説明

入力装置

【課題】誤入力による処理が行われる可能性が低い入力装置を提供すること。
【解決手段】FAX機能を有する複合機は,FAX番号を2回入力させることによってそのFAX番号のFAX送信を受け付ける誤入力防止機能を有している。そして,複合機は,1回目の入力では,入力された番号を表示部32に表示し,2回目の入力では,1回目のFAX番号を非表示にする。そして,2回目の入力の際には,1回目で入力された入力FAX番号を基に,再入力箇所が無作為に決定され,その決定に従って入力が指示される。そして,2回目で入力された番号の適否が判断され,1回目の入力と2回目の入力とが等しい場合にのみFAX送信が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ファクシミリ装置,パーソナルコンピュータ(PC),複合機等の入力機能を備えた入力装置に関する。さらに詳細には,複数回の入力作業により,誤入力を未然に防止する誤入力防止機能を備えた入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,ファクシミリ装置,PC等の通信機器では,一般的に,相手先の電話番号ないしID番号等を入力し,スタートキーの操作によってデータの送信が開始される。このような通信機器では,誤った番号が入力されると,相手先に迷惑をかけるとともに,通信内容が第三者に知られてしまう。
【0003】
そのような人為的ミスを防止する技術として,例えば特許文献1に,宛先番号を2度入力させ,それらを照合することで入力ミスの注意を喚起する誤操作防止機能付ファクシミリ装置が開示されている。
【特許文献1】特開平2−200058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来のファクシミリ装置には,次のような問題があった。すなわち,単純に2度入力するだけでは,必ずしも誤入力を効果的に抑制することができない。例えば,ユーザが入力番号を誤って覚えている場合や,同じ押し間違いが行われる場合には,ユーザが番号を確認する動機が少なく,誤送信の可能性が非常に高くなる。
【0005】
本発明は,前記した従来の入力装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,誤入力による処理が行われる可能性が低い入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた入力装置は,複数の記号を少なくとも2回入力させることでその記号を受け付ける入力装置であって,記号を入力する入力手段と,入力手段によって入力された記号を表示する表示手段と,1回目の記号の入力では,入力手段にて入力された記号を表示手段に表示し,2回目の記号の入力では,1回目で入力された記号を非表示に制御する制御手段と,1回目で入力された記号を基に当該記号中の再入力箇所を決定し,2回目の記号の入力として再入力箇所の入力を指示する決定手段と,1回目で入力された記号と2回目で入力された記号とが一致するか否かを判断する判断手段とを有することを特徴としている。
【0007】
本発明の入力装置は,電話番号,FAX番号,パスワード,電子メールアドレス等の複数の記号から構成される被入力記号を少なくとも2回入力させる誤入力防止機能を有している。そして,本発明の入力装置は,1回目の入力では,入力手段にて入力された記号を表示手段に表示し,2回目の入力では,1回目で入力された記号を非表示にする。そして,2回目の入力の際には,決定手段にて1回目で入力された記号中の再入力箇所が決定され,その決定に従って入力が指示される。そして,2回目の入力として記号が入力されると,判断手段によってその記号の適否が判断される。
【0008】
すなわち,本発明の入力装置では,2回目の入力において,決定手段の決定に従って1回目と異なる順序で入力させる。さらに,2回目の入力の際には,1回目の入力記号が非表示である。そのため,ユーザが入力すべき記号を暗記していたとしても,スムーズな入力は困難である。よって,入力を行うユーザに対し,メモや電話帳などのデータベースとなるものを見ながら入力する等の被入力記号を確認する動機を与えることになる。これにより,ユーザは入力ミスに気付き易い。その結果として,誤入力による処理の実行が抑制される。
【0009】
また,本発明の入力装置の判断手段は,再入力箇所ごとに記号が一致するか否かを判断し,制御手段は,判断手段にて一致すると判断された再入力箇所について,当該再入力箇所を非表示から表示に変更することとするとよりよい。
【0010】
すなわち,本発明の入力装置では,2回目の入力において,1回目に入力された記号と一致したときのみ記号が表示される,つまり間違っていたら表示されない。そのため,ユーザが間違いに気付き易い。また,再入力箇所ごとに判断することで,入力を間違えた時でも全ての記号を再入力する必要がない。そのため,ユーザの手間が省ける。
【0011】
また,本発明の入力装置の決定手段は,再入力箇所を無作為に決定し,決定された再入力箇所の入力を指示することとするとよりよい。すなわち,再入力箇所を無作為(ランダム)に決定することで,ユーザは入力順の予測ができない。そのため,番号を暗記しているユーザであっても入力は容易でない。従って,ユーザはより入力に慎重になり,入力ミスに気付き易い。
【0012】
また,本発明の入力装置の決定手段は,再入力箇所を1回目で入力された記号の逆順に決定し,決定された再入力箇所の入力を指示することとしてもよい。すなわち,再入力箇所を逆順に決定することで,番号を暗記しているユーザであっても入力がスムーズにならない。そのため,ユーザはより入力に慎重になり,入力ミスに気付き易い。
【0013】
また,本発明の入力装置は,判断手段にて不一致と判断された場合に,警告を報知する報知手段を有することとするとよりよい。すなわち,警告音,警告表示等の警告の報知によってユーザに入力ミスを認識させ,再入力を促すとともに被入力記号を確認する動機を与えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,誤入力による処理が行われる可能性が低い入力装置が実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,ファクシミリ機能を有する複合機に本発明を適用したものである。
【0016】
[複合機の全体構成]
本形態の複合機100(入力装置の一例)は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部や画像データの送受信を行うデータ送受信部を備えた本体部2と,原稿の画像を読み取るスキャナ部3とを備えている。複合機100は,ファクシミリ機能の他にも,スキャナ機能,コピー機能,プリンタ機能の各種機能を有する。本体部2の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0017】
スキャナ部3は,原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder:自動原稿供給装置)30と,原稿を載置するプラテンガラス(不図示)と,原稿の読み取りを行うイメージスキャナ(不図示)とを有する。原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(原稿移動走査)方式とが可能である。
【0018】
また,スキャナ部3の前面には,操作部31(入力手段の一例)と表示部32(表示手段,報知手段の一例)とが設けられている。操作部31は,ユーザの操作によってデータを入力するものである。具体的に操作部31は,テンキーやモード切替キー,マルチファンクションキーなどのキースイッチによって構成される。また,表示部32は,操作部31による入力データや,異常を検知した際の警告メッセージを表示するものである。具体的に表示部32は,液晶パネルによって構成される。なお,操作部31は,表示部32に表示されるタッチパネルであってもよい。
【0019】
複合機100は,例えばユーザがFAX機能を利用する場合には,次のように動作する。まず,ユーザによってADF30に原稿がセットされ,操作部31によってFAX番号が入力される。FAX番号の入力を終えると,操作部31のFAX開始ボタンが押下される。その後,スキャナ部3にて原稿を読み取り,FAX送信用の画像データが作成される。本体部2のデータ送受信部は,ファクシミリインターフェースを介して相手先のファクシミリ装置の情報を取得し,送信可能であればそのファクシミリ装置に対して画像データを送信する。
【0020】
[複合機の電気的構成]
続いて,複合機100の電気的構成について説明する。複合機100は,図2に示すように,CPU81(制御手段,決定手段,判断手段の一例)と,ROM82と,RAM83と,EEPROM84と,操作部31と,表示部32と,データの送受信を行うデータ送受信部22と,画像形成を行う画像形成部25と,原稿の読み取りを行うイメージスキャナ35と,警告音の発音に供するスピーカ36(警告手段の一例)を備えている。
【0021】
ROM82には,複合機100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM83は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0022】
CPU81は,ROM82から読み出したプログラムに従って,RAM83に処理結果を記憶させながら,複合機100の動作を制御する。例えば,CPU81では,入力手段である操作部31にて入力されたFAX番号について,そのFAX番号の再入力を促す誤入力防止処理を実行する。
【0023】
データ送受信部22は,ネットワークインターフェースないしファクシミリインターフェースから構成されており,ネットワークないし通信回線を介して外部の情報処理装置に接続されており,双方向のデータ通信を可能にしている。
【0024】
[FAX送信時の動作手順]
続いて,複合機100によるFAX送信時の動作手順について,特にFAX番号入力時の誤入力防止処理について,図3および図4のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,予め,ADF30には複数枚の原稿が載置されているものとする。
【0025】
まず,図3に示すように,ユーザによって,送信先のFAX番号が入力される(S101)。なお,S101の処理での入力を1回目の入力とする。1回目の入力では,図5に示すように,入力桁番にカーソル33が表示部32に表示され,番号の入力が促される。そして,番号が入力されるとその番号が表示され(S102),カーソル33が次の入力桁番の入力箇所に移行する。
【0026】
次に,番号が確定されたか否かを判断する(S103)。すなわち,ユーザが所望のFAX番号の入力を終え,確定ボタンないしFAX送信ボタンを押下したか否かを判断する。FAX番号を確定していない場合(S103:NO)には,S101の処理に戻り,数値の入力を繰り返す。
【0027】
FAX番号が確定された場合(S103:YES)には,そのFAX番号を入力FAX番号としてEEPROM84に記憶する(S104)。すなわち,一旦,入力されたFAX番号を保持する。そして,表示部32に表示されているFAX番号を消去する(S105)。
【0028】
次に,後述する2回目の入力を行う際の入力箇所,すなわち再入力箇所を決定する(S106)。具体的には,1回目で入力されたFAX番号のうちの,何桁目を入力箇所とするかを決定する。
【0029】
ここで,S106の処理の詳細について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。まず,EEPROM84に記憶されている入力FAX番号の桁数Nを取得する(S161)。
【0030】
次に,1からNまでの自然数の中から無作為に1つ選択する(S162)。すなわち,入力FAX番号中の桁番を無作為に抽出する。そして,その選択された数値が,既に表示部32に表示済みであるか否かを判断する(S163)。既に表示済みの場合(S163:YES)には,該当桁番の番号が入力済みであるため,S161の処理に戻って桁番の選択をやり直す。一方,表示済みでない場合(S163:NO)には,選択された桁番を再入力箇所となる桁番に決定し(S164),本処理を終了する。
【0031】
図3のフローチャートに戻り,決定された桁番に対応する入力箇所(再入力箇所)にカーソルを合わせ,FAX番号の再入力を促すメッセージを表示する(S107)。
【0032】
図4のフローチャートに移行し,ユーザによって,再入力箇所の番号が入力される(S108)。なお,S108の処理での入力を2回目の入力とする。次に,入力された番号が1回目に入力されたFAX番号の該当桁番の番号と一致するか否かを判断する(S109)。番号が一致しない場合(S109:NO)には,警告音を発し(S110),S108の処理に戻って,番号の再入力を促す。警告報知手段としては,警告音の他,例えばエラーメッセージの表示やエラーランプの点灯が適用可能である。警告により,ユーザは,入力の不一致を認知することができ,再入力を促されるとともにFAX番号を再確認する動機が与えられる。
【0033】
一方,番号が一致する場合(S109:YES)には,入力された番号を該当箇所に表示する(S111)。すなわち,再入力箇所について,非表示から表示に切り換える。その後,表示していない桁番があるか否か,すなわち判断していない番号があるか否かを判断する(S112)。判断していない番号があれば(S112:YES),S106の処理に戻って,判断していない番号を再入力箇所に指定してカーソルを合わせる。
【0034】
つまり,2回目の入力では,図7に示すように,無作為に桁番が指定され,指定された桁番にカーソル33を合わせられる。そして,ユーザは,入力FAX番号を指定された桁番順に入力していく。正しい番号が入力されると,その番号が表示され,次の桁番の入力となる。ユーザとしては,正しい番号が入力されるまではその番号が表示されないことから,1回目の入力もしくは2回目の入力の誤りに気付かされる。
【0035】
また,2回目の入力では,再入力箇所を無作為に決定することから,ユーザは入力箇所の予測ができない。そのため,番号を暗記しているユーザであっても入力は容易でない。従って,ユーザは,FAX番号を再確認する動機が与えられ,より入力に慎重になり,入力ミスに気付き易い。なお,1回目の入力に誤りがあると気付いた場合には,入力処理全体をキャンセルし,1回目の入力からやり直す。
【0036】
2回目の入力にてすべての桁番の入力が終了した場合(S112:NO)には,入力FAX番号を受け付け,ADF30による原稿の搬送を開始し,ADF30によって搬送された原稿をイメージスキャナ35で読み取ってその画像データ(FAXデータ)を取得する(S113)。そして,取得したFAXデータのFAX送信を行う(S114)。S114の処理後は,本処理を終了する。
【0037】
[第1の応用例:逆順入力]
続いて,誤入力防止処理の応用例について,図8および図9のフローチャートを参照しつつ説明する。第1の応用例では,2回目の入力を1回目の入力の逆順の桁番で行う。この点,2回目の入力が無作為の桁番順である先の実施例と異なる。なお,予め,ADF30には複数枚の原稿が載置されているものとする。
【0038】
まず,図8に示すように,1回目の入力として,ユーザによって,所望のFAX番号が入力される(S201)。この1回目の入力では,先の実施例と同様に,入力された番号を順次に表示部32に表示する(S202)。
【0039】
次に,番号が確定されたか否かを判断する(S203)。FAX番号を確定していない場合(S203:NO)には,S201の処理に戻り,番号の入力を繰り返す。FAX番号が確定された場合(S203:YES)には,そのFAX番号(入力FAX番号)をEEPROM84に記憶する(S204)。そして,表示部32に表示されているFAX番号を消去し,FAX番号の再入力を促すメッセージを表示する(S205)。
【0040】
次に,入力FAX番号の桁数を取得する(S206)。そして,取得した桁数を変数Nに代入し(S207),N桁目を再入力箇所に指定する(S208)。その後,指定された再入力箇所にカーソルを合わせ,待機状態とする(S209)。
【0041】
図9のフローチャートに移行し,2回目の入力として,ユーザによって,再入力箇所の番号が入力される(S210)。次に,入力された番号が1回目に入力されたFAX番号の該当桁番の番号と一致するか否かを判断する(S211)。番号が一致しない場合(S211:NO)には,警告音を発し(S212),S210の処理に戻って,番号の再入力を促す。
【0042】
一方,番号が一致する場合(S211:YES)には,入力した番号を該当箇所に表示する(S213)。その後,変数Nが1であるか否か,すなわち再入力箇所が1回目の入力で最初に入力した箇所であるか否かを判断する(S214)。変数Nが1でなければ(S214:NO),N−1を変数Nの値とする(S215)。そして,S208の処理に戻って,N桁目を再入力箇所に指定してカーソルを合わせる。
【0043】
すなわち,2回目の入力では,図10に示すように,1回目の入力とは逆順に桁番が指定され,指定された箇所にカーソル33を合わせる。そして,ユーザは,入力FAX番号を逆順に入力していく。正しい番号が入力されると,その番号が表示され,1つ前の桁番の入力となる。ユーザとしては,正しい番号が入力されるまではその番号が表示されないことから,1回目の入力もしくは2回目の入力の誤りに気付かされる。
【0044】
また,2回目の入力では,再入力箇所を逆順に決定することから,番号を暗記しているユーザであっても入力がスムーズにならない。そのため,ユーザは,FAX番号を再確認する動機が与えられ,より入力に慎重になり,入力ミスに気付き易い。1回目の入力に誤りがあると気付いた場合には,入力処理全体をキャンセルし,1回目の入力からやり直すことができる。
【0045】
変数Nが1であれば(S214:YES),2回目の入力にてすべての桁番の入力が終了したと判断でき,入力FAX番号を受け付け,ADF30による原稿の搬送を開始し,その原稿をイメージスキャナ35で読み取ってその画像データ(FAXデータ)を取得する(S216)。そして,取得したFAXデータのFAX送信を行う(S217)。S217の処理後は,本処理を終了する。
【0046】
[第2の応用例:1桁表示]
続いて,誤入力防止処理の表示の応用例について説明する。第2の応用例では,2回目の入力時に,入力桁番の番号のみを表示し,他の桁番の番号を表示しない。この点,既に入力済みの桁番の番号を表示し,現在の入力桁番にカーソルを合わせ,再入力箇所を視覚的に指示している先の実施例とは異なる。
【0047】
第2の応用例では,図11に示すように,1回目の入力では,先の実施例と同様に入力番号の表示を行う。入力番号の確定後,2回目の入力の開始前に1回目の入力番号を非表示とし,再入力を行う桁番のみを表示する。再入力を行う桁番の決定方法は,ランダム(実施例)であっても,逆順(第1の実施例)であってもよい。また,それら以外の順序であっても,1回目の入力順と異なればよい。
【0048】
そして,正しい番号が入力されると,次に選択された桁番の入力となる。このとき,既に入力済みの桁番の番号は表示されない。そのため,ユーザとしては,入力番号の推測が困難であり,入力がより慎重になる。従って,入力ミスに気付き易い。
【0049】
[第3の応用例:パスワード入力]
続いて,誤入力防止処理の応用例について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。第3の応用例では,PCにてパスワードの入力動作を行う際における誤入力防止処理を説明する。なお,パスワードの入力とFAX番号の入力とでは,1回目の入力手順に差異はない。すなわち,図3に示したフローチャートのS101からS107までの処理(図8に示したS201からS209までの処理でも対応可能)と同様の手順であり,説明を省略する。
【0050】
パスワードの入力では,2回目の入力の再入力箇所を指定した後,変数Mを初期化する(S301)。そして,2回目の入力として,ユーザによって,再入力箇所の記号が入力される(S302)。入力される記号には,特殊文字や数字を含み,パスワードに使用される記号全般を意味する。
【0051】
次に,入力された記号が1回目に入力されたパスワードの該当箇所の記号と一致するか否かを判断する(S303)。記号が一致しない場合(S303:NO)には,M+1を変数Mの値とする(S304)。そして,変数Mが3より小さいか否かを判断する(S305)。変数Mが3より小さい場合には(S305:YES),警告音を発し(S306),S302の処理に戻って,記号の再入力を促す。一方,変数Mが3以上の場合には(S305:NO),入力されたパスワードの情報をリセットし(S307)し,パスワードの入力が間違っている旨の警告メッセージを表示部32に表示する(S308)。S308の処理後は,本処理を終了する。
【0052】
すなわち,パスワードの入力では,1箇所の入力につき2回の入力ミスまでは再入力を促すが,3回目の入力ミスでは入力をリセットする。これにより,不審者のパスワード入力が抑制され,システムの安全性が確保される。
【0053】
記号が一致する場合(S303:YES)には,入力していない記号があるか否かを判断する(S309)。入力していない記号があれば(S309:YES),判断していない記号を再入力箇所に指定してカーソルを合わせ,変数Mを初期化する。2回目の入力にてすべての桁番の入力が終了した場合(S309:NO)には,入力パスワードを受け付け,当該パスワードを確定する(S310)。S310の処理後は,本処理を終了する。
【0054】
以上詳細に説明したように実施の形態の複合機100は,FAX番号を2回入力させることによってそのFAX番号のFAX送信を受け付ける誤入力防止機能を有している。そして,複合機100は,1回目の入力では,入力された番号を表示部32に表示し,2回目の入力では,1回目のFAX番号を非表示にする。そして,2回目の入力の際には,1回目で入力された入力FAX番号を基に,再入力箇所が無作為にあるいは逆順に決定され,その決定に従って入力が指示される。そして,2回目で入力された番号の適否が判断され,1回目の入力と2回目の入力とが等しい場合にのみFAX送信が可能になる。
【0055】
すなわち,複合機100では,2回目の入力において,1回目と異なる順序で入力することになる。さらに,2回目の入力の際には,1回目の入力番号が非表示である。そのため,ユーザが入力すべきFAX番号を暗記していたとしても,スムーズな入力は困難である。よって,入力を行うユーザに対し,メモや電話帳などのデータベースとなるものを見ながら入力する等のFAX番号の確認の動機を与えることになる。これにより,ユーザは入力ミスに気付き易い。その結果,誤入力によるFAX送信が抑制される。従って,誤入力による処理が行われる可能性が低い入力装置が実現している。
【0056】
また,複合機100は,2回目の入力時に,1回目に入力された番号と2回目に入力された番号とが一致したときのみ表示される,つまり間違っていたら表示されない。そのため,ユーザは間違いに気付き易い。また,2回目の入力時に,再入力箇所ごとに入力番号の適否を判定される。そのため,入力を間違えた時でも全ての記号を再入力する必要がなく,ユーザの手間が省ける。
【0057】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,複合機やPCに限らず,ファクシミリ専用機や携帯電話等,入力機能を備えるものであれば適用可能である。
【0058】
また,本実施の形態では,入力する記号として,FAX番号やパスワードに適用しているが,これに限るものではない。例えば,電話番号,ID番号,電子メールアドレスにも適用可能である。
【0059】
また,本実施の形態では,2回目の入力において,再入力箇所ごとに入力番号の適否を判断し,1桁ずつ表示しているが,これに限るものではない。例えば,2回目の入力において,1回目の入力番号を非表示にした状態で全桁の番号を再入力し,その後に一括して適否を判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態にかかる複合機の概略構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態にかかる複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】FAX番号入力時の誤入力防止手順を示すフローチャート(再入力時ランダム入力:その1)である。
【図4】FAX番号入力時の誤入力防止手順を示すフローチャート(再入力時ランダム入力:その2)である。
【図5】1回目の入力における表示部の表示例を示す図である。
【図6】再入力箇所の決定手順を示すフローチャートである。
【図7】2回目の入力における表示部の表示例(ランダム指定)を示す図である。
【図8】FAX番号入力時の誤入力防止手順を示すフローチャート(再入力時逆順入力:その1)である。
【図9】FAX番号入力時の誤入力防止手順を示すフローチャート(再入力時逆順入力:その2)である。
【図10】2回目の入力における表示部の表示例(逆順指定)を示す図である。
【図11】2回目の入力における表示部の表示例(1桁表示)を示す図である。
【図12】パスワード入力時の誤入力防止手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
22 データ送受信部
25 画像形成部
30 ADF
31 操作部
32 表示部
33 カーソル
100 複合機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記号を少なくとも2回入力させることでその記号を受け付ける入力装置において,
前記記号を入力する入力手段と,
前記入力手段によって入力された記号を表示する表示手段と,
1回目の記号の入力では,前記入力手段にて入力された記号を前記表示手段に表示し,2回目の記号の入力では,1回目で入力された記号を非表示に制御する制御手段と,
1回目で入力された記号を基に当該記号中の再入力箇所を決定し,2回目の記号の入力として再入力箇所の入力を指示する決定手段と,
1回目で入力された記号と2回目で入力された記号とが一致するか否かを判断する判断手段とを有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載する入力装置において,
前記判断手段は,前記再入力箇所ごとに記号が一致するか否かを判断し,
前記制御手段は,前記判断手段にて一致すると判断された再入力箇所について,当該再入力箇所を非表示から表示に変更することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する入力装置において,
前記決定手段は,前記再入力箇所を無作為に決定し,決定された再入力箇所の入力を指示することを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載する入力装置において,
前記決定手段は,前記再入力箇所を1回目で入力された記号の逆順に決定し,決定された再入力箇所の入力を指示することを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する入力装置において,
前記判断手段にて不一致と判断された場合に警告を報知する報知手段を有することを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する入力装置において,
前記記号は,電話番号,FAX番号,パスワード,電子メールアドレスのいずれか1つを構成することを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−171396(P2009−171396A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8994(P2008−8994)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】