説明

処理装置、処理方法、コンピュータプログラムおよび記憶媒体

【課題】被処理体へ悪影響を及ぼすことなく、被処理体を連続して処理する際におけるスループットを向上させること。
【解決手段】処理装置は、延長可能液処理機構40,45と、一の被処理体と他の被処理体を順次取り扱う共有取扱部10と、を備えている。処理装置は、リンス液処理工程と、共有取扱工程と、を有するレシピを算出するレシピ算出部51も備えている。レシピ算出部51は、共有取扱部10が一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と共有取扱部10が他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理体を処理する処理装置と、当該処理装置を用いた処理方法と、当該処理方法を実行させるコンピュータプログラムと、当該コンピュータプログラムを格納した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被処理体である複数のウエハ(以下、ウエハ群とも呼ぶ)を、薬液が貯留された薬液槽やリンス液が貯留されたリンス液槽に順次浸漬させることにより、ウエハの各々に付着した汚染物を除去して洗浄する方法が知られている。そして、ウエハ群を薬液槽とリンス液槽で順次浸漬させるためには、搬送機構が利用されている(例えば、特許文献1参照)。そして、このような特許文献1では、当該搬送機構が、ウエハ群を順次取り扱う共有取扱部として機能している。
【特許文献1】特開2002−118086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数のウエハ群を連続して処理する場合においては、一のウエハ群で搬送機構(共有取扱部)を用いているときには、他のウエハ群を搬送機構(共有取扱部)によって搬送させることができない。このため、一のウエハ群で搬送機構を用いていないときに、他のウエハ群で搬送機構を用いるようレシピを組む必要があるが、レシピの内容によっては、他のウエハ群で搬送機構を利用できる時間を確保することができず、結果的には、他のウエハ群のレシピを大幅に遅らせる必要がある。
【0004】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、被処理体へ悪影響を及ぼすことなく、被処理体を連続して処理する際におけるスループットを向上させることができる処理装置、処理方法、コンピュータプログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による処理装置は、
被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理機構と、
一の被処理体と他の被処理体を順次取り扱う共有取扱部と、
前記延長可能液処理機構で前記被処理体を処理する延長可能液処理工程と、前記共有取扱部で前記被処理体を取り扱う共有取扱工程と、を有するレシピを算出するレシピ算出部と、を備え、
前記レシピ算出部が、前記共有取扱部が一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と該共有取扱部が他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする。
【0006】
本発明による処理装置において、
前記被処理体を薬液で処理する薬液処理機構をさらに備え、
前記レシピ算出部の算出するレシピは、前記薬液処理機構で前記被処理体を処理する薬液処理工程をさらに有することが好ましい。
【0007】
本発明による処理装置において、
前記延長可能液処理機構は、延長可能液であるリンス液によって前記被処理体を処理するリンス液処理機構を有することが好ましい。
【0008】
本発明による処理装置において、
前記延長可能液処理機構は、延長可能液である剥離液によって前記被処理体を処理する剥離液処理機構を有することが好ましい。
【0009】
本発明による処理装置において、
前記共有取扱部は、前記薬液処理機構にオゾン水を供給するオゾン水供給部を有することが好ましい。
【0010】
本発明による処理装置において、
前記共有取扱部は、前記リンス液処理機構にオゾン水を供給するオゾン水供給部を有することが好ましい。
【0011】
本発明による処理装置において、
前記共有取扱部は、前記リンス液処理機構に加熱した純水を供給する加熱DIW供給部を有することが好ましい。
【0012】
本発明による処理装置において、
前記共有取扱部は、前記被処理体を移動させる搬送機構を有することが好ましい。
【0013】
本発明による処理装置において、
前記延長可能液処理機構は、複数の延長可能液処理部からなり、
各延長可能液処理部で延長された時間の合計が、共有取扱工程をシフトさせた時間と等しくなることが好ましい。
【0014】
本発明による処理方法は、
延長可能液処理機構によって、前記被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理工程と、
共有取扱部で一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と、
前記一の共有取扱工程の後で行われ、前記共有取扱部で他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程と、を備え、
一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする。
【0015】
本発明によるコンピュータプログラムは、
延長可能液処理機構および共有取扱部を有する処理装置に処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
前記処理方法が、
前記延長可能液処理機構によって、前記被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理工程と、
前記共有取扱部で一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と、
前記一の共有取扱工程の後で行われ、前記共有取扱部で他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程と、を備え、
一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする方法からなっている。
【0016】
本発明による記憶媒体は、
延長可能液処理機構および共有取扱部を有する処理装置に処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
前記処理方法が、
前記延長可能液処理機構によって、前記被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理工程と、
前記共有取扱部で一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と、
前記一の共有取扱工程の後で行われ、前記共有取扱部で他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程と、を備え、
一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする方法からなっている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、共有取扱部が一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と当該共有取扱部が他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする。このため、被処理体へ悪影響を及ぼすことなく、被処理体を連続して処理する際におけるスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る処理装置、処理方法、コンピュータプログラムおよび記憶媒体の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図3(a)(b)は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0019】
図1に示すように、処理装置は、筐体1と、筐体1内に設けられ、複数のウエハ(以下、ウエハ群とも呼ぶ)が収納されているキャリア(図示せず)を搬入出するためのキャリア搬入出部(図示せず)と、当該キャリア搬入出部からキャリアを受け取って保管するキャリアストック部(図示せず)と、処理するときにキャリアストック部に保管されたウエハ群が移動されるキャリア搬入出ステージ3と、当該キャリア搬入出ステージ3からウエハ群を取り出す第一搬送機構5と、当該第一搬送機構5からウエハ群を受け取るローダ部21と、を備えている。このうち、キャリア搬入出ステージ3は、第一搬送機構5が接近すると開状態となり、第一搬送機構5が離れると閉状態となるキャリア搬入扉3aを有している。
【0020】
また、図1に示すように、処理装置は、第一薬液でウエハを処理する第一薬液処理部30と、第二薬液でウエハを処理する第二薬液処理部35とを有する薬液処理機構と、第一リンス液でウエハを処理する第一リンス液処理部40と、第二リンス液でウエハを処理する第二リンス液処理部45とを有するリンス液処理機構と、を備えている。
【0021】
このうち、第一薬液処理部30は、第一薬液を貯留した第一薬液槽31と、後述する第二搬送機構10からウエハ群を受け取って第一薬液槽31内にウエハ群を搬送する第一薬液昇降機構32とを有している。また、第二薬液処理部35は、第二薬液を貯留した第二薬液槽36と、第二搬送機構10からウエハ群を受け取って第二薬液槽36内にウエハ群を搬送する第二薬液昇降機構37とを有している。
【0022】
また、第一リンス液処理部40は、第一リンス液を貯留した第一リンス液槽41と、第二搬送機構10からウエハ群を受け取って第一リンス液槽41内にウエハ群を搬送する第一リンス液昇降機構42とを有している。また、第二リンス液処理部45は、第二リンス液を貯留した第二リンス液槽46と、第二搬送機構10からウエハ群を受け取って第二リンス液槽46内にウエハ群を搬送する第二リンス液昇降機構47とを有している。
【0023】
ところで、本願において薬液とは、後述する剥離液を除くエッチング液などを意味しており、薬液としては、例えば、濃厚フッ酸、希フッ酸、アンモニア過水(SC1)、塩酸過水(SC2)、リン酸などを用いることができる。他方、リンス液としては、例えば、純水(DIW)、オゾン水などを用いることができる。この点、本実施の形態では、第一薬液として希フッ酸を用い、第二薬液としてSC1を用い、第一リンス液および第二リンス液として純水を用いた態様によって、以下説明する。
【0024】
図1に示すように、処理装置は、第二リンス液処理部45に隣接した位置に設けられ、ウエハを乾燥させる乾燥部60と、第一薬液処理部30に隣接した位置に設けられ、後述する第二搬送機構(搬送機構)10を洗浄する搬送機構洗浄部65と、を備えている。
【0025】
なお、本実施の形態の乾燥部60は、図1に示すように、第三リンス液(本実施の形態では純水)を収容する第三リンス液槽61と、当該第三リンス液槽61の上方に設けられた乾燥室63と、第三リンス液槽61と乾燥室63との間に開閉自在に設けられたシャッタ(図示せず)と、第三リンス液槽61と乾燥室63との間を昇降する乾燥昇降機構62と、を有している。また、乾燥室63には、IPAなどの乾燥液を供給する乾燥液供給部(図示せず)と、Nなどの不活性ガスを供給する不活性ガス供給部(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、図1に示すように、処理装置は、ローダ部21に載置されたウエハ群を当該ローダ部21から持ち上げるとともに、搬送機構洗浄部65、第一薬液処理部30、第一リンス液処理部40、第二薬液処理部35、第二リンス液処理部45および乾燥部60間で、当該ウエハ群を移動させる第二搬送機構(搬送機構)10を備えている。なお、本実施の形態では、この第二搬送機構10が、一のウエハ群と他のウエハ群を順次取り扱う共有取扱部を構成している。
【0027】
また、図1に示すように、処理装置は、乾燥部60で乾燥された後のウエハ群を、第二搬送機構10から受け取るアンローダ部22も備えている。なお、このアンローダ部22に載置されたウエハ群は、第一搬送機構5によって持ち上げられて、キャリア搬入出ステージ3へと搬送されるように構成されている。
【0028】
ところで、本実施の形態において、後述する処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムが記憶媒体52に格納されている(図1参照)。そして、処理装置は、記憶媒体52を受け付けるコンピュータ55と、当該コンピュータ55からの信号を受けて、処理装置自身を制御する制御装置50とを備えている。このため、記憶媒体52をコンピュータ55に挿入する(または取り付ける)ことで、制御装置50によって、後述する一連の液処理方法を液処理装置に実行させることができる。なお、本願において記憶媒体52とは、CD,DVD,MD,ハードディスク、RAMなどを意味している。
【0029】
また、制御装置50は、後述する、ローダ載置工程a1,b1,c1、第一薬液搬送工程a2,b2,c2、第一薬液処理工程a3,b3,c3、第一リンス液搬送工程a4,b4,c4、第一リンス液処理工程a5,b5,c5、第二薬液搬送工程a6,b6,c6、第二薬液処理工程a7,b7,c7、第二リンス液搬送工程a8,b8,c8、第二リンス液処理工程a9,b9,c9、乾燥搬送工程a10,b10,c10、第三リンス液処理工程a11,b11,c11、乾燥処理工程a12,b12,c12およびアンローダ載置工程a13,b13,c13を有するレシピを算出するレシピ算出部51を有している(図1および図3(a)(b)参照)。
【0030】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0031】
まず、第一搬送機構5がキャリア搬入出ステージ3に接近し、キャリア搬入扉3aが開状態となる。その後、第一搬送機構5によって、キャリア搬入出ステージ3内に載置されたウエハ群(例えば25枚のウエハ)が取り出された後で、キャリア搬入扉3aが閉状態となる(図1参照)。
【0032】
次に、第一搬送機構5が、ローダ部21に向かって90°回転されつつ、ウエハ群をその面が鉛直方向に延在するように回転させる。その後、面が鉛直方向に延在した状態のウエハがローダ部21に載置される(図1参照)。
【0033】
次に、上述した工程を再度繰り返して、さらに複数(例えば25枚)のウエハをローダ部21に載置させる。このとき、先に載置させたウエハと今回載置させるウエハとは、入れ子状に載置されることとなり、ウエハがキャリアに収納されていたピッチの1/2のピッチからなるウエハ群が形成される(ローダ載置工程a1,b1,c1)(図3(a)(b)参照)。
【0034】
次に、第二搬送機構10によって、複数(例えば50枚)のウエハからなるウエハ群(一の被処理体)は、ローダ部21から持ち上げられ、その後、第一薬液処理部30まで搬送される(第一薬液搬送工程a2,b2,c2)(図2の(1)と、図3(a)(b)参照)。そして、当該第一薬液処理部30において、第一薬液昇降機構32によって、ウエハ群が第二搬送機構10から受け取られ、第一薬液槽31内に搬送される(図1参照)。このことによって、ウエハ群は、希フッ酸(第一薬液)によって処理されることとなる(第一薬液処理工程a3,b3,c3)(図3(a)(b)参照)。
【0035】
次に、第一薬液昇降機構32によって、ウエハ群が上昇され、第一薬液槽31内から搬出される。そして、第二搬送機構10によって、ウエハ群が第一薬液昇降機構32から受け取られ、第一リンス液処理部40に搬送される(第一リンス液搬送工程a4,b4,c4)(図2の(2)と、図3(a)(b)参照)。
【0036】
次に、第一リンス液処理部40において、第一リンス液昇降機構42によって、ウエハ群が第二搬送機構10から受け取られ、第一リンス液槽41内に搬送される(図1参照)。このことによって、ウエハ群は、純水(第一リンス液)によって処理されることとなる(第一リンス液処理工程a5,b5,c5)(図3(a)(b)参照)。
【0037】
次に、第一リンス液昇降機構42によって、ウエハ群が上昇され、第一リンス液槽41内から搬出される。そして、第二搬送機構10によって、ウエハ群が第一リンス液昇降機構42から受け取られ、第二薬液処理部35に搬送される(第二薬液搬送工程a6,b6,c6)(図2の(3)と、図3(a)(b)参照)。
【0038】
次に、第二薬液処理部35において、第二薬液昇降機構37によって、ウエハ群が第二搬送機構10から受け取られ、第二薬液槽36内に搬送される。このことによって、ウエハ群は、SC1(第二薬液)によって処理されることとなる(第二薬液処理工程a7,b7,c7)(図3(a)(b)参照)。
【0039】
次に、第二薬液昇降機構37によって、ウエハ群が上昇され、第二薬液槽36内から搬出される。そして、第二搬送機構10によって、ウエハ群が第二薬液昇降機構37から受け取られ、第二リンス液処理部45に搬送される(第二リンス液搬送工程a8,b8,c8)(図2の(4)と、図3(a)(b)参照)。
【0040】
次に、第二リンス液処理部45において、第二リンス液昇降機構47によって、ウエハ群が第二搬送機構10から受け取られ、第二リンス液槽46内に搬送される。このことによって、ウエハ群は、純水(第二リンス液)によって処理されることとなる(第二リンス液処理工程a9,b9,c9)(図3(a)(b)参照)。
【0041】
次に、第二リンス液昇降機構47によって、ウエハ群が上昇され、第二リンス液槽46内から搬出される。そして、第二搬送機構10によって、ウエハ群が第二リンス液昇降機構47から受け取られ、乾燥部60に搬送される(乾燥搬送工程a10,b10,c10)(図2の(5)と、図3(a)(b)参照)。
【0042】
次に、乾燥部60において、乾燥昇降機構62によって、ウエハ群が第二搬送機構10から受け取られ、第三リンス液槽61内に搬送される。このことによって、ウエハ群は、純水(第三リンス液)によって処理されることとなる(第三リンス液処理工程)。
【0043】
次に、乾燥昇降機構62によってウエハ群が上昇される。そして、上昇されたウエハ群に、IPAなどの乾燥液が供給された後で、Nなどの不活性ガスが供給され、当該ウエハ群は乾燥される(乾燥工程)。なお、本実施の形態では、以下、上述の第三リンス液処理工程と乾燥工程とを合わせて乾燥処理工程a11,b11,c11と呼ぶ(図3(a)(b)参照)。
【0044】
次に、第二搬送機構10によって、ウエハ群が乾燥昇降機構62から受け取られ、当該ウエハ群はアンローダ部22に搬送され(アンローダ搬送工程a12,b12,c12)、当該アンローダ部22に載置される(アンローダ載置工程a13,b13,c13)(図2の(6)と、図3(a)(b)参照)。その後、ウエハ群は、第一搬送機構5によって持ち上げられて、キャリア搬入出ステージ3へと搬送される。他方、第二搬送機構10からアンローダ部22にウエハ群が受け渡されると、第二搬送機構10はローダ部21に移動される(図2の(7)参照)。
【0045】
上述したような一連の工程は、次に処理されるウエハ群(他の被処理体)にも施される。そして、スループットを高めるために、先に処理されるウエハ群(一の被処理体)を処理する工程と、次に処理されるウエハ群(他の被処理体)を処理する工程は、合間を縫って行われる。
【0046】
このことについて、以下具体的に説明するが、説明のため、先に処理されるウエハ群(一番目のウエハ群)に施される工程には、「工程」の前に「先」を付け、次に処理されるウエハ群(二番目のウエハ群)に施される工程には、「工程」の前に「中」を付け、さらにその後に処理されるウエハ群(三番目のウエハ群)に施される工程には「工程」の前に「後」を付けて説明する。
【0047】
すなわち、先に処理されるウエハ群(一番目のウエハ群)には、ローダ載置先工程a1、第一薬液搬送先工程a2、第一薬液処理先工程a3、第一リンス液搬送先工程a4、第一リンス液処理先工程a5、第二薬液搬送先工程a6、第二薬液処理先工程a7、第二リンス液搬送先工程a8、第二リンス液処理先工程a9、乾燥搬送先工程a10、乾燥処理先工程a11、アンローダ搬送先工程a12およびアンローダ載置先工程a13が順次行われる。
【0048】
また、次に処理されるウエハ群(二番目のウエハ群)には、ローダ載置中工程b1、第一薬液搬送中工程b2、第一薬液処理中工程b3、第一リンス液搬送中工程b4、第一リンス液処理中工程b5、第二薬液搬送中工程b6、第二薬液処理中工程b7、第二リンス液搬送中工程b8、第二リンス液処理中工程b9、乾燥搬送中工程b10、乾燥処理中工程b11、アンローダ搬送中工程b12およびアンローダ載置中工程b13が順次行われる。
【0049】
さらに、その後に処理されるウエハ群(三番目のウエハ群)には、ローダ載置後工程c1、第一薬液搬送後工程c2、第一薬液処理後工程c3、第一リンス液搬送後工程c4、第一リンス液処理後工程c5、第二薬液搬送後工程c6、第二薬液処理後工程c7、第二リンス液搬送後工程c8、第二リンス液処理後工程c9、乾燥搬送後工程c10、乾燥処理後工程c11、アンローダ搬送後工程c12およびアンローダ載置後工程c13が順次行われる。
【0050】
ところで、レシピ算出部51が、(各工程をシフトさせたり延長させたりせずに)既に決められたレシピを、同じ部材(特に第二搬送機構10)の利用時間が重複しないように組み合わせると、図3(a)に示すようになる。
【0051】
ここでは、まず、一番目のウエハ群についてのレシピが決定される。次に、二番目のウエハ群について、搬送先工程a2,a4,a6,a8,a10,a12(以下、搬送先工程a2−a12と示す)と搬送中工程b2,b4,b6,b8,b10,b12(以下、搬送中工程b2−b12と示す)が時間的に重複しないようにレシピが決定される。最後に、三番目のウエハ群について、搬送先工程a2−a12と搬送中工程b2−b12と搬送後工程c2,c4,c6,c8,c10,c12(以下、搬送後工程c2−c12と示す)が時間的に重複しないようにレシピが決定される。
【0052】
このように、図3(a)に示す態様では、レシピ内に含まれる工程をシフトさせたり延長させたりせずに、三番目のウエハ群のレシピ全体を時間的に後にシフトさせている。このため、三番目のウエハ群を処理する時間が大幅に遅れてしまい、ウエハ群を連続して処理する際におけるスループットが悪くなる。
【0053】
これに対して、本実施の形態によるレシピ算出部51は、第二搬送機構10が一の被処理体を取り扱う一の搬送工程と、当該第二搬送機構10が他の被処理体を取り扱う他の搬送工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についてのリンス液処理工程を延長し、かつ、リンス液処理工程を延長した分だけ当該リンス液処理工程よりも時間的に後方に位置する他の搬送工程をシフトさせることによって、一の搬送工程と他の搬送工程とが時間的に重複しないようにする。
【0054】
より具体的に図3(b)に示した態様で説明すると、レシピ算出部51は、まず、一番目のウエハ群についてのレシピを決定する。
【0055】
次に、レシピ算出部51は、二番目のウエハ群について、搬送先工程a2−a12と搬送中工程b2−b12が時間的に重複しないようにレシピを決定する。このとき、第一リンス液処理中工程b5以降に行われる搬送中工程b6,b8,b10,b12をずらすことで、二番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くなる場合には、第一リンス液処理中工程b5を延長し、かつ、搬送中工程b6,b8,b10,b12をシフトさせる。
【0056】
なお、ずらされる搬送中工程が第二リンス液処理中工程b9以降に行われる場合(ずらされる搬送中工程が搬送中工程b10,b12の場合)には、第一リンス液処理中工程b5ではなく第二リンス液処理中工程b9を延長してもよいし、第一リンス液処理中工程b5と第二リンス液処理中工程b9の両方を延長してもよい。ここで、第一リンス液処理中工程b5と第二リンス液処理中工程b9の両方が延長される際には、第一リンス液処理中工程b5と第二リンス液処理中工程b9で延長された時間の合計は、搬送中工程b6,b8,b10,b12をシフトさせた時間と等しくなる。
【0057】
この点、本実施の形態では、第一リンス液処理中工程b5以降に行われる搬送中工程b6,b8,b10,b12をずらすことで、二番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くならないことから、レシピ算出部51は、レシピ内に含まれる工程をシフトさせたり延長させたりせずに、搬送先工程a2−a12と搬送中工程b2―b12が時間的に重複しないように決定されたレシピを算出することとなる。
【0058】
次に、レシピ算出部51は、三番目のウエハ群について、搬送先工程a2−a12と搬送中工程b2―b12と搬送後工程c2―c12が時間的に重複しないようにレシピを決定する。このとき、第一リンス液処理後工程c5以降に行われる搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらすことで、三番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くなる場合には、第一リンス液処理後工程c5を延長し、かつ、搬送後工程c6,c8,c10,c12をシフトさせる。
【0059】
なお、ずらされる搬送後工程が第二リンス液処理後工程c9以降に行われる場合(ずらされる搬送後工程が搬送後工程c10,c12の場合)には、第一リンス液処理後工程c5ではなく第二リンス液処理後工程c9を延長してもよいし、第一リンス液処理後工程c5と第二リンス液処理後工程c9の両方を延長してもよい。ここで、第一リンス液処理後工程c5と第二リンス液処理後工程c9の両方が延長される際には、第一リンス液処理後工程c5と第二リンス液処理後工程c9で延長された時間の合計は、搬送工程をシフトさせた時間と等しくなる。
【0060】
本実施の形態では、第一リンス液処理後工程c5以降に行われる搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらすことで、三番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くなることから、レシピ算出部51は、例えば図3(b)に示すように、第一リンス液処理後工程c5をE1だけ延長し、かつ、第二薬液搬送後工程c6と当該薬液搬送後工程c6より後の工程をずらすレシピを算出することとなる。
【0061】
このため、本実施の形態によれば、三番目のウエハ群のレシピ全体を時間的に後にシフトさせた場合(図3(a)参照)と比較して、連続してウエハ群を処理する際におけるスループットを向上させることができる(図3(b)参照)。
【0062】
すなわち、レシピ内に含まれる工程をシフトさせたり延長させたりせずに既に決まったレシピを組み合わせるだけでは、どうしても搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12で重複部分が発生してしまうため、レシピ全体を後にずらす必要が出てきてしまい、連続してウエハ群を処理する場合でのスループットが悪くなってしまう。これに対して、本実施の形態のように、レシピ内に含まれる搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12を適宜シフトさせることによって、第二搬送機構10が利用されていない時間を有効に用いることができ、連続してウエハ群を処理する場合でのスループットを向上させることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態では延長する工程がリンス液処理工程(より具体的には第一リンス液処理後工程c5)からなっているので、延長することによるウエハへの悪影響を防止することができる。すなわち、例えば薬液処理工程c3,c7の時間を延長する場合には、薬液によって各ウエハがオーバーエッチングされるおそれがあるが、リンス液に予定時間よりも長時間浸されていたとしても各ウエハにはこのような悪影響が出ることはない。
【0064】
ところで、本実施の形態では、リンス液を供給するリンス液処理部40,45を用いて説明したが、これに限られることなく、リンス液処理部40,45の代わりに、薬液を供給した後でリンス液を供給するPOU槽を用いてもよい。このようなPOU槽でも、ウエハは、最終的にはリンス液で処理されることとなるので、オーバーエッチングされるおそれはない。
【0065】
また、上記の態様において、第二搬送機構10は、搬送機構洗浄部65によって、適宜洗浄されてもよい。
【0066】
すなわち、第二搬送機構10は、第一薬液搬送工程a2,b2,c2(図2の(1)参照)と第一リンス液搬送工程a4,b4,c4(図2の(2)参照)の間、第一リンス液搬送工程a4,b4,c4(図2の(2)参照)と第二薬液搬送工程a6,b6,c6(図2の(3)参照)の間、第二薬液搬送工程a6,b6,c6(図2の(3)参照)と第二リンス液搬送工程a8,b8,c8(図2の(4)参照)の間、第二リンス液搬送工程a8,b8,c8(図2の(4)参照)と乾燥搬送工程a10,b10,c10(図2の(5)参照)の間、乾燥搬送工程a10,b10,c10(図2の(5)参照)とアンローダ載置工程a13,b13,c13(図2の(6)参照)の間、および、アンローダ載置工程a13,b13,c13(図2の(6)参照)とウエハ群がローダ部21に移動される工程(図2の(7)参照)の間の各々において、必要に応じて適宜、搬送機構洗浄部65まで移動され、当該搬送機構洗浄部65で洗浄された後で、元の位置に戻ってきてもよい。
【0067】
なお、上記では、第一リンス液処理工程a5,b5,c5と第二リンス液処理後工程a9,b9,c9を延長してもよい旨述べたが、これに限られることなく、例えば、第三リンス液処理工程、乾燥工程、または、第三リンス液処理工程と乾燥工程の両方を延長する態様を用いることもできる。このうち、乾燥工程を延長する場合には、ウエハ群への影響が少ないことから、IPAなどの乾燥液を供給する工程を延長するよりもNなどの不活性ガスを供給する工程を延長する方が好ましい。
【0068】
第2の実施の形態
次に、図4および図5(a)(b)により、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4および図5(a)(b)に示す第2の実施の形態は、第一リンス液処理部40と第二リンス液処理部45にオゾン水を供給するオゾン水供給部71をさらに備えたものであり、当該オゾン水供給部71も第二搬送機構10と同様に共有取扱部を構成するものである。その他の構成は図1乃至図3(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0069】
図4および図5(a)(b)に示す第2の実施の形態において、図1乃至図3(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
本実施の形態では、第一リンス液処理部40でウエハを処理している間と、第二リンス液処理部45でウエハを処理している間の両方で、オゾン水供給部71が用いられる。このため、搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12同士だけでなく、第一リンス液処理工程a5,b5,c5と第二リンス液処理工程a9,b9,c9も時間的に重複しないように調整される(図5(a)(b)で点線で示したa9’,b9’,c9’参照)。
【0071】
レシピ算出部51が、(各工程をシフトさせたり延長させたりせずに)既に決められたレシピを、同じ部材(特に、第二搬送機構10、第一リンス液処理部40および第二リンス液処理部45)の利用時間が重複しないように組み合わせると、図5(a)に示すようになる。
【0072】
ここでは、まず、一番目のウエハ群についてのレシピが決定される。次に、二番目のウエハ群について、搬送工程a2−a12,b2−b12同士と、第一リンス液処理工程a5,b5および第二リンス液処理工程a9,b9同士が時間的に重複しないようにレシピが決定される。最後に、三番目のウエハ群について、搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12同士と、第一リンス液処理工程a5,b5,c5および第二リンス液処理工程a9,b9,c9同士が時間的に重複しないようにレシピが決定される。
【0073】
このように、図5(a)に示す態様では、レシピ内に含まれる工程をシフトさせたり延長させたりせずに、三番目のウエハ群のレシピ全体を時間的に後にシフトさせている。このため、三番目のウエハ群を処理する時間が大幅に遅れてしまい、ウエハ群を連続して処理する際におけるスループットが悪くなる。
【0074】
これに対して、本実施の形態によるレシピ算出部51は、第二搬送機構10が一の被処理体を取り扱う一の搬送工程と、当該第二搬送機構10が他の被処理体を取り扱う他の搬送工程とが時間的に重複する場合、または、オゾン水供給部71が一の被処理体を取り扱う一の第一リンス液処理工程および一の第二リンス液処理工程と、当該第二搬送機構10が他の被処理体を取り扱う他の第一リンス液処理工程および他の第二リンス液処理工程とが時間的に重複する場合には、他の被処理体についてのリンス液処理工程を延長し、かつ、リンス液処理工程を延長した分だけ当該リンス液処理工程よりも時間的に後方に位置する他の搬送工程をシフトさせることによって、搬送工程同士と、第一リンス液処理工程および第二リンス液処理工程同士が、時間的に重複しないようにする。
【0075】
より具体的に図5(b)に示した態様で説明すると、レシピ算出部51は、まず、一番目のウエハ群についてのレシピを決定する。
【0076】
次に、レシピ算出部51は、二番目のウエハ群について、搬送工程a2−a12,b2−b12同士と、第一リンス液処理工程a5,b5および第二リンス液処理工程a9,b9同士が、時間的に重複しないようにレシピを決定する。このとき、第一リンス液処理中工程b5以降に行われる搬送中工程をずらすことで、二番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くなる場合には、第一リンス液処理中工程b5を延長し、かつ、搬送中工程b6,b8,b10,b12をシフトさせる。
【0077】
なお、ずらされる搬送中工程が第二リンス液処理中工程b9以降に行われる場合(ずらされる搬送中工程が搬送中工程b10,b12の場合)には、第一リンス液処理中工程b5ではなく第二リンス液処理中工程b9を延長してもよいし、第一リンス液処理中工程b5と第二リンス液処理中工程b9の両方を延長してもよい。ここで、第一リンス液処理中工程b5と第二リンス液処理中工程b9の両方が延長される際には、第一リンス液処理中工程b5と第二リンス液処理中工程b9で延長された時間の合計は、搬送工程をシフトさせた時間と等しくなる。
【0078】
本実施の形態では、第一リンス液処理後工程c5以降に行われる搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらすことで、二番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くなることから、レシピ算出部51は、例えば図5(b)に示すように、第一リンス液処理後工程c5をE2だけ延長し、かつ、第二薬液搬送後工程c6と当該薬液搬送後工程c6より後の工程をずらすレシピを算出することとなる。
【0079】
次に、レシピ算出部51は、三番目のウエハ群について、搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12同士と、第一リンス液処理工程a5,b5,c5および第二リンス液処理工程a9,b9,c9同士が時間的に重複しないようにレシピを決定する。このとき、第一リンス液処理後工程c5以降に行われる搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらすことで、三番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くなる場合には、第一リンス液処理後工程c5を延長し、かつ、搬送後工程c6,c8,c10,c12をシフトさせる。
【0080】
なお、ずらされる搬送後工程が第二リンス液処理後工程c9以降に行われる場合(ずらされる搬送後工程が搬送後工程c10,c12の場合)には、第一リンス液処理後工程c5ではなく第二リンス液処理後工程c9を延長してもよいし、第一リンス液処理後工程c5と第二リンス液処理後工程c9の両方を延長してもよい。ここで、第一リンス液処理後工程c5と第二リンス液処理後工程c9の両方が延長される際には、第一リンス液処理後工程c5と第二リンス液処理後工程c9で延長された時間の合計は、搬送工程をシフトさせた時間と等しくなる。
【0081】
この点、本実施の形態では、リンス液処理後工程c5,c9以降に行われる搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらすことで、(ずらさない場合と比較して)三番目のウエハ群について処理の終了する時間が早くならないことから、レシピ算出部51は、レシピ内に含まれる工程をシフトさせたり延長させたりせずに、搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12同士と、第一リンス液処理工程a5,b5,c5および第二リンス液処理工程a9,b9,c9同士が時間的に重複しないように決定されたレシピを算出することとなる。
【0082】
上述のように、本実施の形態では、二番目のウエハ群についての処理を時間的に前方にずらすことができるので、ウエハ群を連続して処理する際におけるスループットを向上させることができる(図5(a)(b)参照)。さらに、本実施の形態でも延長する工程がリンス液処理工程からなっているので、延長することによるウエハへの悪影響を防止することができる。
【0083】
ところで、本実施の形態では、第一リンス液処理部40でウエハを処理している間と、第二リンス液処理部45でウエハを処理している間の両方で、オゾン水供給部71が用いられる態様を用いて説明したが、これに限られることはない。例えば、第一リンス液処理部40でウエハを処理している間と、第二リンス液処理部45でウエハを処理している間と、第三リンス液処理部61でウエハを処理している間の全てでオゾン水供給部71が用いられる態様であっても良い。
【0084】
この場合には、第二搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12同士と、第一リンス液処理工程a5,b5,c5、第二リンス液処理工程a9,b9,c9および第三リンス液処理工程同士とが時間的に重複しないように、リンス液処理中工程b5,b9を延長するとともに、搬送中工程b6,b8,b10,b12をずらしたり、リンス液処理後工程c5,c9を延長するとともに、搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらしたりすることとなる。
【0085】
また、オゾン水を薬液に混ぜて利用することもできる。この場合にも、第一薬液処理工程a3,b3,c3同士(第一薬液処理部30でオゾン水を利用する場合)、第二薬液処理工程a7,b7,c7同士(第二薬液処理部35でオゾン水を利用する場合)、または、第一薬液処理工程a3,b3,c3および第二薬液処理工程a7,b7,c7同士(第一薬液処理部30と第二薬液処理部35の両方でオゾン水を利用する場合)が時間的に重複しないように、リンス液処理中工程b5,b9を延長するとともに、搬送中工程b6,b8,b10,b12をずらしたり、リンス液処理後工程c5,c9を延長するとともに、搬送後工程c6,c8,c10,c12をずらしたりすることとなる。
【0086】
第3の実施の形態
次に、図6により、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6に示す第3の実施の形態は、第一リンス液処理部40と第二リンス液処理部45にオゾン水を供給するオゾン水供給部71の代わりに、第一リンス液処理部40と第二リンス液処理部45に加熱した純水を供給する加熱DIW供給部72を設けたものであり、当該加熱DIW供給部72が第二搬送機構10と同様に共有取扱部を構成するものである。その他の構成は図4および図5に示す第2の実施の形態と略同一である。
【0087】
図6に示す第3の実施の形態において、図1乃至図3(a)(b)に示す第1の実施の形態および図4および図5に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
本実施の形態では、第一リンス液処理部40でウエハを処理している間と、第二リンス液処理部45でウエハを処理している間の両方で、加熱DIW供給部72が用いられる。このため、第2の実施の形態と同様、搬送工程a2−a12,b2−b12,c2−c12同士だけでなく、第一リンス液処理工程a5,b5,c5と第二リンス液処理工程a9,b9,c9も時間的に重複しないように調整される。
【0089】
このため、本実施の形態でも、第2の実施の形態で述べた内容と同様の作用効果を奏することができ、ウエハへ悪影響を及ぼすことなく、ウエハ群を連続して処理する際におけるスループットを向上させることができる。
【0090】
第4の実施の形態
次に、図7により、本発明の第4の実施の形態について説明する。図7に示す第4の実施の形態は、剥離液によってウエハ群を処理する剥離液処理機構80をさらに備えたものである。本実施の形態において、剥離液処理機構80は、リンス液処理部40,45とともに延長可能液処理機構を構成する。その他の構成は図1乃至図3(a)(b)に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0091】
図7に示す第4の実施の形態において、図1乃至図3(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
本実施の形態では、複数のウエハ群がローダ部21上に載置されているローダ載置工程a1,b1,c1と、ローダ部21から持ち上げられたウエハ群が第一薬液処理部30まで搬送される第一薬液搬送工程a2,b2,c2との間で、剥離液処理機構80の剥離液によってウエハ群が処理されることとなる(剥離液処理工程)。なお、剥離液処理機構80は、剥離液を貯留した剥離液槽81と、第二搬送機構10からウエハ群を受け取って剥離液槽81内にウエハ群を搬送する剥離液昇降機構82とを有している。
【0093】
このような剥離液においては、剥離される対象物が決まっているので、予定時間よりも長時間浸されていたとしても、ウエハがオーバーエッチングされるようなことはない。このため、リンス液処理部40,45だけでなく、剥離液処理機構80においても処理工程を延長することができる。
【0094】
このため、レシピ算出部51は、第二搬送機構10が一の被処理体を取り扱う一の搬送工程と、当該第二搬送機構10が他の被処理体を取り扱う他の搬送工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体について、剥離液処理工程を延長し、かつ、剥離液処理工程を延長した分だけ当該剥離液処理工程よりも時間的に後方に位置する他の搬送工程をシフトさせるか、または、リンス液処理工程を延長し、かつ、リンス液処理工程を延長した分だけ当該リンス液処理工程よりも時間的に後方に位置する他の搬送工程をシフトさせることによって、一の搬送工程と他の搬送工程とが時間的に重複しないようにする。
【0095】
このため、本実施の形態でも、ウエハへ悪影響を及ぼすことなく、ウエハ群を連続して処理する際におけるスループットを向上させることができる。なお、本実施の形態では、剥離液処理工程が、第一薬液搬送工程よりも時間的に前に行われるので、シフトさせることができる搬送工程の対象が、第1の実施の形態と比較して多くなっている点で有益である。すなわち、第1の実施の形態では、シフトさせることができる搬送工程は、第二薬液搬送工程b6,c6以降の搬送工程であるのに対して、本実施の形態によれば、シフトさせることができる搬送工程は、第一薬液搬送工程b2,c2以降の搬送工程となっており、第一薬液搬送工程b2,c2および第一リンス液搬送中工程b4,c4もシフトさせることができる点で、第1の実施の形態と比較して有益である。
【0096】
なお、本実施の形態の剥離液としては、例えばHSOとHの混合液であるSPMやHSOとOの混合液であるSPOMなどを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態による処理装置の構成を示す概略図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による処理装置による処理方法を説明するための概略図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による処理装置のレシピ算出部によって算出されるレシピを示した図。
【図4】本発明の第2の実施の形態による処理装置の構成を示す概略図。
【図5】本発明の第2の実施の形態による処理装置のレシピ算出部によって算出されるレシピを示した図。
【図6】本発明の第3の実施の形態による処理装置の構成を示す概略図。
【図7】本発明の第4の実施の形態による処理装置の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0098】
3 キャリア搬入出部
5 第一搬送機構
10 第二搬送機構(搬送機構)
30 第一薬液処理部
31 第一薬液槽
32 第一薬液昇降機構
35 第二薬液処理部
36 第二薬液槽
37 第二薬液昇降機構
40 第一リンス液処理部
41 第一リンス液槽
42 第一リンス液昇降機構
45 第二リンス液処理部
46 第二リンス液槽
47 第二リンス液昇降機構
50 制御装置
51 レシピ算出部
52 記憶媒体
55 コンピュータ
60 乾燥部
71 オゾン水供給部
72 加熱DIW供給部
80 剥離液処理機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理機構と、
一の被処理体と他の被処理体を順次取り扱う共有取扱部と、
前記延長可能液処理機構で前記被処理体を処理する延長可能液処理工程と、前記共有取扱部で前記被処理体を取り扱う共有取扱工程と、を有するレシピを算出するレシピ算出部と、を備え、
前記レシピ算出部は、前記共有取扱部が一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と該共有取扱部が他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにすることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記被処理体を薬液で処理する薬液処理機構をさらに備え、
前記レシピ算出部の算出するレシピは、前記薬液処理機構で前記被処理体を処理する薬液処理工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記延長可能液処理機構は、延長可能液であるリンス液によって前記被処理体を処理するリンス液処理機構を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項4】
前記延長可能液処理機構は、延長可能液である剥離液によって前記被処理体を処理する剥離液処理機構を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記共有取扱部は、前記薬液処理機構にオゾン水を供給するオゾン水供給部を有することを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記共有取扱部は、前記リンス液処理機構にオゾン水を供給するオゾン水供給部を有することを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項7】
前記共有取扱部は、前記リンス液処理機構に加熱した純水を供給する加熱DIW供給部を有することを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項8】
前記共有取扱部は、前記被処理体を移動させる搬送機構を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
前記延長可能液処理機構は、複数の延長可能液処理部からなり、
各延長可能液処理部で延長された時間の合計が、共有取扱工程をシフトさせた時間と等しくなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項10】
延長可能液処理機構によって、前記被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理工程と、
共有取扱部で一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と、
前記一の共有取扱工程の後で行われ、前記共有取扱部で他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程と、を備え、
一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにすることを特徴とする処理方法。
【請求項11】
延長可能液処理機構および共有取扱部を有する処理装置に処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
前記処理方法は、
前記延長可能液処理機構によって、前記被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理工程と、
前記共有取扱部で一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と、
前記一の共有取扱工程の後で行われ、前記共有取扱部で他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程と、を備え、
一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする方法からなることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
延長可能液処理機構および共有取扱部を有する処理装置に処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
前記処理方法は、
前記延長可能液処理機構によって、前記被処理体を延長可能液で処理する延長可能液処理工程と、
前記共有取扱部で一の被処理体を取り扱う一の共有取扱工程と、
前記一の共有取扱工程の後で行われ、前記共有取扱部で他の被処理体を取り扱う他の共有取扱工程と、を備え、
一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複する場合に、他の被処理体についての延長可能液処理工程を延長し、かつ、延長可能液処理工程を延長した分だけ他の共有取扱工程をシフトさせることによって、一の共有取扱工程と他の共有取扱工程とが時間的に重複しないようにする方法からなることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−153732(P2010−153732A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332795(P2008−332795)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】