説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】良好な側壁形状の開口を有する半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】GaAs基板101上に形成された誘電体膜102の一部を誘電体膜102の表面から所定の深さまでエッチングする第1のエッチング工程と、第1のエッチング工程により誘電体膜102がエッチングされた第1のエッチング領域11において誘電体膜102をエッチングしてGaAs基板101の表面を露出し、かつ、第1のエッチング領域11を包含する第2のエッチング領域12において第1のエッチング領域11以外の領域に配置された誘電体膜102を所定の膜厚までエッチングする第2のエッチング工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、化合物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、集積回路において、半導体層上に成膜された誘電体膜には、誘電体膜を貫通するビア領域や、半導体層を切断するための溝状のスクライブ領域が形成される。貫通ビア領域やスクライブ領域を形成するには、成膜した誘電体膜を除去して半導体層を露出させる工程が必要である。しかしながら、半導体装置の製造工程において、貫通ビア領域やスクライブ領域に対応する位置の誘電体膜を開口するためだけの工程を追加すると、ウェハコストが増大するため、通常は配線層間のコンタクトエッチングと同時に誘電体膜に開口が形成される。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置の製造方法では、誘電体膜を開口し半導体層を露出する技術として、ドライエッチングおよびウェットエッチングにより、誘電体膜に開口を形成する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−185826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5は、一般的な従来の半導体装置および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0006】
まず、図5(a)に示すように、CVD法(化学気相成長法)等により、GaAsで構成される半導体層301上に、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜等で構成される誘電体膜202が成膜される。次に、図5(b)に示すように、該誘電体膜302上に貫通ビア領域31を開口したレジスト303が形成される。次に、図5(c)に示すように、ドライエッチングにより、貫通ビア領域31における誘電体膜302がエッチングされ、貫通ビア領域31の半導体層301が露出される。
【0007】
しかしながら、従来技術では、図5(c)に示すように、そのドライエッチング工程において、エッチング条件によってはポリマーと呼ばれる有機高分子物質が開口である貫通ビア領域31の側壁に不均一に堆積し、開口である貫通ビア領域31の側壁の誘電体膜302の形状が凹凸状に形成されることが知られている。特に、3−5族化合物半導体においては、3族元素に起因するポリマーにより良好な側壁形状を実現することが困難である。側壁形状が凹凸状に形成されると、後工程で成膜する配線もしくは誘電体膜302の段切れ、または、成膜する配線もしくは誘電体膜内にボイドが形成されるという、信頼性不良の原因となる。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決したもので、良好な側壁形状の開口を有する半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体層上に形成された誘電体膜の一部を前記誘電体膜の表面から所定の深さまでエッチングする第1のエッチング工程と、前記第1のエッチング工程により前記誘電体膜がエッチングされた第1のエッチング領域において前記誘電体膜をエッチングして前記半導体層の表面を露出し、かつ、前記第1のエッチング領域を包含する第2のエッチング領域において前記第1のエッチング領域以外の領域に配置された前記誘電体膜を所定の膜厚までエッチングする第2のエッチング工程とを含む。
【0010】
この構成によれば、露出した半導体層と、半導体層に形成された開口の側壁に配置された誘電体膜の側壁とが近接することがなく、開口における誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制して、良好な側壁形状を有する半導体装置を提供することができる。
【0011】
また、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程のうち少なくとも一方を、異なる層に設けられた配線を接続するためのコンタクト領域を形成するために前記誘電体膜を開口する第3のエッチング工程と同時に行うこととしてもよい。
【0012】
この構成によれば、製造工程を増加することなく、半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することができる。
【0013】
また、前記半導体層は、3−5族化合物半導体であることとしてもよい。
【0014】
また、前記第1のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁と前記第2のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁との距離は、0.5μm以上であることとしてもよい。
【0015】
この構成によれば、半導体層に形成された開口において、半導体層が露出している領域から半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁を十分離すことができるので、半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することができる。
【0016】
また、前記エッチングは、ドライエッチングであることとしてもよい。
【0017】
また、前記第1のエッチング工程および第2のエッチング工程において、前記第2のエッチング領域の前記誘電体膜の膜厚が、第1のエッチング工程および第2のエッチング工程前の前記誘電体膜の膜厚の10%以上となるようにエッチングすることとしてもよい。
【0018】
この構成によれば、第2のエッチング領域に誘電体膜を確実に残すことができ、半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することができる。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体装置は、前記誘電体膜の一部がエッチングされ前記誘電体膜から前記半導体層が露出した第1のエッチング領域と、前記第1のエッチング領域を含み、前記第1のエッチング領域以外の領域における前記誘電体膜が所定の膜厚までエッチングされた第2のエッチング領域とを備える。
【0020】
この構成によれば、露出した半導体層と、半導体層に形成された開口の側壁に配置された誘電体膜の側壁とが近接することがなく、開口における誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制して、良好な側壁形状を有する半導体装置を提供することができる。
【0021】
また、前記半導体層は、3−5族化合物半導体であることとしてもよい。
【0022】
また、前記第1のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁と前記第2のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁との距離は、0.5μm以上であることとしてもよい。
【0023】
この構成によれば、半導体層が露出している領域から半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁を十分離すことができるので、半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することができる。
【0024】
また、前記第2のエッチング領域における前記誘電体膜の膜厚は、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程前の前記誘電体膜の膜厚の10%以上であることとしてもよい。
【0025】
この構成によれば、第2のエッチング領域に誘電体膜を確実に残すことができ、半導体層に形成された開口の誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、良好な側壁形状の開口を有する半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】従来の半導体装置および半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明について、以下の実施形態および添付の図面を用いて説明を行うが、これは例示を目的としており、本発明がこれらに限定されることを意図しない。
【0029】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図を用いてより詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0031】
本実施形態に係る半導体装置1は、図1(d)に示すように、半導体層であるGaAs基板101と、GaAs基板101上に形成された誘電体膜102とを備えている。また、誘電体膜102上には、第2のレジスト膜104が形成されている。誘電体膜102は、所定のパターンに形成され、一部が開口され、開口の底面にはGaAs基板101が露出している。
【0032】
以下、半導体装置1の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示すフローチャートである。
【0033】
まず、図1(a)に示すように、CVD法(化学気相成長法)等によりGaAs基板101上に酸化シリコン膜や窒化シリコン膜等の誘電体膜102を1.0μm程度成膜し(ステップS10)、該誘電体膜102上に貫通ビアを形成する領域として、第1のエッチング領域11を開口した第1のレジスト膜103を形成する(ステップS11)。
【0034】
次に、図1(b)に示すように、第1のエッチング領域11の誘電体膜102をGaAs基板101が露出しない所定の膜厚(例えば、誘電体膜102の10%以上)を残すようにドライエッチングする(ステップS12)。なお、この工程は、本実施形態における第1のエッチング工程に相当する。
【0035】
次に、図1(c)に示すように、第1のエッチング領域11を包含する第2のエッチング領域12を開口した第2のレジスト膜104を形成する(ステップS13)。この時、第1のエッチング領域11の側壁と第2のエッチング領域12の側壁との距離は、0.5μm以上であることが望ましい。
【0036】
次に、図1(d)に示すように、第2のエッチング領域12のうち第1のエッチング領域11は、GaAs基板101が露出し、第2のエッチング領域12のうち第1のエッチング領域11を含まない領域は、誘電体膜102を所定の膜厚(例えば、誘電体膜102の10%以上)を残すようにドライエッチングする(ステップS14)。なお、この工程は、本実施形態における第2のエッチング工程に相当する。
【0037】
第1のエッチング工程および第2のエッチング工程により、誘電体膜102は、図1(d)に示すように、第2のエッチング領域12のうち第1のエッチング領域11以外の領域が誘電体膜102で被覆された構成となる。つまり、第2のエッチング領域12における誘電体膜102の側壁から所定距離、例えば、0.5μmの領域が、誘電体膜102で被覆された構成となる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、GaAs基板101を露出する第2のドライエッチング工程において、第2のレジスト膜104の側壁はGaAs基板101の側壁から0.5μm以上隔離しており、第2のレジスト膜104の側壁へのポリマーの付着が抑制され、誘電体膜102の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することができる。
【0039】
なお、上記した膜厚、比率等の数値は一例であり、上記した値に限定されるものではなく適宜変更してもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図を用いてより詳細に説明する。本実施形態に係る半導体装置が第1の実施形態に係る半導体装置と異なる点は、配線層間コンタクトの形成と同時にエッチングを行う点である。
【0041】
図3は、本実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0042】
本実施形態に係る半導体装置2は、図3(g)に示すように、半導体層であるGaAs基板201と、GaAs基板201上に形成された第1の誘電体膜202と、第1の誘電体膜202に形成された開口の内部に形成された第1の金属膜204と、第1の金属膜204および第1の誘電体膜202上に形成された第2の誘電体膜205と、第2の誘電体膜205に形成された開口の内部および第2の誘電体膜205上に形成された第2の金属膜207と、第2の誘電体膜205および第2の金属膜207上に形成された第3の誘電体膜208と、第3の誘電体膜208に形成された開口の内部および第3の誘電体膜208上に形成された第3の金属膜210とを備えている。
【0043】
以下、半導体装置2の製造方法について説明する。図4は、本実施形態に係る半導体装置2の製造方法を示すフローチャートである。
【0044】
まず、図3(a)に示すようにCVD法(化学気相成長法)等によりGaAs基板201上に酸化シリコン膜や窒化シリコン膜等の第1の誘電体膜202を0.5μm程度成膜する(ステップS20)。
【0045】
次に、図3(b)に示すように、第1の誘電体膜202上に所望の領域を開口するように第1のレジスト膜203を形成し、誘電体膜202を例えばHF−NHF水溶液などのウェットエッチングにて開口する(ステップS21)。続いて、開口の内部および第1のレジスト膜203上に蒸着等により第1の金属膜204を成膜し、リフトオフ法により第1のレジスト膜203と第1のレジスト膜203上の金属膜204を除去する(ステップS22)。これにより、第1の誘電体膜202に形成された開口の内部に第1の金属膜204が形成される。なお、第1の金属膜204は、例えば配線パターンとして使用されるものである。
【0046】
次に、図3(c)に示すようにCVD法(化学気相成長法)等により第1の誘電体膜202および第1の誘電体膜202の開口の内部に形成された第1の金属膜204上に、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜等で構成される第2の誘電体膜205を0.5μm程度成膜する(ステップS23)。
【0047】
次に、図3(d)に示すように、第1の貫通ビア領域21と第1の金属膜204上の第1のコンタクト領域22とを開口するように、第2の誘電体膜205上に第2のレジスト膜206を形成する。続いて、第1のコンタクト領域22においては第2の誘電体膜205を抜き切り、第1の貫通ビア領域21においては第2の誘電体膜205を抜き切るとともに第1の誘電体膜202を所定の膜厚(例えば、第1の誘電体膜202の10%以上)残すように、第1のドライエッチングを行う(ステップS24)。つまり、第1のコンタクト領域22を形成するためのエッチング工程と、第1の貫通ビア領域21の形成および第1の誘電体膜202のエッチング工程とを同時に行う。その後、第2のレジスト膜206を、リフトオフ法により除去する。なお、第1の貫通ビア領域21は、本実施形態における第1のエッチング領域に相当する。第1の貫通ビア領域21の側壁として露出された第1の誘電体膜202の側壁は、本実施形態における第1のエッチング領域における誘電体膜の側壁に相当する。また、第1の貫通ビア領域21を形成する工程は、本実施形態における第1のエッチング工程に相当する。
【0048】
次に、図3(e)に示すように、第2の金属膜207を所望の第1の金属膜204とコンタクトが取れるようにパターニング形成した後(ステップS25)、CVD法等により第1の誘電体膜202と第2の誘電体膜205と第2の金属膜207との上に酸化シリコン膜や窒化シリコン膜等で構成される第3の誘電体膜208を、膜厚が1.0μm程度となるように成膜する(ステップS26)。
【0049】
次に、図3(f)に示すように、第1の貫通ビア領域21を包含するように第1の貫通ビア領域21の外側に1.0μm程度広い領域を有する第2の貫通ビア領域23と、第2の金属膜207上の第2のコンタクト領域24を形成する。第2の貫通ビア領域23と第2のコンタクト領域24とを開口するように、第3の誘電体膜208上に第3のレジスト膜209を形成する。続いて、第2のドライエッチングにより第2のコンタクト領域24においては誘電体膜208を抜き切り、同時に、第2の貫通ビア領域23における第1の貫通ビア領域21においては第3の誘電体膜208、第2の誘電体膜205および第1の誘電体膜202を抜き切り、第2の貫通ビア領域23のうち第1の貫通ビア領域21以外の領域においては所定の膜厚(例えば、第1の誘電体膜202の10%以上)の第1の誘電体膜202を残しつつ第3の誘電体膜208と第2の誘電体膜205を抜き切るように、第2のドライエッチングを行う(ステップS27)。なお、本実施形態では第2の誘電体膜205を抜き切るとしたが、第2の誘電体膜205を抜き切らなくても同様の効果を得ることはできる。また、第2の貫通ビア領域23は、本実施形態における第2のエッチング領域に相当する。第2の貫通ビア領域23の側壁として露出された第1の誘電体膜202、第2の誘電体膜205、第3の誘電体膜208は、本実施形態における第2のエッチング領域における誘電体膜の側壁に相当する。第2の貫通ビア領域23を形成する工程は、本実施形態における第2のエッチング工程、第1のコンタクト領域22および第2のコンタクト領域24を形成する工程は、それぞれ本実施形態における第3のエッチング工程に相当する。
【0050】
第1のエッチング工程および第2のエッチング工程により、第1の誘電体膜202は、図3(f)に示すように、第2のエッチング領域23のうち第1のエッチング領域21以外の領域が誘電体膜202で被覆された構成となる。つまり、第2のエッチング領域23の側壁から所定距離、例えば、1.0μmの領域が、誘電体膜202で被覆された構成となる。
【0051】
これにより、第3のレジスト膜209の側壁から連続する第3の誘電体膜208、第2の誘電体膜205および第1の誘電体膜202の側壁はGaAs基板201の半導体被エッチング表面から隔離されるので、半導体被エッチング表面と第3のレジスト膜209とを1.0μm程度隔離できるため、第2の貫通ビア領域23の側壁に配置された第2の誘電体膜205および第3の誘電体膜208の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制することが可能となる。
【0052】
次に、図3(g)に示すように、第1の貫通ビア領域21の内部に第3の貫通ビア領域26を形成する。第3の貫通ビア領域26は、例えば、平面視において直径50μm程度の円形形状に形成される。続けて、第3の貫通ビア領域26の内部を少なくとも被覆するとともに第2の貫通ビア領域23を覆い所望の第2の金属膜207と接続するように、第3の金属膜210を成膜する(ステップS28)。第2の貫通ビア領域23の側壁に配置された第2の誘電体膜205および第3の誘電体膜208の側壁形状が良好であるので、第3の金属膜210に段切れ等の信頼性不良が発生するのを抑制できる。
【0053】
また、上記したような貫通ビア領域の形成に限らず、半導体装置におけるスクライブ領域の形成においても、スクライブ領域に配置された誘電体膜の側壁が凹凸形状である場合、誘電体膜を覆うようにスクライブ領域にさらに誘電体膜を成膜したときに、ボイドが発生することによる信頼性不良が懸念される。この場合であっても、本発明を適用すれば、スクライブ領域に配置された誘電体膜の側壁に凹凸形状が形成されるのを抑制し、ボイド発生を防ぎ、半導体装置の良好な信頼性を確保できることは言うまでもない。
【0054】
なお、上記した膜厚、比率等の数値は一例であり、上記した値に限定されるものではなく適宜変更してもよい。
【0055】
(まとめ)
以上、図面を用いて説明したように、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体層上に形成された誘電体膜の一部を前記誘電体膜の表面から所定の深さまでエッチングする第1のエッチング工程と、前記第1のエッチング工程により前記誘電体膜がエッチングされた第1のエッチング領域において前記誘電体膜をエッチングして前記半導体層の表面を露出し、かつ、前記第1のエッチング領域を包含する第2のエッチング領域において前記第1のエッチング領域以外の領域に配置された前記誘電体膜を所定の膜厚までエッチングする第2のエッチング工程とを含む。この構成によれば、露出した半導体層と、半導体層に形成された開口の側壁に配置された誘電体膜の側壁とが近接することがなく、開口における誘電体膜の側壁が凹凸状に形成されるのを抑制して、良好な側壁形状を有する半導体装置を提供することができる。
【0056】
また、誘電体膜は、例えば酸化シリコン膜や窒化シリコン膜であり、一般にプラズマCVD法またはスパッタ法により形成される。
【0057】
また、ドライエッチング技術は、反応性スパッタエッチング法や、反応性イオンエッチング法等を含む。誘電体膜をエッチングするガスとしては、例えば、CF+H、CHF3、CHF+不活性ガスのような大きな選択比の得られるものを用いる。
【0058】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の製造方法について、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0059】
例えば、半導体層は、上記したGaAs基板に限らず、その他の半導体基板であってもよい。また、GaAs以外の3−5族化合物半導体であってもよい。3族元素に起因するポリマーにより良好な開口の側壁形状を実現することが難しい3−5族化合物半導体であっても、本発明を用いることにより、良好な側壁状態を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、半導体素子に利用でき、特にGaAsを用いたトランジスタと集積化されたデバイスに利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
11 第1のエッチング領域
12 第2のエッチング領域
21 第1の貫通ビア領域(第1のエッチング領域)
22 第1のコンタクト領域(コンタクト領域)
23 第2の貫通ビア領域(第2のエッチング領域)
24 第2のコンタクト領域(コンタクト領域)
26 第3の貫通ビア領域
31 誘電体膜開口領域
101 GaAs基板(半導体基板)
102 誘電体膜
103 第1のレジスト膜
104 第2のレジスト膜
201 GaAs基板(半導体基板)
202 第1の誘電体膜
203 第1のレジスト膜
204 第1の金属膜
205 第2の誘電体膜
206 第2のレジスト膜
207 第2の金属膜
208 第3の誘電体膜
209 第3のレジスト膜
210 第3の金属膜
301 GaAs基板
302 誘電体膜
303 第1のレジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層上に形成された誘電体膜の一部を前記誘電体膜の表面から所定の深さまでエッチングする第1のエッチング工程と、
前記第1のエッチング工程により前記誘電体膜がエッチングされた第1のエッチング領域において前記誘電体膜をエッチングして前記半導体層の表面を露出し、かつ、前記第1のエッチング領域を包含する第2のエッチング領域において前記第1のエッチング領域以外の領域に配置された前記誘電体膜を所定の膜厚までエッチングする第2のエッチング工程とを含む
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程のうち少なくとも一方を、異なる層に設けられた配線を接続するためのコンタクト領域を形成するために前記誘電体膜を開口する第3のエッチング工程と同時に行う
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体層は、3−5族化合物半導体である
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁と前記第2のエッチング領域のける前記誘電体膜の側壁との距離は、0.5μm以上である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記エッチングは、ドライエッチングである
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1のエッチング工程および第2のエッチング工程において、前記第2のエッチング領域の前記誘電体膜の膜厚が、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程前の前記誘電体膜の膜厚の10%以上となるようにエッチングする
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体層上に形成された誘電体膜と、
前記誘電体膜の一部がエッチングされ前記誘電体膜から前記半導体層が露出した第1のエッチング領域と、
前記誘電体膜が所定の膜厚までエッチングされた第2のエッチング領域とを有する
半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層は、3−5族化合物半導体である
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁と前記第2のエッチング領域における前記誘電体膜の側壁との距離は、0.5μm以上である
請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2のエッチング領域における前記誘電体膜の膜厚は、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程前の前記誘電体膜の膜厚の10%以上である
請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−216628(P2012−216628A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80000(P2011−80000)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】