半導体装置の製造方法
【課題】先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と、製品中にボイドが無く信頼性の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】回路表面に接着フィルム3が接着され、かつ該回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面側に表面保護シートを貼着する工程、上記ウエハの裏面研削をすることで個々のチップへの分割を行う工程、個別のチップを接着フィルムとともにピックアップし接着フィルムを介して、チップ搭載用基板にダイボンドする工程、およびダイボンドされた接着フィルム付きチップを加熱しチップ搭載用基板に固着する工程を含み、かつ接着フィルムをウエハに接着した後、チップをチップ搭載用基板に固着するまでの段階で、接着フィルムを含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程を1回以上含む。
【解決手段】回路表面に接着フィルム3が接着され、かつ該回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面側に表面保護シートを貼着する工程、上記ウエハの裏面研削をすることで個々のチップへの分割を行う工程、個別のチップを接着フィルムとともにピックアップし接着フィルムを介して、チップ搭載用基板にダイボンドする工程、およびダイボンドされた接着フィルム付きチップを加熱しチップ搭載用基板に固着する工程を含み、かつ接着フィルムをウエハに接着した後、チップをチップ搭載用基板に固着するまでの段階で、接着フィルムを含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程を1回以上含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、さらに詳しくはいわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と製品品質の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MPUやゲートアレー等に用いる多ピンのLSIパッケージをプリント配線基板に実装する場合には、半導体チップ(以下、チップともいう)の回路面側の接続パッド部に共晶ハンダ、高温ハンダ、金等から成る導通用突起物(バンプ)を形成し、所謂フェースダウン方式により、それらのバンプ電極をチップ搭載用基板上の相対応する端子部に対面、接触させ、溶融/拡散接合するフリップチップ実装方法が採用されてきた。しかし、この方法によるときは、温度の周期的変動を受けると、半導体チップとチップ搭載用基板の熱膨張係数の違いにより接合部が破断する恐れがある。このため、フェースダウンで接続された半導体チップのバンプ電極が設けられた回路面全体と、相対向するチップ搭載用基板の間の間隙に液状の熱硬化性樹脂(アンダーフィル材)を注入、硬化させ、バンプ接合部全面をチップ搭載用基板に接合してバンプ電極に集中する熱応力を分散させ、破断を防止する方法が提案されている。しかしながら、フリップチップ実装における半導体チップとチップ搭載用基板の間の空隙は40〜200μmと小さく、そのためアンダーフィル材をボイドなく充填させる工程には相当の時間がかかる。また、アンダーフィル材のロット間の粘度管理が煩雑なこと等の問題がある。さらに、充填されるアンダーフィル材の量が一定せず、製品間に品質のバラツキが生じる虞もある。
【0003】
この問題の解決方法としてシート状の熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を半導体チップとチップ搭載用基板の間に挟み、熱圧着する技術が、例えば、特許文献1(特開平9−213741号)、特許文献2(特開平10−242208号)、特許文献3(特開平10−270497号)、特許文献4(特開2002−118147号)などにより提案されている。これらのシート状アンダーフィル材は、チップ回路面とチップ搭載用基板との間に配置され、熱圧着などの所要の手段により硬化され、チップ回路面とチップ搭載用基板とを強固に接着する。
【0004】
ところで、近年、上記バンプの形状として、スタッドバンプと呼ばれる先端が鋭利な形状が採用されつつある。チップ回路面とチップ搭載用基板との間にシート状アンダーフィル材を配置する際には、チップ回路面に形成されたバンプ先端部によりシート状アンダーフィル材が引き延ばされ、アンダーフィル材がちぎれてしまうことがある。シート状アンダーフィル材がちぎれてしまうと、アンダーフィル材中にボイドが発生する原因となる。また、回路面にシート状アンダーフィル材を接着する際には、バンプ形状によっては、バンプ根本部分に気泡を巻き込み、ボイドが形成されることもある。さらに、チップ搭載用基板上に、シート状アンダーフィル材を介してダイボンドする際にも、チップ搭載用基板表面とアンダーフィル材との間に気泡が巻き込まれてしまうことがある。特に、近年、チップ搭載基板表面には、配線パターンによる凹凸が形成されることが多く、ボイドが発生しやすくなっている。また、アンダーフィル材の種類にもよるが、アンダーフィル材を硬化する過程で、アンダーフィル材からガスが発生し、ボイドを形成することもある。
【0005】
これらのボイドがアンダーフィル材中に残留すると、パッケージクラックの起点となるため、ダイボンド条件を最適化し、ボイドの発生を防止する必要がある。しかし、半導体装置のパッケージデザインは多様であり、バンプの形状、高さ、密度、チップ搭載用基板の表面形状などは多岐にわたり、ダイボンド条件の最適化は困難である。
【0006】
一方、近年、ICカードの普及が進み、さらなる薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった半導体チップを、厚さ20〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。
【0007】
このようなチップの薄厚化を達成する方法として、特許文献5(特開平5−335411号)には、ウエハの表面側から所定深さの溝を形成した後、この裏面側から研削する半導体チップの製造方法が開示されている。このようなプロセスは、「先ダイシング法」とも呼ばれている。このような先ダイシング法によれば、極薄のバンプ付きチップの製造が可能になる。
【0008】
しかしながら、このようなバンプ付きチップを実装する際にも、上記のボイド発生の問題は解消されない。このため、ボイドが発生したとしても、これを消滅させる技術が要望される。
【特許文献1】特開平9−213741号
【特許文献2】特開平10−242208号
【特許文献3】特開平10−270497号
【特許文献4】特開2002−118147号
【特許文献5】特開平5−335411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、いわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と、製品中にボイドが無く信頼性の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
【0011】
(1)ウエハの回路表面に、接着フィルムが接着され、かつ該回路毎に区画する溝が形成されてなるウエハの回路表面側に表面保護シートを貼着する工程、
上記ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行う工程、
個別のチップを接着フィルムとともにピックアップする工程、
個別のチップを該接着フィルムを介して、チップ搭載用基板の所定位置にダイボンドする工程、および
ダイボンドされた接着フィルム付きチップを加熱し、チップをチップ搭載用基板に固着する工程を含み、かつ
接着フィルムをウエハに接着した後、チップをチップ搭載用基板に固着するまでの何れかの段階で、接着フィルムを含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程を1回以上含む半導体装置の製造方法。
(2)ダイボンド後に、静圧加圧を行う(1)に記載の半導体装置の製造方法。
(3)静圧加圧を行いつつ、チップをチップ搭載用基板に固着する(1)に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、実装工程中にアンダーフィル材として使用した接着フィルムにボイドが発生したとしても、静圧加圧を行うことでボイドが消滅するため、信頼性の高い半導体装置が得られる。すなわち本発明によれば、いわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と製品品質の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を参照しながら、さらに具体的に説明する。
【0014】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を含む。
【0015】
(S1)ウエハ1の回路表面に、アンダーフィル用接着フィルム3が接着され、かつ該回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面側に表面保護シート7を貼着する工程(図6、図7参照)、
(S2)上記ウエハ1の裏面研削をすることでウエハ1の厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへ10の分割を行う工程(図8、図9参照)、
(S3)個別のチップ10を接着フィルム3とともにピックアップする工程(図示せず)、
(S4)個別のチップ10を該接着フィルム3を介して、チップ搭載用基板11の所定位置にダイボンドする工程(図12参照)、
(S5)ダイボンドされた接着フィルム付きチップ10を加熱し、チップ10をチップ搭載用基板11に固着する工程(図示せず)、および
(IP)上記(S1)工程から(S5)工程に至る何れかの段階で、接着フィルム3を含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程。
【0016】
また、本発明の製法は、上記各工程に加えて、(S1)工程から(S3)工程に至る何れかの段階で、接着フィルム3を、ピックアップされるチップ10と略同形状に切断する工程(FC)を含む(図2、図11参照)。
【0017】
以下、各ステップについて説明する。
【0018】
(S1)工程
(S1)工程では、ウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着され、かつ該回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面側に表面保護シート7を貼着する(図6、図7参照)。
【0019】
ウエハ1としては、従来より用いられているシリコン半導体ウエハ、ガリウム・ヒ素半導体ウエハなどの半導体ウエハが挙げられるが、これらに限定されず、種々の半導体ウエハを用いることができる。ウエハ表面への回路の形成は、エッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む、様々な方法により行うことができる。ウエハの回路形成工程において、所定の回路が形成される。また回路面には、チップ搭載用基板11との導通に用いられる導通用突起物(バンプ)2が形成されていることが望ましい。バンプ2の高さ、径は、半導体装置の設計に応じ様々だが、一般的には、高さは10〜100μm程度であり、径は20〜100μm程度である。このようなバンプ2は、金、銅、ハンダ等の金属から形成されることが多い。バンプ2の形状は特に限定はされないが、本発明の方法は、図1に示すような先端が鋭利な形状であり、接着フィルム3を積層した際に気泡を巻き込みやすいスタッドバンプであっても、ボイドを解消しうる。したがって、本発明の方法は、スタッドバンプを有するウエハに特に好ましく適用できる。
【0020】
接着フィルム3は、本発明の半導体装置の製造方法において、ピックアップされたチップ回路面に配置され、回路面に対する封止樹脂としての機能を有し、かつウエハの裏面研削時にはウエハを保持・固定するために用いられ、チップの搭載時にはチップ搭載用基板との空間の充填および相互の固着に用いられる。
【0021】
このような接着フィルム3に用いられる樹脂としては、接着フィルム3をウエハの回路面へ貼付する工程において、加熱と圧着力によりある程度の流動性を示して、回路面の凹凸によく追従し、かつ加熱により接着性を発現する樹脂が用いられる。かかる樹脂としては、例えば、Bステージの樹脂、粘接着剤あるいは熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0022】
接着フィルム3に用いられるBステージの樹脂としては、たとえば半硬化のエポキシ樹脂からなる層が挙げられる。
【0023】
本発明の接着フィルム3に用いる粘接着剤は、常温では粘着性、流動性を示し、加熱により硬化して非流動性となるとともに被着体と強固に接着する接着剤をいう。粘接着剤としては、たとえば常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂と熱硬化性樹脂との混合物が挙げられる。
常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂としては、たとえばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルエーテル、ウレタン樹脂、ポリアミド等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、レゾルシノール樹脂等が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が挙げられる。また粘接着剤には、後述する表面保護シート7との剥離性を制御するため、ウレタン系アクリレートオリゴマーなどのエネルギー線(紫外線等)硬化性樹脂を配合することが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂を配合すると、エネルギー線照射前は表面保護シート7が粘接着剤層とよく密着し、エネルギー線照射後は剥離しやすくなる。
【0024】
上記のような各成分からなる粘接着剤は、常温での貼付が可能な上、加熱と圧着力により適度な流動性が発現し、またエネルギー線硬化性と加熱硬化性とを有するので、回路面の凹凸によく追従しボイドのない樹脂層を形成でき、裏面研削の際には表面保護シート7に密着してウエハの固定に寄与し、マウントの際にはチップとチップ搭載用基板とを接着する接着剤として使用することができる。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、しかも剪断強度と剥離強度とのバランスにも優れ、厳しい熱湿条件下においても充分な接着物性を保持しうる。
【0025】
接着フィルム3に用いる熱可塑性樹脂は、加熱により可塑化し接着性を発揮する樹脂である。このような熱可塑性樹脂としては、たとえばポリイミド樹脂のような化学的、物理的に耐熱性を有する樹脂が、半導体装置の信頼性が向上するので好ましい。
【0026】
上記のような成分からなる接着フィルム3の厚さ(TA)は、通常は3〜100μm、好ましくは3〜95μm、特に好ましくは5〜85μm程度である。なお、ウエハ表面にバンプが形成されている場合には、ボイドの発生なく回路面を覆い、かつバンプが接着フィルム3を貫通するため、バンプの平均高さ(HB)と、接着フィルム3の厚み(TA)との比(HB/TA)が1.0/0.3〜1.0/0.95、好ましくは1.0/0.5〜1.0/0.9、さらに好ましくは1.0/0.6〜1.0/0.85、特に好ましくは1.0/0.7〜1.0/0.8の範囲にある。バンプの平均高さ(HB)は、チップ表面(バンプを除く回路面)からバンプ頂部までの高さであり、バンプが複数ある場合には、これらの算術平均による。
【0027】
接着フィルム3の厚みに対して、バンプ高さが高すぎると、チップ表面(バンプを除く回路面)とチップ搭載用基板11との間隔があき、ボイド発生の原因となる。一方、接着フィルム3が厚すぎると、バンプが接着剤層を貫通しないため、導通不良の原因となる。
【0028】
なお、接着フィルム3は、操作性が損なわれない限り単層で用いてもよいが、通常は図1に示すように支持フィルム4上に積層された状態で用いる。
【0029】
支持フィルム4としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。さらにこれらのフィルムは、透明フィルム、着色フィルムあるいは不透明フィルムであってもよい。ただし、支持フィルム4が硬すぎる場合には、バンプの頂部を押しつぶす恐れがあるため、適度な弾性を有するフィルムを用いることが特に好ましい。支持フィルム4上の接着フィルム3を、チップ(ウエハ)の回路面に転写するため、支持フィルム4と接着フィルム3とは剥離可能なように積層されている。このため、支持フィルム4の接着フィルム3に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m 以下であることが望ましい。このような表面張力が低いフィルムは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また支持フィルム4の表面に、シリコーン樹脂やアルキッド樹脂などの剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0030】
このような支持フィルム4の膜厚は、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。
【0031】
この支持フィルム4は、接着フィルム3をウエハ回路面に貼付した後に、ただちに剥離してもよく、またチップのピックアップ工程(S3)において接着フィルム3から剥離してもよい。以下の説明では、接着フィルム3をウエハ回路面に貼付した後に、ただちに支持フィルム4の剥離を行う態様を示すが、(S3)工程において支持フィルム4を剥離してもよい。
【0032】
(S1)工程では、回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態(図2、図5参照)を実現し、かかる状態において、ウエハ1の回路表面側(すなわち接着フィルム3側)に表面保護シート7を貼着する。
【0033】
溝6の形成は、通常、ダイシングブレード等を用いたハーフカットダイシングで行われる。また、レーザー光線を用いたハーフカットであってもよい。溝6は、ウエハ1に形成された各回路を区画するように形成される。ウエハ1における溝の深さは、最終的に目的とするチップの厚みよりも大きく、かつウエハ1のハンドリング性を損なわない程度であれば特に限定はされない。
【0034】
また、溝6の形成と同時に、接着フィルムの切断(FC工程)を行ってもよい。
【0035】
すなわち、図1に示したように、支持フィルム4上に仮着された接着フィルム3をウエハ1の回路面側に積層し、その後、接着フィルム3側から、接着フィルム3を完全に切断し、ウエハ1を部分的に切り込むように溝6を形成される。接着フィルム3上に支持フィルム4が積層されている場合には、図2に示すように、支持フィルム4側から溝6が形成されるため、支持フィルム4も完全に切断される。
【0036】
その後、支持フィルム4を剥離することで、溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態が実現される(図3参照)。
【0037】
また、接着フィルムの切断(FC工程)は、溝6の形成と別に行っても良い。
【0038】
すなわち、図4に示したように、ウエハ1の回路表面にのみまず溝6を形成し、支持フィルム4上に仮着された接着フィルム3をウエハ1の回路面側に積層し、その後、支持フィルム4を剥離することで、溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態が実現される。
【0039】
この場合、接着フィルム3の切断(FC工程)は、後述する(S2),(S3)工程に至る任意の段階で行われる。具体的には、溝6を形成したウエハ1の回路面に接着フィルム3を接着し(図5参照)、この状態で、溝6に沿って接着フィルム3をダイシングブレードやレーザー光を用いて完全に切断してもよい。接着フィルム3上に支持フィルム4が積層されている場合には、支持フィルム4も完全に切断される。
【0040】
また、後述する(S3)工程に先立ち、表面保護シートをエキスパンドして、チップ10同士の間隔を離間する工程を含む場合には、図10、図11に示すように、エキスパンド時の延伸応力によって、接着フィルム3の切断を行ってもよい。この場合、チップ10に密着している接着フィルムは、その変形がチップに拘束されるため延伸されないが、チップ間に位置する接着フィルムは変形が拘束されないため、延伸によりチップと略同形状に切断される。
【0041】
上記のように、溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態を実現した後、ウエハ1の回路表面側(すなわち、接着フィルム3表面)に表面保護シート7を貼着する(図6、図7参照)。
【0042】
表面保護シート7は、裏面研削工程(S2)において、ウエハ1を保持し、回路面を保護するために貼着される。
【0043】
表面保護シート7としては、この種の用途に用いられている各種の粘着シートが特に制限されることなく使用される。
【0044】
なお、前記支持フィルム4が剥離され、接着フィルム3上に表面保護シート7が貼着される際には、後述するピックアップ工程(S3)において、接着フィルム3と表面保護シート7との界面において剥離が行われるので、接着フィルム3と表面保護シート7とは再剥離可能に積層される。
【0045】
接着フィルム3が感圧接着性を有する場合には、表面保護シート7は粘着性を有する必要は必ずしもなく、樹脂フィルムであってもよい。このような樹脂フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
【0046】
接着フィルム3が感圧接着性を有しない場合には、表面保護シート7は、それ自体がタックを有する樹脂フィルムであってもよく、また樹脂フィルムの表面に再剥離性の粘着剤層を有する弱粘着シートであってもよい。
【0047】
また、接着フィルム3がエネルギー線硬化性を有しない場合には、表面保護シート7として、エネルギー線硬化性粘着シートを用いることができる。エネルギー線硬化性粘着シートは、UVテープ、UVシートとも呼ばれており、その粘着剤層は、紫外線などのエネルギー線によって硬化し、粘着力を消失する性質を有する。したがって、接着フィルム3面にエネルギー線硬化性粘着シートを貼付し、裏面研削工程(S2)を行った後、粘着剤層にエネルギー線を照射することで、粘着力が失われ、接着フィルム3と表面保護シート7との界面での剥離を容易に行えるようになる。
【0048】
上記の表面保護シート7の形状は、ウエハ1の形状に略等しい形状で用いられる。この場合、表面保護シート7が予めウエハ1の形状にカットされたものであっても良いし、ウエハ1に貼着後、ウエハ1の外周に沿ってカットしても良い。また、表面保護シート7の厚さは、通常は20〜1000μmであり、好ましくは50〜250μmである。表面保護シート7が粘着剤層を有している場合は、上記の厚さのうちで粘着剤層の厚さは5〜500μm、好ましくは10〜100μmである。
【0049】
なお、接着フィルム3の切断(FC工程)を、表面保護シート7のエキスパンドと同時に行う場合には、表面保護シート7としてはエキスパンド性を有するシートを用いる。
【0050】
(S2)工程
(S2)工程では、上記ウエハ1の裏面研削をすることでウエハ1の厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップ10への分割を行う(図8,図9参照)。
【0051】
ウエハ1の裏面研削は、グラインダー等を用いた通常の先ダイシング法と同様にして行われる。裏面研削により、ウエハ1の厚みが薄くなり、ウエハ裏面が溝6に到達することで、ウエハ1が各チップ10へと分割される。
【0052】
(S3)工程
(S3)工程では、個別のチップ10を接着フィルム3とともにピックアップする(図示せず)。接着フィルム付チップのピックアップは、表面保護シート7から直接行ってもよく、また接着フィルム付チップを表面保護シート7から他の粘着シートに転写した後に、該他の粘着シートから接着フィルム付チップをピックアップしてもよい。このような他の粘着シートとしては、適度な感圧接着性と再剥離性を有する粘着シートが好ましく、特に従来よりダイシングシートとして使用されている紫外線硬化型粘着シートが好ましく用いられる。
【0053】
なお、上述したように、(S3)工程に先立ち、表面保護シート7をエキスパンドして、図10、図11に示すように、エキスパンド時の延伸応力によって、アンダーフィル用接着フィルム3の切断を行ってもよい。表面保護シート7は、ウエハと略同形状であるため、このままではエキスパンド装置に装着できない。したがって、表面保護シート7の背面に延伸性の高い粘着シートを貼着し、該粘着シートを介してエキスパンド装置に装着して、粘着シートをエキスパンドすることで、表面保護シート7のエキスパンドを行う。また、個別のチップ10と接着フィルム3とを他の粘着シートに転写した場合にも、他の粘着シートのエキスパンドによって、接着フィルム3を切断することができる。
【0054】
接着フィルム3と表面保護シート7とは、再剥離可能に積層されている。したがって、チップ10のピックアップを行うと、接着フィルム3と表面保護シート7との界面で剥離が起こり、チップ10と同形状に切断されている接着フィルム3がチップ10の回路面側に接着された状態で、チップ10がピックアップされる。また、接着フィルム付チップを他の粘着シートに転写することも容易である。
【0055】
また、支持フィルム4を接着フィルム3上に残留させた場合であっても、接着フィルム3と支持フィルム4とは、剥離可能に積層されている。したがって、チップ10のピックアップを行うと、接着フィルム3と支持フィルム4との界面で剥離が起こり、チップ10と同形状に切断されている接着フィルム3がチップ10の回路面側に接着された状態で、チップ10がピックアップされる。一方、支持フィルム4は表面保護シート7上に残着する。
【0056】
チップ10のピックアップは、吸引コレットなどを用いた公知の手法により行うことができる。また、必要に応じ、突き上げピンで、表面保護シート7または他の粘着シートの裏面側からチップを突き上げてもよい。
【0057】
ピックアップされたチップ10は、そのまま、またはチップの反転工程を経て次工程に進んでもよいし、一度、転写テープ上や収納容器内に保管し、必要に応じて次工程に使用してもよい。
【0058】
(S4)工程
(S4)工程では、個別のチップ10を該接着フィルム3を介して、チップ搭載用基板11の電極部12等の所定位置に載置する(図12参照)。
【0059】
具体的には、回路面側に接着フィルム3を有するチップ10を、フェースダウン方式により、所定のチップ搭載用基板11に載置する。バンプ2を有するチップにあっては、それらのバンプ2をチップ搭載用基板上の相対応する端子部12に対面するように載置する。
【0060】
(S5)工程
(S5)工程では、ダイボンドされた接着フィルム付きチップ10を加熱し、チップをチップ搭載用基板11に固着する(図示せず)。
【0061】
接着フィルム3は、上述したように加熱により接着性を発現するBステージの樹脂、粘接着剤あるいは熱可塑性樹脂等から形成されている。これらを所定条件で加熱することで、Bステージ樹脂であれば、樹脂の硬化により接着性が発現し、また粘接着剤であれば、これに含まれる熱硬化性樹脂の硬化により接着性が発現する。また、熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールにより接着力が発現する。
【0062】
(IP)工程
本発明の半導体装置の製造方法は、上記(S1)工程後、(S5)工程までの何れかの段階で、接着フィルム3を含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程(IP)(図示せず)を1回以上含む。
【0063】
上記(S1)工程では、ウエハ1の回路面に、接着フィルム3を接着する際に、ウエハ回路面と接着フィルムとの間に気泡が巻き込まれることがある。また(S4)工程においても、チップ搭載用基板11表面と接着フィルム3との間に気泡が巻き込まれてしまうことがある。特に、近年、チップ搭載基板11表面には、配線パターンによる凹凸が形成されることが多く、ボイドが発生しやすくなっている。さらに(S5)工程においては、接着フィルム3の種類にもよるが、接着フィルム3を硬化する過程で、接着フィルム3からガスが発生し、ボイドを形成することもある。
【0064】
本発明では、接着フィルム3を含む積層体を静圧加圧することで、これらボイドの消滅あるいはその生成の抑制を行っている。
【0065】
静圧加圧工程は、接着フィルム3が完全に硬化する前に、接着フィルム3を含む積層体の全方位から均等に加圧(静圧加圧)を行う工程である。静圧加圧条件は、常圧に対し0.05MPa以上であり、好ましくは常圧に対し+0.1〜+1.0MPaである。すなわち、常圧に比較して0.05MPa以上大きな圧力、好ましくは0.1〜1.0MPa大きな圧力を印加する。圧力を印加する時間は、好ましくは1〜180分、より好ましくは5〜120分である。この際の温度は、通常は30〜140℃程度である。圧力および温度は段階的に印加してもよい。また、静圧加圧は空気雰囲気下で行ってもよいし、窒素やアルゴン等の不活性なガス雰囲気下で行ってもよい。
【0066】
静圧加圧条件は、接着フィルム3の組成により様々であるが、接着フィルムを構成する樹脂成分が加圧により流動しうる条件下で行われる。たとえば接着フィルム3がBステージの樹脂である場合には、半硬化した樹脂が再度流動しうる温度であり、かつ樹脂の硬化温度よりも低い温度で加圧を行う。また接着フィルム3が粘接着剤である場合には、粘接着剤層に含まれる熱硬化性樹脂が完全に硬化するよりも低く、かつバインダー樹脂が流動しうる温度で静圧加圧を行う。また、接着フィルム3が熱可塑性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂が溶融し、流動しうる温度で静圧加圧を行う。
【0067】
上記のような温度条件下で、一軸加圧を行うと、接着フィルム3を構成する樹脂成分がウエハやチップの端面からはみ出し、ウエハやチップの背面に巻き上がることがあるが、静圧加圧によれば、全体が均一に加圧されているため、接着剤の巻き上がりは起こらない。また、このような静圧加圧により、接着フィルム中に発生したボイド(気泡)が消滅するという作用が奏される。したがって、静圧加圧工程を含む本発明の製法によれば、アンダーフィル材中にボイドの無い、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0068】
かかる静圧加圧工程は、上記(S1)工程後、(S5)工程までの何れかの段階で行われ、また複数回行ってもよい。具体的には、(S1)工程後に静圧加圧(IP)を行うことで、ウエハ回路面にアンダーフィル用接着フィルム3を接着する際に生成した気泡が消滅する。また、(S4)工程後に静圧加圧(IP)を行うことで、チップ搭載用基板11上に、接着フィルム3を介してチップ10をダイボンドする際に、チップ搭載用基板10表面と接着フィルム3との間に巻き込まれた気泡が消滅する。
【0069】
また、静圧加圧(IP)は、(S5)工程と同時に行ってもよい。(S5)工程は、チップを加熱し、接着フィルム3を介してチップ10をチップ搭載用基板11に固着する工程である。この際の加熱と同時に静圧加圧を行うことで、加熱工程中に接着フィルム3がある程度流動化した状態で静圧加圧が行われるので、(S1)工程あるいは(S4)工程で生成した気泡が消滅する。また、接着フィルムが硬化する過程で発生するガスに起因するボイドの生成も抑制することができる。さらに、静圧加圧を行いつつ加熱するため、チップ10をチップ搭載用基板10に強固に固着することができる。
【0070】
静圧加圧装置としては、(S1)〜(S5)工程における接着フィルム3を含む積層体に静圧が印加できれば特に制限されないが、好ましくは、オートクレーブ(コンプレッサー付き耐圧容器)などが用いられる。
【0071】
このようにしてダイボンディング(フリップチップボンディング)した後、必要に応じ、樹脂封止などの通常の工程を経て半導体装置が得られる。
【0072】
このような本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、いわゆる先ダイシング法を応用して、チップの回路面に適当量のアンダーフィル用樹脂層を簡便に設けることができる。このため、回路面側をチップ搭載用基板にマウントする実装技術において、先ダイシング法を取り込んだ連続プロセスが可能になる。また、実装工程中にアンダーフィル材にボイドが発生したとしても、静圧加圧を行うことでボイドが消滅するため、信頼性の高い半導体装置が得られる。すなわち本発明によれば、いわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と製品品質の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法が提供される。
【0073】
以上、本発明の製法について、図面に沿って説明したが、本発明は、上記構成の半導体装置の製造には限定されず、種々の構成を有する半導体装置の製造に適用できる。
【0074】
たとえば、本発明の製造方法は、マルチスタック型の半導体装置の製造に適用してもよい。すなわち、相対的に上部を構成するチップと、相対的に下部を構成するチップとを接着フィルム3を介して積層するチップ同士のダイボンディング工程に用いてもよい。この場合、相対的に下部を構成するチップの裏面(回路形成面の反対面)が、上記説明におけるチップ搭載用基板11に相当する。ここで得られる半導体装置は上部と下部のサイズが同じセイムサイズスタック型半導体装置であってもよく、サイズの異なる階段状のマルチスタック型半導体装置であってもよい。
【0075】
(実施例)
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0076】
使用した接着フィルムおよびスタッドバンプ付きウエハは、下記のように製造した。
【0077】
[接着フィルムの製造]
接着フィルムの製造には、下記アクリル系共重合体(A)、熱硬化型接着成分(B)、熱活性型潜在性硬化剤(C)、エネルギー線重合性化合物(D)、光重合開始剤(E)および架橋剤(F)を用いた。
【0078】
(A)アクリル系共重合体:ブチルアクリレート55重量部、メチルメタクリレート10重量部、グリシジルメタクリレート20重量部と2−ヒドロキシエチルアクリレート15重量部とを共重合してなる重量平均分子量30万の共重合体を有機溶媒(トルエン/酢酸エチル=6/4)に溶解した溶液(固形濃度50%)
(B)熱硬化型接着成分(エポキシ樹脂):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)社製、エピコート828、エポキシ当量180〜200eq/g)22重量部と、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート1055、エポキシ当量800〜900eq/g)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が60%)の固形分量で44重量部相当と、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、EOCN-104S、エポキシ当量210〜230g/eq)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が70%)の固形分量で14重量部相当との混合物
(C)熱活性型潜在性硬化剤:ジシアンジアミド(旭電化工業(株)製、ハードナー3636AS)1重量部と2-フェニル-4,5-ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、キュアゾール2PHZ)1重量部の混合物を、有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が30%)
(D)エネルギー線硬化性樹脂:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(E)ベンゾフェノン系光重合開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を有機溶媒(トルエン)に溶解した溶液(固形濃度が30%)
(F)イソシナネート系架橋剤:コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)を有機溶媒(トルエン)に溶解した溶液(固形濃度が38%)
上記成分を固形重量比で、(A)20重量部、(B)80重量部、(C)2重量部、(D)10重量部、(E)0.3重量部、(F)0.3重量部を混合し、全体の固形濃度が55%になるようにメチルエチルケトンを混合して粘接着剤組成物を得た。剥離フィルム(リンテック(株)製、SP-PET3811、厚さ38μm)の剥離処理面にこの粘接着剤組成物を、乾燥後の塗布厚が50μmになるように塗布し、100℃で1分間乾燥した。次に支持フィルムとなる低密度ポリエチレンフィルム(厚さ110μm)に貼合し、接着フィルムを得た。
【0079】
[スタッドバンプ付きウエハの製造]
バンプボンダー((株)新川製、SBB4)を用いてシリコンウエハ(8インチ、厚さ725μm)の所定位置に金ボールハンダを形成し、これを溶融引き延ばし切断した。これにより高さ45μmのスタッドバンプを形成したウエハを用意した。
【0080】
(実施例1)
貼付装置(リンテック(株)製、RAD3510m/12)を用いて、貼付速度3mm/秒、荷重3MPa、ゴム製ラミネートローラー(ゴム硬度50)でウエハのバンプ面に、剥離フィルムを剥がした支持フィルム付きの接着フィルムを貼付した。なお、ラミネートローラー温度およびテーブル温度は、25℃で行った。
【0081】
接着フィルムが貼付されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置(栗原製作所製オートクレーブ、空気雰囲気下)に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧工程前後でのボイドの消滅の有無を目視にて評価した。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0082】
続いて、紫外線照射装置(リンテック(株)製、RAD2000m/8)を用いて支持フィルム側から紫外線照射(光量110mJ/cm2、照度150mW/cm2)を行い、接着フィルムのエネルギー線硬化性樹脂を硬化させた。その後、支持フィルムを剥離した。
【0083】
ダイサー(株式会社ディスコ社製、DFD-6361)を用いて、ウエハの回路面から130μmの深さまで接着フィルム側から切削を行い、ウエハと接着フィルムの積層体にウエハの回路に沿った溝を形成した((FC)工程)。続いて、ウエハの接着フィルム側に再剥離型粘着剤層を有する表面保護シート(リンテック社製、Adwill P-6130)を、テープラミネータ(リンテック社製、Adwill RAD-3510m/12)を用いて貼着した。(以上(S1)工程)
次いで、グラインダー(ディスコ社製、DGP-8760)を用いて回路面とは反対側を、仕上げ厚が100μmとなるように研削し、これによってウエハを接着フィルムごと分割した((S2)工程)。
【0084】
次いで、チップ群の研削面側に紫外線硬化型粘着シート(リンテック(株)製、Adwill D-175)を貼付し、表面保護シートを剥離して、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップした((S3)工程)。
【0085】
次いで、フリップチップボンダー(九州松下電器産業(株)製、FB30T-M)を用い、バンプの位置に対応する配線パターンを有する評価用のチップ搭載用基板に接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S4)工程)。フリップチップボンダーのステージ温度は60℃、ヘッド温度は130℃、荷重は20N、時間は60秒とした。
【0086】
ダイボンド工程後、150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た。((S5)工程)得られた半導体装置の各端子間の抵抗値を低抵抗率計(三菱化学(株)製、Loresta-GP MCP-T600)を用いて測定し、導通すべき端子間の導通と、その他の端子間の絶縁であることを確認した。導通および絶縁はともに良好であった。
【0087】
(実施例2)
実施例1と同様にして、ウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付し、静圧加圧工程を行わず、さらに接着フィルムのエネルギー線硬化性樹脂を硬化させた。
【0088】
支持フィルムを剥離した後、ダイサーを用いて、ウエハの回路面から130μmの深さまで接着フィルム側から切削を行い、ウエハと接着フィルムの積層体にウエハの回路に沿った溝を形成した((FC)工程)。続いて、ウエハの接着フィルム側に表面保護シートを貼着した(以上(S1)工程)。次いで、グラインダーを用いて回路面とは反対側を、仕上げ厚が100μmとなるように研削し、これによってウエハを接着フィルムごと分割した((S2)工程)。
【0089】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップした((S3)工程)。
【0090】
次いで、フリップチップボンダーを用い、バンプの位置に対応する配線パターンを有する評価用のチップ搭載用基板に接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S4)工程)。フリップチップボンダーのステージ温度は60℃、ヘッド温度は130℃、荷重は20N、時間は60秒とした。
【0091】
ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際およびダイボンドの際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0092】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0093】
(実施例3)
実施例2と同様にして、接着フィルム付のチップを得て、これを同様にピックアップし、接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S1)〜(S4)および(FC)工程)。
【0094】
ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置(栗原製作所製オートクレーブ)に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、120℃、60分、続いて140℃、60分の段階的に加熱し、ボイドの除去および接着フィルムの硬化を行った((IP)および(S5)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。また、得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0095】
(実施例4)
実施例2と同様にしてウエハを接着フィルムごと分割した((S1)、(S2)および(FC)工程)。
【0096】
表面保護シートとともに、分割されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0097】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップし((S3)工程)、実施例2と同様に接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S4)工程)。
【0098】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0099】
(実施例5)
実施例4において、ダイボンド後に、ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧よりも0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。また、本実施例のように静圧加圧工程をダイボンド前後の2回行うことにより、静圧加圧工程1回のもの(実施例2および実施例4)と比べ、よりボイドが消滅することが確認された。
【0100】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0101】
(実施例6)
ダイサーを用いて、ウエハの回路面から130μmの深さまで切削を行い、ウエハの回路に沿った溝を形成した。
【0102】
続いて、貼付装置を用いて、貼付速度3mm/秒、荷重3MPa、ゴム製ラミネートローラーでウエハのバンプ面に、剥離フィルムを剥がした接着フィルムを貼付した。なお、ラミネートローラー温度およびテーブル温度は、25℃で行った。続いて、紫外線照射装置を用いて紫外線照射(光量110mJ/cm2、照度150mW/cm2)を行い、接着フィルムのエネルギー線硬化性樹脂を硬化させた。
【0103】
接着フィルムが貼付されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0104】
続いて、支持フィルムを剥離後、接着フィルムにレーザー光を照射し、前記ウエハ表面の溝に対応する部分を焼き切り、接着フィルムを完全に切断した((FC)工程)。
【0105】
その後、実施例1と同様にして、表面保護シートの貼付((S1)工程)およびウエハの裏面研削を行い、ウエハを分割し((S2)工程)、チップのピックアップ、ダイボンドおよび接着フィルムの硬化を行った((S3)〜(S5)工程)。導通および絶縁はともに良好であった。
【0106】
(実施例7)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。続いて、接着フィルムにレーザー光を照射し、前記ウエハ表面の溝に対応する部分を焼き切り、接着フィルムを完全に切断した((FC)工程)。
【0107】
接着フィルムが貼付されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0108】
その後、実施例1と同様にして、表面保護シートの貼付((S1)工程)およびウエハの裏面研削を行い、ウエハを分割し((S2)工程)、チップのピックアップ、ダイボンドおよび接着フィルムの硬化を行った((S3)〜(S5)工程)。導通および絶縁はともに良好であった。
【0109】
(実施例8)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。続いて、支持フィルムを剥離した後、接着フィルムにレーザー光を照射し、前記ウエハ表面の溝に対応する部分を焼き切り、接着フィルムを完全に切断した((FC)工程)。
【0110】
続いて、接着フィルム側に表面保護シートを貼付し((S1)工程)、ウエハの裏面研削を行い、ウエハを分割した((S2)工程)。
【0111】
表面保護シートとともに、分割されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0112】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップし((S3)工程)、実施例1と同様にダイボンドした((S4)工程)。
【0113】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0114】
(実施例9)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付し、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0115】
続いて、実施例6と同様に、接着フィルムの切断((FC)工程)、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0116】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0117】
(実施例10)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0118】
続いて、実施例8と同様にして、接着フィルムの切断((FC)工程)表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0119】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップし((S3)工程)、実施例8と同様にダイボンドした((S4)工程)。
【0120】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0121】
(実施例11)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0122】
続いて、実施例6と同様に、接着フィルムの切断((FC)工程)、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0123】
ダイボンド後に、ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0124】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0125】
(実施例12)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付し、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0126】
続いて、実施例6と同様に、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)を行った。
【0127】
続いて、表面保護シートの背面にエキスパンド性粘着シートを貼付し、エキスパンド治具に装着後にエキスパンドを行い、チップ間隔を離間すると同時に、チップ間に存在する接着フィルムを切断し((FC)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0128】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0129】
(実施例13)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0130】
続いて、実施例8と同様にして、表面保護シートの貼付((S12)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0131】
続いて、表面保護シートの背面にエキスパンド性粘着シートを貼付し、エキスパンド治具に装着後にエキスパンドを行い、チップ間隔を離間すると同時に、チップ間に存在する接着フィルムを切断し((FC)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0132】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0133】
(実施例14)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0134】
続いて、実施例8と同様にして、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)を行った。続いて、表面保護シートの背面にエキスパンド性粘着シートを貼付し、エキスパンド治具に装着後にエキスパンドを行い、チップ間隔を離間すると同時に、チップ間に存在する接着フィルムを切断した((FC)工程)。その後、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0135】
ダイボンド後に、ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0136】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0137】
(比較例1)
接着フィルムを含む積層体の静圧加圧工程を行わない以外は、実施例1と同様にして模擬的な半導体装置を得た。静圧加圧を行わないため、ボイドの消滅は観察されず、また得られた半導体装置の導通および絶縁はともに不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の製法の一工程を示す。
【図2】本発明の製法の一工程を示す。
【図3】本発明の製法の一工程を示す。
【図4】本発明の製法の一工程を示す。
【図5】本発明の製法の一工程を示す。
【図6】本発明の製法の一工程を示す。
【図7】本発明の製法の一工程を示す。
【図8】本発明の製法の一工程を示す。
【図9】本発明の製法の一工程を示す。
【図10】本発明の製法の一工程を示す。
【図11】本発明の製法の一工程を示す。
【図12】本発明の製法の一工程を示す。
【符号の説明】
【0139】
1…ウエハ
2…導通用突起物(バンプ)
3…接着フィルム
4…支持フィルム
6…溝
7…表面保護シート
10…チップ
11…チップ搭載用基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、さらに詳しくはいわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と製品品質の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MPUやゲートアレー等に用いる多ピンのLSIパッケージをプリント配線基板に実装する場合には、半導体チップ(以下、チップともいう)の回路面側の接続パッド部に共晶ハンダ、高温ハンダ、金等から成る導通用突起物(バンプ)を形成し、所謂フェースダウン方式により、それらのバンプ電極をチップ搭載用基板上の相対応する端子部に対面、接触させ、溶融/拡散接合するフリップチップ実装方法が採用されてきた。しかし、この方法によるときは、温度の周期的変動を受けると、半導体チップとチップ搭載用基板の熱膨張係数の違いにより接合部が破断する恐れがある。このため、フェースダウンで接続された半導体チップのバンプ電極が設けられた回路面全体と、相対向するチップ搭載用基板の間の間隙に液状の熱硬化性樹脂(アンダーフィル材)を注入、硬化させ、バンプ接合部全面をチップ搭載用基板に接合してバンプ電極に集中する熱応力を分散させ、破断を防止する方法が提案されている。しかしながら、フリップチップ実装における半導体チップとチップ搭載用基板の間の空隙は40〜200μmと小さく、そのためアンダーフィル材をボイドなく充填させる工程には相当の時間がかかる。また、アンダーフィル材のロット間の粘度管理が煩雑なこと等の問題がある。さらに、充填されるアンダーフィル材の量が一定せず、製品間に品質のバラツキが生じる虞もある。
【0003】
この問題の解決方法としてシート状の熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を半導体チップとチップ搭載用基板の間に挟み、熱圧着する技術が、例えば、特許文献1(特開平9−213741号)、特許文献2(特開平10−242208号)、特許文献3(特開平10−270497号)、特許文献4(特開2002−118147号)などにより提案されている。これらのシート状アンダーフィル材は、チップ回路面とチップ搭載用基板との間に配置され、熱圧着などの所要の手段により硬化され、チップ回路面とチップ搭載用基板とを強固に接着する。
【0004】
ところで、近年、上記バンプの形状として、スタッドバンプと呼ばれる先端が鋭利な形状が採用されつつある。チップ回路面とチップ搭載用基板との間にシート状アンダーフィル材を配置する際には、チップ回路面に形成されたバンプ先端部によりシート状アンダーフィル材が引き延ばされ、アンダーフィル材がちぎれてしまうことがある。シート状アンダーフィル材がちぎれてしまうと、アンダーフィル材中にボイドが発生する原因となる。また、回路面にシート状アンダーフィル材を接着する際には、バンプ形状によっては、バンプ根本部分に気泡を巻き込み、ボイドが形成されることもある。さらに、チップ搭載用基板上に、シート状アンダーフィル材を介してダイボンドする際にも、チップ搭載用基板表面とアンダーフィル材との間に気泡が巻き込まれてしまうことがある。特に、近年、チップ搭載基板表面には、配線パターンによる凹凸が形成されることが多く、ボイドが発生しやすくなっている。また、アンダーフィル材の種類にもよるが、アンダーフィル材を硬化する過程で、アンダーフィル材からガスが発生し、ボイドを形成することもある。
【0005】
これらのボイドがアンダーフィル材中に残留すると、パッケージクラックの起点となるため、ダイボンド条件を最適化し、ボイドの発生を防止する必要がある。しかし、半導体装置のパッケージデザインは多様であり、バンプの形状、高さ、密度、チップ搭載用基板の表面形状などは多岐にわたり、ダイボンド条件の最適化は困難である。
【0006】
一方、近年、ICカードの普及が進み、さらなる薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった半導体チップを、厚さ20〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。
【0007】
このようなチップの薄厚化を達成する方法として、特許文献5(特開平5−335411号)には、ウエハの表面側から所定深さの溝を形成した後、この裏面側から研削する半導体チップの製造方法が開示されている。このようなプロセスは、「先ダイシング法」とも呼ばれている。このような先ダイシング法によれば、極薄のバンプ付きチップの製造が可能になる。
【0008】
しかしながら、このようなバンプ付きチップを実装する際にも、上記のボイド発生の問題は解消されない。このため、ボイドが発生したとしても、これを消滅させる技術が要望される。
【特許文献1】特開平9−213741号
【特許文献2】特開平10−242208号
【特許文献3】特開平10−270497号
【特許文献4】特開2002−118147号
【特許文献5】特開平5−335411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、いわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と、製品中にボイドが無く信頼性の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
【0011】
(1)ウエハの回路表面に、接着フィルムが接着され、かつ該回路毎に区画する溝が形成されてなるウエハの回路表面側に表面保護シートを貼着する工程、
上記ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行う工程、
個別のチップを接着フィルムとともにピックアップする工程、
個別のチップを該接着フィルムを介して、チップ搭載用基板の所定位置にダイボンドする工程、および
ダイボンドされた接着フィルム付きチップを加熱し、チップをチップ搭載用基板に固着する工程を含み、かつ
接着フィルムをウエハに接着した後、チップをチップ搭載用基板に固着するまでの何れかの段階で、接着フィルムを含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程を1回以上含む半導体装置の製造方法。
(2)ダイボンド後に、静圧加圧を行う(1)に記載の半導体装置の製造方法。
(3)静圧加圧を行いつつ、チップをチップ搭載用基板に固着する(1)に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、実装工程中にアンダーフィル材として使用した接着フィルムにボイドが発生したとしても、静圧加圧を行うことでボイドが消滅するため、信頼性の高い半導体装置が得られる。すなわち本発明によれば、いわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と製品品質の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を参照しながら、さらに具体的に説明する。
【0014】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を含む。
【0015】
(S1)ウエハ1の回路表面に、アンダーフィル用接着フィルム3が接着され、かつ該回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面側に表面保護シート7を貼着する工程(図6、図7参照)、
(S2)上記ウエハ1の裏面研削をすることでウエハ1の厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへ10の分割を行う工程(図8、図9参照)、
(S3)個別のチップ10を接着フィルム3とともにピックアップする工程(図示せず)、
(S4)個別のチップ10を該接着フィルム3を介して、チップ搭載用基板11の所定位置にダイボンドする工程(図12参照)、
(S5)ダイボンドされた接着フィルム付きチップ10を加熱し、チップ10をチップ搭載用基板11に固着する工程(図示せず)、および
(IP)上記(S1)工程から(S5)工程に至る何れかの段階で、接着フィルム3を含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程。
【0016】
また、本発明の製法は、上記各工程に加えて、(S1)工程から(S3)工程に至る何れかの段階で、接着フィルム3を、ピックアップされるチップ10と略同形状に切断する工程(FC)を含む(図2、図11参照)。
【0017】
以下、各ステップについて説明する。
【0018】
(S1)工程
(S1)工程では、ウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着され、かつ該回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面側に表面保護シート7を貼着する(図6、図7参照)。
【0019】
ウエハ1としては、従来より用いられているシリコン半導体ウエハ、ガリウム・ヒ素半導体ウエハなどの半導体ウエハが挙げられるが、これらに限定されず、種々の半導体ウエハを用いることができる。ウエハ表面への回路の形成は、エッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む、様々な方法により行うことができる。ウエハの回路形成工程において、所定の回路が形成される。また回路面には、チップ搭載用基板11との導通に用いられる導通用突起物(バンプ)2が形成されていることが望ましい。バンプ2の高さ、径は、半導体装置の設計に応じ様々だが、一般的には、高さは10〜100μm程度であり、径は20〜100μm程度である。このようなバンプ2は、金、銅、ハンダ等の金属から形成されることが多い。バンプ2の形状は特に限定はされないが、本発明の方法は、図1に示すような先端が鋭利な形状であり、接着フィルム3を積層した際に気泡を巻き込みやすいスタッドバンプであっても、ボイドを解消しうる。したがって、本発明の方法は、スタッドバンプを有するウエハに特に好ましく適用できる。
【0020】
接着フィルム3は、本発明の半導体装置の製造方法において、ピックアップされたチップ回路面に配置され、回路面に対する封止樹脂としての機能を有し、かつウエハの裏面研削時にはウエハを保持・固定するために用いられ、チップの搭載時にはチップ搭載用基板との空間の充填および相互の固着に用いられる。
【0021】
このような接着フィルム3に用いられる樹脂としては、接着フィルム3をウエハの回路面へ貼付する工程において、加熱と圧着力によりある程度の流動性を示して、回路面の凹凸によく追従し、かつ加熱により接着性を発現する樹脂が用いられる。かかる樹脂としては、例えば、Bステージの樹脂、粘接着剤あるいは熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0022】
接着フィルム3に用いられるBステージの樹脂としては、たとえば半硬化のエポキシ樹脂からなる層が挙げられる。
【0023】
本発明の接着フィルム3に用いる粘接着剤は、常温では粘着性、流動性を示し、加熱により硬化して非流動性となるとともに被着体と強固に接着する接着剤をいう。粘接着剤としては、たとえば常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂と熱硬化性樹脂との混合物が挙げられる。
常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂としては、たとえばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルエーテル、ウレタン樹脂、ポリアミド等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、レゾルシノール樹脂等が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が挙げられる。また粘接着剤には、後述する表面保護シート7との剥離性を制御するため、ウレタン系アクリレートオリゴマーなどのエネルギー線(紫外線等)硬化性樹脂を配合することが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂を配合すると、エネルギー線照射前は表面保護シート7が粘接着剤層とよく密着し、エネルギー線照射後は剥離しやすくなる。
【0024】
上記のような各成分からなる粘接着剤は、常温での貼付が可能な上、加熱と圧着力により適度な流動性が発現し、またエネルギー線硬化性と加熱硬化性とを有するので、回路面の凹凸によく追従しボイドのない樹脂層を形成でき、裏面研削の際には表面保護シート7に密着してウエハの固定に寄与し、マウントの際にはチップとチップ搭載用基板とを接着する接着剤として使用することができる。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、しかも剪断強度と剥離強度とのバランスにも優れ、厳しい熱湿条件下においても充分な接着物性を保持しうる。
【0025】
接着フィルム3に用いる熱可塑性樹脂は、加熱により可塑化し接着性を発揮する樹脂である。このような熱可塑性樹脂としては、たとえばポリイミド樹脂のような化学的、物理的に耐熱性を有する樹脂が、半導体装置の信頼性が向上するので好ましい。
【0026】
上記のような成分からなる接着フィルム3の厚さ(TA)は、通常は3〜100μm、好ましくは3〜95μm、特に好ましくは5〜85μm程度である。なお、ウエハ表面にバンプが形成されている場合には、ボイドの発生なく回路面を覆い、かつバンプが接着フィルム3を貫通するため、バンプの平均高さ(HB)と、接着フィルム3の厚み(TA)との比(HB/TA)が1.0/0.3〜1.0/0.95、好ましくは1.0/0.5〜1.0/0.9、さらに好ましくは1.0/0.6〜1.0/0.85、特に好ましくは1.0/0.7〜1.0/0.8の範囲にある。バンプの平均高さ(HB)は、チップ表面(バンプを除く回路面)からバンプ頂部までの高さであり、バンプが複数ある場合には、これらの算術平均による。
【0027】
接着フィルム3の厚みに対して、バンプ高さが高すぎると、チップ表面(バンプを除く回路面)とチップ搭載用基板11との間隔があき、ボイド発生の原因となる。一方、接着フィルム3が厚すぎると、バンプが接着剤層を貫通しないため、導通不良の原因となる。
【0028】
なお、接着フィルム3は、操作性が損なわれない限り単層で用いてもよいが、通常は図1に示すように支持フィルム4上に積層された状態で用いる。
【0029】
支持フィルム4としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。さらにこれらのフィルムは、透明フィルム、着色フィルムあるいは不透明フィルムであってもよい。ただし、支持フィルム4が硬すぎる場合には、バンプの頂部を押しつぶす恐れがあるため、適度な弾性を有するフィルムを用いることが特に好ましい。支持フィルム4上の接着フィルム3を、チップ(ウエハ)の回路面に転写するため、支持フィルム4と接着フィルム3とは剥離可能なように積層されている。このため、支持フィルム4の接着フィルム3に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m 以下であることが望ましい。このような表面張力が低いフィルムは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また支持フィルム4の表面に、シリコーン樹脂やアルキッド樹脂などの剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0030】
このような支持フィルム4の膜厚は、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。
【0031】
この支持フィルム4は、接着フィルム3をウエハ回路面に貼付した後に、ただちに剥離してもよく、またチップのピックアップ工程(S3)において接着フィルム3から剥離してもよい。以下の説明では、接着フィルム3をウエハ回路面に貼付した後に、ただちに支持フィルム4の剥離を行う態様を示すが、(S3)工程において支持フィルム4を剥離してもよい。
【0032】
(S1)工程では、回路毎に区画する溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態(図2、図5参照)を実現し、かかる状態において、ウエハ1の回路表面側(すなわち接着フィルム3側)に表面保護シート7を貼着する。
【0033】
溝6の形成は、通常、ダイシングブレード等を用いたハーフカットダイシングで行われる。また、レーザー光線を用いたハーフカットであってもよい。溝6は、ウエハ1に形成された各回路を区画するように形成される。ウエハ1における溝の深さは、最終的に目的とするチップの厚みよりも大きく、かつウエハ1のハンドリング性を損なわない程度であれば特に限定はされない。
【0034】
また、溝6の形成と同時に、接着フィルムの切断(FC工程)を行ってもよい。
【0035】
すなわち、図1に示したように、支持フィルム4上に仮着された接着フィルム3をウエハ1の回路面側に積層し、その後、接着フィルム3側から、接着フィルム3を完全に切断し、ウエハ1を部分的に切り込むように溝6を形成される。接着フィルム3上に支持フィルム4が積層されている場合には、図2に示すように、支持フィルム4側から溝6が形成されるため、支持フィルム4も完全に切断される。
【0036】
その後、支持フィルム4を剥離することで、溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態が実現される(図3参照)。
【0037】
また、接着フィルムの切断(FC工程)は、溝6の形成と別に行っても良い。
【0038】
すなわち、図4に示したように、ウエハ1の回路表面にのみまず溝6を形成し、支持フィルム4上に仮着された接着フィルム3をウエハ1の回路面側に積層し、その後、支持フィルム4を剥離することで、溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態が実現される。
【0039】
この場合、接着フィルム3の切断(FC工程)は、後述する(S2),(S3)工程に至る任意の段階で行われる。具体的には、溝6を形成したウエハ1の回路面に接着フィルム3を接着し(図5参照)、この状態で、溝6に沿って接着フィルム3をダイシングブレードやレーザー光を用いて完全に切断してもよい。接着フィルム3上に支持フィルム4が積層されている場合には、支持フィルム4も完全に切断される。
【0040】
また、後述する(S3)工程に先立ち、表面保護シートをエキスパンドして、チップ10同士の間隔を離間する工程を含む場合には、図10、図11に示すように、エキスパンド時の延伸応力によって、接着フィルム3の切断を行ってもよい。この場合、チップ10に密着している接着フィルムは、その変形がチップに拘束されるため延伸されないが、チップ間に位置する接着フィルムは変形が拘束されないため、延伸によりチップと略同形状に切断される。
【0041】
上記のように、溝6が形成されてなるウエハ1の回路表面に、接着フィルム3が接着された状態を実現した後、ウエハ1の回路表面側(すなわち、接着フィルム3表面)に表面保護シート7を貼着する(図6、図7参照)。
【0042】
表面保護シート7は、裏面研削工程(S2)において、ウエハ1を保持し、回路面を保護するために貼着される。
【0043】
表面保護シート7としては、この種の用途に用いられている各種の粘着シートが特に制限されることなく使用される。
【0044】
なお、前記支持フィルム4が剥離され、接着フィルム3上に表面保護シート7が貼着される際には、後述するピックアップ工程(S3)において、接着フィルム3と表面保護シート7との界面において剥離が行われるので、接着フィルム3と表面保護シート7とは再剥離可能に積層される。
【0045】
接着フィルム3が感圧接着性を有する場合には、表面保護シート7は粘着性を有する必要は必ずしもなく、樹脂フィルムであってもよい。このような樹脂フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
【0046】
接着フィルム3が感圧接着性を有しない場合には、表面保護シート7は、それ自体がタックを有する樹脂フィルムであってもよく、また樹脂フィルムの表面に再剥離性の粘着剤層を有する弱粘着シートであってもよい。
【0047】
また、接着フィルム3がエネルギー線硬化性を有しない場合には、表面保護シート7として、エネルギー線硬化性粘着シートを用いることができる。エネルギー線硬化性粘着シートは、UVテープ、UVシートとも呼ばれており、その粘着剤層は、紫外線などのエネルギー線によって硬化し、粘着力を消失する性質を有する。したがって、接着フィルム3面にエネルギー線硬化性粘着シートを貼付し、裏面研削工程(S2)を行った後、粘着剤層にエネルギー線を照射することで、粘着力が失われ、接着フィルム3と表面保護シート7との界面での剥離を容易に行えるようになる。
【0048】
上記の表面保護シート7の形状は、ウエハ1の形状に略等しい形状で用いられる。この場合、表面保護シート7が予めウエハ1の形状にカットされたものであっても良いし、ウエハ1に貼着後、ウエハ1の外周に沿ってカットしても良い。また、表面保護シート7の厚さは、通常は20〜1000μmであり、好ましくは50〜250μmである。表面保護シート7が粘着剤層を有している場合は、上記の厚さのうちで粘着剤層の厚さは5〜500μm、好ましくは10〜100μmである。
【0049】
なお、接着フィルム3の切断(FC工程)を、表面保護シート7のエキスパンドと同時に行う場合には、表面保護シート7としてはエキスパンド性を有するシートを用いる。
【0050】
(S2)工程
(S2)工程では、上記ウエハ1の裏面研削をすることでウエハ1の厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップ10への分割を行う(図8,図9参照)。
【0051】
ウエハ1の裏面研削は、グラインダー等を用いた通常の先ダイシング法と同様にして行われる。裏面研削により、ウエハ1の厚みが薄くなり、ウエハ裏面が溝6に到達することで、ウエハ1が各チップ10へと分割される。
【0052】
(S3)工程
(S3)工程では、個別のチップ10を接着フィルム3とともにピックアップする(図示せず)。接着フィルム付チップのピックアップは、表面保護シート7から直接行ってもよく、また接着フィルム付チップを表面保護シート7から他の粘着シートに転写した後に、該他の粘着シートから接着フィルム付チップをピックアップしてもよい。このような他の粘着シートとしては、適度な感圧接着性と再剥離性を有する粘着シートが好ましく、特に従来よりダイシングシートとして使用されている紫外線硬化型粘着シートが好ましく用いられる。
【0053】
なお、上述したように、(S3)工程に先立ち、表面保護シート7をエキスパンドして、図10、図11に示すように、エキスパンド時の延伸応力によって、アンダーフィル用接着フィルム3の切断を行ってもよい。表面保護シート7は、ウエハと略同形状であるため、このままではエキスパンド装置に装着できない。したがって、表面保護シート7の背面に延伸性の高い粘着シートを貼着し、該粘着シートを介してエキスパンド装置に装着して、粘着シートをエキスパンドすることで、表面保護シート7のエキスパンドを行う。また、個別のチップ10と接着フィルム3とを他の粘着シートに転写した場合にも、他の粘着シートのエキスパンドによって、接着フィルム3を切断することができる。
【0054】
接着フィルム3と表面保護シート7とは、再剥離可能に積層されている。したがって、チップ10のピックアップを行うと、接着フィルム3と表面保護シート7との界面で剥離が起こり、チップ10と同形状に切断されている接着フィルム3がチップ10の回路面側に接着された状態で、チップ10がピックアップされる。また、接着フィルム付チップを他の粘着シートに転写することも容易である。
【0055】
また、支持フィルム4を接着フィルム3上に残留させた場合であっても、接着フィルム3と支持フィルム4とは、剥離可能に積層されている。したがって、チップ10のピックアップを行うと、接着フィルム3と支持フィルム4との界面で剥離が起こり、チップ10と同形状に切断されている接着フィルム3がチップ10の回路面側に接着された状態で、チップ10がピックアップされる。一方、支持フィルム4は表面保護シート7上に残着する。
【0056】
チップ10のピックアップは、吸引コレットなどを用いた公知の手法により行うことができる。また、必要に応じ、突き上げピンで、表面保護シート7または他の粘着シートの裏面側からチップを突き上げてもよい。
【0057】
ピックアップされたチップ10は、そのまま、またはチップの反転工程を経て次工程に進んでもよいし、一度、転写テープ上や収納容器内に保管し、必要に応じて次工程に使用してもよい。
【0058】
(S4)工程
(S4)工程では、個別のチップ10を該接着フィルム3を介して、チップ搭載用基板11の電極部12等の所定位置に載置する(図12参照)。
【0059】
具体的には、回路面側に接着フィルム3を有するチップ10を、フェースダウン方式により、所定のチップ搭載用基板11に載置する。バンプ2を有するチップにあっては、それらのバンプ2をチップ搭載用基板上の相対応する端子部12に対面するように載置する。
【0060】
(S5)工程
(S5)工程では、ダイボンドされた接着フィルム付きチップ10を加熱し、チップをチップ搭載用基板11に固着する(図示せず)。
【0061】
接着フィルム3は、上述したように加熱により接着性を発現するBステージの樹脂、粘接着剤あるいは熱可塑性樹脂等から形成されている。これらを所定条件で加熱することで、Bステージ樹脂であれば、樹脂の硬化により接着性が発現し、また粘接着剤であれば、これに含まれる熱硬化性樹脂の硬化により接着性が発現する。また、熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールにより接着力が発現する。
【0062】
(IP)工程
本発明の半導体装置の製造方法は、上記(S1)工程後、(S5)工程までの何れかの段階で、接着フィルム3を含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程(IP)(図示せず)を1回以上含む。
【0063】
上記(S1)工程では、ウエハ1の回路面に、接着フィルム3を接着する際に、ウエハ回路面と接着フィルムとの間に気泡が巻き込まれることがある。また(S4)工程においても、チップ搭載用基板11表面と接着フィルム3との間に気泡が巻き込まれてしまうことがある。特に、近年、チップ搭載基板11表面には、配線パターンによる凹凸が形成されることが多く、ボイドが発生しやすくなっている。さらに(S5)工程においては、接着フィルム3の種類にもよるが、接着フィルム3を硬化する過程で、接着フィルム3からガスが発生し、ボイドを形成することもある。
【0064】
本発明では、接着フィルム3を含む積層体を静圧加圧することで、これらボイドの消滅あるいはその生成の抑制を行っている。
【0065】
静圧加圧工程は、接着フィルム3が完全に硬化する前に、接着フィルム3を含む積層体の全方位から均等に加圧(静圧加圧)を行う工程である。静圧加圧条件は、常圧に対し0.05MPa以上であり、好ましくは常圧に対し+0.1〜+1.0MPaである。すなわち、常圧に比較して0.05MPa以上大きな圧力、好ましくは0.1〜1.0MPa大きな圧力を印加する。圧力を印加する時間は、好ましくは1〜180分、より好ましくは5〜120分である。この際の温度は、通常は30〜140℃程度である。圧力および温度は段階的に印加してもよい。また、静圧加圧は空気雰囲気下で行ってもよいし、窒素やアルゴン等の不活性なガス雰囲気下で行ってもよい。
【0066】
静圧加圧条件は、接着フィルム3の組成により様々であるが、接着フィルムを構成する樹脂成分が加圧により流動しうる条件下で行われる。たとえば接着フィルム3がBステージの樹脂である場合には、半硬化した樹脂が再度流動しうる温度であり、かつ樹脂の硬化温度よりも低い温度で加圧を行う。また接着フィルム3が粘接着剤である場合には、粘接着剤層に含まれる熱硬化性樹脂が完全に硬化するよりも低く、かつバインダー樹脂が流動しうる温度で静圧加圧を行う。また、接着フィルム3が熱可塑性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂が溶融し、流動しうる温度で静圧加圧を行う。
【0067】
上記のような温度条件下で、一軸加圧を行うと、接着フィルム3を構成する樹脂成分がウエハやチップの端面からはみ出し、ウエハやチップの背面に巻き上がることがあるが、静圧加圧によれば、全体が均一に加圧されているため、接着剤の巻き上がりは起こらない。また、このような静圧加圧により、接着フィルム中に発生したボイド(気泡)が消滅するという作用が奏される。したがって、静圧加圧工程を含む本発明の製法によれば、アンダーフィル材中にボイドの無い、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0068】
かかる静圧加圧工程は、上記(S1)工程後、(S5)工程までの何れかの段階で行われ、また複数回行ってもよい。具体的には、(S1)工程後に静圧加圧(IP)を行うことで、ウエハ回路面にアンダーフィル用接着フィルム3を接着する際に生成した気泡が消滅する。また、(S4)工程後に静圧加圧(IP)を行うことで、チップ搭載用基板11上に、接着フィルム3を介してチップ10をダイボンドする際に、チップ搭載用基板10表面と接着フィルム3との間に巻き込まれた気泡が消滅する。
【0069】
また、静圧加圧(IP)は、(S5)工程と同時に行ってもよい。(S5)工程は、チップを加熱し、接着フィルム3を介してチップ10をチップ搭載用基板11に固着する工程である。この際の加熱と同時に静圧加圧を行うことで、加熱工程中に接着フィルム3がある程度流動化した状態で静圧加圧が行われるので、(S1)工程あるいは(S4)工程で生成した気泡が消滅する。また、接着フィルムが硬化する過程で発生するガスに起因するボイドの生成も抑制することができる。さらに、静圧加圧を行いつつ加熱するため、チップ10をチップ搭載用基板10に強固に固着することができる。
【0070】
静圧加圧装置としては、(S1)〜(S5)工程における接着フィルム3を含む積層体に静圧が印加できれば特に制限されないが、好ましくは、オートクレーブ(コンプレッサー付き耐圧容器)などが用いられる。
【0071】
このようにしてダイボンディング(フリップチップボンディング)した後、必要に応じ、樹脂封止などの通常の工程を経て半導体装置が得られる。
【0072】
このような本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、いわゆる先ダイシング法を応用して、チップの回路面に適当量のアンダーフィル用樹脂層を簡便に設けることができる。このため、回路面側をチップ搭載用基板にマウントする実装技術において、先ダイシング法を取り込んだ連続プロセスが可能になる。また、実装工程中にアンダーフィル材にボイドが発生したとしても、静圧加圧を行うことでボイドが消滅するため、信頼性の高い半導体装置が得られる。すなわち本発明によれば、いわゆる先ダイシング法と、フリップチップボンディングを採用した実装プロセスとを連続して行うことが可能であり、製造プロセスの簡素化と製品品質の向上に寄与しうる半導体装置の製造方法が提供される。
【0073】
以上、本発明の製法について、図面に沿って説明したが、本発明は、上記構成の半導体装置の製造には限定されず、種々の構成を有する半導体装置の製造に適用できる。
【0074】
たとえば、本発明の製造方法は、マルチスタック型の半導体装置の製造に適用してもよい。すなわち、相対的に上部を構成するチップと、相対的に下部を構成するチップとを接着フィルム3を介して積層するチップ同士のダイボンディング工程に用いてもよい。この場合、相対的に下部を構成するチップの裏面(回路形成面の反対面)が、上記説明におけるチップ搭載用基板11に相当する。ここで得られる半導体装置は上部と下部のサイズが同じセイムサイズスタック型半導体装置であってもよく、サイズの異なる階段状のマルチスタック型半導体装置であってもよい。
【0075】
(実施例)
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0076】
使用した接着フィルムおよびスタッドバンプ付きウエハは、下記のように製造した。
【0077】
[接着フィルムの製造]
接着フィルムの製造には、下記アクリル系共重合体(A)、熱硬化型接着成分(B)、熱活性型潜在性硬化剤(C)、エネルギー線重合性化合物(D)、光重合開始剤(E)および架橋剤(F)を用いた。
【0078】
(A)アクリル系共重合体:ブチルアクリレート55重量部、メチルメタクリレート10重量部、グリシジルメタクリレート20重量部と2−ヒドロキシエチルアクリレート15重量部とを共重合してなる重量平均分子量30万の共重合体を有機溶媒(トルエン/酢酸エチル=6/4)に溶解した溶液(固形濃度50%)
(B)熱硬化型接着成分(エポキシ樹脂):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)社製、エピコート828、エポキシ当量180〜200eq/g)22重量部と、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート1055、エポキシ当量800〜900eq/g)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が60%)の固形分量で44重量部相当と、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、EOCN-104S、エポキシ当量210〜230g/eq)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が70%)の固形分量で14重量部相当との混合物
(C)熱活性型潜在性硬化剤:ジシアンジアミド(旭電化工業(株)製、ハードナー3636AS)1重量部と2-フェニル-4,5-ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、キュアゾール2PHZ)1重量部の混合物を、有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が30%)
(D)エネルギー線硬化性樹脂:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(E)ベンゾフェノン系光重合開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を有機溶媒(トルエン)に溶解した溶液(固形濃度が30%)
(F)イソシナネート系架橋剤:コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)を有機溶媒(トルエン)に溶解した溶液(固形濃度が38%)
上記成分を固形重量比で、(A)20重量部、(B)80重量部、(C)2重量部、(D)10重量部、(E)0.3重量部、(F)0.3重量部を混合し、全体の固形濃度が55%になるようにメチルエチルケトンを混合して粘接着剤組成物を得た。剥離フィルム(リンテック(株)製、SP-PET3811、厚さ38μm)の剥離処理面にこの粘接着剤組成物を、乾燥後の塗布厚が50μmになるように塗布し、100℃で1分間乾燥した。次に支持フィルムとなる低密度ポリエチレンフィルム(厚さ110μm)に貼合し、接着フィルムを得た。
【0079】
[スタッドバンプ付きウエハの製造]
バンプボンダー((株)新川製、SBB4)を用いてシリコンウエハ(8インチ、厚さ725μm)の所定位置に金ボールハンダを形成し、これを溶融引き延ばし切断した。これにより高さ45μmのスタッドバンプを形成したウエハを用意した。
【0080】
(実施例1)
貼付装置(リンテック(株)製、RAD3510m/12)を用いて、貼付速度3mm/秒、荷重3MPa、ゴム製ラミネートローラー(ゴム硬度50)でウエハのバンプ面に、剥離フィルムを剥がした支持フィルム付きの接着フィルムを貼付した。なお、ラミネートローラー温度およびテーブル温度は、25℃で行った。
【0081】
接着フィルムが貼付されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置(栗原製作所製オートクレーブ、空気雰囲気下)に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧工程前後でのボイドの消滅の有無を目視にて評価した。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0082】
続いて、紫外線照射装置(リンテック(株)製、RAD2000m/8)を用いて支持フィルム側から紫外線照射(光量110mJ/cm2、照度150mW/cm2)を行い、接着フィルムのエネルギー線硬化性樹脂を硬化させた。その後、支持フィルムを剥離した。
【0083】
ダイサー(株式会社ディスコ社製、DFD-6361)を用いて、ウエハの回路面から130μmの深さまで接着フィルム側から切削を行い、ウエハと接着フィルムの積層体にウエハの回路に沿った溝を形成した((FC)工程)。続いて、ウエハの接着フィルム側に再剥離型粘着剤層を有する表面保護シート(リンテック社製、Adwill P-6130)を、テープラミネータ(リンテック社製、Adwill RAD-3510m/12)を用いて貼着した。(以上(S1)工程)
次いで、グラインダー(ディスコ社製、DGP-8760)を用いて回路面とは反対側を、仕上げ厚が100μmとなるように研削し、これによってウエハを接着フィルムごと分割した((S2)工程)。
【0084】
次いで、チップ群の研削面側に紫外線硬化型粘着シート(リンテック(株)製、Adwill D-175)を貼付し、表面保護シートを剥離して、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップした((S3)工程)。
【0085】
次いで、フリップチップボンダー(九州松下電器産業(株)製、FB30T-M)を用い、バンプの位置に対応する配線パターンを有する評価用のチップ搭載用基板に接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S4)工程)。フリップチップボンダーのステージ温度は60℃、ヘッド温度は130℃、荷重は20N、時間は60秒とした。
【0086】
ダイボンド工程後、150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た。((S5)工程)得られた半導体装置の各端子間の抵抗値を低抵抗率計(三菱化学(株)製、Loresta-GP MCP-T600)を用いて測定し、導通すべき端子間の導通と、その他の端子間の絶縁であることを確認した。導通および絶縁はともに良好であった。
【0087】
(実施例2)
実施例1と同様にして、ウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付し、静圧加圧工程を行わず、さらに接着フィルムのエネルギー線硬化性樹脂を硬化させた。
【0088】
支持フィルムを剥離した後、ダイサーを用いて、ウエハの回路面から130μmの深さまで接着フィルム側から切削を行い、ウエハと接着フィルムの積層体にウエハの回路に沿った溝を形成した((FC)工程)。続いて、ウエハの接着フィルム側に表面保護シートを貼着した(以上(S1)工程)。次いで、グラインダーを用いて回路面とは反対側を、仕上げ厚が100μmとなるように研削し、これによってウエハを接着フィルムごと分割した((S2)工程)。
【0089】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップした((S3)工程)。
【0090】
次いで、フリップチップボンダーを用い、バンプの位置に対応する配線パターンを有する評価用のチップ搭載用基板に接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S4)工程)。フリップチップボンダーのステージ温度は60℃、ヘッド温度は130℃、荷重は20N、時間は60秒とした。
【0091】
ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際およびダイボンドの際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0092】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0093】
(実施例3)
実施例2と同様にして、接着フィルム付のチップを得て、これを同様にピックアップし、接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S1)〜(S4)および(FC)工程)。
【0094】
ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置(栗原製作所製オートクレーブ)に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、120℃、60分、続いて140℃、60分の段階的に加熱し、ボイドの除去および接着フィルムの硬化を行った((IP)および(S5)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。また、得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0095】
(実施例4)
実施例2と同様にしてウエハを接着フィルムごと分割した((S1)、(S2)および(FC)工程)。
【0096】
表面保護シートとともに、分割されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0097】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップし((S3)工程)、実施例2と同様に接着フィルムを介してチップをダイボンドした((S4)工程)。
【0098】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0099】
(実施例5)
実施例4において、ダイボンド後に、ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧よりも0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。また、本実施例のように静圧加圧工程をダイボンド前後の2回行うことにより、静圧加圧工程1回のもの(実施例2および実施例4)と比べ、よりボイドが消滅することが確認された。
【0100】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0101】
(実施例6)
ダイサーを用いて、ウエハの回路面から130μmの深さまで切削を行い、ウエハの回路に沿った溝を形成した。
【0102】
続いて、貼付装置を用いて、貼付速度3mm/秒、荷重3MPa、ゴム製ラミネートローラーでウエハのバンプ面に、剥離フィルムを剥がした接着フィルムを貼付した。なお、ラミネートローラー温度およびテーブル温度は、25℃で行った。続いて、紫外線照射装置を用いて紫外線照射(光量110mJ/cm2、照度150mW/cm2)を行い、接着フィルムのエネルギー線硬化性樹脂を硬化させた。
【0103】
接着フィルムが貼付されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0104】
続いて、支持フィルムを剥離後、接着フィルムにレーザー光を照射し、前記ウエハ表面の溝に対応する部分を焼き切り、接着フィルムを完全に切断した((FC)工程)。
【0105】
その後、実施例1と同様にして、表面保護シートの貼付((S1)工程)およびウエハの裏面研削を行い、ウエハを分割し((S2)工程)、チップのピックアップ、ダイボンドおよび接着フィルムの硬化を行った((S3)〜(S5)工程)。導通および絶縁はともに良好であった。
【0106】
(実施例7)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。続いて、接着フィルムにレーザー光を照射し、前記ウエハ表面の溝に対応する部分を焼き切り、接着フィルムを完全に切断した((FC)工程)。
【0107】
接着フィルムが貼付されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、接着フィルムをウエハに貼付する際に接着フィルムに発生したボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0108】
その後、実施例1と同様にして、表面保護シートの貼付((S1)工程)およびウエハの裏面研削を行い、ウエハを分割し((S2)工程)、チップのピックアップ、ダイボンドおよび接着フィルムの硬化を行った((S3)〜(S5)工程)。導通および絶縁はともに良好であった。
【0109】
(実施例8)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。続いて、支持フィルムを剥離した後、接着フィルムにレーザー光を照射し、前記ウエハ表面の溝に対応する部分を焼き切り、接着フィルムを完全に切断した((FC)工程)。
【0110】
続いて、接着フィルム側に表面保護シートを貼付し((S1)工程)、ウエハの裏面研削を行い、ウエハを分割した((S2)工程)。
【0111】
表面保護シートとともに、分割されたウエハ(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0112】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップし((S3)工程)、実施例1と同様にダイボンドした((S4)工程)。
【0113】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0114】
(実施例9)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付し、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0115】
続いて、実施例6と同様に、接着フィルムの切断((FC)工程)、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0116】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0117】
(実施例10)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0118】
続いて、実施例8と同様にして、接着フィルムの切断((FC)工程)表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0119】
次いで、実施例1と同様にして、接着フィルム付のチップ群を紫外線硬化型粘着シートに転写した。その後、分割した接着フィルム付のチップを紫外線硬化型粘着シート上よりピックアップし((S3)工程)、実施例8と同様にダイボンドした((S4)工程)。
【0120】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0121】
(実施例11)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0122】
続いて、実施例6と同様に、接着フィルムの切断((FC)工程)、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0123】
ダイボンド後に、ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0124】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0125】
(実施例12)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付し、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0126】
続いて、実施例6と同様に、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)を行った。
【0127】
続いて、表面保護シートの背面にエキスパンド性粘着シートを貼付し、エキスパンド治具に装着後にエキスパンドを行い、チップ間隔を離間すると同時に、チップ間に存在する接着フィルムを切断し((FC)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0128】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0129】
(実施例13)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0130】
続いて、実施例8と同様にして、表面保護シートの貼付((S12)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)、接着フィルムを含む積層体の静圧加圧を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0131】
続いて、表面保護シートの背面にエキスパンド性粘着シートを貼付し、エキスパンド治具に装着後にエキスパンドを行い、チップ間隔を離間すると同時に、チップ間に存在する接着フィルムを切断し((FC)工程)、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0132】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0133】
(実施例14)
実施例6と同様にして、溝が形成されたウエハのバンプ面に、接着フィルムを貼付した。
【0134】
続いて、実施例8と同様にして、表面保護シートの貼付((S1)工程)、ウエハの裏面研削((S2)工程)を行った。続いて、表面保護シートの背面にエキスパンド性粘着シートを貼付し、エキスパンド治具に装着後にエキスパンドを行い、チップ間隔を離間すると同時に、チップ間に存在する接着フィルムを切断した((FC)工程)。その後、チップのピックアップ((S3)工程)およびダイボンド((S4)工程)を行った。
【0135】
ダイボンド後に、ダイボンドされたチップ搭載用基板(接着フィルムを含む積層体)を加熱加圧装置に投入し、常圧に対し0.5MPa大きい静圧下で、50℃、30分加熱し、ボイドの除去を行った((IP)工程)。静圧加圧前に比べて、静圧加圧を行うことで、ボイドの消滅が確認された。
【0136】
続いて、チップ搭載用基板を150℃のオーブン中で60分保持し、接着フィルムを完全に硬化させチップをチップ搭載用基板に固着し、半導体装置を得た((S5)工程)。得られた半導体装置の導通および絶縁はともに良好であった。
【0137】
(比較例1)
接着フィルムを含む積層体の静圧加圧工程を行わない以外は、実施例1と同様にして模擬的な半導体装置を得た。静圧加圧を行わないため、ボイドの消滅は観察されず、また得られた半導体装置の導通および絶縁はともに不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の製法の一工程を示す。
【図2】本発明の製法の一工程を示す。
【図3】本発明の製法の一工程を示す。
【図4】本発明の製法の一工程を示す。
【図5】本発明の製法の一工程を示す。
【図6】本発明の製法の一工程を示す。
【図7】本発明の製法の一工程を示す。
【図8】本発明の製法の一工程を示す。
【図9】本発明の製法の一工程を示す。
【図10】本発明の製法の一工程を示す。
【図11】本発明の製法の一工程を示す。
【図12】本発明の製法の一工程を示す。
【符号の説明】
【0139】
1…ウエハ
2…導通用突起物(バンプ)
3…接着フィルム
4…支持フィルム
6…溝
7…表面保護シート
10…チップ
11…チップ搭載用基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの回路表面に、接着フィルムが接着され、かつ該回路毎に区画する溝が形成されてなるウエハの回路表面側に表面保護シートを貼着する工程、
上記ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行う工程、
個別のチップを接着フィルムとともにピックアップする工程、
個別のチップを該接着フィルムを介して、チップ搭載用基板の所定位置にダイボンドする工程、および
ダイボンドされた接着フィルム付きチップを加熱し、チップをチップ搭載用基板に固着する工程を含み、かつ
接着フィルムをウエハに接着した後、チップをチップ搭載用基板に固着するまでの何れかの段階で、接着フィルムを含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程を1回以上含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
ダイボンド後に、静圧加圧を行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
静圧加圧を行いつつ、チップをチップ搭載用基板に固着する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
ウエハの回路表面に、接着フィルムが接着され、かつ該回路毎に区画する溝が形成されてなるウエハの回路表面側に表面保護シートを貼着する工程、
上記ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行う工程、
個別のチップを接着フィルムとともにピックアップする工程、
個別のチップを該接着フィルムを介して、チップ搭載用基板の所定位置にダイボンドする工程、および
ダイボンドされた接着フィルム付きチップを加熱し、チップをチップ搭載用基板に固着する工程を含み、かつ
接着フィルムをウエハに接着した後、チップをチップ搭載用基板に固着するまでの何れかの段階で、接着フィルムを含む積層体を、常圧に対し0.05MPa以上の静圧により加圧する工程を1回以上含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
ダイボンド後に、静圧加圧を行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
静圧加圧を行いつつ、チップをチップ搭載用基板に固着する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−27054(P2009−27054A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190372(P2007−190372)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]