説明

各種模様を有する食品およびその製法

【課題】表面に美しい色合・色調を有する各種模様を有する美味しい新規な食品およびその製法の提供。
【解決手段】表面に模様2、4以外の部分3の色合・色調とは異なる色合・色調を有する複数の加圧延伸模様2、4を有し、模様2、4の部分と模様以外の部分3とは同じ食品原料を含む食材から作られた各種模様を有する食品1であって、前記模様のある箇所でカットして得られる断面には、前記模様と同じ色合・色調を有するが、前記模様とは形状の異なる大小様々の複数の加圧延伸模様4を有することを特徴とするものであり、美味しく、食味・食感に優れる食品なので、スナック食品、蕎麦、饂飩などの麺類、煎餅などの菓子類、蒲鉾、竹輪などの海産物類加工食品、ハム、ソーセージなどの肉類加工食品などに適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスナック食品、蕎麦、饂飩などの麺類、菓子類、蒲鉾、竹輪、ピザなどの各種模様を有する食品およびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、模様付スナック食品を製造する方法として、菓子生地を所定の模様が刻設された型に入れて焼成する方法、菓子生地に模様ロールを押し付けて凹模様を付ける方法(特許文献1参照)、菓子生地に変色液を塗布して焼成する方法などが知られているが、特別な型や模様ロール装置が必要となったり、変色液を所定模様を得るように塗布するのは困難であるなどの問題があった。
そこで、特別な型、模様ロール装置、変色液などを用いないで、水分量を調整した澱粉質原料あるいはさらに油脂を所定量添加した澱粉質原料をエクストルーダーで加熱加圧混練した後、シート状に押し出し、これをけん引しつつ圧扁してモザイク模様付生地を得て、この生地をカットし、焼成または油揚げするモザイク模様を有するスナック食品の製造法が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−257852号公報
【特許文献2】特公平4−30262号公報
【特許文献3】特公平4−30263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このモザイク模様を有するスナック食品の製造法によると、水分量を調整した澱粉質原料を用い、エクストルーダーで約120〜140℃で加熱加圧混練し、常圧下でシート状に押し出し、水分が気化して比較的大きな多数の気泡を含むシートが得られ、このシートをけん引しつつ圧扁すると、前記気泡が分解され、しかも扁平に拡げられた状態に圧扁されるため、モザイク模様を有する生地が得られるというものであるので、モザイク模様の部分とモザイク模様以外の部分とは同一材料から形成されることになり、また模様はモザイク模様に限定され、各種の製品にそれぞれマッチさせた各種の模様・外観を呈する製品を得ることはできなかった。
【0004】
本発明の第1の目的は、表面に美しい色合・色調を有する独特の模様を有し、そしてこの模様のある箇所でカットして得られる断面にも大小様々の複数の独特の模様が現れるとともに、各種の製品にそれぞれマッチさせた模様・外観を呈する美味しい新規な食品を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのような新規な食品を容易に経済的に製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解消するための本発明の請求項1に記載の各種模様を有する食品は、表面に模様以外の部分の色合・色調とは異なる色合・色調を有する複数の加圧延伸模様を有し、前記模様の部分と模様以外の部分とは同じ食品原料を含む食材から作られた食品であって、
前記模様のある箇所でカットして得られる断面には、前記模様と同じ色合・色調を有するが、前記模様とは形状の異なる大小様々の複数の加圧延伸模様を有することを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に記載の各種模様を有する食品は、請求項1記載の食品において、前記模様が筋状模様および/または斑模様であることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3に記載の各種模様を有する食品は、請求項1あるいは請求項2記載の食品において、前記模様以外の部分が、前記食品原料を用い、必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加して形成されており、前記模様の部分が、前記食品原料に必須成分として食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水および呈味材料、香辛料を添加して形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項4に記載の各種模様を有する食品は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の食品において、スナック食品、麺類、菓子類などの穀類加工食品、海産物類加工食品、肉類加工食品から選ばれる食品であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項5は、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法である。
(1)模様以外の部分を形成するために、食品原料に必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加し、混合して粉体あるいはペーストを準備する工程。
(2)模様の部分を形成するために、前記食品原料に必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水、呈味材料、香辛料を添加し、混合し、成形して小粒子を形成する工程。
(3)工程(1)で準備した粉体あるいはペーストと工程(2)で形成した小粒子とを所定の割合でよく混合し、この混合物を加圧して加圧物を得て、得られた加圧物を必要に応じて適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、この加圧物自体あるいはカット物自体を各種模様を有する食品とする工程。
(4)あるいは工程(3)で得られた加圧物あるいはカット物を引き続きフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って各種模様を有する食品とする工程。
【0010】
本発明の請求項6は、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法である。
(1)模様以外の部分を形成するために、食品原料に必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加し、混合して粉体あるいはペーストを準備する工程。
(2)模様の部分を形成するために、前記食品原料に必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水、呈味材料、香辛料を添加し、混合し、成形して小粒子を形成する工程。
(3)工程(1)で準備した粉体あるいはペーストを用いて中間成形体を形成し、工程(2)で形成した小粒子の所定の量を前記中間成形体の表面に付着させた後、加圧して加圧物を得て、得られた加圧物を必要に応じて適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、この加圧物自体あるいはカット物自体を各種模様を有する食品とする工程。
(4)あるいは工程(3)で得られた加圧物あるいはカット物を引き続きフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って各種模様を有する食品とする工程。
【0011】
本発明の請求項7は、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法である。
(1)模様以外の部分を形成するために、食品原料に必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加し、混合して粉体あるいはペーストを準備する工程。
(2)模様の部分を形成するために、前記食品原料に必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水、呈味材料、香辛料を添加し、混合し、成形して小粒子を形成する工程。
(3)工程(1)で準備した粉体あるいはペーストを加圧して加圧物を得る際、工程(2)で形成した小粒子の所定の量を同時に供給しつつ加圧して加圧物を得て、得られた加圧物を必要に応じて適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、この加圧物自体あるいはカット物自体を各種模様を有する食品とする工程。
(4)あるいは工程(3)で得られた加圧物あるいはカット物を引き続きフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って各種模様を有する食品とする工程。
【0012】
本発明の請求項8は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法において、前記小粒子の平均粒径が前記粉体の平均粒径より大きいことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項9は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法において、前記カット物を得る際に発生したスクラップを前記工程(1)および/または工程(2)へリサイクルすることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項10は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法において、前記小粒子の水分含有率をW1、前記粉体の水分含有率をW2とした時、W1とW2とが下記式(1)で表される関係にあることを特徴とするものである。
W1≧W2 式(1)
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の各種模様を有する食品は、表面に模様以外の部分の色合・色調とは異なる色合・色調を有する複数の加圧延伸模様を有し、前記模様の部分と模様以外の部分とは同じ食品原料を含む食材から作られた食品であって、前記模様のある箇所でカットして得られる断面には、前記模様と同じ色合・色調を有するが、前記模様とは形状の異なる大小様々の複数の加圧延伸模様を有することを特徴とするものであり、
表面に美しい色合・色調を有する各種独特の加圧延伸模様を有し、しかもこの模様のある箇所でカットして得られる断面にも前記模様とは形状の異なる大小様々の複数の独特の加圧延伸模様が現れるのでアトラクテイブであるとともに、スナック食品、蕎麦、饂飩などの麺類、煎餅などの菓子類などの穀類加工食品、蒲鉾、竹輪などの海産物類加工食品、ハム、ソーセージなどの肉類加工食品などそれぞれにマッチさせた外観および風味を有し、食味・食感に優れる、という顕著な効果を奏する。
【0016】
本発明の請求項2に記載の各種模様を有する食品は、請求項1記載の食品において、前記模様が筋状模様および/または斑模様であることを特徴とするものであり、美しく、一層アトラクテイブになる、というさらなる顕著な効果を奏する。
【0017】
本発明の請求項3に記載の各種模様を有する食品は、請求項1あるいは請求項2記載の食品において、前記模様以外の部分が、前記食品原料を用い、必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加して形成されており、前記模様の部分が、前記食品原料に必須成分として食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水および呈味材料、香辛料を添加して形成されていることを特徴とするものであり、
表面およびカット面の加圧延伸模様を鮮やかにだすことができるとともに食味・食感などがさらに優れかつ美味しい、というさらなる顕著な効果を奏する。
【0018】
本発明の請求項4に記載の各種模様を有する食品は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の食品において、スナック食品、麺類、菓子類などの穀類加工食品、海産物類加工食品、肉類加工食品から選ばれる食品であることを特徴とするものであり、従来から知られている各種製品の色合・色調に近い美しい色合・色調の外観を有するとともに、食味・食感も近くかつ美味しい、というさらなる顕著な効果を奏する。
【0019】
本発明の請求項5は、前記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法に関するものであり、本発明の各種模様を有する食品を容易に経済的に製造できる、という顕著な効果を奏する。
【0020】
本発明の請求項6は、前記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法に関するものであり、本発明の各種模様を有する食品を容易に経済的に製造できる、という顕著な効果を奏する。
【0021】
本発明の請求項7は、前記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法に関するものであり、本発明の各種模様を有する食品を容易に経済的に製造できる、という顕著な効果を奏する。
【0022】
本発明の請求項8は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法において、前記小粒子の平均粒径が前記粉体の平均粒径より大きいことを特徴とするものであり、美しい加圧延伸模様を強調したり、明瞭にしたり、制御したりし易くなる、というさらなる顕著な効果を奏する。
【0023】
本発明の請求項9は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の製法において、前記カット物を得る際に発生したスクラップを前記工程(1)および/または工程(2)へリサイクルすることを特徴とするものであり、本発明の各種模様を有する食品を容易により経済的に製造できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
【0024】
本発明の請求項10は、請求項5から請求項8のいずれかに記載の製法において、前記小粒子の水分含有率をW1、前記粉体の水分含有率をW2とした時、W1とW2とが前記式(1)で表される関係にあることを特徴とするものであり、加圧の際に前記小粒子がよく伸びて美しい加圧延伸模様を容易にだせる、というさらなる顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明を図を用いて実施の形態に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の各種模様を有する食品の1例としてベーコン風味を有するポテトチップを説明する説明図である。
図2は、図1に示したベーコン風味を有するポテトチップの製造工程の1例を示す説明図である。
図1において、1は本発明のベーコン風味を有するポテトチップであり、その表面に大小様々の複数の筋がほぼ所定の方向に向かう筋状模様(加圧延伸模様)2があり、この筋状模様2は、筋状模様2以外の部分3と異なる色合・色調を有している。また、本発明のポテトチップ1の側方の表面には、筋状模様2の色合・色調と同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の斑模様(他の加圧延伸模様)4があり、この斑模様4は斑模様4以外の部分3と異なる色合・色調を有している。
そして本発明のポテトチップ1を任意の箇所(図中、矢印で示した箇所)でナイフなどでカットすると、カットして得られる断面にも筋状模様2の色合・色調と同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の斑模様(他の加圧延伸模様)4が現れ、この斑模様4は斑模様4以外の部分3とは異なる色合・色調を有している。
筋状模様2および斑模様4の部分と、筋状模様2および斑模様4以外の部分3とは後述するように同じ食品原料を含む食材から作られている。
そして本発明の食品1は、筋状模様2などを有するので全体としてベーコンの外観を有するとともに、ベーコンの風味を有し食味・食感に優れている。
【0026】
図2において本発明のベーコン風味を有するポテトチップを製造するためには工程(1)において、先ず筋状模様2や斑模様4以外の部分3を形成するために、ポテトパウダー、ベーコンパウダーなどからなる食品原料に、ブラックペッパー、オイル、水などを適宜量添加し、混合した食材からなる粉体を準備する。
【0027】
そして、工程(2)において、筋状模様2や斑模様4の部分を形成するために、ポテトパウダー、ベーコンパウダーなどからなる食品原料に対して必須成分として所定量の食用色素を添加し、さらにブラックペッパー、オイル、水などを添加し、混合機(商品名;マイコン粉ねり機、エムケー精工社製)を用いて混合した後、薄いシート(厚さ約3mm程度)に加工して、それを適宜カットして成形して前記粉体の平均粒径(約500μm)より大きい平均粒径(約3mm)を有する小粒子を形成する。
【0028】
そして、工程(3)において、工程(1)で準備した粉体と工程(2)で形成した小粒子とを所定の割合でよく混合し、この混合物を公知の加圧圧延ロール装置に供給してシート状の加圧物を形成する。
そして、得られたシート状の加圧物をポテトチップの寸法、形状にカットして筋状模様2および斑模様4を有するポテトチップ状のカット物を得る。
なお、比較のために工程(3)において、工程(1)で準備した粉体に小粒子製造に用いた食用色素、ブラックペッパー、オイル、水などを所定量添加し、よく混合し、この混合物を公知の加圧圧延ロール装置に供給してシート状の加圧物を形成したが、この加圧物には筋状模様2や斑模様4が形成されなかった。
【0029】
そして、工程(4)において、得られたポテトチップ状のカット物を引き続きフライして、筋状模様2および斑模様4を有するベーコンの外観を有するとともにベーコンの風味を有する本発明のポテトチップ1を得る。得られた本発明のポテトチップ1は引き続き図示しない包装工程へ移送される。
【0030】
フライ処理は、通常油で揚げることにより行うことができる。油の種類、フライ装置などについては特に限定されない。油の温度や時間などもカット物の重量、形、フライの方法によっても異なり特に限定されない。フライの方法には、反転式、潜行式などが挙げられる。
前記カット物を得る際に発生したスクラップを前記工程(1)および/または工程(2)へリサイクルすることができる。
【0031】
[第2の実施の形態]
図3(a)は、本発明の各種模様を有する食品の他の例としてピザ風味を有するピザを説明する平面説明図であり、(b)は、(a)に示したピザを図示した箇所でカットした断面を説明する断面説明図である。
図3(a)において、1Aは本発明のピザ風味を有するピザであり、その表面に大小様々の複数の模様(加圧延伸模様)2Aがあり、この模様2Aは、模様2A以外の部分3Aと異なる色合・色調を有している。
本発明のピザ1Aを模様2Aのある任意の箇所(図中、波線で示した箇所)でナイフなどでカットすると、図3(b)に示すようにカットして得られる断面にも模様2Aと同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の模様(他の加圧延伸模様)4Aが現れ、この模様4Aは模様4A以外の部分3Aとは異なる色合・色調を有している。
模様2Aおよび4Aの部分と模様2Aおよび4A以外の部分3Aとは後述するように同じ食品原料を含む食材から作られている。
そして本発明のピザ1Aは全体としてピザの外観を有するとともにピザの風味を有し食味・食感に優れている。
【0032】
図3に示した本発明のピザの製法の1例を次に説明する。
(1)加圧延伸模様以外の部分3Aを形成するために、強力粉250gなどの食品原料に対して、砂糖10g、ドライイースト3g、食塩5gを添加し、ボールに入れて混合して粉体(平均粒径約600μm)を準備する。
(2)この粉体にぬるま湯160mlを少しずつ入れながら混合する。
(3)ある程度まとまってきたら、手でこねる。
(4)粉体が均等に練りこまれたら、オリーブオイル20mlを添加する。
(5)全体に油がなじんだら、まな板に取り出し、折り畳みながら力を入れて練りこむ(10分程度)。
(6)生地が柔らかくねるまで練れたらボールに入れラップする。
(7)40℃位の湯せんにて約1時間発酵する。
(8)最初の2倍位にふくらんだところで1次発酵を完了する。
(9)1次発酵の済んだ生地をまな板の上に取り出し手のひらで棒状に伸ばし中間成形体を作る。
(10)加圧延伸模様の部分2A、4Aを形成するために、強力粉100gなどの食品原料に対して、必須成分としてカラメル5gを添加し、さらに砂糖4g、ドライイースト1.2g、食塩2g、ぬるま湯64g、オリーブオイル8gを添加し、混合機(商品名;マイコン粉ねり機、エムケー精工社製)を用いて混合した後、薄いシート(厚さ約3mm程度)にして、それを適宜カットして、成形して作った小粒子30g(平均粒径約3mm)を前記棒状の中間成形体の上にふりかけて付着させる。
(11)小粒子を付着した前記棒状の中間成形体をカットして2等分し、丸めた後、麺棒で加圧しながら圧延する(厚さ約3mm位に均一に加圧する)。
(12)常法により別に作成したピザソースをかけ、野菜や肉類などのトッピングをのせ、さらにチーズをのせ、こんがり焼きあげる。
なお比較のために上記(10)において、小粒子を用いず小粒子製造に用いたカラメル、砂糖、ドライイースト、食塩、ぬるま湯、オリーブオイルなどを所定量添加し、よく混合し、上記(11)においてこの混合物を前記棒状の中間成形体の上にふりかけて付着させ、カットして2等分し、丸めた後、麺棒で加圧しながら圧延したが、この加圧物には模様2Aや4Aが形成されなかった。
【0033】
[第3の実施の形態]
図4(a)は、本発明の各種模様を有する食品の他の例としてウドンを説明する平面説明図であり、(b)は、(a)に示したウドンを長さ方向にカットした断面を説明する断面説明図である。
図4(a)において、1Bは本発明のウドンであり、その表面に大小様々の複数の模様(加圧延伸模様)2Bがあり、この模様2Bは、模様2B以外の部分3Bと異なる色合・色調を有しており、そして、本発明のウドン1Bを長さ方向にナイフなどでカットすると、図4(b)に示すように、カットして得られる断面にも模様2Bと同じ色合・色調を有するが、異なる形状の大小様々の複数の模様(他の加圧延伸模様)4Bが現れ、この模様4Bは模様4B以外の部分3Bとは異なる色合・色調を有している。
模様2Bおよび4Bの部分と模様2Bおよび4B以外の部分3Bとは後述するように同じ食品原料を含む食材から作られている。
そして本発明のウドン1Bは全体としてウドンの外観を有し、食すると美味しいウドンである。
【0034】
図4に示した本発明のウドンの製法の1例を次に説明する。
(1)食塩15gをあらかじめ水130gに溶かしておく。
(2)大きめのボールに、加圧延伸模様以外の部分3Bを形成するために、食品原料としての小麦粉(中力粉)300gを入れ、(1)の食塩水を注ぎスプーンで切るように混合する。
(3)小麦粉と食塩水が均一に混ざり、ぼそぼその状態になったら、手に体重を載せて押さえ付けながら小麦粉を塊にする。
(4)次いでポリ袋に包み、新聞紙をのせ、上から足で踏み、平べったくのばす。
(5)広がったら、たたみこんでまた踏み、全体がしっとりするまで10〜15分繰り返す。
(6)ふとんや毛布で包み、寝かす(夏30分以上、冬2時間以上)。
(7)寝かした生地を踏んで平べったく伸ばして中間成形体を作る。
そして、加圧延伸模様の部分2B、4Bを形成するために、食品原料としての中力粉100gに対して、必須成分としてカラメル5gを添加し、さらに水45g、食塩5gを添加して、混合機(商品名;マイコン粉ねり機、エムケー精工社製)を用いて混合した後、薄いシート(厚さ約3mm程度)にして、それを適宜カットして、成形して小粒子(平均粒径約5mm)を作る。
この小粒子40gを前記中間成形体の上にふりかけて付着させる。
(8)小粒子を付着した前記中間成形体を伸ばし棒で加圧しながら圧延し、或る程度広がったら伸ばし棒に巻き付けてながら伸ばし厚さ約3mm位に均一に加圧する。
(9)中力粉をふりかけた後、おりたたみ適宜小麦粉をかけながら4〜5mmピッチで切る。
(10)切って得られたウドンは、まな板の上でバラバラにほぐし、ウドンの切り口同士がくっつかないようにする。
(11)あらかじめわかしておいたお湯で20〜25分ゆで、ゆであがったら、ボールに移し、冷えるまで水洗いする。 食す際は、市販のウドンつゆを用意し、食する。
なお比較のために上記(7)において、小粒子を用いず小粒子製造に用いたカラメル、食塩、水などを所定量添加し、よく混合し、この混合物を前記中間成形体の上にふりかけて付着させた以外は上記と同様にしてウドンを作ったが、このウドンには模様2Bや4Bが形成されなかった。
【0035】
[第4の実施の形態]
図5(a)は、本発明の各種模様を有する食品の他の例としておもちを説明する平面説明図であり、(b)は、(a)に示したおもちを長さ方向にカットした断面を説明する断面説明図である。
図5(a)において、1Cは本発明のおもちであり、その表面に大小様々の複数の模様(加圧延伸模様)2Cがあり、この模様2Cは、模様2C以外の部分3Cと異なる色合・色調を有しており、そして、本発明のおもち1Cを模様2Cのある任意の箇所(図中、波線で示した箇所)でナイフなどでカットすると、図5(b)に示すように、カットして得られる断面にも模様2Cと同じ色合・色調を有するが、異なる形状の大小様々の複数の模様(他の加圧延伸模様)4Cが現れ、模様4Cは模様4C以外の部分3Cとは異なる色合・色調を有している。
模様2Cおよび4Cの部分と模様2Cおよび4C以外の部分3Cとは後述するように同じ食品原料を含む食材から作られている。
そして本発明のおもち1Cは全体としておもちの外観を有し、食すると美味しいおもちである。
【0036】
図5に示した本発明のおもちは例えば次のようにして作る。
加圧延伸模様2C、4C以外の部分3Cを形成するために、食品原料として糯米3合を用いて常法によりつきたてのもちの塊(中間成形体)を作る。
一方、加圧延伸模様2C、4Cの部分を形成するために、食品原料としての糯米に対して、必須成分として赤色食用色素を必要量添加し、さらに水、食塩を適宜配合し混合して成形して小粒子(厚さ約3mm位、5mm程度の角型)を作る。
次に前記つきたてのもちの塊(約500g)の上に、この小粒子を約100gふりかけて付着させた後、折りたたんで小粒子を内部に混入させた中間成形体を作る。そしてこの中間成形体をのし棒で加圧しながら加圧して伸ばし、厚さ約5mm位ののしもちにする。のしもちにしたものを適宜の大きさに切り、本発明のおもち1Cを得る。
なお比較のために、上記の小粒子を用いず小粒子製造に用いた赤色食用色素、水、食塩などを所定量添加し、よく混合し、この混合物を前記中間成形体の上にふりかけて付着させた以外は上記と同様にしておもちを作ったが、このおもちには模様2Cや4Cが形成されなかった。
【0037】
[第5の実施態様]
図6は、本発明の各種模様を有する食品の他の例としてかまぼこ風食品を説明する説明図である。
図6において1Dは本発明のかまぼこ風食品であり、その表面に大小様々の複数の筋がほぼ所定の方向に向かう筋状模様(加圧延伸模様)2Dがあり、この筋状模様2Dは、筋状模様2D以外の部分3Dと異なる色合・色調を有している。また、本発明のかまぼこ風食品1Dの側方の表面には、筋状模様2Dの色合・色調と同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の斑模様(他の加圧延伸模様)4Dがあり、この斑模様4Dは斑模様4D以外の部分3Dと異なる色合・色調を有している。
そして本発明のかまぼこ風食品1Dを任意の箇所(図中、矢印で示した箇所)でナイフなどでカットすると、カットして得られる断面にも筋状模様2Dの色合・色調と同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の斑模様(他の加圧延伸模様)4Dが現れ、この斑模様4Dは斑模様4D以外の部分3Dとは異なる色合・色調を有している。
筋状模様2Dおよび斑模様4Dの部分と、筋状模様2Dおよび斑模様4D以外の部分3Dとは後述するように同じ食品原料を含む食材から作られている。
そして本発明のかまぼこ風食品食品1Dは、筋状模様2Dなどを有する全体としてかまぼこの外観を有するとともに、かまぼこの風味を有し食味・食感に優れている。
【0038】
例えば下記工程(1)〜(4)により本発明の各種模様を有するかまぼこ風食品を作ることができる。
工程(1)筋状模様2Dおよび斑模様4D以外の部分3Dを形成するために、食品原料としてスケトウダラの加塩すり身100質量部に対して、食塩1.5質量部、澱粉5質量部、砂糖3質量部、適量の水を添加して、攪拌機にて塩摺りを行って混合して原料ペーストを形成する。
工程(2)筋状模様2Dおよび斑模様4Dの部分を形成するために、食品原料としてスケトウダラの加塩すり身100質量部に対して、必須成分として所定量の食用色素を添加し、さらに食塩1.5質量部、澱粉5質量部、砂糖3質量部、所定量の水、調味料などを添加して、攪拌機にて塩摺りを行って混合した後、シート(厚さ約25mm、幅約600mm)に成形し、それを適宜カットして約25mm角の小粒子を形成する。
工程(3)工程(1)で準備したペーストと工程(2)で形成した小粒子とを所定の割合でよく混合し、この混合物を公知の加圧ロール装置に供給してシート状の加圧物(厚さ約25mm、幅約600mm)を形成した。得られたシート状の加圧物を、一辺が約25mmの立方体状にカットしてカット物を得た。
そして工程(4)において、得られたカット物を引き続き蒸煮機により蒸煮加熱処理(95℃、25〜30分程度)して固化し、本発明の各種模様を有するかまぼこ風食品を得た。
なお比較のために、上記の小粒子を用いず小粒子製造に用いた食用色素、食塩、澱粉、砂糖、水、調味料などを所定量添加し、よく混合し、この混合物を用いた以外は上記と同様にしてシート状の加圧物を作ったが、この加圧物には模様2Dや4Dが形成されなかった。
【0039】
[第6の実施態様]
図7は、本発明の各種模様を有する食品の他の例としてプレスハム風食品を説明する説明図である。
図7において、1Eは本発明のプレスハム風食品であり、その表面に大小様々の複数の筋がほぼ所定の方向に向かう筋状模様(加圧延伸模様)2Eがあり、この筋状模様2Eは、筋状模様2E以外の部分3Eと異なる色合・色調を有している。また、本発明のプレスハム風食品1Eの側方の表面には、筋状模様2Eの色合・色調と同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の斑模様(他の加圧延伸模様)4Eがあり、この斑模様4Eは斑模様4E以外の部分3Eと異なる色合・色調を有している。
そして本発明のプレスハム風食品1Eを任意の箇所(図中、矢印で示した箇所)でナイフなどでカットすると、カットして得られる断面にも筋状模様2Eの色合・色調と同じ色合・色調を有するが形状の異なる大小様々の複数の斑模様(他の加圧延伸模様)4Eが現れ、この斑模様4Eは斑模様4E以外の部分3Eとは異なる色合・色調を有している。
筋状模様2Eおよび斑模様4Eの部分と、筋状模様2Eおよび斑模様4E以外の部分3Eとは後述するように同じ食品原料を含む食材から作られている。
そして本発明のプレスハム風食品食品1Eは、筋状模様2Eなどを有する全体としてプレスハムの外観を有するとともに、プレスハムの風味を有し食味・食感に優れている。
【0040】
例えば下記工程(1)〜(4)により本発明の各種模様を有するプレスハム風食品を作ることができる。
工程(1)筋状模様2Eおよび斑模様4E以外の部分3Eを形成するために、食品原料として血絞り後の原料肉100質量部に対して、こしょう0.3質量部、生姜0.5質量部、タマネギ0.3質量部、砂糖1.0質量部を添加して、混和機にて混合して原料ペーストを形成する。
工程(2)筋状模様2Eおよび斑模様4Eの部分を形成するために、食品原料として血絞り後の原料肉100質量部に対して、必須成分として所定量の食用色素を添加し、さらにこしょう0.3質量部、生姜0.5質量部、タマネギ0.3質量部、砂糖1.0質量部、所定量の水を添加し、混和機にて混合した後、シート(厚さ約10mm、幅約60mm)に成形し、それを適宜カットして約10mm角の小粒子を形成する。
工程(3)工程(1)で準備したペーストと工程(2)で形成した小粒子とを所定の割合でよく混合し、この混合物を公知の圧搾空気式填充機を用いて加圧、圧縮しながらセロハンケーシングに詰める。
工程(4)填充後、燻煙室で50〜60℃、1時間乾燥し、次いで60℃位の温燻高温法で燻煙し、燻煙後、70〜75℃で約2時間煮沸した。煮沸後、冷水中にいれて冷却し、本発明の各種模様を有するプレスハム風食品を得る。
なお比較のために、上記の小粒子を用いず小粒子製造に用いた食用色素、こしょう、生姜、タマネギ、砂糖、水などを所定量添加し、よく混合し、この混合物を用いた以外は上記と同様にして圧搾空気式填充機を用いて加圧、圧縮しながらセロハンケーシングに詰めたが、この加圧物には模様2Eや4Eが形成されなかった。
【0041】
本発明で使用する食品原料は、スナック食品、蕎麦、饂飩などの麺類、煎餅などの菓子類などの穀類加工食品、蒲鉾、竹輪などの海産物類加工食品、ハム、ソーセージなどの肉類加工食品などを製造するための主たる食品原料である。
具体的には、例えば米、コーン、小麦、大麦、裸麦、えん麦などの穀物、馬鈴薯、甘藷、タピオカ、サゴ、コンニャクなどな芋類、肉類、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、豆類、酵母、スリ身、カゼイン、マリンビーフ、オキアミ、貝類、卵類、野菜類、海藻類などを例示することができる。これらは単独で使用することも、2種以上を配合して使用することもできる。2種以上を配合して使用することにより香り、味などに変化をつけることができる。
【0042】
本発明で使用する食用色素は、天然系色素、合成系色素、これらの2種以上の混合物などを挙げることができる。
天然系色素としては、具体的には、例えば、アカキャベツ色素(紫赤色)、アカダイコン色素(赤橙〜赤紫色)、ムラサキイモ色素(紫赤色)、ビートレッド(赤色)、アルカネット色素(赤〜赤紫色)、コチニール色素(黄橙〜紫色)、ラック色素(赤橙〜紫色)、ベニバナ赤色素(赤色)、アカネ色素(黄橙〜赤紫色)、クチナシ赤色素(赤色)、ベニコウジ色素(赤色)、トウガラシ色素(黄〜赤橙色)、アナトー色素(黄〜赤橙色)、クチナシ黄色素(黄色)、ベニバナ黄色素(黄色)、ウコン色素(黄色)、マリーゴールド色素(黄色)、カラメル色素(暗褐〜黒色)、コウリャン色素(赤褐〜暗褐色)、タマネギ色素(褐色)、シアナット色素(褐色)、ペカンナッツ色素(褐色)、チコリ色素(赤褐〜褐色)、カカオ色素(赤褐〜褐色)、クロロフィル(緑色)、クチナシ青色素(青色)、スピルリナ色素(青色)などを挙げることができる。
【0043】
合成系色素としては、具体的には、例えば、赤色1号、赤色2号、赤色3号、赤色4号、赤色5号、赤色101号、赤色102号、赤色103号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、だいだい色1号、だいだい色2号、黄色1号、黄色2号、黄色3号、黄色4号、黄色5号、緑色1号、緑色2号、緑色3号、青色1号、青色2号、紫色1号、食用混合色素としては混合チョコレート色、混合メロン色B、混合タマゴ色No.3、混合アカミン色No.4、混合ウイスキー色Bなどを挙げることができる。
【0044】
本発明においては、有色食品を用いることができる。
本発明で使用する有色食品は、有色天然食品でもよく、また前記の食用色素や香料などを添加して作られた有色食品であってもよく、その食品自体が特有の風味および色を呈するものである。
本発明においては、スナック食品、蕎麦、饂飩などの麺類、煎餅などの菓子類などの穀類加工食品、蒲鉾、竹輪などの海産物類加工食品、ハム、ソーセージなどの肉類加工食品などの製品それぞれに対応する外観および風味をだすために、前記各種の食品原料を用いるとともに、有色食品を添加することが好ましい。
有色食品を食品原料に適宜の割合で配合して用いることにより本発明の各種模様を有する食品に特有の色合・色調を付与するとともに、その有色食品特有の風味も付与することができる。
【0045】
本発明で使用する呈味材料は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、コーヒー、ココア、ナッツ類、乳製品、果汁、調味料(グルタミン酸ソーダ、コハク酸、コハク酸ソーダ、イノシン酸ソーダなど)、塩などを挙げることができる。
【0046】
本発明で使用する香辛料は、天然香辛料、液体香辛料、粉末香辛料などあるいはこれらの2種以上の混合物などいずれでもよく、これらを適宜配合して、カレー、ウースターソース、トマチケチャップ、ブイヨン、コンソメスープ、ポークソーセージ、ボロニアソーセージ、ウインナーソーセージ、ピックルス、ジンジャーエール、ポンドケーキスパイス、一般ケーキ用香料などを調合できる。
粉末香辛料の原料の具体例としては、ブラックペパー、ホワイトペパー、ジンジャー、ナツメグ、メース、シナモン、コリアンダー、クミン、カルダモン、レッドペパー、マスタード、オールスパイス、クローブ、バジル、タイム、マジョラム、セージ、ターメリック、フェンネル、キャラウェイ、デイル、ガーリック、オニオン、サフラン、チリパウダーなどが挙げられる。
その他、かつお節、昆布、茶葉、抹茶、乾燥野菜類、センナ、センブリ、オウレン、オウバク、ゲンチアナ、ショウキョウ、ダイオウ、マオウ、シャクヤクなどの粉体またはこれらの混合物を配合することもできる。
【0047】
これらの原料には、必要に応じて、菜種、大豆、コーン、パーム、ヤシ油、ラード、ヘッド、バター、ショートニング、マーガリンなどの油脂類、砂糖、麦芽糖などの糖類、各種安定剤、乳化剤、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガムなどのガム質、増粘多糖類、香料などを色合・色調、風味などを損なわない範囲で配合することができる。
【0048】
これらの原料の形態は、固体、液体、ペーストやゲルやゼリー状物、あるいはこれらの2種以上の混合物でもよく特に限定されない。中でも、粉体およびペーストは好ましく使用できる。粉体およびペーストに加工する方法は公知の方法を用いることができ、例えば、スタンプミル、ピンミル、振動ミル、ロールミル粉砕法、凍結後粉砕法などが挙げられる。
【0049】
これらの原料の配合割合は、スナック食品、麺類、菓子類、海産物類加工食品、肉類加工食品など食品の種類によって異なるので限定されない。それぞれの製品にマッチした色合・色調、風味、食味・食感が得られるように選択して配合する。
【0050】
本発明の工程(1)において、例えば、加圧延伸模様以外の部分を形成するために、前記食品原料を用い、これに水および呈味材料、香辛料を適宜配合して、混合して粉体あるいはペーストを準備する。
本発明において、粉体の平均粒径は、具体的には例えば、約1mm未満の例を挙げることができる。さらに、平均粒径約500μm以下の粉体とすることが、美しい加圧延伸模様を強調したり明瞭にしたりできるので好ましい。粉体の水分含有率W2が15〜60質量%、好ましくは25〜50質量%であることが美しい加圧延伸模様をだすために好ましい。
本発明において、ペーストの粘度特性は特に限定されないが、攪拌するなど剪断力が作用し剪断速度が大きくなると流動性を示すが、攪拌などを停止し剪断速度がなくなるか小さくなると流動性を示さなくなってゲル状になる高いチキソトロピー性を示すペーストが好ましく使用できる。
【0051】
そして、工程(2)において、本発明の食品に美しい各種加圧延伸模様を形成するために、工程(1)で準備した粉体あるいはペーストと同じ食品原料を含む食材に対して、必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに呈味材料、香辛料などを添加して、混合した後、公知の造粒機などを使用して成形して小粒子を形成する。造粒の条件としては、常温であるいは適宜加熱しつつ、常圧下、あついは適宜の加圧下(例えば約1〜1.5気圧程度)に適宜の剪断力を与えながら成形することが好ましい。
【0052】
本発明において、小粒子の形状は特に限定されない。しかし小粒子の平均粒径は、前記粉体の平均粒径より大きくすることが好ましく、前記粉体の平均粒径より大きい小粒子を使用することにより、美しい各種加圧延伸模様を強調したり明瞭にしたりできる。
小粒子の平均粒径は、具体的には例えば、約1mm以上、80mm以下、好ましくは1mm以上、40mm以下、さらに好ましくは5mm以上、20mm以下の例を挙げることができる。
小粒子の平均粒径が前記粉体の平均粒径より小さい小粒子を用いても加圧延伸模様が形成されるが、得られた加圧延伸模様が小さくなり過ぎたり、細かくなり過ぎたりして、美しい加圧延伸模様にならない恐れがある。
【0053】
本発明において、小粒子の水分含有率は特に限定されないが、小粒子および粉体中に含まれる水分含有量が好適な範囲内にあることが好ましい。すなわち、小粒子の水分含有率をW1、粉体の水分含有率をW2とした時、W1≧W2[式(1)]で表される範囲内にする。小粒子の水分含有率W1が粉体の水分含有率W2と同じでも加圧の際に伸びて加圧延伸模様をだせる。W1がW2と同じであると取り扱い性がよい利点がある。一方、W1がW2より大きければ大きいほど加圧の際によりよく伸びて加圧延伸模様をだせるので、小粒子をどの程度伸ばしたいかによりW1をW2よりどの程度大きくするかを決めるのが好ましい。
具体的には小粒子の水分含有率W1は60〜150質量%、好ましくは80〜120質量%であることが美しい加圧延伸模様をだすために好ましい。粉体の水分含有率W2は具体的には前記のように15〜60質量%、好ましくは25〜50質量%である。
【0054】
本発明において、小粒子を作る際、あまり高い圧力下で過剰の剪断力を与えると小粒子が強固になって、小粒子を加圧して各種加圧延伸模様を形成する際、小粒子が加圧され難く、よく伸びなくなり、その結果、周囲の加圧延伸模様以外の部分に小粒子が伸びて広がり難くなり、自然な美しい中間色合・色調の部分を含む加圧延伸模様が得られなくなる。
【0055】
本発明において、前記粉体やペーストあるいは粉体やペーストから作られる中間成形体と小粒子との配合割合は特に限定されない。加圧延伸模様を数多くだしたい場合は小粒子の配合割合を多くし、加圧延伸模様を数少なくしたい場合は小粒子の配合割合を少なくし、中間的な場合は例えば1:1(質量比)で混合する。
中間成形体や加圧物の幅、厚さ、長さなどは食品により異なるので特に限定されず、それぞれの製品にマッチした幅、厚さ、長さなどにする。
【0056】
常温であるいは適宜加熱しつつ、適宜の圧下力で加圧すると、粉体やペーストや中間成形体が容易に加圧されて加圧延伸模様以外の部分を形成すると同時に、小粒子が加圧されて加圧延伸模様以外の部分内で周囲に広がって自然な美しい中間色合・色調の部分を含む加圧延伸模様が得られる。
【0057】
得られた加圧物をそれぞれの製品にマッチした適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、製品によってはこの加圧物自体あるいはカット物自体を本発明の食品とすることができる。
しかし、得られた加圧物あるいはカット物を引き続きそれぞれの製品にマッチした方法で、例えばフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って本発明の食品を得ることができる。
【0058】
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の各種模様を有する食品は、表面に美しい色合・色調を有する各種独特の加圧延伸模様を有し、しかもこの模様のある箇所でカットして得られる断面にも前記模様とは形状の異なる大小様々の複数の独特の加圧延伸模様が現れるのでアトラクテイブであるとともに、スナック食品、蕎麦、饂飩などの麺類、煎餅などの菓子類などの穀類加工食品、蒲鉾、竹輪などの海産物類加工食品、ハム、ソーセージなどの肉類加工食品などそれぞれにマッチさせた外観および風味を有し、食味・食感に優れる、という顕著な効果を奏するものであり、また本発明の製法により、本発明の食品を容易に経済的に製造できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の食品の1例としてベーコン風味を有するポテトチップを説明する説明図である。
【図2】図1に示したベーコン風味を有するポテトチップの製造工程の1例を示す説明図である。
【図3】(a)は本発明の各種模様を有する食品の他の例としてピザ風味を有するピザを説明する平面説明図であり、(b)はその断面説明図である。
【図4】(a)は本発明の各種模様を有する食品の他の例としてウドンを説明する平面説明図であり、(b)はその断面説明図である。
【図5】(a)は本発明の各種模様を有する食品の他の例としておもちを説明する平面説明図であり、(b)はその断面説明図である。
【図6】本発明の各種模様を有する食品の他の例としてかまぼこ風食品を説明する説明図である。
【図7】本発明の各種模様を有する食品の他の例としてプレスハム風食品を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 本発明のベーコン風味を有するポテトチップ
1A 本発明のピザ風味を有するピザ
1B 本発明のウドン
1C 本発明のおもち
1D 本発明のまぼこ風食品
1E 本発明のプレスハム風食品
2、2A、2B、2C、2D、2E、4、4A、4B、4C、4D、4E 模様(加圧延伸模様)
3、3A、3B、3C、3D、3E 模様(加圧延伸模様)以外の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に模様以外の部分の色合・色調とは異なる色合・色調を有する複数の加圧延伸模様を有し、前記模様の部分と模様以外の部分とは同じ食品原料を含む食材から作られた食品であって、
前記模様のある箇所でカットして得られる断面には、前記模様と同じ色合・色調を有するが、前記模様とは形状の異なる大小様々の複数の加圧延伸模様を有することを特徴とする各種模様を有する食品。
【請求項2】
前記模様が筋状模様および/または斑模様であることを特徴とする請求項1記載の食品。
【請求項3】
前記模様以外の部分が、前記食品原料を用い、必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加して形成されており、前記模様の部分が、前記食品原料に必須成分として食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水および呈味材料、香辛料を添加して形成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の食品。
【請求項4】
スナック食品、麺類、菓子類などの穀類加工食品、海産物類加工食品、肉類加工食品から選ばれる食品であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の食品。
【請求項5】
下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法。
(1)模様以外の部分を形成するために、食品原料に必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加し、混合して粉体あるいはペーストを準備する工程。
(2)模様の部分を形成するために、前記食品原料に必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水、呈味材料、香辛料を添加し、混合し、成形して小粒子を形成する工程。
(3)工程(1)で準備した粉体あるいはペーストと工程(2)で形成した小粒子とを所定の割合でよく混合し、この混合物を加圧して加圧物を得て、得られた加圧物を必要に応じて適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、この加圧物自体あるいはカット物自体を各種模様を有する食品とする工程。
(4)あるいは工程(3)で得られた加圧物あるいはカット物を引き続きフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って各種模様を有する食品とする工程。
【請求項6】
下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法。
(1)模様以外の部分を形成するために、食品原料に必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加し、混合して粉体あるいはペーストを準備する工程。
(2)模様の部分を形成するために、前記食品原料に必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水、呈味材料、香辛料を添加し、混合し、成形して小粒子を形成する工程。
(3)工程(1)で準備した粉体あるいはペーストを用いて中間成形体を形成し、工程(2)で形成した小粒子の所定の量を前記中間成形体の表面に付着させた後、加圧して加圧物を得て、得られた加圧物を必要に応じて適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、この加圧物自体あるいはカット物自体を各種模様を有する食品とする工程。
(4)あるいは工程(3)で得られた加圧物あるいはカット物を引き続きフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って各種模様を有する食品とする工程。
【請求項7】
下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の各種模様を有する食品の製法。
(1)模様以外の部分を形成するために、食品原料に必要に応じて水および呈味材料、香辛料を添加し、混合して粉体あるいはペーストを準備する工程。
(2)模様の部分を形成するために、前記食品原料に必須成分として所定量の食用色素および/または有色食品を添加し、必要に応じてさらに水、呈味材料、香辛料を添加し、混合し、成形して小粒子を形成する工程。
(3)工程(1)で準備した粉体あるいはペーストを加圧して加圧物を得る際、工程(2)で形成した小粒子の所定の量を同時に供給しつつ加圧して加圧物を得て、得られた加圧物を必要に応じて適宜の寸法、形状にカットしてカット物とし、この加圧物自体あるいはカット物自体を各種模様を有する食品とする工程。
(4)あるいは工程(3)で得られた加圧物あるいはカット物を引き続きフライしたり、温燻したり、蒸煮したり、焼成するなどの熱処理を行って各種模様を有する食品とする工程。
【請求項8】
前記小粒子の平均粒径が前記粉体の平均粒径より大きいことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法。
【請求項9】
前記カット物を得る際に発生したスクラップを前記工程(1)および/または工程(2)へリサイクルすることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法。
【請求項10】
前記小粒子の水分含有率をW1、前記粉体の水分含有率をW2とした時、W1とW2とが下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の食品の製法。
W1≧W2 式(1)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−101710(P2006−101710A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289154(P2004−289154)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000116297)ヱスビー食品株式会社 (40)
【Fターム(参考)】