説明

半導体ナノ複合構造薄膜材料およびその製造方法

【課題】高周波スパッタリング法等により一括して製造することができ、半導体ナノスケール粒子がNb単相マトリクスに均一に分散した構造の半導体ナノ複合構造薄膜材料およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体ナノ複合構造薄膜材料(1)は、一般式Ge100−x−yNb(ただし、70≦x+y≦98、20≦x≦28、50≦y≦70であり、各元素の添字は原子比率を示す)で表され、その結晶構造が、半導体ナノスケール粒子(2)としてのGe相がマトリクス(3)としてのNb相中に分散した複合構造を有する。この複合構造薄膜材料は、高周波スパッタリング法により上記一般式で表されるアモルファス薄膜を成膜し、これを不活性雰囲気中において500〜800℃で熱処理して結晶化することにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ナノスケール粒子の量子サイズ効果を利用した波長可変性無機光電子素子として好適な半導体ナノ複合構造薄膜材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な排気ガスを出さない全くクリーンな発電装置として、太陽電池が注目されている。太陽電池としては、アモルファスSi、薄膜多結晶Si、単結晶Si等を用いたSi系のものが既に実用化されている。
【0003】
太陽光の強度分布はエネルギー1.4eV(886nm)付近の波長において最も光強度が大きいが、Siの禁制帯幅は1.1eVであり、上記波長に対応する理想的な禁制帯幅である1.4eVよりも小さく、太陽光スペクトルの最大強度波長領域と一致していない。このため、Si系太陽電池の理論変換効率は26.5%とされ、現在のSi系太陽電池の変換効率は、14.5%(アモルファスSi)、16%(薄膜多結晶Si)および24.7%(単結晶Si)であることを考慮すると、実用化されているSi系太陽電池の変換効率は技術的にほぼ理論的限界に達しているといえる。
【0004】
そこで、そのSi系の理論的限界を突破する可能性がある次世代太陽電池用材料として、化合物半導体系、有機色素系、半導体ナノスケール粒子系の材料が研究されている。
【0005】
上記の材料のうち、化合物半導体系材料においては、これまでにGaAsにおいて比較的高い26%の変換効率が得られているが、Siと比較して高コストであることから、耐放射線性能を活かした宇宙空間での利用など特殊用途に限られているのが現状である。また、有機色素増感型は低コスト化が可能であるが、これまで得られている変換効率は11%程度であり、Siよりも劣っている。
【0006】
一方、半導体ナノスケール粒子系材料は、マトリクス相中に半導体ナノスケール粒子相が分散された状態の半導体ナノ複合構造薄膜材料として構成され、このような半導体ナノ複合構造薄膜材料を光電子素子として用いた量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料が知られている(例えば非特許文献1)。量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料は、量子サイズ(半導体ナノスケール粒子のサイズ)効果による光吸収波長の変化を利用したものである。量子サイズ効果は、図4に示すように半導体ナノスケール粒子のサイズがc,b,aの順に増加する場合、光が透過しない波長、すなわち、光学的に光が吸収される波長(光吸収端)が、粒径の減少とともに短波長側にシフトする現象であり、物理的特性として広く知られているものである。そして、量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料は、半導体ナノスケール粒子のサイズを調整して禁制帯幅を太陽光スペクトルにおいて最も光強度が大きいエネルギー1.4eV(886nm)付近の波長に合わせることが可能となる。つまり、半導体ナノスケール粒子のサイズを調整することにより、太陽光スペクトルの最大照射エネルギーを効率的に光吸収することができる。また、量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料は、光吸収した1個の光子に対して2つの電子−正孔対を生成可能である。これらにより、量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料は、他の材料を凌駕する50%超の高い変換効率が理論予測されている。
【0007】
従来、量子ドット増感型太陽電池として、物理的成膜法による自己組織化半導体ナノスケール粒子系材料や化学的成膜法による半導体ナノスケール粒子担持材料が広く知られている。
【0008】
前者の物理的成膜法による自己組織化半導体ナノスケール粒子系材料は、分子線ビームエピタキシー法等を用いて、基板(あるいは下地層)とその上に堆積したナノスケール粒子半導体との格子ひずみを利用するナノスケール粒子成長法で作製されるものであり、InAs等のIII−V族化合物半導体が主に用いられている。また、高周波スパッタリング法等により、半導体ナノスケール粒子と酸化物等の複合構造を一括して成膜する方法も研究されている。
【0009】
一方、化学的成膜法による半導体ナノスケール粒子担持材料は、マトリクス相であるTiO電極を半導体含有電解液中に浸漬することにより、比較的簡便にTiO電極に半導体ナノスケール材料を担持することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
A.J.Nozik,Physica E 14 (2002) 115-120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
Si系太陽電池を量子ドット増感型次世代太陽電池により代替するためには、比較的高い変換効率を有するSi系材料を大きく上回る変換効率を有しつつ、大面積成膜が可能であるとともに低コスト化が可能なガラス板上に作製することができ、かつ、大気中で長期間安定して稼動する材料系であることが望ましい。また、低コスト化には極めて簡便な薄膜作製プロセスも不可欠である。
【0012】
しかしながら、化学的成膜法による半導体ナノスケール粒子担持材料は、素子に電解液を用いることから液漏れが懸念されること、および光触媒特性を有するTiOが太陽光を吸収してナノスケール粒子用半導体を分解すること等解決しなければならない課題が多い。
【0013】
物理的成膜法による自己組織化によって半導体ナノスケール粒子材料を作製する場合には、比較的均一なサイズのナノスケール粒子を安定的に作製することが可能である。しかし、その均一性は未だ十分ではない。また、基板としてGaAs等の化合物半導体を用いることから、上述の化合物半導体材料系と同様にコスト面でも問題がある。
【0014】
これらに対して、高周波スパッタリング法等により、半導体ナノスケール粒子と酸化物等の複合構造を一括して成膜する方法は、熱力学的な生成熱差を利用して半導体ナノスケール粒子およびマトリクスを相分離させ、ガラス基板等に比較的高速成膜が可能で、低コスト化が期待される。
【0015】
そこで、半導体ナノスケール粒子および化学的に安定である酸化物から構成される複合構造薄膜材料に着目した。このような薄膜を作製するためには、半導体ナノスケール粒子用材料の酸化に要する生成熱がマトリクス用酸化物の生成熱よりも大きく、かつ、その差を可能な限り大きくすることにより熱力学的に安定な複合構造薄膜(半導体ナノスケール粒子と酸化物マトリクス)を一括して成膜することが可能である。半導体ナノスケール粒子用材料としてSiまたはGeを用いる場合、このような条件を満たすマトリクス用酸化物材料候補として、TiOおよびNb等を挙げることができる。
【0016】
このような酸化物候補の中でもNbは極めて負に大きい生成熱を有することから、半導体ナノスケール粒子を熱力学的に安定に分散させることが可能である。また、Nbは比較的大きな禁制帯幅(3.9eV)を有することから、複合構造中の半導体ナノスケール粒子は量子準位を容易に形成し、太陽電池として理想的な値(1.4eV付近)に光学ギャップを調整することが可能である。すなわち、Nbマトリクス中に半導体ナノスケール粒子を分散させた複合構造材料は、半導体ナノスケール粒子による光吸収(1.4eV付近)およびマトリクスによる光吸収(3.9eV)により高効率の光電変換をもたらすことが期待され、量子ドット増感型太陽電池として有効に作用することが期待される。
【0017】
すなわち、高周波スパッタリング法により半導体ナノスケール粒子をNbマトリクス中に分散させた複合構造薄膜材料は、(1)一括して成膜される極めて簡便な方法で製造可能であり、(2)基板に制約は無く安価なガラス基板を使用することが可能であり、(3)Nbの生成熱が負に比較的大きく、半導体ナノスケール粒子を熱力学的に安定に分散させることが可能であり、(4)Nbの禁制帯幅が比較的大きく半導体ナノスケール粒子の量子光学特性を容易に発現可能であるといった特徴を有する。
【0018】
ところで、Nbは酸化物として、主にNbO、NbOおよびNbを形成することが知られている。しかし、これらのうちNbOおよびNbOは黒色系物質であり上記複合構造薄膜材料のマトリクス用途に適さない。したがって、このような複合構造薄膜中のマトリクスとしてはNbを用いることが必須である。
【0019】
一般に、高周波スパッタリング法においてNb薄膜を作製する場合、NbおよびNbOの混合相が形成されることから、この混合相からNbOを消失させる方法として、成膜時に希薄酸素を付加する方法が用いられている。しかし、半導体ナノスケール粒子を含む複合構造を作製する際、希薄酸素付加により半導体ナノスケール粒子も同時に酸化され、量子光学特性が消失してしまい、未だこのような半導体ナノ複合構造薄膜材料は得られていない。
【0020】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高周波スパッタリング法等により一括して製造することができ、半導体ナノスケール粒子がNb単相マトリクスに均一に分散した構造の半導体ナノ複合構造薄膜材料およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、代表的な半導体ナノスケール粒子用材料であるSiおよびGeの添加量を様々に変化させて当該複合構造を作製した結果、Siの場合は、添加量を変化させてもNbOは消失せずNbとの混合相を形成するのに対し、Ge添加の場合は、特定の添加量においてNbOが消失し、マトリクスはNb単相化することを見出した。すなわち、半導体ナノスケール粒子材料としてGeを用いれば、特定の添加量において希薄酸素を付加することなくGeナノスケール粒子とNbから構成される複合構造薄膜を作製することが可能になることを見出したのである。
【0022】
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものである。
【0023】
すなわち、第1発明は、一般式Ge100−x−yNb(ただし、70≦x+y≦98、20≦x≦28、50≦y≦70であり、各元素の添字は原子比率を示す)で表され、その結晶構造が、半導体ナノスケール粒子としてのGe相がマトリクスとしてのNb相中に分散した複合構造を有することを特徴とする半導体ナノ複合構造薄膜材料を提供する。
【0024】
第2発明は、高周波スパッタリング法により前記一般式で表されるアモルファス薄膜を成膜し、これを不活性雰囲気中において500〜800℃で熱処理して結晶化したものであることを特徴とする半導体ナノ複合構造薄膜材料を提供する。
【0025】
第3発明は、高周波スパッタリング法により一般式Ge100−x−yNb(ただし、70≦x+y≦98、20≦x≦28、50≦y≦70であり、各元素の添字は原子比率を示す)で表されるアモルファス薄膜を成膜し、次いで、このアモルファス薄膜を不活性雰囲気中で500〜800℃で熱処理して結晶化することを特徴とする半導体ナノ複合構造薄膜材料の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高周波スパッタリング法を利用して特定の組成を有し、結晶構造が、半導体ナノスケール粒子としてGe相がマトリクスとしてのNb相中に分散した複合構造を有する半導体ナノ複合構造薄膜材料を得るので、安価なガラス基板へ簡便な方法により一括成膜することが可能であり、半導体ナノスケール粒子を熱力学的に安定に分散させることが可能であり、半導体ナノスケール粒子の量子光学特性を容易に発現させることが可能である。このため、高効率および低コストの量子ドット増感型太陽電池用材料として好適である。また、波長変換性光電変換素子用材料としても好適であり、応用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体ナノ複合構造薄膜材料の構造を示す概念図である。
【図2】半導体ナノスケール粒子であるGe粒子とNbマトリクスから構成される本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料の典型的なX線回折パターンを示す図である。
【図3】半導体ナノスケール粒子であるGe粒子とNbマトリクスから構成される本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料の光透過スペクトルを示す図である。
【図4】ナノスケール粒子サイズと光透過スペクトルとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体ナノ複合構造薄膜材料の構造を示す概念図である。図示するように、半導体ナノ複合構造薄膜材料1は、半導体ナノスケール粒子2がマトリクス3中に分散した構造を有している。
【0029】
このような構成により、上述した量子サイズ(半導体ナノスケール粒子のサイズ)効果による光吸収波長の変化を利用した光電子素子、典型的には量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料として適用することができる。量子ドット増感型太陽電池用薄膜材料に適用する場合には、半導体ナノスケール粒子のサイズを太陽光において最も光強度が大きいエネルギー1.4eV(886nm)付近の波長に光吸収端が対応するようなサイズに制御すれば、太陽光スペクトルの最大照射エネルギーを効率的に光吸収することができる。
【0030】
半導体ナノ複合構造薄膜材料1は、一般式Ge100−x−yNb(ただし、70≦x+y≦98、20≦x≦28、50≦y≦70であり、各元素の添字は原子比率を示す)で表される組成を有する。このような組成にすることにより、半導体ナノスケール粒子であるGeおよびマトリクスであるNbの相が熱処理により結晶化する際に、半導体ナノスケール粒子であるGeの相を相分離により自己組織化させる効果があり、また、マトリクス相としてNbを単相化させる効果がある。したがって、図1に示すような、半導体ナノスケール粒子2としてのGe相がマトリクス3としてのNb相中に分散した複合構造を得ることができる。
【0031】
上記組成範囲を外れるとNbOを生成し光学特性が悪化するとともに、半導体ナノスケール粒子としてのGe相の自己組織化が困難となり、量子ドット増感型太陽電池用材料として不適当となる。
【0032】
なお、Nbは化学量論的組成からの偏差が生じ易いことは広く知られており、一般式中のNb:O組成比が2:5から多少偏差しても化合物Nbの形成に支障が生じない場合は、本発明の範疇に属するものである。また、ナノスケールとは、太陽光の高効率変換を可能にする半径24.3nm以下のサイズである。
【0033】
次に、本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料の製造方法について説明する。
各原材料(すなわちGeおよびNb)を薄膜製造装置、典型的には、高周波スパッタリング装置の真空槽中に設置し、その中を真空引きして減圧状態にしつつ、ガス雰囲気、例えば、アルゴンガス雰囲気を形成して成膜を行う。なお、この際、基板として適当な基板、例えば板状ガラスを用い、成膜前に基板のスパッタエッチングを適当時間保持して行った後、成膜を行う。成膜は例えば室温で行うことができる。成膜終了後、真空槽内を適当なガス、例えば、窒素によりパージした後に、適当な形状の薄膜が形成された基板を取り出す。
【0034】
このようにして成膜された薄膜は、半導体ナノ粒子およびマトリクスともにアモルファス構造であり、良好に相分離する結晶相は形成されていない。そのため、所望の特性を発現させるために、不活性雰囲気、例えば真空中において熱処理を施す。このときの熱処理を500〜800℃で行うことにより、半導体ナノスケール粒子としてGe相がマトリクスとしてのNb相中に分散した複合構造を有する結晶構造が得られる。
【0035】
なお、このときの熱処理は、不活性雰囲気であれば、真空中に限らず不活性ガス中で行ってもよい。また、基板を加熱しながら成膜を行うことにより、成膜と熱処理を一括して行ってもよい。
【実施例】
【0036】
まず、4インチNbターゲット上に、5mm角のGeチップをカーボン製両面テープにより5枚貼り付け、これを高周波スパッタリング装置の真空槽中に設置した。また、基板として板ガラスを真空槽内に設置した。次いで、真空槽内を1.5×10−7Torrの真空度に達するまで真空排気を行い、引き続き、真空槽内にアルゴンガスを供給してガス圧を2mTorrに制御しつつ投入電力250Wで60分間の成膜を行った。これにより成膜された膜の膜厚は1μmであった。なお、処理前に基板のスパッタエッチングを投入電力200Wで1分間行った。次に、成膜された試料について、650℃で60分間、真空中において熱処理を行った。
【0037】
得られた試料について、組成分析を行ったところ、GeNb2870(各数字は原子比率を示す)であった。この材料のX線回折パターンを図2に示す。このX線回折パターンに示すように、GeおよびNbに起因するX線回折ピークが観測され、Nb酸化物マトリクスはNbにより構成されていることがわかる。
【0038】
また、この材料の光透過スペクトルを、比較例としてのGeを含まないNbおよびGe6.9Nb26.666.5の透過スペクトルと比較して図3に示す。図3中、AがNbの透過スペクトル、Bが本実施例で得られたGeNb2870の透過スペクトル、CがGe6.9Nb26.666.5の透過スペクトルである。図3から明らかなように、Geの添加量の増加とともに光吸収領域が紫外光領域から可視光領域に大きく広がり、本実施例の材料はナノスケールのGe粒子とマトリクスであるNbにより形成される複合構造が形成されており、太陽光を効果的に光吸収できることがわかる。
【0039】
なお、表1には同様にして作製した本発明の範囲内の代表的な複合構造薄膜材料の組成、ナノスケールGe相の平均粒径、光学ギャップ、およびX線回折で確認されるNb酸化物の相を示した。表1に示すように、本発明の範囲内の複合構造材料において、マトリックスのNb酸化物がNb単相であり、複合構造薄膜中のナノ粒子は相分離により自己組織化し、所望の特性を発現していることがわかる。これに対して、本発明の組成範囲から外れる比較例はマトリックスのNb酸化物がNb+NbOとなり、所望の特性が得られていない。
【0040】
【表1】

【0041】
上記の実施例、表および図に示すように、本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料は、半導体ナノスケール粒子およびマトリクスの良好な相分離による一括成膜の実現に好適である。したがって、本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料は、量子ドット増感型太陽電池用材料として好適であり、また、波長可変性光電変換による光学素子としても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料は、ナノスケール量子サイズ効果を利用した量子ドット増感型太陽電池作製の基盤技術である、半導体ナノスケール粒子およびマトリクスの良好な相分離、ならびに一括成膜をもたらすので、高効率および抵コストの太陽電池用材料として好適であり、さらに本発明の半導体ナノ複合構造薄膜材料は、光電変換による光学素子としても好適であり、応用範囲が広く、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0043】
1;半導体ナノ複合構造薄膜材料
2;半導体ナノスケール粒子
3;マトリクス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Ge100−x−yNb(ただし、70≦x+y≦98、20≦x≦28、50≦y≦70であり、各元素の添字は原子比率を示す)で表され、その結晶構造が、半導体ナノスケール粒子としてのGe相がマトリクスとしてのNb相中に分散した複合構造を有することを特徴とする半導体ナノ複合構造薄膜材料。
【請求項2】
高周波スパッタリング法により前記一般式で表されるアモルファス薄膜を成膜し、これを不活性雰囲気中において500〜800℃で熱処理して結晶化したものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体ナノ複合構造薄膜材料。
【請求項3】
高周波スパッタリング法により一般式Ge100−x−yNb(ただし、70≦x+y≦98、20≦x≦28、50≦y≦70であり、各元素の添字は原子比率を示す)で表されるアモルファス薄膜を成膜し、次いで、このアモルファス薄膜を不活性雰囲気中で500〜800℃で熱処理して結晶化することを特徴とする半導体ナノ複合構造薄膜材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−201906(P2012−201906A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65337(P2011−65337)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000173795)公益財団法人電磁材料研究所 (28)
【Fターム(参考)】