説明

地図情報処理装置

【課題】供用又は供用の廃止が予定される道路の更新処理を効率良く短時間で行うことができる地図情報処理装置を提供する。
【解決手段】供用が開始又は廃止された道路を示す更新情報を情報提供装置8から取得する更新情報取得部7aと、道路が供用されているか否かを示す供用情報とメッシュ内に供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むか否かを示す計画道路有無情報とを有し、メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、及び、更新情報取得部7aに取得された更新情報を記憶する情報記憶部3と、情報記憶部3から地図データを取得する地図データ取得部9と、計画道路有無情報から、地図データ取得部9に取得された地図データが表す地図のメッシュ内に、供用の開始又は廃止が予定される道路が含まれる場合にのみ、情報記憶部3に記憶された更新情報に基づいて、当該地図データの供用情報を更新する更新部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーナビゲーション装置、携帯電話、携帯情報端末等の移動体又は固定されたコンピュータで使用される地図情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地図データにおいて、道路の形状を表す道路形状データにその道路の使用可否を示す使用可否フラグを設けた情報処理装置が開示されている。この装置では、供用中の道路の使用可否フラグを使用可に設定する一方、開通予定道路の使用可否フラグは使用不可に設定する。ここで、外部から当該開通予定道路が開通したことを示す開通フラグ情報を取得すると、当該開通予定道路の使用可否フラグを使用可に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−8344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の技術は、開通予定道路を含むか否かを示す情報をメッシュ単位の情報として持たない。このため、地図データをメッシュ単位に区画して、地図表示に必要なメッシュの地図データのみをメモリ上に読み取り、これらの地図データを更新して地図表示に使用する地図情報処理装置に上記従来の技術を適用した場合すると、地図表示するメッシュが開通予定道路を含んでいなくても、当該メッシュの道路について開通フラグ情報の有無を確認する処理が必要となり、処理時間を不要に費やす可能性があるという課題があった。
【0005】
また、メッシュ内に複数の開通予定道路があり、その全てが開通した場合であっても、個々の開通予定道路についての開通フラグ情報を順次取得する必要があり、全ての開通予定道路の開通フラグ情報を取得するまでに時間かかる。さらに個々の開通予定道路の開通フラグ情報をそれぞれ参照しながら使用可否フラグの値を変更する必要があり、開通予定道路の更新処理に長時間を要するという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、供用又は供用の廃止が予定される道路の更新処理を効率良く短時間で行うことができる地図情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る地図情報処理装置は、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用が開始された道路又は供用が廃止された道路を示す更新情報を管理する外部装置から、当該更新情報を取得する更新情報取得部と、道路が供用されているか否かを示す供用情報とメッシュ内に供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むか否かを示す計画道路有無情報とを有し、メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、及び、更新情報取得部に取得された更新情報を記憶する情報記憶部と、情報記憶部から地図データを取得する地図データ取得部と、地図データ取得部に取得された地図データの計画道路有無情報に基づき、当該地図データが表す地図のメッシュ内に、供用の開始又は廃止が予定されている道路が含まれる場合にのみ、情報記憶部に記憶された更新情報に基づいて、当該地図データの供用情報を更新する更新部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、計画道路有無情報から、供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むメッシュと、これを含まないメッシュとの区別が可能であり、供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むメッシュについてのみ更新処理をする。これにより、供用の開始又は廃止が予定されている道路を含まないメッシュについて、更新情報を参照して供用の開始や廃止する道路がないことを確認するという不要な処理を防止できる。従って、供用又は供用の廃止が予定される道路の更新処理を効率良く短時間で行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による地図情報処理装置を適用した地図情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】プロセッサの機能構成を示すブロック図である。
【図3】地図情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】道路網データのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例を示す図である。
【図6】更新情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図7】メッシュ更新情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図8】更新情報の一例を示す図である。
【図9】更新予定メッシュ情報の一例を示す図である。
【図10】実施の形態1の地図情報処理装置による更新情報の取得処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1の地図情報処理装置による更新処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】道路の描画例(その1)を示す図である。
【図13】道路の描画例(その2)を示す図である。
【図14】道路の描画例(その3)を示す図である。
【図15】道路の描画例(その4)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図情報処理装置を適用した地図情報処理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、地図情報処理システムは、地図情報処理装置1及び情報提供装置8から構成される。実施の形態1の地図情報処理装置1は、情報提供装置8から取得した各種の情報に基づいて地図情報処理を行う。その構成としては、入力部1a、位置検出部2、情報記憶部3、プロセッサ4、表示部5、音声出力部6及び情報取得部7を備える。
【0011】
入力部1aは、使用者の操作又は指示に従ってプロセッサ4に指示信号を与える操作スイッチ群であり、入力手段として機能する。入力手段として、操作スイッチ群以外に、表示部5の表示面に装着されたタッチパネル、リモートコントロールスイッチ等を使用してもよい。
【0012】
位置検出部2は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ等を用いた位置検出手段であって、地図情報処理装置1が搭載された移動体(例えば自動車等の車両)の現在位置を検出し、検出した現在位置を示す位置情報をプロセッサ4に提供する。情報記憶部3は、例えば地図情報の記憶媒体としてハードディスクを用いたハードディスクドライブで構成された地図情報記憶手段であり、当該情報記憶部3に予め地図情報を記憶しておく。
【0013】
プロセッサ4は、入力部1aから与えられた指示信号、位置検出部2から得られた現在位置を示す位置情報、及び情報記憶部3から読み出した地図情報を用いて、各種の地図情報処理を行う地図情報処理手段として機能する。また、プロセッサ4は、図2を用いて後述する描画メモリ、描画処理部及び表示制御部を有し、所要の図形を描画処理部が描画メモリに描画し、表示制御部が描画メモリの内容を表示部5に表示する。さらに、情報取得部7が取得した情報に基づいて情報記憶部3から取得した地図情報を更新する。
【0014】
上述した各種の地図情報処理の内容としては、位置検出部2から取得された現在位置を示す位置情報と、情報記憶部3から読み出した地図情報とに基づいて、移動体の現在位置を推定するマップマッチング処理、出発地から目的地までの経路を算出する経路探索処理、経路探索処理により得られた経路に従って出発地から目的地までの案内を行う経路誘導処理、現在位置周辺の地図の表示処理、都市、道路、施設、住所、電話番号、交差点等の各種情報を検索する各種検索処理等が含まれる。
また、地図情報処理には、情報記憶部3から読み出した地図情報を基にマップマッチング処理で推定された現在位置を中心とした地図の描画処理、さらにその地図上に地図情報処理の結果として得られた移動体の現在位置、経路探索処理で得られた好適な経路、及びその経路に従って出発地から目的地まで案内を行うための案内情報の描画処理、各種入力情報の描画処理、検索によって得られた各種情報の描画処理等の描画処理部を用いた描画処理も含まれる。
【0015】
表示部5は、上述した各種の描画処理で描画メモリに描画された内容を、表示制御部の制御に従って表示する表示手段であり、例えば、液晶ディスプレイからなる。
音声出力部6は、プロセッサ4による各種の地図情報処理の結果として得られた情報を音声で使用者に提示する音声出力手段である。音声出力部6は、経路探索処理で得られた好適な経路に従って出発地から目的地まで案内を行うための案内情報や、検索により得られた各種の情報等を、音声で使用者に提示する。
【0016】
情報取得部7は、携帯電話のデータ通信や無線LAN(Local Area Network)等の通信手段を介して、情報提供装置8から所要の情報を取得する情報取得手段として機能する。なお、情報取得部7として、メモリカード等の各種の記憶媒体の読み取り装置を設け、当該記憶媒体から所要の情報を取得するようにしてもよい。
【0017】
図2は、図1のプロセッサの機能構成を示すブロック図である。図2において、プロセッサ4は、更新情報取得部7a、地図データ取得部9、更新部10、描画処理部11、描画メモリ12、表示制御部13、経路探索部14及びマップマッチング処理部15を備える。情報記憶部3には、地図情報の他に、後述する更新情報及び更新予定メッシュ情報が記憶される。
【0018】
更新情報とは、道路の供用状況に従って、地図情報処理装置1が管理する道路網データを更新するための情報である。具体的には、実際の道路の供用状況に従って、どのリンクレコードの供用情報をどのように変更するかを示している。この更新情報によって、供用が開始された道路又は廃止された道路のリンクレコードが特定される。
更新予定メッシュ情報は、更新情報取得部7aに取得された更新情報に関するメッシュを示すメッシュ更新情報取得フラグ(更新情報取得メッシュ情報)と、メッシュ内の全ての供用開始予定道路で供用が開始され、かつメッシュ内の全ての供用廃止予定道路が廃止されたメッシュを示す実施完了フラグ(実施完了メッシュ情報)とを有する情報である。
【0019】
更新情報取得部7aは、供用が開始された道路又は廃止された道路を示す更新情報を、情報取得部7を介して情報提供装置8から取得する構成部である。その構成として、更新情報取得メッシュ情報作成部7b及び計画実施完了メッシュ情報作成部7cを備える。
【0020】
更新情報取得メッシュ情報作成部7bは、更新情報取得部7aに取得されたことがある更新情報に関するメッシュを示すメッシュ更新情報取得フラグ(更新情報取得メッシュ情報)の値を設定する構成部である。更新部10は、メッシュ更新情報取得フラグにて更新情報が取得済みとなっているメッシュの地図データのみを更新する。
【0021】
計画実施完了メッシュ情報作成部7cは、更新情報取得部7aに取得された更新情報の計画実施完了情報に基づいて、メッシュ内の全ての供用開始予定道路で供用が開始され、かつ、メッシュ内の全ての供用廃止予定道路が廃止されたメッシュを示す実施完了フラグ(実施完了メッシュ情報)の値を設定する構成部である。
【0022】
地図データ取得部9は、情報記憶部3の地図情報から地図データを取得する構成部であり、取得した地図データをメモリ9aに格納する。
更新部10は、地図データ取得部9に取得されてメモリ9aに格納された地図データの供用情報を、情報記憶部3から読み出した更新情報に基づいて更新する構成部であり、非参照更新部10aを備える。
【0023】
非参照更新部10aは、地図データ取得部9に取得されてメモリ9aに格納された地図データのうち、上記の実施完了フラグが完了を示すメッシュの地図データを更新する構成部である。また、非参照更新部10aは、地図データ中の計画情報を解析して、計画情報が供用開始予定であることを示している道路については、その道路の供用情報を供用中に設定し、計画情報が供用廃止予定であることを示している道路の供用情報を非供用に設定する。
【0024】
描画処理部11は、メモリ9aに格納された地図データ、経路探索部14の処理結果、又はマップマッチング処理部15の処理結果を用いて、地図表示する所要の図形データを生成して描画メモリ12に描画する。表示制御部13は、描画メモリ12の内容を表示部5に表示する。経路探索部14は、上述の地図情報処理のうち、出発地から目的地までの経路を算出する経路探索処理を実行する構成部であり、マップマッチング処理部15は、位置検出部2から取得された現在位置を示す位置情報と、メモリ9aから読み出した地図情報とに基づいて、移動体の現在位置を推定するマップマッチング処理を実行する構成部である。
【0025】
なお、更新情報取得部7a、地図データ取得部9、更新部10、描画処理部11、描画メモリ12、表示制御部13、経路探索部14及びマップマッチング処理部15は、プロセッサ4が、本発明の趣旨に従う地図情報処理用プログラムを実行することで、ハードウェアとソフトウェアが協働した具体的な手段として実現される。
【0026】
本発明では、地図情報の作成範囲を、所定間隔の緯線と経線によって囲まれた4辺形とする。また、地図情報は、情報の詳細さの度合いによって階層化されており、地図情報の作成範囲を各階層毎に所定間隔の緯線と経線によって囲まれた領域であるメッシュに区画して管理される。ここでは、階層を識別するため、最も詳しい階層(詳細表示)から粗くなる(広域表示)順に、各階層に0,1,2,・・・と番号を付与し、これを階層番号とする。
【0027】
さらに、1つの階層内で、メッシュを識別するために、各メッシュに固有の番号を付与し、これをメッシュ番号とする。例えば、ある階層の地図情報の作成範囲を、緯度方向に16分割、経度方向に16分割して得られる256個の領域に区画し、それぞれの領域をメッシュとした場合、各メッシュには、0〜255のメッシュ番号が付与される。
【0028】
図3は、図1の情報記憶部に格納された地図情報のデータ構造の一例を示す図である。地図情報として、地図管理情報、各階層のメッシュに対応して設けた地図データを有している。地図管理情報は、当該地図情報のバージョンを表すバージョン情報、及び階層毎に各地図データを管理する階層管理情報を有する。階層管理情報は、各メッシュのメッシュ番号、地図データの当該地図情報における格納位置、及びデータサイズ等の情報を階層毎に有する。
【0029】
地図データは、地図データヘッダ、道路網データ、背景データ、名称データ、経路誘導データからなる情報である。地図データヘッダは、地図データ内の各データを管理する情報を有し、道路網データは、当該メッシュにおける道路網を表す情報を有している。
また、背景データは、河川、海等を表す面データ、線状の河川、鉄道等を表す線データ、施設シンボル等を表す点データを有し、経路誘導データは、交差点等での経路案内に要する情報を有する。検索データは、都市、道路、施設、住所、電話番号、交差点等の各種地点を検索するための情報で、各地点の名称、位置等の情報等を有する。
【0030】
図4は、図3の道路網データのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、道路網データは、交差点又は道路上の地点を表すノードとノード間を結ぶ道路を表すリンクとを用いて表した道路網を表すもので、道路網ヘッダ、ノードリスト、リンクリスト及び形状リストからなる。
【0031】
道路網ヘッダは、当該道路網データの管理に必要な情報として、計画道路有無情報、ノード数、リンク数及びリスト管理情報を有する。
計画道路有無情報は、当該メッシュにおける供用開始が予定されているリンク又は供用廃止が予定されているリンクの有無を示す情報である。
計画道路有無情報が値0であると、当該計画道路有無情報のメッシュにおいて、供用開始が予定されているリンク又は供用廃止が予定されているリンクのいずれも全くない場合を示している。また、計画道路有無情報が値1であれば、当該メッシュにおいて、供用開始が予定されているリンク又は供用廃止が予定されているリンクが1つでもある場合を示している。
この計画道路有無情報を参照することにより、当該道路網データの更新の要否が直ちに判明するため、非参照更新部10aが、後述する更新情報を検索して、更新の要否を判定する必要がない。
ノード数は、当該メッシュに存在するノードの数を表す情報である。リンク数は、当該メッシュに存在するリンクの数を表す情報である。また、リスト管理情報は、ノードリスト、リンクリスト及び形状リストの各格納位置とそのデータサイズを表す情報である。
【0032】
ノードリストは、当該メッシュに存在するノードに対応して設けたノードレコードからなる情報である。ノードリストにおけるノードレコードの並び順をノード番号とする。
ノードレコードは、図4に示すように、ノードレコードサイズ、ノード座標、接続リンク数、接続情報及びリンク間規制情報を有する。
ノードレコードサイズは、当該ノードレコードのデータサイズを表す情報である。ノード座標は、当該ノードの地理的位置を表す情報である。接続リンク数は、当該ノードに接続するリンクの数を表す情報である。接続情報は、当該ノードに接続するリンクを表す情報である。リンク間規制情報は、当該ノードに接続するリンク間の通行に関する規制を表す情報である。
【0033】
リンクリストは、当該メッシュに存在するリンクに対応して設けたリンクレコードからなる情報である。リンクリストにおけるリンクレコードの並び順をリンク番号とする。
リンクレコードは、供用情報、計画情報、始点ノード番号、終点ノード番号、リンク属性情報及び形状レコード格納位置を有する。
供用情報は、当該リンクの道路が供用されている“供用中”か、供用されていない“非供用”であるかを示す情報である。供用情報が値0であると、当該リンクが示す道路が供用中であることを示しており、値1である場合には、当該リンクが示す道路が非供用であることを示している。この供用情報を参照することで、当該リンクが地図表示、マップマッチング、経路探索等の地図情報処理に使用可能か否かが分かる。
なお、供用情報は、取得した更新情報が示すリンクの最新の状態を反映するように更新され、リンクの最新の状態を反映した地図情報処理が可能となる。
【0034】
計画情報は、当該地図情報が作成された時点において、当該リンクの道路が、既に供用され、かつ廃止予定無し(計画無し)、供用開始予定、供用廃止予定のいずれであるかを示す情報である。ここで、計画情報が値0の場合に計画無しを示し、値1であると、供用開始予定であり、値2であれば、供用廃止予定となる。
この計画情報を参照することで、供用情報の値に関わらず、供用開始、供用廃止が予定されている、又は予定されていた道路であることが分かる。このため、地図表示時に供用情報と合わせて計画情報を参照することで、供用開始予定の道路、供用廃止予定の道路、供用が開始された道路、供用が廃止された道路を区別して表示できる。
【0035】
始点ノード番号は、当該リンクの始点側のノードのノード番号であり、終点ノード番号は、当該リンクの終点側のノードのノード番号を示している。
また、リンク属性情報は、当該リンクの道路種別、幅員、リンク長等の各種属性を表す情報である。さらに、形状レコード格納位置は、当該リンクに対応する形状レコードの形状リストにおける格納位置を示している。
【0036】
形状リストは、当該メッシュに存在するリンクに対応して設けた形状レコードからなる情報である。形状レコードは、形状点数及び形状点リストを有する。
形状点数は、当該リンクの道路形状の形状点の数を示している。形状点リストは、当該リンクの道路形状を折れ線で表し、その折れ線の頂点である形状点の地理的位置をそれぞれリストアップした情報である。
【0037】
図5は、階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例を示す図である。メッシュM1の道路網は、ノードN10〜N17、リンクL10〜L17からなる。メッシュM2の道路網は、ノードN20〜N28、リンクL20〜L29からなる。メッシュM3の道路網は、ノードN30〜N34、リンクL30〜L33からなる。メッシュM4の道路網は、ノードN40〜N47、リンクL40〜L47からなる。点線で表したリンクL10,L16,L17,L21,L22,L27,L45,L46,L47は、供用開始が予定されているリンクで、当該地図情報が作成された時点では、供用されていないために使用不可のリンクである。
また、太い実線で表したリンクは、当該地図情報が作成された時点で供用されており、使用可能なリンクである。なお、細い実線で表したメッシュM2のリンクL26は、リンクL21が供用開始した期日で供用廃止となることが予定されている道路である。
【0038】
メッシュM1,M2,M4には、供用開始予定リンク及び供用廃止予定リンクが含まれるため、その道路網データの道路網ヘッダにおける計画道路有無情報には、供用開始が予定されているリンク又は供用廃止が予定されているリンクがあることを示す値1が設定される。メッシュM3は、供用開始が予定されているリンク及び供用廃止が予定されているリンクを含まない。このため、その道路網データの道路網ヘッダの計画道路有無情報には値0(供用開始又は廃止予定リンクなし)が設定される。
【0039】
メッシュM1,M2,M3,M4の道路網データのノードリストには、上記のノードに対応したノードレコードが格納され、リンクリスト及び形状リストには、上記のリンクに対応したリンクレコード及び形状レコードが格納される。
例えば、メッシュM1の道路網データにおいては、ノードリストに8個のノードレコードが、ノードN10〜N17の順に格納され、リンクリストに8個のリンクレコードが、リンクL10〜L17の順に格納される。形状リストには、8個の形状レコードがリンクL10〜L17の順に格納される。他のメッシュの道路網データにおいても上記と同様に格納する。
【0040】
当該地図情報が作成された時点では、メッシュM1の道路網データのリンクレコードの供用情報は、点線のリンクL10,L16,L17に対応するリンクレコードで非供用を表す値1が設定され、上記以外のリンクに対応するリンクレコードでは供用中を表す値0が設定される。
メッシュM2の道路網データのリンクレコードの供用情報は、点線のリンクL21,L22,L27に対応するリンクレコードで非供用を表す値1が設定され、上記以外のリンクに対応するリンクレコードでは供用中を表す値0が設定される。
メッシュM3の道路網データのリンクレコードの供用情報においては、全て供用中を表す値0が設定される。
メッシュM4の道路網データのリンクレコードの供用情報は、点線のリンクL45,L46,L47に対応するリンクレコードで非供用を表す値1が設定され、上記以外のリンクに対応するリンクレコードでは供用中を表す値0が設定される。
【0041】
更新情報は、道路の供用状況に従って、地図情報処理装置1が扱う道路網データを更新するための情報であり、実際の道路の供用状況に従って、どのリンクレコードの供用情報をどのように変更するかを示している。
図6は、更新情報のデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、更新情報は、更新情報ヘッダとメッシュ更新リストからなる。
更新情報ヘッダは、更新バージョン情報及びメッシュ更新リスト管理情報を有する。更新バージョン情報は、当該更新のバージョンを表す情報である。
メッシュ更新リスト管理情報は、メッシュ更新情報の数、メッシュ更新リストのデータサイズ等を表す情報である。
メッシュ更新リストは、当該更新情報で更新されるリンクを含むメッシュに対応して設けたメッシュ更新情報からなる。
【0042】
図7は、図6のメッシュ更新情報のデータ構造の一例を示す図である。図7に示すように、メッシュ更新情報は、メッシュ更新情報ヘッダと更新リストからなる。
メッシュ更新情報ヘッダは、更新階層番号、更新メッシュ番号、計画実施完了情報及び更新レコード数を有する。
更新階層番号は、該当する階層を表す階層番号であり、更新メッシュ番号は、更新するメッシュのメッシュ番号である。計画実施完了情報は、当該メッシュの供用開始又は廃止が予定されていた全てのリンクについて、全て供用開始又は廃止の実施が完了したか否かを示す情報であり、その値が0で未完了、1で完了とする。
更新レコード数は、当該更新リストの更新レコードの数を示している。
【0043】
更新リストは、更新するリンクレコードに対応して設けた更新レコードからなる。
また、更新レコードは、更新リンク番号と更新供用情報を有する。
更新リンク番号は、更新するリンクレコードのリンク番号である。
更新供用情報は、更新リンク番号が示すリンクに相当する道路の供用が開始されたか、廃止されたかを表す情報である。ここで、更新供用情報が値0であれば供用開始であり、値1であれば供用廃止となる。
【0044】
図8は、図1の情報提供装置が提供する更新情報の一例を示す図である。図8において、更新情報1は、当該地図情報が作成された後、ある期間経過したT1にメッシュM2のリンクL21が供用開始し、リンクL26の供用が廃止されたことに対応して提供される更新情報を示している。この期日T1では、メッシュM2のリンクL22,L27は供用開始していないため、メッシュM2のメッシュ更新情報ヘッダの計画実施完了情報は、値0(未完了)となっている。
【0045】
更新情報2は、期日T1からさらにある期間経過した期日T2に、メッシュM2のリンクL27、メッシュM4のリンクL45,L46が供用開始されたことに対応して提供される更新情報を示している。この期日T2では、メッシュM2のリンクL22が、供用開始していないため、メッシュM2のメッシュ更新情報ヘッダの計画実施完了情報は、値0(未完了)となっている。また、メッシュM4のリンクL47は供用開始していないため、メッシュM4のメッシュ更新情報ヘッダの計画実施完了情報は、値0(未完了)となっている。
【0046】
更新情報3は、期日T2からさらにある期間経過した期日T3に、メッシュM1のリンクL10,L16,L17が供用開始されたことに対応して提供される更新情報を示している。この期日T3では、メッシュM1の供用開始予定リンクL10,L16,L17が、全て供用開始するために、メッシュM1のメッシュ更新情報ヘッダの計画実施完了情報は、値1(完了)となっている。このとき、更新リストには、供用開始予定リンクL10,L16,L17に対する更新レコードは含まれないため、更新情報をより削減できる。
【0047】
更新情報4は、期日T3からさらにある期間経過した期日T4に、メッシュM2のリンクL22が供用開始されたことに対応して提供される更新情報を示している。
この期日T4では、メッシュM2の供用開始予定リンクは供用開始し、供用廃止予定リンクは全て廃止されているため、メッシュM2のメッシュ更新情報ヘッダの計画実施完了情報は、値1(完了)となっている。このとき、更新リストには、供用開始予定リンクL22に対する更新レコードは含まれないため、更新情報をより削減できる。
なお、図8に示すm1,m2,m4は、それぞれメッシュM1,M2,M4のメッシュ番号である。
【0048】
上記更新情報の例では、メッシュ毎に纏めてメッシュ更新情報を設けたが、メッシュ毎に纏めずに、メッシュ更新リストの代わりに、上記更新レコードに更新階層番号、更新メッシュ番号、計画実施完了情報を追加した更新レコードを並べるようにしてもよい。
【0049】
情報記憶部3には、上述した地図情報及び更新情報以外に、図2に示すように、道路網ヘッダの計画道路有無情報が値1(供用開始及び廃止予定のリンクを含む)である地図データを持つメッシュ(以下、更新予定メッシュと称す)を示す更新予定メッシュ情報が格納される。
【0050】
図9は、更新予定メッシュ情報の一例を示す図である。図9に示すように、更新予定メッシュ情報は、更新予定メッシュ情報ヘッダと更新予定メッシュリストからなる。
更新予定メッシュ情報ヘッダは、更新予定メッシュの数等の更新予定メッシュ情報を管理するための情報を有する。
また、更新予定メッシュリストは、更新予定メッシュに対応して設けた更新予定メッシュレコードからなる。更新予定メッシュレコードは、階層番号、メッシュ番号、メッシュ更新情報取得フラグ及び実施完了フラグを有する。
【0051】
階層番号は、当該更新予定メッシュの階層を示す番号である。メッシュ番号は、当該更新予定メッシュに付与されたメッシュ番号である。メッシュ更新情報取得フラグは、当該更新予定メッシュのメッシュ更新情報を取得したか否かを示す情報であり、値0では未取得、値1で取得されたことを示している。なお、当該地図情報が作成された時点では、全てのメッシュ更新情報取得フラグは、値0に設定されている。
【0052】
実施完了フラグは、当該更新予定メッシュが含む全ての供用開始又は廃止予定のリンクについて、供用開始の実施が完了したか否か、あるいは供用廃止の実施が完了したか否かを示す情報である。実施完了フラグが値0であると未完了を意味し、値1であれば完了を意味する。なお、当該地図情報が作成された時点では、全ての更新予定メッシュレコードの実施完了フラグは、値0に設定されている。
このような更新予定メッシュ情報を参照することで、メッシュ更新情報の取得状況や、更新予定メッシュにおける供用開始あるいは廃止予定の実施状況を直ちに知ることができる。
【0053】
次に動作について説明する。
(1)更新情報の取得処理
地図情報処理装置1は、情報提供装置8から更新情報を取得する処理を、地図情報処理と並行して行う。このとき、後述する更新情報を取得する動作を所定期間毎に繰り返す。なお、更新情報の取得は、地図情報処理装置1の起動時や、ユーザから要求されたとき等に行ってもよい。
【0054】
図10は、実施の形態1の地図情報処理装置による更新情報の取得処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、プロセッサ4の更新情報取得部7aが、情報取得部7を介して、端末識別情報、及び最新の更新情報のバージョンを表す情報(更新情報がなければ、地図情報のバージョンを表す情報)とともに、更新情報を要求する情報を情報提供装置8へ送信する(ステップST100)。端末識別情報とは、今回更新情報を要求した地図情報処理装置1を、他の地図情報処理装置と識別するための情報である。また、最新の更新情報のバージョンを表す情報とは、今回更新情報を要求した地図情報処理装置1の情報記憶部3に格納されている更新情報の最新のバージョンを示す情報である。なお、更新情報がなければ、情報記憶部3に格納される地図情報のバージョンを表す情報が、更新情報を要求する情報とともに送信される。
【0055】
更新情報取得部7aは、ステップST100にて送信した更新情報の要求に対する応答として、情報取得部7を介して更新情報の有無を表す情報を情報提供装置8から受信すると、当該情報に基づいて更新情報の有無を判定する(ステップST110)。ここで、更新情報がある場合(ステップST110;YES)、ステップST120の処理へ遷移する。また、更新情報がなければ(ステップST110;NO)、更新情報の取得の動作を終了する。
【0056】
なお、情報提供装置8は、道路が更新される度に、その道路の更新情報を外部から取得して、装置内の更新情報記憶部(図1において不図示)に格納しておき、地図情報処理装置1から受信した更新情報のバージョンよりも新しいバージョンの更新情報を保有していれば、更新情報ありの情報を送信し、保有していなければ、更新情報なしの情報を送信した後、上記新しいバージョンの更新情報を、要求元の地図情報処理装置1に送信する。
また、情報提供装置8が、道路の供用開始又は供用廃止を示す情報を外部から取得して、当該道路に関する更新情報を作成するようにしてもよい。
【0057】
図8の更新情報を例に挙げて具体的に説明する。
情報提供装置8は、期日T1において更新情報1を更新情報記憶部へ格納し、期日T2において更新情報2を更新情報記憶部へ格納し、期日T3において更新情報3を更新情報記憶部へ格納し、期日T4において更新情報4を更新情報記憶部へ格納する。
【0058】
例えば、期日T2から期日T3までの期間よりも以前には、情報提供装置8は、図8に示す更新情報1及び更新情報2を保有している。ここで、地図情報処理装置1から最新の更新情報のバージョン1を表す情報を受信すると、情報提供装置8は、バージョン2の更新情報2を保有しているので、更新情報ありの情報を地図情報処理装置1へ送信する。
また、情報提供装置8が、最新の更新情報のバージョン2を表す情報を地図情報処理装置1から受信すると、バージョン2よりも新しいバージョンの更新情報を保有していないため、更新情報なしの情報を地図情報処理装置1へ送信する。
【0059】
ステップST120において、更新情報取得部7aは、情報取得部7を介して情報提供装置8から更新情報を取得する。図8の例では、期日T1以降で期日T2に達しない期日T1’、期日T2以降で期日T3に達しない期日T2’、期日T3以降で期日T4に達しない期日T3’、期日T4以降の期日T4’で、更新情報1、更新情報2、更新情報3、更新情報4が、情報提供装置8から順次提供され、これらの更新情報が取得される。
【0060】
更新情報取得部7aは、ステップST120にて取得した更新情報を情報記憶部3に格納する(ステップST130)。例えば、T1’,T2’,T3’,T4’の各期日で、更新情報1、更新情報2、更新情報3、更新情報4が、更新情報取得部7aによって情報記憶部3にそれぞれ格納される。
【0061】
ステップST140においては、当該ステップに来る度に、更新情報取得部7aが、ステップST120で取得された更新情報のメッシュ更新リストのメッシュ更新情報を先頭から順に1つずつ参照して、そのメッシュ更新情報ヘッダの更新階層番号、更新メッシュ番号及び計画実施完了情報を求める。
【0062】
次いで、更新情報取得部7aの更新情報取得メッシュ情報作成部7bが、情報記憶部3の更新予定メッシュ情報を検索して、ステップST140で求めた更新階層番号及び更新メッシュ番号と同一の階層番号及びメッシュ番号を有する更新予定メッシュレコードを探索し、探索結果の更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグに値1(取得済み)を設定する。
さらに、更新情報取得部7aの計画実施完了メッシュ情報作成部7cが、更新情報取得メッシュ情報作成部7bが探索した上記更新予定メッシュレコードの実施完了フラグに、計画実施完了情報と同じ値を設定する。
これらの処理がステップST150に相当する。
【0063】
例えば、図8の更新情報の取得時においては、期日T1’で、メッシュ更新情報0から読み出された階層番号0のメッシュ番号m2のメッシュの更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグに値1(取得)が格納され、実施完了フラグに値0(未完)が格納される。
期日T2’では、メッシュ更新情報0から読み出された階層番号0のメッシュ番号m2のメッシュの更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグに値1(取得)が格納され、実施完了フラグに値0(未完)が格納される。
また、メッシュ更新情報1から読み出された階層番号0のメッシュ番号m4のメッシュの更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグに値1(取得)が格納され、実施完了フラグに値0(未完)が格納される。
期日T3’では、メッシュ更新情報0から読み出された階層番号0のメッシュ番号m1のメッシュの更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグに値1(取得)が格納され、実施完了フラグに値1(完了)が格納される。
期日T4’では、メッシュ更新情報0から読み出された階層番号0のメッシュ番号m2のメッシュの更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグに値1(取得)が格納され、実施完了フラグに値1(完了)が格納される。
【0064】
次に、更新情報取得部7aは、ステップST120で取得した更新情報のメッシュ更新リストにおける全てのメッシュ更新情報について、ステップST140及びステップST150の処理を実施したか否かを判定する(ステップST160)。ここで、全てのメッシュ更新情報について処理を実施していれば(ステップST160;YES)、更新情報の取得の動作を終了する。また、未実施のメッシュ更新情報がある場合(ステップST160;NO)には、ステップST140に戻って未実施のメッシュ更新情報に対する処理を繰り返す。
【0065】
上述のようにして情報提供装置8から取得した更新情報が情報記憶部3に蓄積される。
また、更新情報取得メッシュ情報作成部7b及び計画実施完了メッシュ情報作成部7cが、取得したメッシュ更新情報に従って、更新予定メッシュ情報のメッシュ更新情報取得フラグ及び実施完了フラグを設定する。この更新予定メッシュ情報を参照することで、各更新メッシュのメッシュ更新情報の取得状況、供用開始・廃止予定の実施情報を知ることができる。
【0066】
(2)更新処理
地図表示処理、経路探索処理、及びマップマッチング処理等の地図情報処理において、プロセッサ4の地図データ取得部9が、先ず、所要のメッシュの地図データを情報記憶部3から読み出して、メモリ9aに格納する。更新部10は、メモリ9aに格納された地図データにおける道路網データを更新する。以下、プロセッサ4のメモリ9aに格納された道路網データの更新処理の詳細を説明する。
【0067】
図11は、実施の形態1の地図情報処理装置による更新処理の流れを示すフローチャートである。先ず、非参照更新部10aが、メモリ9aに格納した道路網データの道路網データヘッダの計画道路有無情報を調べて、供用開始又は供用廃止の予定があるか否かを判定する(ステップST200)。ここで、計画道路有無情報が値1の場合(ステップST200;YES)、当該メッシュに供用開始予定又は廃止予定のリンクがあると判断して、ステップST210へ遷移する。値0の場合には(ステップST200;NO)、当該メッシュに供用開始予定又は廃止予定のリンクは無いと判断して更新処理を終了する。
【0068】
例えば、図5に示すメッシュM3は、供用開始予定及び供用廃止予定のリンクを持たないため、前述したように、その計画道路有無情報は値0である。このため、ステップST210以降の処理を行うことなく、直ちに更新処理を終了する。
本ステップにより、供用開始予定又は廃止予定のリンクを持たず、更新の必要のないメッシュに対して、ステップST210以降の更新処理を省略でき、無駄な処理時間の発生を防止できる。
【0069】
次に、非参照更新部10aが、情報記憶部3の更新予定メッシュ情報を検索して、当該メッシュの階層番号及びメッシュ番号と同一の階層番号及びメッシュ番号を有する更新予定メッシュレコードを探索し、探索結果の更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグを調べて、メッシュ更新情報を既に取得済みであるか否かを判定する(ステップST210)。
ここで、メッシュ更新情報取得フラグが値1である場合(ステップST210;YES)、当該メッシュのメッシュ更新情報が既に取得されていると判断し、ステップST220へ遷移する。一方、メッシュ更新情報取得フラグが値0の場合(ステップST210;NO)は、当該メッシュのメッシュ更新情報が未だ取得されていないと判断して更新処理を終了する。
【0070】
例えば、図8において、更新情報1を期日T1で取得し、更新情報2を期日T2で取得した以降から期日T3に至る前の期間において、図5のメッシュM1の地図データを更新する際に、メッシュM1の更新情報3は、まだ取得されていない。このため、更新予定メッシュ情報において、メッシュM1の更新予定メッシュレコードのメッシュ更新情報取得フラグは値0(未取得)であるので、ステップST220以降の処理を行うことなく直ちに更新処理を終了する。
また、上記期間で、図5のメッシュM2,M4の地図データを更新する際には、それらのメッシュ更新情報は既に取得されているため、メッシュ更新情報取得フラグは値1(取得)であり、ステップST220へ遷移して更新処理が継続される。
本ステップにより、メッシュ更新情報が取得されておらず、更新できないメッシュに対して、ステップST210以降の更新処理を省略でき、無駄な処理時間の発生を防止できる。
【0071】
ステップST220において、非参照更新部10aは、本ステップに来る度に、情報記憶部3に格納されている道路網データのリンクリストの先頭から順に、リンクレコードを1つずつ取得する。
【0072】
次に、非参照更新部10aは、ステップST210の探索結果として得られた更新予定メッシュレコードの実施完了フラグを調べて、当該メッシュの全ての供用開始又は廃止予定のリンクについて供用開始又は廃止の実施が完了しているか否かを判定する(ステップST230)。
ここで、実施完了フラグが値1の場合(ステップST230;YES)、当該メッシュの全ての供用開始又は廃止予定のリンクについて、供用開始又は廃止の実施が完了していると判断して、ステップST240の処理へ遷移する。
また、実施完了フラグが値0の場合(ステップST230;NO)には、当該メッシュの全ての供用開始又は廃止予定のリンクについて、供用開始又は廃止の実施が完了していないと判断して、ステップST290の処理へ遷移する。
【0073】
例えば、図8において、期日T3’で更新情報3を取得した以降から、図5のメッシュM1のリンクL10,L16,L17が既に供用開始されている。この場合には、図5のメッシュM1の地図データを更新する際、更新予定メッシュ情報において、メッシュM1の更新予定メッシュレコードの実施完了フラグが値1(完了)であるため、ステップST240へ遷移する。
同様に、期日T4’で更新情報4を取得した以降においては、図5のメッシュM2のリンクL21,L22,L27が既に供用開始され、リンクL26の供用が廃止されている。従って、図5のメッシュM2の地図データの更新する際には、メッシュM2の実施完了フラグが値1(完了)であるため、ステップST240へ遷移する。
また、期日T3’から期日T4’よりも前の期間で、図5のメッシュM2,M4の地図データを更新する際には、リンクL22,L47が未だ供用されていない。このため、メッシュM2,M4の更新予定メッシュレコードの実施完了フラグが値0(未完)であることから、ステップST290へ遷移することとなる。
本ステップにより、当該メッシュの全ての供用開始又は廃止予定のリンクについて供用開始又は供用廃止の実施が完了していれば、当該メッシュの更新情報を参照することなく、後述するステップST240からステップST270までの処理で、リンクレコードの更新ができ、更新処理時間を短縮できる。
【0074】
続いて、非参照更新部10aは、ステップST220で取得したリンクレコードの計画情報を調べて、当該リンクレコードが示すリンクが供用廃止予定であるか否かを判定する(ステップST240)。ここで、計画情報が値2のとき(ステップST240;YES)、当該リンクが廃止予定であると判断してステップST270へ遷移する。また、計画情報が値2でないとき(ステップST240;NO)、当該リンクが廃止予定でないと判断して、ステップST250へ遷移する。
【0075】
ステップST250において、非参照更新部10aは、ステップST220で取得したリンクレコードの計画情報を調べて、当該リンクレコードが示すリンクが供用開始予定であるか否かを判定する。ここで、計画情報が値1である場合(ステップST250;YES)、当該リンクが供用開始予定であると判断してステップST260へ遷移する。また、計画情報が値1でないとき(ステップST250;NO)、当該リンクが供用開始予定でないと判断して、ステップST280へ遷移する。
【0076】
非参照更新部10aは、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得されたリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値0(使用可能)を設定する(ステップST260)。
当該リンクは供用開始が予定されたリンクであり、ステップST230において、当該メッシュの供用開始予定リンクは全て供用開始していることが判明している。このため、当該メッシュの更新情報を参照することなく、当該リンクを使用可能とすることで、更新処理時間を削減できる。
【0077】
ステップST270では、非参照更新部10aが、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得されたリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値1(使用不可)を設定する。
当該リンクは供用廃止が予定されたリンクであり、ステップST230において、当該メッシュの供用廃止予定リンクは全て供用廃止していることが判明している。このため、当該メッシュの更新情報を参照することなく、当該リンクを使用不可とすることで、更新処理時間を削減できる。
【0078】
例えば、図8において、期日T4’で更新情報4を取得した以降では、ステップST240、ステップST250、ステップST260及びステップST270で、図5のメッシュM2のリンクL21,L22,L27のリンクレコードの計画情報が、供用開始予定である。このため、非参照更新部10aは、これらの供用情報を供用中とするとともに、リンクL26の計画情報が供用廃止予定であるため、その供用情報を非供用とする。
【0079】
ステップST280において、非参照更新部10aは、道路網データのリンクリストの全てのリンクレコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全てのリンクレコードの取得が終了していなければ(ステップST280;NO)、ステップST220の処理へ戻る。一方、全てのリンクレコードの取得が終了していれば(ステップST280;YES)、更新処理を終了する。
【0080】
非参照更新部10aは、情報記憶部3に格納されている全ての更新情報における、全てメッシュ更新情報を検索して、ステップST220で取得したリンクレコードに対応するリンクについての更新レコードを探索する(ステップST290)。すなわち、各メッシュ更新情報のメッシュ更新情報ヘッダの更新階層番号及び更新メッシュ番号を調べ、当該メッシュの階層番号及びメッシュ番号に一致するメッシュ更新情報を特定し、このメッシュ更新情報に対して、その更新リストからステップST220で取得したリンクレコードのリンク番号に一致する更新リンク番号を有する更新レコードを探索する。
【0081】
例えば、図8において、期日T2’から期日T3’より以前の期間で、図5のメッシュM2の地図データを更新する場合には、情報記憶部3に格納される更新情報1のメッシュ更新情報0及び更新情報2のメッシュ更新情報0を検索して、リンク番号1のリンクレコードに対して更新情報1のメッシュ更新情報0の更新レコード0を探索し、リンク番号6のリンクレコードに対して更新情報1のメッシュ更新情報0の更新レコード1を探索し、リンク番号7のリンクレコードに対して更新情報2のメッシュ更新情報0の更新レコード0を探索する。
【0082】
非参照更新部10aは、ステップST290における探索で更新レコードが見つかれば(ステップST300;YES)、ステップST310の処理へ遷移する。一方、更新レコードが見つからなければ(ステップST300;NO)、ステップST280の処理へ遷移する。
【0083】
ステップST310において、非参照更新部10aは、ステップST290で見つけた更新レコードの更新供用情報を調べて、当該リンクが供用開始されたか否かを判定する。
ここで、更新供用情報が値0(供用開始)である場合(ステップST310;YES)、ステップST320の処理へ遷移し、更新供用情報が値1(廃止)である場合(ステップST310;NO)、ステップST330の処理へ遷移する。
【0084】
次いで、非参照更新部10aは、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得したリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値0(供用中)を設定する(ステップST320)。この後、ステップST280の処理へ遷移する。
【0085】
一方、ステップST330においては、非参照更新部10aが、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得したリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値1(非供用)を設定する。この後、ステップST280の処理へ遷移する。
【0086】
例えば、ステップST310、ステップST320及びステップST330において、期日T2’から期日T3’より前の期間で、図5のメッシュM2の地図データを更新する際は、更新情報1のメッシュ更新情報0の更新レコード0の更新供用情報が値0(開始)であるので、リンク番号1のリンクレコードの供用情報に値0(供用中)を設定する。また更新情報1のメッシュ更新情報0の更新レコード1の更新供用情報が値1(廃止)であるので、リンク番号6のリンクレコードの供用情報に値1(非供用)を設定する。さらに、更新情報2のメッシュ更新情報0の更新レコード0の更新供用情報が値0(開始)であるので、リンク番号7のリンクレコードの供用情報に値0(供用中)を設定する。
【0087】
上述したように、ステップST290からステップST330までの処理により、供用開始予定又は廃止予定のリンクを含むメッシュで、そのメッシュ更新情報が取得されて、供用開始予定又は廃止予定のリンクで、未だ供用開始又は廃止がなされていないリンクを持つメッシュに対して、そのメッシュ更新情報に従ってリンクレコードの供用情報が更新される。
【0088】
(3)地図表示処理
地図表示処理において、上述のように、地図データ取得部9が、所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、それらの地図データにおける道路網データの更新を行う。また、地図表示処理では、更新後の地図データの背景データ、道路網データ、名称データを用いて、描画処理部11が、背景、道路、名称を描画メモリ12へ描画し、表示制御部13が、描画メモリ12に描画された地図を表示部5に表示する。
【0089】
道路の描画において、描画処理部11は、メモリ9aに格納した道路網データのリンクリストからリンクレコードを順次取り出し、リンクレコードの供用情報が値1(非供用)の場合は、そのリンクの道路形状を描画せず、リンクレコードの供用情報が値0(供用中)の場合にのみ、そのリンクのリンク形状リストから形状レコードを取り出し、取り出した形状レコードの形状リストに基づいて、当該リンクの道路形状を表す折れ線を描画する。この描画処理において、道路形状の色、パターンは、上記リンクレコードのリンク属性情報に基づいて描画される。
【0090】
図12は、道路の描画例(その1)を示す図であり、図8の更新情報1が取得されていない期日T1’以前の期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図12において、期日T1’では、リンクL21,L22,L27は供用が開始されていないため、それらのリンクレコードの供用情報が値1(非供用)であり、これらのリンクの道路形状は描画されない。
また、リンクL26の供用は廃止されていないので、リンクレコードの供用情報は、値0(供用中)であり、このリンクの道路形状は描画される。
図5のメッシュM2における上記以外のリンクL20,L23,L24,L25,L28,L29のリンクレコードの供用情報は値0(供用中)であるので、これらのリンクの道路形状は描画される。
【0091】
図13は、道路の描画例(その2)を示す図であり、図8の更新情報1を取得した期日T1’以降から期日T2までの期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図13において、上述の期間では、リンクL21の供用が開始されており、そのリンクレコードの供用情報が値0(供用中)となることから、このリンクの道路形状は描画される。
また、リンクL26の供用は廃止されているので、そのリンクレコードの供用情報には値1(非供用)が設定されており、このリンクの道路形状は描画されない。
他のリンクについては、図12の場合と同様である。
このように供用情報に応じて道路を表示するため、使用者は、表示された地図を見るだけで、各道路が使用可能か否かを直ちに把握することができる。
【0092】
入力部1aを介して、使用者から供用状況を表示する指示を受けた場合は、描画処理部11が、道路の描画において、道路網データのリンクリストから、リンクレコードを順次取り出して、そのリンクのリンク形状リストから形状レコードを取り出し、取り出した形状レコードの形状リストに基づいて該リンクの道路形状を表す折れ線を描画する。
上記道路形状の描画において、描画処理部11は、リンクレコードの計画情報と供用情報を参照して、これら情報の値に応じて下記のように描画する。
(a)計画情報が計画無しのとき
供用情報に関係なく、細い実線で道路形状を描画する。
(b)計画情報が供用開始予定のとき
供用情報が非供用であると、一点鎖線で道路形状を描画する。
供用情報が供用中であると、太い実線で道路形状を描画する。
(c)計画情報が供用廃止予定のとき
供用情報が非供用であると、細い点線で道路形状を描画する。
供用情報が供用中であると、太い点線で道路形状を描画する。
なお、道路形状のパターンは、上記の場合に限定されるものでなく、上記の状況が区別できるように描画すればよい。また、色使いを加味してもよい。
【0093】
図14は、道路の描画例(その3)を示す図であり、使用者から供用状況を表示する指示を受けた場合に、図8の更新情報1を取得した期日T1’より前における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図14において、リンクL20,L23,L24,L25,L28,L29については、地図情報の作成時に既に供用されており、リンクレコードの計画情報が値0(計画無し)である。このため、リンクL20,L23,L24,L25,L28,L29の道路形状は、細い実線で描画される。
また、リンクL21,L22,L27については供用開始が予定されており、それらのリンクレコードの計画情報は値1(供用開始予定)である。一方、上記期日では供用が開始されていないため、リンクレコードの供用情報は値1(非供用)である。従って、リンクL21,L22,L27の道路形状は一点鎖線で描画される。
さらに、リンクL26では、供用廃止が予定されており、そのリンクレコードの計画情報は値2(供用廃止予定)である。一方、上記期日では、このリンクの供用は廃止されていないため、そのリンクレコードの供用情報は値0(供用中)である。従って、リンクL26の道路形状は、太い点線で描画される。
【0094】
図15は、道路の描画例(その4)を示す図であり、使用者から供用状況を表示する指示を受けた場合に、図8の更新情報1を取得した期日T1’以降から期日T2’よりも前の期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図15において、リンクL20,L23,L24,L25,L28,L29については、地図情報の作成時に既に供用されており、リンクレコードの計画情報が値0(計画無し)である。このため、リンクL20,L23,L24,L25,L28,L29の道路形状は、細い実線で描画される。
また、リンクL21は供用開始が予定されており、リンクL21のリンクレコードの計画情報には値1(供用開始予定)が設定されている。一方、上記期間で供用が開始されたため、リンクL21のリンクレコードの供用情報には値0(供用中)が設定されており、これらのリンクの道路形状は太い実線で描画される。
さらに、リンクL22,L27は供用開始が予定されており、リンクL22,L27のリンクレコードの計画情報には値1(供用開始予定)が設定されている。また、上記期間では、供用が開始されていないため、リンクL22,L27のリンクレコードの供用情報には値1(非供用)が設定されている。従って、リンクL22,L27の道路形状は、一点鎖線で描画される。
さらに、リンクL26は供用廃止が予定されており、リンクL26のリンクレコードの計画情報には値2(供用廃止予定)が設定されている。また、上記期間でリンクL26の供用が廃止されたため、リンクL26のリンクレコードの供用情報には値1(非供用)が設定されている。従って、リンクL26の道路形状は細い点線で描画される。
このように、計画情報及び供用情報に応じて道路を区分して表示するため、使用者は、表示された地図を見るだけで各道路の計画状況及びその実施の状況を直ちに把握できる。
【0095】
(4)経路探索処理
経路探索処理においても、地図データ取得部9が、上述のように所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、メモリ9aに格納した地図データにおける道路網データの更新を行い、経路探索部14が、更新された道路網データを用いて経路探索を行う。この経路探索処理において、経路探索部14は、リンクレコードの供用情報を参照して、その値が0(供用中)であるリンクのみを用いて経路探索を行う。
【0096】
経路探索部14が、図5のメッシュM1,M2,M3,M4の道路網データを用いて、出発点がノードN43で、目的地がノードN28の経路探索を行う場合を例に挙げる。
ここで、図8の更新情報1が取得されていない期日T1’よりも前の期間に、経路探索を実行した場合、経路探索部14は、図5中で点線を用いて表したリンク以外のリンクを用いて経路探索を行う。この経路探索の結果、L42→L41→L44→L23→L26→L28、という経路が得られる。
【0097】
また、図8の更新情報3を取得した期日T3’以降から期日T4’よりも前の期間に、経路探索を実行した場合には、経路探索部14が、図5のメッシュM2のリンクL22,L26,メッシュM4のL47以外のリンクを用いて経路探索を行う。この経路探索の結果として、L42→L46→L27という経路が得られる。
このように、更新情報で道路網データを更新することにより、現時点で供用されているリンクのみを用いて経路探索処理を行うので、実際の道路状況に即した好適な経路を得ることができる。
【0098】
(5)マップマッチング処理
マップマッチング処理において、地図データ取得部9が、上述のように所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、メモリ9aに格納した地図データにおける道路網データの更新を行い、マップマッチング処理部15が、更新された道路網データと、位置検出部2で検出した地図情報装置1を搭載する移動体の現在位置とを用いて、移動体が走行しているリンク及びリンク上の現在位置を求める。
このマップマッチング処理において、マップマッチング処理部15は、リンクレコードの供用情報を参照し、その値が0(供用中)であるリンクのみを用いてマップマッチングを行う。
【0099】
上記移動体が、図5のノードN22からリンクL29を通ってノードN26へ走行する場合を例に挙げて説明する。この場合に、マップマッチング処理部15は、メモリ9aに格納した、図5のメッシュM2の道路網データからリンクリストのリンクレコードを検索し、その供用情報が値0(供用中)であるリンクについてのみ、その形状レコードを取得する。この後、マップマッチング処理部15は、その形状点リストが表す道路形状と位置検出部2で検出した現在位置とを比較し、上記現在位置の所定近傍に位置するリンクを見つける。
【0100】
図8の更新情報1が取得されていない期日T1’以前の期間では、移動体がノードN22を通過して、まもなくの間は、上記現在位置の所定近傍に位置し、供用情報が値0(供用中)であるリンクL26,L29を見つけることができる。
また、リンクL21は、この期間では供用が開始されていないため、その供用情報が値1(非供用)であるので、所定近傍に位置するリンクの候補から除外される。
さらに、移動体がノードN26に向って走行を続けると、リンクL26の道路形状と現在位置との距離が大きくなり、所定近傍に位置するリンクの候補からリンクL26が除外される。これにより、当該移動体がリンクL29を走行していると判定される。
【0101】
一方、図8の更新情報1を取得した期日T1’以降の期間では、リンクL21の供用が開始され、その供用情報が値0(供用中)に更新されている。このため、移動体がノードN22を通過して、まもなくの間は、上記現在位置の所定近傍に位置し、供用情報が値0(供用中)であるリンクL29,L21を見つけることができる。
さらに、ノードN26に向って移動体が走行を続けると、リンクL21の道路形状と現在位置との距離が大きくなり、所定近傍に位置するリンクの候補からリンクL21が除外される。これにより、当該移動体が、リンクL29を走行していると判定される。
【0102】
このように、更新情報で道路網データを更新し、現時点で供用されているリンクのみを用いてマップマッチング処理を行うので、実際の道路状況に即した好適なマップマッチングが可能である。
【0103】
以上のように、この実施の形態1によれば、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用が開始された道路又は供用が廃止された道路を示す更新情報を管理する情報提供装置8から、当該更新情報を取得する更新情報取得部7aと、道路が供用されているか否かを示す供用情報とメッシュ内に供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むか否かを示す計画道路有無情報とを有し、メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、及び、更新情報取得部7aに取得された更新情報を記憶する情報記憶部3と、情報記憶部3から地図データを取得する地図データ取得部9と、地図データ取得部9に取得された地図データの計画道路有無情報に基づき、当該地図データが表す地図のメッシュ内に、供用の開始又は廃止が予定されている道路が含まれる場合にのみ、情報記憶部3に記憶された更新情報に基づいて、当該地図データの供用情報を更新する更新部10とを備える。
このように、実施の形態1に係る地図情報処理装置1では、計画道路有無情報から、供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むメッシュと、これを含まないメッシュとの区別が可能であり、供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むメッシュについてのみ更新処理をする。これにより、供用の開始又は廃止が予定されている道路を含まないメッシュについて、更新情報を参照して供用の開始や廃止する道路がないことを確認するという不要な処理を防止できる。従って、供用又は供用の廃止が予定される道路の更新処理を効率良く短時間で行うことができる。
【0104】
また、この実施の形態1によれば、更新情報には、メッシュ内で供用の開始が予定されていた全ての道路の供用が開始され、かつ当該メッシュ内で供用の廃止が予定されていた全ての道路の供用が廃止されたメッシュを表す計画実施完了情報が設けられ、地図データには、当該地図データが表す地図のメッシュ内で供用の開始が予定されている道路であること、又は、供用の廃止が予定されている道路であることを示す計画情報が設けられ、情報記憶部3に記憶された更新情報の計画実施完了情報に基づいて、メッシュ内で供用の開始が予定されていた全ての道路の供用が開始され、かつ当該メッシュ内で供用の廃止が予定されていた全ての道路の供用が廃止されたメッシュを示す実施完了メッシュ情報を作成する計画実施完了メッシュ情報作成部7cを備え、更新部10の非参照更新部10aが、地図データ取得部9に取得された地図データのうち、実施完了メッシュ情報が示すメッシュの地図データを特定して、当該地図データにおける、計画情報で供用の開始が予定されている道路の供用情報を、当該道路が供用中であることを示す内容に更新し、計画情報で供用の廃止が予定されている道路の供用情報を、当該道路が非供用であることを示す内容に更新する。
このようにすることで、計画実施完了情報から、メッシュ内で同時に供用の開始又は廃止が予定されている全ての道路について供用が開始又は廃止されたメッシュを把握でき、当該メッシュ内の供用の開始又は廃止が予定されている個々の道路についての更新情報を取得して参照することなく、地図データを更新できる。これにより、更新時間の短縮も可能である。
【0105】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aに取得されたことがある更新情報が示す道路が含まれるメッシュを示す更新情報取得メッシュ情報を作成する更新情報取得メッシュ情報作成部7bを備え、更新部10の非参照更新部10aが、更新情報メッシュ情報が示すメッシュの地図データの供用情報のみを更新する。このように、更新情報取得メッシュ情報から更新情報を以前に取得していないことを把握できる。これにより、これまでに取得した更新情報を検索して、当該メッシュの更新情報がないことを確認するという不要な処理を省略できる。
【0106】
さらに、この実施の形態1によれば、計画情報が供用の開始が予定されている道路であることを示しており、供用情報が供用中であることを示している道路を、計画情報及び供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部5に表示する描画処理部11を備えたので、使用者が供用が開始された道路を容易に視認できる。
【0107】
さらに、この実施の形態1によれば、計画情報が供用の廃止が予定されている道路であることを示しており、供用情報が非供用であることを示している道路を、計画情報及び供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部5に表示する描画処理部11を備えたので、使用者が供用が廃止された道路を容易に視認できる。
【0108】
さらに、この実施の形態1によれば、計画情報が供用の開始が予定されている道路であることを示しており、供用情報が非供用であることを示している道路を、計画情報及び供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部5に表示する描画処理部11を備えたので、使用者が供用が予定されている道路を容易に視認できる。
【0109】
さらに、この実施の形態1によれば、計画情報が供用の廃止が予定されている道路であることを示しており、供用情報が供用中であることを示している道路を、計画情報及び供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部5に表示する描画処理部11を備えたので、使用者が供用の廃止が予定されている道路を容易に視認できる。
【0110】
さらに、この実施の形態1によれば、供用情報が供用中であることを示している道路を対象として経路探索を行う経路探索部14を備えたので、現時点で供用されているリンクのみを用いて経路探索処理を行うため、実際に道路の状況に即した好適な経路を得ることができる。
【0111】
さらに、この実施の形態1によれば、供用情報が供用中であることを示している道路を対象としてマップマッチングを行うマップマッチング処理部15を備えたので、現時点で供用されているリンクのみを用いてマップマッチング処理を行うため、実際に道路の状況に即したマップマッチングが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 地図情報処理装置、1a 入力部、2 位置検出部、3 情報記憶部、4 プロセッサ、5 表示部、6 音声出力部、7 情報取得部、7a 更新情報取得部、7b 更新情報取得メッシュ情報作成部、7c 計画実施完了メッシュ情報作成部、8 情報提供装置、9 地図データ取得部、9a メモリ、10 更新部、10a 非参照更新部、11 描画処理部、12 描画メモリ、13 表示制御部、14 経路探索部、15 マップマッチング処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用が開始された道路又は供用が廃止された道路を示す更新情報を管理する外部装置から、当該更新情報を取得する更新情報取得部と、
道路が供用されているか否かを示す供用情報と前記メッシュ内に供用の開始又は廃止が予定されている道路を含むか否かを示す計画道路有無情報とを有し、前記メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、及び、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報を記憶する情報記憶部と、
前記情報記憶部から前記地図データを取得する地図データ取得部と、
前記地図データ取得部に取得された前記地図データの前記計画道路有無情報に基づき、当該地図データが表す地図のメッシュ内に、供用の開始又は廃止が予定されている道路が含まれる場合にのみ、前記情報記憶部に記憶された前記更新情報に基づいて、当該地図データの前記供用情報を更新する更新部とを備えた地図情報処理装置。
【請求項2】
前記更新情報には、メッシュ内で供用の開始が予定されていた全ての道路の供用が開始され、かつ当該メッシュ内で供用の廃止が予定されていた全ての道路の供用が廃止された前記メッシュを表す計画実施完了情報が設けられ、
前記地図データには、当該地図データが表す地図のメッシュ内で供用の開始が予定されている道路であること又は供用の廃止が予定されている道路であることを示す計画情報が設けられ、
前記情報記憶部に記憶された前記更新情報の前記計画実施完了情報に基づいて、メッシュ内で供用の開始が予定されていた全ての道路の供用が開始され、かつ当該メッシュ内で供用の廃止が予定されていた全ての道路の供用が廃止されたメッシュを示す実施完了メッシュ情報を作成する計画実施完了メッシュ情報作成部を備え、
前記更新部は、前記地図データ取得部に取得された前記地図データのうち、前記実施完了メッシュ情報が示すメッシュの地図データを特定して、当該地図データにおける、前記計画情報で供用の開始が予定されている道路の前記供用情報を、当該道路が供用中であることを示す内容に更新し、前記計画情報で供用の廃止が予定されている道路の前記供用情報を、当該道路が非供用であることを示す内容に更新することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項3】
前記更新情報取得部に取得されたことがある更新情報が示す道路が含まれるメッシュを示す更新情報取得メッシュ情報を作成する更新情報取得メッシュ情報作成部を備え、
前記更新部は、前記更新情報取得メッシュ情報が示すメッシュの地図データの前記供用情報のみを更新することを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項4】
前記計画情報が供用の開始が予定されている道路であることを示しており、前記供用情報が供用中であることを示している道路を、前記計画情報及び前記供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部に表示する描画処理部を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項5】
前記計画情報が供用の廃止が予定されている道路であることを示しており、前記供用情報が非供用であることを示している道路を、前記計画情報及び前記供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部に表示する描画処理部を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項6】
前記計画情報が供用の開始が予定されている道路であることを示しており、前記供用情報が非供用であることを示している道路を、前記計画情報及び前記供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部に表示する描画処理部を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項7】
前記計画情報が供用の廃止が予定されている道路であることを示しており、前記供用情報が供用中であることを示している道路を、前記計画情報及び前記供用情報が当該内容でない道路と視覚的に区別して表示部に表示する描画処理部を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項8】
前記供用情報が供用中を示している道路を対象として経路探索を行う経路探索部を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項9】
前記供用情報が供用中を示している道路を対象としてマップマッチングを行うマップマッチング処理部を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−37798(P2012−37798A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179334(P2010−179334)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】