説明

圧電デバイス

【課題】発振周波数の変動を防ぐ圧電デバイスを提供することを課題とする。
【解決手段】四角形の圧電素板に励振用電極を被着形成し、その励振用電極から前記四角形の圧電素板に対して対角に位置するように引き出し電極が形成されている圧電振動素子と、圧電振動素子の引き出し電極に対向する位置に2個一対の搭載部が設けられ、前記2個一対の搭載部にそれぞれ2個一対の圧電振動素子搭載パッドが設けられている素子搭載部材と、圧電振動素子を気密封止する蓋部材と、を備え、圧電振動素子搭載パッドは、第1の金属層と第2の金属層とを積層して一体で設けられ、前記第1の金属層の厚みが30μm〜100μmであることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の圧電デバイスを示す分解斜視図である。図10は、図9のE−E断面図である。図9及び図10に示すように、従来の圧電デバイス300は、凹部空間311を有する素子搭載部材310と圧電振動素子320と集積回路素子340と蓋部材330とから主に構成されている。
前記素子搭載部材310は、基板部310aと第1の枠部310bと第2の枠部310cで構成されている。
【0003】
この素子搭載部材310は、基板部310aの一方の主面に第1の枠部310b、第2の枠部310cの順に設けられて平面視して四角形状の凹部空間311が形成される。また、前記凹部空間311内には前記凹部空間311内底面より高い位置に2個一対の搭載部313が設けられている。
また、2個一対の搭載部313は、凹部空間311の開口面に対して対角となる位置に設けられている。その搭載部313には、圧電振動素子搭載パッド314がそれぞれに設けられている。
【0004】
圧電振動素子320は、四角形の水晶素板321に励振用電極322を被着形成し、その励振用電極322から両短辺に向かってそれぞれ延出するようにして対角に位置するように引き出し電極323が形成されている。
励振用電極322は、前記水晶素板321の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
引き出し電極323は、前記水晶素板321の両主面に被着されている前記励振用電極322から両短辺に向かってそれぞれ延出するようにして対角に位置するように設けられている。
このような圧電振動素子320は、前記引き出し電極323と後述する凹部空間311内の搭載部313に形成されている後述する圧電振動素子搭載パッド314とを、導電性接着剤DSを介して電気的且つ機械的に接続することによって凹部空間311に搭載される。
【0005】
前記集積回路素子340は、前記素子搭載部材310の凹部空間311内底面に形成された集積回路素子搭載パッド315上に搭載されている。
前記蓋部材330は、前記素子搭載部材310の凹部空間311上に載置し、前記蓋部材330の封止部材331と前記素子搭載部材310の封止用導体パターン312とを接合することにより、凹部空間311内を気密封止する。
前記素子搭載部材310の他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子316である電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子が設けられている。
また、圧電デバイス300において、2個一対の搭載部313が凹部空間311内底面の隅部に対角に位置するように設けられている構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、圧電振動素子搭載パッド314は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)からなる第1の金属層と金(Au)またはニッケル(Ni)からなる第2の金属層を積層することで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−77652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の圧電デバイス300のように、圧電振動素子320を搭載する際に、圧電振動素子320の引き出し電極323と搭載部313の圧電振動素子搭載パッド314が接合している箇所を軸として傾く場合がある。このような場合、圧電振動素子320の接合されていない箇所の角が、素子搭載部材310の凹部空間311内底面に接触し、圧電振動素子320の振動が阻害されることになる。このため、従来の圧電デバイス300は、発振周波数が変動してしまう課題があった。
【0008】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、発振周波数が変動することを防ぐ圧電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧電デバイスは、四角形の圧電素板に励振用電極を被着形成し、その励振用電極から四角形の圧電素板に対して対角に位置するように引き出し電極が形成されている圧電振動素子と、圧電振動素子の引き出し電極に対向する位置に2個一対の搭載部が設けられ、2個一対の搭載部にそれぞれ2個一対の圧電振動素子搭載パッドが設けられている素子搭載部材と、圧電振動素子を気密封止する蓋部材と、を備え、圧電振動素子搭載パッドは、第1の金属層と第2の金属層とを積層して一体で設けられ、第1の金属層の厚みが30μm〜100μmであることを特徴とするものである。
【0010】
また、素子搭載部材に少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を備え、集積回路素子と圧電振動素子とが電気的に接続された状態となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧電デバイスによれば、搭載部に設けられている圧電振動素子搭載パッドは、第1の金属層と第2の金属層とを積層して一体で設けられ、第1の金属層の厚みが30μm〜100μmであることによって、圧電振動素子を搭載する際に、圧電振動素子の引き出し電極と搭載部の圧電振動素子搭載パッドが接合している箇所を軸として傾いても、圧電振動素子搭載パッドの第1の金属層の厚みが確保されているので、圧電振動素子の接合されていない箇所の角が素子搭載部材の凹部空間内底面に接触することがなくなる。よって、圧電振動素子の振動が阻害されないため、圧電デバイスの発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の圧電振動素子搭載パッドを示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスにおける圧電振動素子搭載パッドの第1の金属層の厚みと圧電デバイスの発振周波数変動の歩留まりの関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】図6のD−D断面図である。
【図9】従来の圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図10】図9のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図1のB−B断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の圧電振動素子搭載パッドを示す概略図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスにおける圧電振動素子搭載パッドの第1の金属層の厚みと圧電デバイスの発振周波数変動の歩留まりの関係を示すグラフである。
【0015】
本実施形態において、圧電デバイスの一例として、圧電振動子について説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動子100は、素子搭載部材110と圧電振動素子120と蓋部材130で主に構成されている。この圧電振動子100は、前記素子搭載部材110に形成されている凹部空間111内底面の隅部に対角に位置するように設けられている搭載部113が設けられる。前記搭載部113に設けられた圧電振動素子搭載パッド114に圧電振動素子120が搭載され、その凹部空間111が蓋部材130により気密封止された構造となっている。
【0016】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
【0017】
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
【0018】
励振用電極122は、前記水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
【0019】
引き出し電極123は、前記水晶素板121の両主面に被着されている前記励振用電極122から両短辺に向かってそれぞれ延出するようにして対角に位置するように設けられている。
【0020】
このような圧電振動素子120は、前記引き出し電極123と後述する凹部空間111内の搭載部113に形成されている後述する圧電振動素子搭載パッド114とを、導電性接着剤DSを介して電気的且つ機械的に接続することによって凹部空間111に搭載される。
【0021】
図1〜図3に示すように、素子搭載部材110は、基板部110a、第1の枠部110b、第2の枠部110cとで主に構成されている。
素子搭載部材110は、基板部110aの一方の主面に第1の枠部110bと第2の枠部110bが設けられて、四角形の凹部空間111が形成されている。
【0022】
この素子搭載部材110は、例えば基板部110aの上に第1の枠部110b、第2の枠部110cの順に積層されており、前記第2の枠部110cが、前記第1の枠部110bの開口の幅よりも広くなるように形成されている。これにより、第1の枠部110bと第2の枠部110cによって、凹部空間111底面の隅部で対角に位置する2個一対の搭載部113が形成される。従って、2個一対の搭載部113は、前記第1の枠部110bの前記第1の凹部空間内側壁部と、第2の枠部110cの主面によって形成される。
つまり、2個一対の搭載部113は、凹部空間111の開口面に対して対角となる位置に設けられている。それぞれの搭載部113には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド114が設けられている。
【0023】
尚、この素子搭載部材110を構成する基板部110a、第1の枠部110b、第2の枠部110cは、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。また、基板部110aは、セラミック材が積層した構造となっている。
【0024】
この素子搭載部材110の第2の枠部110cの主面には、環状の封止用導体パターン112が設けられている。
また、基板部110aの内層には、配線パターン(図示せず)等が設けられている。
素子搭載部材110の基板部110aの他方の主面には、外部接続用電極端子116が設けられ、前記外部接続用電極端子116は、例えば電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子として用いられる。
【0025】
図4に示すように、圧電振動素子搭載パッド114は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等から成る第1の金属層114aの表面に、金メッキ等からなる第2の金属層114bを積層することで形成されている。
【0026】
圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みは、30μm〜100μmである。
圧電振動素子搭載パッド114の第2の金属層114bの厚みは、0.3μm〜0.5μmである。
【0027】
ここで、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが30μm未満の場合は、素子搭載部材110に搭載する際に、圧電振動素子120の引き出し電極123と搭載部113の圧電振動素子搭載パッド114が接合している箇所を軸として傾くと、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが確保されていないので、圧電振動素子120の接合していない角が素子搭載部材110の凹部空間111内底面に接触してしまう。よって圧電デバイス100の発振周波数が変動することになる。
【0028】
また、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが100μmより大きくした場合には、第1の金属層114aの平坦度が取れないため、圧電振動素子120が平行に搭載されない。よって、イオンガン(図示せず)による周波数調整時に、圧電振動素子120の励振用電極122を均等に除去することができないので、圧電デバイス100の発振周波数が変動することになる。
このように、圧電振動素子120は、導電性接着剤DSの硬化前のやわらかい状態で、傾くことで素子搭載部材110の凹部空間111内底面に接触することがあるが、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みを規定したので傾いても、素子搭載部材110の凹部空間111内底面に接触しない。
【0029】
つまり、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みを30μm〜100μmとすることで、圧電振動素子120の引き出し電極123と搭載部113の圧電振動素子搭載パッド114が接合している箇所を軸として傾いても、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが確保されているので、圧電振動素子120が素子搭載部材110の凹部空間111内底面に接触しない。よって、圧電デバイス100の発振周波数の変動を防ぐことができる。
【0030】
前記封止用導体パターン112は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、等から成る基層の表面にニッケル(Ni)層及び金(Au)層を順次、凹部空間111を環状に囲繞する形態で被着させることによって、10μm〜25μmの厚みに形成されている。
【0031】
蓋部材130は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる。このような蓋部材130は、凹部空間111を、窒素ガスや真空などで気密的に封止される。具体的には、蓋部材130は、窒素雰囲気中や真空雰囲気中で、素子搭載部材110の枠部110c上に載置され、枠部110cの封止用導体パターン112と蓋部材130の封止部材131とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、枠部110bに接合される。
封止部材131は、例えば、銀ロウ(Ag−Sn)、金錫(Au−Sn)によって形成される。
【0032】
前記導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0033】
尚、前記素子搭載部材110は、アルミナセラミックスから成る場合、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面に、封止用導体パターン112、圧電振動素子搭載パッド114、外部接続用電極端子116等となる導体ペーストを、また、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内にビア導体となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することにより製作される。
【0034】
本発明の圧電デバイスによれば、搭載部113に設けられている圧電振動素子搭載パッド114は、第1の金属層114aと第2の金属層114bとを積層して一体で設けられ、第1の金属層114aの厚みが30μm〜100μmであることによって、圧電振動素子120を搭載する際に、圧電振動素子120の引き出し電極123と搭載部113の圧電振動素子搭載パッド114が接合している箇所を軸として傾いても、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが確保されているので、圧電振動素子120の接合されていない箇所の角が素子搭載部材110の凹部空間111内底面に接触することがなくなる。よって、圧電振動素子120の振動が阻害されないため、圧電デバイス100の発振周波数が変動することを防ぐことができる。
よって、圧電振動素子120の振動が阻害されないため、圧電デバイス100の発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【0035】
図5に示すように、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが30μm未満の場合には、圧電振動素子120が素子搭載部材110の凹部空間111内底面に接触してしまったため、圧電デバイス100の発振周波数変動の歩留まりが低下していることが確認できる。つまり、図5に示すように圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが30μmより小さくなると歩留まりが悪くなることが確認できる。
また、図5に示すように、圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが100μmより大きい場合には、圧電振動素子120が平行に搭載されない。よって、イオンガン(図示せず)による周波数調整時に、圧電振動素子120の励振用電極122を均等に除去することができないので、圧電デバイス100の発振周波数変動の歩留まりが低下していることが確認できる。つまり、図5に示すように圧電振動素子搭載パッド114の第1の金属層114aの厚みが100μmより大きくなると歩留まりが悪くなることが確認できる。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、圧電デバイスの一例である圧電発振器で説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図7は、図6のC−C断面図である。図8は、図6のD−D断面図である。
本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイス200は、素子搭載部材210の凹部空間215内に搭載されている集積回路素子240を備えている点で第1の実施形態と異なる。
【0037】
図6に示すように、本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器200は、素子搭載部材210と圧電振動素子120と蓋部材130と集積回路素子240で主に構成されている。この圧電発振器200は、前記素子搭載部材210に形成されている凹部空間211内に圧電振動素子120及び集積回路素子240が搭載されており、その凹部空間211が蓋部材130により気密封止された構造となっている。
【0038】
集積回路素子240は、図6〜図8に示すように、回路形成面に前記圧電振動素子120からの発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された出力信号は外部接続用電極端子216を介して圧電発振器200の外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
また、集積回路素子240には、可変容量素子に周囲温度に応じた制御電圧を印加して温度変化による発振回路の発振周波数の変動を補償するため、3次関数発生回路及び記憶素子部により温度補償回路部が設けられており、3次関数発生回路には、温度センサが接続されている。
【0039】
この温度センサは、検出した温度と、温度センサに印加させる電圧値とに基づいて生成される温度データ信号(電圧値)が3次関数発生回路に出力される構成となっている。
集積回路素子240は、素子搭載部材210の凹部空間211内に露出した基板部210aに形成された集積回路素子搭載パッド215に半田等の導電性接合材(図示せず)を介して搭載されている。
【0040】
図6〜図8に示すように、素子搭載部材210は、基板部210a、第1の枠部210b、第2の枠部210cとで主に構成されている。
この素子搭載部材210は、例えば基板部210aの上に第1の枠部210b、第2の枠部210cの順に積層されており、前記第2の枠部210cが、前記第1の枠部210bの開口の幅よりも狭くなるように形成されている。これにより、第1の枠部210bと第2の枠部210cによって、凹部空間211底面の隅部で対角に位置する2個一対の搭載部213が形成される。つまり、2個一対の搭載部213は、前記第1の枠部210bの前記第1の凹部空間内側壁部と、第2の枠部210cの主面によって形成される。
【0041】
つまり、2個一対の搭載部213は、凹部空間211の開口面に対して対角となる位置に設けられている。その搭載部213には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド214がそれぞれに設けられている。
尚、この素子搭載部材210を構成する基板部210a、第1の枠部210b、第2の枠部210cは、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。また、基板部210aは、セラミック材が積層した構造となっている。
【0042】
この素子搭載部材210の第2の枠部210cの主面には、環状の封止用導体パターン212が設けられている。
また、凹部空間211内で露出した基板部210aの一方の主面には、集積回路素子搭載パッド215が設けられている。
基板部210aの内層には、配線パターン(図示せず)等が設けられている。
素子搭載部材210の基板部210aの他方の主面には、外部接続用電極端子216が設けられ、前記外部接続用電極端子216は、例えば電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子として用いられる。
【0043】
圧電振動素子搭載パッド214は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等から成る第1の金属層の表面に、金メッキ等からなる第2の金属層を積層することで形成されている。
圧電振動素子搭載パッド214の第1の金属層の厚みは、30μm〜100μmである。
圧電振動素子搭載パッド214の第2の金属層の厚みは、0.3μm〜0.5μmである。
【0044】
ここで、圧電振動素子搭載パッド214の第1の金属層の厚みが30μm未満の場合は、素子搭載部材210に搭載する際に、圧電振動素子120の引き出し電極123と搭載部213の圧電振動素子搭載パッド214が接合している箇所を軸として傾くと、圧電振動素子搭載パッド214の第1の金属層の厚みが確保されていないので、圧電振動素子120の接合していない角が素子搭載部材210の凹部空間211内底面に接触してしまう。よって、圧電振動素子120の振動が阻害されるため、圧電デバイス200の発振周波数が変動することになる。
【0045】
また、圧電振動素子搭載パッド214の第1の金属層の厚みが100μmより大きくした場合は、第1の金属層の平坦度が取れないため、圧電振動素子120が平行に搭載することができない。よって、イオンガン(図示せず)による周波数調整時に、圧電振動素子120の励振用電極122を均等に除去することができないので、圧電デバイス200の発振周波数が変動してしまう。
【0046】
つまり、圧電振動素子搭載パッド214の第1の金属層の厚みを30μm〜100μmとすることで、圧電振動素子120を搭載する際に、圧電振動素子120の引き出し電極123と搭載部213の圧電振動素子搭載パッド214が接合している箇所を軸として傾いても、圧電振動素子搭載パッド214の第1の金属層の厚みが確保されているので、圧電振動素子120の接合していない角が素子搭載部材210の凹部空間211内底面に接触しない。よって、圧電振動素子120の振動が阻害されないため、圧電デバイス200の発振周波数の変動を防ぐことができる。
【0047】
このように本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを構成しても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、前記した実施形態においては、圧電振動素子を構成する圧電素材として水晶を用いた圧電発振器を説明したが、圧電素材としては、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを用いたものでも構わない。
【0049】
また、本発明の実施形態に限定されるものではなく、圧電発振器が第1の容器体と第2の容器体と圧電振動素子と蓋部材と、集積回路素子とで主に構成されている。
その圧電発振器の第1の容器体の一方の主面に形成されている凹部空間内に、圧電振動素子が搭載され、第2の容器体の一方の主面に形成される凹部空間内に集積回路素子が搭載されており、前記第1の容器体の他方の主面に形成されている第2の容器体接続用端子と前記第2の容器体の主面に形成された第1の容器体接続用電極端子が接合された構造となっていても構わない。
【符号の説明】
【0050】
110、210・・・素子搭載部材
110a、210a・・・基板部
110b、110c、210b、210c・・・枠部
111、211・・・凹部空間
112、212・・・封止用導体パターン
113、213・・・搭載部
114、214・・・圧電振動素子搭載パッド
215・・・集積回路素子搭載パッド
116、216・・・外部接続用電極端子
114a・・・第1の金属層
114b・・・第2の金属層
120・・・圧電振動素子(水晶振動素子)
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・引き出し電極
130・・・蓋部材
131・・・封止部材
240・・・集積回路素子
DS・・・導電性接着剤
100、200・・・圧電デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形の圧電素板に励振用電極を被着形成し、その励振用電極から前記四角形の圧電素板に対して対角に位置するように引き出し電極が形成されている圧電振動素子と、
前記圧電振動素子の引き出し電極に対向する位置に2個一対の搭載部が設けられ、前記2個一対の搭載部にそれぞれ2個一対の圧電振動素子搭載パッドが設けられている素子搭載部材と、
前記圧電振動素子を気密封止する蓋部材と、を備え、
前記圧電振動素子搭載パッドは、第1の金属層と第2の金属層とを積層して一体で設けられ、前記第1の金属層の厚みが30μm〜100μmであることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記素子搭載部材に少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を備え、前記集積回路素子と前記圧電振動素子とが電気的に接続された状態となっていることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−258947(P2010−258947A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108976(P2009−108976)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】