説明

個人認証装置、個人認証方法、および個人認証プログラム

【課題】適切な生体情報を照合元として個人の認証を行うことが可能な個人認証装置、個人認証方法、および個人認証プログラムを提供する。
【解決手段】インターホンシステム1の子機10のマイク111から入力された来訪者の音声の情報が親機20に送信される。親機20では、受信した音声の情報から来訪者の声紋データが生成され、フラッシュROM220に登録されている複数の人物の声紋データと照合されることにより、来訪者が登録者であるか否を決定する認証処理が行われる。認証結果が表示モニタ213に表示され、屋内対応者に通知される。さらに、子機10の降雨センサ121により測定された降雨強度と、風速センサ122により測定された風速が、それぞれ、登録可否の判断基準として予め定められた第1の閾値および第2の閾値以下である場合には、取得された来訪者の声紋データが、フラッシュROM220に登録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いて個人認証を行う個人認証装置、個人認証方法、および個人認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な場面でセキュリティ確保の必要性が高まり、個人に固有の情報である生体情報を用いて個人の認証を行う技術が注目されている。このような個人認証技術では、予め、照合元として複数の人物の生体情報を登録しておき、登録された生体情報と、認証時に被認証者から取得される生体情報とを照合することにより、認証が行われる。例えば、特許文献1には、顔の特徴や音声を生体情報として使用して個人認証を行うドアホン装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−37088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のドアホン装置では、認証のために取得された被認証者(来訪者)の生体情報は、ユーザが更新キーを押下した場合にデータベース部に更新登録される。また、自動設定時には、来訪者の訪問がある度に更新登録される。つまり、その後、認証時の照合元とするのに適した情報か否かにかかわらず、更新登録が行われてしまう。特に、被認証者のいる場所の気象状況によっては、照合元とするのに適さない生体情報が登録されてしまう可能性がある。その結果、その後の認証処理では、被認証者から取得された生体情報が、照合元として適さない生体情報と照合されることになり、認証の精度が低下する虞がある。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、適切な生体情報を照合元として個人の認証を行うことが可能な個人認証装置、個人認証方法、および個人認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の個人認証装置は、生体情報を用いて個人の認証を行う個人認証装置であって、入力される情報が気象の影響を受ける場所に設置され、被認証者に関する情報を入力する情報入力手段から入力された前記情報に基づき、前記被認証者の前記生体情報である被認証者情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段によって取得された前記被認証者情報と、複数の人物の前記生体情報を個人情報として記憶する個人情報記憶手段に記憶された前記個人情報とを照合することにより、前記被認証者の認証を行う認証手段と、前記被認証者の所在場所の気象に関する情報である気象情報を検出する気象情報検出手段によって検出された前記気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された前記気象情報に基づいて、前記気象の前記被認証者情報への影響度が所定の基準以下であるか否かを判断する気象判断手段と、前記気象判断手段によって前記影響度が前記基準以下であると判断された場合に、前記生体情報取得手段によって取得された前記被認証者情報を、前記個人情報として前記個人情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段とを備えている。
【0006】
請求項2に係る発明の個人認証装置では、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記生体情報は、音声、顔の特徴点、および虹彩のうち、少なくとも1つに関する情報であり、前記気象情報は、降雨、降雪、風速、霧、および煙霧のうち、少なくとも1つに関する情報であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明の個人認証装置では、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記生体情報は、音声に関する情報であり、前記気象情報取得手段は、前記気象情報として降雨強度に関する情報を取得する雨情報取得手段を備え、前記気象判断手段は、前記雨情報取得手段によって取得された前記降雨強度に関する情報が、前記降雨強度は予め定められた第1の強度以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第1の降雨判断手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第1の降雨判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明の個人認証装置では、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記生体情報は、音声に関する情報であり、前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第1の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第1の風速判断手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第1の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明の個人認証装置では、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第1の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第1の風速判断手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第1の降雨判断手段および前記第1の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明の個人認証装置では、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記生体情報は、顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報であり、前記気象情報取得手段は、前記気象情報として降雨強度に関する情報を取得する雨情報取得手段を備え、前記気象判断手段は、前記雨情報取得手段によって取得された前記降雨強度に関する情報が、前記降雨強度は予め定められた第2の強度以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第2の降雨判断手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第2の降雨判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明の個人認証装置では、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記生体情報は、顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報であり、前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第2の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第2の風速判断手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第2の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る発明の個人認証装置では、請求項6に記載の前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第2の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第2の風速判断手段を備え、前記記憶制御手段は、前記第2の降雨判断手段および前記第2の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る発明の個人認証装置では、請求項1〜8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記生体情報取得手段は、前記被認証者を検知する被認証者検知手段によって前記被認証者が検知された場合に前記被認証者情報を取得し、前記認証手段は、前記生体情報取得手段によって前記被認証者情報が取得された後に、前記被認証者の認証を行い、前記気象判断手段は、前記認証手段によって認証が行われた後に、前記影響度が前記基準以下であるか否かを判断することを特徴とする。
【0014】
請求項10に係る発明の個人認証装置では、請求項1〜8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記生体情報取得手段は、前記被認証者を検知する被認証者検知手段によって前記被認証者が検知された場合に前記被認証者情報を取得し、前記気象判断手段は、前記生体情報取得手段によって前記被認証者情報が取得された後に、前記影響度が前記基準以下であるか否かを判断し、前記認証手段は、前記気象判断手段によって前記影響度が前記基準以下であると判断された場合にのみ、前記被認証者の認証を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項11に係る発明の個人認証方法は、コンピュータによって処理される、生体情報を用いて個人の認証を行う個人認証方法であって、入力される情報が気象の影響を受ける場所に設置され、被認証者に関する情報を入力する情報入力手段から入力された前記情報に基づき、前記被認証者の前記生体情報である被認証者情報を取得する生体情報取得ステップと、前記生体情報取得ステップで取得された前記被認証者情報と、複数の人物の前記生体情報を個人情報として記憶する個人情報記憶手段に記憶された前記個人情報とを照合することにより、前記被認証者の認証を行う認証ステップと、前記被認証者の所在場所の気象に関する情報である気象情報を検出する気象情報検出手段によって検出された前記気象情報を取得する気象情報取得ステップと、前記気象情報取得ステップで取得された前記気象情報に基づいて、前記気象の前記被認証者情報への影響度が所定の基準以下であるか否かを判断する気象判断ステップと、前記気象判断ステップで前記影響度が前記基準以下であると判断された場合に、前記生体情報取得ステップで取得された前記被認証者情報を、前記個人情報として前記個人情報記憶手段に記憶させる記憶制御ステップとを備えている。
【0016】
請求項12に係る発明の個人認証プログラムは、請求項1〜10のいずれかに記載の個人認証装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の個人認証装置によれば、被認証者の生体情報である被認証者情報を取得して、個人情報記憶手段に記憶された複数の人物の生体情報である個人情報と照合することにより、被認証者の認証が行われる。被認証者の所在場所の気象の被認証者情報への影響度が所定の基準以下である場合には、被認証者情報が、被認証者の個人情報として個人情報記憶手段に記憶される。つまり、気象の影響のせいで照合元とするには適さない被認証者情報が個人情報記憶手段に記憶されることはない。したがって、適切な生体情報を照合元として、精度よく被認証者の認証を行うことができる。
【0018】
請求項2に係る発明の個人認証装置によれば、被認証者の音声、顔の特徴点、および虹彩のうち、少なくとも1つに関する情報が被認証者情報として取得され、降雨、降雪、風速、霧、および煙霧のうち、少なくとも1つに関する情報に基づいて、気象の被認証者情報への影響度が判断される。音声、顔の特徴点、および虹彩の少なくとも1つを用いて個人認証を行う場合、雨や雪が降っている場合、風が吹いている場合、また、霧や煙霧(例えば、黄砂)が発生中の場合には、被認証者から取得される音声、顔の特徴点、および虹彩の情報は、その影響を受けやすい。したがって、請求項1に記載の発明の効果に加え、降雨、降雪、風速、霧、および煙霧のうち、少なくとも1つに関する情報から、気象の影響度が所定の基準以下と判断された場合にのみ、取得された被認証者情報を個人情報記憶手段に記憶させ、照合元として適切な情報のみを認証に使用することができる。
【0019】
請求項3に係る発明の個人認証装置によれば、降雨強度が第1の強度以下である場合にのみ、取得された被認証者の音声に関する情報(以下、音声情報という)が個人情報記憶手段に記憶される。降雨強度がある値を超えると、被認証者の音声情報が取得される際、音声以外に雨音が騒音として加わってしまうため、この音声情報をその後の個人認証の照合元に用いると、認証精度が低下してしまう。したがって、請求項2に記載の発明の効果に加え、雨音の騒音が加わっていない、照合元とするのに適した音声の情報のみを個人情報記憶手段に記憶させることができる。
【0020】
請求項4に係る発明の個人認証装置によれば、風速が第1の風速以下である場合にのみ、取得された被認証者の音声情報が個人情報記憶手段に記憶される。風速がある値を超えると、被認証者の音声情報が取得される際、音声以外に風音が雑音として加わってしまうため、この音声情報をその後の個人認証の照合元に用いると、認証精度が低下してしまう。したがって、請求項2に記載の発明の効果に加え、風音の雑音が加わっていない、照合元とするのに適した音声の情報のみを個人情報記憶手段に記憶させることができる。
【0021】
請求項5に係る発明の個人認証装置によれば、風速が第1の風速以下である場合にのみ、取得された被認証者の音声情報が個人情報記憶手段に記憶される。風速がある値を超えると、被認証者の音声情報が取得される際、音声以外に風音が雑音として加わってしまうため、この音声情報をその後の個人認証の照合元に用いると、認証精度が低下してしまう。したがって、請求項3に記載の発明の効果に加え、風音の雑音が加わっていない、照合元とするのに適した音声の情報のみを個人情報記憶手段に記憶させることができる。
【0022】
請求項6に係る発明の個人認証装置によれば、降雨強度が第2の強度以下である場合にのみ、取得された被認証者の顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報が個人情報記憶手段に記憶される。降雨強度がある値を超えると、被認証者は傘をさすため、顔の一部が隠されたり顔が傘の影で暗くなったりして、顔の特徴点や虹彩の情報が確実に取得できない可能性がある。このような顔の特徴点や虹彩の情報をその後の個人認証の照合元に用いると、認証精度が低下してしまう。したがって、請求項2に記載の発明の効果に加え、顔の一部が隠されている可能性がない場合に取得された、照合元とするのに適した顔の特徴点や虹彩の情報のみを個人情報記憶手段に記憶させることができる。
【0023】
請求項7に係る発明の個人認証装置によれば、風速が第2の風速以下である場合にのみ、取得された被認証者の顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報が個人情報記憶手段に記憶される。風速がある値を超えると、風に吹かれた髪の毛が顔にかかって顔の一部が隠されたりして、顔の特徴点や虹彩の情報が確実に取得できない可能性がある。また、このような顔の特徴点や虹彩の情報をその後の個人認証の照合元に用いると、認証精度が低下してしまう。したがって、請求項2に記載の発明の効果に加え、顔の一部が隠されている可能性がない場合に取得された、照合元とするのに適した顔の特徴点や虹彩の情報のみを個人情報記憶手段に記憶させることができる。
【0024】
請求項8に係る発明の個人認証装置によれば、風速が第2の風速以下である場合にのみ、取得された被認証者の顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報が個人情報記憶手段に記憶される。風速がある値を超えると、風に吹かれた髪の毛が顔にかかって顔の一部が隠されたりして、顔の特徴点や虹彩の情報が確実に取得できない可能性がある。また、このような顔の特徴点や虹彩の情報をその後の個人認証の照合元に用いると、認証精度が低下してしまう。したがって、請求項6に記載の発明の効果に加え、顔の一部が隠されている可能性がない場合に取得された、照合元とするのに適した顔の特徴点や虹彩の情報のみを個人情報記憶手段に記憶させることができる。
【0025】
請求項9に係る発明の個人認証装置によれば、被認証者が検知されると、被認証者情報が取得され、認証処理が行われる。そして、認証処理の後、気象の影響度が所定の基準以下であると判断された被認証者情報のみが、個人情報記憶手段に記憶される。したがって、請求項1〜8のいずれかに記載の発明の効果に加え、取得された被認証者情報を用いて現時点での認証処理は行うが、その情報が照合元とするには適さない場合は記憶手段には記憶しない、という効率的な処理を行うことができる。
【0026】
請求項10に係る発明の個人認証装置によれば、被認証者が検知されると、被認証者情報が取得され、気象の影響度が所定の基準以下であるか否かが判断される。そして、気象の影響度が所定の基準以下だと判断された場合にのみ、取得された被認証者情報を用いて認証処理が行われ、被認証者情報が個人情報記憶手段に記憶される。したがって、請求項1〜8のいずれかに記載の発明の効果に加え、被認証者情報と照合元の個人情報は、いずれも気象の影響度が所定の基準以下と判断された情報同士となるため、認証精度をより高めることができる。
【0027】
請求項11に係る発明の個人認証方法によれば、被認証者の生体情報である被認証者情報を取得して、個人情報記憶手段に記憶された複数の人物の生体情報である個人情報と照合することにより、被認証者の認証が行われる。被認証者の所在場所の気象の被認証者情報への影響度が所定の基準以下である場合には、被認証者情報が、被認証者の個人情報として個人情報記憶手段に記憶される。つまり、気象の影響のせいで照合元とするには適さない被認証者情報が個人情報記憶手段に記憶されることはない。したがって、適切な生体情報を照合元として、精度よく被認証者の認証を行うことができる。
【0028】
請求項12に係る発明の個人認証プログラムは、請求項1〜10のいずれかに記載の個人認証装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることができる。したがって、請求項1〜10のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る個人認証装置をインターホンシステムに適用した第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0030】
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態に係るインターホンシステム1の全体構成、ならびに、インターホンシステム1の構成要素である子機10および親機20の構成について、順に説明する。図1は、インターホンシステム1の電気的構成を示すブロック図である。図2は、子機10の外観正面図である。図3は、親機20の外観正面図である。図4は、親機20のフラッシュROM220が有する記憶エリアの説明図である。図5は、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に記憶されるデータの一例を示す説明図である。
【0031】
まず、図1を参照して、インターホンシステム1の概略構成について説明する。本実施形態のインターホンシステム1は、図1に示すように、信号線30を介して接続された子機10および親機20で構成されている。住宅、会社、ビル等において、子機10は屋外に設置され、親機20は、屋内に設置される。子機10と親機20との間で通話が可能であるため、屋内に居る者(以下、屋内対応者という)は、入口を開けることなく屋外の来訪者に応対することができる。なお、以下では、便宜上、インターホンシステム1が戸建ての住宅に設置されているものとして説明を行う。
【0032】
次に、図1および図2を参照して、子機10について説明する。まず、子機10の物理的構成について説明する。図2に示すように、子機10は、略直方体形状の筐体105を備えており、筐体105の正面(来訪者に対向する面)の最下部には、呼出ボタン114が設けられている。呼出ボタン114の上方には、マイク111およびスピーカ112が設けられ、上部の左右方向中央部には、カメラ113が設けられている。スピーカ112とカメラ113との間には、一対の赤外LED照明115が設けられている。なお、図2では図示されていないが、子機10には、後述する降雨センサ121および風速センサ122が接続されている。なお、降雨センサ121および風速センサ122は、子機10の近傍の屋外に設置されている。
【0033】
マイク111は、入力された来訪者の音声を音声信号に変換し、通信装置150(図1参照)を介して親機20に出力する機器である。スピーカ112は、親機20から入力された音声信号を、音声に変換して出力する機器である。
【0034】
カメラ113は、例えば、周知のCCDカメラであり、子機10の正面の所定の撮像範囲を撮像し、撮像した画像の画像信号を、通信装置150を介して親機20に出力する。所定の撮像範囲は、例えば、子機10の正面に対向して立った来訪者の顔が位置すると予測される領域を含むように予め設定されている。
【0035】
呼出ボタン114は、来訪者が自己の来訪を告げ、屋内対応者を呼び出すためのボタンである。呼出ボタン114が押下されると、呼出信号が通信装置150を介して親機20に送信される。赤外LED照明115は照度センサを備えており、検出された照度が所定の閾値より低い場合に、子機10近傍を照明するために点灯する。
【0036】
図1を参照して、子機10の電気的構成について説明する。図1に示すように、子機10は、CPU101、ROM102、RAM103、マイク111、スピーカ112、カメラ113、呼出ボタン114、赤外LED照明115、および通信装置150を備えており、これらはすべてバスで相互に接続されている。さらに、バスには、降雨センサ121および風速センサ122が、それぞれ図示外のインターフェースを介して接続されている。
【0037】
CPU101は、子機10全体の制御を司る。ROM102は、子機10の基本的な動作に必要なプログラムやそのための設定値を記憶している。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに従って、子機10の動作を制御する。RAM103は、各種データを一時的に記憶するための記憶装置である。マイク111、スピーカ112、カメラ113、呼出ボタン114、および赤外LED照明115については、前述の通りである。通信装置150は、親機20との間で、信号線30を介して、制御信号、画像信号、および音声信号を含む各種信号の送受信を行う装置である。
【0038】
降雨センサ121は、降雨強度(降雨量)を測定するセンサである。降雨センサ121として、例えば、傾斜したセンサ表面を流れ落ちる水の層の厚さを測定することにより降雨強度を算出するセンサや、センサ表面に落ちる雨滴の衝撃から生じる信号と雨滴の体積との比例関係に基づいて降雨強度を算出するセンサを採用することができる。風速センサ122は、風速を測定するセンサである。風速センサ122として、例えば、風が風杯またはプロペラを機械的に回転するときの回転速度によって風速を計る風杯型・プロペラ型風速センサ、もしくは音波の伝播速度が風速によって変化する性質を利用した超音波風速センサを採用することができる。なお、降雨センサ121と風速センサ122は、一体化された1つのセンサであってもよい。
【0039】
次に、図1および図3〜図5を参照して、親機20の構成について説明する。まず、図3を参照して、親機20の物理的構成について説明する。親機20は、略直方体形状の筐体205を備えている。筐体205の正面(屋内対応者に対向する面)の最下部には、通話ボタン214および終了ボタン215が設けられている。これらのボタンの上方には、選択・決定ボタン216およびメニューボタン217が設けられている。これらのボタンのさらに上方には、マイク211およびスピーカ212が設けられている。筐体205の正面上半分には、表示モニタ213が設けられている。
【0040】
マイク211は、屋内対応者の音声を音声信号に変換し、通信装置250を介して子機10に出力する機器である。スピーカ212は、子機10から入力された音声信号を音声に変換して出力する機器である。表示モニタ213は、例えば、液晶パネルと駆動回路を備えた液晶モニタである。表示モニタ213には、例えば図3に示すように、子機10のカメラ113によって撮像された撮像領域の画像241および来訪者に関する情報欄242が設けられた画面が表示される。
【0041】
通話ボタン214は、子機10からの呼び出しに応じて、屋内対応者が子機10との通話開始を指示するためのボタンである。終了ボタン215は、子機10との通話の終了や、親機20において行われる各種処理の終了等を指示するためのボタンである。選択・決定ボタン216は、表示モニタ213に表示される各種の選択肢のいずれかを選択するための選択ボタンと、選択を確定する指示を行うための決定ボタンを含む。メニューボタン217は、親機20において行われる各種処理のメニューの表示を指示するためのボタンである。
【0042】
図1を参照して、親機20の電気的構成について説明する。図1に示すように、親機20は、CPU201、ROM202、RAM203、マイク211、スピーカ212、表示モニタ213、通話ボタン214、終了ボタン215、選択・決定ボタン216、メニューボタン217、フラッシュROM220、および通信装置250を備えており、これらはすべてバスで相互に接続されている。
【0043】
CPU201は、親機20全体の制御を司る。ROM202は、後述するメイン処理を含む各種処理を親機20に実行させるために必要なプログラムや、そのための設定値を記憶している。CPU201は、ROM202に記憶されたプログラムに従って、親機20の動作を制御する。RAM203は、各種データを一時的に記憶するための記憶装置である。マイク211、スピーカ212、表示モニタ213、および各種ボタン214〜217については前述した通りである。通信装置250は、子機10との間で、信号線30を介して、制御信号、画像信号、および音声信号を含む各種信号の送受信を行う装置である。
【0044】
図4および図5を参照して、フラッシュROM220について説明する。フラッシュROM220は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュROM220は、例えば、図4に示すように、登録者情報記憶エリア221、表示画面記憶エリア222、設定情報記憶エリア223を含む複数の記憶エリアを備えている。
【0045】
登録者情報記憶エリア221には、複数の人物について、各個人に固有の情報が記憶されている。例えば図5に示すように、登録者情報記憶エリア221には、ID欄、氏名欄、声紋データ欄、および登録日欄が設けられている。ID欄には、各個人を識別するための情報であるIDが記憶されている。氏名欄には、声紋データの取得元の人物(以下、登録者という)の氏名が記憶されている。声紋データ欄には、登録者の生体情報の一例として、音声に関する情報である声紋データが記憶されている。なお、声紋データは、例えば、音声信号の周波数および強度を時系列でグラフ化することにより生成することができる。登録日欄には、登録者の声紋データが登録者情報記憶エリア221に新規登録または更新登録された日付が記憶されている。以下では、各登録者の氏名、声紋データ、および登録日を総称して、登録者情報というものとする。
【0046】
登録者情報記憶エリア221に記憶されている上記の情報のうち、IDおよび登録日以外は、適宜、親機20のユーザまたはCPU201によって登録される。例えば、インターホンシステム1が住宅に設置されている場合、親機20のユーザは、住宅の住民、親戚、友人、近隣の住人等、住宅を来訪する可能性が高い人物の情報を予め登録しておくことができる。また、本実施形態では、屋内対応者が来訪者の情報を登録することを指示した場合には、後述するメイン処理(図6および図7参照)において、CPU201により登録者情報が新規登録または更新登録される。IDは、登録者情報が新規登録される際にCPU201により付与される情報であり、登録日は、登録者情報が新規登録または更新登録される際の日付が、CPU201により記憶されるものである。
【0047】
表示画面記憶エリア222には、親機20の表示モニタ213に表示させる画面のテンプレートが記憶されている。詳細は後述するが、表示モニタ213には、例えば、図3に示すように、画像241や情報欄242を含む画面が表示される。また、例えば、屋内対応者が登録者情報を新規登録する指示を行った際には、新たな登録者の氏名入力画面(図示外)が表示される。本実施形態では、このように表示モニタ213に表示される画面は複数種類あるため、表示画面記憶エリア222には、複数の画面のテンプレートが記憶されている。
【0048】
設定情報記憶エリア223には、後述するメイン処理で使用される各種設定情報が記憶されている。例えば、本実施形態では、来訪者の訪問時の降雨強度および風速に応じて、来訪者の声紋データ等を登録者情報として登録するか否かが判断される。そこで、判断の基準として使用される、降雨強度や風速の閾値が記憶されている。また、後述する認証処理で用いられる非類似度の閾値が記憶されている。
【0049】
以下に、図6および図7を参照して、インターホンシステム1の親機20において実行される処理について説明する。図6および図7は、親機20のメイン処理のフローチャートである。なお、図6および図7に示す処理は、ROM202に記憶されたプログラムに従って、CPU201が実行する。
【0050】
図6に示すメイン処理は、子機10で呼出ボタン114が押下され、子機10から送信された呼出信号が親機20に入力されると開始される。まず、親機20のスピーカ212から、呼出音が出力される(S1)。また、CPU201からの指示に従い、通信装置250により、カメラ113による撮像を開始させるための制御信号が、信号線30を介して子機10に対して送信される(S2)。親機20からの制御信号を受信した後、子機10では、カメラ113が常時撮像を行う。
【0051】
カメラ113から出力された画像信号は、通信装置150により、信号線30を介して親機20に送信される。親機20では、通信装置250により受信された画像信号を表示モニタ213に表示可能なデータに変換する処理が行われる。このデータに基づいて、子機10のカメラ113で撮像された撮像範囲の画像がリアルタイムで表示モニタ213に表示される(S3)。
【0052】
その後、呼出信号を受信してから所定時間内(例えば、1分以内)に、屋内対応者によって親機20の通話ボタン214が押下されたか否かが判断される(S6)。呼出信号を受信してからの経過時間は、例えば、呼出信号受信時に起動されるタイマ(図示外)により計測され、RAM203に記憶される。通話ボタン214が押下げられないまま所定時間が経過した場合は(S6:NO)、住宅の室内には人がおらず、応答がされないと考えられる。よって、図6に示すメイン処理はそのまま終了する。
【0053】
一方、所定時間内に通話ボタン214が押下されたことを示す信号が検知されると(S6:YES)、CPU201により、通話開始の処理が行われ、子機10と親機20の間の通話路が形成され、来訪者と屋内対応者の通話が可能となる(S7)。屋内対応者の発した音声が親機20のマイク211から入力されると、入力された音声は、音声信号に変換され、通信装置250により子機10へ送信される。そこで、通話開始処理後、所定時間内(例えば、1分以内)に子機10から音声信号を受信したか否かが判断される(S8)。なお、経過時間のカウントについては、呼出信号受信後の経過時間の場合と同様である。
【0054】
所定時間を経過しても子機10からの音声信号が受信されない場合には(S8:NO)、呼出ボタン114がいたずら目的や間違いで押下された場合等であって、来訪者は屋内対応者の呼びかけには応答しないと考えられる。よって、図6に示すメイン処理は、そのまま終了する。
【0055】
一方、所定時間内に子機10からの音声信号が受信された場合(S8:YES)、受信した音声信号から来訪者の声紋データが生成されて、RAM203に記憶される(S11)。なお、ここで受信される音声信号は、子機10のマイク111から入力された、屋内対応者の発話に対して来訪者が発した応答の音声信号である。続いて、生成された来訪者の声紋データと登録者の声紋データとを照合することにより、来訪者の認証処理が行われる(S12)。なお、ここでいう来訪者の認証処理とは、来訪者がいずれかの登録者本人であるか否かを決定する処理である。
【0056】
声紋データによる認証処理では、例えば、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221(図5参照)から登録者情報が順に読み出され、来訪者の声紋データと登録者の声紋データとが照合されて、非類似度Dvが求められる。そして、非類似度Dvが、本人であることが確実な場合の非類似度の閾値Dvtよりも小さければ、来訪者は照合相手の登録者本人であると決定される。なお、閾値Dvtは、予め収集されたデータを統計的に処理することにより定められ、フラッシュROM220の設定値情報記憶エリア223に記憶されている。また、非類似度Dvが閾値Dvt以上であれば、来訪者は照合相手の登録者ではないと決定される。認証の結果はRAM203に記憶される。
【0057】
すべての登録者の声紋データについて、非類似度Dvが閾値Dvt以上だった場合、来訪者はいずれの登録者本人とも認められない(S21:NO)。この場合、該当する登録者がいないことを示す情報が、画像とあわせて表示モニタ213に表示される(S23)。具体的には、例えば図3に示すように、画像241に重畳して情報欄242を表示する画面のテンプレートを用いて画面の表示用データが生成され、表示モニタ213に表示される。このときの表示画面では、情報欄242には、例えば「この来訪者に該当する登録者は発見できませんでした。」というメッセージが表示される。
【0058】
一方、登録者の声紋データのいずれかとの非類似度Dvが閾値Dvtより小さく、来訪者はその登録者本人であると特定された場合(S21:YES)、特定された登録者の氏名が、画像とあわせて表示モニタ213に表示される(S22)。図示は省略するが、このときの表示画面では、情報欄242には、例えば「来訪者は以下の登録者です。氏名:Aさん」というメッセージが表示される。
【0059】
続いて、降雨センサ121(図1参照)によって検出された降雨強度が取得され(図7のS31)、降雨強度が予め定められた第1の閾値(例えば、1.0mm/10min)を超えているか否かが判断される(S32)。降雨強度は、声紋データに対する雨の音の影響度を示す値である。第1の閾値は、図6に示すメイン処理のステップS11で取得された声紋データをフラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に登録するか否かの判断基準とされる値である。例えば、マイク111から音声とともに入力された雨音が、騒音として、声紋データによる認証処理の障害となる程度の降雨強度を経験的に求め、その値を第1の閾値として設定情報記憶エリア223に記憶させておけばよい。あるいは、雨が少しでも降っている場合はそのとき取得された声紋データは登録しないこととする場合、第1の閾値は,0.0mm/10minとして記憶させておけばよい。
【0060】
降雨強度が第1の閾値を超えていると判断された場合(S32:YES)、取得された声紋データを登録し、その後の認証処理で照合元のデータとして使用すると、認証精度が低下してしまう虞がある。したがって、図7に示すように、声紋データを登録者情報記憶エリア221に登録することなく、そのままメイン処理は終了する。
【0061】
一方、降雨強度が第1の閾値以下であると判断された場合には(S32:NO)、取得された声紋データに含まれる雨音の成分の影響度は許容範囲内にある。そこで、風速センサ122(図1参照)によって検出された風速が取得され(S33)、風速が予め定められた第2の閾値(例えば、5.5m/s)を超えているか否かが判断される(S34)。風速は、声紋データに対する風の音の影響度を示す値である。第2の閾値は、第1の閾値と同様、図6に示すメイン処理のステップS11で取得された声紋データを、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に登録するか否かの判断基準とされる値である。例えば、マイク111から音声とともに入力された風音が、騒音として、声紋データによる認証処理の障害となる程度の風速を経験的に求め、その値を第2の閾値として設定情報記憶エリア223に記憶させておけばよい。
【0062】
風速が第2の閾値を超えていると判断された場合(S34:YES)、取得された声紋データを登録し、その後の認証処理で照合元のデータとして使用すると、認証精度が低下してしまう虞がある。したがって、図7に示すように、声紋データを登録者情報記憶エリア221に登録することなく、そのままメイン処理は終了する。
【0063】
一方、風速が第2の閾値以下であると判断された場合には(S34:NO)、フラッシュROM220の表示画面記憶エリア222から読み出された登録要否確認画面(図示外)のテンプレートから、登録要否確認画面の表示用データが生成され、表示モニタ213に表示される(S36)。登録要否画面には、例えば、「来訪者の音声を登録しますか?登録する場合には決定ボタンを、登録しない場合には終了ボタンを押してください。」というメッセージが表示される。
【0064】
その後、屋内対応者による入力が受け付けられる。具体的には、終了ボタン215(図3参照)または選択・決定ボタン216中の「決定」ボタン(図3参照)が押下げられない間は、CPU201は、いずれかのボタンが押下されるまで待機する(S37:NO、S38:NO)。そして、来訪者の音声(声紋データ)を登録しないことを指示する終了ボタン215が押下された場合には(S37:YES)、声紋データの登録をすることなく、図7に示すメイン処理はそのまま終了する。
【0065】
一方、終了ボタン215ではなく、来訪者の音声(声紋データ)を登録することを指示する「決定」ボタンが押下された場合には(S37:NO、S38:YES)、取得された声紋データの登録が新規であるか否かが判断される(S41)。RAM203に記憶されている認証結果が、該当する登録者がいないことを示す場合、来訪者の声紋データはフラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221には記憶されていないので、今回の登録は新規であると判断される(S41:YES)。
【0066】
この場合、表示画面記憶エリア222から読み出された氏名入力画面(図示外)のテンプレートから、氏名入力画面の表示用データが生成され、表示モニタ213に表示される(S42)。氏名入力画面には、例えば、「来訪者の氏名を入力した後、決定ボタンを押してください。」というメッセージと、文字キーとが表示される。屋内対応者が、選択・決定ボタン216を操作して来訪者の氏名を入力した後、入力を確定する「決定」ボタンを押下すると、入力が受け付けられる(S43)。すると、この来訪者、すなわち新規登録者に対して新たなIDが割り当てられ、ステップS43で入力された氏名、図6のステップS11で取得された声紋データ、および現在の日付を含む新規の登録者情報が生成されて、登録者情報記憶エリア221に登録される(S44)。登録者情報の新規登録の後、図7に示すメイン処理は終了する。
【0067】
一方、RAM203に記憶されている認証結果が、来訪者はいずれかの登録者であることを示す場合、この来訪者の声紋データは、すでに登録者情報記憶エリア221に記憶されており、新規登録ではない(S41:NO)。よって、屋内対応者に氏名を入力させる必要はないので、登録者情報記憶エリア221に記憶されている登録者情報のうち、声紋データおよび登録日が、図6のステップS11で取得された声紋データおよび現在の日付にそれぞれ更新される(S46)。登録者情報の更新の後、図7に示すメイン処理は終了する。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態に係るインターホンシステム1によれば、来訪者の声紋データを取得して、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に記憶された複数の人物の声紋データと照合することにより、来訪者の認証が行われる。来訪者がいる屋外の気象に関する情報、すなわち降雨強度および風速が声紋データに対して影響する度合いが、それぞれ、所定の基準、すなわち第1の閾値および第2の閾値以下である場合には、屋内対応者の指示に応じて来訪者の声紋データが登録者情報記憶エリア221に記憶される。つまり、雨や風の影響のせいで照合元とするには適さない声紋データが登録されることはない。したがって、適切な声紋データを照合元として、精度よく来訪者の認証を行うことができる。また、すべての来訪者について認証処理は行うが、取得された来訪者の声紋データが照合元とするには適さない場合は登録者情報記憶エリア221には記憶しない、という効率的な処理を行うことができる。
【0069】
本実施形態では、インターホンシステム1の親機20が、本発明の「個人認証装置」に相当する。マイク111が、「情報入力手段」に相当し、マイク111から入力された音声の情報が、「被認証者に関する情報」に相当する。音声の情報(音声信号)に基づき、図6のステップS11で、「被認証者情報」である来訪者の声紋データを生成するCPU201が、「生体情報取得手段」に相当する。フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221が、「個人情報記憶手段」に相当し、記憶されている登録者の声紋データが、「個人情報」に相当する。図6のステップS12で、声紋データによる認証処理を行うCPU201が、「認証手段」に相当する。
【0070】
降雨センサ121および風速センサ122がそれぞれ「気象情報検出手段」に相当する。図7のステップS31およびS33で、それぞれ「気象情報」である降雨強度および風速を取得するCPU201が、「気象情報取得手段」に相当する。このうち、ステップS31で降雨強度を取得するCPU201が、「雨情報取得手段」に相当し、ステップS33で風速を取得するCPU201が、「風情報取得手段」に相当する。図7のステップS32およびS34で、それぞれ降雨強度および風速が第1の閾値および第2の閾値以下であるか否かを判断するCPU201が、「気象判断手段」に相当する。このうち、ステップS32で降雨強度が「第1の強度」である第1の閾値以下であるか否かを判断するCPU201が、「第1の降雨判断手段」に相当し、ステップS34で風速が「第1の風速」である第2の閾値以下であるか否かを判断するCPU201が、「第1の風速判断手段」に相当する。図7のステップS44またはS46で、登録者情報記憶エリア221に来訪者の声紋データを登録するCPU201が、「記憶制御手段」に相当する。
【0071】
<第2の実施形態>
以下に、図8〜図10を参照して、本発明に係る個人認証装置をインターホンシステムに適用した別の例である第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態において登録者情報記憶エリア221に記憶されるデータの一例を示す説明図である。図9および図10は、第2の実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
【0072】
前述した第1の実施形態は、声紋データを用いて来訪者の認証処理が行われる例であるが、本実施形態では、声紋データに代わる生体情報として、顔特徴データを用いた認証処理が行われる。また、第1の実施形態では、すべての来訪者について認証処理が行われた後、降雨強度および風速が所定の閾値とそれぞれ比較され、いずれも所定の閾値以下である場合に、来訪者の声紋データが登録者情報記憶エリア221に記憶されている。一方、本実施形態では、認証処理に先立って降雨強度および風速が所定の閾値と比較され、いずれも所定の閾値以下である場合に限って認証処理が行われ、顔特徴データが登録者情報記憶エリア221に記憶される点が特徴である。以下に詳細を説明する。
【0073】
まず、本実施形態に係るインターホンシステム1の構成は、親機20のフラッシュROM220に記憶される情報以外、第1の実施形態と同一である。よって、ここでは、第1の実施形態と共通の構成の説明は省略し、図8を参照して、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に記憶される、第1の実施形態とは異なる登録者情報についてのみ説明する。
【0074】
図8に示すように、本実施形態では、登録者情報記憶エリア221には、ID欄、氏名欄、顔特徴データ欄、および登録日欄が設けられている。ID欄、氏名欄および登録日欄については、第1の実施形態で説明した通りである。一方、本実施形態では、第1の実施形態の声紋データに代えて設けられた顔特徴データ欄には、登録者の生体情報の一例として、顔の特徴点に関する情報である顔特徴データが記憶されている。顔特徴データとは、例えば、眉、目、鼻、口等の顔の特徴点の位置や形状を示すデータである。なお、本実施形態では、目、鼻、口に対応する特徴点のデータが、顔特徴データとして採用されているものとする。顔特徴データは、来訪者の認証処理に使用される。本実施形態では、各登録者の氏名、顔特徴データ、および登録日を総称して、登録者情報というものとする。
【0075】
次に、図9および図10を参照して、本実施形態において親機20で実行されるメイン処理について説明する。本実施形態のメイン処理は、前述の第1の実施形態に係るメイン処理と一部が共通している。したがって、以下では、共通する処理のステップについては説明を適宜省略し、異なる処理を主として説明する。
【0076】
第1の実施形態と同様、図9に示す本実施形態のメイン処理も、子機10で呼出ボタン114が押下された場合に子機10から送信される呼出信号を受信すると開始される。すると、親機20では呼出音が出力され(S51)、子機10に撮像開始指示が送信された後(S52)、表示モニタ213に撮像画像が表示される(S53)。その後、所定時間内に通話ボタン214が押下されなければ(S56:NO)処理は終了し、押下された場合は(S56:YES)通話開始処理が行われる(S57)。通話開始処理後、所定時間内に子機10から音声信号が受信されなければ(S58:NO)、処理は終了する。ここまでのステップS51〜S58の処理は、第1の実施形態のメイン処理のステップS1〜S8(図6参照)と同一であるため、具体的な説明は省略する。
【0077】
通話開始処理後の所定時間内に子機10から音声信号が受信された場合は、認証処理に先立って、認証処理に用いられる顔特徴データに対する気象の影響度合いが判断される。具体的には、図7に示すように、降雨センサ121によって検出された降雨強度が取得され(S61)、降雨強度が第1の閾値(例えば、1.0mm/h)を超えているか否かが判断される(S62)。降雨強度は、顔特徴データに対する雨の影響度を示す値である。第1の閾値は、前述のステップS11で取得された顔特徴データを、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に登録するか否かの判断基準とされる値である。
【0078】
雨がある程度降っていると傘を差す人が増え、傘によって顔が隠されたり、顔が傘の影で暗くなったりして、顔の特徴点が確実に抽出できない可能性がある。そこで、例えば、大部分の人が傘を差す降雨強度を経験的に求め、その値を第1の閾値として設定情報記憶エリア223に記憶させておけばよい。よって、本実施形態の第1の閾値は、前述の声紋データによる認証処理を行う実施形態の第1の閾値とは異なる値であってよい。また、雨が少しでも降っている場合は、そのとき取得された顔特徴データは登録しないこととして、第1の閾値は0.0mm/hとして記憶させておいてもよい。
【0079】
降雨強度が第1の閾値を超えていると判断された場合(S62:YES)、取得された顔特徴データを登録し、その後の認証処理で照合元のデータとして使用すると、認証精度が低下してしまう虞がある。したがって、図10に示すように、顔特徴データを登録者情報記憶エリア221に登録することなく、CPU201は、次の被認証者の処理のためにそのままステップS1に戻る。
【0080】
一方、降雨強度が第1の閾値以下であると判断された場合には(S62:NO)、取得された顔特徴データは照合元として問題ない範囲内にある。そこで、風速センサ122(図8参照)によって検出された風速が取得され(S63)、風速が予め定められた第2の閾値(例えば、5.5m/s)を超えているか否かが判断される(S64)。風速は、顔特徴データに対する風の影響度を示す値である。第2の閾値は、第1の閾値と同様、ステップS55で取得された顔特徴データを、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に登録するか否かの判断基準とされる値である。
【0081】
風がある程度激しく吹いていると、風に吹かれた髪の毛が顔にかかって顔の一部が隠されたりして、顔の特徴点を確実に抽出できない可能性がある。そこで、例えば、髪の毛が顔にかかったりする程度の風速を経験的に求め、その値を第2の閾値として設定情報記憶エリア223に記憶させておけばよい。よって、本実施形態の第2の閾値は、前述の顔特徴データによる認証処理を行う実施形態の第2の閾値とは異なる値であってよい。
【0082】
風速が第2の閾値を超えていると判断された場合(S64:YES)、取得された顔特徴データを登録し、その後の認証処理で照合元のデータとして使用すると、認証精度が低下してしまう虞がある。したがって、図10に示すように、顔特徴データを登録者情報記憶エリア221に登録することなく、CPU201は、そのままメイン処理を終了する。
【0083】
一方、風速が第2の閾値以下であると判断された場合には(S64:NO)、顔特徴データに対する雨の影響度、風の影響度はともにデータの登録基準を満たしている。つまり、この時点で取得される来訪者の顔特徴データと、登録者情報記憶エリア221に記憶されている登録者の顔特徴データとは、いずれも同一の基準を満たすデータである。そこで、子機10のカメラ113で撮像された画像から、来訪者の顔特徴データが生成される(S66)。
【0084】
具体的には、CPU201は、子機10から送信され、通信装置250によって受信された画像信号の1フレームを取得して静止画を生成し、得られた画像からまず顔領域が検出される。顔領域の検出には、例えば、予め記憶した顔のパターンとのマッチングを行う方法や、肌色領域を検出する方法を採用することができるが、他のいかなる公知の方法を採用してもよい。さらに、検出された顔領域から被認証者の顔特徴データが抽出される。具体的には、顔領域から目、鼻および口の特徴点が抽出され、これらの位置や形状を示すデータが被認証者の顔特徴データとして求められる。
【0085】
続いて、顔特徴データを用いた認証処理が行われる(S67)。まず、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221(図8参照)から登録者情報が順に読み出され、被認証者の顔特徴データと登録者の顔特徴データとが照合されて、非類似度Dfが求められる。そして、非類似度Dfが、本人であることが確実な場合の非類似度の閾値Dftよりも小さければ、来訪者は照合相手の登録者本人であると決定される。なお、閾値Dftは、予め収集されたデータを統計的に処理することにより定められている。また、非類似度Dfが閾値Dft以上であれば、来訪者は照合相手の登録者ではない決定される。認証の結果はRAM203に記憶される。
【0086】
すべての登録者の顔特徴データについて、非類似度Dfが閾値Dft以上だった場合、来訪者は登録者であると認められない(S71:NO)。この場合、該当する登録者がいないことを示す情報が、画像とあわせて表示モニタ213に表示される(S72)。一方、登録者の声紋データのいずれかとの非類似度Dfが閾値Dftより小さく、来訪者はその登録者本人であると特定された場合(S71:YES)、特定された登録者の氏名が、画像とあわせて表示モニタ213に表示される(S72)。表示モニタ213に表示される画面については、第1実施形態と同様である。
【0087】
続いて、認証処理が済んだ来訪者の顔特徴データの登録処理が行われる。なお、本実施形態では、屋内対応者の指示を受け付けることなく、ステップS66で取得された顔特徴データはすべて登録者情報記憶エリア221に新規登録または更新登録される。具体的には、RAM203の認証結果から、新規登録であると判断された場合(S76:YES)この来訪者の顔特徴データを含む登録者情報が新たに作成され、登録者情報記憶エリア221に新規登録される(S77)。一方、新規登録ではないと判断された場合(S76:NO)、登録者情報記憶エリア221に記憶されている登録者情報のうち、顔特徴データおよび登録日がそれぞれ更新される(S78)。登録者情報の新規登録または更新登録の後、図10に示すメイン処理は終了する。
【0088】
以上に説明したように、本実施形態に係るインターホンシステム1によれば、来訪者がいる屋外の気象に関する情報、すなわち降雨強度および風速が顔特徴データに対して影響する度合いが、それぞれ、所定の基準、すなわち第1の閾値および第2の閾値以下であるか否が判断される。降雨強度および風速がそれぞれ第1の閾値および第2の閾値以下である場合にのみ、来訪者の顔特徴データが取得され、フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に記憶された複数の人物の顔特徴データと照合することにより、来訪者の認証が行われた後、来訪者の顔データが登録者情報記憶エリア221に記憶される。
【0089】
つまり、雨や風の影響のせいで照合元とするには適さない顔特徴データが登録されることはない。したがって、適切な顔特徴データを照合元として、精度よく来訪者の認証を行うことができる。また、来訪者の顔特徴データと照合元である登録者の顔特徴データとは、いずれも気象の影響度が所定の基準以下と判断された情報同士となるため、認証精度をより高めることができる。
【0090】
本実施形態では、子機10のカメラ113が、「情報入力手段」に相当し、カメラ113により撮像された画像の情報が、「来訪者に関する情報」に相当する。来訪者の顔領域の画像の情報から、図10のステップS66で、「被認証者情報」である来訪者の顔特徴データを生成するCPU201が、「生体情報取得手段」に相当する。フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221が、「個人情報記憶手段」に相当し、記憶されている登録者の顔特徴データが、「個人情報」に相当する。図10のステップS67で、顔特徴データによる認証処理を行うCPU201が、「認証手段」に相当する。
【0091】
図10のステップS61およびS63で、降雨強度および風速を取得するCPU201が、「気象情報取得手段」に相当する。このうち、ステップS61で降雨強度を取得するCPU201が、「雨情報取得手段」に相当し、ステップS63で風速を取得するCPU201が、「風情報取得手段」に相当する。図10のステップS62およびS64で、それぞれ降雨強度および風速が第1の閾値および第2の閾値以下であるか否かを判断するCPU201が、「気象判断手段」に相当する。このうち、ステップS62で降雨強度が「第2の強度」である第1の閾値以下であるか否かを判断するCPU201が、「第2の降雨判断手段」に相当し、ステップS64で風速が「第2の風速」である第2の閾値以下であるか否かを判断するCPU201が、「第2の風速判断手段」に相当する。図10のステップS77またはS78で、登録者情報記憶エリア221に来訪者の顔特徴データを登録するCPU201が、「記憶制御手段」に相当する。
【0092】
なお、前述の実施形態に示される構成や処理は例示であり、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、前述の実施形態では、別個の装置である子機10と親機20を備えたインターホンシステム1によって来訪者の認証処理が行われ、降雨強度および風速に応じて来訪者の登録者情報が登録される。しかしながら、1つの装置によって、同様の処理を行うことも可能である。例えば、子機10に設けられていたマイク111、カメラ113、降雨センサ121、および風速センサ122と、親機20に設けられていたCPU201、ROM202、RAM203、およびフラッシュROM220と、モータ等により施開錠される電気錠を備えた装置に、本発明の個人認証装置を適用してもよい。そして、この個人認証装置を、カメラ113で撮像される顔画像または虹彩画像や、マイク111で集音される音声が気象の影響を受ける場所、すなわち屋外または屋外に類する場所に設置して、例えば、通門管理に利用することができる。
【0093】
前述の実施形態では、降雨強度に関する第1の閾値および風速に関する第2の閾値が設定されており、検出された降雨強度が第1の閾値以下であり、且つ検出された風速が第2の閾値以下である場合に、被認証者(来訪者)の声紋データまたは顔特徴データが登録者情報記憶エリア221に登録される。しかしながら、必ずしもこのように2種類の気象情報を用いて登録可否の判断を行う必要はない。
【0094】
具体的には、第1の実施形態または第2の実施形態のメイン処理において、検出された降雨強度が第1の閾値を超えているか否かの判断のみを行い(図7のS32または図10のS62)、風速に関する判断は行わなくてもよい。すなわち、図7のステップS33およびS34、ならびに図10のステップS63およびS64は省略してもよい。また、反対に、検出された風速が第2の閾値を超えているか否かの判断のみを行い(図7のS34または図10のS64)、降雨強度に関する判断は行わなくてもよい。すなわち、図7のステップS31およびS32、ならびに図10のステップS61およびS62は省略してもよい。
【0095】
また、第1の実施形態および第2の実施形態を組み合わせ、声紋データおよび顔特徴データの両方を用いて認証処理を行ってもよい。具体的には、例えば、図6のメイン処理において、声紋データによる認証処理の結果、来訪者が登録者と判断されなかった場合に(S21:NO)、第2の実施形態のように、カメラ113から出力された画像信号の1フレームから静止画を生成し、顔の特徴点を抽出して、顔特徴データによる認証処理を行うことができる。そして、顔特徴データによる認証処理の結果、来訪者がいずれかの登録者であると特定された場合は氏名等の表示を行い(S22)、来訪者が登録者と判断されなかった場合に、該当する登録者がない旨の表示を行えばよい(S23)。
【0096】
さらに、図7に示すように、声紋データの登録可否を降雨強度および風速に応じて決定した後(S31〜S34)、顔特徴データの登録可否についても降雨強度および風速に応じて決定すればよい。この場合、声紋データおよび顔特徴データのそれぞれの降雨強度および風速に関する閾値は、異なる値を設定しておいてもよい。
【0097】
第1の実施形態において、認証処理に使用する生体情報として、声紋データではなく顔特徴データを採用してもよい。具体的には、子機10のカメラ113で撮像された画像から、第2の実施形態のように来訪者の顔特徴データを取得して、顔特徴データに基づく認証処理を行えばよい。一方、第2の実施形態において、認証処理に使用する生体情報として、顔特徴データではなく声紋データを採用してもよい。この場合は、最初に子機10のスピーカ112から被認証者の発話を促すメッセージを出力させる。そして、マイク111から入力された被認証者の音声から、第1の実施形態のように被認証者の声紋データを取得して、声紋データに基づく認証処理を行えばよい。
【0098】
また、第2の実施形態において、認証に用いる生体情報として、顔特徴データに代えて、虹彩に関する情報である虹彩データを認証処理に使用してもよい。虹彩データは、例えば、明るさの違い等を用いて虹彩の外側の境界および内側の境界を検出し、カメラ113により撮像された画像の顔領域から虹彩画像を切り出し、虹彩の模様(濃淡の変化)をコード化して所定のデータに変換することにより取得することができる。認証処理の方法は、第2の実施形態と同様、予め定められた非類似度の閾値を用いる方法を採用することができる。なお、生体情報として虹彩データを採用する場合、風速がある値を超え、被認証者が目を閉じてしまうと、虹彩データが取得できない。よって、このような値を経験的に求め、閾値として使用すればよい。
【0099】
前述の実施形態では、被認証者(来訪者)の声紋データまたは顔特徴データを登録するか否かの判断基準となる気象に関する情報として、降雨強度および風速を例にして説明したが、他の気象の情報を用いてもよい。例えば、第2の実施形態のように顔特徴データや虹彩データによる認証処理を行う場合には、降雪強度の閾値を設定して、データの登録可否を判断してもよい。降雪強度がある程度になると、大部分の人が傘を差すという点では、雪は雨と同様に考えられるためである。この場合は、降雨センサ121に代えて、降雪センサを設ければよい。
【0100】
また、例えば、第2の実施形態のように顔特徴データや虹彩データによる認証処理を行う場合、霧や煙霧(例えば、黄砂)が発生し、視界が悪くなると、カメラ113から得られる顔画像が不鮮明となり、顔の特徴点や虹彩の抽出が困難になる。よって、視程を計測するセンサを設け、視程の閾値を設定して、データの登録可否を判断してもよい。さらに、照度の閾値や日没時間等を設定して、データの登録可否を判断してもよい。日が暮れて暗くなると、顔の特徴点の抽出が困難となるためである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】インターホンシステム1の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】子機10の外観正面図である。
【図3】親機20の外観正面図である。
【図4】親機20のフラッシュROM220が有する記憶エリアの説明図である。
【図5】フラッシュROM220の登録者情報記憶エリア221に記憶されるデータの一例を示す説明図である。
【図6】親機20のメイン処理のフローチャートである。
【図7】親機20のメイン処理のフローチャートであって、図6の続きである。
【図8】第2の実施形態において登録者情報記憶エリア221に記憶されるデータの一例を示す説明図である。
【図9】第2の実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
【図10】第2の実施形態に係るメイン処理のフローチャートであって、図9の続きである。
【符号の説明】
【0102】
1 インターホンシステム
10 子機
111 マイク
113 カメラ
121 降雨センサ
122 風速センサ
20 親機
201 CPU
220 フラッシュROM
221 登録者情報記憶エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を用いて個人の認証を行う個人認証装置であって、
入力される情報が気象の影響を受ける場所に設置され、被認証者に関する情報を入力する情報入力手段から入力された前記情報に基づき、前記被認証者の前記生体情報である被認証者情報を取得する生体情報取得手段と、
前記生体情報取得手段によって取得された前記被認証者情報と、複数の人物の前記生体情報を個人情報として記憶する個人情報記憶手段に記憶された前記個人情報とを照合することにより、前記被認証者の認証を行う認証手段と、
前記被認証者の所在場所の気象に関する情報である気象情報を検出する気象情報検出手段によって検出された前記気象情報を取得する気象情報取得手段と、
前記気象情報取得手段によって取得された前記気象情報に基づいて、前記気象の前記被認証者情報への影響度が所定の基準以下であるか否かを判断する気象判断手段と、
前記気象判断手段によって前記影響度が前記基準以下であると判断された場合に、前記生体情報取得手段によって取得された前記被認証者情報を、前記個人情報として前記個人情報記憶手段に記憶させる記憶制御手段とを備えたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記生体情報は、音声、顔の特徴点、および虹彩のうち、少なくとも1つに関する情報であり、
前記気象情報は、降雨、降雪、風速、霧、および煙霧のうち、少なくとも1つに関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記生体情報は、音声に関する情報であり、
前記気象情報取得手段は、前記気象情報として降雨強度に関する情報を取得する雨情報取得手段を備え、
前記気象判断手段は、前記雨情報取得手段によって取得された前記降雨強度に関する情報が、前記降雨強度は予め定められた第1の強度以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第1の降雨判断手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第1の降雨判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記生体情報は、音声に関する情報であり、
前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、
前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第1の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第1の風速判断手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第1の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、
前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第1の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第1の風速判断手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第1の降雨判断手段および前記第1の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項3に記載の個人認証装置。
【請求項6】
前記生体情報は、顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報であり、
前記気象情報取得手段は、前記気象情報として降雨強度に関する情報を取得する雨情報取得手段を備え、
前記気象判断手段は、前記雨情報取得手段によって取得された前記降雨強度に関する情報が、前記降雨強度は予め定められた第2の強度以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第2の降雨判断手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第2の降雨判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の個人認証装置。
【請求項7】
前記生体情報は、顔の特徴点および虹彩の少なくとも1つに関する情報であり、
前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、
前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第2の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第2の風速判断手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第2の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の個人認証装置。
【請求項8】
前記気象情報取得手段は、前記気象情報として風速に関する情報を取得する風情報取得手段を備え、
前記気象判断手段は、前記風情報取得手段によって取得された前記風速に関する情報が、前記風速は予め定められた第2の風速以下であることを示す場合、前記影響度が前記所定の基準以下であると判断する第2の風速判断手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記第2の降雨判断手段および前記第2の風速判断手段によって前記影響度が前記所定の基準以下であると判断された場合に、前記被認証者情報を前記個人情報記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項6に記載の個人認証装置。
【請求項9】
前記生体情報取得手段は、前記被認証者を検知する被認証者検知手段によって前記被認証者が検知された場合に前記被認証者情報を取得し、
前記認証手段は、前記生体情報取得手段によって前記被認証者情報が取得された後に、前記被認証者の認証を行い、
前記気象判断手段は、前記認証手段によって認証が行われた後に、前記影響度が前記基準以下であるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項10】
前記生体情報取得手段は、前記被認証者を検知する被認証者検知手段によって前記被認証者が検知された場合に前記被認証者情報を取得し、
前記気象判断手段は、前記生体情報取得手段によって前記被認証者情報が取得された後に、前記影響度が前記基準以下であるか否かを判断し、
前記認証手段は、前記気象判断手段によって前記影響度が前記基準以下であると判断された場合にのみ、前記被認証者の認証を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項11】
コンピュータによって処理される、生体情報を用いて個人の認証を行う個人認証方法であって、
入力される情報が気象の影響を受ける場所に設置され、被認証者に関する情報を入力する情報入力手段から入力された前記情報に基づき、前記被認証者の前記生体情報である被認証者情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記生体情報取得ステップで取得された前記被認証者情報と、複数の人物の前記生体情報を個人情報として記憶する個人情報記憶手段に記憶された前記個人情報とを照合することにより、前記被認証者の認証を行う認証ステップと、
前記被認証者の所在場所の気象に関する情報である気象情報を検出する気象情報検出手段によって検出された前記気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記気象情報取得ステップで取得された前記気象情報に基づいて、前記気象の前記被認証者情報への影響度が所定の基準以下であるか否かを判断する気象判断ステップと、
前記気象判断ステップで前記影響度が前記基準以下であると判断された場合に、前記生体情報取得ステップで取得された前記被認証者情報を、前記個人情報として前記個人情報記憶手段に記憶させる記憶制御ステップとを備えたことを特徴とする個人認証方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の個人認証装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための個人認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−152423(P2010−152423A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326733(P2008−326733)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】