説明

半導体ウエハの保護膜の形成装置

【課題】半導体ウエハの表面に紫外線硬化樹脂の保護膜を均一の厚さに形成することができる半導体ウエハの保護膜の形成装置を提供する。
【解決手段】半導体ウエハの保護膜の形成装置であって、上下に貫通して紫外線が通過可能な開口を有する機台および定盤と、前記定盤の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて反射する光反射体と、この光反射体の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて照射する紫外線照射手段と、前記定盤の上方位置に昇降可能に配設された昇降部材と、前記定盤の上面に前記開口を被うようにして装着されるとともに前記半導体ウエハを載置可能な平坦状の上面を有する紫外線透過性の受圧部材と、前記昇降部材の下方側に位置してこの昇降部材に角度調整手段を介しかつ前記受圧部材と対向して装着されるとともに平坦状の下面を有する加圧部材と、前記昇降部材を昇降させる電動シリンダと、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの保護膜の形成装置に係り、より詳しくは、半導体ウエハの表面に紫外線硬化樹脂からなる保護膜を形成する半導体ウエハの保護膜の形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の表面に紫外線硬化樹脂からなる保護膜を形成する装置の一つとして、紫外線硬化樹脂が塗布された基板を回転させる回転部と、前記基板の上方に配され、当該基板に対して紫外線を照射する光線と、前記基板の外側に配された略円環状の光反射体とを備え、前記光反射体は、前記紫外線を反射させる反射面が曲面とされ、当該反射面で反射された紫外線が前記基板の外周面に照射されるようにしたものがある(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−276785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このように構成された従来の保護膜の形成装置では、遠心力を利用して未硬化の紫外線硬化樹脂を延伸させるため、紫外線硬化樹脂が基板の外周部に集まりやすく、それに伴い、基板の直径方向に厚さのムラが発生するなどの問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、半導体ウエハの表面に紫外線硬化樹脂の保護膜を均一の厚さに形成することができる半導体ウエハの保護膜の形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の半導体ウエハの保護膜の形成装置は、半導体ウエハの表面に紫外線硬化樹脂からなる保護膜を形成する半導体ウエハの保護膜の形成装置であって、上下に貫通して紫外線が通過可能な開口を有する機台および定盤と、前記定盤の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて反射する光反射体と、この光反射体の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて照射する紫外線照射手段と、前記定盤の上方位置に昇降可能に配設された昇降部材と、前記定盤の上面に前記開口を被うようにして装着されるとともに前記半導体ウエハを載置可能な平坦状の上面を有する紫外線透過性の受圧部材と、前記昇降部材の下方側に位置してこの昇降部材に角度調整手段を介しかつ前記受圧部材と対向して装着されるとともに平坦状の下面を有する加圧部材と、前記昇降部材を昇降させる電動シリンダと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、受圧部材上に塗布される紫外線硬化樹脂に半導体ウエハを載置し、半導体ウエハの上方から加圧して紫外線硬化樹脂を薄く均一な膜厚に延伸したのち、当該紫外線硬化樹脂に紫外線を下方から照射して紫外線硬化樹脂を硬化させることができるため、半導体ウエハの表面に紫外線硬化樹脂の保護膜を均一の厚さに形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を適用した半導体ウエハの保護膜の形成装置の一実施の形態について、図1および図2に基づき詳細に説明する。本保護膜の形成装置は、図1に示すように、上下に貫通して紫外線が通過可能な開口1を有する機台3および定盤2と、前記定盤2の下面に装着されて紫外線を上方へ向けて反射する光反射体4と、この光反射体4の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて照射する紫外線照射手段5と、前記定盤2の上方にこれと対向しかつ昇降可能に配設された昇降部材6と、前記定盤2の上面に前記開口1を被うようにして装着され半導体ウエハWを載置可能な平坦状の上面を有する紫外線透過性の受圧部材7と、前記昇降部材6の下方側に位置してこの昇降部材6に角度調整手段8を介しかつ前記受圧部材7と対向して装着され平坦状の下面を有する加圧部材9と、前記昇降部材6を昇降させる電動シリンダ10と、で構成してある。
【0008】
前記加圧部材9として、面粗度が良好で、熱歪が小さい材質から作製されるのが好ましく、たとえばアルミナセラミックス、ジルコニアセラミックス、窒化珪素セラミックスまたは炭化珪素セラミックスなどのセラミックスを用いることができる。本実施の形態では、加圧部材9を電気絶縁性、耐摩耗性および化学安定性に優れる高純度のアルミナセラミックスとすることにより、ヤング率が380GPaと高くなって撓みにくく、しかも、熱による変形が小さくて紫外線を受けても歪を小さくすることができる。
前記受圧部材7は、紫外線透過率の高いガラス製とすることができる。また、この受圧部材7を冷却する冷却手段(図示せず)を設けるのが好ましい。たとえば、冷却手段として、受圧部材7に向けられる送風ファンか、受圧部材7に水平方向に貫通する複数個の通路を設け、この通路に冷媒を循環させる構造とすることにより、受圧部材7の歪を抑えることができる。
【0009】
そして、前記受圧部材7は、前記定盤2の上面に装着された枠状のガイド部材11によって固定してあり、かつ、図2に示すように、周縁部が高さの低い段状を成していて、この低い段状部分を、前記ガイド部材11に螺着された止ネジ12により、平鋼13および樹脂製平板14を介在させて押圧・固定してある。これら平鋼13および樹脂製平板14の介在により、止ネジ12による前記受圧部材7への押圧力を分散して受圧部材7の損傷を防止することができる。なお、符号12aはガイド部材11を固定するボルトである。
【0010】
また、前記角度調整手段8は、図1に示すように、前記昇降部材6の左右両側部に貫装されかつネジが出入調節可能に構成された2個の上下調整機構15と、これら2個の上下調整機構15の下端間に枢支して架設されて傾動可能でありかつ下面に前記加圧部材9を取り付けた傾動板16と、前記昇降部材6の左右両側部に貫装されて前記傾動板16の左右両側部の変位を検知する2個の変位計17とで構成してある。
【0011】
また、前記昇降部材6は、図1に示すように、前記定盤2の四隅に立設された4本の支柱18に上下摺動自在に装架してあり、4本の支柱18の上端間には天井フレーム19が架設してあり、さらに、天井フレーム19の中央部には前記電動シリンダ10がこれを貫通して装着してあって、前記電動シリンダ10のピストンロッドの縮伸作動により前記昇降部材6が昇降するようになっている。また、前記電動シリンダ10のピストンロッドの下端には、前記加圧部材9の半導体ウエハWへの加圧力を測定する加圧力測定手段としてのロードセル20が装着してある。
また、前記電動シリンダ10のサーボモータ10aと、前記ロードセル20と、前記紫外線照射手段5とには、コントローラ21が電気的に接続してある。このサーボモータ10aには、位置検出器としてのエンコーダ10bが付属されている。
前記コントローラ21は、加圧部材9の半導体ウエハWへの加圧力を測定するロードセル20の測定値に基づき、前記サーボモータ10aを作動して電動シリンダ10のピストンロッドの伸長動作を制御する。これにより、半導体ウエハを加圧部材によって加圧して紫外線硬化樹脂を延伸する際、加圧部材の加圧位置または下降速度、および加圧力を制御して、紫外線硬化樹脂の膜厚を目標値(たとえば50μm)に設定することができる。
【0012】
このように構成したものは、予め角度調整手段8の2個の変位計17により高さを検知しながら上下調整機構15により傾動板16の左右両側部の高さを調整して、傾動板16を介して加圧部材9の傾動を調節し加圧部材9と受圧部材7との平行度を精度の高いものにする。次いで、受圧部材7の上面中央部に紫外線透過性の剥離シートとしてのポリエステルフィルムSを介在させて、たとえばディスペンサーにより所要量の紫外線硬化樹脂(図示せず)を中央部に塗布し、続いて、この紫外線硬化樹脂上に半導体ウエハWを載せる。そして、この半導体ウエハWの上にも剥離シートとしてのポリエステルフィルムSを載置することもできる。
【0013】
次いで、コントローラ21の制御の下に、電動シリンダ10のピストンロッドを最初は比較的高速度で伸長作動して加圧部材9を半導体ウエハWに接近させる。
ついで、電動シリンダ10のピストンロッドの位置を検出し、該ピストンロッドを低速度で伸長作動して、またロードセル20の荷重を検出しながら半導体ウエハWを加圧部材9によって加圧する。これにより、紫外線硬化樹脂を薄く広げて、均一な厚さ(目標値の膜厚)に延伸する。その後、紫外線照射手段5から紫外線を照射すると、照射された紫外線は光反射体4によって半導体ウエハWに向けて収束されながら紫外線硬化樹脂に当たり、紫外線硬化樹脂を硬化させる。
ついで、また、ポリエステルフィルムSを剥がして紫外線硬化樹脂からなる保護膜を形成した半導体ウエハWを取り出す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した一実施の形態の半導体ウエハの保護膜の形成装置の要部切欠き正面図である。
【図2】図1のA部の拡大詳細図である。
【符号の説明】
【0015】
W 半導体ウエハ
1 開口
2 定盤
3 機台
4 光反射体
5 紫外線照射手段
6 昇降部材
7 受圧部材
8 角度調整手段
9 加圧部材
10 電動シリンダ
10a サーボモータ
10b エンコーダ
20 ロードセル
21 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの表面に紫外線硬化樹脂からなる保護膜を形成する半導体ウエハの保護膜の形成装置であって、
上下に貫通して紫外線が通過可能な開口を有する機台および定盤と、
前記定盤の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて反射する光反射体と、
この光反射体の下部に装着されて紫外線を上方へ向けて照射する紫外線照射手段と、
前記定盤の上方位置に昇降可能に配設された昇降部材と、
前記定盤の上面に前記開口を被うようにして装着されるとともに前記半導体ウエハを載置可能な平坦状の上面を有する紫外線透過性の受圧部材と、
前記昇降部材の下方側に位置してこの昇降部材に角度調整手段を介しかつ前記受圧部材と対向して装着されるとともに平坦状の下面を有する加圧部材と、
前記昇降部材を昇降させる電動シリンダと、
を具備したことを特徴とする半導体ウエハの保護膜の形成装置。
【請求項2】
前記加圧部材がセラミックスである請求項1記載の半導体ウエハの保護膜の形成装置。
【請求項3】
前記加圧部材の前記半導体ウエハへの加圧力を測定する加圧力測定手段と、この加圧力測定手段の測定値に基づき前記電動シリンダのピストンロッドの伸長速度を制御するコントローラとが設けられてなる請求項1または2記載の半導体ウエハの保護膜の形成装置。
【請求項4】
前記受圧部材を冷却する冷却手段が設けられてなる請求項1または2記載の半導体ウエハの保護膜の形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−21509(P2010−21509A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289363(P2008−289363)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】