説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】圧力変動に応じて振動するダイヤフラムを有する半導体チップを備える半導体装置において、その小型化を容易に図ることができるようにする。
【解決手段】半導体チップ5と、これに電気接続される回路チップ3と、これらを収納するシールドケース7とを備え、半導体チップ5がダイヤフラム29を回路チップ3に対向させた状態で回路チップ3の表面3aに積層して配置され、シールドケース7が導電性部材に絶縁被膜を形成して構成されると共に、回路チップ3を固定する略板状のステージ部41、半導体チップ5の上面5aに対向配置された天板部43、及びステージ部41の周縁から天板部43の周縁まで延びて半導体チップ5及び回路チップ3を囲む側壁部45を備え、回路チップ3の裏面3bに外部接続端子9を形成し、ステージ部41に外部接続端子9を外方に露出させる露出用貫通孔41cを形成した半導体装置1とその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音圧センサチップや圧力センサチップ等の半導体チップを備える半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンマイクや圧力センサ等の半導体装置では、音圧センサチップや圧力センサチップ等のように、音響等の圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを有する半導体チップを回路基板の表面に実装している(例えば、特許文献1参照)。この種の半導体チップを回路基板の表面に配した状態においては、ダイヤフラムと回路基板の表面との間に空洞部が形成されることになる。また、この種の半導体装置では、回路基板の表面に、半導体チップを制御する回路チップを上記半導体チップに並べて実装している。
さらに、この半導体装置では、半導体チップや回路チップを載置する回路基板の表面に導電性材料からなる層を形成すると共に、これら半導体チップ及び回路チップを覆う蓋部材(カバー)に導電性材料からなる導電層を形成し、これら層及び導電層を電気接続している。したがって、これら層及び導電層によって、マイクチップ及び回路チップを取り囲んで電磁妨害を遮断する電磁シールドが構成されている。
【特許文献1】特表2004−537182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の半導体装置においては、半導体チップ及び回路チップを回路基板の表面に並べて配置しているため、回路基板のサイズが大きくなって半導体装置の小型化が困難になるという問題がある。
また、回路基板を形成する際には導電性材料からなる層を形成する必要があるため、この層が各チップ用の回路配線と干渉しないように層の設計を工夫する必要があり、層の形成が面倒であるという問題もある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、小型化を容易に図ることができると共に半導体チップ及び回路チップを取り囲む電磁シールドを容易に形成することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、圧力変動に応じて振動するダイヤフラムを備える半導体チップと、これに電気接続されて前記半導体チップを制御する回路チップと、これら半導体チップ及び回路チップを収納するシールドケースとを備え、前記半導体チップが、前記ダイヤフラムを前記回路チップの表面に対向させた状態で前記回路チップの表面に積層して配置され、前記シールドケースが、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成して構成されると共に、前記回路チップを配置して固定する略板状のステージ部と、前記半導体チップの上面に対向配置されて前記ダイヤフラムを外方に露出させる開口部を形成した天板部と、前記ステージ部の周縁から前記天板部の周縁まで延びて前記半導体チップ及び前記回路チップを囲む側壁部とを備え、前記回路チップの裏面に外部接続端子を形成し、前記ステージ部に、前記外部接続端子を外方に露出させる露出用貫通孔を形成することを特徴とする半導体装置を提案している。
【0005】
この発明に係る半導体装置においては、音響等の圧力変動がシールドケースの開口部を介してダイヤフラムに到達した際に、この圧力変動に基づいて半導体チップのダイヤフラムが振動することで、上記圧力変動を検出することができるようになっている。
この半導体装置を回路基板の搭載面に配置する際には、ステージ部を搭載面に対向させると共に、ステージ部の露出用貫通孔を介して外方に露出する外部接続端子を回路基板と電気接続させることで、半導体チップや回路チップを回路基板に電気接続させることができる。このため、従来のように半導体チップ及び回路チップを個別に回路基板に搭載する必要が無くなる。したがって、半導体装置の小型化を容易に図ることができると共に、回路基板の搭載面に対する半導体装置の搭載面積を小さくすることが可能となる。
【0006】
また、シールドケースを構成する導電性部材を回路基板のグランドパターンに電気接続することで、外方からシールドケースの内側に侵入しようとする電磁気的なノイズを遮断する電磁シールドを形成することができるため、ノイズが半導体チップや回路チップに到達することを確実に防止できる。
なお、積層された半導体チップ及び回路チップはシールドケースによって覆い隠されるため、これら半導体チップ及び回路チップの機械的な保護も容易に図ることができる。そして、このシールドケースの内側の寸法は、半導体チップや回路チップの大きさと略等しくできるため、半導体装置の大型化を防ぐこともできる。
そして、シールドケースは、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成した構成となっているため、シールドケースの内側の寸法を小さくしても、半導体チップや回路チップの電気回路がシールドケースによって短絡することを容易に防止できる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の半導体装置において、前記回路チップの裏面に、相互に電気接続される接地用のグランド接続端子を少なくとも2つ形成し、一方のグランド接続端子が前記外部接続端子からなり、他方のグランド接続端子を前記ステージ部の表面に対向して配置し、前記他方のグランド接続端子に対向する前記ステージ部の表面に前記導電性部材を露出させて、前記他方のグランド接続端子と前記導電性部材とを電気接続させることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0008】
この発明に係る半導体装置によれば、半導体装置を回路基板に搭載する際に一方のグランド接続端子を回路基板のグランドパターンと電気接続させるだけで、導電性部材を回路基板のグランドパターンに電気接続することができるため、上記電磁シールドを容易に形成することができる。
また、この半導体装置においては、他方のグランド接続端子と導電性部材との電気接続をステージ部の表面と略同一平面上において行うことができるため、半導体装置を回路基板に搭載する際に回路チップやステージ部が加熱されても、回路チップ及びステージ部の熱膨張係数の差に基づく応力が他方のグランド接続端子に発生することを防止できる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の半導体装置において、前記回路チップの裏面に、接地用のグランド接続端子を形成し、前記ステージ部に前記グランド接続端子を挿通させる接続用貫通孔を形成すると共に、該接続用貫通孔の内周面に前記導電性部材を露出させ、前記グランド接続端子を前記導電性部材に接触させて、前記グランド接続端子と前記導電性部材とを電気接続させることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0010】
この発明に係る半導体装置によれば、半導体装置を回路基板に搭載する際にグランド接続端子を回路基板のグランドパターンと電気接続させるだけで、導電性部材を回路基板のグランドパターンと電気接続することができるため、上記電磁シールドを容易に形成することができる。
また、この半導体装置によれば、同一のグランド接続端子を導電性部材及び回路基板のグランドパターンの両方に電気接続させることができるため、回路チップに形成するグランド接続端子の数を最小限に抑えて回路チップのサイズを小さくすることができる。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記シールドケースが、前記天板部及び少なくとも一部の前記側壁部を有する蓋体側部材と、少なくとも前記ステージ部を有する載置側部材とからなり、これら蓋体側部材及び載置側部材が、相互に嵌め合わせ可能となっていることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0012】
この発明に係る半導体装置を製造する際には、ステージ部の表面に回路チップ及び半導体チップを積層配置した後に、載置側部材及び蓋体側部材を嵌め合わせることで、天板部により半導体チップの上面を覆うことができる。したがって、ステージ部への回路チップ及び半導体チップの積層配置を簡便に行うことができる。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記露出用貫通孔の形成領域を除く前記ステージ部の表面に対向する前記回路チップの裏面の領域に、該裏面から窪んで前記ステージ部を挿入する窪み部が形成されていることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0014】
この発明に係る半導体装置によれば、回路チップをステージ部の表面に配置する際にはステージ部を回路チップの窪み部に挿入するため、ステージ部に対する回路チップの位置決めを容易に行うことができる。
また、ステージ部を窪み部に挿入することで、ステージ部の表面における回路チップの高さ寸法を低くすることができるため、半導体装置の薄型化を容易に図ることができる。
【0015】
なお、この半導体装置において、例えば、回路チップの裏面から外方に露出する外部接続端子と回路基板とを半田ボールにより電気接続する場合には半田ボールを回路チップの裏面に配置する。ここで、窪み部の深さ寸法をステージ部の厚さ寸法以上とすることで、ステージ部が回路チップの裏面から突出することを防止できるため、ステージ部が回路チップの裏面から突出する場合と比較して、上記半田ボールのサイズを小さくすることができる。
したがって、半田ボールが複数ある場合には相互に隣り合う半田ボール間のピッチを小さくできる、すなわち、隣り合う外部接続端子間のピッチを小さくして回路チップの小型化を図ることができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記側壁部に、前記シールドケースの内部から外方に貫通して、前記半導体チップや前記回路チップにおいて発生する熱を外方に逃がす放熱用孔が形成されていることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記半導体チップ及び前記回路チップが、前記ダイヤフラムの周囲に配置される環状の樹脂シートにより互いに隙間無く接着されていることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0018】
この発明に係る半導体装置によれば、ダイヤフラムが回路チップの表面に対向するように半導体チップを配置することで、ダイヤフラムと半導体チップの表面との間に中空の空洞部が形成されることになる。そして、半導体チップと回路チップとは環状の樹脂シートにより隙間無く接着されるため、上述の空洞部は半導体装置の外方に対して密封されることになる。ここで、空洞部の大きさは、予め形成された樹脂シートの寸法や形状に応じて容易に設定することができるため、半導体装置の製造に際して空洞部の容積が不意に変化することを防止して、ダイヤフラムの振動特性が変化することを防ぐことができる。
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の半導体装置において、前記ダイヤフラムに対向する前記回路チップの表面に、該表面から窪む凹部が形成されていることを特徴とする半導体装置を提案している。
この発明に係る半導体装置によれば、回路チップに、その表面から窪む凹部を形成しておくことで、ダイヤフラムと回路チップとにより画定される空洞部の容積を拡大することができる。
【0020】
請求項9に係る発明は、圧力変動に応じて振動するダイヤフラムを備える半導体チップ、及び、これに電気接続されて前記半導体チップを制御する回路チップを、シールドケース内に収納すると共に前記ダイヤフラムを前記シールドケースの外方に露出させる半導体装置の製造方法であって、前記ダイヤフラムを前記回路チップに対向させた状態で、前記回路チップの表面に前記半導体チップを積層して、前記半導体チップ及び前記回路チップを接着固定すると共に相互に電気接続するチップ積層工程と、前記シールドケースの一方を構成し、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成してなる載置側部材に備える略板状のステージ部の表面に前記回路チップを固定すると共に、前記ステージ部に形成された露出用貫通孔を介して前記回路チップの裏面に形成された外部接続端子を外方に露出させるチップ固定工程と、前記シールドケースの他方を構成し、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成してなる蓋体側部材を、積層状態の前記回路チップ及び前記半導体チップに覆い被せると共に前記載置側部材に嵌め合わせるケース嵌合工程とを備え、前記ケース嵌合工程において、前記蓋体側部材と前記載置側部材との嵌め合わせ部分を擦り合わせて、該嵌め合わせ部分の前記絶縁被膜を削り落とし、前記蓋体側部材の前記導電性部材と前記載置側部材の前記導電性部材とを直接接触させることを特徴とする半導体装置の製造方法を提案している。
【0021】
この発明に係る半導体装置の製造方法によれば、チップ積層工程及びチップ固定工程を行うことで、ステージ部の表面に回路チップ及び半導体チップを順次積層された状態となり、この状態においてケース嵌合工程を行うだけで、半導体チップ及び回路チップを積層した状態でシールドケース内に収納しながら回路チップの外部接続端子を外方に露出させた上記構成の半導体装置を容易に製造することができる。
したがって、半導体装置の小型化を容易に図ることができると共に、回路基板の搭載面に対する半導体装置の搭載面積を小さくすることが可能となる。また、半導体装置の大型化を防ぎながらシールドケースにより半導体チップ及び回路チップの保護を容易に図ることもできる。
【0022】
また、この発明に係る半導体装置の製造方法によれば、ケース嵌合工程において、嵌め合わせ部分の絶縁被膜を削り落とし、蓋体側部材の導電性部材と載置側部材の導電性部材とを直接接触させることで電気接続することができる。これにより、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成した上記構成のシールドケースを簡便に構成することができる。
したがって、2つの導電性部材のいずれか一方のみを回路基板のグランドパターンに電気接続するだけで、上記電磁シールドを形成することができる。
【0023】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、前記チップ固定工程において、前記回路チップの裏面に形成された接地用のグランド接続端子を前記ステージ部の導電性部材に接触させることを特徴とする半導体装置の製造方法を提案している。
この発明に係る半導体装置の製造方法によれば、チップ固定工程においてステージ部の導電性部材をグランド接続端子に電気接続しておくことで、回路チップを介してシールドケースを構成する導電性部材を回路基板のグランドパターンに電気接続することができるため、上記電磁シールドを容易に形成することができる。
【0024】
請求項11に係る発明は、請求項9又は請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、前記チップ固定工程において、前記回路チップの裏面から窪む窪み部に、前記露出用貫通孔の形成領域を除くステージ部を挿入することを特徴とする半導体装置の製造方法を提案している。
【発明の効果】
【0025】
請求項1及び請求項9に係る発明によれば、半導体チップ及び回路チップを積層して半導体装置が構成されるため、半導体装置の小型化を容易に図ることができると共に、回路基板の搭載面における半導体装置の搭載面積を小さくすることができる。
さらに、導電性部材に絶縁被膜を形成したシールドケースにより半導体チップ及び回路チップを取り囲むことにより、半導体装置の外方側において発生した電気的なノイズが半導体チップに到達することを確実かつ容易に防ぐことができ、ノイズに基づく半導体チップや回路チップの誤作動を確実に防止することができる。
また、シールドケースを設けることで半導体装置の大型化を防ぎながら半導体チップ及び回路チップの保護を図ることもできる。
【0026】
請求項2、請求項3及び請求項10に係る発明によれば、ステージ部の導電性部材を回路チップのグランド接続端子に電気接続させることで、上記電磁シールドを容易に形成することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、熱膨張係数の差に基づく応力が他方のグランド接続端子に発生することを防止できるため、他方のグランド接続端子と導電性部材との電気接続を確実に保持することができる。
また、請求項3に係る発明によれば、回路チップに形成するグランド接続端子の数を最小限に抑えて回路チップのサイズを小さくすることができるため、半導体装置の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、ステージ部への回路チップ及び半導体チップの積層配置を簡便に行うことができるため、半導体装置の製造を容易に行うことができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、回路チップの裏面にステージ部を挿入させる窪み部を形成することで、ステージ部に対する回路チップの位置決めを容易に行うことができると共に、半導体装置の薄型化を容易に図ることができる。
また、外部接続端子と回路基板とを半田ボールにより電気接続する場合には、相互に隣り合う半田ボール間のピッチを小さくして回路チップの小型化を図ることができるため、半導体装置の更なる小型化を図ることができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、シールドケースに放熱用孔を形成することで半導体チップや回路チップにおいて発生した熱を容易に外方に放熱できる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、半導体装置の製造に際して空洞部の容積が不意に変化することを防止して、ダイヤフラムの振動特性が変化することを防ぐことができるため、半導体装置の歩留まりを向上させて、半導体装置の製造効率の向上を図ることができる。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、回路チップに凹部を形成することにより、空洞部の容積拡大を簡便に図ることができるため、ダイヤフラムが振動しにくくなることを抑制できる。したがって、音響等の圧力変動をダイヤフラムの振動により精度良く検出することが可能となる。
また、従来のように、回路基板に空洞部を拡大するための凹部を形成する必要が無いため、強度等を考慮して回路基板の厚さ寸法を大きくする必要も無くなり、半導体装置を搭載する回路基板の薄型化を容易に図ることが可能となる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、チップ積層工程、チップ固定工程及びケース嵌合工程を行うだけで前述した構成の半導体装置を容易に製造できるため、半導体装置の製造効率を向上させることができる。
【0033】
請求項11に係る発明によれば、チップ固定工程においてステージ部を回路チップの窪み部に挿入することで、ステージ部に対する回路チップの位置決めを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図1〜5を参照して本発明の第1実施形態に係る半導体装置について説明する。図1,2に示すように、この実施形態に係る半導体装置1は、図示しない回路基板の搭載面に搭載されるように構成されており、LSIチップ(回路チップ)3と、その表面3a側に積層されてLSIチップ3に電気接続されるシリコンマイクチップ(半導体チップ)5と、これらLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を収納するシールドケース7とを備えている。ここで、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5は同じサイズに形成されている。すなわち、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を積層した状態においては、シリコンマイクチップ5がLSIチップ3の側部からはみ出さないようになっている。
【0035】
LSIチップ3は、後述するシールドケース7のステージ部41に配置されるようになっており、このステージ部41に対向するLSIチップ3の裏面3bには、回路基板と電気接続するための外部接続端子9が複数形成されている。各外部接続端子9は、LSIチップ3の裏面3bからシリコンマイクチップ5に対向する表面3aまで貫通してシリコンマイクチップ5を回路基板に電気接続させるための貫通電極を構成している。
このLSIチップ3は、その表面3a側をなすLSIチップ本体13と、裏面3b側をなす配線パッケージ部15とから構成されている。
【0036】
LSIチップ本体13は、例えばシリコンにより形成されており、シリコンマイクチップ5を制御する役割を果たしている。すなわち、LSIチップ本体13は、例えばシリコンマイクチップ5からの電気信号を増幅するための増幅回路や、前記電気信号をデジタル信号として処理するためのDSP(デジタルシグナルプロセッサ)、A/D変換器等を含んでいる。
このLSIチップ本体13には、その厚さ方向に貫通してLSIチップ本体13の表面3a及び裏面13bに露出する貫通ビア17が設けられている。この貫通ビア17は、LSIチップ本体13の厚さ方向に貫通する貫通孔17a内に導電性材料からなるメタル配線部17bを形成して構成されており、このメタル配線部17bがLSIチップ本体13の表面3a及び裏面13bに露出している。なお、メタル配線部17bは、貫通孔17aとLSIチップ本体13の厚さ方向に重なる位置にも形成されている。
【0037】
配線パッケージ部15は、LSIチップ本体13の裏面13bを覆う絶縁層19と、絶縁層19に封止されて貫通ビア17のメタル配線部17bをLSIチップ3の裏面3bまで配線する配線部21とを備えている。すなわち、これら貫通ビア17及び配線部21により上述した貫通電極となる外部接続端子9が構成されることになる。
配線部21は、LSIチップ本体13の裏面13bに形成された再配線層21aや、再配線層21aからLSIチップ3の裏面3bまで延びる銅ポスト21bにより構成されている。銅ポスト21bの先端は、絶縁層19からなるLSIチップ3の裏面3bから外方に露出しており、上記先端には半田ボール27が取り付けられている。半田ボール27は、LSIチップ3の外部接続端子9を回路基板の搭載面に形成される電極パッド(不図示)に接合させるものである。
【0038】
なお、図示はしていないが、配線パッケージ部15にはLSIチップ本体13の電気回路をLSIチップ3の裏面3bまで配線するチップ配線部が、LSIチップ3を回路基板と電気接続するための外部接続端子として封止されている。このチップ配線部は、上記配線部21と同様の再配線層や銅ポストにより構成されている。
シリコンマイクチップ5は、音響を電気信号に変換するシリコン製の音圧センサチップである。すなわち、このシリコンマイクチップ5は、半導体装置1の外側に位置する外方空間からの音響等の圧力変動に応じて振動するダイヤフラム29を備えている。ダイヤフラム29は、シリコンマイクチップ5の厚さ方向に振動するように構成されている。なお、このシリコンマイクチップ5には、その表面(上面)5aから窪む凹部31が形成されており、この凹部31の底面が上記ダイヤフラム29により構成されている。この凹部31は、例えばシリコンエッチングにより形成されている。
【0039】
このシリコンマイクチップ5は、上記ダイヤフラム29をLSIチップ3に対向させた状態でLSIチップ3の表面3aに配置されている。なお、シリコンマイクチップ5のダイヤフラム29に対向するLSIチップ3の表面3aには、この表面3aから窪む凹部33が形成されている。
また、LSIチップ3の表面3aに対向するシリコンマイクチップ5の裏面5bには、接続端子35が突出して設けられている。この接続端子35は、裏面5bに形成された電極パッド35aに突出するスタッドバンプ35bを設けて構成されている。ここで、スタッドバンプ35bは、例えば、ボンディングワイヤーの製法によって形成される高さ20〜50μmの突起構造物であり、金(Au)により形成されている。なお、スタッドバンプ35bは、例えば、電気メッキ法によって形成されるバンプであっても良い。このバンプは、高さ20〜80μmの突起構造物であり、金(Au)又は半田(スズ(Sn)と銀(Ag)を含む合金等)により形成されている。
【0040】
このように構成された接続端子35は、LSIチップ3の表面3aに露出する貫通ビア17のメタル配線部17bに対向して配置されており、LSIチップ3の外部接続端子9と電気接続されるようになっている。より具体的には、貫通孔17aと重なる位置に配されたメタル配線部17bに接続端子35が対向するようになっている。
すなわち、このシリコンマイクチップ5は、貫通電極をなす外部接続端子9を介して回路基板と電気接続できるようになっている。また、接続端子35を貫通ビア17のメタル配線部17b上に配置した状態においては、LSIチップ3の表面3aとシリコンマイクチップ5の裏面5bとの間にスタッドバンプ35bによる隙間が形成されることになる。
【0041】
これらLSIチップ3の外部接続端子9とシリコンマイクチップ5の接続端子35との間には、ダイヤフラム29の周囲に配置される環状の樹脂シート37が設けられている。この樹脂シート37は、LSIチップ3とシリコンマイクチップ5とを接着する役割を果たしており、その厚さ方向に導電性を有すると共に表面に沿う方向に絶縁性を有する異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)により構成されている。
この異方性導電フィルムは、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5よりも軟質な樹脂材料に導電性を有する導電粒子を含んで構成されている。ここで、樹脂材料は例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなり、導電粒子は例えば金めっきや銀めっきを施したプラスチック粒子やNi粒子等により構成されている。
【0042】
LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5は、上記樹脂シート37を構成する樹脂材料によって互いに隙間無く接着されており、外部接続端子9及び接続端子35は、上記樹脂シート37に含まれる導電粒子を介して相互に接触して電気接続されている。
したがって、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を積層した状態においては、ダイヤフラム29とLSIチップ3との間に中空の空洞部S1が形成されることになる。この空洞部S1は、樹脂シート37によって囲まれたLSIチップ3の表面3aとシリコンマイクチップ5の裏面5bとの隙間、及び、LSIチップ3の表面3aから窪んだ凹部33により構成されている。ここで、LSIチップ3とシリコンマイクチップ5とは樹脂シート37により隙間無く接着されているため、上記空洞部S1は半導体装置1の外方に対して密封されることになる。
【0043】
シールドケース7は、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の略全体を覆うように構成されている。すなわち、シールドケース7は、表面41aにLSIチップ3を配置して固定する略板状のステージ部41と、シリコンマイクチップ5の表面5aに対向配置される略板状の天板部43と、ステージ部41の周縁から天板部43の周縁まで延びてLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の側部を囲む側壁部45とを備えている。
天板部43には、シリコンマイクチップ5のダイヤフラム29を外方に露出させる開口部43aが1つ形成されている。また、側壁部45には、シールドケース7の内部から外方に貫通する放熱用孔45aが複数形成されており、この放熱用孔45aを介してLSIチップ3やシリコンマイクチップ5から発生する熱を効率よくシールドケース7の外方に逃がすことができるようになっている。
【0044】
ステージ部41には、その厚さ方向に貫通してLSIチップ3の外部接続端子9を外方に露出させる露出用貫通孔41cが形成されている。
そして、図3及び図3のA−A矢視断面図となる図1に示すように、上記露出用貫通孔41cの形成領域を除くステージ部41の表面41aに対向するLSIチップ3の裏面3bの領域には、この裏面3bから窪む窪み部19aが形成されている。具体的には、この窪み部19aは絶縁層19に形成されている。したがって、LSIチップ3をステージ部41に配置する際には、ステージ部41が窪み部19aに挿入されることになる。なお、窪み部19aの深さ寸法は、ステージ部41の厚さ寸法と略等しくなっており、ステージ部41がLSIチップ3の裏面3bから突出することを防止している。
このステージ部41とLSIチップ3との固定は、LSIチップ3の裏面3bをなす窪み部19aの底面とステージ部41の表面41aとの間にダイボンド用の接着剤B1を配すればよい。なお、この接着剤B1は、例えば図3に示すように、LSIチップ3の裏面3bの四隅に塗布すればよい。
【0045】
また、このシールドケース7は2つの部材を嵌め合わせることで構成されている。すなわち、シールドケース7は、図1,5に示すように、ステージ部41からなる載置側部材と、天板部43及び側壁部45からなる蓋体側部材53とからなり、これらステージ部41及び蓋体側部材53が相互に嵌め合わせ可能となっている。
具体的には、載置側部材をなすステージ部41の周縁には、その表面41a方向に突出する突起部41dが複数形成され、天板部43から延びる側壁部45の先端に各突起部41dを嵌め込むための凹部45bが形成されている。したがって、ステージ部41及び蓋体側部材53を相互に嵌め合わせた状態においては、側壁部45の先端がステージ部41の側部に配されることになる。
なお、この嵌め合わせ状態においては、ステージ部41の表面41aと同一平面に位置する突起部41dの表面と凹部45bの底面とが相互に接触することになるが、これら突起部41dの表面と凹部45bの底面との間に接着剤B2を塗布しておくことにより、ステージ部41及び蓋体側部材53の固定強度を補強することができる(図4参照)。
【0046】
上述した蓋体側部材53の内側の寸法は、積層したLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の大きさと略等しくなっている。すなわち、蓋体側部材53の天板部43がシリコンマイクチップ5の表面5aとの間に微小な隙間を介して対向配置されると共に、蓋体側部材53の側壁部45がLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の側面との間に微小な隙間を介して対向配置されている。
これらステージ部41及び蓋体側部材53は、各々上述した形状に形成された導電性部材61a,63aの表面に絶縁被膜61b,63bを形成して構成されている。具体的には、アルミニウムからなる導電性部材61a,63aにアルマイト処理を施すことで絶縁被膜61b,63bが形成されている。なお、上記アルマイト処理は、導電性部材61a,63aをステージ部41、蓋体側部材53の各形状に形成した後に施されるため、ステージ部41の露出用貫通孔41c、天板部43の開口部43a及び側壁部45の放熱用孔45aの各内周面にも絶縁被膜61b,63bが形成されることになる。
【0047】
これらステージ部41の導電性部材61aと蓋体側部材53の導電性部材63aとは、嵌め合わせの際に突起部41d及び凹部45bの側部を擦り合わせてこの部分の絶縁被膜61b,63bを削り落とすことで、直接接触することになる。すなわち、ステージ部41の導電性部材61aと蓋体側部材53の導電性部材63aとが相互に電気接続されることになる。
また、ステージ部41の導電性部材61aは、LSIチップ3に形成される接地用のグランド接続端子を介して回路基板のグランドパターンと電気接続することができるようになっている。すなわち、図3,4に示すように、LSIチップ3の裏面3bをなす窪み部19aの底面には上記グランド接続端子(他方のグランド接続端子)67が形成されており、このグランド接続端子67に対向するステージ部41の表面41aに導電性部材61aを露出させて上記グランド接続端子67と電気接続させる。具体的には、露出した導電性部材61aとグランド接続端子67とを導電性接着剤68により電気接続する。
なお、上述した導電性部材61aの露出は、例えば上述したアルマイト処理を行う際にマスキングを施して絶縁被膜61bが形成されないようにすればよい。
【0048】
このグランド接続端子67は、上述した外部接続端子9と同様に、貫通孔69aとメタル配線部69bとから構成される貫通ビア69及び再配線層71aと銅ポスト71bとから構成される配線部71を有しており、LSIチップ3の裏面3bからシリコンマイクチップ5に対向する表面3aまで貫通する貫通電極を構成している。
また、LSIチップ3の表面3aに対向するシリコンマイクチップ5の裏面5bには、シリコンマイクチップ5を回路基板のグランドパターンに電気接続するためのグランド端子73が形成されている。このグランド端子73は、上述したシリコンマイクチップ5の接続端子35と同様に電極パッド73a及びスタッドバンプ73bにより構成されており、樹脂シート37を介して上記グランド接続端子67に電気接続される。
また、上記のように構成されたグランド接続端子67は、回路基板のグランドパターンに接続されてグランド接続端子として機能する1つの外部接続端子(一方のグランド接続端子)9に電気接続されている。以上のことから、ステージ部41の導電性部材61aをグランド接続端子67及び1つの外部接続端子9を介して回路基板のグランドパターンに電気接続することができる。
【0049】
以上のように構成された半導体装置1を製造する際には、はじめに、LSIチップ3の表面3aにシリコンマイクチップ5を積層して、シリコンマイクチップ5及びLSIチップ3を接着固定すると共に相互に電気接続する(チップ積層工程)。
このチップ積層工程においては、はじめに、凹部33の周囲に位置してLSIチップ3の表面3aに樹脂シート37を仮止めしておく。この際には、樹脂シート37が各貫通ビア17,69のメタル配線部17b,69b上にも配置される。また、上記樹脂シート37の仮止めと同時若しくは前後に、シリコンマイクチップ5の電極パッド35a,73aにスタッドバンプ35b,73bを形成して接続端子35やグランド端子73を構成しておく。
【0050】
次いで、各接続端子35やグランド端子73を各貫通ビア17,69に対向させた状態で、LSIチップ3の表面3aにシリコンマイクチップ5を積層する。
この際には、シリコンマイクチップ5側から圧力をかけながら樹脂シート37を加熱する。これにより、樹脂シート37を構成する樹脂材料が溶融して、接続端子35やグランド端子73のスタッドバンプ35b,73bが樹脂シート37内に沈み込むと共に、樹脂シート37の導電粒子が相互に対向するメタル配線部17b,69bとスタッドバンプ35b,73bとの間に挟み込まれることになる。以上により、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5が相互に接着固定されると共に、外部接続端子9及び接続端子35、また、グランド接続端子67及びグランド端子73が相互に電気接続されることになり、チップ積層工程が終了する。
【0051】
チップ積層工程の終了後には、LSIチップ3をステージ部41の表面41aに固定する(チップ固定工程)。この工程においては、露出用貫通孔41cの形成領域を除くステージ部41をLSIチップ3の窪み部19aに挿入する。これにより、LSIチップ3の外部接続端子9が、ステージ部41の露出用貫通孔41cを介して外方に露出することになる。
また、この工程においては、導電性接着剤68を介して窪み部19aの底面に位置するグランド接続端子67をステージ部41の表面41aに露出する導電性部材61aに接触させて電気接続する。
【0052】
最後に、蓋体側部材53を積層状態のLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5に覆い被せると共にステージ部41に嵌め合わせる(ケース嵌合工程)ことで、半導体装置1の製造が完了する。
このケース嵌合工程においては、ステージ部41と蓋体側部材53との嵌め合わせ部分となる突起部41d及び凹部45bの側部を擦り合わせて、この嵌め合わせ部分の絶縁被膜61b,63bを削り落とし、ステージ部41の導電性部材61aと蓋体側部材53の導電性部材63aとを直接接触させる。
【0053】
以上のように製造された半導体装置1を回路基板に搭載する際には、ステージ部41の裏面41b及びLSIチップ3の裏面3bを回路基板の搭載面に対向させると共に半田ボール27を回路基板の電極パッドに接触させた状態で、半田ボール27を加熱しながら半導体装置1を回路基板に押しつける。これにより、半導体装置1が回路基板の搭載面に固定されると共にLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5が回路基板と電気接続されることになる。
この半導体装置1においては、音響等の圧力変動がシールドケース7の開口部43aを介してシリコンマイクチップ5のダイヤフラム29に到達した際に、この圧力変動に基づいてダイヤフラム29が振動することで、上記圧力変動を検出することができる。
【0054】
上記半導体装置1及びその製造方法によれば、貫通電極をなす外部接続端子9を回路基板に電気接続させることで、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を回路基板に電気接続できるため、従来のようにシリコンマイクチップ5及びLSIチップ3を個別に回路基板に搭載する必要が無くなる。したがって、半導体装置1の小型化を容易に図ることができると共に、回路基板の搭載面における半導体装置1の搭載面積を小さくすることが可能となる。具体的には、半導体装置1や上記搭載面積をチップサイズパッケージの大きさとすることができる。
また、シールドケース7を構成する導電性部材61a,63aを回路基板のグランドパターンに電気接続することで、外方からシールドケース7の内側に侵入しようとする電磁気的なノイズを遮断する電磁シールドを形成することができるため、ノイズがLSIチップ3やシリコンマイクチップ5に到達することを容易かつ確実に防止できる。したがって、ノイズに基づくLSIチップ3やシリコンマイクチップ5の誤作動を確実に防止することができる。
【0055】
さらに、導電性部材61a,63aはLSIチップ3のグランド接続端子67及び1つの外部接続端子9を介して回路基板と電気接続されているため、半導体装置1を回路基板に搭載するだけで、導電性部材61a,63aと回路基板とを電気接続させることができ、上記電磁シールドを容易に形成することができる。
また、グランド接続端子67と導電性部材61aとの電気接続は、ステージ部41の表面41aと略同一平面上において行われるため、半導体装置1を回路基板に搭載する際にLSIチップ3やステージ部41が加熱されても、LSIチップ3及びステージ部41の熱膨張係数の差に基づく応力がグランド接続端子67に発生することを防止できる。したがって、グランド接続端子67と導電性部材61aとの電気接続を確実に保持することができる。
【0056】
さらに、積層されたLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5はシールドケース7によって覆い隠されるため、これらLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の機械的な保護も容易に図ることができる。そして、このシールドケース7の内側の寸法は、LSIチップ3やシリコンマイクチップ5の大きさと略等しくできるため、半導体装置1の大型化を防ぐこともできる。
また、シールドケース7は、導電性部材61a,63aの表面に絶縁被膜61b,63bを形成した構成となっているため、シールドケース7の内側の寸法を小さくしても、LSIチップ3やシリコンマイクチップ5の電気回路がシールドケース7によって短絡することを容易に防止できる。
【0057】
さらに、シールドケース7を相互に嵌め合わせ可能なステージ部41及び蓋体側部材53とにより構成することで、ステージ部41の表面41aにLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を積層配置した後に、ステージ部41及び蓋体側部材53を嵌め合わせることができる。すなわち、上記積層配置の後に、天板部43によりシリコンマイクチップ5の表面5aを覆うことができる。したがって、ステージ部41へのLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の積層配置を簡便に行うことができ、半導体装置1の製造を容易に行うことができる。
【0058】
また、LSIチップ3をステージ部41の表面41aに載置する際にはステージ部41を窪み部19aに挿入するため、ステージ部41に対するLSIチップ3の位置決めを容易に行うことができる。
さらに、ステージ部41を窪み部19aに挿入することで、ステージ部41の表面41aにおけるLSIチップ3の高さ寸法を低くすることができるため、半導体装置1の薄型化を容易に図ることができる。
【0059】
また、窪み部19aに挿入されたステージ部41はLSIチップ3の裏面3bから突出しないため、ステージ部41が上記裏面3bから突出する場合と比較して、裏面3bに取りつけられる半田ボール27のサイズを小さくすることができる。これにより、相互に隣り合う半田ボール27間のピッチを小さくできる、すなわち、隣り合う外部接続端子9間のピッチを小さくでき、LSIチップ3の小型化を図ることが可能となる。したがって、半導体装置1の更なる小型化を図ることができる。
【0060】
さらに、樹脂シート37により密封されてダイヤフラム29とLSIチップ3との間に形成される空洞部S1の大きさは、予め形成された樹脂シート37の寸法や形状に応じて容易に設定することができるため、半導体装置1の製造に際して空洞部S1の容積が不意に変化することを防止して、ダイヤフラム29の振動特性が変化することを防ぐことができる。したがって、半導体装置1の歩留まりを向上させて、半導体装置1の製造効率の向上を図ることができる。
【0061】
また、LSIチップ3に凹部33を形成することにより、空洞部S1の容積拡大を簡便に図ることができるため、ダイヤフラム29が振動しにくくなることを抑制できる。したがって、音響等の圧力変動をダイヤフラム29の振動により精度良く検出することが可能となる。
また、従来のように、回路基板に空洞部S1を拡大するための凹部を形成する必要が無いため、強度等を考慮して回路基板の厚さ寸法を大きくする必要も無くなり、半導体装置1を搭載する回路基板の薄型化を容易に図ることが可能となる。
【0062】
さらに、シリコンマイクチップ5とLSIチップ3とを接着する樹脂シート37として異方性導電フィルムを使用することで、樹脂シート37を介して貫通ビア17,67のメタル配線部17b,67bと接続端子35やグランド端子73とを接触させて電気接続することができる、すなわち、異方性導電フィルムにより貫通ビア17,67と接続端子35やグランド端子73とを接合することができる。したがって、貫通ビア17と接続端子35やグランド端子73とを接合するための別途接合部材を用意する必要が無くなり、貫通ビア17と接続端子35やグランド端子73との電気接続を容易に行うことができる。
【0063】
また、異方性導電フィルムを使用することで、LSIチップ3の表面3a上で相互に隣り合う貫通ビア17,67同士や、シリコンマイクチップ5の裏面5b上で相互に隣り合う接続端子35やグランド端子73同士が電気接続されることも容易に防止できるため、相互に隣り合う貫通ビア17,67間、接続端子35間、グランド端子73間のピッチを小さくすることができる。したがって、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の更なる小型化を図ることができる。
さらに、異方性導電フィルムを構成してLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を相互に接着させる樹脂材料は、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5よりも軟質であるため、互いに接着されたLSIチップ3とシリコンマイクチップ5との間に発生する応力を樹脂シート37の変形により緩和することができる。
【0064】
また、上記半導体装置1の製造方法によれば、チップ積層工程及びチップ固定工程を行うことで、ステージ部41の表面41aにLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を順次積層された状態となり、この状態においてケース嵌合工程を行うだけで、LSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を積層した状態でシールドケース7内に収納しながらLSIチップ3の外部接続端子9を外方に露出させる半導体装置1を容易に製造することができる。
さらに、上記製造方法によれば、ケース嵌合工程において、嵌め合わせ部分の絶縁被膜61b,63bを削り落とし、ステージ部41の導電性部材61aと蓋体側部材53の導電性部材63aとを直接接触させて電気接続することができるため、電気的に一体とされた導電性部材61a,63aの表面に絶縁被膜61b,63bを形成したシールドケース7を簡便に構成することができる。
以上のことから、半導体装置1を容易に製造することができ、半導体装置1の製造効率を向上させることができる。
【0065】
次に、本発明による第2実施形態について図6,7を参照して説明する。なお、この第2実施形態の半導体装置は、主として第1実施形態とグランド接続端子の構成についてのみ異なっている。ここでは、主に上記相違点についてのみ説明し、第1実施形態の半導体装置1の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図6は、図7におけるC−C矢視断面図となっている。これら図6,7に示すように、この実施形態に係る半導体装置81においては、LSIチップ3に形成される接地用のグランド接続端子83が、ステージ部41に形成される接続用貫通孔85に挿通されている。
すなわち、上記グランド接続端子83は、第1実施形態のグランド接続端子67と同様に、貫通孔87aとメタル配線部87bとから構成される貫通ビア87及び再配線層89aと配線用ポスト89bとから構成される配線部89を有している。なお、配線用ポスト89bは第1実施形態における銅ポスト71bに対応している。そして、このグランド接続端子83においては、配線用ポスト89bがLSIチップ3の裏面3bをなす窪み部19aの底面から突出しており、この突出部分の外周面がステージ部41の接続用貫通孔85の内周面に接触している。
【0067】
また、接続用貫通孔85の内周面にはステージ部41を構成する導電性部材61aが露出しているため、この導電性部材61aとグランド接続端子83とが電気接続されることになる。なお、上述した導電性部材61aの露出は、例えば絶縁被膜61bを形成するアルマイト処理の終了後に接続用貫通孔85を形成することで実現できる。
接続用貫通孔85に挿通される配線用ポスト89bの先端は、ステージ部41の裏面41bと略同一平面を形成するように形成されており、この先端には外部接続端子9に取りつけられるものと同様の半田ボール91が取りつけられている。
なお、接続用貫通孔85に挿通される配線用ポスト89bの突出部分は、例えば、LSIチップ3をステージ部41に載置した後に、接続用貫通孔85内に半田等の導電性材料を充填して形成すればよい。
【0068】
上記構成の半導体装置81を製造する際には、第1実施形態と同様のチップ積層工程及びチップ固定工程を行う。ただし、チップ固定工程においては、ステージ部41をLSIチップ3の窪み部19aに挿入してLSIチップ3をステージ部41に載置した後に、接続用貫通孔85内に半田等の導電性材料を充填して配線用ポスト89bを形成する等して、グランド接続端子83を接続用貫通孔85の内周面に露出するステージ部41の導電性部材61aに接触させて電気接続する。
そして、このチップ固定工程の後に第1実施形態と同様のケース嵌合工程を行うことで、半導体装置81の製造が完了する。
【0069】
この半導体装置81及びその製造方法によれば、実施形態1と同様の効果を奏する。すなわち、半導体装置81を回路基板に搭載する際に半田ボール91を介してグランド接続端子83と回路基板のグランドパターンとを電気接続するだけで、導電性部材61a,63aと上記グランドパターンとを電気接続させることができるため、電磁シールドを容易に形成することができる。
また、この半導体装置81によれば、同一のグランド接続端子83を導電性部材61a及び回路基板のグランドパターンの両方に電気接続させることができるため、第1実施形態のようにグランド接続端子として機能させる外部接続端子9が不要となる。したがって、LSIチップ3に形成するグランド接続端子の数を最小限に抑えてLSIチップ3のサイズをさらに小さくすることができる。
【0070】
なお、上述した2つの実施形態においては、同じサイズのLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を備える半導体装置1,81について述べたが、これに限ることはなく、異なるサイズのLSIチップ及びシリコンマイクチップを備える半導体装置に適用することができる。すなわち、シリコンマイクチップ5は、例えば図8に示すように、LSIチップ3よりも小さいサイズに形成される、すなわち、LSIチップ3がシリコンマイクチップ5の側部からはみ出すような大きさに形成されるとしても構わない。
この構成の場合には、積層したLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を覆う蓋体側部材101の側壁部103に段差部103cを形成しておくことで、側壁部103をLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の側面との間に微小な隙間を介して対向配置させることができる。
【0071】
すなわち、この側壁部103は、シリコンマイクチップ5の周囲に配置されてシリコンマイクチップ5の側面との間に微小な隙間を介して対向する筒状の小径部103aと、この周囲に配置されてLSIチップ3の側面との間に微小な隙間を介して対向する筒状の大径部103bと、これら小径部103a及び大径部103bを連結する環状の段差部103cとを備えている。なお、上記実施形態と同様の放熱用孔103dは、例えば図示のように小径部103aや大径部103bに形成すればよい。
【0072】
そして、上述のようにシリコンマイクチップ5のサイズがLSIチップ3よりも小さい場合には、図示のように接続端子35が貫通孔17aからずれた位置に形成されることがあるが、この場合には、メタル配線部17bを貫通孔17aの形成位置から接続端子35に対向する位置までLSIチップ3の表面3aに延ばして形成すればよい。なお、この場合には、貫通孔17aとLSIチップ3の厚さ方向に重なる位置にメタル配線部17bを形成する必要はない。
また、図示はしていないが、シリコンマイクチップ5のグランド端子73がグランド接続端子67を構成する貫通孔69aからずれた位置に形成された場合も、上述と同様に、メタル配線部69bを貫通孔69aの形成位置からグランド端子73に対向する位置まで延ばして形成すればよい。
【0073】
また、シリコンマイクチップ5は、例えば図9に示すように、LSIチップ3よりも大きいサイズに形成される、すなわち、シリコンマイクチップ5がLSIチップ3の側部からはみ出すような大きさに形成されるとしても構わない。この構成の場合には、シリコンマイクチップ5の側面との間に微小な隙間を介して対向配置させるように蓋体側部材111の側壁部113を形成すればよい。この場合には、相互に対向するLSIチップ3の側面と側壁部113との隙間が大きくなる。
なお、この構成の場合には、シリコンマイクチップ5の接続端子35やグランド端子73がLSIチップ3の表面3aに設けられるメタル配線部17b,69bに対向するように、シリコンマイクチップ5の裏面5bにおける接続端子35やグランド端子73の形成位置を考慮する必要がある。
【0074】
また、上述した2つの実施形態において、シールドケース7は、載置側部材であるステージ部41の上方側から蓋体側部材53を被せるように構成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも互いに嵌め合わせ可能な載置側部材及び蓋体側部材により構成されていればよい。
すなわち、例えば図10に示すように、シールドケース121は、略板状のステージ部122を有する載置側部材123の側方側から蓋体側部材125をスライドさせて、これら載置側部材123及び蓋体側部材125を相互に嵌め合わせるように構成されるとしても構わない。
【0075】
具体的には、ステージ部122及び蓋体側部材125の側壁部127Aにステージ部122の表面122a方向に延びるスリット122c,127cをそれぞれ形成しておき、これら2つのスリット122c,127cを相互に挿通させることで、載置側部材123及び蓋体側部材125嵌め合わせればよい。なお、この構成の場合においては、例えば、2つのスリット122c,127cを相互に挿通させる際にスリット122c,127cの部分に形成される絶縁被膜を削り落とすようにすれば、蓋体側部材125及びステージ部122を構成する導電性部材を相互に電気接続させることができる。
【0076】
また、上述の構成の場合においては、ステージ部122に積層されたLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を蓋体側部材125の側方から内部に挿入する必要がある。そこで、天板部129及び一部の側壁部127A(以下、一の側壁部127Aと呼ぶ。)を一体的に形成して蓋体側部材125を構成し、蓋体側部材125にLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5を挿入させるための開口部125Aを形成すればよい。また、ステージ部122及び一の側壁部127Aと共にLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5の周囲を取り囲む他の側壁部127Bを一体的に形成して載置側部材123を構成すればよい。これにより、載置側部材123及び蓋体側部材125を相互に嵌め合わせる際に、他の側壁部127Bによって上述した開口部125Aを塞ぐことができる。
【0077】
さらに、上述した2つの実施形態においては、チップ積層工程の後にチップ固定工程を行うとしたが、これに限ることはなく、例えば、LSIチップ3をステージ部41の表面41aに固定するチップ固定工程を行った後に、LSIチップ3にシリコンマイクチップ5を積層するチップ積層工程を行うとしても構わない。
また、窪み部19aの深さ寸法は、ステージ部41の厚さ寸法と略等しいとしたが、これに限ることはなく、例えば、ステージ部41の厚さ寸法よりも大きくしても構わない。この場合にも、ステージ部41がLSIチップ3の裏面3bから突出することを防止できるため、ステージ部41がLSIチップ3の裏面3bから突出する場合と比較して、半田ボール27のサイズを小さくすることができる。
【0078】
さらに、LSIチップ3には、その裏面3bから突出する半田ボール27,91が設けられるとしたが、これに限ることはなく、少なくともLSIチップ3を回路基板と電気的に接続するための端子が上記裏面3bに設けられていればよい。すなわち、LSIチップ3の裏面3bには、例えば銅ポスト21bや配線用ポスト89bが突出して形成されるとしても構わない。
【0079】
また、LSIチップ3は、LSIチップ本体13及び配線パッケージ部15から構成されるとしたが、これに限ることはなく、例えばLSIチップ本体13のみにより構成されるとしても構わない。この構成の場合には、例えば貫通電極としての外部接続端子9やグランド接続端子67,83が貫通ビア17,69,87のみにより構成されることになる。
さらに、樹脂シート37は、異方性導電フィルムにより構成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくともLSIチップ3及びシリコンマイクチップ5よりも軟質な樹脂材料により構成されていればよい。ただし、この構成の場合には、半田や導電性接着剤等の別途接合部材により外部接続端子9及び接続端子35等を接合させることが好ましい。なお、導電性接着剤はエポキシ樹脂等の樹脂材料を主成分としたものである。
【0080】
例えば、上述した半田を用いて上記接合を行う場合には、予めLSIチップ3の表面3aに露出する貫通ビア17,69,87に半田を印刷した上で、上記実施形態と同様に樹脂シートをLSIチップ3の表面3aに仮止めしておく。次いで、上記実施形態と同様に、LSIチップ3の表面3aにシリコンマイクチップ5を積層して、シリコンマイクチップ5側から圧力をかけながら樹脂シート及び半田を加熱する。
この際には、スタッドバンプ35b,73bが樹脂シート内に沈み込んで半田に接触する。また、この加熱の際には半田も溶融するため、スタッドバンプ35b,73bと貫通ビア17,69,87とが半田により接合されることになる。
【0081】
また、例えば、上述した導電性接着剤を用いて上記接合を行う場合には、予めシリコンマイクチップ5のスタッドバンプ35b,73bに導電性接着剤を付着させておき、上記実施形態と同様に樹脂シートをLSIチップ3の表面3aに仮止めする。次いで、上記実施形態と同様に、LSIチップ3の表面3aにシリコンマイクチップ5を積層して、シリコンマイクチップ5側から圧力をかけながら樹脂シート及び導電性接着剤を加熱する。
この際には、スタッドバンプ35b,73bが樹脂シート内に沈み込んで導電性接着剤に接触する。また、この加熱の際には導電性接着剤の樹脂材料も溶融するため、スタッドバンプ35b,73bと貫通ビア17,69,87とが導電性接着剤により接合されることになる。
【0082】
さらに、LSIチップ3には、表面3aから窪んでダイヤフラム29に対向する凹部33が形成されるとしたが、これに限ることはなく、空洞部S1を構成するLSIチップ3の表面3aとシリコンマイクチップ5の裏面5bとの隙間が、音響等の圧力変動をダイヤフラム29の振動により精度良く検出できる程度の大きさであれば、特に形成しなくてもよい。
また、シリコンマイクチップ5は、ダイヤフラム29を備えた音圧センサチップからなるとしたが、これに限ることはなく、少なくともシリコンマイクチップ5を構成するダイヤフラム29のような可動部分を有していればよい。したがって、半導体チップは、例えば、半導体装置1,81の外方空間の圧力や圧力変化を計測する圧力センサチップであってもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明の一実施形態に係る半導体装置を示す側断面図である。
【図2】図1の半導体装置を蓋体側部材、シリコンマイクチップ、LSIチップ及びステージ部に分解した状態を示す側断面図である。
【図3】図1の半導体装置をLSIチップの裏面側から見た様子を示す平面図である。
【図4】図3のB−B矢視断面図である。
【図5】図1の半導体装置において、蓋体側部材とステージ部とを嵌め合わせる前の状態を示す斜視図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す側断面図である。
【図7】図6の半導体装置をLSIチップの裏面側から見た様子を示す平面図である。
【図8】この発明の他の実施形態に係る半導体装置を示す側断面図である。
【図9】この発明の他の実施形態に係る半導体装置を示す側断面図である。
【図10】この発明の他の実施形態に係る半導体装置であって、蓋体側部材を載置側部材に嵌め合わせる前の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
1,81・・・半導体装置、3・・・LSIチップ(回路チップ)、3a・・・表面、3b・・・裏面、5・・・シリコンマイクチップ(半導体チップ)、5a・・・表面(上面)、5b・・・裏面、7,121・・・シールドケース、9・・・外部接続端子、19a・・・窪み部、29・・・ダイヤフラム、33・・・凹部、37・・・樹脂シート、41・・・ステージ部(載置用部材)、41a,122a・・・表面、41c・・・露出用貫通孔、43,129・・・天板部、45,103,113,127・・・側壁部、45a,103d・・・放熱用孔、53,101,111,125・・・蓋体側部材、61a,63a・・・導電性部材、61b,63b・・・絶縁被膜、67・・・グランド接続端子(他方のグランド接続端子)、83・・・グランド接続端子、85・・・接続用貫通孔、122・・・ステージ部、123・・・載置側部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力変動に応じて振動するダイヤフラムを備える半導体チップと、これに電気接続されて前記半導体チップを制御する回路チップと、これら半導体チップ及び回路チップを収納するシールドケースとを備え、
前記半導体チップが、前記ダイヤフラムを前記回路チップの表面に対向させた状態で前記回路チップの表面に積層して配置され、
前記シールドケースが、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成して構成されると共に、前記回路チップを配置して固定する略板状のステージ部と、前記半導体チップの上面に対向配置されて前記ダイヤフラムを外方に露出させる開口部を形成した天板部と、前記ステージ部の周縁から前記天板部の周縁まで延びて前記半導体チップ及び前記回路チップを囲む側壁部とを備え、
前記回路チップの裏面に外部接続端子を形成し、
前記ステージ部に、前記外部接続端子を外方に露出させる露出用貫通孔を形成することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記回路チップの裏面に、相互に電気接続される接地用のグランド接続端子を少なくとも2つ形成し、
一方のグランド接続端子が前記外部接続端子からなり、
他方のグランド接続端子を前記ステージ部の表面に対向して配置し、
前記他方のグランド接続端子に対向する前記ステージ部の表面に前記導電性部材を露出させて、前記他方のグランド接続端子と前記導電性部材とを電気接続させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記回路チップの裏面に、接地用のグランド接続端子を形成し、
前記ステージ部に前記グランド接続端子を挿通させる接続用貫通孔を形成すると共に、該接続用貫通孔の内周面に前記導電性部材を露出させ、
前記グランド接続端子を前記導電性部材に接触させて、前記グランド接続端子と前記導電性部材とを電気接続させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記シールドケースが、前記天板部及び少なくとも一部の前記側壁部を有する蓋体側部材と、少なくとも前記ステージ部を有する載置側部材とからなり、
これら蓋体側部材及び載置側部材が、相互に嵌め合わせ可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記露出用貫通孔の形成領域を除く前記ステージ部の表面に対向する前記回路チップの裏面の領域に、該裏面から窪んで前記ステージ部を挿入する窪み部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記側壁部に、前記シールドケースの内部から外方に貫通して、前記半導体チップや前記回路チップにおいて発生する熱を外方に逃がす放熱用孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体チップ及び前記回路チップが、前記ダイヤフラムの周囲に配置される環状の樹脂シートにより互いに隙間無く接着されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ダイヤフラムに対向する前記回路チップの表面に、該表面から窪む凹部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
圧力変動に応じて振動するダイヤフラムを備える半導体チップ、及び、これに電気接続されて前記半導体チップを制御する回路チップを、シールドケース内に収納すると共に前記ダイヤフラムを前記シールドケースの外方に露出させる半導体装置の製造方法であって、
前記ダイヤフラムを前記回路チップに対向させた状態で、前記回路チップの表面に前記半導体チップを積層して、前記半導体チップ及び前記回路チップを接着固定すると共に相互に電気接続するチップ積層工程と、
前記シールドケースの一方を構成し、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成してなる載置側部材に備える略板状のステージ部の表面に前記回路チップを固定すると共に、前記ステージ部に形成された露出用貫通孔を介して前記回路チップの裏面に形成された外部接続端子を外方に露出させるチップ固定工程と、
前記シールドケースの他方を構成し、導電性部材の表面に絶縁被膜を形成してなる蓋体側部材を、積層状態の前記回路チップ及び前記半導体チップに覆い被せると共に前記載置側部材に嵌め合わせるケース嵌合工程とを備え、
前記ケース嵌合工程において、前記蓋体側部材と前記載置側部材との嵌め合わせ部分を擦り合わせて、該嵌め合わせ部分の前記絶縁被膜を削り落とし、前記蓋体側部材の前記導電性部材と前記載置側部材の前記導電性部材とを直接接触させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記チップ固定工程において、前記回路チップの裏面に形成された接地用のグランド接続端子を前記ステージ部の導電性部材に接触させることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記チップ固定工程において、前記回路チップの裏面から窪む窪み部に、前記露出用貫通孔の形成領域を除くステージ部を挿入することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−2953(P2008−2953A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172617(P2006−172617)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】