説明

吸気制御装置

【課題】吸気通路の上流側と下流側との圧力状態に関係なく、開閉動作の応答性を向上することができる吸気制御装置を提供する。
【解決手段】空気を導入する吸気通路内に固定される固定部2と、筒状に形成され、固定部2と空気の流れ方向に対向し、該固定部2に対して接近離間可能に設けられる可動部3と、吸気通路の壁面と固定部2の外面との間に設けられて吸気通路の上流側又は下流側の一方に連通する外側通路4と、可動部3の内側に設けられて吸気通路の上流側又は下流側の他方に連通する内側通路5とを備え、外側通路4及び内側通路5は、それぞれ通路断面が対称形であり、可動部3は、外側通路4と内側通路5とを連通及び遮断可能であると共に、遮断した状態で外側通路4側及び内側通路5側から作用する圧力方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に用いられる吸気制御装置に関し、特に、燃焼室に空気を導入する吸気通路に設けられる吸気制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に車載用エンジン等の内燃機関は、複数のピストンが往復移動可能に設けられたシリンダブロックと、シリンダブロックの上端に取り付けられたシリンダヘッドとを備える。また、各ピストンの上端とシリンダヘッドとの間にはそれぞれ燃焼室が設けられ、その燃焼室には吸気通路及び排気通路が接続され、さらに、シリンダヘッドには吸気バルブ及び排気バルブが設けられる。このような従来の内燃機関では、各燃焼室に連通する複数の吸気通路毎に該吸気通路を開閉する弁を有する吸気制御装置を備えるものがあり、これにより、例えば、吸気行程前半の間、前記弁を閉弁しておき、シリンダ内に負圧を発生させ、その後この弁を速やかに開弁させることで、吸入空気の流動を一気に開始させ、慣性過給効果により通常より大きな正圧を発生させ、燃焼室への空気の充填効率を向上させて、内燃機関の出力向上を図ったものがある。
【0003】
上述のような吸気制御装置が有する前記弁としては、空気の流れる方向に対して交差する弁体が空気の流れる方向に移動し、弁座と当接することで通路の開閉を行うポペット型の弁や回転軸に回転自在に軸支される弁体が回転することで通路の開閉を行うバタフライ型の弁などが一般に用いられている。
【0004】
また、他の構造の弁を有する吸気制御装置として、例えば、特許文献1に記載の付加コントロールバルブ装置は、外面と吸入路の壁部との間に環状の貫通流路を形成する浮遊体と、吸入路の軸方向に移動可能であるバルブ部材と、バルブ部材を開位置に保持するために設けられた開路ソレノイドと、貫通流路を閉じる閉位置にバルブ部材を保持するために設けられた閉路ソレノイドとを備え、前記バルブ部材が筒状壁部と、筒状壁部に連接され貫通流路を閉鎖可能な環状ディスクを有し、前記筒状壁部に開孔部が形成されたものであり、これにより、開孔部を介して開路ソレノイドと環状ディスクとの間隙に流体を充填することで、バルブ部材の移動を妨げるような圧力の変動を防止し、作動性の向上を図っている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−150441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したポペット型の弁では、通路閉鎖時にこの通路の上流側と下流側との間に圧力差が発生した場合、この圧力が弁体の作動方向に作用することから、この弁体の移動や保持に多大な力が必要となり、高い応答性を得ることができないという問題があり、高い応答性を得るには弁体の駆動装置の出力を大きくしなければならなかった。また、上述したバタフライ型の弁では、弁体を約90度回転させるための作動時間が比較的長くかかり、さらに、通路閉鎖時にこの通路の上流側と下流側との間に圧力差が発生した場合、弁体の回転方向の圧力はキャンセルされるものの、この弁体を回転軸に押し付ける向きの圧力が作用することから、フリクションが増大してしまい、同様に高い応答性を得ることができないという問題があった。さらに、上述した特許文献1に記載されている付加コントロールバルブ装置では、貫通流路閉鎖時にこの通路の上流側と下流側との間に圧力差が発生した場合、この圧力がバルブ部材の作動方向に作用することから、結局のところポペット型の弁やバタフライ型の弁と同様に、高い応答性を得ることができなかった。
【0007】
そこで本発明は、吸気通路の上流側と下流側との圧力状態に関係なく、開閉動作の応答性を向上することができる吸気制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による吸気制御装置は、燃焼室に空気を導入する吸気通路内に固定される固定部と、筒状に形成され、前記固定部と空気の流れ方向に対向し、該固定部に対して接近離間可能に設けられる可動部と、前記吸気通路の壁面と前記固定部の外面との間に設けられて前記吸気通路の上流側又は下流側の一方に連通する外側通路と、前記可動部の内側に設けられて前記吸気通路の上流側又は下流側の他方に連通する内側通路とを備え、前記外側通路及び前記内側通路は、それぞれ通路断面が対称形であり、前記可動部は、前記外側通路と前記内側通路とを連通及び遮断可能であると共に、前記固定部と当接して前記外側通路と前記内側通路とを遮断した状態で前記外側通路側及び前記内側通路側から作用する圧力方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明による吸気制御装置では、前記外側通路は、前記固定部の全周を囲うように設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明による吸気制御装置では、前記固定部は、前記吸気通路の径方向中央に設けられ、前記可動部は、円筒形状であり、前記外側通路の通路断面は、円環状であり、前記内側通路の通路断面は、円形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明による吸気制御装置では、前記固定部は、前記可動部の開口部に嵌合して、外面が該可動部の内面と当接可能な嵌合部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明による吸気制御装置では、前記開口部又は前記嵌合部にテーパ状に形成され、前記嵌合部の前記開口部への嵌合を案内するガイド部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明による吸気制御装置では、前記外側通路と前記内側通路の遮断状態において前記可動部の内面と前記嵌合部の外面との間に位置する封止手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明による吸気制御装置では、前記可動部の外側にリング形状をなして駆動部が配設され、該駆動部は電磁力により前記可動部を前記固定部方向へ吸引可能な閉用電磁石と、電磁力により前記可動部を前記固定部から離間する方向へ吸引可能な開用電磁石と、前記可動部を前記固定部方向へ付勢する閉用付勢手段と、前記可動部を前記固定部から離間する方向へ付勢する開用付勢手段とを有し、前記閉用電磁石、前記開用電磁石、前記閉用付勢手段及び前記開用付勢手段が協動して前記可動部を移動可能とすることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明による吸気制御装置では、前記可動部は、前記固定部よりも記吸気通路の上流側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る吸気制御装置によれば、外側通路及び内側通路は、それぞれ通路断面が対称形であり、可動部は、固定部と当接して外側通路と内側通路とを遮断した状態で外側通路側及び内側通路側から作用する圧力方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられるので、この可動部が通路を遮断した状態において外側通路側と内側通路側との間に圧力差が発生しても、外側通路側からの圧力及び内側通路側からの圧力がこの可動部の移動方向に対して垂直な方向に作用し、可動部に作用する圧力の合力がほぼ無くなることから、吸気通路の上流側と下流側との圧力状態に関係なく、開閉動作の応答性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る吸気制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置の開放時の断面図、図2は、図1に示すa−a断面図、図3は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置の閉鎖時の断面図、図4は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置の可動部の移動方向を説明するための部分断面図、図5は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置が設けられた内燃機関の要部を示す模式図、図6は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置が設けられた内燃機関の要部を示す概略断面図、図7は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置による吹き返し防止を説明するための線図で、図8は、本発明の実施例1に係る吸気制御装置によるインパルスチャージを説明するための線図である。なお、この実施例1では、本発明を4気筒の内燃機関に適用した例を示すが、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
まず、図5、図6に示すように、吸気制御装置1が設けられる内燃機関10のエンジン本体11は、シリンダブロック30上にシリンダヘッド31が締結されており、複数のシリンダボア32にピストン33がそれぞれ上下移動自在に嵌合する。そして、シリンダブロック30の下部にクランクケース34が締結され、このクランクケース34内にクランクシャフト35が回転自在に支持されており、各ピストン33はコネクティングロッド36を介してこのクランクシャフト35にそれぞれ連結される。この内燃機関10では、シリンダブロック30とシリンダヘッド31とピストン33により4つの気筒に対応して燃焼室12がそれぞれ構成される。シリンダヘッド31は、この各燃焼室12の上部に吸気ポート13及び排気ポート14がそれぞれ形成されており、この各吸気ポート13及び排気ポート14は、複数の吸気弁15及び排気弁16によって開閉可能となっている。
【0020】
各吸気ポート13は、図5に示すように、それぞれインテークマニホールドの各分岐管17を介してサージタンク18に接続される。分岐管17及び吸気ポート13は、内側に燃焼室12に空気を導入する吸気通路19をなす。サージタンク18は、吸気容積部として機能する空間をその内部に有する。そして、その吸気上流側には吸気管20が接続される。吸気管20内には吸入空気量を調量するためのスロットル弁21が設けられ、さらに吸気上流側にエアクリーナ24が接続される。一方、各排気ポート14は、それぞれエキゾーストマニホールドの各集合管22を介して排気管23に接続される。
【0021】
上述の燃焼室12に導入される空気は、エアクリーナ24を介して吸入され、吸気管20、スロットル弁21、サージタンク18、インテークマニホールドの各分岐管17及び吸気ポート13を通って各燃焼室12に導入される。そして、図6に示すように、この空気とインジェクタ37から燃焼室12内へ噴射される燃料とが混合して混合気を形成し、点火プラグ38により点火され燃焼し、その燃焼圧力によりピストン33を往復運動させる。燃焼後の混合気は排ガスとなって排気ポート14、集合管22、排気管23を介して大気中へ放出される。
【0022】
この内燃機関10は、さらに、サージタンク18と燃焼室12との間の吸気通路19内、具体的には、サージタンク18から分岐するインテークマニホールドの各分岐管17内側の吸気通路19内にそれぞれ1つずつ吸気制御装置1を備える。この吸気制御装置1は、内燃機関10の各燃焼室12に連通する吸気通路19毎に燃焼室12に導入される空気の流量を独立して制御するものである。
【0023】
ところで、上記のような内燃機関10では、吸気制御装置1による吸気通路19の開閉の切り替えを内燃機関10の運転状態に応じて迅速におこなうことで、最も効率的な運転が実現可能となり内燃機関10の出力効率をより向上させることができるようになる。
【0024】
そこで、本実施例に係る吸気制御装置1は、図1に示すように、燃焼室12に空気を導入する吸気通路19内に固定される固定部2と、固定部2と空気の流れ方向(図1中矢印で示す)に対向し、該固定部2に対して接近離間可能に設けられる可動部3と、吸気通路19の壁面17aと固定部2の外面2aとの間に設けられる外側通路4と、可動部3の内側に設けられる内側通路5を備える。そして、図3に示すように、固定部2と可動部3とが当接した状態において、この可動部3を外側通路4側及び内側通路5側から作用する圧力方向に対して垂直な方向に移動可能に設けることで、開閉動作の応答性の向上を図っている。
【0025】
固定部2は、胴体部2bが円柱状でその両端部2c、2dが次第に細くなるような紡錘形に形成され、図2に示すように、吸気通路19の径方向中央にステー17cを介して固定される。ここで、吸気通路19は、上述したように、円筒形の各分岐管17の内側に形成されている。そして、固定部2は、この吸気通路19を形成する分岐管17の壁面17aと、外面2aとの間に上述の外側通路4を形成する。
【0026】
外側通路4は、その通路断面が固定部2の中心軸線上の点を基準点とした点対称形の円環状をなす。つまり、外側通路4は、固定部2の全周を囲うように設けられる。
【0027】
さらに、外側通路4は、図1に示すように、固定部2の一方の端部2d側で吸気通路19の下流側、すなわち、燃焼室12(図6参照)側と連通するように設けられる。なお、固定部2の端部2cにおける径方向の縁部に形成される当接部2eは、後述する可動部3の開口部3cと当接可能なように径方向に平行な円環状の平面となっている。
【0028】
可動部3は、肉厚がほぼ一定の円筒形状に形成される。可動部3は、その軸線及び円筒の隔壁3aが空気の流れ方向とほぼ平行となるように、固定部2よりも吸気通路19内上流側に設けられる。そして、可動部3は、一方の開口部3cが固定部2の他方の端部2cと空気の流れ方向に対向する。また、可動部3は、隔壁3aの外面側の軸方向中央付近に円盤状の可動板3bが立設される一方、隔壁3aの内面側に内側通路5を形成する。
【0029】
内側通路5は、その通路断面が可動部3の中心軸線上の点を基準点とした点対称形の円形状をなす。さらに、内側通路5は、可動部3の一方の開口部3c側で外側通路4と連通可能であると共に、他方の開口部3d側で吸気通路19の上流側と連通するように設けられる。
【0030】
さらに、吸気制御装置1は、可動部3の外側にリング形状をなして設けられ、可動部3を固定部2に対して移動可能に支持する駆動部6を備える。駆動部6は、上述した可動板3bとほぼ同軸の円盤状に形成される閉用電磁石6aと、同様の円盤状に形成される開用電磁石6bと、閉用付勢手段としての閉用スプリング6cと、開用付勢手段としての開用スプリング6dを有する。これらが協動して可動部3を固定部2に対して接近離間可能とし、この可動部3により外側通路4と内側通路5を連通及び遮断可能とする。
【0031】
閉用電磁石6a、開用電磁石6b、閉用スプリング6c、開用スプリング6dは、各分岐管17の壁面17aに形成される凹部17b内に設けられる。閉用電磁石6aと開用電磁石6bは、可動板3bを挟んで閉用電磁石6aが下流側、開用電磁石6bが上流側となるように、空気の流れ方向に沿って並べて固定される。同様に、閉用スプリング6cと開用スプリング6dは、径方向に対しては閉用電磁石6a、開用電磁石6bと隔壁3aとの間に、軸方向に対しては可動板3bを挟んで開用スプリング6dが下流側、閉用スプリング6cが上流側となるように並べて配置される。閉用電磁石6aは、電磁力により可動部3の可動板3bを固定部2方向へ吸引可能であり、開用電磁石6bは、電磁力により該可動板3bを固定部2から離間する方向へ吸引可能であり、閉用スプリング6cは、該可動板3bを固定部2方向へ付勢し、開用スプリング6dは、該可動板3bを固定部2から離間する方向へ付勢する。駆動部6は、閉用電磁石6a、開用スプリング6dと開用電磁石6b、閉用スプリング6cとの間に可動板3bを挟みこむことで、可動部3を移動可能に支持している。
【0032】
閉用スプリング6cと開用スプリング6dの付勢力は、閉用電磁石6aと開用電磁石6bが共に消磁したときに、可動部3の可動板3bが全開位置と全閉位置とのほぼ中央に位置するように設定される。そして、閉用電磁石6aのみを通電すると可動板3bがこの閉用電磁石6aに吸引され、可動部3は図3に示す全閉位置に移動し、開口部3cが固定部2の当接部2eと当接して、外側通路4と内側通路5とを遮断する。一方、開用電磁石6bのみを通電すると可動板3bがこの開用電磁石6bに吸引され、可動部3は図1に示す全開位置に移動し、外側通路4と内側通路5とを連通する。
【0033】
このようにして移動可能となる可動部3は、図4に示すように、開口部3cが固定部2の当接部2eと当接して外側通路4と内側通路5とを遮断した状態で、外側通路4側から作用する圧力P1及び内側通路5側から作用する圧力P2の作用方向Aに対して垂直な方向Bに移動可能に設けられる。つまり、外側通路4と内側通路5とが遮断された状態で、可動部3の隔壁3aにおいて圧力P1が作用する面である外側受圧面3eと、圧力P2が作用する面である内側受圧面3fと、可動部3の移動方向Bとがすべて平行となる。さらに言い換えれば、隔壁3aの外側受圧面3e、内側受圧面3fは、可動部3の移動方向Bに対して垂直な方向を向く。ここで、上述したように、外側通路4及び内側通路5は、その通路断面が点対称形をなすことから、外側受圧面3eは、移動方向Bに対する幅W1(図3参照)が隔壁3aの周方向にわたってほぼ一定であり、同様に内側受圧面3fも移動方向Bに対する幅W2(図3参照)が隔壁3aの周方向にわたってほぼ一定である。
【0034】
上記のように構成される吸気制御装置1では、駆動部6の閉用電磁石6aのみを通電すると可動板3bがこの閉用電磁石6aに吸引され、可動部3は全閉位置(図3参照)に移動し、開口部3cが固定部2の当接部2eと当接して、外側通路4と内側通路5とが遮断され、各燃焼室12への空気の導入が停止される。一方、開用電磁石6bを通電すると可動板3bがこの開用電磁石6bに吸引され、可動部3は全開位置(図1参照)に移動し、開口部3cと固定部2の当接部2eとの当接が解消され、外側通路4と内側通路5とが連通され、各燃焼室12への空気の導入が開始される。
【0035】
ここで、図7、図8に示す図は、吸気弁15(図5参照)及び吸気制御装置1の可動部3の開度とクランク角度との関係を示した図である。この内燃機関10では、吸気弁15をピストン33が吸気上死点(吸気TDC)に至る少し前に開放し、ピストン33が吸気下死点(吸気BDC)を少し過ぎた後に閉鎖するようにしている。これは、高回転運転時においては、ピストン33が下がって燃焼室12に空気を導入する際、実際には空気にも質量があることから、ピストン33が下死点を過ぎて空気を吸い込む負圧がなくなっても、慣性によって空気が燃焼室12に押し込められるので、吸気弁15を少し遅く閉めた方がより多くの空気を燃焼室12に導入することができるためである。しかしながら、内燃機関10の低回転運転時においては、慣性により空気が押し込められても、ピストン33の往復運動が遅いことから、ピストン33の上昇時に一旦燃焼室12に吸い込んだ空気を吸気通路19側に少し吐き出してしまうおそれがある。このため、この吸気制御装置1は、図7に示すように低回転運転時では、ピストン33が吸気下死点に到達した直後に、吸気通路19を閉鎖することで、燃焼室12内の空気(混合気、排気ガス)の吸気通路19上流側への吹き返しを防止している。
【0036】
一方、この内燃機関10では、図8に示すように高負荷運転時において、いわゆる、インパルスチャージを行っている。インパルスチャージとは、吸気行程前半の間、吸気制御装置1により吸気通路19を閉鎖(このとき吸気弁15は上述のように開放している。)することで、燃焼室12内に負圧を発生させる。このとき、吸気制御装置1の上流側は大気圧となっており、一方、吸気制御装置1の下流側、すなわち、燃焼室12側は負圧となっている。その後、吸気制御装置1の上下流の間における圧力差がある程度以上大きくなったところで吸気通路19を開放することで、吸入空気の流動を一気に開始させ、慣性過給効果により通常より大きな正圧を発生させ、燃焼室12への空気の充填効率を向上させる吸気方法である。すなわち、この内燃機関10では、高負荷運転時において、吸気制御装置1を介して慣性過給を行うことにより出力を向上させている。
【0037】
ここで、この内燃機関10では、上記のように、低回転運転時において燃焼室12内の空気(混合気、排気ガス)の吸気通路19上流側への吹き返しを防止する際や、高負荷運転時においてインパルスチャージを行う際に、可動部3を全閉位置に移動させ、外側通路4と内側通路5とを遮断しているが、このとき、可動部3の上流側の内側通路5内は大気圧となる一方、下流側の外側通路4は負圧となり、この可動部3の隔壁3aを境界として、上流側と下流側との間に圧力差が発生する。
【0038】
そして、図4に示すように、可動部3の隔壁3aにおける外側受圧面3eに該面に対してほぼ垂直に圧力P1が作用し、内側受圧面3fに該面に対してほぼ垂直に圧力P1よりも小さい圧力P2が作用する。ここで、この外側受圧面3eは、可動部3の移動方向Bに対して垂直な方向を向き、また、外側通路4は、その通路断面が点対称形をなすことから、外側受圧面3eの受圧幅W1は周方向にわたって一定となり、通路断面の中心側に向かって作用する圧力P1を外側受圧面3eの全体において均等に受圧するため、この圧力P1の合力がほぼ無くなる。
【0039】
同様に、内側受圧面3fは、可動部3の移動方向Bに対して垂直な方向を向き、また、内側通路5は、その通路断面が点対称形をなすことから、内側受圧面3fの受圧幅W2は周方向にわたって一定となり、通路断面の中心側から作用する圧力P2を内側受圧面3fの全体において均等に受圧するため、この圧力P2の合力がほぼ無くなる。これにより、可動部3の全開位置方向への移動を妨げる合力が0になるので、閉用スプリング6c又は開用スプリング6dの付勢力に対する力を与えるだけで可動部3を移動させることができるようになる。
【0040】
以上で説明した本発明の実施例1に係る吸気制御装置1によれば、各燃焼室12に空気を導入する各分岐管17の吸気通路19内に固定される固定部2と、筒状に形成され、固定部2と空気の流れ方向に対向し、該固定部2に対して接近離間可能に設けられる可動部3と、吸気通路19の壁面17aと固定部2の外面2aとの間に設けられて吸気通路19の下流側に連通する外側通路4と、可動部3の内側に設けられて吸気通路19の上流側に連通する内側通路5とを備え、外側通路4及び内側通路5は、それぞれ通路断面が点対称形であり、可動部3は、外側通路4と内側通路5とを連通及び遮断可能であると共に、固定部2と当接して外側通路4と内側通路5とを遮断した状態で外側通路4側及び内側通路5側から作用する圧力P1、P2の方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられる。
【0041】
したがって、固定部2は、各燃焼室12に空気を導入する各分岐管17の吸気通路19内に各々固定され、壁面17aと外面2aとの間に吸気通路19の下流側に連通する外側通路4を形成する。各可動部3は、この固定部2に対して空気の流れ方向に対向する。そして、この各可動部3は、筒状に形成され、内側に吸気通路19の上流側に連通する内側通路5を形成すると共に、空気の流れ方向に移動して固定部2に対して接近、離間することで、外側通路4と内側通路5とを連通、遮断し、各燃焼室12への空気の導入を制御する。
【0042】
そして、この可動部3の開口部3cが固定部2の当接部2eに当接して外側通路4と内側通路5とを遮断した状態で、外側受圧面3eに対してほぼ垂直に圧力P1が作用し、内側受圧面3fに対してほぼ垂直に圧力P2が作用する。可動部3は、この圧力P1、P2の作用方向に対して垂直な移動方向Bに移動し、また、外側通路4、内側通路5は、その通路断面が点対称形をなすことから、圧力P1、P2を各々外側受圧面3e、内側受圧面3fの全体において均等に受圧するため、可動部3の全開位置方向への移動を妨げる合力が0になるので、隔壁3aを境界として吸気通路19の上流側と下流側との圧力状態に関係なく、可動部3が移動することによる外側通路4と内側通路5との連通及び遮断を常に一定の小さな力で行うことができ、この開閉動作の迅速性が増し、応答性を向上することができる。
【0043】
また、例えば、バタフライ型の弁のようにフリクションの影響を受けることもなく、さらに、吸気通路19の上流側と下流側との圧力状態にかかわらず常に同じ力で可動部3の移動を制御できることから、制御性にも優れる。
【0044】
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係る吸気制御装置1によれば、外側通路4は、固定部2の全周を囲うように設けられる。したがって、外側通路4において空気が通過する通路断面を十分に確保しつつ、外側通路4と内側通路5の遮断時に可動部3の外側受圧面3eの全周において圧力P1を均等に受圧することができるので、より確実に圧力P1の合力を0にすることができる。
【0045】
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係る吸気制御装置1によれば、固定部2は、吸気通路19の径方向中央に設けられ、可動部3は、円筒形状であり、外側通路4の通路断面は、円環状であり、内側通路5の通路断面は、円形状である。したがって、可動部3は、曲面状の隔壁3aにより圧力P1及び圧力P2を均等に受圧するので、隔壁3aの肉厚を薄くしても十分な強度とすることができ、また、外側通路4の通路断面が円環状、内側通路5の通路断面が円形状であるので、外側通路4、内側通路5を通過する空気の圧力損失を抑制することができる。さらに、固定部2の当接部2eと可動部3の開口部3cは、共に円環状に形成されることから、固定部2と可動部3の組み付けに際し、開口部3cと当接部2eの径方向に対する向きを合わせる必要が無いので、製造を容易にすることができる。
【0046】
そして、上述したように、外側通路4と内側通路5とを遮断した状態で、可動部3の全開位置方向への移動を妨げる合力が0になるので、可動部3を移動させる際には差圧に逆らう力を必要とせず、閉用スプリング6c又は開用スプリング6dの付勢力に対する力を与えるだけよいため、消費電力を低減することで閉用電磁石6a、開用電磁石6bの小型化や省電力化を可能にすることができるという有利な効果を奏することができる。
【0047】
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係る吸気制御装置1によれば、可動部3は、固定部2よりも吸気通路19内の上流側に設けられる。したがって、可動部3は、吸気通路19内の上流側に位置し、固定部2は、各燃焼室12に近い下流側に位置するので、仮に燃焼室12から混合気や排気ガスが吸気通路19内に逆流しても、上流側に配置される可動部3の駆動部6がこの逆流した汚い気体により汚されることがなく、目詰まり等も抑制されることから、装置の信頼性を向上することができる。
【実施例2】
【0048】
次に、図9は、本発明の実施例2に係る吸気制御装置を示す図である。実施例2に係る吸気制御装置201は、実施例1に係る吸気制御装置1と略同様の構成であるが、固定部2が嵌合部2fを有する点で上述した実施例1に係る吸気制御装置1とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
【0049】
この実施例2に係る吸気制御装置201では、固定部2は、可動部3の開口部3cに嵌合する嵌合部2fを有する。この嵌合部2fは、開口部3cに対向する固定部2の端部2cに形成される。嵌合部2fは、円柱状の胴体部2bの径よりも小さい径の円柱状に形成される。また、嵌合部2fの径は、可動部3の内径、すなわち、内側通路5の通路断面の径よりも若干小さく設定され、この嵌合部2fは、その外面2gが胴体部2bの外面2aから隔壁3aの肉厚分だけ段落ちしたような形状となり、胴体部2bと嵌合部2fとの間に段差2hが形成される。これにより、可動部3が全閉位置に向かって移動する際には、本図中に破線で示すように、嵌合部2fは、開口部3cと段差2hに当接する前に、この開口部3cに嵌合し外面2gが隔壁3aの内面と当接して、外側通路4と内側通路5とを遮断する。
【0050】
以上で説明した本発明の実施例2に係る吸気制御装置201によれば、固定部2は、可動部3の開口部3cに嵌合して、外面2gが該可動部3の隔壁3aの内面と当接可能な嵌合部2fを有する。したがって、可動部3が全閉位置に移動した際、可動部3の開口部3cが固定部2の段差2hに当接する前に、嵌合部2fの外面2gと隔壁3aの内面とが当接し、外側通路4と内側通路5とを遮断するので、閉弁所要時間を短縮して高い応答性を維持しつつ、全閉位置付近での可動部3の移動速度を遅く制御することができ、よって、固定部2と可動部3との当接による作動音を抑制することができる。さらに、外側通路4と内側通路5とを遮断するには、可動部3の開口部3cが嵌合部2fの外面2gに到達し、嵌合部2fの外面2gと隔壁3aの内面との当接面が確保されていればよいので、可動部3の全閉位置を適宜調整することができる。これにより、可動部3の全閉位置における可動板3b(図1参照)と閉用電磁石6a(図1参照)との間隔を最小限にしつつ、外側通路4と内側通路5との遮断を確実に行うことができるので、製造時における高い組み付け精度を必要としないと共に、全閉位置において可動板3bと閉用電磁石6aとの間隔をあけずにその電磁力を有効に用いることができる。
【実施例3】
【0051】
次に、図10は、本発明の実施例3に係る吸気制御装置を示す図である。実施例3に係る吸気制御装置301は、実施例2に係る吸気制御装置201と略同様の構成であるが、開口部3c及び嵌合部2fに各々ガイド部3g、2iを有する点で実施例2に係る吸気制御装置201とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
【0052】
この実施例3に係る吸気制御装置301では、可動部3のガイド部3gは、開口部3cの内周面側に設けられ、隔壁3aの肉厚が固定部2の方向に向かって徐々に薄くなるようにテーパ状に形成される。一方、固定部2のガイド部2iは、嵌合部2fの可動部3側端部に設けられ、この嵌合部2fの端部の径が可動部3の方向に向かって徐々に小さくなるようにテーパ状に形成される。これにより、可動部3が本図中に破線で示す全閉位置に向かって移動する際に、開口部3cのガイド部3gと嵌合部2fのガイド部2iとが当接し、開口部3cと嵌合部2fとの嵌合が案内される。
【0053】
以上で説明した本発明の実施例3に係る吸気制御装置301によれば、開口部3c及び嵌合部2fにそれぞれテーパ状に形成され、嵌合部2fの開口部3cへの嵌合を案内するガイド部3g、2iを有する。したがって、可動部3が全閉位置に向かって移動する際に、開口部3cのガイド部3gと嵌合部2fのガイド部2iとが当接し、開口部3cと嵌合部2fとの嵌合が案内されるので、可動部3が移動の際に径方向に多少がたついても、この可動部3を確実に全閉位置まで導くことができ、外側通路4と内側通路5との遮断を確実に行うことができる。さらに、可動部3の径方向に対する多少のがたつきを許容することができることから、製造時における高い組み付け精度を必要としないため、製造効率を向上させることができる。
【0054】
なお、以上の説明では、嵌合部2fの開口部3cへの嵌合を案内するガイド部は、固定部2と可動部3の両方に設けるものとして説明したが、どちらか一方であっても、可動部3の径方向に対する多少のがたつきを許容することができる。
【実施例4】
【0055】
次に、図11は、本発明の実施例4に係る吸気制御装置を示す図である。実施例4に係る吸気制御装置401は、上述した実施例3に係る吸気制御装置301と略同様の構成であるが、封止手段としてのOリング7を有する点で実施例3に係る吸気制御装置301とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
【0056】
この実施例4に係る吸気制御装置401は、外側通路4と内側通路5の遮断状態において、可動部3の隔壁3aの内面と嵌合部2fの外面2gとの間に位置する封止手段としての樹脂製のOリング7を備える。さらに具体的には、Oリング7は、嵌合部2fのガイド部2i側に周方向にわたって形成される溝2jに嵌め込まれるようにして設けられる。これにより、Oリング7は、嵌合部2fの外面2gと当接すると共に、外側通路4と内側通路5の遮断状態において隔壁3aの内面と当接して、可動部3の隔壁3aの内面と嵌合部2fの外面2gとの間を封止する。
【0057】
以上で説明した本発明の実施例4に係る吸気制御装置401によれば、外側通路4と内側通路5の遮断状態において可動部3の隔壁3aの内面と嵌合部2fの外面2gとの間に位置するOリング7を備える。したがって、このOリング7が嵌合部2fの外面2gと当接すると共に、外側通路4と内側通路5の遮断状態において隔壁3aの内面と当接することで、可動部3の隔壁3aの内面と嵌合部2fの外面2gとの間を封止するので、固定部2の嵌合部2fの外面2gと可動部3の隔壁3aの内面とのクリアランスを広めにとっても、確実に外側通路4と内側通路5とを遮断することができ、さらに、このOリング7が弾性変形することでクリアランスに対する許容範囲が広がるので、高い製作精度も必要なくなるため、製造効率を向上させることができる。
【0058】
なお、以上の説明では、Oリング7は、固定部2の嵌合部2fに形成される溝2jに設けるものとして説明したが、可動部3の隔壁3aの内面に溝を形成し、この溝にOリング7を設けるようにしてもよい。
【0059】
なお、上述した本発明の実施例に係る吸気制御装置1、201、301、401は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、吸気制御装置1、201、301、401は、インテークマニホールドの分岐管17内側の吸気通路19内に設けるものとして説明したが、各吸気ポート13内側の吸気通路19内にそれぞれ設けるようにしてもよい。さらに、吸気制御装置1、201、301、401は、固定部2、可動部3、駆動部6等を、円筒状に形成されたケーシングの内側にあらかじめ組み付けておき、このケーシングを各分岐管17に組み込むようにして構成してもよい。この場合、前記ケーシングの内側が吸気制御装置1、201、301、401を設ける吸気通路19となり、このケーシングの壁面と固定部2との間に外側通路4が形成される。これにより、吸気制御装置1、201、301、401の内燃機関10への取り付けが容易になるので、製造効率を向上することができる。
【0060】
さらに、以上の説明では、可動部3は、固定部2よりも吸気通路19内の上流側に設けるものとして説明したが、下流側に設けてもよい。つまり、外側通路4が吸気通路19の上流側に連通し、内側通路5が下流側に連通するように構成してもよい。また、以上の説明では、駆動部6は、電磁力により可動部3を移動するものとして説明したが、これに限らず、他の駆動形式のものを適用してもよい。
【0061】
さらに、以上の説明では、固定部2は、吸気通路19の径方向中央に設けられ、可動部3は、円筒形状であり、外側通路4は通路断面が円環状であり、内側通路5は通路断面が円形状であるものとして説明したが、可動部3を四角筒形状、外側通路4の通路断面を矩形枠状、内側通路5の通路断面を矩形状としてもよい。また、外側通路4、内側通路5は、通路断面がそれぞれ点対称形であり、外側通路4は固定部2の全周を囲うように設けられるものとして説明したが、例えば、図12に示すように、各通路断面をそれぞれ面対称形とし、外側通路4が2つに分かれて設けられていてもよく、この場合、可動部3は、外側通路4と内側通路5とを径方向に対して180度対向する位置で遮断するようになる。すなわち、隔壁3aの外側受圧面3eは、径方向に対して180度対向する2箇所に存在することになる。ここでも、可動部3は、圧力P1、P2の作用方向に対して垂直な方向に移動することから、この2箇所の外側受圧面3eの受圧幅W1は各々周方向に対して一定であり、さらに面積も等しくなることから、結局、圧力P1、P2の合力はほぼ無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係る吸気制御装置は、吸気通路の上流側と下流側との圧力状態に関係なく、開閉動作の応答性を向上することができるものであり、吸気通路の上流側と下流側との間に圧力差が生じる装置に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1に係る吸気制御装置の開放時の断面図である。
【図2】図1に示すa−a断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る吸気制御装置の閉鎖時の断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る吸気制御装置の可動部の移動方向を説明するための部分断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る吸気制御装置が設けられた内燃機関の要部を示す模式図である。
【図6】本発明の実施例1に係る吸気制御装置が設けられた内燃機関の要部を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施例1に係る吸気制御装置による吹き返し防止を説明するための線図である。
【図8】本発明の実施例1に係る吸気制御装置によるインパルスチャージを説明するための線図である。
【図9】本発明の実施例2に係る吸気制御装置を示す図である。
【図10】本発明の実施例3に係る吸気制御装置を示す図である。
【図11】本発明の実施例4に係る吸気制御装置を示す図である。
【図12】本発明の実施例に係る吸気制御装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1、201、301、401 吸気制御装置
2 固定部
2a、2g 外面
2b 胴体部
2c、2d 端部
2e 当接部
2f 嵌合部
2i ガイド部
3 可動部
3a 隔壁
3b 可動板
3c、3d 開口部
3e 外側受圧面
3f 内側受圧面
3g ガイド部
4 外側通路
5 内側通路
6 駆動部
6a 閉用電磁石
6b 開用電磁石
6d 開用スプリング(開用付勢手段)
6c 閉用スプリング(閉用付勢手段)
7 Oリング(封止手段)
10 内燃機関
12 燃焼室
13 吸気ポート
17 分岐管
17a 壁面
19 吸気通路
A 圧力の作用方向
B 可動部の移動方向
P1、P2 圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室に空気を導入する吸気通路内に固定される固定部と、
筒状に形成され、前記固定部と空気の流れ方向に対向し、該固定部に対して接近離間可能に設けられる可動部と、
前記吸気通路の壁面と前記固定部の外面との間に設けられて前記吸気通路の上流側又は下流側の一方に連通する外側通路と、
前記可動部の内側に設けられて前記吸気通路の上流側又は下流側の他方に連通する内側通路とを備え、
前記外側通路及び前記内側通路は、それぞれ通路断面が対称形であり、
前記可動部は、前記外側通路と前記内側通路とを連通及び遮断可能であると共に、前記固定部と当接して前記外側通路と前記内側通路とを遮断した状態で前記外側通路側及び前記内側通路側から作用する圧力方向に対して垂直な方向に移動可能に設けられることを特徴とする、
吸気制御装置。
【請求項2】
前記外側通路は、前記固定部の全周を囲うように設けられることを特徴とする、
請求項1に記載の吸気制御装置。
【請求項3】
前記固定部は、前記吸気通路の径方向中央に設けられ、
前記可動部は、円筒形状であり、
前記外側通路の通路断面は、円環状であり、
前記内側通路の通路断面は、円形状であることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の吸気制御装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記可動部の開口部に嵌合して、外面が該可動部の内面と当接可能な嵌合部を有することを特徴とする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸気制御装置。
【請求項5】
前記開口部又は前記嵌合部にテーパ状に形成され、前記嵌合部の前記開口部への嵌合を案内するガイド部を有することを特徴とする、
請求項4に記載の吸気制御装置。
【請求項6】
前記外側通路と前記内側通路の遮断状態において前記可動部の内面と前記嵌合部の外面との間に位置する封止手段を備えることを特徴とする、
請求項4又は請求項5に記載の吸気制御装置。
【請求項7】
前記可動部の外側にリング形状をなして駆動部が配設され、該駆動部は電磁力により前記可動部を前記固定部方向へ吸引可能な閉用電磁石と、電磁力により前記可動部を前記固定部から離間する方向へ吸引可能な開用電磁石と、前記可動部を前記固定部方向へ付勢する閉用付勢手段と、前記可動部を前記固定部から離間する方向へ付勢する開用付勢手段とを有し、前記閉用電磁石、前記開用電磁石、前記閉用付勢手段及び前記開用付勢手段が協動して前記可動部を移動可能とすることを特徴とする、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸気制御装置。
【請求項8】
前記可動部は、前記固定部よりも前記吸気通路の上流側に設けられることを特徴とする、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の吸気制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−332920(P2007−332920A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167990(P2006−167990)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】