圧電振動素子、圧電振動子、圧電発振器、及び電子機器
【課題】小型で且つ耐衝撃性のある圧電振動子(音叉型圧電振動子)を得る。
【解決手段】圧電振動素子1の圧電基板8は、一対の振動腕15a、15bと、その振動腕の一方の端部間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部に夫々形成され幅広の錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心に沿って形成された溝部17a〜18bと、各振動腕15a、15bに夫々形成された励振電極30〜36と、を備えている。各錘部20a、20bは、厚肉部21と、薄肉部22a、22bと、薄肉部の表裏面上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周、或いは薄肉部の面積内に錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部を備えている。
【解決手段】圧電振動素子1の圧電基板8は、一対の振動腕15a、15bと、その振動腕の一方の端部間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部に夫々形成され幅広の錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心に沿って形成された溝部17a〜18bと、各振動腕15a、15bに夫々形成された励振電極30〜36と、を備えている。各錘部20a、20bは、厚肉部21と、薄肉部22a、22bと、薄肉部の表裏面上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周、或いは薄肉部の面積内に錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動素子に関し、特に小型化を図ると共に耐衝撃性を改善した圧電振動素子、圧電振動子、圧電発振器、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話等の移動体通信機や、モバイルコンピューター、ハードディスク・ドライブ等の小型情報機器には、基準周波数源として圧電デバイスが広く用いられている。圧電デバイスを搭載した電子機器の小型化、高性能化が進むに伴い、圧電デバイスの更なる小型化が求められている。
特許文献1には、耐衝撃性を改善した圧電デバイスが開示されている。圧電振動素子は、一対の振動腕と、一対の振動腕の一方の端部間を連接する基部と、各振動腕の振動中心に沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部と、各振動腕に夫々形成され励振電極と、を備えている。溝部を設けることにより基部よりも先端側である各振動腕の重量が軽量化される。このため圧電振動素子の重心は、溝なし圧電振動素子と比べると基部側に移動する。つまり、圧電振動素子の全長Lに対して圧電振動素子の基端部からの重心の位置GLは小さくなり、GL/Lの値が小さくなる。この結果、衝撃が加わったとき振動腕先端部の撓み量(変位量)が小さくなり、耐衝撃性が改善されると開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、互いに平行な一対の振動腕の各先端部に、振動腕より幅広の拡大部を設けた音叉型圧電振動子が開示されている。この拡大部は有底の孔を有し、この有底の孔には圧電材料より比重が大きい材料を充填して錘とすることにより音叉型圧電振動子の小型化が図られると記されている。
また、特許文献3には、音叉型圧電振動素子の振動腕の長さをLとしたとき、振動腕の先端から基部に向かって0.01×L離れた位置に、周波数調整用金属膜の端部を設ける例が示されている。落下による衝撃を受けても、周波数調整用金属膜はパッケージ本体、又は蓋体に接触しないので、周波数の変動が軽減されると開示されている。
【0004】
特許文献4に開示された小型振動子は、一対の振動腕と、各振動腕の一方の端部を連接する基部と、基部の端部中央から基部に直交して振動腕の長手方向に延在する支持部と、を備えている。小型振動子はT型形状をしており、同じ周波数の音叉型振動子に対して長さが短く、且つ耐衝撃性が改善できると記述されている。
また特許文献5に開示された圧電デバイスは、リッドと、水晶フレームと、ベースとの3層で形成されている。水晶フレームは、一対の振動腕と、各振動腕の一方の端部を連接する基部と、基部の両端部に連接される支持腕と、支持腕の端部に連接されたフレーム(額縁)状の薄片と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−133897公報
【特許文献2】特開2004−282230公報
【特許文献3】特開2009−290778公報
【特許文献4】特開2002−141770公報
【特許文献5】特開2009−165006公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された圧電振動素子は、耐衝撃性の改善は期待されるものの、振動腕方向の短縮化に難がるという問題があった。
また、特許文献2に開示された圧電振動素子は、周波数を維持し小型化は期待されるものの、耐衝撃性に問題があった。
また、特許文献3に開示された圧電振動素子は、周波数を所定の周波数に維持しながら振動腕方向の短縮化を図るには問題があった。
また、特許文献4に開示の小型振動子、及び特許文献5に開示の圧電デバイスは、外部から加えられる衝撃に対し周波数が変動する虞があるという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、圧電振動素子の小型化を図ると共に、耐衝撃性を改善した圧電振動素子、圧電振動子、圧電発振器、及電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本発明に係る圧電振動素子は、複数の振動腕、該各振動腕の一方の端部間を連接する基部、前記各振動腕の他方の端部に夫々形成され該各振動腕よりも幅広の錘部、及び、前記各振動腕の振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された第一の溝部を備えた圧電基板と、前記各振動腕の表裏面及び両側面に夫々形成され、且つ前記基部に設けた複数の電極パッドとの間を夫々電気的に接続される励振電極と、を備えた圧電振動素子であって、前記各錘部は、前記各振動腕の他方の端部と連設された厚肉部と、該厚肉部よりも薄肉の薄肉部と、前記薄肉部の表面又は裏面の少なくとも一方の面上に形成された錘用電極膜と、前記薄肉部の外周の少なくとも一部、或いは該薄肉部の面積内に前記錘用電極膜を形成しない厚肉の突設部を備えていることを特徴とする圧電振動素子である。
【0009】
各錘部は、各振動腕に連接して一体形成された厚肉部、薄肉部、突設部と、薄肉部上に成膜された錘用電極膜とで構成されている。圧電振動素子がパッケージに収容され、圧電振動素子に衝撃が加えられた際に、錘用電極膜を形成しない突設部がパッケージの内部底面、または蓋部材に衝突するようになるので、錘用電極膜の破損、剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘用電極膜を各振動腕の先端部に形成することにより、圧電振動素子の小型化が図れるという利点もある。
【0010】
[適用例2]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の振動中心線に沿った先端縁に設けられていることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0011】
薄肉部上に形成される突設部は先端縁に設けられているので、圧電振動素子に衝撃が加えられ振動腕が撓んだ際に突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘部が設けられたので小型化になると共に、突設部が振動中心線に対し対称に形成されているので、振動のバランスが保たれ、振動漏れが少ないという利点もある。
【0012】
[適用例3]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の面積内に設けられていることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0013】
突設部は薄肉部の面積内に設けられているので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0014】
[適用例4]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記錘部の先端縁中央部から該錘部の略中央部まで延在し、且つ前記振動中心線に対して対称な溝部であることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0015】
溝部は振動中心線に沿って錘部の先端縁中央部から錘部の略中央部まで形成されており、薄肉部であるこの溝部に錘用電極膜を成膜するので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に溝部以外の突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0016】
[適用例5]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在していることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0017】
突設部が薄肉部の先端側において錘部の全幅に渡って形成されているので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく周波数の変動が生じないという効果がある。
【0018】
[適用例6]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記錘部の面積内中央部に配置された溝部であり、該薄肉部の先端、左右両側方に前記突設部を備えていることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0019】
薄肉部は、錘部の面積内中央部に配置された溝部であり、この溝部に錘用電極膜を成膜するので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0020】
[適用例7]また圧電振動素子は、前記薄肉部、及び前記錘用電極膜には、表裏面を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする適用例1乃至6の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0021】
薄肉部及び錘用電極膜に貫通孔を設けるので、この貫通孔を介して各振動腕の励振電極、リード電極の電気的接続が可能になるという効果がある。
【0022】
[適用例8]また圧電振動素子は、前記基部は、基部本体と、該基部本体の前記振動腕とは反対側の他端縁中間部に設けた連結部と、該連結部を介して連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、を備えていることを特徴とする適用例1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0023】
圧電振動素子の基部が、基部本体と、連結部と、L字状及び逆L字状の各支持腕と、を有し、L字状及び逆L字状の各端部同志を連接し、この連結部を介して基部本体の一方の端部中央に連接して構成されている。このため、各振動腕より各支持腕に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。この結果、衝突による錘用電極の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0024】
[適用例9]また圧電振動素子は、前期基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の中央端部と連接し前記各振動腕の長手方向に延在する第一の支持部材と、該第一の支持部材の他方の端部と中央端部で連接し且つ第一の支持部材と直交する第二の支持部材と、を備えていることを特徴とする適用例1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0025】
圧電振動素子の基部が、基部本体の端部中央にT型の支持部材の端縁を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体を経由して支持部材に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。このため、衝撃による錘用電極24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0026】
[適用例10]また圧電振動素子は、前記基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の両端部に連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、前記一対の支持腕の端部に連接するフレーム状薄片と、を備えていることを特徴とする適用例1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0027】
圧電振動素子の基部が、基部本体と、L字状及び逆L字状の各支持腕と、フレーム状薄片と、を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体を経由してフレーム状薄片に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子に加えられる衝撃を基部で緩和するため、耐衝撃性が改善される。さらに、衝撃による錘部とパッケージとの衝突も、突設部が当たるため、錘用電極の剥離等による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0028】
[適用例11]本発明に係る圧電振動子は、適用例1乃至9の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を収容する絶縁基板とを備えたことを特徴とする圧電振動子である。
【0029】
圧電振動子は、厚肉部、薄肉部、薄肉部に形成された錘用電極膜、薄肉部の外周の一部、或いは薄肉部の面積内に厚肉の突設部を有する各錘部を備えた音叉型圧電振動素子と、絶縁基板(パッケージと蓋部材)とで構成されている。錘部を備えているので振動腕の短縮化が可能であると共に、圧電振動素子に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。また、突設部が衝突するので、錘用電極膜の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0030】
[適用例12]また圧電振動子は、適用例10に記載の圧電振動素子と、中央部夫々に凹部を有する一組の絶縁基板と、備え、前記圧電振動素子を一組の前記絶縁基板間で気密裏に密封することを特徴とする圧電振動子である。
【0031】
凹部を有する一組の絶縁基板と、フレーム状薄片と一体形成された適用例10に記載の圧電振動素子とを用いて、圧電振動子を構成するので、圧電振動子の小型化が可能になる。さらに、圧電振動子に加えられた衝撃は、基部で緩和されると共に、突設部が衝突するので、錘用電極膜の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0032】
[適用例13]本発明に係る圧電発振器は、適用例1乃至10の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を励振するIC部品と、前記圧電振動素子を気密封止すると共に前記IC部品を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする圧電発振器である。
【0033】
圧電発振器に衝撃が加えられた際に、衝撃が基部で緩和されると共に、突設部が衝突するように動作するので、周波数変動の虞のない圧電発振器が得られるという効果がある。
【0034】
[適用例14]本発明に係る電子機器は、適用例11又は12に記載の圧電振動子を備えたことを特徴とする電子機器である。
【0035】
電子機器に振動、衝撃等が加えられた際に基準振動の周波数変動のない安定な電子機器が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は本発明に係る圧電振動素子の構造を示した概略平面図であり、(b)はQ−Q断面図、(c)はP−P断面図。
【図2】変形例1の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図3】変形例2の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図4】変形例3の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図5】変形例4の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図6】変形例5の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図7】第2の実施形態の圧電振動素子の構造を示した概略平面図。
【図8】第3の実施形態の圧電振動素子の構造を示した概略平面図。
【図9】(a)は第4の実施形態の圧電振動子の構造を示した概略断面図であり、(b)はベース又は上蓋の平面図。
【図10】第5の実施形態の圧電振動子の構造を示した概略断面図。
【図11】第6の実施形態の圧電発振器の構造を示した概略断面図。
【図12】電子機器の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る圧電振動素子1の構成を示す概略平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。
圧電振動素子1は、平板状の圧電基板8と、圧電基板8の表裏面及び側面に形成した薄膜の電極25と、を概略備えている。
圧電基板8は、図1(a)に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数(本例では二本)の振動腕15a、15bと、各振動腕15a、15bの一方の端部(基端部)間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)に夫々連接して一体形成され、且つ各振動腕15a、15bの幅よりも幅広な錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心線Cに沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部17a(17b)、18a(18b)と、を備えている。
【0038】
図1(a)、(b)に示すように、各錘部20a、20bは、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)と連設された厚肉部21a、21bと、厚肉部21a、21bの先端縁と連設され且つ厚肉部21a、21bよりも薄肉の薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22bの表面又は裏面の少なくとも一方の面(本例では両面)上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周に沿った両面の少なくとも一部、或いは薄肉部22a、22bの面積内に配置されて錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部23a、23bと、を備えている。
【0039】
図1(a)に示す基部10は、振動漏れ低減と耐衝撃性改善のために、矩形平板状の基部本体12aと、基部本体12aの各振動腕15a、15bとは反対側の他端縁中間部に設けた細幅の連結部12dと、連結部12dを介して連接され且つ基部本体12aとは離間して延びる左右一対の支持腕12b、12cと、を備えている。つまり、L字状支持腕12bの基端部と、逆L字状の支持腕12cの基端部とが連接され、この連接部分が連結部12dを介して基部本体12aの一方の端縁中央に連結されてコ字状をなし、基部本体12aの他方の端縁には各振動腕15a、15bの基端部が連結されている基部の例である。
図1の実施形態において、基部10は、基部本体12aと、連結部12dと、左右一対の支持腕12b、12cと、を備えていると説明したが、基部本体12aのみでもよい。
また、各振動腕15a、15bは、基部本体12aの先端縁から間隔を隔てて互いに平行に延出し、各振動腕15a、15bの先端部には夫々振動腕15a、15bの幅よりも幅広の錘部20a、20bが連設一体化されている。
【0040】
図1(c)に示した薄膜の電極25は、錘部20a、20bの薄肉部22a、22b上の錘用電極24a、24bと、各溝部17a(17b)、18a(18b)内を含めた各振動腕15a、15bの表裏面及び側面と、に夫々形成され、且つ基部10に設けた複数の電極パッド(図示せず)との間を夫々リード電極(図示せず)にて電気的に接続される励振電極30、32、34、36と、を備えている。薄膜の電極25は、蒸着法、又はスパッタ法を用いて真空装置の中で成膜される。なお、錘用電極24a、24bは、圧電基板8の密度より大きい金属、例えば金Au、銀Ag等を用い、薄肉部22a、22bと錘用電極24a、24bとの厚さの和は、厚肉部21a、21bの厚さを超えないように構成する。錘用電極24a、24bの機能としては、錘部20a、20bの振動中心線C上で、できるだけ先部に錘部20a、20bの重心があるようにすると、振動腕15a、15bの短縮化が図られる。
【0041】
圧電基板8は、例えば水晶基板を用いる場合には、Z板(光軸(Z軸)と直交して切り出された基板)を電気軸(X軸)の回りに所定の角度θだけ回転して切り出した基板を用いる。圧電基板8の外形と、錘部20a、20bの薄肉部22a、22bと、各振動腕15a、15bの溝部17a(17b)、18a(18b)とは、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工で形成されている。
なお、圧電基板8としては、水晶以外にタンタル酸リチウム酸、ニオブ酸リチウム、ランガサイト等の圧電材料が用いられる。
【0042】
図1(c)は、(a)のP−P断面図であり、各振動腕15a、15bに夫々形成された励振電極30、32、34、36の配置を示す図である。励振電極30、34は、各溝部17a(17b)、18a(18b)の表面、及び側面に形成され、励振電極32、36は各振動腕15a、15bの夫々両側面に形成されている。
励振電極30、36と、励振電極32、34とは、互いに異符号の電圧が前記電極パッドを介して印加される。つまり、励振電極30、36に+電圧が印加されるとき、励振電極32、34には−電圧が印加され、図1(b)の矢印で示すような電界が生じ、圧電振動素子1の重心を通る中心線Cgに対し対称な音叉振動(屈曲振動)が励振される。
なお、溝部17a(17b)、18a(18b)を形成することにより、電界強度が強まり、音叉振動をより効率的に励振することができる。即ち、圧電振動素子のCI(クリスタルインピーダンス)を小さくすることができる。
【0043】
図1(a)、(b)を用いて錘部20a、20bの形状を更に詳しく説明する。薄肉部22a、22bは、厚肉部21a、21bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在しており、突設部23a、23bは、薄肉部22a、22bの振動中心線Cに沿った先端縁に設けられている。図1(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは圧電基板8の厚さ方向の中心を通る直線(以下、厚さ中心線Ctと称す)と、振動中心線Cとに対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称で、薄肉部22a、22bの先端縁に形成されている。
錘部20a、20bの先端縁に突設部23a、23bを形成する理由は、圧電振動素子1に振動腕15a、15bの長手方向と直交する方向の衝撃が加えられて振動腕15a、15bが撓むときに、突設部23a、23bが圧電振動素子1を収容するパッケージの内部底面又は蓋部材に当たり、錘用電極24a、24bとパッケージとの接触を防ぐように作用するためである。同様の理由で、薄肉部22a、22bと錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21b及び突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。
【0044】
図2(a)は、錘部20a、20bの第1の変形例の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、厚肉部21a、21bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在しており、突設部23a、23bは薄肉部22a、22bの面積内に設けられている。図2(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctとに対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称で、薄肉部22a、22bのほぼ中央に形成されている。薄肉部22a、22bと突設部23a、23bとを、振動中心線Cに対称に構成するのは、屈曲振動の振動バランスをとり、基部10からの振動漏れを低減するためである。
なお、薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21bと同一厚さである突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。
【0045】
図3(a)は、錘部20a、20bの第2の変形例の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、錘部20a、20bの先端縁中央部から錘部20a、20bの略中央部まで延在し、且つ振動中心線Cに対して対称な溝部(凹所)として形成されている。図3(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctと、に対し対称に形成されている。厚肉部12a、21bと無段状に連接し、且つ同等の厚さを有した突設部23a、23bも振動中心線Cと厚さ中心線Ctに対し対称に形成されている。
薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21b及び突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。このため、圧電振動素子1に振動腕15a、15bの長手方向と直交する方向の衝撃が加えられときに、突設部23a、23bがパッケージの内部底面又は蓋部材に当たり、錘用電極24a、24bのパッケージとの接触を防ぐように作用する。このため、圧電振動素子1の周波数変動を抑えることができる。
【0046】
図4(a)は、錘部20a、20bの第3の変形例の平面図であり、同図(b)は、(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、厚肉部21a、21bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在しており、突設部23a、23bは薄肉部22a、22bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在するように形成する。図4(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctと、に対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称に形成されている。
薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21b及び突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。このため、圧電振動素子1に衝撃が加えられときに、突設部23a、23bがパッケージの内部底面又は蓋部材に当たるようになり、錘用電極24a、24bとパッケージとの接触は防止され、圧電振動素子1の周波数変動は抑えられる。
【0047】
図5(a)は、錘部20a、20bの第4の変形例の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、錘部20a、20bの面積内中央部に配置された溝部であり、薄肉部22a、22bの先端と、左右両側方とに、突設部23a、23bを備えている。つまり、薄肉部22a、22bは、その四方を厚肉の突設部により包囲されている。図5(a)、(b)に示した例では、薄肉部(溝部)22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctと、に対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称に形成されている。
薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21bや突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。このため、圧電振動素子1に衝撃が加えられときに、突設部23a、23bがパッケージの内部底面又は蓋部材に当たるようになり、錘用電極24a、24bとパッケージとの接触は防止され、圧電振動素子1の周波数変動は抑えられる。
【0048】
図6(a)は、錘部20a、20bの第5の変形例の平面図であり、同図(b)は、(a)のQ−Q断面図である。図3に示した錘部20a、20bと異なる点は、薄肉部22a、22bと錘用電極膜24a、24bとに、夫々表裏面を貫通する貫通孔26a、26bが形成されている点である。図6(a)、(b)に示した例では、貫通孔26a、26bは振動中心線Cに対して対称であり、この貫通孔20a、20bを介して励振電極30、32、34、36の電気的接続を図ることができる。
本例では、図3に示す錘部20a、20bに貫通孔20a、20bを形成した例を示したが、図1、図2、図4、図5に示す錘部20a、20bの薄肉部22a、22bに貫通孔を形成してもよい。
【0049】
図1に示すように、各錘部20a、20bは、各振動腕に連接して一体形成された厚肉部21a、21b、薄肉部22a、22b、突設部23a、23bと、薄肉部上に成膜された錘用電極膜24a、24bとで構成されている。圧電振動素子1がパッケージ等に収容され、圧電振動素子1に直交方向からの衝撃が加えられた際に、錘用電極膜を形成しない突設部23a、23bがパッケージの内部底面、または蓋部材に衝突するようになるので、錘用電極膜24a、24bの破損、剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘用電極膜24a、24bを各振動腕の先端部に形成することにより、圧電振動素子の小型化が図れるという利点もある。
図1の実施形態では、薄肉部22a、22b上に形成される突設部23a、23bは先端縁に設けられているので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ振動腕が撓んだ際に突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなくなり、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘部20a、20bを設けたので小型化が図られると共に、突設部23a、23bが振動中心線に対し対称に形成されているので、振動のバランスが保たれ、振動漏れが少ないという利点もある。
【0050】
図2の実施形態では、突設部23a、23bは薄肉部22a、22bの面積内に設けられているので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
また、図3の実施形態では、薄肉部である溝部22a、22bは振動中心線に沿って錘部20a、20bの先端縁中央部から錘部の略中央部まで形成されており、この溝部に錘用電極膜24a、24bを成膜するので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0051】
図4の実施形態では、突設部23a、23bが薄肉部22a、22bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って形成されているので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
また、図5の実施形態では、薄肉部22a、22bは、錘部20a、20bの面積内中央部に配置された溝部であり、この溝部に錘用電極膜24a、24bを成膜するので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0052】
図6の実施形態では、薄肉部22a、22b及び錘用電極膜24a、24bに貫通孔を設けるので、この貫通孔を介して各振動腕の励振電極、リード電極の電気的接続が可能になるという効果がある。
また、図1の実施形態では、圧電振動素子1の基部10が、基部本体12aと、連結部12dと、L字状及び逆L字状の各支持腕12b、12cと、を有し、L字状及び逆L字状の各端部同志を連接し、連結部12dを介して基部本体12aの一方の端縁中央に連接して構成されている。このため、各振動腕より各支持腕に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子1に加えられた衝撃を基部10で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。この結果、衝突による錘用電極24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0053】
図7は、第2の実施形態に係る圧電振動素子(音叉型水晶振動素子)2の構成を示す平面図である。圧電基板8は、図7に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数(本例では二本)の振動腕15a、15bと、各振動腕15a、15bの一方の端部(基端部)間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)に夫々連接して一体形成され、且つ各振動腕15a、15bの幅よりも幅広な錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心線Cに沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部17a(17b)、18a(18b)と、を備えている。
【0054】
各錘部20a、20bは、図7に示すように、各振動腕15a、15bの基部本体12aと連接する側とは反対の端部(先端部)と連設された厚肉部21a、21bと、厚肉部21a、21bと連設され厚肉部21a、21bよりも薄肉の薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22bの表面又は裏面の少なくとも一方の面(本例では両面)上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周の少なくとも一部、或いは薄肉部22a、22bの面積内に錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部23a、23bと、を備えている。
薄膜の電極は、薄肉部22a、22b上に成膜された錘用電極24a、24bと、各溝部17a(17b)、18a(18b)内を含めた各振動腕15a、15bの表裏面及び側面と、に夫々形成され、且つ基部10に設けた複数の電極パッド(図示せず)との間を夫々リード電極(図示せず)にて電気的に接続される励振電極を備えているのは、図1と同様である。
錘部20a、20bの厚肉部21a、21、薄肉部22a、22b、突設部23a、23b、錘用電極24a、24bは、図1〜図6の例と同様であるので、図1の例のみを示している。
【0055】
図7に示すように、基部10は、平面形状が略H型であり、振動腕15a、15bの基端部間を連設する矩形平板状(細幅帯状)の基部本体12aと、基部本体12aの先端縁中央から突出し且つ振動腕15a、15bの長手方向と並行(平行)に延在する第1の支持部材13aと、第1の支持部材13aの他方の端部に端縁中央で連接し、且つ第1の支持部材13aと直交する第2の支持部材13bと、を備えている。
圧電振動素子2の絶縁基板との電気的接続は、第2の支持部材14bの中央部を挟んで両側に設けられるパッド電極で行われる。
図7に示すように、圧電振動素子2の基部10が、基部本体12aの端部中央にT型の支持部材13a、13bの端縁を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体12aを経由して支持部材13a、13bに漏洩する振動エネルギーを低減することでき、圧電振動素子2のCI値を小さくすることができる。また、圧電振動素子2に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。このため、衝撃による錘用電極24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0056】
図8は、第3の実施形態の圧電振動素子(音叉型水晶振動素子)3の構成を示す平面図である。圧電基板8は、図8に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数(本例では二本)の振動腕15a、15bと、各振動腕15a、15bの一方の端部(基端部)間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)に夫々連接して一体形成され、且つ各振動腕15a、15bの幅よりも幅広な錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心線Cに沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部17a(17b)、18a(18b)と、を備えている。
図8の実施形態では、各錘部20a、20bは、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)と連設された厚肉部21a、21bと、厚肉部21a、21bと連設され厚肉部21a、21bよりも薄肉の薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22bの表面又は裏面の少なくとも一方の面(本例では両面)上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周の少なくとも一部、或いは薄肉部22a、22bの面積内に錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部23a、23bと、を備えている。
錘部20a、20bの厚肉部21a、21、薄肉部22a、22b、突設部23a、23b、錘用電極24a、24bは、図1〜図6の例と同様であるので、図1の例のみを示している。
【0057】
図8の実施形態では、基部10は、基部本体12aと、基部本体12aの両端部に連接され且つ基部本体12aとは離間して延びる左右一対の支持腕12b、12cと、一対の支持腕12b、12cの各端部に連接する環状のフレーム状薄片14と、を備えている。フレーム状薄片14は、4つの平板状の細幅帯状片14a、14b、14c、14dの夫々の端部同志を連接して矩形環状に一体形成されている。フレーム状薄片14の周縁の表裏面には、蒸着法又はスパッタ法を用いて全周に渡ってアルミニウム等の金属膜37と、励振電極から延在するリード電極(図示せず)とが成膜されている。
図8の実施形態では、圧電振動素子3の基部が、基部本体12aと、L字状及び逆L字状の各支持腕12b、12cと、フレーム状薄片14と、を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体12aを経由してフレーム状薄片14に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子3に圧電基板8の垂直方向から加えられる衝撃を、基部10で緩和するため、耐衝撃性が改善される。さらに、衝撃による錘部20a、20bとパッケージとの衝突も、突設部23a、23bが当たるため、錘用電極24a、24bの剥離等による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0058】
図9(a)は、本発明に係る圧電振動子4の実施の形態を示す断面図であり、図9(b)はベース28、又は上蓋29の平面図である。圧電振動子4は、図8に示す支持片としてのフレーム状薄片14を有する圧電振動素子(音叉型水晶振動素子)3と、ベース28と、上蓋29と、を備えている。ベース28、上蓋29とも同様に、パイレックス(登録商標)ガラス等で作られた矩形平板の中央部に凹部を形成したものである。ベース28を例に説明すると、矩形平板の片面にフォトリソグラフィ技術とエッチング手法を用いて矩形状の凹部28vを形成すると、周縁に側壁28a、28b、28c、28dが形成される。上蓋29も同様に矩形状の凹部29vと、周縁に側壁29a、29b、29c、29dを有する。ベース28の裏面には、複数の実装端子45が形成され、この実装端子45と導通する導体45aが、ベース28の側壁28a〜28dに設けたスルーホールに形成されている。
ベース28の側壁28a〜28d上に、圧電振動子4のフレーム状薄片14を載置し、上蓋29の側壁29a〜29dを重ね、真空中で周知の陽極接合で気密封止すると、内部が真空状態に保たれた圧電振動子4が完成する。
図9の実施形態では、凹部28v(29v)を有する一組の絶縁基板(ベース、上蓋)28、29と、フレーム状薄片と一体形成された圧電振動素子3とを用いて、圧電振動子4を構成するので、圧電振動子の小型化が可能になる。さらに、圧電振動子に加えられた衝撃は、基部で緩和されると共に突設部がパッケージと衝突するので、錘用電極膜の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0059】
図10は、本発明に係る第5の実施形態の圧電振動子5の構成を示す断面図である。圧電振動子5は、上記の圧電振動素子1、2(以下、圧電振動素子1とする)と、圧電振動素子1を収容するパッケージとを備えている。パッケージは、矩形の箱状に形成されているパッケージ本体40と、ガラス等からなる窓部材54を有する蓋部材52とから成る。
パッケージ本体40は、図10に示すように、絶縁基板として第1の基板41と、第2の基板42と、第3の基板43とを積層して形成されており、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミック・グリーンシートを成形し箱状とした後で、焼結して形成されている。実装端子45は、第1の基板41の外部底面に複数形成されている。第3の基板43は中央部が除去されており、第3の基板43の上部周縁に例えばコバール等の金属シールリング44が形成されている。
第3の基板43と第2の基板42とにより、圧電振動素子1を収容する凹部が形成されている。第2の基板42の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。
素子搭載パッド47の位置は、圧電振動素子1を載置した際に支持腕12b、12cに形成したパッド電極(図示せず)に対応するように配置されている。
【0060】
圧電振動子5の構成は、パッケージ本体40の素子搭載パッド47に導電性接着剤50、例えばエポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤、ビスマレイミド系接着剤の何れかを適量塗布し、その上に圧電振動素子1を載置して荷重をかける。
パッケージ本体40に搭載された圧電振動子1の導電性接着剤50を硬化させるために所定の温度の高温炉に所定の時間入れる。アニール処理を施した後、上方からレーザー光を照射して各錘部20a、20b、各振動腕15a、15bに形成された周波数調整用金属膜の一部を蒸散させて周波数粗調を行う。ガラス窓部54を備えて蓋部材52を、パッケージ本体40の上面に形成したシールリング44に、シーム溶接する。
パッケージの貫通孔48を封止する前に、加熱処理を施す。パッケージの上下を逆にして、貫通孔48内の段差部上に金属球の充填材48aを載置する。充填材48aとしては金−ゲルマニウム合金等がよい。充填材48aにレーザー光を照射して溶融させ、貫通孔48を封止すると共にパッケージ内部を真空とする。パッケージの外部から窓部材54を介してレーザー光をパッケージ内に照射し、振動腕15a、15bに形成した周波数調整用金属膜を蒸散させて周波数微調整を行い、圧電振動子5を完成する。
【0061】
図10に示す圧電振動子5に、落下などの衝撃が加えられたときの圧電振動素子1の変形について説明する。圧電振動子5のパッケージの主面に直交方向に衝撃力が加えられると、圧電振動素子1は、素子搭載パッド47を支点として、変形し易い支持腕12b、12cがパッケージ本体40の底面に向かって変形する。次に、この変形が基部10の外側端縁12eで反射し、変形が基部本体12aの中央部に伝搬し、基部本体12aを含めた全体がパッケージ本体40の底面側に沈み込む。その結果、振動腕15a、15bは、その先端側がパッケージ底面に向かって変形する。つまり、一対の振動腕15a、15bが基部本体12aに連結部12dを介して支持腕12b、12cに連接されていることにより、加えられた衝撃を基部10の構造全体で緩和するように構成されている。基部本体12aのみを有する圧電振動子が、基部本体12aの支持点を支点として振動腕15a、15bが撓むのに対し、支持腕12b、12c、連結部12d、基部本体12aが夫々複雑に撓むことにより衝撃の力が緩和され、低減した力で錘部20a、20bが撓むので、突設部23a、23bとパッケージ本体40の内部底面、あるいは蓋部材52との衝撃も弱まる。
図10の断面図に示した圧電振動子5は、厚肉部、薄肉部、薄肉部に形成された錘用電極膜、薄肉部の外周の一部、或いは薄肉部の面積内に厚肉の突設部を有する各錘部を備えた音叉型圧電振動素子1と、絶縁基板(パッケージと蓋部材)40とで構成されている。錘部を備えているので振動腕の短縮化が可能であると共に、圧電振動素子1に加えられた衝撃が基部で緩和されるため耐衝撃性が改善される。また、低減された衝撃力により突設部23a、23bが絶縁基板に衝突するので、錘用電極膜24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子5が得られるという効果がある。
【0062】
図11は、本発明に係る第6の実施の形態圧電発振器6の構成を示す断面図である。圧電発振器6は、上記の圧電振動素子1と、圧電振動素子1を励振するIC部品78と、圧電振動素子1を真空封止すると共にIC部品78を収容するパッケージ本体60、及び窓部材75a有する蓋部材75と、を備えている。圧電振動素子1にレーザー光を照射しての粗調製、微調整する手法、また、パッケージの内部を真空にして貫通孔68の封止する手法等は、圧電振動子5の場合と同様であるので省略する。IC部品78はパッケージ本体60のIC部品搭載パッド69に、金属バンプ76等を用いて電気的に導通接続する。
なお、図11に示した圧電発振器6では、IC部品78が気密封止されていない例を示したが、IC部品78をパッケージ内部に配置し、気密封止してもよい。
図11の断面図に示した圧電発振器6に衝撃が加えられた際に、衝撃が基部で緩和されると共に、突設部が衝突するように動作するので、周波数変動の虞のない圧電発振器6が得られるという効果がある。
【0063】
図12は本発明に係る電子機器7の構成を示す概略構成図である。電子機器7には図9、図10に示した圧電振動子4、5を備えている。圧電振動子4、5を用いた電子機器7として、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラなどの携帯用電子機器が挙げられる。これらの電子機器7において圧電振動子4、5は、基準信号源として用いられ、小型で精度の良い圧電振動子4、5を備えることにより、小型で、耐衝撃性の良好な電子機器を提供できる。
図12の概略構成図に示す電子機器7に振動、衝撃等が加えられた際に、基準振動の周波数変動のない安定な電子機器が得られるという効果がある。
【符号の説明】
【0064】
1、2、3…圧電振動素子、4、5…圧電振動子、6…圧電発振器、7…電子機器、8…圧電基板、10…基部、12a…基部本体、12b、12c…支持腕、12d…連結部、12e…外側端縁、13a…第1の支持部材、13b…第2の支持部材、14…フレーム状薄片、14a、14b、14c、14d…細幅帯状、15a、15b…振動腕、17a、17b、18a、18b…溝部、20a、20b…錘部、21a、21b…厚肉部、22a、22b…薄肉部、23a、23b…突設部、24a、24b…錘用電極、25…電極、26a、26b貫通孔、28…ベース、29…上蓋、30、32、34、36…励振電極、37…金属膜、40、60、79…パッケージ本体、41…第1の基板、42…第2の基板、43…第3の基板、44…金属シールリング、45…実装端子、45a…導体、46…導体、47…素子搭載パッド、48、68…貫通孔、48a…充填材、50…導電性接着剤、52、75…蓋部材、54、75a…窓部材、部品搭載パッド…69、78…IC部品、C…振動中心線、Ct…厚さ中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動素子に関し、特に小型化を図ると共に耐衝撃性を改善した圧電振動素子、圧電振動子、圧電発振器、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話等の移動体通信機や、モバイルコンピューター、ハードディスク・ドライブ等の小型情報機器には、基準周波数源として圧電デバイスが広く用いられている。圧電デバイスを搭載した電子機器の小型化、高性能化が進むに伴い、圧電デバイスの更なる小型化が求められている。
特許文献1には、耐衝撃性を改善した圧電デバイスが開示されている。圧電振動素子は、一対の振動腕と、一対の振動腕の一方の端部間を連接する基部と、各振動腕の振動中心に沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部と、各振動腕に夫々形成され励振電極と、を備えている。溝部を設けることにより基部よりも先端側である各振動腕の重量が軽量化される。このため圧電振動素子の重心は、溝なし圧電振動素子と比べると基部側に移動する。つまり、圧電振動素子の全長Lに対して圧電振動素子の基端部からの重心の位置GLは小さくなり、GL/Lの値が小さくなる。この結果、衝撃が加わったとき振動腕先端部の撓み量(変位量)が小さくなり、耐衝撃性が改善されると開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、互いに平行な一対の振動腕の各先端部に、振動腕より幅広の拡大部を設けた音叉型圧電振動子が開示されている。この拡大部は有底の孔を有し、この有底の孔には圧電材料より比重が大きい材料を充填して錘とすることにより音叉型圧電振動子の小型化が図られると記されている。
また、特許文献3には、音叉型圧電振動素子の振動腕の長さをLとしたとき、振動腕の先端から基部に向かって0.01×L離れた位置に、周波数調整用金属膜の端部を設ける例が示されている。落下による衝撃を受けても、周波数調整用金属膜はパッケージ本体、又は蓋体に接触しないので、周波数の変動が軽減されると開示されている。
【0004】
特許文献4に開示された小型振動子は、一対の振動腕と、各振動腕の一方の端部を連接する基部と、基部の端部中央から基部に直交して振動腕の長手方向に延在する支持部と、を備えている。小型振動子はT型形状をしており、同じ周波数の音叉型振動子に対して長さが短く、且つ耐衝撃性が改善できると記述されている。
また特許文献5に開示された圧電デバイスは、リッドと、水晶フレームと、ベースとの3層で形成されている。水晶フレームは、一対の振動腕と、各振動腕の一方の端部を連接する基部と、基部の両端部に連接される支持腕と、支持腕の端部に連接されたフレーム(額縁)状の薄片と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−133897公報
【特許文献2】特開2004−282230公報
【特許文献3】特開2009−290778公報
【特許文献4】特開2002−141770公報
【特許文献5】特開2009−165006公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された圧電振動素子は、耐衝撃性の改善は期待されるものの、振動腕方向の短縮化に難がるという問題があった。
また、特許文献2に開示された圧電振動素子は、周波数を維持し小型化は期待されるものの、耐衝撃性に問題があった。
また、特許文献3に開示された圧電振動素子は、周波数を所定の周波数に維持しながら振動腕方向の短縮化を図るには問題があった。
また、特許文献4に開示の小型振動子、及び特許文献5に開示の圧電デバイスは、外部から加えられる衝撃に対し周波数が変動する虞があるという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、圧電振動素子の小型化を図ると共に、耐衝撃性を改善した圧電振動素子、圧電振動子、圧電発振器、及電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本発明に係る圧電振動素子は、複数の振動腕、該各振動腕の一方の端部間を連接する基部、前記各振動腕の他方の端部に夫々形成され該各振動腕よりも幅広の錘部、及び、前記各振動腕の振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された第一の溝部を備えた圧電基板と、前記各振動腕の表裏面及び両側面に夫々形成され、且つ前記基部に設けた複数の電極パッドとの間を夫々電気的に接続される励振電極と、を備えた圧電振動素子であって、前記各錘部は、前記各振動腕の他方の端部と連設された厚肉部と、該厚肉部よりも薄肉の薄肉部と、前記薄肉部の表面又は裏面の少なくとも一方の面上に形成された錘用電極膜と、前記薄肉部の外周の少なくとも一部、或いは該薄肉部の面積内に前記錘用電極膜を形成しない厚肉の突設部を備えていることを特徴とする圧電振動素子である。
【0009】
各錘部は、各振動腕に連接して一体形成された厚肉部、薄肉部、突設部と、薄肉部上に成膜された錘用電極膜とで構成されている。圧電振動素子がパッケージに収容され、圧電振動素子に衝撃が加えられた際に、錘用電極膜を形成しない突設部がパッケージの内部底面、または蓋部材に衝突するようになるので、錘用電極膜の破損、剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘用電極膜を各振動腕の先端部に形成することにより、圧電振動素子の小型化が図れるという利点もある。
【0010】
[適用例2]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の振動中心線に沿った先端縁に設けられていることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0011】
薄肉部上に形成される突設部は先端縁に設けられているので、圧電振動素子に衝撃が加えられ振動腕が撓んだ際に突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘部が設けられたので小型化になると共に、突設部が振動中心線に対し対称に形成されているので、振動のバランスが保たれ、振動漏れが少ないという利点もある。
【0012】
[適用例3]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の面積内に設けられていることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0013】
突設部は薄肉部の面積内に設けられているので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0014】
[適用例4]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記錘部の先端縁中央部から該錘部の略中央部まで延在し、且つ前記振動中心線に対して対称な溝部であることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0015】
溝部は振動中心線に沿って錘部の先端縁中央部から錘部の略中央部まで形成されており、薄肉部であるこの溝部に錘用電極膜を成膜するので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に溝部以外の突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0016】
[適用例5]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在していることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0017】
突設部が薄肉部の先端側において錘部の全幅に渡って形成されているので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく周波数の変動が生じないという効果がある。
【0018】
[適用例6]また圧電振動素子は、前記薄肉部は、前記錘部の面積内中央部に配置された溝部であり、該薄肉部の先端、左右両側方に前記突設部を備えていることを特徴とする適用例1に記載の圧電振動素子である。
【0019】
薄肉部は、錘部の面積内中央部に配置された溝部であり、この溝部に錘用電極膜を成膜するので、圧電振動素子に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部が衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0020】
[適用例7]また圧電振動素子は、前記薄肉部、及び前記錘用電極膜には、表裏面を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする適用例1乃至6の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0021】
薄肉部及び錘用電極膜に貫通孔を設けるので、この貫通孔を介して各振動腕の励振電極、リード電極の電気的接続が可能になるという効果がある。
【0022】
[適用例8]また圧電振動素子は、前記基部は、基部本体と、該基部本体の前記振動腕とは反対側の他端縁中間部に設けた連結部と、該連結部を介して連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、を備えていることを特徴とする適用例1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0023】
圧電振動素子の基部が、基部本体と、連結部と、L字状及び逆L字状の各支持腕と、を有し、L字状及び逆L字状の各端部同志を連接し、この連結部を介して基部本体の一方の端部中央に連接して構成されている。このため、各振動腕より各支持腕に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。この結果、衝突による錘用電極の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0024】
[適用例9]また圧電振動素子は、前期基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の中央端部と連接し前記各振動腕の長手方向に延在する第一の支持部材と、該第一の支持部材の他方の端部と中央端部で連接し且つ第一の支持部材と直交する第二の支持部材と、を備えていることを特徴とする適用例1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0025】
圧電振動素子の基部が、基部本体の端部中央にT型の支持部材の端縁を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体を経由して支持部材に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。このため、衝撃による錘用電極24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0026】
[適用例10]また圧電振動素子は、前記基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の両端部に連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、前記一対の支持腕の端部に連接するフレーム状薄片と、を備えていることを特徴とする適用例1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子である。
【0027】
圧電振動素子の基部が、基部本体と、L字状及び逆L字状の各支持腕と、フレーム状薄片と、を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体を経由してフレーム状薄片に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子に加えられる衝撃を基部で緩和するため、耐衝撃性が改善される。さらに、衝撃による錘部とパッケージとの衝突も、突設部が当たるため、錘用電極の剥離等による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0028】
[適用例11]本発明に係る圧電振動子は、適用例1乃至9の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を収容する絶縁基板とを備えたことを特徴とする圧電振動子である。
【0029】
圧電振動子は、厚肉部、薄肉部、薄肉部に形成された錘用電極膜、薄肉部の外周の一部、或いは薄肉部の面積内に厚肉の突設部を有する各錘部を備えた音叉型圧電振動素子と、絶縁基板(パッケージと蓋部材)とで構成されている。錘部を備えているので振動腕の短縮化が可能であると共に、圧電振動素子に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。また、突設部が衝突するので、錘用電極膜の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0030】
[適用例12]また圧電振動子は、適用例10に記載の圧電振動素子と、中央部夫々に凹部を有する一組の絶縁基板と、備え、前記圧電振動素子を一組の前記絶縁基板間で気密裏に密封することを特徴とする圧電振動子である。
【0031】
凹部を有する一組の絶縁基板と、フレーム状薄片と一体形成された適用例10に記載の圧電振動素子とを用いて、圧電振動子を構成するので、圧電振動子の小型化が可能になる。さらに、圧電振動子に加えられた衝撃は、基部で緩和されると共に、突設部が衝突するので、錘用電極膜の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0032】
[適用例13]本発明に係る圧電発振器は、適用例1乃至10の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を励振するIC部品と、前記圧電振動素子を気密封止すると共に前記IC部品を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする圧電発振器である。
【0033】
圧電発振器に衝撃が加えられた際に、衝撃が基部で緩和されると共に、突設部が衝突するように動作するので、周波数変動の虞のない圧電発振器が得られるという効果がある。
【0034】
[適用例14]本発明に係る電子機器は、適用例11又は12に記載の圧電振動子を備えたことを特徴とする電子機器である。
【0035】
電子機器に振動、衝撃等が加えられた際に基準振動の周波数変動のない安定な電子機器が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は本発明に係る圧電振動素子の構造を示した概略平面図であり、(b)はQ−Q断面図、(c)はP−P断面図。
【図2】変形例1の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図3】変形例2の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図4】変形例3の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図5】変形例4の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図6】変形例5の、(a)は錘部の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。
【図7】第2の実施形態の圧電振動素子の構造を示した概略平面図。
【図8】第3の実施形態の圧電振動素子の構造を示した概略平面図。
【図9】(a)は第4の実施形態の圧電振動子の構造を示した概略断面図であり、(b)はベース又は上蓋の平面図。
【図10】第5の実施形態の圧電振動子の構造を示した概略断面図。
【図11】第6の実施形態の圧電発振器の構造を示した概略断面図。
【図12】電子機器の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る圧電振動素子1の構成を示す概略平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。
圧電振動素子1は、平板状の圧電基板8と、圧電基板8の表裏面及び側面に形成した薄膜の電極25と、を概略備えている。
圧電基板8は、図1(a)に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数(本例では二本)の振動腕15a、15bと、各振動腕15a、15bの一方の端部(基端部)間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)に夫々連接して一体形成され、且つ各振動腕15a、15bの幅よりも幅広な錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心線Cに沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部17a(17b)、18a(18b)と、を備えている。
【0038】
図1(a)、(b)に示すように、各錘部20a、20bは、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)と連設された厚肉部21a、21bと、厚肉部21a、21bの先端縁と連設され且つ厚肉部21a、21bよりも薄肉の薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22bの表面又は裏面の少なくとも一方の面(本例では両面)上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周に沿った両面の少なくとも一部、或いは薄肉部22a、22bの面積内に配置されて錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部23a、23bと、を備えている。
【0039】
図1(a)に示す基部10は、振動漏れ低減と耐衝撃性改善のために、矩形平板状の基部本体12aと、基部本体12aの各振動腕15a、15bとは反対側の他端縁中間部に設けた細幅の連結部12dと、連結部12dを介して連接され且つ基部本体12aとは離間して延びる左右一対の支持腕12b、12cと、を備えている。つまり、L字状支持腕12bの基端部と、逆L字状の支持腕12cの基端部とが連接され、この連接部分が連結部12dを介して基部本体12aの一方の端縁中央に連結されてコ字状をなし、基部本体12aの他方の端縁には各振動腕15a、15bの基端部が連結されている基部の例である。
図1の実施形態において、基部10は、基部本体12aと、連結部12dと、左右一対の支持腕12b、12cと、を備えていると説明したが、基部本体12aのみでもよい。
また、各振動腕15a、15bは、基部本体12aの先端縁から間隔を隔てて互いに平行に延出し、各振動腕15a、15bの先端部には夫々振動腕15a、15bの幅よりも幅広の錘部20a、20bが連設一体化されている。
【0040】
図1(c)に示した薄膜の電極25は、錘部20a、20bの薄肉部22a、22b上の錘用電極24a、24bと、各溝部17a(17b)、18a(18b)内を含めた各振動腕15a、15bの表裏面及び側面と、に夫々形成され、且つ基部10に設けた複数の電極パッド(図示せず)との間を夫々リード電極(図示せず)にて電気的に接続される励振電極30、32、34、36と、を備えている。薄膜の電極25は、蒸着法、又はスパッタ法を用いて真空装置の中で成膜される。なお、錘用電極24a、24bは、圧電基板8の密度より大きい金属、例えば金Au、銀Ag等を用い、薄肉部22a、22bと錘用電極24a、24bとの厚さの和は、厚肉部21a、21bの厚さを超えないように構成する。錘用電極24a、24bの機能としては、錘部20a、20bの振動中心線C上で、できるだけ先部に錘部20a、20bの重心があるようにすると、振動腕15a、15bの短縮化が図られる。
【0041】
圧電基板8は、例えば水晶基板を用いる場合には、Z板(光軸(Z軸)と直交して切り出された基板)を電気軸(X軸)の回りに所定の角度θだけ回転して切り出した基板を用いる。圧電基板8の外形と、錘部20a、20bの薄肉部22a、22bと、各振動腕15a、15bの溝部17a(17b)、18a(18b)とは、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工で形成されている。
なお、圧電基板8としては、水晶以外にタンタル酸リチウム酸、ニオブ酸リチウム、ランガサイト等の圧電材料が用いられる。
【0042】
図1(c)は、(a)のP−P断面図であり、各振動腕15a、15bに夫々形成された励振電極30、32、34、36の配置を示す図である。励振電極30、34は、各溝部17a(17b)、18a(18b)の表面、及び側面に形成され、励振電極32、36は各振動腕15a、15bの夫々両側面に形成されている。
励振電極30、36と、励振電極32、34とは、互いに異符号の電圧が前記電極パッドを介して印加される。つまり、励振電極30、36に+電圧が印加されるとき、励振電極32、34には−電圧が印加され、図1(b)の矢印で示すような電界が生じ、圧電振動素子1の重心を通る中心線Cgに対し対称な音叉振動(屈曲振動)が励振される。
なお、溝部17a(17b)、18a(18b)を形成することにより、電界強度が強まり、音叉振動をより効率的に励振することができる。即ち、圧電振動素子のCI(クリスタルインピーダンス)を小さくすることができる。
【0043】
図1(a)、(b)を用いて錘部20a、20bの形状を更に詳しく説明する。薄肉部22a、22bは、厚肉部21a、21bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在しており、突設部23a、23bは、薄肉部22a、22bの振動中心線Cに沿った先端縁に設けられている。図1(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは圧電基板8の厚さ方向の中心を通る直線(以下、厚さ中心線Ctと称す)と、振動中心線Cとに対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称で、薄肉部22a、22bの先端縁に形成されている。
錘部20a、20bの先端縁に突設部23a、23bを形成する理由は、圧電振動素子1に振動腕15a、15bの長手方向と直交する方向の衝撃が加えられて振動腕15a、15bが撓むときに、突設部23a、23bが圧電振動素子1を収容するパッケージの内部底面又は蓋部材に当たり、錘用電極24a、24bとパッケージとの接触を防ぐように作用するためである。同様の理由で、薄肉部22a、22bと錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21b及び突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。
【0044】
図2(a)は、錘部20a、20bの第1の変形例の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、厚肉部21a、21bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在しており、突設部23a、23bは薄肉部22a、22bの面積内に設けられている。図2(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctとに対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称で、薄肉部22a、22bのほぼ中央に形成されている。薄肉部22a、22bと突設部23a、23bとを、振動中心線Cに対称に構成するのは、屈曲振動の振動バランスをとり、基部10からの振動漏れを低減するためである。
なお、薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21bと同一厚さである突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。
【0045】
図3(a)は、錘部20a、20bの第2の変形例の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、錘部20a、20bの先端縁中央部から錘部20a、20bの略中央部まで延在し、且つ振動中心線Cに対して対称な溝部(凹所)として形成されている。図3(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctと、に対し対称に形成されている。厚肉部12a、21bと無段状に連接し、且つ同等の厚さを有した突設部23a、23bも振動中心線Cと厚さ中心線Ctに対し対称に形成されている。
薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21b及び突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。このため、圧電振動素子1に振動腕15a、15bの長手方向と直交する方向の衝撃が加えられときに、突設部23a、23bがパッケージの内部底面又は蓋部材に当たり、錘用電極24a、24bのパッケージとの接触を防ぐように作用する。このため、圧電振動素子1の周波数変動を抑えることができる。
【0046】
図4(a)は、錘部20a、20bの第3の変形例の平面図であり、同図(b)は、(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、厚肉部21a、21bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在しており、突設部23a、23bは薄肉部22a、22bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って延在するように形成する。図4(a)、(b)に示した例では、薄肉部22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctと、に対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称に形成されている。
薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21b及び突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。このため、圧電振動素子1に衝撃が加えられときに、突設部23a、23bがパッケージの内部底面又は蓋部材に当たるようになり、錘用電極24a、24bとパッケージとの接触は防止され、圧電振動素子1の周波数変動は抑えられる。
【0047】
図5(a)は、錘部20a、20bの第4の変形例の平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図である。薄肉部22a、22bは、錘部20a、20bの面積内中央部に配置された溝部であり、薄肉部22a、22bの先端と、左右両側方とに、突設部23a、23bを備えている。つまり、薄肉部22a、22bは、その四方を厚肉の突設部により包囲されている。図5(a)、(b)に示した例では、薄肉部(溝部)22a、22bは、振動腕15a、15bの振動中心線Cと、圧電基板8の厚さ中心線Ctと、に対し対称に形成されている。突設部23a、23bも振動中心線Cと、厚さ中心線Ctとに対し対称に形成されている。
薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22b上に成膜する錘用電極24a、24bとの合計厚さは、厚肉部21a、21bや突設部23a、23bの厚さを超えないように構成する。このため、圧電振動素子1に衝撃が加えられときに、突設部23a、23bがパッケージの内部底面又は蓋部材に当たるようになり、錘用電極24a、24bとパッケージとの接触は防止され、圧電振動素子1の周波数変動は抑えられる。
【0048】
図6(a)は、錘部20a、20bの第5の変形例の平面図であり、同図(b)は、(a)のQ−Q断面図である。図3に示した錘部20a、20bと異なる点は、薄肉部22a、22bと錘用電極膜24a、24bとに、夫々表裏面を貫通する貫通孔26a、26bが形成されている点である。図6(a)、(b)に示した例では、貫通孔26a、26bは振動中心線Cに対して対称であり、この貫通孔20a、20bを介して励振電極30、32、34、36の電気的接続を図ることができる。
本例では、図3に示す錘部20a、20bに貫通孔20a、20bを形成した例を示したが、図1、図2、図4、図5に示す錘部20a、20bの薄肉部22a、22bに貫通孔を形成してもよい。
【0049】
図1に示すように、各錘部20a、20bは、各振動腕に連接して一体形成された厚肉部21a、21b、薄肉部22a、22b、突設部23a、23bと、薄肉部上に成膜された錘用電極膜24a、24bとで構成されている。圧電振動素子1がパッケージ等に収容され、圧電振動素子1に直交方向からの衝撃が加えられた際に、錘用電極膜を形成しない突設部23a、23bがパッケージの内部底面、または蓋部材に衝突するようになるので、錘用電極膜24a、24bの破損、剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘用電極膜24a、24bを各振動腕の先端部に形成することにより、圧電振動素子の小型化が図れるという利点もある。
図1の実施形態では、薄肉部22a、22b上に形成される突設部23a、23bは先端縁に設けられているので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ振動腕が撓んだ際に突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなくなり、周波数の変動が生じないという効果がある。また、錘部20a、20bを設けたので小型化が図られると共に、突設部23a、23bが振動中心線に対し対称に形成されているので、振動のバランスが保たれ、振動漏れが少ないという利点もある。
【0050】
図2の実施形態では、突設部23a、23bは薄肉部22a、22bの面積内に設けられているので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
また、図3の実施形態では、薄肉部である溝部22a、22bは振動中心線に沿って錘部20a、20bの先端縁中央部から錘部の略中央部まで形成されており、この溝部に錘用電極膜24a、24bを成膜するので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0051】
図4の実施形態では、突設部23a、23bが薄肉部22a、22bの先端側において錘部20a、20bの全幅に渡って形成されているので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜の剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
また、図5の実施形態では、薄肉部22a、22bは、錘部20a、20bの面積内中央部に配置された溝部であり、この溝部に錘用電極膜24a、24bを成膜するので、圧電振動素子1に衝撃が加えられ各振動腕が撓んだ際に、溝部以外の突設部23a、23bが衝突することになり、錘用電極膜24a、24bの剥離等がなく、周波数の変動が生じないという効果がある。
【0052】
図6の実施形態では、薄肉部22a、22b及び錘用電極膜24a、24bに貫通孔を設けるので、この貫通孔を介して各振動腕の励振電極、リード電極の電気的接続が可能になるという効果がある。
また、図1の実施形態では、圧電振動素子1の基部10が、基部本体12aと、連結部12dと、L字状及び逆L字状の各支持腕12b、12cと、を有し、L字状及び逆L字状の各端部同志を連接し、連結部12dを介して基部本体12aの一方の端縁中央に連接して構成されている。このため、各振動腕より各支持腕に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子1に加えられた衝撃を基部10で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。この結果、衝突による錘用電極24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0053】
図7は、第2の実施形態に係る圧電振動素子(音叉型水晶振動素子)2の構成を示す平面図である。圧電基板8は、図7に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数(本例では二本)の振動腕15a、15bと、各振動腕15a、15bの一方の端部(基端部)間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)に夫々連接して一体形成され、且つ各振動腕15a、15bの幅よりも幅広な錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心線Cに沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部17a(17b)、18a(18b)と、を備えている。
【0054】
各錘部20a、20bは、図7に示すように、各振動腕15a、15bの基部本体12aと連接する側とは反対の端部(先端部)と連設された厚肉部21a、21bと、厚肉部21a、21bと連設され厚肉部21a、21bよりも薄肉の薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22bの表面又は裏面の少なくとも一方の面(本例では両面)上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周の少なくとも一部、或いは薄肉部22a、22bの面積内に錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部23a、23bと、を備えている。
薄膜の電極は、薄肉部22a、22b上に成膜された錘用電極24a、24bと、各溝部17a(17b)、18a(18b)内を含めた各振動腕15a、15bの表裏面及び側面と、に夫々形成され、且つ基部10に設けた複数の電極パッド(図示せず)との間を夫々リード電極(図示せず)にて電気的に接続される励振電極を備えているのは、図1と同様である。
錘部20a、20bの厚肉部21a、21、薄肉部22a、22b、突設部23a、23b、錘用電極24a、24bは、図1〜図6の例と同様であるので、図1の例のみを示している。
【0055】
図7に示すように、基部10は、平面形状が略H型であり、振動腕15a、15bの基端部間を連設する矩形平板状(細幅帯状)の基部本体12aと、基部本体12aの先端縁中央から突出し且つ振動腕15a、15bの長手方向と並行(平行)に延在する第1の支持部材13aと、第1の支持部材13aの他方の端部に端縁中央で連接し、且つ第1の支持部材13aと直交する第2の支持部材13bと、を備えている。
圧電振動素子2の絶縁基板との電気的接続は、第2の支持部材14bの中央部を挟んで両側に設けられるパッド電極で行われる。
図7に示すように、圧電振動素子2の基部10が、基部本体12aの端部中央にT型の支持部材13a、13bの端縁を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体12aを経由して支持部材13a、13bに漏洩する振動エネルギーを低減することでき、圧電振動素子2のCI値を小さくすることができる。また、圧電振動素子2に加えられた衝撃を基部で緩和して低減するので耐衝撃性が改善される。このため、衝撃による錘用電極24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0056】
図8は、第3の実施形態の圧電振動素子(音叉型水晶振動素子)3の構成を示す平面図である。圧電基板8は、図8に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数(本例では二本)の振動腕15a、15bと、各振動腕15a、15bの一方の端部(基端部)間を連接する基部10と、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)に夫々連接して一体形成され、且つ各振動腕15a、15bの幅よりも幅広な錘部20a、20bと、各振動腕15a、15bの振動中心線Cに沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部17a(17b)、18a(18b)と、を備えている。
図8の実施形態では、各錘部20a、20bは、各振動腕15a、15bの他方の端部(先端部)と連設された厚肉部21a、21bと、厚肉部21a、21bと連設され厚肉部21a、21bよりも薄肉の薄肉部22a、22bと、薄肉部22a、22bの表面又は裏面の少なくとも一方の面(本例では両面)上に形成された錘用電極膜24a、24bと、薄肉部22a、22bの外周の少なくとも一部、或いは薄肉部22a、22bの面積内に錘用電極膜24a、24bを形成しない厚肉の突設部23a、23bと、を備えている。
錘部20a、20bの厚肉部21a、21、薄肉部22a、22b、突設部23a、23b、錘用電極24a、24bは、図1〜図6の例と同様であるので、図1の例のみを示している。
【0057】
図8の実施形態では、基部10は、基部本体12aと、基部本体12aの両端部に連接され且つ基部本体12aとは離間して延びる左右一対の支持腕12b、12cと、一対の支持腕12b、12cの各端部に連接する環状のフレーム状薄片14と、を備えている。フレーム状薄片14は、4つの平板状の細幅帯状片14a、14b、14c、14dの夫々の端部同志を連接して矩形環状に一体形成されている。フレーム状薄片14の周縁の表裏面には、蒸着法又はスパッタ法を用いて全周に渡ってアルミニウム等の金属膜37と、励振電極から延在するリード電極(図示せず)とが成膜されている。
図8の実施形態では、圧電振動素子3の基部が、基部本体12aと、L字状及び逆L字状の各支持腕12b、12cと、フレーム状薄片14と、を連接して一体形成されているので、各振動腕より基部本体12aを経由してフレーム状薄片14に漏洩する振動エネルギーを低減することでき、CI値が小さくなる。また、圧電振動素子3に圧電基板8の垂直方向から加えられる衝撃を、基部10で緩和するため、耐衝撃性が改善される。さらに、衝撃による錘部20a、20bとパッケージとの衝突も、突設部23a、23bが当たるため、錘用電極24a、24bの剥離等による周波数変動の虞のない圧電振動素子が得られるという効果がある。
【0058】
図9(a)は、本発明に係る圧電振動子4の実施の形態を示す断面図であり、図9(b)はベース28、又は上蓋29の平面図である。圧電振動子4は、図8に示す支持片としてのフレーム状薄片14を有する圧電振動素子(音叉型水晶振動素子)3と、ベース28と、上蓋29と、を備えている。ベース28、上蓋29とも同様に、パイレックス(登録商標)ガラス等で作られた矩形平板の中央部に凹部を形成したものである。ベース28を例に説明すると、矩形平板の片面にフォトリソグラフィ技術とエッチング手法を用いて矩形状の凹部28vを形成すると、周縁に側壁28a、28b、28c、28dが形成される。上蓋29も同様に矩形状の凹部29vと、周縁に側壁29a、29b、29c、29dを有する。ベース28の裏面には、複数の実装端子45が形成され、この実装端子45と導通する導体45aが、ベース28の側壁28a〜28dに設けたスルーホールに形成されている。
ベース28の側壁28a〜28d上に、圧電振動子4のフレーム状薄片14を載置し、上蓋29の側壁29a〜29dを重ね、真空中で周知の陽極接合で気密封止すると、内部が真空状態に保たれた圧電振動子4が完成する。
図9の実施形態では、凹部28v(29v)を有する一組の絶縁基板(ベース、上蓋)28、29と、フレーム状薄片と一体形成された圧電振動素子3とを用いて、圧電振動子4を構成するので、圧電振動子の小型化が可能になる。さらに、圧電振動子に加えられた衝撃は、基部で緩和されると共に突設部がパッケージと衝突するので、錘用電極膜の剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0059】
図10は、本発明に係る第5の実施形態の圧電振動子5の構成を示す断面図である。圧電振動子5は、上記の圧電振動素子1、2(以下、圧電振動素子1とする)と、圧電振動素子1を収容するパッケージとを備えている。パッケージは、矩形の箱状に形成されているパッケージ本体40と、ガラス等からなる窓部材54を有する蓋部材52とから成る。
パッケージ本体40は、図10に示すように、絶縁基板として第1の基板41と、第2の基板42と、第3の基板43とを積層して形成されており、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミック・グリーンシートを成形し箱状とした後で、焼結して形成されている。実装端子45は、第1の基板41の外部底面に複数形成されている。第3の基板43は中央部が除去されており、第3の基板43の上部周縁に例えばコバール等の金属シールリング44が形成されている。
第3の基板43と第2の基板42とにより、圧電振動素子1を収容する凹部が形成されている。第2の基板42の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。
素子搭載パッド47の位置は、圧電振動素子1を載置した際に支持腕12b、12cに形成したパッド電極(図示せず)に対応するように配置されている。
【0060】
圧電振動子5の構成は、パッケージ本体40の素子搭載パッド47に導電性接着剤50、例えばエポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤、ビスマレイミド系接着剤の何れかを適量塗布し、その上に圧電振動素子1を載置して荷重をかける。
パッケージ本体40に搭載された圧電振動子1の導電性接着剤50を硬化させるために所定の温度の高温炉に所定の時間入れる。アニール処理を施した後、上方からレーザー光を照射して各錘部20a、20b、各振動腕15a、15bに形成された周波数調整用金属膜の一部を蒸散させて周波数粗調を行う。ガラス窓部54を備えて蓋部材52を、パッケージ本体40の上面に形成したシールリング44に、シーム溶接する。
パッケージの貫通孔48を封止する前に、加熱処理を施す。パッケージの上下を逆にして、貫通孔48内の段差部上に金属球の充填材48aを載置する。充填材48aとしては金−ゲルマニウム合金等がよい。充填材48aにレーザー光を照射して溶融させ、貫通孔48を封止すると共にパッケージ内部を真空とする。パッケージの外部から窓部材54を介してレーザー光をパッケージ内に照射し、振動腕15a、15bに形成した周波数調整用金属膜を蒸散させて周波数微調整を行い、圧電振動子5を完成する。
【0061】
図10に示す圧電振動子5に、落下などの衝撃が加えられたときの圧電振動素子1の変形について説明する。圧電振動子5のパッケージの主面に直交方向に衝撃力が加えられると、圧電振動素子1は、素子搭載パッド47を支点として、変形し易い支持腕12b、12cがパッケージ本体40の底面に向かって変形する。次に、この変形が基部10の外側端縁12eで反射し、変形が基部本体12aの中央部に伝搬し、基部本体12aを含めた全体がパッケージ本体40の底面側に沈み込む。その結果、振動腕15a、15bは、その先端側がパッケージ底面に向かって変形する。つまり、一対の振動腕15a、15bが基部本体12aに連結部12dを介して支持腕12b、12cに連接されていることにより、加えられた衝撃を基部10の構造全体で緩和するように構成されている。基部本体12aのみを有する圧電振動子が、基部本体12aの支持点を支点として振動腕15a、15bが撓むのに対し、支持腕12b、12c、連結部12d、基部本体12aが夫々複雑に撓むことにより衝撃の力が緩和され、低減した力で錘部20a、20bが撓むので、突設部23a、23bとパッケージ本体40の内部底面、あるいは蓋部材52との衝撃も弱まる。
図10の断面図に示した圧電振動子5は、厚肉部、薄肉部、薄肉部に形成された錘用電極膜、薄肉部の外周の一部、或いは薄肉部の面積内に厚肉の突設部を有する各錘部を備えた音叉型圧電振動素子1と、絶縁基板(パッケージと蓋部材)40とで構成されている。錘部を備えているので振動腕の短縮化が可能であると共に、圧電振動素子1に加えられた衝撃が基部で緩和されるため耐衝撃性が改善される。また、低減された衝撃力により突設部23a、23bが絶縁基板に衝突するので、錘用電極膜24a、24bの剥離による周波数変動の虞のない圧電振動子5が得られるという効果がある。
【0062】
図11は、本発明に係る第6の実施の形態圧電発振器6の構成を示す断面図である。圧電発振器6は、上記の圧電振動素子1と、圧電振動素子1を励振するIC部品78と、圧電振動素子1を真空封止すると共にIC部品78を収容するパッケージ本体60、及び窓部材75a有する蓋部材75と、を備えている。圧電振動素子1にレーザー光を照射しての粗調製、微調整する手法、また、パッケージの内部を真空にして貫通孔68の封止する手法等は、圧電振動子5の場合と同様であるので省略する。IC部品78はパッケージ本体60のIC部品搭載パッド69に、金属バンプ76等を用いて電気的に導通接続する。
なお、図11に示した圧電発振器6では、IC部品78が気密封止されていない例を示したが、IC部品78をパッケージ内部に配置し、気密封止してもよい。
図11の断面図に示した圧電発振器6に衝撃が加えられた際に、衝撃が基部で緩和されると共に、突設部が衝突するように動作するので、周波数変動の虞のない圧電発振器6が得られるという効果がある。
【0063】
図12は本発明に係る電子機器7の構成を示す概略構成図である。電子機器7には図9、図10に示した圧電振動子4、5を備えている。圧電振動子4、5を用いた電子機器7として、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラなどの携帯用電子機器が挙げられる。これらの電子機器7において圧電振動子4、5は、基準信号源として用いられ、小型で精度の良い圧電振動子4、5を備えることにより、小型で、耐衝撃性の良好な電子機器を提供できる。
図12の概略構成図に示す電子機器7に振動、衝撃等が加えられた際に、基準振動の周波数変動のない安定な電子機器が得られるという効果がある。
【符号の説明】
【0064】
1、2、3…圧電振動素子、4、5…圧電振動子、6…圧電発振器、7…電子機器、8…圧電基板、10…基部、12a…基部本体、12b、12c…支持腕、12d…連結部、12e…外側端縁、13a…第1の支持部材、13b…第2の支持部材、14…フレーム状薄片、14a、14b、14c、14d…細幅帯状、15a、15b…振動腕、17a、17b、18a、18b…溝部、20a、20b…錘部、21a、21b…厚肉部、22a、22b…薄肉部、23a、23b…突設部、24a、24b…錘用電極、25…電極、26a、26b貫通孔、28…ベース、29…上蓋、30、32、34、36…励振電極、37…金属膜、40、60、79…パッケージ本体、41…第1の基板、42…第2の基板、43…第3の基板、44…金属シールリング、45…実装端子、45a…導体、46…導体、47…素子搭載パッド、48、68…貫通孔、48a…充填材、50…導電性接着剤、52、75…蓋部材、54、75a…窓部材、部品搭載パッド…69、78…IC部品、C…振動中心線、Ct…厚さ中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動腕、該各振動腕の一方の端部間を連接する基部、前記各振動腕の他方の端部に夫々形成され該各振動腕よりも幅広の錘部、及び、前記各振動腕の振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された第一の溝部を備えた圧電基板と、
前記各振動腕の表裏面及び両側面に夫々形成され、且つ前記基部に設けた複数の電極パッドとの間を夫々電気的に接続される励振電極と、
を備えた圧電振動素子であって、
前記各錘部は、前記各振動腕の他方の端部と連設された厚肉部と、該厚肉部よりも薄肉の薄肉部と、前記薄肉部の表面又は裏面の少なくとも一方の面上に形成された錘用電極膜と、前記薄肉部の外周の少なくとも一部、或いは該薄肉部の面積内に前記錘用電極膜を形成しない厚肉の突設部を備えていることを特徴とする圧電振動素子。
【請求項2】
前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の振動中心線に沿った先端縁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項3】
前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の面積内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記錘部の先端縁中央部から該錘部の略中央部まで延在し、且つ前記振動中心線に対して対称な溝部であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項5】
前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在していることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項6】
前記薄肉部は、前記錘部の面積内中央部に配置された溝部であり、該薄肉部の先端、左右両側方に前記突設部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項7】
前記薄肉部、及び前記錘用電極膜には、表裏面を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項8】
前記基部は、基部本体と、該基部本体の前記振動腕とは反対側の他端縁中間部に設けた連結部と、該連結部を介して連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項9】
前記基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の中央端部と連接し前記各振動腕の長手方向に延在する第一の支持部材と、該第一の支持部材の他方の端部と中央端部で連接し且つ第一の支持部材と直交する第二の支持部材と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項10】
前記基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の両端部に連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、前記一対の支持腕の端部に連接するフレーム状薄片と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を収容する絶縁基板とを備えたことを特徴とする圧電振動子。
【請求項12】
請求項10に記載の圧電振動素子と、中央部に夫々凹部を有する一組の絶縁基板と、備え、前記圧電振動素子を前記一組の前記絶縁基板間で気密裏に密封することを特徴とする圧電振動子。
【請求項13】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を励振するIC部品と、前記圧電振動素子を気密封止すると共に前記IC部品を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする圧電発振器。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の圧電振動子を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の振動腕、該各振動腕の一方の端部間を連接する基部、前記各振動腕の他方の端部に夫々形成され該各振動腕よりも幅広の錘部、及び、前記各振動腕の振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された第一の溝部を備えた圧電基板と、
前記各振動腕の表裏面及び両側面に夫々形成され、且つ前記基部に設けた複数の電極パッドとの間を夫々電気的に接続される励振電極と、
を備えた圧電振動素子であって、
前記各錘部は、前記各振動腕の他方の端部と連設された厚肉部と、該厚肉部よりも薄肉の薄肉部と、前記薄肉部の表面又は裏面の少なくとも一方の面上に形成された錘用電極膜と、前記薄肉部の外周の少なくとも一部、或いは該薄肉部の面積内に前記錘用電極膜を形成しない厚肉の突設部を備えていることを特徴とする圧電振動素子。
【請求項2】
前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の振動中心線に沿った先端縁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項3】
前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の面積内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記錘部の先端縁中央部から該錘部の略中央部まで延在し、且つ前記振動中心線に対して対称な溝部であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項5】
前記薄肉部は、前記厚肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在しており、前記突設部は前記薄肉部の先端側において前記錘部の全幅に渡って延在していることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項6】
前記薄肉部は、前記錘部の面積内中央部に配置された溝部であり、該薄肉部の先端、左右両側方に前記突設部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項7】
前記薄肉部、及び前記錘用電極膜には、表裏面を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項8】
前記基部は、基部本体と、該基部本体の前記振動腕とは反対側の他端縁中間部に設けた連結部と、該連結部を介して連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項9】
前記基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の中央端部と連接し前記各振動腕の長手方向に延在する第一の支持部材と、該第一の支持部材の他方の端部と中央端部で連接し且つ第一の支持部材と直交する第二の支持部材と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項10】
前記基部は、前記各振動腕の基端部と連設された基部本体と、該基部本体の両端部に連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、前記一対の支持腕の端部に連接するフレーム状薄片と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を収容する絶縁基板とを備えたことを特徴とする圧電振動子。
【請求項12】
請求項10に記載の圧電振動素子と、中央部に夫々凹部を有する一組の絶縁基板と、備え、前記圧電振動素子を前記一組の前記絶縁基板間で気密裏に密封することを特徴とする圧電振動子。
【請求項13】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の圧電振動素子と、該圧電振動素子を励振するIC部品と、前記圧電振動素子を気密封止すると共に前記IC部品を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする圧電発振器。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の圧電振動子を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−186679(P2012−186679A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48705(P2011−48705)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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