説明

半導体製造装置に使用するカメラ

【課題】本発明は、斜めに設けたカメラが被写体を撮像しても、全体に鮮明な画像を取得することが可能な半導体製造装置に使用するカメラを提供することにある。
【解決手段】本発明の半導体製造装置に使用するカメラは、板状の被写体の上面を光軸が斜めになるように撮像する半導体製造装置に使用するカメラであって、前記被写体と前記カメラの光路間に直角三角形プリズム状の光学ガラスを設け、前記カメラの視野内の見かけ上の光路を等価にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置におけるカメラに係わり、特に、ウェハからダイをピックアップするためにウェハを認識するウェハ認識カメラ、あるいは基板を認識する時に使用する基板認識カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイ(半導体チップ)を配線基板やリードフレームなどの基板に搭載してパッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以降、単にウェハと称する)からダイをピックアップ(吸着)し、ピックアップしたダイを基板にボンディングするダイボンディング工程がある。
ダイボンディング工程を実施する方法として、ピックアップしたダイを一度プリアライメントステージ(第1の作業ステージ)に載置し、ボンディングヘッドでプリアライメントステージから再度ダイをピックアップし、第2の作業ステージの搬送されてきた基板にボンディング(装着)する方法(特許文献1)がある。また、ウェハからピックアップ(吸着)したダイの保持状態を部品認識カメラで撮像し、その撮像結果に基づいてボンディング位置及び姿勢を補正してボンディングする方法(特許文献2)がある。
【0003】
ウェハからダイをピックアップする時には、ピックアップするウェハ上のダイの位置を認識及び位置補正する必要がある。そのため、ウェハ認識カメラでウェハ全体あるいは複数のダイに渡って撮像し、撮像した画像を画像処理してウェハ上のダイの位置を認識する。
また、ピックアップするためには、通常、ウェハの下からダイエジェクタでピンを突上げ、かつ、ダイの真上からダイをピックアップする。このため、真上には、ダイをピックアップするためのピックアップヘッドを設けている。
従って、ウェハ認識カメラは、ピックアップヘッドから離れて設けられる。このため必然的に、ウェハ認識カメラは斜め方向から、ウェハのダイを撮像することになる。
ウェハからダイをピックアップするためには、それぞれのウェハ毎に作成されたマップを参照し、良品のみを選択する。マップと照合するためには、まず、ウェハを撮像し、撮像したウェハ全体の画像についてパターン認識等の画像処理を行い、ウェハ全体のアライメントマークを探し出し、ウェハの基準位置を求める。そして、求めた基準位置に基づいて、ダイの位置を認識し、当該位置のダイが良品であるか否かをマップと照合して、良品のダイを選ぶ。このため、広い視野(少なくとも、実際のダイサイズの約3倍程度)で撮像する。
【0004】
しかし、上述のような空間的な制約から、ウェハ認識カメラは斜めに設けられる。
図6は、ウェハ認識カメラが真上に設けられた(正対位置関係の)場合と、斜めに設けられた(斜め位置関係の)場合について説明する図である。図6(a)は、ウェハ認識カメラが真上に設けられた場合の焦点距離を示す図であり、図6(b)は、ウェハ認識カメラが斜めに設けられた場合の焦点距離を示す図である。601及び601’はウェハ認識カメラ、602はウェハ、Dはダイ、604はウェハ認識カメラ601の光軸、604’はウェハ認識カメラ601’の光軸、L、L1、L2はウェハ認識カメラ601の焦点距離、L’、L1’、L2’はウェハ認識カメラ601’の焦点距離である。
図6(a)に示すように、真上からダイDを撮像する場合のダイDとウェハ認識カメラ601との焦点距離L、L1、L2は、等しい距離となる(L=L1=L2)。このため、ダイD等の被写体のどこでも、焦点距離は等しく、従って、被写体全体が鮮明な画像となる。
しかし、図6(b)に示すように、斜めからダイDを撮像する場合のダイDとウェハ認識カメラ601’との焦点距離L’、L1’、L2’は、異なる距離となる(L1<L<L2)。このため、手前側と奥側では焦点距離に差が出てしまう。従って、焦点がぼやける部分ができ、全体が鮮明な画像にならない。このため、画像処理時に画像を座標変換する等の余分な処理を行って、ダイの位置を算出するようにしていた。
【0005】
このように機構部可動領域を板状の被写体の真上に有する構成の半導体製造装置では、配置の制約により斜めに設けられたカメラ全般に言えることである。
例えば、ウェハの良否を電気的に検査するウェハ検査工程でも、ウェハ全体のアライメントマークを探し出し、ウェハの基準位置を定める必要がある。
また、例えば、ダイを含め、チップ部品をマウントする基板の位置決めにも、斜めに配置されたカメラの場合には、同様のことが言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−246285号公報
【特許文献2】特開2009−105352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような従来の問題点に鑑み、本発明の目的は、斜めに設けたカメラが被写体を撮像しても、全体に鮮明な画像を取得することが可能な半導体製造装置に使用するカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の半導体製造装置に使用するカメラの第1の特徴は、板状の被写体の上面を光軸が斜めになるように撮像する半導体製造装置に使用するカメラであって、前記被写体と前記カメラの光路間に左右端で厚みの異なる立体形状のプリズム状の光学ガラスを設け、前記カメラの視野内の見かけ上の光路を等価にしたものである。
【0009】
上記本発明の第1の特徴の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、雰囲気媒体と屈折率が大なる光学ガラスであることを第2の特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の第1または第2の特徴の半導体製造装置に使用するカメラにおいて前記光学ガラスの厚さは、焦点距離が長い光路を通過する側は厚く、焦点距離が短い光路を通過する側は薄くなるように設けることを第3の特徴とする。
【0011】
さらに、上記本発明の第1乃至第3の特徴のいずれかに記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、三角形で厚みを有した立体形状のプリズムであることを第4の特徴とする。
【0012】
またさらに、上記本発明の第1乃至第4の特徴のいずれかに記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、直角三角形で厚みを有した立体形状のプリズムであることを第5の特徴とする。
【0013】
さらに、上記本発明の第1乃至第5の特徴のいずれかの半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、ホウケイ酸であることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
従って、本発明によれば、斜めに設けたカメラが被写体を撮像しても、全体に鮮明な画像を取得することが可能な半導体製造装置に使用するカメラを実現できる。この結果、このため、ダイのピックアップ時等に、画像処理でダイの位置を算出するときに余分な処理を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の半導体製造装置に使用するカメラの一実施形態であるウェハ認識カメラを使用するダイボンダの基本的な構成を示す概略図を示す図である。
【図2】本発明の半導体製造装置に使用するカメラの一実施形態であるウェハ認識カメラを使用するダイボンダのウェハ保持台の動作を模式的に示す図である。
【図3】図2に示す4台のウェハ保持台(ウェハ)のうち格子状に示したウェハを有するウェハ保持台の部品認識カメラとの関係を示す図である。
【図4】本発明の半導体製造装置に使用するカメラの一実施形態であるウェハ認識カメラの構成を説明するための図である。
【図5】本発明の半導体製造装置に使用するカメラの一実施形態であるウェハ認識カメラに使用する光学ガラスの寸法を算出するための図である。
【図6】カメラが真上に設けられた場合と、斜めに設けられた場合について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
また、各図の説明において、従来の技術を説明した図6を含め、同一の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付して重複を避け、できるだけ説明を省略する。
【0017】
まず、本発明の一実施形態のウェハ認識カメラを使用するダイボンダについて、各部の基本的な構成と動作を、図1と図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態のウェハ認識カメラに使用するダイボンダ100の基本的な構成を示す概略図を示す図である。図1(a)は、ダイボンダ100の上面図であり、図1(b)は、図1(a)において矢印Aから見た正面図である。図2は、本発明の一実施形態のウェハ認識カメラを使用するダイボンダのウェハ保持台の動作を模式的に示す図である。
ダイボンダ100は、大別して、ダイ供給部1、ピックアップ部2、プリアライメント部3、ボンディング部4、搬送部5、ダイDがボンディング(装着)された基板Pを基板搬送パレット51から受け取る基板搬出部7、及び各部の動作を監視し制御する制御部8を有する。
【0018】
まず、ダイ供給部1について説明する。
ダイ供給部1は、複数のウェハ11(図1では4枚)をそれぞれ保持する複数のウェハ保持台12、突き上げユニット13(点線で示す)、複数のウェハ保持台12それぞれを固定するウェハ保持台14、XY駆動部15、回転駆動部16、及び保持部基台17を有する。突上げユニット13は、ウェハ11からダイDを突き上げ、ピックアップヘッド21にダイDをピックアップさせるユニットである。
ウェハ保持台12は、ウェハ保持ステージ14(図1(a)参照)の4辺側に固定されている。ウェハ保持ステージ14は、図1(b)に示す保持部基台17に設けられたXY駆動部15により、図2(a)に示すY方向の移動例のようにX方向、Y方向に移動し、さらにXY駆動部15上に設けられた回転駆動部16により図2(b)示すよう回転可能に設けられている。一方、突き上げユニット13は、保持部基台17の所定位置に基本的には固定され、その位置に存在するウェハ11のダイDを突き上げる。基本的とは、微調整機構を有することもあることを示す。
上記の構成のうち回転駆動部16によってウェハ11(ウェハ保持台12)を選択し、XY駆動部15によって選択されたウェハ上の所定位置のダイDを突き上げユニット13の上部に移動させる。
【0019】
本実施形態では4枚のウェハから1個ずつダイをピックアップするから、まず、ピックアップされるダイの位置、即ちダイ供給部をピックアップヘッド21に垂直な面内で移動させるXY駆動部(2方向移動手段)15で決め、その後90度ずつウェハ保持台12を順次回転させて4枚のウェハからダイDを順次ピックアップする。この場合、回転したときにピックアップ位置においてダイDが同一姿勢になうように各ウェハをウェハ保持台に載置することが望ましい。次に、隣接するダイをピックアップできるようにウェハ保持ステージ14をXY駆動部15で移動する。そして、これ等動作を繰り返して行う。
上記実施形態では、ダイのピックアップ位置をXY駆動部15で決めたが、XY方向に突き上げユニット13を移動させる突き上げユニット移動手段を設けて突き上げユニット13を移動させても良い。
【0020】
次に、ピックアップ部2について説明する。
ピックアップ部2は、突き上げユニット13で突き上がられたダイDを吸着してピックアップするピックアップヘッド21、ピックアップヘッド21をX方向に移動させるX駆動軸22、ウェハ11のアライメントマーク(図示せず)を撮像し、ピックアップすべきダイDの位置を認識するウェハ認識カメラ23(図2(b)参照)、及びピックアップ用ノズルストッカ24を有する。ピックアップ部2において、ピックアップヘッド21は、突き上げユニット13で突き上げられたダイDを吸着してピックアップし、プリアライメントステージ(以下、単にプリステージという)31に載置する。
X駆動軸22によってピックアップヘッド21は、ダイDの突き上げ位置とプリステージ31間を往復し、4個のダイをプリステージ31にプリステージの長手(Y)方向に列状に配置する。
【0021】
ここで、図1(a)及び図1(b)に示されるように、ピックアップヘッド21がダイDの真上に設けられている。このため、ウェハ認識カメラ23は、斜め方向から、当該ダイDを撮像するように設けられている。
しかし、後述するように、本発明のダイボンダでは、斜めに設けたカメラが被写体を撮像しても、全体に鮮明な画像を取得することが可能となっている。このため、画像処理でダイDの位置を算出するときに余分な処理を必要としない。
【0022】
次に、プリアライメント部3について説明する。
プリアライメント部3は、プリステージ31、Z軸駆動部32、Y軸駆動部33、X軸駆動部34、及び載置部品認識カメラ35を有する。プリアライメント部3において、X軸駆動部34、Y軸駆動部33、及びZ軸駆動部32は、図1(a)に示すX方向とY方向、及び図1(b)に示すZ方向に、ダイDを載置したプリステージ31を移動させる。プリステージ31には、複数個(例えば、4個)のダイDが、Y方向に均等な間隔で載置(図示せず)される。
【0023】
プリアライメント部3の動作を図2及び図3を用いて説明する。図3は、図2(a)に示す4台のウェハ保持台12(ウェハ11)のうち格子状に示したウェハ11を有するウェハ保持台12と部品認識カメラ42とのY方向における関係を示す図である。ウェハ保持台12(ウェハ11)は、図2を用いて既に説明したようにX、Y方向に移動する。図3(a)、図3(b)、及び図3(c)は、それぞれ、プリアライメント部3の構成を示す図である。
なお、部品認識カメラ42は、ボンディングヘッド41がプリステージ31から基板Pに矢印Gに示す方向に水平移動する途中で、ボンディングヘッド41にピックアップされているダイDの保持状態を撮像する。
【0024】
まず、図3(c)では、ボンディングヘッド41は、ダイDのピックアップ及びボンディングに必要な最低限の上下移動し、プリステージ31と基板Pとの間を矢印Gに示すように水平往復移動するようにしている。そのために、部品認識カメラ42は、ボンディングヘッド41にピックアップされているダイDの保持状態を監視するために、プリステージ31と基板Pより下のウェハ保持台12と同じか同一レベルになるように配置していた。同一レベルとは、ボンディングヘッド41の水平往復移動に差し支えないようにその移動レベルに近接した位置をいう。
【0025】
また、図3(a)、図3(b)では、ダイ供給部1の小型化を図るために、部品認識カメラ42をダイ供給部1と干渉しないように、ダイ供給部1の上面より上側の高い位置に設ける。その結果、4台のウェハ保持台12が隣接する位置をまで狭くすることができる。例えば、部品認識カメラ42を4台のウェハ保持台12の中心位置の上部に配置した時の1台のウェハ保持台12による効果が図3に示すようにΔαであるとすれば、ダイ供給部1のX、Y方向の幅をそれぞれ2α小さくできる。その他の構成部の兼ね合いがあるので、必ずしも2α分小さくできると限らないが、少なくとも格子状の位置のY方向のαの効果は奏する。
以上のように、図3(a)または図3(b)のプリアライメント部3の構成では、ウェハ保持台12(ウェハ11)を4台設ける場合を説明したが、1台でも、さらに、2台、3台または5台以上でも同様な手段で同様な効果を奏することができる。
また、ダイ供給部1の小型化の結果、ダイDのウェハ11からピックアップから基板Pへのボンディングする間の処理時間の短縮をできる。
【0026】
次に、ボンディング部4について説明する。
ボンディング部4は、プリステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Pにボンディングするボンディングヘッド41、ボンディングヘッド41のダイDの保持状態を撮像する部品認識カメラ42、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動軸43、搬送されていた基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディングすべきダイDのボンディング位置を認識する基板認識カメラ44、及びボンディングヘッド用ノズルストッカ45を有する。また、ボンディングヘッド41は、Y軸駆動部43でY方向に移動するほか、先端に複数設けられた吸着ノズル41aを昇降する図示しないヘッド昇降手段を有する。
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、プリステージ31上に載置されたダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Pにボンディングする。部品認識カメラ42は、Y駆動軸に沿って移動中のボンディングヘッド41に保持されたダイDの保持状態を撮像し、その結果に基づいてボンディングヘッド41が基板Pにボンディングする位置及び姿勢を補正して、基板PにダイDをボンディングする。この動作をプリステージ31上の4個のダイに対して同時にまたは個別に行なう。
【0027】
搬送部5は、一枚または複数枚の基板(図1では4枚)を載置した基板搬送パレット51と、基板搬送パレット51が移動するパレットレール52とを具備する同一構造の第1、第2搬送部とが並行して設けられている。基板搬送パレット51は、基板搬送パレットに設けられた図示しないナットをパレットレール52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。
このような構成によって、基板搬送パレット51は、基板供給部6で基板を載置され、パレットレール52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部7まで移動して基板搬出部7に基板を渡す。第1、第2搬送部は、互いに独立して駆動され、一方の基板搬送パレット51の基板PにダイDをボンディング中に、他方の基板搬送パレット51は、基板を搬出し、基板供給部6に戻り、新たな基板を載置するなどの準備を行なう。
なお、本実施形態のダイボンダにおいて、直線的に移動させる駆動機構にもボールネジ/ナット方式など採用している。また、搬送部等の駆動機構としては、上記のボールネジ/ナット方式に限らず、リニアモータ方式を用いても良い。
【0028】
基板供給部6は、基板搬送パレット51に基板を供給する。なお、1枚の基板搬送パレット51は、複数枚(例えば、4枚)の基板Pを搬送する。
搬送部5は、基板供給部6からボンディング位置を経由して、基板搬送パレット51を基板搬出部7まで搬送する。基板搬出部7は、ダイDがボンディング(装着)された基板Pを基板搬送パレット51から受け取るユニットである。
制御部8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、各部の動作を監視し、制御する。制御部8は、例えば、部品認識カメラ42が撮像した画像を画像処理し、ボンディングヘッド41のダイDの保持状態を解析し、解析した保持状態(撮像結果)に基づいてX軸駆動制御する。
【0029】
以上、図1〜図3を用いて、本発明のダイボンダの各部の基本的な構成と動作を説明した。
次に、図4及び図5(a)によって、本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の一実施例を説明する。
図4は、本発明の半導体製造装置に使用するカメラの一実施形態であるウェハ認識カメラの構成を説明するための図である。401はウェハ認識カメラ、404はウェハ認識カメラ401の光軸、405は光学ガラスである。図4(a)は、横方向から見た正面図であり、板状の被写体(ダイD等)の上面に対して光軸が斜めになるように設けられたウェハ認識カメラ23と被写体の光路間に、光学ガラス405を挟んだことを示す図である。また、図4(b)は光学ガラス401の形状を拡大して立体で示した図である。
図5(a)は、本発明の半導体製造装置に使用するカメラの一実施形態であるウェハ認識カメラに使用する光学ガラスの寸法を算出するための図である。
図4(b)において、光学ガラス405の形状は、直角三角形プリズム状である。即ち、点ABC及びA’B’C’は、それぞれ直角三角形で、合同の関係にある。また、∠ABC及び∠A’B’C’はそれぞれ直角である。また、辺ACが視野サイズsと同じ長さかそれより大である。
また、図4(a)のように、光学ガラス405の厚さは、焦点距離が長い光路L2を通過する側は薄く、焦点距離が短い光路L1を通過する側は厚くなるように設ける。
【0030】
すでに述べたように、ウェハ認識カメラ401が斜めの角度で取り付けられることにより、ウェハ認識カメラ401のレンズ面や受光素子面と被写体(ワーク、ダイD)面との焦点距離の関係が、被写体の上下、左右の位置により異なる。このため、被写体の場所により、ピントがぼやける。
これを改善するために、本発明の一実施形態では、ウェハ認識カメラ401と被写体の光路の間に空気等の雰囲気媒体と屈折率が異なる光学ガラス405を挟む。この結果、ウェハ認識カメラ401の視野内の見かけ上の光路を等価にする。なお例えば、光学ガラス405の屈折率は、空気等の雰囲気媒体の屈折率より大である。
図5(a)において、光学ガラスをホウケイ酸ガラスとすると、その屈折率Nは、1.5168である。ウェハ認識カメラ401の取付け角度を60°、視野サイズsを10mmとすると、焦点距離の差xは以下の通り5.0mmとなる(x=5.0mm)。
即ち、焦点距離のずれ量dは、空気中の屈折率を1.0とすると、以下の式(1)で表すことができる。ただし、光学ガラス405の厚みをtとする。
d=t×(1−1.0/N)・・・式(1)
従って、式(1)から、光学ガラス405の厚さtが求まる。
t=d/(1−1.0/N)であり、d=5.0mmとすると、
t=5/(1−1.0/1.56168)=14.67mm
従って、ウェハ認識カメラ401と被写体(ウェハ603)を挟む位置に、図4(b)に示した光学ガラス405を挟むと、ウェハ認識カメラ401を斜めの角度(例えば、光軸を斜め60°)に設けた場合でも、被写体全体の全ての場所で合焦点を得ることができる。この結果、鮮明な画像を得ることができるため、正確なダイの位置を認識することができる。
なお、図4における長さwは、光学ガラス405の設置位置によって異なる。
【0031】
上述の図4及び図5(a)の実施例では、光学ガラス405は直角三角形プリズムであった。しかし、本発明は、直角三角形プリズムの形状に限定する必要はない。
図5(b)は、本発明の別の光学ガラスの形状を示す図である。図5(b)の光学ガラス405’は、図5(a)の∠θ=π/2[rad]に対して、∠θ≠π/2[rad]の三角形プリズム状の形状である。図5(b)に示す本発明の光学ガラス405’は、左右端で厚みが異なる。この例では、左端が厚み小(または、0)で、右端が厚みt’である。このように左右が異なる厚みの立体形状のプリズム状の光学ガラスであれば良いことは勿論である。例えば、台形でも良い。この時、三角形や台形であって、好ましくは、図4(b)に示す辺A−A’の長さa、辺B−B’の長さb、辺C−C’の長さcは、等しい(a=b=c)。
【0032】
以上のように、上述の実施例のウェハ認識カメラでは、見かけ上の焦点距離が被写体の上下、及び左右で同一となるので、結像する点がずれず、画像がぼけない。
従って、上記実施例によれば、鮮明な画像が取得できるため、その撮像結果に基づいて正確な位置及び姿勢が検出できる。
さらに、ダイのピックアップ時等に、画像処理でダイの位置を算出するときに余分な処理を必要としない。
【0033】
なお、上記実施例は、ダイボンダを例にして説明した。しかし、配置の制約により斜めに設けられた半導体製造装置に使用するカメラ全般に適用できることである。
従って、例えば、ウェハの良否を電気的に検査するウェハ検査工程でも、ウェハ全体のアライメントマークを探し出し、ウェハの基準位置を定める必要がある。
また、例えば、ダイを含め、チップ部品をマウントする基板の位置決めにも、斜めに配置されたカメラの場合に本発明が適用可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0034】
1:ダイ供給部、 2:ピックアップ部、 3:プリアライメント部、 4:ボンディング部、 5:搬送部、 6:基板供給部、 7:基板搬出部、 8:制御部、 11:ウェハ、 12:ウェハ保持台、 13:突き上げユニット、 14:ウェハ保持ステージ、 15:XY軸駆動部、 16:回転駆動部、 21:ピックアップヘッド、 22:X軸駆動部、 23:ウェハ認識カメラ、 24:ピックアップ用ノズルストッカ、 31:プリアライメントステージ(プリステージ)、 32:Z軸駆動部、 33:Y軸駆動部、 34:X軸駆動部、 35:載置部品認識カメラ、 41:ボンディングヘッド、 42、42’:部品認識カメラ、 43:Y軸駆動部、 44:基板認識カメラ、 45:ボンディングヘッド用ノズルストッカ、 51:基板搬送パレット、 52:パレットレール 81:実装ヘッド、 82:吸着ノズル、 83:基準ピン、 100:ダイボンダ、 401:ウェハ認識カメラ、 404:光軸、 405、405’:光学ガラス、 601、601’:ウェハ認識カメラ、 602:ウェハ、 604、604’:光軸、 L、L1、L2、L’、L1’、L2’:焦点距離、 D:ダイ、 P:基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被写体の上面を光軸が斜めになるように撮像する半導体製造装置に使用するカメラであって、
前記被写体と前記カメラの光路間に左右端で厚みの異なる立体形状のプリズム状の光学ガラスを設けたことを特徴とする半導体製造装置に使用するカメラ。
【請求項2】
請求項1記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、雰囲気媒体と屈折率が大なる光学ガラスであることを特徴とする半導体製造装置に使用するカメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスの厚さは、焦点距離が長い光路を通過する側は厚く、焦点距離が短い光路を通過する側は薄くなるように設けることを特徴とする半導体製造装置に使用するカメラ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、三角形で厚みを有した立体形状のプリズムであることを特徴とする半導体製造装置に使用するカメラ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、直角三角形で厚みを有した立体形状のプリズムであることを特徴とする半導体製造装置に使用するカメラ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体製造装置に使用するカメラにおいて、前記光学ガラスは、ホウケイ酸であることを特徴とする半導体製造装置に使用するカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−247720(P2012−247720A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121297(P2011−121297)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】