説明

冷水機及び冷水式除湿装置並びに乾燥機

【課題】着氷を生じさせずに効率よく冷水を生成できる冷水機、及び、この冷水機を備える冷水式除湿装置、並びにこの除湿装置による除湿空気を所定温度に加熱して乾燥庫に戻して効率よく乾燥処理できる乾燥機を提供する。
【解決手段】冷水機200は、筒状外壁201と筒状内壁202との間の間隙203に冷媒用の配管204を螺旋状に巻回配置し、この配管204に冷媒を供給するとともに、間隙203に水を流通させることにより冷水を生成するものとし、この冷水機200を備える冷水式除湿塔は、冷水機200から冷水の一部を除湿塔100に送り空気を除湿するものとし、乾燥機は、乾燥庫900から送られる空気を除湿塔100で除湿した後、空気加熱装置400により所定温度に加熱してから乾燥庫900に戻すように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、魚等の水産物及びその加工品、野菜や果実等の農産物、素麺等の各種加工食品、材木、皮革その他の各種物品の除湿、乾燥に使用する冷水を生成するための冷水機、及びこの冷水機を用いる冷水式除湿装置、並びにこの冷水式除湿装置を用いた乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚等の水産物及びその加工品、野菜や果実等の農産物、素麺等の各種加工食品、材木、皮革その他の各種物品の除湿、乾燥に使用する乾燥機として、空気/冷水接触用の充填材を有する筒状ケース内の上部より冷水を注ぐとともに、下部から上部に向けて除湿対象の空気を送ることにより、除湿空気を生成する方式の除湿塔を含む冷水式除湿装置を利用した乾燥機が提案されている(特許文献1及び2)。
【0003】
この提案の乾燥機に使用される冷水式除湿装置は、技術的に次のような問題があり、その技術レベルが低く、冷水式除湿装置の普及が遅れている。
【0004】
1) 除湿塔の上部より注水する冷水を得るのに使用されている従来の冷水機は、10℃程度の冷水しか製造できない。
【0005】
2) 除湿塔と冷水機が並設されていると、除湿塔の下方に落下する温水を冷水機に戻すことが困難であるので、前記温水を除湿塔から冷水機に落下送水させる必要があり、そのため必然的に除湿塔が高くなる。
【0006】
3) 冷水式除湿により低温になった空気を乾燥に適する温度に加熱するのに、通常は電気ヒータを用いるが、大型機になると熱エネルギー費が大きくなり、実用的にはランニングコストが大きくなり、採用困難となる。
【0007】
4) また、前記1)、2)、3)が未解決のため、冷水式除湿装置を利用する乾燥機において、低温除湿乾燥で材木を乾燥することとして、ヒノキチオール等の樹木成分を抽出し凝縮して回収することができない。
【特許文献1】特開2002−206895号公報
【特許文献2】特開2005−87104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
1) この提案の乾燥機に使用される冷水式除湿装置においては、除湿塔の上部より注水する冷水(2〜5℃程度の冷水)を得るための冷水機には、製作費が安価なコイル式冷水機が用いられるが、冷却用のコイルをヒートポンプ又は冷凍機の蒸発器における冷却コイルと同様に構成した場合、熱通過率が100(Kcal/m・h・℃)以下となり、コイルまわり等に着氷が生じ、熱効率が劣ることになる。
【0009】
すなわち、冷水機としては、コイルまわりに着氷を生じさせず、しかも熱通過率を大きくできる工夫が求められる。
【0010】
2) また、除湿塔は、通常、前述のごとく装置高さが高くなるので、高さを低く抑える工夫が求められる。
【0011】
3) さらに、低温除湿のために、除湿された空気の温度が下がるので、空気加熱が必要になるが、電気ヒータによる加熱とした場合、省エネを保ちながら乾燥機を中型や大型にすることができない。
【0012】
また、材木(ヒバ、檜等)の乾燥時に、乾燥庫から送出される空気中よりヒノキチオール等の樹木抽出成分を凝縮し回収するのに、前記1)、2)、3)の課題を解決する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する本発明の冷水機は、水を貯留する筒状外壁の内側に上下一方端が閉塞された筒状内壁を備える二重壁構造をなし、前記筒状内壁と前記筒状外壁との間の間隙に冷媒用の配管が螺旋状に巻回して配置され、該配管に熱交換用の冷媒を供給するとともに、前記内外壁間の間隙に上下一方側から水を流通させることにより所定温度の冷水を生成し、生成された冷水の一部を給出できることを特徴とする。
【0014】
これにより、前記内外壁間の間隙を上下一方側から流通する水が、前記螺旋状の冷媒用の配管の回りを乱流となって流通することで、前記配管表面に対し確実に接触して冷却され、コイルまわり等の冷水機内部に着氷を生じさせずに効率よく冷水を生成することができる。
【0015】
前記の冷水機においては、前記筒状内壁の内側における前記閉塞端部の近傍で水を吸引し、前記筒状外壁の外部を回って該筒状外壁内に入り前記筒状内壁の前記閉塞端部の外側中央から送出する循環水路が設けられるとともに、該循環水路の一部に水循環ポンプが設けられており、該ポンプにより水を所定の速度で前記間隙内を流通させて循環させるとともに、該循環水路から分岐した水路により循環する冷水の一部を除湿塔に送るように設けられてなるものとするのがよい。これにより、前記内外壁間の間隙に対し水を積極的にかつ確実に循環流通させることができ、冷媒用の配管との接触を確実になし、高効率で冷水を生成できる。
【0016】
上記の課題を解決する本発明の第2は、空気/水接触用の充填材を収容した筒状ケース内の上部より冷水を注ぐとともに、下部から上部に向けて除湿対象の空気を送ることにより除湿空気を生成する除湿塔と、前記除湿塔に注ぐ冷水を得るための冷水機とを組み合わせてなる冷水式除湿装置に関してである。
【0017】
この発明の冷水式除湿装置は、前記除湿塔と前記冷水機とを並立状に設置するとともに、該除湿塔と冷水機との間に、除湿塔で生じる温水を冷水機に送る温水移動装置を設けてなることを特徴とする。
【0018】
これにより、同一の据え付け面上に除湿塔と冷水機を設置することができて、装置全体の背が過度に高くならず、しかも除湿塔において生じる温水を冷水機に確実に戻送することができる。
【0019】
前記の冷水式除湿装置において、前記充填材を収容した筒状ケース内の上部より前記冷水機から給送される冷水を注ぐとともに、該筒状ケース内の下部から上部に向けて除湿対象の空気を送って冷水を生成する二つの除湿塔を、空気流送経路に沿って直列状に連結装備し、除湿対象の空気を順次各除湿塔に送って除湿するように設けてなるものとすることもできる。この場合、除湿塔の高さを低くでき、かつ低高型であっても所定の除湿効果を得ることができ、さらには処理能力を高めることができる。
【0020】
上記の課題を解決する本発明の第3は、前記の除湿塔と冷水機との組み合わせからなる冷水式除湿装置を備える乾燥機であって、乾燥庫内の空気出口から送出される空気の一部を前記除湿塔の下部に送り、該除湿塔で除湿されて送出される低温の空気を、空気送風機により空気加熱装置を通過させて所定の温度に加熱して前記乾燥庫内に戻すように接続構成してなることを特徴とする。
【0021】
これにより、除湿処理された低温の空気(乾燥空気)を、乾燥庫内の乾燥対象物に応じて設定される所定の温度にして前記乾燥庫内に戻すことができ、乾燥庫内での乾燥効果を高めることができる。特に、前記乾燥庫には、庫内の空気を送出側で吸引して内奥側に戻送して給出することにより庫内の内奥側から送出側に向かって送風するための循環用ダクトと循環用送風機が設けられ、前記空気加熱装置を通過して加熱された空気が前記循環用ダクト内の循環空気と合流して内奥側に給出されるように設けられてなるものが、乾燥庫内で乾燥効果上、特に好ましい。
【0022】
前記の乾燥機において、前記除湿塔と前記乾燥庫との間に備える前記空気加熱装置としては、前記冷水機における熱交換用の冷媒を利用する水熱源ヒートポンプ式の空気加熱器よりなり、該加熱器を備える本体内部への空気入口側に風量調整可能な空気送風機が設けられ、除湿塔から送出される空気を前記加熱器の部分を通過させて加熱して乾燥庫に戻すように設けられてなるものとすることができる。この場合、除湿塔で発生する温水を水熱源に利用することになるので、熱源を無料化でき、乾燥機の運転コストを低減できる。
【0023】
また、前記の乾燥機において、前記除湿塔と前記乾燥庫との間に備える前記空気加熱装置としては、燃料焚き方式の空気加熱装置よりなるとともに、本体内部に燃焼部を構成する内筒を備えるとともに、本体内部への空気入口側に風量調整可能な空気送風機が設けられ、除湿塔から送出される空気を前記内筒に接触通過させて加熱して乾燥庫に戻すように設けられてなるものとすることもできる。この場合、乾燥庫内に戻す除湿処理後の空気の加熱温度の設定が容易であり、特には乾燥庫内の乾燥対象物等の必要に応じてやや高めの温度設定も容易になり、乾燥庫内での乾燥効率、乾燥時間の短縮に寄与できる。
【0024】
さらに、本発明の他の一つは、前記発明の乾燥機において、木材乾燥用の乾燥庫を備えてなり、該乾燥庫から除湿塔に至る空気流送経路の一部に、冷水式除湿装置の冷水機から除湿塔に送られる冷水の一部を利用して、木材を乾燥する乾燥庫から送出される空気を冷却して空気中に含まれる樹木抽出成分(例えば、ヒノキチオール)を凝縮し回収する樹木抽出成分回収塔を備えてなるものとすることができる。この場合、木材の乾燥と同時に、木材に含まれる一部のヒノキチオール等の樹木抽出成分を凝縮し回収することができる。こうして、樹木抽出成分回収後の空気は、除湿塔に送られて前記同様に除湿され所定温度に加熱されて乾燥庫に戻される。
【0025】
前記の乾燥機において、前記樹木抽出成分回収塔は、冷却室を形成する筒状本体の内側に、内筒を備えるとともに、前記筒状本体と前記内筒との間の間隙において上下一方側から他方側に向かって螺旋状に巻回して配置された冷水用の配管が前記内筒に連続して設けられており、前記冷水機から送られる冷水の一部を前記内筒及び配管に循環供給するとともに、前記乾燥庫内から送出される空気を、前記筒状本体内の前記内筒との間隙に上下一方側から流通させることにより、空気中の樹木抽出成分を凝縮し回収するように設けられてなるものとすることができる。これにより、樹木抽出成分回収塔での空気の冷却及びヒノキチオール等の樹木抽出成分の凝縮が効率よく行われる。
【発明の効果】
【0026】
上記した本発明の冷水機によれば、内外二重壁の筒状内壁と外壁の間の間隙に冷媒流通用の配管を螺旋状に配置するとともに、前記間隙に冷温水を積極的に流通させるようにしたことにより、熱通過率を高めることができ、コイル式の冷水機でありながら、コイルまわり等の冷水機内部に着氷を生じさせずに高効率に冷水を生成できる。そのため、この冷水機を乾燥機に用いる冷水式除湿装置に好適に利用することができる。
【0027】
さらに、本発明の冷水式除湿装置においては、前記の冷水を使用する除湿塔での除湿効果を高めることができる上、除湿塔と冷水機とを並立状に設置し、この除湿塔と冷水機との間に温水移動装置を設けたことにより、装置全体の背が過度に高くならず、コンパクトに構成でき、設置も容易になる。
【0028】
また、本発明の乾燥機によれば、除湿処理された空気(乾燥空気)を、乾燥庫内の乾燥対象物に応じて設定される所定の温度にして前記乾燥庫内に戻すことができ、これにより乾燥庫内での乾燥効率を高めることができる。すなわち、乾燥庫内の乾燥空気が従来の乾燥機よりも低湿になるために、乾燥推進力(=乾燥空気の乾球温度−湿球温度)が大きくなり、乾燥時間が短くなり、乾燥庫内の風速も低くでき、送風設備の省エネになる。
【0029】
特に、この場合において、前記空気加熱器として、冷水機における熱交換用の冷媒を利用する水熱源ヒートポンプ式の凝縮器を用いることにより、冷水式除湿装置で発生する温水を熱源として有効利用できることになり、熱源を無料化でき、除湿塔において使用する冷水を効率よく生成できることもあって、乾燥処理のための運転コストを安価に設定できる。さらに、燃料焚き式の空気加熱装置を使用することにより、除湿乾燥空気の温度設定、特にはやや高めの温度設定が容易になり、乾燥庫内での乾燥効率、乾燥時間の短縮に寄与できる。
【0030】
さらに、前記冷水式除湿装置を利用した木材の乾燥機において、樹木抽出成分回収塔を備えることにより、除湿乾燥する空気中の樹木抽出成分(ヒノキチオール等)を効率よく凝縮し回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る冷水機を用いる冷水式除湿装置の第1の実施例を示す概略説明図である。
【0033】
この第1の実施例の冷水式除湿装置は、例えば、魚等の水産物及びその加工品、野菜や果実等の農産物、素麺等の各種加工食品、材木、皮革その他の各種物品の除湿乾燥のための図3の例に示すような乾燥機において、乾燥庫から送出される空気を除湿処理して乾燥庫に戻すのに使用するものであり、次のように除湿塔100と該除湿塔100で使用する冷水を生成する本発明に係る冷水機200とを組み合わせて構成されている。
【0034】
除湿塔100は、内の多孔板等よりなる通気通水可能な底部102上に多量の空気/水接触用の充填材103を空隙を有するように充填して収容してなり、この筒状ケース101内の上部、すなわち前記充填材103の上方より噴射ノズル104により冷水を注ぐとともに、前記筒状ケース101内の下部、すなわち前記充填材103の下方部から上部に向けて除湿対象の空気を送ることにより除湿空気を生成するように設けられている。図中の105は充填材103の部分を通過した水(温水)を貯留する水貯留部、106は乾燥庫等から送出される空気の流送用ダクトであり、該流送用ダクト106は前記水貯留部105内の液面より上部になる空間部に開口せしめられている。107は除湿処理済み空気の送出用ダクトであり、筒状ケース101内の前記充填材103より上部の空間、例えば前記噴射ノズル104より上方空間に連通して設けられている。通常、前記流送用ダクト106または送出用ダクト107の一部に空気送風機が設けられ、所定量の空気が前記除湿塔100内を流通するように構成される。
【0035】
前記充填材103としては、プラスチックやゴムもしくはセラミックにより形成された小片、或いは木材の小片その他の空気と冷水との接触面積を増大できるように形成された各種の小片を使用できる。
【0036】
前記冷水機200は、水を貯留する筒状外壁201の内側に上下一方端が閉塞した筒状内壁202を備える二重壁構造をなし、前記筒状内壁202と前記筒状外壁201との間の間隙203に冷媒用の配管204が前記筒状内壁202の周りに所定のピッチで螺旋状に巻回して配置されており、該配管204に熱交換用の冷媒を供給して循環させるとともに、前記内外壁201,202間の間隙203に上下一方側から水を流通させることにより所定温度の冷水を生成するように設けられている。前記筒状内壁202は、その全体が前記筒状外壁201内の貯留水に水没状態をなすように設けられる。前記間隙203は、前記配管204の径に応じて、内外壁202,201との間にそれぞれ熱交換に適した間隔を保有するように適宜設定でき、例えば、前記配管204の径が20mm程度の場合、前記間隙203の間隔は30〜50mmの範囲に設定される。また、前記配管204の螺旋状の巻回ピッチについても、熱交換作用に好適なように適宜設定できる。
【0037】
図1の場合、前記筒状内壁202は下端が閉塞して下方向きの円錐形をなしている。そして、前記間隙203に水を流通させる手段として、前記筒状内壁202内の下部における閉塞端部202aの近傍で水を吸引し、前記筒状外壁201の外部を回って該筒状外壁201内に入り前記筒状内壁202の前記閉塞端部202aの下方部中央から送出する循環水路205が設けられるとともに、該循環水路205の一部に水循環ポンプ206が設けられており、該ポンプ206により水を循環流送させることにより、前記間隙203内を下部から上部に繰り返し流通させて、該間隙203内の前記配管204に積極的に接触させるように構成されている。
【0038】
前記配管204を流通する冷媒は、供給側径路において電磁弁211及び膨張弁212を通過して低温状態になって(例えば−5℃〜−7℃)前記筒状外壁201内に入り、前記間隙203の螺旋状部分を通過した後、筒状外壁201外の還側径路においてコンプレッサー230を経て圧縮された後、放熱器としての凝縮器240に送られ、放熱後に再び電磁弁211及び膨張弁212を経て前記筒状外壁201内に循環給送される。
【0039】
前記冷水機200において生成される冷水は、前記循環水路205を循環流送している間に、一部の冷水が該循環水路205に連結された冷水パイプ207により前記除湿塔100に送られ、該除湿塔100内上部の噴射ノズル104より噴射するように設けられている。208は冷水の流量を調整する絞り弁、209は圧力計である。
【0040】
図中の213は水補給用パイプ、214は流量調整弁、215はエアー抜き弁、216はオーバーフロー用のドレーンパイプ、217は液面計である。
【0041】
図中の220は必要とする温度設定が可能な温調計であり、温度センサ221により冷水機200内の水温の検出値に応じて、予め設定した温度を得るように電磁弁211を開閉して冷媒の供給を調整あるいは制限するように設けられ、さらにインバータ222により前記水循環ポンプ206の回転を制御し、循環する水量や流速を調整するように設けられている。これにより、冷水機200内の水温を予め設定した温度、例えば2℃程度に保つようになっている。このように構成される冷水機200は安価に製作できるため、市販されている「チラーシステム」の代替機として使用することができる。
【0042】
前記除湿塔100と冷水機200とは同一平面上に並列して設置されており、該除湿塔100と冷水機200との間に、除湿塔100で生じる水(温水)を冷水機200に戻送するための温水移動装置300が設けられている。温水移動装置300は、温水を貯留するタンク本体301と前記除湿塔100の水貯留部105とがパイプ302により連通せしめられており、タンク本体301内に水貯留部105と同レベルに水を貯留するようになっている。前記タンク本体301内には水中ポンプ303が設けられており、貯留水量が一定以上になるとフロート式のレベルスイッチ304により前記水中ポンプ303が作動し、貯留水(温水)を給送パイプ305を通じて前記冷水機200の筒状外壁201内に給送するように構成されている。306は逆止弁である。
【0043】
上記実施例の冷水式除湿装置の冷水機200においては、前記筒状内壁202と筒状外壁201との間の間隙203を上下一方側、図の場合は下方側から流通する水が、該間隙203において螺旋状の配管204の回りを乱流となって、前記冷媒用の配管204の表面に対し積極的に接触して熱交換作用により冷却されながら流通し、効率よく冷水、例えば2℃の冷水を生成することができ、冷水機中の冷水の温度を2℃程度に保つことができる。また、前記冷媒用の配管204の熱通過率を、例えば、従来の100Kcal/m・h・℃程度から500(Kcal/m・h・℃)以上に改善することもでき、前記冷水の生成効率を高めることができる。しかも、水が冷媒用配管204の部分を接触しながら流通しているために、コイルまわり等の冷水機内部に着氷を生じさせることもなく、冷水機200内の水の全量を所定温度の冷水にすることができる。
【0044】
そして、冷水機200において生成された冷水は、冷水パイプ207を通じて除湿塔100に送られ、噴射ノズル104より充填材103の上方より注がれる。同時に、前記除湿塔100においては、例えば、乾燥庫等から送出される乾燥対象の空気が流送用ダクト106を介して前記筒状ケース101内の下部に送り込まれ、前記充填材103の下方部から上部に向けて流通通過せしめられ、該充填材103の部分を通過する間に、該部分を流下する冷水と接触することにより除湿され、低温除湿空気となり、上部の送出用ダクト107により乾燥庫等に向かって送出される。
【0045】
また、除湿塔100において生じる温水(例えば14℃の温水)は、除湿塔100下部の水貯留部105及び温水移動装置300に一旦貯留されるとともに、温水移動装置300内の水中ポンプ303の作動により適宜冷水機200に戻されて、冷水生成に繰り返し利用される。
【0046】
図2は、本発明の冷水機を備える冷水式除湿装置の第2の実施例を示しており、上記した第1の実施例と同構成部分には、同符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0047】
この第2の実施例においては、前記筒時用ケース内に前記充部材103を収容し、前記冷水機200から給送される冷水を前記充填材103の上部から注ぐとともに、筒状ケース101内の前記充填材103の下方部から上部に向けて除湿対象の空気を送って除湿空気を生成する、上記と同様の構成よりなる二つの除湿塔100−1,100−2を、空気流送径路に沿って直列状に連結装備してなるものである。そのため、前記冷水機200から冷水を送る冷水パイプ207はその途中で二つの経路に分岐して、それぞれ絞り弁208及び圧力計209を介して両除湿塔100−1,100−2の各筒状ケース101内の上部空間に配置した噴射ノズル104に接続されている。また、乾燥庫等からの空気の流送用ダクト106が接続された第1の除湿塔100−1(図2の紙面左方側)の筒状ケース101内上部空間に接続された流送用ダクト116が、第2の除湿塔100−2の筒状ケース101内の水貯留部を形成する下部空間に接続されており、前記第1の除湿塔100−1で除湿処理された空気、第2の除湿塔100−2で除湿処理して上部の送出用ダクト107から送出するように構成されている。両除湿塔100−1,100−2の水貯留部105は、それぞれ前記温水移動装置300とパイプ302により連通せしめられている。他の構成は上記した第1の実施例と同じである。
【0048】
この実施例の場合、個々の除湿塔100−1、100−2の高さを低く設定して、しかも二つの除湿塔100−1、100−2で連続して除湿処理するので、低高型であっても充分な処理能力を確保できることになる。
【0049】
なお、上記した実施例の冷水式除湿装置においては、温水移動装置300を除湿塔100と冷水機200との間に並列して設置した場合を示したが、冷水機200の高さが除湿塔100に比して低く設定できることから、前記温水移動装置300を後述する図3の例のように、冷水機200の下部、特に筒状外壁201の底部下方に一体的に設定して実施することもできる。
【0050】
上記した冷水式除湿装置は、乾燥庫と組み合わせて乾燥機を設備構成するのに使用するものであり、この場合、除湿塔100に接続される除湿対象となる空気の流入側の流送用ダクト106及び除湿処理済み空気の送出用ダクト107を、それぞれ乾燥庫と直接接続して設置することも可能ではあるが、実施上は、前記除湿塔100から送出される除湿処理後の空気を空気加熱装置により所定の温度に加熱して前記乾燥庫内に戻すように接続構成するのがよい。
【0051】
図3は、前記冷水式除湿装置及び空気加熱装置を備える本発明に係る乾燥機の1実施例の概略構成を示し、図4は同上の空気加熱装置部分を拡大して示している。
【0052】
この実施例の乾燥機において、冷水式除湿装置の各構成、すなわち除湿塔100、冷水機200及び温水移動装置300の基本的な各構成並びに機能や働きは上記したとおりである。ただし、図3では、前記除湿塔100で生じた温水を冷水機200に戻すための温水移動装置300が冷水機200の下部に一体的に設けられている。
【0053】
図3において、900は乾燥庫、400は空気加熱装置である。乾燥庫900には、庫内の空気を送出側に設けた循環用送風機901及び該送風機901から庫内の内奥側に延びた循環用ダクト902が設けられており、庫内の空気を送出側から吸引して内奥側に戻送して吹き出すことにより、内奥側から出口側に向かって送風を与えて庫内での乾燥効果を高めるようになっている。この乾燥庫900の送出側の端壁部に、前記冷水式除湿装置における除湿塔100の下部に接続される空気の流送用ダクト106が接続され、乾燥庫900内の一部の空気(除湿対象の湿気を含んだ空気)を前記除湿塔100に送り込めるようになっている。図の場合は、前記乾燥庫900から除湿塔100に至る流送用ダクト106に送風機110が設けられており、該送風機110により前記空気を流送し除湿塔100に送り込むようになっている。903は乾燥対象物を載置しておくための載置棚を備える乾燥用台車であり、乾燥対象物の種類に応じて種々の構成形態をなすものである。
【0054】
前記空気加熱装置400は、前記除湿塔100の除湿処理後の空気の送出用ダクト107による送出経路の一部に設けられており、前記除湿塔100から送出用ダクト107により送出される除湿処理後の空気を加熱して乾燥庫900に戻すように設けられる。
【0055】
前記空気加熱装置400は、水熱源ヒートポンプ式の空気加熱器よりなるものである。具体的には、前記冷水機200における熱交換用の冷媒を利用する水熱源ヒートポンプの加熱器として作用する凝縮器402を本体401の内部に備えるとともに、該本体内部への空気入口側に風量調整可能な空気送風機403が設けられてなり、前記除湿塔100から送出される空気を加熱器としての前記凝縮器402の部分を通過させることにより、該凝縮器402の加熱コイル(図示省略)の熱交換作用により所定の温度に加熱できるようになっている。図の場合、前記凝縮器402を通過した空気の一部を前記流送用ダクト107に戻す循環用ダクト404が設けられており、通過する空気が予め設定した所定の温度になるように、一部の空気を循環させて凝縮器402を繰り返し通過させながら加熱できるように構成されている。
【0056】
また、前記空気加熱装置として、冷水機200における水熱源ヒートポンプ式の加熱器としての凝縮器402を利用するために、冷水機200で使用する冷媒が、冷水機200を通過した後、コンプレッサー230を経て圧縮された後、前記空気加熱装置400における加熱器としての凝縮器402に送られ、ここで加熱対象の空気と熱交換されてから、放熱器としての凝縮器240に送られ、放熱後に再び電磁弁211及び膨張弁212を経て前記冷水機200内に循環給送されるように構成されている。
【0057】
前記空気加熱装置400からの送出用ダクト407は、前記乾燥庫900の循環用ダクト902に接続され、該送出用ダクト407により送られる加熱後の空気が前記循環用ダクト902内で循環空気と合流して庫内の内奥側に給出されるようになっている。
【0058】
図中の905は前記乾燥庫900内の出口側の温度を検出する温度センサ、420は温度設定が可能な温調計、421は前記空気送風機403の駆動モータ(図示せず)の制御用インバータであり、前記温度センサ905による乾燥庫900の出口側の検出温度と、予め前記温調計420に入力した設定温度によって決まる信号を前記インバータ421に与え、該インバータ421からの制御信号により、前記空気送風機403の回転を制御して送風量を変化させて、前記凝縮器402の加熱コイルから奪う熱量を変化させ、加熱温度を設定した温度になるように調整できるようになっている。これにより、所望の温度の加熱空気を得ることができる。
【0059】
上記した構成の乾燥機によれば、乾燥庫900内では循環用送風機901により庫内の空気が内奥側から送出側に向かって循環送風されており、この空気の一部が、流送用ダクト106を通って除湿塔100に流入し、上述したように該除湿塔100内を通過する間に冷水と接触して除湿される。そして、前記除湿塔100において除湿処理された後の低温除湿空気は、送出用ダクト107を通って空気送風機403から空気加熱装置400に流入する。この空気加熱装置400においては、前記空気がヒートポンプの加熱器としての凝縮器402を通過することにより、該凝縮器402の熱を奪う熱交換作用により加熱される。特に、前記空気の一部を前記循環用ダクト404により循環させて繰り返し凝縮器402を通過させることにより、乾燥処理に適するように設定した所定の温度に加熱され、例えば10〜28℃程度に加熱された除湿空気が得られる。こうして加熱された空気は、送出用ダクト407を経て乾燥庫900に戻され、循環用ダクト902内において循環空気と合流して庫内の内奥側に給出される。
【0060】
前記乾燥庫900内では、前記のように除湿空気と合流した循環空気が庫内の内奥側から送出側に向かって循環送風されており、この循環送風の効果と前記除湿空気の合流による低湿化の効果とが相俟って、乾燥用台車903上の乾燥対象物を効率よく除湿乾燥できることになる。特に、この乾燥機は、魚等の水産物、材木、素麺、皮革、農産物その他の各種物品の除湿乾燥処理に好適に利用できる。
【0061】
図5は、前記実施例の乾燥機による除湿乾燥時における風量バランスを説明する図であり、同図中の括弧内の数値は、それぞれの部分の風量比の1例を示している。前記乾燥庫900の循環送風機901の風量、乾燥庫900からの空気の流送用ダクト106に備える送風機110の風量、及び空気加熱装置400の空気送風機403の風量を、例えば図5中の数値のような風量比に設定して実施すればよい。
【0062】
図6は、前記冷水式除湿装置及び空気加熱装置を備える本発明に係る乾燥機の他の実施例の概略構成を示し、図7は同上の空気加熱装置の部分を拡大して示している。
【0063】
この実施例の乾燥機においては、空気加熱装置の部分を除く構成、例えば冷水式除湿装置の除湿塔100や冷水機200、及び乾燥庫900等の構成は、上記した図1の冷水式除湿装置の実施例、並びに図3及び図4に示す実施例の場合と実質的に同様であるので、同構成部分に同符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0064】
この実施例において、前記除湿塔100の除湿処理後の空気の送出用ダクト107による送出経路の一部に設けられている空気加熱装置500は、灯油焚き、ガス焚き、或いはバイオマス等による燃料焚き方式の空気加熱装置よりなるもので、本体501の内部に燃焼部を構成する内筒502を備えるとともに、本体501の内部への空気入口側に風量調整可能な空気送風機503が設けられてなり、前記除湿塔100から送出される空気を前記内筒502に接触通過させることにより所定の温度に加熱した後、送出用ダクト507により乾燥庫900の循環用ダクト902に戻すように設けられている。前記内筒502には必要に応じて通気穴が形成される。なお、燃料としては、灯油やガスの他に、プラスチック、ゴム、廃油、食品工業廃棄物その他の可燃性の産業廃棄物を使用することもできる。
【0065】
図6及び図7の場合、前記送出用ダクト507から分岐して前記空気送風機503より上流の送出用ダクト107に至る循環用ダクト504が設けられており、前記本体501を通過した空気が予め設定した所定の温度になるように、一部の空気を循環させて前記本体501内に繰り返し通過させながら加熱できるように構成されている。
【0066】
図中の505は燃焼用のバーナを示し、燃料用配管506により供給される灯油やガス等の燃料を燃焼させて火炎を前記内筒502内に吹き込むように設けられている。508は前記燃料用配管506に設けた電磁弁であり、前記バーナ505への燃料供給のための開閉及び供給量を調整できるように設けられている。520は温度設定が可能な温調計であり、前記乾燥庫900内の出口側に設けた温度センサ905による検出温度と、予め前記温調計520に入力した設定温度によって決まる信号により、前記電磁弁508を開閉して前記バーナ505への燃料供給を制御するように設けられている。521は前記空気送風機503の駆動モータ(図示せず)の制御用インバータであり、前記温調計520に入力した設定温度によって決まる信号を受けて、該インバータ521から前記空気送風機503の駆動モータに制御信号を送り、該空気送風機503の回転を制御して送風量を変化させるように設けられている。すなわち、前記バーナ505の燃焼状態の制御と、空気送風機503による送風量の調整により、設定した温度に任意の温度に加熱できることになり、特には上記した水熱源ヒートポンプ式の空気加熱器を利用する場合よりも高温の加熱空気を得ることができるようになっている。図中の509は煙突である。
【0067】
この実施例の乾燥機による乾燥処理においては、乾燥庫900内の空気の一部が流送用ダクト106を通って除湿塔100に流入し、該除湿塔100で冷水と接触して除湿されるとともに、除湿処理後の低温除湿空気が送出用ダクト107を通って空気送風機503により空気加熱装置500の本体501内に流入せしめられ、該本体501内において、バーナ505による燃料焚きにより加熱されている内筒502と接触しながら通過することにより所定の温度に加熱される。特に、前記空気の一部が循環用ダクト504により循環させて繰り返し前記本体501内を通過して内筒502と接触することにより、乾燥処理に適するように設定した所定の温度に加熱され、例えば50〜80℃程度の比較的高温にまで加熱された除湿空気が得られる。この加熱空気は送出用ダクト507を経て乾燥庫900に戻され、循環用ダクト902内において循環空気と合流して庫内の内奥側に給出される。
【0068】
前記乾燥庫900内では、前記の加熱された除湿空気と合流した循環空気が庫内の内奥側から送出側に向かって循環送風されて、乾燥用台車903上の乾燥対象物が効率よく除湿乾燥される。特に、この乾燥機は、乾燥庫内の乾燥対象物等の必要に応じて、高温の加熱除湿空気を得ることができるため、特に、大気の温度の影響を受け難いもので、かつ乾燥時間を短縮したい場合に好適に利用でき、各種水産物、材木、農産物、皮革等の除湿乾燥に適用できる。
【0069】
図8は、前記実施例の乾燥機による除湿乾燥時における風量バランスを説明する図であり、同図中の括弧内の数値は、それぞれの部分の風量比の1例を示している。
【0070】
図9は、上記した実施例の乾燥機、例えば図6に示す燃料焚き式の空気加熱装置500を備える乾燥機が、特に木材乾燥用の乾燥庫900を備えてなる場合において、該乾燥庫900から除湿塔100に至る空気流送経路の一部に、乾燥庫900から送出される空気を冷却して空気中の樹木抽出成分(例えば、ヒノキチオール等)を凝縮し回収する樹木抽出成分回収塔600を備える乾燥機の実施例を示している。
【0071】
この実施例において、前記樹木抽出成分回収塔600の構成部分を除く他の構成、例えば冷水式除湿装置の除湿塔100や冷水機200の構成、並びに空気加熱装置500や乾燥庫900の構成については、上記した図6に示す実施例の場合と実質的に同様であるので、同構成部分に同符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0072】
この実施例の前記樹木抽出成分回収塔600は、乾燥庫900から除湿塔100に至る空気の流送経路において、冷水式除湿装置の冷水機200の冷水を利用するように設けられており、次のように構成されている。
【0073】
前記樹木抽出成分回収塔600は、図9のように、上下が閉塞された冷却室を形成する筒状本体601の内側に内筒602を備えるとともに、前記冷水機200から冷水パイプ207を通じて除湿塔100に送られる冷水の一部を利用するように、前記冷水パイプ207に連結された冷水用の配管604が、前記筒状本体601と前記内筒602との間の間隙603において上下一方側から他方側に向かって螺旋状に巻回して配置され、前記内筒602の上下一方端(図の場合は下端)に接続されている。前記内筒602の他方端には冷水を前記冷水機200に戻すための戻しパイプ605が設けられている。これにより、冷水機200で生成される冷水の一部を前記配管604の螺旋状部分及び内筒602に循環供給されるように構成されている。207aは前記冷水パイプ207の前記除湿塔100に至る後半部分を示す。
【0074】
前記筒状本体601の上部には、乾燥庫900内から送出される空気の流送用ダクト106aが筒状本体601への入り口部に備える送風機606を介して接続されている。また、前記筒状本体601の下部における前記内筒602より下方位置には、該筒状本体601内の前記間隙603を通過した空気を除湿塔100の下部における水貯留部105の液面より上部の空間に流送するための流送用ダクト106bが連接されている。これにより、前記乾燥庫900内から送出される空気を、前記筒状本体601内の上部から下部に向かって前記間隙603の部分を冷水用配管604に接触させて冷却しながら通過させることにより、空気中の樹木抽出成分を凝縮して抽出できるように構成されており、かつ前記抽出後の空気を前記除湿塔100に送り込むように構成されている。607は前記筒状本体601の底板608に有する回収口609より滴下する樹木抽出成分の回収用の貯留槽である。
【0075】
図9の場合、前記筒状本体601より上流側の流送用ダクト106aと下流側の流送用ダクト106bとの間には、循環用の流路610が設けられており、前記筒状本体601を通過した空気の一部を筒状本体601に戻して再通過させるようになっており、これによりヒノキチオール等の樹木抽出成分の凝縮率を高めることができるようになっている。
【0076】
この乾燥機の場合、乾燥庫900内において、上記した乾燥機の場合と同様にして木材の除湿乾燥が行われるとともに、乾燥庫900内の空気の一部が流送用ダクト106a及び送風機606により前記筒状本体601内に送り込まれて、該筒状本体601と内筒602との間の間隙603を通過して除湿塔100に送られる。前記間隙603には、冷水機200で生成される冷水が流通する冷水用の配管604が螺旋状に配され、かつ内筒602内にも冷水が流通しているため、前記空気は前記間隙603を通過する間に前記冷水用の配管604に接触して冷却されて、空気中の樹木抽出成分が抽出され回収される。樹木抽出成分回収後の空気は、除湿塔100に送られて上記同様に除湿された後、空気加熱装置500を通過して所定温度に加熱されて乾燥庫900に戻される。これにより、木材の除湿乾燥と同時に、樹木抽出成分回収塔600において樹木抽出成分(ヒノキチオール等)を効率よく抽出でき回収できることになる。
【0077】
なお、図3に示す水熱源ヒートポンプ式の空気加熱装置400を備える乾燥機の場合にも、上記と同様に、乾燥庫900から除湿塔100に至る空気流送経路の一部に、樹木抽出成分回収塔600を設けて実施することができる。
【0078】
また、上記した乾燥機各実施例においては、水熱源ヒートポンプ式の空気加熱装置400、或いは燃料焚き方式の空気加熱装置500を使用する場合を示したが、本発明の燥機における空気加熱装置としては、前記の燃料焚き方式の空気加熱装置に代えて、例えば、乾燥機の近くに併設されている蒸気源(ボイラー等)、高温排ガス源を利用するように構成して実施することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の冷水機、冷水式除湿装置及び乾燥機は、魚等の水産物及びその加工品、野菜や果実等の農産物、素麺等の各種加工食品、材木、皮革その他の各種物品の除湿、乾燥をするための乾燥機に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る冷水機を使用する冷水式除湿装置の第1の実施例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に係る冷水機を使用する冷水式除湿装置の第2の実施例を示す概略説明図である。
【図3】空気加熱装置を備える本発明に係る乾燥機の1実施例を示す概略図である。
【図4】同上の空気加熱装置部分の拡大図である。
【図5】同上乾燥機の風量バランスの説明図である。
【図6】空気加熱装置を備える本発明に係る乾燥機の他の実施例を示す概略図である。
【図7】同上の空気加熱装置部分の拡大図である。
【図8】同上乾燥機の風量バランスの説明図である。
【図9】樹木抽出成分回収塔を備える乾燥機の実施例を示す該略図である。
【符号の説明】
【0081】
100;100−1,100−2…除湿塔、101…筒状ケース、102…底部、103…充填材、104…噴射ノズル、105…水貯留部、106;106a,106b…流送用ダクト、107…送出用ダクト、116…流送用ダクト、200…冷水機、201…筒状内壁、202…筒状内壁、203…間隙、204…冷媒用の配管、205…循環水路、206…水循環ポンプ、207…冷水パイプ、208…絞り弁、220…温調計、221…温度センサ、222…インバータ、230…コンプレッサー、240…凝縮器、300…温水移動装置、301…タンク本体、302…パイプ、303…水中ポンプ、304…レベルスイッチ、305…給送パイプ、306…逆止弁、400…空気加熱装置、401…本体、402…凝縮器、403…空気送風機、404…循環用ダクト、407…送出用ダクト、420…温調計、421…制御用インバータ、500…空気加熱装置、501…本体、502…内筒、503…空気送風機、504…循環用ダクト、505…燃焼用のバーナ、506…燃料用配管、507…送出用ダクト、508…電磁弁、520…温調計、521…制御用インバータ、600…樹木抽出成分回収塔、601…筒状本体、602…内筒、603…間隙、604…冷水用の配管、605…戻しパイプ、606…送風機、607…樹木抽出成分の回収用の貯留槽、608…底板、609…回収口、610…循環用の流路、900…乾燥庫、901…循環用送風機、902…循環用ダクト、903…乾燥用台車、905…温度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する筒状外壁の内側に上下一方端が閉塞された筒状内壁を備える二重壁構造をなし、前記筒状内壁と前記筒状外壁との間の間隙に冷媒用の配管が螺旋状に巻回して配置され、該配管に熱交換用の冷媒を供給するとともに、前記内外壁間の間隙に上下一方側から水を流通させることにより所定温度の冷水を生成し、生成された冷水の一部を給出できることを特徴とする冷水機。
【請求項2】
前記筒状内壁の内側における前記閉塞端部の近傍で水を吸引し、前記筒状外壁の外部を回って該筒状外壁内に入り前記筒状内壁の前記閉塞端部の外側中央から送出する循環水路が設けられるとともに、該循環水路の一部に水循環ポンプが設けられており、該ポンプにより水を所定の速度で前記間隙内を流通させて循環させるとともに、該循環水路から分岐した水路により循環する冷水の一部を給出できる請求項1に記載の冷水機。
【請求項3】
空気/冷水接触用の充填材を収容した筒状ケース内の上部より冷水を注ぐとともに、下部から上部に向けて除湿対象の空気を送ることにより除湿空気を生成する除湿塔と、前記除湿塔に注ぐ冷水を得るための冷水機として前記請求項1又は2に記載の冷水機を組み合わせてなる冷水式除湿装置であって、
前記除湿塔と前記冷水機とを並立状に設置するとともに、該除湿塔と冷水機との間に、除湿塔で生じる温水を冷水機に送る温水移動装置を設けてなることを特徴とする冷水式除湿装置。
【請求項4】
前記充填材を収容した筒状ケース内の上部より前記冷水機から給送される冷水を注ぐとともに、該筒状ケース内の下部から上部に向けて除湿対象の空気を送って除湿空気を生成する二つの除湿塔を、空気流送経路に沿って直列状に連結装備し、除湿対象の空気を順次各除湿塔に送って除湿するように設けてなる請求項3に記載の冷水式除湿装置。
【請求項5】
前記除湿塔と冷水機との組合せからなる請求項3又は4に記載の冷水式除湿装置を備える乾燥機であって、
乾燥庫内の空気出口から送出される空気の一部を前記除湿塔の下部に送り、該除湿塔で除湿されて送出される低温の空気を、空気送風機により空気加熱装置を通過させて所定の温度に加熱して前記乾燥庫内に戻すように接続構成してなることを特徴とする乾燥機。
【請求項6】
前記除湿塔と前記乾燥庫との間に備える前記空気加熱装置は、前記冷水機における熱交換用の冷媒を利用する水熱源ヒートポンプ式の空気加熱器よりなり、該加熱器を備える本体内部への空気入口側に風量調整可能な空気送風機が設けられ、除湿塔から送出される空気を前記加熱器の部分を通過させて加熱して乾燥庫に戻すように設けられてなる請求項5に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記除湿塔と前記乾燥庫との間に備える前記空気加熱装置が、燃料焚き方式の空気加熱装置よりなり、本体内部に燃焼部を構成する内筒を備えるとともに、本体内部への空気入口側に風量調整可能な空気送風機が設けられ、除湿塔から送出される空気を前記内筒に接触通過させて加熱して乾燥庫に戻すように設けられてなる請求項5に記載の乾燥機。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の乾燥機において、木材乾燥用の乾燥庫を備えてなり、該乾燥庫から除湿塔に至る空気流送経路の一部に、冷水式除湿装置の冷水機から除湿塔に送られる冷水の一部を利用して、乾燥庫から送出される空気を冷却して空気中に含まれる樹木抽出成分を凝縮し回収する樹木抽出成分回収塔を備えてなることを特徴とする乾燥機。
【請求項9】
前記樹木抽出成分回収塔は、冷却室を形成する筒状本体の内側に、内筒を備えるとともに、前記筒状本体と前記内筒との間の間隙において上下一方側から他方側に向かって螺旋状に巻回して配置された冷水用の配管が前記内筒に連続して設けられており、前記冷水機から送られる冷水の一部を前記内筒及び配管に循環供給するとともに、前記乾燥庫内から送出される空気を、前記筒状本体内の前記内筒との間隙に上下一方側から流通させることにより、空気中の樹木抽出成分を凝縮し回収するように設けられてなる請求項8に記載の乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−240066(P2007−240066A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63364(P2006−63364)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(501017729)株式会社芝村熱利用開発 (1)
【出願人】(593168260)株式会社安良田工業所 (1)
【Fターム(参考)】