説明

基板の検査方法及び基板の検査装置

【課題】基板と屈折率が同等もしくは近い異物を高感度に検出できる基板の検査方法及び基板の検査装置を提供する。
【解決手段】プリズム16の表面16aに形成された金属膜15に対して基板20に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、プリズム16の表面16aと金属膜15との界面側から金属膜15に光を照射して光の反射特性を取得する工程を複数の基板20について行い、複数の基板20間で反射特性を比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸パターンを有する基板の検査方法及び基板の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイス、記録メディアなどに対する微細パターン形成技術の1つとしてインプリント技術や近接場露光技術などが提案されている。インプリント技術は、凹凸パターンが刻まれた基板(テンプレート)を、パターニング対象物上に塗布された例えば光硬化性樹脂などのインプリント材に押し当てた状態で光を当ててインプリント材を硬化させ、インプリント材にパターンを転写する技術である。
【0003】
インプリント技術においては、インプリント材へのパターン転写後、テンプレートをインプリント材から離型するが、そのときインプリント材の一部がテンプレートに付着して残ってしまうことが起こり得る。
【0004】
例えば石英製のテンプレートと、インプリント材である光硬化性樹脂との屈折率差は非常に小さいため、微小な凹部に付着した極少量の樹脂を、光学顕微鏡などの光学的手法でで検出することは困難である。
【0005】
なお、例えば特許文献1には、表面プラズモン共鳴分光法を利用した汚染検出システムが開示されているが、これは金属層上に付着する汚染物質の検出が開示されているに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−173786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板と屈折率が同等もしくは近い異物を高感度に検出できる基板の検査方法及び基板の検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、プリズムの表面に形成された金属膜に対して基板に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、前記プリズムの表面と前記金属膜との界面側から前記金属膜に光を照射して前記光の反射特性を取得する工程を複数の前記基板について行い、複数の前記基板間で前記反射特性を比較することを特徴とする基板の検査方法が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、金属膜が形成された表面を有するプリズムと、前記金属膜に対して基板に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、前記プリズムと前記基板とを前記金属膜の面方向に相対移動可能に前記プリズムと前記基板とを保持する保持装置と、前記プリズムの前記表面と前記金属膜との界面側から前記金属膜に対して光を照射する光源と、前記金属膜に照射された前記光の反射特性を取得する測定装置と、を備えたことを特徴とする基板の検査装置が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、金属膜が形成された表面を有するプリズムと、前記プリズムの前記表面に形成された金属膜と、前記金属膜に対して基板に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、前記プリズムと前記基板とを保持する保持装置と、前記プリズムの前記表面と前記金属膜との界面側から前記金属膜に対して光を照射する光源と、前記金属膜に照射された前記光の反射特性を取得する測定装置と、を備え、前記プリズムは、前記プリズムに入射した前記光を、前記金属膜における異なる箇所で複数回反射させつつ前記金属膜の面方向に導波可能であることを特徴とする基板の検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板と屈折率が同等もしくは近い異物を高感度に検出できる基板の検査方法及び基板の検査装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る基板検査装置の構成を例示する模式図。
【図2】インプリント法におけるテンプレートを用いたパターン形成方法を示す模式断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る基板検査方法を示すフローチャート。
【図4】図1の装置で取得される反射特性を例示するグラフ。
【図5】表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射角と、金属膜上物質の屈折率との関係の一例を示すグラフ。
【図6】本発明の実施形態に係る基板検査方法の他の具体例を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態に係る基板検査装置の他の具体例を示す模式図。
【図8】本発明の実施形態に係る基板検査装置のさらに他の具体例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板検査装置の構成を例示する模式図である。
【0012】
本実施形態に係る基板検査装置は、金属膜15が形成された表面16aを有するプリズム16と、プリズム16及び検査対象である基板20を保持する保持装置30と、レーザー出力装置などの光源31と、レンズなどの光学系32と、反射光を検出する検出装置33と、反射光の検出結果に基づいて反射特性を導出する測定装置34と、複数の基板20間で反射特性を比較する比較装置35と、反射特性がデータとして格納・保持される記憶装置36とを有する。
【0013】
プリズム16は例えば半球形状に形成され、その平坦な表面16aに金属膜15が形成されている。基板20には複数の凹部22及び凸部21を有する凹凸パターンが形成され、その凹凸パターンを金属膜15に対して近接させた状態で、光源31から検査光が金属膜15に照射され、金属膜15での反射光が検出装置33に検出される。
【0014】
プリズム16及び基板20は保持装置30に保持される。図1は、保持装置30に保持されたプリズム16及び基板20を保持装置30の上方から見た状態を模式的に示す。また、保持装置30は、基板20の凹凸パターンを金属膜15に近接させた状態で、プリズム16と基板20とを金属膜15の面方向(矢印A方向)に相対移動可能にそれら両者を保持する。
【0015】
光源31から出力された検査光は、光学系32を介してプリズム16内に入射し、金属膜15とその金属膜15が形成されたプリズム16の表面16aとの界面側から金属膜15に対して照射される。
【0016】
金属膜15に照射されて反射した光は検出装置33に検出され、その検出結果から反射特性が取得される。反射特性は、後述するように、金属膜15表面で表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射光の反射角、反射率、反射強度などである。
【0017】
薄い金属膜15にプリズム16を介して光を照射すると、全反射角領域のある角度において特有の光の吸収(反射光の減衰)が見られる。このとき、金属膜15表面では光(エバネッセント光)とカップリングを起こす電子波のモードが生じ、表面プラズモン共鳴が励起されている。
【0018】
エバネッセント光の浸透距離内で金属膜15表面に近接して存在する物質の屈折率をn、金属膜15の複素誘電率をε、照射光の速さをc、角振動数をωとすると、表面プラズモン共鳴を満たす波数kspは、下記式1で表される。
【0019】
【数1】

【0020】
表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射角θは、プリズム16の屈折率nを用いると下記式2で与えられる。
【0021】
【数2】

【0022】
したがって、式2より、金属膜15表面上の物質の屈折率nが変化すると、表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射角θが変化することになる。また、金属膜15表面上の物質が異なると、その物質の光吸収特性に応じて、表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射率(または反射強度)が変化することもある。
【0023】
本実施形態では、検査対象の基板20として、インプリント用のテンプレートを一例に挙げて説明する。その基板(テンプレート)20には、凸部21と凹部22とを有する凹凸パターンが形成されている。
【0024】
その基板(テンプレート)20を用いたパターン形成方法について、図2を参照して説明する。
【0025】
まず、図2(a)に示すように、被処理層10上にインプリント材11を供給する。被処理層10は、例えば、半導体基板、あるいは半導体基板上に形成された絶縁層、半導体層、導電層などである。液状のインプリント材11が、例えばスピンコート法で被処理層10上に塗布される。インプリント材11は、例えば紫外線硬化性の樹脂である。
【0026】
次に、図2(b)に示すように、基板(テンプレート)20の凹凸パターンを液状のインプリント材11に接触させる。基板(テンプレート)20の凹凸パターンがインプリント材11に対して押し付けられ、インプリント材11は凹部22内に充填される。その状態で、インプリント材11に、例えば紫外線を照射して、インプリント材11を硬化させる。
【0027】
基板(テンプレート)20は、紫外線に対する透過性を有する材料(例えば石英)からなる。したがって、基板(テンプレート)20の上方から紫外線が照射され、その紫外線は基板(テンプレート)20を透過してインプリント材11に到達する。これにより、インプリント材11が硬化する。
【0028】
基板(テンプレート)20の凸部21はインプリント材11を押しのけるようにしてインプリント材11中に入り込み、凹部22にはインプリント材11が充填された状態で、インプリント材11は硬化される。したがって、その硬化後、インプリント材11には、基板(テンプレート)20の凹凸パターンと凹凸が反転したパターンが転写される。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、基板(テンプレート)20をインプリント材11から引き上げて、基板(テンプレート)20に対してインプリント材11を離型する。
【0030】
その後、凹凸パターンが転写されたインプリント材11をマスクにして、被処理層10に対してエッチング、不純物導入などの各種処理が行われる。
【0031】
次に、図1に例示した基板検査装置を利用した基板(テンプレート)20の検査について説明する。そのフローを図3に示す。
【0032】
まず、インプリントに使用するする前、すなわち、インプリント材11に接触させる前の基板(テンプレート)20の反射特性を、図1の装置を用いて取得する(ステップS1)。
【0033】
すなわち、プリズム16の表面16aに形成された金属膜15に対して、使用前(インプリント材11に未接触)の基板20に形成された凹凸パターンを近接させる。ここで、金属膜15の表面と、凹凸パターンにおける凸部21の先端との間の距離を、光源31からの照射光の波長よりも短くする。
【0034】
その状態で、プリズム16の表面16aと金属膜15との界面側から金属膜15に対して検査光を照射して、検出装置33で反射光を検出する。なお、表面プラズモン共鳴は、TM偏光(p偏光)照射時にのみ励起されるので、照射光の偏光をTM偏光(p偏光)に制御する。
【0035】
そして、測定装置34は、例えば図4に例示されるような、反射光の反射角θと反射率との関係を導出する。使用前の基板20に対する上記検査時の特性を実線で表す。すなわち、反射角θ1のときに、光エネルギーが表面プラズモンのエネルギーに変換されて表面プラズモン共鳴が励起され、反射率(または反射強度)が大きく低下している。この結果は、記憶装置36に基準データもしくは参照データとして格納される。
【0036】
次に、インプリントに使用され、インプリント材11と接触済みの基板(テンプレート)20について、使用前基板と同様に検査を行う(ステップS2)。すなわち、プリズム16の表面16aに形成された金属膜15に対して、使用済み基板20に形成された凹凸パターンを近接させ、プリズム16の表面16aと金属膜15との界面側から金属膜15に対して検査光を照射して、検出装置33で反射光を検出する。
【0037】
ここで、使用済み基板(テンプレート)20において、凹部22内にインプリント材11が付着して残っている場合には、金属膜15表面に近接する部分の屈折率(上記式2におけるn)が変化するため、表面プラズモン励起角(共鳴角)に相当する反射角θが変化する。
【0038】
この使用済み基板20の検査時に取得された反射特性を、例えば図4において破線で表す。使用済みの基板20では、反射角θ2のときに、光エネルギーが表面プラズモンのエネルギーに変換されて表面プラズモン共鳴が励起され、反射率(または反射強度)が大きく低下している。
【0039】
例えば、屈折率nが1.51の石英製の基板(テンプレート)20を用い、インプリント材11の屈折率nを1.46とし、屈折率nが1.7のプリズム16の表面16a上に金属膜15としてAu膜を形成し、検査光として波長632nmのHe−Neレーザーを照射した場合について、上記式2の関係を図5に示す。
図5のグラフにおいて、横軸は表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射角θであり、縦軸は式2における右辺である。
【0040】
インプリント前、すなわち、凹凸パターンにインプリント材11が付着していない状態では、nは1.51であり、インプリント後、凹凸パターンにインプリント材11が付着した状態では、nは1.46となる。
【0041】
図5のグラフより、nが1.51のときと、nが1.46のときとでは、反射角(表面プラズモン励起角)θが約5°異なる。したがって、使用前基板20についての表面プラズモン励起角(図4におけるθ1)に対して、使用済み基板20についての表面プラズモン励起角(図4におけるθ2)を比較することで、凹凸パターンにインプリント材11等の異物が付着しているかどうかが判定できる。
【0042】
石英製の基板(屈折率1.51)と、紫外線硬化性樹脂(屈折率1.46)との屈折率差は3%程であり、例えば光学顕微鏡等でそれら両者の屈折率変化を検出することは難しい。しかし、表面プラズモン共鳴は、金属膜表面上の屈折率変化に敏感であり、表面プラズモン励起角(共鳴角)をモニターすることで、基板20との屈折率の差が小さなインプリント材11等の異物を高感度に検出できる。
【0043】
例えば、比較装置35は、記憶装置36に格納された使用前基板20についての表面プラズモン励起角θ1を参照し、使用済み基板20についての表面プラズモン励起角θ2と比較する(図3におけるステップS3)。
【0044】
例えば、θ1とθ2との差Δθが予め設定された閾値θth以上の場合には、凹凸パターンに付着しているインプリント材11の量が許容できず、次のインプリント時にその基板(テンプレート)20を使用すると、転写パターンに欠陥が生じ得ると判定し、その基板(テンプレート)20を洗浄工程に供給する(ステップS4a)。
【0045】
θ1とθ2との差Δθが閾値θthより小さい場合には、そのまま基板(テンプレート)20を次のインプリントにも継続して使用する(ステップS4b)。
【0046】
以上説明した本実施形態によれば、インプリントに使用した基板(テンプレート)20を使用後に毎回洗浄する必要がなくなり、コスト削減と生産性の向上を図れる。さらに、基板(テンプレート)20の欠陥を事前に確実に取り除くことができ、インプリント法によってパターニングされる半導体デバイスや記録メディアなどの欠陥の低減や、歩留まり向上による低コスト化を図れる。
【0047】
検査光は1つの凹部22ごとに照射して、各凹部22にインプリント材11等の異物が付着しているかどうかを逐次判定してもよいし、複数の凹部22を含む比較的広い範囲に照射して、その照射領域の反射特性を評価してもよい。いずれにしても、検査光の照射領域にインプリント材11等の異物がある場合には、その異物がない場合に比べて、表面プラズモン共鳴が励起される反射角の違いが生じ、凹凸パターンに付着した異物有無を判定することができる。
【0048】
また、基板20における凹凸パターンが形成された被検査領域が、プリズム16の表面16a、すなわち金属膜15表面の平面サイズよりも大きい場合には、基板20とプリズム16とを金属膜15の面方向に相対移動させて、基板20の被検査領域全体をカバーする。例えば、静止したプリズム16及び金属膜15に対して、基板20を図1において矢印A方向に直線移動させ、基板20におけるすべての被検査領域の検査を行う。
【0049】
また、保持装置30ごと基板20及びプリズム16を、θ方向に回転させることで、検査光の入射角を変え、表面プラズモン共鳴が励起される反射角を検出することができる。
【0050】
前述したように、金属膜15表面に近接する物質の屈折率nによって、表面プラズモン励起角θは変化する。さらに、その物質の吸収特性によっては、表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射率(または反射強度)も変化することがある。
【0051】
したがって、基板20の凹凸パターンにインプリント材11等の異物の付着があるかどうかは、表面プラズモン共鳴が励起された状態の反射率(反射強度)の変化によっても判定することが可能である。反射角(表面プラズモン励起角)とそのときの反射率(反射強度)の両方を評価することで、異物有無判定の確実性(信頼性)は高まる。
【0052】
例えば、異物の有無で反射率(反射強度)が異なることを利用して、反射光の画像データを異物有無を判定するための反射特性として利用することもできる。その場合、反射光を検出する検出装置33として例えば撮像装置が用いられる。
【0053】
比較的広い範囲に検査光を照射し、その照射領域に異物が無い場合の表面プラズモン励起角付近では、反射光はほとんど観測されない。すなわち、取得される画像データは暗い。そして、検査光の入射角は変えずに、異物の付着がある基板20を金属膜15に近接させて検査光を照射すると、その入射角では表面プラズモン共鳴は励起されず、反射率(反射強度)の極端な低下は起こらず、取得される画像データは明るい。すなわち、異物の付いたパターン部分が明るくなり、欠陥の有無を高速で確認することができる。
【0054】
前述した実施形態では、インプリント使用前であってインプリント材11と未接触の基板20と、インプリント使用後のインプリント材11と接触済みの基板20との間で、反射特性を比較した。しかし、使用前後の基板20間での比較に限らず、使用前の複数の基板20間で反射特性を比較することで、使用前に予め欠陥を含む基板を特定することができる。そのフローを図6に示す。
【0055】
まず、使用前の複数の基板20に対して、前述した実施形態と同様に、図1の装置を用いて、検査光の照射及び反射特性の取得を行う(ステップS11)。
【0056】
次に、ステップS12にて、複数の基板20間で反射特性を比較する。
例えば、複数の基板20間の反射特性の平均値を算出し、その平均値に対して、予め設定された閾値以上異なるものがあれば、何らかの異物の付着があると判定し、洗浄工程にまわす(ステップS13a)。反射特性が平均値に対して閾値より小さい基板については、インプリント工程に使用する(ステップS13b)。これにより、インプリント工程におけるパターン転写欠陥を確実に防ぐことができる。
【0057】
異物有無の検査精度を高めるには、金属膜15表面と基板20とを密着させることが望ましい。両者の密着性を向上させるために、図7に示すように、それら両者間に例えばオイル系液体あるいは樹脂膜のような媒質18を密着層として介在させることが有効である。その媒質18は検査光に対する透過性を有する。これにより、金属膜15と基板20とは媒質18を介して密着し、高い検査精度が得られる。このとき、反射特性を比較する基板20間で、検査時に用いる媒質18は同じにする、または屈折率が同じ媒質18を用いる。
【0058】
また、プリズムの形状は、半球状に限らず、錐形、錐台形状などであってもよい。例えば、図8には、円錐台または角錐台形状のプリズム40を用いた例を示す。
【0059】
例えば、上底側の表面40aに金属膜15が形成され、その金属膜15の表面に対して凹凸パターンを近接させて基板20が配置される。このようなプリズム40を使った場合、プリズム40に入射した検査光を、金属膜15における異なる箇所で複数回反射させつつ、金属膜15の面方向に導波可能である。
【0060】
図8において矢印で模式的に表されるように、プリズム40に入射した光は、金属膜15が形成された上底側と、下底側とで複数回全反射しつつ、金属膜15の面方向に導波される。これにより、基板20の凹凸パターンにおける比較的広範囲の領域を一度に検査可能である。場合によっては、基板20とプリズム40とを相対移動させることなく、基板20の凹凸パターンの全領域にわたっての検査が可能になる。
【0061】
この場合でも、検査光の照射領域に異物がある場合と、無い場合とで、表面プラズモン共鳴が励起された状態での反射特性に違いが生じ、その違いから異物の有無を判定できる。
【0062】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0063】
前述した実施形態では、検査対象の基板としてインプリント用のテンプレートを例示したが、これに限らず、パターン露光に一般的に用いられるフォトマスク、あるいは、近接場露光に用いられる密着型のマスクなどの検査にも本発明は適用可能である。また、それら基板を使ったパターニング対象は、半導体デバイス、記録メディアなどが挙げられる。
【0064】
検出可能な異物はインプリント材のような樹脂に限らない。本発明は、基板と屈折率が同等もしくは近い異物を高感度に検出可能である。
【符号の説明】
【0065】
11…インプリント材、15…金属膜、16,40…プリズム、18…媒質、20…基板、30…保持装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリズムの表面に形成された金属膜に対して基板に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、前記プリズムの表面と前記金属膜との界面側から前記金属膜に光を照射して前記光の反射特性を取得する工程を複数の前記基板について行い、複数の前記基板間で前記反射特性を比較することを特徴とする基板の検査方法。
【請求項2】
前記基板は、樹脂に前記凹凸パターンを接触させて前記凹凸パターンの反転パターンを前記樹脂に転写するインプリント用のテンプレートであり、
前記凹凸パターンが前記樹脂に未接触のテンプレートについての前記反射特性と、前記凹凸パターンを前記樹脂に接触済みのテンプレートについての前記反射特性との比較から、前記樹脂に接触済みのテンプレートを評価することを特徴とする請求項1記載の基板の検査方法。
【請求項3】
前記金属膜と前記凹凸パターンとの間を前記光を透過させる媒質で満たし、前記媒質を介して前記金属膜と前記凹凸パターンとを密着させた状態で、前記光を照射して前記反射特性を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の基板の検査方法。
【請求項4】
前記反射特性は、前記金属膜の表面で表面プラズモン共鳴が励起された状態の前記光の反射角及び反射率の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板の検査方法。
【請求項5】
前記金属膜の表面と、前記凹凸パターンにおける凸部の先端との間の距離を、前記光の波長よりも短くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の基板の検査方法。
【請求項6】
金属膜が形成された表面を有するプリズムと、
前記金属膜に対して基板に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、前記プリズムと前記基板とを前記金属膜の面方向に相対移動可能に前記プリズムと前記基板とを保持する保持装置と、
前記プリズムの前記表面と前記金属膜との界面側から前記金属膜に対して光を照射する光源と、
前記金属膜に照射された前記光の反射特性を取得する測定装置と、
を備えたことを特徴とする基板の検査装置。
【請求項7】
金属膜が形成された表面を有するプリズムと、
前記プリズムの前記表面に形成された金属膜と、
前記金属膜に対して基板に形成された凹凸パターンを近接させた状態で、前記プリズムと前記基板とを保持する保持装置と、
前記プリズムの前記表面と前記金属膜との界面側から前記金属膜に対して光を照射する光源と、
前記金属膜に照射された前記光の反射特性を取得する測定装置と、
を備え、
前記プリズムは、前記プリズムに入射した前記光を、前記金属膜における異なる箇所で複数回反射させつつ前記金属膜の面方向に導波可能であることを特徴とする基板の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−163839(P2011−163839A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25052(P2010−25052)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】