説明

基板の製造方法

【課題】本発明は、半導体基板の一方の面に形成されると共に、半導体基板と絶縁されたパッドと、パッドと対向する部分の半導体基板に形成され、一方の端部がパッドと接続されると共に、半導体基板と絶縁された貫通電極とを有する基板の製造方法に関し、基板の歩留まりを向上させることのできる基板の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】半導体基板41にパッド32の母材となる金属膜43を形成し、次いで、パッド32の形成領域に対応する部分の金属膜43と対向する半導体基板41に貫通孔31を形成し、その後、貫通孔31に貫通電極17を形成し、次いで、半導体基板41に貫通電極17の側面を露出する貫通部49を形成し、次いで、少なくとも貫通部49を絶縁材で充填して絶縁部材16を形成し、その後、金属膜43をパターニングしてパッド32を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の一方の面に形成されると共に、半導体基板と絶縁されたパッドと、パッドと対向する部分の半導体基板に形成され、一方の端部がパッドと接続されると共に、半導体基板と絶縁された貫通電極とを有する基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基板には、半導体基板に形成された半導体デバイス(例えば、CMOSセンサやメモリー等)と、半導体基板の一方の面に形成され、半導体デバイスと電気的に接続されたパッドと、パッドと対向する部分の半導体基板を貫通すると共に、一方の端部がパッドと接続された貫通電極とを備えた基板や、半導体基板の一方の面に形成され、半導体チップと電気的に接続されるパッドと、パッドと対向する部分の半導体基板を貫通すると共に、一方の端部がパッドと接続された貫通電極とを備えた基板(図1参照)等がある。
【0003】
図1は、従来の基板の断面図である。
【0004】
図1を参照するに、従来の基板200は、半導体基板201と、酸化膜202,203と、貫通電極204と、パッド205とを有する。半導体基板201は、板状とされた基板であり、貫通孔207が形成されている。半導体基板201としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。
【0005】
酸化膜202は、半導体基板201の表面201A及び裏面201Bを覆うように設けられている。酸化膜203は、貫通孔207の側面に対応する部分の半導体基板201の面を覆うように設けられている。
【0006】
貫通電極204は、酸化膜203が形成された貫通孔207に設けられている。パッド205は、貫通電極204の上端部及び半導体基板201の表面201Aに形成された酸化膜202上に設けられている。パッド205は、貫通電極204と電気的に接続されている。パッド205は、図示していない半導体チップと電気的に接続されるパッドである。
【0007】
図2〜図8は、従来の基板の製造工程を示す図である。図2〜図8において、従来の基板200と同一構成部分には同一符号を付す。
【0008】
図2〜図8を参照して、従来の基板の製造方法を説明する。始めに、図2に示す工程では、半導体基板201の両面201A,201Bを覆うように酸化膜202を形成する。次いで、図3に示す工程では、半導体基板201の裏面201Bに設けられた酸化膜202に開口部202Aを形成する。開口部202Aは、貫通孔207の形成領域に対応する部分の半導体基板201の裏面201Bを露出するように形成する。
【0009】
次いで、図4に示す工程では、開口部202Aが形成された酸化膜202をマスクとするエッチングにより、半導体基板201を貫通する貫通孔207を形成する。次いで、図5に示す工程では、貫通孔207の側面に対応する部分の半導体基板201を熱酸化することで、貫通孔207の側面に対応する部分の半導体基板201に酸化膜203を形成する。
【0010】
次いで、図6に示す工程では、貫通孔207の上方に位置する部分の酸化膜202上にパッド205を形成する。次いで、図7に示す工程では、パッド205と貫通孔207との間に配置された酸化膜202をエッチング(ドライエッチング又はウエットエッチング)により除去する。
【0011】
次いで、図8に示す工程では、図7に示す開口部202A及び貫通孔207に導電材料を充填することで貫通電極204を形成する。これにより、基板200が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−95849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の基板200の製造方法では、貫通孔207の側面に対応する部分の半導体基板201に酸化膜203を形成した後に、パッド205と貫通孔207との間に配置された酸化膜202をエッチング(ドライエッチング又はウエットエッチング)により除去していた。そのため、パッド205と貫通孔207との間に配置された部分の酸化膜202のエッチング残り(残渣)が発生したり(この場合、貫通電極204とパッド205との間の抵抗値が上昇する)、エッチングの不要な酸化膜203がエッチングされて酸化膜203の厚さが薄くなってしまったり(この場合、半導体基板201と貫通電極204との間で絶縁不良が発生する)していた。これにより、基板200の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【0013】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、歩留まりを向上させることのできる基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面に設けられ、前記半導体基板と絶縁されたパッドと、前記パッドと対向する部分の前記半導体基板を貫通するように配置され、一方の端部が前記パッドと接続されると共に、前記半導体基板と絶縁された貫通電極と、を備えた基板の製造方法であって、前記半導体基板に前記パッドの母材となる金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記パッドの形成領域に対応する部分の前記金属膜と対向する部分の前記半導体基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔に前記貫通電極を形成する貫通電極形成工程と、前記半導体基板に前記貫通電極の側面を露出する貫通部を形成する貫通部形成工程と、少なくとも前記貫通部を充填するように絶縁材を形成する絶縁材形成工程と、前記絶縁材形成工程後に、前記金属膜をパターニングして前記パッドを形成するパッド形成工程と、を含むことを特徴とする基板の製造方法が提供される。
【0015】
本発明によれば、半導体基板にパッドの母材となる金属膜を形成し、その後、パッドの形成領域に対応する部分の金属膜と対向する部分の半導体基板に貫通孔を形成し、次いで、貫通孔に貫通電極を形成し、次いで、半導体基板に貫通電極の側面を露出する貫通部を形成し、その後、少なくとも貫通部を絶縁材で充填するように絶縁材を形成し、その後、金属膜をパターニングしてパッドを形成することにより、パッドと貫通電極との間に絶縁材が介在することがなくなる(つまり、貫通電極とパッドとの間の抵抗値が上昇することがなくなる)と共に、貫通電極の側面と半導体基板との間に配置される絶縁材の厚さを十分に確保することが可能(つまり、貫通電極と半導体基板との間の絶縁性を十分に確保することが可能)となるため、基板の歩留まりを向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る基板の断面図である。
【0019】
図9を参照するに、第1の実施の形態の基板10は、半導体デバイス15と、絶縁部材16,22と、貫通電極17と、外部接続端子18と、透光性部材19と、配線パターン21とを有する。なお、本実施の形態では、半導体デバイス15としてCMOSセンサを用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。
【0020】
半導体デバイス15は、半導体基板25と、デバイス本体27と、電極パッド28とを有する。半導体基板25は、薄板化された基板である。半導体基板25としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。半導体基板25としてシリコン基板を用いた場合、半導体基板25の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0021】
デバイス本体27は、半導体基板25の表面25A側に形成されている。デバイス本体27は、半導体基板25に形成された拡散層(図示せず)、半導体基板25上に積層された複数の絶縁層(図示せず)、拡散層と電気的に接続され、複数の絶縁層に形成されたビア(図示せず)、ビアと電気的に接続され、複数の絶縁層に形成された配線(図示せず)等を有した構成とされている。デバイス本体27は、外部からの光を受光する受光部27Aを有する。
【0022】
電極パッド28は、デバイス本体27に形成されたビア及び配線(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド28は、配線パターン21と接続されている。電極パッド28は、配線パターン21を介して、貫通電極17と電気的に接続されている。電極パッド28の材料としては、例えば、Alを用いることができる。
【0023】
絶縁部材16は、半導体基板25の裏面25B及び側面25Cを覆うように設けられている。絶縁部材16の上面16Aは、半導体基板25の表面25Aと略面一となるように構成されている。絶縁部材16は、後述するパッド32(配線パターン21の構成要素の1つ)の形成領域に対応する部分の絶縁部材16を貫通する貫通孔31を有する。絶縁部材16は、半導体基板25と貫通孔31に配設される貫通電極17とを絶縁するための部材である。半導体基板25の裏面25Bに配置された部分の絶縁部材16の厚さは、例えば、10μmとすることができる。絶縁部材16の材料としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂を用いることができる。
【0024】
貫通電極17は、絶縁部材16に形成された貫通孔31に設けられている。貫通電極17の上端は、パッド32と接続されている。貫通電極17の下端面は、絶縁部材16の下面16Bと略面一となるように構成されている。貫通電極17の下端には、外部接続端子18が設けられている。貫通電極17は、外部接続端子18を介して、実装基板12(例えば、マザーボード)に設けられたパッド13と電気的に接続されている。貫通電極17の側面と半導体基板25の側面25Cとの隙間Aは、例えば、40μmとすることができる。貫通電極17の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。また、貫通電極17の直径は、例えば、40μmとすることができる、
外部接続端子18は、貫通電極17の下端に設けられている。外部接続端子18は、基板10に設けられた貫通電極17と実装基板12に設けられたパッド13とを電気的に接続するための端子である。外部接続端子18としては、例えば、バンプ(例えば、はんだバンプ)を用いることができる。
【0025】
透光性部材19は、デバイス本体27の受光部27Aの上面を覆うように設けられている。透光性部材19は、受光部27Aを保護するための部材である。透光性部材19としては、例えば、シリコーン樹脂を用いることができる。透光性部材19としてシリコーン樹脂を用いた場合、透光性部材19の厚さは、例えば10μm〜100μmとすることができる。
【0026】
配線パターン21は、パッド32,33と、配線34とを有する。パッド32は、絶縁部材16の上面16A及び貫通電極17の上端に設けられている。パッド32は、貫通電極17の上端と接続されている。パッド32は、配線34と一体的に構成されている。パッド32は、配線34を介して、パッド33と電気的に接続されている。
【0027】
パッド33は、電極パッド28上に設けられている。パッド33は、電極パッド28と接続されている。パッド33は、配線34と一体的に構成されており、配線34を介して、パッド32と電気的に接続されている。配線34は、パッド32とパッド33とを電気的に接続するように、デバイス本体27上に設けられている。上記構成とされた配線パターン21の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。
【0028】
絶縁部材22は、配線パターン21の上面及び側面と、受光部27Aを除いた部分のデバイス本体27の上面及び側面と、絶縁部材16の上面とを覆うように配設されている。絶縁部材22は、透光性部材19を露出する開口部36を有する。開口部36は、外部からの光を受光部27Aに透過させるためのものである。絶縁部材22としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂を用いることができる。
【0029】
図10〜図25は、本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図であり、図26は、図18に示す構造体の平面図である。図10〜図26において、第1の実施の形態の基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0030】
図10〜図26を参照して、第1の実施の形態の基板10の製造方法について説明する。始めに、図10に示す工程では、周知の手法により、基板10が形成される基板形成領域Bを複数有した半導体基板41の表面41A側に半導体デバイス15(本実施の形態の場合、CMOSセンサー)を形成する(半導体デバイス形成工程)。半導体基板41としては、例えば、シリコンウエハを用いることができる。半導体基板41としてシリコンウエハを用いた場合、半導体基板41の厚さは、例えば、725μmとすることができる。半導体基板41は、後述する図13に示す工程において薄板化され、切断位置Cにおいて切断されることにより、複数の半導体基板25(図9参照)となる基板である。
【0031】
次いで、図11に示す工程では、受光部27Aの上面を覆うように透光性部材19を形成する。透光性部材19としては、例えば、シリコーン樹脂を用いることができる。透光性部材19の材料としてシリコーン樹脂を用いた場合、透光性部材19は、例えば、印刷法やインクジェット法等の方法により形成する。この場合、透光性部材19の厚さは、例えば、10μm〜100μmとすることができる。
【0032】
次いで、図12に示す工程では、半導体デバイス15及び半導体基板41の表面41Aを覆うように、配線パターン21(図9参照)の母材となる金属膜43を形成する(金属膜形成工程)。具体的には、例えば、スパッタ法により、半導体デバイス15及び半導体基板41の表面41Aを覆うようにシード層(図示せず)を形成し、次いで、シード層を給電層とする電解めっき法により、シード層上にめっき膜(図示せず)を析出成長させることにより、金属膜43を形成する。上記シード層としては、例えば、Cu層(例えば、厚さ0.1μm)を用いることができる。また、上記めっき膜としては、例えば、Cuめっき膜(例えば、厚さ3μm〜5μm)を用いることができる。
【0033】
次いで、図13に示す工程では、図12に示す半導体基板41を薄板化する。具体的には、図12に示す半導体基板41の裏面41B側から図12に示す半導体基板41を研削及び/又は研磨することにより、半導体基板41を薄板化する。薄板化後の半導体基板41の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0034】
次いで、図14に示す工程では、薄板化された半導体基板41の裏面41Bに開口部45Aを有したレジスト膜45を形成する。このとき、開口部45Aは、貫通孔31(図9参照)の形成領域に対応する部分の半導体基板45の裏面45Bを露出するように形成する。
【0035】
次いで、図15に示す工程では、レジスト膜45をマスクとする異方性エッチング(例えば、ドライエッチング)により、開口部45Aに露出された部分の半導体基板41を金属膜43が露出するまでエッチングすることで貫通孔31を形成する(貫通孔形成工程)。
【0036】
次いで、図16に示す工程では、貫通孔31に貫通電極17を形成する(貫通電極形成工程)。具体的には、金属膜43を給電層とする電解めっき法により、貫通孔31にめっき膜(例えば、Cuめっき膜)を析出成長させて貫通電極17を形成する。
【0037】
このように、金属膜43をパターニングする前に貫通電極17を形成することにより、複数の基板形成領域Bに貫通電極17を形成する際の給電層として金属膜43を用いることが可能となるため、複数の基板形成領域Bに設けられた複数の貫通孔31に貫通電極17を同時に形成することができる。
【0038】
また、パッド32の母材に対応する部分の金属膜43と、貫通電極17の上端との間に絶縁材が介在することがなくなるため、貫通電極17とパッド32との間の抵抗値の増加を抑制することが可能となるので、基板10の歩留まりを向上させることができる。
【0039】
貫通電極形成工程では、貫通電極17の下端が半導体基板41の裏面41Bよりも突出するように貫通電極17を形成する。
【0040】
このように、貫通電極17の下端が半導体基板41の裏面41Bよりも突出するように貫通電極17を形成することにより、半導体基板41の裏面41Bに絶縁部材16を設けた場合でも貫通電極17の下端に外部接続端子18を接続することができる。
【0041】
貫通電極17の突出量Eは、例えば、半導体基板41の裏面41Bに形成される絶縁部材16の厚さの値と略等しくすることができる。具体的には、半導体基板41の裏面41Bに形成される絶縁部材16の厚さが10μmの場合、貫通電極17の突出量Eは、例えば、10μmとすることができる。
【0042】
次いで、図17に示す工程では、図16に示す構造体に設けられたレジスト膜45を除去する。次いで、図18に示す工程では、半導体基板41の裏面41Bに、後述する貫通部49(図19参照)の形成領域に対応する部分の半導体基板41の裏面41Bを露出する開口部47Aを有したレジスト膜47を形成する(図17に示す構造体を平面視した図は図26を参照。)。
【0043】
次いで、図19に示す工程では、レジスト膜47をマスクとする異方性エッチングにより、パッド32に対応する部分の金属膜43の下面が露出するまで半導体基板41をエッチングして貫通部49を形成する(貫通部形成工程)。貫通部49は、半導体基板41と貫通電極17との間を絶縁する絶縁材(絶縁部材16の母材)が充填される部分である。つまり、貫通部49は、絶縁部材16の一部が配設される領域である。貫通部49は、基板形成領域Bに設けられた少なくとも2つ以上の貫通電極17の側面を露出するように形成するとよい。
【0044】
このように、基板形成領域Bに設けられた少なくとも2つ以上の貫通電極17の側面を露出するように貫通部49を形成することにより、1つの貫通電極17の側面のみを露出する貫通部を複数形成した場合と比較して、貫通部49内に絶縁材(絶縁部材16の母材)を充填させやすくなるため、貫通部49内に精度良く絶縁材(絶縁部材16の母材)を充填することができる。
【0045】
次いで、図20に示す工程では、図19に示す構造体に設けられたレジスト膜47を除去する。次いで、図21に示す工程では、例えば、印刷法により、貫通部49を充填すると共に、貫通電極17の下端を露出させた状態(具体的には、例えば、貫通電極17の下端面と絶縁部材16の下面16Bとが略面一である状態)で半導体基板41の裏面41Bを覆うように絶縁材(絶縁部材16の母材)を配設し、その後、絶縁材を硬化させることで絶縁部材16を形成する(絶縁材形成工程)。
【0046】
このように、貫通電極17と半導体基板41との間を絶縁する絶縁部材16を形成することにより、貫通電極17と半導体基板41との間に配置された絶縁部材16の厚さが薄くなることがなくなるため、貫通電極17と半導体基板41との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0047】
上記絶縁材としては、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いることができる。この場合、150℃程度の温度となるように絶縁材を加熱することで、絶縁材を硬化させることができる。
【0048】
次いで、図22に示す工程では、図21に示す構造体の上面側に、透光性部材19上に配置された部分の金属膜43を露出すると共に、配線パターン21の形成領域以外の領域に対応する部分の金属膜43を露出する開口部36を有した絶縁部材22を形成する。絶縁部材22としては、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いることができる。
【0049】
次いで、図23に示す工程では、絶縁部材22をマスクとするエッチング(例えば、ドライエッチング)により、図22に示す開口部36に露出された部分の金属膜43を除去することで、金属膜43をパターニングする(パッド形成工程)。これにより、透光性部材19上に形成された金属膜43が除去されると共に、
パッド32,33及び配線34を備えた配線パターン21が形成される。なお、この段階では、隣接する基板形成領域Bに形成された配線パターン21は一体的に構成されているため、隣接する基板形成領域Bに形成されたパッド32は電気的に接続されている。
【0050】
このように、半導体基板41にパッド32の母材となる金属膜43を形成し、その後、パッド32の形成領域に対応する部分の金属膜43と対向する部分の半導体基板41に貫通孔31を形成し、次いで、貫通孔31に貫通電極17を形成し、次いで、半導体基板41に貫通電極17の側面を露出する貫通部49を形成し、その後、少なくとも貫通部49を絶縁材で充填して絶縁部材16を形成し、その後、金属膜43をパターニングしてパッド32を形成することにより、パッド32と貫通電極17との間に絶縁材が介在することがなくなる(つまり、貫通電極17とパッド32との間の抵抗値が上昇することがなくなる)と共に、貫通電極17の側面と半導体基板41との間に配置される絶縁材の厚さを十分に確保することが可能(つまり、貫通電極17と半導体基板41との絶縁性を十分に確保することが可能)となるため、基板10の歩留まりを向上させることができる。
【0051】
次いで、図24に示す工程では、貫通電極17の下端に外部接続端子18を形成する。これにより、複数の基板形成領域Bにそれぞれ基板10(図9参照)に相当する構造体が形成される。外部接続端子18としては、例えば、バンプ(例えば、はんだバンプ)を用いることができる。
【0052】
次いで、図25に示す工程では、図24に示す構造体を切断位置Cに沿って切断することにより、複数の基板10が個片化される。
【0053】
本実施の形態の基板の製造方法によれば、半導体基板41にパッド32の母材となる金属膜43を形成し、その後、パッド32の形成領域に対応する部分の金属膜43と対向する部分の半導体基板41に貫通孔31を形成し、次いで、貫通孔31に貫通電極17を形成し、次いで、半導体基板41に貫通電極17の側面を露出する貫通部49を形成し、その後、少なくとも貫通部49を絶縁材で充填して絶縁部材16を形成し、その後、金属膜43をパターニングしてパッド32を形成することにより、パッド32と貫通電極17との間に絶縁材が介在することがなくなる(つまり、貫通電極17とパッド32との間の抵抗値が上昇することがなくなる)と共に、貫通電極17の側面と半導体基板41との間に配置される絶縁材の厚さを十分に確保することが可能(つまり、貫通電極17と半導体基板41との絶縁性を十分に確保することが可能)となるため、基板10の歩留まりを向上させることができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、基板形成領域Bに設けられた複数の貫通電極17の側面を露出するように貫通部49を形成した場合を例に挙げて説明したが、1つの貫通電極17の側面のみを露出する貫通部を複数形成し、その後、これら複数の貫通部を絶縁材により充填してもよい。
【0055】
(第2の実施の形態)
図27は、本発明の第2の実施の形態に係る基板の断面図である。図27において、第1の実施の形態の基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0056】
図27を参照するに、第2の実施の形態の基板60は、第1の実施の形態の基板10に設けられた半導体デバイス15及び絶縁部材22の代わりに半導体デバイス61及び絶縁部材62を設けると共に、基板10に設けられた透光性部材19を構成要素から除いた以外は基板10と同様に構成される。
【0057】
半導体デバイス61は、半導体基板25と、デバイス本体65と、電極パッド66とを有する。デバイス本体65は、半導体基板25の表面25A側に形成されている。デバイス本体65は、半導体基板25に形成された拡散層(図示せず)、半導体基板25上に積層された複数の絶縁層(図示せず)、拡散層と電気的に接続され、積層された複数の絶縁層に設けられたビア(図示せず)、ビアと電気的に接続され、積層された複数の絶縁層に設けられた配線(図示せず)等を有した構成とされている。
【0058】
電極パッド66は、デバイス本体65に形成されたビア及び配線(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド66は、パッド33と接続されている。これにより、電極パッド66は、パッド33及び配線34を介して、貫通ビア17と接続されたパッド32と電気的に接続されている。電極パッド66の材料としては、例えば、Alを用いることができる。上記構成とされた半導体デバイス61としては、例えば、メモリー用半導体デバイスを用いることができる。
【0059】
絶縁部材62は、パッド32の上面32Aの一部を除いた配線パターン21及び半導体デバイス61を覆うように、絶縁部材16の上面16Aに設けられている。絶縁部材62は、パッド32の上面32Aの一部を露出する開口部68を有する。絶縁部材62の材料としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂を用いることができる。開口部68の直径は、例えば、40μmとすることができる。
【0060】
このように、パッド32の上面32Aの一部を露出する開口部68を絶縁部材62に設けることにより、他の基板(具体的には、後述する基板70(図28参照))を基板60の上方に配置して、基板60に設けられたパッド32と他の基板に設けられたパッドとを電気的に接続することができる。
【0061】
上記構成とされた第2の実施の形態の基板60は、第1の実施の形態で説明した基板10と同様な手法により製造することが可能であり、第1の実施の形態の基板10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0062】
図28は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る基板の断面図である。図28において、第2の実施の形態の基板60と同一構成部分には同一符号を付す。
【0063】
図28を参照するに、第2の実施の形態の変形例の基板70は、第2の実施の形態の基板60に設けられた絶縁部材62の代わりに絶縁部材71を設けると共に、基板60に設けられた外部接続端子18を構成要素から除いた以外は基板60と同様に構成される。
【0064】
絶縁部材71は、配線パターン21及び半導体デバイス61を覆うように、絶縁部材16の上面16Aに設けられている。絶縁部材71の材料としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂を用いることができる。
【0065】
上記構成とされた第2の実施の形態の変形例の基板70は、第1の実施の形態で説明した基板10と同様な手法により製造することが可能であり、第1の実施の形態の基板10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0066】
図29は、図27及び図28に示す基板を積層させた基板積層体の断面図である。図29において、図27及び図28に示す基板60,70と同一構成部分には同一符号を付す。
【0067】
図29を参照するに、基板積層体75は、基板60,70と、導電部材76とを有する。基板積層体75は、基板60上に基板70を配置すると共に、基板60に設けられたパッド32と基板70に設けられた貫通電極17の下端とを導電部材76により電気的に接続した構成とされている。
【0068】
このように、基板60上に基板70を積層させて、基板60と基板70とを電気的に接続してもよい。また、基板積層体75に設けられた基板60と基板70との間に、外部接続端子18を有していない基板60を配置し、導電部材76を介して、外部接続端子18を有していない基板60と上下方向に配置された基板60,70とを電気的に接続してもよい。
【0069】
(第3の実施の形態)
図30は、本発明の第3の実施の形態に係る基板の断面図である。
【0070】
図30を参照するに、第3の実施の形態の基板80は、半導体基板91と、貫通電極92と、絶縁部材93と、絶縁膜95と、配線パターン96と、ソルダーレジスト97と、拡散防止膜99,103と、外部接続用パッド101とを有する。
【0071】
半導体基板91は、薄板化された基板であり、複数の貫通電極92を収容可能な平面視額縁状の貫通部111を有する。貫通部111は、少なくとも2つ以上の貫通電極92を収容すると共に、貫通電極92と半導体基板91との間を絶縁するための絶縁部材93の一部を配設するための空間である。貫通電極92の直径が80μmの場合、貫通部111の幅Fは、例えば、120μmとすることができる。半導体基板91としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。半導体基板91としてシリコン基板を用いた場合、半導体基板91の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0072】
貫通電極92は、絶縁部材93が形成された貫通部111に設けられている。
貫通電極92の上端面は、半導体基板91の表面91Aと略面一となるように構成されている。貫通電極92の上端は、後述するパッド115(配線パターン96の構成要素の1つ)と接続されている。貫通電極92の下端は、半導体基板91の裏面91Bから突出している。貫通電極92の下端面は、絶縁材93の下面93Bと略面一となるように構成されている。貫通電極92の下端は、外部接続用パッド101と接続されている。
【0073】
絶縁部材93は、貫通電極92が配置された貫通部111を充填すると共に、半導体基板91の裏面91Bを覆うように設けられている。貫通部111に設けられた部分の絶縁部材93の上面93Aは、半導体基板91の表面91Aと略面一となるように構成されている。また、絶縁部材93の下面93Bは、貫通電極92の下端面と略面一となるように構成されている。絶縁部材93は、半導体基板91と貫通電極92及び外部接続用パッド101とを絶縁するための部材である。半導体基板91の裏面91Bに設けられた部分の絶縁部材93の厚さは、例えば、10μmとすることができる。絶縁部材93の材料としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
【0074】
絶縁膜95は、絶縁部材93の上面93Aの一部を覆うように、半導体基板91の表面91Aに設けられている。絶縁膜95は、貫通電極92の上端面及び後述するパッド115の形成領域に対応する部分の絶縁部材93の上面93Aを露出する開口部113を有する。開口部113の直径は、例えば、100μmとすることができる。また、絶縁膜95としては、例えば、熱酸化膜やCVD法により形成された酸化膜等を用いることができる。絶縁膜95として熱酸化膜或いは酸化膜を用いた場合、絶縁膜95の厚さは、例えば、1.0μmとすることができる。
【0075】
配線パターン96は、パッド115,116と、配線117とを有する。パッド115は、絶縁膜95に形成された開口部113に設けられている。パッド115は、貫通電極92の上端と接続されている。パッド115は、配線117と一体的に構成されている。パッド115は、配線117を介して、パッド116と電気的に接続されている。
【0076】
パッド116は、絶縁膜95上に設けられている。パッド116は、配線117と一体的に構成されている。パッド116は、配線117を介して、パッド115と電気的に接続されている。パッド116は、拡散防止膜99が形成される接続面116Aを有する。パッド116は、接続面116Aに形成された拡散防止膜99を介して、電子部品81と電気的に接続されている。
【0077】
配線117は、絶縁膜95上に設けられている。配線117は、パッド115,116と一体的に構成されており、パッド115とパッド116とを電気的に接続している。
【0078】
上記構成とされた配線パターン96としては、例えば、Ti/Cu積層膜を用いることができる。配線パターン96としてTi/Cu積層膜を用いた場合、配線パターン96は、例えば、スパッタ法により、Ti層(例えば、厚さ0.1μm)と、Cu層(例えば、厚さ0.1μm)とを順次積層させ、さらに、Cu層上にめっき法により形成されたCuめっき膜(例えば、厚さ5.0μm)を積層させ、このTi/Cu積層膜をパターニングすることで形成できる。
【0079】
ソルダーレジスト97は、接続面116Aを除く配線パターン96を覆うように、絶縁膜95上に設けられている。ソルダーレジスト97は、接続面116Aを露出する開口部97Aを有する。配線117上に配置された部分のソルダーレジスト97の厚さは、例えば、10μmとすることができる。
【0080】
拡散防止膜99は、接続面116Aを覆うように設けられている。拡散防止膜99は、電子部品81(例えば、半導体チップ)と接続される膜である。拡散防止膜99としては、例えば、接続面116A上に、Ni層(例えば、厚さ3.0μm)と、Au層(例えば、厚さ0.05μm)とを順次積層させたNi/Au積層膜を用いることができる。
【0081】
外部接続用パッド101は、貫通電極92の下端から絶縁部材93の下面93Bに亘るように配設されている。外部接続用パッド101は、貫通電極92と接続されている。外部接続用パッド101は、貫通電極92を介して、配線パターン96と電気的に接続されている。外部接続用パッド101は、拡散防止膜103及び外部接続端子84を介して、実装基板82(例えば、マザーボード等)に設けられたパッド83と電気的に接続されるパッドである。
【0082】
拡散防止膜103は、外部接続用パッド101の側面及び下面を覆うように設けられている。拡散防止膜103は、外部接続端子84(例えば、はんだボール)が接続される膜である。
【0083】
図31〜図47は、本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図である。図31〜図47において、第3の実施の形態の基板80と同一構成部分には同一符号を付す。
【0084】
図31〜47を参照して、第3の実施の形態の基板80の製造方法について説明する。始めに、図31に示す工程では、基板80が形成される基板形成領域Gを複数有した半導体基板121の表面121Aに絶縁膜95を形成する。半導体基板121としては、例えば、シリコンウエハを用いることができる。半導体基板121としてシリコン基板を用いた場合、半導体基板121の厚さは、例えば、725μmとすることができる。半導体基板121は、後述する図32に示す工程において薄板化され、その後、図47に示す工程において切断位置Hに沿って切断されることにより、複数の半導体基板91(図30参照)となる基板である。絶縁膜95としては、例えば、CVD法により形成された酸化膜や、熱酸化法により形成された熱酸化膜等を用いることができる。絶縁膜95として酸化膜或いは熱酸化膜を用いた場合、絶縁膜95の厚さは、例えば、1.0μmとすることができる。
【0085】
次いで、図32に示す工程では、図31に示す半導体基板121を薄板化する。具体的には、図31に示す半導体基板121の裏面121B側から半導体基板121を研削及び/又は研磨することにより、半導体基板121を薄板化する。薄板化後の半導体基板121の厚さは、例えば、200μmとすることができる。
【0086】
次いで、図33に示す工程では、絶縁膜95に半導体基板121の表面121Aを露出する開口部113を形成する。具体的には、開口部113は、例えば、絶縁膜95上に開口部113の形成領域に対応する部分の絶縁膜95を露出する開口部を有したレジスト膜(図示せず)を形成し、その後、このレジスト膜をマスクとして、半導体基板121の表面121Aが露出するまで絶縁膜95をエッチングすることで形成する。なお、レジスト膜は、開口部113を形成後に除去する。
【0087】
次いで、図34に示す工程では、絶縁膜95上、開口部113の側面に対応する部分の絶縁膜95の面、及び開口部113に露出された部分の半導体基板121の表面121Aを覆うように、配線パターン96の母材となる金属膜123を形成する(金属膜形成工程)。
【0088】
金属膜123としては、例えば、Ti/Cu積層膜を用いることができる。この場合、金属膜123は、例えば、スパッタ法により、図33に示す構造体の上面を覆うようにTi層(例えば、厚さ0.1μm)と、Cu層(例えば、厚さ0.1μm)とを順次積層させた後、Cu層を給電層とする電解めっき法により、Cu層上にCuめっき膜(例えば、厚さ5.0μm)を析出成長させることで形成する。
【0089】
次いで、図35に示す工程では、半導体基板121の裏面121Bに開口部124Aを有したレジスト膜124を形成する。このとき、開口部124Aは、貫通電極92の形成位置に対応する部分の半導体基板121の裏面121Bを露出するように形成する。レジスト膜124の厚さは、半導体基板91の裏面91Bに設けられる絶縁部材93(図30参照)の厚さと略等しくすることができる。具体的には、絶縁部材93の厚さが10μmの場合、レジスト膜124の厚さは、例えば、10μmとすることができる。
【0090】
次いで、図36に示す工程では、レジスト膜124をマスクとする異方性エッチングにより、半導体基板121をエッチングすることで、パッド115の母材となる部分の金属膜123(開口部113に設けられた部分の金属膜123)を露出する貫通孔126を形成する(貫通孔形成工程)。貫通孔126の直径は、貫通電極92の直径と略等しくすることができる。貫通電極92の直径が80μmの場合、貫通孔126の直径は、例えば、80μmとすることができる。
【0091】
次いで、図37に示す工程では、金属膜123を給電層とする電解めっき法により、開口部124及び貫通孔126を充填するめっき膜(例えば、Cuめっき膜)を金属膜123の下面側に析出成長させることにより、パッド115の母材となる部分の金属膜123と接続された貫通電極92を形成する(貫通電極形成工程)。
【0092】
このように、金属膜123をパターニングする前に貫通電極92を形成することにより、複数の基板形成領域Gに貫通電極92を形成する際の給電層として金属膜123を用いることが可能となるため、複数の基板形成領域Gに設けられた複数の貫通孔126に貫通電極92を同時に形成することができる。
【0093】
また、パッド115の母材に対応する部分の金属膜123と、貫通電極92の上端との間に絶縁材が介在することがなくなるため、貫通電極92とパッド115との間の抵抗値の増加を抑制することが可能となるので、基板80の歩留まりを向上させることができる。
【0094】
貫通電極92の直径は、例えば、80μmとすることができる。また、半導体基板121の裏面121Bからの貫通電極92の突出量は、例えば、10μmとすることができる。
【0095】
次いで、図38に示す工程では、図37に示す不要なレジスト膜124を除去する。図39に示す工程では、半導体基板121の裏面121Bに、少なくとも2つ以上の貫通電極92の形成領域に対応する部分の半導体基板121の裏面121Bを露出する開口部127Aを有したレジスト膜127を形成する。
【0096】
次いで、図40に示す工程では、レジスト膜127をマスクとして半導体基板121をエッチングすることで、パッド115の母材となる部分の金属膜123の一部と絶縁膜95の一部とを露出すると共に、少なくとも2つ以上の貫通電極92の側面を露出する貫通部111を形成する(貫通部形成工程)。
【0097】
このように、少なくとも2つ以上の貫通電極92の側面を露出するように貫通部111を形成することにより、1つの貫通電極92の側面のみを露出するように貫通部を形成した場合と比較して、貫通部111内に絶縁材(絶縁部材93の母材)を充填させやすくなるため、貫通部111内に精度良く絶縁材(絶縁部材93の母材)を充填することができる。貫通電極92の直径が80μmの場合、貫通部111の幅Fは、例えば、120μmとすることができる。
【0098】
なお、図39に示す工程において、1つの貫通電極92の形成領域に対する開口部を複数有したレジスト膜(図示せず)を形成し、図40に示す工程において、このレジスト膜をマスクとして、1つの貫通電極92の側面を露出する貫通部を複数設けてもよい。
【0099】
次いで、図41に示す工程では、図40に示すレジスト膜127を除去する。次いで、図42に示す工程では、例えば、印刷法により、貫通部111を充填すると共に、貫通電極92の下端を露出させた状態(具体的には、例えば、貫通電極92の下端面と絶縁部材93の下面93Bとが略面一である状態)で半導体基板121の裏面121Bを覆うように絶縁材(絶縁部材93の母材)を配置し、その後、絶縁材を硬化させることで絶縁部材93を形成する(絶縁材形成工程)。
【0100】
このように、貫通電極92と半導体基板121との間を絶縁する絶縁部材93を形成することにより、貫通電極92と半導体基板121との間に配置された絶縁部材93の厚さが薄くなることがなくなるため、貫通電極92と半導体基板121との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0101】
絶縁部材93の母材となる絶縁材としては、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。絶縁部材93の母材となる絶縁材として熱硬化性のエポキシ樹脂を用いた場合、例えば、150℃程度の温度となるように絶縁材を加熱することで絶縁材を硬化させることができる。
【0102】
次いで、図43に示す工程では、図42に示す金属膜123をパターニングすることでパッド115,116及び配線117を備えた配線パターン96を形成する(パッド形成工程)。具体的には、例えば、配線パターン96の形成領域に対応する部分の金属膜123のみを覆うようにレジスト膜(図示せず)を形成し、その後、このレジスト膜をマスクとするエッチング(例えば、ドライエッチング)により不要な部分の金属膜123を除去することで、配線パターン96を形成する。レジスト膜は、配線パターン96を形成後に除去する。
【0103】
次いで、図44に示す工程では、図43に示す構造体上に、周知の手法により、パッド116の接続面116Aを露出する開口部97Aを有したソルダーレジスト97を形成する。配線117上に形成されたソルダーレジスト97の厚さは、例えば、10μmとすることができる。
【0104】
次いで、図45に示す工程では、貫通電極92の下端及び絶縁部材93の下面93Bに外部接続用パッド101を形成する。具体的には、外部接続用パッド101は、例えば、セミアディティブ法により形成することができる。外部接続用パッド101の材料としては、例えば、Cuを用いることができる。外部接続用パッド101の厚さは、例えば、5μmとすることができる。
【0105】
次いで、図46に示す工程では、例えば、無電解めっき法により、パッド116の接続面116Aを覆う拡散防止膜99と、外部接続用パッド101を覆う拡散防止膜103とを同時に形成する。これにより、基板形成領域Gに対応する部分の半導体基板121に基板80に相当する構造体が形成される。拡散防止膜99,103としては、例えば、Ni層(例えば、厚さ3.0μm)と、Au層(例えば、厚さ0.05μm)とを順次積層させたNi/Au積層膜を用いることができる。
【0106】
次いで、図47に示す工程では、図46に示す構造体を切断位置Hに沿って切断することで、複数の基板80を個片化する。
【0107】
本実施の形態の基板の製造方法によれば、半導体基板121にパッド115の母材となる金属膜123を形成し、その後、パッド115の形成領域に対応する部分の金属膜43と対向する半導体基板121に貫通孔126を形成し、次いで、貫通孔126に貫通電極92を形成し、次いで、半導体基板121に貫通電極92の側面を露出する貫通部111を形成し、その後、少なくとも貫通部111を充填する絶縁部材93を形成し、その後、金属膜123をパターニングしてパッド115を形成することにより、パッド115と貫通電極92との間に絶縁材が介在することがなくなる(つまり、貫通電極92とパッド115との間の抵抗値が上昇することがなくなる)と共に、貫通部111の側面と半導体基板121との間に配置される絶縁材の厚さを十分に確保することが可能(つまり、絶縁性を十分に確保することが可能)となるため、基板80の歩留まりを向上させることができる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、半導体基板の一方の面に形成されると共に、半導体基板と絶縁されたパッドと、パッドと対向する部分の半導体基板に形成され、一方の端部がパッドと接続されると共に、半導体基板と絶縁された貫通電極とを有する基板の製造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】従来の基板の断面図である。
【図2】従来の基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図3】従来の基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図4】従来の基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図5】従来の基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図6】従来の基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図7】従来の基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図8】従来の基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る基板の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その8)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その9)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その10)である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その11)である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その12)である。
【図22】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その13)である。
【図23】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その14)である。
【図24】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その15)である。
【図25】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その16)である。
【図26】図18に示す構造体の平面図である。
【図27】本発明の第2の実施の形態に係る基板の断面図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る基板の断面図である。
【図29】図27及び図28に示す基板を積層させた基板積層体の断面図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態に係る基板の断面図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図33】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図34】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図35】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図36】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図37】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図38】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その8)である。
【図39】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その9)である。
【図40】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その10)である。
【図41】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その11)である。
【図42】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その12)である。
【図43】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その13)である。
【図44】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その14)である。
【図45】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その15)である。
【図46】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その16)である。
【図47】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造工程を示す図(その17)である。
【符号の説明】
【0111】
10,60,70,80 基板
12 実装基板
13,32,33,83,115,116 パッド
15,61 半導体デバイス
16,22,62,71,93 絶縁部材
16A,32A,93A 上面
16B,93B 下面
17,92 貫通電極
18,84 外部接続端子
19 透光性部材
21,96 配線パターン
25,41,91,121 半導体基板
25A,41A,91A,121A 表面
25B,41B,91B,121B 裏面
25C 側面
27,65 デバイス本体
27A 受光部
28,66 電極パッド
31,126 貫通孔
34,117 配線
36,45A,47A,68,97A,113,124A,127A 開口部
43 金属膜
45,47,124,127 レジスト膜
49,111 貫通部
75 基板積層体
76 導電部材
81 電子部品
82 実装基板
95 絶縁膜
97 ソルダーレジスト
99,103 拡散防止膜
101 外部接続用パッド
116A 接続面
A 隙間
B,G 基板形成領域
C,H 切断位置
E 突出量
F 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の一方の面に設けられ、前記半導体基板と絶縁されたパッドと、前記パッドと対向する部分の前記半導体基板を貫通するように配置され、一方の端部が前記パッドと接続されると共に、前記半導体基板と絶縁された貫通電極と、を備えた基板の製造方法であって、
前記半導体基板に前記パッドの母材となる金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記パッドの形成領域に対応する部分の前記金属膜と対向する部分の前記半導体基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔に前記貫通電極を形成する貫通電極形成工程と、
前記半導体基板に前記貫通電極の側面を露出する貫通部を形成する貫通部形成工程と、
少なくとも前記貫通部を充填するように絶縁材を形成する絶縁材形成工程と、
前記絶縁材形成工程後に、前記金属膜をパターニングして前記パッドを形成するパッド形成工程と、を含むことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項2】
前記貫通電極形成工程では、前記金属膜を給電層とする電解めっき法により、前記貫通電極を形成することを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
【請求項3】
前記貫通電極は、複数設けられており、
前記貫通部形成工程では、少なくとも2つ以上の前記貫通電極の側面を露出するように前記貫通部を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の基板の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁材形成工程では、前記貫通部を充填すると共に、前記一方の面とは反対側に位置する前記半導体基板の他方の面を覆うように前記絶縁材を形成することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか一項記載の基板の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁材形成工程では、前記絶縁材を印刷法により形成することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか一項記載の基板の製造方法。
【請求項6】
前記貫通電極形成工程では、前記パッドと接続されていない側の前記貫通電極の端部が前記半導体基板の他方の面から突出するように前記貫通電極を形成することを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか一項記載の基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属膜形成工程の前に、前記半導体基板の一方の面に、前記パッドと電気的に接続される半導体デバイスを形成する半導体デバイス形成工程を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか一項記載の基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2009−105311(P2009−105311A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277438(P2007−277438)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】