説明

半導体装置、及びLEDプリントヘッド

【課題】 N型半導体層11と、該N型半導体層11の領域の一部に不純物を拡散して形成されるP型半導体層12とを有する半導体装置において、接続配線の乗り越えによる接続配線の断線を防ぐこと。
【解決手段】 P型半導体層12は素子側面の一部に至るまで形成され、P側電極14は、P型半導体層12が形成される素子側面の一部に接続され、N側電極13は、N型半導体層11が形成される素子側面の一部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光を発生するLED等の半導体装置、及び該LEDを用いたLEDプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の半導体装置の構造説明図である。
(a)は、平面図であり、(b)は平面図におけるA−A断面矢視図である。
図において、21はSi、GaAs、ガラスなどを材料とする基板である。22はN型半導体層であり、N型不純物を含むGaAsなどの化合物半導体をエピタキシャル成長させたものである。23はP型半導体層であり、GaAsなどの化合物半導体に、ZnなどのP型不純物を拡散させたものである。
【0003】
24はN側電極である。N型半導体層22とオーミック接続をとり得る、例えば、Au、Ge、Niなどを含むメタルにより形成されている。25は、P側電極である。P型半導体層23とオーミック接続をとり得る、例えば、Ti、Pt、Auなどを含むメタルにより形成されている。26、27は、それぞれN側配線、P側配線である。例えば、Ti、Pt、Ge、Ni、Alなどを含むメタルにより形成されている。
【0004】
28、29は、絶縁膜である。例えばSiN、Si0、Al、有機膜などで形成されている。図に示すように、従来の半導体装置では、P型半導体層23が、N型半導体層22の内側に、該N型半導体層22に囲まれるように形成されている。したがって、P側配線27は、円(c)に示すように、絶縁膜28を介してN型半導体層22を乗り越えて配線されている。
【特許文献1】特開2004−207323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の半導体装置では、製造時のばらつき等の要因により半導体素子側面を覆っている絶縁膜28の被覆状態が不十分であった場合等において、P側配線27とN型半導体層22が接触してしまい、ショートしたり、或いは又、乗り越え部分で断線してしまうという解決すべき課題が残されていた。特に円(c)に示す角の部分において、かかる状態が発生しやすいことが経験的に確認されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の半導体層と、該第1の半導体層の領域の一部に不純物を拡散して形成される第2の半導体層と、上記第1の半導体層に接続される第1の電極と、上記第2の半導体層に接続される第2の電極とを有する半導体装置であって、上記第2の半導体層は、素子側面の一部に至るまで形成され、上記第2の電極は、上記第2の半導体層が形成される上記素子側面の一部に接続され、上記第1の電極は、上記第1の半導体層が形成される素子側面に接続されることを主な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記第2の半導体層は、素子側面の一部に至るまで形成され、上記第2の電極は、上記第2の半導体層が形成される上記素子側面の一部に接続され、上記第1の電極は、上記第1の半導体層が形成される素子側面に接続されるので、接続配線が半導体層を乗り越えることなく電極と接続することができるようになり、乗り越えによる接続配線の断線を防ぐことができ、半導体装置の信頼性を向上させることができるという効果を得る。更に、半導体装置の素子面に覆うものが無くなるので、光量を増加させることができるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明を適用する半導体装置としてのLED50の構造説明図である。
(a)は、平面図であり、(b)は、平面図におけるA−A断面矢視図である。
【0010】
図に示すように、LED50は、基板10と、N型半導体層11とP型半導体層12からなるLED薄膜150、N側電極13、P側電極14、絶縁膜15を有する。
【0011】
基板10は、Si、サファイヤ、ガラスなどで構成され、表面が平坦化処理されている。
【0012】
LED薄膜150は、第1導電型半導体層としてのN型半導体層11と、第2導電型半導体層としてのP型半導体層12とを蓄積した構造を有する。ここで、N型半導体層11は化合物半導体、例えば、GaAlsにN型の不純物をドープさせたものである。また、P型半導体層12は化合物半導体、例えば、GaAlAsにP型の不純物をドープさせたものである。
LED薄膜150は、次のようにして形成される。基板10とは異なる図示せぬ基板、例えば、GaAs基板を用い、この表面に、AlAsなどの犠牲層を形成する。次に、犠牲層の上に順に、N型半導体層11、P型半導体層12、をエピタキシャル成長させる。次に、犠牲層をエッチングにより除去することにより基板から剥離され、N型半導体層11とP型半導体層12とが積層されたLED薄膜150が得られる。
剥離されたLED薄膜150は、N型半導体層11側を、基板10の平坦化処理された表面側に向けてボンディングされる。
ここで、個々のLED薄膜150は、前述の別の基板上で素子分離したあと基板10の上にボンディングされたものであっても、LED薄膜シートを基板10上のボンディングしたあとエッチングなどにより素子分離されたものであっても良い。
本発明では、図に示すように、従来の半導体装置のP型半導体層23(図4)とは異なり、P型半導体層12の領域が半導体装置の側面まで広がっている。従って、P型半導体層12の上面では広い範囲が解放されており、出力光を遮る構造をなくしている。
【0013】
N側電極13は、N型半導体層11とオーミック接続をとり得る、例えば、Au、Ge、Niなどを含む金属により形成されている。P側電極14は、P型半導体層12とオーミック接続をとり得る材料、例えば、Ti、Pt、Auなどを含む金属により形成されている。
【0014】
絶縁膜15は、例えばSiN、Si0、Al、有機膜などで形成されている絶縁材である。この絶縁膜15によって、N側電極13とN型半導体層11の間、及びP側電極14とP型半導体層12の間での絶縁が保持される。
【0015】
以上説明したLEDチップ50は、公知の有機金属化学蒸着法(MOCVD法)、有機金属化学気相エピタキシー法(MOVPE法)、および分子線エピタキシー法(MBE法)などによって、GaAs基板、サファイア基板、InP基板、ガラス基板、石英基板あるいはSi基板上に犠牲層を介在させて上記LED薄膜として生成させたものである。
【0016】
上記のようにLED薄膜は、選択的にエッチングが可能な犠牲層を設けるようにエピタキシャル成長されており、その犠牲層を選択的にエッチングすることによりLED薄膜としてリフトオフされている事を特徴としている。
【0017】
また、選択的に犠牲層をエッチングすることが困難な化合物半導体、例えばGaN系のLED素子などの場合には、薄膜化する手段の一つとして、基板裏面をグラインド処理することにより、LED発光素子として必要となるエピタキシャル成長層のみ、約5μm以下に薄膜化し、そのLED薄膜を発光素子として使用していることを特徴としている。
【0018】
LED薄膜は、例えば5μm以下と非常に薄膜化することが可能であるため、非常にフレキシブル性に富んでいることを特徴としている。また、LED薄膜は、液晶、有機ELとは異なり、非常に高品質、高信頼性を有する材料として実績の高い、半導体エピタキシャル成長法により製作された材料を使用しているため、高品質、高信頼性を確保することができる材料であることを特徴としている。
【0019】
LED薄膜(LEDアレイチップ100)は、Si基板120の上に水素結合による分子間力により強固に接合されていることを特徴とする。そのため、LED薄膜(LEDアレイチップ100)のボンディング面、およびボンディングされるSi基板表面は、表面荒さ、即ち凹凸のピークと谷の典型的な高低差が約5nm以下となるように制御されていることが望ましい。
【0020】
図2は、LED発光部ユニットの概略的斜視図である。
この図は、本発明による半導体装置としてのLEDアレイチップ100を用いてLEDプリントヘッドのLED発光部ユニットを構成した状態を表している。ここで、LEDアレイチップ100は複数のLED50を基板10上に配列させたものであり、基板10は個々のLED50を駆動するドライバ回路が形成されたものである。図に示すように、LEDアレイチップ100はCOB基板120の上に配置され、両者は接続ワイヤ130によって図示しない電極パッドを用いて接続される。
【0021】
また、ボンディング力をより強固な状態にするために、それらのボンディング面は、エネルギー波、例えばプラズマ装置などによって洗浄、および活性化が行われていることが望ましい。また、活性剤を塗布することも、接合面を活性化する方法の一つである。
【0022】
次に、図1を用いて本発明による半導体装置としてのLEDチップ50の特徴について説明する。
以上説明したように本発明による半導体装置では、P型半導体層12の領域が半導体装置の側面まで広がっている。
【0023】
又、N側電極13は、N型半導体層11の側面に形成されている。同様に、P側電極14は、P型半導体層12の側面に形成されている。したがって、P型半導体層12の上面には、電極など、出力光を遮るものが無くなっている。
【0024】
更に、N側電極13、及びP側電極14とも、接続配線と一体化されている。したがって、接続配線が半導体層(P型半導体層12、またはN型半導体層11)を乗り越えることなく電極に接続されるため、半導体層乗り越えによる接続配線の断線を防ぐことができる。又、円(c)に示すように、電極P14の一部がP型半導体層12の上面に漏れ込むことによって、電極P14とP型半導体層12との接続がより確実になる。尚、P型半導体層12上への電極P14の一部漏れ込みは、真空蒸着などにより電極P14を形成する際に容易に形成することが可能である。
【0025】
(効果)の説明
以上のように、本発明によれば、半導体装置においてP型半導体領域を半導体装置側面まで広げることによって、半導体装置の側面に電極を形成することができ、接続配線が半導体層を乗り越えることなく電極と接続することができるようになる。その結果、乗り越えによる接続配線の断線を防ぐことができ、半導体装置の信頼性を向上させることができるという効果を得る。更に、半導体装置の素子面に覆うものが無くなるので、光量を増加させることができるという効果を得る。
【実施例2】
【0026】
本実施例では、上記実施例1で構成した、半導体装置としてのLEDチップ50(図1)を用いて、電子写真プリンタなどに用いられる、発光効率が高く、且つ、信頼性の高いLEDヘッドを構成する。
【0027】
図3は、LEDヘッドの横断面図である。
図に示すように、LEDヘッド200は、ベース部材201と、LEDユニット202と、LED発光部ユニット203と、レンズアレイ204と、レンズホルダ205と、クランパ206とを備える。
【0028】
ベース部材201は、LEDユニット202を固定するための部材であり、その側面にはクランパ206を用いて、LEDユニット202、及び、レンズホルダ205をベース部材201に固定するための開口部201aが設けられている。有機高分子材料などを用いて射出成形されている。
【0029】
LEDユニット202は、LED発光部ユニット203を所定の基板上に一体化したユニットである。LED発光部ユニット203は、上記図5を用いて説明した、LEDアレイチップ100と、ドライバICチップ110などをSi基板120の上に搭載し、LED/IC間接続ワイヤ130で接続したユニットである。
【0030】
レンズアレイ204は、柱状の光学レンズが、LED発光部ユニット203の上に配列されたLEDアレイチップ100に沿って多数配列された光学レンズ群である。レンズホルダ205は、レンズアレイ204をべース部材201の所定の位置に保持する部分である。クランパ206は、べース部材201に設けられた開口部201aを介して、各構成部分を一体的に挟持するバネ材である。
【0031】
以上説明したLEDヘッド200を構成する、LED発光部ユニット203で発生された光信号は、ロッドレンズアレイ204を通って図示しない、例えば感光体ドラム等に照射される。このLEDヘッド200には、実施例1で説明したLEDアレイチップが用いられているので発光効率が大きく、且つ、光量分布が均一化された光信号が感光体ドラム等に照射されることになる。
【0032】
(効果)の説明
以上説明したように、本実施例によるLEDヘッド200は、実施例1で説明したLEDアレイチップを用いることにより、発光効率が大きく、且つ、信頼性の高い光信号を出力するという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上記実施例では、本発明による、半導体装置としてのLEDを電子写真プリンタなどの印刷装置に用いる場合を例にして説明したが、本発明は、この例に限定されるものでは無い。即ち、近年、交通機関などで大量に用いられている、交通情報表示装置等に対しても好適に採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による半導体装置の構造説明図である。
【図2】LED発光部ユニットの概略的斜視図である。
【図3】LEDヘッドの横断面図である。
【図4】従来の半導体装置の構造説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10 基板
11 N型半導体層
12 P型半導体層
13 N側電極
14 P点極
15 絶縁膜
50 LEDチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に形成された第1導電型半導体層と、該第1導電型半導体層の前記基板と反対側の表面に形成された第2導電型半導体層と、該第2導電型半導体層と接続される第2導電側電極とを有する半導体装置であって、
前記第2導電型半導体層は、前記半導体装置の側面に露出する露出部を有し、
前記第2導電側電極は、前記第2導電側半導体層と少なくとも前記露出部と接続されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層は、発光ダイオード素子を構成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置と、該半導体装置を駆動する駆動装置と、前記半導体装置の発する光を集光するレンズとを備えたことを特徴とするLEDプリントヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−4502(P2009−4502A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162913(P2007−162913)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】