説明

制御装置及び制御方法

【課題】シフトレバーの操作位置、及びアクセルペダルの操作量の情報に基づいて動力源を駆動して走行させる制御装置
【解決手段】車両に備わる警告部を制御する制御装置であって、シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶する記憶部10cと、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせる制御部と、を備える制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレバーの操作位置、及びアクセルペダルの操作量の情報に基づいて動力源を駆動して走行させる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、手動操作可能なシフトレバーが備えられ、例えば、シフトレバーの操作によるレンジの選択位置は、パーキングP(駐車)、リバースR(後進)、ニュートラルN(中立)、ドライブD(前進)などが設けられている。
【0003】
例えば、運転者がシフトレバー操作時、及び運転中に目線を大きく動かさずとも、シフトレバーの操作によって選択したレンジの種類及びギア段の数字等を視覚的に認識できるように、車両前方のインストルメントパネルやシフトレバーの側面などに表示部を設けてレンジの選択位置が表示されるように構成されている。
【0004】
特許文献1には、自動変速機付き車両の表示装置において、インスツルメントパネル内のスペース効率を向上させ、製造コストの高騰を回避すると共に、運転者の視認性を向上させることが可能な表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−273111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1は、インスツルメントパネル内のスペース効率を向上させて、運転者の視認性を向上させる表示装置であり、現在のシフトレバーの選択位置を示す以外の情報は有していない。
【0007】
しかし、エンジンのみを走行駆動力として走行する従来の車両では、アクセルペダルが操作された場合に、アクセルペダルの操作量に応じたエンジンの駆動音の変化によって、運転者がアクセルペダルの操作量を認識することができるが、前述した電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車など、モータを動力源として駆動する車両では、アクセルペダルが操作されていても駆動音が小さい、或いは駆動音がしないために運転者がアクセルペダルの操作量を認識することができない可能性がある。
【0008】
アクセルペダルが操作されていても駆動音が小さい、或いは駆動音がしないような動力源を駆動する車両において、シフトレバーの操作位置がニュートラルの状態でアクセルペダルが操作され、アクセルペダルの操作量が維持されたままシフトレバーがドライブの状態に切替えられると、アクセルペダルの操作量に応じた、運転者の意図しない速度で車両が急発進する虞がある。
【0009】
シフトレバーの操作位置がパーキング(駐車)の状態から、他のシフトポジションに切替えるには、不用意なシフトレバーの操作による車両の急発進を回避するために、ブレーキペダルを操作したままのシフトレバー操作が必要なために、上述した車両が急発進する虞は生じない。
【0010】
しかし、運転者が信号待ちで停車してシフトレバーをニュートラルに切替え、車両の発進の際に、ブレーキペダルとアクセルペダルを誤認してアクセルペダルを操作してシフトレバーをドライブに切替え場合等には、車両が急発進して大事故につながる虞があり、非常に危険である。
【0011】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、シフトレバーがニュートラルの状態で、且つアクセルペダルが操作されても、車両の急発進を回避することができる制御装置及び制御方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明による充電制御システムの特徴構成は、車両に備わる警告部を制御する制御装置であって、シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせる制御部とを備えている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、シフトレバーの操作位置がニュートラルの状態で、且つアクセルペダルが操作されると、運転者に警告することにより、運転者が誤ってアクセルペダルを操作したままシフトレバーをニュートラルからドライブに変更して発進した場合であっても、車両が急発進する虞を回避して安全に走行することが出来るようになる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明した通り、本発明によれば、シフトレバーがニュートラルの状態で、且つアクセルペダルが操作されても、車両の急発進を回避することができる制御装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による車両の一例として示されるハイブリッド車の全体構成図
【図2】(a)表示部1の説明図、(b)表示部2の説明図
【図3】本発明の実施形態によるHV−ECUの入出力関係図
【図4】シフトレバー操作位置、アクセルペダル操作量及び発報処理の関係図
【図5】HV−ECUにより実行される発報処理を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による制御装置及び制御方法をハイブリッド車に適用する場合を例として説明する。
【0017】
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、「HV車」と記す。)は、動力源としてエンジン100、第1MG(Motor Generator)110、第2MG(Motor Generator)120を備え、アクセルペダル操作量検知部としてアクセルペダルの操作量を検知するアクセルポジションセンサを備えている。
【0018】
HV車は、エンジン100及び第2MG120の少なくとも一方からの駆動力によって走行可能なように、エンジン100、第1MG110及び第2MG120が動力分割機構130に連結され、動力分割機構130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含み、ピニオンギヤがサンギヤ及びリングギヤと係合する遊星歯車機構で構成されている。
【0019】
ピニオンギヤを自転可能に支持するキャリアがエンジン100のクランクシャフトに連結され、サンギヤが第1MG110の回転軸に連結され、リングギヤが第2MG120の回転軸及び減速機140に連結され、エンジン100、第1MG110、及び第2MG120の回転数が共線図上に直線で結ばれるように関係付けられている。
【0020】
高圧の蓄電装置150は車両の後部に設置され、充放電可能な直流電源であり、例えばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池で構成されている。蓄電装置150の出力電圧は、例えば288Vに設定されている。
【0021】
尚、蓄電装置150は、第1MG110及び第2MG120による発電電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を第2MG120へ供給可能な電力バッファであればその構成が制限されるものではなく、蓄電装置150の配置についても限定はしない。
【0022】
HV車には、車両のシステムスイッチとして機能する電源スイッチと、シフトレバーと、シフトレバーの操作位置(以降、「シフトレバー位置」と記す。)を検知するシフトレバー位置検知部を備えている。電源スイッチが操作され、車両のシステムが起動することによって、運転者によるシフトレバーの操作が可能となる。
【0023】
尚、電源スイッチは、モーメンタリスイッチまたはオルタネートスイッチの何れの型式のスイッチであってもよく、モーメンタリスイッチを用いる場合には、HV−ECU10が現在の状態をフラグデータとしてRAMに保持し、そのスイッチの操作エッジでオンされたのかオフされたのかをフラグデータに基づいて判断すればよい。また、従来のキーシリンダにキーを挿入して回転操作する機械接点式のスイッチであってもよい。
【0024】
図2(a),(b)、図3に示すように、本発明に係る表示部の一つである表示部1は、車内に備えられたシフトレバーの例えば、右側に設けられ、同じく表示部の一つである表示部2は、車両前方のインストルメントパネルに設けられ、シフトレバー操作時、または運転中に運転者が表示を容易に認識できるような位置に表示されている。尚、各表示部1及び2の配置については、運転者が容易に認識できる配置であればよく、特に限定はしない。
【0025】
図2(a)に示すように、表示部1には、シフトレバーのレンジ数に対応したLEDが組み込まれ、例えば、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態で、「ニュートラル(N)」を示すLED5が点灯されることにより現在のシフトレバー位置を運転者に認識させる。
【0026】
図2(b)に示すように、表示部2は、シフトレバーの各レンジの配置に対応した複数の表示ブロックで構成され、例えば、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態で、「ニュートラル(N)」を示す表示ブロック5が点灯されることにより現在のシフトレバー位置を運転者に認識させる。
【0027】
運転者は、シフトレバーの操作により、「パーキング(P)」3、「リバース(R)」4、「ニュートラル(N)」5、「ドライブ(D)」6および「ブレーキ(B)」7の何れかを選択できる。
【0028】
シフトレバー位置検知部から出力されるシフトレバー位置を示す信号であるシフトレバーの操作信号は、車両のシステムを統括して制御するハイブリッドビーグルECU(以下、「HV−ECU」と記す。)10に入力される。尚、ECUとは、電子制御装置(Electric-Control-Unit;以下、「ECU」と記す。)を意味している。
【0029】
HV車には、複数のECUが備えられ、HV−ECU10を含めた各ECUは、CPUと、CPUで実行されるプログラムが格納されたROMと、制御情報が格納されたCPUのワーキングエリアとして使用されるRAMと、入出力回路とを備えた構成となっている。
【0030】
複数のECUは、各ECUに必要な制御情報が送受信可能に構成され、HV−ECU10、エンジンECU(以下、「ENG−ECU」と記す。)11及びモータECU(以下、「MG−ECU」と記す。)12などの各ECU間では、各種の制御情報を授受するバス型ネットワークであるCAN(Controller Area Network)により相互に接続され、メータECU15やディスプレイECU(以下、「DSP−ECU」と記す。)16は、BEAN(Body Electronics Area Network)により相互に接続され、前述したCANとBEANとがゲートウェイECUを介して接続されている。
【0031】
HV−ECU10は、シフトレバーの操作信号が入力されると、当該操作信号に基づいて、シフトレバーの操作位置をHV−ECU10に備えられた記憶部(RAM)10cに記憶する。
【0032】
シフトレバーが「パーキング(P)」3の状態では、車両の停車状態が維持され、「リバース(R)」4の状態では後進走行、「ニュートラル(N)」5の状態では駆動輪160への動力を遮断してモータの駆動を停止し、「ドライブ(D)」6の状態では前進走行するように制御され、「ブレーキ(B)」7の状態では前進走行中にエンジンブレーキが作動する構成となっている。
【0033】
例えば、シフトレバー位置が「ドライブ(D)」6の状態でアクセルペダルが操作されると、HV−ECU10は、アクセルペダル操作量検知部から入力されたアクセルペダルの操作量を記憶部に記憶する。
【0034】
HV−ECU10は、記憶部に記憶されたアクセルペダルの操作量に基づいて、エンジン出力及びモータトルクを算出し、算出されたエンジン出力及びモータトルクを実現するために必要なパワーをENG−ECU11及びMG−ECU12に要求する。
【0035】
ENG−ECU11は、HV−ECU10からの制御指令に基づいてエンジン100を駆動制御する。
【0036】
MG−ECU12は、HV−ECU10からのアクセルペダルの操作量などに応じた制御指令に基づき、インバータを制御し、第1MG110、第2MG120を駆動制御する。
【0037】
HV−ECU10は、ENG−ECU11及びMG−ECU12に制御を実行するとともに、メータECU15にシフトレバー位置の情報を出力して表示部に表示し、また、DSP−ECU16に各動力源の駆動情報を出力して表示部に表示する。
【0038】
メータECU15は、各種の情報を運転席前部の表示部であるインストルメントパネルに表示し、例えば、ネットワークを介して入力された各ECUから受信した制御情報または故障情報などを表示する。
【0039】
DSP−ECU16は、ナビゲーションシステムを制御し、ナビゲーションシステムには、地図情報、GPSで得られる車両位置情報等に基づいて目的地までの走行経路を表示または設定操作するためのタッチパネルや、走行経路を車内に音声通知するスピーカなどを備えた操作表示部や、発報音で使用される電子音などの音源をスピーカに出力する音出力部を備え、さらに操作表示部に表示される地図情報や操作表示部を介して得られた操作情報を記憶するためのハードディスクやメモリ等の記憶媒体を備えている。
【0040】
さらに、シフトレバー位置が「リバース(R)」4、及び「ブレーキ(B)」7の状態でアクセルペダルが操作されると、HV−ECU10は、上述と同様の制御によって、「リバース(R)」4の状態では後進走行を実行し、「ブレーキ(B)」7の状態では前進走行中にエンジンブレーキを作動させて走行処理を実行する。
【0041】
つまり、HV−ECU10は、記憶部に記憶されたシフトレバーの操作位置、及びアクセルペダルの操作量の情報に基づいて、シフトレバーの操作位置がパーキングとニュートラル以外の場合に動力源を駆動する走行処理を実行するのである。
【0042】
動力源を駆動する走行処理には、モータのみを動力源として駆動して走行するモータ走行モードと、エンジン100のみ、或いはエンジン100とモータを併用した動力源として走行するエンジン走行モードの何れかの走行モードが設定される。
【0043】
HV−ECU10は、高圧の蓄電装置150からローカル信号で出力される負荷電流と電圧及び蓄電装置150の温度をモニタして、蓄電装置150の充電状態(以下、「SOC(State Of Charge)」と記す。)を監視し、当該SOCを記憶部であるRAMに記憶するように構成されている。
【0044】
HV−ECU10は、高圧の蓄電装置150のSOCが所定範囲内にあるときに、MG−ECU12を介して、高圧の蓄電装置150に備えられた電力または第一MG110により発電された電力の少なくとも一方を用いて第二MG120を駆動し、エンジン100の動力をアシストするようにENG−ECU11及びMG−ECU12を制御する。尚、第2MG120の駆動力は、減速機140を介して駆動輪160に伝達される。
【0045】
HV−ECU10は、高圧の蓄電装置150のSOCが予め定められた値よりも低いと判定すると、ENG−ECU11を介してエンジン100を始動し、動力分割機構130を介して駆動される第1MG110の発電電力を高圧の蓄電装置150に蓄えるように制御する。
【0046】
また、車両の走行制動時等に、HV−ECU10は、減速機140を介して駆動輪160により駆動される第2MG120を発電機として制御し、第2MG120により発電された電力を蓄電装置150に蓄えるようにMG−ECU12に制御指令を発する。つまり、第2MG120は、制動エネルギーを電力に変換する回生ブレーキとして用いられる。
【0047】
つまり、HV−ECU10は、蓄電装置150から出力される負荷電流と電圧、及び蓄電装置150の温度をモニタして、蓄電装置150のSOCを管理し、車両の要求トルクと蓄電装置150のSOC等に基づいて、エンジン100、第1MG110及び第2MG120を制御する。
【0048】
図3に示すように、HV−ECU10は、入力情報として、シフトレバー位置、及びアクセルペダルの操作量が入力され、各入力情報をRAM10cに記憶する。
【0049】
また、HV−ECU10は、メータECU15、及びDSP−ECU16を出力先として、CANを介して、上述の入力情報に応じた視覚情報、及び鳴動情報を出力する。
【0050】
HV−ECU10は、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態でアクセルペダルが操作されると、車両の急発進の可能性を運転者に報知して回避するために、アクセルペダルの操作量に基づいた出力情報をメータECU15及びDSP−ECU16に出力する。
【0051】
尚、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態、即ち、ニュートラル位置であって、アクセルペダルが操作されていれば、アクセルペダルの操作がなされても動力源の駆動音が聞き取りづらい、つまり、アクセルペダルの操作量が認識しづらい状態であればよく、従って走行モードがモータ走行モードであっても、エンジン100が停止状態であるアイドリングストップ状態のエンジン走行モードであってもよい。
【0052】
メータECU15では、HV−ECU10から受信した視覚情報に基づいて、表示部1及び2のシフトレバーの操作位置を示す表示の表示態様を変化させる案内表示処理を警告として実行する。
【0053】
DSP−ECU16に備えられた音出力部は、HV−ECU10から受信した鳴動情報に基づいて、発報音を鳴動させる鳴動処理を警告として実行する。
【0054】
つまり、HV−ECU10は、記憶部(RAM)に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部(RAM)に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせるのである。
【0055】
尚、警告部とは、メータECU15及び発報音で使用される電子音などの音源をスピーカに出力するDSP−ECU16に備えられた音出力部を示す。
【0056】
図4に示すように、HV−ECU10は、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」に設定されたことを検知すると(時刻t1)、表示部1及び2ではシフトレバー位置が「ニュートラル(N)」であることを示すようにメータECU15に出力し、表示部1及び2に表示する。
【0057】
シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態でアクセルペダルが操作されると(時刻t2)、HV−ECU10は、メータECU15に視覚情報を出力し、メータECU15は、表示部1及び2のシフトレバー位置が「ニュートラル(N)」であることを示す表示を、第一の周期として所定の点滅周期(例えば、1秒周期)で点滅表示する。
【0058】
この状態で、さらにアクセルペダルの操作量が増加して所定量(例えば、走行時の速度40〜50キロに相当するアクセルペダルの操作量)になると(時刻t3)、HV−ECU10は、メータECU15に視覚情報を出力し、メータECU15は、表示部1及び2のシフトレバー位置が「ニュートラル(N)」であることを示す表示を、第二の周期として短い点滅周期(例えば、0.5秒周期)で点滅表示する。
【0059】
HV−ECU10は、記憶部(RAM)に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部(RAM)に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量が所定量未満の場合は表示部1,2の点滅を第一の周期で行い、アクセルペダルの操作量が所定量以上の場合は表示部1,2の点滅を第一の周期よりの短い第二の周期で行うのである。
【0060】
この時(時刻t3)、HV−ECU10は、DPS−ECU16にも鳴動情報を出力し、DSP−ECU16は、発報音を鳴動するように制御する。
【0061】
HV−ECU10は、HV−ECU10に備えられた記憶部に記憶されたシフトレバーの操作位置がニュートラル(N)の状態で、且つアクセルペダルが操作されると、運転者に急発進を回避するための情報を報知する、上述したような発報処理を実行するのである。
【0062】
図5に基づいてHV−ECU10が実行する発報処理について説明する。HV−ECU10は、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態であれば(S1)、アクセルペダルの操作量を監視し、アクセルペダルが操作されなければ(S2)、視覚情報をメータECU15に出力する。
【0063】
メータECU15は、HV−ECU10から受信した視覚情報に基づいて、表示部1及び2のシフトレバー位置が「ニュートラル(N)」であることを示すように点灯表示する(S3)。
【0064】
ステップS2で、アクセルペダルが操作されると、アクセルペダルの操作量を確認する(S4)。
【0065】
ステップS4で、アクセルペダルの操作量が所定量(例えば、走行時の速度40〜50キロに相当するアクセルペダルの操作量)以下であれば、HV−ECU10は、視覚情報をメータECU15に出力する。
【0066】
メータECU15は、HV−ECU10から受信した視覚情報に基づいて、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」であることを示すように、表示部1及び2を所定の点滅周期(例えば、1秒周期)で点滅表示する(S5)。
【0067】
ステップS4で、アクセルペダルの操作量が所定量(例えば、走行時の速度40〜50キロに相当するアクセルペダルの操作量)以上であれば、HV−ECU10は、視覚情報、及び鳴動情報をメータECU15、及びDSP−ECU16に出力する。
【0068】
メータECU15は、HV−ECU10から受信した視覚情報に基づいて、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」であることを示すように、表示部1及び2を短い点滅周期(例えば、0.5秒周期)で点滅表示する(S6)。
【0069】
DSP−ECU16に備えられた音出力部は、HV−ECU10から受信した鳴動情報に基づいて、発報音を鳴動させる(S7)。
【0070】
上述したように、HV−ECU10は、急発進を回避するための視覚情報を表示部(表示部1及び2)に表示し、前記記憶部に記憶されたアクセルペダルの操作量に応じて視覚情報の表示態様を変化させる案内表示処理、及び急発進を回避するための発報音を鳴動させる鳴動処理を実行するのである。
【0071】
尚、視覚情報の表示態様を変化させるとは、表示の輝度、点滅周期、表示色などの何れかを変化させることを意味し、例えば、LEDの輝度の変化であれば、時刻t2で10段階中3の輝度でLEDを点灯させ、時刻t3で10段階中7の輝度で点灯をさせるようにすればよい。
【0072】
また、視覚情報の表示態様を変化させるタイミングは、時刻t3のみとせず、例えば、アクセルペダルの操作量の最小値と最大値を0〜100%で定義し、アクセルペダルの操作量が10%増加する毎に表示態様を変化させるようにしてもよいし、所定量以上の場合にのみ表示態様を変化させるようにしてもよい。
【0073】
また、上述の鳴動処理は、HV−ECU10の記憶部に記憶されたアクセルペダルの操作量に応じて発報音の鳴動態様を変化させるように構成されていてもよい。
【0074】
例えば、図4に基づいて説明すると、上述した実施形態では、シフトレバー位置がニュートラルの状態で、且つアクセルペダルが所定量(例えば、走行時の速度40〜50キロに相当するアクセルペダルの操作量)操作される時刻t3になると鳴動処理を実行する構成としたが、アクセルペダルの操作量に関わらずアクセルペダルが操作されたことを検知する時刻t2になると鳴動処理を実行するようにしてもよい。
【0075】
さらに、上述した状態で、アクセルペダルの操作量が増加して所定量を超えると鳴動態様を変化させて、より運転者に注意を促すようにしてもよい。また、鳴動態様を変化させるタイミングは、時刻t3のみとせず、例えば、アクセルペダルの操作量の最小値と最大値を0〜100%で定義し、アクセルペダルの操作量が10%増加する毎に鳴動態様を変化させるようにしてもよい。
【0076】
また、視覚情報の表示態様の変化と同じタイミングで鳴動態様を変化させるようにしてもよいし、視覚情報とは別に設けた所定のアクセルペダルの操作量で鳴動態様を変化させるようにしてもよい。
【0077】
尚、発報音の鳴動態様を変化させるとは、発報音の鳴動音量、鳴動音調、鳴動音源などの何れかを変化させることを意味し、例えば、鳴動音量の変化であれば、時刻t2で10段階中3の音量で発報音を鳴動させ、時刻t3で10段階中7の音量で発報音を鳴動させるようにすればよい。
【0078】
上述で説明したように、HV車両では、HV−ECU10は、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合で、車両の走行モードがモータ走行モード、または、エンジン走行モード且つアイドリングストップ状態である場合に、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせるのである。
【0079】
電気自動車では、モータを動力源として搭載し、上述した実施形態と同様に、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態でアクセルペダルが操作された場合に、アクセルペダルの操作量を走行時の出力速度として推定算出し、運転者に急発進を回避するための情報を報知する発報処理を実行することで上述した実施形態の適用が可能である。
【0080】
例えば、HV−ECU10は、RAMに記憶されたシフトレバー位置がニュートラル位置にあると判定した場合に、RAMに記憶されたアクセルペダルの操作量に基づいて、アクセルペダルの操作量が所定量以上になると、発報音を出力するように音出力部を制御して、音出力部は発報音を出力することによって運転者に警告する。
【0081】
尚、アクセルペダルの操作量が所定量以上になると、発報音を出力するように説明したが、アクセルペダルの操作を検知すると直ちに発報音を出力してもよいし、また、アクセルペダルの操作量に応じて段階的に発報音の音量が増加するように変化させてもよい。
【0082】
さらに、例えば、アクセルペダルの操作が検知された場合、走行時の速度40〜50キロに相当するアクセルペダルの操作量を検知した場合、といったように複数の所定量を設定し、設定した所定量毎に音量を変化させる、または、出力する音の種類を変化させるなど、鳴動態様を変化させるようにしてもよい。
【0083】
つまり、電気自動車に備わる音出力部を制御する制御装置であって、シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合に、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた音を音出力部へ行わせる制御部を備える制御装置なのである。
【0084】
このように、発報音によって警告を実行することで、普段アクセルペダルの操作を行っても動力源の駆動音がしないことに慣れている運転者であっても、発報音によって報知されることにより警告への認識が向上するといえる。
【0085】
また、エンジン100を動力源とする車両であっても、例えば、エンジン100が停止状態となるアイドリングストップのために、シフトレバーを「ニュートラル(N)」に切替えてアクセルペダルを放すとエンジンが停止し、シフトレバーを「ドライブ(D)」に切替えてアクセルペダルを再度操作することによりエンジン100が再度始動するような車両であれば、同様にして上述した実施形態の適用が可能である。
【0086】
以上説明した通り、本発明によれば、シフトレバーがニュートラルの状態で、且つアクセルペダルが操作されても、車両の急発進を回避することができるようになる。
【0087】
尚、上述した実施形態では、HV-ECU10は、表示部1及び2の各表示をアクセルペダルの操作量に応じて表示態様を変化させるように説明したが、表示部1または2の何れか一方のみの表示態様を変化させるようにしてもよいし、また、インジケータランプなど表示部1及び2とは別に表示部を設けて案内表示処理を実行してもよい。
【0088】
例えば、ナビゲーションシステムの表示部に、シフトレバー位置が「ニュートラル(N)」の状態でアクセルペダルの操作が実行されていることを示すように、文言や絵などで表示して案内表示処理を実行してもよい。
【0089】
さらに、従来のコンベ車などで搭載されている、内燃機関の回転速度を表示する、いわゆるタコメータのように、現在のアクセルペダルの操作量を内燃機関の回転速度に換算して表示させてもよいし、アクセルペダルの操作量の最大〜最小を100%〜0%として割り付けて、現在の操作量が何%となっているか認識できるように表示されていてもよい。
【0090】
また、鳴動処理の発報音として、車内のハンドルに備えられた警笛を採用するものでもよい。例えば、HV−ECU10は、HV−ECU10と通信可能に接続された警笛を発生させる、スピーカを備えた制御装置に、シフトレバー位置がニュートラルの状態で、且つアクセルペダルが操作された場合に、警笛を発生させて出力するように構成すればよい。
【0091】
さらに、鳴動処理の発報音として、モータが駆動する際の擬似音であるモータ擬似音や、音声出力可能に構成された音声合成回路により生成される音声、例えば、「シフトレバー位置がニュートラルに設定されています。」というような音声ガイダンスとして出力するように構成されていてもよい。
【0092】
例えば、予めモータが駆動する擬似音を記憶した音源ファイルが、ナビゲーションシステムに備えられたハードディスクやメモリ等の記憶媒体に記憶され、音出力部によって当該音源ファイルのデータが再生されるものであってもよいし、音出力部に音響生成回路を備え、モータ擬似音を生成する音響生成回路によって生成してスピーカ出力するものであってもよい。
【0093】
音響生成回路は、例えば、モータ擬似音であれば、モータの駆動音に近似した周波数帯の周波数における波形データに基づく音響を生成する回路として構成されていればよく、波形データを合成して音響を生成するものであってもよいし、擬似音だけでなく任意の音響を生成するものであってもよい。
【0094】
尚、音出力部から出力される音は、モータ擬似音だけでなく、エンジン100の駆動音を擬似したエンジン擬似音や、インバータの駆動音を擬似したインバータ擬似音が記憶された音源ファイルのデータが再生されてスピーカから出力されるものであってもよい。
【0095】
上述では、HV−ECU10は、車内に発報音や音声を通知するためのスピーカを介して鳴動処理を実行するように説明したが、車外に発報音や音声を出力して報知するように構成されたスピーカを採用するのであってもよいし、両スピーカを併用して報知するのであってもよい。
【0096】
上述したように、車両に備わる警告部を制御する制御方法であって、シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶部へ記憶するステップと、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせるステップとを実行する制御方法なのである。
【0097】
上述した実施形態では、動力分割機構130によりエンジン100の動力を分割して駆動輪160と第一MG110とに伝達可能なシリーズ/パラレル型のハイブリッド車について説明したが、本発明は、その他の形式のハイブリッド車にも適用可能である。
【0098】
例えば、第一MG110を駆動するためにのみエンジン100を用い、第二MG120のみで車両の駆動力を発生する、所謂シリーズ型のハイブリッド車や、エンジン100で生成した運動エネルギーのうち回生エネルギーのみが電気エネルギーとして回収されるハイブリッド車や、エンジン100を主動力として必要に応じてモータがアシストするモータアシスト型のハイブリッド車等にも、本発明は適用可能である。
【0099】
さらに、エンジン100を備えずに電力で走行するモータのみを備えた電気自動車や、燃料電池を搭載した車両であっても、さらに蓄電装置を備えている燃料電池車であっても本発明を適用することができる。
【0100】
また、MT車、AT車、CVT車など、トランスミッションの種類を問わず、本発明を適用することができる。
【0101】
上述の実施形態は何れも一具体例であり、各部の具体的な回路構成、制御構成は、本発明の作用効果を奏する範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0102】
HV車:プラグインハイブリッド車
15:警告部(メータECU)
3:パーキング(P)
5:ニュートラル(N)
10:HV−ECU
10c:記憶部(RAM)
100,110,120:動力源(エンジン、第1MG、第2MG)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備わる警告部を制御する制御装置であって、
シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶する記憶部と、
記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせる制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記警告部は表示部であり、
前記制御部は、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量が所定量未満の場合は表示部の点滅を第一の周期で行い、アクセルペダルの操作量が所定量以上の場合は表示部の点滅を第一の周期よりも短い第二の周期で行う請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記車両はハイブリッド車両であり、
前記制御部は、記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合で、車両の走行モードがモータ走行モード、または、エンジン走行モード且つアイドリングストップ状態である場合に、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせる請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
電気自動車に備わる音出力部を制御する制御装置であって、
シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶する記憶部と、
記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合に、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた音を音出力部へ行わせる制御部と、
を備える制御装置。
【請求項5】
車両に備わる警告部を制御する制御方法であって、
シフトレバー位置検知部からのシフトレバー位置に関する情報と、アクセルペダル操作量検知部からのアクセルペダルの操作量に関する情報を記憶部へ記憶するステップと、
記憶部に記憶されるシフトレバー位置に関する情報に基づいてシフトレバーがニュートラル位置にあると判定する場合は、記憶部に記憶されるアクセルペダルの操作量に関する情報に基づき、アクセルペダルの操作量に応じた警告を警告部へ行わせるステップと、
を実行する制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−221788(P2010−221788A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69910(P2009−69910)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】