説明

光学式位置検出装置

【課題】検出光の出射空間のサイズを可変にすることのできる光学式位置検出装置を提供
すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10Aにおいて、検出用光源部12が検出光L2を出射
した際に対象物体Obで反射した検出光を光検出器30で検出して対象物体Obの座標を
検出する。第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは、第1発光素子12A1
、12B1、12C1、12D1〜第3発光素子12A3、12B3、12C3、12D3を備
えている。対象物体Obの検出空間10Rを広く設定する場合には、点灯する発光素子の
数を増やして出射空間を広げる一方、対象物体Obの検出空間10Rを狭く設定する場合
には、点灯する発光素子の数を減らして出射空間を狭める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置としては、例えば、2つの検出用光源
部から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射し、対象物体で反射した検出光が
透光部材を透過して光検出器で検出されるものが提案されている。かかる光学式位置検出
装置では、例えば、光検出器での検出結果に基づいて2つの検出用光源部を差動させれば
、2つの検出用光源部のうちの一方の検出用光源部と対象物体との距離と、他方の検出用
光源部と対象物体との距離の比がわかる。従って、対象物体の位置を検出することができ
る(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、検出光の出射空間が固定であるため、以
下の問題点がある。まず、予め、対象物体が狭い範囲に存在することがわかっている場合
でも、広い範囲にわたって一定以上の照度をもって検出光を出射する必要があるため、無
駄な電力を消費しているなどの問題点がある。また、検出光の出射空間が固定であるため
、特定の空間内の対象物体のみを検出した場合でも、出射空間全体から対象物体を検出し
てしまうという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、検出光の出射空間のサイズを可変にすること
のできる光学式位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置
検出装置であって、互いに異なる光軸をもって検出光を出射する複数の検出用光源部と、
前記検出光の出射空間に位置する前記対象物体で反射した前記検出光を受光する光検出器
と、前記複数の検出用光源部を順次点灯させる光源駆動部と、前記複数の検出用光源部が
順次点灯した際の前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置
検出部と、を有し、前記検出用光源部は、中心光軸が互いに並列する複数の発光素子を備
えていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、光源駆動部は、複数の検出用光源部を順次点灯させ、その間、光検出器は
、対象物体で反射した検出光を受光する。従って、光検出器での検出結果を直接、あるい
は光検出器を介して2つの検出用光源部を差動させたときの駆動電流等を用いれば、位置
検出部は、対象物体の位置を検出することができる。検出用光源部は、中心光軸が互いに
並列する複数の発光素子を備えており、幾つの発光素子、あるいはいずれの発光素子を点
灯させるかによって、検出光の出射空間の大きさを変更することができる。このため、対
象物体の検出空間を広く設定する場合には、例えば、点灯する発光素子の数を増やして出
射空間を広げる一方、対象物体の検出空間を狭く設定する場合には、点灯する発光素子の
数を減らして出射空間を狭めることができる。従って、光源を点灯させる電力を無駄な消
費することがないので、消費電力の削減を図ることができる。また、検出光の出射空間が
可変であるため、特定の狭い空間内の対象物体のみを検出することもできる。
【0008】
本発明において、前記光源駆動部は、前記複数の発光素子のうちの一部の発光素子を点
灯させる第1モードと、前記複数の発光素子のうちの少なくとも前記第1モードとは別の
発光素子を点灯させる第2モードと、を実行する。
【0009】
本発明において、前記光源駆動部は、前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうち
の1部の発光素子を点灯させ、前記第2モードでは、前記第1モードで点灯する発光素子
および前記第1モードとは別の発光素子を同時に点灯させて前記出射空間を前記発光素子
の中心光軸が配列されている方向に拡張させることが好ましい。かかる構成によれば、第
1モードでは、点灯する発光素子を減らして出射空間を狭めることができるので、光源を
点灯させるのに消費する電力の削減を図ることができる。
【0010】
本発明において、前記光源駆動部は、前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうち
の1つの発光素子を点灯させ、前記第2モードでは前記第1モードで点灯する発光素子を
含む2つ以上の発光素子を同時に点灯させる構成を採用することができる。かかる構成に
よれば、点灯する発光素子の1つまで減らして出射空間を狭めることができるので、光源
を点灯させるのに消費する電力の削減を図ることができる。また、検出光の出射空間を最
小限まで狭めることができるので、特定の狭い空間内の対象物体のみを検出することもで
きる。
【0011】
本発明は、前記複数の検出用光源部が、いずれも同一方向に前記検出光を出射する第1
タイプの光学式位置検出装置に適用することができる。
【0012】
本発明において、前記出射空間からみたとき、前記光検出器は、前記複数の検出用光源
部で囲まれた位置に配置され、かつ、前記検出用光源部において前記複数の発光素子は前
記光検出器に近い位置から離間する方向に向けて直線的に配列されており、前記第1モー
ドでは、前記複数の発光素子のうち、当該第1モードで点灯せずに前記第2モードで点灯
する発光素子よりも前記光検出器に近い位置の発光素子が点灯する構成を採用することが
できる。
【0013】
本発明において、前記検出光の出射側からみたとき、前記検出用光源部において前記複
数の発光素子の中心光軸は、前記出射空間の内側から外側に向けて直線的に配列されてお
り、前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうち、当該第1モードで点灯せずに前記
第2モードで点灯する発光素子よりも前記出射空間の内側に中心光軸を向ける発光素子が
点灯する構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記第2モードで点灯する前記発光素子のうち、前記1モードで消灯
状態にあった発光素子は、前記第1モードで点灯状態にあった発光素子よりも前記検出光
の出射強度が大であることが好ましい。このように構成すると、第1モードでの検出光の
出射空間と、第2モードで拡張した後の検出光の出射空間とにおいて、検出光の強度を連
続した状態とすることができるので、第2モードでも、第1モードと同様な検出精度を得
ることができる。
【0015】
本発明は、前記複数の検出用光源部には、前記出射空間を挟む両側で互いに逆向きの方
向に前記検出光を出射する検出用光源部が含まれている第2タイプの光学式位置検出装置
にも適用することができる。
【0016】
本発明は、第1タイプおよび第2タイプのいずれの光学式位置検出装置であっても、前
記位置検出部は、前記光検出器の受光結果に基づいて前記複数の検出用光源部のうち、一
部の検出用光源と他の一部の検出用光源部とを差動させた結果に基づいて前記対象物体の
位置を検出することが好ましい。このような差動を用いれば、環境光等の影響を自動的に
補正することができる。
【0017】
本発明において、前記出射空間を介さずに前記光検出器に入射する参照光を出射する参
照用光源を備え、前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果に基づいて前記複数の検出
用光源部のうちの一部の検出用光源部と前記参照用光源とを組み合わせを変えて差動させ
た結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用してもよい。このような差動
を用いれば、環境光等の影響を自動的に補正することができる。
【0018】
本発明において、前記検出光は赤外光であることが好ましい。かかる構成によれば、検
出光が視認されないので、表示装置に適用した場合でも表示を妨げない等、光学式位置検
出装置を各種機器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における検出用光源部の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の全体構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、検出光同士の差動を利用して対象物体の位置を検出する原理を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、参照光と検出光との差動を利用して対象物体の位置を検出する原理を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、位置検出部で行なわれる処理内容等を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、検出空間のサイズを切り換える様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置における検出用光源部と検出空間との位置関係を模式的に示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置をハンド装置に設けたロボットアームの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説
明においては、互いに交差する軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、検出光の出射方向をZ軸
方向として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、
他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側として示してある

【0021】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明
図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における検出用光源
部の構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、検出用光源部を検出光の出射空間
からみたときの説明図、および検出用光源部を側方からみたときの説明図である。図3は
、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の全体構成を示す説明図である。
【0022】
図1、図2および図3において、本形態の光学式位置検出装置10Aは、後述するロボ
ットハンド装置での触覚センサー装置等として利用される光学装置であり、Z軸方向の一
方側Z1に向けて検出光L2を出射する複数の検出用光源部12を備えた光源装置11と
、対象物体Obで反射した検出光L3を検出する光検出器30とを備えている。また、光
学式位置検出装置10Aは、シート状あるいは板状の透光部材40を有している場合があ
り、この場合、検出用光源部12は、透光部材40において第1面41側とは反対側の第
2面42側から第1面41側に検出光L2を出射し、光検出器30は、対象物体Obで反
射して透光部材40の第2面42側に透過してきた検出光L3を検出する。このため、光
検出器30の受光部31は、透光部材40の第2面42に対向している。
【0023】
本形態において、光源装置11は、複数の検出用光源部12として、第1検出用光源部
12A、第2検出用光源部12B、第3検出用光源部12Cおよび第4検出用光源部12
Dを備えており、これらの検出用光源部12はいずれも、発光部を透光部材40に向けて
いる。従って、検出用光源部12から出射された検出光L2は、透光部材40を透過して
、第1面41側(光源装置11からの検出光L2の出射空間)に出射され、本形態では、
かかる出射空間(第1面41側の空間)によって、対象物体Obの位置が検出される検出
空間10Rが構成されている。
【0024】
第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは、検出空間10R(Z軸方向)か
らみたとき、光検出器30の中心光軸の周りにこの順に配置されており、光検出器30は
、複数の検出用光源部12より内側に位置する。複数の検出用光源部12において、第1
検出用光源部12Aと第3検出用光源部12CとはX軸方向で離間し、第2検出用光源部
12Bと第4検出用光源部12DとはY軸方向で離間している。なお、第1検出用光源部
12Aからみれば、第2検出用光源部12Bおよび第4検出用光源部12Dも第1検出用
光源部12Aに対してX軸方向で離間し、第3検出用光源部12Cからみれば、第2検出
用光源部12Bおよび第4検出用光源部12Dも第3検出用光源部12Cに対してX軸方
向で離間している。同様に、第2検出用光源部12Bからみれば、第1検出用光源部12
Aおよび第3検出用光源部12Cも第2検出用光源部12Bに対してY軸方向で離間し、
第4検出用光源部12Dからみれば、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光源部1
2Cも第4検出用光源部12Dに対してY軸方向で離間している。
【0025】
また、検出空間10R(Z軸方向)からみたとき、第1検出用光源部12A〜第4検出
用光源部12Dは、光検出器30を中心に等角度間隔に配置されている。また、検出空間
10R(Z軸方向)からみたとき、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは
、光検出器30から距離が等しい。
【0026】
光源装置11は、光検出器30に発光部を向けた参照用光源12Rも備えている。参照
用光源12Rは、LED(発光ダイオード)等により構成され、参照用光源12Rは、ピ
ーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる参照光Lrを発散光として放
出する。但し、参照用光源12Rから出射される参照光Lrは、参照用光源12Rの向き
や、参照用光源12Rに設けられる遮光カバー(図示せず)等によって、透光部材40の
第1面41側(検出空間10R)に入射せず、検出空間10Rを介さずに光検出器30に
入射するようになっている。
【0027】
光検出器30は、透光部材40に受光部31を向けたフォトダイオードやフォトトラン
ジスター等からなり、本形態において、光検出器30は赤外域に感度ピークを備えたフォ
トダイオードである。
【0028】
(検出用光源部12の詳細構成)
本形態の光学式位置検出装置10Aにおいて、検出空間10R(Z軸方向)からみたと
き、複数の検出用光源部12は各々、径方向で並ぶ複数の発光素子を備えており、本形態
において、検出用光源部12は、3つの発光素子を備えている。より具体的には、第1検
出用光源部12Aは、最も内側の第1発光素子12A1と、第1発光素子12A1よりも光
検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する第2発光素子12A2と、第2発
光素子12A2よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する第3発光
素子12A3とを備えており、第1発光素子12A1〜第3発光素子12A3および光検出
器30は同一直線上に配置されている。また、第1発光素子12A1〜第3発光素子12
3の中心光軸は、互いに並列しており、本形態において、第1発光素子12A1〜第3発
光素子12A3の中心光軸は、互いに平行である。
【0029】
同様に、第2検出用光源部12Bは、最も内側の第1発光素子12B1と、第1発光素
子12B1よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する第2発光素子
12B2と、第2発光素子12B2よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に
位置する第3発光素子12B3とを備えており、第1発光素子12B1〜第3発光素子12
3および光検出器30は同一直線上に配置されている。また、第1発光素子12B1〜第
3発光素子12B3の中心光軸は、互いに並列しており、本形態において、第1発光素子
12B1〜第3発光素子12B3の中心光軸は、互いに平行である。
【0030】
第3検出用光源部12Cは、最も内側の第1発光素子12C1と、第1発光素子12C1
よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する第2発光素子12C2
、第2発光素子12C2よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する
第3発光素子12C3とを備えており、第1発光素子12C1〜第3発光素子12C3およ
び光検出器30は同一直線上に配置されている。また、第1発光素子12C1〜第3発光
素子12C3の中心光軸は、互いに並列しており、本形態において、第1発光素子12C1
〜第3発光素子12C3の中心光軸は、互いに平行である。
【0031】
第4検出用光源部12Dは、最も内側の第1発光素子12D1と、第1発光素子12D1
よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する第2発光素子12D2
、第2発光素子12D2よりも光検出器30が位置する側とは反対側(外側)に位置する
第3発光素子12D3とを備えており、第1発光素子12D1〜第3発光素子12D3およ
び光検出器30は同一直線上に配置されている。また、第1発光素子12D1〜第3発光
素子12D3の中心光軸は、互いに並列しており、本形態において、第1発光素子12D1
〜第3発光素子12D3の中心光軸は、互いに平行である。
【0032】
ここで、第1発光素子12A1〜12D1はいずれも、光検出器30を中心とする半径r
1の円周上に位置し、第2発光素子12A2〜12D2はいずれも、光検出器30を中心と
する半径r2(但し、r1<r2)の円周上に位置し、第3発光素子12A3〜12D3はい
ずれも、光検出器30を中心とする半径r3(但し、r2<r3)の円周上に位置する。こ
のため、第1発光素子12A1、12B1、12C1、12D1、第2発光素子12A2、1
2B2、12C2、12D2、および第3発光素子12A3、12B3、12C3、12D3
、この順に検出空間10Rの内側から外側に中心光軸を向けている。
【0033】
第1発光素子12A1〜12D1、第2発光素子12A2〜12D2、および第3発光素子
12A3〜12D3はいずれも、LED(発光ダイオード)等により構成され、ピーク波長
が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a〜L2d)
を発散光として放出する。
【0034】
(位置検出部等の構成)
図3に示すように、光源装置11は複数の検出用光源部12を駆動する光源駆動部14
を備えている。光源駆動部14は、検出用光源部12および参照用光源12Rを駆動する
光源駆動回路140と、光源駆動回路140を介して複数の検出用光源部12および参照
用光源12Rの各々の点灯パターンを制御する光源制御部145とを備えている。光源駆
動回路140は、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dを駆動する光源駆動
回路140a〜140dと、参照用光源12Rを駆動する光源駆動回路140rとを備え
ている。また、光源駆動回路140a〜140dは各々、第1発光素子12A1〜12D1
、第2発光素子12A2〜12D2、および第3発光素子12A3〜12D3を個別に駆動す
る。光源制御部145は、光源駆動回路140a〜140d、140rの全てを制御する
。なお、光源駆動回路140a〜140dについては、スイッチング回路により、複数の
検出用光源部12を共通の光源駆動回路140で駆動する構成を採用してもよい。
【0035】
光検出器30には位置検出部50が電気的に接続されており、光検出器30での検出結
果は位置検出部50に出力される。位置検出部50は、光検出器30での検出結果に基づ
いて対象物体Obの位置を検出するための信号処理部55を備えており、かかる信号処理
部55は、増幅器や比較器等を備えている。また、位置検出部50は、対象物体ObのX
Y座標を検出するXY座標検出部52と、対象物体ObのZ座標を検出するZ座標検出部
53とを備えている。このように構成した位置検出部50と光源駆動部14とは連動して
動作し、後述する位置検出を行なう。
【0036】
(座標の基本的な検出原理)
図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10Aで用いた座標検出の基
本原理を示す説明図であり、図4(a)、(b)は、対象物体Obの位置と光検出器30
での受光強度との関係を模式的に示す説明図、および検出器30での受光強度が等しくな
るように検出光L2の出射強度を調整する様子を模式的に示す説明図である。
【0037】
本形態の光学式位置検出装置10Aでは、図4および図5を参照して後述するように、
検出用光源部12同士の差動、あるいは検出用光源部12と参照用光源12Rとの差動に
より、2つの検出用光源部12のうちの一方の検出用光源部12と対象物体Obとの距離
と、他方の検出用光源部12と対象物体Obとの距離の比を求め、かかる比に基づいて、
対象物体Obの位置を検出する。かかる差動の際、第1発光素子12A1〜12D1、第2
発光素子12A2〜12D2、および第3発光素子12A3〜12D3の一部あるいは全部が
使用される。その際、第1検出用光源部12A、第2検出用光源部12B、第3検出用光
源部12Cおよび第4検出用光源部12Dでの駆動電流は各々、第1発光素子12A1
第3発光素子12A3の駆動電流合計値、第1発光素子12B1〜第3発光素子12B3
駆動電流合計値、第1発光素子12C1〜第3発光素子12C3の駆動電流合計値、第1発
光素子12D1〜第3発光素子12D3の駆動電流合計値である。
【0038】
以下、光検出器30の受光結果に基づいて、第1検出用光源部12A、第2検出用光源
部12B、第3検出用光源部12Cおよび第4検出用光源部12Dのうち、2つの検出用
光源を組み合わせを変えて差動させた複数の結果により対象物体ObのX座標およびY座
標を検出する際の基本的な原理を説明する。
【0039】
本形態の光学式位置検出装置10Aにおいて、透光部材40の第1面41側(光源装置
11からの検出光L2の出射側の空間)には検出空間10Rが設定されている。また、2
つの検出用光源部12、例えば、第1検出用光源部12Aと第3検出用光源部12CはX
軸方向およびY軸方向で離間している。このため、第1検出用光源部12Aが点灯して検
出光L2aを出射すると、検出光L2aは、図4(a)に示すように、一方側から他方側
に向けて強度が単調減少する第1光強度分布L2Gaを形成する。また、第3検出用光源
部12Cが点灯して検出光L2cを出射すると、検出光L2cは、透光部材40を透過し
て第1面41側(検出空間10R)に、一方側から他方側に向けて強度が単調増加する第
2光強度分布L2Gcを形成する。
【0040】
このような検出光L2a、L2cの差動を利用して対象物体Obの位置情報を得るには
、図4(a)に示すように、まず、第1検出用光源部12Aを点灯させる一方、第3検出
用光源部12Cを消灯させ、一方側から他方側に向かって強度が単調減少していく第1光
強度分布L2Gaを形成する。また、第1検出用光源部12Aを消灯させる一方、第3検
出用光源部12Cを点灯させ、一方側から他方側に向かって強度が単調増加していく第2
光強度分布L2Gcを形成する。従って、検出空間10Rに対象物体Obが配置されると
、対象物体Obにより検出光L2が反射され、その反射光の一部が光検出器30により検
出される。その際、対象物体Obでの反射強度は、対象物体Obが位置する個所での検出
光L2の強度に比例し、光検出器30での受光強度は対象物体Obでの反射強度に比例す
る。従って、光検出器30での受光強度は、対象物体Obの位置に対応する値となる。そ
れ故、図4(b)に示すように、第1光強度分布L2Gaを形成した際の光検出器30で
の検出値LGaと、第2光強度分布L2Gcを形成した際の光検出器30での検出値LG
cとが等しくなるように、第1検出用光源部12Aに対する制御量(駆動電流)を調整し
た際の駆動電流と、第3検出用光源部12Cに対する制御量(駆動電流)を調整した際の
駆動電流との比や調整量の比等を用いれば、XY平面内において対象物体Obが第1検出
用光源部12Aと第3検出用光源部12Cとの間のいずれの位置に存在するかを検出でき
ることになる。
【0041】
より具体的には、図4(a)に示すように、第1光強度分布L2Gaと第2光強度分布
L2Gcとを光強度分布が逆向きとなるように形成する。この状態で、光検出器30での
検出値LGa、LGcが等しければ、XY平面内において対象物体Obが第1検出用光源
部12Aと第3検出用光源部12Cとの間の中央に位置することが分る。これに対して、
光検出器30での検出値LGa、LGcが相違している場合、検出値LGa、LGcが等
しくなるように、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光源部12Cに対する制御量
(駆動電流)を調整して、図4(b)に示すように、再度、第1光強度分布L2Gaおよ
び第2光強度分布L2Gcを順次形成する。その結果、光検出器30での検出値LGa、
LGcが等しくなれば、その時点での第1検出用光源部12Aに対する駆動電流と、第3
検出用光源部12Cに対する駆動電流との比を用いれば、XY平面内において対象物体O
bが第1検出用光源部12Aと第3検出用光源部12Cとの間のいずれの位置に存在する
かを検出できることになる。
【0042】
かかる検出原理を光路関数を用いて数理的に説明すると、以下のようになる。まず、上
記の差動において、光検出器30での受光強度が等しくなったときの第1検出用光源部1
2Aに対する駆動電流をIAとし、第3検出用光源部12Cに対する駆動電流をICとし、
第1検出用光源部12Aから対象物体Obを経て光検出器30に到る距離関数と第3検出
用光源部12Cから対象物体Obを経て光検出器30に到る距離関数との比をPACとする
と、比PACは、基本的には下式
AC=IC/IA
により求められる。従って、対象物体Obは、第1検出用光源部12Aと第3検出用光源
部12Cとを結ぶ線を所定の比で分割した位置を通る等比線上に対象物体Ob位置するこ
とが分かる。
【0043】
かかるモデルを数理的に説明する。まず、各パラメータを以下
T=対象物体Obの反射率
t=第1検出用光源部12Aから出射された検出光L2が対象物体Obで
反射して光検出器30に到る距離関数
A=検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態で第1検出用光源部12A
が点灯したときの光検出器30の検出強度
t=第3検出用光源部12Cから出射された検出光L2が対象物体Obで
反射して光検出器30に到る距離関数
C=検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態で第3検出用光源部12C
が点灯したときの光検出器30の検出強度
とする。なお、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光源部12Cの発光強度は、駆
動電流と発光係数との積で表されるが、以下の説明では、発光係数を1とする。
【0044】
また、検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態で、前記した差動を行なうと、
A=T×At×IA+環境光 ・・式(1)
C=T×Ct×IC+環境光 ・・式(2)
の関係が得られる。
【0045】
ここで、差動の際の光検出器30の検出強度は等しいことから、式(1)、(2)から
下式
T×At×IA+環境光=T×Ct×IC+環境光
T×At×IA=T×Ct×IC・・式(3)
が導かれる。
【0046】
また、距離関数At、Ctの比PACは、下式
AC=At/Ct・・式(4)
で定義されることから、式(3)、(4)から、距離関数の比PAC
AC=IC/IA・・式(5)
で示すように表される。かかる式(5)では、環境光の項、対象物体Obの反射率の項が
存在しない。それ故、光路係数At、Ctの比PACには、環境光、対象物体Obの反射率が
影響しない。なお、上記の数理モデルについては、対象物体Obで反射せずに入射した検
出光L2の影響等を相殺するための補正を行なってもよい。
【0047】
ここで、検出用光源部12で用いた光源点光源であり、ある地点での光強度は、光源か
らの距離の2乗に反比例する。従って、第1検出用光源部12Aと対象物体Oとの離間距
離P1と、第3検出用光源部12Cと対象物体Obとの離間距離P2との比は、下式
AC=(P1)2:(P2)2
により求められる。それ故、対象物体Obは、第1検出用光源部12Aと第3検出用光源
部12Cとを結ぶ仮想線をP1:P2で分割した位置を通る等比線上に対象物体Obが存
在することがわかる。
【0048】
同様に、第2検出用光源部12Bと第4検出用光源部12Dとを差動させて、第2検出
用光源部12Bと対象物体Obとの距離と、第4検出用光源部12Dと対象物体Obとの
距離の比を求めれば、第2検出用光源部12Bと第4検出用光源部12Dとを結ぶ仮想線
を所定の比で分割した位置を通る等比線上に対象物体Obが存在することがわかる。それ
故、対象物体ObのX座標およびY座標を検出することができる。なお、上記の方法は、
本形態で採用した原理を幾何学的に説明したものであり、実際には、得られたデータを用
いて計算を行う。
【0049】
(参照光Lrと検出光L2との差動)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10Aにおいて、参照光Lr
と検出光L2との差動を利用して対象物体Obの位置を検出する原理を示す説明図であり
、図5(a)、(b)は、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離と検出光L2等
の受光強度との関係を示す説明図、および光源への駆動電流を調整した後の様子を示す説
明図である。
【0050】
本形態の光学式位置検出装置10Aにおいては、検出光L2aと検出光L2cとの直接
的な差動に代えて、検出光L2aと参照光Lrとの差動と、検出光L2cと参照光Lrと
の差動とを利用し、最終的に図4(a)、(b)を参照して説明した原理と同様な結果を
導く。ここで、検出光L2aと参照光Lrとの差動、および検出光L2cと参照光Lrと
の差動は、以下のようにして実行される。
【0051】
図5(a)に示すように、検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態においては、
第1検出用光源部12Aから対象物体Obまで距離と、光検出器30での検出光L2aの
受光強度Daとは、実線SAで示すように単調に変化する。これに対して、参照用光源1
2Rから出射された参照光Lrの光検出器30での検出強度は、実線SRで示すように、
対象物体Obの位置にかかわらず、一定である。従って、光検出器30での検出光L2a
の受光強度Daと、光検出器30での参照光Lrの検出強度Drとは、相違している。
【0052】
次に、図5(b)に示すように、第1検出用光源部12Aに対する駆動電流、および参
照用光源12Rに対する駆動電流のうちの少なくとも一方を調整し、光検出器30での検
出光L2aの受光強度Daと、参照光Lrの光検出器30での検出強度Drとを一致させる
。このような差動は、参照光Lrと検出光L2aとの間で行なわれるとともに、参照光L
rと検出光L2cとの間でも行なわれる。従って、光検出器30での検出光L2a、L2
c(対象物体Obで反射した検出光L3a、L3c)の検出結果と、光検出器30での参
照光Lrの検出結果とが等しくなった時点での第1検出用光源部12Aに対する駆動電流
と、第3検出用光源部12Cに対する駆動電流との比を求めることができる。それ故、第
1検出用光源部12Aと第3検出用光源部12Cとの間のいずれの位置に対象物体Obが
存在するかを検出できることになる。
【0053】
上記の検出原理を光路関数を用いて数理的に説明すると、以下のようになる。まず、各
パラメータを以下
T=対象物体Obの反射率
t=第1検出用光源部12Aから出射された検出光L2が対象物体Obで
反射して光検出器30に到る距離関数
A=検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態で第1検出用光源部12A
が点灯したときの光検出器30の検出強度
t=第3検出用光源部12Cから出射された検出光L2が対象物体Obで
反射して光検出器30に到る距離関数
C=検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態で第3検出用光源部12C
が点灯したときの光検出器30の検出強度
s=参照用光源12Rから光検出器30に到る光路係数
R=参照用光源12Rのみが点灯したときの光検出器30の検出強度
とする。なお、第1検出用光源部12A、第3検出用光源部12Cおよび参照用光源12
Rの発光強度は、駆動電流と発光係数との積で表されるが、以下の説明では、発光係数を
1とする。また、上記の差動において、光検出器30での受光強度が等しくなったときの
第1検出用光源部12Aに対する駆動電流をIAとし、第3検出用光源部12Cに対する
駆動電流をICとし、参照用光源12Rに対する駆動電流をIRとする。また、差動の際、
参照用光源12Rのみが点灯したときの光検出器30の検出強度については、第1検出用
光源部12Aとの差動と、第3検出用光源部12Cとの差動とにおいて同一と仮定する。
【0054】
検出空間10Rに対象物体Obが存在する状態で、前記した差動を行なうと、
A=T×At×IA+環境光 ・・式(6)
C=T×Ct×IC+環境光 ・・式(7)
R=Rs×IR+環境光 ・・式(8)
の関係が得られる。
【0055】
ここで、差動の際の光検出器30の検出強度は等しいことから、式(6)、(8)から
下式
T×At×IA+環境光=Rs×IR+環境光
T×At×IA=Rs×IR
T×At=Rs×IR/IA・・式(9)
が導かれ、式(7)、(8)から下式
T×Ct×IC+環境光=Rs×IR+環境光
T×Ct×IC=Rs×IR
T×Ct=Rs×IR/IC・・式(10)
が導かれる。
【0056】
また、距離関数At、Ctの比PACは、下式
AC=At/Ct・・式(11)
で定義されることから、式(9)、(10)から、距離関数の比PAC
AC=IC/IA・・式(12)
で示すように表される。かかる式(12)では、環境光の項、対象物体Obの反射率の項
が存在しない。それ故、光路係数At、Ctの比PACには、環境光、対象物体Obの反射率
が影響しない。なお、上記の数理モデルについては、対象物体Obで反射せずに入射した
検出光L2の影響等を相殺するための補正を行なってもよい。また、第1検出用光源部1
2Aとの差動と、第3検出用光源部12Cとの差動とにおいて、参照用光源12Rのみが
点灯したときの光検出器30の検出強度を異なる値に設定した場合でも、基本的には同様
な原理が成り立つ。
【0057】
ここで、検出用光源部12で用いた光源点光源であり、ある地点での光強度は、光源か
らの距離の2乗に反比例する。従って、第1検出用光源部12Aと対象物体Oとの離間距
離P1と、第3検出用光源部12Cと対象物体Obとの離間距離P2との比は、下式
AC=(P1)2:(P2)2
により求められる。それ故、対象物体Obは、第1検出用光源部12Aと第3検出用光源
部12Cとを結ぶ仮想線をP1:P2で分割した位置を通る等比線上に対象物体Obが存
在することがわかる。
【0058】
同様に、第2検出用光源部12Bと参照用光源12Rとの差動、および第4検出用光源
部12Dと参照用光源12Rとの差動を利用して、第2検出用光源部12Bと対象物体O
bとの距離と、第4検出用光源部12Dと対象物体Obとの距離の比を求めれば、第2検
出用光源部12Bと第4検出用光源部12Dとを結ぶ仮想線を所定の比で分割した位置を
通る等比線上に対象物体Obが存在することがわかる。それ故、対象物体ObのX座標お
よびY座標を検出することができる。なお、上記の方法は、本形態で採用した原理を幾何
学的に説明したものであり、実際には、得られたデータを用いて計算を行う。
【0059】
(差動のための位置検出部50の構成例)
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10Aにおいて、位置検出部
50で行なわれる処理内容等を示す説明図である。
【0060】
上記の差動を実施するにあたっては、位置検出部50としてマイクロプロセッサーユニ
ット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行するこ
とに従って処理を行う構成を採用することができる。また、図6を参照して以下に説明す
るように、論理回路等のハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用するこ
ともできる。なお、図6には、図5を参照して説明した差動を示してあるが、参照用光源
12Rを検出用光源部12に置き換えれば、図4を参照して説明した差動に適用すること
ができる。
【0061】
図6(a)に示すように、本形態の光学式位置検出装置10Aにおいて、光源駆動回路
140は、可変抵抗111を介して第1検出用光源部12Aに所定電流値の駆動パルスを
印加する一方、可変抵抗112および反転回路113を介して参照用光源12Rに所定電
流値の駆動パルスを印加する。このため、第1検出用光源部12Aと参照用光源12Rに
は逆相の駆動パルスが印加されるので、第1検出用光源部12Aと参照用光源12Rとは
交互に点灯することになる。そして、第1検出用光源部12Aが点灯した時、検出光L2
aのうち、対象物体Obで反射した光は光検出器30で受光され、参照用光源12Rが点
灯した時、参照光Lrが光検出器30で受光される。光強度信号生成回路150において
、光検出器30には、1kΩ程度の抵抗30rが直列に電気的接続されており、それらの
両端にはバイアス電圧Vbが印加されている。
【0062】
かかる光強度信号生成回路150において、光検出器30と抵抗30rとの接続点Q1
には、位置検出部50が電気的に接続されている。光検出器30と抵抗30rとの接続点
Q1から出力される検出信号Vcは、下式
Vc=V30/(V30+抵抗30rの抵抗値)
V30:光検出器30の等価抵抗
で表される。従って、環境光Lcが光検出器30に入射しない場合と、環境光Lcが光検
出器30に入射している場合とを比較すると、環境光Lcが光検出器30に入射している
場合には、検出信号Vcのレベルおよび振幅が大きくなる。
【0063】
位置検出部50は概ね、位置検出用信号抽出回路190、位置検出用信号分離回路17
0、および発光強度補償指令回路180を備えている。位置検出用信号抽出回路190は
、1nF程度のキャパシタからなるフィルター192を備えており、かかるフィルター1
92は、光検出器30と抵抗30rとの接続点Q1から出力された信号から直流成分を除
去するハイパスフィルターとして機能する。このため、フィルター192によって、光検
出器30と抵抗30rとの接続点Q1から出力された検出信号Vcからは、光検出器30
による位置検出信号Vdのみが抽出される。すなわち、検出光L2aおよび参照光Lrは
変調されているのに対して、環境光Lcはある期間内において強度が一定であると見なす
ことができるので、環境光Lcに起因する低周波成分あるいは直流成分はフィルター19
2によって除去される。
【0064】
また、位置検出用信号抽出回路190は、フィルター192の後段に、220kΩ程度
の帰還抵抗194を備えた加算回路193を有しており、フィルター192によって抽出
された位置検出信号Vdは、バイアス電圧Vbの1/2倍の電圧V/2に重畳された位置
検出信号Vsとして位置検出用信号分離回路170に出力される。
【0065】
位置検出用信号分離回路170は、第1検出用光源部12Aに印加される駆動パルスに
同期してスイッチング動作を行なうスイッチ171と、比較器172と、比較器172の
入力線に各々、電気的接続されたキャパシタ173とを備えている。このため、位置検出
信号Vsが位置検出用信号分離回路170に入力されると、位置検出用信号分離回路17
0から発光強度補償指令回路180には、第1検出用光源部12Aが点灯した時の位置検
出信号Vsの実効値Veaと、参照用光源12Rが点灯した時の位置検出信号Vsの実効
値Vebとが交互に出力される。
【0066】
発光強度補償指令回路180は、実効値Vea、Vebを比較して、図6(b)に示す
処理を行ない、位置検出信号Vsの実効値Veaと位置検出信号Vsの実効値Vebとが
同一レベルとなるように光源駆動回路140に制御信号Vfを出力する。すなわち、発光
強度補償指令回路180は、位置検出信号Vsの実効値Veaと位置検出信号Vsの実効
値Vebとを比較して、それらが等しい場合、現状の駆動条件を維持させる。これに対し
て、位置検出信号Vsの実効値Veaが位置検出信号Vsの実効値Vebより低い場合、
発光強度補償指令回路180は、可変抵抗111の抵抗値を下げさせて第1検出用光源部
12Aからの出射光量を高める。また、位置検出信号Vsの実効値Vebが位置検出信号
Vsの実効値Veaより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗112の抵
抗値を下げさせて参照用光源12Rからの出射光量を高める。
【0067】
このようにして、光学式位置検出装置10Aでは位置検出部50の発光強度補償指令回
路180によって、第1検出用光源部12Aの点灯動作中および参照用光源12Rの点灯
動作中での光検出器30による検出量が同一となるように、第1検出用光源部12Aおよ
び参照用光源12Rの制御量(駆動電流)を制御する。従って、発光強度補償指令回路1
80には、第1検出用光源部12Aの点灯動作中と、参照用光源12Rの点灯動作中とに
おいて光検出器30による検出量が同一となるような第1検出用光源部12Aおよび参照
用光源12Rに対する駆動電流に関する情報が存在し、かかる情報は、位置検出信号Vg
として位置検出部50に出力される。
【0068】
同様な処理は、他の検出用光源部12(第2検出用光源部12B〜第4検出用光源部1
2D)と参照用光源12Rとの間でも行なわれる。
【0069】
(Z座標の検出)
本形態の光学式位置検出装置10Aにおいて、第1検出用光源部12A〜第4検出用光
源部12Dが同時に点灯すると、透光部材40の第1面41側(検出空間10R)には、
第1面41に対する法線方向で強度が単調減少するZ座標検出用光強度分布が形成される
。かかるZ座標検出用光強度分布では、透光部材40の第1面41から離間するに従って
強度が単調に低下する。従って、位置検出部50のZ座標検出部53では、参照用光源1
2Rと、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dの全てとを交互に点灯させた
ときの光検出器30での検出値の差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出すること
ができる。また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dを順次点灯させたと
きの光検出器30での検出値の合計値と、参照用光源12Rを点灯させたときの光検出器
30での検出値の差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出してもよい。
【0070】
また、位置検出部50のZ座標検出部53では、参照用光源12Rと第1検出用光源部
12A〜第4検出用光源部12Dの全てとを交互に点灯させたときに光検出器30での検
出値が等しくなったときの参照用光源12Rに対する駆動電流と第1検出用光源部12A
〜第4検出用光源部12Dに対する駆動電流との差や比に基づいて対象物体ObのZ座標
を検出することができる。また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dを順
次、参照用光源12Rと差動させたときの駆動電流値の合計値と、参照用光源12Rに対
する駆動電流との差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出してもよい。
【0071】
(検出空間10Rの切り換え)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10Aにおいて検出空間10
Rのサイズを切り換える様子を示す説明図である。
【0072】
本形態の光学式位置検出装置10Aにおいて、第1検出用光源部12Aは、第1発光素
子12A1〜第3発光素子12A3を備えており、光源駆動部14は、第1検出用光源部1
2Aにおいて、第1発光素子12A1のみを点灯させる第1モード、および第1発光素子
12A1を含む複数の発光素子を点灯させる第2モードを実行可能である。同様に、第2
検出用光源部12B〜第4検出用光源部12Dは、第1発光素子12B1、12C1、12
1〜第3発光素子12B3、12C3、12D3を備えており、光源駆動部14は、第1発
光素子12B1〜12D1のみを点灯させる第1モード、および第1発光素子12B1〜1
2D1を含む複数の発光素子を点灯させる第2モードを実行可能である。
【0073】
そこで、本形態では、対象物体Obが狭い範囲に存在することがわかっている場合には
、第1モードを行い、検出空間10Rを狭い範囲に設定する。これに対して、対象物体O
bが広い範囲に存在するような場合には、第2モードを行い、検出空間10Rを拡張する
。ここで、光源駆動部14は、第1モードでは、複数の発光素子のうち、一部の発光素子
を点灯させ、第2モードでは、第1モードで点灯する発光素子を含んで第1モードより多
い発光素子を同時に点灯させる。ここで、第1モードで点灯する発光素子が1つである場
合、第2モードでは第1モードで点灯する発光素子を含む2つ以上の発光素子を同時に点
灯させる。
【0074】
より具体的には、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光源部12Cを用いて対象
物体ObのX座標を検出する際、対象物体Obが狭い範囲に存在することがわかっている
場合、図7(a)に示すように、光源駆動部14は、第1発光素子12A1、12C1のみ
を点灯させ、第1発光素子12A1、12C1から検出光L2として、検出光L2a1(L
2a)、L2c1(L2c)を出射させる(第1モード)。この状態における検出空間1
0R(検出空間10R1)のX軸方向におけるサイズは、図7(a)に矢印XS1で示す大
きさであり、検出空間10R(検出空間10R1)のZ軸方向におけるサイズは、図7(
a)に矢印ZS1で示す大きさである。
【0075】
次に、対象物体Obがやや広い範囲に存在する可能性がある場合、図7(b)に示すよ
うに、光源駆動部14は、第1発光素子12A1、12C1および第2発光素子12A2
12C2を点灯させる(第2モード)。その結果、第1発光素子12A1、12C1は検出
光L2a1、L2c1を出射し、第2発光素子12A2、12C2は検出光L2a2、L2c2
を出射する。かかる検出光L2a1、L2a2は、連続した一体の検出光L2aとして出射
され、検出光L2c1、L2c2は、連続した一体の検出光L2cとして出射される。この
状態における検出空間10R(検出空間10R2)のX軸方向におけるサイズは、図7(
b)に矢印XS2で示す範囲まで連続して拡張され、検出空間10R(検出空間10R2
のZ軸方向におけるサイズは、図7(b)に矢印ZS2で示す範囲まで拡張される。その
際、光源駆動部14は、第2発光素子12A2、12C2からの検出光L2の出射強度を第
1発光素子12A1、12C1からの検出光L2の出射強度より大とする。このため、検出
空間10Rを拡張する前後において、検出空間10Rにおける光強度分布等に大きな変化
が発生しない。なお、第2検出用光源部12Bおよび第4検出用光源部12Dでも、同様
な切り換えを行なえば、検出空間10RをY軸方向に拡張することができる。
【0076】
次に、対象物体Obがさらに広い範囲に存在する可能性がある場合、図7(c)に示す
ように、光源駆動部14は、第1発光素子12A1、12C1、第2発光素子12A2、1
2C2、および第3発光素子12A3、12C3を点灯させる(第2モード)。その結果、
第1発光素子12A1、12C1は検出光L2a1、L2c1を出射し、第2発光素子12A
2、12C2は検出光L2a2、L2c2を出射し、第3発光素子12A3、12C3は検出光
L2a3、L2c3を出射する。かかる検出光L2a1、L2a2、L2a3は、連続した一
体の検出光L2aとして出射され、検出光L2c1、L2c2、L2c3は、連続した一体
の検出光L2cとして出射される。この状態における検出空間10R(検出空間10R3
)のX軸方向におけるサイズは、図7(c)に矢印XS3で示す範囲まで拡張され、検出
空間10R(検出空間10R3)のZ軸方向におけるサイズは、図7(c)に矢印ZS3
示す範囲まで拡張される。その際、光源駆動部14は、第2発光素子12A2、12C2
らの検出光L2の出射強度を第1発光素子12A1、12C1からの検出光L2の出射強度
より大とし、第3発光素子12A3、12C3からの検出光L2の出射強度を第2発光素子
12A2、12C2からの検出光L2の出射強度より大とする。このため、検出空間10R
を拡張する前後において、検出空間10Rにおける光強度分布等に大きな変化が発生しな
い。なお、第2検出用光源部12Bおよび第4検出用光源部12Dでも、同様な切り換え
を行なえば、検出空間10RをY軸方向に拡張することができる。
【0077】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10Aでは、光源駆動部14は、複
数の検出用光源部12を順次点灯させ、その間、光検出器30は、対象物体Obで反射し
た検出光L3を受光する。従って、光検出器30での検出結果を直接、あるいは光検出器
30を介して2つの検出用光源部12を差動させたときの駆動電流を用いれば、位置検出
部50は、対象物体Obの位置を検出することができる。
【0078】
ここで、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは、第1発光素子12A1
、12B1、12C1、12D1〜第3発光素子12A3、12B3、12C3、12D3を備
えており、光源駆動部14は、第1発光素子12A1〜12D1のみを点灯させる第1モー
ド、および第1発光素子12A1〜12D1を含む複数の発光素子を点灯させる第2モード
を実行可能である。また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dの各々にお
いて、発光素子の中心光軸は並列しており、第1発光素子12A1、12B1、12C1
12D1、第2発光素子12A2、12B2、12C2、12D2、および第3発光素子12
3、12B3、12C3、12D3は、この順に検出空間10Rの内側から外側に中心光軸
を向けている。このため、対象物体Obの検出空間10Rを広く設定する場合には、点灯
する発光素子の数を増やして出射空間を広げる一方、対象物体Obの検出空間10Rを狭
く設定する場合には、点灯する発光素子の数を減らして出射空間を狭めることができる。
従って、光源を点灯させる電力を無駄な消費することがないので、消費電力の削減を図る
ことができる。特に本形態では、光源駆動部14は、複数の発光素子のうち、1つの発光
素子を点灯させる第1モードを実行可能であるため、検出空間10Rを最小限まで狭める
ことができるので、光源を点灯させるのに消費する電力を大幅に削減することができる。
また、検出光L2の出射空間(検出空間10R)が可変であるため、特定の狭い空間内の
対象物体Obのみを検出することもできる。
【0079】
また、本形態では、2つの検出用光源部12での差動、あるいは検出用光源部12と参
照用光源12Rとの差動を利用しているため、環境光等の影響を自動的に補正することが
できる。さらに、検出光L2は赤外光であるため、視認されない。従って、本形態の光学
式位置検出装置10Aを表示装置に適用した場合でも表示を妨げない等、光学式位置検出
装置10Aを各種機器に用いることができる。
【0080】
[実施の形態2]
(全体構成)
図8は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明
図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置における検出用光源
部と検出空間との位置関係を模式的に示す説明図であり、図9(a)、(b)は、検出用
光源部における発光素子の配置を示す説明図、および発光素子から中心光軸が延在してい
る方向を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様である
ため、共通する部分には同一の符合を付してそれらの説明を省略する。
【0081】
図8において、本形態の光学式位置検出装置10Bは、検出光L2の出射方向に障害物
があるか否か等を検出するセンサー装置等として利用される光学装置である。本形態の光
学式位置検出装置10Bは、Z軸方向の一方側Z1から他方側Z2に向けて検出光L2を
出射する複数の検出用光源部12を備えた光源装置11と、Z軸方向の他方側Z2におい
て対象物体Obで反射した検出光L3を検出する光検出器30とを備えている。なお、本
形態の光学式位置検出装置10Bでも、図3を参照して説明した電気的構成を有しており
、複数の検出用光源部12は、図3を参照して説明した光源駆動部14によって駆動され
る。
【0082】
(検出用光源部12等の詳細構成)
本形態において、光源装置11は、複数の検出用光源部12として、第1検出用光源部
12A、第2検出用光源部12B、第3検出用光源部12Cおよび第4検出用光源部12
Dを備えており、これらの検出用光源部12はいずれも、発光部をZ軸方向の他方側Z2
に向けている。また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは、互いに異な
る光軸を備えており、Z軸方向の他方側Z2のうち、互いに異なる位置に向けて検出光L
2(検出光L2a〜L2d)を出射する。本形態において、第1検出用光源部12A〜第
4検出用光源部12Dは各々、4角形の4つの角部分のうち、互いに異なる角部分に光軸
を向けている。より具体的には、第1検出用光源部12Aの光軸と第2検出用光源部12
Bの光軸は、X軸方向で同一位置にあるが、Y軸方向でずれており、第3検出用光源部1
2Cの光軸と第4検出用光源部12Dの光軸は、X軸方向で同一位置にあるが、Y軸方向
にずれている。また、第1検出用光源部12Aの光軸と第4検出用光源部12Dの光軸は
、Y軸方向で同一位置にあるが、X軸方向にずれており、第2検出用光源部12Bの光軸
と第3検出用光源部12Cの光軸は、Y軸方向で同一位置にあるが、X軸方向にずれてい
る。
【0083】
このようにして検出光L2が出射される出射空間によって、対象物体Obの位置が検出
される検出空間10Rが構成されており、かかる検出空間10Rにおいて対象物体Obで
反射した検出光L3が光検出器30で受光される。
【0084】
また、光源装置11は、光検出器30に発光部を向けた参照用光源12Rも備えている
。参照用光源12Rは、LED(発光ダイオード)等により構成され、参照用光源12R
は、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる参照光Lrを発散光と
して放出する。但し、参照用光源12Rから出射される参照光Lrは、参照用光源12R
の向きや、参照用光源12Rに設けられる遮光カバー(図示せず)等によって、検出空間
10Rを介さずに光検出器30に入射するようになっている。光検出器30は、検出空間
10Rに受光部を向けたフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態に
おいて、光検出器30は赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。
【0085】
図8および図9(a)に示すように、本形態において、第1検出用光源部12A〜第4
検出用光源部12Dは、検出空間10R(Z軸方向)からみたとき、光検出器30の中心
光軸の周りにこの順に配置されており、光検出器30は、複数の検出用光源部12より内
側に位置する。
【0086】
本形態の光学式位置検出装置10Bにおいて、複数の検出用光源部12は各々、互いの
光軸が並行する複数の発光素子を備えており、本形態において、検出用光源部12は、3
つの発光素子を備えている。より具体的には、第1検出用光源部12Aは、検出空間10
RのXY平面内における最も内側に中心光軸を向ける第1発光素子12A1と、第1発光
素子12A1よりも検出空間10Rの外側に中心光軸を向ける第2発光素子12A2と、第
2発光素子12A2よりも検出空間10Rの外側に中心光軸を向ける第3発光素子12A3
とを備えている。ここで、検出空間10Rにおいて第1発光素子12A1〜第3発光素子
12A3の中心光軸が通る個所は、検出空間10RのXY平面内(視認面において同一直
線上に並んでいる。同様に、第2検出用光源部12B〜第4検出用光源部12Dは、検出
空間10RのXY平面内における最も内側に中心光軸を向ける第1発光素子12B1〜1
2D1と、第1発光素子12B1〜12D1よりも検出空間10Rの外側に中心光軸を向け
る第2発光素子12B2〜12D2と、第2発光素子12B2〜12D2よりも検出空間10
Rの外側に中心光軸を向ける第3発光素子12B3〜12D3とを備えている。また、検出
空間10Rにおいて第1発光素子12B1〜第3発光素子12B3の中心光軸が通る個所は
、XY平面内において同一直線上に並んでいる。検出空間10Rにおいて第1発光素子1
2C1〜第3発光素子12C3の中心光軸が通る個所は、XY平面内において同一直線上に
並んでいる。検出空間10Rにおいて第1発光素子12D1〜第3発光素子12D3の中心
光軸が通る個所は、XY平面内において同一直線上に並んでいる。
【0087】
第1発光素子12A1〜12D1、第2発光素子12A2〜12D2、および第3発光素子
12A3〜12D3はいずれも、LED(発光ダイオード)等により構成され、ピーク波長
が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a〜L2d)
を発散光として放出する。
【0088】
なお、本形態でも、実施の形態1と同様、検出用光源部12同士の差動、あるいは検出
用光源部12と参照用光源12Rとの差動により、2つの検出用光源部12のうちの一方
の検出用光源部12の中心光軸と対象物体Obとの距離と、他方の検出用光源部12の中
心光軸と対象物体Obとの距離の比を求め、かかる比に基づいて、対象物体Obの位置を
検出する。かかる差動の際、第1発光素子12A1〜12D1、第2発光素子12A2〜1
2D2、および第3発光素子12A3〜12D3の一部あるいは全部が使用される。
【0089】
(検出空間10Rの切り換え)
本形態の光学式位置検出装置10Bでも、実施の形態1と同様、第1検出用光源部12
Aは、第1発光素子12A1〜第3発光素子12A3を備えており、図3を参照して説明し
た光源駆動部14は、第1検出用光源部12Aにおいて、第1発光素子12A1のみを点
灯させる第1モード、および第1発光素子12A1を含む複数の発光素子を点灯させる第
2モードを実行可能である。同様に、第2検出用光源部12B〜第4検出用光源部12D
は、第1発光素子12B1、12C1、12D1〜第3発光素子12B3、12C3、12D3
を備えており、図3を参照して説明した光源駆動部14は、第1発光素子12B1〜12
1のみを点灯させる第1モード、および第1発光素子12B1〜12D1を含む複数の発
光素子を点灯させる第2モードを実行可能である。
【0090】
そこで、本形態では、対象物体Obが狭い範囲に存在することがわかっている場合には
、第1モードを行い、検出空間10Rを狭い範囲に設定する一方、対象物体Obが広い範
囲に存在するような場合には、第2モードを行い、検出空間10Rを拡張する。
【0091】
より具体的には、例えば、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光源部12Cにお
いて、対象物体Obが狭い範囲に存在することがわかっている場合、図9(b)に示すよ
うに、光源駆動部14は、第1発光素子12A1、12C1のみを点灯させ、第1発光素子
12A1、12C1から検出光L2a1(L2a)、L2c1(L2c)を出射させる(第1
モード)。この状態における検出空間10R(検出空間10R1)のX軸方向およびY軸
方向におけるサイズは、図8および図9に実線で示す大きさである。
【0092】
次に、対象物体Obがやや広い範囲に存在する可能性がある場合、光源駆動部14は、
第1発光素子12A1、12C1および第2発光素子12A2、12C2を点灯させる(第2
モード)。その結果、第1発光素子12A1、12C1は検出光L2a1、L2c1を出射し
、第2発光素子12A2、12C2は検出光L2a2、L2c2を出射する。かかる検出光L
2a1、L2a2は、連続した一体の検出光L2aとして出射され、検出光L2c1、L2
2は、連続した一体の検出光L2cとして出射される。この状態における検出空間10
R(検出空間10R2)のX軸方向およびY軸方向におけるサイズは、図8および図9に
一点鎖線で示す範囲まで拡張される。その際、光源駆動部14は、第2発光素子12A2
、12C2からの検出光L2の出射強度を第1発光素子12A1、12C1からの検出光L
2の出射強度より大とする。このため、検出空間10Rを拡張する前後において、検出空
間10Rにおける光強度分布等に大きな変化が発生しない。
【0093】
次に、対象物体Obがさらに広い範囲に存在する可能性がある場合、光源駆動部14は
、第1発光素子12A1、12C1、第2発光素子12A2、12C2、および第3発光素子
12A3、12C3を点灯させる(第2モード)。その結果、第1発光素子12A1、12
1は検出光L2a1、L2c1を出射し、第2発光素子12A2、12C2は検出光L2a2
、L2c2を出射し、第3発光素子12A3、12C3は検出光L2a3、L2c3を出射す
る。かかる検出光L2a1、L2a2、L2a3は、連続した一体の検出光L2aとして出
射され、検出光L2c1、L2c2、L2c3は、連続した一体の検出光L2cとして出射
される。この状態における検出空間10R(検出空間10R3)のX軸方向およびY軸方
向におけるサイズは、図8および図9に二点鎖線で示す範囲まで拡張される。その際、光
源駆動部14は、第2発光素子12A2、12C2からの検出光L2の出射強度を第1発光
素子12A1、12C1からの検出光L2の出射強度より大とし、第3発光素子12A3
12C3からの検出光L2の出射強度を第2発光素子12A2、12C2からの検出光L2
の出射強度より大とする。このため、検出空間10Rを拡張する前後において、検出空間
10Rにおける光強度分布等に大きな変化が発生しない。
【0094】
(Z座標の検出)
本形態の光学式位置検出装置10Bおいても、第1検出用光源部12A〜第4検出用光
源部12Dが同時に点灯すると、Z軸方向で強度が単調減少するZ座標検出用光強度分布
が形成される。従って、参照用光源12Rと、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源
部12Dの全てとを交互に点灯させたときの光検出器30での検出値の差や比に基づいて
対象物体ObのZ座標を検出することができる。また、第1検出用光源部12A〜第4検
出用光源部12Dを順次点灯させたときの光検出器30での検出値の合計値と、参照用光
源12Rを点灯させたときの光検出器30での検出値の差や比に基づいて対象物体Obの
Z座標を検出してもよい。
【0095】
また、参照用光源12Rと第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dの全てと
を交互に点灯させたときに光検出器30での検出値が等しくなったときの参照用光源12
Rに対する駆動電流と第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dに対する駆動電
流との差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出することができる。また、第1検出
用光源部12A〜第4検出用光源部12Dを順次、参照用光源12Rと差動させたときの
駆動電流値の合計値と、参照用光源12Rに対する駆動電流との差や比に基づいて対象物
体ObのZ座標を検出してもよい。
【0096】
ここで、図9(b)を参照して説明した第2モードでは、第1モードに比較してZ座標
検出用光強度分布がX軸方向およびY軸方向に拡張される。
【0097】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10Bでは、光源駆動部14は、複
数の検出用光源部12を順次点灯させ、その間、光検出器30は、対象物体Obで反射し
た検出光L3を受光する。従って、光検出器30での検出結果を直接、あるいは光検出器
30を介して2つの検出用光源部12を差動させたときの駆動電流を用いれば、位置検出
部50は、対象物体Obの位置を検出することができる。
【0098】
ここで、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは、第1発光素子12A1
、12B1、12C1、12D1〜第3発光素子12A3、12B3、12C3、12D3を備
えており、光源駆動部14は、検出空間10Rの最も内側に中心光軸を向ける第1発光素
子12A1〜12D1のみを点灯させる第1モード、および第1発光素子12A1〜12D1
を含む複数の発光素子を点灯させる第2モードを実行可能である。また、第1検出用光源
部12A〜第4検出用光源部12Dの各々において、発光素子の中心光軸は並列しており
、第1発光素子12A1、12B1、12C1、12D1、第2発光素子12A2、12B2
12C2、12D2、および第3発光素子12A3、12B3、12C3、12D3は、この順
に検出空間10Rの内側から外側に中心光軸を向けている。このため、対象物体Obの検
出空間10Rを広く設定する場合には、点灯する発光素子の数を増やして出射空間を広げ
る一方、対象物体Obの検出空間10Rを狭く設定する場合には、点灯する発光素子の数
を減らして出射空間を狭めることができる。従って、光源を点灯させる電力を無駄に消費
することがないので、消費電力の削減を図ることができる。特に本形態では、光源駆動部
14は、複数の発光素子のうち、1つの発光素子を点灯させる第1モードを実行可能であ
るため、検出空間10Rを最小限まで狭めることができるので、光源を点灯させるのに消
費する電力を大幅に削減することができる。また、検出光L2の出射空間(検出空間10
R)が可変であるため、特定の狭い空間内の対象物体Obのみを検出することもできる。
【0099】
また、本形態では、2つの検出用光源部12での差動、あるいは検出用光源部12と参
照用光源12Rとの差動を利用しているため、環境光等の影響を自動的に補正することが
できる。さらに、検出光L2は赤外光であるため、視認されない。従って、本形態の光学
式位置検出装置10Bを表示装置に適用した場合でも表示を妨げない等、光学式位置検出
装置10Bを各種機器に用いることができる。
【0100】
[実施の形態3]
(全体構成)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説
明図であり、図10(a)、(b)は、検出用光源部12における発光素子の配置等を示
す説明図、および検出空間10Rを切り換える様子を示す説明図である。なお、本形態の
基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符合を付して
それらの説明を省略する。
【0101】
図10において、本形態の光学式位置検出装置10Cは、板状部材45等の一方面側に
おける対象物体Obの位置等を検出するセンサー装置等として利用される光学装置である
。本形態の光学式位置検出装置10Cは、XY平面に沿う方向に検出光L2を出射する複
数の検出用光源部12を備えた光源装置11と、X軸方向の一方側X1において対象物体
Obで反射した検出光L3を検出する光検出器30とを備えている。なお、本形態の光学
式位置検出装置10Cでも、図3を参照して説明した電気的構成を有しており、複数の検
出用光源部12は、図3を参照して説明した光源駆動部14によって駆動される。
【0102】
(検出用光源部12等の詳細構成)
本形態において、光源装置11は、複数の検出用光源部12として、第1検出用光源部
12A〜第4検出用光源部12Dを備えており、これらの検出用光源部12はいずれも、
発光部をXY平面に沿う方向に向けている。また、複数の検出用光源部12には、検出光
L2の出射空間(検出空間10R)を挟む両側で互いに逆向きの方向に検出光L2を出射
する検出用光源部が含まれている。より具体的には、第1検出用光源部12A、第2検出
用光源部12B、第3検出用光源部12Cおよび第4検出用光源部12Dは各々、Z軸方
向からみたとき、4角形の4つの角部分に配置されており、各々は対角位置に発光部を向
けている。このため、第1検出用光源部12Aの光軸と第3検出用光源部12Cの光軸は
、互いに逆向きに延在し、第2検出用光源部12Bの光軸と第4検出用光源部12Dの光
軸は、互いに逆向きに延在している。また、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光
源部12Cの光軸と、第2検出用光源部12Bおよび第4検出用光源部12Dの光軸は交
差する方向に延在している。従って、第1検出用光源部12A、第2検出用光源部12B
、第3検出用光源部12Cおよび第4検出用光源部12Dは、互いに異なる光軸を備えて
いる。
【0103】
このようにして検出光L2が出射される出射空間によって、対象物体Obの位置が検出
される検出空間10Rが構成されており、かかる検出空間10Rにおいて対象物体Obで
反射した検出光L3が光検出器30で受光される。
【0104】
また、光源装置11は、光検出器30に発光部を向けた参照用光源12Rも備えている
。参照用光源12Rは、LED(発光ダイオード)等により構成され、参照用光源12R
は、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる参照光Lrを発散光と
して放出する。但し、参照用光源12Rから出射される参照光Lrは、参照用光源12R
の向きや、参照用光源12Rに設けられる遮光カバー(図示せず)等によって、検出空間
10Rを介さずに光検出器30に入射するようになっている。光検出器30は、検出空間
10Rに受光部を向けたフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態に
おいて、光検出器30は赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。
【0105】
本形態の光学式位置検出装置10Cにおいて、複数の検出用光源部12は各々、互いの
光軸が並行する複数の発光素子を備えており、本形態において、検出用光源部12は、3
つの発光素子を備えている。より具体的には、第1検出用光源部12Aは、Z軸方向にお
いて他方側Z2から一方側Z1に並ぶ第1発光素子12A1、第2発光素子12A2、およ
び第3発光素子12A3を備えている。従って、第1検出用光源部12Aは、検出空間1
0RのZ軸方向の内側に中心光軸を向ける第1発光素子12A1と、第1発光素子12A1
よりも検出空間10RのZ軸方向の外側に中心光軸を向ける第2発光素子12A2と、第
2発光素子12A2よりも検出空間10RのZ軸方向の外側に中心光軸を向ける第3発光
素子12A3とを備えていることになる。第2検出用光源部12B〜第4検出用光源部1
2Dも、第1検出用光源部12Aと同様、Z軸方向において他方側Z2から一方側Z1に
並ぶ第1発光素子12B1〜12D1、第2発光素子12B2〜12D2、および第3発光素
子12B3〜12D3を備えている。
【0106】
第1発光素子12A1〜12D1、第2発光素子12A2〜12D2、および第3発光素子
12A3〜12D3はいずれも、LED(発光ダイオード)等により構成され、ピーク波長
が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a〜L2d)
を発散光として放出する。
【0107】
なお、本形態では、検出用光源部12同士の差動、あるいは検出用光源部12と参照用
光源12Rとの差動により、対象物体ObのX座標、Y座標およびZ座標を求める。
【0108】
また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dが同時に点灯すると、Z軸方
向で強度が単調減少するZ座標検出用光強度分布が形成される。従って、参照用光源12
Rと、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dの全てとを交互に点灯させたと
きの光検出器30での検出値の差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出することが
できる。また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dを順次点灯させたとき
の光検出器30での検出値の合計値と、参照用光源12Rを点灯させたときの光検出器3
0での検出値の差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出してもよい。
【0109】
また、参照用光源12Rと第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dの全てと
を交互に点灯させたときに光検出器30での検出値が等しくなったときの参照用光源12
Rに対する駆動電流と第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dに対する駆動電
流との差や比に基づいて対象物体ObのZ座標を検出することができる。また、第1検出
用光源部12A〜第4検出用光源部12Dを順次、参照用光源12Rと差動させたときの
駆動電流値の合計値と、参照用光源12Rに対する駆動電流との差や比に基づいて対象物
体ObのZ座標を検出してもよい。
【0110】
かかる差動の際、第1発光素子12A1〜12D1、第2発光素子12A2〜12D2、お
よび第3発光素子12A3〜12D3の一部あるいは全部が使用される。
【0111】
(検出空間10Rの切り換え)
本形態の光学式位置検出装置10Cでも、実施の形態1と同様、第1検出用光源部12
Aは、第1発光素子12A1〜第3発光素子12A3を備えており、図3を参照して説明し
た光源駆動部14は、第1検出用光源部12Aにおいて、第1発光素子12A1のみを点
灯させる第1モード、および第1発光素子12A1を含む複数の発光素子を点灯させる第
2モードを実行可能である。同様に、第2検出用光源部12B〜第4検出用光源部12D
は、第1発光素子12B1、12C1、12D1〜第3発光素子12B3、12C3、12D3
を備えており、図3を参照して説明した光源駆動部14は、第1発光素子12B1〜12
1のみを点灯させる第1モード、および第1発光素子12B1〜12D1を含む複数の発
光素子を点灯させる第2モードを実行可能である。
【0112】
そこで、本形態では、対象物体ObがZ軸方向の狭い範囲に存在することがわかってい
る場合には、第1モードを行い、検出空間10Rを狭い範囲に設定する一方、対象物体O
bがZ軸方向の広い範囲に存在するような場合には、第2モードを行い、検出空間10R
を拡張する。
【0113】
より具体的には、例えば、第1検出用光源部12Aおよび第3検出用光源部12Cにお
いて、対象物体ObがZ軸方向の狭い範囲に存在することがわかっている場合、図10(
b)に示すように、光源駆動部14は、第1発光素子12A1、12C1のみを点灯させ、
第1発光素子12A1、12C1から検出光L2a1(L2a)、L2c1(L2c)を出射
させる(第1モード)。この状態における検出空間10R(検出空間10R1)のZ軸方
向におけるサイズは、図10(b)に実線で示す大きさである。
【0114】
次に、対象物体ObがZ軸方向のやや広い範囲に存在する可能性がある場合、光源駆動
部14は、第1発光素子12A1、12C1および第2発光素子12A2、12C2を点灯さ
せる(第2モード)。その結果、第1発光素子12A1、12C1は検出光L2a1、L2
1を出射し、第2発光素子12A2、12C2は検出光L2a2、L2c2を出射する。か
かる検出光L2a1、L2a2は、連続した一体の検出光L2aとして出射され、検出光L
2c1、L2c2は、連続した一体の検出光L2cとして出射される。この状態における検
出空間10R(検出空間10R2)のZ軸方向におけるサイズは、図10(b)に一点鎖
線で示す範囲まで拡張される。
【0115】
次に、対象物体ObがZ軸方向のさらに広い範囲に存在する可能性がある場合、光源駆
動部14は、第1発光素子12A1、12C1、第2発光素子12A2、12C2、および第
3発光素子12A3、12C3を点灯させる(第2モード)。その結果、第1発光素子12
1、12C1は検出光L2a1、L2c1を出射し、第2発光素子12A2、12C2は検出
光L2a2、L2c2を出射し、第3発光素子12A3、12C3は検出光L2a3、L2c3
を出射する。かかる検出光L2a1、L2a2、L2a3は、連続した一体の検出光L2a
として出射され、検出光L2c1、L2c2、L2c3は、連続した一体の検出光L2cと
して出射される。この状態における検出空間10R(検出空間10R3)のZ軸方向にお
けるサイズは、図10(b)に二点鎖線で示す範囲まで拡張される。
【0116】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10Bでは、光源駆動部14は、複
数の検出用光源部12を順次点灯させ、その間、光検出器30は、対象物体Obで反射し
た検出光L3を受光する。従って、光検出器30での検出結果を直接、あるいは光検出器
30を介して2つの検出用光源部12を差動させたときの駆動電流を用いれば、位置検出
部50は、対象物体Obの位置を検出することができる。
【0117】
ここで、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dは、第1発光素子12A1
、12B1、12C1、12D1〜第3発光素子12A3、12B3、12C3、12D3を備
えており、光源駆動部14は、第1発光素子12A1〜12D1のみを点灯させる第1モー
ド、および第1発光素子12A1〜12D1を含む複数の発光素子を点灯させる第2モード
を実行可能である。また、第1検出用光源部12A〜第4検出用光源部12Dの各々にお
いて、発光素子の中心光軸は並列している。このため、対象物体Obの検出空間10Rを
広く設定する場合には、点灯する発光素子の数を増やして出射空間を広げる一方、対象物
体Obの検出空間10Rを狭く設定する場合には、点灯する発光素子の数を減らして出射
空間を狭めることができる。従って、光源を点灯させる電力を無駄に消費することがない
ので、消費電力の削減を図ることができる。特に本形態では、光源駆動部14は、複数の
発光素子のうち、1つの発光素子を点灯させる第1モードを実行可能であるため、検出空
間10Rを最小限まで狭めることができるので、光源を点灯させるのに消費する電力を大
幅に削減することができる。また、検出光L2の出射空間(検出空間10R)が可変であ
るため、特定の狭い空間内の対象物体Obのみを検出することもできる。
【0118】
また、本形態では、2つの検出用光源部12での差動、あるいは検出用光源部12と参
照用光源12Rとの差動を利用しているため、環境光等の影響を自動的に補正することが
できる。さらに、検出光L2は赤外光であるため、視認されない。従って、本形態の光学
式位置検出装置10Bを表示装置に適用した場合でも表示を妨げない等、光学式位置検出
装置10Bを各種機器に用いることができる。
【0119】
[他の実施形態]
上記実施の形態において、第1モードでは、複数の発光素子のうちの1部の発光素子を
点灯させ、第2モードでは、第1モードで点灯する発光素子および第1モードとは別の発
光素子を同時に点灯させたが、第1モードでは、複数の発光素子のうちの1部の発光素子
を点灯させ、第2モードでは、第1モードで点灯した発光素子とは別の発光素子のみを点
灯させてもよい。このように構成した場合でも、発光素子の位置によって検出空間のサイ
ズを切り換えることができる。
【0120】
上記実施の形態では、検出用光源部12の同士を差動させる際、複数の検出用光源部1
2のうちの1つと、他の1つとを交互に点灯させたが、複数の検出用光源部12のうちの
2つと、他の2つを交互に点灯させてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、検出用光源部12と参照用光源12Rとを差動させる際、
複数の検出用光源部12のうちの1つと参照用光源12Rとを交互に点灯させたが、複数
の検出用光源部12のうちの2つと参照用光源12Rとを交互に点灯させた後、別の2つ
と参照用光源12Rとを交互に点灯させてもよい。
【0122】
[光学式位置検出装置10の利用例]
図11を参照して、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10Aを触覚セン
サー装置として用いたロボットハンド装置を説明する。図11は、本発明の実施の形態1
に係る光学式位置検出装置10Aを触覚センサー装置としてハンド装置に備えたロボット
アームの説明図であり、図11(a)、(b)は、ロボットアーム全体の説明図、および
ハンド装置の説明図である。
【0123】
図11(a)に示すロボットアーム200は、数値制御工作機械等に対してワークや工
具の供給および取り出し等行う装置であり、基台290から直立する支柱220と、アー
ム210とを備えている。本形態において、アーム210は、支柱220の先端部に第1
関節260を介して連結された第1アーム部230と、第1アーム部230の先端部に第
2関節270を介して連結された第2アーム部240とを備えている。支柱220は、基
台290に対して垂直な軸線H1周りに回転可能であり、第1アーム部230は、支柱2
20の先端部で第1関節260によって水平な軸線H2周りに回転可能であり、第2アー
ム部240は、第1アーム部230の先端部で第2関節270によって水平な軸線H3周
りに回転可能である。第2アーム部240の先端部にはハンド装置400のハンド450
が連結されており、ハンド450は、第2アーム部240の軸線H4周りに回転可能であ
る。
【0124】
図11(b)に示すように、ハンド装置400は、複数の把持爪410(把持具)を備
えたハンド450を有しており、ハンド450は、複数の把持爪410の根元を保持する
円盤状の把持爪保持体420を備えている。本形態において、ハンド450は、複数の把
持爪410として、第1把持爪410Aおよび第2把持爪410Bを備えている。2つの
把持爪410はいずれも、矢印H4で示すように、互いに離間する方向および接近する方
向に移動可能である。
【0125】
このように構成したロボットアーム200において、対象物体Obを把持する際には、
支柱220、第1アーム部230および第2アーム部240が所定方向に回転してハンド
450を対象物体Ob(ワーク)に接近させた後、2つの把持爪410が互いに接近する
方向に移動して対象物体Obを把持する。
【0126】
ここで、対象物体Ob(ワーク)を把持する際に対象物体Obに接する把持爪410の
内面は、上記の実施の形態で説明した光学式位置検出装置10Aの透光部材40の第1面
41からなる。従って、把持爪410が対象物体Obを把持する際、光学式位置検出装置
10Aは、対象物体Obと把持爪410との相対位置や位置を検出し、かかる検出結果は
、把持爪410の駆動制御部にフィードバックされる。それ故、把持爪410を対象物体
Obに高速で接近させることができ、ワーク把持動作の高速化を実現することができる。
【符号の説明】
【0127】
10A、10B、10C・・光学式位置検出装置、10R・・検出空間(検出光の出射空
間)、11・・光源装置、12・・検出用光源部、12A・・第1検出用光源部、12A
1〜12D1・・第1発光素子、12A2〜12D2・・第2発光素子、12A3〜12D3
・第3発光素子、12B・・第2検出用光源部、12C・・第3検出用光源部、12D・
・第4検出用光源部、12R・・参照用光源、30・・光検出器、50・・位置検出部、
52・・XY座標検出部、53・・Z座標検出部、Ob・・対象物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
互いに異なる光軸をもって検出光を出射する複数の検出用光源部と、
前記検出光の出射空間に位置する前記対象物体で反射した前記検出光を受光する光検出
器と、
前記複数の検出用光源部を順次点灯させる光源駆動部と、
前記複数の検出用光源部が順次点灯した際の前記光検出器の受光結果に基づいて前記対
象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記検出用光源部は、中心光軸が互いに並列する複数の発光素子を備えていることを特
徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記光源駆動部は、前記複数の発光素子のうちの一部の発光素子を点灯させる第1モー
ドと、前記複数の発光素子のうちの少なくとも前記第1モードとは別の発光素子を点灯さ
せる第2モードと、を実行することを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記光源駆動部は、前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうちの1部の発光素子
を点灯させ、前記第2モードでは、前記第1モードで点灯する発光素子および前記第1モ
ードとは別の発光素子を同時に点灯させて前記出射空間を前記発光素子の中心光軸が配列
されている方向に拡張させることを特徴とする請求項2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記光源駆動部は、前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうちの1つの発光素子
を点灯させ、前記第2モードでは前記第1モードで点灯する発光素子を含む2つ以上の発
光素子を同時に点灯させることを特徴とする請求項3に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記複数の検出用光源部は、いずれも同一方向に前記検出光を出射することを特徴とす
る請求項3または4に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記出射空間からみたとき、
前記光検出器は、前記複数の検出用光源部で囲まれた位置に配置され、かつ、前記検出
用光源部において前記複数の発光素子は前記光検出器に近い位置から離間する方向に向け
て直線的に配列されており、
前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうち、当該第1モードで点灯せずに前記第
2モードで点灯する発光素子よりも前記光検出器に近い位置の発光素子が点灯することを
特徴とする請求項5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記検出光の出射側からみたとき、
前記検出用光源部において前記複数の発光素子の中心光軸は、前記出射空間の内側から
外側に向けて直線的に配列されており、
前記第1モードでは、前記複数の発光素子のうち、当該第1モードで点灯せずに前記第
2モードで点灯する発光素子よりも前記出射空間の内側に中心光軸を向ける発光素子が点
灯することを特徴とする請求項5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記第2モードで点灯する前記発光素子のうち、前記1モードで消灯状態にあった発光
素子は、前記第1モードで点灯状態にあった発光素子よりも前記検出光の出射強度が大で
あることを特徴とする請求項3乃至7の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
前記複数の検出用光源部には、前記出射空間を挟む両側で互いに逆向きの方向に前記検
出光を出射する検出用光源部が含まれていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一
項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項10】
前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果に基づいて前記複数の検出用光源部のうち
の一部の検出用光源と他の一部の検出用光源とを差動させた結果に基づいて前記対象物体
の座標位置を検出することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学式位置
検出装置。
【請求項11】
前記出射空間を介さずに前記光検出器に入射する参照光を出射する参照用光源を備え、
前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果に基づいて前記複数の検出用光源部のうち
の一部の検出用光源部と前記参照用光源とを組み合わせを変えて差動させた結果に基づい
て前記対象物体の座標を検出することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の
光学式位置検出装置。
【請求項12】
前記検出光は赤外光であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の光
学式位置検出装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−215099(P2011−215099A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85818(P2010−85818)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】