反応装置の製造方法及び反応装置
【課題】材質選択の幅を確保したまま、熱膨張に基づく反応装置の破損や劣化を抑制する。
【解決手段】反応装置の製造方法は、反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、反応装置本体のうち、少なくとも前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、反応装置本体と加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有する。加熱部準備工程は、断熱材を準備する断熱材準備工程と、断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、平坦化膜上に、通電により発熱する加熱部を形成する加熱部形成工程とを含む。第一配置工程は、加熱部と反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、反応装置本体と加熱部との位置合わせを行う。
【解決手段】反応装置の製造方法は、反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、反応装置本体のうち、少なくとも前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、反応装置本体と加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有する。加熱部準備工程は、断熱材を準備する断熱材準備工程と、断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、平坦化膜上に、通電により発熱する加熱部を形成する加熱部形成工程とを含む。第一配置工程は、加熱部と反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、反応装置本体と加熱部との位置合わせを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置の製造方法及び反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の反応が生じるマイクロリアクタとしては、例えば一組の金属基板のうち少なくとも一方の金属基板に流路を形成するとともに、その内面に触媒を担持させて、当該一組の金属基板を接合することで、形成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。また、マイクロリアクタには、少なくとも一方の金属基板上に対して、絶縁膜及び発熱体に好適な材質が直接成膜されることで、絶縁膜及び発熱体が形成されたマイクロリアクタが知られている。
【特許文献1】特開2007−191333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述のマイクロリアクタでは、絶縁膜及び発熱体に好適な材質が金属基板に直接成膜されているために、マイクロリアクタの温度上昇に伴って、金属基板及び発熱体がそれぞれ熱膨張することになる。ここで、金属基板と発熱体とは熱膨張率の異なる材質で形成されているために、両者の熱膨張による変形量に差が生じてしまう。温度昇降が繰り返される使用状況においては、この変形量の差によって発熱体が破損したり劣化したりするおそれがある。これを防止すべく、金属基板と発熱体とを熱膨張率の近い素材により形成することが考えられるが、これでは材質選択の幅を狭めてしまう。
本発明の課題は、材質選択の幅を確保したまま、熱膨張に基づく反応装置の破損や劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するため、本発明に係る一の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0005】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは前記断熱材は緻密である。
【0006】
本発明に係るその他の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0007】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記緻密な断熱材よりも熱伝導率が低い補助用断熱材を準備する補助用断熱材準備工程と、前記断熱材における前記加熱部が形成された側とは反対側に前記補助用断熱材を配置する第二配置工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記断熱材は、凹部又は開口部を有し、前記補助用断熱材は、前記凹部又は前記開口部内に向けて突出する突出部を有する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記加熱部準備工程は、前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程を更に含み、前記加熱部形成工程は、前記断熱材上に前記平坦化膜を介して前記加熱部を形成する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記加熱部準備工程は、前記加熱部と前記反応装置本体との間に介在する保護膜を、前記加熱部上に形成する保護膜形成工程を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、前記加熱部形成工程は、前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、第二補助用断熱材を準備する第二補助用断熱材準備工程と、前記反応装置本体における前記加熱部と対向する側とは反対側に前記第二補助用断熱材を配置する第三配置工程とを更に含む。
【0008】
本発明に係るその他の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明に係るその他の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体のうち、少なくとも前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0010】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と加熱部とが位置合わせされた構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器内に収容する構造体収容工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、
粉体状断熱材を準備する粉体状断熱材準備工程と、
前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と前記加熱部とが位置合わせされた前記構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器に収容するとともに、前記構造体と前記断熱容器との間に前記粉体状断熱材を充填する断熱材充填工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記構造体収容工程は、前記開口部から前記加熱部の一部が外部に突出するように、前記構造体を前記断熱容器内に収容する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記開口部を封止する蓋を準備する蓋準備工程と、前記構造体収容工程の後に、前記蓋を前記開口部に取り付け、当該開口部を封止する蓋取付工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記断熱容器は、当該断熱容器の内側に設けられた内壁部と、前記内壁部とともに隙間を形成するように外側に設けられた外壁部とを備え、前記隙間の内圧は大気圧よりも低いことを特徴とする。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つである。
【0011】
本発明に係るその他の態様によれば、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
断熱材と、
前記断熱材上に表面が平坦となるように形成された平坦化膜と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記平坦化膜上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置が提供される。
【0012】
本発明に係るその他の態様によれば、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
緻密な断熱材と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記断熱材上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置が提供される。
【0013】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加熱部と反応装置本体とが非接合な状態で対向しているので、加熱部若しくは反応装置本体の一方が熱膨張したとしても、非接合な状態であるがゆえに他方の変形量に影響を及ぼすことを抑制することができる。これにより、加熱部と反応装置本体とが熱膨張率の異なる材質により形成されていたとしても、熱膨張に基づく破損や劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下に、本発明を実施するための第1の実施の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
図1は燃料電池装置1を搭載した携帯用の電子機器100を示すブロック図である。この電子機器100は、例えばノート型パーソナルコンピュータ、PDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、レジスタ及びプロジェクタ等といった携帯型の電子機器である。
【0017】
電子機器100には、電子機器本体901、DC/DCコンバータ902、二次電池903及び燃料電池装置1が備えられている。
電子機器本体901はDC/DCコンバータ902または二次電池903により供給される電力により駆動する。DC/DCコンバータ902は燃料電池装置1により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換したのちに電子機器本体901に供給する。また、DC/DCコンバータ902は燃料電池装置1により生成された電気エネルギーを二次電池903に充電し、燃料電池装置1が動作していない時に、二次電池903に蓄電された電気エネルギーを電子機器本体901に供給する。
【0018】
この燃料電池装置1には、燃料容器2、液体ポンプ31、空気ポンプ32及びマイクロリアクタとしての反応装置50等が備えられている。燃料電池装置1の燃料容器2は、例えば電子機器100に対して着脱可能に設けられており、液体ポンプ31、空気ポンプ32及び反応装置50は、例えば電子機器100の本体に内蔵されている。
【0019】
燃料容器2には、液体の原燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル)と水との混合液が貯留されている。なお、液体の原燃料と水とを別々の容器に貯留してもよい。
液体ポンプ31は、燃料容器2内の混合液を吸引して、反応装置50内の気化器4に送液するものである。
空気ポンプ32は、酸化剤としての空気を反応装置50内の発電セル8に供給するものである。
【0020】
反応装置50には、反応が生じる複数の反応部50aと、これらを収容する断熱容器10とが設けられている。複数の反応部50aとしては、気化器4、改質器6、発電セル8及び触媒燃焼器9等が挙げられる。
気化器4、改質器6、触媒燃焼器9にはそれぞれヒータ兼温度センサ4a,6a,9aが設けられている。ヒータ兼温度センサ4a,6a,9aの電気抵抗値は温度に依存するので、このヒータ兼温度センサ4a,6a,9aが気化器4、改質器6、触媒燃焼器9の温度を測定する温度センサとしても機能する。
【0021】
気化器4では、液体ポンプ31から送られた混合液をヒータ兼温度センサ4aの熱等により約110〜160℃程度に加熱し、気化させる。気化器4で気化した混合気は改質器6へ送られる。
【0022】
改質器6の内部には流路が形成され、その流路の壁面に触媒が担持されている。気化器4から改質器6に送られる混合気は、改質器6の流路を流れ、ヒータ兼温度センサ6aの熱、発電セル8の反応熱や触媒燃焼器9の熱により約300〜400℃程度に加熱されて、触媒により改質反応を起こす。原燃料と水の改質反応によって燃料としての水素、二酸化炭素及び副生成物である微量な一酸化炭素等の混合気体(改質ガス)が生成される。なお、原燃料がメタノールの場合、改質器6では主に次式(1)に示すような水蒸気改質反応が起こる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
【0023】
一酸化炭素は化学反応式(1)についで逐次的に起こる次式(2)のような反応によって微量に副生される。
H2+CO2→H2O+CO …(2)
化学反応式(1),(2)により生成した気体(改質ガス)は発電セル8に送出される。
【0024】
図2は発電セル8の模式図である。図2に示すように、発電セル8は、固体酸化物型電解質811と、固体酸化物型電解質811の両面に形成された燃料極82(アノード)及び酸素極83(カソード)と、燃料極82に接合してその接合面に流路86を形成したアノード集電極84と、酸素極83に接合してその接合面に流路87を形成したカソード集電極85とを備える。また、発電セル8は筐体88内に収容される。
【0025】
固体酸化物型電解質811には、ジルコニア系の(Zr1-xYx)O2-x/2(YSZ)、ラ
ンタンガレード系の(La1-xSrx)(Ga1-y-zMgyCoz)O3等を、燃料極82にはLa0.84Sr0.16MnO3、La(Ni,Bi)O3、(La,Sr)MnO3、In2O3
+SnO2、LaCoO3等を、酸素極83にはNi、Ni+YSZ等を、アノード集電極84及びカソード集電極85にはLaCr(Mg)O3、(La,Sr)CrO3、NiAl+Al2O3等を、それぞれ用いることができる。
【0026】
発電セル8はヒータ兼温度センサ9aや触媒燃焼器9の熱により約500〜1000℃程度に加熱され、後述する反応が起こる。
酸素極83にはカソード集電極85の流路87を介して空気が送られる。酸素極83では酸素とカソード出力電極21bより供給される電子により、次式(3)に示すように酸素イオンが生成される。
O2+4e-→2O2- …(3)
固体酸化物型電解質811は酸素イオンの透過性を有し、酸素極83で化学反応式(3)により生成された酸素イオンを透過させて燃料極82に到達させる。
【0027】
燃料極82にはアノード集電極84の流路86を介して改質器6から排出された改質ガスが送られる。酸素極83では固体酸化物型電解質811を透過した酸素イオンと改質ガスとの次式(4)、(5)のような反応が起こる。
H2+O2-→H2O+2e- …(4)
CO+O2-→CO2+2e- …(5)
化学反応式(4),(5)により放出される電子は、燃料極82、アノード出力電極21a、DC/DCコンバータ902等の外部回路を経てカソード出力電極21bより酸素極83に供給される。
【0028】
アノード集電極84及びカソード集電極85には、アノード出力電極21a、カソード出力電極21bが接続され、筐体88から引き出されている。ここで、後述するように、筐体88は例えばNi系の合金で形成され、アノード出力電極21a及びカソード出力電極21bはガラス、セラミック等の絶縁材により筐体88から絶縁されて引き出されている。図1に示すように、アノード出力電極21a及びカソード出力電極21bは、例えばDC/DCコンバータ902に接続される。
【0029】
アノード集電極84の流路86を通過した改質ガス(オフガス)には、未反応の水素も含まれている。オフガスは触媒燃焼器9に供給される。
【0030】
触媒燃焼器9には、オフガスとともに、カソード集電極85の流路87を通過した空気が供給される。触媒燃焼器9の内部には流路が形成され、その流路の壁面にPt系の触媒が担持されている。
触媒燃焼器9には、電熱材からなるヒータ兼温度センサ9aが設けられている。ヒータ兼温度センサ9aの電気抵抗値が温度に依存するので、このヒータ兼温度センサ9aが触媒燃焼器9の温度を測定する温度センサとしても機能する。
【0031】
オフガスと空気の混合気体(燃焼ガス)は触媒燃焼器9の流路を流れ、ヒータ兼温度センサ9aにより加熱される。触媒燃焼器9の流路を流れている燃焼ガスのうち水素が触媒により燃焼され、これにより燃焼熱が発生する。燃焼後の排ガスは触媒燃焼器9から断熱容器10の外部に放出される。
【0032】
この触媒燃焼器9で発生した燃焼熱は発電セル8の温度を高温(約500〜1000℃程度)に維持するのに用いられる。そして、発電セル8の熱は、改質器6、気化器4に伝導し、気化器4における蒸発、改質器6における水蒸気改質反応に用いられる。
【0033】
次に、反応装置50の具体的構成について説明する。図3は、反応装置50の概略構成を模式的に示した側断面図である。図3に示すように、反応装置50には、反応装置本体51と、反応装置本体51の周囲を囲む断熱部60と、反応装置本体51及び断熱部60とを収容する断熱容器10とが設けられている。
【0034】
図4は、反応装置本体51の概略構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。図4(a),(b)に示すように、反応装置本体51には、気化器4と、改質器6と、発電セル8と、これらが搭載される流路基板52とが設けられている。流路基板52における発電セル8及び触媒燃焼器9が搭載される第一部分53には、その内部にpt系の触媒が担持されており、この部分53が触媒燃焼器9として機能するようになっている。また、流路基板52内には各種流路71〜77が形成されている(図1参照)。
【0035】
例えば、図1に示すように、流路71は、液体ポンプ31から供給された混合液を気化器4に案内するための流路である。流路72は、気化器4で発生した混合気を改質器6に案内する流路である。流路73は、改質器6で発生した改質ガスを発電セル8に案内する流路である。流路74は、空気ポンプ32から供給された空気を案内する流路である。流路75は、発電セル8で発生したオフガスを触媒燃焼器9に案内する流路である。流路76は、発電セル8を通過した空気を触媒燃焼器9まで案内する流路である。流路77は、触媒燃焼器9で発生した排ガスを断熱容器10の外部まで案内する流路である。
【0036】
また、図4に示すように、流路基板52における第一部分53、改質器6が搭載される第二部分54及び気化器4が搭載される第三部分55は、それぞれ搭載物に対応した大きさに形成されている。第一部分53と第二部分54、第二部分54と第三部分55をそれぞれ連結する2つの連結部511は、その幅(各部53,54,55の配列方向に対して垂直な面内における一方向の長さ)が、各部53,54,55の幅方向の長さよりも、それぞれ短く形成されている。
【0037】
また、図3に示すように、断熱部60は、反応装置本体51の下方を覆う下断熱材61と、上方を覆う上断熱材62とを備える。上断熱材62及び下断熱材61としては、例えばマイクロサーム(登録商標)、マコール(登録商標)及びガラス等が挙げられる。ここで、マコール(登録商標)及びガラスはいずれも緻密な断熱材である。本明細書では、その表面の平坦性が、局所的な凹凸が数nmから十数nm以下である断熱材を、緻密な断熱材という。マイクロサーム(登録商標)の熱伝導率は、0.02W/(m・K)程度であり、マコール(登録商標)の熱伝導率は、1.67W/(m・K)程度である。また、ガラスの熱伝導率は、1.13〜0.546W/(m・K)程度である。
【0038】
下断熱材61は、本発明に係る断熱材である。下断熱材61は矩形状に形成されている。下断熱材61の上面には、その反応装置本体51が搭載される領域を少なくとも覆うように絶縁性の平坦化膜81が成膜されている(図5参照)。
【0039】
図5は下断熱材61及び平坦化膜81を示す上面図である。図中、点線部は反応装置本体51に対向する第一領域611を示し、点線部の外側の領域は反応装置本体51からはみ出た第二領域612を示す。
【0040】
図5に示すように、平坦化膜81の上面には、図5に示すように加熱部90と、加熱部90に接続された配線91とが形成されている。加熱部90及び配線91は例えばPtやW/Au/W等からなる金属膜から形成されている。加熱部90は、ヒータ兼温度センサ4a,6a,9aを成すものである。ヒータ兼温度センサ4aは、第一領域611における気化器4が搭載される第三部分55に対向する部分に対して、千鳥状のパターンに成膜されている。ヒータ兼温度センサ6aは、第一領域611における改質器6が搭載される第二部分54に対向する部分に対して、千鳥状のパターンに成膜されている。ヒータ兼温度センサ9aは、第一領域611における発電セル8及び触媒燃焼器9が搭載される第一部分53に対向する部分に対して、それぞれ千鳥状のパターンに成膜されている。つまり、いずれのヒータ兼温度センサ4a,6a,9aも、第一領域611内に成膜されている。
【0041】
一方、配線91は、ヒータ兼温度センサ4a,6a,9aのそれぞれに対して個別に接続されるように、第二領域612における平坦化膜81の上面に成膜されている。各配線91は、下断熱材61の一端部に向かって延出しており、この先端部が端子となって、例えば制御部(図示省略)等に電気的に接続されることになる。
【0042】
また、加熱部90の上面、配線91の上面、及び平坦化膜81の上面には、図3に示すように、加熱部90及び配線91を覆うように保護膜92が成膜されている。保護膜92は、絶縁性を有する酸化膜である。
【0043】
そして、下断熱材61には、第一領域611と反応装置本体51とが対向するように、反応装置本体51が位置決めされて重ねられている。ここで、加熱部90と反応装置本体51とは、位置合わせはされるもののその位置に固定されておらず、単に重ねられた状態、つまり非接合な状態となっている。
【0044】
上断熱材62には、反応装置本体51の上部形状に対応して凹んだ凹部65が形成されている。この凹部65に反応装置本体51が嵌合することで、両者が密着し断熱性が高められることになる。この嵌合により上断熱材62は、反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置される。上断熱材62は本発明に係る第二補助用断熱材である。そして、嵌合時においては、反応装置本体51における発電セル8側の先端面51aは上断熱材62によって覆われている。これにより、平坦化膜81及び保護膜92は、上断熱材62を介して断熱容器10の内壁面から離間することになる。
【0045】
断熱容器10は、中空で、当該中空部101に連通する開口部102を備える。中空部101は、反応装置本体51の周囲を囲った断熱部60が嵌合するサイズに形成されている。また、断熱容器10は、当該断熱容器10の内側に設けられた内壁部103と、内壁部103とともに隙間104を形成するように外側に設けられた外壁部105とを備えている。隙間104は外部からは閉塞されており、この隙間104の内圧は大気圧より低い気圧(例えば、100Pa以下)に保たれている。
【0046】
次に、反応装置50の製造方法について説明する。図6は、反応装置50の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護膜形成工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【0047】
まず、反応装置本体準備工程では、図6(a)に示すように反応装置本体51を準備する。他方、下断熱材準備工程では、図6(b)に示すように下断熱材61を準備する。この下断熱材準備工程が本発明に係る断熱材準備工程である。
【0048】
平坦化膜形成工程では、図6(c)に示すように下断熱材61の上面における第一領域611に対して平坦化膜81を成膜する。ここで平坦化膜81はCVDや塗布法の一種であるSOGによって形成することが可能であるが、平坦化膜81の成膜対象である下断熱材61が気孔率の高い断熱材であるために、塗布法の中でも粘性の高い液体原料を塗布する方法が望ましい。したがって、粘性の高い溶剤である1メチル−2ピロリドンに特定の複数種の硝酸塩を溶かし、塗布乾燥後、昇温して目的とする酸化膜を形成する硝酸塩熱分解法が望ましい。
【0049】
以下に硝酸塩熱分解法によるSmFeO3(あるいはGdFeO3)膜の形成方法について説明する。
まず、1メチル−2ピロリドンに、Fe(NO3)3・9H2O及びSm(NO3)3・6H2Oをモル比1:1の割合で溶かす。濃度はスピンコートする場合、1.0mol/l程度である。また、ディップ法などの場合は、0.3mol/l程度である。
【0050】
次に、スピンナーで溶剤を下断熱材61に一様に塗布する。ディップ法のなどの場合は、下断熱材61上に溶液を塗布後、下断熱材61を一定時間傾け、余分な溶液の除去工程をとってもよい。
【0051】
そして、ロータリポンプで真空に引き、溶媒である1メチル−2ピロリドンを蒸発させる。その後、下断熱材61を電気炉に入れ、特定温度まで昇温させSmFeO3を形成する。これにより、平坦化膜81としてのSmFeO3膜が下断熱材61上に成膜されることになる。次いで、反応装置本体51が搭載される領域を残すように、平坦化膜81をエッチングして除去する。
【0052】
加熱部形成工程では、平坦化膜81に対して、加熱部90及び配線91となる金属膜を成膜して、当該金属膜をエッチングすることで、図5及び図6(d)に示すように加熱部90及び配線91の配線パターンを形成する。
【0053】
保護膜形成工程では、加熱部90の上面、配線91の上面、及び平坦化膜81の上面に、保護膜92となる酸化膜を、CVDやSOG或いは上記の硝酸塩熱分解法等によって成膜することで、加熱部90及び配線91を保護膜92で覆う。次いで、反応装置本体51が搭載される領域を残すように、保護膜92をエッチングして除去することで、図6(e)に示すような保護膜92が形成される。
【0054】
上断熱材準備工程では、図6(f)に示すように、反応装置本体51の上部に対応して凹んだ凹部65を有する上断熱材62を準備する。この上断熱材準備工程が本発明に係る第二補助用断熱材準備工程である。
【0055】
配置工程では、図6(g)に示すように、反応装置本体51に対して上断熱材62及び下断熱材61の位置合わせを行う。まず、配置工程では、上断熱材62を反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置して、反応装置本体51と上断熱材62とを嵌合させる(第三配置工程)。次に、第一領域611内に反応装置本体51が配置されるように、反応装置本体51と下断熱材61とを重ね合わせる。これにより、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされるとともに、加熱部90及び配線91と反応装置本体51とが非接合な状態で対向することになる(第一配置工程)。なお、上断熱材62及び下断熱材61の幅及び奥行き(各部53,54,55の配列方向と平行な方向の長さ)がそれぞれ同一であれば、各断熱材62,61の周囲を位置合わせすることにより、反応装置本体51と加熱部90とを位置合わせすることができ、位置合わせが容易となる。
【0056】
収容工程では、図6(h)に示すように、反応装置本体51と加熱部90及び配線91とが位置合わせされた構造体(反応装置本体51、断熱部60、平坦化膜81、保護膜92、加熱部90及び配線91)を断熱容器10内に収容する。まず、収容工程では、断熱容器10を準備する(断熱容器準備工程)。その後、開口部102を介して構造体を断熱容器10内に収容する(構造体収容工程)。ここで、各断熱材61,62は、上断熱材62の高さ(各部53,54,55の配列方向に対して垂直な面内における幅方向と垂直な方向の長さ)と、下断熱材61の高さとの合計が、中空部101及び開口部102の高さとなるように形成されている。これにより、断熱部60が中空部101内に嵌合するために、反応装置本体51と下断熱材61とが非接合な状態であっても、両者が位置決めされることになる。これらの工程によって、反応装置50が組み立てられる。
【0057】
以上のように、第1の実施の形態によれば、加熱部90と反応装置本体51とが非接合な状態で対向しているので、加熱部90若しくは反応装置本体51の一方が熱膨張したとしても、非接合な状態であるがゆえに他方の変形量に影響を及ぼすことを抑制することができる。特に、加熱部90及び反応装置本体51の温度がそれぞれ上昇したときに、加熱部90と反応装置本体51との間に生じる応力の増大を抑制できる。
【0058】
また、下断熱材61上に平坦化膜81を介して加熱部90及び配線91が形成されているので、下断熱材61の表面に凹凸があったとしても、平坦化膜81によって平坦化された状態で、加熱部90及び配線91を成膜することが可能となる。これにより、加熱部90及び配線91を下断熱材61に強固に定着させることができる。
【0059】
また、加熱部90と反応装置本体51との変形量が異なっているために、熱膨張の際に両者が擦れ合うことになるが、両者間に保護膜92が介在しているので加熱部90が損傷したり、断線することを抑制することができる。
【0060】
ここで、本実施の形態の反応装置50は、第一部分53、第二部分54、第三部分55を連結する2つの連結部511の幅が、それぞれ各部53,54,55の幅よりも短く形成されているので、気化器4と改質器6と間の伝熱パスが長くなることを抑制しながら、各反応部50a間の伝熱量を抑制することができる。同様に、改質器6と発電セル8及び触媒燃焼器9と間の伝熱パスが長くなることを抑制しながら、各反応部50a間の伝熱量も抑制することができる。また、上記従来の技術では、反応装置本体51に加熱部及び配線としての発熱体を形成する場合、発熱体は、反応装置本体51を形成する金属基板上に形成していて、金属基板から外れた外側の位置に発熱体を形成することはできない。このため、上記従来の技術では、発熱体を形成する位置に関して自由度が低かった。一方、本実施の形態の反応装置50は、流路基板52上に配線を形成しているので、反応装置50の形状と関係なく配線91を形成できる。このため、配線91を形成する位置に関して自由度が高い。
特に、本実施の形態のように各連結部511の幅を短くした場合、上記従来の技術では、各連結部511上に発熱体を形成せざるを得ないため、本実施の形態のように、配線91を太く形成することができず、配線91における発熱量が増大してしまうおそれがある。一方、本実施の形態の反応装置50は、各連結部511の幅が各反応部50aの幅より短くても、下断熱材61における反応装置本体51に対向する第一領域611に加熱部90を形成し、下断熱材61における反応装置本体51からはみ出した第二領域612に配線91を形成することができるので、反応部50aに対応しない部分に配線91を形成することができる。これにより、各連結部511のように加熱する必要のない領域を加熱しないようにすることができる。さらに、連結部511の大きさとは独立して配線91を太く形成することができる。これにより配線91抵抗を小さくすることができ、ひいては、発熱効率を高めることができる。
【0061】
また、反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に上断熱材62が配置されているので、下断熱材61のみのものと比しても断熱性を高めることができる。
【0062】
さらに、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされた構造体が断熱容器10内に収容されているので、断熱部60のみで反応装置本体51を覆った場合と比してもより高い断熱性を確保することができる。
【0063】
そして、構造体収容工程の後に、構造体と断熱容器10との間に粉体状の断熱材を充填する断熱材充填工程をさらに行うと、断熱性をより高めることが可能となる。ここで、粉体状の断熱材は、例えば上述のマイクロサームを粉体状に加工したものである。
本発明における粉体化は、断熱材を充填材として使用可能であれば良く、数十ミクロン〜数百ミクロン程度の粉体であれば、特に形状に左右されない。
【0064】
また、断熱容器10の隙間104の内圧が大気圧よりも低いので、より高い断熱性を得ることができる。
【0065】
なお、下断熱材61の上面において、反応装置本体51のうち第一部分53、第二部分54及び第三部分55に対応する領域に、配線91とは別に、通電しないダミー配線を形成してもよい。このとき、ダミー配線を覆うように平坦化膜81を形成する。これにより、反応装置本体51と擦れ合うことにより、保護膜92の破れや、加熱部90及び配線91の損傷、断線などの発生を抑制することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る反応装置の製造方法における第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の部分においては同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図7は、反応装置50Aの製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【0068】
まず、反応装置本体準備工程では、図7(a)に示すように反応装置本体51を準備する。他方、下断熱材準備工程では、図7(b)に示すように下断熱材61aを準備する。この下断熱材61aは、上述した緻密な断熱材であり、例えば上述のマコール(登録商標)が使用できる。
【0069】
平坦化膜形成工程では、図7(c)に示すように下断熱材61aの上面における第一領域611に対して、上述した成膜法により平坦化膜81を成膜する。
【0070】
加熱部形成工程では、平坦化膜81に対して、加熱部90及び配線91となる金属膜を成膜して、当該金属膜をエッチングすることで、図5及び図7(d)に示すように加熱部90及び配線91の配線パターンを形成する。
【0071】
保護工程では、保護膜形成工程、補助用断熱材準備工程及び第二配置工程を施す。
保護膜形成工程では、加熱部90の上面、配線91の上面、及び平坦化膜81の上面に、保護膜92となる酸化膜を、上記の成膜法によって成膜することで、図7(e)に示すように、加熱部90及び配線91を保護膜92で覆う。
【0072】
補助用断熱材準備工程では、0.1ミクロン以下の微細孔を多数有する補助用断熱材95を準備する。補助用断熱材95は、下断熱材61aよりも熱伝導率が低い断熱材であり、例えば上述のマイクロサーム(登録商標)を使用することができる。この補助用断熱材95は、下断熱材61aよりも奥行きが短くなるように形成されたものである。
【0073】
第二配置工程では、下断熱材61aにおける加熱部90が形成された側とは反対側に補助用断熱材95を配置する。この際、補助用断熱材95における発電セル8側に位置する端面951が下断熱材61aの端面613と面一となるように、補助用断熱材95と下断熱材61aとが位置合わせされている。
【0074】
上断熱材準備工程では、図7(f)に示すように、反応装置本体51の上部に対応して凹んだ凹部65aを有する上断熱材62aを準備する。上断熱材62aにおける凹部65aは、補助用断熱材95及び下断熱材61aの端面613,951が露出するように形成されている。
【0075】
配置工程では、図7(g)に示すように、反応装置本体51に対して上断熱材62a及び下断熱材61aの位置合わせを行う。まず、配置工程では、上断熱材62aを反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置して、反応装置本体51と上断熱材62aとを嵌合させる(第三配置工程)。次に、第一領域611内に反応装置本体51が配置されるように、反応装置本体51と下断熱材61aとを重ね合わせる。これにより、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされるとともに、加熱部90及び配線91と反応装置本体51とが非接合な状態で対向することになる(第一配置工程)。
【0076】
収容工程では、図7(h)に示すように、反応装置本体51と加熱部90及び配線91とが位置合わせされた構造体(反応装置本体51、断熱部60a、補助用断熱材95、平坦化膜81、保護膜92、加熱部90及び配線91)を断熱容器10a内に収容する。まず、収容工程では、断熱容器10aを準備する(断熱容器準備工程)。断熱容器10aは、中空部101aの奥行きが反応装置本体51の奥行きよりも短くなるように形成されている。
【0077】
その後、開口部102aを介して構造体を断熱容器10a内に収容する(構造体収容工程)。これにより、断熱部60aが中空部101a内に嵌合するために、反応装置本体51と下断熱材61aとが非接合な状態であっても、両者が位置決めされることになる。
この際、補助用断熱材95及び下断熱材61aの端面613,951を断熱容器10aの内側面601に当接させることで、断熱容器10aの開口部102側における反応装置本体51及び下断熱材61aの各端部が外部に突出することになる。
図8は、収容後における断熱容器10aの上面図である。図8に示すように、下断熱材61a上に形成された加熱部90の一部としての配線91が断熱容器10aの外部に露出する。
【0078】
一方、収容工程では、開口部102aを封止する蓋97を準備する(蓋準備工程)。蓋97には、断熱容器10aから外部に突出した反応装置本体51及び下断熱材61aが貫通する貫通孔98が形成されている。そして、構造体収容工程の後に、蓋97を開口部102aに取り付け、当該開口部102aを封止する(蓋取付工程)。これにより、第2の実施の形態の反応装置50Aが組み立てられる。
【0079】
以上のように、第2の実施の形態によれば、配線91が断熱容器10aから突出しているために、他の部品との電気的な接続作業を容易にすることが可能となる。
【0080】
また、断熱容器10aの開口部102aを封止する蓋97が設けられているので、より高い断熱性を確保することができる。
【0081】
なお、第2の実施の形態では、下断熱材61aと補助用断熱材95との接合面が互いに平坦である場合を例示して説明したが、、下断熱材61の一部に凹部又は開口部を形成し、当該凹部又は開口部に対応する補助用断熱材95の接合面の一部を下断熱材61aに向けて突出させる構成であってもよい。図9,10に具体例を示す。図9は第2の実施の形態における下断熱材の変形例を示す上面図であり、図10は図9におけるX−X断面図である。この図9,10に示すように、下断熱材61bの開口部616は、反応装置本体51における連結部511に対応する箇所に形成されている。一方、補助用断熱材95bの突出部952は、開口部616内に向けて突出するように形成されている。突出部952は、その上端面が下断熱材61bの上面に面一となり、なおかつ開口部616に嵌合する形状に形成されている。
ここで、上記したように補助用断熱材95bは、下断熱材61bよりも熱伝導率が低いので、連結部511付近の熱伝導をより効果的に断熱することが可能となる。つまり、気化器4と改質器6との間の熱伝導や、改質器6と発電セル8との間の伝熱量を効果的に抑制することができる。
【0082】
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る反応装置の製造方法における第3の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、第2の実施の形態と同一の部分においては同一符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図11は、反応装置50Cの製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(d)は保護工程を示す側面図であり、(e)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(f)は配置工程を示す側面図であり、(g)は収容工程を示す側面図である。
【0084】
まず、反応装置本体準備工程では、図11(a)に示すように反応装置本体51を準備する。他方、下断熱材準備工程では、図11(b)に示すように、緻密で、なおかつ表面が平坦な下断熱材61cを準備する。ここで、図12は下断熱材61cを示す上面図である。図12から明らかなように反応装置50Cの下断熱材61cには平坦化膜が省略されている。このように、下断熱材61cとして緻密な断熱材を用いた場合、その表面の平坦性が、局所的な凹凸が数nmから十数nm以下と高いため、平坦化膜を形成しなくてもよい。
【0085】
加熱部形成工程では、下断熱材61cに対して、加熱部90及び配線91となる金属膜を成膜して、当該金属膜をエッチングすることで、図12及び図11(c)に示すように加熱部90及び配線91の配線パターンを形成する。
【0086】
保護工程では、保護膜形成工程、補助用断熱材準備工程及び第二配置工程を施す。
保護膜形成工程では、加熱部90の上面、配線91の上面及び下断熱材61cの上面に、保護膜92となる酸化膜を、上記の成膜法によって成膜することで、図11(d)に示すように加熱部90及び配線91を保護膜92で覆う。
【0087】
補助用断熱材準備工程では補助用断熱材95を準備する。
第二配置工程では、下断熱材61cにおける加熱部90が形成された側とは反対側に補助用断熱材95を配置する。この際、補助用断熱材95における発電セル8側に位置する端面951が下断熱材61cの端面613と面一となるように、補助用断熱材95と下断熱材61aとが位置合わせされている。
【0088】
上断熱材準備工程では、図11(e)に示すように、反応装置本体51の上部に対応して凹んだ凹部65aを有する上断熱材62aを準備する。
【0089】
配置工程では、図11(f)に示すように、反応装置本体51に対して上断熱材62a及び下断熱材61cの位置合わせを行う。まず、配置工程では、上断熱材62aを反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置して、反応装置本体51と上断熱材62aとを嵌合させる(第三配置工程)。次に、第一領域611内に反応装置本体51が配置されるように、反応装置本体51と下断熱材61aとを重ね合わせる。これにより、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされるとともに、加熱部90及び配線91と反応装置本体51とが非接合な状態で対向することになる(第一配置工程)。
【0090】
収容工程では、図11(g)に示すように、反応装置本体51と加熱部90及び配線91とが位置合わせされた構造体(反応装置本体51、断熱部60c、補助用断熱材95、保護膜92、加熱部90及び配線91)を断熱容器10a内に収容する。まず、収容工程では、断熱容器10aを準備する(断熱容器準備工程)。その後、開口部102aを介して構造体を断熱容器10a内に収容する(構造体収容工程)。これにより、断熱部60cが中空部101a内に嵌合するために、反応装置本体51と下断熱材61aとが非接合な状態であっても、両者が位置決めされることになる。
【0091】
また、収容工程では、開口部102aを封止する蓋97を準備し(蓋準備工程)、構造体収容工程の後に、蓋97を開口部102aに取り付け、当該開口部102aを封止する(蓋取付工程)。これにより、第3の実施の形態の反応装置50Cが組み立てられる。
【0092】
以上のように、第3の実施の形態によれば、下断熱材61cが緻密な断熱材であるので、平坦化膜81がなくとも加熱部90及び配線91を成膜でき得るほどの平坦性を確保することができる。
また、第3の実施の形態においても、下断熱材61cにおける反応装置本体51に対向する第一領域611に加熱部90が形成されて、下断熱材61における反応装置本体51からはみ出した第二領域612に配線91が形成されているので、反応部50aに対応しない部分に配線91を形成することができる。これにより、各連結部511のように加熱する必要のない領域を加熱しないようにすることができる。さらに、連結部511の大きさとは独立して配線91を太く形成することができる。これにより配線91抵抗を小さくすることができ、ひいては、発熱効率を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態の燃料電池装置を搭載した携帯用の電子機器を示すブロック図である。
【図2】図1の燃料電池装置に備わる発電セルの模式図である。
【図3】第1の実施の形態に係る反応装置の概略構成を模式的に示した側断面図である。
【図4】図3の反応装置に備わる反応装置本体の概略構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
【図5】図3の反応装置における下断熱材及び平坦化膜を示す上面図である。
【図6】第1の実施の形態における反応装置の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護膜形成工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【図7】第2の実施の形態における反応装置の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【図8】第2の実施の形態における収容後における断熱容器の上面図である。
【図9】第2の実施の形態における下断熱材の変形例を示す上面図である。
【図10】図9におけるX−X断面図である。
【図11】第3の実施の形態における反応装置の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(d)は保護工程を示す側面図であり、(e)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(f)は配置工程を示す側面図であり、(g)は収容工程を示す側面図である。
【図12】第3の実施の形態における下断熱材を示す上面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 燃料電池装置
2 燃料容器
4 気化器(反応部)
6 改質器(反応部)
8 発電セル(反応部)
9 触媒燃焼器(反応部)
10 断熱容器
50 反応装置
51 反応装置本体
52 流路基板
60 断熱部
61 下断熱材(断熱材)
62 上断熱材(第二補助用断熱材)
81 平坦化膜
90 加熱部
91 配線
92 保護膜
95 補助用断熱材
97 蓋
101 中空部
102 開口部
103 内壁部
104 隙間
105 外壁部
611 第一領域
612 第二領域
616 開口部
952 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置の製造方法及び反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の反応が生じるマイクロリアクタとしては、例えば一組の金属基板のうち少なくとも一方の金属基板に流路を形成するとともに、その内面に触媒を担持させて、当該一組の金属基板を接合することで、形成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。また、マイクロリアクタには、少なくとも一方の金属基板上に対して、絶縁膜及び発熱体に好適な材質が直接成膜されることで、絶縁膜及び発熱体が形成されたマイクロリアクタが知られている。
【特許文献1】特開2007−191333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述のマイクロリアクタでは、絶縁膜及び発熱体に好適な材質が金属基板に直接成膜されているために、マイクロリアクタの温度上昇に伴って、金属基板及び発熱体がそれぞれ熱膨張することになる。ここで、金属基板と発熱体とは熱膨張率の異なる材質で形成されているために、両者の熱膨張による変形量に差が生じてしまう。温度昇降が繰り返される使用状況においては、この変形量の差によって発熱体が破損したり劣化したりするおそれがある。これを防止すべく、金属基板と発熱体とを熱膨張率の近い素材により形成することが考えられるが、これでは材質選択の幅を狭めてしまう。
本発明の課題は、材質選択の幅を確保したまま、熱膨張に基づく反応装置の破損や劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するため、本発明に係る一の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0005】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは前記断熱材は緻密である。
【0006】
本発明に係るその他の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0007】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記緻密な断熱材よりも熱伝導率が低い補助用断熱材を準備する補助用断熱材準備工程と、前記断熱材における前記加熱部が形成された側とは反対側に前記補助用断熱材を配置する第二配置工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記断熱材は、凹部又は開口部を有し、前記補助用断熱材は、前記凹部又は前記開口部内に向けて突出する突出部を有する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記加熱部準備工程は、前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程を更に含み、前記加熱部形成工程は、前記断熱材上に前記平坦化膜を介して前記加熱部を形成する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記加熱部準備工程は、前記加熱部と前記反応装置本体との間に介在する保護膜を、前記加熱部上に形成する保護膜形成工程を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、前記加熱部形成工程は、前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、第二補助用断熱材を準備する第二補助用断熱材準備工程と、前記反応装置本体における前記加熱部と対向する側とは反対側に前記第二補助用断熱材を配置する第三配置工程とを更に含む。
【0008】
本発明に係るその他の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明に係るその他の態様によれば、
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体のうち、少なくとも前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法が提供される。
【0010】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と加熱部とが位置合わせされた構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器内に収容する構造体収容工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、
粉体状断熱材を準備する粉体状断熱材準備工程と、
前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と前記加熱部とが位置合わせされた前記構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器に収容するとともに、前記構造体と前記断熱容器との間に前記粉体状断熱材を充填する断熱材充填工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記構造体収容工程は、前記開口部から前記加熱部の一部が外部に突出するように、前記構造体を前記断熱容器内に収容する。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記開口部を封止する蓋を準備する蓋準備工程と、前記構造体収容工程の後に、前記蓋を前記開口部に取り付け、当該開口部を封止する蓋取付工程と、を更に含む。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記断熱容器は、当該断熱容器の内側に設けられた内壁部と、前記内壁部とともに隙間を形成するように外側に設けられた外壁部とを備え、前記隙間の内圧は大気圧よりも低いことを特徴とする。
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つである。
【0011】
本発明に係るその他の態様によれば、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
断熱材と、
前記断熱材上に表面が平坦となるように形成された平坦化膜と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記平坦化膜上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置が提供される。
【0012】
本発明に係るその他の態様によれば、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
緻密な断熱材と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記断熱材上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置が提供される。
【0013】
上記の反応装置の製造方法において、好ましくは、前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加熱部と反応装置本体とが非接合な状態で対向しているので、加熱部若しくは反応装置本体の一方が熱膨張したとしても、非接合な状態であるがゆえに他方の変形量に影響を及ぼすことを抑制することができる。これにより、加熱部と反応装置本体とが熱膨張率の異なる材質により形成されていたとしても、熱膨張に基づく破損や劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下に、本発明を実施するための第1の実施の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
図1は燃料電池装置1を搭載した携帯用の電子機器100を示すブロック図である。この電子機器100は、例えばノート型パーソナルコンピュータ、PDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、レジスタ及びプロジェクタ等といった携帯型の電子機器である。
【0017】
電子機器100には、電子機器本体901、DC/DCコンバータ902、二次電池903及び燃料電池装置1が備えられている。
電子機器本体901はDC/DCコンバータ902または二次電池903により供給される電力により駆動する。DC/DCコンバータ902は燃料電池装置1により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換したのちに電子機器本体901に供給する。また、DC/DCコンバータ902は燃料電池装置1により生成された電気エネルギーを二次電池903に充電し、燃料電池装置1が動作していない時に、二次電池903に蓄電された電気エネルギーを電子機器本体901に供給する。
【0018】
この燃料電池装置1には、燃料容器2、液体ポンプ31、空気ポンプ32及びマイクロリアクタとしての反応装置50等が備えられている。燃料電池装置1の燃料容器2は、例えば電子機器100に対して着脱可能に設けられており、液体ポンプ31、空気ポンプ32及び反応装置50は、例えば電子機器100の本体に内蔵されている。
【0019】
燃料容器2には、液体の原燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル)と水との混合液が貯留されている。なお、液体の原燃料と水とを別々の容器に貯留してもよい。
液体ポンプ31は、燃料容器2内の混合液を吸引して、反応装置50内の気化器4に送液するものである。
空気ポンプ32は、酸化剤としての空気を反応装置50内の発電セル8に供給するものである。
【0020】
反応装置50には、反応が生じる複数の反応部50aと、これらを収容する断熱容器10とが設けられている。複数の反応部50aとしては、気化器4、改質器6、発電セル8及び触媒燃焼器9等が挙げられる。
気化器4、改質器6、触媒燃焼器9にはそれぞれヒータ兼温度センサ4a,6a,9aが設けられている。ヒータ兼温度センサ4a,6a,9aの電気抵抗値は温度に依存するので、このヒータ兼温度センサ4a,6a,9aが気化器4、改質器6、触媒燃焼器9の温度を測定する温度センサとしても機能する。
【0021】
気化器4では、液体ポンプ31から送られた混合液をヒータ兼温度センサ4aの熱等により約110〜160℃程度に加熱し、気化させる。気化器4で気化した混合気は改質器6へ送られる。
【0022】
改質器6の内部には流路が形成され、その流路の壁面に触媒が担持されている。気化器4から改質器6に送られる混合気は、改質器6の流路を流れ、ヒータ兼温度センサ6aの熱、発電セル8の反応熱や触媒燃焼器9の熱により約300〜400℃程度に加熱されて、触媒により改質反応を起こす。原燃料と水の改質反応によって燃料としての水素、二酸化炭素及び副生成物である微量な一酸化炭素等の混合気体(改質ガス)が生成される。なお、原燃料がメタノールの場合、改質器6では主に次式(1)に示すような水蒸気改質反応が起こる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
【0023】
一酸化炭素は化学反応式(1)についで逐次的に起こる次式(2)のような反応によって微量に副生される。
H2+CO2→H2O+CO …(2)
化学反応式(1),(2)により生成した気体(改質ガス)は発電セル8に送出される。
【0024】
図2は発電セル8の模式図である。図2に示すように、発電セル8は、固体酸化物型電解質811と、固体酸化物型電解質811の両面に形成された燃料極82(アノード)及び酸素極83(カソード)と、燃料極82に接合してその接合面に流路86を形成したアノード集電極84と、酸素極83に接合してその接合面に流路87を形成したカソード集電極85とを備える。また、発電セル8は筐体88内に収容される。
【0025】
固体酸化物型電解質811には、ジルコニア系の(Zr1-xYx)O2-x/2(YSZ)、ラ
ンタンガレード系の(La1-xSrx)(Ga1-y-zMgyCoz)O3等を、燃料極82にはLa0.84Sr0.16MnO3、La(Ni,Bi)O3、(La,Sr)MnO3、In2O3
+SnO2、LaCoO3等を、酸素極83にはNi、Ni+YSZ等を、アノード集電極84及びカソード集電極85にはLaCr(Mg)O3、(La,Sr)CrO3、NiAl+Al2O3等を、それぞれ用いることができる。
【0026】
発電セル8はヒータ兼温度センサ9aや触媒燃焼器9の熱により約500〜1000℃程度に加熱され、後述する反応が起こる。
酸素極83にはカソード集電極85の流路87を介して空気が送られる。酸素極83では酸素とカソード出力電極21bより供給される電子により、次式(3)に示すように酸素イオンが生成される。
O2+4e-→2O2- …(3)
固体酸化物型電解質811は酸素イオンの透過性を有し、酸素極83で化学反応式(3)により生成された酸素イオンを透過させて燃料極82に到達させる。
【0027】
燃料極82にはアノード集電極84の流路86を介して改質器6から排出された改質ガスが送られる。酸素極83では固体酸化物型電解質811を透過した酸素イオンと改質ガスとの次式(4)、(5)のような反応が起こる。
H2+O2-→H2O+2e- …(4)
CO+O2-→CO2+2e- …(5)
化学反応式(4),(5)により放出される電子は、燃料極82、アノード出力電極21a、DC/DCコンバータ902等の外部回路を経てカソード出力電極21bより酸素極83に供給される。
【0028】
アノード集電極84及びカソード集電極85には、アノード出力電極21a、カソード出力電極21bが接続され、筐体88から引き出されている。ここで、後述するように、筐体88は例えばNi系の合金で形成され、アノード出力電極21a及びカソード出力電極21bはガラス、セラミック等の絶縁材により筐体88から絶縁されて引き出されている。図1に示すように、アノード出力電極21a及びカソード出力電極21bは、例えばDC/DCコンバータ902に接続される。
【0029】
アノード集電極84の流路86を通過した改質ガス(オフガス)には、未反応の水素も含まれている。オフガスは触媒燃焼器9に供給される。
【0030】
触媒燃焼器9には、オフガスとともに、カソード集電極85の流路87を通過した空気が供給される。触媒燃焼器9の内部には流路が形成され、その流路の壁面にPt系の触媒が担持されている。
触媒燃焼器9には、電熱材からなるヒータ兼温度センサ9aが設けられている。ヒータ兼温度センサ9aの電気抵抗値が温度に依存するので、このヒータ兼温度センサ9aが触媒燃焼器9の温度を測定する温度センサとしても機能する。
【0031】
オフガスと空気の混合気体(燃焼ガス)は触媒燃焼器9の流路を流れ、ヒータ兼温度センサ9aにより加熱される。触媒燃焼器9の流路を流れている燃焼ガスのうち水素が触媒により燃焼され、これにより燃焼熱が発生する。燃焼後の排ガスは触媒燃焼器9から断熱容器10の外部に放出される。
【0032】
この触媒燃焼器9で発生した燃焼熱は発電セル8の温度を高温(約500〜1000℃程度)に維持するのに用いられる。そして、発電セル8の熱は、改質器6、気化器4に伝導し、気化器4における蒸発、改質器6における水蒸気改質反応に用いられる。
【0033】
次に、反応装置50の具体的構成について説明する。図3は、反応装置50の概略構成を模式的に示した側断面図である。図3に示すように、反応装置50には、反応装置本体51と、反応装置本体51の周囲を囲む断熱部60と、反応装置本体51及び断熱部60とを収容する断熱容器10とが設けられている。
【0034】
図4は、反応装置本体51の概略構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。図4(a),(b)に示すように、反応装置本体51には、気化器4と、改質器6と、発電セル8と、これらが搭載される流路基板52とが設けられている。流路基板52における発電セル8及び触媒燃焼器9が搭載される第一部分53には、その内部にpt系の触媒が担持されており、この部分53が触媒燃焼器9として機能するようになっている。また、流路基板52内には各種流路71〜77が形成されている(図1参照)。
【0035】
例えば、図1に示すように、流路71は、液体ポンプ31から供給された混合液を気化器4に案内するための流路である。流路72は、気化器4で発生した混合気を改質器6に案内する流路である。流路73は、改質器6で発生した改質ガスを発電セル8に案内する流路である。流路74は、空気ポンプ32から供給された空気を案内する流路である。流路75は、発電セル8で発生したオフガスを触媒燃焼器9に案内する流路である。流路76は、発電セル8を通過した空気を触媒燃焼器9まで案内する流路である。流路77は、触媒燃焼器9で発生した排ガスを断熱容器10の外部まで案内する流路である。
【0036】
また、図4に示すように、流路基板52における第一部分53、改質器6が搭載される第二部分54及び気化器4が搭載される第三部分55は、それぞれ搭載物に対応した大きさに形成されている。第一部分53と第二部分54、第二部分54と第三部分55をそれぞれ連結する2つの連結部511は、その幅(各部53,54,55の配列方向に対して垂直な面内における一方向の長さ)が、各部53,54,55の幅方向の長さよりも、それぞれ短く形成されている。
【0037】
また、図3に示すように、断熱部60は、反応装置本体51の下方を覆う下断熱材61と、上方を覆う上断熱材62とを備える。上断熱材62及び下断熱材61としては、例えばマイクロサーム(登録商標)、マコール(登録商標)及びガラス等が挙げられる。ここで、マコール(登録商標)及びガラスはいずれも緻密な断熱材である。本明細書では、その表面の平坦性が、局所的な凹凸が数nmから十数nm以下である断熱材を、緻密な断熱材という。マイクロサーム(登録商標)の熱伝導率は、0.02W/(m・K)程度であり、マコール(登録商標)の熱伝導率は、1.67W/(m・K)程度である。また、ガラスの熱伝導率は、1.13〜0.546W/(m・K)程度である。
【0038】
下断熱材61は、本発明に係る断熱材である。下断熱材61は矩形状に形成されている。下断熱材61の上面には、その反応装置本体51が搭載される領域を少なくとも覆うように絶縁性の平坦化膜81が成膜されている(図5参照)。
【0039】
図5は下断熱材61及び平坦化膜81を示す上面図である。図中、点線部は反応装置本体51に対向する第一領域611を示し、点線部の外側の領域は反応装置本体51からはみ出た第二領域612を示す。
【0040】
図5に示すように、平坦化膜81の上面には、図5に示すように加熱部90と、加熱部90に接続された配線91とが形成されている。加熱部90及び配線91は例えばPtやW/Au/W等からなる金属膜から形成されている。加熱部90は、ヒータ兼温度センサ4a,6a,9aを成すものである。ヒータ兼温度センサ4aは、第一領域611における気化器4が搭載される第三部分55に対向する部分に対して、千鳥状のパターンに成膜されている。ヒータ兼温度センサ6aは、第一領域611における改質器6が搭載される第二部分54に対向する部分に対して、千鳥状のパターンに成膜されている。ヒータ兼温度センサ9aは、第一領域611における発電セル8及び触媒燃焼器9が搭載される第一部分53に対向する部分に対して、それぞれ千鳥状のパターンに成膜されている。つまり、いずれのヒータ兼温度センサ4a,6a,9aも、第一領域611内に成膜されている。
【0041】
一方、配線91は、ヒータ兼温度センサ4a,6a,9aのそれぞれに対して個別に接続されるように、第二領域612における平坦化膜81の上面に成膜されている。各配線91は、下断熱材61の一端部に向かって延出しており、この先端部が端子となって、例えば制御部(図示省略)等に電気的に接続されることになる。
【0042】
また、加熱部90の上面、配線91の上面、及び平坦化膜81の上面には、図3に示すように、加熱部90及び配線91を覆うように保護膜92が成膜されている。保護膜92は、絶縁性を有する酸化膜である。
【0043】
そして、下断熱材61には、第一領域611と反応装置本体51とが対向するように、反応装置本体51が位置決めされて重ねられている。ここで、加熱部90と反応装置本体51とは、位置合わせはされるもののその位置に固定されておらず、単に重ねられた状態、つまり非接合な状態となっている。
【0044】
上断熱材62には、反応装置本体51の上部形状に対応して凹んだ凹部65が形成されている。この凹部65に反応装置本体51が嵌合することで、両者が密着し断熱性が高められることになる。この嵌合により上断熱材62は、反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置される。上断熱材62は本発明に係る第二補助用断熱材である。そして、嵌合時においては、反応装置本体51における発電セル8側の先端面51aは上断熱材62によって覆われている。これにより、平坦化膜81及び保護膜92は、上断熱材62を介して断熱容器10の内壁面から離間することになる。
【0045】
断熱容器10は、中空で、当該中空部101に連通する開口部102を備える。中空部101は、反応装置本体51の周囲を囲った断熱部60が嵌合するサイズに形成されている。また、断熱容器10は、当該断熱容器10の内側に設けられた内壁部103と、内壁部103とともに隙間104を形成するように外側に設けられた外壁部105とを備えている。隙間104は外部からは閉塞されており、この隙間104の内圧は大気圧より低い気圧(例えば、100Pa以下)に保たれている。
【0046】
次に、反応装置50の製造方法について説明する。図6は、反応装置50の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護膜形成工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【0047】
まず、反応装置本体準備工程では、図6(a)に示すように反応装置本体51を準備する。他方、下断熱材準備工程では、図6(b)に示すように下断熱材61を準備する。この下断熱材準備工程が本発明に係る断熱材準備工程である。
【0048】
平坦化膜形成工程では、図6(c)に示すように下断熱材61の上面における第一領域611に対して平坦化膜81を成膜する。ここで平坦化膜81はCVDや塗布法の一種であるSOGによって形成することが可能であるが、平坦化膜81の成膜対象である下断熱材61が気孔率の高い断熱材であるために、塗布法の中でも粘性の高い液体原料を塗布する方法が望ましい。したがって、粘性の高い溶剤である1メチル−2ピロリドンに特定の複数種の硝酸塩を溶かし、塗布乾燥後、昇温して目的とする酸化膜を形成する硝酸塩熱分解法が望ましい。
【0049】
以下に硝酸塩熱分解法によるSmFeO3(あるいはGdFeO3)膜の形成方法について説明する。
まず、1メチル−2ピロリドンに、Fe(NO3)3・9H2O及びSm(NO3)3・6H2Oをモル比1:1の割合で溶かす。濃度はスピンコートする場合、1.0mol/l程度である。また、ディップ法などの場合は、0.3mol/l程度である。
【0050】
次に、スピンナーで溶剤を下断熱材61に一様に塗布する。ディップ法のなどの場合は、下断熱材61上に溶液を塗布後、下断熱材61を一定時間傾け、余分な溶液の除去工程をとってもよい。
【0051】
そして、ロータリポンプで真空に引き、溶媒である1メチル−2ピロリドンを蒸発させる。その後、下断熱材61を電気炉に入れ、特定温度まで昇温させSmFeO3を形成する。これにより、平坦化膜81としてのSmFeO3膜が下断熱材61上に成膜されることになる。次いで、反応装置本体51が搭載される領域を残すように、平坦化膜81をエッチングして除去する。
【0052】
加熱部形成工程では、平坦化膜81に対して、加熱部90及び配線91となる金属膜を成膜して、当該金属膜をエッチングすることで、図5及び図6(d)に示すように加熱部90及び配線91の配線パターンを形成する。
【0053】
保護膜形成工程では、加熱部90の上面、配線91の上面、及び平坦化膜81の上面に、保護膜92となる酸化膜を、CVDやSOG或いは上記の硝酸塩熱分解法等によって成膜することで、加熱部90及び配線91を保護膜92で覆う。次いで、反応装置本体51が搭載される領域を残すように、保護膜92をエッチングして除去することで、図6(e)に示すような保護膜92が形成される。
【0054】
上断熱材準備工程では、図6(f)に示すように、反応装置本体51の上部に対応して凹んだ凹部65を有する上断熱材62を準備する。この上断熱材準備工程が本発明に係る第二補助用断熱材準備工程である。
【0055】
配置工程では、図6(g)に示すように、反応装置本体51に対して上断熱材62及び下断熱材61の位置合わせを行う。まず、配置工程では、上断熱材62を反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置して、反応装置本体51と上断熱材62とを嵌合させる(第三配置工程)。次に、第一領域611内に反応装置本体51が配置されるように、反応装置本体51と下断熱材61とを重ね合わせる。これにより、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされるとともに、加熱部90及び配線91と反応装置本体51とが非接合な状態で対向することになる(第一配置工程)。なお、上断熱材62及び下断熱材61の幅及び奥行き(各部53,54,55の配列方向と平行な方向の長さ)がそれぞれ同一であれば、各断熱材62,61の周囲を位置合わせすることにより、反応装置本体51と加熱部90とを位置合わせすることができ、位置合わせが容易となる。
【0056】
収容工程では、図6(h)に示すように、反応装置本体51と加熱部90及び配線91とが位置合わせされた構造体(反応装置本体51、断熱部60、平坦化膜81、保護膜92、加熱部90及び配線91)を断熱容器10内に収容する。まず、収容工程では、断熱容器10を準備する(断熱容器準備工程)。その後、開口部102を介して構造体を断熱容器10内に収容する(構造体収容工程)。ここで、各断熱材61,62は、上断熱材62の高さ(各部53,54,55の配列方向に対して垂直な面内における幅方向と垂直な方向の長さ)と、下断熱材61の高さとの合計が、中空部101及び開口部102の高さとなるように形成されている。これにより、断熱部60が中空部101内に嵌合するために、反応装置本体51と下断熱材61とが非接合な状態であっても、両者が位置決めされることになる。これらの工程によって、反応装置50が組み立てられる。
【0057】
以上のように、第1の実施の形態によれば、加熱部90と反応装置本体51とが非接合な状態で対向しているので、加熱部90若しくは反応装置本体51の一方が熱膨張したとしても、非接合な状態であるがゆえに他方の変形量に影響を及ぼすことを抑制することができる。特に、加熱部90及び反応装置本体51の温度がそれぞれ上昇したときに、加熱部90と反応装置本体51との間に生じる応力の増大を抑制できる。
【0058】
また、下断熱材61上に平坦化膜81を介して加熱部90及び配線91が形成されているので、下断熱材61の表面に凹凸があったとしても、平坦化膜81によって平坦化された状態で、加熱部90及び配線91を成膜することが可能となる。これにより、加熱部90及び配線91を下断熱材61に強固に定着させることができる。
【0059】
また、加熱部90と反応装置本体51との変形量が異なっているために、熱膨張の際に両者が擦れ合うことになるが、両者間に保護膜92が介在しているので加熱部90が損傷したり、断線することを抑制することができる。
【0060】
ここで、本実施の形態の反応装置50は、第一部分53、第二部分54、第三部分55を連結する2つの連結部511の幅が、それぞれ各部53,54,55の幅よりも短く形成されているので、気化器4と改質器6と間の伝熱パスが長くなることを抑制しながら、各反応部50a間の伝熱量を抑制することができる。同様に、改質器6と発電セル8及び触媒燃焼器9と間の伝熱パスが長くなることを抑制しながら、各反応部50a間の伝熱量も抑制することができる。また、上記従来の技術では、反応装置本体51に加熱部及び配線としての発熱体を形成する場合、発熱体は、反応装置本体51を形成する金属基板上に形成していて、金属基板から外れた外側の位置に発熱体を形成することはできない。このため、上記従来の技術では、発熱体を形成する位置に関して自由度が低かった。一方、本実施の形態の反応装置50は、流路基板52上に配線を形成しているので、反応装置50の形状と関係なく配線91を形成できる。このため、配線91を形成する位置に関して自由度が高い。
特に、本実施の形態のように各連結部511の幅を短くした場合、上記従来の技術では、各連結部511上に発熱体を形成せざるを得ないため、本実施の形態のように、配線91を太く形成することができず、配線91における発熱量が増大してしまうおそれがある。一方、本実施の形態の反応装置50は、各連結部511の幅が各反応部50aの幅より短くても、下断熱材61における反応装置本体51に対向する第一領域611に加熱部90を形成し、下断熱材61における反応装置本体51からはみ出した第二領域612に配線91を形成することができるので、反応部50aに対応しない部分に配線91を形成することができる。これにより、各連結部511のように加熱する必要のない領域を加熱しないようにすることができる。さらに、連結部511の大きさとは独立して配線91を太く形成することができる。これにより配線91抵抗を小さくすることができ、ひいては、発熱効率を高めることができる。
【0061】
また、反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に上断熱材62が配置されているので、下断熱材61のみのものと比しても断熱性を高めることができる。
【0062】
さらに、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされた構造体が断熱容器10内に収容されているので、断熱部60のみで反応装置本体51を覆った場合と比してもより高い断熱性を確保することができる。
【0063】
そして、構造体収容工程の後に、構造体と断熱容器10との間に粉体状の断熱材を充填する断熱材充填工程をさらに行うと、断熱性をより高めることが可能となる。ここで、粉体状の断熱材は、例えば上述のマイクロサームを粉体状に加工したものである。
本発明における粉体化は、断熱材を充填材として使用可能であれば良く、数十ミクロン〜数百ミクロン程度の粉体であれば、特に形状に左右されない。
【0064】
また、断熱容器10の隙間104の内圧が大気圧よりも低いので、より高い断熱性を得ることができる。
【0065】
なお、下断熱材61の上面において、反応装置本体51のうち第一部分53、第二部分54及び第三部分55に対応する領域に、配線91とは別に、通電しないダミー配線を形成してもよい。このとき、ダミー配線を覆うように平坦化膜81を形成する。これにより、反応装置本体51と擦れ合うことにより、保護膜92の破れや、加熱部90及び配線91の損傷、断線などの発生を抑制することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る反応装置の製造方法における第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の部分においては同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図7は、反応装置50Aの製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【0068】
まず、反応装置本体準備工程では、図7(a)に示すように反応装置本体51を準備する。他方、下断熱材準備工程では、図7(b)に示すように下断熱材61aを準備する。この下断熱材61aは、上述した緻密な断熱材であり、例えば上述のマコール(登録商標)が使用できる。
【0069】
平坦化膜形成工程では、図7(c)に示すように下断熱材61aの上面における第一領域611に対して、上述した成膜法により平坦化膜81を成膜する。
【0070】
加熱部形成工程では、平坦化膜81に対して、加熱部90及び配線91となる金属膜を成膜して、当該金属膜をエッチングすることで、図5及び図7(d)に示すように加熱部90及び配線91の配線パターンを形成する。
【0071】
保護工程では、保護膜形成工程、補助用断熱材準備工程及び第二配置工程を施す。
保護膜形成工程では、加熱部90の上面、配線91の上面、及び平坦化膜81の上面に、保護膜92となる酸化膜を、上記の成膜法によって成膜することで、図7(e)に示すように、加熱部90及び配線91を保護膜92で覆う。
【0072】
補助用断熱材準備工程では、0.1ミクロン以下の微細孔を多数有する補助用断熱材95を準備する。補助用断熱材95は、下断熱材61aよりも熱伝導率が低い断熱材であり、例えば上述のマイクロサーム(登録商標)を使用することができる。この補助用断熱材95は、下断熱材61aよりも奥行きが短くなるように形成されたものである。
【0073】
第二配置工程では、下断熱材61aにおける加熱部90が形成された側とは反対側に補助用断熱材95を配置する。この際、補助用断熱材95における発電セル8側に位置する端面951が下断熱材61aの端面613と面一となるように、補助用断熱材95と下断熱材61aとが位置合わせされている。
【0074】
上断熱材準備工程では、図7(f)に示すように、反応装置本体51の上部に対応して凹んだ凹部65aを有する上断熱材62aを準備する。上断熱材62aにおける凹部65aは、補助用断熱材95及び下断熱材61aの端面613,951が露出するように形成されている。
【0075】
配置工程では、図7(g)に示すように、反応装置本体51に対して上断熱材62a及び下断熱材61aの位置合わせを行う。まず、配置工程では、上断熱材62aを反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置して、反応装置本体51と上断熱材62aとを嵌合させる(第三配置工程)。次に、第一領域611内に反応装置本体51が配置されるように、反応装置本体51と下断熱材61aとを重ね合わせる。これにより、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされるとともに、加熱部90及び配線91と反応装置本体51とが非接合な状態で対向することになる(第一配置工程)。
【0076】
収容工程では、図7(h)に示すように、反応装置本体51と加熱部90及び配線91とが位置合わせされた構造体(反応装置本体51、断熱部60a、補助用断熱材95、平坦化膜81、保護膜92、加熱部90及び配線91)を断熱容器10a内に収容する。まず、収容工程では、断熱容器10aを準備する(断熱容器準備工程)。断熱容器10aは、中空部101aの奥行きが反応装置本体51の奥行きよりも短くなるように形成されている。
【0077】
その後、開口部102aを介して構造体を断熱容器10a内に収容する(構造体収容工程)。これにより、断熱部60aが中空部101a内に嵌合するために、反応装置本体51と下断熱材61aとが非接合な状態であっても、両者が位置決めされることになる。
この際、補助用断熱材95及び下断熱材61aの端面613,951を断熱容器10aの内側面601に当接させることで、断熱容器10aの開口部102側における反応装置本体51及び下断熱材61aの各端部が外部に突出することになる。
図8は、収容後における断熱容器10aの上面図である。図8に示すように、下断熱材61a上に形成された加熱部90の一部としての配線91が断熱容器10aの外部に露出する。
【0078】
一方、収容工程では、開口部102aを封止する蓋97を準備する(蓋準備工程)。蓋97には、断熱容器10aから外部に突出した反応装置本体51及び下断熱材61aが貫通する貫通孔98が形成されている。そして、構造体収容工程の後に、蓋97を開口部102aに取り付け、当該開口部102aを封止する(蓋取付工程)。これにより、第2の実施の形態の反応装置50Aが組み立てられる。
【0079】
以上のように、第2の実施の形態によれば、配線91が断熱容器10aから突出しているために、他の部品との電気的な接続作業を容易にすることが可能となる。
【0080】
また、断熱容器10aの開口部102aを封止する蓋97が設けられているので、より高い断熱性を確保することができる。
【0081】
なお、第2の実施の形態では、下断熱材61aと補助用断熱材95との接合面が互いに平坦である場合を例示して説明したが、、下断熱材61の一部に凹部又は開口部を形成し、当該凹部又は開口部に対応する補助用断熱材95の接合面の一部を下断熱材61aに向けて突出させる構成であってもよい。図9,10に具体例を示す。図9は第2の実施の形態における下断熱材の変形例を示す上面図であり、図10は図9におけるX−X断面図である。この図9,10に示すように、下断熱材61bの開口部616は、反応装置本体51における連結部511に対応する箇所に形成されている。一方、補助用断熱材95bの突出部952は、開口部616内に向けて突出するように形成されている。突出部952は、その上端面が下断熱材61bの上面に面一となり、なおかつ開口部616に嵌合する形状に形成されている。
ここで、上記したように補助用断熱材95bは、下断熱材61bよりも熱伝導率が低いので、連結部511付近の熱伝導をより効果的に断熱することが可能となる。つまり、気化器4と改質器6との間の熱伝導や、改質器6と発電セル8との間の伝熱量を効果的に抑制することができる。
【0082】
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る反応装置の製造方法における第3の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、第2の実施の形態と同一の部分においては同一符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図11は、反応装置50Cの製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(d)は保護工程を示す側面図であり、(e)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(f)は配置工程を示す側面図であり、(g)は収容工程を示す側面図である。
【0084】
まず、反応装置本体準備工程では、図11(a)に示すように反応装置本体51を準備する。他方、下断熱材準備工程では、図11(b)に示すように、緻密で、なおかつ表面が平坦な下断熱材61cを準備する。ここで、図12は下断熱材61cを示す上面図である。図12から明らかなように反応装置50Cの下断熱材61cには平坦化膜が省略されている。このように、下断熱材61cとして緻密な断熱材を用いた場合、その表面の平坦性が、局所的な凹凸が数nmから十数nm以下と高いため、平坦化膜を形成しなくてもよい。
【0085】
加熱部形成工程では、下断熱材61cに対して、加熱部90及び配線91となる金属膜を成膜して、当該金属膜をエッチングすることで、図12及び図11(c)に示すように加熱部90及び配線91の配線パターンを形成する。
【0086】
保護工程では、保護膜形成工程、補助用断熱材準備工程及び第二配置工程を施す。
保護膜形成工程では、加熱部90の上面、配線91の上面及び下断熱材61cの上面に、保護膜92となる酸化膜を、上記の成膜法によって成膜することで、図11(d)に示すように加熱部90及び配線91を保護膜92で覆う。
【0087】
補助用断熱材準備工程では補助用断熱材95を準備する。
第二配置工程では、下断熱材61cにおける加熱部90が形成された側とは反対側に補助用断熱材95を配置する。この際、補助用断熱材95における発電セル8側に位置する端面951が下断熱材61cの端面613と面一となるように、補助用断熱材95と下断熱材61aとが位置合わせされている。
【0088】
上断熱材準備工程では、図11(e)に示すように、反応装置本体51の上部に対応して凹んだ凹部65aを有する上断熱材62aを準備する。
【0089】
配置工程では、図11(f)に示すように、反応装置本体51に対して上断熱材62a及び下断熱材61cの位置合わせを行う。まず、配置工程では、上断熱材62aを反応装置本体51における加熱部90と対向する側とは反対側に配置して、反応装置本体51と上断熱材62aとを嵌合させる(第三配置工程)。次に、第一領域611内に反応装置本体51が配置されるように、反応装置本体51と下断熱材61aとを重ね合わせる。これにより、反応装置本体51と加熱部90とが位置合わせされるとともに、加熱部90及び配線91と反応装置本体51とが非接合な状態で対向することになる(第一配置工程)。
【0090】
収容工程では、図11(g)に示すように、反応装置本体51と加熱部90及び配線91とが位置合わせされた構造体(反応装置本体51、断熱部60c、補助用断熱材95、保護膜92、加熱部90及び配線91)を断熱容器10a内に収容する。まず、収容工程では、断熱容器10aを準備する(断熱容器準備工程)。その後、開口部102aを介して構造体を断熱容器10a内に収容する(構造体収容工程)。これにより、断熱部60cが中空部101a内に嵌合するために、反応装置本体51と下断熱材61aとが非接合な状態であっても、両者が位置決めされることになる。
【0091】
また、収容工程では、開口部102aを封止する蓋97を準備し(蓋準備工程)、構造体収容工程の後に、蓋97を開口部102aに取り付け、当該開口部102aを封止する(蓋取付工程)。これにより、第3の実施の形態の反応装置50Cが組み立てられる。
【0092】
以上のように、第3の実施の形態によれば、下断熱材61cが緻密な断熱材であるので、平坦化膜81がなくとも加熱部90及び配線91を成膜でき得るほどの平坦性を確保することができる。
また、第3の実施の形態においても、下断熱材61cにおける反応装置本体51に対向する第一領域611に加熱部90が形成されて、下断熱材61における反応装置本体51からはみ出した第二領域612に配線91が形成されているので、反応部50aに対応しない部分に配線91を形成することができる。これにより、各連結部511のように加熱する必要のない領域を加熱しないようにすることができる。さらに、連結部511の大きさとは独立して配線91を太く形成することができる。これにより配線91抵抗を小さくすることができ、ひいては、発熱効率を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態の燃料電池装置を搭載した携帯用の電子機器を示すブロック図である。
【図2】図1の燃料電池装置に備わる発電セルの模式図である。
【図3】第1の実施の形態に係る反応装置の概略構成を模式的に示した側断面図である。
【図4】図3の反応装置に備わる反応装置本体の概略構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
【図5】図3の反応装置における下断熱材及び平坦化膜を示す上面図である。
【図6】第1の実施の形態における反応装置の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護膜形成工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【図7】第2の実施の形態における反応装置の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は平坦化膜形成工程を示す側面図であり、(d)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(e)は保護工程を示す側面図であり、(f)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(g)は配置工程を示す側面図であり、(h)は収容工程を示す側面図である。
【図8】第2の実施の形態における収容後における断熱容器の上面図である。
【図9】第2の実施の形態における下断熱材の変形例を示す上面図である。
【図10】図9におけるX−X断面図である。
【図11】第3の実施の形態における反応装置の製造方法の各工程を模式的に示す図であり、(a)は反応装置本体準備工程を示す側面図であり、(b)は下断熱材準備工程を示す側面図であり、(c)は加熱部形成工程を示す側面図であり、(d)は保護工程を示す側面図であり、(e)は上断熱材準備工程を示す側面図であり、(f)は配置工程を示す側面図であり、(g)は収容工程を示す側面図である。
【図12】第3の実施の形態における下断熱材を示す上面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 燃料電池装置
2 燃料容器
4 気化器(反応部)
6 改質器(反応部)
8 発電セル(反応部)
9 触媒燃焼器(反応部)
10 断熱容器
50 反応装置
51 反応装置本体
52 流路基板
60 断熱部
61 下断熱材(断熱材)
62 上断熱材(第二補助用断熱材)
81 平坦化膜
90 加熱部
91 配線
92 保護膜
95 補助用断熱材
97 蓋
101 中空部
102 開口部
103 内壁部
104 隙間
105 外壁部
611 第一領域
612 第二領域
616 開口部
952 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の反応装置の製造方法において、
前記断熱材は、緻密であることを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項3】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の反応装置の製造方法において、
前記緻密な断熱材よりも熱伝導率が低い補助用断熱材を準備する補助用断熱材準備工程と、
前記断熱材における前記加熱部が形成された側とは反対側に前記補助用断熱材を配置する第二配置工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の反応装置の製造方法において、
前記断熱材は、凹部又は開口部を有し、
前記補助用断熱材は、前記凹部又は前記開口部内に向けて突出する突出部を有することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記加熱部準備工程は、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程を更に含み、
前記加熱部形成工程は、前記断熱材上に前記平坦化膜を介して前記加熱部を形成することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記加熱部準備工程は、
前記加熱部と前記反応装置本体との間に介在する保護膜を、前記加熱部上に形成する保護膜形成工程を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応装置において、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
第二補助用断熱材を準備する第二補助用断熱材準備工程と、
前記反応装置本体における前記加熱部と対向する側とは反対側に前記第二補助用断熱材を配置する第三配置工程とを更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項10】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項11】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、
前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と加熱部とが位置合わせされた構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器内に収容する構造体収容工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、
粉体状断熱材を準備する粉体状断熱材準備工程と、
前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と前記加熱部とが位置合わせされた前記構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器に収容するとともに、前記構造体と前記断熱容器との間に前記粉体状断熱材を充填する断熱材充填工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記構造体収容工程は、
前記開口部から前記加熱部の一部が外部に突出するように、前記構造体を前記断熱容器内に収容することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記開口部を封止する蓋を準備する蓋準備工程と、
前記構造体収容工程の後に、前記蓋を前記開口部に取り付け、当該開口部を封止する蓋取付工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記断熱容器は、当該断熱容器の内側に設けられた内壁部と、前記内壁部とともに隙間を形成するように外側に設けられた外壁部とを備え、前記隙間の内圧は大気圧よりも低いことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つであることを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項18】
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
断熱材と、
前記断熱材上に表面が平坦となるように形成された平坦化膜と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記平坦化膜上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置。
【請求項19】
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
緻密な断熱材と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記断熱材上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の反応装置において、
前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つであることを特徴とする反応装置。
【請求項1】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の反応装置の製造方法において、
前記断熱材は、緻密であることを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項3】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の反応装置の製造方法において、
前記緻密な断熱材よりも熱伝導率が低い補助用断熱材を準備する補助用断熱材準備工程と、
前記断熱材における前記加熱部が形成された側とは反対側に前記補助用断熱材を配置する第二配置工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の反応装置の製造方法において、
前記断熱材は、凹部又は開口部を有し、
前記補助用断熱材は、前記凹部又は前記開口部内に向けて突出する突出部を有することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記加熱部準備工程は、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程を更に含み、
前記加熱部形成工程は、前記断熱材上に前記平坦化膜を介して前記加熱部を形成することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記加熱部準備工程は、
前記加熱部と前記反応装置本体との間に介在する保護膜を、前記加熱部上に形成する保護膜形成工程を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の反応装置において、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
第二補助用断熱材を準備する第二補助用断熱材準備工程と、
前記反応装置本体における前記加熱部と対向する側とは反対側に前記第二補助用断熱材を配置する第三配置工程とを更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項10】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
断熱材を準備する断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、表面が平坦な平坦化膜を形成する平坦化膜形成工程と、
前記平坦化膜上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項11】
物質の反応が生じる反応部を備えた反応装置本体を準備する反応装置本体準備工程と、
前記反応装置本体の前記反応部を加熱するための加熱部を準備する加熱部準備工程と、
前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせをする第一配置工程とを有し、
前記加熱部準備工程は、
緻密な断熱材を準備する第一断熱材準備工程と、
前記断熱材上に、通電により発熱する前記加熱部を形成する加熱部形成工程とを含み、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記加熱部形成工程は、
前記第一領域に前記加熱部を形成して、且つ前記加熱部に接続された配線を前記第二領域に形成し、
前記第一配置工程は、前記加熱部と前記反応装置本体とが非接合な状態で対向するように、前記反応装置本体と前記加熱部との位置合わせを行うことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、
前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と加熱部とが位置合わせされた構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器内に収容する構造体収容工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器を準備する断熱容器準備工程と、
粉体状断熱材を準備する粉体状断熱材準備工程と、
前記第一配置工程の後に、前記反応装置本体と前記加熱部とが位置合わせされた前記構造体を、前記開口部を介して前記断熱容器に収容するとともに、前記構造体と前記断熱容器との間に前記粉体状断熱材を充填する断熱材充填工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記構造体収容工程は、
前記開口部から前記加熱部の一部が外部に突出するように、前記構造体を前記断熱容器内に収容することを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記開口部を封止する蓋を準備する蓋準備工程と、
前記構造体収容工程の後に、前記蓋を前記開口部に取り付け、当該開口部を封止する蓋取付工程と、を更に含むことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記断熱容器は、当該断熱容器の内側に設けられた内壁部と、前記内壁部とともに隙間を形成するように外側に設けられた外壁部とを備え、前記隙間の内圧は大気圧よりも低いことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の反応装置の製造方法において、
前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つであることを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項18】
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
断熱材と、
前記断熱材上に表面が平坦となるように形成された平坦化膜と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記平坦化膜上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置。
【請求項19】
中空で、当該中空部に連通する開口部を有する断熱容器と、
物質の反応が生じる反応部を有し、前記断熱容器内に配置された反応装置本体と、
緻密な断熱材と、
前記反応装置本体に対して非接合な状態で対向するように前記断熱材上に形成され、通電により発熱する加熱部とを備え、
前記断熱材における前記加熱部が形成される面は、前記反応装置本体に対向する第一領域と前記反応装置本体からはみ出した第二領域とを有し、
前記第一領域には前記加熱部が形成されるとともに、前記第二領域には前記加熱部に接続された配線が形成されていることを特徴とする反応装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の反応装置において、
前記反応部は、液体の原燃料と水との混合液を加熱して気化する気化器、気体の原燃料と水の改質反応によって水素を含む改質ガスを生成する改質器又は水素と酸素との反応により電力を生成する発電セルのうちいずれか一つであることを特徴とする反応装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−120809(P2010−120809A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295620(P2008−295620)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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