説明

入出力回路

【課題】昇圧した電圧でLCDを駆動するような場合でも、その共用の入出力端子から実用的な出力データ信号の出力が可能となる。
【解決手段】入出力回路100において、スリーステート出力バッファが出力データ信号とLCD駆動信号の両方に対してそれぞれ第1、第2出力バッファ106、108として設けられ、第1出力バッファ106を構成するPチャンネルMOSトランジスタ116のソース端子に電源電圧V1が供給され、且つ出力データ信号が出力として選択されていない状態でPチャンネルMOSトランジスタ116、118のバックゲート端子に電源電圧V1から昇圧された昇圧電圧V2が供給され、更に、第2出力バッファ108を構成するPチャンネルMOSトランジスタ116のソース端子とバックゲート端子とに昇圧電圧V2が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧によって生成された出力データ信号とLCDを駆動するためのLCD駆動信号のうちの少なくともいずれかが入力されるスリーステート出力バッファと、該スリーステート出力バッファの出力に接続されるとともに該出力データ信号と該LCD駆動信号のうちのいずれかが出力として選択され出力される1つの入出力端子と、を有する入出力回路に係り、特にディジタルキャリパ、ディジタルマイクロメータ、ディジタルインジケータ、ハイトゲージ、シリンダゲージなどのLCD表示が付いた電池駆動のディジタル測定器(ハンドツール)において電池電圧を昇圧した電圧でLCDを駆動するような場合でも、その入出力端子を入出力データ信号のために使用可能とする入出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示す如く、電源電圧によって生成された出力データ信号とLCDを駆動するためのLCD駆動信号のうちの該出力データ信号が入力されるスリーステート出力バッファと、該スリーステート出力バッファの出力に接続されるとともに該出力データ信号と該LCD駆動信号のうちのいずれかが出力として選択され出力される1つの入出力端子(SEG端子)と、を有する入出力回路が提案されている。言い換えれば、特許文献1は、LCD駆動回路がLCD駆動信号を出力する入出力端子が汎用の入出力データ信号のための端子を備えている。この種のLCD駆動回路を有するマイクロコントローラの場合には、入出力端子を汎用的に使えるため、入出力端子が冗長性を持つこととなり、一種類のマイクロコントローラでも、より多様なシステムに対応させることができる。なお、一般にはLCD駆動信号の最高電位は、マイクロコントローラの電源電圧と同じ、即ち入出力データ信号のHレベル電位と同じレベルとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−61441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハンドツールに使われるマイクロコントローラでは、電池の省スペース化の要求や太陽電池の使用などで、低電圧(例えば1.5V系の電池電源)での動作が必要とされている場合が多い。その場合には、昇圧回路を用いて電源電圧を昇圧した昇圧電圧(例えば1.5Vから3V)でLCD駆動信号の最高電位を構成する。すると、入出力端子を共用としている関係上、通常は入出力データ信号のHレベル電位も昇圧電圧と同一となる。
【0005】
ここで、このような場合に用いられる昇圧回路は、電池駆動であるので一般に省電力という観点から複数のコンデンサを備えて、それらのコンデンサの接続をスイッチングするというスイッチドキャパシタタイプのチャージポンプ回路で実現される。即ち、昇圧電圧は、コンデンサの電荷をバケツリレーするようにスイッチングすることで得られている。このため、入出力端子からは非常に少ない電流しか出力することができない。つまり、LCD駆動信号を出力する出力端子をそのまま使用して外部との入出力データ信号のやり取りを行う場合には、出力端子に接続される負荷容量は非常に軽く且つDC電流が流れない状態である必要が出てくる。即ち、低電圧動作のマイクロコントローラと昇圧回路との組み合わせでは、実用的な出力データ信号の出力を行うのは困難であった。
【0006】
本発明は、前記問題点を解消するべくなされたもので、昇圧した電圧でLCDを駆動するような場合でも、その共用の入出力端子から実用的な出力データ信号の出力を可能とする入出力回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、電源電圧によって生成された出力データ信号とLCDを駆動するためのLCD駆動信号のうちの少なくともいずれかが入力されるスリーステート出力バッファと、該スリーステート出力バッファの出力に接続されるとともに該出力データ信号と該LCD駆動信号のうちのいずれかが出力として選択され出力される1つの入出力端子と、を有する入出力回路において、前記スリーステート出力バッファが前記出力データ信号と前記LCD駆動信号の両方に対してそれぞれ第1、第2出力バッファとして設けられ、該第1出力バッファを構成するP型基板によるPチャンネルMOSトランジスタ若しくはN型基板によるNチャンネルMOSトランジスタのソース端子に前記電源電圧が供給され、且つ少なくとも前記出力データ信号が出力として選択されていない状態で前記PチャンネルMOSトランジスタ若しくは前記NチャンネルMOSトランジスタのバックゲート端子に該電源電圧から昇圧された昇圧電圧が供給され、更に、前記第2出力バッファを構成するP型基板によるPチャンネルMOSトランジスタ若しくはN型基板によるNチャンネルMOSトランジスタのソース端子とバックゲート端子とに前記昇圧電圧が供給されたことにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
本願の請求項2に係る発明は、更に、前記入出力端子に対して、前記出力データ信号が出力として選択されている状態で且つ前記LCD駆動信号が出力として選択されていない状態で前記第1出力バッファのP型基板による前記PチャンネルMOSトランジスタ若しくはN型基板による前記NチャンネルMOSトランジスタのバックゲート端子に前記電源電圧の供給がなされ、前記出力データ信号が出力として選択されていない状態で且つ前記LCD駆動信号が出力として選択されている状態で前記PチャンネルMOSトランジスタ若しくは前記NチャンネルMOSトランジスタのバックゲート端子に前記昇圧電圧の供給がなされる切替回路を備えたものである。
【0009】
本願の請求項3に係る発明は、前記切替回路が、2つのP型基板によるPチャンネルMOSトランジスタ若しくは2つのN型基板によるNチャンネルMOSトランジスタを備え、該2つのPチャンネルMOSトランジスタ若しくは該2つのNチャンネルMOSトランジスタのソース端子それぞれに前記昇圧電圧と前記電源電圧とを供給したものである。
【0010】
本願の請求項4に係る発明は、前記電源電圧を1.5V系の電池電源とし、且つ前記昇圧電源を該電源電圧の2倍としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、昇圧した電圧でLCDを駆動するような場合でも、その共用の入出力端子から実用的な出力データ信号の出力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る入出力回路の一例の概略を示すブロック図
【図2】図1で示された昇圧回路の概略を示すブロック図
【図3】本発明の第1実施形態に係る入出力回路のタイミングチャートを示す概略図
【図4】本発明の第2実施形態に係る入出力回路の一例の概略を示すブロック図
【図5】本発明の第3実施形態に係る入出力回路の一例の概略を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0014】
本発明の第1実施形態に係る入出力回路について図1〜図3を用いて以下に説明する。
【0015】
入出力回路100は、図1に示す如く、電源Batと、昇圧回路VDと、マイクロコントローラを構成する回路(図示せず)と、マイクロコントローラに含まれるLCD駆動−IO切り替え制御回路SIC(SEG_IO制御回路)に接続されている。
【0016】
最初に、入出力回路100に接続された回路などについて説明する。なお、以下で、1.5V、3Vという表記をするが、それぞれある程度の電圧変動が許容されている。
【0017】
前記電源Batは、図1に示す如く、電池であり、マイナス端子に対してプラス端子から電源電圧V1(1.5V系の直流電圧)の出力を行う。なお、マイナス端子の電位はVSSとされて、接地されている(GNDとも表記)。
【0018】
前記昇圧回路VDは、省電力という観点から複数のコンデンサを備えて、それらのコンデンサの接続をスイッチングするというスイッチドキャパシタタイプのチャージポンプ回路で実現される。即ち、昇圧回路VDがコンデンサの電荷をバケツリレーするようにスイッチングすることで、VSS端子とIN端子との間の電源電圧V1がVSS端子とOUT端子との間から昇圧電圧V2(V1の2倍の3V)として出力される。具体的には、図2のような回路で実現されている。符号Φ1、Φ2はお互い反転したクロック信号であり、2つのスイッチSW1、SW4をONすると、2つのスイッチSW2、SW3をOFFするようになっている。スイッチSW1〜SW4はMOSスイッチであり、高速にON/OFFが可能である。通常、コンデンサC1、C2には0.1μF程度が使われ、前記クロック信号の周波数が2kHz程度なので、昇圧回路VDの出力インピーダンスは、5kΩ程度となる。
【0019】
前記LCD駆動−IO切り替え制御回路SICは、図1に示す如く、端子SEG_OUTと端子SEG_ENと端子IO_OUTと端子IO_ENと端子IO_INとを備える。端子SEG_OUTは、LCDを駆動するためのLCD駆動信号を出力する。端子SEG_ENは、LCD駆動信号が出力として選択されているか否かを示す信号を出力する。端子IO_OUTは、出力データ信号を出力する。端子IO_ENは、出力データ信号が出力として選択されているか否かを示す信号を出力する。端子IO_INは、入力データ信号を入力する。LCD駆動−IO切り替え制御回路SICにはレベルシフタ回路が装備されており、全ての端子からの出力は、Lレベルで0V、Hレベルで3Vとされている(即ち、昇圧電圧によって出力データ信号とLCD駆動信号とが生成されている)。
【0020】
ここで、端子SEG_ENと端子IO_ENの信号について以下に説明する。LCD駆動−IO切り替え制御回路SICは、端子SEG_ENの出力がLレベルのときに端子SEG_OUTの出力を(SEG端子112からの出力として)選択しておらず、端子SEG_ENの出力がHレベルのときに端子SEG_OUTの出力を選択している。同じく、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICは、端子IO_ENの出力がLレベルのときに端子IO_OUTの出力を選択しておらず、端子IO_ENの出力がHレベルのときに端子IO_OUTの出力を選択している。
【0021】
なお、図1のLCD駆動−IO切り替え制御回路SICは、本実施形態に係る端子のみを示しただけであり、その他の端子、機能を備えてもよい。
【0022】
次に、入出力回路100について、説明する。
【0023】
入出力回路100は、図1に示す如く、第1、第2出力バッファ106、108と切替回路110とSEG端子112(入出力端子)と入力バッファ138とを備える。
【0024】
前記第1、第2出力バッファ106、108はスリーステート出力バッファである。そして、第1、第2出力バッファ106、108はそれぞれ、昇圧回路VDを介して電源電圧V1によって動作可能とされるとともに出力データ信号とLCD駆動信号が入力されている。第1(第2)出力バッファ106(108)は、1つのインバータ114(124)と2つのPチャンネルMOSトランジスタ116、118(126、128)と2つのNチャンネルMOSトランジスタ120、122(130、132)とを備える。第1、第2出力バッファ106、108の接続は、以下の如く、ほぼ同一であり、まず共通する部分について説明する。
【0025】
インバータ114(124)の出力端子は、PチャンネルMOSトランジスタ116(126)のゲート端子に接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ116(126)のドレイン端子は、PチャンネルMOSトランジスタ118(128)のソース端子に接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ118(128)のゲート端子及びドレイン端子と、NチャンネルMOSトランジスタ120(130)のゲート端子及びドレイン端子とが、それぞれ接続されている。NチャンネルMOSトランジスタ120(130)のソース端子は、NチャンネルMOSトランジスタ122(132)のドレイン端子に接続されている。そして、NチャンネルMOSトランジスタ120、122(130、132)のバックゲート端子は共に、NチャンネルMOSトランジスタ122(132)のソース端子に接続され、且つ電源Batのマイナス端子に接続されている。
【0026】
第1出力バッファ106において、インバータ114の入力端子は、NチャンネルMOSトランジスタ122のゲート端子と接続され、且つLCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子IO_ENに接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ116、118のバックゲート端子は共に、切替回路110を介して昇圧回路VDのOUT端子若しくは電源Batのプラス端子に接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ116のソース端子は、電源Batのプラス端子に接続されている。即ち、第1出力バッファ106を構成するPチャンネルMOSトランジスタ116のソース端子に電源電圧V1が供給され、且つPチャンネルMOSトランジスタ116のバックゲート端子に昇圧電圧V2が供給可能とされている。PチャンネルMOSトランジスタ118のゲート端子とNチャンネルMOSトランジスタ120のゲート端子は共に、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子IO_OUTに接続されている。
【0027】
第2出力バッファ108において、インバータ124の入力端子は、NチャンネルMOSトランジスタ132のゲート端子と接続され、且つLCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子SEG_ENに接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ126、128のバックゲート端子とPチャンネルMOSトランジスタ126のソース端子は共に、昇圧回路VDのOUT端子に接続されている。即ち、第2出力バッファ108を構成するPチャンネルMOSトランジスタ126のソース端子とバックゲート端子とに、昇圧電圧V2が供給されている。PチャンネルMOSトランジスタ128のゲート端子とNチャンネルMOSトランジスタ130のゲート端子は共に、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子SEG_OUTに接続されている。
【0028】
前記切替回路110は、図1に示す如く、2つのPチャンネルMOSトランジスタ134、136を備えている。そして、PチャンネルMOSトランジスタ134のソース端子は電源Batのプラス端子に接続され、ゲート端子は第1出力バッファ106のPチャンネルMOSトランジスタ116のゲート端子に接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ134のドレイン端子は、PチャンネルMOSトランジスタ136のドレイン端子と共にPチャンネルMOSトランジスタ116、118のバックゲート端子に接続されている。PチャンネルMOSトランジスタ134のバックゲート端子は、PチャンネルMOSトランジスタ136のバックゲート端子及びソース端子と共に昇圧回路VDのOUT端子に接続されている。即ち、2つのPチャンネルMOSトランジスタ134、136のソース端子それぞれに、電源電圧V1と昇圧電圧V2とが供給されている。PチャンネルMOSトランジスタ136のゲート端子は、第1出力バッファ106のNチャンネルMOSトランジスタ122のゲート端子に接続されている。
【0029】
前記SEG端子112には、図1に示す如く、PチャンネルMOSトランジスタ118(128)のドレイン端子とNチャンネルMOSトランジスタ120(130)のドレイン端子とが接続されている。即ち、SEG端子112は、スリーステート出力バッファである第1、第2出力バッファ106、108の出力に接続されるとともに、出力データ信号とLCD駆動信号のうちのいずれかが出力として選択され出力される1つの(共用の)入出力端子とされている。なお、SEG端子112は、入力バッファ138を介してLCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子IO_INにも接続されている。
【0030】
次に、入出力回路100の動作について、図3を用いて簡略に説明する。図3(A)はLCD駆動−IO切り替え制御回路SICの各端子の出力レベルを示し、図3(B)はそれらの出力レベルに同期してSEG端子112から出力される波形を示している。
【0031】
最初に、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子SEG_ENの出力がHレベルで且つ端子IO_ENの出力がLレベルのとき、即ち出力データ信号が出力として選択されていない状態で且つLCD駆動信号が出力として選択されている状態のとき、を以下に説明する。
【0032】
第1出力バッファ106と切替回路110において、端子IO_ENの出力がLレベルなので、インバータ114の出力がHレベルとなる。そして、PチャンネルMOSトランジスタ116、134、136、NチャンネルMOSトランジスタ122のうち、PチャンネルMOSトランジスタ136だけがON制御される。このため、PチャンネルMOSトランジスタ116、118のバックゲート端子に昇圧電圧V2を供給でき、確実に第1出力バッファ106はハイインピーダンス状態となる。
【0033】
一方、第2出力バッファ108において、端子SEG_ENの出力がHレベルであるので、NチャンネルMOSトランジスタ132はON制御される。同時に、インバータ124の出力がLレベルとなることで、PチャンネルMOSトランジスタ126もON制御される。このため、第2出力バッファ108は能動状態となり、端子SEG_OUTの出力レベルの変化でPチャンネルMOSトランジスタ128とNチャンネルMOSトランジスタ130とがON/OFFされる。その際に、PチャンネルMOSトランジスタ128のソース端子等には昇圧電圧V2が供給される。このため、電源電圧V1の2倍に昇圧された電圧(2*V1)がHレベルとしてSEG端子112に出力されることとなる。即ち、端子SEG_OUTの出力を昇圧電圧V2のレベルでSEG端子112に出力することができる。
【0034】
従って、LCDを駆動するためのLCD駆動信号が、第2出力バッファ108を介してSEG端子112から出力される。
【0035】
次に、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子SEG_ENの出力がLレベルで且つ端子IO_ENの出力がHレベルのとき、即ち出力データ信号が出力として選択されている状態で且つLCD駆動信号が出力として選択されていない状態のとき、を以下に説明する。
【0036】
第1出力バッファ106と切替回路110において、端子IO_ENの出力がHレベルなので、インバータ114の出力がLレベルとなる。そして、PチャンネルMOSトランジスタ116、134、136、NチャンネルMOSトランジスタ122のうち、PチャンネルMOSトランジスタ116、134、NチャンネルMOSトランジスタ122がON制御される。このとき、PチャンネルMOSトランジスタ134がON制御されることで、PチャンネルMOSトランジスタ116、118のバックゲート端子には電源電圧V1が供給されている。このため、第1出力バッファ106は能動状態となり、端子IO_OUTの出力レベルの変化でPチャンネルMOSトランジスタ118とNチャンネルMOSトランジスタ120とがON/OFFされる。その際に、PチャンネルMOSトランジスタ116、118のソース端子等には電源電圧V1が供給される。このため、電源電圧V1がHレベルとしてSEG端子112に出力されることとなる。即ち、端子IO_OUTの出力を電源電圧V1のレベルでSEG端子112に出力することができる。
【0037】
一方、第2出力バッファ108において、端子SEG_ENの出力がLレベルであるので、インバータ124の出力がHレベルとなる。そして、PチャンネルMOSトランジスタ126とNチャンネルMOSトランジスタ132とはOFF制御される。このとき、PチャンネルMOSトランジスタ126、128のバックゲート端子には昇圧電圧V2が供給されるので、確実に第2出力バッファ108の出力はハイインピーダンス状態となる。
【0038】
従って、出力データ信号が、第1出力バッファ106を介してSEG端子112から出力される。
【0039】
ここで、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子IO_INには、常にSEG端子112の反転信号が入力されている。ただし、入力バッファ138の電源は昇圧電圧V2から取っており、1.5Vレベルでも3Vレベルでも伝送することができる。従って、上記のようにSEG端子112が出力状態であれば、その出力の論理レベル(HかLか)を端子IO_INの入力でモニターすることができる。
【0040】
次に、LCD駆動−IO切り替え制御回路SICの端子SEG_ENの出力がLレベルで且つ端子IO_ENの出力がLレベルのとき、即ち出力データ信号とLCD駆動信号の両方が出力として選択されていない状態のとき、を以下に説明する。この場合には、上述の如く、第1、第2出力バッファ106、108はハイインピーダンス状態になる。そして、端子IO_INへの入力データ信号は、外部からSEG端子112に入力される反転した論理レベルを表すことになる。
【0041】
本実施形態では、PチャンネルMOSトランジスタ116のソース端子に電源電圧V1が供給され、且つ出力データ信号が出力として選択されていない状態でPチャンネルMOSトランジスタ116、118のバックゲート端子に昇圧電圧V2が供給されている。更に、PチャンネルMOSトランジスタ126のソース端子とバックゲート端子とに昇圧電圧V2が供給されている。このため、LCD駆動信号をSEG端子112から出力する際には昇圧電圧V2を最高電位とし、且つ出力データ信号をSEG端子112から出力する際には電源電圧V1をHレベル電位とすることができる(図3(B))。つまり、出力データ信号をSEG端子112から出力する際には、入出力端子に接続される負荷の負荷容量が極端に軽い必要がなく、且つDC電流を流すこともでき、低い周波数でのやり取りに限定されない。
【0042】
そして、本実施形態では、更に、出力データ信号が出力として選択されている状態で且つLCD駆動信号が出力として選択されていない状態でPチャンネルMOSトランジスタ116のバックゲート端子へ電源電圧V1の供給がなされ、出力データ信号が出力として選択されていない状態で且つLCD駆動信号が出力として選択されている状態でPチャンネルMOSトランジスタ116のバックゲート端子へ昇圧電圧V2の供給がなされる切替回路110を備えている。このため、PチャンネルMOSトランジスタ116のバックゲートバイアス効果を排除することができる。なお、バックゲートバイアス効果とは、バックゲート電圧の変化により閾値が変動することをいう。この効果の結果としては、出力データ信号による出力駆動能力がHレベルとLレベルとで大きく異なる、あるいはHレベルが出ないという現象を引き起こすおそれがある。即ち、本実施形態では、出力データ信号による出力駆動能力を向上させて最大限に活用でき、且つ高い周波数における出力データ信号の出力の高精度化を実現することができる。
【0043】
そして、切替回路110は、2つのPチャンネルMOSトランジスタ134、136を備え、2つのPチャンネルMOSトランジスタ134、136のソース端子それぞれに電源電圧V1と昇圧電圧V2とが供給されている。このため、切替回路110は設計・開発が容易で簡易的に構成することができる。
【0044】
また、電源電圧V1が1.5V系の電池電源とされ、且つ昇圧電源V2は電源電圧V1の2倍とされている。このため、本実施形態は、低消費電力が必要とされるハンドツール一般に広く適用することができる。
【0045】
また、本実施形態の入出力回路100を用いることで、同じ種類のマイクロコントローラの使える製品範囲を増やすことができる。このため、プログラムの共有が可能となりマイクロコントローラのプログラム開発の短縮が可能となる。また、マイコンコアの入ったシステムLSIの開発からすると、少ない種類のLSI開発で多品種の機器に対応が可能となる。また、プログラム開発のための装置(デバッガ)を接続する端子としてSEG端子112を使うこともできる。同時に、SEG端子112はテスト時のテスト端子としても使用することができる。このため、テスト端子の数を低減できマイクロコントローラのチップ面積の低減が可能となり、入出力回路100を含むマイクロコントローラを組み込む機器の低コスト化を促進することができる。更に、SEG端子112を、不具合発生時の解析用の信号観測端子に割り当てることも可能である。
【0046】
即ち、本実施形態によれば、昇圧した電圧でLCDを駆動するような場合でも、その共用の入出力端子から実用的な出力データ信号の出力が可能となる。
【0047】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことはいうまでもない。
【0048】
例えば、第1実施形態においては、第1(第2)出力バッファ106(108)は、1つのインバータ114(124)と2つのPチャンネルMOSトランジスタ116、118(126、128)と2つのNチャンネルMOSトランジスタ120、122(130、132)とで構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示す第2実施形態の如く、第1(第2)出力バッファ206(208)を、1つのインバータ214(224)と1つのAND回路222(232)と1つのOR回路216(226)と1つのPチャンネルMOSトランジスタ218(228)と1つのNチャンネルMOSトランジスタ220(230)とで構成してもよい。この場合には、第1、第2出力バッファ206、208を小型化でき、且つ第1、第2出力バッファ206、208に至るインピーダンスを考慮しなくて済むので、設計を容易に行うことができる。
【0049】
また、上記実施形態においては、切替回路110、210を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図1の第1実施形態から切替回路110を取り去った形態である図5に示す第3実施形態であってもよい。この場合には、第1出力バッファ306を構成するPチャンネルMOSトランジスタ316、318のバックゲート端子を昇圧回路VDのOUT端子に接続している。即ち、PチャンネルMOSトランジスタ316、318のバックゲート端子には出力データ信号が出力として選択されているか否かに関わらずに、昇圧電圧V2が供給される。本実施形態では、切替回路がないことから部品点数を少なくでき、入出力回路300の低コスト化を図ることができる。
【0050】
また、上記実施形態においては、液晶駆動信号として、LレベルとHレベルの2値からなるセグメント出力に適用していたが、本発明はこれに限定されず、LレベルとHレベルの間の中間レベルも出力するコモン出力に適用してもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、マイクロコントローラとは別に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、入出力回路がマイクロコントローラに含まれる形態であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、いずれのMOSトランジスタもP型基板(P型シリコンウェハ)によって作られたことを想定していたが、本発明はこれに限定されず、いずれのMOSトランジスタもN型基板(N型シリコンウェハ)によって作られてもよい。その場合には、上記実施形態においてNチャンネルMOSトランジスタ、PチャンネルMOSトランジスタの使用されていた箇所で、PチャンネルMOSトランジスタ、Nチャンネルトランジスタが使用されることとなる(上記実施形態とはMOSトランジスタの配置が逆となる)。そして電源電圧V1、昇圧電圧V2は共に、マイナス側となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の入出力回路は、昇圧した電圧でLCDを駆動するような場合でも、その共用の入出力端子から実用的な出力データ信号の出力が可能となるので、ディジタルキャリパ、ディジタルマイクロメータ、ディジタルインジケータ、ハイトゲージ、シリンダゲージなどのLCD表示が付いた電池駆動のディジタル測定器(ハンドツール)などに広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
100、200、300…入出力回路
106、206、306…第1出力バッファ
108、208、308…第2出力バッファ
110、210…切替回路
112、212、312…SEG端子
114、124、214、224、314、324…インバータ
116、118、126、128、134、136、218、228、234、236、316、318、326、328…PチャンネルMOSトランジスタ
120、122、130、132、220、230、320、322、330、332…NチャンネルMOSトランジスタ
138、238、338…入力バッファ
216、226…OR回路
222、232…AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧によって生成された出力データ信号とLCDを駆動するためのLCD駆動信号のうちの少なくともいずれかが入力されるスリーステート出力バッファと、該スリーステート出力バッファの出力に接続されるとともに該出力データ信号と該LCD駆動信号のうちのいずれかが出力として選択され出力される1つの入出力端子と、を有する入出力回路において、
前記スリーステート出力バッファが前記出力データ信号と前記LCD駆動信号の両方に対してそれぞれ第1、第2出力バッファとして設けられ、
該第1出力バッファを構成するP型基板によるPチャンネルMOSトランジスタ若しくはN型基板によるNチャンネルMOSトランジスタのソース端子に前記電源電圧が供給され、且つ少なくとも前記出力データ信号が出力として選択されていない状態で前記PチャンネルMOSトランジスタ若しくは前記NチャンネルMOSトランジスタのバックゲート端子に該電源電圧から昇圧された昇圧電圧が供給され、更に、
前記第2出力バッファを構成するP型基板によるPチャンネルMOSトランジスタ若しくはN型基板によるNチャンネルMOSトランジスタのソース端子とバックゲート端子とに前記昇圧電圧が供給されることを特徴とする入出力回路。
【請求項2】
更に、前記入出力端子に対して、前記出力データ信号が出力として選択されている状態で且つ前記LCD駆動信号が出力として選択されていない状態で前記第1出力バッファのP型基板による前記PチャンネルMOSトランジスタ若しくはN型基板による前記NチャンネルMOSトランジスタのバックゲート端子に前記電源電圧の供給がなされ、前記出力データ信号が出力として選択されていない状態で且つ前記LCD駆動信号が出力として選択されている状態で前記PチャンネルMOSトランジスタ若しくは前記NチャンネルMOSトランジスタのバックゲート端子に前記昇圧電圧の供給がなされる切替回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の入出力回路。
【請求項3】
前記切替回路は、2つのP型基板によるPチャンネルMOSトランジスタ若しくは2つのN型基板によるNチャンネルMOSトランジスタを備え、該2つのPチャンネルMOSトランジスタ若しくは該2つのNチャンネルMOSトランジスタのソース端子それぞれに前記昇圧電圧と前記電源電圧とが供給されていることを特徴とする請求項2に記載の入出力回路。
【請求項4】
前記電源電圧は1.5V系の電池電源とされ、且つ前記昇圧電源は該電源電圧の2倍とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の入出力回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109870(P2012−109870A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258233(P2010−258233)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】