説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】層間絶縁膜上に形成する反射防止膜の光反射率を低減することによって、デュアルダマシンプロセスにおけるリソグラフィの解像度を向上させる。
【解決手段】フォトレジスト膜をマスクにしたドライエッチングで層間絶縁膜にCu配線埋め込み用のビアホールおよび配線溝を形成する際、SiOC膜25からなる層間絶縁膜上の反射防止膜26をSiO膜26a、SiON膜26bおよびSiO膜26cの3層膜で構成し、フォトレジスト膜27のハレーションを抑制する。SiO膜26aの膜厚とSiON膜26bの膜厚の好ましい組み合わせは、SiO膜26aの膜厚が40nm以下または75nm以上、かつSiON膜26bの膜厚が40nm以上であり、より好ましくは、SiO膜26aの膜厚が30nm以下または80nm以上、かつSiON膜26bの膜厚が50nm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置の製造技術に関し、特に、ダマシン(Damascene)法を用いたCu(銅)配線の形成に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ダマシン法は、半導体基板上の層間絶縁膜に微細な配線溝を形成した後、配線溝の内部を含む層間絶縁膜上にメタル膜を堆積し、次に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法を用いて配線溝の外部のメタル膜を除去することによって、配線溝の内部に埋込み配線を形成する方法である。
【0003】
埋込み配線用のメタル材料としては、細線化しても高い信頼性が確保できるCu(銅)が主に使用されている。また、ダマシン法を用いて層間絶縁膜に埋込み配線を形成する場合には、隣接配線間に生じる容量を低減するために、層間絶縁膜を誘電率の低い絶縁材料で構成することが行われている。
【0004】
上記したダマシン法のうち、デュアルダマシン(Dual-Damascene)法と呼ばれる方法においては、層間絶縁膜に形成した配線溝の下部に下層配線接続用のビアホールを形成し、配線溝とビアホールとに同時にメタル膜を埋め込むことによって、埋込み配線の形成工程を簡略化している。このデュアルダマシン法には、配線溝の形成に先立って絶縁膜内に下層配線に達するビアホールを形成するビアファースト法と、配線溝を絶縁膜内に形成してから配線溝内に下部配線層に達するビアホールを形成するトレンチファースト法があり、微細な埋込み配線の形成工程では、主としてビアファースト法が用いられている。
【0005】
一方、あらかじめ下層の層間絶縁膜にビアホールを形成してその内部にメタルプラグを埋め込んでおき、次にその上部に層間絶縁膜を堆積してメタルプラグを露出するように配線溝を形成した後、この配線溝の内部に埋込み配線を形成する方法は、シングルダマシン(Single-Damascene)法と呼ばれている。
【0006】
ところで、半導体素子の微細化に伴って、上記した配線溝の幅やビアホールの径が小さくなると、層間絶縁膜をエッチングして配線溝やビアホールを形成する際に用いるフォトレジスト膜のハレーションに起因するパターン不良が問題となる。すなわち、層間絶縁膜上にスピン塗布したフォトレジスト膜を露光して配線溝やビアホールのパターンを転写する際、下層の配線の表面で露光光が反射してフォトレジスト膜がハレーションを引き起こすと、配線溝やビアホールのパターンを精度よく転写することができなくなる。
【0007】
そこで、近年は、層間絶縁膜とフォトレジスト膜との間に露光光を吸収する反射防止膜を形成し、下層配線からの反射光に起因するフォトレジスト膜のハレーションを抑制することが行われている。
【0008】
特許文献1(特開2002−329779号公報、[0037]〜[0040]、図3)は、デュアルダマシン法を用いて層間絶縁膜に埋め込みCu配線を形成する技術を開示している。この文献は、フッ素をドープして比誘電率を3.7程度に下げた低誘電率SiO(酸化シリコン)膜と通常のSiO膜との積層膜によって層間絶縁膜を構成し、この層間絶縁膜とその上部に形成するフォトレジスト膜との間に、酸窒化シリコン(SiON)膜とSiO膜との積層膜からなる反射防止膜を形成することによって、フォトレジスト膜のハレーションを防いでいる。
【0009】
特許文献2(特開2004−253671号公報、[0022]、[0023]、図4)は、炭素ドープSiO膜(SiOC膜)またはメチルシルセスキオキサン(Methylsilsesquioxane:MSQ)などからなる低誘電率層間絶縁膜上に、SiON膜、あるいはSiON膜とSiO膜との積層膜からなる反射防止膜を形成するデュアルダマシンプロセスを開示している。
【0010】
特許文献3(特開2004−14828号公報、[0027]、[0028]、図2)は、SiOC膜からなる層間絶縁膜上にSiO膜からなる犠牲膜を介してSiONまたは窒化シリコン(SiN)などからなる反射防止膜を形成するデュアルダマシンプロセスを開示している。
【0011】
特許文献4(特開2003−332340号公報、[0030]、[0057]〜[0061]、図11)は、SiOC膜を含む層間絶縁膜上にSiN膜、SiO膜およびSiON膜を介して反射防止膜を形成するデュアルダマシンプロセスを開示している。ここで、SiN膜は、層間絶縁膜とSiO膜との密着性を向上させる接着層として機能している。SiO膜は、化学的機械研磨処理時における層間絶縁膜の機械的強度の確保、表面保護および耐湿性の確保といった機能を有している。SiON膜は、SiON膜を除去するためのエッチング工程以外のエッチング工程において、下層のSiO膜に肩削れが生じるのを防ぐ機能を有している。
【0012】
特許文献5(特開2004−14841号公報、[0071]、[0072]、図14)は、SiOC膜からなる層間絶縁膜上にSiO膜からなる拡散防止膜を介してSiNからなる反射防止膜を形成するデュアルダマシンプロセスを開示している。
【0013】
特許文献6(特開2004−273483号公報、[0037]〜[0039]、図3)は、SiOC膜からなる層間絶縁膜上に窒素系化合物ガスの透過を抑制する膜(SiO膜)を介して有機反射防止膜を形成するデュアルダマシンプロセスを開示している。
【0014】
特許文献7(特開2004−6633号公報、[0047]〜[0052]、図2)および特許文献8(特開2004−221439号公報、[0042]〜[0051])は、SiOC膜からなる層間絶縁膜上にSiONからなる反射防止膜を形成するデュアルダマシンプロセスを開示している。
【特許文献1】特開2002−329779号公報([0037]〜[0040]、図3)
【特許文献2】特開2004−253671号公報([0022]、[0023]、図4)
【特許文献3】特開2004−14828号公報([0027]、[0028]、図2)
【特許文献4】特開2003−332340号公報([0030]、[0057]〜[0061]、図11)
【特許文献5】特開2004−14841号公報([0071]、[0072]、図14)
【特許文献6】特開2004−273483号公報([0037]〜[0039]、図3)
【特許文献7】特開2004−6633号公報([0047]〜[0052]、図2)
【特許文献8】特開2004−221439号公報([0042]〜[0051])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者は、SiOC膜からなる層間絶縁膜上にSiON膜(下層)とSiO膜(上層)との積層膜からなる反射防止膜を形成し、KrFエキシマレーザと同じ波長(248nm)の光源を用いてこの反射防止膜の光反射率を測定した。
【0016】
その際、SiON膜の膜厚とSiO膜の膜厚とを種々変更して光反射率を測定したところ、ハレーションの防止に必要とされる光反射率(5%以下)を上回る場合があることを見い出した。また、SiON膜中のOとNの組成比を種々変更して光反射率を測定した場合でも同様の結果が得られた。
【0017】
さらに、SiOC膜上にSiON膜を積層して両者の接着力を測定したところ、充分な接着力が得られず、例えば化学的機械研磨時に両者の界面に剥離が生じる恐れのあることを見い出した。
【0018】
本発明の目的は、SiOC膜上に形成する反射防止膜の光反射率を低減することによって、デュアルダマシンプロセスにおけるリソグラフィの解像度を向上させる技術を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0021】
本発明による半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含んでいる:
(a)半導体基板の主面上にSiOC膜を主体とする絶縁膜を形成する工程、
(b)前記絶縁膜上に第1SiO膜とSiON膜と第2SiO膜との積層膜からなる反射防止膜を形成する工程、
(c)前記反射防止膜の上部に第1フォトレジスト膜を形成する工程、
(d)前記第1フォトレジスト膜をマスクにして、前記反射防止膜および前記絶縁膜をエッチングすることにより、前記絶縁膜にビアホールを形成する工程、
(e)前記第1フォトレジスト膜を除去した後、前記ビアホールの内部に埋め込み剤を充填する工程、
(f)前記工程(e)の後、前記反射防止膜の上部に第2フォトレジスト膜を形成する工程、
(g)前記第2フォトレジスト膜をマスクにして、前記ビアホールが形成された領域を含む領域の前記反射防止膜および前記絶縁膜をエッチングし、前記絶縁膜の中途部で前記エッチングを停止することにより、前記絶縁膜に配線溝を形成する工程、
(h)前記第2フォトレジスト膜および前記埋め込み剤を除去した後、前記配線溝および前記ビアホールの内部にメタル膜を埋め込む工程、
(i)前記配線溝の外部の前記メタル膜を化学的機械研磨法で除去することにより、前記配線溝および前記ビアホールの内部に、前記メタル膜からなる配線を形成する工程。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0023】
デュアルダマシン法による多層Cu配線の形成を歩留まり良く行うことが可能となる。また、デュアルダマシン法による多層Cu配線の形成工程を簡略化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
本実施の形態は、多層Cu配線を有する半導体集積回路装置に適用したものである。この半導体集積回路装置は、第1層目のCu配線をシングルダマシン法で形成し、第2層目以降のCu配線をデュアルダマシン法で形成している。以下、その製造方法を図1〜図20を用いて工程順に説明する。
【0026】
まず、図1に示すように、例えば単結晶シリコンからなる半導体基板(以下、単に基板という)1の主面に、nチャネル型MISFET(Qn)およびpチャネル型MISFET(Qp)を形成する。なお、図中の符号2は素子分離溝、符号4はp型ウエル、符号5はn型ウエルをそれぞれ示している。
【0027】
素子分離溝2は、基板1をエッチングして形成した溝の内部にSiO(酸化シリコン)膜3を埋め込んだ後、その表面を化学的機械研磨法で平坦化する、周知のSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて形成する。また、p型ウエル4およびn型ウエル5は、基板1にp型不純物(例えばホウ素)およびn型不純物(例えばリン)をイオン注入し、続いて基板1を熱処理してこれらの不純物を基板1中に拡散させることによって形成する。
【0028】
nチャネル型MISFET(Qn)は、p型ウエル4の表面に形成されたSiO膜またはSiON(酸窒化シリコン)膜からなるゲート絶縁膜6、ゲート絶縁膜6の上部に形成された多結晶シリコン膜などからなるゲート電極7、ゲート電極7の側壁に形成された酸化シリコン膜などからなるサイドウォールスペーサ8、およびゲート電極7の両側のp型ウエル4に形成された一対のn型半導体領域(ソース、ドレイン)11などによって構成される。pチャネル型MISFET(Qp)は、ゲート絶縁膜6、ゲート電極7、サイドウォールスペーサ8、およびゲート電極7の両側のn型ウエル5に形成された一対のp型半導体領域(ソース、ドレイン)12などによって構成される。
【0029】
nチャネル型MISFET(Qn)のゲート電極7を構成する多結晶シリコン膜中にはn型不純物(リン)を導入し、pチャネル型MISFET(Qp)のゲート電極7を構成する多結晶シリコン膜中にはp型不純物(ホウ素)を導入する。また、nチャネル型MISFET(Qn)のゲート電極7とn型半導体領域(ソース、ドレイン)11のそれぞれの表面、およびpチャネル型MISFET(Qp)のゲート電極7とp型半導体領域(ソース、ドレイン)12のそれぞれの表面には、ゲート電極7およびソース、ドレインの低抵抗化を目的としてCo(コバルト)シリサイド膜9を形成する。
【0030】
次に、図2に示すように、nチャネル型MISFET(Qn)およびpチャネル型MISFET(Qp)のそれぞれの上部にエッチングストッパ膜13と絶縁膜14とを堆積した後、化学的機械研磨法を用いて絶縁膜14の表面を平坦化する。エッチングストッパ膜13は、例えばCVD法で堆積した窒化シリコン膜で構成し、絶縁膜14は、例えばCVD法で堆積したSiO膜で構成する。
【0031】
次に、nチャネル型MISFET(Qn)のn型半導体領域(ソース、ドレイン)11およびpチャネル型MISFET(Qp)のp型半導体領域(ソース、ドレイン)12のそれぞれの上部の絶縁膜14をエッチングし、続いてその下層のエッチングストッパ膜13をエッチングしてコンタクトホール15を形成する。
【0032】
次に、コンタクトホール15の内部にメタルプラグ16を形成する。メタルプラグ16を形成するには、まずコンタクトホール15の内部を含む絶縁膜14上にスパッタリング法でTiN(窒化チタン)膜とW(タングステン)膜とを堆積する。TiN膜はバリアメタル膜として機能するものであり、TiN膜とTi(チタン)膜との積層膜で構成することもできる。次に、絶縁膜14上のTiN膜とW膜とを化学的機械研磨法で除去する。コンタクトホール15の内部に形成したメタルプラグ16は、nチャネル型MISFET(Qn)のn型半導体領域(ソース、ドレイン)11およびpチャネル型MISFET(Qp)のp型半導体領域(ソース、ドレイン)12とそれぞれ電気的に接続される。
【0033】
次に、図3に示すように、絶縁膜14上にSiCN膜17を堆積した後、SiCN膜17上に層間絶縁膜としてSiOC膜18を堆積する。SiCN膜17は、後の工程でSiOC膜18に配線溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する。エッチングストッパ膜としては、SiN(窒化シリコン)膜を使用することもできるが、ここではSiN膜よりも誘電率が低いSiCN膜17を使用する。SiCN膜17は、プラズマCVD法で堆積し、その膜厚は50nm程度とする。SiCN膜17上のSiOC膜18は、プラズマCVD法で堆積し、その膜厚は200nm程度とする。SiOC膜18の比誘電率は、2.9程度である。
【0034】
次に、図4に示すように、SiOC膜18の上部に反射防止膜19を形成する。反射防止膜19は、SiO膜19a、SiON膜19bおよびSiO膜19cの3層膜で構成し、プラズマCVD装置のチャンバ内で連続して成膜する。反射防止膜19の成膜条件の一例は、次の通りである。
【0035】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に基板1を搬入してその温度を400℃に設定する。次に、ソースガスであるSiH(モノシラン)(550sccm)と、キャリアガスであるNO(亜酸化窒素)(10000sccm)とをチャンバ内に導入し、膜厚が30nmのSiO膜19aを堆積する(RFパワー=525W)。SiO膜19aは、ソースガスであるTEOS(テトラエトキシシラン)(5250sccm)および酸素(4200sccm)と、キャリアガスであるHe(ヘリウム)(4000sccm)とをチャンバ内に導入し、RFパワー=1240Wで堆積してもよい。
【0036】
次に、チャンバ内を排気した後、ソースガスであるSiH(300sccm)およびNO(635sccm)と、キャリアガスであるHe(9000sccm)とをチャンバ内に導入し、膜厚が50nmのSiON膜19bを堆積する(RFパワー=200W)。続いて、チャンバ内を排気した後、SiH(35sccm)、NO(10000sccm)およびHe(9000sccm)をチャンバ内に導入し、膜厚が5nmのSiO膜19cを堆積する(RFパワー=180W)。
【0037】
ここで、反射防止膜19の最下層膜をSiO膜19aで構成した理由について、図5を用いて説明する。図5は、組成の異なる2種の絶縁膜を積層した場合における上下層の界面接着力を臨界剥離荷重(単位:mN)で示したグラフである。
【0038】
図に示すように、SiOC膜の上部にSiON膜を堆積した場合における上下層の界面接着力は、比較的弱いことが分かる。他方、SiOC膜の上部にSiO膜を堆積した場合、およびSiO膜の上部にSiON膜を堆積した場合は、いずれも上下層の界面接着力が極めて強い。
【0039】
従って、SiOC膜18の上部に形成する反射防止膜19の最下層膜をSiO膜19aで構成し、その上部にSiON膜19bを堆積することにより、化学的機械研磨の際などにおけるSiOC膜18と反射防止膜19との剥離を確実に防止することができる。一方、SiON膜19bの上部に堆積するSiO膜19cは、プラズマアッシングの際などにおけるSiON膜19bの酸化を防ぐ犠牲膜として機能する。
【0040】
なお、SiOC膜18と反射防止膜19との接着力がSiOC膜とSiON膜との接着力程度でも支障ない場合は、最下層のSiO膜19aを省略し、SiON膜19bとSiO膜19cとの2層膜で反射防止膜19を構成してもよい。ただし、一般にSiO膜はSiOC膜に比べて光の屈折率が大きく、SiON膜はSiO膜に比べて光の屈折率がさらに大きい。従って、反射防止膜19を上記3層の膜で構成した場合は、反射光が膜と膜との界面で干渉して弱め合う効果が大きくなるので、反射防止膜19を2層の膜で構成した場合に比べてハレーション抑制効果も大きくなる。
【0041】
次に、図6に示すように、反射防止膜19の上部にフォトレジスト膜21を形成した後、このフォトレジスト膜21をマスクにして反射防止膜19およびSiOC膜18をドライエッチングすることによって、配線溝20を形成する。このとき、SiOC膜18の下層のSiCN膜17がエッチングストッパ膜として機能する。
【0042】
次に、フォトレジスト膜21をプラズマアッシングによって除去し、続いてアッシング時に発生した基板1の表面のポリマーをウェット洗浄で除去した後、図7に示すように、配線溝20の底部のSiCN膜17をドライエッチングしてメタルプラグ16の表面を露出させる。このとき、SiOC膜18の上部に形成した反射防止膜19もエッチングされ、その膜厚が薄くなる。
【0043】
次に、図8に示すように、配線溝20の内部を含む反射防止膜19上に膜厚50nm程度のTiN膜、またはTiN膜とTi膜との積層膜からなるバリアメタル膜22aをスパッタリング法で堆積し、続いて配線溝20の内部を完全に埋め込む厚い(800nm〜1600nm程度)Cu膜22bをスパッタリング法または電解メッキ法で堆積する。バリアメタル膜は、Cu膜が周囲の絶縁膜中に拡散するのを防ぐバリア膜として機能する。バリアメタル膜としては、TiN膜の他、WN(窒化タングステン)膜やTaN(窒化タンタル)膜のような窒化メタル膜またはこれらにSiを添加した合金膜、あるいはTa膜、Ti膜、W膜、TiW膜のような高融点メタル膜、もしくはこれら高融点メタル膜の積層膜など、Cuと反応し難い各種導電膜を使用することができる。Cu膜22bを電解メッキ法で堆積する場合は、バリアメタル膜22aの上部にスパッタリング法でCuのシード層(図示せず)を堆積し、このシード層の表面にCu膜22bを析出させる。
【0044】
次に、図9に示すように、配線溝20の外部のCu膜22bとバリアメタル膜22aとを化学的機械研磨法で除去することにより、配線溝20の内部に第1層目のCu配線22を形成する。このとき、SiOC膜18の上部に形成した反射防止膜19も同時に除去される。
【0045】
次に、図10に示すように、Cu配線22が形成されたSiOC膜18の上部にSiCN膜24を堆積し、続いてSiCN膜24上に層間絶縁膜としてSiOC膜25を堆積した後、SiOC膜25上に反射防止膜26を堆積する。
【0046】
SiCN膜24は、後の工程でSiOC膜25にビアホールを形成する際のエッチングストッパ膜として機能する。また、Cu配線22の表面から層間絶縁膜中にCuが拡散するのを防ぐバリア膜としても機能する。SiCN膜24は、プラズマCVD法で堆積し、その膜厚は50nm程度とする。SiCN膜24上のSiOC膜25は、プラズマCVD法で堆積し、その膜厚は770nm程度とする。SiOC膜25の比誘電率は、2.9程度である。
【0047】
SiOC膜25上の反射防止膜26は、配線溝20を形成する工程で用いた反射防止膜19と同じく、SiO膜26a、SiON膜26bおよびSiO膜26cの3層膜で構成し、プラズマCVD装置のチャンバ内で連続して成膜する。反射防止膜26は、次の工程で反射防止膜26上に形成するフォトレジスト膜を露光する際に、下層のCu配線22の表面で反射した露光光がフォトレジスト膜に入射してハレーションを引き起こすのを防ぐ機能を有している。
【0048】
図11は、露光光源としてKrFエキシマレーザ(波長=248nm)を用い、反射防止膜26の光反射率(%)を測定した結果を示すグラフである。ここで、横軸はSiO膜26aの膜厚を示し、縦軸はSiON膜26bとSiO膜26cとを合計した膜厚(SiO膜26cの膜厚は5nmに固定)を示している。また、図中の領域(A〜E)は、光反射率がA=0〜2%、B=2〜4%、C=4〜6%、D=6〜8%、E=8〜10%となる領域を示している。
【0049】
上記の測定結果によれば、ハレーションの防止に必要とされる光反射率を5%以下とした場合、SiO膜26aの膜厚とSiON膜26bの膜厚の好ましい組み合わせは、SiO膜26aの膜厚が40nm以下または75nm以上、かつSiON膜26bの膜厚が40nm以上であり、より好ましい組み合わせは、SiO膜26aの膜厚が30nm以下または80nm以上、かつSiON膜26bの膜厚が50nm以上である。
【0050】
次に、図12に示すように、ビアホール形成領域が開口されたフォトレジスト膜27を反射防止膜26上に形成する。ビアホールのパターンは、KrFエキシマレーザを露光光源に用いてフォトマスクからフォトレジスト膜27に転写する。ここで、反射防止膜26を構成するSiO膜26a、SiON膜26bおよびSiO膜26cの膜厚を上述した好ましい組み合わせの範囲内に設定することにより、Cu配線22の表面で露光光が反射することなどに起因するフォトレジスト膜27のハレーションを抑制でき、フォトレジスト膜27にビアホールのパターンを精度よく転写することができる。
【0051】
次に、図13に示すように、フォトレジスト膜27をマスクにして反射防止膜26およびSiOC膜25をドライエッチングすることによって、ビアホール28を形成する。このとき、SiOC膜25の下層のSiCN膜24がエッチングストッパ膜として機能する。
【0052】
次に、フォトレジスト膜27をプラズマアッシングによって除去し、続いてアッシング時に発生した基板1の表面のポリマーをウェット洗浄で除去した後、図14に示すように、ビアホール28の内部に埋め込み剤29を充填する。埋め込み剤29は、次の工程で配線溝を形成する際のエッチング時にビアホール28の径が広がるのを防ぐと共に、ビアホール28の底部を保護するために形成する。埋め込み剤29には、露光光を吸収するフォトレジスト剤を使用する。また、露光光の反射率が低い塗布系の絶縁膜、例えばスピンオングラス膜などを使用することもできる。ビアホール28に埋め込み剤29を充填するには、ビアホール28の内部を含む反射防止膜26上にフォトレジスト膜をスピン塗布して硬化させた後、ビアホール28の外部のフォトレジスト膜をエッチバックにより除去する。
【0053】
次に、図15に示すように、反射防止膜26の上部に第2の反射防止膜30を形成した後、配線溝形成領域が開口されたフォトレジスト膜31を反射防止膜30上に形成する。フォトレジスト膜31には、KrFエキシマレーザを露光光源に用いてフォトマスクから配線溝パターンを転写する。反射防止膜30は、BARC(Bottom Anti Reflective Coating)と呼ばれる公知の反射防止剤、あるいは露光光の反射率が低い塗布系の絶縁膜を使用する。ここで、フォトレジスト膜31の下層に反射防止膜30、26を形成したことにより、露光時のハレーションが抑制され、配線溝のパターンをフォトレジスト膜31に精度よく転写することができる。また、フォトレジスト膜31の下層に反射防止膜30を形成したことにより、フォトレジスト膜31の下層を平坦化することができる。なお、反射防止膜26のみで露光時のハレーションが充分抑制される場合は、第2の反射防止膜30を省略してもよい。
【0054】
次に、図16に示すように、フォトレジスト膜31をマスクにして反射防止膜30および反射防止膜26を順次ドライエッチングし、続いてSiOC膜25をその途中までドライエッチングすることによって、配線溝32を形成する。このとき、SiOC膜25の途中にはエッチングストッパ膜が存在しないため、配線溝32を形成するためのエッチングは、SiOC膜25のエッチング時間を制御することによって行う。
【0055】
本実施の形態では、配線間容量を低減するために、層間絶縁膜を比誘電率が2.9程度のSiOC膜25で構成しているが、SiOC膜25の途中にエッチングストッパ膜を形成しないことにより、層間絶縁膜の実効的な誘電率の増加を抑え、配線間容量を低減することができる。配線溝32の深さは、ビアホール28の深さよりもかなり浅いので、SiOC膜25の途中にエッチングストッパ膜を形成しなくとも、配線溝32の深さを容易に制御することができる。
【0056】
次に、図17に示すように、フォトレジスト膜31とその下層の反射防止膜30をプラズマアッシングによって除去する。このとき、ビアホール28に充填されていた埋め込み剤29も除去される。
【0057】
次に、アッシング時に発生した基板1の表面のポリマーをウェット洗浄で除去した後、図18に示すように、ビアホール28の底部のSiCN膜24をドライエッチングしてCu配線22の表面を露出させる。
【0058】
次に、図19に示すように、配線溝32およびビアホール28のそれぞれの内部を含む反射防止膜26上に50nm程度の薄いTiN膜からなるバリアメタル膜33aをスパッタリング法で堆積する。続いて、バリアメタル膜33a上に配線溝32およびビアホール28のそれぞれの内部を完全に埋め込む厚いCu膜33bをスパッタリング法または電解メッキ法で堆積する。
【0059】
次に、図20に示すように、配線溝32の外部のCu膜33bとバリアメタル膜33aとを化学的機械研磨法によって除去することにより、配線溝32およびビアホール28のそれぞれの内部に第2層目のCu配線33を形成する。このとき、SiOC膜25の上部に形成した反射防止膜26も同時に除去される。
【0060】
図示は省略するが、その後、前記図10〜図20で説明した工程を繰り返すことにより、前記第2層目のCu配線33の上層に第3層目以降のCu配線を順次形成する。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、デュアルダマシン法を用いて多層Cu配線を形成する半導体集積回路装置に適用して有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図2】図1に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図5】組成の異なる2種の絶縁膜を積層した場合における上下層の界面接着力を臨界剥離荷重で示したグラフである。
【図6】図4に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図11】反射防止膜の光反射率を測定した結果を示すグラフである。
【図12】図10に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図17】図16に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体集積回路装置の製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体基板
2 素子分離溝
3 SiO膜
4 p型ウエル
5 n型ウエル
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
8 サイドウォールスペーサ
9 Coシリサイド膜
11 n型半導体領域(ソース、ドレイン)
12 p型半導体領域(ソース、ドレイン)
13 エッチングストッパ膜
14 絶縁膜
15 コンタクトホール
16 メタルプラグ
17 SiCN膜
18 SiOC膜
19 反射防止膜
19a SiO膜
19b SiON膜
19c SiO膜
20 配線溝
21 フォトレジスト膜
22 Cu配線
22a バリアメタル膜
22b Cu膜
24 SiCN膜
25 SiOC膜
26 反射防止膜
26a SiO膜
26b SiON膜
26c SiO膜
27 フォトレジスト膜
28 ビアホール
29 埋め込み剤
30 反射防止膜
31 フォトレジスト膜
32 配線溝
33 Cu配線
33a バリアメタル膜
33b Cu膜
Qn nチャネル型MISFET
Qp pチャネル型MISFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体基板の主面上にSiOC膜を主体とする絶縁膜を形成する工程、
(b)前記絶縁膜上に第1SiO膜とSiON膜と第2SiO膜との積層膜からなる反射防止膜を形成する工程、
(c)前記反射防止膜の上部に第1フォトレジスト膜を形成する工程、
(d)前記第1フォトレジスト膜をマスクにして、前記反射防止膜および前記絶縁膜をエッチングすることにより、前記絶縁膜にビアホールを形成する工程、
(e)前記第1フォトレジスト膜を除去した後、前記ビアホールの内部に埋め込み剤を充填する工程、
(f)前記工程(e)の後、前記反射防止膜の上部に第2フォトレジスト膜を形成する工程、
(g)前記第2フォトレジスト膜をマスクにして、前記ビアホールが形成された領域を含む領域の前記反射防止膜および前記絶縁膜をエッチングし、前記絶縁膜の中途部で前記エッチングを停止することにより、前記絶縁膜に配線溝を形成する工程、
(h)前記第2フォトレジスト膜および前記埋め込み剤を除去した後、前記配線溝および前記ビアホールの内部にメタル膜を埋め込む工程、
(i)前記配線溝の外部の前記メタル膜を化学的機械研磨法で除去することにより、前記配線溝および前記ビアホールの内部に、前記メタル膜からなる配線を形成する工程。
【請求項2】
前記工程(a)に先だって、前記絶縁膜の下層にメタル配線を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項3】
前記メタル膜は、銅を主体とすることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(g)では、エッチング時間を制御することによって、前記絶縁膜の中途部で前記エッチングを停止することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1SiO膜の膜厚は40nm以下または75nm以上であり、前記SiON膜の膜厚は40nm以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1SiO膜の膜厚は30nm以下または80nm以上であり、前記SiON膜の膜厚は50nm以上であることを特徴とする請求項5記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項7】
KrFエキシマレーザを露光光源に用いて、前記第1フォトレジスト膜に前記ビアホールのパターンを転写し、前記第2フォトレジスト膜に前記配線溝のパターンを転写することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項8】
(a)半導体基板の主面上にSiOC膜を主体とする第1絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記第1絶縁膜上に、第2絶縁膜と第3絶縁膜と第4絶縁膜との積層膜からなる反射防止膜を形成する工程と、
(c)前記反射防止膜の上部に第1フォトレジスト膜を形成する工程と、
(d)前記第1フォトレジスト膜をマスクにして、前記反射防止膜および前記第1絶縁膜をエッチングすることにより、前記第1絶縁膜にビアホールを形成する工程と、
(e)前記第1フォトレジスト膜を除去した後、前記ビアホールの内部に埋め込み剤を充填する工程と、
(f)前記工程(e)の後、前記反射防止膜の上部に第2フォトレジスト膜を形成する工程と、
(g)前記第2フォトレジスト膜をマスクにして、前記ビアホールが形成された領域を含む領域の前記反射防止膜および前記第1絶縁膜をエッチングし、前記第1絶縁膜の中途部で前記エッチングを停止することにより、前記第1絶縁膜に配線溝を形成する工程と、
(h)前記第2フォトレジスト膜および前記埋め込み剤を除去した後、前記配線溝および前記ビアホールの内部にメタル膜を埋め込む工程と、
(i)前記配線溝の外部の前記メタル膜を化学的機械研磨法で除去することにより、前記配線溝および前記ビアホールの内部に、前記メタル膜からなる配線を形成する工程と
を含む半導体集積回路装置の製造方法であって、
前記第2および第4絶縁膜は、前記第1絶縁膜よりも光の屈折率が大きく、前記第3絶縁膜は、前記第2および第4絶縁膜よりも光の屈折率が大きいことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2および第4絶縁膜はSiO膜であり、前記第3絶縁膜はSiON膜であることを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(a)に先だって、前記第1絶縁膜の下層にメタル配線を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項11】
前記メタル膜は、銅を主体とすることを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(g)では、エッチング時間を制御することによって、前記第1絶縁膜の中途部で前記エッチングを停止することを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−116011(P2007−116011A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307972(P2005−307972)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】