説明

動・植物エキス溶液の製造方法、動・植物エキス溶液及びこれを含有してなる健康飲料・食品、化粧品又は医薬品

【課題】 抽出溶媒にアルコール等の有機溶媒を用いず、また、動・植物原料の抽出工程中は加熱操作を伴わずに常温のもとで効率よく水溶性エキス成分を抽出し得る方法を提供する。
【解決手段】 水、海洋深層水(脱塩したものを含む)及び/又は食酢に、トレハロース及び/又は含蜜糖を添加、溶解させた溶液中に、生理活性効果、抗癌性効果、生活習慣病予防効果、美肌効果、保湿効果のある動・植物原料、漢方薬の原料、民間薬として使用されている野草等を常温、常圧下に又は加圧下に一定期間浸漬処理を施して、健康飲料、化粧品又は医薬品として有用な植物エキス溶液を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレハロース及び/又は含蜜糖を共存させた水、海洋深層水(脱塩したものを含む、以下同じ)及び/又は食酢の媒体中に野菜、果実、きのこ、海藻などの生理活性効果、抗癌性効果、生活習慣病予防効果、美肌効果、保湿効果等のある動・植物原料、漢方薬の原料、民間薬として使用されている野草等を一定期間、浸漬処理し、不溶物残渣を分離、除去させてなる動・植物エキス溶液の製造方法、当該製造法によって得られた動・植物エキス溶液及びこれを含有してなる健康飲料・食品、化粧品又は医薬品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生理活性効果、抗癌性効果、美肌効果、保湿効果等の有効成分を含有する植物原料、例えば薬用人参、キャベツ等の野菜類、果実類、海藻類、きのこ類からのエキス成分を含有する健康飲料、化粧品又は医薬品が多数市販されているが、成分を抽出する方法は一般に熱水抽出、アルコール等の溶剤抽出、水蒸気蒸留などによって行われている。熱水抽出、水蒸気蒸留では熱で壊れやすいビタミン類、抗癌性成分や他の有効成分の損失が免れ得ないし、アルコール抽出法では、製品中にアルコールが含有しているため、アルコールに弱い人には利用できないという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、抽出溶媒にアルコール等の有機溶媒を用いず、また、動・植物原料の抽出工程中は加熱操作を伴わずに常温のもとで動・植物原料から効率よく水溶性エキス成分を抽出する方法、該水溶性エキス成分を含有する溶液、これを含有してなる健康飲料・食品、化粧品又は医薬品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上述した課題を解決すべく鋭意研究をした結果、水、海洋深層水又は食酢のいずれか、又はこれらのうちの2種以上を混合したものにトレハロース及び/又は含蜜糖を添加し、溶解させた溶液中に動・植物原料を常温のもとで一定期間、浸漬処理すれば、従来の抽出方法に比べ簡便、かつ低コストで水溶性エキス成分を含有する溶液が得られ、健康飲料・食品、化粧品又は医薬品の用途に好適に供し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の内容を包含する。
【0005】
本発明の第1は、水、海洋深層水及び食酢から選ばれた少なくとも1種の媒体にトレハロース及び/又は含蜜糖を添加溶解させた溶液中に生理活性効果、抗癌性効果、生活習慣病予防効果、美肌効果、保湿効果等のある動・植物原料を常温、常圧下に又は加圧下に一定期間浸漬処理を施した後、不溶物残渣を分離、除去することを特徴とする動・植物エキス溶液の製造方法である。
【0006】
本発明の第2は、水、海洋深層水及び食酢から選ばれた少なくとも1種の媒体1リットル当たり、トレハロース及び/又は含蜜糖を200〜1300gの割合で添加溶解させてなる溶液中に食品・植物原料を浸漬処理する動・植物エキス溶液の製造方法である。
【0007】
本発明の第3は、食酢が、果実酢、もろみ酢、黒酢及び穀物酢からなる群から選ばれた醸造酢である動・植物エキス溶液の製造方法である。
【0008】
本発明の第4は、動・植物原料が、にんにく、にんじん、朝鮮人参、田七人参、シソ、よもぎ、明日葉、キャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、玉ねぎ、ほうれんそう、アロエ、ドクダミ、米ぬか、はと麦、マイタケ、シメジ、シイタケ、きくらげ、熊笹、アガリクス、メシバコブ、霊芝、昆布、ワカメ、バナナ、グレープフルーツ、みかん、レモン、ゆず、いちご、さつまいも、じゃがいも、うこん、海苔、落花生、キュウリ、ラッキョウ、大麦若葉、クコ、甘草、スイカ、サメ軟骨、スッポン、ホタテ貝、カキ、鶏卵、うこん葉、檜の木屑、クロレラ、ローズマリー、緑茶、ラベンダー、桑白皮及びバラの花中から選ばれた少なくとも1種である動・植物エキス溶液の製造方法である。
【0009】
本発明の第5は、上記第1、2、3又は4発明の方法によって得られた動・植物エキス溶液である。
【0010】
本発明の第6は、上記第5発明の動・植物エキス溶液において、にんにく、にんじん、朝鮮人参、田七人参、シソ、よもぎ、明日葉、キャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、玉ねぎ、ほうれんそう、アロエ、ドクダミ、はと麦、マイタケ、シメジ、シイタケ、きくらげ、熊笹、アガリクス、メシバコブ、霊芝、昆布、ワカメ、バナナ、グレープフルーツ、みかん、レモン、ゆず、いちご、さつまいも、じゃがいも、クロレラ、海苔、落花生、キュウリ、ラッキョウ、大麦若葉、クコ、甘草、スイカ、サメ軟骨、スッポン、ホタテ貝、カキ、鶏卵及び緑茶の中から選ばれた少なくとも1種の動・植物原料から製造された動・植物エキス溶液を含有してなる健康飲料・食品である。
【0011】
本発明の第7は、上記第6発明の健康飲料に蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリス、紅茶飲料、コーヒー飲料、果汁又は牛乳を配合してなる混合飲料である。
【0012】
本発明の第8は、上記第5発明の動・植物エキス溶液において、干しシイタケ、乾燥昆布、レモン、アロエ、米ぬか、大豆、乾燥うこん葉、檜の木屑、ラベンダー、甘草、よもぎ、明日葉、ローズマリー、桑白皮、ハトムギ、ドクダミ、シソ、緑茶及び乾燥バラの花の中から選ばれた少なくとも1種の植物原料から製造された植物エキス溶液を含有してなる化粧品である。
【0013】
本発明の第9は、蜂蜜、ローヤルゼリー及びプロポリスのうちの少なくとも1種を更に配合してなる上記第8発明の化粧品である。
【0014】
本発明の第10は、ローション、植物油脂又は動物油脂で乳化されたクリームもしくは乳液である上記第8又は9発明の化粧品である。
【0015】
本発明の第11は、上記第5発明の動・植物エキス溶液において、漢方薬の原料であるケイヒ、コウカ、ジオウ、シヤクヤク、チョウジ、ニンジン、ボウフウ、ウコン、ヤクモソウ、ウショウ、インヨウカク、トチュウ、ニクショウヨウ、レイシ、アガリクス、熊笹、ドクダミ、クコ、サメ軟骨、スッポン及びカキの中から選ばれた少なくとも1種の動・植物原料から製造された動・植物エキス溶液を含有してなる医薬品である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果について列挙すれば、次のとおりである。すなわち、
(1)本発明においてはトレハロース・含蜜糖溶液の浸透圧と食酢、海洋深層水、水の溶媒としての機能を利用して動・植物原料に含まれる有効成分を効果的に抽出するところに特色があり、加熱工程がないため、熱で壊れやすいビタミン類や他の有効成分を抽出することができ、健康飲料・食品、化粧品又は医薬品として好ましい製品を安価に提供することができる。また、熱水抽出、アルコール等の溶剤抽出、水蒸気蒸留などに比べ省エネ効果があり、コスト低く、製法が極めて簡単であるとともに必要に応じて多くの動・植物原料のエキスを同時かつ一挙に抽出することができる。
(2)抽出手段として使うトレハロース、含蜜糖、海洋深層水、食酢などには次のような多くの機能がある。
1)トレハロースには蛋白質の変性抑制、脂質の変敗防止、澱粉老化抑制
などがあるため、製品の品質保持期間を長くできる。
トレハロースには保湿効果が認められており、血糖値の上昇がゆるや
か、虫歯になりにくい、きのこから抽出したトレハロースには抗癌効
果がある、骨粗しょう症に効果があるなど多くの機能がある。また、
ガンを予防する抗酸化物質「ポリフェノール」を安定させる効果があ
る。
2)含蜜糖、とくに黒砂糖は、カルシウム、リン、鉄などのほか中性脂肪
の生成を抑制するオクタコサノール、動脈硬化、肝臓障害、高血圧、
ガン等を予防するラフィノースを含有している。
3)海洋深層水は、カルシウム、マグネシウム、カリウムなど多くのミネ
ラルを含み、健康によい。
4)食酢、特にリンゴ酢はカリウムを豊富に含むため高血圧の予防に効果
があるほか、カルシウムを吸収しやすくするとともに疲労回復、食中
毒予防などに効果がある。また、もろみ酢、黒酢に含まれるアミノ酸、
クエン酸は疲労回復、代謝促進機能効果がある。玄米黒酢には美肌・
美白効果がある。黒酢の産地、鹿児島県福山町では黒酢を水に薄めて
洗顔している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施態様において、水、海洋深層水及び/又は食酢1リットル当たり、トレハロース及び/又は含蜜糖を200〜1300g、好ましくは効率的抽出の点で700〜1000gの割合で添加、溶解させた溶液に動物、植物原料を常温の下で一定期間浸漬し、有効成分を抽出した後、不溶物残渣をろ過または遠心分離などにより除去する。この間、加熱工程を加えない。尚、浸漬期間を短縮するために密閉状態の下で加圧抽出を行ってもよい。海洋深層水としては脱塩したものが好ましく用いられる。含蜜糖は、砂糖の製造工程において結晶と糖蜜を分離しないものであって、代表的なものとして黒糖、和三盆等が挙げられる。
【0018】
除去した不溶物残渣には有効成分が残留しているので、これを圧搾して残留成分を抽出後、更に必要に応じて水に浸し加圧釜で熱水抽出し、そのエキスも合わせて利用する場合も本発明の実施態様に包含される。
【0019】
トレハロース・含蜜糖濃度が17重量%未満ではトレハロース・含蜜糖含有溶液の浸透圧が弱く、他方、57重量%を超えた場合は溶解が困難となる観点から好ましくはない。
【0020】
常温、常圧下での浸漬期間は、使用する動・植物原料の種類及び形態、媒体の種類によって異なり、植物原料を例に取れば、大豆、ショウガ、ニンジン、アロエについて1〜2ヶ月、霊芝、アガリクス、朝鮮人参、田七人参、エゾウコギ、熊笹などについては2〜6ヶ月、その他のものは3週間〜2ヶ月である。常温、加圧下、例えば2気圧に加圧した場合は3日〜3週間である。
【0021】
抽出効率を考慮すると、動・植物原料を細かく破砕または擦りおろしたものを用いるのが好ましい。また、霊芝、朝鮮人参、田七人参、昆布については乾燥粉末を使用するのが好ましい。
【0022】
健康飲料・食品に供するための植物原料としては、下記(i)〜(x)群のうちの1種又は2種以上の植物原料を使用する。
(i)にんにく、にんじん、朝鮮人参、田七人参、シソ、よもぎ、明日葉、キ
ャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、玉ねぎ、ほうれんそう、キュウリ、
ラッキョウ、落花生、大麦若葉などの野菜
(ii)マイタケ、シメジ、シイタケ、アガリクス、メシバコブ、霊芝などの
きのこ類
(iii)昆布、ワカメなどの海藻
(iv)バナナ、グレープフルーツ、みかん、レモン、ユズ、いちご、スイカ
などの果実
(v)松葉
(vi)エゾウコギ
(vii)さつまいも、じゃがいもなどのいも類
(viii)米ぬか、はと麦
(ix)アロエ、ドクダミ
(x)熊笹、甘草
【0023】
現在市販されている一般の健康飲料・食品は、原材料として1品目、多くても3品目しか使用していないが、本製品のように抗癌効果のほか高血圧、動脈硬化など生活習慣病に効く多数の動・植物原料を使用する場合には、他の品目が持たない機能を相互に補完し合う強力な相乗効果を期待できる。ところで、本発明において使用する上記動・植物原料はいずれも抗癌効果、生活習慣病予防効果を有するものである(永山祐三著「抗がん食品辞典」、(株)主婦と生活社2003年発行、西崎統監修「健康食品バイブル」(株)主婦と生活社2005年発行、主婦の友社編「血圧がみるみる下がる100のコツ」2005年発行)。
【0024】
食酢を浸漬媒体に使用した場合には、製品の酸味を緩和し、健康飲料として飲み易くするために、抽出工程完了後にリンゴジュース、グレープジュース等の果汁の他、紅茶、コーヒー、牛乳などを添加する。更に必要に応じて蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリスなどを配合してもよい。本発明の飲料製品と混合するリンゴジュース、グレープジュース、茶などにも抗癌効果等が認められている。
【0025】
化粧品に供するための植物原料としては、干しシイタケ、乾燥昆布、レモン、アロエ、米ぬか、大豆、乾燥うこん葉、檜の木屑、ラベンダー、甘草、よもぎ、明日葉、ローズマリー、桑白皮、ハトムギ、ドクダミ、シソ、緑茶及び乾燥バラの花の中から選ばれた1種又は2種以上の植物原料を使用する。これらは、下記に示すように化粧効果が認められており、また、入手しやすく、天然素材であるため安全である。
干しシイタケ;ビタミンDを補給することによる紫外線対策
乾燥昆布;美白・保湿効果
レモン;シミを除去
アロエ;皮膚トラブルに優れた効果、保湿効果
米ぬか;皮膚の油分を保持し、シミ・ソバカスを防止
大豆;コラーゲンを新生、美白効果、皮脂腺抑制
乾燥うこん葉;含有するクルクモール、クルジオン、クルクメノン、ネオクル
ジオンの4成分は、紫外線によるシミの発生を阻害し、コラーゲン、ヒアル
ロン酸の減少による皮膚の老化防止に顕著な効果
檜の木屑;紫外線対策として効果があるメタロチオネインを増やす
ラベンダー;にきび予防、保湿効果、天然の防腐剤
甘草;シミ・ソバカスを薄くする効果
明日葉;肌の生まれ変わりを早める
ローズマリー;欧州では昔から化粧品原料として珍重されている
桑白皮;シミ・ソバカスの原因となるメラニン色素の生成を効果的に抑制
ハトムギ;皮膚機能を活発にしてシミ・ソバカスを防止
ドクダミ;皮膚トラブル、皮脂のコントロールに有効
シソ;トラブルの多い肌の必需品
緑茶;肌にゆるやかな作用
バラの花;香料
【0026】
上記植物原料から製造された植物エキス溶液を化粧品として利用する場合、該植物エキス溶液をそのまま或いは希釈し、必要に応じてローヤルゼリー等を添加混合してローションとする他、さらに該植物エキス溶液をオリーブオイル、ミンクオイル等の植物油脂、動物油脂で乳化してクリーム、乳液とする。尚、ローヤルゼリーには保湿・美白効果があり、ミンクオイルには肌荒れ防止、紫外線防止と皮膚の保護、角質除去効果がある。
【0027】
医薬品に供するための動・植物原料としては、漢方薬の原料であるケイヒ、コウカ、ジオウ、シヤクヤク、チョウジ、ニンジン、ボウフウ、ウコン、ヤクモソウ、ウショウ、インヨウカク、トチュウ、ニクショウヨウ、レイシ、アガリクス、民間薬として使用されている熊笹、ドクダミ、クコ、サメ軟骨、スッポン、カキ等の中から選ばれた1種又は2種以上の動・植物原料を使用する。
【0028】
生薬を原酒に漬け込んで製造した薬用酒(医薬品として認可されている)は既に存在するが、これに比べて製造方法が簡単でコストが安い。アルコールに弱い人でも飲用可能である、溶媒の一つとして使用する食酢には、血圧降下作用、抗がん作用などがある。特にリンゴ酢に蜂蜜を加えた飲料は、バーモント療法としてがん治療に使用されている。トレハロースは骨粗しよう症を予防し、黒糖は動脈硬化、肝臓障害、高血圧等を予防する。海洋深層水に含まれる多くのミネラルは健康によい等の特徴を具備した医薬品を提供することができる。
【0029】
以下、実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1〜4
リンゴ酢(リンゴ酢、(株)ミツカン製、酸度5.0%)500ml及び脱塩海洋深層水(「海の深層水」商品名(赤穂化成(株)製)500mlにトレハロース1kgを加えた溶液を2リットル容ガラス瓶に投入し、そこに水洗、切断したキャベツ(サイズ:長さ5cm程度、巾1cm程度)1kgを投入し浸漬させた。トレハロースの沈澱層がなくなるまで1日1回撹拌してトレハロースの溶解を促進し、常温、常圧の下で3週間(2気圧に加圧した場合は3日)貯蔵し、不溶物を濾別して可溶性エキスを得た。一方、不溶物(残渣)を圧搾して残留成分を抽出後、500mlの水に浸し、高圧釜で20分間熱水抽出した。そのエキスを上記で得た可溶性エキスと合わせ、これにローヤルゼリーを添加し、撹拌した。飲み易くするために、紅茶を倍量加え、10分間撹拌して飲料を得た。
本実施例においてキャベツ代わりにセロリ、玉ねぎ、みかんそれぞれを使用し、同様な操作を繰り返して健康飲料を得た。
【0031】
実施例5〜7
リンゴ酢500ml及び脱塩海洋深層水500mlにトレハロース500g、黒糖500gを加えた溶液を2リットル容ガラス瓶に投入し、そこに脱皮、水洗、切断したにんじん(サイズ:長さ5cm程度、巾2cm程度)1kgを投入し浸漬させた。トレハロースの一部は当初沈澱するので、沈澱層がなくなるまで1日1回撹拌してトレハロースの溶解を促進し、常温の下で1.5ヶ月(2気圧に加圧した場合は5日)貯蔵し、不溶物を濾別して可溶性エキスを得た。一方、不溶物(残渣)を圧搾して残留成分を抽出後、水500mlに浸し、高圧釜で20分間熱水抽出した。そのエキスを上記で得た可溶性エキスと合せ、グレープフルーツジュースを倍量加え、10分間撹拌して健康飲料を得た。
本実施例においてにんじんの代わりににんにく、ショウガそれぞれを使用し、同様な操作を繰り返して健康飲料を得た。
【0032】
実施例8〜12
黒酢(米黒酢、(株)ミツカン製、酸度4.5%)500ml及び脱塩海洋深層水500mlにトレハロース1kgを加えた溶液を2リットル容ガラス瓶に投入し、そこに長さ5cm程度に切断した霊芝200gを投入し浸漬させた。トレハロースの沈澱層がなくなるまで1日1回撹拌してトレハロースの溶解を促進し、常温の下で2ヶ月(2気圧に加圧した場合は2週間)貯蔵し、不溶物を濾別して可溶性エキスを得た。一方、不溶物(残渣)を圧搾して残留成分を抽出後、水1リットルに浸し、高圧釜で40分間熱水抽出した。そのエキスを上記で得た可溶性エキスと合わせ、これにローヤルゼリーを添加し、撹拌した。飲み易くするために、リンゴジュースを倍量加え、10分間撹拌して健康飲料を得た。
本実施例において霊芝の代わりに朝鮮人参、田七人参、エゾコウキ、熊笹それぞれを使用し、同様な操作を繰り返して健康飲料を得た。
【0033】
実施例13
黒酢500ml及び脱塩海洋深層水500mlに黒糖1kgを加えた溶液を2リットル容ガラス瓶に投入し、そこに長さ5cm程度に切断した乾燥昆布300gを投入し、浸漬させた。トレハロースの沈澱層がなくなるまで1日1回撹拌してトレハロースの溶解を促進し、常温の下で1ヶ月(2気圧に加圧した場合は5日)貯蔵し、不溶物を濾別して可溶性エキスを得た。一方、不溶物(残渣)を圧搾して残留成分を抽出後、水1リットルに浸し、高圧釜で20分間熱水抽出した。そのエキスを上記で得た可溶性エキスと合わせ、これに蜂蜜を添加し、撹拌した。飲み易くするために、日本茶を倍量加え、10分間撹拌して健康飲料を得た。
【0034】
実施例14
本実施例において食酢を使用せずに媒体に脱塩海洋深層水のみを用いた。
脱塩海洋深層水1リットルにトレハロース500g、黒糖500gを加えた溶液を2リットル容ガラス瓶に投入し、そこに長さ5cm程度切断したキャベツ1kgを投入し浸漬させた。トレハロースの沈澱層がなくなるまで1日1回撹拌してトレハロースの溶融を促進し、常温の下で3週間(2気圧に加圧した場合は3日)貯蔵し、不溶物を濾別して可溶性エキスを得た。一方、不溶物(残渣)を圧搾して残留成分を抽出後、水500mlに浸し、高圧釜で20分間熱水抽出した。そのエキスを上記で得た可溶性エキスを合わせ、これにローヤルゼリーを添加し10分間撹拌して飲料を得た。
【0035】
実施例15
(1)干しシイタケ200g、乾燥昆布200g、レモン1kg、アロエ1
kg、米ぬか200g、大豆200g、乾燥うこん葉400g、檜の
木屑200g、ラベンダー150g及び乾燥バラの花150gを用意
する。
(2)各植物原材料1単位当たり玄米黒酢500ml(総量5.0リットル
)及び脱塩海洋深層水500ml(総量5.0リットル)にトレハロ
ース1kg(総量10kg)を加えた溶液を貯蔵槽に投入する。
(3)干しシイタケ、乾燥昆布、レモン、アロエ、乾燥うこん葉を細かく裁
断し、他の原材料と共に(2)の溶液に浸漬する。
(4)1日1回撹拌しトレハロースの溶融を促進させる。
(5)常温の下で3週間以上2ヶ月以内(加圧した場合は短縮)貯蔵し、エキ
スを抽出する。
(6)ろ過器で固形物を除去する。
(7)固形物を圧搾してエキスを抽出する。
(8)(5)のエキス含有溶液に(7)のエキスを加え、これにローヤルゼ
リーを添加する。
(9)(8)の溶液にミンクオイル20%、乳化剤として卵黄レシチンを1
0%加え混合してクリームを製造する。
【0036】
実施例16
(1)漢方薬の原料としてケイヒ、コウカ、ジオウ、シヤクヤク、チョウジ、ニ
ンジン、ボウフウ、ウコン、ヤクモソウ、ウショウ、インヨウカク、トチ
ュウ、ニクショウヨウ、レイシ、アガリクス各200g用意する。
(2)各植物原材料1単位当たりリンゴ酢500ml(総量7.5リットル)及
び脱塩海洋深層水500ml(総量7.5リットル)にトレハロース1k
g(総量15kg)を加えた溶液を貯蔵槽に投入する。
(3)(1)の原料を細かく裁断し、(2)の溶液に浸漬する。
(4)1日1回撹拌しトレハロースの溶融を促進させる。
(5)常温の下で2ヶ月以上1年以内(加圧した場合は短縮)貯蔵し、エキスを抽
出する。
(6)ろ過器で固形物を除去する。
(7)固形物を圧搾してエキスを抽出する。
(8)圧搾後の固形物を高圧鍋で約1時間熱水抽出する。
(9)(5)のエキス含有溶液に(7)と(8)のエキスを加え、約1/4にな
るまで濃縮して薬用液を製造する。
【0037】
実施例17
(1)レモン1kgを用意する。
(2)リンゴ酢500ml及び脱塩海洋深層水500mlにトレハロース1kg
を加えた溶液を貯蔵槽に投入する。
(3)(1)のレモンを圧搾し、搾汁液と圧搾後のレモンを(2)の溶液に浸漬
する。
(4)1日1回撹拌しトレハロースの溶融を促進させる。
(5)常温の下で3週間以上1.5ヶ月以内(加圧した場合は短縮)貯蔵し、エキ
スを抽出する。
(6)ろ過器で固形物を除去して清涼飲料を製造する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、海洋深層水及び食酢から選ばれた少なくとも1種の媒体にトレハロース及び/又は含蜜糖を添加溶解させた溶液中に生理活性効果、抗癌性効果、生活習慣病予防効果、美肌効果、保湿効果等のある動・植物原料を常温、常圧下に又は加圧下に一定期間浸漬処理を施した後、不溶物残渣を分離、除去することを特徴とする動・植物エキス溶液の製造方法。
【請求項2】
水、海洋深層水及び食酢から選ばれた少なくとも1種の媒体1リットル当たり、トレハロース及び/又は含蜜糖を200〜1300gの割合で添加溶解させてなる溶液中に動・植物原料を浸漬処理する請求項1記載の動・植物エキス溶液の製造方法。
【請求項3】
食酢が、果実酢、もろみ酢、黒酢及び穀物酢からなる群から選ばれた醸造酢である請求項1記載の動・植物エキス溶液の製造方法。
【請求項4】
動・植物原料が、にんにく、にんじん、朝鮮人参、田七人参、シソ、よもぎ、明日葉、キャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、玉ねぎ、ほうれんそう、アロエ、ドクダミ、米ぬか、はと麦、マイタケ、シメジ、シイタケ、きくらげ、熊笹、アガリクス、メシバコブ、霊芝、昆布、ワカメ、バナナ、グレープフルーツ、みかん、レモン、ゆず、いちご、さつまいも、じゃがいも、うこん、海苔、落花生、キュウリ、ラッキョウ、大麦若葉、クコ、甘草、スイカ、サメ軟骨、スッポン、ホタテ貝、カキ、鶏卵、うこん葉、檜の木屑、クロレラ、ローズマリー、緑茶、ラベンダー、桑白皮及びバラの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の動・植物エキス溶液の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の方法によって得られた動・植物エキス含有溶液。
【請求項6】
請求項5記載の動・植物エキス溶液において、にんにく、にんじん、朝鮮人参、田七人参、シソ、よもぎ、明日葉、キャベツ、大豆、ショウガ、セロリ、玉ねぎ、ほうれんそう、アロエ、ドクダミ、はと麦、マイタケ、シメジ、シイタケ、きくらげ、熊笹、アガリクス、メシバコブ、霊芝、昆布、ワカメ、バナナ、グレープフルーツ、みかん、レモン、ゆず、いちご、さつまいも、じゃがいも、クロレラ、海苔、落花生、キュウリ、ラッキョウ、大麦若葉、クコ、甘草、スイカ、サメ軟骨、スッポン、ホタテ貝、カキ、鶏卵及び緑茶の中から選ばれた少なくとも1種の動・植物原料から製造された動・植物エキス溶液を含有してなる健康飲料・食品。
【請求項7】
請求項6記載の健康飲料に蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリス、紅茶飲料、コーヒー飲料、果汁又は牛乳を配合してなる混合飲料。
【請求項8】
請求項5記載の動・植物エキス溶液において、干しシイタケ、乾燥昆布、レモン、アロエ、米ぬか、大豆、乾燥うこん葉、檜の木屑、ラベンダー、甘草、よもぎ、明日葉、ローズマリー、桑白皮、ハトムギ、ドクダミ、シソ、緑茶及び乾燥バラの花の中から選ばれた少なくとも1種の植物原料から製造された植物エキス溶液を含有してなる化粧品。
【請求項9】
蜂蜜、ローヤルゼリー及びプロポリスのうちの少なくとも1種を更に配合してなる請求項8記載の化粧品。
【請求項10】
ローション、植物油脂又は動物油脂で乳化されたクリームもしくは乳液である請求項8又は9記載の化粧品。
【請求項11】
請求項5の食品・植物エキス溶液において、漢方薬又は民間薬の原料であるケイヒ、コウカ、ジオウ、シヤクヤク、チョウジ、ニンジン、ボウフウ、ウコン、ヤクモソウ、ウショウ、インヨウカク、トチュウ、ニクショウヨウ、レイシ、アガリクス、熊笹、ドクダミ、クコ、サメ軟骨、スッポン及びカキの中から選ばれた少なくとも1種の動・植物原料から製造された動・植物エキス溶液を含有してなる医薬品。

【公開番号】特開2006−320308(P2006−320308A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263884(P2005−263884)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(505146445)有限会社裕峯 (2)
【Fターム(参考)】