説明

半導体装置、半導体装置の製造方法、及び半導体装置の検査方法

【課題】層間絶縁膜に生じたボイドを高感度に検出する。
【解決手段】この半導体装置は、多層配線層(非図示、以下略)と、多層配線層中に形成された第一TEGパターン(非図示)を備える。第一TEGパターンは、互いに平行に延伸した複数の第一下層配線402と、層間絶縁膜(非図示)を貫通し、平面視で第一下層配線402間に位置する第一ビア602と、多層配線層の最上層(非図示)に形成され、第一ビア602に接続している第一端子762と、上記した同一の最上層に形成され、第一下層配線402に接続している第二端子764と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法、及び半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の多層配線化した半導体装置では、層間絶縁膜中に発生したボイドにより、半導体装置の出荷後に半導体装置の不良が発生する場合がある。そこで、半導体装置にTEG(Test Element Group)パターンを設け、半導体装置の出荷前にボイドの有無を検査する方法が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2007−123755号公報)では、溝型素子分離領域に生じたボイドを検出するための方法が提案されている。特許文献1によれば、溝型素子分離領域の表面にボイドが発生した場合には、ボイド内部に導電体が部分的に残留する。そのため、ボイド内部に残留する導電体が、隣接する一対の電極に電気的に接続されている場合、当該一対の電極間は、電気的にショートする。したがって、その電極間に電圧を印加すれば、その際流れる電流値を測定することによって、溝型素子分離領域内のボイドの有無を判定することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−123755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の方法では、ボイド上に少なくとも二つ以上の電極(コンタクト領域)が形成され、そのボイド内部に導電体が埋め込まれなければ、ボイドの検出は不可能である。このため、特に微小ボイドに対しては検出が困難であり、検出感度が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
多層配線層と、前記多層配線層中に形成された第一TEGパターンを備え、
前記第一TEGパターンは、
互いに平行に延伸した複数の第一下層配線と、
層間絶縁膜を貫通し、平面視で前記第一下層配線間に位置する第一ビアと、
前記多層配線層の最上層に形成され、前記第一ビアに接続している第一端子と、
前記最上層に形成され、前記第一下層配線に接続している第二端子と、
を備える半導体装置、が提供される。
【0007】
本発明によれば、
多層配線層中に第一TEGパターンを形成する工程と、
第一TEGパターンを検査する工程と、
を備え、
前記第一TEGパターンを形成する工程は、
互いに平行に延伸した複数の第一下層配線を形成する工程と、
前記第一下層配線間及び前記第一下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を貫通し、平面視で前記第一下層配線間に位置する第一ビアを形成するビア形成工程と、
前記多層配線層の最上層に、前記第一ビアに接続する第一端子、及び前記第一下層配線に接続する第二端子を形成する工程と、
を備え、
前記第一TEGパターンを検査する工程において、
前記第一端子と前記第二端子との導通があったとき、前記層間絶縁膜中における隣り合う前記第一下層配線間にボイドが発生したと判断する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0008】
本発明によれば、
層間絶縁膜中に生じたボイドを検出する半導体装置の検査方法であって、
前記半導体装置は、多層配線層中に第一TEGパターンを備え、
前記第一TEGパターンは、
互いに平行に延伸した複数の第一下層配線と、
層間絶縁膜を貫通し、平面視で前記第一下層配線間に位置する第一ビアと、
前記多層配線層の最上層に形成され、前記第一ビアに接続している第一端子と、
前記最上層に形成され、前記第一下層配線に接続している第二端子と、
を備え、
前記第一端子と前記第二端子との導通があったとき、前記層間絶縁膜中における隣り合う前記第一下層配線間に前記ボイドが発生したと判断する半導体装置の検査方法、が提供される。
【0009】
本発明によれば、半導体装置は、第一TEGパターンを備え、第一TEGパターンは、層間絶縁膜を貫通し、平面視で第一下層配線間に位置する第一ビアを備える。この第一ビアを形成する工程において、隣り合う第一下層配線間にボイドが存在すると、ビアホールからボイド内部にエッチングガスが侵入し、ボイドを拡張する。次いで、このボイドの拡張した部分まで金属を埋め込み、第一ビアを第一下層配線と短絡させる。これにより、第一TEGパターンを検査する工程において、第一端子と第二端子との導通があったとき、層間絶縁膜中における隣り合う第一下層配線間にボイドが発生したと判断することが出来る。以上のように、層間絶縁膜に生じたボイドを高感度に検出することが出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、層間絶縁膜に生じたボイドを高感度に検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図2】第一の実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】第一の実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】第一の実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】第二の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図6】第三の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図7】第四の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図8】第四の実施形態の効果を説明するための図である。
【図9】第四の実施形態の効果を説明するための図である。
【図10】第四の実施形態の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
(第一の実施形態)
図1は、第一の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。この半導体装置は、多層配線層(非図示、以下略)と、多層配線層中に形成された第一TEGパターン(非図示、以下略)を備える。第一TEGパターンは、互いに平行に延伸した複数の第一下層配線402と、層間絶縁膜(後述、第二層間絶縁膜500)を貫通し、平面視で第一下層配線402間に位置する第一ビア602と、多層配線層の最上層(非図示、以下略)に形成され、第一ビア602に接続している第一端子762と、上記した同一の最上層に形成され、第一下層配線402に接続している第二端子764と、を備える。
【0014】
図1のように、この半導体装置は、第一TEGパターンを備える。図1は、第一TEGパターンのみを表しており、その他にFET(Field Effect Transistor)(非図示、以下略)などを備える回路パターン(非図示、以下略)を有している。そのFETを備える回路パターンは、製品として出荷されるチップ領域(非図示、以下略)に形成されている。一方、第一TEGパターンは、半導体基板100を半導体チップ(非図示)に分割する際のスクライブ線上に設けられている。
【0015】
図1のように、第一TEGパターンは、互いに平行に延伸した複数の第一下層配線402を備える。第一下層配線402は、半導体基板100の表面に形成された下層絶縁膜(後述、200)上に、例えば、幅L、間隔S毎に等間隔で配置されている。
【0016】
また、第一TEGパターンは、層間絶縁膜(後述、第二層間絶縁膜500)を貫通し、平面視で第一下層配線402間に位置する第一ビア602を備える。ここで、第一ビア602は、平面視で第一下層配線402間の中心、すなわち、第一下層配線402から間隔S/2の位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
図1のように、第一ビア602は、複数設けられていても良い。具体的には、複数の第一ビア602は、平面視で第一下層配線402間において、第一下層配線402が延伸する方向と平行の方向に、一定の間隔毎で等間隔に配置されていても良い。これにより、第一ビア602がボイド320と接触する確率を上げることが出来る。すなわち、ボイド320の検出感度を上げることが出来る。
【0018】
第一端子762は、多層配線層の最上層に形成されている。また、第一端子762は、第一ビア602上に形成された第一上層配線702を介して、第一ビア602と電気的に接続している。
【0019】
また、上記した複数の第一ビア602は、同一の第一端子762に接続されていてもよい。これにより、後述する第一TEGパターンを検査する工程を短縮化することが出来る。
【0020】
図1のように、コンタクト604は、第一下層配線402上に形成されている。また、第二端子764は、多層配線層の最上層に形成されており、例えば、コンタクト604上に形成された第二上層配線704を介して、第一下層配線402と電気的に接続している。本実施形態では、コンタクト604は、第一下層配線402上に一定の間隔毎で配置されているが、このような配置に限られるものではない。例えば、少なくとも一つのコンタクト604により、第二端子764が第一下層配線402に電気的に接続されていればよい。
【0021】
以上のような構成の第一TEGパターンを備えることにより、後述するように、第一TEGパターンを検査する工程において、第一端子762と第二端子764との導通があったとき、層間絶縁膜(後述、第一層間絶縁膜300)中における隣り合う第一下層配線402間にボイド320が発生したと判断することが出来る。
【0022】
次に、図2〜4を用いて、図1に示した半導体装置の製造方法を説明する。図2〜4は、第一の実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。この半導体装置の製造方法は、多層配線層中に第一TEGパターンを形成する工程と、第一TEGパターンを検査する工程と、を備える。第一TEGパターンを形成する工程は、まず、互いに平行に延伸した複数の第一下層配線402を形成する。次いで、第一下層配線402間に第一層間絶縁膜300を、また第一下層配線402上に第二層間絶縁膜500を形成する。次いで、第二層間絶縁膜500を貫通し、平面視で第一下層配線402間に位置する第一ビア602を形成する(ビア形成工程)。次いで、多層配線層の最上層に、第一ビア602に接続する第一端子762、及び第一下層配線402に接続する第二端子764を形成する。また、第一TEGパターンを検査する工程において、第一端子762と第二端子764との導通があったとき、第一層間絶縁膜300中における隣り合う第一下層配線402間にボイド320が発生したと判断する。以下、詳細に説明する。
【0023】
ここで、半導体基板100は、例えばシリコン基板である。半導体基板100には、以下で図示されていない領域(チップ領域)にFETなどが形成されている。
【0024】
図2(a)のように、半導体基板100上には、例えばシリコン酸化膜などの下層絶縁膜200が形成されている。まず、その下層絶縁膜200上のうちスクライブ領域(非図示)に、第一下層配線402、バリア層422、及びバリア層442を形成する。
【0025】
この工程において、チップ領域にFETと接続する配線(非図示、以下略)を形成する。このチップ領域の配線間隔は、第一下層配線402の間隔と同じである。
【0026】
また、第一下層配線402は、例えばAlであり、バリア層422、及びバリア層442は、例えばTi、TiNである。これらを、例えばスパッタ法により成膜し、ドライエッチングによってパターニングする。
【0027】
次いで、図2(b)のように、第一下層配線402上、及び第一下層配線402間に、第一層間絶縁膜300を形成する。第一層間絶縁膜300は、例えばシリコン酸化膜である。このとき、第一層間絶縁膜300の成膜条件が不適であると、第一下層配線402間にはボイド320が発生してしまう。
【0028】
次いで、図2(c)のように、第一層間絶縁膜300をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化し、第一下層配線402上、及び第一層間絶縁膜300上に、第二層間絶縁膜500を形成する。第二層間絶縁膜500は、例えばシリコン酸化膜である。
【0029】
次いで、図3(a)のように、第二層間絶縁膜500を貫通し、第一下層配線402間に位置する第一ビア602を形成する(ビア形成工程)。このとき、第一ビア602を形成すると同時に、第一下層配線402上にコンタクト604を形成してもよい。第一下層配線402間にボイド320が発生した場合、このビア形成工程において、第一ビア602をボイド320に接続する。ここで、ボイド320を断面方向に第一下層配線402まで拡張し、第一ビア602を第一下層配線402と短絡させる。このビア形成工程は、詳細を後述する。
【0030】
次いで、図3(b)のように、多層配線層の最上層に、第一ビア602に接続する第一上層配線702、バリア層722、及びバリア層742を形成する。このとき、第一上層配線702等を形成すると同時に、コンタクト604上に、第二上層配線704、バリア層724、及びバリア層744を形成する。また、図3(b)には図示されていないが、第一上層配線702等を形成すると同時に、第一端子762を第一上層配線702と電気的に接続するように形成する。また第二端子764を第二上層配線704と電気的に接続するように形成する。なお、図3(b)中の短絡部662については、詳細を後述する。
【0031】
次に、前述したビア形成工程について、ボイド320が発生した場合の詳細を説明する。図4は、図3(a)におけるB部の拡大図を示している。
【0032】
図4(a)は、図2(c)の第二層間絶縁膜500を形成した後の状態である。ここで、前述のように、第一層間絶縁膜300の成膜条件が不適であり、第一下層配線402間に、ボイド320が発生している。
【0033】
図4(b)のように、RIE(Reactive Ion Etching)を用いて、第一下層配線402間に、第一ビア602を形成するためのビアホール(非図示)を形成する。ここで、ビアホール(非図示)からボイド320内部にエッチングガスが侵入し、ボイド320の側壁を断面方向にエッチングして拡張する。このとき、ボイド320が拡張される際において、逆テーパ部322が発生してしまう。なお、ボイド320が発生していない場合は、この段階において、ビアホール(非図示)は第一層間絶縁膜300中のうち第二層間絶縁膜500との界面付近で止まり、図4(b)のように断面方向に拡張することはない。
【0034】
次いで、図4(c)のように、ビアホール(非図示)の内壁、及びボイド320の側壁に対して、バリア層622を成膜する。このとき、逆テーパ部322にはバリア層622が形成されにくいため、バリア層622においてバリア層欠陥部642が形成される。
【0035】
次いで、図4(d)のように、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、第一ビア602の金属を埋め込む。第一ビア602またはコンタクト604等に用いられる材料は、例えばW(タングステン)である。
【0036】
また、このビア形成工程において、CVDで用いられる金属原料は、例えばフッ化物である。具体的に本実施形態においては、例えば、WFである。
【0037】
このフッ化物原料を用いる場合、金属堆積中の副生成ガスとして、HF等が発生する。これにより、第一ビア602の金属を埋め込みながら、HF等がバリア層欠陥部642から侵入し、例えばシリコン酸化膜である第一層間絶縁膜300をエッチングする。これにより、さらにボイド320を拡張し、断面方向に第一下層配線402まで拡張する。このようにして、ボイド320の拡張した部分(短絡部662)まで金属を埋め込み、この短絡部662を介して、第一ビア602を第一下層配線402と短絡させる。
【0038】
以上のように、微小なボイド320が発生していたとしても、上記したHF等のエッチングにより、ボイド320を拡張する。これにより、高感度にボイド320を検出することが出来る。
【0039】
次いで、第一TEGパターンを検査する工程が行われる。まず、図1に示した第一端子762及び第二端子764間に、例えば1.5V程度の電圧を印加し、第一端子762及び第二端子764間を流れる電流値を測定する。この測定された電流値と、予め測定しておいた短絡判定のための基準電流値とを比較することによって、第一端子762及び第二端子764の導通状態を評価する。このとき、第一端子762及び第二端子764間を流れる電流値が基準電流値以上であった場合、すなわち、第一端子762と第二端子764との導通があった場合、第一層間絶縁膜300中における隣り合う第一下層配線402間にボイド320が発生したと判断する。
【0040】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、半導体装置は、第一TEGパターンを備え、第一TEGパターンは、第二層間絶縁膜500を貫通し、平面視で第一下層配線402間に位置する第一ビア602を備える。この第一ビア602を形成する工程において、隣り合う第一下層配線402間にボイド320が存在すると、ビアホール(非図示)からボイド320内部にエッチングガスが侵入し、ボイド320を拡張する。次いで、このボイド320の拡張した部分まで金属を埋め込み、第一ビア602を第一下層配線402と短絡させる。これにより、第一TEGパターンを検査する工程において、第一端子762と第二端子764との導通があったとき、第一層間絶縁膜300中における隣り合う第一下層配線402間にボイド320が発生したと判断することが出来る。以上のように、層間絶縁膜(第一層間絶縁膜300)に生じたボイド320を高感度に検出することが出来る。
【0041】
なお、第一TEGパターンを検査する工程において、ボイド320が検出されなければ、チップ領域においてもボイド320が発生しなかったものとして、FETを備える半導体チップ(非図示)を出荷可能と判断することが出来る。
【0042】
(第二の実施形態)
図5は、第二の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。本実施形態は、第一ビア602の平面視での形状を除いて、第一の実施形態と同じである。
【0043】
図5のように、第一ビア602は、平面視でスリット状であっても良い。第一ビア602のスリット方向は、第一下層配線402の延伸する方向と平行の方向であることが好ましい。
【0044】
本実施形態によれば、第一ビア602がボイド320と接触する確率を上げることが出来る。すなわち、ボイド320の検出感度を上げることが出来る。
【0045】
(第三の実施形態)
図6は、第三の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。本実施形態は、第一下層配線402の配置を除いて、第一の実施形態と同じである。
【0046】
図6のように、第一下層配線402は、異なる間隔で配置されていても良い。互いに平行に延伸した4本の第一下層配線402は、例えば、S、S、Sの間隔で配置されていても良い。例えば、第二端子764a及び第二端子764b間、第二端子764b及び第二端子764c間、そして第二端子764c及び第二端子764d間のそれぞれの導通を検査することにより、第一下層配線402の異なる間隔におけるボイド320の発生確率を調査することが出来る。
【0047】
また、上記した第一下層配線402のいずれかの間隔を、FETを備えるチップ領域における配線間隔と同一にしておくことが出来る。
【0048】
一般に、多層配線層の配線間隔が狭いほど、層間絶縁膜のカバレッジ性が悪くなり、ボイドが発生しやすくなる。そこで、例えば、チップ領域における配線の最少間隔をS(>S)としておく。これにより、安全を考慮して、第一TEGパターンのうち間隔Sの第一下層配線402間においてボイド320が検出されなければ、FETを備える半導体チップ(非図示)を出荷可能という判断をすることが出来る。
【0049】
(第四の実施形態)
図7は、第四の実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。本実施形態は、第二TEGパターンを設ける点を除いて、第一の実施形態と同じである。
【0050】
図7のように、第一TEGパターンと平面視で重ならない領域に配置された第二TEGパターン(非図示、以下略)を備える。第二TEGパターンは、第二下層配線404、第二ビア606、第三端子766を備える。第二下層配線404は、第一下層配線402と同一の層に形成されている。また、第二ビア606は、第一ビア602と同じ径であり、第一ビア602と同一の層に形成されている。さらに、第二ビア606は、平面視で、第二下層配線404に対して、第一下層配線402と第一ビア602の中心との間隔Sと同じ間隔で設けられている。また、第三端子766は、多層配線層の最上層に形成され、第二ビア606に接続している。以下、詳細に説明する。
【0051】
第二TEGパターンとは、第一ビア602等の位置ずれを検出するためのTEGパターンである。以下でいう「位置ずれ」とは、第一ビア602、及び第一ビア602と同一の層に形成された第二ビア606等の平面視での位置ずれを言う。
【0052】
図7のように、第二下層配線404は、第一下層配線402と同一の層に形成されている。第二下層配線404上には、例えば、コンタクト608が第一ビア602と同一の層に形成されている。コンタクト608は、例えばコンタクト608上に形成された第四上層配線708に接続することにより、第二端子764と電気的に接続している。なお、第二端子764とは別に、第二TEGパターンのコンタクト608のための端子を設けていても良い。
【0053】
ここで、第二下層配線404は、第一下層配線402の幅よりも広めに形成しておいても良い。これにより、第一ビア602及びコンタクト608等の位置ずれが発生したとしても、コンタクト608は確実に第二下層配線404に接続する。すなわち、上記した位置ずれが発生したとしても、第二TEGパターンは確実に検査可能となる。
【0054】
また、図7のように、第二ビア606は、第一ビア602と同じ径であり、第一ビア602と同一の層に形成されている。さらに、第二ビア606は、平面視で、第二下層配線404に対して、第一下層配線402と第一ビア602の中心との間隔Sと同じ間隔で設けられている。
【0055】
第一TEGパターンにおける第一ビア602及びコンタクト604、並びに第二TEGパターンにおける第二ビア606及びコンタクト608は、例えば、同一のフォトマスクを用いて形成されている。これにより、第一ビア602に位置ずれが生じている場合には、同時に他の第二ビア606等も、第一ビア602と同一の方向に位置ずれをしていることとなる。
【0056】
第三端子766は、多層配線層の最上層に形成されている。また、第三端子766は、第二ビア606上に形成された第三上層配線706に接続することにより、第二ビア606に接続している。なお、第三上層配線706は、例えば第一上層配線702の幅よりも広めに形成しておいても良い。これにより、第一ビア602及び第二ビア606等の位置ずれが発生したとき、第二ビア606が第三上層配線706に接続する確率が高くなる。このため、上記した位置ずれが発生したとしても、第二TEGパターンの検出感度が高くなる。
【0057】
さらに、図7のように、例えば、第二下層配線404に対して同じ間隔Sで設けられた第二ビア606の反対側には、同じ間隔S内に第二下層配線404が形成されていない。これにより、第二TEGパターンにはボイド320が形成されないようにすることが出来る。
【0058】
また、図7のように、少なくとも二組以上の第二下層配線404と第二ビア606の組は、第一下層配線402の延伸方向と垂直の方向に対して、互いに異なる向き(逆向き)に形成されていても良い。これにより、第一下層配線402の延伸方向と垂直の方向のどちらの向きにおいても、第一ビア602等の位置ずれを検出することが出来る。または、互いに異なる向きを区別して、第一ビア602等の位置ずれを検出することが出来る。
【0059】
なお、上記した第二TEGパターンを検査する工程は、第一TEGパターンを検査する工程と同時に行っても良い。
【0060】
図7〜10を用いて、第四の実施形態の効果について説明する。図8〜10は、第四の実施形態の効果を説明するための図である。本実施形態によれば、上述した第二TEGパターンを第一TEGパターンと同一の半導体基板100に形成する。これにより、第一TEGパターンを検査する工程において導通があった場合、第二TEGパターンを検査することにより、ボイド320の発生による導通であるのか、第一ビア602等の位置ずれによる導通であるのかを判断することが出来る。
【0061】
まず、図8、図9を用いて、第一ビア602等に位置ずれが生じている場合を説明する。
【0062】
図8は、第一ビア602等が第一端子762側に位置ずれしている場合を示している。第一TEGパターンにおいて、ボイド320の有無に関わらず、第一ビア602の位置ずれにより、第一端子762と第二端子764が導通している。第一TEGパターンを検査するだけでは、その導通の原因がボイド320の発生によるものなのか、第一ビア602等の位置ずれによるものなのか判断することはできない。
【0063】
一方、図8のように、第二TEGパターンにおいては、第二ビア606が位置ずれをすることにより、C部において第二下層配線404に接続している。これにより、第二TEGパターンにおいて、第二端子764と第三端子766が導通している。
【0064】
図8の場合は、図10の(a)の状況である。第一TEGパターンは導通(Short)、第二TEGパターンも導通(Short)の状況であり、第一ビア602等に位置ずれが発生したと判断することができる。
【0065】
図9は、第一ビア602等が第一端子762と反対側に位置ずれしている場合を示している。図8の場合と同様にして、第一TEGパターンにおいて、ボイド320の有無に関わらず、第一ビア602の位置ずれにより、第一端子762と第二端子764が導通している。第一TEGパターンを検査するだけでは、その導通の原因がボイド320の発生によるものなのか、第一ビア602等の位置ずれによるものなのか判断することはできない。
【0066】
一方、図9のように、第二TEGパターンにおいては、第二ビア606が位置ずれをすることにより、D部において第二下層配線404に接続している。これにより、第二TEGパターンにおいて、第二端子764と第三端子766が導通している。
【0067】
図9の場合は、図8の場合と同様に、図10の(a)の状況である。第一TEGパターンは導通(Short)、第二TEGパターンも導通(Short)の状況であり、第一ビア602等に位置ずれが発生したと判断することができる。
【0068】
図8、図9に対して、図7は、第一ビア602等が位置ずれしておらず、第一ビア602等の正しい設計位置においてボイド320を検出している場合を示している。すなわち、図7の第一TEGパターンは、第一の実施形態で述べた状況と同じ状況である。
【0069】
第一TEGパターンにおいてボイド320が発生している場合は、第一端子762と第二端子764は導通している。一方、第二TEGパターンにおいて、第二端子764と第三端子766は導通していない。したがって、この状況が第一ビア602等の位置ずれによるものではなく、ボイド320の発生による導通であることが分かる。
【0070】
図7の場合は、図10の(b)の状況である。第一TEGパターンは導通(Short)、第二TEGパターンは絶縁(Open)の状況であり、ボイド320が発生したと判断することができる。
【0071】
そのほか、図10の(c)の状況は、第一TEGパターンはオープン(Open)、第二TEGパターンもオープン(Open)の状況であり、ボイド320の発生も、第一ビア602等の位置ずれも起こっていないと判断することが出来る。なお、第一TEGパターンはオープン(Open)、第二TEGパターンは導通(Short)という状況は原理的に起こらないものと考えられる。
【0072】
以上のようにして、本実施形態によれば、第二TEGパターンを第一TEGパターンと同一の半導体基板100に形成する。これにより、第一TEGパターンを検査する工程において導通があった場合、第二TEGパターンを検査することにより、ボイド320の発生による導通であるのか、第一ビア602等の位置ずれによる導通であるのかを判断することが出来る。
【0073】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0074】
100 半導体基板
200 下層絶縁膜
300 第一層間絶縁膜
320 ボイド
322 逆テーパ部
402 第一下層配線
404 第二下層配線
422 バリア層
442 バリア層
500 第二層間絶縁膜
602 第一ビア
604 コンタクト
606 第二ビア
608 コンタクト
622 バリア層
642 バリア層欠陥部
662 短絡部
702 第一上層配線
704 第二上層配線
706 第三上層配線
708 第四上層配線
722 バリア層
724 バリア層
742 バリア層
744 バリア層
762 第一端子
764 第二端子
764a 第二端子
764b 第二端子
764c 第二端子
764d 第二端子
766 第三端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層配線層と、前記多層配線層中に形成された第一TEGパターンを備え、
前記第一TEGパターンは、
互いに平行に延伸した複数の第一下層配線と、
層間絶縁膜を貫通し、平面視で前記第一下層配線間に位置する第一ビアと、
前記多層配線層の最上層に形成され、前記第一ビアに接続している第一端子と、
前記最上層に形成され、前記第一下層配線に接続している第二端子と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第一ビアは、複数設けられている半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
複数の前記第一ビアは、同一の前記第一端子に接続している半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記第一ビアは、平面視でスリット状である半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記第一下層配線は、異なる間隔で配置されている半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置において、
さらに、前記第一TEGパターンと平面視で重ならない領域に配置された第二TEGパターンを備え、
前記第二TEGパターンは、
前記第一下層配線と同一の層に形成された第二下層配線と、
前記第一ビアと同じ径であり、前記第一ビアと同一の層に形成され、平面視で、前記第二下層配線に対して、前記第一下層配線と前記第一ビアの中心との間隔と同じ間隔で設けられている第二ビアと、
前記最上層に形成され、前記第二ビアに接続している第三端子と、
を備える半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第二下層配線に対して前記同じ間隔で設けられた前記第二ビアの反対側には、前記同じ間隔内に前記第二下層配線が形成されていない半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
少なくとも二組以上の前記第二下層配線と前記第二ビアの組は、前記第一下層配線の延伸方向と垂直の方向に対して、互いに異なる向きに形成されている半導体装置。
【請求項9】
多層配線層中に第一TEGパターンを形成する工程と、
第一TEGパターンを検査する工程と、
を備え、
前記第一TEGパターンを形成する工程は、
互いに平行に延伸した複数の第一下層配線を形成する工程と、
前記第一下層配線間及び前記第一下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を貫通し、平面視で前記第一下層配線間に位置する第一ビアを形成するビア形成工程と、
前記多層配線層の最上層に、前記第一ビアに接続する第一端子、及び前記第一下層配線に接続する第二端子を形成する工程と、
を備え、
前記第一TEGパターンを検査する工程において、
前記第一端子と前記第二端子との導通があったとき、前記層間絶縁膜中における隣り合う前記第一下層配線間にボイドが発生したと判断する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ビア形成工程における金属原料は、フッ化物である半導体装置の製造方法。
【請求項11】
層間絶縁膜中に生じたボイドを検出する半導体装置の検査方法であって、
前記半導体装置は、多層配線層中に第一TEGパターンを備え、
前記第一TEGパターンは、
互いに平行に延伸した複数の第一下層配線と、
層間絶縁膜を貫通し、平面視で前記第一下層配線間に位置する第一ビアと、
前記多層配線層の最上層に形成され、前記第一ビアに接続している第一端子と、
前記最上層に形成され、前記第一下層配線に接続している第二端子と、
を備え、
前記第一端子と前記第二端子との導通があったとき、前記層間絶縁膜中における隣り合う前記第一下層配線間に前記ボイドが発生したと判断する半導体装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−109402(P2012−109402A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257140(P2010−257140)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】