説明

半導体装置

【課題】半導体素子の劣化を抑制可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置40は、正極41及び負極42と、正極41と負極42の間に配置される出力電極43と、正極41と出力電極43を接続する正側スイッチング素子51と、正極41と出力電極43を接続し、正側スイッチング素子51とは電流を逆方向に流す正側ダイオード52と、負極42と出力電極43を接続する負側スイッチング素子61と、負極42と出力電極43を接続し、負側スイッチング素子61とは電流を逆方向に流す負側ダイオード62と、を備える。正極41及び負極42の電極厚さは、出力電極43の電極厚さよりも薄く設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、正極と負極の間に出力電極を配置し、正極側のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールによって正極と出力電極を直接接続し、負極側のIGBTモジュールによって負極と出力電極を直接接続する半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−26251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような半導体装置では、通電時にIGBTモジュールが発熱するので、IGBTモジュールの温度上昇を抑制するために、正極及び負極の外側に冷却器が設けられることが多い。
【0005】
しかしながら、正極と負極の間に設けられた出力電極は冷却器によって冷却され難いので、出力電極の温度は正極及び負極よりも高くなる。そのため、IGBTモジュールの発熱時に、出力電極は正極及び負極よりも熱膨張しやすくなる。このように出力電極と正極及び負極との間に熱膨張差が生じると、熱膨張によって出力電極が電極厚さ方向や電極面方向に変形した時にIGBTモジュールに応力が生じ、IGBTモジュールが劣化しやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、半導体素子の劣化を抑制可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段によって前記課題を解決する。
【0008】
本発明の半導体装置は、正極及び負極と、正極と負極の間に配置される出力電極と、正極と出力電極を接続する正側スイッチング素子と、正極と出力電極を接続し、正側スイッチング素子とは電流を逆方向に流す正側ダイオードと、負極と出力電極を接続する負側スイッチング素子と、負極と出力電極を接続し、負側スイッチング素子とは電流を逆方向に流す負側ダイオードと、を備える。そして、正極及び負極の電極厚さは、出力電極の電極厚さよりも薄く設定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、正極及び負極の電極厚さが出力電極の厚さよりも薄く設定されるので、出力電極が電極厚さ方向や電極面方向に熱膨張した場合に、出力電極の変形に応じて正極及び負極が変形しやすくなる。正極及び負極は出力電極の熱膨張に追従して弾性変形するので、正側及び負側スイッチング素子や正側及び負側ダイオードに応力が生じるのを抑制することができる。これにより、正側及び負側スイッチング素子や正側及び負側ダイオードの劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による半導体装置を適用可能なモータ制御装置の回路図である。
【図2】(A)は第1実施形態による半導体装置の斜視図であり、(B)は半導体装置の縦断面図である。
【図3】(A)は第2実施形態による半導体装置の平面図であり、(B)は半導体装置の縦断面図である。
【図4】第3実施形態による半導体装置の縦断面図である。
【図5】第4実施形態による半導体装置の縦断面図である。
【図6】第5実施形態による半導体装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体装置を適用可能な電動車両用モータ制御装置の回路図である。ここで、電動車両とは、電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池自動車等である。
【0013】
電動車両は、バッテリ10と永久磁石型三相交流モータ(以下「駆動モータ」という)20との間にインバータ30を備える。
【0014】
インバータ30は、バッテリ10の正側電力線11と負側電力線12との間に並列に設けられる3つの半導体装置40から構成されている。半導体装置40は、スイッチング素子であるIGBT素子51、61と、IGBT素子51、61に並列接続され、IGBT素子51、61とは電流を逆方向に流す整流ダイオード52、62とからなる正側IGBTモジュール50及び負側IGBTモジュール60を有している。各半導体装置40の出力電極は、電力線を介して、駆動モータ20の各相(U相〜W相)に接続する。
【0015】
インバータ30は、半導体装置40のIGBT素子51、61をオンオフ制御することによって、バッテリ10の直流電力を交流電力に変換し、交流電力を電動車両の車軸に結合する駆動モータ20に供給する。
【0016】
次に、図2(A)及び図2(B)を参照して、半導体装置40の構成について説明する。図2(A)は半導体装置40の斜視図であり、図2(B)は半導体装置40の縦断面図である。
【0017】
図2(A)及び図2(B)に示すように、半導体装置40は、バッテリ10の正側に接続する正極41と、バッテリ10の負側に接続する負極42と、正極41と負極42の間に配置され、駆動モータ20に接続する出力電極43とを備える。これら電極41〜43は、略矩形状のバスバーであって、弾性変形しやすいアルミニウムやアルミニウム合金によって形成される。
【0018】
正極41と出力電極43は、正側IGBTモジュール50を介して接続される。正側IGBTモジュール50は、IGBT素子51と整流ダイオード52とを有している。
【0019】
IGBT素子51のコレクタ側は、接合材44を介して、正極41に電気的に接続する。IGBT素子51のエミッタ側は、接合材44を介して、出力電極43に電気的に接続する。
【0020】
整流ダイオード52は、IGBT素子51に隣接するように設けられる。整流ダイオード52のカソード側は、接合材45を介して、正極41に電気的に接続する。整流ダイオード52のアノード側は、接合材45を介して、出力電極43に電気的に接続する。
【0021】
負極42と出力電極43は、負側IGBTモジュール60を介して接続される。負側IGBTモジュール60は、IGBT素子61と整流ダイオード62とを有している。
【0022】
IGBT素子61のコレクタ側は、接合材46を介して、出力電極43に電気的に接続する。IGBT素子61のエミッタ側は、接合材46を介して、負極42に電気的に接続する。
【0023】
整流ダイオード62は、IGBT素子61に隣接するように設けられる。整流ダイオード62のカソード側は、接合材47を介して、出力電極43に電気的に接続する。整流ダイオード62のアノード側は、接合材47を介して、負極42に電気的に接続する。
【0024】
正極41及び負極42の外側には、冷却器71、72が設置される。冷却器71、72は、内部を流れる冷却用作動流体を利用して、通電時の正側IGBTモジュール50及び負側IGBTモジュール60を冷却する。
【0025】
正極41と負極42の間に設けられる出力電極43は冷却器71、72によって冷却され難いので、通電時の正側IGBTモジュール50及び負側IGBTモジュール60の発熱によって、出力電極43の温度は正極41及び負極42の温度よりも高くなる。そのため、出力電極43は電極厚さ方向や電極面方向に熱膨張する。出力電極43が電極厚さ方向に熱膨張すると、出力電極43が湾曲する等して、IGBT素子51、61や整流ダイオード52、62の内部に応力が生じる。また、出力電極43が電極面方向に熱膨張すると、比較的温度の高い出力電極43と、冷却されている正極41及び負極42との熱膨張差によって、IGBT素子51、61や整流ダイオード52、62の各電極41〜43との接合界面に応力が生じる。
【0026】
従来の半導体装置では、これら応力に起因してIGBTモジュールが劣化しやすいという問題があった。
【0027】
そこで、半導体装置40では、正側IGBTモジュール50及び負側IGBTモジュール60の発熱によって出力電極43が熱膨張して変形した場合に、その変形に応じて正極41及び負極42が変形可能なように、正極41及び負極42の電極厚さを出力電極43の厚さよりも薄く設定する。
【0028】
上記した第1実施形態の半導体装置40によれば、以下の効果を得ることができる。
【0029】
半導体装置40では、正極41及び負極42の電極厚さが出力電極43の厚さよりも薄く設定されるので、出力電極43が電極厚さ方向や電極面方向に熱膨張した場合に、出力電極43の変形に応じて正極41及び負極42が変形しやすくなる。正極41及び負極42は出力電極43の熱膨張に追従して弾性変形するので、IGBT素子51、61及び整流ダイオード52、62に応力が生じるのを抑制することができる。したがって、正側IGBTモジュール50及び負側IGBTモジュール60の劣化を抑制することが可能となる。
【0030】
(第2実施形態)
図3(A)及び図3(B)を参照して、第2実施形態による半導体装置40について説明する。図3(A)は半導体装置40の平面図であり、図3(B)は半導体装置40の縦断面図である。
【0031】
第2実施形態による半導体装置40は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、正極41及び負極42の構成において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0032】
図3(A)及び図3(B)に示すように、半導体装置40の負極42には、電極厚さ方向に貫通する貫通孔42Aが形成される。貫通孔42Aは、負側IGBTモジュール60のIGBT素子61と整流ダイオード62の間に位置するように形成される。貫通孔42Aは、負極42の電極幅方向に所定の間隔を空けて複数設けられる。
【0033】
なお、貫通孔42Aは、負極42の電極幅方向に亘って設けられる一つの開口部として形成してもよい。
【0034】
正極41にも、負極42と同様に、貫通孔41Aが正側IGBTモジュール50のIGBT素子51と整流ダイオード52の間に位置するように形成される。貫通孔41Aは、正極41の電極幅方向に所定の間隔を空けて複数設けられる。
【0035】
なお、貫通孔41Aは、正極41の電極幅方向に亘って設けられる一つの開口部として形成してもよい。
【0036】
上記した半導体装置40によれば、以下の効果を得ることができる。
【0037】
正極41及び負極42には、IGBT素子51、61と整流ダイオード52、62の間に位置するように貫通孔41A及び貫通孔42Aが形成されるので、正極41及び負極42は、電極面方向に変形しやすくなるとともに、貫通孔形成位置を中心に電極厚さ方向に湾曲しやすくなる。そのため、正極41及び負極42は出力電極43の熱膨張に応じて変形しやすくなり、IGBT素子51、61及び整流ダイオード52、62に生じる応力をより低減することができる。これにより、正側IGBTモジュール50及び負側IGBTモジュール60の劣化抑制効果を向上させることが可能となる。
【0038】
なお、半導体装置40では、正極41と出力電極43の隙間及び負極42と出力電極43の隙間内にモールド樹脂を充填することがある。通電時の正側及び負側IGBTモジュール50、60によってモールド樹脂が加熱され、モールド樹脂が熱膨張しても、モールド樹脂の熱膨張による変形を貫通孔41A、42A内に逃がすことができる。したがって、モールド樹脂の熱膨張に起因して正側及び負側IGBTモジュール50、60に生じる応力を低減でき、正側及び負側IGBTモジュール50、60の劣化を抑制することが可能となる。
【0039】
また、半導体装置40では、正極41及び負極42の両方に貫通孔41A、42Aを形成したが、正極41及び負極42のいずれか一方のみに貫通孔41A、42Aを形成するようにしてもよい。
【0040】
(第3実施形態)
図4を参照して、第3実施形態による半導体装置40について説明する。図4は、半導体装置40の縦断面図である。
【0041】
第3実施形態による半導体装置40は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、正極41及び負極42の構成において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0042】
図4に示すように、半導体装置40の正極41は、第1正極41Bと第2正極41Cとに分割されている。
【0043】
第1正極41Bと出力電極43の間には、正側IGBTモジュール50のIGBT素子51が設けられる。また、第2正極41Cと出力電極43の間には、正側IGBTモジュール50の整流ダイオード52が設けられる。第1正極41Bと第2正極41Cは、所定の隙間を空けて配置されており、連結部41Dを介して電気的に接続される。
【0044】
連結部41Dは、導電性部材であって、第1正極41B及び第2正極41Cよりも厚さが薄く形成されている。連結部41Dの両端は第1正極41Bと第2正極41Cの上面にそれぞれ接続しており、連結部41Dの中央部分は第1正極41Bと第2正極41Cの隙間内に臨むように湾曲形成されている。
【0045】
半導体装置40の負極42も、正極41と同様に構成されており、第1負極42Bと第2負極42Cとに分割されている。
【0046】
第1負極42Bと出力電極43の間には、負側IGBTモジュール60のIGBT素子61が設けられる。また、第2負極42Cと出力電極43の間には、負側IGBTモジュール60の整流ダイオード62が設けられる。第1負極42Bと第2負極42Cは、所定の隙間を空けて配置されており、連結部42Dを介して電気的に接続される。
【0047】
連結部42Dは、導電性部材であって、第1負極42B及び第2負極42Cよりも厚さが薄く形成されている。連結部42Dの両端は第1負極42Bと第2負極42Cの上面にそれぞれ接続しており、連結部42Dの中央部分は第1負極42Bと第2負極42Cの隙間内に臨むように湾曲形成されている。
【0048】
上記した半導体装置40によれば、以下の効果を得ることができる。
【0049】
半導体装置40では、第1正極41Bと第2正極41Cを薄い連結部41Dを介して連結し、第1負極42Bと第2負極42Cを薄い連結部42Dを介して連結するので、正極41及び負極42は、電極面方向に変形しやすくなるとともに、連結部設置位置を中心に電極厚さ方向に湾曲しやすくなる。これにより、正極41及び負極42は出力電極43の熱膨張に応じて変形しやすくなるので、正側及び負側IGBTモジュール50、60の劣化抑制効果を向上させることが可能となる。
【0050】
また、連結部41Dは第1正極41Bと第2正極41Cの隙間内に臨むように湾曲形成され、連結部42Dは第1負極42Bと第2負極42Cの隙間内に臨むように湾曲形成されるので、正極41及び負極42の変形性を高めることができる。
【0051】
なお、半導体装置40では、正極41及び負極42の両方を二分割構造として連結部41D、42Dを設けたが、正極41及び負極42のいずれか一方のみを二分割構造として連結部41D、42Dを設けるようにしてもよい。
【0052】
(第4実施形態)
図5を参照して、第4実施形態による半導体装置40について説明する。図5は、半導体装置40の縦断面図である。
【0053】
第4実施形態による半導体装置40は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、正極41及び負極42の構成において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0054】
図5に示すように、半導体装置40の正極41には、電極厚さ方向に突出するように屈曲する屈曲部41Eが形成される。屈曲部41Eは、正側IGBTモジュール50のIGBT素子51と整流ダイオード52の間に位置するように設けられる。
【0055】
半導体装置40の負極42にも、正極41と同様に、電極厚さ方向に突出するように屈曲する屈曲部42Eが形成される。屈曲部42Eは、負側IGBTモジュール60のIGBT素子61と整流ダイオード62の間に位置するように設けられる。
【0056】
上記した第4実施形態の半導体装置40によれば、以下の効果を得ることができる。
【0057】
正極41及び負極42にはIGBT素子51、61と整流ダイオード52、62の間に位置するように屈曲部41E及び屈曲部42Eが形成されるので、正極41及び負極42は、電極面方向に変形しやすくなるとともに、湾曲部形成位置を中心に電極厚さ方向に湾曲しやすくなる。そのため、正極41及び負極42は出力電極43の熱膨張に応じて変形しやすくなり、IGBT素子51、61及び整流ダイオード52、62に生じる応力をより低減でき、正側及び負側IGBTモジュール50、60の劣化抑制効果を高めることが可能となる。
【0058】
なお、半導体装置40では、IGBT素子51、61のエミッタ面にガードリング53、63を設け、整流ダイオード52、62のアノード面にガードリング54、64を設けることがある。これらガードリング53、54、63、64は、半導体素子の両面に生じる電界を緩和し、半導体素子の絶縁性を確保する。ガードリング53、63はエミッタ面の外縁に沿って設けられ、ガードリング54、64はアノード面の外縁に沿って設けられる。ガードリング53、54、63、64は各電極41〜43等と接触しないように配置する必要がある。第4実施形態の半導体装置40では、負極42の屈曲部42Eは外側に突出するように形成されているので、屈曲部42Eを利用して負極42とガードリング63、64の距離をできる限り離すことが可能となる。
【0059】
また、半導体装置40では、正極41及び負極42の両方に屈曲部41E、42Eを形成したが、正極41及び負極42のいずれか一方のみに屈曲部41E、42Eを形成するようにしてもよい。
【0060】
(第5実施形態)
図6を参照して、第5実施形態による半導体装置40について説明する。図6は、半導体装置40の縦断面図である。
【0061】
第4実施形態による半導体装置40は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、出力電極43の構成において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0062】
半導体装置40では、正極41及び負極42の電極厚さを薄くするため、正極41及び負極42の放熱特性を改善でき、図2に示した冷却器71、72を省略できる可能性がある。このような場合には、図6に示すように、出力電極43に正側及び負側IGBTモジュール50、60を冷却するための冷却機構を設ける。
【0063】
半導体装置40の出力電極43の内部には、作動流体を流すための内部通路43Aが形成される。出力電極43は、内部通路43Aを流れる作動流体を利用して、通電時の正側及び負側IGBTモジュール50、60を冷却する。
【0064】
上記した半導体装置40によれば、以下の効果を得ることができる。
【0065】
半導体装置40では、出力電極43に冷却用の作動流体を流す内部通路43Aを形成し、出力電極43を用いて正側及び負側IGBTモジュール50、60を冷却する。出力電極43自体に冷却機構を設けるので、出力電極43の温度上昇が抑制される。これにより、出力電極43が熱膨張によって変形するのを抑制することができ、IGBT素子51、61及び整流ダイオード52、62に生じる応力をより低減することができる。したがって、正側及び負側IGBTモジュール50、60の劣化抑制効果を高めることが可能となる。
【0066】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0067】
第1から第5実施形態の半導体装置40では、各電極41〜43を、アルミニウムやアルミニウム系合金によって形成したが、弾性変形しやすく、かつ高熱伝導率の銅や銅合金によって形成してもよい。例えば、出力電極43を銅等によって形成すれば、正側及び負側IGBTモジュール50、60からの熱を電極端部に速やかに伝えることができ、出力電極43の温度上昇を抑制することができる。これにより出力電極43の熱膨張を抑制でき、正側及び負側IGBTモジュール50、60の劣化抑制効果を向上させることが可能となる。
【0068】
また、第5実施形態の半導体装置40では、冷却器71、72を省略するようにしたが、冷却器71、72を設置してもよい。
【符号の説明】
【0069】
40 半導体装置
41 正極
41A 貫通孔
41B 第1正極(第1電極)
41C 第2正極(第2電極)
41D 連結部
41E 屈曲部
42 負極
42A 貫通孔
42B 第1負極(第1電極)
42C 第2負極(第2電極)
42D 連結部
42E 屈曲部
43 出力電極
43A 内部通路(冷却機構)
50 正側IGBTモジュール
51 IGBT素子(正側スイッチング素子)
52 整流ダイオード(正側ダイオード)
60 負側IGBTモジュール
61 IGBT素子(負側スイッチング素子)
62 整流ダイオード(負側ダイオード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極と、
前記正極と前記負極の間に配置される出力電極と、
前記正極と前記出力電極を接続する正側スイッチング素子と、
前記正極と前記出力電極を接続し、前記正側スイッチング素子とは電流を逆方向に流す正側ダイオードと、
前記負極と前記出力電極を接続する負側スイッチング素子と、
前記負極と前記出力電極を接続し、前記負側スイッチング素子とは電流を逆方向に流す負側ダイオードと、を備え、
前記正極及び前記負極の電極厚さは、前記出力電極の電極厚さよりも薄く設定される半導体装置。
【請求項2】
前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、前記正側スイッチング素子又は前記負側スイッチング素子と前記正側ダイオード又は前記負側ダイオードとの間に位置するように、電極厚さ方向に突出する屈曲部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、前記正側スイッチング素子又は前記負側スイッチング素子と前記正側ダイオード又は前記負側ダイオードとの間に位置するように、電極厚さ方向に貫通する貫通孔を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、
前記正側スイッチング素子又は前記負側スイッチング素子を介して前記出力電極と接続する第1電極と、
前記正側ダイオード又は前記負側ダイオードを介して前記出力電極と接続する第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極よりも薄く形成され、前記第1電極と前記第2電極を連結する連結部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1電極と前記第2電極の隙間に臨むように湾曲形成される、ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記出力電極は、前記正側スイッチング素子及び前記負側スイッチング素子と、前記正側ダイオード及び前記負側ダイオードとを冷却するための冷却機構を備える、
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−258632(P2011−258632A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129778(P2010−129778)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】