説明

半導体装置及び半導体装置を用いたデータ処理システム

【課題】補償容量素子を構成する複数のクラウン型下部電極を備えた容量ブロック間を上部電極で直列接続する際、容量ブロック間に空洞が形成されることを防止する。
【解決手段】2つの隣接する、異なる共通パッド電極(22c、22d)上に形成された容量ブロック(第1ブロック及び第2ブロック)が、上部電極36cで電気的に直列に接続され、上部電極36cで直列接続される2つの隣接する容量ブロック間の間隔D1を、それぞれの容量ブロックの最外周で対向する下部電極間の距離として、2つのブロック間に埋設される上部電極膜の膜厚の2倍以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び該半導体装置を用いたデータ処理システムに関し、詳しくは、補償容量素子としてクラウン型キャパシタを有する半導体装置及びそれを用いたデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM等の半導体装置では、消費電力の低減に対応するため、回路素子の動作電源電圧の低電圧化が進められている。低電圧化への対応として、外部から供給される電源電圧を半導体装置内部で使用する電圧まで下げて、回路素子に供給することが一般的に行われている。
【0003】
動作電源電圧の低下に伴い、電源電圧の変動が回路動作に与える影響が大きくなるため、電源電圧を安定して供給することが重要である。このため、電源電圧供給用の配線と接地電位供給用の配線間に補償容量素子(キャパシタ)を配置する技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、本発明に関連して、DRAMのメモリセルに使用するキャパシタについて、下部電極の内壁と外壁を共に電極として使用するクラウン型とし、製造工程中における下部電極の倒れ(倒壊)を防止するサポート膜(支持体)構造を備えたものが知られている(特許文献2)。
【0005】
キャパシタをクラウン型とすることにより、占有面積を増加させずに静電容量を増やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−067661号公報
【特許文献2】特開2003−297952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DRAMに係る半導体装置においては、補償容量素子を設ける際に、メモリセルに使用するキャパシタと同じ構造のキャパシタを補償容量素子として配置することができる(例えば、特許文献1)。
【0008】
プレーナ型のキャパシタを設ける代わりに、メモリセル用の立体構造のキャパシタを用いることにより、補償容量素子の配置面積を削減することができる。
【0009】
一方、近年のDRAMにおいては、微細化の進展に伴い、静電容量の大きいクラウン型のキャパシタがメモリセルに用いられている。本発明者は、クラウン型のキャパシタをメモリセルおよび補償容量素子として用いる場合について検討を行い。以下のような問題の発生することを見出した。
【0010】
近年の微細化したクラウン型電極においては、例えば特許文献2に示されているようなサポート膜構造で電極間の支持を行うことで、製造時の倒れの発生を抑制できる。この際に、キャパシタを配置する領域の外周を囲むようにリング状の領域(ガードリング領域)を設け、このガードリング領域と個々のキャパシタをサポート膜で連結することで、キャパシタが支持される。この場合、ガードリング領域の配置に必要な領域を確保する必要がある。補償容量素子をこのように微細化したクラウン型電極を用いて複数配置する場合には、個々の補償容量素子の配置ブロック(以下、補償容量ブロックと称す)毎にガードリング領域を配置する必要があり、半導体チップ上の占有面積削減の阻害要因となってしまう。
【0011】
そこで、本発明者はガードリング領域を設けずに、個々のキャパシタを連結するサポート膜構造のみで、キャパシタを支持する構造の検討を行った。
【0012】
補償容量素子としてクラウン型のキャパシタを配置する場合には、1万個程度のキャパシタをメモリセル領域と同様の配列で1つの矩形の補償容量ブロック内に配置すれば、ガードリング領域を設けなくても、隣接するキャパシタ間をサポート膜で連結する構造のみで、キャパシタの倒れを防止することができる。
【0013】
メモリセル領域においては、補償容量ブロックよりも多数のキャパシタが1つのまとまった領域(メモリセルマット領域)に配置されるので、同様に隣接するキャパシタ間をサポート膜で連結する構造のみで、キャパシタの倒れを防止することができる。
【0014】
ここで、補償容量素子においては、接続する回路に印加される電圧に応じて、メモリセルとして用いられるキャパシタよりも高い電圧が印加される。メモリセル領域のキャパシタと同形状に形成する場合、容量絶縁膜の絶縁破壊が懸念されるために個々のキャパシタに印加される電圧を低減する必要がある。そこで、複数の補償容量ブロックを直列接続とする構成により、1つの補償容量ブロックに配置されている個々のキャパシタに印加される電圧を低減することが可能となる。
【0015】
本発明者は、ガードリング領域を設けずに、複数の補償容量ブロックを直列接続にして配置する場合について検討した。その結果、補償容量ブロック間を埋設する層間絶縁膜に空洞(ボイド)が形成される問題が発生することを見出した。これは、近年の微細化したクラウン型キャパシタでは、高アスペクト比化が進んでおり、キャパシタ上を覆う酸化シリコン膜等の層間絶縁膜をCVD法を用いて形成する際に、電極の上部近傍で閉塞が生じてしまうためである。
【0016】
層間絶縁膜に空洞が残存すると、その空洞を介して隣接するコンタクトプラグの短絡が生じたり、層間絶縁膜の強度が低下したりすると言う問題が生じる。これは、製造歩留まり低下の原因となる。
【0017】
補償容量ブロック間を十分に離して配置した場合には、層間絶縁膜に空洞が生じることを抑制できるが、補償容量素子の配置に必要な占有面積が増加してしまい、半導体チップ上の占有面積削減の阻害要因となってしまう。
【0018】
このため、従来の方法では、クラウン型のキャパシタを備えた補償容量素子を使用することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、クラウン型のキャパシタを用いた補償容量素子を、ブロック間を直列に接続して配置する際に、隣接するブロック間の下部電極を近接させて、上部電極によって隙間を充填する。
【0020】
即ち、本発明の一実施形態によれば、
半導体基板上に設けられた一つの共通パッド電極上に複数のクラウン型下部電極と、
少なくとも前記クラウン型下部電極の外壁及び内壁に容量絶縁膜を介して形成された上部電極と、
を備えた容量ブロックを複数有する半導体装置であって、
少なくとも2つの隣接する容量ブロックが、前記上部電極で電気的に直列に接続されており、
該直列接続される2つの隣接する容量ブロック間の間隔が、それぞれの容量ブロックの最外周で対向する下部電極間の距離として、前記2つの隣接するブロック間に埋設される上部電極の膜厚の2倍以下である半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
クラウン型電極構造のキャパシタを補償容量素子として備えた半導体装置において、直列接続して2個以上の補償容量ブロックを配置する場合に、補償容量素子の占有面積の増加を抑制できる。
【0022】
また、補償容量ブロック間に空洞が発生することを防止できるので、製造歩留まりの低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】DRAMのデコーダ回路を含む主要部の回路模式図。
【図2】図1に示す半導体チップ50内のレイアウトを示す平面模式図。
【図3】メモリセル領域51、補償容量領域53を含む周辺回路領域52の一部について拡大した平面模式図。
【図4】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図5】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図6】図5工程の模式平面図。
【図7】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図8】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図9】図8工程の模式平面図。
【図10】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図11】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図12】図11工程の模式平面図。
【図13】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図14】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図15】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図16】本発明の一実施形態になる半導体装置の製造工程を説明する模式断面図。
【図17】本発明の一実施形態に係る補償容量素子の構成を説明する模式断面図。
【図18】図17を簡略化した模式断面図。
【図19】2個の補償容量ブロックを直列接続する形態の一例を示す模式断面図。
【図20】2個の補償容量ブロックを配置する従来例を示す模式断面図。
【図21】3個の補償容量ブロックを直列接続する形態の一例を示す模式断面図。
【図22】本発明の別の実施形態に係る補償容量素子の構成を説明する模式断面図。
【図23】図22におけるサポート膜の開口32bと下部電極用の開孔28bのレイアウトを示す模式平面図。
【図24】図22におけるサポート膜の開口32bと下部電極用の開孔28bのレイアウトの変形例を示す模式平面図。
【図25】本発明のさらに別の実施形態に係る補償容量素子の構成を説明する模式断面図。
【図26】本発明に係る半導体装置を備えるメモリモジュールの一例を示す模式図。
【図27】本発明の一実施形態になるデータ処理システムの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、具体例として、DRAMのデコーダ回路に電源電圧を供給する内部電源配線に、補償容量素子を配置した場合について説明する。しかしながら、本発明はこれらの具体例のみに限定されるものではない。
【0025】
(第1実施例)
図1は、DRAMのデコーダ回路を含む主要部の回路模式図を示す。
同図に示すように、半導体チップ50の内部には、メモリセルアレイ51a、Xデコーダ61、Yデコーダ62、各デコーダに内部電源を供給する内部電源回路60を備えている。内部電源回路60には半導体チップ50の外部から、外部電源電位Vccおよび接地電位GNDが供給されており、所定の電圧にまで低下(降圧)させた内部電源電圧がXデコーダ61およびYデコーダ62に供給される。
【0026】
メモリセルアレイ51aは、複数のワード配線WLと複数のビット配線BLを備えており、各ワード配線WLとビット配線BLの交点に、メモリセル70が設けられている。
メモリセル70はデータ保持用のキャパシタと、選択用のMOSトランジスタから構成されている。
Xデコーダ61に入力されたアドレス信号に応じてX制御回路63が動作し、ワード配線WLの選択が行われる。
Yデコーダ62に入力されたアドレス信号に応じてY制御回路64が動作し、ビット配線BLの選択が行われる。
【0027】
読み出し動作時には、選択されたメモリセル70のキャパシタに保持されたデータは、ビット配線BLを介して、センスアンプ回路65による増幅が行われた後に、外部へ出力される。
【0028】
内部電源回路60から、Xデコーダ61およびYデコーダ62に内部電源を供給する配線の途中には、接地電位GNDとの間に、補償容量素子66が設けられている。補償容量素子66によって、Xデコーダ61およびYデコーダ62に供給する内部電源電圧の変動が抑制される。
【0029】
図2は、図1に示す半導体チップ50内のレイアウトを示す平面模式図である。
半導体チップ50上には複数のメモリセル領域51が配置されており、各メモリセル領域内にメモリセルアレイ51aが構成されている。
メモリセル領域51を囲むように周辺回路領域52が配置されている。周辺回路領域には、センスアンプ回路や、デコーダ回路等を含む、メモリセルアレイ以外の回路ブロックが配置される。
【0030】
図2の配置は一例であり、メモリセル領域の数や、配置される位置は、図2のレイアウトには限定されない。
【0031】
周辺回路領域内の一部に補償容量領域53が設けられ、補償容量素子(65)が配置されている。
【0032】
破線Fで示した、メモリセル領域51、補償容量領域53を含む周辺回路領域52の一部について拡大した平面模式図を図3に示す。
【0033】
図3に示すように、メモリセル領域51内には、DRAMのメモリセルを構成するキャパシタC1が配置されている。キャパシタC1はクラウン型の電極を備えている。クラウン型とは、コップ形状に形成した電極の外壁面と内壁面の双方をキャパシタ電極として使用する電極構造を指す。
【0034】
メモリセル領域51内のキャパシタ配置は、一般的に8F2型、6F2型、4F2型等と称されるレイアウトのいずれも可能である。
【0035】
補償容量領域53には、補償容量素子を構成する複数のキャパシタC2が配置されている。キャパシタC2もクラウン型の電極を備えている。
【0036】
補償容量領域53に配置されたキャパシタC2は、下部電極および上部電極がそれぞれ共通に接続されて、1つの大きな静電容量を有するキャパシタとして機能する。
【0037】
次に、A−A’部における断面図(図4〜16、但し、図6、9、12は平面図を示す)を用いて、製造方法を説明する。なお、メモリセル領域51と補償容量領域53を含む周辺回路領域52は、特に指定しない限り同時に加工される。
【0038】
(図4工程)
P型シリコン(Si)からなる半導体基板1にSTI(Shallow Trench Isolation)法によって素子分離2を形成する。素子分離2によって半導体基板1に区画された領域が活性領域となり、MOSトランジスタが配置される。
【0039】
本実施例では、プレーナ型MOSトランジスタを形成する場合を例として説明する。溝型ゲート電極を有するMOSトランジスタや、縦型MOSトランジスタも使用可能である。
【0040】
周辺回路領域においては、以下の説明のように、補償容量素子の下方にMOSトランジスタを配置する構造とすることで、半導体チップ上の回路の占有面積を削減することができる。なお、補償容量素子の下方にMOSトランジスタを配置しない場合においても本発明を適用することが可能である。
【0041】
メモリセル領域には、ゲート絶縁膜3a、ゲート導電膜4aと保護絶縁膜5aの積層体をパターニングして形成したゲート電極6a、N型不純物を半導体基板1に導入した不純物拡散層7a、ゲート電極6aの側面に絶縁膜で形成したサイドウォール膜8aが形成される。ゲート電極6aはワード配線として機能する。不純物拡散層7aは、MOSトランジスタのソース/ドレイン電極として機能する。
【0042】
同様に周辺回路領域には、ゲート絶縁膜3b、ゲート導電膜4bと保護絶縁膜5bの積層体をパターニングして形成したゲート電極6b、N型不純物を半導体基板1に導入した不純物拡散層7b、ゲート電極6bの側面に絶縁膜で形成したサイドウォール膜8bが形成される。不純物拡散層7bは、MOSトランジスタのソース/ドレイン電極として機能する。周辺回路領域には、例としてNチャネル型MOSトランジスタのみを示したが、半導体基板1内にN型ウェルを形成して、そこにPチャネル型MOSトランジスタを配置してもよい。
【0043】
ゲート絶縁膜(3a、3b)の材料としては、酸化シリコン膜(SiO)を例示できる。
ゲート導電膜(6a、6b)の材料としては、リンを含有した多結晶シリコン膜やタングステン(W)膜、タングステンシリサイド(WSi)膜および、それらの積層膜等を例示できる。
保護絶縁膜(5a、5b)およびサイドウォール絶縁膜(8a、8b)の材料としては、窒化シリコン膜(Si)を例示できる。
【0044】
ゲート電極(6a、6b)を覆うように、第1層間絶縁膜9を酸化シリコン膜等で形成する。第1層間絶縁膜9の上面はCMP法によって研磨し、平坦化する。
メモリセル領域の不純物拡散層7aに接続する、セルコンタクトプラグ11aをリンを含有した多結晶シリコン膜等で形成する。セルコンタクトプラグ11aの形成に際しては、ゲート電極6aの保護絶縁膜5aおよびサイドウォール絶縁膜8aを用いたSAC法(Self Alignment Contact;自己整合法)が利用できる。
周辺回路領域の不純物拡散層7bに接続する、周辺コンタクトプラグ11bをタングステン膜等で形成する。
【0045】
メモリセル領域に、メモリセルコンタクトプラグ11aを介してMOSトランジスタのソース/ドレイン電極の一方に接続するビット配線12を形成する。ビット配線12の材料としては、窒化タングステン(WN)とタングステン(W)の積層体を例示できる。
ビット配線12の形成と同時に、周辺回路領域には周辺コンタクトプラグ11bを介してMOSトランジスタのソース/ドレイン電極の各々と接続する周辺配線13を形成する。図示していないが、周辺回路領域のゲート導電膜4bに接続するコンタクトプラグおよび配線層も同時に形成してもよい。
【0046】
ビット配線12および周辺配線13を覆うように、第2層間絶縁膜14を酸化シリコン膜等で形成する。第2層間絶縁膜14の上面はCMP法によって研磨し、平坦化する。
メモリセル領域において、第2層間絶縁膜14を貫通し、セルコンタクトプラグ11aに接続する容量コンタクトプラグ15をタングステン膜等で形成する。
窒化タングステン(WN)膜およびタングステン(W)膜を順次堆積した積層体をパターニングし、メモリセル領域にパッド電極20(以下、「パッド」と称す)、周辺回路領域に共通パッド電極22(以下、「共通パッド」と称す)を配置する。メモリセル領域のパッド20は、容量コンタクトプラグ15にそれぞれ接続している。周辺回路領域の共通パッド22は、補償容量素子を設ける位置(補償容量領域53)に配置される。共通パッド22は、メモリセル領域のパッド20とは異なり、補償容量素子用の各キャパシタの下部電極間を接続するように、1つの大きいパッドとして配置されている。
【0047】
なお、以下の製造方法の説明においては、補償容量素子のブロックが1つだけ配置されている場合を断面図として示している。
【0048】
パッド20、共通パッド22を覆うように、40〜100nm程度の膜厚の窒化シリコン膜をLP−CVD法またはALD法を用いて堆積して、ストッパー膜25を形成する。ストッパー膜25は、クラウン型電極を形成する際の湿式エッチング(後述)において、使用する薬液が下方に浸透することを防止するためのストッパーとして機能する。
【0049】
(図5工程)
ストッパー膜25上に、膜厚1〜2μm程度の第3層間絶縁膜26、および膜厚50〜150nm程度のサポート膜27を順次堆積する。
【0050】
第3層間絶縁膜26の材料としては、酸化シリコン膜、不純物を含有したBPSG膜や、これらの積層膜を例示できる。
サポート膜27の材料としては、LP−CVD法またはALD法を用いて堆積した窒化シリコン膜を例示できる。サポート膜27は、クラウン型電極を形成する際の湿式エッチング(後述)において、電極が倒壊しないように支持する機能を有する。
【0051】
この後に異方性ドライエッチングを行って、サポート膜27、第3層間絶縁膜26、ストッパー膜25を貫通するように、メモリセル領域にパッド20上面を露出する開孔28a、周辺回路領域に共通パッド22上面を露出する開孔28bを同時に形成する。
【0052】
開孔28a、28b形成後の平面模式図を図6に示す。
メモリセル領域の開孔28aによって、メモリセルに用いるキャパシタの下部電極の位置が規定される。同様に、周辺回路領域の開孔28bによって、補償容量素子に用いるキャパシタの下部電極の位置が規定される。
【0053】
第3層間絶縁膜26の膜厚によってキャパシタの高さが規定され、静電容量に反映される。第3層間絶縁膜26の膜厚を厚くするほど静電容量が増加するが、開孔28a、28bの加工が困難になるので、開孔28a、28bのアスペクト比が15〜25程度となるように膜厚を設定することが好ましい。
【0054】
周辺回路領域では、共通パッド22に対して、複数の開孔28bが設けられている。メモリセル領域では、個々の開孔28aに対応して、それぞれ分離されたパッド20が設けられている。
【0055】
なお、本実施例では、開孔28aと28bは同じサイズ(直径)で形成する場合を示す。開孔28aと28bのサイズや開孔の平面形状は、加工性の観点から同じにすることが好ましいが、仮にサイズや平面形状が異なる場合でも、本発明を適用することが可能である。
【0056】
(図7工程)
CVD法を用いて金属膜を堆積し、キャパシタの下部電極膜29を形成する。下部電極材料としては窒化チタン(TiN)を例示できる。下部電極膜29は、開孔28a、28bの内部を充填しない膜厚で形成する(例えば開孔28aの直径80nmの場合に、下部電極厚10〜20nm程度に形成)。
【0057】
次に、プラズマCVD法などの段差カバレッジの悪い方法を用いて、下部電極膜29上に、窒化シリコン膜(SiN)などからなるキャップ絶縁膜30を形成する。開孔28a、28bにおいては、開孔の上端近傍にのみ、キャップ絶縁膜30が埋め込まれる。これは、設計ルール65nm世代以降の微細化された素子においては、プラズマCVD法等の段差カバレッジの悪い方法でキャップ絶縁膜30を形成することにより、各開孔の上端が先に閉塞してしまい、開孔内へ膜が堆積しないためである。なお、キャップ絶縁膜30は後の工程で除去されるので、開孔28a、28bの内壁部への付着を完全に防止する必要はない。
【0058】
(図8工程)
キャップ絶縁膜30上にフォトレジスト膜31を形成する。フォトレジスト膜31は、メモリセル領域内において、開口パターン32を有している。開口パターン32の位置は、第3層間絶縁膜26を除去する湿式エッチングに際して薬液を浸透させる窓パターンをサポート膜27に形成する位置に対応する。
【0059】
ここで、先にキャップ絶縁膜30を形成しておくことにより、フォトレジスト膜31が各開孔内へ侵入することを防止する。これによって、露光を用いたフォトレジスト膜31へのパターン加工が容易になると共に、開孔28a、28b内にフォトレジスト膜31が充填されないので、加工処理後のフォトレジスト膜31の除去も容易となる。
フォトレジスト膜31に形成する開口パターン32の配置例を図9の平面図に示す。
【0060】
本実施例では、開口パターン32は、メモリセル領域および補償容量領域に平行に並べられた複数の短冊状のパターンを有している。また、フォトレジスト膜31はメモリセル領域と補償容量領域のみを覆うように形成されている。周辺回路領域において、補償容量領域以外の部分はフォトレジスト膜31で覆われていない。
【0061】
なお、図示した開口32a、32bのパターンは一例であって、例えばA−A’線に沿って斜め方向に開口の長手部分を有するように形成してもよい。
【0062】
(図10工程)
フォトレジスト膜31をマスクとして、異方性ドライエッチングを行うことにより、フォトレジスト膜31で覆われていない部分のキャップ絶縁膜30と、下部電極膜29と、サポート膜27を除去する。これにより、開口パターン32に対応した部分のサポート膜27に窓パターン(開口)が形成される。また、隣接する個々のキャパシタの電極間を連結するようにサポート膜27は残存している。
この後に、プラズマ・アッシング法によって、フォトレジスト膜31は除去する。
【0063】
(図11工程)
ドライエッチングにより、残存しているキャップ絶縁膜30と、開孔28a、28bの外部に位置する下部電極膜29を除去する。ここで開孔のアスペクト比が高い(15以上)の場合には、開孔底部の下部電極膜29にはダメージを与えることなく、ドライエッチングでサポート膜27上の下部電極膜29を除去することができる。
【0064】
以上の加工によって、図12の平面図に示したように、メモリセル領域には開孔28aの内壁を覆う下部電極29aが形成され、周辺回路領域には開孔28bの内壁を覆う下部電極29bが形成される。
メモリセル領域内に残存しているサポート膜27は、下部電極29aの外壁と接触し、後述の湿式エッチングに際して個々の下部電極を一体として支える支持体として機能する。
また、周辺回路領域(補償容量領域)に残存しているサポート膜27は、下部電極29bの外壁と接触し、後述の湿式エッチングに際して個々の下部電極を一体として支える支持体として機能する。
【0065】
(図13工程)
フッ酸(フッ化水素酸:HF)をエッチャントとして用いた湿式エッチングを行い、メモリセル領域の第3層間絶縁膜26を除去する。
フッ酸溶液としては、湿式エッチングに要する時間短縮の観点から、49wt%濃度のものを用いることが好ましい。この濃度のフッ酸溶液は、工業用として通常供給されるフッ酸の原液に相当し、そのまま用いることができる。
【0066】
湿式エッチングに際しては、LP−CVD法またはALD法で形成した窒化シリコン膜はフッ酸に対する耐性を有している。このため、ストッパー膜25よりも下層への薬液の浸透を阻止することができる。これにより、メモリセル領域および周辺回路領域の第3層間絶縁膜26を、既に形成済みのMOSトランジスタ等の素子にダメージを与えることなく除去することができる。
【0067】
なお、先に図7の工程でキャップ絶縁膜30として形成した窒化シリコン膜は、プラズマCVD法で形成することにより、フッ酸に対する耐性を有さない膜として形成される。したがって、下部電極29a、29bの表面にキャップ絶縁膜30が残存している場合でも、この湿式エッチングの工程でキャップ絶縁膜30は完全に除去される。
【0068】
湿式エッチングによって、メモリセル領域に配置した下部電極29aの外壁が露出し、クラウン型の電極が形成される。この際に、個々の下部電極29aはサポート膜27によって1つの塊として支えられており、個々の下部電極の倒壊が防止できる。
【0069】
また、周辺回路領域(補償容量領域)に配置した下部電極29bも同様に、下部電極29bの外壁が露出し、クラウン型の電極が形成される。この際に、個々の下部電極29bはサポート膜27によって1つの塊として支えられており、個々の下部電極の倒壊が防止できる。なお、周辺回路領域(補償容量領域)に配置する下部電極は、1つの塊として配置する下部電極29bの個数が少なすぎると、全体としての支持強度が低下する。このため、補償容量領域の1つのブロックにおいては、少なくとも8千個以上の下部電極29bをまとめて配置することが好ましい。
【0070】
メモリセル領域においては、1つのメモリマット領域には通常10万個以上の下部電極29aがまとめて配置されるので、全体として十分な支持強度を有している。
【0071】
(図14工程)
下部電極29a、29bの露出している表面を覆うように、容量絶縁膜35を6〜10nm程度の膜厚に形成する。容量絶縁膜35の材料としては、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(Al)等の高誘電体や、それらの積層体を例示できる。容量絶縁膜35の形成にはALD法を用いることができる。
容量絶縁膜35の表面を覆うように上部電極膜36を形成する。
【0072】
上部電極膜36は、個々の下部電極間の隙間を充填する必要があるため、以下のような積層構造とする。
まず最下層の材料として、窒化チタン(TiN)等の金属膜を5〜10nmの膜厚に形成する。この最下層の金属膜を形成した段階では、個々の下部電極間の隙間は充填されていない。次に、不純物を含有する多結晶シリコン膜を形成することにより、個々の下部電極間に残存している隙間を充填する。
【0073】
多結晶シリコン膜はLP−CVD法(減圧CVD法)で形成することにより、段差部の被覆性(カバレッジ)の良好な膜として堆積されるので、個々の下部電極間に残存している隙間を完全に充填することができる。図12において、サポート膜27で覆われている部分についても、開口32a、32bを介して多結晶シリコン膜が形成されるため、下部電極間の隙間が充填される。
【0074】
多結晶シリコン膜に導入する不純物(ドーパント)はリンまたはホウ素等が可能であり、N型またはP型の導電型とすることで電気抵抗を低減できる。さらにリンまたはホウ素以外の不純物元素をドーパントとして添加してもよい。
【0075】
また、多結晶シリコン膜を用いて個々の下部電極間の隙間を充填した後に、さらにタングステン等の金属膜を70〜100nm程度の膜厚で多結晶シリコン上に堆積してもよい。
また、上部電極の最下層に用いる金属膜は窒化チタン以外の金属(例えばルテニウム等)も使用可能であり、形成するキャパシタに要求される電気特性に応じて選択すればよい。
【0076】
(図15工程)
上部電極膜36、容量絶縁膜35のパターニングを行い、メモリセル領域の上部電極36aおよび、周辺回路領域の上部電極36bを形成する。
【0077】
(図16工程)
上部電極36a、36bを覆うように、酸化シリコン等を用いて第4層間絶縁膜40の形成を行う。第4層間絶縁膜40の上面はCMP法によって研磨し、平坦化する。
上部電極36aに接続するコンタクトプラグ41a、および上部電極36bに接続するコンタクトプラグ41bを同時に形成する。
引き続き、コンタクトプラグ41a、41bに接続する金属配線42a、42bをアルミニウム(Al)、銅(Cu)等で形成する。
また、図示していないが、周辺回路領域に配置したMOSトランジスタに接続するコンタクトプラグと上層の金属配線層等も同様に形成する。
表面の保護膜(図示せず)等を形成すれば、半導体装置が完成する。
【0078】
次に、補償容量素子の構成について、詳細に説明する。
補償容量素子は、個々のクラウン型下部電極29bによって形成されるキャパシタを複数個集めたものを、1つのキャパシタとして用いる。図17に、第2層間絶縁膜14より上層の部分のみを断面図として示す。
【0079】
共通パッド22に接続するように複数の下部電極29bが設けられている。
共通パッド22上に配置する個々の下部電極29bの数は、補償容量素子に必要な静電容量に応じて決定すればよい。例えば、下部電極29bの配置個数は、前述のように1ブロックに8千個以上配置する。一つの共通パッド22上には下部電極29bを10万個程度まで配置することができる。また、一つの共通パッド22上には後述するように複数のブロックを配置しても良い。
【0080】
図17の構成では、共通の上部電極36bに接続する引出し配線42b、およびパッド22に接続する引出し配線42dが設けられる。
上部電極36bに接続するコンタクトプラグ41bは、図17のように横方向(基板面と略平行な方向)に延在させた上部電極36bと接続する場合と、図16のように下部電極29b上に配置する場合のいずれでも可能である。
41dは共通パッド22と引き出し配線42dを接続するコンタクトプラグである。コンタクトプラグ41dは、コンタクトプラグ41bと同時に形成してもよい。同時に形成する場合には、図17のように、横方向に延在させた上部電極36bと接続するようにコンタクトプラグ41bを配置することで、コンタクトプラグの深さが同等となるため加工が容易となる。
引き出し配線42b、42dの一方を接地電位とし、他方を電源供給用の配線に接続することで、所定の静電容量を備えた補償容量素子として機能する。
1つの補償容量ブロックは図17のように構成される。
【0081】
以下の説明では図面を簡略化して、補償容量ブロックの断面図を図18のように示す(容量絶縁膜の記載を省略)。
【0082】
次に、複数の補償容量ブロックを直列に接続する場合について説明する。
図19に、本発明を用いて2つの補償容量ブロックを直列に接続した場合の断面図を示す。
【0083】
補償容量素子は、図面左側の第1ブロックと右側の第2ブロックに別れて配置されている。第1および第2ブロックは、それぞれ図18で説明した補償容量素子のブロックに相当する。
共通パッド22c、22dは、第1および第2ブロックで独立するように設けられている。
上部電極36cは第1および第2ブロックで共通に設けられており、上部電極36cを介して各ブロックの補償容量素子が直列に配置されることになる。
引き出し配線42eは、コンタクトプラグ41eを介して第1ブロックの共通パッド22cに接続している。
引き出し配線42fは、コンタクトプラグ41fを介して第2ブロックの共通パッド22dに接続している。
引き出し配線42e、42fの一方を接地電位とし、他方を電源供給用の配線に接続することで、所定の静電容量を備えた補償容量素子として機能する。
【0084】
このように複数のブロックを直列接続とする構成により、1つの補償容量素子に配置されている個々のキャパシタに印加される電圧を低減することが可能となる。これによって、図18のように1つの補償容量ブロックのみでは容量絶縁膜35に印加される電圧が高すぎて、容量絶縁膜35の絶縁破壊が懸念されるような場合でも、図19のように2つのブロックを直列構成とすることで、各ブロックに印加される電圧が半分になり、補償容量素子として使用することが可能となる。
【0085】
本発明では、図19に示したように、2つのブロックを直列に配置する場合に、各ブロック間を近接させて配置することにより、各ブロック間の隙間を上部電極36cで充填していることを特徴とする。
【0086】
図19において、個々のブロックの最外周に配置されている下部電極(29b)間の距離をD1とする。
この距離D1の隙間部分を上部電極膜で充填するには、成膜する上部電極膜の膜厚(下層の金属膜と上層の多結晶シリコンの合計膜厚)の2倍以下となるように、距離D1を設定すればよい。
例えば、隣接する2つのブロック間に埋設される上部電極膜のトータル膜厚が150nmの場合には、距離D1が300nm以下となるように2つの補償容量ブロックを配置すればよい。
【0087】
上部電極のトータル膜厚は厚くなるほど、パターニング加工が困難となる。また、膜厚が薄すぎると電気抵抗が増大する。このため、設計ルール65nm以降の世代のDRAMにおいては、両ブロック間に埋設される上部電極膜のトータル膜厚は100〜300nmの範囲とすることが好ましい。距離D1は、上部電極膜のトータル膜厚の2倍以下となるように設定するため、上部電極膜のトータル膜厚を100〜300nmの範囲で設定した場合には、距離D1は600nm以下の範囲で、上部電極のトータル膜厚の2倍以下となるように設定される。一方、距離D1はあまり小さすぎると共通パッド間の分離が困難となることから、共通パッドの対向する端面間の距離を設計ルールの最小加工寸法F値以上とし、各端面から最外層に配置する下部電極までのマージンを加味した距離以上とする。通常は、上部電極膜のトータル膜厚の1倍以上、好ましくは1.5倍以上とする。したがって、上記膜厚範囲では、100nm以上又はトータル膜厚の1倍以上、好ましくは150nm以上又はトータル膜厚の1.5倍以上の範囲とする。
【0088】
比較例として、従来の方法で2つの補償容量ブロックを配置した場合の断面図を図20に示す。
従来は、第1および第2の補償容量ブロックは、それぞれの上部電極36c、36dに接続されたコンタクトプラグ43および接続配線44を介して直列に接続されている。
個々のブロックの最外周に配置されている下部電極(29b)間の距離をD2とする。
【0089】
従来の配置方法では、直列接続するためのコンタクトプラグ形成領域を設けるために、距離D2は上部電極36c、36dの膜厚の2倍よりも大きい値となるように設定され、ブロック間の隙間は第4の層間絶縁膜40で埋め込まれている。補償容量素子の占有面積を低減するには、第1ブロックと第2ブロックを十分に近接して配置させることが必要であるが、それに伴い、ブロック間の隙間部分には、第4の層間絶縁膜40が充填されない空洞(ボイド)が残存してしまう。これは、層間絶縁膜として一般的に用いられている酸化シリコン膜をCVD法を用いて形成する場合に、カバレッジの悪さから隙間部分の上端部分で酸化シリコン膜の閉塞現象が発生してしまうためである。
【0090】
なお、ポリシラザン等の塗布系絶縁膜を充填する場合には、このような空洞は形成されないが、固体化のための高温の熱処理が必要であり、キャパシタの特性劣化等の問題があり使用できない。
【0091】
また、距離D2を十分に大きくとると層間絶縁膜中の空洞残存を回避できるが、下部電極の高さに対する底部の比であるアスペクト比が約15以上となる、設計ルール65nm以降の世代のDRAMにおいては、距離D2を2μm以上に設定する必要があり、補償容量素子の占有面積が増加してしまう。
【0092】
これに対して本発明では、第1および第2の補償容量ブロック間を上部電極を用いて直列接続し、両ブロックを上部電極の膜厚の2倍以下に近接して配置することにより、ブロック間の隙間を上部電極で充填する構成となる。この構成により、第1および第2の補償容量ブロック間に空洞(ボイド)が発生することを回避できると共に、少ない占有面積で補償容量素子を配置できる。
また、補償容量素子の形成のための特別な製造工程の追加を必要としないので、製造コストが増加しない。
【0093】
次に、3個の補償容量ブロックを直列接続で配置する場合を、図21を用いて説明する。
第1および第2ブロックは、図19の場合と同様に、上部電極36cを介して直列接続されている。
第2ブロックと第3ブロックの間は、共通パッド22dを介して直列接続されている。
第2ブロックの上部電極36cと第3ブロックの上部電極36dは独立に配置されている。
ここで、第1および第2ブロック間の距離D1は、先に図19で説明した距離D1と同じに設定されている。
第2および第3ブロック間の距離D3は、第4の層間絶縁膜40に空洞(ボイド)が発生しない距離(例えば2μm以上)に設定されている。
すなわち、3個の補償容量ブロックを直列接続で配置する場合には、第1および第2の補償容量ブロック間の接続にのみ、本発明が適用されることになる。
【0094】
従来の方法では、距離D1、D3を共に第4の層間絶縁膜40に空洞が発生しない距離に設定して配置する必要があった。第1および第2の補償容量ブロック間の接続に本発明を適用することにより、3個の補償容量ブロックを少ない占有面積で配置することが可能となる。
【0095】
なお、4個以上の補償容量ブロックを直列接続で配置する場合にも同様に、隣接するブロック間の上部電極を接続する箇所に本発明を適用できる。これにより4個以上の直列接続された補償容量ブロックを少ない占有面積で配置することが可能となる。
【0096】
<第2実施例>
本発明を適用して2つの補償容量ブロックを直列接続する際に、図22に示したように、下部電極29bの支持を行うサポート膜27を、2つのブロック間で接続した構造にすることも可能である。
【0097】
図23にサポート膜27と、下部電極用の開孔28bのレイアウトを模式平面図として示す。サポート膜27は、第1ブロックと第2ブロック間を接続する1つの大きなサポート膜として形成されている。
サポート膜27に設けた開口32bは、ブロック間で途切れる事無く、連続したパターンとして配置されている。
このように、2つのブロック間で下部電極の支持用のサポート膜を1つの大きな構造体として配置することにより、支持強度がさらに強固になる。
【0098】
このようなブロック間で一体となるサポート膜27と、下部電極用の開孔28bのレイアウトの配置の変形例を、図24に平面模式図として示す。
図24では、サポート膜27に設ける開口32bが、ライン形状ではなく、長手方向を有する細長いトラック形状の場合を示した。開口32bは所定の規則に従って複数配列されている。このような開口32bの形状とすることにより、開口32b部分を除くサポート膜の面積が増加するので、下部電極の支持強度が増加する。
【0099】
この際に、第1ブロックと第2ブロック間の距離D1を、下部電極の配置ピッチに応じて適切に設定することにより、第1ブロックおよび第2ブロック上における開口32bの配列規則を維持したまま、第1ブロックと第2ブロック間の領域に開口32bを配置することが可能となる。すなわち、第1ブロック上、第2ブロック上および第1ブロックと第2ブロックの間の領域のすべてにおいて、所定の配列規則を維持したまま開口32bを形成することができる。
【0100】
このように、連続性を途切れさせることなく開口32bを形成することにより、微細化が進んだ場合でも精度よく開口32bの加工を行うことが可能となる。
【0101】
図25に、上層に多結晶シリコンを有する第1の上部電極Pでブロック間の隙間を充填した後に、タングステン等の金属膜を第2の上部電極Mとして堆積した場合を示す。この場合には第1の上部電極Pと第2の上部電極Mが一体となって、補償容量素子の上部電極36cとして機能する。
【0102】
この場合には、第2の上部電極Mはブロック間の隙間の充填には寄与しないので、第1の上部電極Pの膜厚に基づいて、ブロック間の距離が第1の上部電極Pの膜厚の2倍以下となるように設定する。
【0103】
なお、この場合にも、図25に示したように、下部電極29bの支持を行うサポート膜27を、2つのブロック間で接続した構造にすることが可能である。
以上説明した実施例は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。
【0104】
補償容量素子を接続する場所は、図1のデコーダ回路への内部電源供給配線のみには限定されず、他の回路に内部電源を供給する配線に対して、それぞれ独立した補償容量素子を接続してもよい。
また、本発明を適用したクラウン型の補償容量素子の他に、プレーナ型の補償容量素子を別に備えていてもよい。
また、単体のDRAMチップのみではなく、DRAMのメモリセルとロジック回路素子を1つの半導体チップ上に形成した混載デバイスにおいても、本発明は適用可能である。
【0105】
<応用例>
次に、本発明の半導体装置の応用例について説明する。
図26は、第1の実施形態で説明した方法で製造した、DRAMとして動作する半導体装置(半導体チップ)を備えるメモリモジュールの模式図である。
【0106】
402は、DRAMとして動作する半導体チップを内包するDRAMパッケージで、プリント基板400上に搭載されている。パッケージの種類としては、例えばBGA構造を例示でき、公知の手段により、個片化した半導体チップを用いて形成されている。
【0107】
プリント基板400には、メモリモジュールを外部の装置に電気的に接続するための複数の入出力端子(I/O端子)401が設けられている。入出力端子401を介して、各DRAMパッケージ402へのデータの入出力が行われる。
メモリモジュールには、各DRAMパッケージへのデータの入出力を制御する制御チップ403を備えている。制御チップ403は、メモリモジュールの外部から入力されたクロック信号のタイミング調整や信号波形の整形等を行って、各DRAMパッケージへ供給する機能を有している。なお、制御チップ403をプリント基板400上に配置せず、複数のDRAMパッケージだけを搭載するようにしてもよい。
【0108】
本発明を用いることにより、製造歩留まりを低下させることなくDRAMのチップサイズを縮小できるため、記憶容量の大きいDRAMを低コストで製造することが容易になる。これにより、大容量のデータ記憶に対応したメモリモジュールを低コストで形成することが可能となる。
【0109】
本発明を用いて形成したDRAMチップを備える、上述のメモリモジュールを用いることで、例えば、次に説明するデータ処理システムを形成することができる。
【0110】
図27は、データ処理システム500の概略構成図である。
データ処理システム500には、演算処理デバイス520とDRAMメモリモジュール530が含まれており、システムバス510を介して相互に接続されている。
演算処理デバイス520は、MPU(Micro Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)等である。DRAMメモリモジュール530は、本発明を用いて形成したDRAMチップを備えている。
また、固定データの格納用に、ROM(Read Only Memory)540がシステムバス510に接続されていてもよい。
【0111】
システムバス510は簡便のため1本しか記載していないが、必要に応じてコネクタなどを介し、シリアルないしパラレルに接続される。また各デバイスは、システムバス510を介さずに、ローカルなバスによって相互に接続されてもよい。
【0112】
またデータ処理システム500では、必要に応じて、不揮発性記憶デバイス550、入出力装置560がシステムバス510に接続される。不揮発性記憶デバイスとしては、ハードディスクや光ドライブ、SSD(Solid State Drive)などを利用できる。
【0113】
入出力装置560には、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置や、キーボード等のデータ入力装置が含まれる。
【0114】
データ処理システム500の各構成要素の個数は、図27では簡略化のため1つの記載にとどめているが、それに限定されず、全てまたはいずれかが複数個の場合も含まれる。
データ処理システム500には、例えばコンピュータシステムを含むが、これに限定されない。
【0115】
本発明を用いることにより、大容量のメモリモジュールを使用した高性能なデータ処理システムを構成することが可能となる。
【符号の説明】
【0116】
1 半導体基板
2 素子分離
3a、3b ゲート絶縁膜
4a、4b ゲート導電膜
5a、5b 保護絶縁膜
6a、6b ゲート電極
7a、7b 不純物拡散層
8a、8b サイドウォール絶縁膜
9 第1層間絶縁膜
11a セルコンタクトプラグ
11b 周辺コンタクトプラグ
12 ビット配線
13 周辺配線
14 第2層間絶縁膜
15 容量コンタクトプラグ
20 パッド
22 共通パッド
25 ストッパー膜
26 第3層間絶縁膜
27 サポート膜
28a、28b 開孔
29 下部電極膜
29a、29b 下部電極
30 キャップ絶縁膜
31 フォトレジスト膜
32 開口パターン
32a、32b 開口
35 容量絶縁膜
36 上部電極膜
36a、36b 上部電極
40 第4層間絶縁膜
41a、41b コンタクトプラグ
42a、42b 金属配線
43 コンタクトプラグ
44 接続配線
50 半導体チップ
51 メモリセル領域
51a メモリセルアレイ
52 周辺回路領域
53 補償容量領域
60 内部電源回路
61 Xデコーダ
62 Yデコーダ
63 X制御回路
64 Y制御回路
65 センスアンプ回路
66 補償容量素子
70 メモリセル
400 プリント基板
401 入出力端子
402 DRAMパッケージ
403 制御チップ
500 データ処理システム
510 システムバス
520 演算処理デバイス
530 DRAMメモリモジュール
540 ROM
550 不揮発性記憶デバイス
560 入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に設けられた1つの共通パッド電極上に複数のクラウン型下部電極と、
少なくとも前記クラウン型下部電極の外壁及び内壁に容量絶縁膜を介して形成された上部電極と、
を備えた容量ブロックを複数有する半導体装置であって、
2つの隣接する、異なる共通パッド電極上に形成された容量ブロックが、前記上部電極により電気的に直列に接続されており、
前記上部電極により直列接続される2つの隣接する容量ブロック間の間隔が、それぞれの容量ブロックの最外周で対向する下部電極間の距離として、前記2つの隣接するブロック間に埋設される上部電極膜のトータル膜厚の2倍以下である半導体装置。
【請求項2】
前記2つの隣接するブロック間に埋設される上部電極膜のトータル膜厚は100〜300nmの範囲である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記上部電極は、前記2つの隣接するブロック間に埋設される導電体として多結晶シリコン膜を含有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記多結晶シリコン膜はLP−CVD法で成膜された膜である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記上部電極は、前記2つの隣接するブロック間に埋設される導電体上に、埋設されない金属導電体を含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記上部電極で直列接続される2つの隣接する容量ブロックの少なくとも一方の共通パッド電極上に、前記直列接続する上部電極とは独立した上部電極を有する容量ブロックを備え、少なくとも3つの容量ブロックが直列接続されてなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
一つの共通パッド電極上に形成される2つの容量ブロック間が、前記それぞれの上部電極を覆って形成される層間絶縁膜に、2つの容量ブロック間で空洞が形成されない十分な距離を有する請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記共通パッド電極上のクラウン型下部電極は、少なくとも1つの共通パッド電極上において、所定の間隔で開口部を形成した1つのサポート絶縁膜でその側面が支持されてなる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記サポート絶縁膜は、直列接続される2つの容量ブロックに連続して形成される請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記直列接続された容量ブロックは、電源電位に接続された配線と接地電位に接続された配線との間に設けられた補償容量素子を構成する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体装置は、キャパシタを含むメモリセルを備えたメモリセル領域と、周辺回路を備える周辺回路領域を有し、
前記直列接続された容量ブロックは、周辺回路領域に形成される補償容量素子であり、
メモリセル領域に形成されるキャパシタの下部電極は、前記容量ブロックに形成されるクラウン型下部電極と同じ高さを有するクラウン型下部電極である請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記メモリセル領域のキャパシタ下部電極と補償容量素子を構成する下部電極が同じアスペクト比を有する請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記アスペクト比は、15以上25以下である請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置を含むチップを少なくとも1個搭載したメモリモジュール。
【請求項15】
請求項1乃至13に記載の半導体装置を含むデータ処理システム。
【請求項16】
請求項14に記載のメモリモジュールを含むデータ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−134238(P2012−134238A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283353(P2010−283353)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】