説明

半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】電荷蓄積膜を備える半導体記憶装置に関し、電荷蓄積膜の電荷保持特性を向上させる。
【解決手段】ビット線とワード線とを有する半導体記憶装置(101)は、基板(111)と、前記基板上に形成された第1のゲート絶縁膜(121)と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された電荷蓄積膜(122)と、前記電荷蓄積膜上に形成された第2のゲート絶縁膜(123)と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極(124)とを備え、前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅が、前記ゲート電極のビット線方向の幅よりも狭くなっている、又は、前記電荷蓄積膜のワード線方向の幅が、前記第1のゲート絶縁膜下の前記基板内に形成されるチャネル領域のチャネル幅よりも狭くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置及びその製造方法に関し、例えば、MONOS(金属−酸化膜−窒化膜−酸化膜−半導体)構造を有する不揮発性メモリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリの一種として、電荷トラップ型の不揮発性メモリが知られている。電荷トラップ型の不揮発性メモリは、絶縁膜中に電荷をトラップさせることで、データを記憶する。電荷トラップ型の不揮発性メモリの例としては、MONOS構造を有する不揮発性メモリ(以下「MONOSメモリ」と呼ぶ)が挙げられる。特許文献1には、MONOSメモリの例が記載されている。
【0003】
MONOSメモリのセルトランジスタは一般に、基板、トンネル絶縁膜(第1のゲート絶縁膜)、電荷蓄積膜、電荷ブロック膜(第2のゲート絶縁膜)、ゲート電極等により構成される。MONOSメモリは、書き込み時には、基板から電荷蓄積膜に電子を注入することで、セルトランジスタの閾値電圧を高レベルに設定し、データを書き込む。一方、消去時には、基板から電荷蓄積膜に正孔を注入する、又は、電荷蓄積膜内の電子を基板に引き戻すことで、セルトランジスタの閾値電圧を低レベルに戻し、データを消去する。
【0004】
MONOSメモリのメモリセルを形成する際、電荷蓄積膜は、セル間の絶縁を取るために、ゲート電極と共にRIE(Reactive Ion Etching)によりエッチングされる。これにより、メモリセルをセルフアラインで形成することができる。
【0005】
しかしながら、電荷蓄積膜には、チャネル長方向(ビット線方向)の端部にかかる電界が弱く、チャネル幅方向(ワード線方向)の端部にかかる電界が強いという問題がある。これらの端部は、メモリセルの電荷保持特性に悪影響を与える。
【特許文献1】特開2007−251132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電荷蓄積膜を備える半導体記憶装置に関し、電荷蓄積膜の電荷保持特性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は例えば、ビット線とワード線とを有する半導体記憶装置であって、ビット線方向に伸びる第1のトレンチが複数形成された基板と、前記第1のトレンチ間において前記基板上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のトレンチ間において前記第1のゲート絶縁膜上に形成され、且つ、ワード線方向に伸びる第2のトレンチ間に位置する電荷蓄積膜と、前記第2のトレンチ間において前記電荷蓄積膜上に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のトレンチ間において前記第2のゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを備え、前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅が、前記ゲート電極のビット線方向の幅よりも狭くなっている、又は、前記電荷蓄積膜のワード線方向の幅が、前記第1のゲート絶縁膜下の前記基板内に形成されるチャネル領域のチャネル幅よりも狭くなっている、ことを特徴とする半導体記憶装置である。
【0008】
本発明の別の態様は例えば、ビット線とワード線とを有する半導体記憶装置の製造方法であって、基板上に、第1のゲート絶縁膜と電荷蓄積膜とを順に形成し、前記電荷蓄積膜と前記第1のゲート絶縁膜と前記基板とを加工して、ビット線方向に伸びる第1のトレンチを複数形成し、前記電荷蓄積膜上に、第2のゲート絶縁膜とゲート電極層とを順に形成し、前記ゲート電極層と前記第2のゲート絶縁膜と前記電荷蓄積膜とを加工して、ワード線方向に伸びる第2のトレンチを複数形成すると共に、前記ゲート電極層からゲート電極を形成し、前記電荷蓄積膜のビット線方向の側面又はワード線方向の側面を後退させる、あるいは酸化することで、前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅を、前記ゲート電極のビット線方向の幅よりも狭くする、又は、前記電荷蓄積膜のワード線方向の幅を、前記第1のゲート絶縁膜下の前記基板内に形成されるチャネル領域のチャネル幅よりも狭くする、ことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電荷蓄積膜を備える半導体記憶装置に関し、電荷蓄積膜の電荷保持特性を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置101の側方断面図及び平面図である。図1には、図1AのA1−A2断面図と、図1BのB1−B2断面図と、図1Cの平面図が示されている。図1Cには、A1−A2断面とB1−B2断面の位置が示されている。これらの側方断面図及び平面図には、半導体記憶装置101を構成するセルトランジスタの構造が示されている。
【0012】
図1の半導体記憶装置101は、MONOS構造を有する不揮発性メモリであり、複数本のビット線と複数本のワード線とを有する。図1A及びCに示す矢印αは、ビット線に平行な方向(ビット線方向)を表し、図1B及びCに示す矢印βは、ワード線に平行な方向(ワード線方向)を表す。ビット線方向は、セルトランジスタのチャネル長方向に相当し、ワード線方向は、セルトランジスタのチャネル幅方向に相当する。
【0013】
図1の半導体記憶装置101は、基板111と、トンネル絶縁膜121と、電荷蓄積膜122と、電荷ブロック膜123と、ゲート電極124と、素子分離絶縁膜131と、セル間絶縁膜132とを備える。トンネル絶縁膜121は、本発明の第1のゲート絶縁膜の例である。電荷ブロック膜123は、本発明の第2のゲート絶縁膜の例である。
【0014】
基板111はここでは、半導体基板、詳細には、シリコン基板である。基板111は、SOI(Semiconductor On Insulator)基板でもよい。基板111には、ビット線方向に伸びる第1のトレンチT1が複数形成されている。図1Bでは、基板111における第1のトレンチT1間の部分が、Xで示されている。
【0015】
トンネル絶縁膜121は、図1Bに示すように、第1のトレンチT1間において、基板111上に形成されている。トンネル絶縁膜121はここでは、シリコンと酸素と窒素を主成分とするシリコン酸窒化膜である。トンネル絶縁膜121は、シリコンと酸素を主成分とするシリコン酸化膜でもよい。
【0016】
電荷蓄積膜122は、図1Bに示すように、第1のトレンチT1間において、トンネル絶縁膜121上に形成されている。電荷蓄積膜122は、電荷を蓄積する機能を有する絶縁膜である。電荷蓄積膜122はここでは、シリコンと窒素を主成分とするシリコン窒化膜である。また、基板111上には、図1Aに示すように、ワード線方向に伸びる第2のトレンチT2が複数形成されている。電荷蓄積膜122は、図1Aに示すように、第2のトレンチT2間に位置している。
【0017】
電荷ブロック膜123は、図1Aに示すように、第2のトレンチT2間において、電荷蓄積膜122上に形成されている。電荷ブロック膜123は、電荷をブロックする機能を有する絶縁膜である。電荷ブロック膜123はここでは、シリコンと酸素を主成分とするシリコン酸化膜である。電荷ブロック膜123は、high−k絶縁膜、例えば、アルミニウムと酸素を主成分とするアルミナ膜でもよい。
【0018】
ゲート電極124は、図1Aに示すように、第2のトレンチT2間において、電荷ブロック膜123上に形成されている。ゲート電極124は一般に、コントロールゲートとも呼ばれる。ゲート電極124はここでは、不純物がドープされたポリシリコン層である。ゲート電極124は、メタル層、例えば、タンタルと窒素を主成分とする窒化タンタル層でもよい。
【0019】
素子分離絶縁膜131は、図1Bに示すように、素子分離溝である第1のトレンチT1に埋め込まれている。図1の半導体記憶装置101では、基板111の表面の部分Xと、トンネル絶縁膜121と、電荷蓄積膜122が、素子分離絶縁膜131に埋め込まれている。電荷蓄積膜122は、ここではその一部が素子分離絶縁膜131に埋め込まれているが、その全部が素子分離絶縁膜131に埋め込まれていてもよい。素子分離絶縁膜131はここでは、シリコンと酸素を主成分とするシリコン酸化膜である。
【0020】
セル間絶縁膜132は、図1Aに示すように、ゲート電極124上に形成されていると共に、第2のトレンチT2に埋め込まれている。図1の半導体記憶装置101では、電荷蓄積膜122と、電荷ブロック膜123と、ゲート電極124が、セル間絶縁膜132に埋め込まれている。セル間絶縁膜132はここでは、シリコンと酸素を主成分とするシリコン酸化膜である。
【0021】
上述のように、図1Bでは、基板111における第1のトレンチT1間の部分が、Xで示されている。図1の半導体記憶装置101では、この部分に、チャネル領域C、ソース領域S、及びドレイン領域Dが形成される。チャネル領域Cは、図1A及びBのように、トンネル絶縁膜121の下部に形成される。ソース領域S及びドレイン領域Dは、図1Aのように、ゲート電極124を挟む位置に形成される。
【0022】
以下、本実施形態における電荷蓄積膜122の詳細について説明する。
【0023】
図1Aでは、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅がWAで示され、ゲート電極124のビット線方向の幅がWA0で示されている。また、図1Bでは、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅がWBで示され、チャネル領域Cのチャネル幅がWB0で示されている。また、図1Cには、電荷蓄積膜122の平面図と共に、幅WA,WA0,WB,WB0の関係が示されている。本実施形態では、図1Aのように、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅WAが、ゲート電極124のビット線方向の幅WA0よりも狭くなっている(WA<WA0)。
【0024】
ここで、本実施形態と比較例とを比較してみる。比較例の半導体記憶装置101の側方断面図及び平面図を、図26に示す。
【0025】
比較例では、図26Aのように、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅WAが、ゲート電極124のビット線方向の幅WA0と等しくなっている(WA=WA0)。よって、比較例の電荷蓄積膜122には、ビット線方向の端部E1にかかる電界が、ビット線方向の中央部M1よりも弱いという問題がある。その結果、比較例では、電荷蓄積膜122への電荷蓄積後に、電荷蓄積膜122内の電荷密度の不均一性に起因して、電荷蓄積膜122内で電荷の移動が生じる。これにより、比較例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthが変化してしまい、メモリセルの電荷保持特性が悪くなってしまう。
【0026】
一方、本実施形態では、図1Aのように、幅WAが幅WA0よりも狭くなっている。その結果、本実施形態では、比較例の端部E1に相当する領域が、電荷蓄積膜122から除かれている。これにより、本実施形態では、電荷蓄積膜122における電荷蓄積後の電荷密度の不均一性が緩和され、電荷蓄積膜122内での電荷の移動が抑制される。よって、本実施形態によれば、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0027】
特に、本発明者らの検討の結果、比較例におけるメモリセルの電荷保持特性は、メモリセル寸法が100nm以下になると著しく低下することが判明した。これに対し、本実施形態によれば、メモリ寸法が100nm以下であっても、メモリセルの電荷保持特性を向上できることが判明した。よって、本実施形態のようなメモリセル構造は、メモリセル寸法が100nm以下の場合に特に効果的である。
【0028】
図1では、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅WAが、電荷蓄積膜122の上面から電荷蓄積膜122の下面まで、ほぼ一定になっている。しかしながら、電荷蓄積膜122の幅WAは、上面から下面まで一定になっていなくても構わない。このような電荷蓄積膜122の例を、図2〜図4に示す。図2〜図4では、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅に関し、上面における幅がWA1で示され、下面における幅がWA2で示され、上面と下面の間における幅がWA3で示されている。
【0029】
図2は、本実施形態の第1変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0030】
本変形例では、電荷蓄積膜122の下面の幅WA2が、電荷蓄積膜122の上面の幅WA1よりも狭くなっている(WA2<WA1(<WA0))。その結果、本変形例では、電荷蓄積膜122の上面に蓄積された電荷が電荷蓄積膜122の下面に拡散する際に、下面の幅WA2が狭いために、電荷蓄積膜122内でのビット線方向への電荷の移動が抑制される(図27Aを参照)。図27Aは、図2Aに示す電荷蓄積膜122の拡大図である。図27Aでは、電荷Qが上面から下面に拡散する際に、ビット線方向への電荷Qの移動が制限される様子が、矢印aで示されている。これにより、本変形例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0031】
図3は、本実施形態の第2変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0032】
本変形例では、電荷蓄積膜122の上面の幅WA1が、電荷蓄積膜122の下面の幅WA2よりも狭くなっている(WA1<WA2(<WA0))。その結果、本変形例では、上面の幅WA1が狭くなるため、電荷蓄積膜122の上面に蓄積された電荷が、電荷蓄積膜122の上面において、ビット線方向に移動することが抑制される(図27Bを参照)。図27Bは、図3Aに示す電荷蓄積膜122の拡大図である。図27Bでは、電荷蓄積膜122の上面において、ビット線方向への電荷Qの移動が制限される様子が、矢印bで示されている。これにより、本変形例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0033】
図4は、本実施形態の第3変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0034】
本変形例では、電荷蓄積膜122の上面の幅WA1及び下面の幅WA2が、上面と下面の間の幅WA3よりも狭くなっている(WA1,WA2<WA3(<WA0))。その結果、本変形例では、上面の幅WA1及び下面の幅WA2が狭くなるため、第1及び第2変形例と同様の効果が得られる。これにより、本変形例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。加えて、本変形例では、上面と下面の間の幅WA3が広くなるため、電荷蓄積膜122の実効的な面積が広くなり、電荷蓄積膜122に蓄積可能な電荷量が増加する。よって、本変形例によれば、セルトランジスタの閾値電圧Vthのウィンドウを大きくすることができる。
【0035】
なお、第3変形例において、上面の幅WA1と下面の幅WA2は、互いに等しくなっていてもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第3変形例において、上面の幅WA1及び下面の幅WA2は、上面と下面の間の任意の地点の幅に比べて狭くなっていてもよいし、上面と下面の間の所定の地点の幅に比べて狭くなっていてもよい。
【0036】
以上のように、図2〜図4では、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅が、電荷蓄積膜122の上面から下面まで一定になっていない。図2及び図4に示す電荷蓄積膜122のビット線方向の幅には、上面から下面の間に、下面よりも幅が広い部分がある。即ち、幅WA2よりも幅が広い部分がある。一方、図3及び図4に示す電荷蓄積膜122のビット線方向の幅には、上面から下面の間に、上面よりも幅が広い部分がある。即ち、幅WA1よりも幅が広い部分がある。また、図4に示す電荷蓄積膜122のビット線方向の幅には、上面から下面の間に、上面よりも幅が広く、且つ、下面よりも幅が広い部分がある。即ち、幅WA1よりも幅が広く、且つ、幅WA2よりも幅が広い部分がある。
【0037】
図5から図8は、図1の半導体記憶装置101の製造方法を示す工程図である。図5には、図5AのA1−A2断面図と、図5BのB1−B2断面図が示されている。図6から図8についても同様である。
【0038】
まず、図5に示すように、所望の不純物をドーピングしたシリコン基板111上に、トンネル絶縁膜121となるシリコン酸化膜221を形成する。シリコン酸化膜221は、シリコン基板111を、700℃の酸素雰囲気に晒すことで形成される。シリコン酸化膜221の膜厚はここでは、4nmとする。
【0039】
次に、図5に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、シリコン酸化膜221上に、電荷蓄積膜122となるシリコン窒化膜222を堆積する。シリコン窒化膜222の膜厚はここでは、5nmとする。
【0040】
次に、図5に示すように、CVDにより、シリコン窒化膜222上に、マスク層301を堆積する。
【0041】
次に、図5に示すように、レジストマスク(図示せず)を用いたRIEにより、マスク層301、シリコン窒化膜222、シリコン酸化膜221を順次エッチング加工する。更に、シリコン基板111を、深さ100nm程度までエッチングする。これにより、素子分離溝である第1のトレンチT1が形成されると共に、シリコン基板111における第1のトレンチT1間の部分Xが形成される。図5の工程により、シリコン窒化膜222、シリコン酸化膜221、及びシリコン基板111の表面の部分Xは、ビット線方向に伸びる帯状の形状に加工される。
【0042】
次に、図6に示すように、塗布法及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)により、第1のトレンチT1に、素子分離絶縁膜131となるシリコン酸化膜231を埋め込む。次に、マスク層301を除去する。
【0043】
次に、図6に示すように、ALD(Atomic Layer Deposition)により、シリコン窒化膜222上に、電荷ブロック膜123となるシリコン酸化膜223を堆積する。シリコン酸化膜223の膜厚はここでは、6nmとする。
【0044】
次に、図6に示すように、CVDにより、シリコン酸化膜223上に、ゲート電極124となる、不純物をドーピングしたポリシリコン層224を堆積する。ポリシリコン層224の膜厚はここでは、200nmとする。ポリシリコン層224は、本発明のゲート電極層の例である。
【0045】
次に、図6に示すように、CVDにより、ポリシリコン層224上に、マスク層302を堆積する。
【0046】
次に、図7に示すように、レジストマスク(図示せず)を用いたRIEにより、マスク層302、ポリシリコン層224、シリコン酸化膜223、シリコン窒化膜222を順次エッチング加工する。これにより、第2のトレンチT2が形成されると共に、ポリシリコン層224からゲート電極124が形成される。図7の工程により、ポリシリコン層224及びシリコン酸化膜223は、ワード線方向に伸びる帯状の形状に加工され、シリコン窒化膜222は、長方形の島状の形状に加工される。各ゲート電極124のビット線方向の幅と、ゲート電極124間の距離は、ここでは約20nmとする。
【0047】
ここで、本実施形態では、図7の工程におけるエッチングの際、シリコン窒化膜222のビット線方向の両側面を後退させる。図7では、これら両側面がσ1で示されている。本製造方法では、シリコン窒化膜222をRIEにより加工した後、130℃の高温に熱したリン酸により、シリコン窒化膜222のビット線方向の両側面を後退させる。これにより、図7に示すように、シリコン窒化膜222のビット線方向の幅WAが、ポリシリコン層224のビット線方向の幅WA0よりも狭くなる。次に、イオン注入及び熱アニールにより、ソース拡散層S及びドレイン拡散層Dを形成する。
【0048】
次に、図8に示すように、マスク層302を除去する。次に、塗布法及びCMPにより、第2のトレンチT2に、セル間絶縁膜132となるシリコン酸化膜232を埋め込む。次に、周知の技術等により、配線層等(図示せず)を形成する。以上のようにして、図1の半導体記憶装置101が作製される。
【0049】
以下、図2〜図4に示す第1〜第3変形例の半導体記憶装置101の製造方法について説明する。
【0050】
図2の半導体記憶装置101を製造する際には、図7の工程において、シリコン窒化膜222の形状が逆テーパー状になるようエッチングを行い、シリコン窒化膜222のビット線方向の側面σ1を後退させる。これにより、図2の半導体記憶装置101を製造することができる。
【0051】
図3の半導体記憶装置101を製造する際には、図7の工程において、シリコン酸化膜223をRIEにより加工した後、130℃の高温に熱したリン酸により、第2のトレンチT2の底部のシリコン窒化膜222を除去すると共に、シリコン窒化膜222のビット線方向の側面σ1を後退させる。これにより、図3の半導体記憶装置101を製造することができる。図28には、第2変形例におけるシリコン窒化膜222のエッチング過程が示されている。なお、第2変形例におけるシリコン窒化膜222のエッチングでは、リン酸によるエッチングに代えて、その他の等方性エッチングを採用しても構わない。
【0052】
図4の半導体記憶装置101を製造する際には、図7の工程において、シリコン窒化膜222をRIEにより加工した後、酸素ラジカルを含む雰囲気中での酸化により、シリコン窒化膜222のビット方向の側面σ1を酸化する。シリコン窒化膜202の上層及び下層は酸化膜であるため、シリコン窒化膜222の上面及び下面には、酸化剤が拡散する。そのため、シリコン窒化膜222の側面σ1が酸化される際には、シリコン窒化膜222の上面近傍及び下面近傍が、シリコン窒化膜222のその他の部分よりも、より多く酸化される。よって、上記の酸化により、図4のような電荷蓄積膜122が形成される。これにより、図4の半導体記憶装置101を製造することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅WAを、ゲート電極124のビット線方向の幅WA0よりも狭くする。これにより、本実施形態では、電荷蓄積膜122の電荷保持特性を向上させることができる。
【0054】
以下、第2及び第3実施形態の半導体記憶装置101について説明する。第2及び第3実施形態は、第1実施形態の変形例であり、第2及び第3実施形態については、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の半導体記憶装置101の側方断面図及び平面図である。図9には、図9AのA1−A2断面図と、図9BのB1−B2断面図と、図9Cの平面図が示されている。図9Cには、A1−A2断面とB1−B2断面の位置が示されている。
【0056】
図9の半導体記憶装置101は、基板111と、トンネル絶縁膜121と、電荷蓄積膜122と、電荷ブロック膜123と、ゲート電極124と、素子分離絶縁膜131と、セル間絶縁膜132とを備える。図9には更に、チャネル領域C、ソース領域S、及びドレイン領域Dが示されている。
【0057】
以下、本実施形態における電荷蓄積膜122の詳細について説明する。
【0058】
図9Aでは、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅がWAで示され、ゲート電極124のビット線方向の幅がWA0で示されている。また、図9Bでは、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅がWBで示され、チャネル領域Cのチャネル幅がWB0で示されている。また、図9Cには、電荷蓄積膜122の平面図と共に、幅WA,WA0,WB,WB0の関係が示されている。本実施形態では、図9Bのように、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅WBが、チャネル幅WB0よりも狭くなっている(WB<WB0)。
【0059】
ここで、本実施形態と比較例とを比較してみる。比較例の半導体記憶装置101の側方断面図及び平面図を、図26に示す。
【0060】
比較例では、図26Aのように、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅WBが、チャネル幅WB0と等しくなっている(WB=WB0)。よって、比較例の電荷蓄積膜122には、ワード線方向の端部E2にかかる電界が、電荷蓄積膜122の中央部M2よりも強いという問題がある。その結果、比較例では、電荷蓄積膜122への電荷蓄積後に、電荷蓄積膜122内の電荷密度の不均一性に起因して、電荷蓄積膜122内で電荷の移動が生じる。これにより、比較例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthが変化してしまい、メモリセルの電荷保持特性が悪くなってしまう。
【0061】
一方、本実施形態では、図9Aのように、幅WBが幅WB0よりも狭くなっている。その結果、本実施形態では、比較例の端部E2に相当する領域が、電荷蓄積膜122から除かれている。これにより、本実施形態では、電荷蓄積膜122における電荷蓄積後の電荷密度の不均一性が緩和され、電荷蓄積膜122内での電荷の移動が抑制される。よって、本実施形態によれば、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0062】
特に、本発明者らの検討の結果、比較例におけるメモリセルの電荷保持特性は、メモリセル寸法が100nm以下になると著しく低下することが判明した。これに対し、本実施形態によれば、メモリ寸法が100nm以下であっても、メモリセルの電荷保持特性を向上できることが判明した。よって、本実施形態のようなメモリセル構造は、メモリセル寸法が100nm以下の場合に特に効果的である。
【0063】
図9では、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅WBが、電荷蓄積膜122の上面から電荷蓄積膜122の下面まで、ほぼ一定になっている。しかしながら、電荷蓄積膜122の幅WBは、上面から下面まで一定になっていなくても構わない。このような電荷蓄積膜122の例を、図10〜図12に示す。図10〜図12では、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅に関し、上面における幅がWB1で示され、下面における幅がWB2で示され、上面と下面の間における幅がWB3で示されている。
【0064】
図10は、本実施形態の第1変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0065】
本変形例では、電荷蓄積膜122の下面の幅WB2が、電荷蓄積膜122の上面の幅WB1よりも狭くなっている(WB2<WB1(<WB0))。その結果、本変形例では、電荷蓄積膜122の上面に蓄積された電荷が電荷蓄積膜122の下面に拡散する際に、下面の幅WB2が狭いために、電荷蓄積膜122内でのワード線方向への電荷の移動が抑制される(図27Cを参照)。図27Cは、図10Bに示す電荷蓄積膜122の拡大図である。図27Cでは、電荷Qが上面から下面に拡散する際に、ワード線方向への電荷Qの移動が制限される様子が、矢印cで示されている。これにより、本変形例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0066】
図11は、本実施形態の第2変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0067】
本変形例では、電荷蓄積膜122の上面の幅WB1が、電荷蓄積膜122の下面の幅WB2よりも狭くなっている(WB1<WB2(<WB0))。その結果、本変形例では、上面の幅WB1が狭くなるため、電荷蓄積膜122の上面に蓄積された電荷が、電荷蓄積膜122の上面において、ワード線方向に移動することが抑制される(図27Dを参照)。図27Dは、図11Bに示す電荷蓄積膜122の拡大図である。図27Dでは、電荷蓄積膜122の上面において、ワード線方向への電荷Qの移動が制限される様子が、矢印dで示されている。これにより、本変形例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。加えて、本変形例では、電荷蓄積膜122の形状がテーパー状になるため、電荷蓄積膜122の上部のゲート電極124の形状もテーパー状になる。これにより、本変形例では、メモリセルのワード線方向の側面における電界集中を緩和し、セルトランジスタの破壊耐圧を向上させることができる。
【0068】
図12は、本実施形態の第3変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0069】
本変形例では、電荷蓄積膜122の上面の幅WB1及び下面の幅WB2が、上面と下面の間の幅WB3よりも狭くなっている(WB1,WB2<WB3(<WB0))。その結果、本変形例では、上面の幅WB1及び下面の幅WB2が狭くなるため、第1及び第2変形例と同様の効果が得られる。これにより、本変形例では、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。加えて、本変形例では、上面と下面の間の幅WB3が広くなるため、電荷蓄積膜122の実効的な面積が広くなり、電荷蓄積膜122に蓄積可能な電荷量が増加する。よって、本変形例によれば、セルトランジスタの閾値電圧Vthのウィンドウを大きくすることができる。
【0070】
なお、第3変形例において、上面の幅WB1と下面の幅WB2は、互いに等しくなっていてもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第3変形例において、上面の幅WB1及び下面の幅WB2は、上面と下面の間の任意の地点の幅に比べて狭くなっていてもよいし、上面と下面の間の所定の地点の幅に比べて狭くなっていてもよい。
【0071】
以上のように、図10〜図12では、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅が、電荷蓄積膜122の上面から下面まで一定になっていない。図10及び図12に示す電荷蓄積膜122のワード線方向の幅には、上面から下面の間に、下面よりも幅が広い部分がある。即ち、幅WB2よりも幅が広い部分がある。一方、図11及び図12に示す電荷蓄積膜122のワード線方向の幅には、上面から下面の間に、上面よりも幅が広い部分がある。即ち、幅WB1よりも幅が広い部分がある。また、図12に示す電荷蓄積膜122のワード線方向の幅には、上面から下面の間に、上面よりも幅が広く、且つ、下面よりも幅が広い部分がある。即ち、幅WB1よりも幅が広く、且つ、幅WB2よりも幅が広い部分がある。
【0072】
図13から図16は、図9の半導体記憶装置101の製造方法を示す工程図である。図13には、図13AのA1−A2断面図と、図13BのB1−B2断面図が示されている。図14から図16についても同様である。
【0073】
まず、図13に示すように、所望の不純物をドーピングしたシリコン基板111上に、トンネル絶縁膜121となるシリコン酸化膜221を形成する。次に、CVDにより、シリコン酸化膜221上に、電荷蓄積膜122となるシリコン窒化膜222を堆積する。次に、CVDにより、シリコン窒化膜222上に、マスク層301を堆積する。
【0074】
次に、図13に示すように、レジストマスク(図示せず)を用いたRIEにより、マスク層301、シリコン窒化膜222、シリコン酸化膜221を順次エッチング加工する。更に、シリコン基板111を、深さ100nm程度までエッチングする。これにより、素子分離溝である第1のトレンチT1が形成されると共に、シリコン基板111における第1のトレンチT1間の部分Xが形成される。
【0075】
ここで、本実施形態では、図13の工程におけるエッチングの際、シリコン窒化膜222のワード線方向の両側面を後退させる。図13では、これら両側面がσ2で示されている。本製造方法では、シリコン窒化膜222をRIEにより加工した後、130℃の高温に熱したリン酸により、シリコン窒化膜222のワード線方向の両側面を後退させる。これにより、図13に示すように、シリコン窒化膜222のワード線方向の幅WBが、チャネル幅WB0よりも狭くなる。その後、図13の工程では、シリコン酸化膜221がRIEにより加工される。
【0076】
次に、図14に示すように、塗布法及びCMPにより、第1のトレンチT1に、素子分離絶縁膜131となるシリコン酸化膜231を埋め込む。次に、マスク層301を除去する。次に、ALDにより、シリコン窒化膜222上に、電荷ブロック膜123となるシリコン酸化膜223を堆積する。次に、CVDにより、シリコン酸化膜223上に、ゲート電極124となる、不純物をドーピングしたポリシリコン層224を堆積する。次に、CVDにより、ポリシリコン層224上に、マスク層302を堆積する。
【0077】
次に、図15に示すように、レジストマスク(図示せず)を用いたRIEにより、マスク層302、ポリシリコン層224、シリコン酸化膜223、シリコン窒化膜222を順次エッチング加工する。これにより、第2のトレンチT2が形成されると共に、ポリシリコン層224からゲート電極124が形成される。次に、イオン注入及び熱アニールにより、ソース拡散層S及びドレイン拡散層Dを形成する。
【0078】
次に、図16に示すように、マスク層302を除去する。次に、塗布法及びCMPにより、第2のトレンチT2に、セル間絶縁膜132となるシリコン酸化膜232を埋め込む。次に、周知の技術等により、配線層等(図示せず)を形成する。以上のようにして、図9の半導体記憶装置101が作製される。
【0079】
以下、図10〜図12に示す第1〜第3変形例の半導体記憶装置101の製造方法について説明する。
【0080】
図10の半導体記憶装置101を製造する際には、図13の工程において、シリコン窒化膜222の形状が逆テーパー状になるようエッチングを行い、シリコン窒化膜222のワード線方向の側面σ2を後退させる。これにより、図10の半導体記憶装置101を製造することができる。
【0081】
図11の半導体記憶装置101を製造する際には、図13の工程において、マスク層301をRIEにより加工した後、130℃の高温に熱したリン酸により、第1のトレンチT1の底部のシリコン窒化膜222を除去すると共に、シリコン窒化膜222のワード線方向の側面σ2を後退させる。これにより、図11の半導体記憶装置101を製造することができる。図29には、第2変形例におけるシリコン窒化膜222のエッチング過程が示されている。なお、第2変形例におけるシリコン窒化膜222のエッチングでは、リン酸によるエッチングに代えて、その他の等方性エッチングを採用しても構わない。
【0082】
図12の半導体記憶装置101を製造する際には、図13の工程において、シリコン窒化膜222をRIEにより加工した後、酸素ラジカルを含む雰囲気中での酸化により、シリコン窒化膜222のワード方向の側面σ2を酸化する。シリコン窒化膜202の上層及び下層は酸化膜であるため、シリコン窒化膜222の上面及び下面には、酸化剤が拡散する(第3変形例では、マスク層301をシリコン酸化膜とする)。そのため、シリコン窒化膜222の側面σ2が酸化される際には、シリコン窒化膜222の上面近傍及び下面近傍が、シリコン窒化膜222のその他の部分よりも、より多く酸化される。よって、上記の酸化により、図12のような電荷蓄積膜122が形成される。これにより、図12の半導体記憶装置101を製造することができる。なお、図12では、上記の酸化によりシリコン窒化膜222の上面近傍に形成されたバーズビークが、Bで示されている。
【0083】
以上のように、本実施形態では、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅WBを、トンネル絶縁膜121下の基板111内に形成されるチャネル領域Cのチャネル幅WB0よりも狭くする。これにより、本実施形態では、電荷蓄積膜122の電荷保持特性を向上させることができる。
【0084】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態の半導体記憶装置101の側方断面図及び平面図である。図17には、図17AのA1−A2断面図と、図17BのB1−B2断面図と、図17Cの平面図が示されている。図17Cには、A1−A2断面とB1−B2断面の位置が示されている。
【0085】
図17の半導体記憶装置101は、基板111と、トンネル絶縁膜121と、電荷蓄積膜122と、電荷ブロック膜123と、ゲート電極124と、素子分離絶縁膜131と、セル間絶縁膜132とを備える。図17には更に、チャネル領域C、ソース領域S、及びドレイン領域Dが示されている。
【0086】
以下、本実施形態における電荷蓄積膜122の詳細について説明する。
【0087】
図17Aでは、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅がWAで示され、ゲート電極124のビット線方向の幅がWA0で示されている。また、図17Bでは、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅がWBで示され、チャネル領域Cのチャネル幅がWB0で示されている。また、図17Cには、電荷蓄積膜122の平面図と共に、幅WA,WA0,WB,WB0の関係が示されている。
【0088】
本実施形態では、図17Aのように、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅WAが、ゲート電極124のビット線方向の幅WA0よりも狭くなっている(WA<WA0)。第1実施形態と同様である。また、本実施形態では、図17Bのように、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅WBが、チャネル幅WB0よりも狭くなっている(WB<WB0)。第2実施形態と同様である。よって、本実施形態によれば、第1及び第2実施形態よりもさらに、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0089】
図17では、幅WA及びWBが、電荷蓄積膜122の上面から電荷蓄積膜122の下面まで、ほぼ一定になっている。しかしながら、幅WA及びWBは、上面から下面まで一定になっていなくても構わない。このような電荷蓄積膜122の例を、図18〜図21に示す。図18〜図21では、電荷蓄積膜122のビット線方向及びワード線方向の幅に関し、上面における幅がWA1及びWB1で示され、下面における幅がWA2及びWB2で示され、上面と下面の間における幅がWA3及びWB3で示されている。
【0090】
図18は、本実施形態の第1変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0091】
本変形例では、下面の幅WA2及びWB2がそれぞれ、上面の幅WA1及びWB1よりも狭くなっている(WA2<WA1(<WA0)、且つ、WB2<WB1(<WB0))。このように、本変形例の電荷蓄積膜122は、図2の構造と図10の構造とを組み合わせたような構造を有する。よって、本変形例によれば、第1及び第2実施形態の第1変形例よりもさらに、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。
【0092】
図19は、本実施形態の第2変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0093】
本変形例では、上面の幅WA1及びWB1がそれぞれ、下面の幅WA2及びWB2よりも狭くなっている(WA1<WA2(<WA0)、且つ、WB1<WB2(<WB0))。このように、本変形例の電荷蓄積膜122は、図3の構造と図11の構造とを組み合わせたような構造を有する。よって、本変形例によれば、第1及び第2実施形態の第2変形例よりもさらに、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。加えて、本変形例では、電荷蓄積膜122の形状がテーパー状になるため、電荷蓄積膜122の上部のゲート電極124の形状もテーパー状になる。これにより、本変形例では、メモリセルのワード線方向の側面における電界集中を緩和し、セルトランジスタの破壊耐圧を向上させることができる。
【0094】
図20は、本実施形態の第3変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0095】
本変形例では、上面の幅WA1及びWB1がそれぞれ、上面と下面の間の幅WA3及びWB3よりも狭くなっていると共に、下面の幅WA2及びWB2がそれぞれ、上面と下面の間の幅WA3及びWB3よりも狭くなっている(WA1,WA2<WA3(<WA0)、且つ、WB1,WB2<WB3(<WB0))。このように、本変形例の電荷蓄積膜122は、図4の構造と図12の構造とを組み合わせたような構造を有する。よって、本変形例によれば、第1及び第2実施形態の第3変形例よりもさらに、セルトランジスタの閾値電圧Vthの変化を小さくし、メモリセルの電荷保持特性を向上させることができる。加えて、本変形例では、上面と下面の間の幅WA3及びWB3が広くなるため、電荷蓄積膜122の実効的な面積が広くなり、電荷蓄積膜122に蓄積可能な電荷量が増加する。よって、本変形例によれば、セルトランジスタの閾値電圧Vthのウィンドウを大きくすることができる。
【0096】
図21は、本実施形態の第4変形例の半導体記憶装置101を表す。
【0097】
第4変形例の電荷蓄積膜122のA1−A2断面及びB1−B2断面は、第3変形例と同様である。しかしながら、第3変形例の電荷蓄積膜122が、図20Cのように、正方形又は長方形の平面構造を有するのに対し、第4変形例の電荷蓄積膜122は、図21のように、円形又は楕円形の平面構造を有する。
【0098】
第3変形例の電荷蓄積膜122は、電荷蓄積膜122のワード線方向の側面σ2(図13参照)を酸化し、その後、電荷蓄積膜122のビット線方向の側面σ1(図7参照)を酸化することで形成可能である。一方、第4変形例の電荷蓄積膜122は、側面σ1及びσ2が共に露出した状態で、側面σ1及びσ2を同時に酸化することで形成可能である。
【0099】
第4変形例によれば、第3変形例と同様の効果を得ることができる。加えて、第4変形例によれば、図21の矢印γで示すような、各セルの斜め方向の近接効果を抑制し、斜めYUPIN効果を低減することができる。
【0100】
図22から図25は、図17の半導体記憶装置101の製造方法を示す工程図である。図22には、図22AのA1−A2断面図と、図22BのB1−B2断面図が示されている。図23から図25についても同様である。
【0101】
まず、図22に示すように、所望の不純物をドーピングしたシリコン基板111上に、トンネル絶縁膜121となるシリコン酸化膜221を形成する。次に、CVDにより、シリコン酸化膜221上に、電荷蓄積膜122となるシリコン窒化膜222を堆積する。次に、CVDにより、シリコン窒化膜222上に、マスク層301を堆積する。
【0102】
次に、図22に示すように、レジストマスク(図示せず)を用いたRIEにより、マスク層301、シリコン窒化膜222、シリコン酸化膜221を順次エッチング加工する。更に、シリコン基板111を、深さ100nm程度までエッチングする。これにより、素子分離溝である第1のトレンチT1が形成されると共に、シリコン基板111における第1のトレンチT1間の部分Xが形成される。
【0103】
ここで、本実施形態では、図22の工程におけるエッチングの際、シリコン窒化膜222のワード線方向の両側面を後退させる。図22では、これら両側面がσ2で示されている。本製造方法では、シリコン窒化膜222をRIEにより加工した後、130℃の高温に熱したリン酸により、シリコン窒化膜222のワード線方向の両側面を後退させる。これにより、図22に示すように、シリコン窒化膜222のワード線方向の幅WBが、チャネル幅WB0よりも狭くなる。その後、図22の工程では、シリコン酸化膜221がRIEにより加工される。
【0104】
次に、図23に示すように、塗布法及びCMPにより、第1のトレンチT1に、素子分離絶縁膜131となるシリコン酸化膜231を埋め込む。次に、マスク層301を除去する。次に、ALDにより、シリコン窒化膜222上に、電荷ブロック膜123となるシリコン酸化膜223を堆積する。次に、CVDにより、シリコン酸化膜223上に、ゲート電極124となる、不純物をドーピングしたポリシリコン層224を堆積する。次に、CVDにより、ポリシリコン層224上に、マスク層302を堆積する。
【0105】
次に、図24に示すように、レジストマスク(図示せず)を用いたRIEにより、マスク層302、ポリシリコン層224、シリコン酸化膜223、シリコン窒化膜222を順次エッチング加工する。これにより、第2のトレンチT2が形成されると共に、ポリシリコン層224からゲート電極124が形成される。
【0106】
ここで、本実施形態では、図24の工程におけるエッチングの際、シリコン窒化膜222のビット線方向の両側面を後退させる。図24では、これら両側面がσ1で示されている。本製造方法では、シリコン窒化膜222をRIEにより加工した後、130℃の高温に熱したリン酸により、シリコン窒化膜222のビット線方向の両側面を後退させる。これにより、図24に示すように、シリコン窒化膜222のビット線方向の幅WAが、ポリシリコン層224のビット線方向の幅WA0よりも狭くなる。次に、イオン注入及び熱アニールにより、ソース拡散層S及びドレイン拡散層Dを形成する。
【0107】
次に、図25に示すように、マスク層302を除去する。次に、塗布法及びCMPにより、第2のトレンチT2に、セル間絶縁膜132となるシリコン酸化膜232を埋め込む。次に、周知の技術等により、配線層等(図示せず)を形成する。以上のようにして、図17の半導体記憶装置101が作製される。
【0108】
このように、本実施形態の電荷蓄積膜122は、第1実施形態の電荷蓄積膜122の形成方法と、第2実施形態の電荷蓄積膜122の形成方法とを組み合わせることで、形成可能である。これは、本実施形態の第1〜第3変形例の電荷蓄積膜122についても同様である。また、第4変形例の電荷蓄積膜122の酸化方法としては、第3変形例と同様のラジカル酸化を採用可能である。
【0109】
以上のように、本実施形態では、電荷蓄積膜122のビット線方向の幅WAを、ゲート電極124のビット線方向の幅WA0よりも狭くし、且つ、電荷蓄積膜122のワード線方向の幅WBを、トンネル絶縁膜121下の基板111内に形成されるチャネル領域Cのチャネル幅WB0よりも狭くする。これにより、本実施形態では、第1及び第2実施形態よりもさらに、電荷蓄積膜122の電荷保持特性を向上させることができる。
【0110】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第3実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1実施形態の半導体記憶装置の側方断面図及び平面図である。
【図2】第1実施形態の第1変形例の半導体記憶装置を表す。
【図3】第1実施形態の第2変形例の半導体記憶装置を表す。
【図4】第1実施形態の第3変形例の半導体記憶装置を表す。
【図5】図1の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(1/4)である。
【図6】図1の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(2/4)である。
【図7】図1の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(3/4)である。
【図8】図1の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(4/4)である。
【図9】第2実施形態の半導体記憶装置の側方断面図及び平面図である。
【図10】第2実施形態の第1変形例の半導体記憶装置を表す。
【図11】第2実施形態の第2変形例の半導体記憶装置を表す。
【図12】第2実施形態の第3変形例の半導体記憶装置を表す。
【図13】図9の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(1/4)である。
【図14】図9の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(2/4)である。
【図15】図9の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(3/4)である。
【図16】図9の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(4/4)である。
【図17】第3実施形態の半導体記憶装置の側方断面図及び平面図である。
【図18】第3実施形態の第1変形例の半導体記憶装置を表す。
【図19】第3実施形態の第2変形例の半導体記憶装置を表す。
【図20】第3実施形態の第3変形例の半導体記憶装置を表す。
【図21】第3実施形態の第4変形例の半導体記憶装置を表す。
【図22】図17の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(1/4)である。
【図23】図17の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(2/4)である。
【図24】図17の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(3/4)である。
【図25】図17の半導体記憶装置の製造方法を示す工程図(4/4)である。
【図26】比較例の半導体記憶装置の側方断面図及び平面図である。
【図27】電荷蓄積膜における電荷の拡散について説明するための側方断面図である。
【図28】図3の電荷蓄積膜の加工方法を説明するための側方断面図である。
【図29】図11の電荷蓄積膜の加工方法を説明するための側方断面図である。
【符号の説明】
【0112】
101 半導体記憶装置
111 基板
121 トンネル絶縁膜
122 電荷蓄積膜
123 電荷ブロック膜
124 ゲート電極
131 素子分離絶縁膜
132 セル間絶縁膜
221 シリコン酸化膜
222 シリコン窒化膜
223 シリコン酸化膜
224 ポリシリコン層
231 シリコン酸化膜
232 シリコン酸化膜
301 マスク層
302 マスク層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット線とワード線とを有する半導体記憶装置であって、
ビット線方向に伸びる第1のトレンチが複数形成された基板と、
前記第1のトレンチ間において前記基板上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のトレンチ間において前記第1のゲート絶縁膜上に形成され、且つ、ワード線方向に伸びる第2のトレンチ間に位置する電荷蓄積膜と、
前記第2のトレンチ間において前記電荷蓄積膜上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のトレンチ間において前記第2のゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを備え、
前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅が、前記ゲート電極のビット線方向の幅よりも狭くなっている、又は、
前記電荷蓄積膜のワード線方向の幅が、前記第1のゲート絶縁膜下の前記基板内に形成されるチャネル領域のチャネル幅よりも狭くなっている、
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅又はワード線方向の幅には、前記電荷蓄積膜の上面から下面の間に、前記下面よりも幅が広い部分があることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅又はワード線方向の幅には、前記電荷蓄積膜の上面から下面の間に、前記上面よりも幅が広い部分があることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅又はワード線方向の幅には、前記電荷蓄積膜の上面から下面の間に、前記上面よりも幅が広く、且つ、前記下面よりも幅が広い部分があることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
ビット線とワード線とを有する半導体記憶装置の製造方法であって、
基板上に、第1のゲート絶縁膜と電荷蓄積膜とを順に形成し、
前記電荷蓄積膜と前記第1のゲート絶縁膜と前記基板とを加工して、ビット線方向に伸びる第1のトレンチを複数形成し、
前記電荷蓄積膜上に、第2のゲート絶縁膜とゲート電極層とを順に形成し、
前記ゲート電極層と前記第2のゲート絶縁膜と前記電荷蓄積膜とを加工して、ワード線方向に伸びる第2のトレンチを複数形成すると共に、前記ゲート電極層からゲート電極を形成し、
前記電荷蓄積膜のビット線方向の側面又はワード線方向の側面を後退させる、あるいは酸化することで、前記電荷蓄積膜のビット線方向の幅を、前記ゲート電極のビット線方向の幅よりも狭くする、又は、前記電荷蓄積膜のワード線方向の幅を、前記第1のゲート絶縁膜下の前記基板内に形成されるチャネル領域のチャネル幅よりも狭くする、
ことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−129594(P2010−129594A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299753(P2008−299753)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】