説明

印刷装置

【課題】本発明は電子写真方式を使用したタンデム型の印刷装置に関し、特にモータの駆動やギアの回転に起因するジッタ振動を低減し、印刷画像の品質向上を図る印刷装置を提供するものである。
【解決手段】印刷装置であって、ギアを有する回転機構を駆動するモータと、このモータを駆動する際の位相を設定する位相設定手段と、上記モータに供給する電流の制御を行なう電流制御手段と、上記モータの駆動又ギアの回転に起因するジッタを検出する検出手段と、この検出手段による検出結果に基づいて、上記位相設定手段により前記モータの位相を設定し、上記電流制御手段により上記モータに供給する電流を制御する制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に係り、特に電子写真方式を使用したタンデム型の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を使用したタンデム型の印刷装置は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像形成ユニットを使用し、各画像形成ユニットには夫々感光体ドラムを回転駆動するためのモータが使用されている。このモータとしては、例えば制御が容易なステッピングモータが使用され、各画像形成ユニット内の感光体ドラム等の回転体の駆動を行っている。
【0003】
図30は、上記各画像形成ユニットに使用されるステッピングモータの駆動制御を説明する図である。同図に示す例は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像形成ユニットの例を示すものであり、0.2f(例えば、fは1000)μsecの基準クロック(SysClk)を使用して、各画像形成ユニット内の感光体ドラムを駆動するモータ駆動のタイミングを設定している。同図に示すように、従来の駆動タイミングは、各画像形成ユニットに使用されているステッピングモータ全てにおいて同じタイミングで駆動を行っている。
【0004】
尚、特許文献1はステッピングモータを使用した中間転写装置に関する発明であり、ローラギャップを調整するため、エンコーダ信号に基づいて搬送ローラ系の速度を計算し、この計算結果に基づいてステッピングモータに補正指令を送り、駆動ステップ数を変更してギャップ調整を行っている。
【0005】
また、特許文献2は、ステッピングモータを使用して駆動する転写ベルトの回転ムラを補正して、カラー画像の色ずれやピッチムラの低減を図る発明であり、転写ベルトの駆動ローラとは別のローラの回転速度を検知して基準位置を検知し、この基準位置に基づいて駆動ローラの回転制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−055069号公報
【特許文献2】特開2007−52111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のステッピングモータの駆動は、上記のように各画像形成ユニットに使用されているステッピングモータを全て同じタイミングで駆動している。このため、ステッピングモータの駆動に起因する共振振動が発生し、印刷画像の品質が低下する。図31は各ステッピングモータの駆動に起因する共振振動の例を示す図であり、図32は上記共振振動の合成波を示す図である。さらに、図33は上記合成波のフーリエ解析を行った結果を示し、例えば特定の周波数0.5f(例えばfは1000Hz)において共振振動に基づくジッタが発生する。
【0008】
したがって、上記ステッピングモータの共振振動によって特定の周波数で画像形成ユニットが振動し、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の印字位置がズレ、カラー画像の品質が低下する。また、上記モータの駆動以外にも、モータの駆動力を感光体ドラム等の回転体に伝達するためのギアに起因してジッタが発生し、画像品質が低下する。
【0009】
そこで、本発明はモータの駆動やギアの回転等に起因するジッタ振動を低減し、印刷画像の品質向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は本発明によれば、ギアを有する回転機構を駆動するモータと、該モータを駆動する際の位相を設定する位相設定手段と、前記モータに供給する電流の制御を行なう電流制御手段と、前記モータの駆動、又前記ギアの回転に起因するジッタを検出する検出手段と、該検出手段による検出結果に基づいて、前記位相設定手段により前記モータの位相を設定し、又は前記電流制御手段により前記モータに供給する電流を制御する制御手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成ユニット毎に配設されたモータ、及び転写ベルトを駆動するモータ等の回転機構を駆動するモータに起因するジッタの発生を軽減し、更に上記モータの駆動を伝達するギアの回転に起因するジッタの発生を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の印刷装置の制御システムを説明する図である。
【図2】本実施形態の印刷装置として、例えばカラー印刷装置の例を示す図である。
【図3】中間転写ベルトユニットの斜視図であり、中間転写ベルトユニット近傍に設けられたセンサの配設構成を含む図である。
【図4】印刷装置の制御システムを説明する図である。
【図5】パッチパターンが転写ベルトに転写された状態を示す図である。
【図6】パッチ列がセンサ近傍を通過する際検出されたパッチパターンの例を示す図である。
【図7】パッチパターンの別の例であり、文字の中抜け現象が発生する場合の例を示す図である。
【図8】濃度センサによって検出されたデータをフーリエ変換して得られた解析結果を示す図である。
【図9】解析結果の条件を示す図である。
【図10】濃度センサによる検出結果と上記計算式によって得られたジッタ周期との関係を示す図である。
【図11】現像器を含むドラムユニットの具体的な構成を説明する図である。
【図12】キットモータピニオンギア及びドラムギアの歯数と1歯当たりの送り量を示す図である。
【図13】転写ベルトを含むベルト駆動機構の具体的な構成を説明する図である。
【図14】ベルトギアの歯数と1歯当たりの送り量を示す図である。
【図15】0.2fの基準クロックを使用して、4色2相でキットモータを駆動する場合のクロック信号の出力タイミングを示す図である。
【図16】ステッピングモータの駆動に起因する共振振動の波形図である。
【図17】共振振動の合成波の波形図である。
【図18】共振振動の合成波をフーリエ変換した結果を示す図である。
【図19】ジッタ振動の処理方法を示す図である。
【図20】4色4相でキットモータを駆動する場合のクロック信号の出力タイミングを示す図である。
【図21】ステッピングモータの駆動に起因する共振振動が若干発生する例を示す図である。
【図22】若干発生する共振振動の合成波の波形図である。
【図23】共振振動の合成波をフーリエ変換した結果を示し、合成波に殆どジッタが発生しないことを示す図である。
【図24】位相切り替えの具体的な方法を説明するタイムチャートである。
【図25】位相切り替えの具体的な方法を説明するフローチャートである。
【図26】位相切り替えの具体的な方法を説明する他のタイムチャートである。
【図27】位相切り替えの具体的な方法を説明する他のフローチャートである。
【図28】濃度センサによって検出されたジッタ周期に基づいて、ジッタの発生原因を検討する際に参照する図である。
【図29】ドライバの具体的な駆動例を示すタイムチャートである。
【図30】従来のステッピングモータの駆動制御を説明する図である。
【図31】従来のステッピングモータの駆動に起因する共振振動の例を示す図である。
【図32】従来の共振振動の合成波を示す図である。
【図33】従来の共振振動の合成波をフーリエ解析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は本実施形態の印刷装置として、カラー印刷装置(以下、単に印刷装置という)の例を示す。また、本実施形態の印刷装置1は、電子写真方式を使用したタンデム型の印刷装置であり、画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0014】
上記画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6Y、6M、6C、6K)を多段式に並設した構成から成る。上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)3個の画像形成ユニット6Y、6M、及び6Cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として画像の暗黒部分や文字等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0015】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0016】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、印字ヘッド10、及び現像器11の現像ローラ12が配置されている。
【0017】
現像器11は、同図のトナー容器に示すY、M、C、K(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))のなかの対応する色のトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0018】
また、現像器11の下部には、側面開口部に上述した現像ローラ12を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ12にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ12上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備える。
【0019】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト14と、この転写ベルト14を掛け渡されて転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15と従動ローラ16を備える。
【0020】
上記転写ベルト14には、印刷データに基づくトナー像が転写され(一次転写)、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送される。また、転写ベルト14には、後述するパッチパターンのトナー像(パッチ画像)が転写され、後述する濃度センサ35aによってパッチパターンから情報が読み取られる。
【0021】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17を備えている。ベルト位置制御機構17は、転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0022】
上記中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Yの更に上流側に、ベルトクリーナユニット19が配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器20が着脱自在に配置されている。
【0023】
給紙部4は、上中下3段に配置された3個の給紙カセット21a、21b、21cを備え、これら3個の給紙カセット21a、21b、21cには、不図示の用紙が収容されている。
【0024】
そして、上記3個の給紙カセットの給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22が配置されている。また、待機搬送ローラ対23の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ24が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0025】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト定着装置25が配置され、ベルト式定着装置25の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式定着装置25から搬出する搬出ローラ対26、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー27に排紙する排紙ローラ対28が配設されている。
【0026】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対26と排紙ローラ対28との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路30、それから下方に曲がる中間返送路31、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32を備えている。また、この終端返送路32の出口は、給紙部4の下方の給紙カセットに対応する待機搬送ローラ対33への搬送路に連絡している。
【0027】
上記構成の印刷装置1において、画像形成ユニット6の駆動は、各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K毎に配設されたキットモータ34によって行われている。尚、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに設けられたキットモータ34Y、34M、34C、34Kの配設位置については、後述する。
【0028】
画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K内の各キットモータ34Y、34M、34C、34Kは、対応するユニット内の感光体ドラム7や、現像ローラ12等の回転体を回転駆動させる駆動源である。また、各キットモータ34Y、34M、34C、34Kに対応する感光体ドラム7や現像ローラ12等の回転体までの回転力の伝達は、後述する複数のギアを介在させて行っている。したがって、上記ギア等の伝達系の誤差や、ギアの歯数、ギア比等により、各キットモータ34Y、34M、34C、34Kの負荷特性には違いが生じる。
【0029】
一方、図3は中間転写ベルトユニット3の斜視図であり、中間転写ベルトユニット3近傍に設けられたセンサの配設構成を含む図である。前述のように、転写ベルト14は反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15と従動ローラ16に掛渡され、転写ベルト14の周面近傍には、濃度センサ35aとシータ(θ)センサ35bが配設されている。
【0030】
後述するパッチパターンは、この転写ベルト14上に転写され、このパッチパターンは、上記濃度センサ35a等に読み取られ、後述する本例の処理に使用される。
【0031】
また、駆動ローラ15は後述するベルトモータによって駆動され、ベルトモータの駆動制御は後述するモータコントローラ部によって行われる。
【0032】
図4は、上記機構構成を有する印刷装置1の制御システムを説明する図である。同図において、印刷装置1はインターフェイスコントローラ(以下、I/Fコントローラで示す)13a、及びエンジン制御部13bで構成され、I/Fコントローラ13aは受信制御部36、ROM37、フォントROM38、表示制御部39、ビデオI/F制御部40、メモリ41(標準RAM41a、拡張RAM41b)、圧縮/伸張制御部42、MPU43で構成されている。
【0033】
一方、エンジン制御部13bは、エンジンコントローラ部45、モータコントローラ部46、MPU47、定着制御部48、高圧制御部49で構成され、エンジンコントローラ部45は印字ヘッド10にビデオデータを送信し、モータコントローラ部46は前述のキットモータ34Y、34M、34C、34Kや、ベルトモータ等にモータ駆動信号を供給する。さらに、エンジン制御部13bは各種負荷に駆動信号を供給し、前述濃度センサ35aやシータ(θ)センサ35b等の各種センサから検知信号を受信する。
【0034】
また、MPU47は、例えばベルト式定着装置25に設置された定着サーミスタ54から定着ローラの検出温度の情報を受信し、定着制御部48はベルト式定着装置25に設置された定着ヒータ55に温度制御信号を出力する。さらに、高圧制御部49は高圧部56に高電圧制御信号を出力する。
【0035】
また、上記構成の印刷装置1には、セントロニクスインターフェイス、及びLAN(local area network)を介してパーソナルコンピュータ(PC)やプリンタサーバ等のホスト機器69から印刷データが供給される。ホスト機器69から供給された印刷データは、上記受信制御部36に転送され、所定量の印刷データが受信制御部36に転送されると、印刷データはメモリ41(例えば、標準RAM41a)に転送される。メモリ41に転送された印刷データは、MPU43の制御に従って解析処理が行われ、圧縮/伸張制御部42によって圧縮、伸張処理が行われた後、ビデオI/F制御部40からエンジン制御部13bに出力される。
【0036】
図1は、上記エンジン制御部13bの構成を詳しく説明する図である。上記のように、エンジン制御部13bはエンジンコントローラ部45とモータコントローラ部46で構成されている。尚、図1においては、前述のMPU47や、定着制御部48、高圧制御部49の構成は省略している。また、同図において、ビデオI/F制御部40は、説明上エンジン制御部13bに含ませて説明する。
【0037】
エンジンコントローラ部45はヘッドI/F制御部60、モータクロック生成部61、センサ駆動回路62、基本タイミング生成部63、CPUI/F部64で構成されている。尚、ビデオI/F制御部40にはI/Fコントローラ35によって生成されたビデオデータを格納するビデオRAM40aが接続されている。
【0038】
ヘッドI/F制御部60はドットパターン生成部65、ヘッドデータ送信部66、ヘッド制御信号生成部67、ストローブ信号生成部68で構成され、ドットパターン生成部65はビデオI/F制御部40から供給されたビデオデータの1画素を各階調値に基づき、ラインバッファ65aを使用してN個の微画素に展開したデータを生成する。
【0039】
ヘッドデータ送信部66は、ドットパターン生成部65によって生成したデータをヘッド制御信号生成部67から出力されるドットクロック(DCLK)に同期して印字ヘッド10に転送する。尚、ヘッド制御信号生成部67は上記ドットクロック(DCLK)の他、水平同期信号(HSYNC)の出力も行う。
【0040】
また、ストローブ信号生成部68はCPUI/F部64によって設定された階調情報に従って副走査方向をn分割し、対応するストローブ信号を印字ヘッド10に送信する。例えば、副走査方向が3分割の場合、サブライン(1/3)、(2/3)、(3/3)の3種類のストローブ信号を出力し、副走査方向が4分割の場合、サブライン(1/4)、(2/4)、(3/4)、(4/4)の4種類のストローブ信号を出力する。
【0041】
基本タイミング生成部63はCPUI/F部64によって設定される階調情報に従って、副走査方向をn分割した際の対応するタイミング信号を生成し、各部に出力する。CPUI/F部64は上記の階調情報を出力すると共に、アドレスデコード処理、及び各モジュールのレジスト処理等を行う。
【0042】
一方、モータクロック生成部61は、分周比設定レジスタ61aとカウンタ部61bで構成され、CPUI/F部64によって分周比設定レジスタ61aに分周比を設定し、カウンタ部61bからモータコントローラ部46にキットモータ駆動信号が出力される。
【0043】
モータコントローラ部46はCPUI/F部70、各種クロック生成部71、キットモータ制御回路72、ベルトモータ制御回路73、定着モータ制御回路74、給紙モータ制御回路75で構成されている。また、キットモータ制御回路72には、位相設定レジスタ72aと電流制御回路72bが配設され、ドライバ77Y〜77Kを介して対応するキットモータ34Y、34M、34C、34Kに駆動信号が出力される。このキットモータ制御回路72には、前述のようにエンジンコントローラ部45から上記キットモータ駆動信号が供給される。
【0044】
各種クロック信号生成部71はスループット設定レジスタ71aを有し、CPUI/F部70によってスループット設定レジスタ71aに設定された後述するスループット情報に従って各種クロック信号を出力する。
【0045】
このクロック信号はベルトモータ制御回路73、定着モータ制御回路74、及び給紙モータ制御回路75に供給される。ベルトモータ制御回路73は上記クロック信号に従ってモータ駆動信号を出力し、ドライバ79を介してベルトモータ80を駆動する。また、定着モータ制御回路74は上記クロック信号に従ってモータ駆動信号を出力し、ドライバ81を介して定着モータ82を駆動する。さらに、給紙モータ制御回路75も上記クロック信号に従ってモータ駆動信号を出力し、ドライバ83を介して給紙モータ84を駆動する。
【0046】
また、キットモータ制御回路72の電流制御回路72bは、ドライバ77M〜77Kを介して対応するキットモータ34Y、34M、34C、34Kに駆動電流を供給し、この駆動電流の電流値を制御することによって、キットモータ34Y、34M、34C、34Kに発生するモータトルクを制御する。
【0047】
同様に、ベルトモータ制御回路73の電流制御回路73aも、ドライバ79を介して対応するベルトモータ80に駆動電流を供給し、この駆動電流の電流値を制御することによって、ベルトモータ80に発生するモータトルクを制御する。
【0048】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
尚、本例の印刷装置1の処理動作は、印刷装置1を駆動した際、キットモータ34Y、34M、34C、34Kや、ギア等に起因する共振振動等の発生源を検出し、振動軽減のための処理を行い、印刷画像の品質向上を図るものである。したがって、先ずキットモータ34Y、34M、34C、34Kや、ギア等に起因する共振振動の発生源を検出する。このため、本例では転写ベルト14上にパッチを転写し、転写ベルト14上にパッチパターンを生成する。
【0049】
このため、先ず前述のROM37からパッチデータを読み出し、ビデオI/F制御部40を介してヘッドI/F制御部60のドットパターン生成部65に送信する。ドットパターン生成部65はビデオI/F制御部40から供給されたパッチデータに基づいてパッチパターンを生成し、ヘッドデータ送信部66を介して印字ヘッド10に送信する。
【0050】
印字ヘッド10は入力したパッチパターンに対応して感光体ドラム7に露光を行い、パッチパターンに対応する静電潜像を感光体ドラム7の感光面に形成し、この静電潜像を現像ロール12によって現像し、転写ベルト14上にパッチパターンを転写する。
【0051】
図5は、このパッチパターンが転写ベルト14に転写された状態を示す図である。同図に示すように、転写ベルト14の移動方向にP1、P2、P3、・・・P8の8つのパッチパターンが転写され、転写ベルト14のベルト移動方向に移動する。濃度センサ35aは移動するパッチパターンを検出し、センサ駆動回路62を介してCPUI/F部64に検出データを送信する。
【0052】
例えば、図6は上記パッチ列がセンサ近傍を通過する際検出されたパッチパターンの例であり、同図の示すP1、P2、P3、・・・のパッチパターンは正常な場合の例を示し、P1’、P2’、 P3’・・・のパッチパターンは不正常な場合の例を示す。具体的には、同図に示すセンサ検出信号1は、例えば濃度センサ35aがパッチP1のパッチパターンを検出した場合の信号波形であり、センサ検出信号2は、濃度センサ35aがパッチP1’のパッチパターンを検出した場合の信号波形である。CPUI/F部64は後述するフーリエ変換によって、24ドット周期でジッタが発生していることを検出する。
【0053】
また、図7は別の例であり、所謂文字の中抜け現象が発生する場合の例である。同図に示すセンサ検出信号3は、濃度センサ35aがパッチ列P1、P2、P3、・・・のパッチパターンを検出した場合の信号波形であり、正常印刷のパッチパターンである。一方、センサ検出信号4は、濃度センサ35aがパッチ列P1’’、P2’’、P3’’、・・・パッチパターンを検出した場合の信号波形の例であり、正常印刷に比べて幅の短いパルスが発生している。尚、同図では各パッチに2つのパルスが発生しているが、各パッチに発生するパルスの数は2つに限るものではない。
【0054】
CPUI/F部64は、例えば不図示のテーブルに記憶された中抜け現象検出用のパッチパターンと比較し、例えばセンサ検出信号4が上記信号である場合、文字の中抜け現象が発生しているものと判断する。尚、文字の中抜け現象とは、例えば文字の中の部分が白く抜けてしまう画像不良であり、文字の輪郭部分から中に行くに従って印字濃度が薄くなる現象であり、現像又は転写工程において、感光体ドラム7との駆動マッチングに不具合が発生した場合に起きる現象であり、原因は前述のキットモータ34Y、34M、34C、34Kやギアの動きに起因するものと考えられる。
【0055】
次に、図8は上記濃度センサ35aによって検出されたデータをフーリエ変換して得られた解析結果を示す。尚、同図の解析結果は、図9に示す条件に基づく結果であり、例えば線速が142mm/s、印字速度が32PPM/A4、紙間が56mmである条件に基づく。
【0056】
同図に示す例では、前述の図6に示す24ドットにジッタが発生し、このジッタは設定された画像判定スレッシュを超えているため画像品質の劣化の原因となる。本例では、以下の処理によって上記ジッタを軽減する。
【0057】
先ず、上記画像判定スレッシュを超えるジッタのドット周期と周波数(Fj)の関係を以下の計算式によって計算する。
Fj=1/((25.4/RL×Pj)/SS)
【0058】
尚、RLは分解能を示し、Pjはバンド周期(検出されたドット周期)を示し、SSは前述の線速を示す。したがって、例えば分解能(RL)が600DPIであり、線速(SS)が上記142mm/sであれば、検出されたドット周期(Pj)が24ドットであり、周波数(Fj)は上記計算式に基づいて140Hzとなる。
【0059】
図10は、濃度センサ35aによる検出結果と上記計算式によって得られたジッタ周期との関係を示す図である。上記ドット周期(Pj)が24ドットの例は、同図に示すNo.1 の場合であるが、同様に濃度センサ35aによる検出結果に基づいて19ドット周期に画像判定スレッシュを超えるジッタが発生する場合、No.2に示すようにジッタ周期は176Hzと計算される。さらに、5ドット周期に画像判定スレッシュを超えるジッタが発生している場合、No.3に示すようにジッタ周期は670Hzと計算される。
【0060】
また、濃度センサ35aによる検出結果として、No.1に示す24ドット周期は1.0mm周期のジッタが発生していることを示し、No.2に示す19ドット周期は0.8mm周期のジッタが発生していることを示し、No.3に示す5ドット周期は0.2mm周期のジッタが発生していることを示す。
【0061】
次に、図11は前述の現像器11を含むドラムユニットの具体的な構成であり、前述のように感光体ドラム7の周面近傍にはクリーナ8、帯電ローラ9、印字ヘッド10、及び現像器11が配置され、現像器11の内部にはトナー撹拌部材11a、現像ローラ12にトナーを供給するトナー供給ローラ11b、現像ローラ12上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード11cが配設されている。
【0062】
また、キットモータ34(34Y、34M、34C、34K)の回転軸に取りつけられたキットモータピニオンギア85は対応するキットモータ34の回転力を中間ギア86を介してドラムギア87に伝達する。したがって、前述の感光体ドラム7には、対応するキットモータ34からの回転力がキットモータピニオンギア85、中間ギア86、ドラムギア87を介して伝達される。
【0063】
ここで、上記キットモータピニオンギア85及びドラムギア87の歯数と1歯当たりの送り量は図12に示す通りである。同図に示す構成からキットモータピニオンギア85の1歯当たりの送り量は、前述のNo.1に示す1.0mm周期のジッタと同じ、1.0mmである。したがって、上記キットモータピニオンギア85の1歯当たりの送り量が図12に示す数値である場合、キットモータピニオンギア85がジッタの発生原因であると考えられる。すなわち、キットモータピニオンギア85の1歯当たりの送り量が、図12に示す1.0mmであり、前述のNo.1に示すジッタ周期に一致する。
【0064】
また、No.2に示す19ドット周期は0.8mm周期のジッタが発生していることを示しており、上記と同様にしてドラムギア87がジッタの発生原因であると考えられる。すなわち、ドラムギア87の1歯当たりの送り量が、図12に示す通り0.8mmであり、前述のNo.2に示すジッタ周期に一致する。
【0065】
一方、図13に示す例は、前述の転写ベルト14を含むベルト駆動機構の例であり、前述のように転写ベルト14は駆動ローラ15によって駆動され、駆動ローラ15はベルトギア88、中間ギア89、及びベルトモータ90に取り付けられたモータピニオンギア91を介してベルトモータ90の回転力が伝達される。
【0066】
ここで、上記ベルトギア88の歯数と1歯当たりの送り量は図14に示す通りである。したがって、前述のNo.3に示す5ドット周期は0.2mm周期のジッタが発生していることを示しており、上記と同様にしてベルトギア88がジッタの発生原因であると考えられる。すなわち、ベルトギア88の1歯当たりの送り量が、図14に示す通り0.2mmであり、前述のNo.3に示すジッタ周期に一致する。
【0067】
以上の例はギアに起因するジッタの例であるが、キットモータ34Y、34M、34C、34Kの共振現象によって発生するジッタも同様にして検出できる。図15は、0.2f(例えば、fは1000Hz)の基準クロックを使用して、4色2相でキットモータ34Y、34M、34C、34Kを駆動する場合のクロック信号の出力タイミングを示す。この場合、キットモータ34Yと34Cが同じ位相で駆動し、キットモータ34Mと34Kが同じ位相で駆動する。この場合、図16に示すように、ステッピングモータの駆動に起因する共振振動が発生し、実際には図17に示す共振振動の合成波となる。この場合、図18に示すように、0.25fの周波数にジッタが発生する。
【0068】
尚、背景技術において説明した4色1相でキットモータを駆動する場合においても、前述のように各ステッピングモータの駆動に起因する共振振動(図31参照)が発生し、共振振動の合成波(図32参照)に基づくフーリエ解析から、例えば特定の周波数0.5fにおいてジッタが発生する(図33参照)。
【0069】
次に、上記のようなジッタが発生した場合の処理方法について説明する。
図19は上記各場合の処理方法を示す。先ず、上記キットモータ34Y、34M、34C、34Kの共振現象に起因する場合、前述のパッチパターンに基づいてキットモータ34Y、34M、34C、34Kに起因するジッタであることを検出し、位相制御を行う。具体的には4色1相又は4色2相で駆動していたキットモータ34Y、34M、34C、34Kを4色4相で駆動する。この制御は前述のCPUI/F部70によって位相設定レジスタ72aに設定された位相設定情報に基づいて行なわれ、キットモータ制御回路72は位相設定レジスタ72aに設定された位相設定情報に基づいて、4色4相でキットモータ34Y、34M、34C、34Kを駆動する。
【0070】
図20は、0.2fの基準クロックを使用して、4色4相でキットモータ34Y、34M、34C、34Kを駆動する場合のクロック信号の出力タイミングを示す。この場合、キットモータ34Y、34M、34C、34Kはそれぞれ90度の位相差を有して駆動し、図21に示すように、ステッピングモータの駆動に起因する共振振動が発生しても、実際には図22に示す共振振動の合成波となる。この場合、図23はフーリエ変換による解析結果を示すが、合成波に殆どジッタは発生しない。
【0071】
上記例は4色1相又は4色2相で駆動するキットモータ34Y、34M、34C、34Kを4色4相で駆動する例であるが、上記位相切り替えの具体的な方法について説明する。図24はこの方法を説明するタイムチャートであり、図25はそのフローチャートである。尚、この処理は、例えば印刷装置1のキャリブレーション処理において実行される。
【0072】
先ず、図24のaに示すように、定常回転しているキットモータ34Y、34M、34C、34Kの駆動を停止すべく、各キットモータの回転速度を徐々にスローダウンさせ(図24に示すb)、停止させる(図24に示すc)。
【0073】
次に、前述と同様ROM37からパッチデータを読み出し、ヘッドI/F制御部60のドットパターン生成部65に送信し、パッチパターンを生成し、印字ヘッド10に送信し、印字ヘッド10によるパッチ印字を行う(ステップ(以下、Sで示す)1)。すなわち、パッチパターンに対応して感光体ドラム7に露光を行い、静電潜像を感光体ドラム7の感光面に形成し、この静電潜像を現像ロール12によって現像し、転写ベルト14上にパッチ印字を行う。
【0074】
次に、画像判定を行う(S2)。すなわち、転写ベルト14に印字されたパッチパターンは濃度センサ35aによって読み取られ、CPUI/F部64に検出データが送信され、画像判定が行われる。CPUI/F部64では、前述の図6に示すように、不正常なパッチパターンP1’、P2’、 P3’・・・である場合、フーリエ変換によってジッタの発生を検出する。この場合、前述の図19に示す対応策に従って対応を行う。
【0075】
本例では、位相制御を行う例を説明するものであり、クロックを切り替えることによって位相制御を行う(S3)。具体的には、図24に示すように、キットモータ34Y、34M、34C、34Kが駆動を停止したタイミング(図24に示すc)で、クロックの切り替え処理を行う。同図に示す例では、クロックA(CLKA)とクロックB(CLKB)の位相変更を行う。
【0076】
すなわち、上記定常回転(図24に示すa)、及びスローダウン処理(図24に示すb)において同じ位相であったクロックAとクロックBの位相を、各キットモータの駆動停止時において、例えば180度位相を変換し、スローアップ時から位相変換されたクロックA及びクロックBを出力する(図24に示すd)。
【0077】
具体的には、キットモータ34Y、34M、34C、34Kの駆動を停止している間に、前述の位相設定レジスタ72aのデータを変更し、スローアップ時から位相変換されたクロックを付与して位相変換を行う。尚、上記例では定常回転に達した時(図24に示すe)、クロックAとクロックBの位相は180度変換されているが、クロックAとクロックBの位相を90度変換するように構成しても良いし、270度変換するように構成しても良い。すなわち、キャリブレーション処理等において、キットモータ34Y、34M、34C、34Kの駆動を停止している間に、前述の位相設定レジスタ72aのデータを変更し、クロックAとクロックBの位相を変換する処理を行えばよい。
【0078】
このように処理することによって、ジッタの発生を防止することができる。したがって、以後印字処理を開始することによって(S4)、印字品質の優れた印刷出力を行うことができる。尚、上記の例は、クロックAとクロックBの2つのクロックについて説明したが、4色1相又は4色2相で駆動するキットモータ34Y、34M、34C、34Kの位相を4色4相で駆動するように変換する場合には、例えばクロックA〜Dの4つのクロックを使用し、上記キットモータ34Y、34M、34C、34Kの駆動を停止している間に、前述の位相設定レジスタ72aのデータを変更し、位相変換を行うことは勿論である。
【0079】
尚、図26及び図27は上記位相変換を各モータの駆動中に行うものであり、キットモータ34Y、34M、34C、34Kの駆動を停止することなくジッタの発生を判断し、ジッタに対する対応を行うものである。
【0080】
図26はこの方法を説明するタイムチャートであり、図24はそのフローチャートであり、用紙に印字を行わない、所謂紙間において位相変換を行うものである。すなわち、同位相のクロックA及びBを出力し、キットモータ34Y、34M、34C、34Kを定常回転させ(図26に示すa)、紙間において(図26に示すb)転写ベルト14上にパッチ印字を行う(ステップ(以下、STで示す)1)。
【0081】
次に、前述と同様、画像判定を行い(ST2)、ジッタの発生を検出すると、クロックを切り替えることによって位相制御を行う(ST3)。この位相制御の方法は図26に示すように、紙間のタイミング(図26に示すb)で、クロックの切り替え処理を行い、例えばクロックAとクロックBの位相を180度変換する。
【0082】
尚、この例においても、クロック切り替え後の定常回転時(図26に示すc)、クロックAとクロックBの位相を180度変換しているが、クロックAとクロックBの位相を90度変換するように構成しても良いし、270度変換するように構成しても良い。すなわち、紙間において、例えば位相設定レジスタ72aのデータを変更し、クロックAとクロックBの位相を変換する処理を行えばよい。
【0083】
このように処理することによって、モータの駆動を停止することなく、ジッタの発生を防止することができる。したがって、以後印字処理を開始することによって(ST4)、印字品質の優れた印刷出力を行うことができる。尚、この例においても、クロックAとクロックBの2つのクロックについて説明したが、4色1相又は4色2相で駆動するキットモータ34Y、34M、34C、34Kの位相を4色4相で駆動するように変換する場合には、例えばクロックA〜Dの4つのクロックを使用し、上記紙間において、位相設定レジスタ72aのデータを変更し、位相変換を行うことは勿論である。
【0084】
次に、ジッタがギアに起因する場合について説明する。前述のように、パッチパターンに基づいてジッタの原因がギアに起因することが分かると、図19に示すように、電流値の制御を行い、ギアに発生するトルクを変更し、ジッタ振動を解消する。例えば、CPUI/F部70からベルトモータ制御回路73の電流制御回路73aに制御信号を送り、ベルトモータ80に供給する電流値を変更し、ベルトギア88のトルクを調整する。また、CPUI/F部70からキットモータ制御回路72の電流制御回路72bに制御信号を送り、キットモータ34Y、34M、34C、34Kに供給する電流値を変更し、キットモータピニオンギア85やドラムギア87のトルクを調整する。
【0085】
一方、前述の中抜け現象が発生する場合には、図19に示す速度制御を行い、文字の中抜け現象を解消する。例えば、各種クロック生成部71のスループット設定レジスタ71aから線速度を変更する信号をベルトモータ制御回路73に出力し、ベルトモータ80の回転速度を調整し、文字の中抜け現象を解消する。
【0086】
尚、図28は濃度センサ35aによって検出されたジッタ周期に基づいて、ジッタの発生原因を検討する際に参考とする図であり、以下の計算式によって得られる。
Z=f/fn (但し、Zは振動数比を示し、fは励振力駆動周波数を示し、fnは固有駆動周波数を示す)
【0087】
同図において、ピークaは高調波共振を示し、ピークbは調和共振を示し、ピークcは分数調和共振を示す。調和共振は、固有駆動周波数fnと励振力駆動周波数fが一致する際発生する振動であり、振動数比(Z)=1/1の場合である。例えば、前述のキットモータピニオンギア85の1歯当たりの送り量が1.0mm周期であり、ジッタ周期1.0mmと同じ場合に発生する振動である。また、前述のドラムギア87の1歯当たりの送り量が0.8mm周期であり、ジッタ周期0.8mmと同じ場合に発生する振動である。
【0088】
一方、高調波共振は固有駆動周波数fnに対する励振力駆動周波数fの振動数比Zが1/n(nは自然数)の場合発生する振動であり、分数調和共振は固有駆動周波数fnに対する励振力駆動周波数fの振動数比ZがN(Nは自然数)となる場合発生する振動である。
【0089】
したがって、上記実施形態の説明では、調和共振の例で説明したが、高調波共振や分数調和共振に基づくジッタの発生についても同様にジッタの発生原因をパッチパターンの検出結果から知ることができる。
【0090】
また、図29は前述のドライバ77M〜77Kの具体的な駆動例を示すタイムチャートである。尚、ドライバ77M〜77Kは、それぞれ同様の駆動を行なっており、PH1とPH2の位相差信号に基づいて、同図に示す電圧A、Bの信号を作成し、電流A、Bを同図に示すタイミングで対応するキットモータ34Y、34M、34C、34Kに出力する。また、同図に示す1パルスによって、キットモータ34Y、34M、34C、34Kは1,8度駆動する。尚、ドライバ77M〜77Kの駆動は上記構成に限定されるものではない。
【0091】
以上のように、本実施形態の印刷装置によれば、キットモータ34Y、34M、34C、34Kの位相制御を行なうことによって、モータの共振現象に起因するジッタの発生を軽減することができる。
【0092】
また、キットモータ34Y、34M、34C、34Kの電流制御、及び転写ベルト14のベルト駆動モータ80への供給電流を制御することによって、ギア等の回転体のトルクを調整し、ジッタの発生を軽減することができる。
【0093】
さらに、中抜け現象が発生する場合、線速度を変更し、スループットを調整することによって文字の中抜け現象を解消することができる。
【0094】
本発明はいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0095】
付記1
ギアを有する回転機構を駆動するモータと、
該モータを駆動する際の位相を設定する位相設定手段と、
前記モータに供給する電流の制御を行なう電流制御手段と、
前記モータの駆動、又前記ギアの回転に起因するジッタを検出する検出手段と、
該検出手段による検出結果に基づいて、前記位相設定手段により前記モータの位相を設定し、前記電流制御手段により前記モータに供給する電流を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【0096】
付記2
前記ジッタを検出する検出手段は、装置のキャリブレーション時に前記モータの駆動を停止し、前記位相設定手段に設定する位相の情報を変更し、該変更された位相の情報に基づいて前記モータの駆動を再開することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0097】
付記3
前記ジッタを検出する検出手段は、用紙に印字を行わない紙間時に前記位相設定手段に設定する位相の情報を変更し、該変更された位相の情報に基づいて前記モータの駆動を再開することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0098】
付記4
前記制御手段は、更に前記モータの駆動又前記ギアの回転に起因して中抜け画像が発生する際、前記モータの速度制御を行ない、装置のスループットを調整することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0099】
付記5
タンデム方式の装置であり、複数の色毎に前記モータが配設され、前記制御手段による位相設定は、前記色毎に駆動する前記モータの位相を異ならせることを特徴とする付記1、又は2に記載の印刷装置。
【0100】
付記6
複数の色毎に設けられた前記モータの駆動を停止し、前記位相設定手段に設定する位相の情報を前記モータ毎に変更し、該変更された位相の情報に基づいて前記モータの駆動を再開することを特徴とする付記2、又は3に記載の印刷装置。
【0101】
付記7
前記ジッタを検出する検出手段は、印刷データに基づく画像を記録媒体に転写する間、画像情報を保持するための転写ベルトに転写されたパッチパターンを検出するセンサであることを特徴とする付記1、2、3、4、5、又は6に記載の印刷装置。
【0102】
付記8
前記パッチパターンが転写される転写ベルトは、前記モータによって駆動されることを特徴とする付記7に記載の印刷装置。
【0103】
付記9
前記ギアの回転に起因する前記ジッタは、前記電流制御手段により前記モータに供給する電流を制御することによって調整することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0104】
1・・・印刷装置
2・・・画像形成部
3・・・中間転写ベルトユニット
4・・・給紙部
5・・・両面印刷用搬送ユニット
6(6Y、6M、6C、6K)・・画像形成ユニット
7・・・感光体ドラム
8・・・クリーナ
9・・・帯電ローラ
10・・印字ヘッド
11・・現像器
12・・現像ローラ
13a・・I/Fコントローラ
13b・・エンジン制御部
14・・転写ベルト
15・・駆動ローラ
16・・従動ローラ
17・・ベルト位置制御機構
18・・一次転写ローラ
19・・ベルトクリーナユニット
20・・廃トナー回収容器
21a、21b、21c・・給紙カセット
22・・用紙取出ローラ
23・・待機搬送ローラ対
24・・二次転写ローラ
25・・ベルト定着装置
26・・搬出ローラ対
27・・排紙トレー
28・・排紙ローラ対
30・・開始返送路
31・・中間返送路
32・・終端返送路
33・・待機搬送ローラ対
34Y、34M、34C、34K・・キットモータ
35a・・濃度センサ
35b・・シータ(θ)センサ
36・・受信制御部
37・・ROM
38・・フォントROM
39・・表示制御部
40・・ビデオI/F制御部
41・・メモリ
41a・・標準RAM
41b・・拡張RAM
42・・圧縮/伸張制御部
43・・MPU
45・・エンジンコントローラ部
46・・モータコントローラ部
47・・MPU
48・・定着制御部
49・・高圧制御部
56・・高圧部
60・・ヘッドI/F制御部
61・・モータクロック生成部
62・・センサ駆動回路
63・・基本タイミング生成部
64・・CPUI/F部
65・・ドットパターン生成部
65a・・ラインバッファ
66・・ヘッドデータ送信部
67・・ヘッド制御信号生成部
68・・ストローブ信号生成部
70・・CPUI/F部
71・・各種クロック生成部
71a・・スループット設定レジスタ
72・・キットモータ制御回路
72a・・位相設定レジスタ
72b・・電流制御回路
73・・ベルトモータ制御回路
72a・・電流制御回路
74・・定着モータ制御回路
75・・給紙モータ制御回路
77M〜77K、79、81、83・・ドライバ
80・・ベルトモータ
82・・定着モータ
84・・給紙モータ
85・・キットモータピニオンギア
86、89・・中間ギア
87・・ドラムギア
88・・ベルトギア
90・・ベルトモータ
91・・モータピニオンギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギアを有する回転機構を駆動するモータと、
該モータを駆動する際の位相を設定する位相設定手段と、
前記モータに供給する電流の制御を行なう電流制御手段と、
前記モータの駆動、又前記ギアの回転に起因するジッタを検出する検出手段と、
該検出手段による検出結果に基づいて、前記位相設定手段により前記モータの位相を設定し、前記電流制御手段により前記モータに供給する電流を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、装置のキャリブレーション時に前記モータの駆動を停止し、前記位相設定手段に設定する位相の情報を変更し、該変更された位相の情報に基づいて前記モータの駆動を再開することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御手段は、用紙に印字を行わない紙間時に前記位相設定手段に設定する位相の情報を変更し、該変更された位相の情報に基づいて前記モータの駆動を再開することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御手段は、更に前記モータの駆動又前記ギアの回転に起因して中抜け画像が発生する際、前記モータの速度制御を行ない、装置のスループットを調整することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
タンデム方式の装置であり、複数の色毎に前記モータが配設され、前記制御手段による位相設定は、前記色毎に駆動する前記モータの位相を異ならせることを特徴とする請求項1、又は2に記載の印刷装置。
【請求項6】
複数の色毎に設けられた前記モータの駆動を停止し、前記位相設定手段に設定する位相の情報を前記モータ毎に変更し、該変更された位相の情報に基づいて前記モータの駆動を再開することを特徴とする請求項2、又は3に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記ジッタを検出する検出手段は、印刷データに基づく画像を記録媒体に転写する間、画像情報を保持するための転写ベルトに転写されたパッチパターンを検出するセンサであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記パッチパターンが転写される転写ベルトは、前記モータによって駆動されることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記ギアの回転に起因する前記ジッタは、前記電流制御手段により前記モータに供給する電流を制御することによって調整することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

【図4】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図19】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図29】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図28】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2012−3227(P2012−3227A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7419(P2011−7419)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】