説明

剥離装置、剥離システム、剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】加熱処理を伴う被処理基板と支持基板との剥離処理の際に、被処理基板の非接合面の酸化を抑制する。
【解決手段】剥離装置30は、加熱機構128を備え、且つ被処理ウェハWを保持する第1の保持部110と、加熱機構151を備え、且つ支持ウェハSを保持する第2の保持部111と、少なくとも第1の保持部110又は第2の保持部111を相対的に水平方向に移動させる移動機構170と、第1の保持部110の外周部に沿って環状に設けられ、且つ複数の孔が形成され、被処理ウェハWを保持した第1の保持部110の外周部に対して不活性ガスを水平に供給するポーラスリング130と、を有している。第1の保持部110において被処理ウェハWを保持するポーラス121の保持面121aの径は、被処理ウェハWの径よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置、当該剥離装置を備えた剥離システム、当該剥離装置を用いた剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。そして、例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理したりすると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、ウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。そして、このようにウェハと支持基板が接合された状態でウェハの研磨処理等の所定の処理が行われた後、ウェハと支持基板が剥離される。
【0003】
かかるウェハと支持基板の剥離は、例えば剥離装置を用いて行われる。例えば特許文献1には、熱酸化膜を形成した支持基板に、デバイスが形成されたウェハを直接接合し、その後ウェハの剥離を行う剥離装置が提案されている。この剥離装置は、例えばウェハを保持する第1ホルダーと、支持基板を保持する第2ホルダーと、ウェハと支持基板との間に液体を噴射するノズルとを有している。そして、この剥離装置では、ノズルから接合されたウェハと支持基板との間、すなわちウェハと支持基板との接合面に、当該ウェハと支持基板との間の接合強度より大きい噴射圧、好ましくは接合強度より2倍以上大きい噴射圧で液体を噴射することにより、ウェハと支持基板の剥離が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウェハと支持基板の接合には、例えば特許文献1に開示されるような、熱酸化膜を形成した支持基板にウェハを直接接合する方法の他に、支持基板とウェハとの間に接着剤を介在させて接合する方法などがある。
【0006】
接着剤を用いて接合を行った場合、ウェハと支持基板とを剥離するにあたり、ウェハと支持基板との間に介在する接着剤を軟化させる必要がある。このため、ウェハと支持基板の剥離を行う際には、接着剤の軟化を目的として、接合された状態のウェハと支持基板との加熱処理が行われる。
【0007】
しかしながら、ウェハが加熱処理されていると、当該ウェハの露出した面、すなわちウェハ上で露出したデバイスの酸化が進行してしまう。そして、この酸化により、製品に深刻なダメージを与える恐れがある。
【0008】
ここで、近年の半導体デバイスの高性能化に伴い、ウェハにはその両面に所定のパターンのデバイスが形成されている場合がある。すなわち、支持基板に接合されるウェハの接合面だけでなく、接合面と反対側の面であって、第1のホルダーに保持されるウェハの非接合面にもデバイスが形成される場合がある。かかる場合、デバイスの凹凸によって、第1のホルダーの保持面とウェハの非接合面との間に隙間が生じ、当該ウェハの非接合面の一部が露出する。そうすると、第1のホルダーでウェハを吸着保持する際に、この隙間から周囲の空気も流入する。このため、上述したように加熱状態のウェハにおいて、露出した非接合面が酸化してしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、加熱処理を伴う被処理基板と支持基板との剥離処理の際に、被処理基板の非接合面の酸化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置であって、被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、前記第1の保持部の外周部に沿って環状に設けられ、且つ複数の孔が形成され、被処理基板を保持した前記第1の保持部の外周部に対して不活性ガスを供給する多孔質部と、を有することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、第1の保持部に保持された被処理基板と第2の保持部に保持された支持基板とを加熱しながら、移動機構によって第1の保持部と第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて被処理基板と支持基板を剥離することができる。また、第1の保持部で被処理基板を保持するにあたり、多孔質部から第1の保持部の外周部に不活性ガスを供給することができる。このとき、複数の孔が形成された多孔質部から不活性ガスが供給されるため、この不活性ガスの流速は抑えられたものとなる。これにより、不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことなく、不活性ガスのみが第1の保持部の外周部に供給される。このため、例えば第1の保持部に保持された被処理基板の非接合面にデバイスが形成されている場合、すなわち第1の保持部の保持面と被処理基板の非接合面との間に隙間が生じている場合でも、当該隙間には多孔質部から供給された不活性ガスのみが流入する。したがって、本発明によれば、加熱処理された被処理基板の非接合面の酸化を抑制することができる。
【0012】
前記多孔質部は、不活性ガスが前記複数の孔から水平に供給されるように配置されていてもよい。
【0013】
また、前記多孔質部は、不活性ガスが前記複数の孔から斜め上方に供給されるように配置されていてもよい。
【0014】
前記第1の保持部は、複数の孔が形成され、且つ被処理基板に当接して当該被処理基板を吸着保持するための多孔質体を有し、前記多孔質体において被処理基板を保持する保持面の径は、被処理基板の径よりも小さくてもよい。
【0015】
前記第1の保持部には、被処理基板を吸着保持するために吸引する吸引管と、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給管とが接続されていてもよい。
【0016】
前記第1の保持部には、前記ガス供給管から供給される不活性ガスを加熱する加熱手段が設けられていてもよい。
【0017】
前記剥離装置は、平面視において被処理基板を覆うことができる平板形状を有し、且つ複数の孔が形成され、前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に対して不活性ガスを供給する多孔質板を有していてもよい。
【0018】
前記多孔質板の移動方向の端部には、平面視において被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成されていてもよい。
【0019】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質板を水平方向に移動させてもよい。
【0020】
前記多孔質板には、当該多孔質板から供給される不活性ガスを加熱する加熱手段が設けられていてもよい。
【0021】
前記多孔質板には、当該多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視する監視手段が設けられていてもよい。
【0022】
前記第1の保持部と前記第2の保持部には、当該第1の保持部と第2の保持部との間の空間を覆うように設けられた第1のカバーと第2のカバーがそれぞれ設けられ、前記第1のカバーには、前記多孔質板を覆うように設けられた第3のカバーが設けられ、前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて、前記第1の保持部又は前記第2の保持部の移動方向の端部は開口し、前記第3のカバーにおいて、前記多孔質板の移動方向の端部は開口し、前記第1のカバー、前記第2のカバー及び前記第3のカバーで囲まれる空間の雰囲気は、前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて前記第3のカバーと反対側に形成された開口部から排気されてもよい。
【0023】
前記第3のカバーには、当該第3のカバー内に、イオナイザによってイオン化された不活性ガスを供給するためのイオン化ガス供給管が接続されていてもよい。
【0024】
別な観点による本発明は、前記剥離装置を備えた剥離システムであって、前記剥離装置で剥離された被処理基板を搬送する搬送装置を有し、前記搬送装置は、不活性ガスを噴出することによって被処理基板を保持するベルヌーイチャックを有することを特徴としている。
【0025】
また別な観点による本発明は、剥離装置を用いて、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離方法であって、前記剥離装置は、被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、前記第1の保持部の外周部に沿って環状に設けられ、且つ複数の孔が形成され、被処理基板を保持した前記第1の保持部の外周部に対して不活性ガスを供給する多孔質部と、を有し、前記剥離方法は、前記第1の保持部に保持された被処理基板と前記第2の保持部に保持された支持基板とを加熱しながら、前記移動機構によって前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて被処理基板と支持基板を剥離し、前記第1の保持部で被処理基板を保持する際、前記多孔質部から前記第1の保持部の外周部に不活性ガスを供給することを特徴としている。
【0026】
前記第1の保持部は、複数の孔が形成され、且つ被処理基板に当接して当該被処理基板を吸着保持するための多孔質体を有し、前記多孔質体において被処理基板を保持する保持面の径は被処理基板の径よりも小さく、前記第1の保持部と被処理基板とで溝部が形成され、前記多孔質部からの不活性ガスは、前記溝部に対して水平に供給されてもよい。
【0027】
また、前記第1の保持部は、複数の孔が形成され、且つ被処理基板に当接して当該被処理基板を吸着保持するための多孔質体を有し、前記多孔質体において被処理基板を保持する保持面の径は被処理基板の径よりも小さく、前記第1の保持部と被処理基板とで溝部が形成され、前記多孔質部からの不活性ガスは、前記溝部に対して斜め上方に供給されてもよい。
【0028】
前記第1の保持部には、被処理基板を吸着保持するために吸引する吸引管と、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給管とが接続され、前記第1の保持部で被処理基板を吸着保持する前に、前記ガス供給管から前記空間内に不活性ガスを供給してもよい。
【0029】
前記ガス供給管から前記空間内に供給される不活性ガスは加熱されていてもよい。
【0030】
前記剥離装置は、平面視において被処理基板を覆うことができる平板形状を有し、且つ複数の孔が形成され、前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に対して不活性ガスを供給する多孔質板を有し、被処理基板と支持基板を剥離する際、前記多孔質板を被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間させて、当該多孔質板から剥離により露出した被処理基板の接合面に不活性ガスを供給してもよい。
【0031】
前記多孔質板の移動方向の端部には、平面視において被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成され、少なくとも被処理基板と支持基板の剥離開始前に、前記窪み部が平面視において被処理基板と接するように前記多孔質板を配置し、前記多孔質部からの不活性ガスの供給が開始されてもよい。
【0032】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質板を水平方向に移動させてもよい。
【0033】
前記多孔質板から供給される不活性ガスは加熱されていてもよい。
【0034】
前記多孔質板に設けられた監視手段を用いて、当該多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視してもよい。
【0035】
前記第1の保持部と前記第2の保持部には、当該第1の保持部と第2の保持部との間の空間を覆うように設けられた第1のカバーと第2のカバーがそれぞれ設けられ、前記第1のカバーには、前記多孔質板を覆うように設けられた第3のカバーが設けられ、前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて、前記第1の保持部又は前記第2の保持部の移動方向の端部は開口し、前記第3のカバーにおいて、前記多孔質板の移動方向の端部は開口し、前記第1のカバー、前記第2のカバー及び前記第3のカバーで囲まれる空間の雰囲気は、前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて前記第3のカバーと反対側に形成された開口部から排気されてもよい。
【0036】
少なくとも被処理基板と支持基板の剥離開始前又は剥離中に、前記第3のカバーに接続されたイオン化ガス供給管から当該第3のカバー内に、イオナイザによってイオン化された不活性ガスを供給してもよい。
【0037】
前記剥離装置で剥離された被処理基板は、不活性ガスを噴出するベルヌーイチャックに受け渡され保持されてもよい。
【0038】
また別な観点による本発明によれば、前記剥離方法を剥離装置によって実行させるために、当該剥離装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0039】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、加熱処理を伴う被処理基板と支持基板との剥離処理の際に、被処理基板の非接合面の酸化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図3】剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図4】剥離装置の内部構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】第1の保持部の外周部とポーラスリングの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】第1の保持部とポーラスリングの構成の概略を示す平面図である。
【図7】ポーラスプレートの構成の概略を示す平面図である。
【図8】ポーラスプレートに不活性ガスを供給する機構の構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】第1のカバーと第3のカバーの構成の概略を示す斜視図である。
【図10】第1のカバーと第3のカバーの構成の概略を示す側面図である。
【図11】第2のカバーの構成の概略を示す斜視図である。
【図12】第1のカバーと第2のカバーの構成の概略を示す側面図である。
【図13】第1の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図14】第1の洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図15】第2の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】第2の搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図17】ベルヌーイチャックの構成の概略を示す平面図である。
【図18】剥離処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図19】昇降ピンに重合ウェハが保持された状態で、処理空間に不活性ガスを供給する様子を示す説明図である。
【図20】重合ウェハを第2の保持部に載置した様子を示す説明図である。
【図21】重合ウェハを第2の保持部に載置した様子を示す説明図である。
【図22】吸引管からの吸引とポーラスリングからの不活性ガスの供給を開始する様子を示す説明図である。
【図23】第1の保持部と第2の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図24】第1の保持部と第2の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図25】第2の保持部を水平方向に移動させる様子を示す説明図である。
【図26】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図27】第1の保持部からベルヌーイチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図28】ベルヌーイチャックに保持された被処理ウェハに不活性ガスを供給する様子を示す説明図である。
【図29】ベルヌーイチャックからポーラスチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図30】被処理ウェハと支持ウェハとが相対的に水平方向に移動した状態を示す説明図である。
【図31】他の実施の形態にかかる第1の保持部の外周部とポーラスリングの構成の概略を示す縦断面図である。
【図32】他の実施の形態にかかる剥離装置の内部構成の概略を示す縦断面図である。
【図33】不活性ガスの加熱手段の構成の概略を示す縦断面図である。
【図34】ポーラスプレートの孔づまりの監視手段を説明するための平面図である。
【図35】ポーラスプレートの孔づまりの監視手段を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0043】
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面S」といい、当該接合面Sと反対側の面を「非接合面S」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面W及び非接合面Wに複数のデバイスが形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面Wが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0044】
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション3と、剥離処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0045】
搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間には、ウェハ搬送領域6が形成されている。インターフェイスステーション5は、剥離処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)には、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置7が配置されている。また、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置7の反対側、すなわちインターフェイスステーション5のX方向負方向側(図1中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWを洗浄する検査後洗浄装置8が配置されている。
【0046】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0047】
ウェハ搬送領域6には、第1の搬送装置20が配置されている。第1の搬送装置20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置20は、ウェハ搬送領域6内を移動し、搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0048】
剥離処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、第2の搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように剥離処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、第2の搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
【0049】
検査装置7では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。また、検査後洗浄装置8では、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄装置8は、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する接合面洗浄部8a、被処理ウェハWの非接合面Wを洗浄する非接合面洗浄部8b、被処理ウェハWを上下反転させる反転部8cを有している。
【0050】
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路40上を移動自在な第3の搬送装置41が設けられている。第3の搬送装置41は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置7及び検査後洗浄装置8との間で被処理ウェハWを搬送できる。
【0051】
なお、後処理ステーション4では、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
【0052】
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図3に示すように、その内部に複数の機器を収容する処理容器100を有している。処理容器100の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、本実施の形態における処理容器100は、例えばステンレススチールの薄板等で構成されたものであり、その内部を密閉するものではないが、処理容器100の構造は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば内部を密閉可能な気密容器であってもよい。
【0053】
処理容器100の底面には、当該処理容器100の内部を排気する排気口101が形成されている。排気口101には、例えば真空ポンプなどの排気装置102に連通する排気管103が接続されている。
【0054】
処理容器100の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部111とが設けられている。図4に示すように第1の保持部110は、第2の保持部111の上方に設けられ、第2の保持部111と対向するように配置されている。すなわち、処理容器100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTの剥離処理が行われる。また、第1の保持部110と第2の保持部111との間には、当該重合ウェハTの剥離処理が行われる処理空間112が形成されている。
【0055】
第1の保持部110には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部110は、平板状の本体部120を有している。本体部120の下面側には、複数の微細な孔が形成された多孔質体としてのポーラス121が設けられている。ポーラス121は、被処理ウェハWの非接合面Wと当接して、当該被処理ウェハWを吸着保持する。また、ポーラス121において被処理ウェハWを保持する保持面121aの径は、被処理ウェハWの径よりも小さい。なお、ポーラス121としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0056】
ここで、ポーラス121の保持面121aの径が被処理ウェハWの径よりも小さい理由について説明する。後述するように接着剤Gで接合された被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際、当該接着剤Gを軟化させるために重合ウェハTが加熱される。かかる場合、図5に示すように軟化した接着剤Gは、被処理ウェハWの周縁部の非接合面Wに回りこむ(図5中の点線矢印)。そこで、この接着剤Gがポーラス121と被処理ウェハWに付着して、被処理ウェハWがポーラス121に固着されるのを防止するため、ポーラス121の保持面121aの径は被処理ウェハWの径よりも小さくなっている。そして、第1の保持部110の本体部120の外周部と被処理ウェハWの外周部との間には、ポーラス121が奥まって配置された分、溝部122が形成されている。
【0057】
また図4に示すように、本体部120の内部であってポーラス121の上方には気体の流通空間123が形成されている。流通空間123は、例えばポーラス121を覆うように形成されている。流通空間123には、吸引管124とガス供給管125とが接続されている。吸引管124は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置126に接続されている。そして、吸引管124から流通空間123とポーラス121を介して被処理ウェハWの非接合面Wが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部110に吸着保持される。ガス供給管125は、例えば不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給源127に接続されている。そして、ガス供給管125から流通空間123とポーラス121を介して処理空間112に不活性ガスが供給される。このとき、ポーラス121には複数の孔が形成されているので、ポーラス121の全面から不活性ガスが均等に供給される。なお、吸引管124からの被処理ウェハWの吸引とガス供給管125からの不活性ガスの供給は、後述する所定のタイミングで切り替えて行われる。なお、不活性ガスとしては、酸素原子を含まないガスであればよく、本実施の形態の窒素ガスに限定されるものではない。
【0058】
また、本体部120の内部であって流通空間123の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構128が設けられている。加熱機構128には、例えばヒータが用いられる。
【0059】
第1の保持部110の外周部には、複数の微細な孔が形成された多孔質部としてのポーラスリング130が設けられている。ポーラスリング130は、図6に示すように第1の保持部110の外周部に沿って環状に設けられている。また。ポーラスリング130は、図5に示すように溝部122に対向するように配置されている。ポーラスリング130には、ガス供給管131を介して、不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給源132に接続されている。そして、ポーラスリング130は、第1の保持部110の外周部に対して、すなわち溝部122に対して不活性ガスを水平に供給できる。なお、ポーラスリング130としては例えば炭化ケイ素が用いられる。また、不活性ガスとしては、酸素原子を含まないガスであればよく、本実施の形態の窒素ガスに限定されるものではない。
【0060】
第1の保持部110の上面には、図3に示すように当該第1の保持部110を支持する支持板140が設けられている。支持板140は、処理容器100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板140を省略し、第1の保持部110は処理容器100の天井面に当接して支持されてもよい。
【0061】
図4に示すように第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管150が設けられている。吸引管150は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0062】
また、第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構151が設けられている。加熱機構151には、例えばヒータが用いられる。
【0063】
第2の保持部111の下方には、処理空間112において重合ウェハT(又は支持ウェハS)を昇降させる昇降機構160が設けられている。昇降機構160は、重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン161を例えば3本有している。昇降ピン161は、駆動部162により上下動できる。駆動部162は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、第2の保持部111の中央部付近には、第2の保持部111及び後述する支持板173を厚み方向に貫通する貫通孔163が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン161は貫通孔163を挿通し、第2の保持部111の上面から突出可能になっている。
【0064】
第2の保持部111の下方には、第2の保持部111及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構170が設けられている。移動機構170は、第2の保持部111を鉛直方向に移動させる鉛直移動部171と、第2の保持部111を水平方向に移動させる水平移動部172とを有している。
【0065】
鉛直移動部171は、第2の保持部111の下面を支持する支持板173と、支持板173を昇降させる駆動部174と、支持板173を支持する支持部材175とを有している。駆動部174は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材175は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板173と後述する支持体181との間に例えば3箇所に設けられている。
【0066】
水平移動部172は、図3に示すようにX方向(図3中の左右方向)に沿って延伸するレール180と、レール180に取り付けられる支持体181と、支持体181をレール180に沿って移動させる駆動部182とを有している。駆動部182は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
【0067】
第2の保持部111の例えばX方向正方向側(図3中の左方向)には、複数の微細な孔が形成された多孔質板としてのポーラスプレート190が設けられている。ポーラスプレート190には、当該ポーラスプレート190に不活性ガスを供給するガス供給管191が接続されている。また、ポーラスプレート190は、支持部材192を介して水平移動部172の支持体181に支持されており、水平移動部172を移動させることにより、ポーラスプレート190を水平方向に移動させることができる。すなわち、ポーラスプレート190は、第2の保持部111に同期して水平方向に移動する。そして、ポーラスプレート190は、
水平移動部172により第2の保持部111を水平方向に移動させることで露出した被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスを供給できる。なお、ポーラスプレート190としては、例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0068】
ポーラスプレート190は、図7に示すように、平面視において被処理ウェハWを覆うことのできる平板形状を有している。また、水平移動部172によりポーラスプレート190を移動させた場合の当該ポーラスプレート190の移動方向の端部には、平面視において被処理ウェハWの形状に沿って凹状に窪んだ窪み部190aが形成されている。具体的には、図7に示すように、ポーラスプレート190の移動方向端部が、被処理ウェハWとほぼ同じ直径の半円弧状に窪んでおり、且つ、ポーラスプレート190における窪み部190a以外の箇所が被処理ウェハWを覆うことのできる大きさとなっている。また、ポーラスプレート190において、窪み部190aが形成された端部と反対側の端部190bは、被処理ウェハWより大きな直径の半円弧状に突出した形状を有している。したがって、被処理ウェハWを覆うにあたり、ポーラスプレート190は最小限の大きさとなっている。なお、ポーラスプレート190の大きさは本実施の形態に限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0069】
ポーラスプレート190は、図3及び図4に示すように被処理ウェハWの接合面Wと平行に設けられている。また、ポーラスプレート190は、第1の保持部110と第2の保持部111が対向した状態、すなわち被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された状態において、図7に示すように、ポーラスプレート190は、その窪み部190aが平面視において被処理ウェハWの外周部と接するように配置されている。
【0070】
ポーラスプレート190の鉛直方向の配置は、被処理ウェハWの接合面Wより下方に位置するように調整されている。換言すれば、ポーラスプレート190と被処理ウェハWの接合面Wとの間は鉛直方向に所定の距離だけ離間している。なお、本実施の形態においては、所定の距離は2mmに設定されている。
【0071】
ポーラスプレート190の下側の面には、図8に示すように、平板形状の分散板193がポーラスプレート190を覆うように設けられている。分散板193としては、例えばアルミニウムやステンレスといった金属製の板が用いられる。分散板193の内部には、ガス流路194が形成されている。上述したガス供給管191は、この分散板193のガス流路194に接続されている。
【0072】
ガス供給管191の分散板193側と反対側の端部は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給源195に接続されている。また、分散板174のガス流路194は、ガス供給管191が接続された側からポーラスプレート190に向かって複数に分岐して設けられ、ポーラスプレート190の面内に均一に不活性ガスを供給できるように形成されている。このため、当該不活性ガス供給源195から供給された不活性ガスは、分散板193を介してポーラスプレート190に面内均一に供給される。なお、不活性ガスとしては、酸素原子を含まないガスであればよく、本実施の形態の窒素ガスに限定されるものではない。
【0073】
図4に示すように第1の保持部110と第2の保持部111には、それぞれ第1のカバー200と第2のカバー201が設けられている。第1のカバー200と第2のカバー201は、後述するように第1の保持部110と第2の保持部111との間の処理空間112を覆うように設けられている。また、第1のカバー200には、ポーラスプレート190を覆うように第3のカバー202が設けられている。
【0074】
第1のカバー200は、図9及び図10に示すように平板部210と側壁部211とを有している。平板部210の中央部は第1の保持部110の本体部120の外周部に沿って開口し、当該開口において第1のカバー200は第1の保持部110に取り付けられている。また、側壁部211は、平板210から鉛直下方に延伸し、第2の保持部111及びポーラスプレート190の移動方向(図中のX方向)に沿って設けられている。換言すれば、第1のカバー200において、第2の保持部111及びポーラスプレート190の移動方向(図中のX方向)の両端部は開口している。また、側壁部211は、ポーラス121、溝部122及びポーラスリング130を覆うように設けられている。なお、後述するように側壁部211のX方向正方向側の端部には、当該下端部211から水平方向に内側に向かって延伸する屈曲部212が設けられている。
【0075】
第2のカバー201は、図11に示すように平板部213と側壁部214を有している。平板部213は、第2の保持部111のX方向正方向側における外周部の略2/3を覆うように、当該第2の保持部111に取り付けられている。すなわち平板部213は、平面視においてポーラスプレート190と干渉しない位置に設けられている。なお、第2の保持部111のX方向負方向側において平板部213が設けらない位置には、上述した第1のカバー200の屈曲部212が配置される。また、側壁部214は、平板220から鉛直上方に延伸し、第2の保持部111及びポーラスプレート190の移動方向(図中のX方向)に沿って設けられている。換言すれば、第2のカバー201において、第2の保持部111及びポーラスプレート190の移動方向(図中のX方向)の両端部は開口している。
【0076】
これら第1のカバー200と第2のカバー201は、図12に示すように第1の保持部110と第2の保持部111との間の処理空間112を覆うように配置される。例えば第1の保持部110の側壁部211が第2の保持部111の側壁部214の外側に位置するように、第1の保持部110と第2の保持部111が設けられる。
【0077】
第3のカバー202は、図9及び図10に示すように天井部215、側壁部216及び底面部217を有している。天井部215と側壁部216は、それぞれ第1のカバー200の平板部210と側壁部211に取り付けられている。天井部215と底面部217は、それぞれポーラスプレート190の外周部に沿った平面形状を有している。また、側壁部216は、天井部215と底面部217を接続して配置されている。このように第3のカバー202は、ポーラスプレート190を覆うように設けられ、当該第3のカバーの202の内部にポーラスプレート190の待機空間218が形成されている。また、第3のカバー202において、ポーラスプレート190の移動方向の端部(図中のX方向負方向)は開口している。なお、底面部217には、ガス供給管191及び支持部材192との干渉を回避するため、切り欠き(図示せず)が形成されている。
【0078】
以上のように第1のカバー200、第2のカバー201及び第3のカバー202は、第2の保持部111及びポーラスプレート190が水平方向に移動できるように構成されている。また、図4に示すように第1のカバー200、第2のカバー201及び第3のカバー202で囲まれる空間の雰囲気、すなわち処理空間112及び待機空間218内の雰囲気は、第1のカバー200と第2のカバー201において、第3のカバー202と反対側に形成された開口部220から排気される。すなわち、処理空間112及び待機空間218内の雰囲気は、図中のX方向負方向側に流れる。なお、処理空間112及び待機空間218内の雰囲気を積極的に排気するため、開口部220に例えば真空ポンプなどの排気装置221を設けてもよい。
【0079】
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図13に示すように処理容器230を有している。処理容器230の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0080】
処理容器230内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック240が設けられている。ポーラスチャック240は、平板状の本体部241と、本体部241の上面側に設けられ、且つ複数の孔が形成されたポーラス242とを有している。ポーラス242は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス242としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス242には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス242を介して被処理ウェハWの非接合面Wを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック240上に吸着保持できる。
【0081】
ポーラスチャック240の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部243が設けられている。ポーラスチャック240は、チャック駆動部243により所定の速度で回転できる。また、チャック駆動部243には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック240は昇降自在になっている。
【0082】
ポーラスチャック240の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ244が設けられている。カップ244の下面には、回収した液体を排出する排出管245と、カップ244内の雰囲気を真空引きして排気する排気管246が接続されている。
【0083】
図14に示すようにカップ244のX方向負方向(図14中の下方向)側には、Y方向(図14中の左右方向)に沿って延伸するレール250が形成されている。レール250は、例えばカップ244のY方向負方向(図14中の左方向)側の外方からY方向正方向(図14中の右方向)側の外方まで形成されている。レール250には、アーム251が取り付けられている。
【0084】
アーム251には、図13及び図14に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル253が支持されている。アーム251は、図14に示すノズル駆動部254により、レール250上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル253は、カップ244のY方向正方向側の外方に設置された待機部255からカップ244内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム251は、ノズル駆動部254によって昇降自在であり、洗浄液ノズル253の高さを調節できる。
【0085】
洗浄液ノズル253には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル253には、図13に示すように当該洗浄液ノズル253に洗浄液を供給する供給管260が接続されている。供給管260は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源261に連通している。供給管260には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群262が設けられている。また、洗浄液ノズル253には、当該洗浄液ノズル253に不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給する供給管263が接続されている。供給管263は、内部に不活性ガスを貯留する不活性ガス供給源264に連通している。供給管263には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群265が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル253内で混合され、当該洗浄液ノズル253から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
【0086】
なお、ポーラスチャック240の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック240に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック240の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック240を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック240との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。なお、上述した検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8aと非接合面洗浄部8bの構成は、この第1の洗浄装置31と同様であるので、接合面洗浄部8aと非接合面洗浄部8bについては説明を省略する。
【0087】
また、第2の洗浄装置33の構成も、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図15に示すように第1の洗浄装置31のポーラスチャック240に代えて、スピンチャック270が設けられる。スピンチャック270は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック270上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0088】
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック270の下方には、支持ウェハSの裏面、すなわち非接合面Sに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、支持ウェハSの非接合面Sと支持ウェハSの外周部が洗浄される。
【0089】
次に、上述した第2の搬送装置32の構成について説明する。第2の搬送装置32は、図16に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック280を有している。ベルヌーイチャック280は、支持アーム281に支持されている。支持アーム281は、第1の駆動部282に支持されている。この第1の駆動部282により、支持アーム281は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部282の下方には、第2の駆動部283が設けられている。この第2の駆動部283により、第1の駆動部282は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
【0090】
上述したベルヌーイチャック280は、図17に示すように不活性ガスとして例えば窒素ガスを噴出するガス噴出口290が複数配置されている。図示の例においては、複数のガス噴出口290は、ベルヌーイチャック280の同心円上であって、二重の同心円上にそれぞれ等間隔に配置されている。各ガス噴出口290には、ガス供給管291を介して、不活性ガスを供給する不活性ガス供給源292が接続されている。そして、ベルヌーイチャック280は、不活性ガスを噴出することにより被処理ウェハWを浮遊させ、非接触の状態で被処理ウェハWを吸引懸垂し保持することができる。なお、ガス噴出口290の個数や配置は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0091】
なお、第3の搬送装置41は、上述した第2の搬送装置32と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置41の第2の駆動部283は、図1に示した搬送路40に取り付けられ、第3の搬送装置41は搬送路40上を移動可能になっている。
【0092】
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0093】
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図18は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0094】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットC、空のカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。第1の搬送装置20によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション3の剥離装置30に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0095】
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、図12及び図19に示すように予め上昇して待機していた昇降ピン161に受け渡される。その後、移動機構170により第2の保持部111を所定の位置まで上昇させると共に、処理空間112内で重合ウェハTが昇降ピン161に保持された状態で、ガス供給管125とガス供給管191から処理空間112内に不活性ガスを供給する(図18の工程A1)。
【0096】
この際、第2の保持部111は、例えば処理空間112の鉛直方向の距離が約10mmになる位置に配置される。また重合ウェハTは、処理空間112内で昇降ピン161に保持された状態であって、第1の保持部110及び第2の保持部111のいずれにも接触しない位置に配置される。このため、重合ウェハTが加熱機構128、151によって加熱されることがない。そして、このように重合ウェハTが昇降ピン161に保持された状態で、ガス供給管125とガス供給管191から不活性ガスが供給される。ガス供給管125から供給された不活性ガスは、処理空間112内、すなわち重合ウェハTの上方及び下方両側を流通して開口部220から排気される。また、ガス供給管191からポーラスプレート190を介して供給された不活性ガスも、待機空間218と処理空間112内を順次流通して開口部220から排気される。こうして、重合ウェハTが剥離される処理空間112内の雰囲気が不活性ガスに置換され、当該雰囲気がppmレベルの所定の低酸素濃度に維持される。
【0097】
この工程A1では、第2の保持部111を上昇させて処理空間112の容積を小さくしているので、当該処理空間112の雰囲気は短時間で所定の低酸素濃度に到達する。また、重合ウェハTが加熱されることなく、しかも処理空間112内に不活性ガスが供給されているので、被処理ウェハWの非接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0098】
その後、図20及び図21に示すように昇降ピン161を下降させ、重合ウェハTを第2の保持部111に載置する。続いて、吸引管150から重合ウェハTを吸引し、第2の保持部111で支持ウェハSの非接合面Sを吸着保持する(図19の工程A2)。このとき、ガス供給管125とガス供給管191から処理空間112への不活性ガスの供給は継続されている。なお、重合ウェハTを第2の保持部111に載置する際には、移動機構170により第2の保持部111を上昇させてもよい。
【0099】
その後、図22に示すようにガス供給管125からの不活性ガスの供給を停止し、吸引管124からの吸引を開始する。また、ポーラスリング130から第1の保持部110の外周部に不活性ガスを供給する。続いて、図23及び図24に示すように移動機構170により第2の保持部111を上昇させて、第1の保持部110で被処理ウェハWの非接合面Wを吸着保持する(図19の工程A2)。
【0100】
このように第1の保持部110で被処理ウェハWを吸着保持する際、上述したようにポーラスリング130から第1の保持部110の外周部に不活性ガスが供給される。このとき、複数の孔が形成されたポーラスリング130から不活性ガスが供給されるため、この不活性ガスの流速は抑えられたものとなる。これにより、不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことなく、不活性ガスのみが第1の保持部110の外周部に供給される。しかも、不活性ガスは、第1の保持部110と被処理ウェハWとの間の溝部122に対して供給されるので、当該溝部122の内部が不活性ガスの雰囲気とされる。そうすると、被処理ウェハの非接合面Wにデバイスが形成されていても、すなわち第1の保持部110の保持面121aと被処理ウェハの非接合面Wにとの間に隙間が生じている場合でも、当該隙間にはポーラスリング130から溝部122を介して供給された不活性ガスのみが流入する。したがって、加熱処理された被処理ウェハWの非接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0101】
その後、加熱機構128、151によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。これにより、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。このとき、ガス供給管191からの不活性ガスの供給も継続して行われている。すなわち、ガス供給管191、分散板193を介して、ポーラスプレート190の上面から不活性ガスが供給される。この際、複数の微細な孔が形成されたポーラスプレート190を介して不活性ガスを供給することにより、当該ポーラスプレート190から供給される不活性ガスの流速を抑えたものとすることができる。このため、不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことがない。したがって、ポーラスプレート190の上面側に、空気を含まない不活性ガスの雰囲気を形成することができる。また、分散板193の内部にはポーラスプレート190に向かって複数に分岐して設けられたガス流路194が形成されているので、ポーラスプレート190の上面側の全面から不活性ガスが均等に供給される。
【0102】
続いて、重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、移動機構170によって図25に示すように第2の保持部111と支持ウェハSを水平方向に移動させる。また、ポーラスプレート190は、支持体181により水平移動部172に支持されているため、当該水平移動部172の動作に伴い、第2の保持部111と同期して水平方向に移動する。
【0103】
この際、ポーラスプレート190と被処理ウェハWの接合面Wとの間は、例えば図25に示すように鉛直方向に所定の距離Lだけ離間しているので、ポーラスプレート190は被処理ウェハWの接合面Wに干渉することなく水平方向に移動する。このため、この移動により露出した被処理ウェハWの接合面Wは、ポーラスプレート190と距離Lだけ離れて対向した状態となる。そしてこの間、被処理ウェハWの接合面Wにはポーラスプレート190から不活性ガスが供給される。
【0104】
その後、引き続きポーラスプレート190からの不活性ガスの供給を継続した状態で第2の保持部111を水平方向に移動させ、図26に示すように第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとを剥離する(図19の工程A3)。この際、ポーラスプレート190は平面視において被処理ウェハWを覆うことのできる大きさに形成されているため、剥離が完了した被処理ウェハWの接合面Wにも引き続きポーラスプレート190からの不活性ガスが供給される。
【0105】
その後、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、図27に示すように第1の保持部110から第2の搬送装置32のベルヌーイチャック280に渡される。この被処理ウェハWの受け渡しに際しては、先ず、支持アーム281を伸長させて、ベルヌーイチャック280を第1の保持部110に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック280を上昇させ、第1の保持部110における吸引管124からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部110からベルヌーイチャック280に被処理ウェハWが受け渡される。その後、ベルヌーイチャック280を所定の位置まで下降させる。なお、被処理ウェハWはベルヌーイチャック280によって非接触の状態で保持される。このため、被処理ウェハWの接合面W上のデバイスが損傷を被ることなく被処理ウェハWが保持される。なお、このとき、第2の保持部111は第1の保持部110に対向する位置まで移動する。
【0106】
その後、図28に示すようにガス供給管125から被処理ウェハWの非接合面Wに不活性ガスを供給する。また、被処理ウェハWはベルヌーイチャック280に保持されており、当該ベルヌーイチャック280から被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスが供給されている(図19の工程A4)。このように被処理ウェハWに不活性ガスを所定の時間供給することによって、被処理ウェハWが所定の温度、例えば100℃〜150℃以下に冷却される。そして、被処理ウェハWの接合面Wと非接合面Wで酸化が進行しない状態となった後に、ガス供給管125からの不活性ガスの供給が停止される。
【0107】
なお、被処理ウェハWを冷却する際には、ポーラスリング130からの不活性ガスの供給を工程A3から継続して行ってもよい。かかる場合、不活性ガスは第1の保持部110に供給されるが、当該不活性ガスの一部は被処理ウェハWの非接合面Wに供給される。
【0108】
その後、所定の温度まで冷却された被処理ウェハWは、ポーラスチャック280に保持された状態で、図29に示すように第2の搬送装置32によって第1の洗浄装置31に搬送される。この被処理ウェハWの搬送に際しては、支持アーム281を回動させてベルヌーイチャック280を第1の洗浄装置31のポーラスチャック240の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック280を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック240をカップ244よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック280からポーラスチャック240に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
【0109】
このようにポーラスチャック240に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック240を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム251によって待機部255の洗浄液ノズル253を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック240によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル253から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される(図19の工程A5)。
【0110】
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0111】
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A5で接合面Wが洗浄された後、第3の搬送装置41によって検査装置7に搬送される。なお、この第3の搬送装置41による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0112】
検査装置7においては、被処理ウェハWの接合面Wにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図19の工程A6)。検査装置7において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置41により検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8aに搬送され、接合面洗浄部8aで接合面Wが洗浄される(図19の工程A7)。接合面Wが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置41によって反転部8cに搬送され、反転部8cにおいて上下方向に反転される。なお、接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄部8aに搬送されることなく反転部8cにて反転される(図19の工程A8)。
【0113】
その後、反転された被処理ウェハWは、第3の搬送装置41により再び検査装置7に搬送され、非接合面Wの検査が行われる(図19の工程A9)。そして、非接合面Wにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置41によって非接合面洗浄部8cに搬送され、非接合面Wの洗浄が行われる(図19の工程A10)。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置41によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄部8bに搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
【0114】
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図19の工程A11)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
【0115】
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A5で接合面Wが洗浄された後、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図19の工程A12)。
【0116】
被処理ウェハWに上述した工程A5〜A12が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面Sが洗浄される(図19の工程A13)。なお、第2の洗浄装置33における支持ウェハSの洗浄は、上述した第1の洗浄装置31における被処理ウェハWの洗浄と同様であるので説明を省略する。
【0117】
その後、接合面Sが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図19の工程A14)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0118】
以上の実施の形態によれば、工程A2及び工程A3において第1の保持部110で被処理ウェハWを保持する際、複数の孔が形成されたポーラスリング130から第1の保持部110の外周部に不活性ガスが供給される。これにより、上述したように第1の保持部110の保持面121aと被処理ウェハの非接合面Wにとの間の隙間に不活性ガスのみを供給することができる。したがって、加熱処理された被処理ウェハWの非接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0119】
また、第1の保持部110においてポーラス121の保持面121aの径が被処理ウェハWの径よりも小さいので、工程A3において加熱された接着剤Gが被処理ウェハWの周縁部の非接合面Wに回りこんだ場合でも、当該接着剤Gは溝部122に留まり、ポーラス121に付着することがない。このため、ポーラス121と被処理ウェハWが固着されるのを防止でき、工程A4において第1の保持部110からベルヌーイチャック280に被処理ウェハWを適切に受け渡すことができる。
【0120】
しかも、このように第1の保持部110と被処理ウェハWの間に形成された溝部122に対して、ポーラスリング130からの不活性ガスを水平に供給できるので、当該溝部122内を不活性ガスの雰囲気とすることができる。したがって、第1の保持部110の保持面121aと被処理ウェハの非接合面Wとの間の隙間により確実に不活性ガスのみを供給することができ、加熱処理された被処理ウェハWの非接合面Wの酸化をさらに抑制することができる。
【0121】
また、工程A1において、ガス供給管125から処理空間112に不活性ガスが供給されると共に、ガス供給管191からも待機空間218を介して処理空間112内に不活性ガスが供給される。しかも、処理空間112は第1のカバー200と第2のカバー201で覆われ、待機空間218は第3のカバー202で覆われており、処理空間112と待機空間218内を開口部220に向かう不活性ガスの気流が形成される。このため、処理空間112内を不活性ガスで充満することができ、当該処理空間112内の雰囲気を低酸素濃度に維持することができる。したがって、工程A1において被処理ウェハWの非接合面Wの酸化を抑制することができる。また、後続の工程A3においても、処理空間112内の雰囲気にを低酸素濃度できるので、被処理ウェハWの接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0122】
また、工程A3において、移動機構170により第2の保持部111を水平方向に移動させることで露出した被処理ウェハWの接合面Wに、ポーラスプレート190から不活性ガスを供給するので、剥離により露出した被処理ウェハWの接合面Wを不活性ガスの雰囲気とすることができる。これにより、加熱された被処理ウェハWの接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0123】
また、ポーラスプレート190は被処理ウェハWを覆うことができる大きさであるため、剥離した被処理ウェハWの接合面Wの全面に対して不活性ガスを供給することができる。このため、被処理ウェハWの全面にわたって酸化を抑制することができる。
【0124】
また、ポーラスプレート190の移動方向の端部には、平面視において被処理ウェハWの形状に沿って凹状に窪んだ窪み部190aが形成されているため、当該ポーラスプレート190を、平面視において被処理ウェハWに接する位置に配置することができる。このため、移動機構170を移動させることにより露出した被処理ウェハWの接合面Wに、直ちに不活性ガスを供給することができる。具体的には、移動機構170により第1の保持部110と第2の保持部111を水平方向に相対的に移動させると、被処理ウェハWの接合面Wは図30に示すように三日月状(図30において斜線で示す範囲)に露出する。この場合、ポーラスプレート190に窪み部190aを形成し、平面視において当該窪み部190aが被処理ウェハWと接するようにポーラスプレート190を配置することで、三日月状の露出部分の全面をポーラスプレート190で覆うことができる。したがって、露出した接合面Wの全面に直ちに不活性ガスを供給できる。なお、窪み部190aが平面視において被処理ウェハWの外周部と接するとは、窪み部190aの円弧の直径と被処理ウェハWの直径とが一致することで窪み部190aの全周にわたって接触しているということを意味するのではなく、剥離により被処理ウェハWの接合面Wが露出した際に、当該接合面Wが処理容器100内の雰囲気に曝されることなく、ポーラスプレート190の上方の不活性ガス雰囲気に覆われる程度にポーラスプレート190の窪み部190aと被処理ウェハWの外周部とが平面視において近接していることを意味している。
【0125】
また、工程A4において、ベルヌーイチャック280で保持された被処理ウェハWに対し、当該ベルヌーイチャック280から接合面Wに不活性ガスが供給されると共に、ガス供給管125から非接合面Wに不活性ガスが供給される。そして、被処理ウェハWが所定の温度まで適切に冷却されるので、その後被処理ウェハWの接合面Wと非接合面Wで酸化が進行することがない。しかも、被処理ウェハWの冷却に用いられるのは不活性ガスであるため、冷却中にも被処理ウェハWの接合面Wと非接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0126】
以上の実施の形態では、ポーラスリング130は、複数の孔から不活性ガスを水平に供給していたが、図31に示すように複数の孔から斜め上方に不活性ガスを供給するようにしてもよい。かかる場合、ポーラスリング130から溝部122に供給された不活性ガスは、本体部120の底面又はポーラス121の側面に衝突して溝部122内で対流し拡散する。そして、溝部122の内部が不活性ガスで充満される。したがって、第1の保持部110の保持面121aと被処理ウェハの非接合面Wとの間の隙間に不活性ガスのみを供給することができ、加熱処理された被処理ウェハWの非接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0127】
以上の実施の形態の接合装置30において、図32に示すように第3のカバー202にイオンガス供給管400が接続されていてもよい。イオンガス供給管400には、不活性ガスとして例えば窒素ガスをイオン化するイオナイザ401が設けられている。そして、例えば工程A1〜A3において、イオンガス供給管400から待機空間218内にイオン化された不活性ガスが供給され、当該待機空間218と処理空間112内を順次流通して開口部220から排気される。なお、不活性ガスとしては、酸素原子を含まないガスであればよく、本実施の形態の窒素ガスに限定されるものではない。
【0128】
かかる場合、工程A3において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際、イオン化された不活性ガスによって被処理ウェハWの剥離帯電を中和できる。すなわち、静電気による被処理ウェハWの損傷を防止することができる。また、イオンガス供給管400から待機空間218内に積極的にイオン化された不活性ガスを供給することによって、待機空間218と処理空間112内において開口部220に向かう不活性ガスの気流をより確実に形成することができる。このため、処理空間112内の被処理ウェハWの表面の酸化をさらに抑制することができる。
【0129】
なお、図示の例においては、イオンガス供給管400を第3のカバー202の天井部215に接続されているが、例えば第3のカバー202における開口部と反対側の端部であって、当該第3のカバー202の側壁部216に、イオンガス供給管400を接続してもよい。
【0130】
以上の実施の形態では、ポーラスリング130、ポーラスプレート190にはそれぞれ炭化ケイ素を用いていたが、これらの材質は本実施の形態に限定されるものではない。例えばポーラスリング130、ポーラスプレート190から不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことがない微細な複数の孔が形成されていれば、例えばテフロン(登録商標)などを用いてもよい。
【0131】
また、以上の実施の形態では、ポーラスプレート190と被処理ウェハWの接合面Wとの距離Lは2mmとしていたが、距離Lは0.5mm〜4mmの範囲であれば、被処理ウェハWの接合面Wに適切に不活性ガスを供給し、急激な酸化の進行を好適に抑制することができる。
【0132】
なお、以上の実施の形態では、ポーラスプレート190を被処理ウェハWの接合面Wに対して平行に配置していたが、ポーラスプレート190は必ずしも被処理ウェハWの接合面Wと平行である必要はなく、ポーラスプレート190と接合面Wとの間の距離Lが0.5mm〜4mmの間に保たれていれば、ポーラスプレート190が接合面Wに対して傾いて設けられていてもよい。
【0133】
また、以上の実施の形態の剥離装置30において、不活性ガス供給源127、132、195はそれぞれ別々に設けられていたが、共通の不活性ガス供給源を設けてもよい。
【0134】
以上の実施の形態では、工程A3において、第2の保持部111を第1の保持部110に対して相対的に水平方向に移動させたが、水平方向への移動に加えて、例えば第2の保持部111を鉛直方向に100μm移動させてもよい。例えば本実施の形態では、第2の保持部111の水平方向へ移動距離は300mmであり、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイス(バンプ)の高さは例えば20μmである。この場合、被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離は微小である。そのため、例えば第2の保持部111を水平方向にのみ移動させた場合、デバイスと支持ウェハSが接触し、デバイスが損傷を被るおそれがある。したがって、第2の保持部111を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部111の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上のデバイス(バンプ)の高さに基づいて適宜設定されるものであり、本実施の形態に限定されるものではない。
【0135】
なお、第2の保持部111に代えて、第1の保持部110を移動させてもよい。かかる場合も、第1の保持部110を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部110と第2の保持部111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。なお、ポーラスプレート190は、いずれの保持部110、111を移動させる場合においても、第1の保持部110に保持された被処理ウェハW、すなわち不活性ガスの供給の対象物に対して水平方向に相対的に移動するように構成されていればよく、移動の方法や、支持の方法については任意に設定することができる。例えば第1の保持部110を水平方向に移動させる場合、ポーラスプレート190は処理容器100の天井面に支持されていてもよいし、処理容器100の底面に支持されていてもよい。いずれの場合においても、被処理ウェハWが、ポーラスプレート190の上方を当該ポーラスプレート190と所定の距離L離間した状態で水平方向に移動すれば、露出した被処理ウェハWの接合面Wを不活性ガスの雰囲気とすることができる。
【0136】
また、工程A3において、第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させることに代えて、第2の保持部111を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部111の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部111を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部111を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部111の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部111の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。
【0137】
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
【0138】
また、剥離装置30において、処理空間112と待機空間218に供給される不活性ガスを加熱するための加熱手段、例えばヒータを設けてもよい。あるいは、ガス供給管125、191から供給される不活性ガスが予め加熱されていてもよい。そして、第1の保持部111および第2の保持部112とほぼ同じ温度(例えば200℃)の不活性ガスが、処理空間112および待機空間218に供給されるようにしてもよい。このような構成にすれば、重合ウェハTが不活性ガスにより冷却されることもなく、接着剤Gの軟化状態を維持できる。また、加熱された不活性ガスを供給するので、重合ウェハTが局所的に冷却されて重合ウェハTが部分的に収縮することを防止できるので、被処理ウェハW上の電子回路が損傷することもない。
【0139】
なお、不活性ガスを加熱する具体的な手法として、図33に示すようにポーラスプレート190には、分散板193の下面においてヒータ450が設けられている。例えばヒータ450は、フィルム状のヒータである。ヒータ450の下部にヒータ450を押さえるための押さえ板451を配置し、ヒータ450は分散板193と押さえ板451との間に挟まれる。また、ポーラスプレート190と、分散板193と、押さえ板451とは、加熱時の熱膨張の量がほぼ同程度の材料を用いるのがよい。例えば、全て同じ材料で作成してもよいし、多孔質材料である多孔質カーボンと、多孔質カーボンと熱膨張の量がほぼ同程度の金属である例えばチタン等で作成してもよい。なお、第1の保持部110にも加熱手段としてのヒータが設けられるが、当該ヒータは上記ヒータ450と同様であるので説明を省略する。
【0140】
また、図34と図35に示すように、ポーラスプレート190における複数の孔の孔づまりを監視するための監視手段500を設けてもよい。監視手段500は、ポーラスプレート190に設けられた複数の貫通孔501と、一端が貫通孔501に接続された配管502と、配管502の途中に配置された圧力計503とで構成される。なお、配管502の他端は開放されている。貫通孔501の直径は、小さいほうが好ましく、例えば1mmとする。そして、貫通孔501は、窪み部190aの端部と相似な線上に所定の間隔で設けられ、かつ複数列配置される。なお、貫通孔501の内面504は、コーティング処理などにより封止されている。
【0141】
そして、複数の貫通孔501毎に、圧力計503を設けて圧力を検知し、所定の値より圧力が小さくなったら、その貫通孔501の周辺のポーラスプレート190においても孔づまりが発生したとみなし、警告を行う。そして、剥離処理を停止して清掃作業を行う。このようにすれば、ポーラスプレート190の孔づまりを防止でき、常にポーラスプレート190から均一に不活性ガスを噴射することができる。
【0142】
なお、上述した形態では、圧力計503により室内との差圧を監視したが、配管502の他端に吸引ポンプ(図示せず)を接続し、圧力計503により絶対圧力を監視してもよい。
【0143】
なお、上述した実施形態の一部分を組み合わせて実施してもよく、同様の作用、効果を得ることが可能である。
【0144】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0145】
1 剥離システム
30 剥離装置
32 第2の搬送装置
110 第1の保持部
111 第2の保持部
112 処理空間
121 ポーラス
121a 保持面
122 溝部
124 吸引管
125 ガス供給管
128 加熱機構
130 ポーラスリング
151 加熱機構
170 移動機構
190 ポーラスプレート
190a 窪み部
200 第1のカバー
201 第2のカバー
202 第3のカバー
218 待機空間
220 開口部
280 ベルヌーイチャック
290 ガス噴出口
300 制御部
400 イオンガス供給管
401 イオナイザ
450 ヒータ
500 監視手段
G 接着剤
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ
接合面
非接合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置であって、
被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、
支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、
前記第1の保持部の外周部に沿って環状に設けられ、且つ複数の孔が形成され、被処理基板を保持した前記第1の保持部の外周部に対して不活性ガスを供給する多孔質部と、を有することを特徴とする、剥離装置。
【請求項2】
前記多孔質部は、不活性ガスが前記複数の孔から水平に供給されるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
前記多孔質部は、不活性ガスが前記複数の孔から斜め上方に供給されるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項4】
前記第1の保持部は、複数の孔が形成され、且つ被処理基板に当接して当該被処理基板を吸着保持するための多孔質体を有し、
前記多孔質体において被処理基板を保持する保持面の径は、被処理基板の径よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項5】
前記第1の保持部には、被処理基板を吸着保持するために吸引する吸引管と、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給管とが接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項6】
前記第1の保持部には、前記ガス供給管から供給される不活性ガスを加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の剥離装置。
【請求項7】
平面視において被処理基板を覆うことができる平板形状を有し、且つ複数の孔が形成され、前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に対して不活性ガスを供給する多孔質板を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項8】
前記多孔質板の移動方向の端部には、平面視において被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の剥離装置。
【請求項9】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質板を水平方向に移動させることを特徴とする、請求項7又は8に記載の剥離装置。
【請求項10】
前記多孔質板には、当該多孔質板から供給される不活性ガスを加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項11】
前記多孔質板には、当該多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視する監視手段が設けられていることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項12】
前記第1の保持部と前記第2の保持部には、当該第1の保持部と第2の保持部との間の空間を覆うように設けられた第1のカバーと第2のカバーがそれぞれ設けられ、
前記第1のカバーには、前記多孔質板を覆うように設けられた第3のカバーが設けられ、
前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて、前記第1の保持部又は前記第2の保持部の移動方向の端部は開口し、
前記第3のカバーにおいて、前記多孔質板の移動方向の端部は開口し、
前記第1のカバー、前記第2のカバー及び前記第3のカバーで囲まれる空間の雰囲気は、前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて前記第3のカバーと反対側に形成された開口部から排気されることを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項13】
前記第3のカバーには、当該第3のカバー内に、イオナイザによってイオン化された不活性ガスを供給するためのイオン化ガス供給管が接続されていることを特徴とする、請求項12に記載の剥離装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の剥離装置を備えた剥離システムであって、
前記剥離装置で剥離された被処理基板を搬送する搬送装置を有し、
前記搬送装置は、不活性ガスを噴出することによって被処理基板を保持するベルヌーイチャックを有することを特徴とする、剥離システム。
【請求項15】
剥離装置を用いて、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離方法であって、
前記剥離装置は、
被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、
支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、
前記第1の保持部の外周部に沿って環状に設けられ、且つ複数の孔が形成され、被処理基板を保持した前記第1の保持部の外周部に対して不活性ガスを供給する多孔質部と、を有し、
前記剥離方法は、
前記第1の保持部に保持された被処理基板と前記第2の保持部に保持された支持基板とを加熱しながら、前記移動機構によって前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて被処理基板と支持基板を剥離し、
前記第1の保持部で被処理基板を保持する際、前記多孔質部から前記第1の保持部の外周部に不活性ガスを供給することを特徴とする、剥離方法。
【請求項16】
前記第1の保持部は、複数の孔が形成され、且つ被処理基板に当接して当該被処理基板を吸着保持するための多孔質体を有し、
前記多孔質体において被処理基板を保持する保持面の径は被処理基板の径よりも小さく、前記第1の保持部と被処理基板とで溝部が形成され、
前記多孔質部からの不活性ガスは、前記溝部に対して水平に供給されることを特徴とする、請求項15に記載の剥離方法。
【請求項17】
前記第1の保持部は、複数の孔が形成され、且つ被処理基板に当接して当該被処理基板を吸着保持するための多孔質体を有し、
前記多孔質体において被処理基板を保持する保持面の径は被処理基板の径よりも小さく、前記第1の保持部と被処理基板とで溝部が形成され、
前記多孔質部からの不活性ガスは、前記溝部に対して斜め上方に供給されることを特徴とする、請求項15に記載の剥離方法。
【請求項18】
前記第1の保持部には、被処理基板を吸着保持するために吸引する吸引管と、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給管とが接続され、
前記第1の保持部で被処理基板を吸着保持する前に、前記ガス供給管から前記空間内に不活性ガスを供給することを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項19】
前記ガス供給管から前記空間内に供給される不活性ガスは加熱されていることを特徴とする、請求項18に記載の剥離方法。
【請求項20】
前記剥離装置は、平面視において被処理基板を覆うことができる平板形状を有し、且つ複数の孔が形成され、前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に対して不活性ガスを供給する多孔質板を有し、
被処理基板と支持基板を剥離する際、前記多孔質板を被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間させて、当該多孔質板から剥離により露出した被処理基板の接合面に不活性ガスを供給することを特徴とする、請求項15〜19のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項21】
前記多孔質板の移動方向の端部には、平面視において被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成され、
少なくとも被処理基板と支持基板の剥離開始前に、前記窪み部が平面視において被処理基板と接するように前記多孔質板を配置し、前記多孔質部からの不活性ガスの供給が開始されることを特徴とする、請求項20に記載の剥離方法。
【請求項22】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質板を水平方向に移動させることを特徴とする、請求項20又は21に記載の剥離方法。
【請求項23】
前記多孔質板から供給される不活性ガスは加熱されていることを特徴とする、請求項20〜22のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項24】
前記多孔質板に設けられた監視手段を用いて、当該多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視することを特徴とする、請求項20〜23のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項25】
前記第1の保持部と前記第2の保持部には、当該第1の保持部と第2の保持部との間の空間を覆うように設けられた第1のカバーと第2のカバーがそれぞれ設けられ、
前記第1のカバーには、前記多孔質板を覆うように設けられた第3のカバーが設けられ、
前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて、前記第1の保持部又は前記第2の保持部の移動方向の端部は開口し、
前記第3のカバーにおいて、前記多孔質板の移動方向の端部は開口し、
前記第1のカバー、前記第2のカバー及び前記第3のカバーで囲まれる空間の雰囲気は、前記第1のカバーと前記第2のカバーにおいて前記第3のカバーと反対側に形成された開口部から排気されることを特徴とする、請求項20〜24のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項26】
少なくとも被処理基板と支持基板の剥離開始前又は剥離中に、前記第3のカバーに接続されたイオン化ガス供給管から当該第3のカバー内に、イオナイザによってイオン化された不活性ガスを供給することを特徴とする、請求項25に記載の剥離方法。
【請求項27】
前記剥離装置で剥離された被処理基板は、不活性ガスを噴出するベルヌーイチャックに受け渡され保持されることを特徴とする、請求項15〜26のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項28】
請求項15〜27のいずれかに記載の剥離方法を剥離装置によって実行させるために、当該剥離装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項29】
請求項28に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−231126(P2012−231126A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−60125(P2012−60125)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】