説明

半導体装置のフリップチップ実装基板

【課題】 本発明は、実装密度の高い半導体装置のフリップチップ実装基板を提供することを目的とし、また、放熱性に優れた半導体装置のフリップチップ実装基板を提供することを他の目的とする。
【解決手段】 半導体装置のベアチップ1がフリップチップ実装されるサブ基板2と、このサブ基板が装着されて、前記ベアチップが収容されるマザーボード6とを備え、前記マザーボードには、前記ベアチップが収納されるキャビティ5が形成されているとともに、このキャビティを取り囲む位置に、前記サブ基板の周縁部が嵌合させられる段差部12が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置のベアチップをリードを使用せずにベアチップ搭載用基板にフリップチップ実装を行い、さらに、このベアチップ搭載用基板をマザーボードに半田接続するようにした半導体装置のフリップチップ実装基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置のベアチップをリードを使用せずに基板に搭載するにはベアチップ搭載用基板にフリップチップ実装を行い、マザーボードに半田接続する工法が採用されている。このような構造の場合、マザーボードにチップ搭載基板が実装される部分には他の表面実装部品が実装できずにマザーボードサイズの拡大に繋がっている。さらに発熱が大きいベアチップを搭載する場合には、従来の構造では放熱性の問題が挙げられる。
【0003】また、特開平4−346250号公報記載の半導体装置の実装方法では、図6に示すようにキャビティ19を持つ基板20にベアチップ21をバンプ22で接続し、ベアチップ21の裏面に熱伝導率の高い封止樹脂23で封止して放熱効果を高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の実装方法では、樹脂23の上には部品が搭載できず、高密度実装化が充分でなく、また、使用する樹脂によっては放熱が不充分となることが想定されるためその改善が望まれる。
【0005】本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、実装密度の高い半導体装置のフリップチップ実装基板を提供することを目的とし、また、放熱性に優れた半導体装置のフリップチップ実装基板を提供することを他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、前述した第1の目的を達成するために、半導体装置のベアチップがフリップチップ実装されるサブ基板と、このサブ基板が装着されて、前記ベアチップが収容されるマザーボードとを備え、前記マザーボードには、前記ベアチップが収納されるキャビティが形成されているとともに、このキャビティを取り囲む位置に、前記サブ基板の周縁部が嵌合させられる段差部が形成され、前記サブ基板を、前記ベアチップが前記キャビティ内に位置するようにマザーボードに装着するとともに、このサブ基板の周縁部を前記段差部に嵌合させて固定してなることを特徴とするものである。本発明の請求項2に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項1に記載の前記ベアチップが前記サブ基板に対し、封止樹脂によって封止されていることを特徴とするものである。本発明の請求項3に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項1または請求項2に記載の前記サブ基板とマザーボードとが、前記段差部において接着剤によって固定されていることを特徴とするものである。本発明の請求項4に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項3ないし請求項4の何れかに記載の前記サブ基板に設けられた電極と、前記マザーボードのキャビティ内に設けられた電極とが、半田ボールによって接続されていることを特徴とするものである。本発明の請求項5に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項1ないし請求項4の何れかに記載の前記サブ基板の周縁部に電極が設けられ、かつ、前記マザーボードの段差部に電極が設けられ、これらの電極が一体に接続されていることを特徴とするものである。本発明の請求項6に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項5に記載の前記サブ基板の周縁部に設けられた電極と、前記マザーボードの段差部に設けられた電極とが、半田によって一体に接続されていることを特徴とするものである。本発明の請求項7に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項5に記載の前記サブ基板の周縁部に設けられた電極と、前記マザーボードの段差部に設けられた電極とが、金圧着によって一体に接続されていることを特徴とするものである。また、本発明の請求項8に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項1ないし請求項7の何れかに記載の前記サブ基板には、このサブ基板を厚さ方向に貫通して設けられるとともに、一端部が前記ベアチップに対向させられ、他端部がサブ基板の外部へ露出させられた、熱伝導性に優れた材料からなるサーマルビアが設けられていることを特徴とするものである。さらに、請求項9に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板は、請求項8に記載の前記サブ基板の外部側の面には、前記サーマルビアに接続された放熱部品が装着されていることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】ついで、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。図1は本発明の一実施例の平面図で、図2は図1のA−A’の断面図であり、半導体装置のベアチップ1はバンプ3での接続でサブ基板2にフリップチップ実装する。ここで、ベアチップ1保護のために樹脂4で封止を行い、サブ基板2は、ベアチップの熱を逃がすためにサーマルビア8を持ち、熱伝導率が高いセラミック基板を使用し、単層基板か多層基板で構成されている。
【0008】ベアチップ1を搭載したサブ基板2は、キャビティ5を有するセラミック基板で構成されたマザーボード6に蓋をする形態で、図に示してはいないがサブ基板2とマザーボード6にあるそれぞれの電極どうしを半田ボール7で電気的に接続し、マザーボード6と段差部分12で接着剤を用いてサブ基板2と機械的に接続する。
【0009】サブ基板2の表面とマザーボード6の表面にはそれぞれ部品10,11が搭載され、また、サブ基板2の表面にはサーマルビア8と接続されるヒートシンク等の放熱部品9が搭載される。
【0010】このように構成された本実施形態に係わる半導体装置のフリップチップ実装基板によれば、マザーボード6の表面とサブ基板2の表面は同一平面となって平らな形態となり、従来は出来なかったサブ基板表面にも部品実装ができるため高密度実装化が可能となる。
【0011】また、樹脂4、サブ基板2のサーマルビア8、サブ基板2表面に実装される放熱部品9により、ベアチップ1の熱を放熱する事で発熱が高い部品でも対応が可能となる。
【0012】さらに、図3ないし図5は本発明の他の実施形態を示すもので、図3は本発明の他の実施例の平面図で、図4は図3のB−B’の断面図で、図5は図4のC部の拡大図である。図3、図4、図5を参照すると、サブ基板13とマザーボード14との信号接続において、図2での半田ボール7を使用せずに、サブ基板13に設けた電極16とマザーボード14に設けた電極15を半田接続または金圧着で接合し、電気的、機械的接続を行う。また、サブ基板13とマザーボード14の表面を平らにするためにマザーボード段差17とサブ基板側壁18は同じ高さで段差が埋まる構造である。ここで、サブ基板13とマザーボード14の電気的接続を図2での半田ボール7での接続と、図5での電極15、16での接続を併用する事で、より多信号の時でも対応が可能となる。
【0013】なお、前述の各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1ないし請求項7に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板によれば、マザーボードとサブ基板とでベアチップを封止するとともに、前記サブ基板をマザーボードに形成されている段差部に嵌合させることにより、これらの表面を平滑面として、前記サブ基板上への部品の実装を可能とし、これによって高密度実装を実現することができる。また、本発明の請求項8に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板によれば、ベアチップの熱をサーマルビアによって外部へ導くことにより、ベアチップの温度上昇を抑制することができ、これによって、発熱量の大きな部品への対応が可能となる。そして、請求項9に記載の発明のように、前記サーマルビアに放熱部材を接続することにより、ベアチップの放熱作用を高めて、その温度上昇をより一層効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A’線断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3のB−B’線断面図である。
【図5】図4のC部の拡大図である。
【図6】従来の半導体装置の一例を示す要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ベアチップ
2 サブ基板
3 バンプ
4 封止樹脂
5 キャビティ
6 マザーボード
7 半田ボール
8 サーマルビア
9 放熱部品
10・11 部品
12 段差部分
13 サブ基板
14 マザーボード
15・16 電極
20 基板
21 ベアチップ
22 バンプ
23 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体装置のベアチップがフリップチップ実装されるサブ基板と、このサブ基板が装着されて、前記ベアチップが収容されるマザーボードとを備え、前記マザーボードには、前記ベアチップが収納されるキャビティが形成されているとともに、このキャビティを取り囲む位置に、前記サブ基板の周縁部が嵌合させられる段差部が形成され、前記サブ基板を、前記ベアチップが前記キャビティ内に位置するようにマザーボードに装着するとともに、このサブ基板の周縁部を前記段差部に嵌合させて固定してなることを特徴とする半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項2】 前記ベアチップが前記サブ基板に対し、封止樹脂によって封止されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項3】 前記サブ基板とマザーボードとが、前記段差部において接着剤によって固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項4】 前記サブ基板に設けられた電極と、前記マザーボードのキャビティ内に設けられた電極とが、半田ボールによって接続されていることを特徴とする請求項3ないし請求項4の何れかに記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項5】 前記サブ基板の周縁部に電極が設けられ、かつ、前記マザーボードの段差部に電極が設けられ、これらの電極が一体に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項6】 前記サブ基板の周縁部に設けられた電極と、前記マザーボードの段差部に設けられた電極とが、半田によって一体に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項7】 前記サブ基板の周縁部に設けられた電極と、前記マザーボードの段差部に設けられた電極とが、金圧着によって一体に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項8】 前記サブ基板には、このサブ基板を厚さ方向に貫通して設けられるとともに、一端部が前記ベアチップに対向させられ、他端部がサブ基板の外部へ露出させられた、熱伝導性に優れた材料からなるサーマルビアが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。
【請求項9】 前記サブ基板の外部側の面には、前記サーマルビアに接続された放熱部品が装着されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置のフリップチップ実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−91478(P2000−91478A)
【公開日】平成12年3月31日(2000.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−279327
【出願日】平成10年9月16日(1998.9.16)
【出願人】(000222060)東北日本電気株式会社 (16)
【Fターム(参考)】