説明

地点検索装置、その方法、そのプログラム及びその記録媒体

【課題】
地点検索に際して利用者の利便性を向上する。
【解決手段】
初期周辺検索の指定に応答して、初期周辺検索が行われる(ステップS11)。この初期周辺検索の結果が目的地候補情報として記憶装置に格納されるとともに、目的地候補情報の内容が利用者に提示される(ステップS12,S13)。引き続き、提示された目的地候補地点の中から目的地が選択され、走行ルートが設定されてルート案内が行われているときに、再周辺検索の指令が行われると、初期周辺検索による検索結果が有効に活用できる蓋然性が高いか否かの観点から定められた再周辺検索条件を満たしているか否かが判定される(ステップS19)。この判定の結果が肯定的であった場合には、目的地候補情報が、目的地に選択された目的地候補地点を削除した内容に更新され(ステップS20)、更新された目的地候補情報の内容が利用者に提示される(ステップS13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地点検索装置、地点検索方法、地点検索プログラム及びその地点検索プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載され、移動体の位置を含む領域の地図上に移動体の位置に現在位置マークを重ねて表示することにより、移動体の移動状況情報を提供するナビゲーション装置が広く普及している。こうしたナビゲーション装置では、指定された目的地までの推奨ルートを算出し、算出された推奨ルートを上記の地図上に重ねて表示するとともに、利用者に対して推奨ルートに沿った移動の案内及び誘導を行う機能を有している。
【0003】
さらに、近年においては、地図上の駐車場、病院及び各種店舗等のPOI(Points Of Interest;以下、「地点」とも呼ぶ)をジャンル(属性)別に分類しておき、ジャンルを指定した周辺検索指令がなされた際に、その時点における移動体の位置の周辺における指定したジャンルに該当する目的地候補POIを検索する周辺検索を行い、検索結果を利用者に提示する周辺検索機能を備えたナビゲーション装置も提案され、実用化されている(特許文献1参照;以下、「従来例」という)。こうした周辺検索の結果の中から目的地を選択することにより、利用者は、所望のジャンルに属し、移動体の位置の周辺に存在するPOIへ至る推奨ルート情報を簡易に知ることができるようになっている。
【特許文献1】特開平9−292262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来例の技術を利用して、例えば、POIのジャンルを飲食店とする周辺検索の結果から選択された目的地までの推奨ルートに沿って当該飲食店へ向かっている途中や、当該飲食店まで行ってみて当該飲食店が休みであることに気が付く場合がある。こうした場合に、その時点において周辺に存在する飲食店の位置を取得するためには、利用者は、再度、飲食店というジャンルを指定した周辺検索指令を行うことが必要であった。
【0005】
かかる再度の周辺検索は、当初の周辺検索と独立に行われるため、その検索結果が当初の検索結果の結果と多くの共通部分を有しているにもかかわらず、当初の周辺検索に要する時間とほぼ同様の時間を要するようになっていた。また、当初の周辺検索と当該再度の検索とでは、検索対象となるPOIのジャンルが同一であるにもかかわらず、再度の周辺検索を行うためには、利用者が、改めてPOIのジャンルを指定することが必要であった。このため、現在、当初の周辺検索と関連して行われる再度の周辺検索を簡易かつ迅速に行うことできる技術が要望されている。こうした要望に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、利用者の利便性を向上することができる新たな地点検索装置及び地点検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動体の位置を算出する位置算出手段と;操作情報が入力される操作入力手段と;情報を格納する格納手段と;前記操作入力手段に目的地候補地点属性が指定された初期周辺検索の指令が入力されたときに、前記目的地候補地点属性を有し、かつ、前記初期周辺検索の指令が入力された際の前記移動体の位置に対応して定まる検索対象領域内に存在する目的地候補地点を検索する初期周辺検索を行い、前記初期周辺検索の結果を前記格納手段に格納するとともに、前記初期周辺検索の結果を提示する検索手段と;前記格納手段に格納されている目的地候補地点の1つである特定目的地候補地点を目的地とした移動ルートが設定されている状態で、前記操作入力手段に再周辺検索の指令が入力されたときに、再周辺検索条件を満たすか否かを判定する判定手段と;を備え、前記検索手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的であった場合に、前記格納手段の内容を、前記格納手段に格納されている前記目的地候補地点の情報から前記特定目的地候補地点を除いた新たな目的地候補地点の情報に更新するとともに、前記新たな目的地候補地点の情報の少なくとも一部を提示することを特徴とする地点検索装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、移動体の位置を算出する位置算出工程と;目的地候補地点属性が指定された初期周辺検索の指令が入力されたときに、前記目的地候補地点属性を有し、かつ、前記初期周辺検索の指令が入力された際の前記移動体の位置に対応して定まる検索対象領域内に存在する目的地候補地点を検索する初期周辺検索を行う検索工程と;前記初期周辺検索の結果を格納手段に格納する格納工程と;前記初期周辺検索の結果を提示する第1提示工程と;前記格納手段に格納されている目的地候補地点の1つである特定目的地候補地点を目的地とした移動ルートが設定されている状態で、再周辺検索の指令が入力されたとき、再周辺検索条件を満たすか否かを判定する判定工程と;前記判定工程での判定結果が肯定的であった場合に、前記格納手段に格納されている前記目的地候補地点の情報から前記特定目的地候補地点を除いた新たな目的地候補の情報に、前記格納手段の内容を更新する更新工程と:前記新たな目的地候補地点の情報の少なくとも一部を提示する第2提示工程と;を備えることを特徴とする地点検索方法である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の地点検索方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする地点検索プログラムである。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の地点検索プログラムが演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図9を参照しつつ説明する。なお、本実施形態においては、車両に搭載され、地点検索装置の機能を有するナビゲーション装置を例示して説明する。
【0012】
[構成]
図1には、本実施形態に係るナビゲーション装置100の構成がブロック図にて示されている。図1に示されるように、このナビゲーション装置100は、制御ユニット110と、格納手段としての記憶装置120とを備えている。また、ナビゲーション装置100は、音出力ユニット130と、表示ユニット140と、操作入力手段としての操作入力ユニット150と、走行センサユニット160と、GPS(Global Positioning System)受信ユニット170とを備えている。上記制御ユニット110以外の要素120〜170は、それぞれ制御ユニット110に接続されている。
【0013】
制御ユニット110は、ナビゲーション装置100の全体を制御しつつ、様々な処理を行う。この制御ユニット110は、ナビゲーションに関する処理を行うナビゲーション処理部200を備えている。このナビゲーション処理部200については、後述する。
【0014】
記憶装置120は、ハードディスク装置等から構成される。記憶装置120には、地図情報121、POI情報122、目的地候補情報123及び初期周辺検索位置124をはじめとして、ナビゲーション装置100の動作のために必要な様々なデータが記憶される。ここで、地図情報121には、道路データ、道路ネットワークデータ、背景データ等が含まれている。また、POI情報122には、駐車場、病院及び各種店舗等のPOIがジャンル(属性)別に分類されたデータが含まれている。また、目的地候補情報123は、周辺検索の結果、目的地候補として抽出された目的地候補地点に関する情報、及び、目的地として設定されている目的地候補地点の情報から構成されている。また、初期周辺検索位置124は、後述する初期周辺検索の実行指令が行われた車両位置である。なお、制御ユニット110は、記憶装置120の記憶領域にアクセス可能であり、当該記憶領域へのデータを書き込んだり、当該記憶領域からのデータを読み取ったりすることができるようになっている。
【0015】
音出力ユニット130は、(i)制御ユニット110から受信したデジタル音声データをアナログ信号に変換するDA変換器(Digital to Analog Converter)と、(ii)当該DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、(iii)増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカとを備えて構成されている。この音出力ユニット130は、制御ユニット110による制御のもとで、車両の進行方向、走行状況、交通状況等の案内用音声、音楽等を出力する。
【0016】
表示ユニット140は、(i)液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイスと、(ii)制御ユニット110から送出された表示制御データに基づいて、表示ユニット140全体の制御を行うグラフィックレンダラ等の表示コントローラと、(iii)表示画像データを記憶する表示画像メモリ等を備えて構成されている。この表示ユニット140は、制御ユニット110による制御のもとで、地図情報、ルート情報、操作ガイダンス情報等を表示する。
【0017】
操作入力ユニット150は、ナビゲーション装置100の本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット140に設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。
【0018】
走行センサユニット160は、(i)車両の移動速度を検出する速度センサと、(ii)車両進行方向である方位角を検出する方位角センサと、(iii)車両に作用している加速度を検出する加速度センサとを備えている。ここで、速度センサは、例えば、車輪や車輪の回転により出力されるパルス信号や電圧値を検出する。また、方位角センサは、例えば、いわゆるジャイロセンサとして構成され、方位角を検出する。また、加速度センサは、例えば、3次元加速度を検出する。こうした検出結果は、走行センサユニット160から制御ユニット110へ送られる。
【0019】
GPS受信ユニット170は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両の現在位置の擬似座標値(以下、「測位結果」という)を算出し、その精度情報とともに制御ユニット110へ報告する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星からの電波のドップラー効果による波長変化に基づいて、車両の速度及び走行方位を検出し、制御ユニット110へ報告する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星から送出された時刻に基づいて現在時刻を計時し、制御ユニット110へ報告する。
【0020】
ナビゲーション処理部200は、位置算出手段としての位置算出部210と、ルート探索部220と、検索手段及び判定手段としての周辺検索部230とを備えている。このように構成されたナビゲーション処理部200は、記憶装置120にアクセスしつつ、上述した構成要素130〜170を利用して、利用者にナビゲーション情報を提供する。すなわち、ナビゲーション処理に関連する操作入力ユニット150からの指令入力結果、走行センサユニット160による検出結果、GPS受信ユニット170における測位結果等に対応して、ナビゲーション処理部200は、記憶装置120に記憶されたナビゲーション用のデータを適宜読み出す。そして、ナビゲーション処理部200は、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット140の表示デバイスに表示する地図表示、(b)車両が地図上のどこに位置するのかを算出する位置算出、(c)車両の現在位置から、利用者が指定する目的地の位置までの推奨ルートの探索、(d)設定されたルートに沿って目的地まで運転するときに、目的地への到達予想時刻や、進行すべき方向を的確にアドバイスするために、表示ユニット140の表示デバイスに案内表示をしたり、音出力ユニット130から音声案内を出力するルート案内等を行う。
【0021】
位置算出部210は、上記の(b)の機能を有している。この機能の実行に際して、位置算出部210は、利用者による車両位置の操作入力ユニットへの入力結果、走行センサユニット160による検出結果に基づいて不図示のセンサデータ処理部によって算出された移動距離、走行方位(車両の傾斜角(傾斜方位)を含んでもよい)等の走行状況情報、GPS受信ユニット170からの報告結果等に基づいて、車両の推測位置の算出を行う。そして、地図情報121を利用して、推測位置を地図上の車両の位置として最も確からしい位置へ補正するマップマッチング処理を行い、車両の位置を求める。
【0022】
ルート探索部220は、上記の(c)の機能を有している。この機能の実行は、利用者による目的地を指定したルート探索指令に応答して行われる。また、再ルート探索指令を受けた場合にも、ルート探索部220は、直前までの目的地をそのまま目的地とするルート探索を行う。
【0023】
周辺検索部230は、目的地候補地点属性を指定した初期周辺検索の指令に応答して、指定された属性を有し、かつ、初期周辺検索の指令が入力された際の車両位置に対応して定まる検索対象領域内に存在する目的地候補地点を検索する。ここで、目的地候補地点属性としては、特定のジャンルに該当するPOI等が挙げられる。また、検索対象領域としては、例えば、初期周辺検索の指令が入力された際の車両位置を中心として、所定半径の円内の領域、初期周辺検索の指令が入力された際の車両位置から所定時間以内に到着できると予想される領域等が挙げられる。
【0024】
周辺検索部230は、初期周辺検索の結果を目的地候補情報123として記憶装置120に格納するとともに、初期周辺検索の指令が入力された際の車両位置を初期周辺検索位置124として記憶装置120に格納する。そして、周辺検索部230は、初期周辺検索の結果を表示ユニット140に表示し、利用者へ提示する。
【0025】
また、周辺検索部230は、目的地候補情報123内の特定目的地候補地点を目的地とする走行ルートが設定されている場合に、再周辺検索(以下、単に「再検索」とも呼ぶ)の指令がなされると、再周辺検索条件を満足しているか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合には、周辺検索部230は、目的地候補情報123の内容を、その時点における目的地候補情報123から特定目的地候補地点を除いたものに更新するとともに、更新された目的地候補情報123を表示ユニット140の表示デバイスに表示し、利用者へ提示する。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、上記の初期周辺検索の指令があった場合と同様に、初期周辺検索を行う。
【0026】
なお、本実施形態では、再周辺検索条件として、再周辺検索の指令がなされた車両位置が、初期周辺検索位置124によって示されている初期周辺検索が行われた際の車両位置から所定距離以内であるという条件を採用している。こうした「所定距離」は、上記の検索対象領域の広さを考慮したシミュレーションや経験等に基づいて予め定められる。
【0027】
[動作]
次に、以上のように構成されたナビゲーション装置100の動作について、周辺検索の動作に主に着目して説明する。
【0028】
ナビゲーション装置100における周辺検索の処理は、利用者が操作入力ユニット150を操作して目的地候補地点属性を指定した初期周辺検索の指令を入力することにより開始される。なお、以下においては、目的地候補地点属性として、POIのジャンルが「飲食店」であることが指定された場合を例示して説明する。
【0029】
初期周辺検索の指令の入力が行われると、図2に示されるように、ステップS11において、周辺検索部230が、初期周辺検索を行う。かかる初期周辺検索を行うに際して、周辺検索部230は、位置算出部210に求められている最新の車両の位置に基づいて、検索対象領域を特定する。引き続き、周辺検索部230は、地図情報121及びPOI情報122を参照して、検索対象領域に存在する飲食店を検索する。この検索の結果、飲食店A,B,C,D,E,…が抽出されたものとする。
【0030】
次に、ステップS12において、周辺検索部230は、初期周辺検索の結果を目的地候補情報123として記憶装置120に格納する。こうして格納された目的地候補情報123の構成が図3に示されている。なお、図3において、目的地候補地点ごとに対応して設けられている目的地選択の領域には目的地として選択の有無が格納されるが、初期周辺検索の終了直後は目的地選択がなされていないので、全ての目的地候補地点について選択「無し」が設定される。また、ステップS12において、周辺検索部230は、初期周辺検索の指令がなされた際の車両位置を初期周辺検索位置124として記憶装置120に格納する。
【0031】
図2に戻り、引き続き、ステップS13において、周辺検索部230は、初期周辺検索の結果である目的地候補情報123の内容を表示ユニット140の表示デバイスに表示する。この表示例が図4に示されている。この図4においては、初期周辺検索の結果における最初の4つである飲食店A,B,C,Dが目的地候補地点として表示されるとともに、下線で示される地図表示候補地点である「飲食店A」について、その地図上の位置●が、車両の現在位置▲とともに表示された例が示されている。この図4に示される例では、地図表示候補の変更は、ソフトキー「前へ」又はソフトキー「次へ」を押下することが可能となるようになっている。そして、「飲食店A」、「飲食店B」、「飲食店C」及び「飲食店D」のそれぞれの表示部分もソフトキーとされており、ソフトキー「飲食店A」、「飲食店B」、「飲食店C」及び「飲食店D」のいずれかを押下することにより、目的地選択ができるようになっている。なお、飲食店A,B,C,D以降の目的地候補地点についても、地図表示候補地点を「飲食店D」とした後、更にソフトキー「次へ」を押下することにより、表示デバイスに表示されるようになっている。
【0032】
図2に戻り、次いで、ステップS14において、利用者が、提示された目的地候補地点の中から目的地を選択する。かかる選択は、例えば、図4において、所望の目的地候補地点が表示されたソフトキーを利用者が押下することにより行われる。以下、「飲食店C」が目的地に選択されたものとして説明する。
【0033】
目的地が選択されると、ステップS15において、周辺検索部230が、目的地選択情報を目的地候補情報123内に格納する。こうして、目的地選択情報が目的地候補情報123内に格納された時点における目的地候補情報123の内容が、図5に示されている。すなわち、「飲食店C」が目的地として選択されたので、「飲食店C」に対応して設けられた目的地選択の領域に、選択「有り」が設定される。こうして目的地選択情報の目的地候補情報123内への格納を行った後、周辺検索部230は、目的地が「飲食店C」に設定されたことをルート探索部220へ報告する。
【0034】
目的地が「飲食店C」に設定されたことの報告を受けると、ステップS16において、ルート探索部220が、位置算出部210に求められている最新の車両の位置から「飲食店C」までの推奨ルートの探索を行う。こうして探索された推奨ルートは、表示ユニット140の表示デバイスに表示されて、利用者に提示される。この表示内容を参照して、利用者は走行ルートを決定する。この後、ナビゲーション装置100による、ルート案内が開始される。なお、本実施形態では、周辺検索によって提示された目的地候補地点の中から目的地が選択されてルート探索が行われ、走行ルートが設定された場合には、図6に示されるように、表示ユニット140の表示デバイスには、ソフトキー「再周辺検索」が、ルート案内画面と同時に表示されるようになっている。このため、再周辺検索の指令を、ソフトキー「再周辺検索」の押下というワンタッチ操作で行えるようになっている。なお、図6における記号●は現段階の目的地である「飲食店C」の位置を示し、記号▲は車両の現在位置を示している。また、線幅の太い実線は設定された走行ルートを示している。
【0035】
図2に戻り、ルート案内が開始されると、ステップS17において、ルート案内中であるか否かが判定される。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS17:N)には、ナビゲーション装置100における周辺検索の処理を一旦終了する。そして、再度初期周辺検索の指令が行われると、上記の処理を実行する。
【0036】
ステップS17における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS17:Y)には、処理はステップS18へ進む。このステップS18では、再周辺検索の指令がなされたか否かが判定される。この判定結果が否定的であった場合(ステップS18:N)には、処理はステップS17へ進む。以後、ステップS17における判定の結果が否定的となるか、ステップS18における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS17及びS18の処理を繰り返す。
【0037】
ステップS18における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS18:Y)には、処理はステップS19へ進む。このステップS19では、再検索条件を満たしているか否かが判定される。かかる再検索条件を満たしているか否かの判定に際して、周辺検索部230は、まず、位置算出部210に求められている最新の車両位置と、初期周辺検索位置124との距離を算出する。引き続き、周辺検索部230は、算出された距離が上述した所定距離以内であるか否かを判定することにより、再検索条件を満たしているか否かを判定する。
【0038】
ステップS19における判定の結果が否定的(ステップS19:N)であった場合には、処理はステップS11へ進む。これは、車両位置が初期周辺検索位置124から遠く離れてしまった場合に、利用者が目的を選択するのに際して、初期周辺検索の結果を有効に活用できる蓋然性が低く、新たな初期周辺検索を行う方が有効であると判断されるからである。以後、上記のステップS11からの処理が実行される。
【0039】
ステップS19における判定の結果が肯定的(ステップS19:Y)であった場合には、処理はステップS20へ進む。このステップS20では、周辺検索部230が、目的地候補情報123内において「目的地選択」が「有り」とされている目的地候補地点、すなわち、現時点で目的地に選択されている目的地候補地点に関する情報を削除することにより、目的地候補情報123を更新する。この結果、目的地候補情報123の内容は、図7に示されるようになる。
【0040】
図2に戻り、ステップS20において目的地候補情報123が更新された後は、処理がステップS13へ進む。このステップS13では、上述の初期周辺検索後のステップS13の場合と同様に、目的地候補情報123の内容を表示ユニット140の表示デバイスに表示する。この表示例が図8に示されている。この表示例では、前回に目的地に選択された「飲食店C」が表示されず、目的地候補情報123における最初の4つの目的地候補地点である飲食店A,B,D,Eが表示される。それ以外の表示内容は、上述の図4の場合と同様である。図2に戻り、以後、上述したステップS14以降の処理が実行される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、初期周辺検索の指定に応答して、初期周辺検索が行われる。この初期周辺検索の結果が目的地候補情報123として記憶装置120に格納されるとともに、目的地候補情報123の内容が利用者に提示される。引き続き、提示された目的地候補地点の中から目的地が選択され、走行ルートが設定されてルート案内が行われているときに、再周辺検索の指令が行われると、初期周辺検索による検索結果が有効に活用できる蓋然性が高いか否かの観点から定められた再周辺検索条件を満たしているか否かが判定される。
【0042】
この判定の結果が否定的であった場合には、新たな初期周辺検索が行われる。一方、当該判定の結果が肯定的であった場合には、目的地候補情報123が、目的地に選択された目的地候補地点を削除した内容に更新され、更新された目的地候補情報123の内容が利用者に提示される。
【0043】
このため、再周辺検索条件を満たしている場合には、初期周辺検索の結果を活用することにより、迅速に、かつ、合理的に目的地候補地点を利用者に提示することができる。したがって、本実施形態によれば、利用者の利便性を向上することができる。
【0044】
また、本実施形態では、再周辺検索の指令をワンタッチ操作で行うことができるので、非常に簡単な操作で再周辺検索の結果を得ることができる。
【0045】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0046】
例えば、上記の実施形態では、周辺検索する目的地候補地点属性を「飲食店」としたが、他の属性を初期周辺検索に際して指定することもできる。
【0047】
また、上記の実施形態では、複数の目的地候補地点の中から目的地を選択する際における操作を表示デバイス上のソフトキーを押下することによって行うようにしたが、キーボードのキー操作や音声入力により行うようにしてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、再周辺検索の指令を、そのために定義された表示デバイス上のソフトキーを押下することによって行うようにしたが、キーボードにおける特定のキーを再周辺検索の指令用に定義することもできる。
【0049】
また、上記の実施形態では、再周辺検索条件を、初期周辺検索が行われた際の移動体の位置から所定距離以内で再周辺検索の指令を行ったこととしたが、初期周辺検索が行われた時から所定時間内に再周辺検索の指令を行ったこととしてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、再周辺検索条件を満たしていた場合には、目的地候補情報123から現時点で目的地に選択されている目的地候補地点に関する情報を削除することにより、目的地候補情報123を更新し、更新された新たな目的地候補情報123における全ての目的地候補地点を利用者に提供するようにした。これに対し、更新された新たな目的地候補情報123に含まれるとともに、再周辺検索の指令が入力された際の車両位置で初期周辺検索の指令がなされた場合における検索対象領域内に存在する目的地候補情報にも含まれる目的地候補地点を利用者に提供するようにすることもできる。すなわち、図9に示されるように、位置P1において実際に行われた初期周辺検索の検索対象領域をAR1とし、再周辺検索が行われた位置P2において初期周辺検索が行われたとした場合の検索対象領域をAR2としたときに、破線ハッチが付された領域AR1と領域AR2の共通領域内の目的地候補地点を利用者に提供するようにすることもできる。
【0051】
また、上記の実施形態では、目的地に到着するなどしてルート案内が終了した場合に周辺検索の処理が終了するようにした。これに対し、目的地に到着してルート案内が終了しても周辺検索処理を終了せず、目的地到着後の車両のエンジン停止又はナビゲーション装置の電源オフから所定時間の経過を監視し、当該所定時間の経過前に車両のエンジンの再駆動又はナビゲーション装置の電源オンがなされた場合には、再周辺検索の指令を可能とするようにしてもよい。この場合には、目的地到着後の車両のエンジン停止又はナビゲーション装置の電源オフの後において、例えば、目的地の店舗が閉まっていた場合においても、再周辺検索の指令ができるようになる。
【0052】
また、上記の実施形態では、本発明を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用したが、例えば、航空機や船舶に搭載されるナビゲーション装置に本発明を適用することもできる。また、例えば、周辺検索機能を有する携帯端末装置等にも本発明を適用することができる。
【0053】
なお、上記の実施形態における制御ユニット110を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、読出専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、上記の実施形態における処理を、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行するようにしてもよい。これらのプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の装置における周辺検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】初期周辺検索後の目的地候補情報の内容の例を示す図である。
【図4】初期周辺検索後の目的地候補情報の表示例を示す図である。
【図5】目的地選択後の目的地候補情報の内容の例を示す図である。
【図6】ルート案内中の表示例を示す図である。
【図7】再周辺検索後の目的地候補情報の内容の例を示す図である。
【図8】再周辺検索後の目的地候補情報の表示例を示す図である。
【図9】変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
100 … ナビゲーション装置(地点検索装置)
120 … 記憶装置(格納手段)
150 … 操作入力ユニット(操作入力手段)
210 … 位置算出部(位置算出手段)
230 … 周辺検索部(検索手段及び判定手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を算出する位置算出手段と;
操作情報が入力される操作入力手段と;
情報を格納する格納手段と;
前記操作入力手段に目的地候補地点属性が指定された初期周辺検索の指令が入力されたときに、前記目的地候補地点属性を有し、かつ、前記初期周辺検索の指令が入力された際の前記移動体の位置に対応して定まる検索対象領域内に存在する目的地候補地点を検索する初期周辺検索を行い、前記初期周辺検索の結果を前記格納手段に格納するとともに、前記初期周辺検索の結果を提示する検索手段と;
前記格納手段に格納されている目的地候補地点の1つである特定目的地候補地点を目的地とした移動ルートが設定されている状態で、前記操作入力手段に再周辺検索の指令が入力されたときに、再周辺検索条件を満たすか否かを判定する判定手段と;
を備え、
前記検索手段は、前記判定手段による判定結果が肯定的であった場合に、前記格納手段の内容を、前記格納手段に格納されている前記目的地候補地点の情報から前記特定目的地候補地点を除いた新たな目的地候補地点の情報に更新するとともに、前記新たな目的地候補地点の情報の少なくとも一部を提示することを特徴とする地点検索装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記移動体の位置が、前記初期周辺検索が行われた際の前記移動体の位置から所定距離以内であるか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の地点検索装置。
【請求項3】
前記検索手段は、前記新たな目的地候補地点の情報に含まれ、かつ、前記再周辺検索の指令が入力された際の前記移動体の位置で前記初期周辺検索の指令がなされた場合における検索対象領域内に存在する目的地候補地点の情報を提示する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地点検索装置。
【請求項4】
前記検索手段は、前記判定手段による判定結果が否定的であった場合に、前記初期周辺検索における前記目的地候補地点属性を有し、かつ、前記再周辺検索の指令が入力された際の前記移動体の位置に対応して定まる検索対象領域内に存在する目的地候補地点を検索し、当該検索結果を前記格納手段に格納するとともに、当該検索結果を提示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の地点検索装置。
【請求項5】
移動体の位置を算出する位置算出工程と;
目的地候補地点属性が指定された初期周辺検索の指令が入力されたときに、前記目的地候補地点属性を有し、かつ、前記初期周辺検索の指令が入力された際の前記移動体の位置に対応して定まる検索対象領域内に存在する目的地候補地点を検索する初期周辺検索を行う検索工程と;
前記初期周辺検索の結果を格納手段に格納する格納工程と;
前記初期周辺検索の結果を提示する第1提示工程と;
前記格納手段に格納されている目的地候補地点の1つである特定目的地候補地点を目的地とした移動ルートが設定されている状態で、再周辺検索の指令が入力されたとき、再周辺検索条件を満たすか否かを判定する判定工程と;
前記判定工程での判定結果が肯定的であった場合に、前記格納手段に格納されている前記目的地候補地点の情報から前記特定目的地候補地点を除いた新たな目的地候補地点の情報に、前記格納手段の内容を更新する更新工程と;
前記新たな目的地候補地点の情報の少なくとも一部を提示する第2提示工程と;を備えることを特徴とする地点検索方法。
【請求項6】
請求項5に記載の地点検索方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする地点検索プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の地点検索プログラムが演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−256220(P2007−256220A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84393(P2006−84393)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】