説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】検査時のプロービング又はワイヤボンディングの際に、パッドの下層の絶縁膜にクラックが発生するのを防止し、ワイヤボンディングでのパッド剥がれを防止する半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板101上に形成された一の絶縁膜112と、一の絶縁膜112の上に形成された一の金属パターン116と、一の絶縁膜112および一の金属パターン116の上に形成された他の絶縁膜117と、他の絶縁膜117の上に一の金属パターン116と対向して形成された他の金属パターン119と、他の金属パターン119の周囲に配置して、他の絶縁膜117中に形成された接続孔120bとを備え、接続孔120bを通じて一の金属パターン116と他の金属パターン119を直接接触させて電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、多層配線を有する半導体集積回路上のボンディングパッド構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の多機能化や、大容量化、システム化によってチップサイズが増大傾向にあり、チップコストを下げるためにチップサイズの縮小化が急務となってきている。チップサイズを縮小するためには、プロセスルールの縮小、回路の簡素化等様々な方法があるが、レイアウト的な手法の1つとして、半導体素子が形成された領域の上にボンディングパッドを形成するいわゆるPOE(Pad on element)技術が考えられる。ところが、従来のボンディングパッド構成では、ウェハテスト工程におけるテスタのプローバの衝撃、または後工程でチップをパッケージに組立する際のボンディング工程におけるワイヤーボンダのボンディングヘッドの衝撃によって、ボンディングパッド下の層間絶縁膜にクラックが発生し、さらにクラックが基板上の半導体素子まで達し、ショートが起こる可能性があったため、これを抑制しない限りPOE技術は採用し難いものであった。
【0003】
以下、クラックが基板に達するのを防止したPOE型ボンディングパッド構造の従来例を、図9、図10を用いて説明する。
【0004】
図9は、半導体素子が形成された領域の上に、特許文献1に記載されている構成のボンディングパッドが形成されたPOE型パッドの断面構造図であり、4層配線構造の半導体装置に適用された例である。
【0005】
図9に示すように、シリコン基板201の表面には素子分離絶縁膜202と前記素子分離絶縁膜202によって区画された半導体素子203が形成されている。シリコン基板201上には、素子分離絶縁膜202、半導体素子203を覆うように、第1の層間絶縁膜204が形成されている。第1の層間絶縁膜204には、拡散層203aと後述する第1の配線207とを電気的に接続する第1の接続孔205が形成され、接続孔205には第1のプラグ206が埋め込まれている。
【0006】
また、第1の層間絶縁膜204の上には、第1の配線207が形成されており、さらに、第1の配線207を覆うように第2の層間絶縁膜208が形成されている。第2の層間絶縁膜208には、第1の配線207と後述する第2の配線211とを電気的に接続する第2の接続孔209が形成され、接続孔209には第2のプラグ210が埋め込まれている。
【0007】
また、第2の層間絶縁膜208の上には、第2の配線211と金属パターン212が形成されており、さらに、第2の配線211と金属パターン212を覆うように第3の層間絶縁膜213が形成されている。第3の層間絶縁膜213には、第2の配線211と後述する第3の配線216とを電気的に接続する第3の接続孔114が形成され、接続孔114には第3のプラグ115が埋め込まれている。
【0008】
また、第3の層間絶縁膜213の上には、第3の配線216が形成されており、さらに、第3の配線216を覆うように第4の層間絶縁膜217が形成されている。第4の層間絶縁膜217には、第3の配線216と後述する第4の配線220およびパッド221を電気的に接続する第4の接続孔218が形成され、接続孔218には第4のプラグ219が埋め込まれている。
【0009】
また、第4の層間絶縁膜217の上には、第4の配線220と、パッド221が形成されている。第4の層間絶縁膜217の上には、第4の配線220およびパッド221を覆うように保護膜222が形成されており、保護膜222には、パッド221を露出させるパッド開口部223が形成されている。
【0010】
ここで、パッド221は、第3の層間絶縁膜213および第4の層間絶縁膜217を介して金属パターン212と対向しており、金属パターン212はフローティング状態にある。
【0011】
このように構成されたボンディングパッド部分では、プロービングやワイヤボンディングによって第4の層間絶縁膜217および第3の層間絶縁膜213にクラックが発生した場合でも、クラックは金属パターン212で止められる。また、金属パターン212はフローティング状態にあるため、パッド221にかかった応力の影響を極小にでき、第2の層間絶縁膜208、第1の層間絶縁膜204にクラックが発生するのを防止できる。したがって、クラックがシリコン基板201に達するのを防止できる。
【0012】
図10は、メタルパターンによってボンディングパッド下層の絶縁膜に発生したクラックが半導体基板に達するのを防止したPOE型パッドの他の一例である。
【0013】
図10に示すように、シリコン基板301の表面には素子分離絶縁膜302と前記素子分離絶縁膜302によって区画された半導体素子303が形成されている。シリコン基板301上には、素子分離絶縁膜302、半導体素子303を覆うように、第1の層間絶縁膜304が形成されている。第1の層間絶縁膜304には、拡散層303aと後述する第1の配線307とを電気的に接続する第1の接続孔305が形成され、接続孔305には第1のプラグ306が埋め込まれている。
【0014】
また、第1の層間絶縁膜304の上には、第1の配線307が形成されており、さらに、第1の配線307を覆うように第2の層間絶縁膜308が形成されている。第2の層間絶縁膜308には、第1の配線307と後述する第2の配線311とを電気的に接続する第2の接続孔309が形成され、接続孔309には第2のプラグ310が埋め込まれている。
【0015】
また、第2の層間絶縁膜308の上には、第2の配線311と第1のパッド312が形成されており、さらに、第2の配線311と第1のパッド312を覆うように第3の層間絶縁膜313が形成されている。第3の層間絶縁膜313には、第2の配線311と後述する第3の配線316とを電気的に接続する第3の接続孔314aが、また第1のパッド312と後述する第2のパッド317とを電気的に接続する第3の接続孔314bが形成され、接続孔314a,314bには第3のプラグ315が埋め込まれている。
【0016】
また、第3の層間絶縁膜313の上には、第3の配線316と第2のパッド317が形成されており、さらに、第3の配線316を覆うように第4の層間絶縁膜318が形成されている。第4の層間絶縁膜318には、第3の配線316と後述する第4の配線321とを電気的に接続する第4の接続孔319aが、また第2のパッド317と後述する第3のパッド322を電気的に接続する第4の接続孔319bが形成され、接続孔319a,319bには第4のプラグ320が埋め込まれている。
【0017】
また、第4の層間絶縁膜318の上には、第4の配線321と、第3のパッド322が形成されている。第4の層間絶縁膜318の上には、第4の配線321および第3のパッド322を覆うように保護膜323が形成されており、保護膜323には、第3のパッド322を露出させるパッド開口部324が形成されている。
【0018】
ここで、第2のパッド317はパッド開口部324の下層を除いた領域に形成され、第3のパッド322と第1のパッド312は、第3の層間絶縁膜313および第4の層間絶縁膜318を介して対向している。また、第3のパッド322と第1のパッド312は、周囲部に形成された第4のプラグ320と第2のパッド317と第3のプラグ315と通じて電気的に接続されている。
【0019】
このように構成されたパッドにおいても、プロービングやワイヤボンディングによって第4の層間絶縁膜318および第3の層間絶縁膜313に発生したクラックは、第1のパッド312で止められる。また、第3のパッド322と第1のパッド312はパッド開口324の周囲部のみで接続されているため、プロービングまたはボンディングの際に第3のパッド322にかかる負荷がそのまま第1のパッド312まで及ぶことはなく、第2の層間絶縁膜308にクラックが発生するのを防止できる。したがって、クラックが半導体基板301に達するのを防止できる。
【特許文献1】特開2001−7113号公報
【特許文献2】特開平11−186320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図9、図10に示したように従来のボンディングパッドの構成では、金属パターン212とパッド221(図9)、第1のパッド312と第3のパッド322(図10)は少なくとも2層以上の層間絶縁膜を介して形成する必要があった。1層の層間絶縁膜しか介さない場合、パッド221(図9)、第3のパッド322(図10)がはがれ易く、ワイヤボンディング不良や半導体パッケージのアセンブリ特性低下などの問題が発生することがあった。これは、クラックの発生によってボンディングパッド部の強度が低下していることに加え、パッド221(図9)、第3のパッド322(図10)と第4のプラグ(タングステンプラグ)219,320との接続強度が弱いためである。
【0021】
この場合、ボンディングパッド下に形成される集積回路において、使用可能な配線数が減少するため集積度が低下し、POE化してもチップサイズを十分に縮小できない問題があった。すなわち、図9の例では、金属パターン212とパッド221との間に2層の層間絶縁膜213,217が介装されており、金属パターン212の下には2層の層間絶縁膜204,208しかないことから、使用可能な配線は第1の配線207のみとなり、集積度が低下する。また、図10の例では、第1のパッド312と第3のパッド322との間に2層の層間絶縁膜313,318が介装されており、第1のパッド312の下には2層の層間絶縁膜304,308しかないことから、使用可能な配線は第1の配線307のみとなり、集積度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の請求項1に記載の半導体装置は、半導体基板上に形成された一の絶縁膜と、前記一の絶縁膜の上に形成された一の金属パターンと、前記一の絶縁膜および前記一の金属パターンの上に形成された他の絶縁膜と、前記他の絶縁膜の上に前記一の金属パターンと対向して形成された他の金属パターンと、前記他の金属パターンの周囲に配置して、前記他の絶縁膜中に形成された接続孔とを備え、前記接続孔を通じて前記一の金属パターンと前記他の金属パターンを直接接触させて電気的に接続することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項2に記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記接続孔のアスペクト比が1以下であることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項3に記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記接続孔が前記他の金属パターンの周囲を取り巻く溝からなることを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項4に記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記接続孔の底部に露出した、前記一の金属パターンの表面が凹凸形状になっていることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項5に記載の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に一の絶縁膜を形成する工程と、前記一の絶縁膜の上に一の金属パターンを形成する工程と、前記一の絶縁膜と前記一の金属パターンの上に他の絶縁膜を形成する工程と、前記他の絶縁膜中に接続孔を形成する工程と、前記他の絶縁膜の上と前記接続孔の内に他の金属パターンを形成する工程とを含み、前記接続孔は前記他の金属パターンの周囲に配置され、前記接続孔を通じて前記一の金属パターンと前記他の金属パターンを直接接触させて電気的に接続することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項6に記載の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に一の絶縁膜を形成する工程と、前記一の絶縁膜の上に一の金属パターンを形成する工程と、前記一の絶縁膜と前記一の金属パターンの上に他の絶縁膜を形成する工程と、前記他の絶縁膜中に接続孔を形成する工程と、前記接続孔の底部に露出した前記一の金属パターン表面を凹凸形状にする工程と、前記他の絶縁膜の上と前記接続孔の内に他の金属パターンを形成する工程とを含み、前記接続孔は前記他の金属パターンの周囲に配置され、前記接続孔を通じて前記一の金属パターンと前記他の金属パターンを直接接触させて電気的に接続することを特徴とする。
【0028】
本発明の半導体装置およびその製造方法によると、他の金属パターンの下層に他の絶縁膜を介して一の金属パターンが形成されているので、プロービングまたはワイヤボンディングの際に他の絶縁膜にクラックが発生しても、一の金属パターンで止められる。また、一の金属パターンと他の金属パターンは、他の金属パターン周囲部に設けられた接続孔を通じてのみ接続されているので、プロービングまたはワイヤボンディングの際に他の金属パターンにかかる負荷がそのまま一の金属パターンまで及ぶことはない。これにより、一の絶縁膜にクラックが発生するのを防止できる。
【0029】
また、他の金属パターンは、接続孔に埋め込まれて他の絶縁膜を覆い囲むように形成されているため、従来の平坦な下地の上に形成された金属パターンに比べてはがれに対する強度が向上する。また、一の金属パターンと他の金属パターンを直接接続することにより、そして接続部分における一の金属パターンの表面を凹凸形状にすることにより、一の金属パターンと他の金属パターンが密接に接続され、他の金属パターンのはがれに対する強度がより一層向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の半導体装置およびその製造方法によると、検査時のプロービング又はワイヤボンディングの際に、パッド下層の層間絶縁膜にクラックが達するのを防止でき、さらにワイヤボンディングでのパッドはがれを防止でき、パッド下層の領域を有効に活用してチップ面積を縮小でき、チップコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るボンディングパッド構造を示す断面図である。
【0033】
図1に示すように、シリコン基板101の表面には素子分離絶縁膜102と前記素子分離絶縁膜102によって区画された半導体素子103が形成されている。半導体素子103には、拡散層103a、ゲート絶縁膜103b、ゲート電極103c、サイドウォール103dが形成されている。シリコン基板101上には、素子分離絶縁膜102、半導体素子103を覆うように、第1の層間絶縁膜104が形成されている。第1の層間絶縁膜104には、拡散層103aと後述する第1の配線107とを電気的に接続する第1の接続孔105が形成され、接続孔105には第1のプラグ106が埋め込まれている。
【0034】
また、第1の層間絶縁膜104の上には、第1の配線107が形成されており、さらに、第1の配線107を覆うように第2の層間絶縁膜108が形成されている。第2の層間絶縁膜108には、第1の配線107と後述する第2の配線111とを電気的に接続する第2の接続孔109が形成され、接続孔109には第2のプラグ110が埋め込まれている。
【0035】
また、第2の層間絶縁膜108の上には、第2の配線111が形成されており、さらに、第2の配線111を覆うように第3の層間絶縁膜112が形成されている。第3の層間絶縁膜112には、第2の配線111と後述する第3の配線115と第1のパッド116を電気的に接続する第3の接続孔113が形成され、接続孔113には第3のプラグ114が埋め込まれている。
【0036】
また、第3の層間絶縁膜112の上には、第3の配線115および第1のパッド116が形成されており、さらに、第3の配線115および第1のパッド116を覆うように第4の層間絶縁膜117が形成されている。第4の層間絶縁膜117には、第3の配線115および第1のパッド116と、後述する第4の配線118および第2のパッド119を電気的に接続する第4の接続孔120a,120bが形成されている。
【0037】
また、第4の層間絶縁膜117の上には、第3の配線115と第4の接続孔120aを通して直接接続する第4の配線118が形成されていると共に、第1のパッド116と第4の層間絶縁膜117を介して対抗し、さらに第1のパッド116と接続孔120bを通して直接接続する第2のパッド119が形成されている。第4の層間絶縁膜117の上には、第4の配線118および第2のパッド119を覆うように保護膜121が形成されており、保護膜121には、第2のパッド119を露出させるパッド開口部122が形成されている。
【0038】
なお、請求項1と本実施形態の関係は、半導体基板がシリコン基板101、一の絶縁膜が第3の層間絶縁膜112、一の金属パターンが第1のパッド116、他の絶縁膜が第4の層間絶縁膜117、他の金属パターンが第2のパッド119、接続孔が第4の接続孔120bにそれぞれ対応している。
【0039】
また、本実施形態において、第1のパッド116は、第3のプラグ114を通して第2の配線111と接続し、下層の半導体素子103と電気的に導通しているが、第1のパッド116と第3の配線115を直接に接続させてもよいし、第2のパッド119と第4の配線118を直接に接続させてもよい。
【0040】
ここで、第1のプラグ106、第2のプラグ110、第3のプラグ114はタングステンよりなる。また、第1の配線107、第2の配線111、第3の配線115、第4の配線118、第1のパッド116、第2のパッド119は、アルミニウムを主層とし下層からチタン、窒化チタン、アルミニウム、窒化チタンの積層メタルからなる。
【0041】
図2は、第1の実施形態のパッドの平面図である。
【0042】
図2に示すように、第1のパッド116は第2のパッド119より大きくなるように形成されている。また、接続孔120bはパッド開口部122の周囲に形成されている。
【0043】
本実施形態のパッド構造では、第1のパッド116と第2のパッド119がパッド開口部122の周囲部のみで接続されているため、プロービングまたはボンディングの際に第2のパッド119にかかる負荷がそのまま第1のパッド116まで及ぶことはなく、第3の層間絶縁膜112にクラックが発生するのを防止できる。詳細に説明すると、プロービングまたはボンディングの際に第2のパッド119にかかる応力は、パッド開口部122の中心付近を主にして、図1に示した矢印123の方向に加えられる。加えられた負荷が大きい場合には、第4の層間絶縁膜117にクラックが発生し、これによって応力が分散され、第1のパッド116には大きな負荷が及ばない。第4の層間絶縁膜117にクラックが発生した場合、クラックは第1のパッド116で止められる。つまり、本実施形態の第1のパッド116は、前記従来例で、図9中に示した金属パターン212や、図10中に示した第1のパッド312と同様の機能を有し、第3の層間絶縁膜112以下にクラックが発生するのを防止できる。
【0044】
一方、第2のパッド119は接続孔120bに埋め込まれて第4の層間絶縁膜117を覆い囲むように形成されているため、従来の平坦な下地の上に形成されたパッドよりはがれに対する強度が向上している。さらに、第2のパッド119と第1のパッド116とは、第2のパッド119を構成するチタン膜と第1のパッド116のアルミニウム膜とで密接に接続されているため、前記第2の従来例(図10)に示されるように第2のパッドのチタン膜とタングステンプラグで接続されたパッドよりはがれに対する強度が向上している。
【0045】
このように、本実施形態のボンディングパッド構造によれば、多層配線の上から2層の配線でパッドを構成でき、パッド下層の層間絶縁膜にクラックが達するのを防止でき、さらにパッドはがれに対する強度を向上でき、パッド下層の領域を有効活用できるためチップ面積を縮小でき、チップコストを低減できる。すなわち、第1のパッド116上に第2のパッド119が直接接続されており、第1のパッド116下には3層の層間絶縁膜104,108,112が存在し、第1の配線107と第2の配線111が使用可能であるため、集積度が低下せず、POE化してチップサイズを十分に縮小できる。
【0046】
なお、接続孔120bの径が小さいと、孔の側壁部において第2のパッド119の膜厚が極端に薄くなり、パッドはがれに対する強度が低下する。このため接続孔120bは深さと径寸法の比(アスペクト比)を1以下にすることが望ましい。本実施形態では、接続孔120bの深さは約1μmなので、孔の径を1μm以上に設定している。
【0047】
(第2の実施形態)
図3に示す平面図を用いて、本発明の第2の実施形態を説明する。この実施形態で示されるパッドの断面構造は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは第1の実施形態と異なる点のみを図3に示すパッド平面図を用いて説明する。
【0048】
図3に示すように、本実施形態では第1の実施形態の接続孔120bを、パッド開口部122を取り巻く接続溝120cとしている。接続溝120cによって、パッドはがれに対する強度が第1の実施形態より向上する。また、第4の層間絶縁膜117に発生したクラックが横方向に広がった場合でも、接続溝120cに埋め込まれた第2のパッド119によって止めることができる。
【0049】
このように、本実施形態のボンディングパッド構造によれば、多層配線の上から2層の配線でパッドを構成でき、パッド下層の層間絶縁膜とさらにパッド領域以外の層間絶縁膜にクラックが達するのを防止でき、さらにパッドはがれに対する強度を第1の実施形態より向上でき、パッド下層の領域を有効活用できるためチップ面積を縮小でき、チップコストを低減できる。
【0050】
(第3の実施形態)
図4に示す第1のパッドと第2のパッドの接続部を拡大した断面図を用いて、本発明の第3の実施形態を説明する。この実施形態で示されるパッド部全体の断面構造および平面構造は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様であるから、ここでは第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点のみを図4に示す断面図を用いて説明する。
【0051】
図4には、接続孔120bまたは接続溝120c部分を通して第1のパッド116と第2のパッド119が接続されている構造が拡大して示されている。図4において、116aは第1のパッド116を構成するアルミニウム膜、116bはアルミニウム粒境界、116cは窒化チタン膜であり、119a,119b,119cはそれぞれ第2のパッド119を構成するチタン膜、窒化チタン膜、アルミニウム膜である。
【0052】
図4に示すように、本実施形態ではアルミニウム膜116aの表面部分が、凹凸形状に加工されている。凹凸は、他の接続孔底部のアルミニウム膜より大きく、特にアルミニウム粒の境界部116bで約20nm以上の凹みが形成されている。この凹凸形状にすることによって、アルミニウム膜116aとチタン膜119aはより密接に接続される。
【0053】
このように、本実施形態のボンディングパッド構造によれば、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を有しながら、さらにパッドはがれに対する強度を向上できる。したがって、パッド下層の領域を有効活用できるためチップ面積を縮小でき、チップコストを低減できる。
【0054】
(第4の実施形態)
図5〜図8は、第4の実施形態のボンディングパッドの製造方法を示す工程順の断面図である。本実施形態は、第3の実施形態のボンディングパッドの製造方法に関するものである。
【0055】
まず、図5に示す工程で、シリコン基板101の表面に素子分離絶縁膜102と前記素子分離絶縁膜102によって区画された半導体素子103を形成する。半導体素子103には、拡散層103a、ゲート絶縁膜103b、ゲート電極103c、サイドウォール103dが形成されている。次に、シリコン基板101上に、素子分離絶縁膜102、半導体素子103を覆うように、第1の層間絶縁膜104を形成する。次に、第1の層間絶縁膜104に、拡散層103aと後述する第1の配線107とを電気的に接続する第1の接続孔105を形成し、続いて接続孔105に第1のプラグ106を埋め込む。
【0056】
次に、第1の層間絶縁膜104の上に、第1の配線107を形成し、さらに、第1の配線107を覆うように第2の層間絶縁膜108を形成する。次に、第2の層間絶縁膜108に、第1の配線107と後述する第2の配線111とを電気的に接続する第2の接続孔109を形成し、続いて接続孔109に第2のプラグ110を埋め込む。
【0057】
次に、第2の層間絶縁膜108の上に、第2の配線111を形成し、さらに、第2の配線111を覆うように第3の層間絶縁膜112を形成する。次に、第3の層間絶縁膜112に、第2の配線111と後述する第3の配線115および第1のパッド116を電気的に接続する第3の接続孔113を形成し、接続孔113には第3のプラグ114を埋め込む。
【0058】
次に、図6に示す工程で、第3の層間絶縁膜112の上に、金属層を形成しフォトリソグラフィによるレジスト(図示せず)をマスクにして前記金属層をパターニングして、第3の配線115および第1のパッド116を形成する。さらに、第3の配線115および第1のパッド116を覆うように第4の層間絶縁膜117を形成する。次いで、フォトリソグラフィによるレジスト(図示せず)をマスクにして、第4の層間絶縁膜117をドライエッチングして、第3の配線115と後述する第4の配線118とを、第1のパッド116と後述する第2のパッド119とを、それぞれ電気的に接続する第4の接続孔120a,120bを形成する。ここで、接続孔120bの直径は、前記第1の接続孔105、第2の接続孔109、第3の接続孔113の直径にくらべて大きく、孔のアスペクト比が1以下程度の大きなサイズに開口する。
【0059】
次に、図7に示す工程で、アルゴンイオンミリング法により接続孔120b底部に露出した第1のパッド116のアルミニウム表面をエッチングして、表面を凹凸形状にする。本工程において、アルミニウム粒の境界部116bが特にエッチングが速く進行するため深い凹部が形成される。
【0060】
次に、図8に示す工程で、第4の層間絶縁膜117および第4の接続孔120a,120bの上に、第4の配線118および第2のパッド119となる金属層を形成する。続いて、フォトリソグラフィによるレジスト(図示せず)をマスクにして、前記金属層をパターニングして、第4の配線118および第2のパッド119を形成する。最後に、第4の層間絶縁膜117と、第4の配線118と、第2のパッド119とを覆うように保護膜121を形成した後、保護膜121に第2のパッド119を露出させるパッド開口部122を形成する。
【0061】
このように、本発明の第4の実施形態のボンディングパッドの製造方法によれば、第3の実施形態のパッドを形成でき、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を有しながら、さらにパッドはがれに対する強度を向上できる。したがって、パッド下層の領域を有効活用できるためチップ面積を縮小でき、チップコストを低減できる。
【0062】
なお、接続孔120a底部に露出した第3の配線115も、第1のパッド116と同様、アルゴンイオンミリング法により第3の配線115のアルミニウム表面をエッチングして、表面を凹凸形状にすることができる。
【0063】
また、第1,2の実施形態のパッドの製造方法に関しても、図5,6,8に示す工程と同様にして製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、半導体素子上にボンディングパッドを形成するPOE型プローブパッドを有する半導体装置における電極パッドと配線層との接続構造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置のパッド部の平面図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置のパッド部の平面図
【図4】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の第1のパッドと第2のパッドの接続部を拡大した部分断面図
【図5】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図
【図6】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図
【図7】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図
【図9】従来に係るボンディングパッド部を有する半導体装置の断面図
【図10】従来に係るボンディングパッド部を有する半導体装置の断面図
【符号の説明】
【0066】
101 シリコン基板(半導体基板)
102 素子分離絶縁膜
103 半導体素子
103a 拡散層
103b ゲート酸化膜
103c ゲート電極
103d サイドウォール
104 第1の層間絶縁膜
105 第1の接続孔
106 第1のプラグ
107 第1の配線
108 第2の層間絶縁膜
109 第2の接続孔
110 第2のプラグ
111 第2の配線
112 第3の層間絶縁膜(一の絶縁膜)
113 第3の接続孔
114 第3のプラグ
115 第3の配線
116 第1のパッド(一の金属パターン)
116a アルミニウム膜
116b アルミニウム粒境界
116c 窒化チタン膜
117 第4の層間絶縁膜(他の絶縁膜)
118 第4の配線
119 第2のパッド(他の金属パターン)
119a チタン膜
119b 窒化チタン膜
119c アルミニウム膜
120a 第4の接続孔
120b 第4の接続孔
120c 接続溝
121 保護膜
122 パッド開口
123 応力のかかる方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された一の絶縁膜と、
前記一の絶縁膜の上に形成された一の金属パターンと、
前記一の絶縁膜および前記一の金属パターンの上に形成された他の絶縁膜と、
前記他の絶縁膜の上に前記一の金属パターンと対向して形成された他の金属パターンと、
前記他の金属パターンの周囲に配置して、前記他の絶縁膜中に形成された接続孔とを備え、
前記接続孔を通じて前記一の金属パターンと前記他の金属パターンを直接接触させて電気的に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記接続孔のアスペクト比が1以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続孔が前記他の金属パターンの周囲を取り巻く溝からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記接続孔の底部に露出した、前記一の金属パターンの表面が凹凸形状になっていることを特徴とする請求項1の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に一の絶縁膜を形成する工程と、
前記一の絶縁膜の上に一の金属パターンを形成する工程と、
前記一の絶縁膜と前記一の金属パターンの上に他の絶縁膜を形成する工程と、
前記他の絶縁膜中に接続孔を形成する工程と、
前記他の絶縁膜の上と前記接続孔の内に他の金属パターンを形成する工程とを含み、
前記接続孔は前記他の金属パターンの周囲に配置され、前記接続孔を通じて前記一の金属パターンと前記他の金属パターンを直接接触させて電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板上に一の絶縁膜を形成する工程と、
前記一の絶縁膜の上に一の金属パターンを形成する工程と、
前記一の絶縁膜と前記一の金属パターンの上に他の絶縁膜を形成する工程と、
前記他の絶縁膜中に接続孔を形成する工程と、
前記接続孔の底部に露出した前記一の金属パターン表面を凹凸形状にする工程と、
前記他の絶縁膜の上と前記接続孔の内に他の金属パターンを形成する工程とを含み、
前記接続孔は前記他の金属パターンの周囲に配置され、前記接続孔を通じて前記一の金属パターンと前記他の金属パターンを直接接触させて電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−66440(P2008−66440A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241292(P2006−241292)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】