説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】書き換え特性の劣化が抑制される半導体装置を提供する。
【解決手段】メモリセル領域RMでは、半導体磁気記憶装置における磁気抵抗素子18は、一方向に延在するディジット線3と、これと略直交する方向に延在するビット線32とが交差する部分に配置される態様で、アレイ状に形成されている。ディジット線3とビット線32は、配線本体となる銅膜3b、31aにクラッド層3a、36aを被覆した配線構造とされる。磁気抵抗素子18の一端側は、非磁性材料から形成されたトップヴィア25aを介してビット線32に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に、磁気抵抗素子を備えた半導体装置と、その製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一形態に、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)と称される磁気抵抗素子を適用したMRAM(Magnetic Random Access Memory)がある。MRAMでは、磁気抵抗素子は、一方向に延在するディジット線と、これと略直交する方向に延在するビット線とが交差する部分に配置される態様で、アレイ状に形成されている。個々の磁気抵抗素子には、トンネル絶縁膜を間に介在させて2つの磁性層が積層されている。
【0003】
近年、MRAMでは、消費電力を低減するために、磁場を磁気抵抗素子に選択的に作用させるディジット線およびビット線の構造として、クラッド層を含む配線構造が採用されている。クラッド層は、磁場を遮蔽する機能を有している。このため、磁気抵抗素子の下方に位置するディジット線では、クラッド層は、磁気抵抗素子の直下に位置するディジット線の部分の上面を除いて、ディジット線の側面と下面とを覆うように形成されている。一方、磁気抵抗素子の上方に位置するビット線では、クラッド層は、磁気抵抗素子の直上に位置するビット線の部分の下面を除いて、ビット線の側面と上面とを覆うように形成されている。
【0004】
次に、このようなクラッド層を含む配線構造を採用した半導体装置の製造方法の概要について説明する。半導体基板上に、第1シリコン酸化膜が形成され、その第1シリコン酸化膜にディジット線を形成するための一方向に延在する配線溝が形成される。次に、その配線溝内に、配線溝の側壁と下面を覆うバリアメタルおよびクラッド層と、配線溝を充填する銅配線とを含むディジット線が形成される。
【0005】
次に、ディジット線を覆うように、第1シリコン酸化膜上に第1シリコン窒化膜および第2シリコン酸化膜が順次形成される。次に、第2シリコン酸化膜および第1シリコン窒化膜を貫通するローカルヴィアホールが形成される。そのローカルヴィアホールを充填するように、タングステンのプラグが形成される。第2シリコン酸化膜上に、下部電極となる導電層が形成される。次に、ディジット線の直上に位置する導電層の部分の上に、磁気抵抗素子が形成される。
【0006】
次に、磁気抵抗素子を覆うように、導電層上に第2シリコン窒化膜が形成される。第2シリコン窒化膜および導電層に所定のエッチングを施すことにより、第2シリコン窒化膜で被覆された下部電極が形成される。次に、第2シリコン窒化膜を覆うように、第2シリコン酸化膜上に第3シリコン酸化膜が形成される。次に、デュアルダマシンにより、第3シリコン酸化膜に、磁気抵抗素子の上面を露出するトップヴィアホールと、ディジット線が延在する方向と略直交する方向に延在するビット線を形成するための配線溝とが形成される。
【0007】
次に、配線溝の底面と側壁を覆うように、第3シリコン酸化膜の上にクラッド層が形成される。次に、クラッド層の全面にエッチングを施すことにより、配線溝の側壁に位置するクラッド層の部分を残して配線溝の底面に位置するクラッド層の部分が除去される。次に、銅めっきにより、配線溝を充填するように銅膜が形成される。その銅膜に化学的機械研磨処理を施して第3シリコン酸化膜の上面上に位置する銅膜の部分を除去することにより、配線溝内にビット線が形成される。
【0008】
次に、ビット線を覆うように第3シリコン窒化膜が形成される。次に、第3シリコン窒化膜の部分の上にクラッド層が形成される。次に、クラッド層を覆うように第4シリコン酸化膜が形成される。こうして、磁気抵抗素子を備えた半導体装置の主要部分が形成される。なお、このようなクラッド層を含む配線構造を備えた半導体装置を開示した文献の例としては、たとえば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−303231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の半導体装置では次のような問題があった。上述したように、ビット線を形成する際には、配線溝の底面と側壁を覆うようにクラッド層が形成される。このとき、配線溝の底面に開口したトップヴィアホールの側壁等にもクラッド層が形成されることになる。
【0011】
そうすると、クラッド層の全面にエッチングを施して、配線溝の側壁に位置するクラッド層の部分を残して配線溝の底面に位置するクラッド層の部分を除去する際に、トップヴィアホールの側壁等に形成されたクラッド層の部分が除去されずに残されてしまうことになる。
【0012】
今回、そのようなトップヴィアホールの側壁に残存するクラッド層の部分が磁気抵抗素子の特性に影響を与えることが発明者らの評価によって確認され、半導体装置として書き換え特性が悪化することが判明した。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一つの目的は書き換え特性の劣化が抑制される半導体装置を提供することであり、他の目的は、そのような半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る半導体装置は、第1領域と磁気抵抗素子と第1配線本体と第2配線本体と第1導体部と磁場遮蔽層とを備えている。第1領域は半導体基板の主表面に形成されている。磁気抵抗素子は第1領域に形成されている。第1配線本体は、磁気抵抗素子の直下に距離を隔てて第1方向に延在するように形成されている。第2配線本体は、磁気抵抗素子の直上に距離を隔てて第1方向と交差する第2方向に延在するように形成されている。第1導体部は、磁気抵抗素子と第2配線本体との間に形成され、磁気抵抗素子と第2配線本体とを電気的に接続する。磁場遮蔽層は磁気抵抗素子に対して所定の位置に形成され、第1配線本体および第2配線本体に流れる電流によって生じる磁場を遮蔽する。第1導体部は非磁性材料から形成されている。磁場遮蔽層は、磁気抵抗素子と対向する第2配線本体の部分と、第1導体部とを除く態様で第2配線本体の表面に形成されている。
【0015】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。半導体基板の主表面に第1領域を形成する。半導体基板の主表面上に第1絶縁膜を形成する。第1方向に延在する第1配線溝を第1絶縁膜に形成する。第1配線溝内に第1配線本体を形成する。第1配線本体を覆うように、第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する。第2絶縁膜の表面上に磁気抵抗素子を形成する。磁気抵抗素子を覆うように、第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する。磁気抵抗素子を露出する第1開口部を第3絶縁膜に形成する。第1開口部を充填するように、非磁性材料からなる第1導電膜を第3絶縁膜上に形成する。第3絶縁膜の上面上に位置する第1導電膜の部分を除去し、第1開口部内に残される第1導電膜の部分によって、磁気抵抗素子に電気的に接続される第1導体部を形成する。第1導体部を覆うように、第3絶縁膜上に第4絶縁膜を形成する。底面に第1導体部が露出するように、第1方向と交差する第2方向に延在する第2配線溝を第4絶縁膜に形成する。第2配線溝の底面を除く態様で、第2配線溝の側壁上に磁場を遮蔽する磁場遮蔽層を形成する。第1導体部を介して磁気抵抗素子と電気的に接続される第2配線本体を第2配線溝内に形成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る半導体装置によれば、磁気抵抗素子と第2配線本体とを電気的に接続する第1導体部が非磁性材料から形成され、磁場遮蔽層は、磁気抵抗素子と対向する第2配線本体の部分と、第1導体部とを除く態様で第2配線本体の所定の表面に形成されていることで、第1配線本体と第2配線本体に所定の電流を流すことによって発生する磁場を、第1導体部の影響を受けることなく、磁気抵抗素子に選択的に作用させることができ、半導体装置として書き換え特性が悪化するのを確実に阻止することができる。
【0017】
本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、磁気抵抗素子と第2配線本体とを電気的に接続する第1導体部を非磁性材料から形成し、第2配線溝の底面を除く態様で、第2配線溝の側壁上に磁場を遮蔽する磁場遮蔽層を形成することで、第1配線本体と第2配線本体に所定の電流を流すことによって発生する磁場を、第1導体部の影響を受けることなく、磁気抵抗素子に選択的に作用させて、書き換え特性の悪化が確実に阻止される半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施の形態に係る半導体装置のメモリセルにおける磁気抵抗素子、ディジット線およびビット線の配置関係を示す模式的な構造斜視図である。
【図2】各実施の形態において、メモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図3】各実施の形態において、半導体装置におけるメモリセルと周辺回路を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る半導体装置におけるメモリセルの製造方法の一工程を示す部分断面斜視図である。
【図5】同実施の形態において、図4に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図6】同実施の形態において、図5に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図7】同実施の形態において、図6に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図8】同実施の形態において、図7に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図9】同実施の形態において、図8に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図10】同実施の形態において、図9に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図11】同実施の形態において、図10に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図12】同実施の形態において、図11に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図13】同実施の形態において、図12に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図14】同実施の形態において、図13に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図15】同実施の形態において、図14に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図16】同実施の形態において、図15に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図17】同実施の形態において、図16に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図18】同実施の形態において、図17に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図19】同実施の形態において、図18に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図20】同実施の形態において、図19に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図21】同実施の形態において、図20に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図22】同実施の形態において、図21に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図23】同実施の形態において、図22に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図24】同実施の形態において、図23に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図25】同実施の形態において、図24に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図26】同実施の形態において、図25に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図27】同実施の形態において、図26に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図28】比較例に係る半導体装置におけるメモリセルの製造方法の一工程を示す部分断面斜視図である。
【図29】図28に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図30】図29に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図31】図30に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図32】図31に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図33】図32に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図34】同実施の形態において、図17に示す工程における他のエッチング態様を示す部分断面斜視図である。
【図35】同実施の形態において、図34に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図36】本発明の実施の形態2に係る半導体装置におけるメモリセルと周辺回路の製造方法の一工程を示す部分断面斜視図である。
【図37】同実施の形態において、図36に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図38】同実施の形態において、図37に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図39】同実施の形態において、図38に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図40】同実施の形態において、図39に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図41】同実施の形態において、図40に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図42】同実施の形態において、図41に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図43】同実施の形態において、図42に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図44】同実施の形態において、図43に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図45】同実施の形態において、図44に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図46】同実施の形態において、図45に示す工程の後に行われる工程を示すメモリセルの部分断面斜視図である。
【図47】同実施の形態において、図46に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図48】同実施の形態において、図47に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図49】同実施の形態において、図48に示す工程における、周辺回路のビット線方向に沿った部分断面斜視図と、周辺回路のビット線と直交する方向に沿った部分断面斜視図である。
【図50】同実施の形態において、図48に示す工程の後に行われる工程を示すメモリセルの部分断面斜視図である。
【図51】同実施の形態において、図50に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図52】同実施の形態において、図51に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図53】同実施の形態において、図52に示す工程における、周辺回路のビット線方向に沿った部分断面斜視図と、周辺回路のビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図54】比較例に係る半導体装置のメモリセルと周辺回路の製造方法の一工程を示す部分断面斜視図である。
【図55】図54に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図56】図55に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図57】図56に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図58】図57に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図59】図58に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図60】本発明の実施の形態3に係る半導体装置におけるメモリセルと周辺回路の製造方法の一工程を示す部分断面斜視図である。
【図61】同実施の形態において、図60に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図62】同実施の形態において、図61に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図63】同実施の形態において、図62に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図64】同実施の形態において、図63に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図65】同実施の形態において、図64に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図66】同実施の形態において、図65に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図67】同実施の形態において、図66に示す工程における、周辺回路のビット線方向に沿った部分断面斜視図と、周辺回路のビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図68】本発明の実施の形態4に係る半導体装置におけるメモリセルと周辺回路の製造方法の一工程を示す部分断面斜視図である。
【図69】同実施の形態において、図68に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図70】同実施の形態において、図69に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面斜視図である。
【図71】同実施の形態において、図70に示す工程の後に行われる工程を示す、メモリセルのビット線方向に沿った部分断面斜視図と、メモリセルのビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【図72】同実施の形態において、図71に示す工程における、周辺回路のビット線方向に沿った部分断面斜視図と、周辺回路のビット線方向と直交する方向に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
はじめに、半導体装置の全体構成について説明する。図1に示すように、半導体装置における磁気抵抗素子18は、一方向に延在するディジット線3と、これと略直交する方向に延在するビット線32とが交差する部分に配置される態様で、アレイ状に形成されている。
【0020】
図2および図3に示すように、メモリセル領域RMでは、ディジット線3とビット線32は、配線本体となる銅膜3b、31に、磁場を遮蔽する機能を有するクラッド層3a、36aを被覆した配線構造とされる。磁気抵抗素子18の下方に位置するディジット線3では、上方に位置する磁気抵抗素子18以外の領域へ磁気が及ぶのを阻止するように、銅膜3bの底面と側壁を覆う態様でクラッド層3aが形成されている。
【0021】
一方、磁気抵抗素子18の上方に位置するビット線32では、下方に位置する磁気抵抗素子18以外の領域へ磁気が及ぶのを阻止するように、銅膜31の上面と側面(図示せず)を覆う態様でクラッド層36aが形成されている。なお、クラッド層として、たとえばNiFe層が形成される。また、クラッド層は、タンタル(Ta)等のバリアメタルとクラッド層とを積層する態様で形成されることになるが、この明細書では、クラッド層には、このバリアメタルも含まれるものとして説明する。
【0022】
個々の磁気抵抗素子18の一端側は、トップヴィア25aを介してビット線32に電気的に接続されている。トップヴィア25aは、非磁性材料から形成されている。後述するように、トップヴィア25aには、クラッド層は形成されていない。一方、磁気抵抗素子18の他端側は、ローカルヴィア11および読み出し用配線4等を介して素子選択用トランジスタTMのドレイン領域に電気的に接続されている。周辺回路領域RPでは、メモリセル(磁気抵抗素子)の動作等を制御するトランジスタTP等の半導体素子と、半導体素子を互いに電気的に接続する配線やヴィアが形成されている。
【0023】
また、個々の磁気抵抗素子には、トンネル絶縁膜を間に介在させて2つの磁性層が積層されている。この2つの磁性層における磁化の向きを同じ向きにするか、互いに逆向きにするかによって磁気抵抗素子の抵抗値が変化する。磁気抵抗素子の磁化の向きは、ビット線とディジット線に所定の電流を流すことで発生する磁場によって変えられる。MRAMでは、この抵抗値の違いが「0」または「1」に対応する情報として利用される。以下、各実施の形態に係る半導体装置について説明する。
【0024】
実施の形態1
ここでは、半導体装置のメモリセル領域に形成されるメモリセルについて説明する。半導体基板の表面上に、それぞれ所定のトランジスタ、配線およびヴィア等(図3のメモリセル領域RM参照)が形成された後、図4に示すように、シリコン酸化膜2が形成される。そのシリコン酸化膜2における所定の領域に配線溝2a,2bが形成される。配線溝2a内には、クラッド層4aと銅膜4bからなる読み出し用配線4が形成される。配線溝2b内には、クラッド層3aと銅膜3bからなるディジット線3が形成される。次に、ディジット線3と読み出し用配線4を覆うように、シリコン酸化膜2上にシリコン窒化膜6が形成される。そのシリコン窒化膜6上にシリコン酸化膜7が形成される。なお、これ以降の工程を示す図では、図面の簡略化のために、半導体基板1を省略する。
【0025】
次に、図5に示すように、シリコン酸化膜7およびシリコン窒化膜6を貫通して読み出し用配線4を露出するローカルヴィアホール8が形成される。そのローカルヴィアホールの底面および側壁を覆うように、シリコン酸化膜7上にバリア金属膜9が形成される。次に、そのバリア金属膜9上にタングステン膜10が形成される。
【0026】
次に、タングステン膜10およびバリア金属膜9に化学的機械研磨処理を施すことにより、シリコン酸化膜7の上に位置するタングステン膜10の部分、バリア金属膜9の部分およびシリコン酸化膜7の一部が除去される(一点鎖線の位置を参照)。こうして、図6に示すように、ローカルヴィアホール8内に、バリア金属膜9aおよびタングステン膜10aからなるローカルヴィア11が形成される。
【0027】
次に、図7に示すように、シリコン酸化膜7上に、金属ストラップとなるタンタル(Ta)膜12が形成される。次に、タンタル膜12にピン層となる所定の膜(図示せず)が形成される。その所定の膜として、たとえば、プラチナ(Pt)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ボロン(B)を含む積層膜が形成される。次に、ピン層となる所定の膜上にトンネル絶縁膜(図示せず)が形成される。トンネル絶縁膜として、たとえば、酸化アルミニム(AlOx)膜、または、酸化マグネシウム(MgO)膜等が形成される。
【0028】
次に、トンネル絶縁膜上にフリー層となる所定の膜が形成される。その所定の膜として、たとえば、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびボロン(B)のうち、少なくとも2つの金属を含む合金膜が形成される。次に、フリー層となる所定の膜上にキャップ層となる所定の膜(図示せず)が形成される。キャップ層となる所定の膜として、たとえば、ルテニウム(Ru)膜が形成される。そのキャップ層となる所定の膜上にタンタル(Ta)膜(図示せず)が形成される。
【0029】
次に、タンタル(Ta)膜上に、磁気抵抗素子をパターニングするためのレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、タンタル(Ta)膜、キャップ層となる所定の膜、フリー層となる所定の膜、トンネル絶縁膜およびピン層となる所定の膜に所定の条件のもとでエッチングを施すことにより、図8に示すように、ピン層13、トンネル絶縁膜14、フリー層15、キャップ層16およびタンタル(Ta)膜17がパターニングされて、磁気抵抗素子18が形成される。磁気抵抗素子18が形成された後の各製造プロセスでは、磁気抵抗素子18、特に、トンネル絶縁膜を保護するために、温度300℃以下のもとで種々の処理が施されることになる。
【0030】
次に、図9に示すように、磁気抵抗素子18を覆うように、タンタル(Ta)膜12上に、ライナー膜としてシリコン窒化膜19が形成される。次に、シリコン窒化膜19上に、金属ストラップをパターニングするためのレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、シリコン窒化膜19およびタンタル(Ta)膜12に所定の条件のもとでエッチングを施すことにより、図10に示すように、金属ストラップ12aが形成される。次に、磁気抵抗素子18を覆うように、シリコン酸化膜(図示せず)が形成される。そのシリコン酸化膜に化学的機械研磨処理を施すことにより、図11に示すように、所定の厚さのシリコン酸化膜20が形成される。
【0031】
次に、そのシリコン酸化膜20上に、トップヴィアホールを形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、シリコン酸化膜20およびシリコン窒化膜19に所定の条件のもとでエッチングを施すことにより、図12に示すように、磁気抵抗素子18を露出するトップヴィアホール21が形成される。次に、トップヴィアホール21の側壁を覆うように、銅の拡散を防止するバリア金属層(図示せず)が形成される。ここで形成されるバリア金属層には、クラッド層は含まれていない。
【0032】
次に、図13に示すように、トップヴィアホール21を充填するように、銅めっきにより、非磁性材料として銅膜25がシリコン酸化膜20上に形成される。次に、銅膜25に化学的機械研磨処理を施すことにより、シリコン酸化膜20の上面上に位置する銅膜25の部分が除去され、さらに、シリコン酸化膜20の一部が除去される(一点鎖線の位置を参照)。こうして、図14に示すように、トップヴィアホール21内に、クラッド層を含まない非磁性材料からなるトップヴィア25aが形成される。
【0033】
次に、図15に示すように、シリコン酸化膜20上にシリコン窒化膜26が形成され、さらに、そのシリコン窒化膜26上にシリコン酸化膜27が形成される。次に、シリコン酸化膜27上に、ビット線用の配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、シリコン窒化膜26が露出するまでシリコン酸化膜27にエッチングを施すことにより、図16に示すように、開口部27aが形成される。
【0034】
次に、開口部27aの底に露出したシリコン窒化膜26にエッチングを施すことにより、図17に示すように、トップヴィア25aを露出する配線溝29aが形成される。次に、図18に示すように、配線溝29aの底面および側壁を覆うように、クラッド層30が形成される。次に、クラッド層30の全面にエッチングを施すことにより、図19に示すように、配線溝29aの側壁に位置するクラッド層30の部分(クラッド層30a)を残して、配線溝29aの底面上に位置するクラッド層30の部分と、シリコン酸化膜27の上面上に位置するクラッド層30の部分が除去される。
【0035】
なお、このとき、配線溝29aの底面上に位置するクラッド層30中のバリア金属膜の一部と、シリコン酸化膜27の上面上に位置するクラッド層30中のバリア金属膜の一部とを残す態様でクラッド層30を除去してもよい。また、この後、配線溝29aの底面、配線溝29aの側壁に形成されたクラッド層30aおよびシリコン酸化膜27を覆うように、バリア金属膜(図示せず)を形成してもよい。
【0036】
次に、図20に示すように、配線溝29aを充填するように、銅めっきにより銅膜31が形成される。次に、銅膜31に化学的機械研磨処理を施すことにより、図21に示すように、配線溝29a内に位置する銅膜31の部分(銅膜31a)を残して、シリコン酸化膜27の上面上に位置する銅膜31の部分が除去される。こうして、配線溝29a内に、クラッド層30aと銅膜31aからなるビット線32が形成される。
【0037】
次に、図22に示すように、ビット線32を覆うように、シリコン酸化膜27上にシリコン窒化膜34が形成され、さらに、そのシリコン窒化膜34上にシリコン酸化膜35が形成される。次に、シリコン酸化膜35上に、ビット線32を上方から覆うクラッド層を形成するための所定のレジストパターン(図示せず)が形成される。そのレジストパターンをマスクとして、シリコン窒化膜34が露出するまでシリコン酸化膜35にエッチングを施すことにより、図23に示すように、開口部35aが形成される。次に、図24に示すように、開口部35aの底面と側壁を覆うように、クラッド層36が形成される。
【0038】
次に、図25に示すように、開口部35aを充填するように、クラッド層36上にシリコン酸化膜37が形成される。次に、シリコン酸化膜37とクラッド層36に化学的機械研磨処理を施すことにより、図26に示すように、開口部35aの側壁と底面に位置するクラッド層36の部分(クラッド層36a)を残して、開口部35a以外の領域に位置するクラッド層36の部分が除去される。こうして、ビット線32を上方から覆うクラッド層36aが形成される。次に、図27に示すように、開口部35aに残されたシリコン酸化膜37aとシリコン酸化膜35を覆うように、シリコン酸化膜38が形成される。こうして、メモリセルの主要部分が形成される。
【0039】
上述した半導体装置の磁気抵抗素子18では、磁気抵抗素子18とビット線32とを電気的に接続するトップヴィア25aが、銅膜(非磁性材料)から形成され、クラッド層を含んでいないことで、磁気抵抗素子の特性が劣化するのを抑制することができる。このことについて、比較例との関係で説明する。
【0040】
そこで、まず、比較例に係る半導体装置について説明する。半導体基板上に所定の半導体素子および配線等が形成され形成された後、図28に示すように、シリコン酸化膜102に形成された配線溝102a内に、クラッド層104aと銅膜104bからなる読み出し用配線104が形成され、配線溝102b内に、クラッド層103aと銅膜103bからなるディジット線103が形成される。次に、シリコン酸化膜102上にシリコン窒化膜106とシリコン酸化膜107が形成され、そのシリコン酸化膜107およびシリコン窒化膜106にローカルヴィアホール108が形成される。
【0041】
次に、そのローカルヴィアホール108内に、バリア金属膜109aおよびタングステン膜110aからなるローカルヴィア111が形成される。次に、シリコン酸化膜107上に、金属ストラップとなる膜、磁気抵抗素子となる各膜等が形成され、所定のパターニング処理を施すことにより、ピン層113、トンネル絶縁膜114、フリー層115、キャップ層116およびタンタル(Ta)膜117を有する磁気抵抗素子118が形成される。次に、磁気抵抗素子118を覆うようにシリコン窒化膜119が形成され、所定のパターニングを施すことにより、金属ストラップ112aが形成される。次に、磁気抵抗素子118を覆うように、所定の厚さのシリコン酸化膜120が形成される。
【0042】
次に、図29に示すように、デュアルダマシンにより、シリコン酸化膜120に磁気抵抗素子118を露出するトップヴィアホール120aと、ビット線用の配線溝120bとが形成される。次に、配線溝120bの底面と側壁を覆うように、シリコン酸化膜120上にクラッド層(図示せず)が形成される。このとき、配線溝120bの底面に開口するトップヴィアホール120aの側壁等へもクラッド層130が形成されることになる。
【0043】
次に、クラッド層130の全面にエッチングを施すことにより、図30に示すように、配線溝120bの側壁に位置するクラッド層の部分(クラッド層130b)を残して、配線溝120bの底面上に位置するクラッド層の部分と、シリコン酸化膜120の上面上に位置するクラッド層の部分が除去される。このとき、トップヴィアホール120aの側壁上に形成されたクラッド層の部分(クラッド層130a)は、除去されずに残されることになる。次に、配線溝120bを充填するように銅膜(図示せず)が形成され、その銅膜に化学的機械研磨処理を施すことにより、図31に示すように、配線溝120b内に、クラッド層130bと銅膜131aからなるビット線132が形成される。
【0044】
次に、ビット線132を覆うように、シリコン窒化膜134(図32参照)とシリコン酸化膜135(図32参照)が形成され、そのシリコン酸化膜に開口部135a(図32参照)が形成される。その開口部の底面と側壁を覆うようにクラッド層(図示せず)が形成され、化学的機械研磨処理を施すことにより、開口部135aの側壁と底面にクラッド層136a(図32参照)が残される。その後、図32および図33に示すように、開口部135aに残されたシリコン酸化膜137aとシリコン酸化膜135を覆うように、シリコン酸化膜138が形成されて、比較例に係る半導体装置のメモリセルの主要部分が形成される。
【0045】
上述したように、比較例に係る半導体装置では、ビット線用の配線溝120bにクラッド層を形成する際に、配線溝120bの底面に開口したトップヴィアホール120aの側壁等へもクラッド層が形成されることになる。このため、図30に示すように、クラッド層の全面にエッチングを施しても、配線溝120bの側壁に位置するクラッド層の部分(クラッド層130b)が残されるのと同様に、トップヴィアホール120aの側壁上に位置するクラッド層の部分(クラッド層130a)も、除去されずに残されることになる。
【0046】
トップヴィアホールにクラッド層130aが残された状態でメモリセルが形成されると、ビット線132とディジット線103とに所定の電流を流すことによって発生する磁場が、トップヴィアホール120a内に残存するクラッド層130aによって遮蔽されてしまうおそれがある。そのため、磁場が磁気抵抗素子118に有効に作用せず、半導体装置として書き換え特性が悪化することがある。この現象は、今回、発明者らによって初めて確認された。
【0047】
これに対して、上述した半導体装置では、トップヴィアホール21とビット線用の配線溝29aは、それぞれシングルダマシンにより個々に形成され、クラッド層は配線溝29a内に形成されて、トップヴィアホール21内には形成されない。すなわち、トップヴィアホール21内には、銅の拡散を防止するバリア金属層と銅膜25aだけが形成されて、クラッド層は形成されないことになる。
【0048】
これにより、ビット線32とディジット線3とに所定の電流を流すことによって発生する磁場が、比較例のように、トップヴィアホール120a内に残存するクラッド層130aによって遮蔽されてしまうことがなくなり、発生した磁場を磁気抵抗素子18に有効に作用させることができる。しかも、ビット線32の銅膜31aを覆うクラッド層30a等によって、磁場を磁気抵抗素子18に選択的に作用させることができる。その結果、半導体装置として書き換え特性が悪化するのを確実に阻止することができる。
【0049】
また、上述した半導体装置では、トップヴィアホール21がシングルダマシンにより形成されることで、トップヴィアホール21を形成する際のエッチングの条件を、トップヴィアホール21を形成することだけに注目して設定することができ、磁気抵抗素子18へのエッチングのダメージが最も少なくなるようにエッチング条件の最適化を図ることができる。
【0050】
さらに、上述した半導体装置では、ビット線32用の配線溝29aがシングルダマシンにより形成されることで、ビット線32用のクラッド層30aを形成する際の条件の最適化も容易に図ることができる。
【0051】
変形例
上述した半導体装置の製造方法では、ビット線32を形成する際には、シリコン窒化膜26にエッチングを施すことによって、トップヴィア25aを露出する配線溝29aが形成される。このとき、ウェハ(半導体基板)面内におけるエッチングのばらつき等によって、シリコン窒化膜26が除去されて露出したシリコン酸化膜20の表面がエッチングされてしまうことがある。そのような場合には、図34に示すように、配線溝の底面からトップヴィア25aの上端部が突出する態様で配線溝29aが形成されることになる。
【0052】
トップヴィア25aが配線溝29aの底面から突出した状態でクラッド層30(図18参照)が形成され、そのクラッド層30の全面にエッチングが施された場合(図19参照)には、突出したトップヴィア25aの配線溝29aからの高さHによっては、トップヴィア25aの側壁を覆うクラッド層の部分が除去されずに残される場合がある。
【0053】
そこで、図35に示すように、配線溝29aの底面からトップヴィア25aが突出したとしても、トップヴィア25aの側壁にクラッド層を残さないようにするには、突出するトップヴィア25aの部分の高さHが、配線溝29aの側壁に残されるクラッド層30a(図19参照)の膜厚Lの約2倍程度の厚みに対応する高さ以内に収まるように、配線溝29aを形成する際のエッチングの条件を設定することが望ましい。
【0054】
実施の形態2
ここでは、半導体装置のメモリセル領域に形成されるメモリセルと周辺回路領域に形成される周辺回路とを併せて説明する。まず、半導体基板の表面上に、それぞれ所定のトランジスタ、配線およびヴィア等(図3のメモリセル領域RMと周辺回路領域RP参照)が形成された後、図36に示すように、シリコン酸化膜2が形成される。メモリセル領域RMに位置するシリコン酸化膜2には、配線溝2a,2bが形成される。配線溝2a内に、クラッド層4aと銅膜4bからなる読み出し用配線4が形成され、配線溝2b内には、クラッド層3aと銅膜3bからなるディジット線3が形成される。周辺回路領域RPに位置するシリコン酸化膜2には、配線溝2cが形成され、その配線溝2c内に、クラッド層5aと銅膜5bからなる配線5が形成される。
【0055】
次に、ディジット線3、読み出し用配線4および配線5を覆うように、シリコン酸化膜2上にシリコン窒化膜6が形成される。そのシリコン窒化膜6上にシリコン酸化膜7が形成される。次に、メモリセル領域RMでは、前述した図5〜図10に示す工程と同様の工程を経て、磁気抵抗素子18等が形成される。その磁気抵抗素子18を覆うように、シリコン酸化膜20が形成される。周辺回路領域RPでは、シリコン酸化膜7上に、さらに、シリコン酸化膜20が形成される。
【0056】
次に、メモリセル領域RMでは、磁気抵抗素子18の表面を露出するトップヴィアホール21が形成される。次に、トップヴィアホール21の側壁を覆うように、銅の拡散を防止するバリア金属層(図示せず)が形成され、次に、図37に示すように、トップヴィアホール21を充填するように、シリコン酸化膜20上に銅膜25が形成される。次に、銅膜25に化学的機械研磨処理を施すことにより、シリコン酸化膜20の上面上に位置する銅膜25の部分が除去され、さらに、シリコン酸化膜20の一部が除去される(一点鎖線の位置を参照)。こうして、図38に示すように、トップヴィアホール21内に、クラッド層を含まない非磁性材料からなるトップヴィア25aが形成される。
【0057】
次に、シリコン酸化膜20上にシリコン窒化膜26(図39参照)が形成され、さらに、そのシリコン窒化膜26上にシリコン酸化膜27(図39参照)が形成される。次に、周辺回路領域RPに、周辺回路ヴィアホールを形成するための所定のレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、シリコン酸化膜27、シリコン窒化膜26、シリコン酸化膜20、シリコン酸化膜7に、それぞれ所定のエッチングを施すことにより、図39に示すように、シリコン窒化膜6を露出する開口部28が形成される。
【0058】
次に、メモリセル領域RMでは、シリコン酸化膜27上に、ビット線用の配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。周辺回路領域RPにおいても、シリコン酸化膜27上に、ビット線用の配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、シリコン酸化膜27にエッチングを施すことにより、図40に示すように、メモリセル領域RMでは、シリコン窒化膜26を露出する開口部27aが形成され、周辺回路領域RPでは、シリコン窒化膜26を露出する開口部27bが形成される。
【0059】
次に、メモリセル領域RMの開口部27aの底面に露出したシリコン窒化膜26の部分、周辺回路領域RPの開口部27bの底面に露出したシリコン窒化膜26の部分および開口部28の底に露出したシリコン窒化膜6の部分にエッチングを施すことにより、これらシリコン窒化膜26,6の部分が同時に除去される。こうして、図41に示すように、メモリセル領域RMでは、トップヴィア25aを露出する配線溝29aが形成される。周辺回路領域RPでは、配線5を露出する周辺回路ヴィアホール28aと配線溝28bとが形成される。次に、図42に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29aの底面および側壁を覆い、周辺回路領域RPでは、配線溝29bの底面および側壁と、周辺回路ヴィアホール28aの側壁等とを覆うように、クラッド層30が形成される。
【0060】
次に、クラッド層30の全面にエッチングを施すことにより、図43に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29aの側壁に位置するクラッド層30の部分(クラッド層30a)を残して、配線溝29aの底面上に位置するクラッド層30の部分と、シリコン酸化膜27の上面上に位置するクラッド層30の部分が除去される。周辺回路領域RPでは、配線溝29bの側壁に位置するクラッド層30の部分(クラッド層30b)と、周辺回路ヴィアホール28aの側壁に位置するクラッド層30の部分(クラッド層30c)とを残して、配線溝29bの底面上に位置するクラッド層30の部分と、シリコン酸化膜27の上面上に位置するクラッド層30の部分と、周辺回路ヴィアホール28aの底に位置するクラッド層30の部分とが除去される。
【0061】
なお、このとき、配線溝29a,29bのそれぞれの底面上に位置するクラッド層30中のバリア金属膜の一部と、シリコン酸化膜27の上面上に位置するクラッド層30中のバリア金属膜の一部とを残す態様でクラッド層30を除去してもよい。また、この後、配線溝29a,29bのそれぞれの底面、配線溝29aの側壁に形成されたクラッド層30a、配線溝29bの側壁に形成されたクラッド層30bおよびシリコン酸化膜27を覆うように、バリア金属膜(図示せず)を形成してもよい。
【0062】
次に、図44に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29aを充填し、周辺回路領域RPでは、配線溝29bおよび周辺回路ヴィアホール28aを充填するように、銅めっきにより銅膜31が形成される。次に、銅膜31に化学的機械研磨処理を施すことにより、図45に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29a内に位置する銅膜31の部分(銅膜31a)を残して、シリコン酸化膜27の上面上に位置する銅膜31の部分が除去される。周辺回路領域RPでは、配線溝29b内に位置する銅膜31の部分(銅膜31b)と周辺回路ヴィアホール28a内に位置する銅膜の部分を残して、シリコン酸化膜27の上面上に位置する銅膜31の部分が除去される。
【0063】
こうして、メモリセル領域RMでは、配線溝29a内に、クラッド層30aと銅膜31aからなるビット線32が形成される。周辺回路領域RPでは、配線溝29b内に、クラッド層30bと銅膜31bからなるビット線33が形成される。また、周辺回路ヴィアホール28a内に、銅膜31cとクラッド層30cからなる周辺回路ヴィア39が形成される。ビット線33は、周辺回路ヴィア39を介して下方の配線5と電気的に接続される。
【0064】
次に、メモリセル領域RMでは、前述した図22〜図26に示す工程と同様の工程により、ビット線を覆うクラッド層が形成される。図46に示すように、ビット線32を覆うように、シリコン窒化膜34およびシリコン酸化膜35が形成される。次に、図47に示すように、シリコン酸化膜35に開口部35aが形成される。次に、図48に示すように、開口部35aの底面と側壁を覆うように、クラッド層36が形成される。この時点で、周辺回路領域RPでは、図49に示すように、ビット線33を覆うように、シリコン窒化膜34、シリコン酸化膜35およびクラッド層36が形成された状態にある。
【0065】
次に、図50に示すように、メモリセル領域RMでは、開口部35aを充填するようにシリコン酸化膜37が形成される。次に、図51に示すように、化学的機械研磨処理により、開口部35aの側壁と底面に位置するクラッド層36の部分(クラッド層36a)を残し、開口部35a以外の領域に位置するクラッド層36の部分を除去することで、ビット線32を上方から覆うクラッド層36aが形成される。
【0066】
次に、図52に示すように、シリコン酸化膜35等を覆うように、シリコン酸化膜38が形成されて、メモリセルの主要部分が形成される。この時点で、周辺回路領域RPでは、図53に示すように、シリコン酸化膜35の上にシリコン酸化膜38が形成された状態にある。
【0067】
上述した半導体装置では、前述したトップヴィアがクラッド層を含んでいないことによる効果に加えて、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホールを形成する工程が、メモリセル領域のトップヴィアホールを形成する工程とは別工程であることで、磁気抵抗素子へダメージを及ぼすことなく、周辺回路ヴィアホールを形成するための条件の最適化を容易に図ることできる。このことについて、比較例との関係で説明する。
【0068】
まず、比較例に係る半導体装置のうちメモリセルの形成については、図28〜図33に示す工程と同様なので、同一部材には同一符号を付す。図54に示すように、メモリセル領域RMに位置するシリコン酸化膜102には、配線溝102a,102bが形成される。配線溝102a内に、クラッド層104aと銅膜104bからなる読み出し用配線104が形成され、配線溝102b内には、クラッド層103aと銅膜103bからなるディジット線103が形成される。周辺回路領域RPに位置するシリコン酸化膜102には、配線溝102cが形成され、その配線溝102c内に、クラッド層105aと銅膜105bからなる配線105が形成される。
【0069】
次に、ディジット線103、読み出し用配線104および配線105を覆うように、シリコン酸化膜102上にシリコン窒化膜106が形成される。そのシリコン窒化膜106上にシリコン酸化膜107が形成される。次に、メモリセル領域RMでは、磁気抵抗素子118等が形成される。その磁気抵抗素子118を覆うように、シリコン酸化膜120が形成される。周辺回路領域RPでは、シリコン酸化膜107の上に、さらに、シリコン酸化膜120が形成される。
【0070】
次に、図55に示すように、デュアルダマシンにより、メモリセル領域RMでは、トップヴィアホールとなる開口部120dとビット線用の配線溝120bが形成され、周辺回路領域RPでは、ビット線用の配線溝120cと周辺回路ヴィアホールとなる開口部120eが形成される。開口部120dは、磁気抵抗素子118を覆うシリコン窒化膜119を露出するように形成され、開口部120eは、配線105を覆うシリコン窒化膜106を露出するように形成される。
【0071】
次に、図56に示すように、開口部120dの底に露出したシリコン窒化膜119の部分と、開口部120eの底に露出するシリコン窒化膜106の部分が、エッチングにより同時に除去されて、メモリセル領域RMでは、磁気抵抗素子118を露出するトップヴィア120aが形成される。周辺回路領域RPでは、配線105を露出する周辺回路ヴィアホール120fが形成される。次に、図57に示すように、配線溝120b、120cの底面および側壁を覆うように、シリコン酸化膜120上にクラッド層130が形成される。このとき、配線溝120bの底面に開口するトップヴィアホール120aの側壁や、配線溝120cの底面に開口する周辺回路ヴィアホール120fの側壁等へもクラッド層130が形成されることになる。
【0072】
次に、クラッド層130の全面にエッチングを施すことにより、図58に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝120bの側壁に位置するクラッド層の部分(クラッド層130b)を残して、配線溝120bの底面上に位置するクラッド層の部分と、シリコン酸化膜120の上面上に位置するクラッド層の部分が除去される。また、周辺回路領域RPでは配線溝120cの側壁に位置するクラッド層の部分(クラッド層130d)を残して、配線溝120cの底面上に位置するクラッド層の部分と、シリコン酸化膜120の上面上に位置するクラッド層の部分が除去される。
【0073】
このとき、トップヴィアホール120aの側壁に形成されたクラッド層の部分(クラッド層130a)は、除去されずに残されることになる。また、周辺回路ヴィアホール120fの側壁に形成されたクラッド層の部分(クラッド層130c)も、除去されずに残されることになる。
【0074】
次に、図59に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝120b内に、クラッド層130bと銅膜131aからなるビット線132が形成される。次に、そのビット線132上にシリコン窒化膜134を介在させてビット線132を覆うクラッド層136aが形成される。その後、クラッド層136aを覆うようにシリコン酸化膜137aが形成され、さらに、シリコン酸化膜138が形成される。
【0075】
周辺回路領域RPでは、配線溝120c内に、クラッド層130dと銅膜131bからなるビット線133が形成される。そのビット線133上にシリコン窒化膜134を介在させてシリコン酸化膜135が形成され、さらに、シリコン酸化膜138が形成される。比較例に係る半導体装置は、以上のようにしてその主要部分が形成される。
【0076】
上述したように、比較例に係る半導体装置では、メモリセル領域RMにおいて開口部120dの底に露出したシリコン窒化膜119の部分と、周辺回路領域RPにおいて開口部120eの底に露出したシリコン窒化膜106の部分とが、エッチングにより同時に除去される(図56参照)。
【0077】
シリコン窒化膜106は、磁気抵抗素子118が形成される前に形成され、比較的高温度条件のもとで形成される。一方、シリコン窒化膜119は、磁気抵抗素子118が形成された後に形成されるため、比較的低い温度条件(約300℃以下)のもとで形成される。このため、膜の緻密さの点では、シリコン窒化膜106の方がシリコン窒化膜119よりも緻密になり、同じエッチング条件のもとでは、シリコン窒化膜119のエッチングレートがシリコン窒化膜106のエッチングレートよりも速くなる。
【0078】
そうすると、周辺回路領域RPの開口部120eの底に露出したシリコン窒化膜106の部分を確実に除去しようとすれば、メモリセル領域RMの開口部120dの底に露出したシリコン窒化膜119の部分が除去された後でもエッチングが続行されて、磁気記憶素子118がダメージを受けることがある。反対に、磁気記憶素子118にダメージを与えないようにして開口部120dの底に露出したシリコン窒化膜119の部分を除去しようとすれば、周辺回路領域RPの開口部120eの底に露出したシリコン窒化膜106の部分を確実に除去することができなくなる。このため、比較例に係る半導体装置では、メモリセル領域RMのシリコン窒化膜119と周辺回路領域RPのシリコン窒化膜106とを同時に除去するためのエッチング条件の最適化を図ることが困難になる。
【0079】
これに対して、上述した半導体装置では、メモリセル領域RMのトップヴィアホール21が形成され、そのトップヴィアホール21内にトップヴィア25aが形成された後に、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28aが形成される。これにより、トップヴィアホールを形成するためのエッチング条件を考慮することなく、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホールを形成するためのエッチング条件を設定することができ、エッチング条件の最適化を容易に図ることができる。
【0080】
また、メモリセル領域RMのトップヴィアホール21では、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホールを形成するためのエッチング条件を考慮することなく、そのエッチング条件を設定することができ、エッチング条件の最適化を容易に図ることができる。
【0081】
このように、上述した半導体装置では、トップヴィア25aがクラッド層を含んでいないことで書き換え特性が劣化しない効果が得られることに加えて、メモリセル領域RMのトップヴィアホール21を形成するためのエッチング条件と、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホールを形成するためのエッチング条件とを、個々に最適化することができる。これにより、メモリセル領域RMでは、磁気抵抗素子18にダメージを与えることなくビット線32と磁気抵抗素子18とを電気的に接続することができ、周辺回路領域RPでは、ビット線33と配線5とを電気的に確実に接続することができる。
【0082】
なお、上述した半導体装置では、シリコン窒化膜26は、シリコン窒化膜19と同様に、磁気抵抗素子18が形成された後で形成されるため、同じエッチング条件のもとでは、シリコン窒化膜26のエッチングレートは、磁気抵抗素子18が形成される前に形成されるシリコン窒化膜6のエッチングレートよりも速くなる。
【0083】
このため、メモリセル領域RMの開口部27aの底面に露出したシリコン窒化膜26の部分、周辺回路領域RPの開口部27bの底面に露出したシリコン窒化膜26の部分および開口部28の底に露出したシリコン窒化膜6の部分を、エッチングにより同時に除去する際(図40参照)に、シリコン窒化膜26が除去された後でも、エッチングが続行されて、露出したシリコン酸化膜20(図41参照)の表面がエッチングされて、トップヴィア25aの上端部がシリコン酸化膜20の表面から突出することが想定される。
【0084】
すでに説明したように、トップヴィア25aが配線溝29aの底面から突出した場合、トップヴィア25aの側壁にクラッド層が除去されずに残される場合がある。このため、トップヴィア25aの側壁にクラッド層を残さないようにするには、突出するトップヴィア25aの部分の高さHが、配線溝29aの側壁に残されるクラッド層30aの膜厚Lの約2倍程度の厚みに対応する高さ以内に収まるように、シリコン窒化膜26,6のエッチングの条件を設定することが望ましい(図35参照)。
【0085】
また、上述した半導体装置では、クラッド層30の全面にエッチングを施す際に、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28aの側壁に位置するクラッド層30の部分(クラッド層30c)は、完全に除去されずに残されることになる(図43参照)。発明者らの評価によれば、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28a内にクラッド層30cが残されることで、配線の信頼性がより高められることが判明した。
【0086】
これは、周辺回路ヴィアホール28a内に残されるクラッド層30cによって、周辺回路ヴィアホール28a内の銅膜を流れる電流により生じる磁場が周辺回路ヴィアホール28aの外へ漏れるのが阻止されて、磁気抵抗素子18がそのような磁場の影響を受けるのが抑制されるためであると考えられる。
【0087】
実施の形態3
ここでは、特に、周辺回路領域の周辺回路ヴィアホール内にクラッド層を形成せず、周辺回路ヴィアとして、クラッド層を含まない周辺回路ヴィアを備えた半導体装置について説明する。
【0088】
前述した図36〜図38に示す工程と同様の工程を経た後、図60に示すように、シリコン酸化膜20上にシリコン窒化膜40が形成される。次に、シリコン窒化膜40上に、周辺回路領域に周辺回路ヴィアホールを形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。そのレジストパターンをマスクとして、シリコン窒化膜40等にエッチングを施すことより、図61に示すように、配線5を露出する周辺回路ヴィアホール28bが形成される。次に、周辺回路ヴィアホール28bの側壁を覆うように、銅の拡散を防止するバリア金属層(図示せず)が形成される。このバリア金属層には、クラッド層は含まれていない。
【0089】
次に、図62に示すように、銅めっきにより、周辺回路ヴィアホール28bを充填するように、シリコン窒化膜40上に銅膜41が形成される。次に、銅膜41に化学的機械研磨処理を施すことにより、シリコン窒化膜40の上面上に位置する銅膜41の部分が除去され、さらに、シリコン窒化膜40およびシリコン酸化膜20の一部が除去される(一点鎖線の位置を参照)。こうして、図63に示すように、周辺回路ヴィアホール28b内に、クラッド層を含まない銅膜41aからなる周辺回路ヴィア42が形成される。次に、シリコン酸化膜20上にシリコン窒化膜26が形成され、さらに、そのシリコン窒化膜26上にシリコン酸化膜27が形成される。
【0090】
次に、メモリセル領域RMのシリコン酸化膜27の部分と周辺回路領域RPのシリコン酸化膜27の部分の上に、ビット線用の配線溝を形成するためのレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのレジストパターンをマスクとして、シリコン酸化膜27にエッチングを施してシリコン窒化膜26を露出させ、さらに、露出したシリコン窒化膜26にエッチングを施すことにより、図64に示すように、メモリセル領域RMでは、トップヴィア25aを露出する配線溝29aが形成される。周辺回路領域雄RPでは、周辺回路ヴィア42を露出する配線溝29bが形成される。
【0091】
次に、配線溝29a、29bの底面および側壁を覆うように、クラッド層(図示せず)が形成される。次に、クラッド層の全面にエッチングを施すことにより、図65に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29aの側壁にクラッド層30aが形成され、周辺回路領域RPでは、配線溝29bの側壁にクラッド層30bが形成される。次に、メモリセル領域RMでは、配線溝29a、29bを充填するように、銅めっきにより銅膜31が形成される。
【0092】
なお、このとき、配線溝29a,29bのそれぞれの底面上に位置するクラッド層30中のバリア金属膜の一部を残す態様でクラッド層30を除去してもよい。また、この後、配線溝29a,29bのそれぞれの底面、配線溝29aの側壁に形成されたクラッド層30a、配線溝29bの側壁に形成されたクラッド層30bおよびシリコン酸化膜27を覆うように、バリア金属膜(図示せず)を形成してもよい。
【0093】
次に、銅膜31に化学的機械研磨処理を施すことにより、図66および図67に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29a内に、クラッド層30aと銅膜31aからなるビット線32が形成され、周辺回路領域RPでは、配線溝29b内に、クラッド層30bと銅膜31bからなるビット線33が形成される。
【0094】
次に、メモリセル領域RMでは、ビット線32上にシリコン窒化膜34を介在させてビット線32を覆うクラッド層36aが形成される。その後、クラッド層36aを覆うようにシリコン酸化膜37aが形成され、さらに、シリコン酸化膜38が形成される。周辺回路領域RPでは、配線溝29b内に、クラッド層30bと銅膜31bからなるビット線33が形成される。そのビット線33上にシリコン窒化膜34を介在させてシリコン酸化膜35が形成され、さらに、シリコン酸化膜38が形成される。こうして、半導体装置の主要部分が形成される。
【0095】
上述した半導体装置では、すでに説明したように、トップヴィア25aがクラッド層を含んでいないことで、書き換え特性が劣化するのを抑制することができる。また、メモリセル領域RMにトップヴィア25aが形成された後に、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28bが形成されることで、メモリセル領域RMのトップヴィアホール21を形成するためのエッチング条件と、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28bを形成するためのエッチング条件とを、個々に最適化することができる。
【0096】
これにより、メモリセル領域RMでは、磁気抵抗素子18にダメージを与えることなくビット線32と磁気抵抗素子18とを電気的に接続することができ、また、周辺回路領域RPでは、ビット線33と配線5とを電気的に確実に接続することができる。さらに、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28b内に形成される周辺回路ヴィア41aが銅膜から形成されることで、ヴィアとしての抵抗も低減することができる。
【0097】
実施の形態4
ここでは、特に、周辺回路領域の周辺回路ヴィアホール内にクラッド層を形成し、周辺回路ヴィアとして、クラッド層を含む周辺回路ヴィアを備えた半導体装置について説明する。
【0098】
前述した図60および図61に示す工程の後、図68に示すように、メモリセル領域RMではシリコン窒化膜40を覆い、周辺回路領域RPでは周辺回路ヴィアホール28bの側壁等を覆うように、クラッド層44が形成される。次に、クラッド層44の全面にエッチングを施すことにより、図69に示すように、メモリセル領域RMでは、シリコン窒化膜40の上面上に位置するクラッド層44が除去される。周辺回路領域RPでは、周辺回路ヴィアホール28bの側壁に位置するクラッド層44の部分(クラッド層44a)を残して、シリコン窒化膜40の上面上に位置するクラッド層44の部分と、周辺回路ヴィアホール28bの底に位置するクラッド層44の部分とが除去される。
【0099】
なお、このとき、周辺回路ヴィアホール28bの底面上に位置するクラッド層44中のバリア金属膜の一部と、シリコン窒化膜40の上面上に位置するクラッド層44中のバリア金属膜の一部とを残す態様でクラッド層44を除去してもよい。また、この後、周辺回路ヴィアホール28bおよびシリコン窒化膜40を覆うように、バリア金属膜(図示せず)を形成してもよい。
【0100】
次に、図70に示すように、銅めっきにより、周辺回路ヴィアホール28bを充填するように、シリコン窒化膜40上に銅膜45が形成される。次に、銅膜45に化学的機械研磨処理を施すことにより、シリコン窒化膜40の上面上に位置する銅膜45の部分が除去され、さらに、シリコン窒化膜40およびシリコン酸化膜20の一部が除去される(一点鎖線の位置を参照)。こうして、周辺回路ヴィアホール28b内には、クラッド層44aと銅膜45aからなる周辺回路ヴィア46が形成される(図72参照)。
【0101】
次に、図63〜図67に示す工程と同様の工程を経て、図71に示すように、メモリセル領域RMでは、配線溝29a内にビット線32が形成され、そのビット線32上にシリコン窒化膜34を介在させてビット線32を覆うクラッド層36aが形成される。その後、クラッド層36aを覆うようにシリコン酸化膜37aが形成され、さらに、シリコン酸化膜38が形成される。
【0102】
また、図72に示すように、周辺回路領域RPでは、配線溝29b内にビット線33が形成される。そのビット線33上にシリコン窒化膜34を介在させてシリコン酸化膜35が形成され、さらに、シリコン酸化膜38が形成される。こうして、半導体装置の主要部分が形成される。
【0103】
上述した半導体装置では、すでに説明したように、トップヴィア25aがクラッド層を含んでいないことで、書き換え特性が劣化するのを抑制することができる。また、メモリセル領域RMにトップヴィア25aが形成された後に、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28bが形成されることで、メモリセル領域RMのトップヴィアホール21を形成するためのエッチング条件と、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28bを形成するためのエッチング条件とを、個々に最適化することができる。
【0104】
これにより、メモリセル領域RMでは、磁気抵抗素子18にダメージを与えることなくビット線32と磁気抵抗素子18とを電気的に接続することができ、また、周辺回路領域RPでは、ビット線33と配線5とを電気的に確実に接続することができる。
【0105】
さらに、周辺回路領域RPの周辺回路ヴィアホール28b内には、銅膜45aとクラッド層44aからなる周辺回路ヴィア46が形成される。これにより、周辺回路ヴィア46を流れる電流によって生じる磁場が、クラッド層44aによって、周辺回路ヴィアホール28bの外へ漏れるのが阻止されて、磁気抵抗素子18がそのような磁場の影響を受けるのを抑制することができる。
【0106】
上記各実施の形態では、磁場を遮蔽する機能を有するクラッド層として、NiFe層を例に挙げて説明したが、クラッド層の材料としては、軟磁性材料であれば所望の磁場遮蔽効果が得られる。軟磁性材料とは、保磁力が小さく透磁率が大きい材料であり、NiFe層はその一例であり、パーマロイ(NiとFeの合金)と称されている。軟磁性材料として、パーマロイの他に、パーマロイにMo、Cu、Cr等を添加した材料、ソフトフェライト(AFe24(A=Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Fe等)、AFe1219(A=Ba,Sr,Pb等)、RFe512(R=希土類元素))、鉄、ケイ素鋼、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金(Fe−Si−B化合物)がある。
【0107】
また、上記各実施の形態では、トップヴィアとして銅膜からなるトップヴィアを例に挙げて説明したが、トップヴィアの材料としては、非磁性材料であれば、トップヴィアの影響を受けることなく、ビット線を流れる電流によって生じる磁場を磁気抵抗素子へ作用させることができる。非磁性材料とは、磁性を示す材料以外の材料であり、軟磁性材料および硬磁性材料以外の材料であれば、トップヴィアの材料として適用することが可能である。なお、硬磁性材料とは、保磁力が大きい材料であり、アルニコ(Al−Ni−Co)系材料、ハードフェライト(BaCO3、StCO3)、サマリウムコバルト(SmCo5、Sm2Co17)系材料、ネオジム(Nd2Fe14B)系材料がある。
【0108】
さらに、ビット線等の配線本体の材料として銅膜を例に挙げて説明したが、配線本体の材料としては、この他に、たとえば、AlSi、AlAiCu、TiN/AlSi、AiCu、CuAl、Ag、Au等も適用することが可能である。
【0109】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、磁気抵抗素子を備えた半導体装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0111】
1 半導体基板、2 シリコン酸化膜、2a、2b、2c 配線溝、3 ディジット線、3a クラッド層、3b 銅膜、4 読み出し用配線、4a クラッド層、4b 銅膜、5 配線、5a クラッド層、5b 銅膜、6 シリコン窒化膜、7 シリコン酸化膜、8 ローカルヴィアホール、9 バリア金属層、9a バリア金属層、10 タングステン膜、10a タングステンプラグ、11 ローカルヴィア、12 タンタル膜、12a 金属ストラップ、13 ピン層、14 トンネル絶縁膜、15 フリー層、16 Ru膜、17 タンタル膜、18 磁気抵抗素子、19 シリコン窒化膜、20 シリコン酸化膜、21 トップヴィアホール、25 銅膜、25a トップヴィア、26 シリコン窒化膜、27 シリコン酸化膜、27a、27b、28 開口部、28a、28b 周辺回路ヴィアホール、29a、29b 配線溝、30、30a、30b、30c クラッド層、31、31a 銅膜、32、33 ビット線、34 シリコン窒化膜、35 シリコン酸化膜、35a 開口部、36、36a クラッド層、37、37a、38 シリコン酸化膜、40 シリコン窒化膜、41、41a 銅膜、42 周辺回路ヴィア、44、44a クラッド層、45、45a 銅膜、46 周辺回路ヴィア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主表面に形成された第1領域と、
前記第1領域に形成された磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子の直下に距離を隔てて第1方向に延在するように形成された第1配線本体と、
前記磁気抵抗素子の直上に距離を隔てて前記第1方向と交差する第2方向に延在するように形成された第2配線本体と、
前記磁気抵抗素子と前記第2配線本体との間に形成され、前記磁気抵抗素子と前記第2配線本体とを電気的に接続する第1導体部と、
前記磁気抵抗素子に対して所定の位置に形成され、前記第1配線本体および前記第2配線本体に流れる電流によって生じる磁場を遮蔽する磁場遮蔽層と
を備え、
前記第1導体部は非磁性材料から形成され、
前記磁場遮蔽層は、前記磁気抵抗素子と対向する前記第2配線本体の部分と、前記第1導体部とを除く態様で前記第2配線本体の表面に形成された、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板の前記主表面に形成されて前記第2配線本体が延在し、前記第1領域とは電気的に絶縁された第2領域と、
前記第2領域において、前記第2配線本体の下方に距離を隔てて形成された第3配線本体と、
前記第3配線本体と前記第2領域に位置する前記第2配線本体の部分との間に形成されて、前記第3配線本体と前記第2配線本体とを電気的に接続する第2導体部と
を備えた、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記磁場遮蔽層は、前記第2導体部の表面にさらに形成された、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記磁場遮蔽層は、前記第2導体部を除く態様で前記第2配線本体の表面に形成された、請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記磁場遮蔽層は軟磁性材料から形成された、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板の主表面に第1領域を形成する工程と、
前記半導体基板の前記主表面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
第1方向に延在する第1配線溝を前記第1絶縁膜に形成する工程と、
前記第1配線溝内に第1配線本体を形成する工程と、
前記第1配線本体を覆うように、前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜の表面上に磁気抵抗素子を形成する工程と、
前記磁気抵抗素子を覆うように、前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記磁気抵抗素子を露出する第1開口部を前記第3絶縁膜に形成する工程と、
前記第1開口部を充填するように、非磁性材料からなる第1導電膜を前記第3絶縁膜上に形成する工程と、
前記第3絶縁膜の上面上に位置する前記第1導電膜の部分を除去し、前記第1開口部内に残される前記第1導電膜の部分によって、前記磁気抵抗素子に電気的に接続される第1導体部を形成する工程と、
前記第1導体部を覆うように、前記第3絶縁膜上に第4絶縁膜を形成する工程と、
底面に前記第1導体部が露出するように、前記第1方向と交差する第2方向に延在する第2配線溝を前記第4絶縁膜に形成する工程と、
前記第2配線溝の底面を除く態様で、前記第2配線溝の側壁上に磁場を遮蔽する磁場遮蔽層を形成する工程と、
前記第1導体部を介して前記磁気抵抗素子と電気的に接続される第2配線本体を、前記第2配線溝内に形成する工程と
を備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1絶縁膜を形成する前に、前記半導体基板の前記主表面に前記第1領域と電気的に絶縁された第2領域を形成する工程と、
前記第2領域に位置する前記第1絶縁膜の部分に第3配線溝を形成する工程と、
前記第3配線溝内に第3配線本体を形成する工程と、
前記第2絶縁膜および前記第3絶縁膜を貫通して、前記第3配線本体と前記第2領域に位置する前記第1配線本体の部分とを電気的に接続する第2導体部を形成する工程と
を備えた、請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2導体部を形成する工程は、
前記第4絶縁膜が形成された後、前記第2配線溝が形成される前に、前記第2領域において、前記第2絶縁膜、前記第3絶縁膜および前記第4絶縁膜を貫通して前記第3配線本体を露出する第2開口部を形成する工程と、
底面に前記第2開口部を露出させるように、前記第4絶縁膜に前記第2配線溝を形成する工程と、
前記第2配線溝の底面と側面および前記第2開口部の側壁を覆うように、磁場遮蔽層となる層を形成する工程と、
前記磁場遮蔽層となる層の全面にエッチングを施して、前記第2配線溝の前記側壁と前記第2開口部の前記側壁に位置する部分を残して、前記第2配線溝の前記底面に位置する部分を除去する工程と、
前記第2配線本体を形成する際に、前記第2配線本体となる第2導電膜を前記第2開口部内に充填し、前記第2開口部内にそれぞれ位置する前記磁場遮蔽層となる層の部分と前記第2導電膜の部分とを前記第2導体部として形成する工程と
を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2導体部を形成する工程は、
前記第3絶縁膜が形成された後、前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通して前記第3配線本体を露出する第2開口部を形成する工程と、
前記第2開口部を充填するように、前記第3絶縁膜上に第3導電膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜の上面上に位置する前記第3導電膜の部分を除去し、前記第2開口部内に残される前記第3導電膜の部分を前記第2導体部として形成する工程と
を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2導体部を形成する工程は、
前記第3絶縁膜が形成された後、前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通して前記第3配線本体を露出する第2開口部を形成する工程と、
前記第2開口部の側壁を覆うように、前記第3絶縁膜上に磁場遮蔽層となる層を形成する工程と、
前記第2開口部の側壁に位置する前記磁場遮蔽層となる層の部分を残して、前記第3絶縁膜の上面上に位置する前記磁場遮蔽層となる層の部分を除去する工程と、
前記第2開口部を充填するように、前記第3絶縁膜上に第4導電膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜の上面上に位置する前記第4導電膜の部分を除去し、前記第2開口部内にそれぞれ残される前記磁場遮蔽層となる層の部分および前記第4導電膜の部分を前記第2導体部として形成する工程と
を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【公開番号】特開2011−66190(P2011−66190A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215385(P2009−215385)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】