説明

半導体スイッチ及び充電回路

【課題】保護回路を内蔵した半導体スイッチ及び充電回路を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、スイッチ素子と駆動回路と保護回路と制御回路とを備えた半導体スイッチが提供される。スイッチ素子は、電源線と出力線との間に接続される。駆動回路は、入力信号に応じて前記スイッチ素子をオンまたはオフに駆動する。保護回路は、前記スイッチ素子の過電流を検出したとき前記スイッチ素子の電流を上限値に制限するクランプモードと、前記スイッチ素子を交互にオンとオフとに切り替えるスイッチングモードと、を有する。制御回路は、前記スイッチ素子がオンしたとき前記保護回路を前記クランプモードに制御し、前記スイッチ素子がオンしてから規定時間経過後に前記出力線の短絡を検出したとき、または前記出力線の短絡を検出せずに前記出力線の電圧が規定値に達したとき前記保護回路をスイッチングモードに制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体スイッチ及び充電回路に関する。
【背景技術】
【0002】
車載機器など、充電可能なバッテリ(二次電池)で動作する電子機器においては、電源電圧の変動やノイズを低減するために、大容量のコンデンサが用いられる。また、コンデンサを充電する際には、充電開始時の突入電流や出力の短絡などによる発熱を抑制するために保護回路が用いられる。例えば、突入電流を制限するため電流を上限値に制限するクランプ動作や、出力の短絡時に充電を交互にオン・オフさせるスイッチング動作をする保護回路が用いられる。
【0003】
しかし、クランプ動作をオン時の一定時間とした場合、充電するコンデンサの静電容量などにより必要な時間が変化するため、定数の調整が必要になる。一方、コンデンサの端子電圧が規定値に達するまでスイッチング動作に切り替えない場合、出力の短絡に対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−325795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、保護回路を内蔵した半導体スイッチ及び充電回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、スイッチ素子と駆動回路と保護回路と制御回路とを備えた半導体スイッチが提供される。スイッチ素子は、電源線と出力線との間に接続される。駆動回路は、入力信号に応じて前記スイッチ素子をオンまたはオフに駆動する。保護回路は、前記スイッチ素子の過電流を検出したとき前記スイッチ素子の電流を上限値に制限するクランプモードと、前記スイッチ素子を交互にオンとオフとに切り替えるスイッチングモードと、を有する。制御回路は、前記スイッチ素子がオンしたとき前記保護回路を前記クランプモードに制御し、前記スイッチ素子がオンしてから規定時間経過後に前記出力線の短絡を検出したとき、または前記出力線の短絡を検出せずに前記出力線の電圧が規定値に達したとき前記保護回路をスイッチングモードに制御することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る半導体スイッチを含む充電回路の構成を例示するブロック図。
【図2】図1に表した半導体スイッチの制御回路の構成を例示する回路図。
【図3】半導体スイッチの主要な信号のタイミングチャートであり、(a)は入力信号VIN、(b)は出力線の電圧VOUT、(c)は短絡検出回路のクロック信号VC1、(d)は短絡監視回路の出力電圧VDIN、(e)は短絡検出回路の出力信号VDOUT、(f)は比較回路の出力信号VOPE、(g)は制御信号VFF、(h)はスイッチ素子の電流IOUTを示す。
【図4】半導体スイッチの主要な信号の出力線短絡時のタイミングチャートであり、(a)は入力信号VIN、(b)は出力線の電圧VOUT、(c)は短絡検出回路のクロック信号VC1、(d)は短絡監視回路の出力電圧VDIN、(e)は短絡検出回路の出力信号VDOUT、(f)は比較回路の出力信号VOPE、(g)は制御信号VFF、(h)はスイッチ素子の電流IOUTを示す。
【図5】第2の実施形態に係る半導体スイッチを含む充電回路の構成を例示するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体スイッチを含む充電回路の構成を例示するブロック図である。
図1に表したように、充電回路1は、半導体スイッチ2を用いた充電回路である。半導体スイッチ2には、電源線3を介して電源電圧VDDが供給される。半導体スイッチ2の出力線4と接地GNDとの間には、充電コンデンサ5及び充電抵抗6が並列に接続されている。充電コンデンサ5及び充電抵抗6は、ローパスフィルタを構成している。充電コンデンサ5は、出力線4の電圧VOUTで充電される。
【0010】
電源線3には、例えば、車載機器などの充電可能なバッテリ(二次電池)から電源電圧VDDが供給される。出力線4には、電源電圧VDDの変動やノイズが低減された電圧VOUTが出力される。出力線4には、例えば、マイクロコンピュータなどの負荷回路7が接続される。負荷回路7には、充電コンデンサ5から電圧VOUTが供給される。そのため、充電コンデンサ5としては、大容量のコンデンサが用いられる。また、充電抵抗6の抵抗値は、負荷回路7のインピーダンスに対して十分大きい値に設定される。
【0011】
半導体スイッチ2には、信号線8を介して入力信号VINが入力される。また、半導体スイッチ2においては、電源線3と出力線4との間に接続されたスイッチ素子9が設けられている。スイッチ素子9は、駆動回路10により駆動され、入力信号VINに応じてオンまたはオフする。スイッチ素子9がオンすると、電源線3と出力線4とは電気的に接続される。スイッチ素子9がオフすると電気的な接続が遮断される。
【0012】
なお、図1においては、スイッチ素子9は、Nチャンネル形MOSFET(以下、NMOS)で構成されているが、Pチャンネル形MOSFET(以下、PMOS)でもよい。
入力信号VINは、例えばハイレベルが5Vの信号である。入力信号VINのレベルは、電源電圧VDDと異なっていてもよい。駆動回路10は、入力信号VINをレベルシフトしてスイッチ素子9を駆動する。
【0013】
また、半導体スイッチ2には、保護回路11と、保護回路11を制御する制御回路12と、が設けられている。保護回路11は、スイッチ素子9を過電流による焼損から保護する。例えば、充電コンデンサ5を充電する際の、突入電流や出力線4と接地との短絡などによる発熱を抑制し、スイッチ素子9を焼損から保護する。
【0014】
保護回路11は、スイッチ素子9の電流IOUTを上限値に制限してクランプ動作するクランプモードと、出力線4の短絡時にスイッチ素子を交互にオン・オフさせてスイッチング動作をさせるスイッチングモードと、の2つの動作モードを有する。
ここで、上限値は、連続してスイッチ素子9に流すことのできる電流値以下、例えばスイッチ素子9の最大定格値以下に設定される。
【0015】
保護回路11は、駆動回路10を介してスイッチ素子9のゲートに供給する電圧を制御してスイッチ素子9を保護する。保護回路11のクランプモードにおいては、例えば、スイッチ素子9は上限値で定電流駆動される。保護回路11のスイッチングモードにおいては、例えば、スイッチ素子9は一定周期で間欠的に上限値の電流値で駆動される。
【0016】
保護回路11が2つの動作モードを有するのは、以下の理由による。
例えば、クランプモードのみの場合に保護動作が開始されると、上限値の電流が充電コンデンサ5に流れ続けるため消費電力が大きくなる。
【0017】
また、例えば、スイッチングモードのみの場合に大容量のコンデンサを充電すると、スイッチ素子9がオンしたときの突入電流により保護動作が開始され、スイッチングモードに入ってしまう。スイッチングモードでは、充電コンデンサ5は間欠的に充電されるため、オフ期間に充電した電荷が放電され、充電できないことが考えられる。
【0018】
そこで、半導体スイッチ2においては、保護回路11の動作モードを充電コンデンサ5の充電を開始してから第1の時間T1はクランプモードとして、第1の時間T1の経過後は、スイッチングモードに設定している。ここで、第1の時間T1とは、スイッチ素子9がオンしてから出力線4の電圧VOUTが規定値まで上昇するのに要する時間である。この第1の時間T1は、充電コンデンサ5の静電容量、電源電圧VDDなどにより変化する。
【0019】
保護回路11の動作モードは、制御回路12により制御される。
制御回路12は、入力信号VIN及び出力線4の電圧VOUTを入力して、制御信号VFFを出力する。保護回路11は、制御信号VFFがローレベルのときクランプモードに制御され、ハイレベルのときスイッチングモードに制御される。
【0020】
制御回路12には、出力線4の短絡を監視する短絡監視回路13が設けられている。短絡監視回路13には、入力信号VINが入力される。図2において説明するように、短絡監視回路13の出力信号VDINは、出力線4が短絡状態のときローレベルになる。また、出力線4が短絡状態でないときはハイレベルになる。
【0021】
上記のとおり、保護回路11は、スイッチ素子9を過電流による焼損から保護する。図1においては、出力線4の短絡を監視して、短絡を検出したとき、クランプモードまたはスイッチングモードの保護動作をする構成を例示している。そのため、短絡監視回路13の出力信号VDINは、保護回路11にも入力されている。しかし、スイッチ素子9の電流IOUTを検出して保護回路を動作させてもよい。
【0022】
短絡監視回路13の出力信号VDINは、短絡検出回路14に入力される。短絡検出回路14は、スイッチ素子9がオンしたときに、初期状態としてハイレベルにセットされる。この初期状態は、出力線4の短絡が検出されない状態を表している。
【0023】
そして、規定時間Tdの経過後に短絡監視回路13の出力信号VDINの値に更新され、以後その値を保持する。ここで、規定時間Tdとは、出力線4の電圧VOUTを安定に検出できる程度に長い時間であり、また出力線4の電圧VOUTが所望の値として、電源電圧VDDの定常値に達する時間Tsよりも短い時間である。
【0024】
短絡検出回路14は、保持した値を出力信号VDOUTとして、保持回路16に出力する。従って、短絡検出回路14は、出力線4の短絡が検出されなかった場合は初期状態にセットされたままであり、ハイレベルを出力する。また、短絡検出回路14は、出力線4の短絡を検出した場合はリセットされ、ローレベルを出力する。
【0025】
また、制御回路12には、出力線4の電圧VOUTを規定値と比較する比較回路15が設けられている。比較回路15は、出力線4の電圧VOUTが、規定値よりも低いときローレベルを出力し、電圧VOUTが規定値よりも高いときハイレベルを出力する。
【0026】
ここで、規定値とは、出力線4の電圧VOUTの所望の値に近い電圧値であり、0Vから十分に上昇して、保護回路11のクランプモードを解除する電圧である。例えば、規定値は、電圧VOUTの所望の値の90%に設定される。
【0027】
比較回路15の出力信号VOPEと、短絡検出回路14の出力信号VDOUTとは、保持回路16に入力される。保持回路16は、保護回路11の動作モードを制御する制御信号VFFを出力する。
【0028】
図2において説明するように、保持回路16は、スイッチ素子9がオンしたとき、ローレベルにリセットされる。また、出力線4の短絡が検出されて短絡検出回路14がリセットされたとき、保持回路16はハイレベルにセットされる。また、出力線4の短絡が検出されずに出力線4の電圧VOUTが上昇して規定値に達したとき、保持回路16はハイレベルにセットされる。
【0029】
このように、制御回路12は、スイッチ素子9がオンしたとき、制御信号VFFとしてローレベルを出力する。保護回路11は、クランプモードに制御される。また、スイッチ素子9がオンしてから規定時間Tdの経過後に出力線4の短絡を検出したとき、制御信号VFFとしてハイレベルを出力する。また、出力線4の短絡を検出しなかったときは、出力線4の電圧VOUTが規定値に達したとき、制御信号VFFとしてハイレベルを出力する。保護回路11は、制御信号VFFがハイレベルになるため、スイッチングモードに制御される。
【0030】
また、スイッチ素子9がオンしてから出力線4の電圧VOUTが規定値まで上昇するのに要する時間は、第1の時間T1に対応する。従って、第1の時間T1は、充電コンデンサ5の静電容量や電源電圧VDDなどにより変化する。一方、規定値は、電源電圧VDDに対する相対値として、例えば電源電圧VDDの90%に設定することができる。
【0031】
そこで、半導体スイッチ2においては、出力線4の電圧VOUTが規定値に上昇するまで保護回路11をクランプモードで動作させている。そのため、この第1の時間T1をコンデンサと抵抗との時定数により設定する構成とした場合のように、充電する充電コンデンサ5の静電容量に応じて、外付け部品により時定数を調整する必要がない。
【0032】
また、半導体スイッチ2においては、短絡検出回路14により出力線4の短絡を検出したときは、保護回路11をスイッチングモードで動作させる。そのため、出力線4の短絡などによりスイッチ素子9がオンしてから出力線4の電圧VOUTが規定値まで達しない場合にも、クランプモードのままで動作する場合と比較して消費電力を低減することができる。
【0033】
図2は、図1に表した半導体スイッチの制御回路の構成を例示する回路図である。
図2に表したように、制御回路12の短絡監視回路13は、NMOS N1、PMOS P1〜P3、抵抗R1〜R3、コンデンサC1を有する。
【0034】
NMOS N1のゲートには、入力信号VINが入力される。NMOS N1のソースは接地GNDに接続され、ドレインは抵抗R1を介してPMOS P1のドレインに接続される。PMOS P1のソースには、内部レギュレータ17を介して電圧VDD1が供給される。内部レギュレータ17は、電源線3から供給される電源電圧VDDを降圧した安定化した電圧VDD1を半導体スイッチ2の内部回路に供給する。
【0035】
PMOS P2は、PMOS P1とカレントミラーを構成する。PMOS P2と接地GNDとの間に直列に抵抗R2、R3が接続される。また、PMOS P3は、PMOS P1とカレントミラーを構成する。PMOS P3と接地GNDとの間に、コンデンサC1が接続される。
【0036】
抵抗R2と抵抗R3との接続点に整流素子D1のアノードが接続される。整流素子D1のカソードは、出力線4に接続される。
抵抗R2と抵抗R3との接続点の電圧は、短絡監視回路13の出力信号VDINとして出力される。また、コンデンサC1の電圧は、短絡検出回路14のクロック信号VC1として出力される。
【0037】
制御回路12の短絡検出回路14は、D形フリップフロップ(D−FF)で構成されている。短絡検出回路14の入力端子Dには、短絡監視回路13の出力信号VDINが入力される。短絡検出回路14のクロック端子CLKには、クロック信号VC1が入力される。短絡検出回路14の出力端子Qからは、出力信号VDOUTが出力される。
【0038】
制御回路12の比較回路15の非反転入力端子は、出力線4に接続される。比較回路15の反転入力端子には、規定値として、電源電圧VDDを抵抗R4、R5で分圧した電圧が入力される。抵抗R4、R5のそれぞれの抵抗値は、例えば1:9の比に設定される。この場合、規定値は電源電圧VDDの90%の値になる。
【0039】
比較回路15の出力信号VOPE及び短絡検出回路14の出力信号VDOUTは、論理回路18を介して保持回路16のセット端子に入力される。論理回路18は、出力信号VDOUTがローレベルのときローレベルを出力する。また、出力信号VDOUTがハイレベルで、かつ出力信号VOPEがハイレベルのときローレベルを出力する。なお、論理回路18としては、上記の論理信号を出力できればよく、図2に表した構成でなくてもよい。
【0040】
保持回路16は、2つの論理積の否定回路(NAND)で構成される。保持回路16のリセット端子には、否定回路(INV)20を介してリセット回路19の出力信号が入力される。ここで、リセット回路19は、入力信号VINが、ローレベルからハイレベルに変化したときに、正のリセットパルスを出力する回路である。なお、リセット回路19を用いずに、クロック信号VC1を保持回路16のリセット端子に入力してもよい。
保持回路16から制御信号VFFが出力される。
【0041】
次に、半導体スイッチ2、制御回路12の動作について、タイミングチャートを参照して説明する。
図3は、半導体スイッチの主要な信号のタイミングチャートであり、(a)は入力信号VIN、(b)は出力線の電圧VOUT、(c)は短絡検出回路のクロック信号VC1、(d)は短絡監視回路の出力信号VDIN、(e)は短絡検出回路の出力信号VDOUT、(f)は比較回路の出力信号VOPE、(g)は制御信号VFF、(h)はスイッチ素子の電流IOUTを示す。
【0042】
図3においては、第1の時間T1において、出力線4の短絡が検出されない場合を表している。
入力信号VINがローレベルからハイレベルに変化すると(図3(a))、スイッチ素子9はオンして、出力線4の電圧VOUTは上昇する(図3(b))。また、短絡監視回路13のNMOS N1はオンして、カレントミラーP1〜P3に電流が流れる。カレントミラーP1〜P3の電流は、抵抗R1により規定される。
【0043】
カレントミラーP1〜P3に電流が流れると、コンデンサC1は充電され、クロック信号VC1の電圧は上昇する(図3(c))。また、抵抗R2、R3に電流が流れ、短絡監視回路13の出力信号VDINの電圧は上昇する(図3(d))。
【0044】
短絡検出回路14は、スイッチ素子9がオンしたとき、ハイレベルにセットされるため、出力信号VDOUTは、ハイレベルである(図3(e))。出力線4の電圧VOUTは、規定値(図3(b)の破線0.9×VDD)に比較して低く、比較回路15の出力信号VOPEは、ローレベルである(図3(f))。また、保持回路16はスイッチ素子9がオンしたとき、ローレベルにリセットされるため、制御信号VFFはローレベルである(図3(g))。従って、保護回路11は、クランプモードに制御され、スイッチ素子9の電流IOUTは上限値に制限される(図3(h))。
【0045】
短絡監視回路13のコンデンサC1はカレントミラーP1〜P3の電流により充電されて、クロック信号VC1の電圧は上昇する(図3(c))。そして、規定時間Tdの経過時に、短絡検出回路14のクロック端子の論理閾値電圧(図3(c)の破線DFF閾値)を超えると、短絡検出回路14は、短絡監視回路13の出力電圧VDINの値に更新され、その値を保持する。
【0046】
出力線4が短絡状態でない場合、出力電圧VDINはハイレベルのままで、短絡検出回路14は、ハイレベルを保持する(図3(d)、(e))。保持回路16はローレベルを保持し(図3(g))、保護回路11は、クランプモードを維持する(図3(h))。
【0047】
第1の時間T1で、出力線4の電圧VOUTが規定値に達すると(図3(b)の破線0.9×VDD)、比較回路15の出力信号VOPEはハイレベルに変化する(図3(f))。保持回路16はハイレベルにセットされ、制御信号VFFは、ハイレベルになる(図3(g))。保護回路11は、スイッチングモードに制御される(図3(h))。従って、短絡監視回路13が出力線4の短絡を出力すると(図3(d)の破線VDIN閾値以下)、スイッチ素子9の電流IOUTは間欠的に上限値になる(図3(h))。
その後、時間Tsで、出力線4の電圧VOUTは、所望の値に達する(図3(b))。
【0048】
図4は、半導体スイッチの主要な信号の出力線短絡時のタイミングチャートであり、(a)は入力信号VIN、(b)は出力線の電圧VOUT、(c)は短絡検出回路のクロック信号VC1、(d)は短絡監視回路の出力信号VDIN、(e)は短絡検出回路の出力信号VDOUT、(f)は比較回路の出力信号VOPE、(g)は制御信号VFF、(h)はスイッチ素子の電流IOUTを示す。
【0049】
出力線4が短絡状態の場合、出力線4の電圧VOUTは規定値まで上昇しない(図4(b))。短絡監視回路13の出力信号VDINはローレベルである(図4(d)の破線VDIN閾値以下)。短絡監視回路13のコンデンサC1が充電され、規定時間Tdの経過後に、クロック信号VC1の電圧が論理閾値電圧(図4(c)の破線DFF閾値)を超えたとき、短絡検出回路14はローレベルの出力信号VDINに更新される。短絡検出回路14は、出力信号VDOUTとしてローレベルを出力する(図4(e))。
【0050】
保持回路16は、ハイレベルにセットされ、制御信号VFFは、ハイレベルになる(図4(g))。保護回路11は、スイッチングモードに制御される。短絡監視回路13は、出力線4の短絡を出力するため(図4(d))、スイッチ素子9の電流IOUTは間欠的に上限値になる(図4(h))。
【0051】
このように、半導体スイッチ2においては、出力線4の電圧VOUTが規定値に上昇するまで保護回路11をクランプモードで動作させる。そのため、充電する充電コンデンサ5の静電容量や電源電圧VDDなどに応じて、外付け部品により時定数を調整する必要はない。
【0052】
また、半導体スイッチ2においては、短絡検出回路14により出力線4の短絡を検出したときは、保護回路11をスイッチングモードで動作させる。そのため、出力線4の短絡などによりスイッチ素子9がオンしても出力線4の電圧VOUTが規定値まで達しない場合にも、クランプモードで動作する場合と比較して消費電力を低減することができる。
【0053】
ところで、半導体スイッチ2を用いるシステムによって、保護回路11が動作したときのスイッチ素子9の上限値を外部から設定したい場合もある。システムの構成により、電源線3に供給される電源電圧VDDの値、出力線4に接続された充電コンデンサ5の静電容量などが異なり、それに応じて、上限値の許容値も異なるためである。
【0054】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る半導体スイッチを含む充電回路の構成を例示するブロック図である。
図5に表したように、充電回路1aは、半導体スイッチ2aを用いた充電回路である。なお、図1に表した各要素と同一の要素には、同一の符号を付している。
【0055】
半導体スイッチ2aは、図1に表した半導体スイッチ2の保護回路11を保護回路11aに置き換えた構成である。保護回路11aは、半導体スイッチ2aの外部から抵抗21により、スイッチ素子9の電流IOUTの上限値を設定できる構成としている。それ以外の点については、保護回路11と同様であり、半導体スイッチ2aは、上記の半導体スイッチ2と同様の効果を有する。
【0056】
なお、図5においては、保護回路11aにより制限されるスイッチ素子9の電流IOUTの上限値を、外部から抵抗21で設定する構成を例示している。しかし、外部から上限値を設定できればよく、例えば抵抗21の代わりに、外部から電圧を入力してもよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1、1a…充電回路、 2、2a…半導体スイッチ、 3…電源線、 4…出力線、 5…充電コンデンサ、 6…充電抵抗、 7…負荷回路、 8…信号線、 9…スイッチ素子、 10…駆動回路、 11、11a…保護回路、 12…制御回路、 13…短絡監視回路、 14…短絡検出回路、 15…比較回路、 16…保持回路、 17…内部レギュレータ、 18…論理回路、 19…リセット回路、 20…否定回路(INV)、 21、R1〜R5…抵抗、 C1…コンデンサ、 D1…整流素子、 N1…Nチャンネル形MOSFET(NMOS)、 P1〜P3…Pチャンネル形MOSFET(PMOS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源線と出力線との間に接続されたスイッチ素子と、
入力信号に応じて前記スイッチ素子をオンまたはオフに駆動する駆動回路と、
前記スイッチ素子の過電流を検出したとき前記スイッチ素子の電流を上限値に制限するクランプモードと、前記スイッチ素子を交互にオンとオフとに切り替えるスイッチングモードと、を有する保護回路と、
前記スイッチ素子がオンしたとき前記保護回路を前記クランプモードに制御し、前記スイッチ素子がオンしてから規定時間経過後に前記出力線の短絡を検出したとき、または前記出力線の短絡を検出せずに前記出力線の電圧が規定値に達したとき前記保護回路をスイッチングモードに制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とする半導体スイッチ。
【請求項2】
前記保護回路は、前記出力線の短絡を監視して、前記スイッチ素子の過電流を検出することを特徴とする請求項1記載の半導体スイッチ。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記出力線の短絡を監視する短絡監視回路と、
前記短絡監視回路の出力に接続され、前記スイッチ素子がオンしたとき前記出力線の短絡を検出しない初期状態にセットされ、前記規定時間経過後に前記出力線の短絡を検出したときリセットされる短絡検出回路と、
前記出力線の電圧が前記規定値よりも低いときローレベルを出力し、前記出力線の電圧が前記規定値よりも高いときハイレベルを出力する比較回路と、
前記保護回路を制御する制御信号を保持し、前記スイッチ素子がオンしたときリセットされて前記保護回路を前記クランプモードに制御する制御信号を出力し、前記短絡検出回路がリセットされているときまたは前記比較回路の出力がハイレベルのときセットされて前記保護回路を前記スイッチングモードに制御する制御信号を出力する保持回路と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体スイッチ。
【請求項4】
前記短絡検出回路は、前記短絡監視回路の出力信号が論理閾値電圧よりも低いときリセットされることを特徴とする請求項3記載の半導体スイッチ。
【請求項5】
前記保護回路は、前記上限値を調整するインピーダンス素子が接続可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体スイッチ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体スイッチと、
前記出力線と接地との間に接続された充電コンデンサと、
前記出力線と前記接地との間に接続された充電抵抗と、
を備えたことを特徴とする充電回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−90420(P2012−90420A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234596(P2010−234596)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】