説明

基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、基板処理装置及びインプリントシステム

【課題】基板上に塗布膜を効率よく形成し、基板処理のスループットを向上させる。
【解決手段】ウェハ処理装置において、ウェハWの表面Wに紫外線を照射し、当該表面Wを洗浄する(図18(a))。その後、ウェハWの表面W全面に密着剤Bを塗布し(図18(b))、当該密着剤Bを焼成した後(図18(c))、密着剤Bをリンスして、ウェハW上に密着膜Bを成膜する(図18(d))。その後、ウェハWの密着膜B上に光重合開始剤を有するレジスト液Rを塗布する(図18(e))。その後、ウェハW上のレジスト液Rに所定の光量の紫外線を照射し、当該レジスト液Rを、ウェハW上で拡散せず、且つ凝集しないような流動性を有する半硬化状態にする。そして、ウェハW上に半硬化状態のレジスト膜Rを成膜する(図18(f))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプレート上に形成された転写パターンが転写される塗布膜を基板上に形成する基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、基板処理装置及びインプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト膜の表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト膜の表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したインプリント方法において、ウェハ上にレジスト膜を形成する際には、例えばインクジェット方式でウェハ上にレジスト液を塗布している。インクジェット方式では、ノズルからウェハ上の所定の領域にレジスト液を供給しつつ、且つノズルをウェハ面内で移動させて、ウェハの表面全面にレジスト液を塗布する。
【0007】
しかしながら、このインクジェット方式を用いた場合、所定の領域毎にウェハ上にレジスト液を供給するため、ウェハの表面全面にレジスト液を塗布するのに時間がかかる。このため、ウェハ処理のスループットに改善の余地があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板上に塗布膜を効率よく形成し、基板処理のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、テンプレート上に形成された転写パターンが転写される塗布膜を基板上に形成する基板処理方法であって、基板上に光重合開始剤を有する塗布液を供給し、当該基板の表面全面に前記塗布液を塗布する塗布工程と、前記基板上に塗布された塗布液に光を照射して、当該塗布液を、基板上で拡散せず、且つ凝集しないような流動性を有する半硬化状態にする半硬化工程と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、基板上に塗布液を連続して供給することができるので、短時間で基板の表面全面に塗布液を塗布することができる。したがって、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0011】
また、本発明では、テンプレート上に形成された転写パターンが転写される塗布膜を基板上に形成している。すなわち、いわゆるインプリント処理が行われる塗布膜を基板上に形成している。このインプリント処理で用いられる塗布液は、光重合開始剤を有しており、基板上で凝集し易い。そうすると、基板上に形成される塗布膜の膜厚が基板面内で均一にならない。そこで、本発明では、基板上に塗布された塗布液に光を照射して、当該塗布液を半硬化状態にしている。このため、基板上の塗布液が凝集せず、基板上に均一な膜厚の塗布膜を適切に形成することができる。
【0012】
前記塗布工程において、基板を回転させた状態で、当該基板の中心部に前記塗布液を供給して、基板の表面全面に前記塗布液を塗布してもよい。
【0013】
前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液に照射する光の光量を制御して、当該塗布液を半硬化状態にしてもよい。
【0014】
前記塗布液は、第1の波長の光を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、前記第1の波長と異なる第2の波長の光を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液に前記第1の波長の光を照射し、当該塗布液を半硬化状態にしてもよい。
【0015】
前記第1の波長の光は可視光であり、前記第2の波長の光は紫外線であってもよい。
【0016】
前記塗布液は、赤外線を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、紫外線を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液の温度を制御して、当該塗布液を半硬化状態にしてもよい。
【0017】
前記半硬化工程において、基板を回転させた状態で、当該基板に光を照射してもよい。
【0018】
前記塗布工程の前に、基板上に当該基板の表面と前記塗布膜との密着性を向上させる密着膜を形成してもよい。
【0019】
別な観点による本発明によれば、前記基板処理方法を基板処理装置によって実行させるために、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0020】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0021】
さらに別な観点による本発明は、テンプレート上に形成された転写パターンが転写される塗布膜を基板上に形成する基板処理装置であって、基板の表面に光重合開始剤を有する塗布液を塗布する塗布液ノズルと、前記塗布液ノズルから基板上に塗布された塗布液に光を照射する光照射部とを備えた塗布ユニットと、前記塗布ユニットにおいて、基板上に前記塗布液を供給し、当該基板の表面全面に前記塗布液を塗布する塗布工程と、前記基板上に塗布された塗布液に光を照射して、当該塗布液を、基板上で拡散せず、且つ凝集しないような流動性を有する半硬化状態にする半硬化工程とを実行するように、前記塗布液ノズルと前記光照射部を制御する制御部と、を有することを特徴としている。
【0022】
前記塗布ユニットは、基板を保持して回転させる回転保持部材を備え、前記制御部は、前記塗布工程において、基板を回転させた状態で、当該基板の中心部に前記塗布液を供給して、基板の表面全面に前記塗布液を塗布するように前記塗布液ノズルと前記回転保持部材を制御してもよい。
【0023】
前記制御部は、前記半硬化工程において、前記光照射部から前記基板上の塗布液に照射する光の光量を制御して、当該塗布液を半硬化状態にしてもよい。
【0024】
前記塗布液は、第1の波長の光を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、前記第1の波長と異なる第2の波長の光を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、前記光照射部は、前記第1の波長の光を照射し、前記制御部は、前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液に前記第1の波長の光を照射し、当該塗布液を半硬化状態にするように前記光照射部を制御してもよい。
【0025】
前記第1の波長の光は可視光であり、前記第2の波長の光は紫外線であってもよい。
【0026】
前記塗布液は、赤外線を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、紫外線を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、前記光照射部は赤外線を照射し、前記制御部は、前記半硬化工程において、前記光照射部から照射される赤外線より加熱される前記基板上の塗布液の温度を制御して、当該塗布液を半硬化状態にしてもよい。
【0027】
前記光照射部には、所定の波長の光のみを透過させる光フィルタを有していてもよい。
【0028】
前記塗布ユニットは、基板を保持して回転させる回転保持部材を備え、前記制御部は、前記半硬化工程において、基板を回転させた状態で、当該基板に光を照射するように前記光照射部と前記回転保持部材を制御してもよい。
【0029】
前記基板処理装置は、基板上に当該基板の表面と前記塗布膜との密着性を向上させる密着膜を形成する成膜ユニットを有していてもよい。
【0030】
また別な観点による本発明は、前記基板処理装置を備えたインプリントシステムであって、表面に転写パターンが形成されたテンプレートを用いて、前記基板処理装置で基板上に半硬化状態で形成された前記塗布膜に前記転写パターンを転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基板上に塗布膜を効率よく且つ適切に形成し、基板処理のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるインプリントシステムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図4】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す側面図である。
【図5】テンプレートの斜視図である。
【図6】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】レジスト塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図8】レジスト塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図9】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図11】加熱ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図13】離型剤塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図14】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図15】離型剤塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図16】ウェハ処理、テンプレート処理及びインプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図17】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に離型剤が塗布された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤が焼成された様子を示し、(d)はテンプレート上に離型膜が成膜された様子を示す。
【図18】ウェハ処理の各工程におけるウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハの表面が洗浄された様子を示し、(b)はウェハの表面に密着剤が塗布された様子を示し、(c)はウェハ上の密着剤が焼成された様子を示し、(d)はウェハ上に密着膜が成膜された様子を示し、(e)はウェハの密着膜上にレジスト液が塗布された様子を示し、(f)はウェハ上に半硬化状態のレジスト膜が成膜された様子を示す。
【図19】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートをウェハ側に下降させる様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させる様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【図20】他の実施の形態にかかるレジスト塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるインプリントシステム1の構成の概略を示す平面図である。図2〜図4は、インプリントシステム1の構成の概略を示す側面図である。なお、本実施の形態では、基板としてのウェハWに所定の処理が行われる被処理面をウェハWの表面Wといい、当該表面Wと反対側の面を裏面Wという。
【0034】
本実施の形態のインプリントシステム1では、図5に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えば石英ガラスが用いられる。
【0035】
インプリントシステム1は、図1に示すようにウェハWに所定の処理を行う基板処理装置としてのウェハ処理装置10と、テンプレートTに所定の処理を行うテンプレート処理装置11と、テンプレート処理装置11で処理されたテンプレートTを用いて、ウェハ処理装置10で処理されたウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット12とを有している。ウェハ処理装置10とインプリントユニット12との間には、ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13が配置されている。また、テンプレート処理装置11とインプリントユニット12との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション14が配置されている。すなわち、ウェハ処理装置10、インターフェイスステーション13、インプリントユニット12、インターフェイスステーション14、テンプレート処理装置11は、この順でY方向(図1の左右方向)に並べて配置され、且つ一体に接続されている。
【0036】
ウェハ処理装置10は、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とウェハ処理装置10との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション20と、ウェハWに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えたウェハ処理ステーション21とを、Y方向正方向にこの順で一体に接続した構成を有している。
【0037】
ウェハ搬入出ステーション20には、カセット載置台30が設けられている。カセット載置台30は、複数のウェハカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション20は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0038】
ウェハ搬入出ステーション20には、X方向に延伸する搬送路31上を移動可能なウェハ搬送体32が設けられている。ウェハ搬送体32は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとウェハ処理ステーション21との間でウェハWを搬送できる。
【0039】
ウェハ処理ステーション21には、その中心部に搬送ユニット33が設けられている。この搬送ユニット33の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば6つの処理ブロックG1〜G6が配置されている。ウェハ処理ステーション21の正面側(図1のX方向負方向側)には、ウェハ搬入出ステーション20側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。ウェハ処理ステーション21のウェハ搬入出ステーション20側には、第3の処理ブロックG3が配置され、ウェハ処理ステーション21のインターフェイスステーション13側には、第4の処理ブロックG4が配置されている。ウェハ処理ステーション21の背面側(図1のX方向正方向側)には、ウェハ搬入出ステーション20側から第5の処理ブロックG5、第6の処理ブロックG6が順に配置されている。
【0040】
搬送ユニット33は、ウェハWを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット33は、処理ブロックG1〜G6内に配置された後述する各種処理ユニット及びトランジションユニットに対してウェハWを搬送できる。
【0041】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばウェハW上に塗布液としてのレジスト液を塗布する塗布ユニットとしてのレジスト塗布ユニット40、41が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、レジスト塗布ユニット42、43が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室44、45がそれぞれ設けられている。
【0042】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにウェハWに対して紫外線を照射し、ウェハW上に密着膜が成膜される前の表面Wを洗浄する洗浄ユニット50、ウェハWの温度を調節する温度調節ユニット51、52、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジションユニット53、ウェハWを加熱処理する加熱ユニット54、55が下から順に6段に重ねられている。
【0043】
第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックF3と同様に、洗浄ユニット60、温度調節ユニット61、62、トランジションユニット63、加熱ユニット64、65が下から順に6段に重ねられている。
【0044】
第5の処理ブロックG5には、図4に示すように複数の液処理ユニット、例えばウェハW上に密着剤を塗布する成膜ユニットとしての密着剤塗布ユニット70、ウェハW上の密着剤をリンスするリンスユニット71が下から順に2段に重ねられている。第6の処理ブロックG6も同様に、密着剤塗布ユニット72、リンスユニット73が下から順に2段に重ねられている。また、第5の処理ブロックG5及び第6の処理ブロックG6の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室74、75がそれぞれ設けられている。
【0045】
テンプレート処理装置11は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置11との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション80と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えたテンプレート処理ステーション81とを、Y方向負方向にこの順で一体に接続した構成を有している。
【0046】
テンプレート搬入出ステーション80には、カセット載置台90が設けられている。カセット載置台90は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション80は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0047】
テンプレート搬入出ステーション80には、X方向に延伸する搬送路91上を移動可能なテンプレート搬送体92が設けられている。テンプレート搬送体92は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCとテンプレート処理ステーション81との間でテンプレートTを搬送できる。
【0048】
テンプレート処理ステーション81には、その中心部に搬送ユニット93が設けられている。この搬送ユニット93の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば6つの処理ブロックF1〜F6が配置されている。テンプレート処理ステーション81の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション80側から第1の処理ブロックF1、第2の処理ブロックF2が順に配置されている。テンプレート処理ステーション81のテンプレート搬入出ステーション80側には、第3の処理ブロックF3が配置され、テンプレート処理ステーション81のインターフェイスステーション14側には、第4の処理ブロックF4が配置されている。テンプレート処理ステーション81の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション80側から第5の処理ブロックF5、第6の処理ブロックF6が順に配置されている。
【0049】
搬送ユニット93は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット93は、処理ブロックF1〜F6内に配置された後述する各種処理ユニット及びトランジションユニットに対してテンプレートTを搬送できる。
【0050】
第1の処理ブロックF1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートT上に離型剤を塗布する離型剤塗布ユニット100、101が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックF2も同様に、離型剤塗布ユニット102、103が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックF1及び第2の処理ブロックF2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室104、105がそれぞれ設けられている。
【0051】
第3の処理ブロックF3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型膜が成膜される前の表面Tを洗浄する洗浄ユニット110、テンプレートTの温度を調節する温度調節ユニット111、112、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット113、テンプレートTを加熱処理する加熱ユニット114、115が下から順に6段に重ねられている。
【0052】
第4の処理ブロックF4にも、第3の処理ブロックF3と同様に、洗浄ユニット120、温度調節ユニット121、122、トランジションユニット123、加熱ユニット124、125が下から順に6段に重ねられている。
【0053】
第5の処理ブロックF5には、図4に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット130、131が下から順に2段に重ねられている。第6の処理ブロックF6も同様に、リンスユニット132、133が下から順に2段に重ねられている。また、第5の処理ブロックF5及び第6の処理ブロックF6の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室134、135がそれぞれ設けられている。
【0054】
インターフェイスステーション13には、図1に示すようにX方向に延伸する搬送路140上を移動するウェハ搬送体141が設けられている。また、搬送路140のX方向負方向側には、複数のウェハWを一時的に保管するバッファカセット142が配置されている。ウェハ搬送体141は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハ処理ステーション21、バッファカセット142、インプリントユニット12との間でウェハWを搬送できる。
【0055】
インターフェイスステーション14には、X方向に延伸する搬送路150上を移動するテンプレート搬送体151が設けられている。また、搬送路150のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット152が配置され、搬送路150のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット153が配置されている。テンプレート搬送体151は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレート処理ステーション81、反転ユニット152、バッファカセット153、インプリントユニット12との間でテンプレートTを搬送できる。
【0056】
次に、上述したインプリントユニット12の構成について説明する。インプリントユニット12は、図6に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器200を有している。
【0057】
処理容器200内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部201が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部201の上面に載置される。ウェハ保持部201内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン202が設けられている。昇降ピン202は、昇降駆動部203により上下動できる。ウェハ保持部201の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔204が形成されおり、昇降ピン202は、貫通孔204を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部201は、当該ウェハ保持部201の下方に設けられた移動機構205により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0058】
処理容器200内の天井面であって、ウェハ保持部201の上方には、テンプレートTを保持するテンプレート保持部210が設けられている。すなわち、ウェハ保持部201とテンプレート保持部210は、ウェハ保持部201に載置されたウェハWと、テンプレート保持部210に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部210は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック211を有している。チャック211は、当該チャック211の上方に設けられた移動機構212により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部201上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0059】
テンプレート保持部210は、チャック211に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源213を有している。この光源213からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。なお、本実施の形態においては、光源213から照射される光は紫外線であるが、他の光、例えば可視光や近紫外光などであってもよい。
【0060】
次に、上述したウェハ処理装置10のレジスト塗布ユニット40〜43の構成について説明する。レジスト塗布ユニット40は、図7に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器220を有している。
【0061】
処理容器220内の中央部には、ウェハを保持して回転させる回転保持部材としてのスピンチャック230が設けられている。スピンチャック230は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWの裏面Wを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック230上に吸着保持できる。
【0062】
スピンチャック230には、シャフト231を介して回転駆動部232が設けられている。この回転駆動部232により、スピンチャック230は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0063】
スピンチャック230の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ233が設けられている。カップ233の下面には、回収した液体を排出する排出管234と、カップ233内の雰囲気を排気する排気管215が接続されている。
【0064】
図8に示すようにカップ233のX方向負方向(図8の下方向)側には、Y方向(図8の左右方向)に沿って延伸するレール240が形成されている。レール240は、例えばカップ233のY方向負方向(図8の左方向)側の外方からY方向正方向(図8の右方向)側の外方まで形成されている。レール240には、アーム241、242が取り付けられている。
【0065】
第1のアーム241には、ウェハW上にレジスト液を供給する塗布液ノズルとしてのレジスト液ノズル243が支持されている。第1のアーム241は、ノズル駆動部244により、レール240上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル243は、カップ233のY方向正方向側の外方に設置された待機部245からカップ233内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハW上をウェハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム241は、ノズル駆動部244によって昇降自在であり、レジスト液ノズル243の高さを調節できる。なお、本実施の形態におけるレジスト液は光重合開始剤を有し、光、例えば紫外線を照射することによって光重合して硬化する。
【0066】
第2のアーム242には、ウェハW上のレジスト液に光、例えば172nmの波長の紫外線を照射する光照射部246が支持されている。光照射部246は、例えばウェハWの径と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。第2のアーム242は、駆動部247により、レール240上を移動自在である。これにより、光照射部246は、カップ233のY方向負方向側からカップ233内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハW上をウェハWの径方向に移動できる。なお、光照射部246には、例えばメタルハイドランプが用いられる。
【0067】
なお、例えばスピンチャック230の下方に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからウェハWの裏面Wに洗浄液を噴射することによって、当該裏面Wを洗浄することができる。
【0068】
なお、レジスト塗布ユニット41〜43の構成は、上述したレジスト塗布ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0069】
また、ウェハ処理装置10の密着剤塗布ユニット70、72の構成も、上述したレジスト塗布ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。但し、密着剤塗布ユニット70、72では、レジスト液ノズル243に代えて、ウェハW上に密着剤を供給する密着剤ノズルが設けられる。なお、密着剤の材料には、ウェハWの表面とレジスト膜との密着性を向上させる材料、例えば有機物化合物等が用いられる。より具体的には、密着剤はシランカップリング剤であり、密着剤分子は2つの官能基を有している。すなわち、一の官能基はOR基(Rは例えばアルキル基)である。また、他の官能基は、レジスト膜と反応し易い官能基であって、有機物成分を有している。
【0070】
次に、上述したウェハ処理装置10の洗浄ユニット50、60の構成について説明する。洗浄ユニット50は、図9に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器250を有している。
【0071】
処理容器250内には、ウェハWを吸着保持するチャック251が設けられている。チャック251は、ウェハWの表面Wが上方を向くように、その裏面Wを吸着保持する。チャック251の下方には、チャック駆動部252が設けられている。このチャック駆動部252は、処理容器250内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール253上に取付けられている。このチャック駆動部252により、チャック251はレール253に沿って移動できる。
【0072】
処理容器250内の天井面であって、レール253の上方には、チャック251に保持されたウェハWに紫外線を照射する紫外線照射部254が設けられている。紫外線照射部254は、図10に示すようにX方向に延伸している。そして、ウェハWがレール253に沿って移動中に、紫外線照射部254から当該ウェハWの表面Wに紫外線を照射することで、ウェハWの表面W全面に紫外線が照射される。
【0073】
なお、洗浄ユニット60の構成は、上述した洗浄ユニット50の構成と同様であるので説明を省略する。また、テンプレート処理装置11の洗浄ユニット110、120の構成も、上述した洗浄ユニット50の構成と同様であるので説明を省略する。
【0074】
次に、上述したウェハ処理ステーション21の加熱ユニット54、55、64、65の構成について説明する。加熱ユニット54は、図11に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器260を有している。
【0075】
処理容器260内の底面には、ウェハWが載置される載置台261が設けられている。ウェハWは、その表面Wが上方を向くように載置台261の上面に載置される。載置台261内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン262が設けられている。昇降ピン262は、昇降駆動部263により上下動できる。載置台261の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔264が形成されており、昇降ピン262は、貫通孔264を挿通するようになっている。また、載置台261の上面には、ウェハWを加熱する熱板265が設けられている。熱板265の内部には、例えば電気供給により発熱するヒータが設けられており、熱板265を所定の設定温度に調節できる。なお、この熱板265は、ウェハWの上方、例えば後述する蓋体270の天井面に設けてもよい。また、ウェハWの上方と下方に熱板265を設けてもよい。
【0076】
載置台261の上方には、上下動自在の蓋体270が設けられている。蓋体270は、下面が開口し、載置台261と一体となって処理室Kを形成する。蓋体270の上面中央部には、排気部271が設けられている。処理室K内の雰囲気は、排気部271から均一に排気される。
【0077】
なお、加熱ユニット55、64、65の構成は、上述した加熱ユニット54の構成と同様であるので説明を省略する。また、テンプレート処理装置11の加熱ユニット114、115、124、125の構成も、上述した加熱ユニット54の構成と同様であるので説明を省略する。
【0078】
また、ウェハ処理装置10の温度調節ユニット51、52、61、62の構成についても、上述した加熱ユニット42と同様の構成を有し、熱板265に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。また、この場合、加熱ユニット54における蓋体270を省略してもよい。さらに、テンプレート処理装置11の温度調節ユニット111、112、121、122の構成についても、上述した温度調節ユニット51、52、61、62の構成と同様であるので説明を省略する。
【0079】
次に、上述したウェハ処理装置10のリンスユニット71、73の構成について説明する。リンスユニット71は、図12に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器280を有している。
【0080】
処理容器280内の底面には、ウェハWを浸漬させる浸漬槽281が設けられている。浸漬槽281内には、ウェハW上の密着剤をリンスするためのリンス液、例えば有機溶剤が貯留されている。
【0081】
処理容器280内の天井面であって、浸漬槽281の上方には、ウェハWを保持する保持部282が設けられている。保持部282は、ウェハWの裏面Wの外周部を吸着保持するチャック283を有している。ウェハWは、その表面Wが上方を向くようにチャック283に保持される。チャック283は、昇降機構284により昇降できる。そして、ウェハWは、保持部282に保持された状態で浸漬槽281に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該ウェハW上の密着剤がリンスされる。
【0082】
保持部282は、チャック283に保持されたウェハWの上方に設けられた気体供給部285を有している。気体供給部285は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック283に保持されたウェハWの表面Wに吹き付けることができる。これにより、浸漬層141でリンスされたウェハWの表面Wを乾燥させることができる。なお、リンスユニット71には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0083】
なお、リンスユニット73の構成は、上述したリンスユニット71の構成と同様であるので説明を省略する。また、テンプレート処理装置11のリンスユニット130〜133の構成も、上述したリンスユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。これらリンスユニット130〜133においても、リンス液として例えば有機溶剤が用いられる。
【0084】
次に、上述したテンプレート処理装置11の離型剤塗布ユニット100〜103の構成について説明する。離型剤塗布ユニット100は、図13に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器290を有している。
【0085】
処理容器290内の中央部には、テンプレートTを保持して回転させる保持部材291が設けられている。保持部材291の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部292が形成されている。収容部292の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部292aが形成されている。したがって、収容部292内では、溝部292aによってテンプレートTの下面内周部は保持部材291と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材291に支持されている。収容部292は、図14に示すようにテンプレートTの外形に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部292には、側面から内側に突出した突出部293が複数形成され、この突出部293により、収容部292に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送ユニット93の搬送アームから収容部292にテンプレートTを受け渡す際に、当該搬送アームが収容部292と干渉するのを避けるため、収容部292の外周には、切欠き部294が4箇所に形成されている。
【0086】
保持部材291は、図13に示すようにカバー体295に取り付けられ、保持部材291の下方には、シャフト296を介して回転駆動部297が設けられている。この回転駆動部297により、保持部材291は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0087】
保持部材291の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する離型剤Sを受け止め、回収するカップ300が設けられている。カップ300の下面には、回収した離型剤Sを排出する排出管301と、カップ300内の雰囲気を排気する排気管302が接続されている。
【0088】
図15に示すようにカップ300のX方向負方向(図15の下方向)側には、Y方向(図15の左右方向)に沿って延伸するレール310が形成されている。レール310は、例えばカップ300のY方向負方向(図15の左方向)側の外方からY方向正方向(図15の右方向)側の外方まで形成されている。レール310には、アーム311が取り付けられている。
【0089】
アーム311には、テンプレートT上に離型剤を供給する離型剤ノズル312が支持されている。アーム311は、ノズル駆動部313により、レール310上を移動自在である。これにより、離型剤ノズル312は、カップ300のY方向正方向側の外方に設置された待機部314からカップ300内のテンプレートTの中心部上方まで移動できる。また、アーム311は、ノズル駆動部313によって昇降自在であり、離型剤ノズル312の高さを調整できる。なお、離型剤の材料には、後述するウェハW上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。より具体的には、離型剤は、密着剤と同様にシランカップリング剤であり、離型剤分子は2つの官能基を有している。すなわち、一の官能基はOR基(Rは例えばアルキル基)である。また、他の官能基は、ウェハW上のレジスト膜に対して撥液性を有する官能基であって、フッ化物成分を有している。
【0090】
なお、例えば保持部材291の溝部292a内に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからテンプレートTの裏面Tに洗浄液を噴射することによって、当該裏面Tを洗浄することができる。
【0091】
なお、離型剤塗布ユニット101〜103の構成は、上述した離型剤塗布ユニット100の構成と同様であるので説明を省略する。
【0092】
以上のインプリントシステム1には、図1に示すように制御部350が設けられている。制御部350は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、インプリントシステム1におけるウェハ処理、テンプレート処理、インプリント処理等を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部350にインストールされたものであってもよい。
【0093】
本実施の形態にかかるインプリントシステム1は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム1で行われるウェハ処理、テンプレート処理インプリント処理等について説明する。図16は、これらウェハ処理、テンプレート処理及びインプリント処理の主な処理フローを示している。また、図17はテンプレート処理の各工程におけるテンプレートTの状態を示し、図18はウェハ処理の各工程におけるウェハWの状態を示し、図19はインプリント処理におけるウェハWとテンプレートTの状態を示している。
【0094】
先ず、テンプレート搬送体92によって、テンプレート搬入出ステーション80のカセット載置台90上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、テンプレート処理ステーション81のトランジションユニット113に搬送される(図16の工程A1)。なお、テンプレートカセットC内のテンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されている。
【0095】
その後、搬送ユニット93によって、テンプレートTは洗浄ユニット110に搬送され、チャック251に吸着保持される。続いて、チャック駆動部252によってテンプレートTをレール253に沿って移動させながら、紫外線照射部254から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射され、図17(a)に示すようにテンプレートTの表面Tが洗浄される(図16の工程A2)。
【0096】
その後、搬送ユニット93によって、テンプレートTは離型剤塗布ユニット100に搬送され、保持部材291に受け渡される。続いて、離型剤ノズル312をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給し、遠心力により離型剤SをテンプレートT上で拡散させて、図17(b)に示すようにテンプレートTの表面T全面に離型剤Sを塗布する(図16の工程A3)。
【0097】
その後、搬送ユニット93によって、テンプレートTは加熱ユニット114に搬送される。加熱ユニット114に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン262に受け渡され、載置台261に載置される。続いて、蓋体270が閉じられ、テンプレートTは熱板265によって例えば200℃に加熱される。所定時間経過後、図17(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される(図16の工程A4)。
【0098】
その後、搬送ユニット93によって、テンプレートTは温度調節ユニット111に搬送され、テンプレートTが所定の温度に調節される。
【0099】
その後、搬送ユニット93によって、テンプレートTはリンスユニット130に搬送され、保持部282に保持される。続いて、保持部282を下降させ、テンプレートTを浸漬槽281に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、図17(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型膜Sが所定の膜厚で成膜される(図16の工程A5)。その後、保持部282を上昇させ、気体供給部285から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面Tを乾燥させる。なお、離型剤Sの未反応部とは、離型剤SがテンプレートTの表面Tと化学反応して当該表面Tと吸着する部分以外をいう。
【0100】
その後、搬送ユニット93によって、テンプレートTはトランジションユニット123に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション14のテンプレート搬送体151によって、反転ユニット152に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体151によってインプリントユニット12に搬送され、テンプレート保持部210のチャック211に吸着保持される(図16の工程A6)。このとき、インプリントユニット12にテンプレートTを搬送する前に、バッファカセット153において、離型剤Sが成膜されたテンプレートTを一時的に保管してもよい。
【0101】
このようにテンプレート処理ステーション81においてテンプレートTに所定の処理を行い、インプリントユニット12へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション20において、ウェハ搬送体32により、カセット載置台30上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、ウェハ処理ステーション21のトランジションユニット53に搬送される(図16の工程A7)。なお、ウェハカセットC内のウェハWは、その表面Wが上方を向くように収容されている。
【0102】
その後、搬送ユニット33によって、ウェハWは洗浄ユニット50に搬送され、チャック251に吸着保持される。続いて、チャック駆動部252によってウェハWをレール253に沿って移動させながら、紫外線照射部254から当該テウェハWに紫外線が照射される。こうして、ウェハWの表面W全面に紫外線が照射され、図18(a)に示すようにウェハWの表面Wが洗浄される(図16の工程A8)。
【0103】
その後、搬送ユニット33によって、ウェハWは密着剤塗布ユニット70に搬送され、スピンチャック230に受け渡される。続いて、密着剤ノズルをウェハWの中心部上方まで移動させると共に、ウェハWを回転させる。そして、回転中のウェハW上に密着剤Bを供給し、遠心力により密着剤をウェハW上で拡散させて、図18(b)に示すようにウェハWの表面W全面に密着剤Bを塗布する(図16の工程A9)。
【0104】
その後、搬送ユニット33によって、ウェハWは加熱ユニット54に搬送される。加熱ユニット54に搬入されたウェハWは、昇降ピン262に受け渡され、載置台261に載置される。続いて、蓋体270が閉じられ、ウェハWは熱板265によって例えば200℃に加熱される。所定時間経過後、図18(c)に示すようにウェハW上の離型剤Bが焼成される(図16の工程A10)。
【0105】
その後、搬送ユニット33によって、ウェハWは温度調節ユニット51に搬送され、ウェハWが所定の温度に調節される。
【0106】
その後、搬送ユニット32によって、ウェハWはリンスユニット71に搬送され、保持部282に保持される。続いて、保持部282を下降させ、ウェハWを浸漬槽281に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、密着剤Bの未反応部のみが剥離し、図18(d)に示すようにウェハW上に密着膜Bが所定の膜厚で成膜される(図16の工程A11)。その後、保持部282を上昇させ、気体供給部285から気体ガスをウェハWに吹き付け、その表面Wを乾燥させる。なお、密着剤Bの未反応部とは、密着剤BがウェハWの表面Wと化学反応して当該表面Wと吸着する部分以外をいう。
【0107】
その後、搬送ユニット33によって、ウェハWはレジスト塗布ユニット30に搬送され、スピンチャック230に受け渡される。続いて、レジスト液ノズル243をウェハWの中心部上方まで移動させると共に、ウェハWを回転させる。そして、図18(e)に示すように回転中のウェハWの密着膜B上にレジスト液Rを供給し、遠心力によりレジスト液RをウェハW上で拡散させ、ウェハWの表面W全面にレジスト液Rを塗布する(図16の工程A12)。そして、このウェハW上の密着膜Bによって、ウェハWの表面とレジスト液Rが密着する。
【0108】
その後、レジスト液ノズル243からのレジスト液の供給を停止し、当該レジスト液ノズル243を待機部245に移動させる。その後、光照射部246をウェハW上で移動させながら、当該光照射部246からウェハW上のレジスト液Rに紫外線を照射する。このとき、光照射部246からの紫外線をウェハ面内で均一に照射するため、ウェハWを引き続き回転させる。
【0109】
ここで、光照射部246からの紫外線は、ウェハW上のレジスト液Rが半硬化状態になるように照射される。この半硬化状態とは、レジスト液Rが完全に硬化しておらず、ある程度の流動性を有しているが、レジスト液RがウェハW上でこれ以上拡散せず、且つウェハW上で凝集しないような状態をいう。そして、このようにレジスト液Rを半硬化状態にするため、光照射部246から照射される紫外線の光量を制御する。具体的には、発明者らが鋭意検討した結果、レジスト液Rを半硬化状態にするための紫外線の光量は、例えば例えばレジスト液Rを完全に硬化させるのに必要な光量の50%以下の光量であることを見出した。本実施の形態では、例えば3mJ/cm〜50mJ/cmの光量の紫外線をレジスト液Rに照射し、当該レジスト液Rを半硬化状態にする。こうして、図18(f)に示すようにウェハWの表面W上に、塗布膜としてのレジスト膜Rが半硬化状態で形成される(図16の工程A13)。
【0110】
その後、搬送ユニット33によって、ウェハWはトランジションユニット63に搬送される。続いて、ウェハWは、インターフェイスステーション13のウェハ搬送体141によって、インプリントユニット320内に搬送される(図16の工程A14)。このとき、インプリントユニット320にウェハWを搬送する前に、バッファカセット142において、半硬化状態のレジスト膜Rが形成されたウェハWを一時的に保管してもよい。
【0111】
インプリントユニット12に搬入されたウェハWは、昇降ピン202に受け渡され、ウェハ保持部201上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部201に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部210に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図19(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源213から紫外線が照射される。光源213からの紫外線は、図19(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。すなわち、ウェハ処理装置10において半硬化状態で形成されたレジスト膜Rは、完全に硬化する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図16の工程A15)。
【0112】
なお、この工程A15においてテンプレートTをウェハW上のレジスト膜Rに転写する際、レジスト膜RがテンプレートTの転写パターンCの凹部に適切に流入させるため、レジスト膜Rを流動化させてもよい。かかる流動化の方法としては、種々の方法を取り得る。例えば転写パターンCを転写する際に、レジスト膜Rに超音波振動を付与して、当該レジスト膜Rを流動化させてもよい。あるいは、テンプレートTの離型膜S上に、レジスト膜Rを流動化させるための材料、例えば有機溶剤等を塗布しておき、当該レジスト膜Rを流動化させてもよい。
【0113】
その後、図19(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面Tには離型膜Sが成膜されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面Tに付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン202によりウェハ搬送体141に受け渡され、搬送ユニット33、ウェハ搬送体32によって、インプリントユニット12からウェハ搬入出ステーション20に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図16の工程A16)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図19(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0114】
以上の工程A7〜A16を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程A1〜A5を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型膜Sを成膜する。離型膜Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション14のバッファカセット153に保管される。
【0115】
そして、所定枚数のウェハWに対して以上の工程A7〜A16が行われると、テンプレート搬送体151によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット12から搬出され、反転ユニット152に搬送される(図16の工程A17)。続いて、テンプレート搬送体151によって、バッファカセット153内のテンプレートTがインプリントユニット12に搬送される。こうして、インプリントユニット12内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。そして、例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0116】
反転ユニット152に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、テンプレート搬送体151、搬送ユニット93、テンプレート搬送体92によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0117】
以上の実施の形態によれば、工程A12において、いわゆるスピン塗布法を用いてウェハW上にレジスト液Rを塗布している。すなわち、回転中のウェハWの中心部に連続してレジスト液Rを供給し、遠心力によりレジスト液RをウェハW上で拡散させている。したがって、従来のようにインクジェット方式を用いた場合に比べて、本実施の形態ではより短時間でウェハWの表面W全面にレジスト液Rを塗布することができる。したがって、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0118】
また、インプリント処理で用いられるレジスト液Rは、光重合開始剤を有しており、ウェハW上で凝集し易い。このため、単にウェハW上にレジスト液Rを塗布しただけだと、ウェハW上に形成されるレジスト膜Rの膜厚がウェハ面内で均一にならず、ウェハW上に所定のレジストパターンPを形成することができない。この点、本実施の形態によれば、工程A13において、ウェハW上に塗布されたレジスト液Rに紫外線を照射し、さらに照射する紫外線の光量を制御することによって、レジスト液Rを半硬化状態にすることができる。このため、ウェハW上のレジスト液Rが凝集せず、ウェハW上に均一な膜厚のレジスト膜Rを適切に形成することができる。
【0119】
しかも、工程A13において、回転中のウェハWに紫外線を照射しているので、光照射部246からの紫外線をウェハ面内で均一に照射することができる。したがって、ウェハ面内全体でウェハW上のレジスト液Rを半硬化状態にすることができる。
【0120】
また、ウェハWに対して工程A8〜工程A11を行い、ウェハW上に密着膜Bを成膜しているので、ウェハWの表面Wとレジスト膜Rとの密着性を向上させることができる。したがって、インプリント処理を適切に行い、ウェハW上に所定のレジストパターンPを適切に形成することができる。
【0121】
また、工程A12におけるウェハW上へのレジスト液Rの塗布は、インプリントユニット12の外部のウェハ処理装置10で行われている。ここで、一般にインプリント処理のスループットは、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCを転写する処理に律即される。すなわち、スループットは、インプリントシステム1のインプリントユニット12における処理に律即される。本実施の形態では、従来インプリントユニット12の内部で行っていたレジスト液Rの塗布を、インプリントユニット12の外部で行うので、インプリント処理のスループットを向上させることができる。
【0122】
さらに、インプリントシステム1はウェハ処理装置10とテンプレート処理装置11とを有しているので、インプリントシステム1において、テンプレートT上に離型膜Sを成膜すると共に、ウェハW上に密着膜Bを成膜し、且つ半硬化状態のレジスト膜Rを成膜することができる。このようにウェハ処理とテンプレート処理が一のインプリトシステム1で行われるので、インプリント処理のスループットをさらに向上させることができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0123】
以上の実施の形態では、工程A13において、ウェハW上のレジスト液Rを半硬化状態にするため、光照射部246から照射される紫外線の光量を制御していたが、レジスト液Rを半硬化状態にする方法はこれに限定されない。
【0124】
例えばレジスト液Rに照射する光の波長を制御して、当該レジスト液Rを半硬化状態にしてもよい。かかる場合、ウェハW上に塗布されるレジスト液Rは、例えば2種類の光重合開始剤を有している。すなわち、レジスト液Rは、第1の波長の光、例えば可視光を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、第2の波長の光、例えば紫外線を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有している。また、図20に示すようにレジスト塗布ユニット40において、光照射部246は所定の波長の光のみを透過させる光フィルタ400を有している。本実施の形態では、光フィルタ400は、第1の波長の光である可視光のみを透過させる。
【0125】
そして、レジスト塗布ユニット40では、工程A13において、光フィルタ400を備えた光照射部246をウェハW上で移動させながら、当該光照射部246からウェハW上のレジスト液Rに向けて光を照射する。この照射された光のうち、可視光のみが光フィルタ400を透過しレジスト液Rに照射される。そうすると、可視光によって、レジスト液R中の第1の光重合開始剤のみが光重合を開始する。また、可視光は紫外線に比べてエネルギーが小さい光であるため、この可視光によって、レジスト液R中の第2の光重合開始剤が光重合することはない。このため、ウェハW上のレジスト液Rを半硬化状態にして、レジスト膜Rを形成することができる。
【0126】
なお、この工程A13において、第2の光重合開始剤は可視光によって光重合しないので、レジスト液Rを半硬化にするため、光照射部246から照射する可視光の光量を制御する必要はない。
【0127】
その後、工程A15において、インプリントユニット320内で光源213からウェハW上の半硬化状態のレジスト膜Rに紫外線を照射する。そうすると、レジスト膜R中の第2の光重合開始剤が光重合し、当該レジスト膜Rが完全に硬化する。そして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される。
【0128】
本実施の形態においても、工程A13においてレジスト液Rを半硬化状態できるので、ウェハW上のレジスト液Rが凝集せず、ウェハW上に均一な膜厚のレジスト膜Rを適切に形成することができる。
【0129】
また、光照射部246に光フィルタ400を設けているので、光照射部246には種々の光源を用いることができる。なお、光フィルタ400を省略して、光照射部246から所定の波長の光のみを照射するようにしてもよい。
【0130】
以上の実施の形態では、第1の波長の光として可視光を用いたが、当該第1の波長の光として赤外線を用いてもよい。すなわち、第1の光重合開始剤は、赤外線を照射することにより光重合を開始する。また、第2の光重合開始剤は、赤外線と異なる波長の光、例えば紫外線を照射することにより光重合を開始する。かかる場合、図20に示したレジスト塗布ユニット40において、光フィルタ400は赤外線のみを透過させる。
【0131】
そして、工程A13において、光照射部246をウェハW上で移動させながら、当該光照射部246からウェハW上のレジスト液Rに向けて光を照射する。この照射された光のうち、赤外線のみが光フィルタ400を透過しレジスト液Rに照射される。このとき、光照射部246から照射される赤外線を制御して、当該赤外線によって加熱されるレジスト液Rの温度を所定の温度に制御する。具体的には、レジスト液Rの温度は、当該レジスト液Rが半硬化状態になる温度に制御される。なお、レジスト液Rが半硬化状態になる所定の温度とは、当該レジスト液Rの含有成分によって定められる。そして、このようにウェハW上のレジスト液Rに赤外線を照射することで、当該レジスト液Rを半硬化状態にして、レジスト膜Rを形成することができる。
【0132】
本実施の形態においても、工程A13においてレジスト液Rを半硬化状態できるので、ウェハW上のレジスト液Rが凝集せず、ウェハW上に均一な膜厚のレジスト膜Rを適切に形成することができる。
【0133】
以上の実施の形態では、レジスト塗布ユニット40において、回転中のウェハW上にレジスト液Rを供給することにより、ウェハWの表面Wにレジスト液Rを塗布していたが、例えばウェハWの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成されたレジスト液ノズルを用いてウェハW上にレジスト液Rを塗布してもよい。かかる場合、レジスト液ノズルをウェハWの辺方向に移動させながら、供給口からレジスト液Rを供給し、ウェハWの表面W全面にレジスト液Rが塗布される。なお、かかる塗布方法は、密着剤塗布ユニット70、離型剤塗布ユニット100において、それぞれ密着剤Bと離型剤Sを塗布する場合にも適用できる。
【0134】
以上の実施の形態では、密着剤塗布ユニット70において、ウェハW上に密着剤Bを塗布した後、当該密着剤Bを加熱して焼成していたが、密着剤Bを焼成する代わりに紫外線等の光を照射してもよい。この光は、ウェハW上に密着剤Bを供給中に照射してもよいし、ウェハW上に密着剤Bを塗布後に照射してもよい。また、ウェハW上に密着剤Bを塗布後にさらにアルコールを塗布してもよい。これらの方法を密着剤Bの含有成分に応じて選択することで、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性を向上させることができる。なお、かかる方法は、離型剤塗布ユニット100において離型剤Sを塗布する場合にも適用できる。
【0135】
以上の実施の形態では、密着剤塗布ユニット70において、ウェハW上に液体状の密着剤Bを供給していたが、気体状の密着剤を供給してもよい。同様に、離型剤塗布ユニット100において、テンプレートT上に液体状の離型剤Sを供給していたが、気体状の離型剤を供給してもよい。
【0136】
以上の実施の形態では、ウェハ処理装置10においてレジスト塗布ユニット40と密着剤塗布ユニット70を別々に設けていたが、例えば一の塗布ユニットでレジスト液Rと密着剤BをウェハW上に塗布してもよい。かかる場合、上記塗布ユニットは、レジスト塗布ユニット40と同様の構成を有する装置の内部に、ウェハWに対してレジスト液Rを供給するレジスト液ノズルと密着剤Bを供給する密着剤とが設けられる。
【0137】
以上の実施の形態のリンスユニット71では、浸漬層281に貯留された有機溶剤にウェハWを浸漬することで密着剤Bをリンスしていたが、密着剤塗布ユニット70と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、密着剤塗布ユニット70の密着剤ノズルに代えて、ウェハW上に密着剤Bのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。そして、このリンスユニットでは、回転中のウェハW上に有機溶剤を供給し、ウェハWの表面W全面をリンスする。所定時間経過すると、密着剤Bの未反応部のみが剥離し、ウェハW上に密着膜Bが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにウェハWを回転させ続け、その表面Wを振り切り乾燥させる。このようにして、ウェハW上の密着剤Bがリンスされる。なお、かかる方法は、リンスユニット130においてテンプレートT上の離型剤Sをリンスする場合にも適用できる。
【0138】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0139】
1 インプリントシステム
10 ウェハ処理装置
11 テンプレート処理装置
12 インプリントユニット
40〜43 レジスト塗布ユニット
70、72 密着剤塗布ユニット
100〜103 離型剤塗布ユニット
230 スピンチャック
243 レジスト液ノズル
246 光照射部
350 制御部
400 光フィルタ
B 密着剤
密着膜
C 転写パターン
P レジストパターン
R レジスト液
レジスト膜
S 離型剤
離型膜
T テンプレート
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレート上に形成された転写パターンが転写される塗布膜を基板上に形成する基板処理方法であって、
基板上に光重合開始剤を有する塗布液を供給し、当該基板の表面全面に前記塗布液を塗布する塗布工程と、
前記基板上に塗布された塗布液に光を照射して、当該塗布液を、基板上で拡散せず、且つ凝集しないような流動性を有する半硬化状態にする半硬化工程と、を有することを特徴とする、基板処理方法。
【請求項2】
前記塗布工程において、基板を回転させた状態で、当該基板の中心部に前記塗布液を供給して、基板の表面全面に前記塗布液を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液に照射する光の光量を制御して、当該塗布液を半硬化状態にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記塗布液は、第1の波長の光を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、前記第1の波長と異なる第2の波長の光を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、
前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液に前記第1の波長の光を照射し、当該塗布液を半硬化状態にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第1の波長の光は可視光であり、
前記第2の波長の光は紫外線であることを特徴とする、請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記塗布液は、赤外線を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、紫外線を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、
前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液の温度を制御して、当該塗布液を半硬化状態にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記半硬化工程において、基板を回転させた状態で、当該基板に光を照射することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記塗布工程の前に、基板上に当該基板の表面と前記塗布膜との密着性を向上させる密着膜を形成することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の基板処理方法を基板処理装置によって実行させるために、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
テンプレート上に形成された転写パターンが転写される塗布膜を基板上に形成する基板処理装置であって、
基板の表面に光重合開始剤を有する塗布液を塗布する塗布液ノズルと、前記塗布液ノズルから基板上に塗布された塗布液に光を照射する光照射部とを備えた塗布ユニットと、
前記塗布ユニットにおいて、基板上に前記塗布液を供給し、当該基板の表面全面に前記塗布液を塗布する塗布工程と、前記基板上に塗布された塗布液に光を照射して、当該塗布液を、基板上で拡散せず、且つ凝集しないような流動性を有する半硬化状態にする半硬化工程とを実行するように、前記塗布液ノズルと前記光照射部を制御する制御部と、を有することを特徴とする、基板処理装置。
【請求項12】
前記塗布ユニットは、基板を保持して回転させる回転保持部材を備え、
前記制御部は、前記塗布工程において、基板を回転させた状態で、当該基板の中心部に前記塗布液を供給して、基板の表面全面に前記塗布液を塗布するように前記塗布液ノズルと前記回転保持部材を制御することを特徴とする、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記半硬化工程において、前記光照射部から前記基板上の塗布液に照射する光の光量を制御して、当該塗布液を半硬化状態にすることを特徴とする、請求項11又は12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記塗布液は、第1の波長の光を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、前記第1の波長と異なる第2の波長の光を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、
前記光照射部は、前記第1の波長の光を照射し、
前記制御部は、前記半硬化工程において、前記基板上の塗布液に前記第1の波長の光を照射し、当該塗布液を半硬化状態にするように前記光照射部を制御することを特徴とする、請求項11又は12に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第1の波長の光は可視光であり、
前記第2の波長の光は紫外線であることを特徴とする、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記塗布液は、赤外線を照射することにより光重合を開始する第1の光重合開始剤と、紫外線を照射することにより光重合を開始する第2の光重合開始剤とを有し、
前記光照射部は赤外線を照射し、
前記制御部は、前記半硬化工程において、前記光照射部から照射される赤外線より加熱される前記基板上の塗布液の温度を制御して、当該塗布液を半硬化状態にすることを特徴とする、請求項11又は12に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記光照射部には、所定の波長の光のみを透過させる光フィルタを有していることを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記塗布ユニットは、基板を保持して回転させる回転保持部材を備え、
前記制御部は、前記半硬化工程において、基板を回転させた状態で、当該基板に光を照射するように前記光照射部と前記回転保持部材を制御することを特徴とする、請求項11〜17のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項19】
基板上に当該基板の表面と前記塗布膜との密着性を向上させる密着膜を形成する成膜ユニットを有することを特徴とする、請求項11〜18のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれかに記載の基板処理装置を備えたインプリントシステムであって、
表面に転写パターンが形成されたテンプレートを用いて、前記基板処理装置で基板上に半硬化状態で形成された前記塗布膜に前記転写パターンを転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴とする、インプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−227318(P2012−227318A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92765(P2011−92765)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】