説明

包装装置、包装方法、包装体

【課題】保持用開口を設けるために高価な刃物を必要とせずそのためのメンテナンスも不要となって製造コストを低減し、かつ取扱い易い包装体を形成する包装装置を提供する。
【解決手段】フィルムシート2の、後端溶着部5と投入済の被包装物3の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段9を設ける。フィルムシート2の加熱開口部分と被包装物3の後端との間を幅方向全体にわたって熱溶着する横溶着手段10を設ける。フィルムシート2の折り合わされて互いに重なり合っている部分の横溶着部分から先端迄の部分を搬送方向に熱溶着する縦溶着手段11を設ける。この包装装置としては、これらのほかに、後端溶着部5を形成する後端溶着手段13と、包装済の包装体1を次工程方向へ搬送する搬送手段12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚のフィルムシートを折り合わせて熱溶着し袋状となっている中へ被包装物を投入し、この被包装物の後端側を熱溶着して包装する包装装置、包装方法、包装体の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
1枚のフィルムシートを折り合わせて熱溶着し袋状とした中に、被包装物を投入しその後端側を溶着して包装する包装装置が開発されている。
このような包装装置について、まず、その第1の例を説明する。
この第1の例では、1つのフィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、折り合わせてその先端部分が前回の包装動作で熱溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物を投入して、この被包装物の後端側を熱溶着し包装する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような包装装置で形成された包装体は、どこかに引っかけて陳列したり、手にぶら下げて持ち運びしようとすることがよくあるので、この包装体のどこかに、開口された部分があると、その部分を引っかけたりぶら下げることができて便利である。
しかしながら、上記包装装置では、その構成を簡単にし、かつ単純な操作で包装ができる、というメリットを優先しているため包装体に対し開口した部分を形成する、という構成はなく、従って、包装体を陳列したり持ち運びするには不便である。
【0004】
これに対し、包装体に開口部分を形成するようにした包装装置が開発されている。この包装装置(第2の例)では、包装体に対し、熱溶着するのと同時に、パンチを用いて穴をあける構成となっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−290434号公報(図1,図2)
【特許文献2】特開昭59−115205号公報(第1図,第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した背景技術における第1の例では、包装体に対し開口部分を形成するための構成はなく、第2の例では、包装体に穴をあける構成はあるものの、その穴明け手段としてパンチを用いており、このようなパンチを用いた構成では、パンチ及びその周辺機構が高価となる上、軟質のフィルムをきれいに開口するためには、特にフィルムに当接する部分に対し、鋭利さを保持するためのメンテナンスが欠かせないため、そのための保守が必要になる、という問題点がある。
【0006】
また、開口した縁の部分は、重なり合っているフィルム間が溶着されていないので、これらフィルムが分離してしまい、包装体が取扱いにくくなる、という問題点がある。
【0007】
本発明の課題は、上記背景技術の問題点に鑑みて、パンチのような高価な刃物を必要とせず、従ってそのためのメンテナンスも不要な包装装置、包装方法、包装体を提供することにあり、また、開口部分のフィルムが分離することなくて取扱い易い包装体を形成することができる包装装置、包装方法、包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の第1の構成は、フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入され、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する包装装置であって、
前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間をシートの重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段を設けたことを特徴とする包装装置である。
【0009】
本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、前記加熱開口手段は、その断面形状に熱溶断する溶断ヒータの先端が、後端側熱溶着用のヒータよりもフィルムシートの方に突出していることを特徴とする包装装置である。
【0010】
本発明の第3の構成は、前記第1の構成又は第2の構成において、前記加熱開口手段が、前記後端側熱溶着用の手段と駆動源を共用し、かつ駆動伝達機構の一部が共通となっており、この駆動源により同時に動作する構造であることを特徴とする包装装置である。
【0011】
本発明の第4の構成は、前記第1の構成乃至第3の構成の何れか1つの構成において、前記加熱開口手段は、その溶断ヒータの搬送方向上流側と下流側とでフィルムシートを押えて固定する押え部材を有することを特徴とする包装装置である。
【0012】
本発明の第5の構成は、フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入され、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する包装装置であって、前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間を、シートの重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段と、前記フィルムシートの、前記加熱開口手段で開口された部分と投入済の前記被包装物の後端部分との間を幅方向全体にわたって熱溶着する横溶着手段と、を設けたことを特徴とする包装装置である。
【0013】
本発明の第6の構成は、前記第5の構成において、前記横溶着手段は、前記フィルムシートを熱溶着する溶着ヒータのフィルムシートに接触する面が平坦に形成された構造であることを特徴とする包装装置である。
【0014】
本発明の第7の構成は、フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入され、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する包装装置であって、前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段と、前記フィルムシートの、前記加熱開口手段で開口された部分と投入済の前記被包装物の後端部分との間を幅方向全体にわたって熱溶着する横溶着手段と、前記フィルムシートの、折り合わされて互いに重なり合っている部分の横溶着部分から先端迄の部分を搬送方向に熱溶着する縦溶着手段と、を有することを特徴とする包装装置である。
【0015】
本発明の第8の構成は、フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入する工程と、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する工程とを含む包装方法であって、前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口工程と、前記後端側熱溶着部分で分離する工程と、を有することを特徴とする包装方法である。
【0016】
本発明の第9の構成は、1枚のフィルムシートをその幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせ、折目方向に直交する前後の辺部分が溶着されて袋状となっている中に被包装物が収納された包装体であって、前記フィルムシートの前記直交する前後の辺部分のいずれか一方の内側にシートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広い穴が開口し、かつこの開口部分の縁では重なり合っているシートが接合されていることを特徴とする包装体である。
【0017】
本発明の第10の構成は、前記第9の構成において、フィルムシートの開口部分と被包装物との間を折目方向に直交する方向に熱溶着しシールした横シール部を有することを特徴とする包装体である。
【0018】
本発明の第11の構成は、前記第9の構成又は第10の構成において、フィルムシートの幅方向の両端が折り合わされて互いに重なり合っている部分を、折目方向と平行に熱溶着しシールした縦シール部を有することを特徴とする包装体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の構成における包装装置では、幅方向の両端側から内側へ折り合わせて袋状となっているフィルムシートの中へ被包装物が投入され、このフィルムシートの、搬送方向後端側の熱溶着部分と被包装物の後端との間を、シートの重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段を設けたので、パンチのような高価な刃物を使う必要がなくそのためのメンテナンスも不要となって、装置コストを含む製造コストを安くすることができ、かつ、開口部分は加熱溶断されるので、重なり合っているフィルムシートが互いに溶着して包装体そのものの取扱いが容易になる、という利点がある。
【0020】
本発明の第2の構成においては、加熱開口手段の溶断ヒータは、その先端が後端側熱溶着用のヒータよりもフィルムシートの方に突出しているので、このフィルムシートを確実に突き抜けて開口することができる、という利点がある。
【0021】
本発明の第3の構成においては、加熱開口手段の駆動源と後端側熱溶着用の駆動源とを共用し、かつ駆動伝達機構もその一部を共用しているので、装置の機構及び制御を簡単にすることができる、という利点がある。
【0022】
本発明の第4の構成においては、加熱開口手段に、溶断ヒータの上流側及び下流側でフィルムシートを押えて固定する押え部材を設けたので、フィルムシートを確実、かつ安定して開口することができる、という利点がある。
【0023】
本発明の第5の構成においては、上記の加熱開口手段のほかに、この加熱開口手段で開口された部分と被包装物の後端部分との間を幅方向全体にわたって熱溶着する横溶着手段を設けたので、被包装物の部分と開口部分とを分離し被包装物が開口部分に近付かないので開口部分の柔軟性を確保することができ、包装体の取扱いが向上しかつその見栄えも良くなる、という利点がある。
【0024】
本発明の第6の構成においては、上記横溶着手段の溶着ヒータの、フィルムシートに接触する面を平坦に形成しているので幅をもって溶着することができ、確実かつ安定して溶着することができる、という利点がある。
【0025】
本発明の第7の構成においては、上記の加熱開口手段及び横溶着手段のほかに、フィルムシートの、折り合わされて互いに重なり合っている部分の横溶着部分から先端迄の部分を搬送方向に熱溶着する縦溶着手段を設けたので、被包装物をフィルムシート内にほぼ完全に封じ込めることができ雨水等が浸入しにくい、という利点がある。
【0026】
本発明の第8の構成における包装方法では、袋状となっていて被包装物が投入済のフィルムシートの、後端側熱溶着部分と被包装物の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口工程と、後端側熱溶着部分で分離する工程と、を有する方法としているので、この方法による包装体が第1の構成と同様に取扱い易い、という利点がある。
【0027】
本発明の第9の構成の包装体においては、1枚のフィルムシートを、幅方向両端側から内側へ互いに重なり合うように折り合わせてその中に被包装物を収納し、この被包装物の前後でフィルムシートを折目方向に直交する方向に溶着、切断した構造とし、このフィルムシートの、溶着、切断されている辺の一方の内側に、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広い穴が開口して、この開口部分ではその縁の重なり合っているシートが接合された構造となっているので、この開口部分により取扱いが容易になり、この開口部分の縁は接合されているので強度も増す上、取扱い易い、という利点がある。
【0028】
本発明の第10の構成においては、上記第9の開口部分のほかに、フィルムシートの開口部分と被包装物との間を折目方向に直交する方向に熱溶着してシールした横シール部を設けたので、被包装物と開口部分との間を完全に分離することができて被包装物が開口部分に近付かないので包装体の取扱いが容易になり、かつ見栄えも良くなる、という利点がある。
【0029】
本発明の第11の構成においては、上記の開口部分及び横シール部のほかに、フィルムシートの幅方向の両端が折り合わされて互いに重なり合っている部分を、折目方向と平行に熱溶着しシールした縦シール部を設けたので、被包装物をフィルムシート内にほぼ完全に封じ込めることができ雨水等が浸入しにくい、という利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
加熱開口手段は、それによってあけられた穴を利用して、指を入れて持ったり、またその穴を利用して突起にぶら下げたりするために、或る程度の幅を有する穴とすることが望ましい。そのため、加熱開口手段を構成するヒータの先端断面は平坦で細長矩形とし、その部分を溶融して抜くために受け部は設けないのが最良である。
【0031】
後端溶着手段は溶着後、搬送方向へ引っ張って切断するので図4及び図5から分かるように、後端溶着ヒータの先端をとがった形状とし、かつ、この先端にフィルムシートを挟み込んで当接する弾性変形可能なスポンジ製のヒータ受けを設けるのが最良である。
【0032】
また、横溶着手段は、フィルムシートが溶着ヒータで切断されないように、溶着ヒータの先端部分を平坦にし、この溶着ヒータの先端部分を、フィルムシートを挟み込んで受け止めるスポンジ製のヒータ受けを設けた構成とするのが最良である。また、縦溶着手段の溶着ヒータも、その先端部分を平坦な形状とするのがフィルムシートを切断することなく重ね合っている部分を溶着することができるので最良である。
【実施例】
【0033】
次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例の包装装置で形成される包装体の斜視図である。
この実施例の包装装置は、図1に示すような包装体1を形成する構成となっている。
【0034】
この包装体1は、まず1つのフィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシート2を、その幅方向の両端側から内側へ折ってその端部が互いに重なるように折り合わせて、この包装装置の搬送方向先端辺となる部分が前回の包装動作で溶着され切断された先端溶着部4となっていて、袋状となっている。そして、その袋状の中へ被包装物3が投入されて、この被包装物3の搬送方向後端側部分で、フィルムシート2を熱溶着して搬送し、切断して後端溶着部5としている。この後端溶着部5は、次の包装動作による包装体の先端溶着部となる。
また、先端溶着部4及び後端溶着部5は、この包装装置の包装動作・構造により、フィルムシート2の折目方向に対し直交する辺となっている。
【0035】
次に、この包装体のフィルムシート2に対し、後端溶着部5と被包装物3の後端との間に、シートの重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して穴明け、開口して加熱開口部6を形成し、更に、この加熱開口部6と被包装物3との間を幅方向全体にわたって熱溶着して横溶着部7を形成する。
また、このフィルムシート2の折り合わされて互いに重なり合っている部分の横溶着部7から先端溶着部4までの部分を折目方向と平行に(従って搬送方向に)熱溶着し縦溶着部8を形成する。
【0036】
このような包装体1とすることにより、加熱開口部6は、その縁の部分が熱溶着されているのでフィルムシートが分離することはなくかつ、その部分の強度も増して、この加熱開口部6を引っかけて展示したり、この加熱開口部6の部分を手に持って運ぶことができ、取扱い易くなる。
また、横溶着部7により被包装物3が移動するのを押えられるので、この点でもこの包装体1の取扱いが容易となるほか、見栄えも向上する。更に、縦溶着部8により、被包装物3をフィルムシート2内にほぼ完全に封じ込めることができる。
【0037】
次に、このような包装体1を形成する包装装置について説明する。
図2はこの実施例の包装装置を説明するための装置全体の側面図であり、図3は図2を左側から見た包装装置全体の平面図であり、図4はこの実施例における包装装置の主要部分のシート溶着動作前の側面図であり、図5は図4に示された包装装置主要部分のシート溶着動作中の側面図である。
【0038】
この実施例における包装装置は、フィルムロール(図示省略)から繰り出された1枚のフィルムシート2を、その幅方向の両端側から内側へ折ってその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、その搬送方向の先端部分には、前回の包装動作で熱溶着されて搬送手段で引っ張られ切断された先端溶着部4が形成されていて袋状となっている。この袋状の中へ被包装物3を投入し、この被包装物3の搬送方向後端側を熱溶着し搬送手段で引っ張って切断した後端溶着部5を形成して被包装物3を包装する構成となっており、更に、下記のような手段を有している。
【0039】
フィルムシート2の後端溶着部5と投入済の被包装物3の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口部6を形成する加熱開口手段9、フィルムシート2の加熱開口部6と投入済の被包装物3の後端部分との間を、幅方向全体にわたって熱溶着し横溶着部7を形成する横溶着手段10。
フィルムシート2の折り合わされて互いに重なり合っている部分の、横溶着部7から先端溶着部4迄の部分を、搬送方向、従って折目方向と平行な方向に熱溶着し縦溶着部8を形成する縦溶着手段11.
尚、この実施例における包装装置には、フィルムシート2、被包装物3や包装体1を下流方向、次工程方向へと搬送する搬送手段12や、後端溶着部5形成用の後端溶着手段13を備えており、この後端溶着手段13は、先端がとがった後端溶着ヒータ14と、弾性変形可能なスポンジ製のヒータ受け15とを有している。
【0040】
また、上記の加熱開口手段9等について更に詳しく説明すると、この加熱開口手段9は、開口溶断ヒータ16と、この開口溶断ヒータ16を駆動、移動させる駆動源17と、開口溶断ヒータ16の搬送方向上流側と下流側とでフィルムシート2を押えて固定する押え部材18とを備えており、開口溶断ヒータ16は、その先端が後端溶着ヒータ14よりもフィルムシートの方に突出しており、後端溶着ヒータ14がフィルムシート2を溶着しているときには、フィルムシート2を貫通して更に、搬送路23に設けられている開口溶断ヒータ貫通孔25を貫通し、押え部材18と共同してフィルムシートを確実に開口できる構造となっている。また、この加熱開口手段9は、その駆動源17を後端溶着手段13と共用しており、また、駆動伝達機構の一部も共用して、装置構造や制御を簡単化している。
横溶着手段10は、フィルムシートとの接触面が平坦な横溶着ヒータ19と、弾性変形可能なスポンジ製のヒータ受け20とを有する構造となっている。また、縦溶着手段11は、先端が平坦な縦溶着ヒータ21を有しており、この縦溶着ヒータ21と搬送手段12との間に、被包装物3が包装されているフィルムシート2を挟み込んで、シートの重なり合っている部分を搬送方向に熱溶着する構造となっている。
【0041】
この実施例においては、加熱開口手段9、横溶着手段10、及び縦溶着手段11のそれぞれを有する包装装置及びこの包装装置で形成される包装体1について説明したが、上記手段のうち、横溶着手段10が無く、包装体に横溶着部7が形成されていなくても、包装体の取扱い易さは変わらない。
また、縦溶着手段11がなく包装体1に縦溶着部8がなくとも取扱い易さには変わりはない。ただ水が内部へ浸入する危険性はある。
【0042】
なお、前記押え部材18は本発明第1乃至第3の構成では必須要件ではなく、この押え部材18がなくても、被包装物3の重力によってフィルムシート2にある程度の張力が与えられているので、開口溶断ヒータ16によってフィルムシート2を開口させることができる。ただし、押え部材18を設けない場合は、溶着と開口を終えて後端溶着ヒータ14、開口溶着ヒータ16、横溶着ヒータ19がフィルムシート2から離れるときに、それぞれのヒータからフィルムシート2を引き剥がすためと、溶着及び開口時以外に、フィルムが各ヒータに触れないようにするために、搬送路23と各ヒータの退避位置との間に各ヒータが前進後退のできる穴のあいた付着防止板を設けると良い。
押え部材18を具えていれば、確実にフィルムシート2を固定した状態で開口させられるので、開口形状を安定させられるというメリットがあるが、ヒータの熱を伝わってフィルムシート2を変形させないように、押え部材18の支持部材は断熱材料で形成するのが望ましい。
【0043】
次に、図1に示された包装体1を形成する包装方法について説明する。
フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシート2を、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物3を投入する工程と、
この被包装物3の搬送方向後端側を熱溶着して包装し、後端溶着部5を形成する工程と、
搬送手段より包装済の包装体1を引っ張って、後端溶着部5の部分で切断、分離する工程と、を有し、この他に、上記包装装置で包装体1を形成するために、フィルムシート2の、後端溶着部5と被包装物3の後端との間をシートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口して加熱開口部6を形成する加熱開口工程と、
フィルムシート2の加熱開口部6と被包装物3の後端との間を幅方向全体にわたって熱溶着し横溶着部7を形成する横溶着工程と、
フィルムシート2の折り合わされて互いに重なり合っている部分の横溶着部7から先端迄の部分、即ち先端溶着部4迄の部分を搬送方向に熱溶着し、縦溶着部8を形成する縦溶着工程と、を有している。
こうして、図1に示すような包装体1を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例の包装装置で形成された包装体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施例の包装装置のシート折り合わせ部分下流側全体を示す側面図である。
【図3】図2を左側から見た平面図である。
【図4】本発明の一実施例の包装装置における主要部分のシート溶着動作前の側面図である。
【図5】本発明の一実施例の包装装置における主要部分のシート溶着動作中の側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 包装体
2 フィルムシート
3 被包装物
4 先端溶着部
5 後端溶着部
6 加熱開口部
7 横溶着部
8 縦溶着部
9 加熱開口手段
10 横溶着手段
11 縦溶着手段
12 搬送手段
13 後端溶着手段
14 後端溶着ヒータ
15 ヒータ受け
16 開口溶断ヒータ
17 駆動源
18 押え部材
19 横溶着ヒータ
20 ヒータ受け
21 縦溶着ヒータ
22 駆動源
23 搬送路
24 搬送ベルト
25 開口溶断ヒータ貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入され、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する包装装置であって、
前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間をシートの重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段を設けたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記加熱開口手段は、
その断面形状に熱溶断する溶断ヒータの先端が、後端側熱溶着用のヒータよりもフィルムシートの方に突出していることを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記加熱開口手段が、
前記後端側熱溶着用の手段と駆動源を共用し、かつ駆動伝達機構の一部が共通となっており、この駆動源により同時に動作する構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の包装装置。
【請求項4】
前記加熱開口手段は、
その溶断ヒータの搬送方向上流側と下流側とでフィルムシートを押えて固定する押え部材を有する構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の包装装置。
【請求項5】
フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入され、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する包装装置であって、
前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間を、シートの重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段と、
前記フィルムシートの、前記加熱開口手段で開口された部分と投入済の前記被包装物の後端部分との間を幅方向全体にわたって熱溶着する横溶着手段と、を設けたことを特徴とする包装装置。
【請求項6】
前記横溶着手段は、
前記フィルムシートを熱溶着する溶着ヒータのフィルムシートに接触する面が平坦に形成された構造であることを特徴とする請求項5記載の包装装置。
【請求項7】
フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて、搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入され、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する包装装置であって、
前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口手段と、
前記フィルムシートの、前記加熱開口手段で開口された部分と投入済の前記被包装物の後端部分との間を幅方向全体にわたって熱溶着する横溶着手段と、
前記フィルムシートの、折り合わされて互いに重なり合っている部分の横溶着部分から先端迄の部分を搬送方向に熱溶着する縦溶着手段と、を有することを特徴とする包装装置。
【請求項8】
フィルムロールから繰り出された1枚のフィルムシートを、その幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせて搬送方向先端部分が前回の包装動作で溶着され切断されて袋状となっている中へ被包装物が投入する工程と、この被包装物の搬送方向後端側を熱溶着して包装する工程を含む包装方法であって、
前記フィルムシートの、後端側熱溶着部分と投入済の前記被包装物の後端との間を、シートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広く加熱溶断して開口する加熱開口工程と、
前記後端側熱溶着部分で分離する工程と、を有することを特徴とする包装方法。
【請求項9】
1枚のフィルムシートをその幅方向の両端側から内側へ折りその端部が互いに重なり合うように折り合わせ、折目方向に直交する前後の辺部分が溶着されて袋状となっている中に被包装物が収納された包装体であって、
前記フィルムシートの前記直交する前後の辺部分のいずれか一方の内側にシートの端部が重なり合っている部分より幅方向に広い穴が開口し、かつこの開口部分の縁では重なり合っているシートが接合されていることを特徴とする包装体。
【請求項10】
フィルムシートの開口部分と被包装物との間を折目方向に直交する方向に熱溶着しシールした横シール部を有することを特徴とする請求項9記載の包装体。
【請求項11】
フィルムシートの幅方向の両端が折り合わされて互いに重なり合っている部分を、折目方向に熱溶着しシールした縦シール部を有することを特徴とする請求項9又は請求項10記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−207810(P2008−207810A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43199(P2007−43199)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【出願人】(504025918)株式会社ユウコス (11)
【Fターム(参考)】