加工物の座標測定からの測定結果が多数存在しており、個々の測定結果の選択を行わないと、画面表示が見づらくなってしまう。測定結果の表示に際しては、図2の図示とは異なり、数字、文字、および別の記号を使用することもできる。例えば、図2に示される寸法については、さらに、例えば「23.753mm」などの測定値も画面上に表示することができる。
【0062】
図7に、別の種類の測定結果が示される。画面3上には、測定対象物71の表面73の輪郭が誇張して表示されている。そこに示されるように、画面3上に表示されている、この誇張された描写方式72による表面73aの輪郭形状が描く線の変化は、測定対象物71の表面73の輪郭形状が描く線の変化よりも著しくなっており、したがってこれをより明瞭に認識できるようになる。
【0063】
測定結果を表示するための配置の図3に示される代替形態は、図の左側に加工物の個体9を示す。この個体9はカメラ31によって捕捉され、またカメラは、相応の画像データを、図1に示されるデータ処理装置35に相当するデータ処理装置35に出力する。
【0064】
データ処理装置35は、カメラ31によって撮影された個体9の画像も、また、好ましくは位置が適切となるような表示方式で加工物の測定結果も表示されるように、画面33を制御する。この表示の見た目は、例えば図2に示されるようなものであるとよい。
【0065】
座標測定装置は、図1〜図4には詳細には示されていない。例えば、図1の配置に関しては、この座標測定装置を、図の左側に書き込むことができるかもしれないが、それにより矢印は、インターフェース13により、この座標測定装置からデータ処理装置5へと至ることになる。
【0066】
図4には、加工物の個体9が位置する場所が示されている。この場所のところで、使用者はその片手47でジェスチャを行うことができるが、その際にこの手47は、個体9の至近に位置しているか、またはなんとこれと接触している。至近とは、特に、最大5cm、好ましくは最大2cmの距離であると解釈される。距離に関するそのような限界値を下回ることは、このジェスチャ識別装置にとっては(これが言えるのは、ここで説明する実施形態だけに限られないのだが)、何らかのジェスチャが行われるという情報を意味するものであるとよい。この場合、ジェスチャ識別装置は、この限界値を下回っている間だけ、使用者の何らかの動作を、何らかのジェスチャが行われていると解釈する。
【0067】
この例示的実施形態においては、この場所が、複数のカメラ41a、41bの視野内に位置している。図4に示されるものとは異なり、三台以上のカメラをこの場所に向けることもできる。これらのカメラ41は、画像信号ライン43を介して一つの識別装置45と接続され、この識別装置45は、受信されたカメラ画像から、手47により行われたジェスチャを、複数の予め定義されたジェスチャのうちの一つとして識別するように構成されている。
【0068】
任意選択により、識別装置45は、ジェスチャが行われている位置を検出する装置でもある。特にこの位置は、加工物の個体に対する相対位置である。したがってこの検出装置は、加工物の絶対位置(すなわち、実験室系内における位置)および手47の絶対位置を検出するのではなく、むしろ手47と個体9の相対位置(すなわち、加工物の座標系内における位置)を直接検出するように構成されるとよい。
【0069】
さらにこの検出装置は、ジェスチャが行われるときの手47の向きを検出するように構成されるとよい。この向きは、個体9および手47が位置する場所を基準として検出することができる。しかし、位置検出と同様に、個体9に対する相対的な向きが検出されることが好ましい。
【0070】
同様に、識別装置45内に、位置の検出結果およびジェスチャの識別結果に依存して、加工物の座標の決定する、ある一つの測定結果を選択するための、一つの選択装置を組み込むこともできる。例えばこの識別装置45は、コンピュータ・プログラムによる制御下で上記の認識、検出、および/または選択の各機能を実行するコンピュータである。
【0071】
図4には、この装置45から画面3への制御接続部47が示され、そこを介して画像信号が装置45から画面3に伝送される。この装置45は、これが市販のコンピュータである場合は、例えば、装置45の中央処理装置による制御下で、画面3に表示すべき画像を画像信号の形で生成して出力するようになっている、一つのビデオカードを有している。
【0072】
複数の測定結果が表示されるようになっている、図2に示される画面3の状態から出発して、例えば、図4に示される個体9の近くの場所で、片手47を利用したジェスチャの実行が行われる。例えば、図4に示されるものとは異なり、この手47は、1本の伸ばした指だけで、例えば人差し指だけで、この伸ばした指の指先を、個体9の手前左側の上から下に延びる辺に沿って、直線状に動かす。このジェスチャがカメラ41によって検出される(すなわち、連続する画像が撮影されて、装置45に伝送される)。装置45は、個体9に対する伸ばした指の指先の相対位置を認識する、すなわち、指先で空間内に描かれた線が、上記の辺と平行に、かつ上記の辺の至近に延びていることを認識する。この指先の直線的な動きから、装置45は、測定結果として加工物の一つの直線寸法が選択されたことを確定する。この線が上記の辺に対して至近にあることから、装置45は、図2に示される寸法25が選択されたことを確定する。その結果、この寸法25のみが画面3上に表示され、それ以外の測定結果は画面からフェードアウトされるようになっている。あるいはその代わりに、選択された測定結果は、強調される、例えば、特別な色で表示される、またはフェードイン、フェードアウトが繰り返されるようになっている。
【0073】
図5は、量産設備の一部を示す。右向きの矢印が示唆するように、この生産工程において製造される個体51a、51b、51cは左から右へ搬送される。その際、図示される例示的実施形態では、これらの個体はいずれも、例えばパレット52a、52b、52cなど、一つの搬送手段の上に位置している。これらのパレットは、互いに対する相対位置が既知となっているマーカー8、例えば球を三つずつ有している。これにより、基準座標系が存在することになる。
【0074】
図5の右側には、一つの測定ステーション53が示されており、この測定ステーション53内で、パレット52c上に配置された個体51cが測定される。図6に、この測定ステーションを側面図で示す。この例示的実施形態では、測定ステーションに、ゲート型の座標測定装置61が備えられている。ゲートの二つの支柱55a、55bの間にパレット52c上の個体51cが位置している。この測定装置61の一つのセンタースリーブ58は、支柱55a、55bをつなぐ一つのブリッジ59に沿って水平方向に移動することができる。ブリッジ59は、図6の像平面に対して垂直に、支柱55に対して相対的に移動可能である。さらに、センタースリーブ58の下端部に配置されたボールスタイラス57を、個体51cとの機械的な接触のために垂直方向に移動させることができる。それにより、個体51cの表面をボールスタイラス57によって機械的に走査することができる。この走査結果から、それ自体としては知られている方法により、走査された表面地点の座標が算出される。
【0075】
さらにこの量産設備は、図5には示されていない一つの測定ステーション、例えば図4に示されている上述の装置を有する測定ステーションを有しているとよい。
【0076】
図8は、加工物の座標測定からの測定結果を定義するために、例えばISO−1101に形状記号および/または位置記号として定義された複数の記号を示す。したがって使用者は、これらの記号の一つとして識別されるジェスチャを行うことによって、その記号に割り当てされている測定結果を選択することができる。
【0077】
ここで、以下に個々の記号を簡単に説明する。しかし、それぞれの記号に割り当てされている測定結果の詳細については、ISO−1101を参照されたい。
【0078】
図8aは、平行四辺形を示す。この記号には、測定された加工物の一つの面の平面度が割り当てされている。図8bは、半径線を有する半円、すなわち半月形の輪郭を示す。これには測定結果「面の異形度」が割り当てされているが、これは、測定された加工物の一つの面が基準幾何形状と比較されることを意味している。図8cは、水平に延びる直線を示す。これには測定結果「真直度」が結び付けられているが、これは、測定された加工物のある一つの線形の領域または輪郭形状の、ある一本の直線からの偏差が、測定結果として選択されなければならないことを意味している。図8dは、二つの平行な、左下から右上に向かって延びる、それぞれの下側の端部が一つの水平な線分によってつながれている矢印を示す。これには、加工物と測定との関係により、測定結果「全振れ公差」または「円周振れ公差」が割り当てされるが、これは、加工物の一つの面に、ある一つの基準状態または理想状態に対する公差の測定結果が割り当てされることを意味している。
【0079】
図8dの記号のように矢印を表す際には、ジェスチャを行う手が、例えば予め定義された指のポーズ(例えば人差し指と中指がV字型に広げる)を取りながら、矢印の進行方向と等しい直線状の動きを行うようにするとよい。これが当該するのは、ジェスチャが空間内で自由に行われるケースである。手の動きに対応する線が矢印であることは、別の方法で識別されるようにしてもよい。例えば、上述したように、作動手段(例えば信号を発生させるための一つの信号ボタン)を備える一つの物体を手に持つことができる。それに対応して、ジェスチャ検出装置は、この作動手段の作動を検出し、その検出結果に依存して、ジェスチャの当該部分が一つの矢印であるか、それとも一つの直線であるかどうかを識別するように、構成すされるとよい。
【0080】
図8eは、二つの同心円を示す。この記号には、測定結果「同軸度公差」または「同心度公差」が結び付けられる。したがってこの測定結果は、この測定と加工物との関係により同軸または同心の要素が関わっているかどうかを記述するできるものである。図8fは、上から下向かって延びる、またその際には間に先細りする一つの空間を狭んでいる、同じ長さの二つの線を示す。この記号は、測定結果「円錐度」を表す。したがって、加工物または加工物の一領域が、ある一つの円柱形状またはある一つの所定の円錐形状からどの程度外れているかがわかる測定結果が表示されることになる。
【0081】
図8gは、下側に向かって開口した半円を示す。これには、測定結果「線の異形度公差」が結合される。測定結果として、加工物のある一つの輪郭線と、予め定められているある一つの基準線または理想線との偏差が選択される。図8hは、鋭角を成す二つの辺を示す。これには、測定結果「傾斜度」が割り当てされている。あるいはその代わりに、または、測定と加工物との関係により、測定結果「角度」が割り当てされるようにしてもよい。傾きは、長さの次元で表記され、角度は通常、度で表記される。図8iは、左下から右上に向かって延びる同じ長さの二本の平行線を示す。これには測定結果「平行度」が割り当てされているが、これは、測定結果として、加工物の様々な線形または面状の領域が、平行な延び方からどの程度外れているかを選択できることを意味している。図8jは、十字線付きの円を示す。これには、測定結果「位置公差」、すなわち、加工物のある一つの割り当てされた位置の、ある一つの基準位置または理想位置からの偏差が割り当てされている。図8kは、直角を成す二つの辺、具体的には、一本の垂直な辺が、一本の水平に延びる辺の中央から上に向かって垂直に延びていることを示している。これには測定結果「直角度」が結び付けられるが、これは、加工物の互いに対して横向きに延びる線形または面状の領域の偏差が提示されることを意味している。図8lは、記号としての円を示し、これには測定結果「真円度公差」、すなわち加工物の一領域の円形からの偏差が割り当てされている。図8mは、左下から右上に向かって延びるただ1本の矢印を示す。これには、測定結果「円周振れ公差」または「軸振れ公差」が結合される。図8dに示される記号とは対照的に、図8mに示される記号に割り当てされている測定結果は、測定される加工物のある一本の線に関するものであって、面に関するものではない。図8nは、上下に重ねて配置される3本の水平に延びる線を示すが、そこでは中央の線が上下の線よりも幾分長くなっている。この記号は、測定結果「対称度」を表す。したがって、加工物の各領域が、ある一つの理想的な対称構造から外れているか否か、またどれだけ外れているかを表現している測定結果を選択することができる。図8oは、間に一つの円が配置された、左下から右上に向かって延びる同じ長さの二本の平行線を示すが、この円には、それぞれの線が反対側で一種の接線のように接している。これには測定結果「円筒度」が結び付けられるが、これは、測定された加工物の一領域が、ある一つの円柱形状からどれほど外れているかを、測定結果として選択できることを意味している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物の一回の測定の複数の結果を表示するための方法および配置に関する。特に本発明は、座標測定装置の稼動から得られた複数の測定結果の表示に関する。加工物とは、ここでは、手作業または機械により、または他の方法により製造することができる、ありとあらゆる物体であると解釈される。
【背景技術】
【0002】
座標測定装置とは、加工物の座標、特に表面座標を測定することができるあらゆる装置であると解釈される。そこでは、例えば、光学的および/または機械的(すなわち機械的に走査する)測定法を使用することができる。光学的測定法には、加工物の内部に関する(例えば、内部の材料境界に関する)情報を進入する光線によって得る方法も含まれる。本明細書において「加工物の座標の決定」について述べるとき、これには、加工物の幅または直径などの寸法の決定も含まれることになる。
【0003】
加工物は、現代の様々な測定法を利用して、ほぼ完全に測定することができる。加工物の表面のみを測定することができる座標測定装置を使用する場合は、相応に加工物の表面だけをほぼ完全に測定することができる。通常、測定結果は、紙やコンピュータの画面など2次元の表示媒体に表示される。加工物の個体(これは、座標測定装置を使用して測定が行われた個体であっても、それとは別の個体であってもよい)が観察者の使用に供されている場合は、様々な測定結果が、それぞれに対応している個体の領域と照合されることが非常に重要となる。そのために観察者は、個体の観察者に対する相対的な向きおよび位置を測定結果の表示方式に合わせる、および/または測定結果の表示方式を、個体の観察者に対する相対的な向きおよび位置に合わせることが必要となる。例えば観察者は、加工物のある一つの特定の領域において、加工物の形状または寸法に、基準状態と実状態との間で著しい偏差を生じている場合は、それが加工物のどの領域であるかが、可能な限り一目で識別できることを望んでいる。例えば、加工物のある一つの表面領域が、設定された基準値とは著しく相違する形状または寸法に構成された領域である場合は、この加工物の表面領域を、裸眼で、または光学補助手段(例えばルーペや顕微鏡)を使用して、より正確に観察することができるようするために、観察者は、コンピュータの画面上に測定結果が表示されるのであれば、視線を交互にコンピュータの画面と個体とに振り向けなければならない。しかしそれにもかかわらず、特に不良領域が非常に小さい場合は、この不良領域が、加工物の実際に存在している個体のどの領域であるのかを、観察者が確実に識別するのは不可能である。
【0004】
さらに、測定結果の表示および照合に際しては、使用に供されている、加工物の測定から得られた情報が、多数に及ぶ点が問題となることが多い。測定プロトコルには、書類で数百ページに、電子文書でもそれと同程度のページ数に達する上に、例えば数千項目もの個別試験の特徴や評価結果を収録したものがかなりある。測定結果が多数ある場合は、特定の測定結果を、それが属している加工物の領域に割り当てさせることが、非常に困難となる。
【0005】
特許文献1から、目標物を、現存する幾何寸法が要求公差と一致するかをテストするための方法およびシステムが知られている。このターゲットの選択されたある一つの特徴が測定され、現存する幾何寸法および要求公差が、ユーザインターフェースに入力される。この入力には、ある一つの幾何寸法とある一つの公差の特性を表す図形記号である、一つのアイコンを選択する工程も含まれている。この文献には、テストされたある一つの特定の特徴が、既に以前に測定されたものであるかどうかを、使用者が決定することができることについても記載されている。使用者は、この以前に測定された特徴を選択できるようになっている。この特徴の選択方式には二通りの選択肢がある。一方では、この特徴を、測定済みのすべての特徴に対してラベルが一つずつ付されている、一つの特徴リストから選択できるようになっている。第2の選択肢によれば、使用者は、測定済みの特徴を、画面から、すなわちCAD用ディスプレイの分類のインターフェースを使用して、選択することが可能である。使用者は、テスト対象となる特徴を、その特徴のグラフィック表示の上にポインタを移動することによって選択することができる。ボタンの選択によって、ターゲットの透視図を示すCAD用ディスプレイの分類のインターフェースが表示される。使用者は、マウスやタッチスクリーンなどのポインタ移動装置を使用することで、ターゲット上の測定対象となる特徴を選択することができる。
【0006】
しかし、ターゲットのこの透視図は、加工物の存在している個体の画像ではない。したがって、そのような実際に存在している個体との照合は困難なものとなる。また、特許文献1は、画面上に同時に表示される測定結果が既に多数存在している場合には、もはや何の役にも立たなくなる。特許文献1に提案されるのは、ある一つの特定の測定結果を選択するために、これを一つのリストから選択するか、またはその選択のためにCAD用ディスプレイの類による加工物の再現画像を利用することだけである。しかし、使用者が、例えば、加工物の実際に存在している個体で、明らかに基準状態に合致していない領域に気付いたとしても、この領域をCAD用ディスプレイの分類による表示に割り当てるのは、事情によっては困難である。
【0007】
使用者は、測定装置のまわりにいるときには、安全規定に留意しなければならない。例えば、測定装置の稼動中に加工物に触れるのは危険である場合がある。したがって、測定の前および間には、加工物の付近への立入りが認められないことが多い。測定結果は、測定の完了を受けて初めて、後から選択できるようにしなければならない。その後で使用者は、事情によっては、加工物を再び近くから観察することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国公開特許第2003/0125901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、加工物の座標測定から得られる様々な測定結果を、加工物の存在している個体の一つの当該付属領域と、使用者が容易に照合できるようにする、冒頭に掲記した種類の方法および配置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
使用者が行う様々なジェスチャを識別して、これらを個々の測定結果と割り当てさせることが提案される。ある一つのジェスチャが自動的に識別された場合は、そのジェスチャに対して割り当てられている少なくとも一つの測定結果が選択されるか、またはそのジェスチャに対して割り当てられている測定結果が存在しないことが決定されることになる。少なくとも一つの測定結果が選択された場合は、この一つの測定結果またはこれらの選択された測定結果のみを表示できるようになる。少なくとも一つの測定結果のそのような選択的な表示方式とは、その選択に対応して、一つまたは複数の測定結果の既存の表示方式が変更される表示方式である、例えば、選択された測定結果と照合された加工物の一つの領域が表示されている画面の領域に、選択された測定結果のみが表示される表示方式であるとも解釈されるものである。あるいはその代わりに、選択された測定結果については、それまでとは異なる方式で表示される一方で、選択されなかった測定結果については、これらが選択されなかったにもかかわらず、表示されるようにしてもよい。したがって、特に、その選択による当該領域以外の領域の測定結果については、引き続きそのまま表示される、および/または例えば画面からフェードアウトされるようにするとよい。選択された測定結果の表示とは、その表示または変更後の表示のために表示装置が必要とする情報が生成されることでもあると解釈されるものである。この表示装置自体は、必ずしも本発明にしたがった配置に含まれる必要はない。
【0011】
本明細書で「加工物」について述べるとき、これには、複数の個別部品から成る配置のケースも包含されることになる。
【0012】
観察用に供される加工物は、必ずしも、加工物の測定済み個体である必要はない。例えば、同一または同等の製造ロットからの別の個体、または(例えば親部品であるために)十二分に、または正確に基準状態と合致している個体であってもよい。これは、量産の場合がそうであるように、加工物の多数の異なる個体を測定して、観察者がそれらの測定結果を鑑定しなければならない場合は、特に有利である。
【0013】
ジェスチャとは、特に、使用者の片手または両手で行われる動きであると解釈される。例えばジェスチャによって、空間内または表面(例えば画面の表面)上の任意の形状記号および/または位置記号(例えば規格ISO1101に基づく図記号、すなわち、形状記号および/または位置記号という概念は、特にこのISO規格の主意で解釈できるものであり、任意選択により、特にこのISO規格に予め定義されている図記号を、ジェスチャによって表示することができる)についても、表示することが可能となる。例えば使用者は、空間内または表面上に、伸ばした人差し指により、円運動を実行するとよい。それにより、ISO−1101においては、例えば形状記号「真円度公差の検査」に相当する、予め定義されたジェスチャ「円」が、この円運動により実行されることになる。例えば、一つの円錐台、一つの平行四辺形(および、この平行四辺形により一つの平面)、一つの半円、一つの円柱、一本の直線、またはそれ以外の形状に相当している、別の形状記号および/または位置記号についても同様に、一つのジェスチャによって模倣することができる。上記の様々な可能性の代わりに、またはそれらに追加して(すなわち特に上記の様々な形状記号の代わりに、またはそれらに追加して)、ある一つのジェスチャにより、様々な形状を互いに関連付ける、および/または様々な形状を様々な評価の種類に関連付けるようになっている、別の複数の記号、例えば、斜めに延びる一つの矢印、一本の直線によって結ばれた斜め平行に延びる複数の矢印、二つの同心円、鋭角または直角を成す二辺、平行な二直線、円錐台のシルエットに相当する非平行な二直線、または十字線付きの円などが定義されるようにしてもよい。
【0014】
したがって、ジェスチャによって模倣された記号は、加工物または加工物の一領域の形状(例えば円、球、円筒形、異形輪郭形状、平らな面など)に関するだけではなく、その代わりに、またはそれに追加して、評価の種類(例えば真直度、平面度、真円度、線の異形度、面の異形度、直角度、角度、平行度、対称度、同心度など)にも関するものであることが好ましい。例えば、ISO−1101に基づく図記号「円周振れ公差」によって、加工物の面に関して、理想の円形面と加工物の表面領域との公差が選択されることになる。
【0015】
相応数のジェスチャが予め定義されていることが好ましい。例えば何らかの画像捕捉装置および識別装置により、またはタッチスクリーンにより、ジェスチャが識別されることによって、ひょっとすれば存在するかもしれない、予め定義されている、いずれかのジェスチァであるとの判定が下されて、それにより、そのジェスチャが当該している少なくとも一つの測定結果の選択が開始されるようにするとよい。またその際には、この測定結果により、それぞれの測定点の座標が、加工物のそれぞれの基準値および/または基準状態と関係付けられることが好ましい。
【0016】
本発明のさらなる思想によれば、少なくとも一つの測定結果の選択は、ジェスチャのみに依存して行われるのではなく、他にもジェスチャの場所および/または向きにも依存して行われる。ジェスチャの場所および/または向きは、加工物の実際に存在している個体に関して、かつ/またはこの実際に存在している個体の画像表示に関して、検出されることが好ましい。例えば使用者は、存在している個体のすぐ近くで、すなわち好ましくは選択対象である測定結果と照合される個体の領域内で、予め定義されたジェスチャを行う。表示されている画像のところで、このジェスチャが行われる場合は、このジェスチャの位置および/または向きの検出結果が、画像表示装置の座標系、例えばタッチスクリーンの2次元表面に関係付けられることが好ましい。
【0017】
例えば同じ記号によって選択することができるが、照合される加工物の場所および/または領域が異なっている、例えば少なくとも二つの同種の測定結果(例えば二つの異なるボアの真円度)が存在する場合は、ジェスチャの位置の検出結果から、使用者がそのジェスチャを通じてどの測定結果を選択したかが算出される。
【0018】
ジェスチャは、例えば、一本の鉄筆または一つの別の長い棒状の物体などの物体を用いて行うことができる。その場合この物体は、使用者が信号をジェスチャ検出ユニットに出力できるようにするために利用される手段を有しているとよい。例えば鉄筆には、何らかの作動要素およびワイヤレス送信装置が備えられるとよいが、それにより、この作動要素が作動されるときには、信号が鉄筆(または別の物体)からジェスチャ検出装置に出力されることになる。そのような信号を利用して、使用者は、そのジェスチャにとっては、現時点で取られている手または物体の位置および/または向きが重要であることを、明示できるようになる。
【0019】
しかしながらジェスチャ検出装置は、ジェスチャを行うために手以外の物体を何一つとして必要としないような、片手または両手により行われるジェスチャを識別するように構成されることが好ましい。これは、手に、何らかの物体、例えば指輪が装着される可能性を除外するものではない。しかしこの物体は、ジェスチャを行うためには、不要であるし、重要ではない。
【0020】
加工物の存在している個体のところでジェスチャを行う場合、使用者は、ジェスチャを行う際に、この個体に触れても、触れなくてもよい。それにもかかわらず、いずれのケースにおいても、そのジェスチャが、この個体のある一つの特定の領域に割り当てされるようにするとよい。特に存在している個体のところでジェスチャを行う際には、しかしまた画面のところでジェスチャを行う場合にも、画像を連続撮影または繰り返し撮影する、またそれによりジェスチャを検出するようになっている、少なくとも一つのカメラが備えられるようにするとよい。一つのジェスチャにつき一つの画像だけが捕捉されるようにすることも可能である。この場合はそれぞれのジェスチャが、手の動きがなくとも、少なくとも一つの測定結果の選択を可能とするようなものに定義されることになる。例えば使用者が、右手および左手の人差し指を使用して、個体の表面の一点および個体の画像の表面の一点をそれぞれ指し示すことによって、両者のこれらの表面地点が決定されるようにするとよい。これには、例えば、いずれも人差し指によって選択された地点と合致している、またはその付近に位置している2点間の距離の評価結果が割り当てされるようにするとよい。選択を行うためにそもそも利用することができるこれらの地点は、例えば加工物のコーナーポイントなど、特殊な地点であるとよい。選択に利用可能な地点のそのように限定することにより、有意な測定結果を得るために重要となる地点の選択が容易になる。
【0021】
例えば加工物の表面の一点が選択されている場合は、しかしまた他のケースにおいても、識別されたジェスチャの種類に依存して測定結果を選択する際に、このジェスチャに対応した評価結果、ひいてはこれに対応した測定結果が、加工物の表面のどの地点または領域と照合されるかについて、検査されるようにするとよい。その後で、使用者が選択した場所の最も近くに位置する場所と照合された測定結果を選択することが、自動的に決定されるようにするとよい。しかし、疑わしい場合には、さらにもう一回のジェスチャの形式で、および/または別の形式で、使用者に承認を要求することもできる。例えば、そのジェスチャの結果としてもたらされることになる、複数の可能性のある測定結果の中から、幾つかが予め自動的に選択されるようにするとよい。予め選択されたこれらの測定結果が、画面に表示されて、使用者により、予め定義された方法により(例えば、キーボード、コンピュータ・マウスの操作を通じて、および/またはさらにもう一回のジェスチャによって)さらなる選択が行われる、すなわち、予備選択された測定結果のうちの少なくとも一つが排除されるようにするとよい。その後で、残されている一つまたは複数の測定結果が表示されるようにするとよい。
【0022】
基本的に、本明細書においては、何らかのジェスチャを利用したある一つの測定結果の選択が、同時にこの測定結果の排除をもたらし得るものである、といえる。すなわち、その結果として行われる、この選択された測定結果の表示は、この測定結果がもはや表示されないことにより、行われることがある。
【0023】
少なくとも一つの測定結果の選択を意味するジェスチャの他に、少なくともさらにもう一つのジェスチャによって、さらにもう一つのプロセスが誘発されるようにする、例えば、第1のジェスチャの結果として選択された測定結果が、表示される、棄却される、削除される、印刷される、記憶される、および/または別の装置に転送されるようにするとよい。
【0024】
本発明は、特に、量産方式で製造される加工物の測定結果の表示に関する。例えば、量産の枠内で、製造された個々の個体またはすべての個体が、一台の座標測定装置によって、または複数の座標測定装置からなる配置によって測定されるようにするとよい。その後で、そこから得られた測定結果が、例えば製造された個体が通過する製造設備の別の場所で、使用者のジェスチャによって選択されるようにするとよい。例えば、製造設備のこの場所では、何らかの画面、または何らかの画像もしくは光線投射設備を利用できるようになっており、それらのうち一つまたは複数を用いて、選択された一つまたは複数の測定結果が、個体のところに直接、または個体のすぐ近くに表示されるようにしている。量産現場では、製造時に故障が生じたときに製造プロセスにできるだけ早期に介入できるようにするためにも、補助手段を用いずに多数の測定結果から特定の測定結果を選択できるようにすると、特に有利である。
【0025】
特に、次の方法、すなわち、加工物の測定結果を表示するための方法であって、
a1)加工物の存在している一つの個体のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出して識別する工程、または
a2)加工物の存在している一つの個体の一つの画像のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出して識別する工程、
b)またその際には、前記ジェスチャの前記検出工程において、前記ジェスチャが行われる少なくとも一つの位置を検出して、
c)前記ジェスチャの識別結果および前記ジェスチャの位置の検出結果に依存して、測定結果を選択して表示する工程から成る方法
が提案される。
【0026】
さらに、加工物の測定結果を表示するための配置が提案されるが、この配置は、
i.様々な測定結果を受信するための、一つのインターフェース、および/または様々な測定結果を記憶するための、一つの記憶装置と、
ii.加工物の存在している一つの個体のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出するための、または加工物の存在している一つの個体の一つの画像のところで使用者が行う、予め定義された使用者のジェスチャを検出するための、一つのジェスチャ検出装置と、
iii.前記ジェスチャが行われる位置を検出するための、一つの位置検出装置と、
iv.前記ジェスチャを、予め定義されたある一つのジェスチャとして識別するための、一つの識別装置と、
v.前記位置の検出結果および前記ジェスチャの識別結果に依存して、前記加工物の座標を決定するある一つの測定結果を選択するための、一つの選択装置
とを有している。
【0027】
この配置構成には、他にも、選択された測定結果が表示される一つの画像表示装置が含まれているとよい。
【0028】
多くの場合、位置を検出する以外にも、ジェスチャの向きを検出して、測定結果を選択するために、この向きに配慮すると有利である。例えば、円運動を行うときに、その円が水平面内にあるか、垂直面内にあるか、またはそれ以外の平面内にあるかに応じて、異なる測定結果が選択されるようにするとよい。それに対応して、ジェスチャの位置を検出するための位置検出装置以外にも、その代わりに、またはそれに追加して、向き検出装置が備えられるようにするとよい。その場合、これら二つの検出装置は、一つの同じ検出装置であってもよい。例えば、少なくとも一台のカメラを用いて検出する場合は、このカメラによって撮影されたそれぞれの画像の評価から、ジェスチャの位置も、また向きも、得ることができる。
【0029】
特に、測定結果を選択するために、ジェスチャの向きも重要である場合は、ジェスチャおよびその位置および/または向きを検出するために、ジェスチャを行うことができる領域に異なるアングルで向けられた複数のカメラが採用されることが好ましい。
【0030】
ある一つの測定結果とある一つのジェスチャとの照合は、例えば、トレーニング・プロセスにおいて、どのジェスチャがどの測定結果またはどの種類の測定結果と照合されるかを検出装置に提示することによって、学習させることができる。このために、使用者は、例えばジェスチャを一回または複数回行って、そのジェスチャを所望の測定結果に割り当てさせる。またその際にはこのジェスチャを、特定の個体の測定によって得られた具体的な測定結果に割り当てさせるのではなく、球の直径の決定など、測定結果の種類に割り当てさせることが好ましい。
【0031】
選択に利用可能な測定結果は、任意の種類の測定結果でよい。それに対応して、選択された少なくとも一つの測定結果の表示方式も、まちまちであってよい。例えば、基準値と実際値の偏差の度合いに依存して大小のサイズが選択される記号、フラグ、および/またはバーを利用して、特に不良の表面領域にマーキングが施されるようにするとよい。また、測定結果を表示するために、数値および/または文字を使用することもできる。特に、規格ISO1101(または匹敵する規格)に収録されている評価の種類はことごとく、本発明との関連においても使用できるものである。これらの評価により、相応の測定結果をもたらすことができるが、その中から、使用者が行ったジェスチャに基づいて、少なくとも一つの測定結果が選択されることになる。
【0032】
散見する評価の種類は、例えば真円度、平面度、または真直度などの、輪郭形状の評価である。選択された結果をより良く表示するために、輪郭形状が描く線が誇張して表示されるようにするとよい。
【0033】
例えば、測定結果は、様々な色および/またはグレースケールを使って画面またはディスプレイ上に表示することも可能であるが、この場合は、個々の色および/またはグレースケールがそれぞれ、測定結果の一つのカテゴリに対応することになる。例えば、加工物の基準状態からより著しく外れている加工物の表面領域を、基準状態から外れていない、またはわずかしかずれていない表面領域とは異なる色で表示するとよい。偏差の度合いの単位ごとに、一つの色を割り当てさせるとよい。この偏差は、例えば、ある一つの基準点に対する、ある一つの表面地点の相対位置の偏差、および/または表面の断面輪郭形状の偏差(例えば波形または粗さ)であるとよい。色および/またはグレースケールを用いた測定結果の表示は、文献では擬色表示と呼ばれる。
【0034】
選択された測定結果は、例えば、好ましくは、実際に存在している個体の画像に関して位置が適正となるように、または観察者(すなわち例えば使用者)の視野内にある加工物の個体に関して位置が適正となるように、表示されるとよい。位置が適正となるように表示されるとは、その場所が同時に、測定された各座標に当該している固体の場所であることを、観察者がその都度見出すことになるような、何らかの画像表示装置の場所に、様々な情報が表示される、と解釈されるものである。例えば、擬色表示においては、加工物の実際に存在している個体のある一つの表面領域が、その時々の色で着色されることになる。またその際には、色の他に、実際に存在している個体の現実の表面も、観察者にとり識別可能であることが好ましい。
【0035】
上述した提案によれば、加工物の個体の座標、すなわち実状態の座標が測定される。そこから、これらの座標に割り当てされた実状態に関する情報を生成することができる。これは、これらの座標を、ただ単に、例えば特定のデータフォーマットなど、特定の形式で表示したものであるとよい。しかし、座標に割り当てさせた情報を生成する際には、基準状態に関する評価が既に行われるようにすることが好ましい。例えば、複数の表面地点について測定された様々な座標の一つまたは複数の集合を対象として、加工物もしくは加工物のある一つの座標系の一つの基準点に関して、または基準物体(例えば加工物の別の表面など)に関して、表面地点が基準状態からどれだけ離れているかを計算することができる。例えば、ある一つの表面地点が、加工物の基準状態に基づく一つの当該地点の位置から、ある一定の距離量の分だけ、ある一定の方向に離間して位置していることが、明らかになるとよい。この距離が、任意選択によりその方向と合わせて、例えば擬色表示(上記参照)により表示されるようにするとよい。加工物の座標測定からの測定結果を記述する様々な可能性については、この距離以外にも当業者によく知られており、これらも同様に使用することができる。一般に、例えば、形状偏差、寸法偏差、および/または位置偏差が測定結果として決定されて、任意選択により、使用者のジェスチャによる選択後に、やはり位置が適正となるように表示されるようにするとよい。
【0036】
ジェスチャを用いて測定結果を選択し、任意選択により、実状態または基準状態(例えばCADモデル)に対応している加工物の個体に関連付けて、実状態に関する情報を位置が適正となるように表示することにより、実際に存在している現実の個体およびその様々な領域(特にそのそまぞまな表面領域)にこれらの情報を割り当てさせることが観察者にとってかなり容易になる。これにより、例えば、加工物の任意の個体の製造不良の原因を容易に識別できるようになる。
【0037】
現実の加工物の個体は、ジェスチャが行われる間に実際に観察者の視野内に位置しているとよい。しかしまた、加工物が例えば観察者の視野外にあり、少なくとも一つの測定結果の選択のために画像生成装置によって一つの画像が生成され、この画像が画面上に表示されるようにすることも可能である。この個体は、これが視野内にある場合は、表示装置の後方に位置し、表示装置によって隠されていてもよいし、または表示装置を通して観察されるようにしてもよい。いずれにせよ、この個体が存在することにより、画像表示装置とは関係なく、観察者が加工物を観察可能であることを実現している。例えば観察者は、加工物が小型であれば、その個体を手に取り、ルーペを用いてより詳しく観察することができる。加工物が大型であれば、観察者は、例えばその個体の周りを一周する、または個体に近づくことができる。
【0038】
特に有利であるのは、例えば、以下に記載する二つの構成形態である。
【0039】
第1の構成形態では、実際に存在している個体が、観察位置から見て、画像表示装置の後方(すなわち特に画面の後方)に配置され、観察者はこの個体を、画像表示装置(特に画面)を通して見ることができる。この目的のために使用することができる相応の半透明画面は、それ自体知られている。
【0040】
他方の構成形態では、画像表示装置は半透明でなく、加工物の実際に存在している一つの画像が画面上に表示されるようになっている。この実施形態は、個体の表示も、また測定結果の表示も、例えば表示の明度、コントラスト、および/または色強度に関して、またはそれ以外の形式で変更することが可能であり、それにより、例えば、実際に存在している個体の表面がより鮮明に見える、または実状態に関する情報をより明瞭に認識できるようになるという利点を有する。それに対し、半透明画面を用いる構成形態では、実際に存在している個体の表面から発して画面を通過する光の強度に上限がある。半透明画面は、この光の一部を反射し、一部を吸収する。
【0041】
特に、半透明でない画面を用いる構成形態の場合は、ポータブルコンピュータ、例えばいわゆるハンドヘルドコンピュータ(例えば、今日市場において入手できるような、大型ディスプレイおよび相応の計算能力を有する移動電話)、オーガナイザ、PDA(携帯情報端末)およびタブレットPC)、さらにはノートブックコンピュータ(例えば典型的には8インチよりも大きい画面対角寸法を有する折畳み式のフラットパネルディスプレイを装備)なども、本発明のための検討対象となる。これらのコンピュータの画面またはディスプレイは、画像表示装置として使用することができる。現代の移動電話またはハンドヘルドコンピュータでは、多くのケースで画面の反対側に配置されるカメラレンズが存在するが、加工物の実際に存在している個体の画像を生成するためにこれらを使用することができる。ノートブックコンピュータでは、例えば、コンピュータの開いたディスプレイ部の裏側に個体を配置して、この加工物の画像を撮影する一つのカメラが、このディスプレイ部に取り付けられるようにするとよい。
【0042】
加工物の存在している個体の位置および向きは自動的に検出され、さらに、任意選択により、選択された少なくとも一つの測定結果に依存して、この少なくとも一つの測定結果が、位置が適正となるように表示されることが好ましい。あるいはその代わりに、またはそれに追加して、選択された測定結果が画像表示装置に表示される間に、この個体の運動が追跡されて、測定結果の表示が、運動の追跡結果に対応して継続的に適合されるようにしているが、それにより情報は、永久的に位置が適正となるように表示されることになる。情報を位置が適切となるように表示できるようにするために、まず、この個体の運動の追跡結果は、データ処理技術により演算処理されるために、短い時間遅延を伴って位置が適正となるように表示を行うことができる。しかし、高性能のマイクロプロセッサを用いれば、この短い時間遅延は観察者にはほとんど知覚されない。
【0043】
加工物の個体の位置および向きを検出するためにも、また個体の運動を追跡するためにも、いわゆるトラッキング・システムが使用されるとよい。その際には、トラッキング(すなわち追跡)のすべての既知の原理が使用されるようにするとよい。例えば、トラッキング・システムは、磁気的原理に基づくシステムであるとよい。このために、ある一つの外部磁場の中で、通例は極小サイズに諸元決定された、電流が流れる少なくとも一つのコイル(または複数のコイルから成る一つの配置)が追跡されるようになっている。このコイルは、加工物の個体と機械的に接続されているために、この個体の位置、向き、および運動も検出することができる。そのようなトラッキング・システムは、例えば、Ascension−Technology−Corporation(米国バーモント州バーリントン(Burlington,VT05402,USA))が製造している。
【0044】
あるいはその代わりに、またはそれに追加して、使用者の位置および/または視線方向を自動的に検出して、座標を決定する少なくとも一つの測定結果を選択する際には、これに配慮するとよい。任意選択により、さらに、使用者の位置および/または視線方向のこの検出結果に依存して、測定結果が画像表示装置に位置が適正となるように表示されるようにするとよい。この位置および/または視線方向を決定するために、再びトラッキング・システムが使用されるとよい。例えば観察者の頭部に、トラッキング・センサ(例えば上述のコイル、または複数のコイルから成る配置)が装着される。装着に適しているのは、例えば、観察者の耳に掛けることができる眼鏡またはテンプルである。
【0045】
一般に、本発明は、画像表示装置としてデータグラスを用いて実現することもできる。この場合は、トラッキング・センサが、様々な拡張現実装置において多く行われているように、データグラスに組み込まれるか、またはデータグラスと機械的に接続されるものであるとよい。文献において用いられるデータグラスを表す別の用語は、ヘッドマウントディスプレイである。観察者の頭部に装着される装置は、典型的な眼鏡の形態をとる必要がないことから、このように言われるようになっている。またその場合、このディスプレイは、透過性を示す必要はない、すなわち半透明である必要はない。
【0046】
以下、本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】半透明画面を通して観察者が観察することができる加工物の個体を有する配置の概略図である。
【図2】基準状態からの偏差の程度が異なる二つの表面領域と、さらにもう一つの測定結果が表示された、加工物の画面表示を示す図である。
【図3】加工物の個体の外観がカメラによって捕捉される、図1に示される配置の代替形態を示す図である。
【図4】加工物の個体の近くにある使用者の手を概略的に示す図であるが、そこでは、この手により行われるジェスチャに対応する少なくとも一つの測定結果を選択するために、このジェスチャが多数のカメラによって捕捉されるようになっている。
【図5】量産設備の一部を上から見た上面概略図であるが、そこではこの設備が他にも、製造されたそれぞれの個体の座標を測定するための一つの測定ステーションを有しており、さらにそこには、この測定ステーションの代わりに、またはこれに追加して、好ましくは加工物のある一つの個体の測定結果を、ある一つの画面上に、この画面の観察者が、加工物の別の個体を見ている間にも、表示できるようになっている、一つの評価ステーションが備えられている。
【図6】図5に示される量産設備の測定ステーションを示す図である。
【図7】輪郭形状が描く線を決定する測定結果が表示された画面を示す図であるが、そこではこの輪郭形状が描く線が誇張して表示されている。
【図8a】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8b】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8c】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8d】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8e】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8f】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8g】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8h】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8i】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8j】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8k】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8l】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8m】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8n】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【図8o】ジェスチャによって表すことができるいくつかの予め定義された形状記号および/または位置記号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1に、一つの半透明画面3が概略的に示されているが、これには、一つのデータ処理装置5による制御下で、加工物の座標の測定から得た様々な測定結果を表示できるようになっている。図2に示されるように、これらの測定結果は、例えば擬色表示方式で、および/または寸法として、表示することができる。これについて、さらに詳細に述べる。
【0049】
観察者(図1には図示せず)は、観察位置7から、半透明画面3を通して、加工物の個体9を観察する。この個体9は、図1に直方体11で示されるサイズで画面3の平面内に現れる。画面3の像平面内にあるように見える物体11が、実際に存在している個体9の画像に過ぎないことを、四本の線8a〜8dが明示している。
【0050】
この配置の代替構成形態において、この物体11は、画面3を適宜制御することによって画像表示装置により生成されるイメージ・オブジェクトであるとよい。この場合は、例えば、画面3の裏面に個体9を撮像する一つのカメラが配置されることになる。
【0051】
しかし、図1に示される配置の場合には、画面3の制御部5によって測定結果のみが画面3上に表示され、加工物は表示されない。観察者または他の使用者のジェスチャによって少なくとも一つの測定結果が選択された後、この少なくとも一つの測定結果は、位置が適正となるように、すなわち、観察者が個体9のある一つの特定の領域を見出すことになる画像表示装置上の場所に表示され、また、物体のこの領域に割り当てさせた付属測定情報も表示される。「割り当てさせた」とは、加工物のこの個体または別の個体のこの領域が既に測定されており、測定によって得る実状態に関する情報は、この過去の測定結果から得られたものであると、解釈できるものである。一般には、そのために、加工物のこの領域の座標を測定し、そこから、この領域の実状態に関する情報、すなわち測定結果を得るようになっている。任意選択により、測定結果を、選択前に既に位置が適正となるように表示することもできる。しかし、多くの場合、測定結果は余りにも多過ぎるために、使用者が、現時点での使用者の興味の対象である特定の測定結果を、加工物の個体および/または個体の特定の領域に割り当てさせることは不可能であるか、または割り当てさせることができたとしても、様々な制約に縛られることになる。
【0052】
測定結果は、図1の左側に矢印で示唆されたインターフェースを介して、画面3の制御機能も備えるデータ処理装置5に供給される。これは、画面3上に測定結果を表示する間に行われるとよい。しかし多くのケースにおいて、座標測定には多少の時間がかかるために、加工物の測定を事前に行うことが有利であるように思われる。この加工物は、存在している、使用者が直接または間接的に観察することができる固体と同一である必要はない。
【0053】
図1には、さらに、(図の上の部分に長方形で図式的に)トラッキング・システム15が示されているが、このトラッキング・システム15は、連続的に個体9の位置および向きを検出する。この検出は、図の右上の部分に示された矢印で示唆されている。特に、一つの同じトラッキング・システムで、個体9の位置および向きも、また使用者のジェスチャも、検出することも可能となっている。そのような構成形態は、図4を参照してさらに説明する。このようなトラッキング・システムは、個体およびジェスチャの画像を捕捉するための少なくとも一つのカメラを使用することが好ましい。
【0054】
個体の位置および向きに対応して、トラッキング・システム15が信号を発生し、それらの信号がデータ処理部5に供給される。これは、図の左上の二つの矢印で表される。データ処理部5は、それらの信号から、画面3上で測定結果を位置が適正となるように表示するために必要な情報を生成する。
【0055】
特に、個体9の位置および向きを決定する際にトラッキング・システムが基準としている座標系と、画面3上に表示するための画像コンテンツの座標系の見当合わせが、表示の開始前または開始時に行われるようになっている、すなわち、これらの座標系は、測定結果を位置が適正となるように表示することができるように、互いに関係付けられるようになっている。この見当合わせは、例えば対話式に、データ処理装置5が、画面3上の選択された位置に画像コンテンツ(例えば一つの矢印)を表示し、使用者が、それに対応する個体9の表面の照合された箇所に、トラッキング・システム15により現在位置を検出できるようになっている一つの特殊な信号発生器を用いて触れて、信号をトラッキング・システム15またはデータ処理装置5に出力することによって、行われるようにするとよい。このようにして、トラッキング・システム15またはデータ処理装置5は、現時点で画面3上に示されている位置が個体9の表面のある一つの特定の場所に当たることを学習することができる。個体9の表面の少なくとも3箇所に関してこの手順が行われると、完全な対話式の見当合わせを行うことができる。
【0056】
しかし、例えば個体9の画像を自動的に捕捉して、これらの画像を自動的に評価することによって、個体9の位置および向きを決定することもできる。この場合は、例えば、表面の特徴的な場所が画像から識別されて、(基準状態についても再現可能な)加工物のコンピュータ・モデルを用いて、現実の個体9の現時点での位置に割り当てされることになる。
【0057】
そのような方法では、初期見当合わせを行う必要はない。それどころかこの方法により、個体9の正確な位置および向きを連続的に算出することができる。しかし、個体9の運動およびこの運動に結び付いた個体9の場所の位置および向きの変化の追跡結果を、より少ない計算コストで、したがってより迅速に把握することができるために、初期見当合わせの方が優先される。特に、このような運動の追跡は、トラッキング・システムにより自動的に行われるようにするとよい。しかし、トラッキング・システムをデータ処理装置5に組み込むことも可能である。
【0058】
図2には、特に図1の事例を対象とする、しかしまた別の事例も対象とする、観察対象の加工物の表面の第1の領域21および第2の領域23を、位置が適正となるような表示方式で、図式的に示したものである。加工物は、図2でも図式的に直方体で表され、これは、画像表示装置によって画面上にアクティブ表示される画像、および/または観察者が画面3を通して物体を直接見ることができるために、見かけ上は画面3の像平面内に位置する画像である。さらに図2においては両方向矢印により、画面3上に直方体11の一つの寸法、すなわち直方体11のほぼ水平に延びる上面と下面間の距離が表示されることが、示唆されている。この距離は、例えば、直方体11のこの左側の縁部における局所的な距離であっても、上記の両表面間の平均距離であってもよい。
【0059】
ここで、問題となっているのが一つの像平面であるとしても、本発明はそれにより、像平面を一つだけ有するパネル状の画像表示装置に限定されない。それどころかむしろこの画像表示装置は、例えば様々な立体表示法を用いて3次元画像を表示するための装置であってもよい。また、観察者の両目は互いに離れており、したがって2箇所の異なる場所に位置しているために、半透明画面である場合は、観察者が、図1のケースでは、実際に存在している個体9を両目で2箇所の観察位置から観察する点にも留意すべきである。これは、位置が適正となるように表示する際に考慮に入れられることが好ましい。特に、立体表示では、加工物の実状態に関する情報を、それぞれの目に対して独自の、その目に合わせた表示が行われるようにするとよい。これには、それぞれの目に対して、別個の画面、または同じ一つの画面の別個の領域(例えば半透明データグラスなど)が使用されるケースも包まれている。
【0060】
図2に示される加工物の表面の領域21、23には、図2の描写では、異なるハッチングが施されている。実地においては、ハッチングの代わりに、例えば、それぞれの領域を異なる色で表示する、または異なるグレースケールで表示することができる。これらの領域21、23はいずれも、使用される色またはグレースケール(ここではハッチング)に割り当てさせた、加工物表面の位置偏差のある一定の度合いを示している。「偏差」とは、ここでは、実状態の測定結果が、基準状態から外れていると解釈されるものである。例えば、領域21に当該する表面領域は、基準位置から0.1〜0.2μm外れており、また領域23によってマーキングされた表面領域は、表面の基準位置から0.2〜0.3μm外れている。
【0061】
さらに、既述のように、加工物の一つの寸法が画面3上に表示されるようになっている。図2に示される描写は、簡略化した一例にしか過ぎない。実地においては、通例、加工物の座標測定からの測定結果が多数存在しており、個々の測定結果の選択を行わないと、画面表示が見づらくなってしまう。測定結果の表示に際しては、図2の図示とは異なり、数字、文字、および別の記号を使用することもできる。例えば、図2に示される寸法については、さらに、例えば「23.753mm」などの測定値も画面上に表示することができる。
【0062】
図7に、別の種類の測定結果が示される。画面3上には、測定対象物71の表面73の輪郭が誇張して表示されている。そこに示されるように、画面3上に表示されている、この誇張された描写方式72による表面73aの輪郭形状が描く線の変化は、測定対象物71の表面73の輪郭形状が描く線の変化よりも著しくなっており、したがってこれをより明瞭に認識できるようになる。
【0063】
測定結果を表示するための配置の図3に示される代替形態は、図の左側に加工物の個体9を示す。この個体9はカメラ31によって捕捉され、またカメラは、相応の画像データを、図1に示されるデータ処理装置35に相当するデータ処理装置35に出力する。
【0064】
データ処理装置35は、カメラ31によって撮影された個体9の画像も、また、好ましくは位置が適切となるような表示方式で加工物の測定結果も表示されるように、画面33を制御する。この表示の見た目は、例えば図2に示されるようなものであるとよい。
【0065】
座標測定装置は、図1〜図4には詳細には示されていない。例えば、図1の配置に関しては、この座標測定装置を、図の左側に書き込むことができるかもしれないが、それにより矢印は、インターフェース13により、この座標測定装置からデータ処理装置5へと至ることになる。
【0066】
図4には、加工物の個体9が位置する場所が示されている。この場所のところで、使用者はその片手47でジェスチャを行うことができるが、その際にこの手47は、個体9の至近に位置しているか、またはなんとこれと接触している。至近とは、特に、最大5cm、好ましくは最大2cmの距離であると解釈される。距離に関するそのような限界値を下回ることは、このジェスチャ識別装置にとっては(これが言えるのは、ここで説明する実施形態だけに限られないのだが)、何らかのジェスチャが行われるという情報を意味するものであるとよい。この場合、ジェスチャ識別装置は、この限界値を下回っている間だけ、使用者の何らかの動作を、何らかのジェスチャが行われていると解釈する。
【0067】
この例示的実施形態においては、この場所が、複数のカメラ41a、41bの視野内に位置している。図4に示されるものとは異なり、三台以上のカメラをこの場所に向けることもできる。これらのカメラ41は、画像信号ライン43を介して一つの識別装置45と接続され、この識別装置45は、受信されたカメラ画像から、手47により行われたジェスチャを、複数の予め定義されたジェスチャのうちの一つとして識別するように構成されている。
【0068】
任意選択により、識別装置45は、ジェスチャが行われている位置を検出する装置でもある。特にこの位置は、加工物の個体に対する相対位置である。したがってこの検出装置は、加工物の絶対位置(すなわち、実験室系内における位置)および手47の絶対位置を検出するのではなく、むしろ手47と個体9の相対位置(すなわち、加工物の座標系内における位置)を直接検出するように構成されるとよい。
【0069】
さらにこの検出装置は、ジェスチャが行われるときの手47の向きを検出するように構成されるとよい。この向きは、個体9および手47が位置する場所を基準として検出することができる。しかし、位置検出と同様に、個体9に対する相対的な向きが検出されることが好ましい。
【0070】
同様に、識別装置45内に、位置の検出結果およびジェスチャの識別結果に依存して、加工物の座標の決定する、ある一つの測定結果を選択するための、一つの選択装置を組み込むこともできる。例えばこの識別装置45は、コンピュータ・プログラムによる制御下で上記の認識、検出、および/または選択の各機能を実行するコンピュータである。
【0071】
図4には、この装置45から画面3への制御接続部47が示され、そこを介して画像信号が装置45から画面3に伝送される。この装置45は、これが市販のコンピュータである場合は、例えば、装置45の中央処理装置による制御下で、画面3に表示すべき画像を画像信号の形で生成して出力するようになっている、一つのビデオカードを有している。
【0072】
複数の測定結果が表示されるようになっている、図2に示される画面3の状態から出発して、例えば、図4に示される個体9の近くの場所で、片手47を利用したジェスチャの実行が行われる。例えば、図4に示されるものとは異なり、この手47は、1本の伸ばした指だけで、例えば人差し指だけで、この伸ばした指の指先を、個体9の手前左側の上から下に延びる辺に沿って、直線状に動かす。このジェスチャがカメラ41によって検出される(すなわち、連続する画像が撮影されて、装置45に伝送される)。装置45は、個体9に対する伸ばした指の指先の相対位置を認識する、すなわち、指先で空間内に描かれた線が、上記の辺と平行に、かつ上記の辺の至近に延びていることを認識する。この指先の直線的な動きから、装置45は、測定結果として加工物の一つの直線寸法が選択されたことを確定する。この線が上記の辺に対して至近にあることから、装置45は、図2に示される寸法25が選択されたことを確定する。その結果、この寸法25のみが画面3上に表示され、それ以外の測定結果は画面からフェードアウトされるようになっている。あるいはその代わりに、選択された測定結果は、強調される、例えば、特別な色で表示される、またはフェードイン、フェードアウトが繰り返されるようになっている。
【0073】
図5は、量産設備の一部を示す。右向きの矢印が示唆するように、この生産工程において製造される個体51a、51b、51cは左から右へ搬送される。その際、図示される例示的実施形態では、これらの個体はいずれも、例えばパレット52a、52b、52cなど、一つの搬送手段の上に位置している。これらのパレットは、互いに対する相対位置が既知となっているマーカー8、例えば球を三つずつ有している。これにより、基準座標系が存在することになる。
【0074】
図5の右側には、一つの測定ステーション53が示されており、この測定ステーション53内で、パレット52c上に配置された個体51cが測定される。図6に、この測定ステーションを側面図で示す。この例示的実施形態では、測定ステーションに、ゲート型の座標測定装置61が備えられている。ゲートの二つの支柱55a、55bの間にパレット52c上の個体51cが位置している。この測定装置61の一つのセンタースリーブ58は、支柱55a、55bをつなぐ一つのブリッジ59に沿って水平方向に移動することができる。ブリッジ59は、図6の像平面に対して垂直に、支柱55に対して相対的に移動可能である。さらに、センタースリーブ58の下端部に配置されたボールスタイラス57を、個体51cとの機械的な接触のために垂直方向に移動させることができる。それにより、個体51cの表面をボールスタイラス57によって機械的に走査することができる。この走査結果から、それ自体としては知られている方法により、走査された表面地点の座標が算出される。
【0075】
さらにこの量産設備は、図5には示されていない一つの測定ステーション、例えば図4に示されている上述の装置を有する測定ステーションを有しているとよい。
【0076】
図8は、加工物の座標測定からの測定結果を定義するために、例えばISO−1101に形状記号および/または位置記号として定義された複数の記号を示す。したがって使用者は、これらの記号の一つとして識別されるジェスチャを行うことによって、その記号に割り当てされている測定結果を選択することができる。
【0077】
ここで、以下に個々の記号を簡単に説明する。しかし、それぞれの記号に割り当てされている測定結果の詳細については、ISO−1101を参照されたい。
【0078】
図8aは、平行四辺形を示す。この記号には、測定された加工物の一つの面の平面度が割り当てされている。図8bは、半径線を有する半円、すなわち半月形の輪郭を示す。これには測定結果「面の異形度」が割り当てされているが、これは、測定された加工物の一つの面が基準幾何形状と比較されることを意味している。図8cは、水平に延びる直線を示す。これには測定結果「真直度」が結び付けられているが、これは、測定された加工物のある一つの線形の領域または輪郭形状の、ある一本の直線からの偏差が、測定結果として選択されなければならないことを意味している。図8dは、二つの平行な、左下から右上に向かって延びる、それぞれの下側の端部が一つの水平な線分によってつながれている矢印を示す。これには、加工物と測定との関係により、測定結果「全振れ公差」または「円周振れ公差」が割り当てされるが、これは、加工物の一つの面に、ある一つの基準状態または理想状態に対する公差の測定結果が割り当てされることを意味している。
【0079】
図8dの記号のように矢印を表す際には、ジェスチャを行う手が、例えば予め定義された指のポーズ(例えば人差し指と中指がV字型に広げる)を取りながら、矢印の進行方向と等しい直線状の動きを行うようにするとよい。これが当該するのは、ジェスチャが空間内で自由に行われるケースである。手の動きに対応する線が矢印であることは、別の方法で識別されるようにしてもよい。例えば、上述したように、作動手段(例えば信号を発生させるための一つの信号ボタン)を備える一つの物体を手に持つことができる。それに対応して、ジェスチャ検出装置は、この作動手段の作動を検出し、その検出結果に依存して、ジェスチャの当該部分が一つの矢印であるか、それとも一つの直線であるかどうかを識別するように、構成すされるとよい。
【0080】
図8eは、二つの同心円を示す。この記号には、測定結果「同軸度公差」または「同心度公差」が結び付けられる。したがってこの測定結果は、この測定と加工物との関係により同軸または同心の要素が関わっているかどうかを記述するできるものである。図8fは、上から下向かって延びる、またその際には間に先細りする一つの空間を狭んでいる、同じ長さの二つの線を示す。この記号は、測定結果「円錐度」を表す。したがって、加工物または加工物の一領域が、ある一つの円柱形状またはある一つの所定の円錐形状からどの程度外れているかがわかる測定結果が表示されることになる。
【0081】
図8gは、下側に向かって開口した半円を示す。これには、測定結果「線の異形度公差」が結合される。測定結果として、加工物のある一つの輪郭線と、予め定められているある一つの基準線または理想線との偏差が選択される。図8hは、鋭角を成す二つの辺を示す。これには、測定結果「傾斜度」が割り当てされている。あるいはその代わりに、または、測定と加工物との関係により、測定結果「角度」が割り当てされるようにしてもよい。傾きは、長さの次元で表記され、角度は通常、度で表記される。図8iは、左下から右上に向かって延びる同じ長さの二本の平行線を示す。これには測定結果「平行度」が割り当てされているが、これは、測定結果として、加工物の様々な線形または面状の領域が、平行な延び方からどの程度外れているかを選択できることを意味している。図8jは、十字線付きの円を示す。これには、測定結果「位置公差」、すなわち、加工物のある一つの割り当てされた位置の、ある一つの基準位置または理想位置からの偏差が割り当てされている。図8kは、直角を成す二つの辺、具体的には、一本の垂直な辺が、一本の水平に延びる辺の中央から上に向かって垂直に延びていることを示している。これには測定結果「直角度」が結び付けられるが、これは、加工物の互いに対して横向きに延びる線形または面状の領域の偏差が提示されることを意味している。図8lは、記号としての円を示し、これには測定結果「真円度公差」、すなわち加工物の一領域の円形からの偏差が割り当てされている。図8mは、左下から右上に向かって延びるただ1本の矢印を示す。これには、測定結果「円周振れ公差」または「軸振れ公差」が結合される。図8dに示される記号とは対照的に、図8mに示される記号に割り当てされている測定結果は、測定される加工物のある一本の線に関するものであって、面に関するものではない。図8nは、上下に重ねて配置される3本の水平に延びる線を示すが、そこでは中央の線が上下の線よりも幾分長くなっている。この記号は、測定結果「対称度」を表す。したがって、加工物の各領域が、ある一つの理想的な対称構造から外れているか否か、またどれだけ外れているかを表現している測定結果を選択することができる。図8oは、間に一つの円が配置された、左下から右上に向かって延びる同じ長さの二本の平行線を示すが、この円には、それぞれの線が反対側で一種の接線のように接している。これには測定結果「円筒度」が結び付けられるが、これは、測定された加工物の一領域が、ある一つの円柱形状からどれほど外れているかを、測定結果として選択できることを意味している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物の一回の測定の複数の結果を表示するための方法であって、
a1)加工物の存在している個体(9)のところで、使用者の片手(47)または両手で行われる動きである、使用者のジェスチャを検出する工程、または
a2)加工物の存在している個体(9)の一つの画像(11)のところで、使用者の片手(47)または両手で行われる動きである、使用者のジェスチャを検出する工程、
b)前記検出されたジェスチャを、ある一つの記号を表している、ある一つの予め定義されたジェスチャとして自動的に識別する工程、
c)前記ジェスチャの識別結果に依存して、前記ジェスチャに割り当てられている、加工物の測定の一つの測定結果を、自動的に選択して表示する工程
から成る、方法。
【請求項2】
前記記号が、加工物又は加工物の一領域の測定座標の評価の方法が用いられる所定の形状記号及び/又は位置記号であり、かつ、前記ジェスチャが記号として識別されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジェスチャの検出時に、前記ジェスチャが行われる少なくとも一つの位置が検出される場合、前記識別されるジェスチャおよび前記ジェスチャの検出位置に依存して、前記加工物の測定の一つの測定結果が選択されて表示される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1の工程a1)に従って前記ジェスチャを検出する場合に、前記加工物の前記個体(9)の位置および向きが自動的に検出され、前記個体(9)の位置および向きの検出結果に依存して、かつ前記ジェスチャの検出位置に依存して、前記測定結果が選択される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記ジェスチャの向きが検出され、前記ジェスチャの向きにも依存して前記測定結果が選択される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記加工物の前記個体(9)が、前記使用者の観察位置から見て、一つの画像表示装置(3)の後方に位置しており、前記使用者が、前記画像表示装置(3)のところで前記ジェスチャを行う請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記加工物の前記個体(9)を、前記観察位置から、一つの半透明の表示装置(3)として構成された前記画像表示装置(3)を通して観察することができる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加工物の前記個体(9)の一つの画像が、一つの画像生成装置(31)によって生成されて、一つの画面(33)上に表示され、前記使用者が、前記画面のところで前記ジェスチャを行う、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記使用者の位置および/または視線方向が自動的に検出され、測定結果を選択するときに考慮に入れられる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記選択された測定結果が、存在している前記個体(9)の一つの画像に関して位置が適正となるように、または前記使用者の視野内に配置された前記加工物の前記個体(9)に関して位置が適正となるように表示される、すなわち、前記少なくとも一つの測定結果が、特に、画像生成装置の位置が表示され、使用者の位置で測定された座標が表示され、それらの座標から固体(19)の対応位置の分析結果が算出される、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
加工物の一回の測定の複数の結果を表示するための配置であって、
i.前記各結果を受信するための一つのインターフェース(13)、および/または前記各結果を記憶するための一つの記憶装置と、
ii.使用者の片手(47)または両手で、
‐前記加工物の存在している一つの個体(9)のところで、または
‐前記加工物の存在している一つの個体(9)の一つの画像(11)のところで
行われる動きである、前記使用者のジェスチャを検出するための、一つのジェスチャ検出装置(41a、41b)と、
iii.前記ジェスチャを、ある一つの記号を表している、予め定義されたある一つのジェスチャとして識別するための、一つの識別装置(45)と、
iv.前記識別されたジェスチャに依存して一つの測定結果を選択するための、一つの選択装置(45)とを備える配置。
【請求項12】
前記記号が、加工物又は加工物の一領域の測定座標の評価の方法が測定結果として用いられる所定の形状記号及び/又は位置記号であり、かつ、ジェスチャが記号として識別される前記識別装置(45)が実行されることを特徴とする請求項11に記載の配置。
【請求項13】
前記ジェスチャが行われる位置を検出するための、一つの位置検出装置(45)を備える請求項11または12に記載の配置。
【請求項14】
前記加工物の前記個体(9)の位置および向きを決定するための、一つの決定装置(45)を備え、前記決定装置(45)が、前記加工物の前記存在している個体(9)のところで前記ジェスチャが行われる場合に、前記個体(9)の位置および向きを自動的に決定し、また前記選択装置(45)が、前記個体(9)の位置および向きの決定結果に依存して、かつ前記ジェスチャ位置の検出位置に依存して、測定結果を選択するように構成されている、請求項13に記載の配置。
【請求項15】
さらに、前記ジェスチャの向きを検出するための一つの向き検出装置(45)を備え、また前記選択装置(45)が、前記ジェスチャの向きの検出結果にも依存して、前記測定結果を選択するように構成されている、請求項11〜14のいずれか一つに記載の配置。
【請求項16】
前記加工物の前記個体(9)が、前記使用者の観察位置(7)から見て、一つの画像表示装置(3)の後方に位置しており、前記使用者が、前記画像表示装置(3)のところで前記ジェスチャを行う、請求項11〜15のいずれか一つに記載の配置。
【請求項17】
前記加工物の前記個体(9)を、前記観察位置(7)から、半透明画面(3)として構成された前記画面(3)を通して観察することができる、請求項16に記載の配置。
【請求項18】
前記加工物の前記個体(9)の一つの画像を生成するため、および一つの画面(3)上に前記画像を表示するための、一つの画像生成装置(31)を備える、請求項11〜16のいずれか一つに記載の配置。
【請求項19】
前記使用者の位置および/または視線方向を検出するための一つの検出装置を備え、また前記選択装置(45)が、前記測定結果を選択する際に、前記使用者の位置および/または視線方向を考慮に入れるように構成されている、請求項11〜18のいずれか一つに記載の配置。
【請求項1】
加工物の一回の測定の複数の結果を表示するための方法であって、
a1)加工物の存在している個体(9)のところで、使用者の片手(47)または両手で行われる動きである、使用者のジェスチャを検出する工程、または
a2)加工物の存在している個体(9)の一つの画像(11)のところで、使用者の片手(47)または両手で行われる動きである、使用者のジェスチャを検出する工程、
b)前記検出されたジェスチャを、ある一つの記号を表している、ある一つの予め定義されたジェスチャとして自動的に識別する工程、
c)前記ジェスチャの識別結果に依存して、前記ジェスチャに割り当てられている、加工物の測定の一つの測定結果を、自動的に選択して表示する工程
から成る、方法。
【請求項2】
前記記号が、加工物又は加工物の一領域の測定座標の評価の方法が用いられる所定の形状記号及び/又は位置記号であり、かつ、前記ジェスチャが記号として識別されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジェスチャの検出時に、前記ジェスチャが行われる少なくとも一つの位置が検出される場合、前記識別されるジェスチャおよび前記ジェスチャの検出位置に依存して、前記加工物の測定の一つの測定結果が選択されて表示される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1の工程a1)に従って前記ジェスチャを検出する場合に、前記加工物の前記個体(9)の位置および向きが自動的に検出され、前記個体(9)の位置および向きの検出結果に依存して、かつ前記ジェスチャの検出位置に依存して、前記測定結果が選択される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記ジェスチャの向きが検出され、前記ジェスチャの向きにも依存して前記測定結果が選択される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記加工物の前記個体(9)が、前記使用者の観察位置から見て、一つの画像表示装置(3)の後方に位置しており、前記使用者が、前記画像表示装置(3)のところで前記ジェスチャを行う請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記加工物の前記個体(9)を、前記観察位置から、一つの半透明の表示装置(3)として構成された前記画像表示装置(3)を通して観察することができる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加工物の前記個体(9)の一つの画像が、一つの画像生成装置(31)によって生成されて、一つの画面(33)上に表示され、前記使用者が、前記画面のところで前記ジェスチャを行う、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記使用者の位置および/または視線方向が自動的に検出され、測定結果を選択するときに考慮に入れられる、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記選択された測定結果が、存在している前記個体(9)の一つの画像に関して位置が適正となるように、または前記使用者の視野内に配置された前記加工物の前記個体(9)に関して位置が適正となるように表示される、すなわち、前記少なくとも一つの測定結果が、特に、画像生成装置の位置が表示され、使用者の位置で測定された座標が表示され、それらの座標から固体(19)の対応位置の分析結果が算出される、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
加工物の一回の測定の複数の結果を表示するための配置であって、
i.前記各結果を受信するための一つのインターフェース(13)、および/または前記各結果を記憶するための一つの記憶装置と、
ii.使用者の片手(47)または両手で、
‐前記加工物の存在している一つの個体(9)のところで、または
‐前記加工物の存在している一つの個体(9)の一つの画像(11)のところで
行われる動きである、前記使用者のジェスチャを検出するための、一つのジェスチャ検出装置(41a、41b)と、
iii.前記ジェスチャを、ある一つの記号を表している、予め定義されたある一つのジェスチャとして識別するための、一つの識別装置(45)と、
iv.前記識別されたジェスチャに依存して一つの測定結果を選択するための、一つの選択装置(45)とを備える配置。
【請求項12】
前記記号が、加工物又は加工物の一領域の測定座標の評価の方法が測定結果として用いられる所定の形状記号及び/又は位置記号であり、かつ、ジェスチャが記号として識別される前記識別装置(45)が実行されることを特徴とする請求項11に記載の配置。
【請求項13】
前記ジェスチャが行われる位置を検出するための、一つの位置検出装置(45)を備える請求項11または12に記載の配置。
【請求項14】
前記加工物の前記個体(9)の位置および向きを決定するための、一つの決定装置(45)を備え、前記決定装置(45)が、前記加工物の前記存在している個体(9)のところで前記ジェスチャが行われる場合に、前記個体(9)の位置および向きを自動的に決定し、また前記選択装置(45)が、前記個体(9)の位置および向きの決定結果に依存して、かつ前記ジェスチャ位置の検出位置に依存して、測定結果を選択するように構成されている、請求項13に記載の配置。
【請求項15】
さらに、前記ジェスチャの向きを検出するための一つの向き検出装置(45)を備え、また前記選択装置(45)が、前記ジェスチャの向きの検出結果にも依存して、前記測定結果を選択するように構成されている、請求項11〜14のいずれか一つに記載の配置。
【請求項16】
前記加工物の前記個体(9)が、前記使用者の観察位置(7)から見て、一つの画像表示装置(3)の後方に位置しており、前記使用者が、前記画像表示装置(3)のところで前記ジェスチャを行う、請求項11〜15のいずれか一つに記載の配置。
【請求項17】
前記加工物の前記個体(9)を、前記観察位置(7)から、半透明画面(3)として構成された前記画面(3)を通して観察することができる、請求項16に記載の配置。
【請求項18】
前記加工物の前記個体(9)の一つの画像を生成するため、および一つの画面(3)上に前記画像を表示するための、一つの画像生成装置(31)を備える、請求項11〜16のいずれか一つに記載の配置。
【請求項19】
前記使用者の位置および/または視線方向を検出するための一つの検出装置を備え、また前記選択装置(45)が、前記測定結果を選択する際に、前記使用者の位置および/または視線方向を考慮に入れるように構成されている、請求項11〜18のいずれか一つに記載の配置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図8g】
【図8h】
【図8i】
【図8j】
【図8k】
【図8l】
【図8m】
【図8n】
【図8o】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図8g】
【図8h】
【図8i】
【図8j】
【図8k】
【図8l】
【図8m】
【図8n】
【図8o】
【公表番号】特表2011−526706(P2011−526706A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505393(P2011−505393)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002414
【国際公開番号】WO2009/129916
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(504267828)カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002414
【国際公開番号】WO2009/129916
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(504267828)カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】
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