基板上に一次元構造配列又はクロスバー構造を作製する方法
【課題】表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列又はクロスバー構造を容易に作製できる方法を提供する。
【解決手段】一次元構造配列又はナノクロスバー構造を基板上で、以下のようにして作製する。(i) 基板をセット;(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク5をセット;(iii) 前記基板上に、第一層を堆積させるための原料を供給; (iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動; (v) 前記基板上に、第二層を堆積させるための別の原料を供給;(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動;(vii) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチに達するまで、上記工程(iii)-(vi)を繰り返す。
【解決手段】一次元構造配列又はナノクロスバー構造を基板上で、以下のようにして作製する。(i) 基板をセット;(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク5をセット;(iii) 前記基板上に、第一層を堆積させるための原料を供給; (iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動; (v) 前記基板上に、第二層を堆積させるための別の原料を供給;(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動;(vii) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチに達するまで、上記工程(iii)-(vi)を繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に、一次元構造を密にかつ小さなピッチで配列させ、かつその一次元構造配列作製後の表面が滑らかに(又は平面的に)保たれる方法に関するものである。また、本発明は、上記一次元構造配列をデバイスへ応用する上で重要な、クロスバー構造の作製手法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
基板上に、密な一次元構造配列をパターニング又は作製する方法は、従来から幾つか知られており、例えば、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、ナノ印刷法等がある。
【0003】
クロスバー構造は、将来のコンピュータの基本構造として提案された(非特許文献1)。クロスバー構造は、最も単純な場合、交差した二つの配線(一次元構造の一種)とそれらの配線の交差点に挟まれた機能性物質とから成る。ここで、上記機能性物質は、二つの配線に、例えば、電位差パルスを適用することで、その状態が変更(オン/オフ状態:異なる抵抗)されるスイッチとして機能する(非特許文献2)。これは、例えば、情報の貯蔵又は情報のプロセシングに使うことができる。
更には、並行に配されるナノデバイスを作製するため、移動するシャドーマスクを利用することは、以前に行なわれていた(非特許文献3〜6)。
【0004】
【非特許文献1】Heath, J. R. et al: Science, 1998, 280, (5370), 1716-1721.
【非特許文献2】Collier, C. P. et al: Science, 1999, 285, (5426), 391-394.
【非特許文献3】Ono, K. et al : Jpn. J. Appl. Phys. Part 1 - Regul. Pap. Short Notes Rev. Pap., 1996, 35, (4A), 2369-2371.
【非特許文献4】Deshmukh, M. M. et al: Appl. Phys. Lett., 1999, 75, (11), 1631-1633.
【非特許文献5】Luthi, R. et al: Appl. Phys. Lett., 1999, 75, (9), 1314-1316.
【非特許文献6】Egger, S. et al: Nano Lett., 2005, 5, (1), 15-20.
【非特許文献7】Egger, S. et al: J. Comb. Chem., 2006, 8, (3), 275-279.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のパターニング方法によっては、平面的かつナノサイズの(小さいピッチの)一次元構造配列及びクロスバー構造を作製することは非常に難しく、あるいは不可能であった。本発明の目的は、表面が滑らか(又は平面的な)でかつ密に並んだ一次元構造配列又はクロスバー構造を容易に作製できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明の要約〕
上記目的を達成するために、本発明者らは、基板(基質;substrate)に近接させた移動可能なシャドーマスクを用いて、小ピッチの一次元構造配列をつくる新しい戦略に思い至り、以下の発明を完成することに成功した。
すなわち、本発明の第一(第1の発明)は、表面を滑らか若しくは平面的な状態に保ったまま、密な一次元構造配列を基板上に作製する方法であって、以下の工程を含む作製方法(図3〜6参照)である。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii) 前記基板上に、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、所定厚みの第一層を堆積させるために、原料物質供給源から原料を供給する;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u1(uはdよりも小さい)だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(逆に、シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい);なお、シャドーマスクの移動方向は、スリットの長さ方向に対する直角方向ばかりでなく、スリット長さ方向への多少の移動と合わせて行なうことも任意にできる(以下、同様)。
(v) 前記基板上に、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、所定厚みの第二層を堆積させるために、原料物質供給源から別の原料を供給する;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との並行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u2だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(vii) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(vi)を繰り返す。
【0007】
本発明の第二(第2の発明)は、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保れた、密な一次元構造配列を、基板上に作製する方法(原料供給源は、三つ又はそれ以上の成分を形成するために、三つ又はそれ以上の異なる原料から成る。図1参照)であって、以下の工程を含む作製方法である。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii)原料物質供給源から原料を供給し、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、前記基板上に所定厚みの第一層を堆積させる;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u1(uはdよりも小さい)だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(v)原料物質供給源から、別の原料を供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した所定厚みの第二層を堆積させる;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との並行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u2だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(vii)原料物質供給源から、n(n:整数)番目の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第n層を堆積させる;
(viii) 前記シャドーマスクを、前記基板との並行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/un(u/unはdよりも小さい)だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(ix) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(viii)を繰り返す。
【0008】
本発明の第三(第3の発明)は、次の工程を含むクロスバー構造の作製方法(図9−11参照)である。
(1)上記いずれかの方法によって、基板上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を作製する;
(2)所定の形状の開口部を有するシャドーマスクを用いて、前記一次元構造配列の上に機能層を堆積させる;
(3)スリットの長さ方向が、上記工程(1)で用いたスリットの長さ方向に対して直角方向であるシャドーマスクを用いる以外は、上記工程(1)と同様な方法で、前記機能層上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた、密な一次元構造配列を作製する;
【発明の効果】
【0009】
第一の発明方法は、次のような利点がある。
a)最終構造の線幅(w)は、非常に小さい。250nm以下にすることができ、作製条件を最適化すれば、5nm以下の構造をつくることも可能である。線幅(w)は、開口部(スリット)の幅(D)よりも小さく選べる。
b)作製した一次元配列構造の表面は、最終的に滑らかである。
c)位置合わせが正確に行なわれれば、最終構造の表面は多くの一次元構造を考慮しても平面的である(図5参照)。
d)本発明方法は、いろいろな材料(金属、合金、半導体及び絶縁体)からなる構造の作製に応用できる。ガス状ビームを形成でき、このビームが固体表面に凝縮可能ならば、一つの材料でもよい。ガス状ビームを形成させるため、多くの型の材料源、例えば、熱蒸発器(thermal evaporators)、スパッター源(sputter sources)、パルスレーザ堆積源(pulsed laser deposition sources)、パルスバルブ源(pulsed valve sources)、イオンビーム源(ion beam sources)、スプレー源(spray sources)などが使える。
e)作製工程の間、基板やシャドーマスクは加熱も冷却もできる。また、基板やシャドーマスクの温度は各々独立に制御できる。
f)本発明方法は、いろいろな基板に応用できる。滑らかな構造の作製のためには、滑らかな表面をもつ基板が好ましい。その作製には機械的応力がかる工程がないので、機械的に脆い基板も使うことができる。その作製工程中、基板は溶剤やレジストに晒されることがないので、化学的感受性のある、あるいは多孔質性の基板も容易に使うことができる。
g)本発明方法は、僅かな数の工程を要するのみである。このことは、デバイスを発展させ、作製コストを安くする。
h)本発明方法は、十分に制御された環境でなされうる。汚染によるデバイス実行上の好ましからぬ影響は避けられる。
i)本発明方法は、数多くの構造を並行して作製するためにも用いることができる。
【0010】
第二の発明方法は、次のような利点がある。
上記第一の発明方法における利点は、この第二の発明方法についても全て当てはまる。
・ 特に重要な点は工程数が少ないことで、材料が増えても追加の工程数は少ない。
・2よりも多くの材料を用いれば、作製方法を更に最適化することができ、例えば、異なる層の界面特性を改善でき、例えば、妥当な格子定数及び結合定数を選ぶことができ、あるいは、拡散障壁を設けることができる。
【0011】
第三の発明方法は、次のような利点がある。
上記第一及び第二の発明方法における利点は、この第三の発明方法についても全て当てはまる。この第三の発明方法に特徴的な応用について記述する。第三の発明方法の利点は以下の通りである。
a)一次元構造配列における小さな配列ピッチ(p)は、非常に高密度のクロスバー構造の作製を可能にする。
b)一次元構造配列の表面は、滑らかである。それゆえ、機能層及び頂部の一次元構造配列に歪みを生じることが少ない。
c)本発明方法は、いろいろな材料(金属、合金、半導体及び絶縁体)からなる構造の作製に応用できる。機能層を考えると、種々の応用に可能な適切な機能層の研究は進行中であり、本発明における材料選択の柔軟性は重要性を増すことになる。
d)作製工程の間、基板やシャドーマスクは加熱も冷却もできる。また、基板やシャドーマスクの温度は各々独立に制御できる。
e)本発明方法は、いろいろな種類の基板に応用できる。
f)本発明方法は、比較的僅かな数の工程を要するのみである。
g)本発明方法は、十分に制御された環境でなされうる。
h)本発明方法は、数多くの構造を並行的に作製するためにも用いることができる。
【発明の実施の形態】
【0012】
本発明方法(第一、第二及び第三の方法)について、図面を参照しながら、更に詳しく説明する(製造装置の一例は、非特許文献6、7にも記載されている)。
図1は、本発明方法で使用される典型的な反応室(製造装置)の模式的縦断面図である。少なくとも2種の独立した材料源(1a,1b)をもつ蒸発源アセンブリ(1)は、少なくとも2種の異なるガスビームを発生させる。
シャドーマスク(5)は、基板の表面に平行に、かつ基板に近接して置かれる。シャドーマスクと基板は、材料ビーム(4)に晒される。高精度の機械駆動装置を備えることで、基板(固定)に対してマスクを移動させることができる(マスクを固定させ基板を移動させてもよい)。シャドーマスク(5)における開口部形状(6)は、基板(7)上で作製される構造物(8)の横の幾何学的形状を決定する。
これらの大きさの典型的な値は次の通り。例えば、原料源のサイズ(s)は2mm、原料源とマスク間の距離(a)は20cm、マスクと基板間の距離(b)は約1μmである。これらの値によって境界領域の幅(q = s b / a)は決まるが、要求に応じて変えることは可能である。
原料ガスを熱放射させるときの温度変化を補償するために、追加的な可変熱ラジエータ(20)を用いてもよい。これにより、温度変化による位置合わせの誤差を最小にすることができる。
この作製方法は、いろいろな種類の基板に応用できる。基板(7)としては、例えば、シリコン、酸化シリコン、シリコンナイトライド、サファイア、金属等のよく知られた基板がある。それらに加えて、作製に機械的応力がかかる工程がないため、機械的に脆い薄膜のような基板も使える。その作製工程で基板は溶剤やレジストに晒されないため、化学的に感受性のある基板(例えば、ハロゲン化物)や多孔性基板も容易に用いることができる。
【0013】
使用可能な材料源又は材料源供給源(1/1a/1b)としては、熱蒸発器(thermal evaporator)、スパッター源(sputter source)、イオン源(ion sources)、パルスレーザ堆積源(pulsed laser deposition source)、パルスバルブ源(pulsed valve source)、スプレー源(spray sources)、又はその他の種類の材料源が使える。更には、構造の修飾・改質(例えば、有機物質の高分子化)のために電子やフォトン等が使える。
【0014】
材料源は、一般的には、異なる物質を堆積させるため、数種類の成分(1a/1b/…)から成っている。典型的な場合では、材料源は二成分(1a/1b)であり、そのうちの一つは導体用としてのガス物質であり、もう一つは絶縁体用としてのガス物質である
【0015】
反応室(12)としては、真空室が好ましい。クリーンなものを作製するためには、圧力10−7 以下の超高度真空室(UHV)が最も好ましく使われるが、これより少し高い真空度でも充分である。シャドーマスクを通すことを想定した蒸発のために重要なことは、原子/分子の平均自由移動距離(mean free path)が原料源−基板間の距離(a+b、つまりa)よりも小さくないことである。0.1 Paの圧力の場合、原子/分子の平均自由移動距離は約40cmであり、これは充分な値である。仮に、原子/分子の平均自由移動距離が原料源−基板間の距離よりも小さいとすると、ビーム粒子の衝突が拡散ビームを引き起こし、その結果、最終構造がぼやけて精度が失われる。
【0016】
シャドーマスク(5)は、通常、穴(開口部)のある薄い膜でできている。その開口部がスリットであり、スリットは直線的であっても曲線的であってもよい。開口部は種々の技術(例えば、収束イオンビーム(FIB)、電子ビームリソグラフィー、フォトリソグラフィー等)によってつくることができる。スリットをもつシャドーマスクの2例を図2に示した。表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を作製するためには、スリット幅(d)は20nm〜1μmが好ましく、スリットピッチ(f)は100nm〜10μmが好ましい。
基板(固定)に対するシャドーマスクの所定の移動距離(その逆でも同じ)(u1,u2)は、基板上の一次元構造配列の線幅(w1,w2)を決めるものであり、これはスリット幅(d)よりも小さくなければならない。好ましくは、5nm〜250nmである。
シャドーマスクと基板間の距離bは、好ましくは100nm〜10μmである。
ライン束は、図3に示すように、横に部分的にオーバーラップさせながら作製される。オーバーラップさせながら微細構造を形成する手法は、比較的大きな開口部の使用を可能とし、したがって開口部(又はスリット)の目詰まりの問題を減少させることに貢献している。
望みもしない構造断片の堆積を避けるために、第1のシャドーマスクの開口部又は閉止部に、もっと大きな開口部をもつ第2のシャドーマスクを組み合わせて使ってもよい。
基板及び/又はシャドーマスクは、加熱することも冷却することも可能である。薄膜及び表面科学でよく知られているように、堆積する物質(あるいは堆積物質と基板との組み合わせ)によっては、温度制御によって薄膜又は界面の品質を改善できる。温度制御は、シャドーマスクの目詰まりの防止(又は遅延)にも役立つ。
【0017】
図3及び図1を参照しながら、次に、第一の発明方法に従って一次元構造配列の作製工程を説明する。なお、図3の例は、サンプル(基板)を固定し、シャドーマスクを移動させたものである。
基板を反応室にセットする。シャドーマスクはスリット開口部を有している(シャドーマスクのレイアウト2例を図2のA、Bに示す)(スリットの方向は断面に対して垂直である)。
二つの異なる物質のために二つの材料供給源が使われる。一つは、導電体(供給源1aによる堆積)であり、他の一つは絶縁体(供給源1bによる堆積)である。そして、基板は絶縁体である。
シャドーマスクは基板表面に近接して配置させている(典型的には、1μm以下の距離)。
<作製>
(i) 第1の材料供給源(1a)を活性化し、ここから物質のガス状ビームを発生させる。発生したガス状ビームの一部は、シャドーマスク(5)の開口部を通過し、そして基板表面に堆積する。これにより、構造要素の第1の層が形成される(8a’,8a’’、図3(A))。
この構造要素の水平方向の形状はシャドーマスク(5)の開口部によって決まり、その厚みは処理時間によって決まる(材料供給源から生じる物質の放出速度が一定の場合)。
(ii) シャドーマスクを、基板表面に平行に、スリットの長さ方向と垂直な方向に所定距離u1だけ移動させる。ここで、このシャドーマスクの移動は、上記移動(u1)と共にするスリット長さ方向への移動v1であっても構わない。
(iii) 第2の材料供給源(1b)を活性化し、図3(B)に示すように、頂部に第2の層が形成される(8b’,8b’’)。
(iv) シャドーマスクを、基板表面に平行に、スリットの長さ方向と垂直な方向に所定距離u2だけ移動させる。ここで、このシャドーマスクの移動は、上記移動(u2)と共にするスリット長さ方向への移動v2を含んでも構わない。
スリットの長さ方向と垂直な方向への(シャドーマスクの)総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(i)〜(iv)を数回繰り返す。(図3(C)及び図4には、第11の構造層が示されている)。出来上がりの構造を図5に示す。
【0018】
<作製についてのいくつかの追加事項>
長いラインを作製する場合には、図2(B)に示すようなスリット開口部をもつシャドーマスクを使うことが好ましい。スリットが長すぎるとシャドーマスクが脆くなるので、それを避けるために考えたものである。これを用いるとき、各々の構造要素は2工程でつくる。各工程のあいだに、スリットの方向に沿ってシャドーマスクを移動させるのである(図2(B)において、点線が第2段階におけるスリットの位置を示している)。
熱膨張による誤差を避けるため、シャドーマスク及びサンプル(基板)上への熱放射は、一定に保つことが好ましい。このため、総電源を一定の水準に保つ付加的熱放射が好ましく用いられる。
作製速度を上げるために、全ての材料源を常に「操作中」の状態に維持しておくことができるが、使わない材料ビームについてはシャッターを用いて阻止しておく必要がある。
材料の供給源は機械的駆動系によって移動できる。これは、シャドーマスクを通して基板上に作製される構造の位置が、使用する供給源を変更しても一定となるように、中心軸をあわせるためである。
【0019】
<作製された構造物についての記述>
図5及び図6で示した最終構造物の性状は、次の通り。
その構造物は、導電体(図5や図6では、暗灰色)と絶縁体(図5や図6では、明灰色)とから成っている。全ての導電層は互いに絶縁体で隔離されている。この構造要素の幅D(図6(A)参照)は、シャドーマスクのスリット幅dにほぼ等しいものである。
その構造物の表面は、見掛け線幅w1の導電性物質と見掛け線幅w2の絶縁性物質とが交互に並んだ一次元構造配列となる。上記線幅w1, w2は作製(w1すなわちu1、w2すなわちu2)のあいだのシャドーマスクの位置取りによって決まり、したがって、構造要素の幅Dよりもずっと小さな値を選ぶことができ、境界領域のq1,q2よりも小さいものである。線ピッチpは(w1とw2の合計)は10nm以下にもできる。
構造表面のトポグラフィーは滑らかである。導電体の一次元構造及び絶縁体の一次元構造の表面は同一平面にある(ただし、初期に作製される一次元構造は除く)。滑らかなトポグラフィーは、もし位置取りが最適に選ばれるなら、異なるシャドーマスクの開口部でつくられる構造部分の上に達することができる。これは図5に示されていて、最初のスリット開口部(8a’,8b’,8c’,等)を用いてつくられたものと、2番目のスリット開口部(8a’,8b’,8c’,等)を用いてつくられたものとを互いに繋いだものである。
【0020】
2種の異なるガス物質源(1a/1b)に代えて、3種又はそれ以上のガス物質源(1a/1b/1c/…)を用いることができ、上記操作を同様に行なうことができる。詳細は省略するが、これが本願第2の発明方法である。
【0021】
次に第3の発明方法、すなわち、クロスバー構造の作製方法を説明する(図9〜11参照)。クロスバー構造は、二つの互いに交差する一次元構造配列とそれらのあいだの機能層とから成る。一次元構造配列の作製は、上で述べた方法と同様にしてなされるので、詳しい記述は省略する。
基板を反応室にセットする。シャドーマスク(5)は3種類の開口部(可能なレイアウトを図8の(I)に示した)、すなわち、(1)図8(I)Aに示されるような一方向に並んだ平行なスリットと、(2)図8(I)Bに示されるような四角形の開口部と、(3)図8(I)Cに示されるような第二の方向(好ましくは、第一の方向とは垂直な方向)に並んだ平行なスリット、とを持っている。
種々の材料の供給源(組立)(1)は、少なくとも一次元構造配列用の二つの材料源と、機能物質用の少なくとも一つの材料源とから成る。電気絶縁体である基板を反応室にセットする。同様な装置(図1参照)を再び使う。シャドーマスクを基板表面に近接して(典型的には1μm程度)置く。
【0022】
クロスバー構造の作製は、次の3ステップで行なわれる。
(1)上記いずれかの方法(第一又は第二の発明方法)によって、基板上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保れた密な一次元構造配列を作製する。この際、図8(A)に示すような第1の型の開口部を用いる。一次元構造配列作製の間、先に述べたようにして、マスクを段階的に移動する。サンプル(基板)に対するシャドーマスクの平均的位置をここではP1とする(図9参照)。
(2)シャドーマスクをP2の位置に移動させる。上記一次元構造配列の上に機能層を堆積させる(図9参照)。
(3)前記機能層の上に第2の一次元構造配列を形成させる。サンプル(基板)に対するシャドーマスクの平均的位置をP3とする(図9参照)。
得られる最終構造を図10及び図11に示す。これは、上述した三つの部分、すなわち、第一の一次元構造配列(13)、機能層(14)及び第二の一次元構造配列(15)である。一次元構造配列は、導電体(17)及び絶縁体(16)から成る。クロスバー構造の場合は、通常、機能層は導電ワイヤのあいだにサンドイッチされる。このクロスバー・デバイスは、多数の水平な線×多数の垂直な線の、二つの末端サブ・デバイスから成り、これらは一つの水平ワイヤ及び一つの垂直ワイヤに各々連結されている。このようなデバイスの一スキームが図14に示されている。
【0023】
電気的接続を容易にするために、末端Rでの線の間隔は、ピッチpよりも大きめに選ぶことができる(図11参照)。これは、線方向に沿って距離v1,v2だけ余計に移動させることによってなされる。
もし必要なら、短絡を避けるために絶縁体の線の長さL2を導電体の線の長さL1よりも長くつくることができる。
【0024】
クロスバー・デバイスは、大抵の場合、少なくとも二つの(準)安定状態を有する機能性物質を必要とする。幾つかの種類の効果が、このような性質をもたらす。本願明細書に書かれている作製方法は、一つの特異的効果又は一つの特異的物質に限定されない。潜在的に可能なシステムのリストをここに示せば以下の通り(全てではない)。
機能性物質は次のものの単層又は多層からなる。
・有機物質(分子スイッチ)
・光発生物質
・イオン性導電体(原子スイッチ用)
・強誘電物質
・磁性物質
・金属、半導体、絶縁体の追加層
・このような機能性物質の組み合わせ
一次元構造配列の構成は、金属導電体(電子導電性)に代えて、他のタイプの導電体(スピン導電体、磁気抵抗性導電体、イオン導電体、等)で構成することもできる。
【0025】
クロスバー構造の上記作製例では、全ての構造要素は反応室(図1)でつくられた。しかし、クロスバー構造作製のプロセスはこれに限定されず、以下のようなプロセスも可能である。
(1)最初の一次元構造配列は、上述のように、反応室でつくる。
(2)機能層は、異なる作製方法、例えば、標準的なリソグラフィー技術、接触印刷技術(contact imprint)又は自己凝集(self assembly)を用いて付加する。これを行なうために、サンプル(基板)を選択した方法に適うように反応室12の外側に移される。われわれの一次元構造配列の滑らかな表面は、いろいろな技術で、機能層を追加できるのに適していると期待される。
(3)最後に、サンプルは、再び反応室12の中に置かれ、機能層の上に第二の一次元構造配列がつくられる。このシャドーマスク作製方法は非常に穏やかなので、大抵の場合機能性物質は、ダメージを受けない。
【0026】
機能性物質作製のための開口部は、図8(I)に示した四角形状と異なるものであってもよい。別の形を図8(II)に示すが、これは円形の穴を2次元的に整列させたものであって、これを機能性物質の作製に利用する。この開口部は、機能性物質を作製する間は、この領域の大部分をカバーするために、(横に)動かすことができる。図8(I)に示した四角形状の開口部に比べ、この型の開口部の利点は、(i)大きな開口部が避けられること(開口部が大きいと、シャドーマスク膜が弱くなる。)、(ii)横方向に機能層を構築すると機能層の性状が改善される(例えば、リーク電流を減少させる)であろうこと、である。
クロスバー構造(二つの互いに交差する一次元構造配列とその間の機能物質からなる)の異なる成分のための三つの異なる型の開口部は、別々のシャドーマスク上に形成することもできる。この場合、シャドーマスクが単純になり、もっと密なパターニングを可能とし、不必要な構造要素の作製が避けられるであろう。
不必要な構造要素の作製を防止するために、更に大きな開口パターンを追加したシャドーマスクを使うこともできる。
【0027】
我々は、密な一次元構造配列(クロスバー構造ではない)の他の応用を以下のように例示できる。
・電気的堆積(絶縁された異なる線に異なる電圧を掛ける)における鋳型
・ナノ印刷用の刻印(例えば、疎水性及び親水性の線を用いる)
・光、エックス線、ニューロン又は電子用のグレーティング
・ナノ物質(例えば、ナノ物質成長の触媒として作用する物質を用いるとき)
・センサー
・磁性デバイス、スピントロニクス
【実施例】
【0028】
実施例1
<一次元構造配列の作製>
我々は、図1に示した装置を用いて、部分的に完成した一次元構造配列(図3C及び図4に示した構造に類似したもの)を作製した。
用いた仕組み及び構造作製の手順の詳細:
反応室12は、ベース圧力が10−7 (Pa)以下の超真空系である。
この仕組みでは、構造作製の間、シャドーマスクを固定し、サンプル(基板)を移動させた。
作製を始める前に粗く整列させるため、自家製の慣性滑動部材及びインチワーム(UHVL-025, Burleigh Instruments, USA)を使った。シャドーマスクと基板とを正確に平行配置させる作業は、自家製の慣性滑動部材傾斜ステージを用いて行なった。角度の差は、反射したレーザー光線の角度の差によって検出した。
構造作製の間の基板の精密な位置合わせのためには、容量型位置センサ(P-733.2UD, PI, Germany)を備えたステージを用いた。
材料供給源1は、4つの異なる物質に対処できる熱蒸発器(電子ビーム加熱)(EGC04, Oxford Applied Research, UK;市販品が入手可能)である。その材料供給(組立)源は、中心軸における活性な物質源の位置合わせのために、自家製の物質源整列装置(二つのステッピングモータによって駆動される)の上に載せられた。物質供給速度(すなわち、単位時間当たりの生成膜厚)は、水晶振動子(XTM/2, Inficon, U.S.A)を用いて測定した。
【0029】
シャドーマスク5は、厚み100μmのシリコン枠で支持された厚み200nmの窒化珪素膜である。類似の膜は市販品が入手でき、例えば、TEMメッシュとして用いた。上記膜は、クロム(2nm)及び金(30nm)でコートされている。開口部は、収束イオンビーム(FIB)を用いてカットされた(図12参照)。そのスリット幅dは約250nmであった。そのスリット長さLは5μmであり、スリットピッチfは1μmであった。
その窒化珪素膜はFIB処理ののちにその性質を調べた。図12は、収束イオンビーム(FIB)を用いて開口部をカットしたあとの窒化珪素膜の一部の像を示す。上記像は、FIB加工直後に同じ装置のイメージングモードで記録した。
基板7は、PdAu(20nm)で被覆されたシリコン上の窒化珪素(70nm)を用いた。非接触型原子間力顕微鏡(nc−AFM)及び電子顕微鏡(SEM)による特性評価中の帯電の問題を避けるために、サンプルを導電性PdAuで被覆した。デバイスへ応用する機能層の構造としては、絶縁性基板が要求されるであろう。
【0030】
・基板に対するシャドーマスクの移動距離(u1及びu2)は50nmとした。
・(図1参照の)距離a=20cm, 距離b=約3μm
・堆積物質8:CuとCaF2
・ルツボ材料:Cuに対してはMo、CaF2に対してはTa
・原料開口部のサイズ(ルツボの開口)s=4mm
・蒸発速度:両物質に対して約0.3nm/分
・Cuの熱蒸発時の電力:34W(0.8kV,42mA)
・CuF2の熱蒸時の電力:24W(0.8kV,30mA)
・蒸発の間の圧力:10−6Pa
【0031】
蒸発時に印加する電力は、熱輻射を通じてシャドーマスクの温度の上昇を起こす。
電力変化は温度変化によるマスク位置の熱ドリフトを招く。熱ドリフトの問題を最小にするためには、異なる物質に対しても加熱時電力を同程度に設定する必要があった。(可能な改良は、更に赤外線放射―これは図1に20で示した―を用いて温度変化分を補償することである。)
【0032】
<構造の特性評価>
作製された構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)(図13の主要部に示されている)及びKelvinプローブ顕微鏡(KPM)を用いて評価した。KPMは、表面電位の測定(図13中の挿入図(A)に示すように)と同時に、そのトポグラフィー(表面特徴)の測定を可能にするものである(図13中の挿入図(B)に示すように)。これらのデータは、本願発明の実現可能性の証拠を提供するものである。(i)線の束は、理論的に期待されるように(図3(C)参照)表面形状(曲線B)を有する。(ii)絶縁体線と導電体線とは、接触電位スキャンにおけるコントラスト(曲線A)が示すように、その境界がよく定められている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明方法で使用される典型的な反応室を示す模式的縦断面図。
【図2】一次元構造配列の作製のためのシャドーマスクの例を上から見た図(平面図)。
【図3】一次元構造配列の作製を説明する断面図で、(A)は第一層目、(B)は第二層目、(C)は第九層目、の作製を説明するもの。
【図4】図3(C)に示した第九層目を作製後の(部分的に終えた)一次元構造配列の平面図。
【図5】作製を完了した一次元構造配列の、(A)は断面図、(B)は平面図。
【図6】図5の部分拡大図。
【図7】誤差のある線スリットで作製された一次元構造配列の模式的平面図(誤差は誇張して表示した)。
【0034】
【図8】クロスバー構造の作製のためのシャドーマスク配置の二例(I及びII)を示す平面図。
【図9】クロスバー構造の異なる要素を作製するためのマスクの位置合わせを説明する平面図。クロスバー構造の位置は、点線の円で示した。P0:スタンバイの状態(材料源のウォームアップ)、P1:底部の一次元構造配列の作製のためのマスク位置、P2:機能性材料の作製のためのマスク位置、P3:頂部の一次元構造配列の作製のためのマスク位置。
【図10】クロスバー構造の一例の平面図。
【図11】図10の(A)及び(B)部分の拡大図。
【図12】収束イオンビーム(FIB)を用いて穿口した後の窒化珪素膜の一部の像。像はFIB装置のイメージングモードによって記録したもの。
【図13】本発明方法で作製された一次元構造配列のプロトタイプの構造をex-situで記録した電子顕微鏡像。差込図は、作製後にin-situで記録されたKelvinプローブスキャンで、(A)は接触電位、(B)はトポグラフィー。
【図14】本発明方法を使って作製可能な、クロスバー構造を含む特異的分子デバイスの模式的断面図。
【符号の説明】
【0035】
1: 種々の材料の蒸発源アセンブリ
1a: 第一の材料源
1b: 第二の材料源
4: 材料ビーム
5: シャドーマスク
6: 開口部
7: 基板
8: 作製された構造
8a’、8a’’ 、8a’’’ 、…、8a(m)’: 第一の堆積工程で作製された構造
8b’ 、8b’’ 、8b’’’ 、…、8b(m)’: 第二の堆積工程で作製された構造
8c’ 、8c’’ 、8c’’’ 、…、8c(m)’: 第三の堆積工程で作製された構造
8n’ 、8n’’ 、8n’’’ 、…、8n(m)’’’: 第nの堆積工程で作製された構造
12: 反応室
13: 底部の一次元構造配列
14: 機能性材料
15: 頂部の一次元構造配列
16: 絶縁体
17: 導電体
20: 放射ヒーター
【0036】
s: 材料供給源の直径
a: 材料供給源からマスクまでの距離
b: マスクから基板までの距離
q,q1,q2: 構造物の境界部分
d: 開口部(スリット)の幅
D: 構造物の幅(全幅半最大)
f: 開口部(スリット)間の距離(ピッチ)
L: 開口部(スリット)の長さ
p: 一次元構造配列のピッチ
w1,w2: 表面上の有効ライン幅
t1,t2: 層の厚み
R: 線端における導電体間の距離
E: 構造形態上の誤差
u,u1,u2: スリットの長さ方向に直交する横方向の、サンプル(基板)に対するシャドーマスクの変位
v,v1,v2: スリットの長さ方向に平行な横方向の、サンプル(基板)に対するシャドーマスクの変位
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に、一次元構造を密にかつ小さなピッチで配列させ、かつその一次元構造配列作製後の表面が滑らかに(又は平面的に)保たれる方法に関するものである。また、本発明は、上記一次元構造配列をデバイスへ応用する上で重要な、クロスバー構造の作製手法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
基板上に、密な一次元構造配列をパターニング又は作製する方法は、従来から幾つか知られており、例えば、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、ナノ印刷法等がある。
【0003】
クロスバー構造は、将来のコンピュータの基本構造として提案された(非特許文献1)。クロスバー構造は、最も単純な場合、交差した二つの配線(一次元構造の一種)とそれらの配線の交差点に挟まれた機能性物質とから成る。ここで、上記機能性物質は、二つの配線に、例えば、電位差パルスを適用することで、その状態が変更(オン/オフ状態:異なる抵抗)されるスイッチとして機能する(非特許文献2)。これは、例えば、情報の貯蔵又は情報のプロセシングに使うことができる。
更には、並行に配されるナノデバイスを作製するため、移動するシャドーマスクを利用することは、以前に行なわれていた(非特許文献3〜6)。
【0004】
【非特許文献1】Heath, J. R. et al: Science, 1998, 280, (5370), 1716-1721.
【非特許文献2】Collier, C. P. et al: Science, 1999, 285, (5426), 391-394.
【非特許文献3】Ono, K. et al : Jpn. J. Appl. Phys. Part 1 - Regul. Pap. Short Notes Rev. Pap., 1996, 35, (4A), 2369-2371.
【非特許文献4】Deshmukh, M. M. et al: Appl. Phys. Lett., 1999, 75, (11), 1631-1633.
【非特許文献5】Luthi, R. et al: Appl. Phys. Lett., 1999, 75, (9), 1314-1316.
【非特許文献6】Egger, S. et al: Nano Lett., 2005, 5, (1), 15-20.
【非特許文献7】Egger, S. et al: J. Comb. Chem., 2006, 8, (3), 275-279.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のパターニング方法によっては、平面的かつナノサイズの(小さいピッチの)一次元構造配列及びクロスバー構造を作製することは非常に難しく、あるいは不可能であった。本発明の目的は、表面が滑らか(又は平面的な)でかつ密に並んだ一次元構造配列又はクロスバー構造を容易に作製できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明の要約〕
上記目的を達成するために、本発明者らは、基板(基質;substrate)に近接させた移動可能なシャドーマスクを用いて、小ピッチの一次元構造配列をつくる新しい戦略に思い至り、以下の発明を完成することに成功した。
すなわち、本発明の第一(第1の発明)は、表面を滑らか若しくは平面的な状態に保ったまま、密な一次元構造配列を基板上に作製する方法であって、以下の工程を含む作製方法(図3〜6参照)である。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii) 前記基板上に、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、所定厚みの第一層を堆積させるために、原料物質供給源から原料を供給する;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u1(uはdよりも小さい)だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(逆に、シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい);なお、シャドーマスクの移動方向は、スリットの長さ方向に対する直角方向ばかりでなく、スリット長さ方向への多少の移動と合わせて行なうことも任意にできる(以下、同様)。
(v) 前記基板上に、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、所定厚みの第二層を堆積させるために、原料物質供給源から別の原料を供給する;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との並行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u2だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(vii) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(vi)を繰り返す。
【0007】
本発明の第二(第2の発明)は、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保れた、密な一次元構造配列を、基板上に作製する方法(原料供給源は、三つ又はそれ以上の成分を形成するために、三つ又はそれ以上の異なる原料から成る。図1参照)であって、以下の工程を含む作製方法である。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii)原料物質供給源から原料を供給し、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、前記基板上に所定厚みの第一層を堆積させる;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u1(uはdよりも小さい)だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(v)原料物質供給源から、別の原料を供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した所定厚みの第二層を堆積させる;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との並行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/u2だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(vii)原料物質供給源から、n(n:整数)番目の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第n層を堆積させる;
(viii) 前記シャドーマスクを、前記基板との並行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離u/un(u/unはdよりも小さい)だけ、前記スリットの長さ方向に対して直角な方向に移動する(シャドーマスクに対して基板を移動させてもよい)。
(ix) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(viii)を繰り返す。
【0008】
本発明の第三(第3の発明)は、次の工程を含むクロスバー構造の作製方法(図9−11参照)である。
(1)上記いずれかの方法によって、基板上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を作製する;
(2)所定の形状の開口部を有するシャドーマスクを用いて、前記一次元構造配列の上に機能層を堆積させる;
(3)スリットの長さ方向が、上記工程(1)で用いたスリットの長さ方向に対して直角方向であるシャドーマスクを用いる以外は、上記工程(1)と同様な方法で、前記機能層上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた、密な一次元構造配列を作製する;
【発明の効果】
【0009】
第一の発明方法は、次のような利点がある。
a)最終構造の線幅(w)は、非常に小さい。250nm以下にすることができ、作製条件を最適化すれば、5nm以下の構造をつくることも可能である。線幅(w)は、開口部(スリット)の幅(D)よりも小さく選べる。
b)作製した一次元配列構造の表面は、最終的に滑らかである。
c)位置合わせが正確に行なわれれば、最終構造の表面は多くの一次元構造を考慮しても平面的である(図5参照)。
d)本発明方法は、いろいろな材料(金属、合金、半導体及び絶縁体)からなる構造の作製に応用できる。ガス状ビームを形成でき、このビームが固体表面に凝縮可能ならば、一つの材料でもよい。ガス状ビームを形成させるため、多くの型の材料源、例えば、熱蒸発器(thermal evaporators)、スパッター源(sputter sources)、パルスレーザ堆積源(pulsed laser deposition sources)、パルスバルブ源(pulsed valve sources)、イオンビーム源(ion beam sources)、スプレー源(spray sources)などが使える。
e)作製工程の間、基板やシャドーマスクは加熱も冷却もできる。また、基板やシャドーマスクの温度は各々独立に制御できる。
f)本発明方法は、いろいろな基板に応用できる。滑らかな構造の作製のためには、滑らかな表面をもつ基板が好ましい。その作製には機械的応力がかる工程がないので、機械的に脆い基板も使うことができる。その作製工程中、基板は溶剤やレジストに晒されることがないので、化学的感受性のある、あるいは多孔質性の基板も容易に使うことができる。
g)本発明方法は、僅かな数の工程を要するのみである。このことは、デバイスを発展させ、作製コストを安くする。
h)本発明方法は、十分に制御された環境でなされうる。汚染によるデバイス実行上の好ましからぬ影響は避けられる。
i)本発明方法は、数多くの構造を並行して作製するためにも用いることができる。
【0010】
第二の発明方法は、次のような利点がある。
上記第一の発明方法における利点は、この第二の発明方法についても全て当てはまる。
・ 特に重要な点は工程数が少ないことで、材料が増えても追加の工程数は少ない。
・2よりも多くの材料を用いれば、作製方法を更に最適化することができ、例えば、異なる層の界面特性を改善でき、例えば、妥当な格子定数及び結合定数を選ぶことができ、あるいは、拡散障壁を設けることができる。
【0011】
第三の発明方法は、次のような利点がある。
上記第一及び第二の発明方法における利点は、この第三の発明方法についても全て当てはまる。この第三の発明方法に特徴的な応用について記述する。第三の発明方法の利点は以下の通りである。
a)一次元構造配列における小さな配列ピッチ(p)は、非常に高密度のクロスバー構造の作製を可能にする。
b)一次元構造配列の表面は、滑らかである。それゆえ、機能層及び頂部の一次元構造配列に歪みを生じることが少ない。
c)本発明方法は、いろいろな材料(金属、合金、半導体及び絶縁体)からなる構造の作製に応用できる。機能層を考えると、種々の応用に可能な適切な機能層の研究は進行中であり、本発明における材料選択の柔軟性は重要性を増すことになる。
d)作製工程の間、基板やシャドーマスクは加熱も冷却もできる。また、基板やシャドーマスクの温度は各々独立に制御できる。
e)本発明方法は、いろいろな種類の基板に応用できる。
f)本発明方法は、比較的僅かな数の工程を要するのみである。
g)本発明方法は、十分に制御された環境でなされうる。
h)本発明方法は、数多くの構造を並行的に作製するためにも用いることができる。
【発明の実施の形態】
【0012】
本発明方法(第一、第二及び第三の方法)について、図面を参照しながら、更に詳しく説明する(製造装置の一例は、非特許文献6、7にも記載されている)。
図1は、本発明方法で使用される典型的な反応室(製造装置)の模式的縦断面図である。少なくとも2種の独立した材料源(1a,1b)をもつ蒸発源アセンブリ(1)は、少なくとも2種の異なるガスビームを発生させる。
シャドーマスク(5)は、基板の表面に平行に、かつ基板に近接して置かれる。シャドーマスクと基板は、材料ビーム(4)に晒される。高精度の機械駆動装置を備えることで、基板(固定)に対してマスクを移動させることができる(マスクを固定させ基板を移動させてもよい)。シャドーマスク(5)における開口部形状(6)は、基板(7)上で作製される構造物(8)の横の幾何学的形状を決定する。
これらの大きさの典型的な値は次の通り。例えば、原料源のサイズ(s)は2mm、原料源とマスク間の距離(a)は20cm、マスクと基板間の距離(b)は約1μmである。これらの値によって境界領域の幅(q = s b / a)は決まるが、要求に応じて変えることは可能である。
原料ガスを熱放射させるときの温度変化を補償するために、追加的な可変熱ラジエータ(20)を用いてもよい。これにより、温度変化による位置合わせの誤差を最小にすることができる。
この作製方法は、いろいろな種類の基板に応用できる。基板(7)としては、例えば、シリコン、酸化シリコン、シリコンナイトライド、サファイア、金属等のよく知られた基板がある。それらに加えて、作製に機械的応力がかかる工程がないため、機械的に脆い薄膜のような基板も使える。その作製工程で基板は溶剤やレジストに晒されないため、化学的に感受性のある基板(例えば、ハロゲン化物)や多孔性基板も容易に用いることができる。
【0013】
使用可能な材料源又は材料源供給源(1/1a/1b)としては、熱蒸発器(thermal evaporator)、スパッター源(sputter source)、イオン源(ion sources)、パルスレーザ堆積源(pulsed laser deposition source)、パルスバルブ源(pulsed valve source)、スプレー源(spray sources)、又はその他の種類の材料源が使える。更には、構造の修飾・改質(例えば、有機物質の高分子化)のために電子やフォトン等が使える。
【0014】
材料源は、一般的には、異なる物質を堆積させるため、数種類の成分(1a/1b/…)から成っている。典型的な場合では、材料源は二成分(1a/1b)であり、そのうちの一つは導体用としてのガス物質であり、もう一つは絶縁体用としてのガス物質である
【0015】
反応室(12)としては、真空室が好ましい。クリーンなものを作製するためには、圧力10−7 以下の超高度真空室(UHV)が最も好ましく使われるが、これより少し高い真空度でも充分である。シャドーマスクを通すことを想定した蒸発のために重要なことは、原子/分子の平均自由移動距離(mean free path)が原料源−基板間の距離(a+b、つまりa)よりも小さくないことである。0.1 Paの圧力の場合、原子/分子の平均自由移動距離は約40cmであり、これは充分な値である。仮に、原子/分子の平均自由移動距離が原料源−基板間の距離よりも小さいとすると、ビーム粒子の衝突が拡散ビームを引き起こし、その結果、最終構造がぼやけて精度が失われる。
【0016】
シャドーマスク(5)は、通常、穴(開口部)のある薄い膜でできている。その開口部がスリットであり、スリットは直線的であっても曲線的であってもよい。開口部は種々の技術(例えば、収束イオンビーム(FIB)、電子ビームリソグラフィー、フォトリソグラフィー等)によってつくることができる。スリットをもつシャドーマスクの2例を図2に示した。表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を作製するためには、スリット幅(d)は20nm〜1μmが好ましく、スリットピッチ(f)は100nm〜10μmが好ましい。
基板(固定)に対するシャドーマスクの所定の移動距離(その逆でも同じ)(u1,u2)は、基板上の一次元構造配列の線幅(w1,w2)を決めるものであり、これはスリット幅(d)よりも小さくなければならない。好ましくは、5nm〜250nmである。
シャドーマスクと基板間の距離bは、好ましくは100nm〜10μmである。
ライン束は、図3に示すように、横に部分的にオーバーラップさせながら作製される。オーバーラップさせながら微細構造を形成する手法は、比較的大きな開口部の使用を可能とし、したがって開口部(又はスリット)の目詰まりの問題を減少させることに貢献している。
望みもしない構造断片の堆積を避けるために、第1のシャドーマスクの開口部又は閉止部に、もっと大きな開口部をもつ第2のシャドーマスクを組み合わせて使ってもよい。
基板及び/又はシャドーマスクは、加熱することも冷却することも可能である。薄膜及び表面科学でよく知られているように、堆積する物質(あるいは堆積物質と基板との組み合わせ)によっては、温度制御によって薄膜又は界面の品質を改善できる。温度制御は、シャドーマスクの目詰まりの防止(又は遅延)にも役立つ。
【0017】
図3及び図1を参照しながら、次に、第一の発明方法に従って一次元構造配列の作製工程を説明する。なお、図3の例は、サンプル(基板)を固定し、シャドーマスクを移動させたものである。
基板を反応室にセットする。シャドーマスクはスリット開口部を有している(シャドーマスクのレイアウト2例を図2のA、Bに示す)(スリットの方向は断面に対して垂直である)。
二つの異なる物質のために二つの材料供給源が使われる。一つは、導電体(供給源1aによる堆積)であり、他の一つは絶縁体(供給源1bによる堆積)である。そして、基板は絶縁体である。
シャドーマスクは基板表面に近接して配置させている(典型的には、1μm以下の距離)。
<作製>
(i) 第1の材料供給源(1a)を活性化し、ここから物質のガス状ビームを発生させる。発生したガス状ビームの一部は、シャドーマスク(5)の開口部を通過し、そして基板表面に堆積する。これにより、構造要素の第1の層が形成される(8a’,8a’’、図3(A))。
この構造要素の水平方向の形状はシャドーマスク(5)の開口部によって決まり、その厚みは処理時間によって決まる(材料供給源から生じる物質の放出速度が一定の場合)。
(ii) シャドーマスクを、基板表面に平行に、スリットの長さ方向と垂直な方向に所定距離u1だけ移動させる。ここで、このシャドーマスクの移動は、上記移動(u1)と共にするスリット長さ方向への移動v1であっても構わない。
(iii) 第2の材料供給源(1b)を活性化し、図3(B)に示すように、頂部に第2の層が形成される(8b’,8b’’)。
(iv) シャドーマスクを、基板表面に平行に、スリットの長さ方向と垂直な方向に所定距離u2だけ移動させる。ここで、このシャドーマスクの移動は、上記移動(u2)と共にするスリット長さ方向への移動v2を含んでも構わない。
スリットの長さ方向と垂直な方向への(シャドーマスクの)総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(i)〜(iv)を数回繰り返す。(図3(C)及び図4には、第11の構造層が示されている)。出来上がりの構造を図5に示す。
【0018】
<作製についてのいくつかの追加事項>
長いラインを作製する場合には、図2(B)に示すようなスリット開口部をもつシャドーマスクを使うことが好ましい。スリットが長すぎるとシャドーマスクが脆くなるので、それを避けるために考えたものである。これを用いるとき、各々の構造要素は2工程でつくる。各工程のあいだに、スリットの方向に沿ってシャドーマスクを移動させるのである(図2(B)において、点線が第2段階におけるスリットの位置を示している)。
熱膨張による誤差を避けるため、シャドーマスク及びサンプル(基板)上への熱放射は、一定に保つことが好ましい。このため、総電源を一定の水準に保つ付加的熱放射が好ましく用いられる。
作製速度を上げるために、全ての材料源を常に「操作中」の状態に維持しておくことができるが、使わない材料ビームについてはシャッターを用いて阻止しておく必要がある。
材料の供給源は機械的駆動系によって移動できる。これは、シャドーマスクを通して基板上に作製される構造の位置が、使用する供給源を変更しても一定となるように、中心軸をあわせるためである。
【0019】
<作製された構造物についての記述>
図5及び図6で示した最終構造物の性状は、次の通り。
その構造物は、導電体(図5や図6では、暗灰色)と絶縁体(図5や図6では、明灰色)とから成っている。全ての導電層は互いに絶縁体で隔離されている。この構造要素の幅D(図6(A)参照)は、シャドーマスクのスリット幅dにほぼ等しいものである。
その構造物の表面は、見掛け線幅w1の導電性物質と見掛け線幅w2の絶縁性物質とが交互に並んだ一次元構造配列となる。上記線幅w1, w2は作製(w1すなわちu1、w2すなわちu2)のあいだのシャドーマスクの位置取りによって決まり、したがって、構造要素の幅Dよりもずっと小さな値を選ぶことができ、境界領域のq1,q2よりも小さいものである。線ピッチpは(w1とw2の合計)は10nm以下にもできる。
構造表面のトポグラフィーは滑らかである。導電体の一次元構造及び絶縁体の一次元構造の表面は同一平面にある(ただし、初期に作製される一次元構造は除く)。滑らかなトポグラフィーは、もし位置取りが最適に選ばれるなら、異なるシャドーマスクの開口部でつくられる構造部分の上に達することができる。これは図5に示されていて、最初のスリット開口部(8a’,8b’,8c’,等)を用いてつくられたものと、2番目のスリット開口部(8a’,8b’,8c’,等)を用いてつくられたものとを互いに繋いだものである。
【0020】
2種の異なるガス物質源(1a/1b)に代えて、3種又はそれ以上のガス物質源(1a/1b/1c/…)を用いることができ、上記操作を同様に行なうことができる。詳細は省略するが、これが本願第2の発明方法である。
【0021】
次に第3の発明方法、すなわち、クロスバー構造の作製方法を説明する(図9〜11参照)。クロスバー構造は、二つの互いに交差する一次元構造配列とそれらのあいだの機能層とから成る。一次元構造配列の作製は、上で述べた方法と同様にしてなされるので、詳しい記述は省略する。
基板を反応室にセットする。シャドーマスク(5)は3種類の開口部(可能なレイアウトを図8の(I)に示した)、すなわち、(1)図8(I)Aに示されるような一方向に並んだ平行なスリットと、(2)図8(I)Bに示されるような四角形の開口部と、(3)図8(I)Cに示されるような第二の方向(好ましくは、第一の方向とは垂直な方向)に並んだ平行なスリット、とを持っている。
種々の材料の供給源(組立)(1)は、少なくとも一次元構造配列用の二つの材料源と、機能物質用の少なくとも一つの材料源とから成る。電気絶縁体である基板を反応室にセットする。同様な装置(図1参照)を再び使う。シャドーマスクを基板表面に近接して(典型的には1μm程度)置く。
【0022】
クロスバー構造の作製は、次の3ステップで行なわれる。
(1)上記いずれかの方法(第一又は第二の発明方法)によって、基板上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保れた密な一次元構造配列を作製する。この際、図8(A)に示すような第1の型の開口部を用いる。一次元構造配列作製の間、先に述べたようにして、マスクを段階的に移動する。サンプル(基板)に対するシャドーマスクの平均的位置をここではP1とする(図9参照)。
(2)シャドーマスクをP2の位置に移動させる。上記一次元構造配列の上に機能層を堆積させる(図9参照)。
(3)前記機能層の上に第2の一次元構造配列を形成させる。サンプル(基板)に対するシャドーマスクの平均的位置をP3とする(図9参照)。
得られる最終構造を図10及び図11に示す。これは、上述した三つの部分、すなわち、第一の一次元構造配列(13)、機能層(14)及び第二の一次元構造配列(15)である。一次元構造配列は、導電体(17)及び絶縁体(16)から成る。クロスバー構造の場合は、通常、機能層は導電ワイヤのあいだにサンドイッチされる。このクロスバー・デバイスは、多数の水平な線×多数の垂直な線の、二つの末端サブ・デバイスから成り、これらは一つの水平ワイヤ及び一つの垂直ワイヤに各々連結されている。このようなデバイスの一スキームが図14に示されている。
【0023】
電気的接続を容易にするために、末端Rでの線の間隔は、ピッチpよりも大きめに選ぶことができる(図11参照)。これは、線方向に沿って距離v1,v2だけ余計に移動させることによってなされる。
もし必要なら、短絡を避けるために絶縁体の線の長さL2を導電体の線の長さL1よりも長くつくることができる。
【0024】
クロスバー・デバイスは、大抵の場合、少なくとも二つの(準)安定状態を有する機能性物質を必要とする。幾つかの種類の効果が、このような性質をもたらす。本願明細書に書かれている作製方法は、一つの特異的効果又は一つの特異的物質に限定されない。潜在的に可能なシステムのリストをここに示せば以下の通り(全てではない)。
機能性物質は次のものの単層又は多層からなる。
・有機物質(分子スイッチ)
・光発生物質
・イオン性導電体(原子スイッチ用)
・強誘電物質
・磁性物質
・金属、半導体、絶縁体の追加層
・このような機能性物質の組み合わせ
一次元構造配列の構成は、金属導電体(電子導電性)に代えて、他のタイプの導電体(スピン導電体、磁気抵抗性導電体、イオン導電体、等)で構成することもできる。
【0025】
クロスバー構造の上記作製例では、全ての構造要素は反応室(図1)でつくられた。しかし、クロスバー構造作製のプロセスはこれに限定されず、以下のようなプロセスも可能である。
(1)最初の一次元構造配列は、上述のように、反応室でつくる。
(2)機能層は、異なる作製方法、例えば、標準的なリソグラフィー技術、接触印刷技術(contact imprint)又は自己凝集(self assembly)を用いて付加する。これを行なうために、サンプル(基板)を選択した方法に適うように反応室12の外側に移される。われわれの一次元構造配列の滑らかな表面は、いろいろな技術で、機能層を追加できるのに適していると期待される。
(3)最後に、サンプルは、再び反応室12の中に置かれ、機能層の上に第二の一次元構造配列がつくられる。このシャドーマスク作製方法は非常に穏やかなので、大抵の場合機能性物質は、ダメージを受けない。
【0026】
機能性物質作製のための開口部は、図8(I)に示した四角形状と異なるものであってもよい。別の形を図8(II)に示すが、これは円形の穴を2次元的に整列させたものであって、これを機能性物質の作製に利用する。この開口部は、機能性物質を作製する間は、この領域の大部分をカバーするために、(横に)動かすことができる。図8(I)に示した四角形状の開口部に比べ、この型の開口部の利点は、(i)大きな開口部が避けられること(開口部が大きいと、シャドーマスク膜が弱くなる。)、(ii)横方向に機能層を構築すると機能層の性状が改善される(例えば、リーク電流を減少させる)であろうこと、である。
クロスバー構造(二つの互いに交差する一次元構造配列とその間の機能物質からなる)の異なる成分のための三つの異なる型の開口部は、別々のシャドーマスク上に形成することもできる。この場合、シャドーマスクが単純になり、もっと密なパターニングを可能とし、不必要な構造要素の作製が避けられるであろう。
不必要な構造要素の作製を防止するために、更に大きな開口パターンを追加したシャドーマスクを使うこともできる。
【0027】
我々は、密な一次元構造配列(クロスバー構造ではない)の他の応用を以下のように例示できる。
・電気的堆積(絶縁された異なる線に異なる電圧を掛ける)における鋳型
・ナノ印刷用の刻印(例えば、疎水性及び親水性の線を用いる)
・光、エックス線、ニューロン又は電子用のグレーティング
・ナノ物質(例えば、ナノ物質成長の触媒として作用する物質を用いるとき)
・センサー
・磁性デバイス、スピントロニクス
【実施例】
【0028】
実施例1
<一次元構造配列の作製>
我々は、図1に示した装置を用いて、部分的に完成した一次元構造配列(図3C及び図4に示した構造に類似したもの)を作製した。
用いた仕組み及び構造作製の手順の詳細:
反応室12は、ベース圧力が10−7 (Pa)以下の超真空系である。
この仕組みでは、構造作製の間、シャドーマスクを固定し、サンプル(基板)を移動させた。
作製を始める前に粗く整列させるため、自家製の慣性滑動部材及びインチワーム(UHVL-025, Burleigh Instruments, USA)を使った。シャドーマスクと基板とを正確に平行配置させる作業は、自家製の慣性滑動部材傾斜ステージを用いて行なった。角度の差は、反射したレーザー光線の角度の差によって検出した。
構造作製の間の基板の精密な位置合わせのためには、容量型位置センサ(P-733.2UD, PI, Germany)を備えたステージを用いた。
材料供給源1は、4つの異なる物質に対処できる熱蒸発器(電子ビーム加熱)(EGC04, Oxford Applied Research, UK;市販品が入手可能)である。その材料供給(組立)源は、中心軸における活性な物質源の位置合わせのために、自家製の物質源整列装置(二つのステッピングモータによって駆動される)の上に載せられた。物質供給速度(すなわち、単位時間当たりの生成膜厚)は、水晶振動子(XTM/2, Inficon, U.S.A)を用いて測定した。
【0029】
シャドーマスク5は、厚み100μmのシリコン枠で支持された厚み200nmの窒化珪素膜である。類似の膜は市販品が入手でき、例えば、TEMメッシュとして用いた。上記膜は、クロム(2nm)及び金(30nm)でコートされている。開口部は、収束イオンビーム(FIB)を用いてカットされた(図12参照)。そのスリット幅dは約250nmであった。そのスリット長さLは5μmであり、スリットピッチfは1μmであった。
その窒化珪素膜はFIB処理ののちにその性質を調べた。図12は、収束イオンビーム(FIB)を用いて開口部をカットしたあとの窒化珪素膜の一部の像を示す。上記像は、FIB加工直後に同じ装置のイメージングモードで記録した。
基板7は、PdAu(20nm)で被覆されたシリコン上の窒化珪素(70nm)を用いた。非接触型原子間力顕微鏡(nc−AFM)及び電子顕微鏡(SEM)による特性評価中の帯電の問題を避けるために、サンプルを導電性PdAuで被覆した。デバイスへ応用する機能層の構造としては、絶縁性基板が要求されるであろう。
【0030】
・基板に対するシャドーマスクの移動距離(u1及びu2)は50nmとした。
・(図1参照の)距離a=20cm, 距離b=約3μm
・堆積物質8:CuとCaF2
・ルツボ材料:Cuに対してはMo、CaF2に対してはTa
・原料開口部のサイズ(ルツボの開口)s=4mm
・蒸発速度:両物質に対して約0.3nm/分
・Cuの熱蒸発時の電力:34W(0.8kV,42mA)
・CuF2の熱蒸時の電力:24W(0.8kV,30mA)
・蒸発の間の圧力:10−6Pa
【0031】
蒸発時に印加する電力は、熱輻射を通じてシャドーマスクの温度の上昇を起こす。
電力変化は温度変化によるマスク位置の熱ドリフトを招く。熱ドリフトの問題を最小にするためには、異なる物質に対しても加熱時電力を同程度に設定する必要があった。(可能な改良は、更に赤外線放射―これは図1に20で示した―を用いて温度変化分を補償することである。)
【0032】
<構造の特性評価>
作製された構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)(図13の主要部に示されている)及びKelvinプローブ顕微鏡(KPM)を用いて評価した。KPMは、表面電位の測定(図13中の挿入図(A)に示すように)と同時に、そのトポグラフィー(表面特徴)の測定を可能にするものである(図13中の挿入図(B)に示すように)。これらのデータは、本願発明の実現可能性の証拠を提供するものである。(i)線の束は、理論的に期待されるように(図3(C)参照)表面形状(曲線B)を有する。(ii)絶縁体線と導電体線とは、接触電位スキャンにおけるコントラスト(曲線A)が示すように、その境界がよく定められている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明方法で使用される典型的な反応室を示す模式的縦断面図。
【図2】一次元構造配列の作製のためのシャドーマスクの例を上から見た図(平面図)。
【図3】一次元構造配列の作製を説明する断面図で、(A)は第一層目、(B)は第二層目、(C)は第九層目、の作製を説明するもの。
【図4】図3(C)に示した第九層目を作製後の(部分的に終えた)一次元構造配列の平面図。
【図5】作製を完了した一次元構造配列の、(A)は断面図、(B)は平面図。
【図6】図5の部分拡大図。
【図7】誤差のある線スリットで作製された一次元構造配列の模式的平面図(誤差は誇張して表示した)。
【0034】
【図8】クロスバー構造の作製のためのシャドーマスク配置の二例(I及びII)を示す平面図。
【図9】クロスバー構造の異なる要素を作製するためのマスクの位置合わせを説明する平面図。クロスバー構造の位置は、点線の円で示した。P0:スタンバイの状態(材料源のウォームアップ)、P1:底部の一次元構造配列の作製のためのマスク位置、P2:機能性材料の作製のためのマスク位置、P3:頂部の一次元構造配列の作製のためのマスク位置。
【図10】クロスバー構造の一例の平面図。
【図11】図10の(A)及び(B)部分の拡大図。
【図12】収束イオンビーム(FIB)を用いて穿口した後の窒化珪素膜の一部の像。像はFIB装置のイメージングモードによって記録したもの。
【図13】本発明方法で作製された一次元構造配列のプロトタイプの構造をex-situで記録した電子顕微鏡像。差込図は、作製後にin-situで記録されたKelvinプローブスキャンで、(A)は接触電位、(B)はトポグラフィー。
【図14】本発明方法を使って作製可能な、クロスバー構造を含む特異的分子デバイスの模式的断面図。
【符号の説明】
【0035】
1: 種々の材料の蒸発源アセンブリ
1a: 第一の材料源
1b: 第二の材料源
4: 材料ビーム
5: シャドーマスク
6: 開口部
7: 基板
8: 作製された構造
8a’、8a’’ 、8a’’’ 、…、8a(m)’: 第一の堆積工程で作製された構造
8b’ 、8b’’ 、8b’’’ 、…、8b(m)’: 第二の堆積工程で作製された構造
8c’ 、8c’’ 、8c’’’ 、…、8c(m)’: 第三の堆積工程で作製された構造
8n’ 、8n’’ 、8n’’’ 、…、8n(m)’’’: 第nの堆積工程で作製された構造
12: 反応室
13: 底部の一次元構造配列
14: 機能性材料
15: 頂部の一次元構造配列
16: 絶縁体
17: 導電体
20: 放射ヒーター
【0036】
s: 材料供給源の直径
a: 材料供給源からマスクまでの距離
b: マスクから基板までの距離
q,q1,q2: 構造物の境界部分
d: 開口部(スリット)の幅
D: 構造物の幅(全幅半最大)
f: 開口部(スリット)間の距離(ピッチ)
L: 開口部(スリット)の長さ
p: 一次元構造配列のピッチ
w1,w2: 表面上の有効ライン幅
t1,t2: 層の厚み
R: 線端における導電体間の距離
E: 構造形態上の誤差
u,u1,u2: スリットの長さ方向に直交する横方向の、サンプル(基板)に対するシャドーマスクの変位
v,v1,v2: スリットの長さ方向に平行な横方向の、サンプル(基板)に対するシャドーマスクの変位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を、基板上に調製する方法であって、以下の工程を含む調製方法。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii)原料物質供給源から原料を所定時間供給し、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、前記基板上に第一層を堆積させる;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u1)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;但し、uはdよりも小さい、
(v)原料物質供給源から、別の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第二層を堆積させる;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u2)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;
(vii) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(vi)を繰り返す。
【請求項2】
前記一つの原料が導体用原料であり、もう一つのガス原料が絶縁体用原料である、請求項1の調製方法。
【請求項3】
前記反応室として真空室が用いられる、請求項1の調製方法。
【請求項4】
前記スリット幅(d)が20nm−1μmであり、前記スリットピッチ(f)が100nm−10μmであり、前記所定の距離(u)が5nm−250nmである、請求項1の調製方法。
【請求項5】
表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を、基板上に調製する方法であって、以下の工程を含む調製方法。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii)原料物質供給源から原料を所定時間供給し、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、前記基板上に第一層を堆積させる;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u1)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;但し、Δpはdよりも小さい、
(v)原料物質供給部品から、別の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第二層を堆積させる;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u2)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;
(vii)原料物質供給源から、n(n:整数)番目の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第n層を堆積させる;
(viii) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/un)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;
(ix) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(viii)を繰り返す。
【請求項6】
以下の工程を含む、クロスバー構造の調製方法。
(1)請求項1又は5の調製方法に従って、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を、基板上に調製する;
(2)所定の穴のあるシャドーマスクを用いて、前記一次元構造配列上に機能性層を堆積させる;
(3)スリットの長さ方向が上記工程(1)で用いたスリットとは直角であるスリットを有するシャドーマスクを用いた点を除いては請求項1又は5と同様な方法で、前記機能層の上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を調製する。
【請求項1】
表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を、基板上に調製する方法であって、以下の工程を含む調製方法。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii)原料物質供給源から原料を所定時間供給し、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、前記基板上に第一層を堆積させる;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u1)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;但し、uはdよりも小さい、
(v)原料物質供給源から、別の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第二層を堆積させる;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u2)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;
(vii) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(vi)を繰り返す。
【請求項2】
前記一つの原料が導体用原料であり、もう一つのガス原料が絶縁体用原料である、請求項1の調製方法。
【請求項3】
前記反応室として真空室が用いられる、請求項1の調製方法。
【請求項4】
前記スリット幅(d)が20nm−1μmであり、前記スリットピッチ(f)が100nm−10μmであり、前記所定の距離(u)が5nm−250nmである、請求項1の調製方法。
【請求項5】
表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を、基板上に調製する方法であって、以下の工程を含む調製方法。
(i) 反応室に基板をセットする;
(ii) 前記基板上に近接して、スリットを有するシャドーマスク(そのスリット幅をdとし、スリットピッチをfとする)をセットする;
(iii)原料物質供給源から原料を所定時間供給し、前記シャドーマスクのスリットに対応させて、前記基板上に第一層を堆積させる;
(iv)前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u1)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;但し、Δpはdよりも小さい、
(v)原料物質供給部品から、別の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第二層を堆積させる;
(vi) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/u2)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;
(vii)原料物質供給源から、n(n:整数)番目の原料を所定時間供給し、前記基板上に前記シャドーマスクのスリットに対応した第n層を堆積させる;
(viii) 前記シャドーマスクを、前記基板との平行性を保ちながら、前記基板に対して所定の距離(u/un)だけ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向に移動する;
(ix) シャドーマスク又は基板の総移動距離がスリットピッチ(f)に達するまで、上記工程(iii)-(viii)を繰り返す。
【請求項6】
以下の工程を含む、クロスバー構造の調製方法。
(1)請求項1又は5の調製方法に従って、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を、基板上に調製する;
(2)所定の穴のあるシャドーマスクを用いて、前記一次元構造配列上に機能性層を堆積させる;
(3)スリットの長さ方向が上記工程(1)で用いたスリットとは直角であるスリットを有するシャドーマスクを用いた点を除いては請求項1又は5と同様な方法で、前記機能層の上に、表面が滑らか若しくは平面的な状態に保たれた密な一次元構造配列を調製する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−285690(P2008−285690A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−294191(P2006−294191)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度文部科学省 若手国際イノベーション特区委託研究 産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294191(P2006−294191)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度文部科学省 若手国際イノベーション特区委託研究 産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】
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