説明

商品購入システム

【課題】様々な人がより楽に買い物できる商品購入システムを提供する。
【解決手段】複数の購入者が購入者用端末10から入力したIDコードと購入希望商品を記憶し、その中からロボット装置30の利用可能な人数分のIDコードを選択する。選択したIDコードに対応する商品の位置を取得し、その位置データに基づいて、ロボット装置の移動経路を決定し、経路データを生成する。そして、選択したIDコードに対応する商品及び経路データを含む制御信号をロボット装置30に送信する。サーバ装置20から送信される制御信号に基づいて、ロボット装置30に陳列された商品から購入者の希望商品を籠35に収集させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、購入者が店内を歩き回ることなく希望商品を購入できる商品購入システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯電話を用いて、商品購入時に顧客は店舗内で購入する商品を持ち歩く必要をなくして決済することができる商品購入システムが開示されている。具体的には、購入者の所有する携帯電話により商品から商品IDを取得し、決済機に商品IDを送信すると、決済機において、その商品の価格が表示されるようになっている。これにより、商品購入時に購入者は、商品を店舗内で持ち歩く必要がなく商品の決済を行うことができ、買い物を楽にすることができるようになる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−196494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、購入者の中には、年配者や障害者、子供連れの購入者もおり、あまり店舗内を歩き回れない場合があるため、特許文献1のシステムのように、商品を持ち歩く必要がなくても、買い物を楽にできない場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、様々な人がより楽に買い物できる商品購入システムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
上記目的を達成するために、第1発明は、購入者の固有情報と購入希望商品とを入力する入力端末と、商品が陳列された店内を移動するロボット装置と、入力端末と有線又は無線接続し、入力端末で入力された商品を、遠隔操作によりロボット装置に収集させるサーバ装置とを備える商品購入システムであって、サーバ装置は、陳列された商品の店内における位置を示す位置データを記憶する位置データ記憶手段と、複数の購入者が端末から入力した商品を、各購入者の固有情報に対応付けて記憶する購入情報記憶手段と、ロボット装置の利用可能な人数分の固有情報を記憶手段から選択する選択手段と、選択した固有情報に対応する商品の位置データを位置データ記憶手段から取得し、その位置データに基づいて、ロボット装置の移動経路を決定し、経路データを生成する経路決定手段と、選択した固有情報に対応する商品及び経路データを含む遠隔制御指令をロボット装置に送信する指令送信手段とを有し、ロボット装置は、商品を入れる籠と、陳列された商品を把持し、に入れる商品取込機構と、店内を移動する移動機構と、サーバ装置から送信される遠隔制御指令に基づいて、商品取込機構及び移動機構を制御する制御手段とを有していることを特徴としている。
【0007】
この発明によると、購入者は入力端末から自分の固有情報と購入希望商品とを入力すると、サーバ装置で記憶されるようになっている。そして、サーバ装置内で、購入者が入力した商品の位置を特定し、実際に店内を移動し商品を収集するロボット装置の移動経路を決定して、ロボット装置を遠隔操作するようになっている。これにより、購入者が、例えば、歩き回ることが困難な年配者や障害者であっても、入力端末に希望商品を入力しておけば、ロボット装置が商品を収集してくれるため、希望商品を購入することができ、楽に買い物することができるようになる。
【0008】
また、複数の購入者が入力端末に入力した場合であっても、サーバ装置内で、ロボット装置が利用可能な人数分を選択することで、購入者は入力しておけば、自動で商品を収集してくれるため、他のことをして時間をつぶしたりできるようになる場合がある。
【0009】
第2発明は、第1発明の選択手段が、購入者が入力した購入希望商品の合計金額に基づいて固有情報を選択することを特徴としている。
【0010】
この発明によると、購入金額に基づいて固有情報を選択するようになっているため、購入金額が多い購入者や少ない購入者から順に買い物できる場合がある。例えば、購入者は、より多くの商品を購入する場合、優遇される場合がある。
【0011】
第3発明は、第1発明の購入情報記憶手段には、購入者のこれまでの購入履歴が格納されており、選択手段は、利用履歴に基づいて固有情報を選択することを特徴としている。
【0012】
この発明によると、複数の購入者の中からこれまでの購入履歴に基づいて、購入者を選択するようになっている。従って、例えば、よく利用する購入者を優遇して優先的に買い物させることができたり、新規の購入者を優先的に買い物させて常連客として定着させたりできる場合がある。
【0013】
第4発明は、第1発明のサーバ装置が、選択手段が選択した固有情報を変更する選択変更手段をさらに備えていることを特徴としている。
【0014】
この発明によると、複数の固有情報の中から選択した固有情報、即ち、購入者の購入順序を変更できるようになる。
【0015】
第5発明は、第1〜第4発明において、遠隔制御指令は、選択手段が選択した固有情報を含み、籠は、選択手段が選択した固有情報が割り当てられており、商品取込機構は、把持した商品を、その商品に対応する固有情報が割り当てられた籠に入れることを特徴としている。
【0016】
この発明によると、把持した商品を対応する固有情報が割り当てられた籠に入れるようになっているため、各籠には購入者毎の希望商品が入れられるようになっている。これにより、ロボット装置が全商品を収集した後、各購入者は、自分の籠を取るだけで希望商品を得ることができるため、ロボット装置が収集した商品から自分の希望する商品を探し出す手間を省くことができる。
【0017】
第6発明は、第1〜第5発明において、陳列された商品は、それぞれ固有の識別情報を有しており、籠に入れられた商品の識別情報を読み取る読取手段と、読み取った識別情報をサーバ装置に送信する識別情報送信手段とを有していることを特徴としている。
【0018】
この発明によると、籠に収容された商品の識別情報を読み取り、サーバ装置に送信することで、サーバ装置において、現在のロボット装置の位置や状況を把握できるようになる場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて以下に説明する。
【0020】
本実施形態にかかる商品購入システム100は、スーパーマーケット等の販売店内に設置され、図1に示すように、購入者用端末10と、サーバ装置20と、ロボット装置30とを有している。以下の説明において、購入者とは、上記販売店内に陳列された商品を購入する人のことを言う。
【0021】
(購入者用端末)
購入者用端末10は、一般的なパーソナルコンピュータであって、タッチパネル式のディスプレイを有しており、購入者は、このタッチパネル式のディスプレイに表示される購入画面に従ってIDコードや購入したい商品(以下、希望商品という)が入力できるようになっている。ここで、IDコードは、店舗側から購入者毎に割り当てられている固有の識別コードである。そして、購入者用端末10は、通信ネットワーク50を介してサーバ装置20と接続されており、入力されたIDコード及び希望商品がサーバ装置20に送信されるようになっている。なお、通信ネットワーク50は、有線又は無線のLAN回線であってもよいし、電話回線を利用したインタネット回線であってもよい。また、各商品は商品コードが決められており、希望商品をサーバ装置20に送信するとは、入力された希望商品に対応する商品コードを送信することを意味する。
【0022】
図4は、購入者用端末10のディスプレイに表示される購入画面の一例を示している。図4(a)は、購入者のIDコードを入力するID入力画面である。ID入力画面には、数字を入力する入力欄11と、「0」〜「9」、「決定」及び「消去」からなる入力ボタン12とが表示される。上記したように、購入者用端末10のディスプレイはタッチパネルであり、入力ボタン12は押圧操作可能に表示される。入力ボタン12の「消去」は、IDコードを入力しなおす場合など入力欄11に入力された数字を消去するボタンであり、「決定」は、入力欄11に入力した後に次の画面に移るためのボタンである。具体的には、入力ボタン12の「決定」が操作されると、図4(b)に示すメイン画面が表示される。
【0023】
メイン画面は、画面左側に、類型選択ボタン13が選択可能に表示され、画面右側には、購入リスト14及び決定ボタン15aと削除ボタン15bとが選択可能に表示される。類型選択ボタン13は、商品がカテゴリー毎に分けられており、例えば、「肉類」、「魚類」、「果物」、「飲物」等のボタンが表示される。類型選択ボタン13の何れかを選択すると、図4(c)の商品選択画面が表示される。購入リスト14は、商品選択画面で選択された商品と、その選択された商品の合計金額とが表示される。決定ボタン15aは、購入リスト14に表示された商品の購入を決定する際に選択するボタンであり、操作されると、IDコード及び購入リスト14内の商品コードがサーバ装置20に送信される。削除ボタン15bは、購入リスト14から商品を削除するボタンである。具体的には、購入リスト14の各商品の項目は選択可能となっており、選択された商品は色が反転するようになっている。そして、その状態で削除ボタン15bを選択すると、選択された商品が削除できるようになっている。
【0024】
図4(c)の商品選択画面は、図4(b)に示すメイン画面において、類型選択ボタン13の何れか(例えば「果物」)が選択されると表示される。画面の略中央に、類型「果物」に含まれる商品画像16、例えば、「バナナ」、「りんご」、「メロン」の画像が選択可能に表示され、何れか一つが選択されると、色が反転するようになっている。また、画面右下には、数量ボタン17と、その下には、決定ボタン18a及び戻るボタン18bが選択可能に表示される。数量ボタン17は、購入する数量を決定するボタンであり、上三角マーク17aと下三角マーク17bとを有しており、上三角マーク17aを操作すると数量が増加し、下三角マーク17bを操作すると数量が減少するようになっている。決定ボタン18aは、商品画像16及び数量ボタン17で選択した商品の購入を決定するボタンであり、操作すると、図4(b)のメイン画面の購入リスト14に追加されるようになっている。具体的には、商品画像16の「りんご」を選択し、数量ボタン17を「2」として、決定ボタン18aを操作すると、メイン画面の購入リスト14には、「りんご(2個)」が追加され、合計金額が更新される。戻るボタン18bは、商品の購入を止めて、図4(b)のメイン画面に戻るボタンである。
【0025】
なお、購入者用端末10における希望商品の入力方法等は、上述のように限定されることなく適宜変更可能である。
【0026】
(サーバ装置)
サーバ装置20は、購入者用端末10及びロボット装置30を管理・制御するコンピュータであり、購入者用端末10と通信ネットワーク50を通じて、データ通信可能に接続されている。かかるサーバ装置20は、制御部21、記憶装置22、表示装置23、入力装置24、通信部25及びロボット通信部26を有している。
【0027】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータからなり、後述の処理ルーチン等を実行し、サーバ装置20が有する各装置・機器を制御する機能を有している。具体的には、制御部21は、通信部25から通信ネットワーク50を介して購入者用端末10とデータ通信する機能、購入者用端末10で入力されたIDコード及び希望商品の商品コードをRAM又は記憶装置22等に記憶する機能、複数の購入者から購入順序を決定する機能、ロボット装置30の移動経路を決定し、経路データを生成する機能、通信を行いロボット装置30の位置を把握する機能及びロボット通信部26を介してIDコードや商品コード、経路データ等を含む制御信号を送信してロボット装置30を遠隔操作する機能を有している。
【0028】
記憶装置22は、制御部21で実行される各処理に使用されるデータを格納する記憶領域を有しており、記憶領域には、商品位置データや購入者管理データ等が格納される。
【0029】
商品位置データは、図6に示すように、商品名欄、ブロックコード欄及び配置コード欄を有するデータテーブルとして格納されている。商品名欄には、店内にある商品名が格納される。ブロックコード欄には、図8(a)に示すように、店舗内が複数のブロック(区域)に区分された場合のブロックの位置を示すブロックコードが格納される。配置コード欄には、図8(b)に示すように、各ブロックにおける位置を示す位置コードが格納される。例えば、「りんご」は、Cブロックにある果物コーナの「1−1」の位置に陳列されている。かかるテーブルを参照することで、購入者の希望商品の位置を把握することができる。なお、ブロックコードや配置コード等は予めプログラムにより定義付けられており、後述のロボット装置30は、かかるコード「A−1−1」に基づいてその位置まで移動し、商品を把持するようにプログラムされている。なお、商品は、後述のロボット装置30が把持しやすいように陳列されていることが好ましい。
【0030】
購入者管理データは、図7に示すように、IDコード欄、名前欄、住所欄、購入金額欄及び利用回数欄を有するデータテーブルとして格納されている。IDコード欄には、購入者に割り当てられているIDコードが格納され、名前欄には、購入者の名前、住所欄には、購入者の住所がそれぞれ格納される。また、購入金額欄には、購入者のこれまでの全購入金額、利用回数欄には、購入者が今まで利用した回数が夫々格納される。この購入者管理データは、購入者が上記購入者用端末10を利用するたびに更新される。具体的には、購入者が入力したIDコードに基づいて、希望商品の全購入金額が加算され、利用回数が更新される。これにより、購入者のこれまでの購入履歴を管理することができるようになる。
【0031】
表示装置23は、販売店の管理者が店内を監視したりする画面を表示する。例えば、図5に示すロボット装置30の監視画面等を表示する。監視画面は、各購入者の購入リスト51と、ロボット装置30の位置を示す店内マップ52及びマップ上を移動するポインタ53とが表示される。購入リスト51は、現在ロボット装置30を利用している購入者の希望商品のリストであり、ロボット装置30が商品を収集すると、対応する商品名の左横にチェックマークが表示されるようになっている。これにより、管理者は買物の進捗状況を把握することができるようになっている。店内マップ52は、店全体のマップであり、ポインタ53はロボット装置30の移動に合わせてマップ52上を移動する。これにより、管理者は、ロボット装置30の現在の位置を把握することができ、例えば、ロボット装置30が故障により停止した場合にどの場所で停止しているかを直ぐに把握できる場合がある。また、入力装置24は、制御部21に対して処理命令を入力したりするマウスやキーボード等である。
【0032】
(ロボット装置)
ロボット装置30は、商品を入れる籠35を載置して店内を移動する移動機構31と、商品を把持して籠35に入れる取込機構32とを有し、サーバ装置20による遠隔操作により店内を移動し、購入者の希望商品を収集する。
【0033】
移動機構31は、略直方体で内部に制御部33(図3)を保持する中央支持部31aと、中央支持部31aの側面の下端に垂直に設けられ、籠35が載置可能な載置部31bと、中央支持部31a及び載置部31bの底面に設けられた球型の回転体31cとを有している。回転体31cが球型であるため、ロボット装置30は、四方八方に移動可能となり、直角に曲がったりできるようになる。
【0034】
取込機構32は、中央支持部31aの上面の略中央に垂直に設けられた円筒状の回転支持部32aと、回転支持部32aに垂直に支持され伸縮可能なアーム32bと、アーム32bの先端に設けられ、商品を把持する開閉可能な爪32dを昇降可能に支持する爪支持部32cとを有している。なお、回転支持部32aは、アーム31bが水平方向に回転できるように回転可能に中央支持部31aに設けられている。また、爪32dは、センサ32eを有しており、商品が把持したことを検知できるようになっている。
【0035】
アーム31bは、伸縮可能となっており、商品を把持する際にはアーム31bを伸ばし、把持した商品を籠35に入れる際にはアーム31bを縮めるようになっている。また、アーム31bは、回転支持部32aにより水平方向に回転するようになっているため、中央支持部31aの四方に載置された何れの籠35に対しても商品を入れることができる。なお、陳列される商品が爪32dにより把持し難い商品である場合、爪32dにより把持し易い筐体等に入れて陳列するようにしてもよい。
【0036】
上記のアーム32bや爪32d等は、図3に示すように、中央支持部31aの内部に設けられている制御部33によって制御されている。制御部33には、その他にサーバ装置20と通信可能にする通信部34が接続されており、サーバ装置20から遠隔操作可能なようになっている。また、制御部33には、載置部31bに載置される籠35が接続されている。具体的には、籠35は、読取装置35aを有しており、無線又は有線により読取装置35aが制御部33に接続されている。なお、有線による接続の場合、例えば、載置部31bに籠35を載置することで読取装置35aと接続するようになるコネクタ等を載置部31bと籠35とに設けるようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態において、店内に陳列される商品には商品を識別するための商品コードが格納されたICタグやバーコード等が設けられており、読取装置35aは、かかるICタグの商品コードを読み取るようになっている。これにより、籠35に入れた商品を把握することができるため、購入者の希望商品と収集した商品とが一致しているかを判断できるようになる場合がある。かかる商品の一致・不一致の判断は、ロボット装置30において行ってもよいし、サーバ装置20において行うようにしてもよい。
【0038】
ロボット装置30の制御部33は、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータからなり、サーバ装置20からの制御信号に基づいて、後述の処理ルーチン等を実行し、アーム32b等の各機構を制御する機能を有している。具体的には、制御部33は、制御信号に含まれるIDコードを各籠35に割り当てる機能、制御信号に含まれる経路データに基づいて回転体31cやアーム32b、爪32dを駆動し商品を把持し、把持した商品を該当するIDコードが割り当てられた籠35に入れる機能、籠35の読取装置35aが読み取った、収集した商品の商品コードをサーバ装置20に送信する機能等を有している。
【0039】
なお、商品を収集するロボット装置30は、例えば、店内の床や天井にレールを配設し、そのレールに沿って移動するような構成であってもよい。この場合、ロボット装置30は、レール上を走行せずに移動する場合との対比において、走行コースを外れてしまい商品収集に時間を要してしまうといったおそれを低減できる場合がある。また、ロボット装置30の構成等は、上記に限定されることはない。
【0040】
(商品購入システムの動作)
次に、上記したサーバ装置20やロボット装置30の動作について説明することで、商品購入システム100の動作について説明する。
【0041】
まず、サーバ装置20の動作について説明する。サーバ装置20の制御部21は、図9の処理ルーチンを実行し、最初に購入者用端末10から入力されたIDコード及び希望商品の商品コードを受信したか否かを判定する(A1)。受信した場合(A1:YES)、そのIDコード及び商品コードをRAM又は記憶装置22に格納し(A2)、A3に移行する。IDコード及び商品コードを受信していない場合(A1:NO)、A3に移行する。
【0042】
次に、買物が開始されたか否かを判定する(A3)。ここで、買物が開始される条件として、例えば、所定時間毎に買物を開始するようにしてもよいし、購入者が所定人数集まった段階で開始するようにしてもよい。買物が開始されない場合(A3:NO)、A1に戻る。買物が開始された場合(A3:YES)、買物を行う購入者を選択する(A4)。
【0043】
具体的には、RAM又は記憶装置22には、複数の購入者のIDコード及び商品コードが格納されている。そして、商品を収集するロボット装置30は利用可能人数が決まっている(本実施の形態では4人)。このため、RAM又は記憶装置22に記憶されている複数のIDコードからロボット装置30の利用可能人数分を選択する。かかる選択の方法としては、購入者の希望商品の合計金額が高い順又は低い順にIDコードを選択するようにしてもよいし、図7の購入者管理データの利用回数又は購入金額が高い順(低い順)にIDコードを選択するようにしてもよい。なお、サーバ装置20が選択した購入者を、管理者が入力装置24から変更できるようにしてもよい。
【0044】
続いて、ロボット装置30の移動経路を決定する(A5)。即ち、A4で選択した全IDコードの購入者の全希望商品が配置される位置を図6の位置データから把握し、最短移動距離で全商品が収集できるようにロボット装置30の移動経路を決定し、ロボット装置30に送信する経路データを生成する。次に、選択したIDコード、それに対応する商品コード及び経路データを含む制御信号を送信する(A6)。ロボット装置30は、かかる制御信号を受信すると、陳列された商品の収集を開始する。
【0045】
そして、ロボット装置30から商品コードを受信したか否かを判定する(A7)。この商品コードは、ロボット装置30が陳列された商品を籠35に入れた際に、籠35の読取装置35aが読み取った商品に付されたICコードに格納される商品コードである。商品コードを受信していない場合(A7:NO)、A7を繰り返す。商品コードを受信した場合(A7:YES)、図5に示す監視画面の購入リスト51を更新する(A8)。具体的には、受信した商品コードに対応する購入リスト51にある商品名の左横にチェックマークを入れる。
【0046】
次に、ロボット装置30から終了信号を受信したか否かを判定する(A9)。終了信号を受信していない場合(A9:NO)、A7に戻る。終了信号を受信した場合(A9:YES)、決済を行なって(A10)、本ルーチンを終了する。なお、ロボット装置30が商品を収集している間は、常に通信を行い、図5に示すポインタ53がロボット装置30と同期してマップ52上を移動するようになっている。
【0047】
次に、ロボット装置の動作について説明する。ロボット装置30の制御部33は、図10に示す処理ルーチンを実行し、まず、サーバ装置30から制御信号を受信したか否かを判定する(B1)。受信していない場合(B1:NO)、B1を繰り返す。受信した場合(B1:YES)、制御信号に含まれるIDコードを籠35に割り当てる(B2)。具体的には、本実施の形態では、ロボット装置30は、4つの籠35を載置しており、各籠35にそれぞれIDコードを割り当てる。これにより、各籠35には購入者毎の希望商品が入れられるようなるため、ロボット装置30が全商品を収集した後、各購入者は、自分の籠35を取るだけで希望商品を得ることができる。従って、ロボット装置30が収集した商品から自分の希望する商品を探し出す手間を省くことができる。
【0048】
続いて、制御信号に含まれる経路データに基づいて移動し、該当する商品を把持し、該当するIDコードが割り当てられた籠35に入れる(B3)。そして、商品に付されたICタグに格納される商品コードを読み取る(B4)。具体的には、商品を入れた籠35の読取装置35aが読み取った商品コードを受信する。その後、商品コードをサーバ装置20に送信する(B5)。そして、買物が終了したか否かを判定する(B6)。即ち、サーバ装置20から送信された全商品コードの商品を収集したかを判定する。買物が終了していない場合(B6:NO)B3に戻り、上記動作を繰り返す。買物が終了した場合(B6:YES)、終了信号をサーバ装置20に送信する(B7)。そして、B1に戻り、上記動作を繰り返す。
【0049】
(本実施形態の概要)
以上、説明したように、本実施の形態は、購入者の固有情報(例えば、IDコード)と購入希望商品とを入力する入力端末(例えば、購入者用端末10)と、商品が陳列された店内を移動するロボット装置(例えば、ロボット装置30)と、入力端末と有線又は無線接続し、入力端末で入力された商品を、遠隔操作によりロボット装置に収集させるサーバ装置(例えば、サーバ装置20)とを備える商品購入システム(例えば、商品購入システム100)であって、サーバ装置は、陳列された商品の店内における位置を示す位置データを記憶する位置データ記憶手段(例えば、記憶装置22)と、複数の購入者が端末から入力した商品を、各購入者の固有情報に対応付けて記憶する購入情報記憶手段(例えば、制御部21のRAM、記憶装置22)と、ロボット装置の利用可能な人数分(例えば、4人)の固有情報を記憶手段から選択する選択手段(例えば、制御部21)と、選択した固有情報に対応する商品の位置データを位置データ記憶手段から取得し、その位置データに基づいて、ロボット装置の移動経路を決定し、経路データを生成する経路決定手段(例えば、制御部21)と、選択した固有情報に対応する商品及び経路データを含む遠隔制御指令(例えば、制御信号)をロボット装置に送信する指令送信手段(例えば、制御部21、ロボット通信部26)とを有し、ロボット装置は、商品を入れる籠(例えば、籠35)と、陳列された商品を把持し、に入れる商品取込機構(例えば、取込機構32)と、店内を移動する移動機構(例えば、移動機構31)と、サーバ装置から送信される遠隔制御指令に基づいて、商品取込機構及び移動機構を制御する制御手段(例えば、制御部33)とを有した構成である。
【0050】
この構成によると、購入者は入力端末から自分の固有情報と購入希望商品とを入力すると、サーバ装置で記憶されるようになっている。そして、サーバ装置内で、購入者が入力した商品の位置を特定し、実際に店内を移動し商品を収集するロボット装置の移動経路を決定して、ロボット装置を遠隔操作するようになっている。これにより、購入者が、例えば、歩き回ることが困難な年配者や障害者であっても、入力端末に希望商品を入力しておけば、ロボット装置が商品を収集してくれるため、希望商品を購入することができ、楽に買い物することができるようになる。
【0051】
また、複数の購入者が入力端末に入力した場合であっても、サーバ装置内で、ロボット装置が利用可能な人数分を選択することで、購入者は入力しておけば、自動で商品を収集してくれるため、他のことをして時間をつぶしたりできるようになる場合がある。
【0052】
また、本実施の形態は、選択手段が、購入者が入力した購入希望商品の合計金額に基づいて固有情報を選択する構成となっている。
【0053】
この構成によると、購入金額に基づいて固有情報を選択するようになっているため、購入金額が多い購入者や少ない購入者から順に買い物できる場合がある。例えば、購入者は、より多くの商品を購入する場合、優遇される場合がある。
【0054】
さらに、本実施の形態の購入情報記憶手段には、購入者のこれまでの購入履歴(例えば、購入者管理データ)が格納されており、選択手段は、利用履歴(例えば、利用回数、購入金額)に基づいて固有情報を選択する構成となっている。
【0055】
これによると、複数の購入者の中からこれまでの購入履歴に基づいて、購入者を選択するようになっている。従って、例えば、よく利用する購入者を優遇して優先的に買い物させることができたり、新規の購入者を優先的に買い物させてお客として定着させたりできる場合がある。
【0056】
また、本実施の形態は、サーバ装置が、選択手段が選択した固有情報を変更する選択変更手段(例えば、制御部21、入力装置24)をさらに備えている構成としている。
【0057】
この構成によると、複数の固有情報の中から選択した固有情報、即ち、購入者の購入順序を変更できるようになる。
【0058】
本実施の形態において、遠隔制御指令は、選択手段が選択した固有情報を含み、籠は、選択手段が選択した固有情報が割り当てられており、商品取込機構は、把持した商品を、その商品に対応する固有情報が割り当てられた籠に入れる構成となっている。
【0059】
これによると、把持した商品を対応する固有情報が割り当てられた籠に入れるようになっているため、各籠には購入者毎の希望商品が入れられるようになっている。これにより、ロボット装置が全商品を収集した後、各購入者は、自分の籠を取るだけで希望商品を得ることができるため、ロボット装置が収集した商品から自分の希望する商品を探し出す手間を省くことができる。
【0060】
さらに、本実施の形態では、陳列された商品は、それぞれ固有の識別情報(例えば、商品コード)を有しており、籠に入れられた商品の識別情報を読み取る読取手段(例えば、読取装置35a)と、読み取った識別情報をサーバ装置に送信する識別情報送信手段(例えば、制御部33、通信部34)とを有している。
【0061】
これによると、籠に収容された商品の識別情報を読み取り、サーバ装置に送信することで、サーバ装置において、現在のロボット装置の位置や状況を把握できるようになる場合がある。
【0062】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】商品購入システムの全体図を示す図。
【図2】ロボット装置の外観図。
【図3】ロボット装置のブロック図。
【図4】購入者用端末に表示される購入画面を示す図。
【図5】サーバ装置に表示される監視画面を示す図。
【図6】商品位置データのデータテーブルを示す図。
【図7】購入者管理データのデータテーブルを示す図。
【図8】(a)店内をブロック分けした場合の説明図。(b)各商品の陳列位置の説明図。
【図9】サーバ装置動作処理ルーチンのフローチャートを示す図。
【図10】ロボット装置動作処理ルーチンのフローチャートを示す図
【符号の説明】
【0064】
10 購入者用端末
20 サーバ装置
21 制御部
22 記憶装置
23 表示装置
24 入力装置
25 通信部
26 ロボット通信部
30 ロボット装置
35 籠
50 通信ネットワーク
100 商品購入システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入者の固有情報と購入希望商品とを入力する入力端末と、
商品が陳列された店内を移動するロボット装置と、
前記入力端末と有線又は無線接続し、前記入力端末で入力された商品を、遠隔操作により前記ロボット装置に収集させるサーバ装置と
を備える商品購入システムであって、
前記サーバ装置は、
陳列された前記商品の店内における位置を示す位置データを記憶する位置データ記憶手段と、
複数の購入者が前記入力端末から入力した前記商品を、各購入者の固有情報に対応付けて記憶する購入情報記憶手段と、
前記ロボット装置の利用可能な人数分の固有情報を前記記憶手段から選択する選択手段と、
選択した前記固有情報に対応する商品の位置データを前記位置データ記憶手段から取得し、その位置データに基づいて、前記ロボット装置の移動経路を決定し、経路データを生成する経路決定手段と、
選択した固有情報に対応する商品及び前記経路データを含む遠隔制御指令を前記ロボット装置に送信する指令送信手段と
を有し、
前記ロボット装置は、
前記商品を入れる籠と、
陳列された前記商品を把持し、前記籠に入れる商品取込機構と、
店内を移動する移動機構と、
前記サーバ装置から送信される遠隔制御指令に基づいて、前記商品取込機構及び前記移動機構を制御する制御手段と
を有していることを特徴とする商品購入システム。
【請求項2】
前記選択手段は、
購入者が入力した購入希望商品の合計金額に基づいて前記固有情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の商品購入システム。
【請求項3】
前記購入情報記憶手段には、前記購入者のこれまでの購入履歴が格納されており、
前記選択手段は、
前記利用履歴に基づいて前記固有情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の商品購入システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
前記選択手段が選択した固有情報を変更する選択変更手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の商品購入システム。
【請求項5】
前記遠隔制御指令は、前記選択手段が選択した固有情報を含み、
前記籠は、前記選択手段が選択した前記固有情報が割り当てられており、
前記商品取込機構は、
把持した商品を、その商品に対応する固有情報が割り当てられた籠に入れることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の商品購入システム。
【請求項6】
陳列された前記商品は、それぞれ固有の識別情報を有しており、
前記籠に入れられた商品の前記識別情報を読み取る読取手段と、
読み取った識別情報を前記サーバ装置に送信する識別情報送信手段と
を有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の商品購入システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−109140(P2007−109140A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301563(P2005−301563)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】