説明

半導体装置および表示装置

【課題】絶縁フィルムを介して半導体装置の状態を観察することを可能として品質・製造工程管理を行える半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るCOF10は、絶縁フィルム1の裏面に放熱材7を備え、放熱材7に、絶縁フィルム1まで貫通する孔であり、絶縁フィルム1を介して絶縁フィルム1の表面におけるCOF10の状態を観察することを可能とする開口部o1,o2を設けている。絶縁フィルム1の表面における配線2は、開口部部o1,o2に相当する位置には設けられていない。これらの開口部o1,o2により、絶縁フィルム1を介してCOF10の状態を観察することができ、それゆえCOF10の品質・製造工程管理を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、COF(Chip On Film)としての半導体装置およびそれを備える表示装置に関し、特にCOFの裏面から観察することによって品質・製造工程管理を行える半導体装置およびそれを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、COFにおける半導体素子が放出する熱の放熱対策として、COFの絶縁フィルムの半導体素子が搭載されている面と反対の面において、半導体素子が搭載されている位置に相当する箇所に、もしくは全面的に、金属性の放熱材を設ける技術が考案されている(特許文献1参照)。以下、この技術を用いたCOFについて、図7(a)を用いて簡単に説明する。
【0003】
上記技術を用いたCOFとしてのCOF110は、図示のように、絶縁フィルム(具体的にはポリイミドからなる)101と、絶縁フィルム101の一方の面に設けられた配線102と、絶縁フィルム101および配線102の一部を覆うように設けられたソルダーレジスト103とを備え、半導体素子104に設けられたバンプ電極104aが配線102と接合されている。また、COF110は、半導体素子104周辺に充填されて半導体素子104を絶縁フィルム101に固定し、かつ外部から保護する封止樹脂106と、絶縁フィルム101の上記一方の面とは反対の面(裏面)に設けられた放熱材107(具体的には板状であって銅からなる)とを備えている。COF110では、放熱材107を備えていることにより、半導体素子104が放出した熱の放熱性を向上できる。
【特許文献1】特開2006−108356号公報(2006年4月20日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
COFでは、その品質管理および製造工程管理のために、製造後、透明な絶縁フィルムの裏面から例えば(1)半導体素子104のバンプ電極104aと配線102とがズレなく接合しているか、また、その接合品質はどうか、(2)封止樹脂が適切に充填されているか、を確認する。しかしながら、COF110では、絶縁フィルム101に放熱材107が設けられているため、上記確認が行えないという問題を生じる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、絶縁フィルムを介して半導体装置の状態を観察することを可能として品質・製造工程管理を行える半導体装置、およびそれを備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、本発明に係る半導体装置における部材が長方形状である場合に、その長辺方向を「横」、短辺方向を「縦」としている。
【0007】
本発明に係る半導体装置は、上記課題を解決するために、絶縁フィルムと、上記絶縁フィルムの一方の面に設けられた配線と、上記配線と接合されている半導体素子と、上記半導体素子近傍に充填された封止樹脂と、上記絶縁フィルムの一方の面とは反対の面に設けられた放熱部材とを備えている半導体装置において、上記放熱部材を第1放熱部材として備え、上記第1放熱部材に、上記絶縁フィルムまで貫通する孔であり、上記絶縁フィルムを介して上記絶縁フィルムの一方の面における半導体装置の状態を観察することを可能とする開口部を備え、上記配線は上記開口部に相当する位置には設けられていないことを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、本発明に係る半導体装置は、第1放熱部材に、絶縁フィルムまで貫通する孔であり、上記絶縁フィルムを介して上記絶縁フィルムの一方の面における半導体装置の状態を観察することを可能とする開口部を設けている。この開口部により、上記絶縁フィルムを介して半導体装置の状態を、例えば封止樹脂の状態などを観察することができ、それゆえ上記半導体装置の品質・製造工程管理を行える。以上により、絶縁フィルムを介して半導体装置の状態を観察することを可能として品質・製造工程管理を行える半導体装置を提供することができるという効果を奏する。
【0009】
本発明に係る半導体装置は、上記開口部が、第1開口部として上記第1放熱部材における上記半導体素子の中央部分に相当する位置に、第2開口部として上記第1放熱部材における上記半導体素子の位置合わせ用マーク部分に相当する位置に、もしくはその双方の位置に、それぞれ設けられていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、第1開口部により、(2)封止樹脂が適切に充填されているかを確認することができ、第2開口部分により、(1)上記半導体素子が適切に配置されているかを確認することができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置は、上記開口部として、上記第2開口部が、もしくは上記第1開口部および上記第2開口部が設けられており、上記絶縁フィルムの一方の面における上記第2開口部と対向する位置に、上記配線と同一の層に同一のマスクを用いて形成された、上記配線とは電気的に接続されていないダミー配線が設けられ、上記ダミー配線は、上記第2開口部を介して上記ダミー配線と上記半導体素子の位置合わせ用マークとの位置関係を確認することに用いられることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、上記配線と同一の層に同一のマスクを用いて形成されるダミー配線は、当該ダミー配線と上記半導体素子の位置合わせ用マークとの位置関係を上記第2開口部から確認することで、上記半導体素子と上記配線とが位置ずれなく接合されるよう配置されていることを(上記(1))、上記第2開口部から上記位置合わせ用マークを確認することより、より高い精度で確認できる機能を有することとなる。
【0013】
本発明に係る半導体装置は、上記第1開口部は、その縦幅が上記半導体素子の縦幅−0.1mm以下であり、その横幅が上記半導体素子の横幅−0.1mm以下であり、上記第2開口部は、その縦幅が0.05mm以上0.15mm以下であり、その横幅が0.05mm以上0.15mm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材にスリットを設けていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、上記第1放熱部材にスリットを設けている。このスリットにより、上記第1放熱部材の熱膨張を妨げて緩和でき、従来放熱部材の熱膨張によって生じていた配線の変形もしくは断線を防止することができる。以上により、配線の変形もしくは断線を防止する半導体装置を提供することができる。なお、具体的には、例えば上記第1放熱部材が上述した長方形状の放熱材107のような放熱材である場合、上記スリットは、その機能から、放熱材の長辺方向に設けることとなる。
【0016】
本発明に係る半導体装置は、上記スリットが、上記第1放熱部材における上記半導体素子およびその周辺に相当する位置に、上記半導体素子の中心線に対し線対称となるように設けられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上記スリットを上記半導体素子近くに設けるため、確実に熱膨張を緩和することができ、それゆえ、確実に配線の変形もしくは断線を防止することができる。
【0018】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材が、上記絶縁フィルムの反対の面における上記半導体素子およびその周辺に相当する位置のみに設けられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記半導体装置を折り曲げて実装する際の折り曲げ性を損なうことなく、上記半導体装置の放熱性を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材の周辺に、上記第1放熱部材に接触させて第2放熱部材をさらに設け、上記第2放熱部材は、正方形状もしくは円状の、上記絶縁フィルムまで貫通する孔である開口部を複数有し、上記開口部は、隣接する開口部と一定の距離を保ちつつ、縦横に配列されていることが好ましい。
【0021】
具体的には、上記第2放熱部材の正方形状の開口部が、その一辺が50μm以上200μm以下であるとともに、隣接する開口部と50μm以上200μm以下の距離をおいて配列され、上記第2放熱部材の円状の開口部が、その直径が50μm以上200μm以下であるとともに、隣接する開口部と50μm以上200μm以下の距離をおいて配列されていることが好ましい。
【0022】
また、上記第2放熱部材の正方形状の開口部が、その一辺が、上記第2放熱部材の横方向の辺となす角度が35°以上55°以下の線分と平行となるように配列され、上記第2放熱部材の円状の開口部は、上記正方形状の開口部が設けられている位置に配列されることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、放熱部材の領域を、上記第1放熱部材のみの場合と比較して増加させることができるため、上記半導体装置の放熱性をより向上させることができる。また、第2放熱部材は、開口部を有しており、全体的に放熱部材が設けられているわけではないため、折り曲げが容易である。すなわち、上記の構成によれば、折り曲げ性を確保しつつ、上記半導体装置の放熱性をより向上させることができる。
【0024】
また、上記第2放熱部材の開口部を上述のような角度をもたせて配列することにより、熱膨張による伸びを抑えることができる。
【0025】
本発明に係る半導体装置は、上記絶縁フィルムおよび上記配線の一部を覆うように設けられたレジストをさらに備え、上記第2放熱部材は、その横幅は、上記第1放熱部材の横幅と同一とし、その縦方向の各端部の位置は、上記レジストの上記絶縁フィルムの反対の面における端部に相当する位置から0.5mm以上内側に設定されていることが好ましい。
【0026】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材の縦幅が、上記半導体装置を折り曲げて使用する際のその折り曲げ禁止範囲の縦幅−0.5mm以上、上記折り曲げ禁止範囲の縦幅+0.5mm以下の間で設定されることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記第1放熱部材の縦幅を略折り曲げ禁止範囲とするため、上記半導体装置の放熱性を維持しつつ、折り曲げ性を最大限に確保することができる。
【0028】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材の横幅が、上記半導体装置の打ち抜き部分の横方向の両端からそれぞれ0.5mm以上間隔を設けて設定されることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、実装時の打ち抜きに支障をきたすことなく、上記半導体装置の放熱性を向上させることができる。
【0030】
本発明に係る半導体装置は、上記スリットは、上記半導体素子の一辺に平行な第1スリットを有し、上記第1スリットと、上記第1スリットに最も近接する上記半導体素子の一辺にあるバンプ端面との水平方向の距離は、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、上記第1スリットは、上記放熱部材の膨張経路を横断するように設けられるため、熱膨張を緩和するためには非常に有効であり、それゆえより確実に熱膨張を緩和することができる。そのため、より確実に配線の変形もしくは断線を防止することができる。
【0032】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材が、熱伝導率が10W/(m・K)以上の材料によって形成されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材が、銅、アルミニウム、もしくはSUSによって形成されていることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、上記第1放熱部材や上記第2放熱部材を熱伝導率が高い材料によって形成するため、優れた放熱性を達成できる。
【0035】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材が、その厚みが、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、上記半導体装置の薄型を維持しつつ、放熱性を向上させることができる。
【0037】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材の表面には、放熱部材とは別の材料がメッキもしくはコーティングされていることが好ましい。
【0038】
上記放熱部材は、専ら金属で形成するため、酸化が起こる場合がある。上記の構成によれば、上記放熱部材の酸化を防ぐことができる。
【0039】
本発明に係る半導体装置は、上記第1放熱部材に設けられたスリットの幅が、0.02mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
【0040】
上記の構成によれば、上記スリットを小さく形成して上記半導体装置の放熱性を損わせず、配線の変形もしくは断線を防止することができる。
【0041】
本発明に係る半導体装置は、上記半導体素子と上記各放熱部材との垂直方向の距離は、0.1mm以下であることが好ましい。
【0042】
上記の構成によれば、上記半導体装置の薄型化が可能であるとともに、上記各放熱部材を熱源近くに設けることができるため、上記半導体装置の放熱性を向上させることができる。
【0043】
本発明に係る表示装置は、上記半導体装置を、表示装置を駆動するための表示装置駆動モジュールとして備えていることを特徴としている。
【0044】
上記の構成によれば、本発明に係る表示装置は、例えば、品質・製造工程管理を行える上記半導体装置を、表示装置を駆動するための表示装置駆動モジュールとして備えているため、その動作に高い信頼性を確保できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る半導体装置は、絶縁フィルムと、上記絶縁フィルムの一方の面に設けられた配線と、上記配線と接合されている半導体素子と、上記半導体素子近傍に充填された封止樹脂と、上記絶縁フィルムの一方の面とは反対の面に設けられた放熱部材とを備えている半導体装置において、上記放熱部材を第1放熱部材として備え、上記第1放熱部材に、上記絶縁フィルムまで貫通する孔であり、上記絶縁フィルムを介して上記絶縁フィルムの一方の面における半導体装置の状態を観察することを可能とする開口部を備え、上記配線は上記開口部に相当する位置には設けられていないことを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、本発明に係る半導体装置は、上記開口部により、上記絶縁フィルムを介して半導体装置の状態を、例えば封止樹脂の状態などを観察することができ、それゆえ上記半導体装置の品質・製造工程管理を行える。以上により、絶縁フィルムを介して半導体装置の状態を観察することを可能として品質・製造工程管理を行える半導体装置を提供することができるという効果を奏する。
【0047】
また、本発明に係る表示装置は、上記半導体装置を、表示装置を駆動するための表示装置駆動モジュールとして備えていることを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、本発明に係る表示装置は、例えば、品質・製造工程管理を行える上記半導体装置を、表示装置を駆動するための表示装置駆動モジュールとして備えているため、その動作に高い信頼性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本明細書では、本発明に係る半導体装置における部材が長方形状である場合に、その長辺方向を「横」、短辺方向を「縦」としている。
【0050】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図3を用いて説明すると以下の通りである。
【0051】
図1は、本実施形態に係るCOF(半導体装置)10を示しており、図1(a)はその裏面を示しており、図1(b)は図1(a)中の“a”の領域を拡大して示している。
【0052】
COF10は、図7(a)に示したCOF110と同様な構成であり、半導体素子などの実装時に使用するスプロケットホール1aを有する絶縁フィルム1と、絶縁フィルム1の一方の面に設けられた配線2(不図示)と、絶縁フィルム1および配線2の一部を覆うように設けられたソルダーレジスト3(不図示)とを備え、バンプ電極4aを有した半導体素子4がこのバンプ電極4aを介して配線2と接合される。また、COF10は、半導体素子4近傍に充填されて半導体素子4を絶縁フィルム1に固定し、かつ外部から保護する封止樹脂6(不図示)と、絶縁フィルム1の上記一方の面とは反対の面(裏面)に設けられた放熱材(第1放熱部材)7とを備えて構成されている。COF10では、放熱材7を備えていることにより、半導体素子4が放出した熱の放熱性を向上できる。半導体素子4には、バンプ電極4aが形成されている面の4つの角部分に、配線2と半導体素子4とが位置ずれなく接合されているかを確認するための位置合わせ用マークが形成されている。
【0053】
図2は、COF10を搭載した表示装置30の一部の構成を示している。表示装置30は、一般的な液晶表示装置であり、詳細な説明は省略する。
【0054】
表示装置30は、表示パネル15、バックライト装置20、および表示パネル15に表示を行うための表示装置駆動モジュールとしてのCOF10を備えている。図示のように、COF10は折り曲げられて搭載される。詳細は後述するが、COF10では、配線2の変形もしくは断線を防止することができる。表示装置30では、表示装置駆動回路を以上のような効果を有するCOF10によって構成するため、その動作に高い信頼性を確保できる。また、特に、表示パネル15が高機能化および多出力化となる大型パネルである場合に、上述の高い信頼性を確保できるという効果が顕著となる。なお、表示装置30は、液晶表示装置に限られるわけではなく、例えば有機ELを用いた表示装置であってもよい。
【0055】
以下、COF10の詳細について説明するが、絶縁フィルム1、配線2、ソルダーレジスト3、および封止樹脂6は、従来一般的に知られた材料(絶縁フィルム1についてはポリイミド)および形成方法で形成するため、ここではその説明を省略し、主に放熱材7について説明する。
【0056】
放熱材7は、板状であることが好ましく、優れた放熱性を実現するために、熱伝導率の大きい材料で形成する。具体的には、熱伝導率が10W/(m・K)以上の材料によって形成されることが好ましい。換言すれば、銅、アルミニウム、もしくはSUS(ステンレス鋼)によって形成されることが好ましい。その形成方法は、一般的なスパッタなどである。本実施形態では銅で構成している。また、放熱材7は、その表面が、放熱材7の形成材料とは異なる材料によってメッキもしくはコーティングされていることが好ましい。放熱材7は、上述のように専ら金属で形成するため、酸化が起こる場合があるが、以上の構成により、放熱材7の酸化を防ぐことができる。具体的には、錫メッキもしくはソルダーレジストによってコーティングする。
【0057】
放熱材7の厚みは、5μm以上30μm以下が好ましく、8μm以上15μm以下がより好ましい。図3は、放熱材7の厚みとCOF10の温度との関係を示すグラフである。このグラフから、8μm以上15μm以下の厚みの場合に最も温度の低下が顕著であり、厚みが増してもその効果がさほど上がらないことが明らかである。また、COF10の薄型を維持するためにも、放熱材7は薄いほうがよい。したがって、放熱材7の厚みとしては、8μm以上15μm以下がより好ましく、この構成により、COF10の薄型を維持しつつ、放熱性を向上させることができる。本実施形態では8μmもしくは15μmで構成している。
【0058】
また、COF10の薄型化および高い放熱性を達成するためには、半導体素子4と放熱材7との垂直方向の距離(図6(a)で示す“b”の距離)が、0.1mm以下であることが好ましい。
【0059】
放熱材7は、COF10の裏面全体に形成することが好ましい。この構成により、高い放熱性を達成することができる。しかしながら、COF10は上述のように折り曲げられて実装されるため、その折り曲げ性を考慮すれば、COF10の裏面の一部、具体的にはCOF10の裏面における半導体素子4およびその周辺に相当する位置に形成されることが好ましい。
【0060】
具体的には、COFには、安全に製品を使用するために、半導体素子4周辺に折り曲げ禁止領域が設けられている。COF10では、放熱材7の縦幅7Aを、上記禁止領域の縦幅−0.5mm以上、上記禁止領域の縦幅+0.5mm以下とする。本実施形態では上記禁止領域の縦幅と同一としている。この構成により、折り曲げ性を損なうことなく、放熱性を向上させることができる。
【0061】
また、COFでは打ち抜き部分を打ち抜いて実装するため、COF10では、放熱材7の横幅7Bを、打ち抜き部分1cから両側それぞれ0.5mm以上余裕をとって(図1(a)中の“d1”の領域)設定する。本実施形態では、d1=1mmとしている。この構成により、実装時の打ち抜きに支障をきたすことなく、放熱性を向上させることができる。
【0062】
なお、放熱材7の形状は、本実施形態では、半導体素子4を長方形状としているためそれに合わせて長方形状としており、これに限定されるわけではなく、例えば正方形状であってもよい。
【0063】
次に、本実施形態において最も着目すべき点であるが、放熱材7は、半導体素子4の中央部分に相当する位置に開口部(第1開口部)o1を、また、半導体素子4の位置合わせ用マーク部分に相当する位置に開口部(第2開口部)o2を、それぞれ有している。開口部o1,o2は、絶縁フィルム1へ貫通している孔である。配線2は、図7(b)に示したCOF110の配線102と同様に形成されており、開口部o1,o2に相当する位置には形成されていない。
【0064】
この開口部o1により、透明な絶縁フィルム1を介して封止樹脂6が適切に充填されているかを確認することができる。また、開口部o1を介して熱電対を接触させて、半導体素子4の温度を測定することもできる。また、開口部o2を介して半導体素子4の位置合わせ用マーク部分を観察できることにより、半導体素子4が適切に配置されているかを確認することができる。このように、放熱材7に開口部o1,o2を有していることにより、品質・製造工程管理を行える。なお、本実施形態では、放熱材7に開口部o1,o2のいずれも設けているが、この構成は単なる一例であり、開口部o1,o2のいずれかのみを設けてもよい。
【0065】
開口部o1は、その縦幅o1Aが半導体素子4の縦幅−0.1mm以下であり、その横幅o1Bが半導体素子4の横幅−0.1mm以下であることが好ましい。また、開口部o2は、その縦幅が0.05mm以上0.15mm以下であり、その横幅が0.05mm以上0.15mm以下であることが好ましい。本実施形態では、開口部o1は、その縦幅o1Aを0.8mmとし、その横幅o1Bを2.0mmとしている。また、開口部o2は、その形状を正方形状とし、その一辺を116umとしている。この開口部o2のサイズは、半導体素子4の位置合わせ用マークのサイズが96um(図1(a)中の“d3”)であり、そのサイズに上下左右に10umの余裕を持たせて設けていることによるものである。開口部o1,o2の形成方法は、一般的なエッチング等である。
【0066】
なお、開口部o1は、その形状が、本実施形態では長方形状であるが、これに限られるわけではなく、例えば正方形状であってもよい。また、開口部o2も同様に、その形状が限定されるわけではないが、位置合わせ精度の観点からは、本実施形態のような正方形状であることが好ましい。
【0067】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図4を用いて説明すると以下の通りである。
【0068】
図4は、本実施形態に係るCOF10aを示しており、図4(a)および図4(c)はその裏面を、図4(b)は図4(a)および図4(c)中の“c”の領域を拡大して示している。なお、説明の便宜上、COF10の部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的にCOF10と異なる点についてのみ説明する。
【0069】
COF10aは、COF10の構成に対し、放熱材7に図4に示すようなスリット8をさらに有している。このスリット8について、以下詳細に説明する。
【0070】
従来のCOF110では、半導体素子104のバンプ電極104aを配線102に接合するとき、図7(a)に示すように、約120℃程度に加熱されたステージ115上にCOF110を配置するとともに、半導体素子104上に約400℃程度に加熱された加熱ツール117を配置して押さえ込んで圧力を印加し、この状態を約1秒程度維持して熱圧着により接合を行う。
【0071】
このとき、図中の“A”の領域の放熱材107は、ステージ115と加熱ツール117とにより固定されているが、図中の“B”の領域の放熱材107は、それらで固定されていないため、ステージ115と加熱ツール117との熱による熱膨張によって、長辺方向(図中の点線の矢印の方向)へ伸びる。また、この現象はその他樹脂封止後の樹脂硬化などの加熱プロセスにおいても同様のことが考えられる。この結果、その放熱材107の伸びにつられて絶縁フィルム101が伸び、配線102の変形もしくは断線が引き起こされるという問題を生じていた。図7(b)は、半導体素子104のバンプ電極104aが設けられた面の平面図である。上述のように、放熱材107および絶縁フィルム101はその長辺方向へ伸びるため、半導体素子104の短辺側(図中の“C”の領域)の配線102の変形もしくは断線が顕著に見られた。
【0072】
スリット8は、以上のような問題を解決するためのものであり、このスリット8により、放熱材7に対し、放熱材としての機能を損せることなく、半導体素子4のバンプ電極4aを配線2に接合するときの熱圧着及び樹脂封止後の樹脂硬化などの加熱プロセスによる熱膨張を緩和して伸びを防ぎ、その結果、配線2の変形もしくは断線を防止する。
【0073】
スリット8は、その機能から、基本的に放熱材7における半導体素子4およびその周辺に相当する位置に設けることが好ましい。また、半導体素子4の中心線L1,L2(一例)に対し線対称となるように設けることが好ましい。以上の構成により、スリット8を、半導体素子4近くに、かつ、その半導体素子4付近に均等に設けることになるため、確実に熱膨張を緩和することができ、その結果、確実に配線2の変形もしくは断線を防止することができる。また、半導体素子4の一辺に平行な第1スリットを有し、上記第1スリットと、上記第1スリットに最も近接する半導体素子4の一辺にあるバンプ端面との水平方向の距離が、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましい。この構成によれば、上記第1スリットは、放熱材7の膨張経路を横断するように設けられるため、熱膨張を緩和するためには非常に有効であり、それゆえより確実に熱膨張を緩和することができ、その結果、より確実に配線2の変形もしくは断線を防止することができる。
【0074】
図示したスリット8は、放熱材7が上記熱圧着や上記樹脂硬化などの加熱プロセスによって特に長辺方向へ伸びるという例に対応して形成されたものであり、それゆえ特に、半導体素子4の短辺側に放射状に多くのスリットを設けている。より具体的には、図4(b)に示すように、放熱材7において“7a”,“7b”,“7c”,“7d(不図示)”という領域ができるように、かつ、その各領域に、半導体素子4の一辺におけるバンプ電極4aが含まれるように、スリットを設けている(例えば、領域“7a”には、半導体素子4の短辺側のバンプ電極4aが含まれている)。
【0075】
また、図示したスリット8は、上記第1スリットとしてのスリット8a(図4(b))を有している。スリット8aと、スリット8aに最も近接する半導体素子4の短辺にあるバンプ端面との水平方向の距離(図4(b)中の“d2”)は、0.5mmとしている。また、図示したスリット8は、図4(a)に示すように、放熱性を考慮して、放熱材7を分離しないように切れ目を有して形成されていてもよく、あるいは、図4(c)に示すように、放熱材7を分離するように形成されていてもよい。
【0076】
また、スリット8は、その幅が0.02mm以上1.0mm以下であることが好ましい。この構成により、スリット8を小さく形成して放熱材7の放熱性を損わせず、配線の変形もしくは断線を防止することができる。本実施形態では、0.05mmで形成している。スリット8の形成方法は、一般的なエッチングである。
【0077】
以上説明したスリット8の位置および形状はあくまでも単なる一例に過ぎない。放熱材の伸びは、上記熱圧着を行うための装置(図7(a)で示したステージ115および加熱ツール117)と放熱板との形状および大きさの違いによって固定できない箇所が存在することにより起こるものであるから(また、この現象は、樹脂封止後の樹脂硬化などの加熱プロセスにおいても同様のことが起こる可能性がある)、その形態は多岐にわたる。よって、その放熱板の伸びを回避するためのスリットの位置および形状も多岐にわたる。
【0078】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について図5を用いて説明すると以下の通りである。
【0079】
図5は、本実施形態に係るCOF10bを示しており、図5(a)はその裏面を、図5(b)は図5(a)中の“e”の領域を拡大して示している。なお、説明の便宜上、COF10aの部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的にCOF10,10aと異なる点についてのみ説明する。
【0080】
COF10bは、COF10aの構成に対し、放熱材7の長辺側に、放熱材9a,9bからなる放熱材(第2放熱部材)9を放熱材7に接触させてさらに設けている。放熱材9は、放熱材7と同様な構成(材料、厚み、その範囲など)で形成することができるが、その形状が異なっている。
【0081】
放熱材9は、図5(b)に示すように、複数の正方形状の開口部fが、隣接する開口部fと一定の距離を保ちつつ、縦横に配列されている構造である。開口部fは、その一辺が50μm以上200μm以下であるとともに、隣接する開口部fと50μm以上200μm以下の距離をおいて配列されていることが好ましい。また、開口部fは、その一辺が、放熱材9の長辺方向の辺となす角度が35°以上55°以下の線分と平行となるように配列されていることが好ましい。本実施形態では、開口部fの一辺および隣接する開口部fとの距離をそれぞれ100μmとするとともに、上記角度を45°としている。
【0082】
また、放熱材9は、その横幅は、放熱材7の横幅と同様に設定し、その縦方向の各端部の位置は、ソルダーレジスト3の絶縁フィルム1の裏面における端部に相当する位置から0.5mm以上内側に設定されていることが好ましい。本実施形態では、放熱材9の横幅は、放熱材7の横幅7Bと同一とし、縦方向の各端部の位置(9aA,9bA)はソルダーレジスト3の絶縁フィルム1の裏面における(図5(a)中の“3a”)端部に相当する位置からそれぞれ0.5mm,0.5mmとしている(図5(a)中の“da3”,“db3”)。以上のような放熱材9の形成は、放熱材7と同時に一般的なスパッタ、フォトリソグラフィ、エッチング等によって行っている。
【0083】
以上の構成により、COF10bは、COF10aと比較して、放熱材の領域を増加させることができる。また、放熱材9は、開口部fを有しており、全体的に放熱材が設けられている放熱材7と比較して、折り曲げが容易である。すなわち、COF10bは、COF10aと比較して、折り曲げ性を確保しつつ、放熱性をより向上させることができる。また、放熱材9の開口部fを上述のような角度をもたせて配列することにより、熱膨張による伸びを抑えることができる。
【0084】
なお、放熱材9は、以上のような構成に限られるわけではなく、開口部fが円状であっても同様な効果を享受することができる。この場合、円状の開口部の直径が50μm以上200μm以下であるとともに、隣接する開口部と50μm以上200μm以下の距離をおいて配列されていることが好ましい。
【0085】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について図6を用いて説明すると以下の通りである。
【0086】
本実施形態に係るCOF10cは、実施の形態1に示したCOF10と同様な構造を有しており、さらにそれに加えて、絶縁フィルム1の一方の面における第2開口部o2と対向する位置に、ダミー配線15を備えている。
【0087】
図6は、本実施形態に係るCOF10cを示しており、図6(a)は図1(a)に示したCOF10の“a”の領域に対応する領域を拡大して示しており、特にダミー配線15を示している。また、図6(b)〜図6(d)は同じく上記“a”の領域に対応する領域を拡大して示しており、特にダミー配線15の変形例を示している。なお、説明の便宜上、COF10の部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的にCOF10と異なる点についてのみ、すなわちダミー配線についてのみ説明する。
【0088】
ダミー配線15は、図6(a)に示すように、正方形状で、かつ、その正方形が、半導体素子4の位置合わせ用マーク状で、かつ、当該位置合わせ用マークよりやや大きく刳り貫かれている形状を有している。そのサイズは、第2開口部o2の大きさおよび半導体素子4の位置合わせ用マークの大きさから相対的に定まるが、本実施形態では、開口部o2が、正方形状であって、その一辺が116umであり、半導体素子4の位置合わせ用マークのサイズが96um(実施の形態1参照)であるから、一辺を106umとしている。また、図6(a)中の“d4”は5umとしている。ダミー配線15は、配線2の形成時に共に形成される。その形成方法としては、公知のメッキ法を用いて銅膜を形成した後、公知のフォトリソグラフィ法を用いて整形するが、当該フォトリソグラフィ時に同一のマスクを用いて形成される。配線2とダミー配線15とは、電気的に接続されていない。
【0089】
ダミー配線15は、上述のように配線2の形成時に同一のマスクを用いて形成されるため、ダミー配線15と半導体素子4の位置合わせ用マークとの位置関係を第2開口部o2から観察することで、具体的には、図6(a)に示すように、ダミー配線15の刳り貫き部分に一定距離(上記“d4”の距離)を保って上記位置合わせ用マークを観察できることで、半導体素子4と配線2とが位置ずれなく接合されるよう配置されていることを(上記(1))確認できる機能を有するものである。したがって、ダミー配線15は、配線2と半導体素子4との配置が適切であれば、ダミー配線15の刳り貫き部分に一定距離(上記“d4”の距離)を保って上記位置合わせ用マークを観察できるように形成されている。このダミー配線15により、COF10のように、第2開口部o2から上記位置合わせ用マークを観察できることにより半導体素子4と配線2との配置が適切であることを確認することより、より高い精度で当該確認を行うことができる。
【0090】
なお、ダミー配線15の形状は、上述したものに限られるわけではなく、上記“d4”の距離を確保せず、上記位置合わせ用マークのサイズと同じサイズで刳り貫かれている形状としてもよい。この場合、ダミー配線15の刳り貫き部分と上記位置合わせ用マークとが一致していることを観察できることにより、半導体素子4と配線2との配置が適切であることを確認できる。また、本実施形態では、COF10cはCOF10と同様な構造を有しているとしたが、開口部o2を設けていれば、実施の形態2,3に示したCOF10a,10bと同様な構造を有していてもよいことは言うまでもない。
【0091】
次に、ダミー配線15の変形例について図6(b)〜図6(d)を参照して説明する。
【0092】
図6(b)に示すダミー配線15aは、正方形状で、かつ、その一辺が上記位置合わせ用マークにおける“d3”(図1(a)参照)よりも小さく、配線2と半導体素子4との配置が適切であれば、ダミー配線15aの中心と上記位置合わせ用マークの中心とが略一致するように形成されている。ダミー配線15aは、ダミー配線15aの中心と上記位置合わせ用マークの中心とが略一致していることを観察できることより、半導体素子4と配線2との配置が適切であることを確認できる。
【0093】
また、図6(c)に示すダミー配線15bは、上記位置合わせ用マークの中心に対し、それぞれ点対称となるように4つの配線が上記位置合わせ用マークの周囲に配置されているものであり、これら4つの配線の延長線が交差する点が上記位置合わせ用マークの中心と略一致していることを観察できることより、半導体素子4と配線2との配置が適切であることを確認できる。
【0094】
また、図6(d)に示すダミー配線15cは、上記位置合わせ用マークも共にL字状に形成するとともに、配線2と半導体素子4との配置が適切であれば、位置合わせ用マークとダミー配線15cとで囲んだ領域が略正方形状となるように、換言すれば、任意の線もしくは点に対し、位置合わせ用マークとダミー配線15cとが線対称もしくは点対称となるように形成されている。ダミー配線15cは、位置合わせ用マークとダミー配線15cとで囲んだ領域が正方形状となることを観察できることより、換言すれば、任意の線もしくは点に対し、位置合わせ用マークとダミー配線15cとが線対称もしくは点対称となることを観察できることより、半導体素子4と配線2との配置が適切であることを確認できる。
【0095】
このように、ダミー配線は、外観を見ただけで上記位置合わせ用マークとの位置関係が分かるものが好ましい。なお、ダミー配線の構成は以上の例に限られるわけではなく、他には例えば位置合わせ用マークと同一の形状として、それらが重なったことにより半導体素子4と配線2との配置が適切であることを確認する構成としてもよい。また、絶縁フィルム1と半導体素子4を接合する際に、いずれかまたはどちらもが熱等により膨張・収縮する場合にはその膨張量・収縮量を考慮に入れて上記位置合わせ用マークあるいはダミー配線を配置することが好ましい。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、裏面に放熱材を有したCOFに好適に用いることができ、上記裏面から半導体装置の状態を観察することを可能として品質・製造工程管理を行えるとともに、上記放熱材の熱膨張を緩和して配線の変形もしくは断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態に係るCOFを示しており、(a)はその裏面の平面図であり、(b)は図1(a)中の“a”の領域の拡大図である。
【図2】図1に示したCOFを用いた表示装置の一部の構成を示す図である。
【図3】放熱材の厚みと放熱材を備えた図1に示したCOFの温度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の他の実施形態に係るCOFを示しており、(a)および(c)はその裏面の平面図であり、(b)は図4(a)および図4(c)中の“c”の領域の拡大図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係るCOFを示しており、(a)はその裏面の平面図であり、(b)は図5(a)中の“e”の領域の拡大図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るCOFを示しており、(a)〜(d)は図1に示した“a”の領域に対応する領域の拡大図である。
【図7】従来技術に係るCOFを示しており、(a)はその断面図であり、(b)は半導体素子のバンプ電極が設けられた面の平面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 絶縁フィルム
1c 打ち抜き部分
2 配線
3、3a ソルダーレジスト
4 半導体素子
7 放熱材(第1放熱部材)
8 スリット
9、9a、9b 放熱材(第2放熱部材)
10、10a、10b COF(半導体装置)(表示装置駆動モジュール)
15、15a、15b、15c ダミー配線
30 表示装置
o1 開口部(第1開口部)
o2 開口部(第2開口部)
L1、L2 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルムと、
上記絶縁フィルムの一方の面に設けられた配線と、
上記配線と接合されている半導体素子と、
上記半導体素子近傍に充填された封止樹脂と、
上記絶縁フィルムの一方の面とは反対の面に設けられた放熱部材とを備えている半導体装置において、
上記放熱部材を第1放熱部材として備え、上記第1放熱部材に、上記絶縁フィルムまで貫通する孔であり、上記絶縁フィルムを介して上記絶縁フィルムの一方の面における半導体装置の状態を観察することを可能とする開口部を備え、
上記配線は上記開口部に相当する位置には設けられていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記開口部は、第1開口部として上記第1放熱部材における上記半導体素子の中央部分に相当する位置に、第2開口部として上記第1放熱部材における上記半導体素子の位置合わせ用マーク部分に相当する位置に、もしくはその双方の位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記開口部として、上記第2開口部が、もしくは上記第1開口部および上記第2開口部が設けられており、
上記絶縁フィルムの一方の面における上記第2開口部と対向する位置に、上記配線と同一の層に同一のマスクを用いて形成された、上記配線とは電気的に接続されていないダミー配線が設けられ、
上記ダミー配線は、上記第2開口部を介して上記ダミー配線と上記半導体素子の位置合わせ用マークとの位置関係を確認することに用いられることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上記第1開口部は、その縦幅が上記半導体素子の縦幅−0.1mm以下であり、その横幅が上記半導体素子の横幅−0.1mm以下であり、
上記第2開口部は、その縦幅が0.05mm以上0.15mm以下であり、その横幅が0.05mm以上0.15mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記第1放熱部材にスリットを設けていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
上記スリットは、上記第1放熱部材における上記半導体素子およびその周辺に相当する位置に、上記半導体素子の中心線に対し線対称となるように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
上記第1放熱部材は、上記絶縁フィルムの反対の面における上記半導体素子およびその周辺に相当する位置のみに設けられていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
上記第1放熱部材の周辺に、上記第1放熱部材に接触させて第2放熱部材をさらに設け、
上記第2放熱部材は、正方形状もしくは円状の、上記絶縁フィルムまで貫通する孔である開口部を複数有し、
上記開口部は、隣接する開口部と一定の距離を保ちつつ、縦横に配列されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
上記第2放熱部材の正方形状の開口部は、その一辺が50μm以上200μm以下であるとともに、隣接する開口部と50μm以上200μm以下の距離をおいて配列され、
上記第2放熱部材の円状の開口部は、その直径が50μm以上200μm以下であるとともに、隣接する開口部と50μm以上200μm以下の距離をおいて配列されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
上記第2放熱部材の正方形状の開口部は、その一辺が、上記第2放熱部材の横方向の辺となす角度が35°以上55°以下の線分と平行となるように配列され、
上記第2放熱部材の円状の開口部は、上記正方形状の開口部が設けられている位置に配列されることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
上記半導体装置は、上記絶縁フィルムおよび上記配線の一部を覆うように設けられたレジストをさらに備え、
上記第2放熱部材は、その横幅は、上記第1放熱部材の横幅と同一とし、その縦方向の各端部の位置は、上記レジストの上記絶縁フィルムの反対の面における端部に相当する位置から0.5mm以上内側に設定されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
上記第1放熱部材の縦幅は、上記半導体装置を折り曲げて使用する際のその折り曲げ禁止範囲の縦幅−0.5mm以上、上記折り曲げ禁止範囲の縦幅+0.5mm以下の間で設定されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
上記第1放熱部材の横幅は、上記半導体装置の打ち抜き部分の横方向の両端からそれぞれ0.5mm以上間隔を設けて設定されることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
上記スリットは、上記半導体素子の一辺に平行な第1スリットを有し、上記第1スリットと、上記第1スリットに最も近接する上記半導体素子の一辺にあるバンプ端面との水平方向の距離が、0.1mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項5〜13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材は、熱伝導率が10W/(m・K)以上の材料によって形成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材は、銅、アルミニウム、もしくはSUSによって形成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材は、その厚みが、5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材の表面には、放熱部材とは別の材料がメッキもしくはコーティングされていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
上記第1放熱部材に設けられたスリットの幅は、0.02mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項4〜18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
上記半導体素子と上記第1放熱部材もしくは上記各放熱部材との垂直方向の距離は、0.1mm以下であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の半導体装置を、表示装置を駆動するための表示装置駆動モジュールとして備えていることを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−194355(P2009−194355A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156445(P2008−156445)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】