説明

吸音体

本発明は、熱可塑性 および/または 熱硬化性材料で結合された2種類の不織布(1、2)を相互に連結した吸音体。音源側の該不織布(1)は、2〜15 mmの範囲の厚さの層、50〜500 kg/m3の範囲の密度、0.1〜5 kg/m2の範囲の表面積あたりの重量、50〜1,000 kNs/m4の範囲の流れ抵抗を有し、該音源と反対側の面の該不織布(2)は、10〜100 mmの範囲の厚さの層、20〜100 kg/m3の範囲の密度、0.5〜1 kg/m2の範囲の表面積あたりの重量、10〜40 kNs/m4の範囲の流れ抵抗を有し、12〜30 mmの範囲の総厚みと、0.5〜3 kg/m2の範囲の表面積あたりの総重量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性および/または熱硬化性材料で結合された2種類の不織布を相互に連結した吸音体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の乗用車 商用車等のエンジンルームには、エンジン騒音を減ずるための吸収体として吸音部品が使用されることが多くなっている。主に成形部品としてデザインされているこれらの吸収体は、自動車の内外騒音に対して効果を有する。今日、主に不織布(たとえば綿の)、またはポリウレタン発泡体からなるこれら成形部品は、典型的には約160℃までの負荷たわみ温度を有する。より高い熱荷重を得るため、これらの成形部品は熱源側にアルミフォイルが部分的に、または全面的に熱反射体として裏打ちされ、アルミフォイルの後部にある不織布を保護している。
【0003】
特許文献1は、自動車のエンジンルーム用の騒音減衰ライニングとして作用する複数層の不織布よりなる吸音成形部品を開示している。この吸音成形部品は、エンジン側にプラスチックファイバーのカバー層と、それに隣接する高いたわみ温度を有する無機繊維材料からなる断熱吸音層、および有機繊維からなる他の吸音層で構成されている。
【0004】
特許文献2は、バインダーによって結合され、かつ高いたわみ温度を有する無機繊維材料からなる自動車エンジンルーム用の騒音減衰用成形部品を開示している。そのエンジン側はメラミン樹脂を含む接着剤で結合された炭素繊維材料で覆われている。この成形部品は、良好な吸音性に加えて、500℃までの温度範囲における断熱材として好適であるとされている。
【0005】
特許文献3は、圧力と熱の作用により所定量に圧縮成形された複数層からなる自動車燃焼機関用の自立型断熱吸音ライニングに関する。エンジン側にはカーボン繊維材料で覆われた無機材料からなる厚手の断熱吸音層が形成される。エンジンと反対側の面の無機繊維材料の厚手の層は硬化され自立型支持層となっている。この支持層の車体側はポリエステル不織布、またはポリアクリル繊維の層で覆われていてもよい。
【0006】
自動車分野によく使用される断熱吸音ライニングは、メラミン樹脂発泡体をベースにし、これの片面、または両面に耐熱性のカバー層が設けられている。DIN 4102によれば、メラミン樹脂発泡体は耐炎性と考えられ、かつ火炎中での状態をもとにクラスB 1に分類されている。−40℃から150℃での長期熱安定性と、200℃、3週間の長期耐熱性があるために、この材料は自動車エンジンルーム用のライニングに特に好適である。しかしながら、この材料はかなり高価である。本発明の目的はこの先行技術と同様の断熱性と吸音性を有し、かつ大幅にコスト削減できる自動車エンジンルーム用のライニングを提供することにある。
【0007】
特許文献4は、自動車エンジンルーム用の断熱吸音ライニング(吸音体)を開示している。エンジン側にカバー層を有し、これに接して、180℃までの長期熱安定性を有し、かつ200℃ 3週間の長期耐熱性を有する厚さ5mm以下の遮音性の熱硬化発泡層を有する。またこれに接して樹脂発泡体、粒子複合材料発泡体、またはニードル加工されたもの、されていないものであって天然または合成繊維やそれらの混合物からなる不織布等から構成される遮音層があり、これに接してエンジンと反対側の面にカバー層が設けられている。このように、このライニング部品は自動車の内蔵コンポーネントや車体部品等のライニング用や、熱を放出する装置や集合体、特に自動車エンジンルーム内の機械駆動伝達システム、触媒部品等の高温に対する保護を要する吸音要素のライニング用に好適である。
【0008】
この場合ライニング部品の形状は、ボンネットの内側やエンジンルーム内のスペース状況により決まる。ライニング部品は、たとえば、ボンネット内側の空間形状に合わせて、なるべく少ないリベット数で支持、係止され取り付けられている。エンジンルーム内の遮断壁(バルクヘッド)には、エンジンと自動車車体との間にライニング部品を配置することができる。ライニング部品は、好ましくは車体に粗目のネジボルト、またはスナップファスナー(シートメタルナット)で取り付けられる。このライニング部品はエンジン騒音の吸音用として作用する。
【0009】
エンジンルーム内の車輪ハウジング付近では、エンジン側のライニング部品は空気取り入れスペースに配置される。このライニング部品は、エンジンの騒音が車内空間へと侵入しないようにするとともに、粗目のネジボルト、またはスナップファスナーで係止される。エンジンルーム内の隔壁部付近で、このライニング部品は、例えば、隔壁の交差部材またはディスク ギャップから下面のパネリングを完成するためのトンネルのレベルまで車輪のハウジングを被覆するために使われる。必要に応じ、これらライニング部品は空調システムのダクト用の開口があってもよい。この孔の外部付近では、これらライニング部品はトランスミッション、または排気ガス用の一連の部品とフロアー パンとの間に挿入されてもよい。この場合には、このライニングは粗目のネジボルト、および/またはスナップ ファスナー、たとえばシートメタルナットで係止されるのが好ましい。
【0010】
ライニング部品が清浄空気パネルの上方に使用される場合、上から覆うようにして張りつけられる。次いで、エンジンルームの左右の隔壁の上方に配置される。
【0011】
指定通りに使用されれば、熱によって、初期の強度以下に下がることはない。
【0012】
特許文献5は、繊維が熱可塑性ポリアミドで結合されたシート状の布に関するものである。このシート状布の利点は、使用後のリサイクルに適している点にある。さらに、シート状布の製造の際に問題となっていた不快臭や有害分解物が放出されるという欠点が除かれている。
【0013】
特許文献6は、不織布シートから形成された敷物を開示している。その下層に多数の独立繊維が集って島状の隆起を形成している。その上層は一定の構造(ストラクチャー)を有しており、その上下両サイドのストラクチャーは穿刺(needling)で形成されている。この敷物が敷かれると該隆起が床によって支えられる。このことによりこの敷物の下側に溝(channel)が形成され水はけを有利にする。このようにデザインされた敷物は、たとえば、細粒子がその上面のくぼみに導入されるテニスコートの敷物のように戸外で好適に使用される。
【0014】
特許文献7は、敷物、特にテニスコート用の敷物を開示している。この敷物はカーペットタイプのベースとスベリ防止としてちりばめられた個々に独立した粒子とからなっている。スベリ防止でちりばめられた粒子は押出し成形された堅固な断面形状と厚さを有し、それぞれの粒子の長さは少なくとも粒子の巾、あるいは高さにほぼ等しく、敷物の断面の中程まで伸びている。
【0015】
特許文献8は、賦形されたニードルパンチ織物よりなる3次元的に安定な構造を有する成形部品を開示している。第1層がポリプロピレン(PP)繊維とポリエチレン(PE)繊維の混合物であり第2層および必要に応じてさらに設けられる層はPP繊維とPE繊維の混合物を有する熱可塑性繊維のこのニードルパンチ織物は、PPとPEの混合物よりなる異相構造繊維(bicomponent fiber)、または、このような異相構造繊維とPP繊維および/またはPE繊維との混合物、から調製される。ここで2つの層はニードルパンチングおよび2つの層のPE側の溶融、または表面溶融された繊維、または繊維部品との両者によって内部と境界とが相互に結合される。
【0016】
特許文献9は吸音断熱材を開示している。この特許は複数の材料および厚みを組合わせて固定した構造にすることによって、特に高密度材料の特徴と、良好な流れ特性を有し、かつ柔軟性を有するかさ高い吸音性材料の特徴とを組合わせて、できるかぎり両性質を発揮するようにしている。これは主に種々の外形をもっているが故に、各層に人工的な反射障壁および吸収障壁を不規則的に形成できるリサイクルされた繊維材料と各繊維層中に充填材(フィラー)を使うことにより、そしてまた、不織布技術および繊維を揃える全ての可能な技術を利用する多層構造、および非繊維材料との組合わせ、によって達成される。
【0017】
特許文献10は、空気騒音を吸収する成形部品とその製造方法を開示している。特に、それぞれの層が少なくとも1層の不織布材料よりなる第1と第2の半仕上げ製品よりなる。この2つの半仕上げ製品は互いに隣接して配設され、騒音が入ってくる方向に沿って一定の距離を置いて配置され、少なくとも1つの窪んだ空間が形成されている。前記2種の半仕上げ製品は機能上直列に互いを支持するように配置され、かつその第2の半仕上げ製品は空気騒音源と反対側の面にあり、その空気騒音源側の第1の半仕上げ製品に比較してより高い音波のイピーダンス(アコースチック インピーダンス)を有している。第2の半仕上げ製品のアコースチック インピーダンスは第1の半仕上げ製品のアコースチック インピーダンスより1.25〜5倍高く、かつ第1の半仕上げ製品のアコースチック インピーダンスは40〜80 Raylであり、第2の半仕上げ製品は90〜150 Raylである。
【0018】
【特許文献1】独国特許出願公開第3601204号明細書
【特許文献2】独国特許発明第3818301号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4211409号明細書
【特許文献4】特表平2002−514551号公報
【特許文献5】独国特許出願公開第4114140号明細書
【特許文献6】独国特許発明第4305428号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第4444030号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第19812925号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第4428613号明細書
【特許文献10】独国特許発明第4422585号明細書
【0019】
上述した先行技術の共通する特徴は、吸音体が複数の相互に連結した不織布シートからなる場合、比較的狭い周波数範囲の音を吸収することである。一方、重量的に重い層の吸音体はバネ/質量の原理が作用することが知られている。しかし、そのような吸音体は比較的重く、かつ、ほとんどが充填剤含有量が多いエチレン/ビニルアセテート共重合体から作られているのが大部分であり、リサイクルにはあまり向いていない。吸音体は100〜500 HZの範囲内では満足するけれども高い周波数域には全く不充分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
それに対し、本発明の目的は、特に200〜800 Hzの周波数域に関する吸音性を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的は、熱可塑性、および/または熱硬化性材料で接着し、相互に結合した2種類の不織布(1、2)からなる吸音体において、音源側の該不織布(1)は、2〜15mmの範囲の厚さの層、50〜500Kg/m3の範囲の密度、0.1〜5Kg/m2の範囲の表面積あたりの重量、50〜1,000KNs/m4の範囲の流れ抵抗を有し、該音源と反対側の面の該不織布(2)は、10〜100 mmの範囲の厚さの層、20〜100Kg/m3の範囲の密度、0.5〜1Kg/m2の範囲の表面積あたりの重量、10〜40KNs/m4の範囲の流れ抵抗を有し、12〜30mmの範囲の総厚みと,0.5〜3Kg/m2の範囲の表面積あたりの総重量を有することを特徴とする吸音体により達成される。
【発明の効果】
【0022】
200〜800Hzの周波数域の関連において、本発明による吸音体のエネルギー減衰の総量は、少なくともスプリング/質量システムのそれと同等か、または、それ以上に改善されている。自動車分野において通常使用されるこのスプリング/質量システムは高い吸音性を有している。しかしながら、自動車分野において、それは必ずしも必要とされているわけではない。その理由は、音は側路たとえばガラスのような未処理表面を通しても拡散し得るからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の吸音体は、良好な音響性能を与えるように低中周波数域において最適の吸収性を有する。本発明によれば、特に音の放射源側の高密度不織布1と、音の放射源と反対側の面に低密度の不織布2を組合わせることによって達成される。好ましくは、 不織布2は直接に自動車のシートメタルに隣接され、これによって、不織布とシートメタル間にエアーギャップを形成しないようにしている。
【0024】
自動車分野においては、不織布は広い範囲の性質を有する構成材料として多用されている。たとえば、バインダーとしてのフェノール樹脂を含む不織布は、その良好なダンピング性能の故に乗用車やトラックなどの自動車産業において支持部品、あるいはライニング部品(そのままかあるいは複合材料)として使用されてきた。
【0025】
バインダーとしてのフェノール樹脂を含む不織布は、5〜30 mmの厚みで50〜1,000 kg/m3の総密度のものが市販されている。これはいわゆる気孔複合材料と称され3つの相 (綿、硬化フェノール樹脂、空気)よりなり、その特性は広い範囲で変更できる構成材料である。綿はファイバーとして存在し、フェノール樹脂は点状、線状または2次元的な網状形状となりマトリックスとして機能する。
【0026】
不織布材料の特別な選択により、この複合材料の音響的特性や強度が制御できる。特にこの不織布材料の調製に適する材料は、ファイバーグラスで補強、またはファイバーグラスのメッシュで補強された繊維材料、いわゆるバインダーを含む不織布、好ましくは複合綿繊維よりなる不織布である。これらの不織布シートは加温して圧縮されることによって所望の強度とされる。
【0027】
これら後者の製品群の特性や性能は、綿の化学的および形態学的構造、およびこれらの複合綿不織布のバインダーとして通常使用される硬化フェノール樹脂の熱硬化特性に依存する。さらに影響する因子しては、綿の成形性およびアイロン仕上げ性、統計的な架橋サイトの頻度や繊維の長さ方向に沿って付着し凝縮したバインダー分子に関する積層効果および/または層効果などが挙げられる。
【0028】
綿は、物理化学的特性の実質的変化なしに製造工程に耐える。綿は、たとえば吸音特性、良好な機械強度値、衝撃強度、そして低温破砕特性のような特別な性質の特徴を製品に与える。
【0029】
不織布材料用の特に好適なバインダーとしては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび/またはエチル/ビニール アセテート共重合体から選択される。処理の後、フェノール樹脂は、最終製品において熱硬化性材料としての代表的な特性を示す。この不織布は通常再生した綿と粉状フェノール樹脂とから乾燥状態で調製される。硬化は加熱管、またはプレス中で中間工程として硬化していない半仕上げ製品を経由するかのいずれかで行われる。自動車に使用される部品用としては、それに適した繊維が使用される。
【0030】
本発明特有の実施態様では、不織布のベース材料は、原則として繊維形状のポリプロピレン(PP)、ポエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および/またはポリアミド(PA)、を含んでいる。合成繊維よりは、むしろ植物繊維を使用することももちろん可能である。また、天然繊維と合繊繊維との混合物を任意に使用することも可能である。
【0031】
本発明の不織布は、好ましくは繊維として天然繊維、特に種子繊維である綿;果皮繊維、特にカポック;靭皮繊維、特にリネン、フラックス、ヘンプ および/または ジュート;ハード フアイバー、特にサイザルアサおよび/またはヤシとこれらの混合物より選択される植物繊維である。のみならず合成繊維、例えばポリオレフィン、特にポリプロピレンおよび/またはポリエチレン ;ポリエステル、特にポリエチレン テレフタレートおよび/またはポリブチレン テレフタレート;およびポリアミド、特にナイロン6、ナイロン12、ナイロン66; ビスコースおよびレーヨンとこれらの混合物より選択される合成繊維を含み、また必要に応じて通常のバインダーを含む。
【0032】
使用されるバインダーの種類と量は、基本的には不織布の使用目的によって決定される。一般に、好ましくは 不織布1および/または不織布2を基準にして5〜50重量%、特には20〜40重量%のバインダーを使用する。
【0033】
必要に応じて、不織布1および/または2は、特にこの2層の境界面で一定の軌跡群模様(raster profile)を有してもよい。この模様は、好ましくは一方の側から出るように形成され、たとえば円錐、あるいはピラミッドで代表されるように一方に凸形状を構成していてもよい。材料とコストを倹約する起毛切断方法(nap cutting technique)によって、優れた音響上の値が中空室原理(hollow chamber principle)によって達成されることができる。
【0034】
本願における特に好ましい吸音体は、音の放射源側の不織布1が3〜10 mm、とりわけ3〜7mmの範囲の層の厚み、50〜300Kg/m3の範囲の密度、0.2〜2Kg/m2、とりわけ0.25~1.5 kg/m2の範囲の表面積あたりの重量で、かつ70〜500KNs/m4の範囲の流れ抵抗を有していることを特徴とする。
【0035】
同様に、本発明の吸音体は、音発生源と反対側の面の不織布2は12〜18 mmの範囲の層の厚みと、30〜70Kg/m3の範囲の密度と、0.6〜0.8Kg/m2の範囲の表面積あたりの重量で、かつ15〜30KNs/m4の範囲の流れ抵抗を有していることが特に好ましい。
【0036】
特に自動車分野においては、軽くかつ薄い吸音体の使用が好ましい。したがって、本発明の吸音体は、15〜25 mmの範囲の吸音体の総厚みで、 かつ1〜2.5 kg/m2の範囲の吸音体の表面積あたりの総重量であることが特に好ましい。
【0037】
不織布1と不織布2との厚みの比は吸音特性に大きく影響する。
【0038】
不織布1と不織布2との層の厚みの比が 2:1〜5:1、特に3:1〜4:1の範囲の場合、200〜800 Hzの範囲のみならず1000〜10,000 Hzの高周波数域においても優れた吸音性が発揮される。
【0039】
本発明によれば、不織布1と不織布2の密度の比が3:1〜6:1、特に4:1〜5:1の範囲で同様に性能が最適化される。
【0040】
本発明による吸音体は、通常の熱成形工程によって調製できるため、材料加工には公知の機械や製造方法が使用できる。特に、本発明によれば、本吸音体は、バインダーの作用下で熱可塑性および/または熱硬化性材料を用い、加圧接着することによって、結合された不織布1、2が調製される。
【0041】
本発明の上記吸音体は、特に好ましくは、次の手順を含む工程で製造される。
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 工程a)に従って装着した該ベース材料を熱および/または圧力により予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性樹脂バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に該金型内の該第1のベース材料上に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該緻密化前の吸音体を緻密化する工程; および
e) 室温に冷却する工程。
【0042】
上記製造方法の他の方法として、本発明の吸音体は次の工程を含む製造方法によっても同様に製造可能である。
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布1を予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布2を予備的に緻密化する工程; および
e) 該不織布1、2を重ね合せ、かつ、接着剤を使用しないで熱と圧力の作用により両者を結合し、かつ緻密化する工程。
【0043】
本発明の吸音体のその他の製造方法は、次の工程を含む。
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布1を予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該不織布2を予備的に緻密化する工程; および
e) 該不織布1、2を重ね合せ、かつ、ニードルパンチングによって 不織布2を不織布1に結合する工程。
【0044】
他の製造方法としては、本発明の吸音体は、たとえば次の手順を含む工程により製造される。
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布1を予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該不織布2を予備的に緻密化する工程;および
e) 該不織布1、2を重ね合せ、かつ異なるニードルを使用するニードルパンチングによって両者を結合する工程。
【0045】
本発明の吸音体は、たとえば、自動車、航空機、船舶、鉄道車両、などの輸送手段、および、特に床敷物の下敷やスポーツ場、テニスコートなどの下敷等、屋内外の不動産などに使用され得る。
【0046】
本発明の吸音体は、例えばエンジンルーム内のフード インシュレーター、エクステリア バルクヘッド インシュレーター、インテリア バルクヘッド インシュレーター、テキスタイル ホイール アーチ シェル、ロアー シールド;客室内のフロント フロアー インシュレーター、ミドル フロアー インシュレーター、フロアー カバー、ルーフ ライナー、トップ バルクヘッド インシュレーター、サイド トリム、シート ウエル インシュレーター;トランク内のテキスタイル ホイール アーチ シェル、トランク フロアー ライニング、リアー シェルブ、トランク カバー ライニング、トランク サイド ライニングなどに好適に使用される。
【実施例】
【0047】
次表に本発明の実施例1〜5、および比較例のデータを示す。図1は各例の周波数に対する音の吸収αの関係を示している。各例の流れ抵抗はDINに準じて測定された。
【0048】
【表1】

【0049】
尚、本発明の範囲は上記実施例に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例、比較例の周波数に対する吸音の関係を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性、および/または熱硬化性材料で接着し、相互に結合した2種類の不織布(1、2)からなる吸音体において、音源側の該不織布(1)は、2〜15mmの範囲の厚さの層、50〜500Kg/m3の範囲の密度、0.1〜5Kg/mの範囲の表面積あたりの重量、50〜1,000KNs/mの範囲の流れ抵抗を有し、該音源と反対側の面の該不織布(2)は、10〜100 mmの範囲の厚さの層、20〜100Kg/m3の範囲の密度、 0.5〜1Kg/m2の範囲の表面積あたりの重量、10〜40KNs/m 4の範囲の流れ抵抗を有し、12〜30 mmの範囲の総厚みと,0.5〜3Kg/m2の範囲の表面積あたりの総重量を有することを特徴とする吸音体。
【請求項2】
前記不織布(1)および/または前記不織布(2)は天然繊維および/または合成繊維よりなることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項3】
前記不織布(1)および/または前記不織布(2)が種子繊維、特に綿;果皮繊維、特にカポック;靭皮繊維、特にリネン、フラックス、ヘンプ および/またはジュート;ハードフアイバー、特にサイザルアサおよび/またはヤシとこれらの混合物より選択される植物繊維を含有することを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項4】
前記 不織布(1)および/または前記不織布(2)がポリオレフィン、特にポリプロピレンおよび/またはポリエチレン;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート;およびポリアミド、特にナイロン6、ナイロン12、ナイロン66;ビスコースおよびレーヨンとこれらの混合物より選択される合成繊維を含有することを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項5】
前記熱可塑性バインダーは、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよび/またはポリプロピレン、エチレン/ビニール アセテート共重合体より選択されることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項6】
前記熱硬化性バインダーは、フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂および/またはポリアミド樹脂より選択されることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項7】
前記熱可塑性および/または熱硬化性バインダー量は、前記不織布(1)および/または前記不織布(2)を基準にして5〜50重量%、とりわけ、20〜40重量%であることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項8】
音源側の該不織布(1)は、3〜10 mm、とりわけ3〜7mmの範囲の層の厚み、50〜300Kg/m3の範囲の密度、0.2〜2Kg/m2、とりわけ0.25〜1.5 kg/m2の範囲の表面積あたりの重量で、かつ70〜500KNs/m4の範囲の流れ抵抗を有することを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項9】
該音源と反対側の面の該不織布(2)は、12〜18 mmの範囲の層の厚み、30〜70Kg/m3の範囲の密度、0.6〜0.8Kg/m2の範囲の表面積あたりの重量で、かつ15〜30KNs/m4の範囲の流れ抵抗を有することを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項10】
該吸音体の該総厚みが15〜25mmの範囲で、かつ該吸音体の表面積あたりの該総重量が1〜2.5Kg/ m2であることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
【請求項11】
該不織布(1)と該不織布(2)との該層の厚みの比が2:1〜5:1、とりわけ3:1〜4:1であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の吸音体。
【請求項12】
該不織布(1)と該不織布(2)との該密度の比が3:1〜6:1、とりわけ4:1〜5:1であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の吸音体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の吸音体の製造方法において、
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 工程a)に従って装着した該ベース材料を熱および/または圧力により予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性樹脂バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に該金型内の該第1のベース材料上に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該緻密化前の吸音体を緻密化する工程;および
e) 室温に冷却する工程;
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の吸音体の製造方法において、
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布1を予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布2を予備的に緻密化する工程;および
e) 該不織布1、2を重ね合せ、かつ、接着剤を使用しないで熱と圧力の作用により両者を結合し、かつ緻密化する工程;
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の吸音体の製造方法において、
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布1を予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該不織布2を予備的に緻密化する工程;および
e) 該不織布1、2を重ね合せ、かつ、ニードルパンチングによって不織布2を不織布1に結合する工程;
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の吸音体の製造方法において、
a) 該不織布1を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第1のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
b) 熱および圧力の作用により該緻密化前の不織布1を予備的に緻密化する工程;
c) 該不織布2を形成するために、繊維材料および、熱可塑性および/または熱硬化性バインダーよりなる第2のベース材料を必要に応じて部分的に金型に装着する工程;
d) 熱および圧力の作用により該不織布2を予備的に緻密化する工程;および
e) 該不織布1、2を重ね合せ、かつ異なるニードルを使用するニードルパンチングによって両者を結合する工程;
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項17】
エンジンルーム内のフード インシュレーター、エクステリア バルクヘッド インシュレーター、インテリア バルクヘッド インシュレーター、テキスタイル ホイール アーチ シェル、ロアー シールド;客室内のフロント フロアー インシュレーター、ミドル フロアー インシュレーター、フロアー カバー、ルーフ ライナー、トップ バルクヘッド インシュレーター、サイド トリム、シート ウエル インシュレーター;トランク内のテキスタイル ウールアーチ シェル、トランク フロアー ライニング、リアー シェルブ、トランク カバー ライニング、トランク サイド ライニングとしての請求項1〜12のいずれか1つの吸音体の用途。


【図1】
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【公表番号】特表2007−512990(P2007−512990A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529920(P2006−529920)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005652
【国際公開番号】WO2004/107314
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(506037906)クリオン アイルランド ホールディング リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Clion Ireland Holding Ltd.
【住所又は居所原語表記】1,Adelphia Quay Waterford Ireland
【Fターム(参考)】