説明

半導体装置の製造方法

【課題】バリア金属膜の膜厚を薄膜化でき、金属配線やビア内にボイドの無い配線を形成可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体構造は、相互接続トレンチ又はビア305に薄いバリア金属層307が、トレンチやビアの開口が相互接続トレンチやビアへの銅の配置を疎外する張り出しにより妨害されないように形成される。銅の相互接続配線314を形成するための材料は、銅とマンガンを含んでいる。アニールにより、銅の拡散に対してバリア特性を有する酸化マンガン層315が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、相互接続配線及び半導体構造を形成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置は、各トランジスタ素子のサイズが縮小され、これにより装置内のトランジスタの密度を増加させることを特徴としている。半導体装置を微細化するため、半導体装置の異なる領域の電気的接触を形成する相互接続配線も同様に微細化されている。
【0003】
半導体装置の微細化に伴い、金属相互接続配線に沿った信号の伝達効率は、半導体装置の性能要因となっている。特に、金属相互接続配線の断面積がより小さくなるに従い、金属相互接続配線の電流密度が増加する。金属相互接続配線の微細化された断面積は、隣接する金属相互接続配線間の寄生の配線間容量を増加させるとともに、金属相互接続配線の抵抗を増加させるという二重の影響があり、これにより伝送速度が低下する。金属相互接続配線の物質の減少は、エレクトロマイグレーションの複雑さをさらに助長する。より高い電流密度において、個々の電子の増加した運動エネルギーは、金属相互接続配線内の個々の金属原子への有意な運動量移動をもたらすことがある。電子移動方向の物質移動が、高い電流密度の結果時間外に生じることがある。
【0004】
アルミニウムは金属相互接続配線の一般的な主成分である。しかしながら、銅はその高い伝導性及びエレクトロマイグレーションに対する抵抗が高いため、使用が増加している。銅の相互接続配線を用いた半導体装置の形成は、半導体製造技術において作られることを要求する。銅は、バック・エンド・オブ・ライン(BEOL)構造の誘電体層の中に形成された凹部を充填するため、ダマシン(あるいは象嵌)技術によって一般的に配置される。ダマシン技術は、デバイス体積が減少するに従い問題が増加しつつある。
【0005】
さらに、相互接続配線からの銅は、周囲の誘電体層内へ急速に拡散する。誘電体層へ拡散した非常に微細な量の銅でさえ、誘電体層を害し、予測不能の挙動を引き起こす。したがって、銅の拡散から誘電体層を保護するため、トレンチやビア内にバリア材料がしばしば設けられる。銅の拡散の十分抑えるため、従来の材料は、約6乃至約10nmの最小膜厚が要求される。銅拡散に有効な必要とされるバリアの厚さは、半導体装置の微細化に影響されない。このため、トレンチやビアの体積の減少する割合は、体積の一部をバリア材料に使用しなければならないため、銅相互接続配線に占められる。銅の配置に利用可能な体積の減少は、高抵抗及びエレクトロマイグレーションと共に相互接続配線を形成するための銅の配置を困難とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許7304384号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開20080057704号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開20070020931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態は、バリア金属膜の膜厚を薄膜化でき、金属配線やビア内にボイドの無い配線を形成可能な半導体装置の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の相互接続配線を形成する方法は、誘電体層の中に相互接続トレンチ又はビアを形成し、前記相互接続トレンチ又はビアの表面にTa、TaN、Ti及びTiNから成るグループから選ばれた1つ以上を含み,6nm未満の平均の膜厚を有し,前記相互接続トレンチ又はビアの上端近傍の膜厚が下部の膜厚よりも大であり,形成後の前記相互接続トレンチ又はビアの開口幅が,底部の幅より小となるようにバリア金属層を形成し、前記バリア金属層の表面にCo層又はRu層からなる接着層を形成し、前記相互接続トレンチ又はビア内にマンガンを含む銅の層を形成し、熱処理により前記接着層と前記バリア金属層の間に1乃至約4nmの酸化マンガン層を形成することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】銅又は銅合金相互接続配線を形成するための初期の銅のシーディング工程とバリア金属層を使用する半導体構造の製造工程を示す図。
【図2】銅又は銅合金相互接続配線を形成するための接着層とバリア金属層を使用する半導体構造の製造工程を示す図。
【図3】実施形態のマンガン・コンポーネントを有する膜厚が薄くされたバリア金属層及び銅又は銅合金に基づいた材料を使用する半導体構造の製造工程を示す図。
【図4】実施形態に係る半導体構造の製造工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
銅又は銅合金の相互接続配線を形成する材料は、誘電体層内に形成された薄い膜厚のバリア金属層及び接着層を有する相互接続トレンチやビア内に配置され、材料はマンガンと銅を含んでいる。膜厚が縮小されたバリア金属層の存在は、誘電体層内に形成された相互接続トレンチやビアの開口を不明確とし、ダマシンやデュアルダマシン技術を使用して形成される銅又は銅合金の相互接続配線の形成を困難とする張り出し部(オーバーハング)を最小化する。
【0012】
銅又は銅合金の相互接続配線用の材料の成形に続き、材料は相互接続配線を形成するためアニールにより再度結晶される。アニール中、銅又は銅合金材料中のマンガンは、相互接続配線及び接着層の境界に移動され、マンガンは、酸化マンガン層を形成するため、接着層の表面に存在する酸化膜と反応する。酸化マンガン層は、相互接続配線からの銅の拡散をブロックするために寄与する。そのため、アニールで形成され金属バリア層及び酸化マンガン層を有する半導体構造は、銅の拡散を防ぐために十分である。
【0013】
さらに、酸化マンガン層は、相互接続配線の銅との相互作用により優れた接着性を有している。相互接続配線を形成するための銅又は銅合金の配置中、張り出し部の最小化は、ダマシン処理の結果として相互接続配線の中心線に沿ったボイド(センターラインボイディング)の発生を最小化する。酸化マンガン層の優れた接着性は、相互接続配線を形成する銅又は銅材料を再結晶させるためのアニール中、ランダムにボイドが発生することを低減する。
【0014】
本実施形態には、誘電体層内の相互接続トレンチ又はビアの形成により銅又は銅合金を含む相互接続配線を形成する方法と、相互接続トレンチ又はビア内の表面上のバリア金属層の堆積が示されている。その後、接着層が、相互接続トレンチ又はビア内のバリア金属層の表面に配置される。ここで、接着層は、その上の酸化膜を有している。相互接続配線を形成するマンガンと銅を含む相互接続材料は、相互接続トレンチ又はビア内に形成される。アニールは、半導体構造上で相互接続材料中のマンガンが接着層と相互接続配線の間の境界へ移動するように行なわれる。移動するマンガンの少なくとも一部は、相互接続配線と接着層の間に形成された酸化マンガン層を形成する。
【0015】
小規模デバイス中のBEOL構造を充填するための現在の技術は、ボイドや不完全な銅の充填を形成し易い。図1A(スケールは示されていない)に示すように、BEOL構造を形成するためのプロセス・フローは、半導体基板101上のトランジスタ及び/又は容量回路素子の形成を含んでいる。層は、周知の化学気相成長(CVD)法やスピンオン技術などによって誘電体層103を堆積することにより形成される。誘電体層103はシリコン酸化物又はlow-k誘電体により形成可能である。low-k誘電体は、銅配線間の寄生容量を減少するために使用することができる。low-k誘電体は、シリコン酸化物の誘電率未満の誘電率を有する任意の材料を適用できる。誘電体層103は、トレンチ及び/又はビア105の所望のパターンを形成するため、周知のフォトリソグラフィ及びエッチング技術によってパターンニングされる。フォトマスクは、続くフォトマスクのパターンニングにより誘電体層103の上方に位置され、下方の誘電体層103をエッチングする。あるいは、周知の放射線の露光によって直接パターン化することができる誘電体が知られている。
【0016】
図1Aは、簡単化のため、一つの一般的なトレンチ105を示している。当業者であれば、この実施形態を任意のパターンのトレンチ及びビアに適用可能であることを容易に認識することが可能である。いくつかの追加の層は、誘電体層103と半導体基板101の間に配置することが可能である。
【0017】
図1Aに示すように、トレンチ及び/又はビア105には、周知のスパッタ堆積、CVD、原子層体積(ALD)などを適用することにより、バリア金属層107が配置される。金属バリア層の好ましい材料は、タンタル、タンタル窒化物、チタン、窒化チタン、及びこれらの組み合わせを含んでいる。一実施例において、トレンチ及び/又はビアの幅は、約25乃至約60nmである。他の実施例において、トレンチ及び/又はビアの幅は、約30乃至約55nmである。他の実施例において、トレンチ及び/又はビアの幅は、約30乃至約50nmである。バリア金属層107の平均の幅又は厚さは、約6乃至約15nmである。
【0018】
バリア金属層107の形成に続き、トレンチ105は、少なくとも50重量%の銅を含む材料で充填される。少なくとも50重量%の銅を含む材料は、実質的に純粋な銅、マンガン、及び酸化により酸化銅コンポーネントを有する銅を含む他の材料との銅合金を含んでいる。銅は、一般に電気メッキによって堆積されるが、当業者であれば、電気メッキ以外の方法、例えば無電解メッキや超臨界流体を用いた膜形成を適用することにより、誘電体層103内に形成されたトレンチ及び/又はビア105を、銅を含む材料により充填することが可能であることを容易に理解できる。
【0019】
バリア金属層107は、電気メッキや他の技術による有効な銅堆積を直接十分サポートするために通常不十分な表面である。図1Bにおいて、図1Aの構造は、スパッタ堆積あるいは他の適切な技術によって銅のシード層109が配置されることにより、銅の電気メッキの準備がなされている。図2Aにおいて、図1Aの構造は、Co又はRuの1つ以上を含む接着層201を形成するために処理される。接着層201はCVD、PVDあるいは他の適切な堆積技術によって配置することができる。
【0020】
図1B及び2Aに示すように、金属バリア層107、及び任意の銅のシード層109及び/又は接着層201の組み合わせは、材料の張り出しによりトレンチ105の開口を実質的に狭くする。この張り出しによってトレンチ105開口が狭くなることにより、トレンチ105内に銅又は銅合金材料111を配置中に中心線ボイド113が進展する。図1C及び図2Bに示すように、中心線ボイド113は、銅相互接続111内に空気又は真空で満たされたボイドを形成する。
【0021】
トレンチ及び/又はビア105の開口のスペース制限の結果、中央が空洞化することに加えて、酸化及び弱い接着は、さらなる空洞化の問題をもたらすことがある。半導体構造及び/又は装置の構成において使用される多くの材料は、その表面上に酸化膜が形成され易い。銅は、酸素雰囲気内において容易に酸化され、酸化膜を形成する。酸化銅フィルムの形成は、半導体構造の組立てにおいてよく使用される熱処理によって増加する。酸化物の形成は、半導体の製造中に使用される多くの熱処理によって加速される。さらに、Co又はRuをベースとする接着層201の材料も容易に酸化し、酸化膜を形成する。後述するように、表面上の酸化膜の存在は、後続の工程において重大な影響を導く可能性を有している。
【0022】
銅又は銅合金の相互接続配線上に形成された自然酸化層、及び接着層は、相互接続配線と周囲の誘電体の間の接着を妨害する。接着の問題は、好ましい誘電体としてのシリコン酸化物に代わり、弱い接着特性を示すlow-k材料の使用が増加するに伴い悪化している。
【0023】
銅ベース相互接続配線に電気メッキを施した後、半導体構造は、相互接続配線111の銅又は銅合金を再度結晶させるため、一般にアニール処理が行われる。アニールの一般的な条件は、温度が約200℃乃至400℃で、約30秒乃至約30分である。他の実施例において、アニールは約5分乃至約30分行なわれる。銅のシード層109が使用される場合、銅のシード層109及び銅の相互接続配線111が溶融され、両方の領域が銅ベースであるため、アニール処理中に、銅ベース相互接続配線111と接着層201との弱い接着、及び/又は金属バリア層107の酸化膜の存在により、結果としてランダムボイド115が生じる。銅のシード層109の堆積及び/又は接着層201と、BEOL構造を埋めるための残存銅又は銅合金のメッキとの間に避けられないプロセス・ギャップがある。これらのプロセス遅延期間中に、様々な表面は、酸化され易い。酸化膜の存在は、電気メッキされた銅の接着を低下させ、ランダムボイド115が発生することを可能とする。
【0024】
ここに示された実施形態は、図面を用いて記述され、図において、同一部分には、同一符号が付されている。以下の説明の目的のため、記述において、多くの特定の内容は、実施形態を理解するために提供されている。しかし、実施形態がこれら特定の内容に限定されないことは明らかである。他の例において、周知の構造と装置は、実施形態の記述を容易とするため、ブロック図で示している。
【0025】
当業者であれば、堆積材料、マスク、フォトリソグラフィ、エッチング及びイオン注入を含む周知の半導体製造技術を認識可能である。半導体構造を形成するための材料の堆積は、低圧化学気相成長法、化学気相成長法、原子層堆積などによることができる。付加された参照番号は、同一要素において一致している。
【0026】
実施形態について説明する。中心線ボイドの発生は、銅又は銅合金の相互接続配線の電気メッキや他の埋め込み方法に先立って、トレンチ及び/又はビアの開口の幅を増加することにより対処することができる。しかしながら、銅拡散の有効なバリアとして役立つため、バリア材料のトータルの厚さの最小値として例えば6乃至15nmは、必要である。トレンチ及び/又はビアの開口が狭くなることは、バリア材料の必要な厚さを維持して縮小されたデバイスサイズの結果である。
【0027】
銅の拡散はバリア金属層を配置することにより取り込むことができ、そのバリア金属層は銅又は銅合金相互接続配線を配置(例えば電気メッキ)し、続くアニール処理によりバリア特性を有する第2の酸化マンガンベースの層が形成される前に配置される。すなわち、上述のように、バリア金属層は、銅又は銅合金相互接続配線に電気メッキを施す前に形成される。その後、銅又は銅合金相互接続に電気メッキを施した後、酸化マンガンを含む第2のバリア材料が形成される。
【0028】
バリア金属層は、中心線ボイドに結びつく張り出しを有するトレンチ及び/又はビアの開口の幅を収縮させないようにするため、従来の厚さより薄く形成される。しかし、厚さが減少されたバリア金属層は、銅の拡散を防止するために潜在的に不十分である。銅の拡散を防ぐための十分なバリアは、銅又は銅合金を配置、又は、電気メッキした後、追加のバリア層(酸化マンガン層)を形成することにより行われる。バリア金属層、及び最新に形成された酸化マンガン層は、共に銅の拡散を防ぐのに十分な膜厚を有している。本実施形態の銅又は銅合金の相互接続配線は、従来の材料により形成されたバリア金属層に存在するボイドなしで形成できる。いくつかの材料は銅の拡散に対するバリア特性を有するが、Ta、TaN、Ti及び/又はTiNのような材料は、Ta、TaN、Ti及び/又はTiNを含まないバリアシステムに関して銅の拡散を制御するための優れた特性を有している。
【0029】
図3A−Dを参照して、本実施形態について説明する。誘電体層303は、堆積(CVD)技術、スピンオン技術などによって半導体基板301上に配置される。半導体基板301上は、トランジスタ、コンデンサ、あるいは他の適切なデバイス構造を有している。誘電体層303中にパターンを形成するため、周知技術が使用される。一般的には、一連のトレンチ及び/又は誘電体層303中のビアを形成するためにフォトリソグラフィ技術が使用される。当業者であれば、誘電体層303に形成されるパターンの正確な性質が本実施形態において本質的ではないことが分かる。簡単のため、図3A−Dは、1つのトレンチ305を示しており、これは相互接続配線の配置のために形成されたトレンチやビアに適用される。
【0030】
図3Aにおいて、バリア金属層307は、相互接続トレンチ又はビア305の表面上、にCVDあるいは他の互換性を有する技術によって形成される。バリア金属層307は、Ta、TaN、Ti及びTiNの1つ以上を含むことができる。一実施例において、バリア金属層307の平均の膜厚は約6nm未満である。他の実施例において、バリア金属層307の平均の膜厚は、約2nm乃至約6nmである。また、他の実施例において、バリア金属層307の平均の膜厚は、約3nm乃至約6nmである。バリア金属層307は、相互接続トレンチ又はビア305の開口の近傍に張り出し部を有している。すなわち、バリア金属層307は、相互接続トレンチ又はビア305の上端近傍の膜厚が下部の膜厚よりも大である。このため、バリア金属層307が形成された後の相互接続トレンチ又はビア305の開口幅は、底部の幅より小となる。つまり、相互接続トレンチ又はビア305の開口の径は、バリア金属層307の上部が開口の内側に張り出した分狭くなる。
【0031】
図3Bにおいて、接着層310は、バリア金属層307上に配置される。接着層310は、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、又はこれらの組み合わせを含んでいる。Coは、一般に、CVD技術を使用して配置され、一方、Ruは、CVD又は物理気相成長法(PVD)技術のいずれかを使用して配置ことができる。一実施例において、接着層310は、約1nm乃至約4nmの平均の厚さを有している。接着層310は、その上に酸化膜(図示せず)を有している。例えば、Coが接着層310として使用される場合、薄いコバルト酸化物がコバルト接着層310上に形成される。Ruが接着層310として使用される場合、薄い酸化ルテニウムが酸化ルテニウム層310上に形成される。接着層310上の酸化膜は、連続的に接着層310上に形成することができる。あるいは、酸化膜は、接着層310上に不連続的に形成されるか、点在されるか、部分的に形成される。
【0032】
他の実施例において、銅のシード層(図示せず)は、銅又は銅合金相互接続配線の残りの質量に電気メッキを行う前にスパッタリングによって堆積される。銅のシード層は、重量において少なくとも50%の銅とマンガンを含むことができる。一実施例において、銅又は銅合金シード層は、約0.5乃至約8重量パーセントのMnを含んでいる。また、他の実施例において、銅又は銅合金シード層は、Mnを含んでいない。マンガンを有する銅のシード層が使用される場合、相互接続配線を形成するための銅又は銅合金ベース材料の残りの質量は、マンガン成分を要求しない。
【0033】
図3C示すように、接着層310又はオプションの銅のシード層を配置した後、相互接続トレンチ又はビア305は、電気メッキ技術、又は他の適切な技術を用いて、銅又は銅合金ベースの材料で充填される。電気メッキした銅又は銅合金相互接続を形成するための材料は、重量において少なくとも50%の銅を含んでいる。一実施例において、銅又は銅配線は、約0.5乃至約8重量パーセントのMn313を含んでいる。他の実施例において、銅又は銅合金相互接続は、約1乃至約4重量パーセントのMn313を含んでいる。相互接続トレンチ又はビア305は、マンガンを含む銅ベース材料により充填される。マンガンを含む銅ベース材料は、相互接続トレンチ又はビア305の一部を満たす必要がある。ここに示す実施形態の特徴は、マンガンと銅を含む材料がアニールに先立って相互接続トレンチ又はビア305内に配置されること、この材料は、相互接続トレンチ又はビア305の体積を満たすために、スパッタリング又は電気メッキにより、銅のシード層の一部として配置されることである。
【0034】
相互接続トレンチ又はビア305を充填するため、電気メッキを施した後、先行の電気化学堆積プロセス中に配置された余剰材料、及び相互接続トレンチ又はビア305の外部の接着バリア307上に形成されたオプションのシード層は、図3Dに示すように、相互接続トレンチ又はビア305内の相互接続配線314から除去される。余剰電気メッキ材料の除去は、通常周知の化学機械的研磨(CMP)プロセスで行なわれる。
【0035】
銅相互接続配線の加熱及びアニールにおいて、どんな銅のシード層及び銅の相互接続配線もアニール中に溶融する。相互接続トレンチ又はビア305内に配置された銅又は銅合金ベース材料に最初に含まれたMnの少なくとも一部は、アニールプロセス中に溶解合金(アロイ・ソリューション)から除去される。Mnは、銅又は銅合金相互接続配線314の表面へ拡散し、銅又は銅合金相互接続配線314と、接着層310の間の境界に溜まる。前述したように、接着層310の金属は、処理中に酸化膜を形成する。Mnの強い還元特性のため、Mn金属は、接着層310上の酸化膜との相互作用によりMnOxに酸化する。MnOx層の酸素成分は、接着層310の酸化した表面に由来する。アニールにより銅又は銅合金ベース材料から全てのMnを取り除く必要があるとは限らないため、最終的に形成された相互接続配線314は、Mnの残りの量を含むことができる。一実施例において、MnOx中の変数xは、約0.5乃至約3.5である。
【0036】
アニール中に相互接続配線314を形成する溶解合金からMnが除去された結果、酸化マンガン層315は、銅又は銅合金相互接続配線314からバリア金属層307を分離する接着層307の表面に溜まる。酸化マンガン層315は、銅の拡散に対してバリア特性を有し、誘電体層中への銅の拡散を減少させる。一実施例において、酸化マンガン層315は、約1乃至約4nmの平均膜厚を有している。他の実施例において、酸化マンガン層315は約2乃至約3nmの平均膜厚を有している。一実施例において、酸化マンガン層315はシリコン又はシリコンの原子を含んでいない。すなわち、誘電体層303と、シリコンを含まないかシリコン原子を含む材料である銅又は銅合金相互接続配線314との間の領域がある。シリコン又はシリコン原子を含む材料が無い領域は、一実施例において、平均の膜厚が約1乃至約4nmである。他の実施形態において、シリコンが全く無い領域又はシリコン原子を含む材料は、接着層310と平均の膜厚が約1乃至約4nmの銅又は銅合金相互接続314の間に堆積されている。また他の実施例において、シリコンが全く無い領域又はシリコン原子を含む材料は、バリア金属層307と平均の膜厚が約1乃至約4nmの銅又は銅合金相互接続配線314の間に堆積される。銅又は銅合金相互接続配線314を充填した後、一度に酸化マンガン層315を形成することにより、より薄いバリア金属層307が、銅又は銅合金相互接続配線314の電気メッキ中の中心線ボイドの発生を排除する。さらに、酸化マンガン層315は化学的に安定であり、MnOxと相互接続配線314の銅との間の良好な接着をもたらす。そのため、本実施例は、弱い接着の結果としてのランダムボイドの問題を緩和する。
【0037】
一実施例において、銅又は銅合金相互接続配線314は、約150nmより大きな体積のボイドを含んでいない。他の実施例において、銅又は銅合金相互接続配線314のアニール後、約100nmより大きな体積のボイドを含んでいない。また他の実施例において、銅又は銅合金相互接続配線314は、約50nmより大きな体積のボイドを含んでいない。また他の実施例において、銅又は銅合金相互接続配線314は、約25nmより大きな体積のボイドを含んでいない。
【0038】
図4は、減少したボイドを有する銅相互接続を形成するためのフローチャートを示している。ステップ402において、相互接続トレンチ又はビアは、半導体基板上に形成された誘電体層中に形成される。相互接続トレンチ又はビアは、ダマシン又はデュアルダマシンプロセスにより形成される。誘電体層は、シリコン酸化物、又は低誘電体(low-k)材料である。ステップ404において、バリア金属層は、相互接続トレンチ又はビアの表面に設けられ、このバリア金属層は、約6nm未満の平均膜厚を有している。バリア金属層は、Ta、TaN、Ti及びTiNの1つ以上を含んでいる。ステップ406において、接着層は相互接続トレンチ又はビアの表面に設けられる。ステップ408において、相互接続トレンチ又はビアは、銅の重量が少なくとも50%のマンガンを有する相互接続材料で充填される。相互接続トレンチ又はビアを相互接続材料で充填することは、電気メッキ、ダマシン又はデュアルダマシンプロセスを用いて行われ、相互接続トレンチ又はビアの容積を満たす前にスパッタリングにより、銅含むシード層を形成することを含んでもよい。銅のシード層はマンガンを含むことができる。ステップ410において、相互接続材料で充填された相互接続トレンチ又はビアを有する半導体構造は、相互接続配線を形成するため、相互接続材料に含まれる銅をアニールするために加熱される。アニールプロセス中、相互接続材料中のマンガンは、バリア金属層と、相互接続配線の間に移動され、ここのマンガンが接着層の表面に存在する酸化層によって酸化マンガンに酸化される。ステップ412において、平均の膜厚が約6nm未満のバリア層を有し、ボイドの無い銅を含む相互接続配線を備えた半導体構造が形成される。
【0039】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
301…半導体基板、303…誘電体層、305…トレンチ、307…バリア金属層、310…接着層、314…相互接続配線、315…酸化マンガン層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層の中に相互接続トレンチ又はビアを形成し、
前記相互接続トレンチ又はビアの表面にTa、TaN、Ti及びTiNから成るグループから選ばれた1つ以上を含み,6nm未満の平均の膜厚を有し,前記相互接続トレンチ又はビアの上端近傍の膜厚が下部の膜厚よりも大であり,形成後の前記相互接続トレンチ又はビアの開口幅が,底部の幅より小となるようにバリア金属層を形成し、
前記バリア金属層の表面にCo層又はRu層からなる接着層を形成し、
前記相互接続トレンチ又はビア内にマンガンを含む銅の層を形成し、
熱処理により前記接着層と前記バリア金属層の間に1乃至約4nmの酸化マンガン層を形成する
ことを特徴とする相互接続配線を形成する方法。
【請求項2】
誘電体層の中に相互接続トレンチ又はビアを形成し、
前記相互接続トレンチ又はビアの表面にバリア金属層を形成し、
前記バリア金属層の前記表面に接着層を形成し、
前記相互接続トレンチ又はビア内にマンガンを含む銅の層を形成し、
熱処理により前記接着層と前記バリア金属層の間に酸化マンガン層を形成する
ことを特徴とする相互接続配線を形成する方法。
【請求項3】
前記バリア金属層を形成する工程は,
前記相互接続トレンチ又はビアの上端近傍の膜厚が下部の膜厚よりも大であり,形成後の前記相互接続トレンチ又はビアの開口幅が,底部の幅より小となるようにバリア金属層を形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バリア金属層は、6nm未満の平均の膜厚を有し,Ta、TaN、Ti及びTiNから成るグループから選ばれた1つ以上を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化マンガン層の平均の膜厚は約1乃至約4nmであることを特徴とする請求項2乃至4に記載の方法。
【請求項6】
前記接着層は、Co層又はRu層であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
誘電体層の中に形成された相互接続トレンチ又はビアと、
前記相互接続トレンチ又はビアの表面に形成された,Ta、TaN、Ti及びTiNから成るグループから選ばれた1つ以上を含み,6nm未満の平均の膜厚を有し,前記相互接続トレンチ又はビアの上端近傍の膜厚が下部の膜厚よりも大であり,形成後の前記相互接続トレンチ又はビアの開口幅が,底部の幅より小となるバリア金属層と、
前記バリア金属層の前記表面に形成されたCo層又はRu層からなる接着層と、
前記相互接続トレンチ又はビア内に形成されたマンガンを含む銅の層と、
前記接着層と前記バリア金属層の間に形成された1乃至約4nmの酸化マンガン層と
を具備することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−238917(P2011−238917A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98531(P2011−98531)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】