説明

地形データの取得方法

【課題】レーザレーダを用いて監視領域の物体を検知するのに用いる監視領域の地形データを、監視領域が広い場合であっても精度よく取得できるようにすること。
【解決手段】侵入物体Sが存在しない状態で監視領域Aの地面Lを、表面に高反射率の反射材をコーティングした反射シートRで覆い、その状態で走査光により監視領域Aの地面Lを走査して、反射シートRの表面からの反射光を受光する。これにより、地面Lを直接走査光で走査する場合に比べて反射光の受光強度を高くする。よって、走査光の入射が浅くなって反射光の強度が微弱となる遠方の監視領域Aについても、反射率のよい反射シートRからの反射光に基づいて、監視領域Aの地面Lの地形データを精度よく取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域の地形データを取得する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測距用の走査光により3次元空間を主走査方向及び副走査方向に走査させるレーザレーダにより監視領域の物体を検出する際には、主に2通りの方法が用いられる。
【0003】
第1の方法は、一般に背景差分法と呼ばれるものである。この背景差分法では、予め基準となる地形(地面や周囲の建築物等)をレーザレーダにより計測してそのデータを記録しておく。そして、監視開始後にレーザレーダにより計測して得たデータと、記録した基準地形のデータとの差分を取ることにより、地形と一致しない計測点を物体として検知するもの(例えば、特許文献1)。
【0004】
第2の方法では、監視開始後に計測したデータの座標系を、監視領域の地面を高さ方向座標における座標値=ゼロとする座標系に変換した上で、計測したデータの高さ方向座標が一定の閾値を超えた計測点を物体として検知する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−300259号公報
【特許文献2】特開2002−140790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した第1の方法では、特に広い監視領域で物体を検知する場合、遠方の地面に設定された計測点に対するレーザ光の入射が浅くなる(地面に対するレーザ光の入射角が大きくなる)ので、計測点からの反射光が微弱となる恐れがある。反射光が微弱であると、その計測点については基準となる地形を特定する計測データが得られなくなってしまう。
【0007】
また、上述した第2の方法では、データの座標系の座標変換が、地面が必ず平坦であるという前提で行われる。しかし、実際の地面には傾斜等の高低差があることが多い。仮に、近傍の監視領域と遠方の監視領域との間で「一定の閾値」を超える高低差がある場合には、「一定の閾値」を超えた計測点を物体として検知するという運用が行えなくなってしまう。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、レーザレーダを用いて監視領域の物体を検知するのに用いる監視領域の地形データを、監視領域が広い場合であっても精度よく取得できる地形データの取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の地形データの取得方法は、
監視領域の侵入物体を、前記監視領域を走査するレーザレーダからの走査光により検出するために用いる、前記レーザレーダからの前記監視領域の地面の相対位置を示す地形データを取得する方法であって、
前記監視領域の地面よりも光の反射率が高い反射材をコーティングした反射シートを、前記地面に敷設する敷設ステップと、
前記地面に敷設した反射シートを前記走査光により走査する走査ステップと、
前記地面に敷設した反射シートを走査した前記走査光の反射光を前記レーザレーダで受光する受光ステップと、
前記レーザレーダで受光した前記反射光から、前記反射シートを敷設した地面の前記レーザレーダからの相対位置を示す地形データを生成する生成ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載した本発明の地形データの取得方法によれば、監視領域の地面に反射シートを敷設してその反射シートを走査光が走査すると、反射シートを敷設せずに地面を走査光が走査した場合に比べて、レーザレーダによって受光される反射光の強度が高くなる。
【0011】
したがって、レーザレーダからの距離が遠く地面に対する走査光の入射角が浅い計測点においても、地形データを生成するのに十分な強度でレーザレーダが反射光を受光できるようになる。このため、監視領域が広い場合であっても、レーザレーダを用いて監視領域の物体を精度よく検知できるようにすることができる。
【0012】
また、請求項2に記載した本発明の地形データの取得方法は、請求項1に記載した本発明の地形データの取得方法において、前記監視領域内で前記反射シートを敷設する位置を順次変えつつ、前記敷設ステップ、前記走査ステップ、前記受光ステップ、及び、前記生成ステップを繰り返すことで、前記監視領域の全体に亘る前記地形データを取得することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載した本発明の地形データの取得方法によれば、請求項1に記載した本発明の地形データの取得方法において、監視領域の地面を部分的に反射シートで覆って走査光により走査しその反射光から地形データを生成することから、監視領域の全体を一度に覆う反射シートを準備しなくても、監視領域の全体に亘る地形データを生成できるようになる。よって、監視領域が広い場合や複雑な形状をしている場合であっても、レーザレーダを用いて監視領域の物体を精度よく検知できるようにすることができる。
【0014】
さらに、請求項3に記載した本発明の地形データの取得方法は、請求項1又は2に記載した本発明の地形データの取得方法において、前記監視領域内の前記敷設ステップにより前記反射シートを敷設しない箇所を、前記侵入物体の非検知領域とするようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載した本発明の地形データの取得方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の地形データの取得方法において、監視領域内の反射シートを敷設しない箇所については、反射シートからの反射光がレーザレーダで受光されないので地形データが生成されない。地形データが生成されなければ、侵入物体の検出時に走査光で走査される監視領域内の箇所であっても、侵入物体を検出することができない。
【0016】
したがって、マニュアルで事前に範囲を指定しなくても、監視領域内の侵入物体が存在し得ない構造物が存在する箇所や走査光の死角となる箇所等を、容易に侵入物体の非検知領域に設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、監視領域が広い場合であっても、レーザレーダを用いて監視領域の物体を精度よく検知できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る地形データの取得方法を適用して取得した地形データを用いる物体検出装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の走査光により走査する監視領域とレーザレーダヘッドの設置位置との関係を示す説明図である。
【図3】図1の走査光により走査する監視領域とレーザレーダヘッドの設置位置との関係を示す説明図である。
【図4】監視領域の侵入物体を検出する方法の一例を示す説明図である。
【図5】監視領域の侵入物体を検出する方法の他の例を示す説明図である。
【図6】図1の制御器が監視領域の侵入物体を検出する方法を示す説明図である。
【図7】図6の方法で監視領域の侵入物体を検出するのに用いる監視領域の地形データの取得手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る地形データの取得方法を適用して取得した地形データを用いる物体検出装置を示す概略構成図である。図1に示す物体検出装置は、監視領域を走査光により走査してその反射光により監視領域内に侵入した物体を検出するもので、走査光を出力しその反射光を受光するレーザレーダヘッド5と、走査光及び反射光に基づいてエリア内の物体の検出処理を行う制御装置6とを有している。
【0021】
図1の物体検出装置を例えば敷地内の監視領域における侵入物の検出に用いる場合、前記レーザレーダヘッド5は、図2の説明図に示すように、監視領域Aの全体を見通せる支柱Bの上端付近に取り付け設置される。このような高所にレーザレーダヘッド5を設置することで、図3の説明図に示すように、レーザレーダヘッド5からの走査光LB1で監視領域Aの全体を、走査光LB1の主走査方向Xと副走査方向Yとに走査することができる。
【0022】
レーザレーダヘッド5は、図1に示すように、レーザ光LBを間欠的に出力するレーザ投光器1と、レーザ光LBを主走査方向X(垂直方向)及び副走査方向Y(水平方向)に走査させて走査光LB1とするポリゴンミラー11及びガルバノミラー12と、物体に照射された走査光LB1の反射光LB2をガルバノミラー12及びポリゴンミラー11による反射後に受光する受光器2と、ポリゴンミラー11を回転駆動させるポリゴンスキャナ11aと、ガルバノミラー12を回転駆動させるガルバノスキャナ12aとを有している。
【0023】
ポリゴンミラー11は、高速回転する6面体を有しており、鏡面化された4側面を除く対峙する2面(上下面)の中心を回転軸としてポリゴンスキャナ11aにより回転されるように構成されている。このポリゴンミラー11の4側面のいずれかでレーザ光LBが反射されることで、レーザ光LBは主走査方向Xに走査される。
【0024】
前記ガルバノミラー12は、ガルバノスキャナ12aにより限られた角度範囲で往復回動される回動軸の側面に接続されており、この回動軸の往復回動により往復揺動される。このガルバノミラー12の一面でレーザ光LBが反射されることで、レーザ光LBは副走査方向Yに走査される。
【0025】
なお、ポリゴンスキャナ11a及びガルバノスキャナ12aは、後述する制御装置6の制御器13からの速度指令により指令される回転速度で、ポリゴンミラー11を回転させ、また、ガルバノミラー12を揺動させる。また、ポリゴンスキャナ11a及びガルバノスキャナ12aは、ポリゴンミラー11の回転角度やガルバノミラー12の揺動角度を示す角度情報を制御器13に出力する。なお、上述したポリゴンミラー11及びガルバノミラー12は単なる一例であり、レーザ光LBの走査光学系は図示した構成に限定されるものではない。
【0026】
図1に示す構成のレーザレーダヘッド5は、ポリゴンミラー11によるレーザ光LBの走査方向(主走査方向X)が、図2に示すように、監視領域Aの支柱Bに接近離間する方向と一致するように、支柱Bに取り付けられる。したがって、ガルバノミラー12によるレーザ光LBの走査方向(副走査方向Y)は、図2の監視領域Aの幅方向、つまり、図2の紙面の表裏方向に延在することになる。
【0027】
図1に示す制御装置6は、制御器13及び距離演算器14を有している。制御器13と距離演算器14とは別々のマイクロコンピュータで構成することもでき、一つのマイクロコンピュータで構成することもできる。
【0028】
制御器13は、レーザ投光器1に対して投光指令を間欠的に出力する。この投光指令の間欠周期に同期して、レーザ投光器1はレーザ光LBを間欠的に出力する。なお、この投光指令は、距離演算器14にも並行して出力される。
【0029】
距離演算器14には、上述した投光指令が制御器13から入力されると共に、反射光LB2を受光したときに受光器2が出力する受光タイミング信号が入力される。距離演算器14は、投光指令の入力から受光タイミング信号の入力までの時間差と、光の速度V[m/sec]とに基づいて、走査光LB1の光路上に存在する物体のレーザレーダヘッド5からの距離を演算し、演算した距離を示す距離情報を制御器13に出力する。
【0030】
制御器13は、上述したように、ポリゴンスキャナ11aやガルバノスキャナ12aに速度指令をそれぞれ出力する。各速度指令で指令するポリゴンミラー11の回転速度やガルバノミラー12の揺動速度は、図2の監視領域Aの主走査方向X及び副走査方向Yにそれぞれ間欠的に照射する走査光LB1のピッチ、つまり、監視領域Aにおける走査光LB1の空間分解能に応じて決定される。
【0031】
また、制御器13は、ポリゴンスキャナ11aやガルバノスキャナ12aからそれぞれ入力される角度情報によって、ポリゴンミラー11の回転角度やガルバノミラー12の揺動角度を算出する。そして、制御器13は、算出したポリゴンスキャナ11aやガルバノスキャナ12aの揺動角度に基づいて、受光器2が受光した反射光LB2の元となる走査光LB1が照射された監視領域A中の計測点の座標値を特定する。
【0032】
制御器13は、上述のようにして特定した監視領域A中の各計測点の座標値と、各計測点に関する距離演算器14からの距離情報とに基づいて、監視領域Aに侵入した物体を検出する。この検出では、次に説明する2通りの方法の得失を考慮した検出方法を用いている。
【0033】
1つ目の方法は、図4に示す背景差分法である。この背景差分法では、侵入物体が存在しない状態で、監視領域の地面L上に設定された各計測点Pについて、走査光の照射から反射光の受光までの時間差によって距離情報を取得し基準地形データを生成しておく。次に、監視中に同様にして各計測点Pの距離情報を取得し計測データを生成する。そして、計測データが生成される度に、計測データと基準地形データとの差分(各計測点Pに関する基準地形データの距離情報と計測データの距離情報との差分)を取ることで、監視領域の侵入物体Sを検出する。この背景差分法には、基準地形データの取得により監視領域の実際の地面Lを基準にした侵入物体Sの検出が行えるという利点がある。
【0034】
2つ目の方法は、図5に示すような、侵入物体Sの監視中の計測データに対して感度を有しない非検知領域Uを設定する方法である。この方法では、建物等の物体が侵入できない領域U1や、地面Lの凹凸等による誤検出を防ぐために設定される地面から所定高さまでの領域U2を、非検知領域Uとして設定する。そして、非検知領域U以外の監視領域について得られた計測データの各計測点Pの距離情報から、監視領域の侵入物体Sを検出する。この方法には、監視中の計測データに対して非検知領域Uをその都度入力設定するという、熟練を要する人的作業を行う必要がないという利点がある。
【0035】
そこで、本実施形態の制御器13は、上述した2つの方法の利点を生かした方法で物体検出方法を行う。具体的には、建物等が存在し物体の侵入が不可能な箇所を除く地面Lとその上方空間を、侵入物体Sの検出を行う監視領域Aとして定義し、監視領域Aの地面Lについて取得した地形データを用いて、背景差分法による物体検出を行う。
【0036】
本実施形態の制御器13で用いる地形データは、侵入物体Sが存在しない状態で、図6に示すように、監視領域Aの地面Lにレーザレーダヘッド5から走査光LB1を照射し、その反射光LB2を受光器2で受光することで取得する。この地形データの取得時に、本実施形態では、監視領域Aの地面Lに反射シートRを敷設する。この反射シートRの表面には、地面Lよりも光の反射率が高い反射材が表面にコーティングされている。なお、反射シートRは、監視領域Aの地面Lを一度に全て覆う形状及び大きさであってもよく、監視領域Aの地面Lよりも小さい形状及び大きさであってもよい。
【0037】
次に、本実施形態の制御器13で用いる地形データの取得手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、監視領域Aの地面Lに反射シートRを敷設する(ステップS1)。次に、監視領域Aの地面Lの各計測点Pに照射されたレーザレーダヘッド5からの走査光LB1によって、反射シートRの表面を走査する(ステップS3)。そして、反射シートRからの走査光LB1の反射光LB2を受光器2で受光する(ステップS5)。
【0038】
なお、反射シートRを敷設していない箇所からの反射光LB2は、例えば、受光器2による受光光量に閾値を設けてそれに満たない光量の反射光LB2の受光をマスクすることで、無視するようにすればよい。
【0039】
次に、制御器13が特定した監視領域A中の計測点の座標値と、距離演算器14が演算した各計測点Pの距離情報とを用いて、反射シートRを地面Lに敷設した監視領域Aの地形データを制御器13で生成する(ステップS7)。なお、生成した地形データは、制御器13の不図示のメモリに記憶させておく。
【0040】
ここで、ステップS1において、監視領域Aの地面Lの全体を一枚又は複数枚の反射シートRで全て覆い、それにより、ステップS7において生成した地形データが監視領域Aの地面Lの全体に亘るものとなった場合は、一連の手順を終了する。一方、ステップS1において、監視領域Aの地面Lの一部のみを反射シートRで覆い、それにより、ステップS7において生成した地形データが監視領域Aの地面Lの一部のみのものとなった場合は、ステップS7に続いて、監視領域Aの地面Lの全体に亘って反射シートRを移動させ終えたか否かを確認する(ステップS9)。
【0041】
移動させ終えていない場合は(ステップS9でNO)、監視領域Aの地面Lのうちまだ反射シートRで覆ったことがない箇所に反射シートRを移動して敷設し(ステップS11)、ステップS3にリターンする。移動させ終えた場合は(ステップS9でYES)、ステップS7においてこれまでに制御器13で生成した、監視領域Aのそれぞれ違う箇所の地面Lに反射シートRを敷設した際の地形データを、監視領域Aの全体についての地形データとして合成して(ステップS13)、一連の手順を終了する。なお、このステップS13を設ける代わりに、ステップS11からステップS3に戻った後にステップS7を実行する際、過去のステップS7で生成した地形データとの合成をその都度行うようにしてもよい。
【0042】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図7のフローチャートにおけるステップS1及びステップS11が、請求項中の敷設ステップに対応する手順となる。また、本実施形態では、図7中のステップS3、ステップS5、及び、ステップS7が、請求項中の走査ステップ、受光ステップ、及び、生成ステップにそれぞれ対応する手順となる。
【0043】
以上の手順に示すように、本実施形態の地形データ取得方法では、侵入物体Sが存在しない状態で監視領域Aの地面Lを反射シートRで覆い、その状態で走査光LB1により監視領域Aの地面Lを走査して、反射シートRの表面からの反射光LB2を受光するようにしている。したがって、地面Lを直接走査光LB1で走査する場合に比べて受光器2で受光される反射光LB2の強度を高くすることができる。
【0044】
よって、走査光LB1の入射が浅くなってレーザレーダヘッド5側に反射する反射光LB2の強度が微弱となる、監視領域A中のレーザレーダヘッド5から離れた箇所についても、反射率のよい反射シートRからの反射光LB2に基づいて、地形データを精度よく取得することができる。
【0045】
また、本実施形態の地形データ取得方法によれば、反射シートRを敷設していない地面Lからの反射光LB2を地形データの生成に利用しないので、侵入物体Sの監視を行う監視領域Aが、反射シートRを敷設して走査光LB1で走査した地面Lの範囲に限定されることになる。したがって、監視中の計測データに対して侵入物体Sの非検知領域Uを都度入力設定しなくても、地形データを取得するために走査光LB1で地面Lを走査する際に反射シートRを敷設したかしなかったかによって、監視領域Aの範囲を容易に設定することができる。
【0046】
監視領域Aの範囲は、図5を参照して説明した、監視領域Aや非検知領域Uを三次元座標系上で定義する検出方法でも容易に設定できる。しかし、監視領域Aを三次元座標系上で定義する場合は、監視領域Aの地面Lが平坦であるという前提で、地面Lの一点を座標系上の基準座標に合わせ込むので、実際の地面Lに傾斜等の高低差がある場合は、座標系上における地面Lの座標位置と実際の地面Lの位置とが一致しない。実際にそうなると、例えば、場所によっては実際の地面Lが座標系上で領域U2よりも高い箇所に位置し、検知領域の計測データから侵入物体Sを正しく検知できないことになってしまう。
【0047】
これに対し、本実施形態の地形データ取得方法によれば、監視領域Aの地面Lの位置を正確に表す地形データを取得することができるので、地面Lを基準とする三次元座標系上において侵入物体Sの監視領域Aを設定する必要がない。そのため、地面Lの凹凸が侵入物体Sとして誤検出されるのを防ぐために、図5に示すように、三次元座標系上における地面Lから所定高さまでの領域U2を非検知領域Uとして設定する必要もない。よって、本実施形態の地形データ取得方法によれば、侵入物体Sの検知性能を落とさずに、監視領域Aの範囲を容易に設定することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 レーザ投光器
2 受光器
5 レーザレーダヘッド
6 制御装置
11 ポリゴンミラー
11a ポリゴンスキャナ
12 ガルバノミラー
12a ガルバノスキャナ
13 制御器
14 距離演算器
A 監視領域
B 支柱
L 地面
LB レーザ光
LB1 走査光
LB2 反射光
P 計測点
R 反射シート
S 侵入物体
U 非検知領域
U1 領域
U2 領域
X 主走査方向
Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の侵入物体を、前記監視領域を走査するレーザレーダからの走査光により検出するために用いる、前記レーザレーダからの前記監視領域の地面の相対位置を示す地形データを取得する方法であって、
前記監視領域の地面よりも光の反射率が高い反射材をコーティングした反射シートを、前記地面に敷設する敷設ステップと、
前記地面に敷設した反射シートを前記走査光により走査する走査ステップと、
前記地面に敷設した反射シートを走査した前記走査光の反射光を前記レーザレーダで受光する受光ステップと、
前記レーザレーダで受光した前記反射光から、前記反射シートを敷設した地面の前記レーザレーダからの相対位置を示す地形データを生成する生成ステップと、
を含むことを特徴とする地形データの取得方法。
【請求項2】
前記監視領域内で前記反射シートを敷設する位置を順次変えつつ、前記敷設ステップ、前記走査ステップ、前記受光ステップ、及び、前記生成ステップを繰り返すことで、前記監視領域の全体に亘る前記地形データを取得することを特徴とする請求項1記載の地形データの取得方法。
【請求項3】
前記監視領域内の前記敷設ステップにより前記反射シートを敷設しない箇所を、前記侵入物体の非検知領域とするようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の地形データの取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−257276(P2011−257276A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132292(P2010−132292)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】