説明

基板処理方法および基板処理装置

【課題】基板上のパターンにダメージを与えることなく洗浄処理することができる基板処理方法および基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板表面Wfに対し、ターシャリーブタノールを供給した後、DIWを基板表面Wfに供給してパターン間隙内部にのみターシャリーブタノールを残留させる。その後基板を冷却し、ターシャリーブタノールとDIWを凝固する。ターシャリーブタノールはDIWに対して凝固点が高く、また凝固した際の体積の増加が小さい。従って、DIWが凝固する前にパターン間隙内部で凝固し、パターンを構造的に補強する。また、体積の増加が少ないためパターンへ与える応力がDIWに比較して小さくなる。従って、パターンへのダメージを防止しながら基板表面Wfを洗浄することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」と記載する)に対して洗浄処理を施す基板処理方法および基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品等の製造工程では、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施して微細パターンを形成していく工程が含まれる。ここで、微細加工を良好に行うためには基板表面を清浄な状態に保つ必要があり、必要に応じて基板表面に対して洗浄処理が行われる。例えば特許文献1に記載された装置においては、基板表面に脱イオン水(De Ionized Water)などの液体を供給し、それを凍結させた後、リンス液で解凍除去することで基板表面の洗浄が実行される。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の装置では、以下の工程が実行される。まず、基板の表面にDIWを供給することで基板表面全体にDIWの液膜を形成する。この際、基板表面に形成されている微細なパターンの間隙内部にもその流動性によりDIWが侵入する。続いて、DIWの供給を停止し、低温の窒素ガスを基板表面に供給してDIWを凍結させる。これにより、パーティクル等の汚染物質と基板表面との間に侵入したDIWが氷となり、膨張することでパーティクル等の汚染物質が微小距離だけ基板から離れる。また、基板の表面と平行な方向にも膨張することで、基板に固着しているパーティクル等を剥離する。その結果、基板表面とパーティクル等の汚染物質との間の付着力が低減され、さらにはパーティクル等の汚染物質が基板表面から脱離することとなる。その後、基板表面の氷をリンス液で解凍除去することで、基板表面からパーティクル等の汚染物質を効率良く除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−71875号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体装置や液晶表示装置などに代表される電子部品等に形成される微細な凹凸形状からなるパターンは、微細化がさらに進み、また、構造自体についても3次元化が進展するなど、微細かつ複雑な形状を有してきている。特にトランジスタやコンデンサなどの個別半導体に用いられるパターンについてこの傾向が顕著である。
【0006】
このようにパターンの微細化及び構造の複雑化が進展することにより、パターンを構成する凸部の底面と基板とが接触する面積が縮小し、パターンの凸部と基板との付着力が小さくなり、また凸部自体の強度も小さくなっている。従って、小さな外力でもパターンの凸部の倒壊・剥離、パターンの凸部の間の空間の変形等のダメージが生ずる可能性が高くなっている。
【0007】
このような微細なパターンが形成されている基板に対し、特許文献1に開示されている従来技術の洗浄方法を適用すると、基板に供給されたDIWは、その流動性により微小間隔を隔てた隣接するパターンの凸部の間や3次元の円筒形状の内部等にも侵入し、その部分も含めたDIWが凍結されて洗浄が行われる。この従来技術は、DIWが氷となり膨張する際に生ずる力を利用してパーティクルを除去しているが、この力はパターンにも等しく働く。
【0008】
即ち、パターン全体に対しては基板の主面と平行な方向に働く力が、また、パターン間隙については、パターン間隙を外方に押し広げようとする力が働く。この力によりパターンにダメージが生ずるおそれがある。
【0009】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、微細かつ複雑な形状のパターンに対してダメージを与えることなく洗浄することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明は、パターンが形成された基板に対し、凝固体を形成可能な第一凝固対象液を供給する第一凝固対象液供給工程と、第一凝固対象液が供給された基板に対し、凝固体を形成可能であって、第一凝固対象液の凝固点より低い温度の凝固点を有し、液体から固体へ相変化した際の体積変化が第一凝固対象液より大きい第二凝固対象液を供給し、パターン間隙内部を除く基板上の第一凝固対象液を除去する第二凝固対象液供給工程と、第一凝固対象液および第二凝固対象液を、第二凝固対象液の凝固点以下の温度に冷却して凝固する凝固工程と、第一凝固対象液および第二凝固対象液を除去する除去工程とを備える。
【0011】
また、この発明は、パターンが形成された基板を保持する基板保持部と、基板に対し、凝固体を形成可能な第一凝固対象液を供給する第一凝固対象液供給部と、第一凝固対象液が供給された基板に対し、凝固体を形成可能であって、第一凝固対象液の凝固点より低い温度の凝固点を有し、液体から固体へ相変化した際の体積変化が第一凝固対象液より大きい第二凝固対象液を供給し、パターン間隙内部を除く基板上の第一凝固対象液を除去する第二凝固対象液供給部と、第一凝固対象液および第二凝固対象液を、第二凝固対象液の凝固点以下の温度に冷却して凝固する凝固部と、第一凝固対象液および第二凝固対象液を除去する除去部とを備える。
【0012】
このように構成された発明(基板処理方法及び基板処理装置)では、第一凝固対象液を基板に供給した後、第二凝固対象液を供給し、第一凝固対象液を基板表面から除去している。
【0013】
ただし、基板に形成されたパターンは微細なものであり、第二凝固対象液がパターン間隙内部の微小領域に侵入する速度は、パターン間隙内部以外の領域において第二凝固対象液が第一凝固対象液を除去する速度よりも遅い。従って、第二凝固対象液を供給する工程の継続時間を、少なくともパターン間隙内部以外の領域において第二凝固対象液が第一凝固対象液を除去するに足る時間継続することで、パターン間隙内部にのみ第一凝固対象液を残留させる。
【0014】
第二凝固対象液が供給され、パターン間隙内部にのみ第一凝固対象液が残留した状態で、第一凝固対象液および第二凝固対象液を、第二凝固対象液の凝固点以下の温度に冷却して凝固する。第一凝固対象液の凝固点は第二凝固対象液の凝固点より高いため、第二凝固対象液が凝固する前に第一凝固対象液が凝固する。
【0015】
第一凝固対象液がパターン間隙内部で凝固すると、第一凝固対象液の凝固体とパターンとが一体となった塊(固形物)と見做せる状態となり、パターンが構造的に補強される。従って、後続の凝固工程において第二凝固対象液が凝固して膨張することによる力(特に基板の主面と平行に働く力)に対抗することが可能となり、パターン剥離等のダメージを防止できる。
【0016】
尚、第一凝固対象液が液体から固体へ相変化する際の体積変化が、第二凝固対象液が液体から固体へ相変化する際の体積変化に比較して小さいため、パターン間隙内部で凝固しても、相変化による体積膨張によりパターンへ与える応力が第二凝固対象液より小さい。従って、パターンへのダメージを防止しながらパターンを補強して基板を洗浄することが可能となる。
【0017】
また、第一凝固対象液を、第二凝固対象液に対し可溶性の物質とすることができる。
【0018】
このように構成された発明では、第二凝固対象液として第一凝固対象液に対して良溶媒(第一凝固対象液が第二凝固対象液に対して可溶性)の物質を使用している。これにより、第二凝固対象液により第一凝固対象液を溶解することによっても除去することが可能となり、基板上から速やかに第一凝固対象液を除去することができる。
【0019】
また、第一凝固対象液供給工程として、第一凝固対象液を凝固点以上の温度にして供給することができる。
【0020】
このように構成された発明では、第一凝固対象液を凝固点以上の温度にして供給している。従って、第一凝固対象液を液体の状態で基板に供給することが可能となり、第一凝固対象液の流動にともなってパターン間隙内部にまで侵入させることができる。
【0021】
また、第二凝固対象液供給工程として、第一凝固対象液の凝固点より高い温度の第二凝固対象液を供給する高温第二凝固対象液供給工程を行った後、第一凝固対象液の凝固点より低い温度の第二凝固対象液を供給する低温第二凝固対象液供給工程を行うことができる。
【0022】
このように構成された発明では、基板に対し第一凝固対象液の凝固点より高い温度の第二凝固対象液を供給した後、第一凝固対象液の凝固点より低い温度の第二凝固対象液を供給している。これにより、第一凝固対象液の凝固点より高い温度の第二凝固対象液を供給することで第一凝固対象液を液体の状態とし、第一凝固対象液を第二凝固対象液に溶解するとともに、液体の状態の第一凝固対象液を第二凝固対象液の流れにより押し流すことで速やかに除去することが可能となる。また、第一凝固対象液の凝固点より高い温度の第二凝固対象液を供給した後、第一凝固対象液の凝固点より低い温度の第二凝固対象液を供給することで、基板全体を第一凝固対象液の凝固点より低い温度に冷却する。これにより、第一凝固対象液を凝固してパターンを補強するとともに、後続する凝固工程に要する時間を短縮することができる。
【0023】
また、第一凝固対象液が可溶性である除去液を用いることができる。
【0024】
このように構成された発明では、除去液として第一凝固対象液に対して良溶媒(第一凝固対象液が第二凝固対象液に対して可溶性)の物質を使用している。これにより、除去液により第一凝固対象液を溶解することによっても除去することが可能となり、基板上から速やかに第一凝固対象液を除去することができる。
【0025】
また、除去工程は、第一凝固対象液の凝固点以上の温度の除去液を供給することができる。
【0026】
このように構成された発明では、第一凝固対象液の凝固点以上の温度の除去液を供給することにより、第一凝固対象液および第二凝固対象液の双方を融解することができ、基板表面からすみやかにこれらの液を除去することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、パターン間隙内部に第一凝固対象液を残留させて凝固させた後、パターン間隙内部以外の部分の第二凝固対象液を凝固させる。これにより、パターンを第一凝固対象液で補強した後で第二凝固対象液を凝固することが可能となり、第二凝固対象液の凝固による応力からパターンを保護することが可能となる。したがって、パターンにダメージを与えることなく基板を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る基板処理装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1のB1−B1線に沿った矢視断面図である。
【図3】図1の矢印B2から見た側面図である。
【図4】第一の実施の形態にかかる処理ユニットの全体構成を示す図である。
【図5】図4の処理ユニットにおける基板保持部、排液捕集部および雰囲気遮断部の構成を示す図である。
【図6】図4の処理ユニットにおける第二凝固対象液供給部および除去部の構成を示す図である。
【図7】図6の第二凝固対象液供給部における第二凝固対象液供給ユニットの構成を示す図である。
【図8】図6の除去部における除去液供給ユニットの構成を示す図である。
【図9】図4の処理ユニットにおける第一凝固対象液供給部の構成を示す図である。
【図10】図9の第一凝固対象液供給部における第一凝固対象液供給ユニットの構成を示す図である。
【図11】図4の処理ユニットにおける凝固部の構成を示す図である。
【図12】図11の凝固部における凝固用窒素ガス供給ユニットの構成を示す図である。
【図13】図4の処理ユニットにおけるリンス部および乾燥用気体供給部の構成を示す図である。
【図14】第一実施形態における基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】第二実施形態における基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明において、基板とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板をいう。
【0030】
以下の説明においては、一方主面のみに回路パターン等(以下「パターン」と記載する)が形成されている基板を例として用いる。ここで、パターンが形成されている主面を「表面」と称し、その反対側のパターンが形成されていない主面を「裏面」と称する。また、下方に向けられた基板の面を「下面」と称し、上方に向けられた基板の面を「上面」と称する。尚、以下においては上面を表面として説明する。また、微小間隔を隔てた隣接する凸部の間や3次元の円筒や角柱内部等を「パターン間隙」と称する。
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、半導体基板の処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明する。尚、本発明は、半導体基板の処理に限らず、液晶表示器用のガラス基板などの各種の基板の処理にも適用することができる。
【0032】
<第一実施形態>
図1、図2および図3はこの発明にかかる基板処理装置9の概略構成を示す図である。図1は基板処理装置9の正面図であり、図2は図1の基板処理装置9のB1−B1線に沿った矢視断面図である。また、図3は図1の基板処理装置9を矢印B2側からみた側面図である。この装置は半導体基板等の基板W(以下、単に「基板W」と記載する)に付着しているパーティクル等の汚染物質(以下「パーティクル等」と記載する)を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。
【0033】
尚、各図には方向関係を明確にするため、Z軸を鉛直方向とし、XY平面を水平面とする座標系を適宜付している。また、各座標系において、矢印の先端が向く方向を+(プラス)方向とし、逆の方向を−(マイナス)方向とする。
【0034】
基板処理装置9は、基板Wを例えば25枚収容したFOUP(Front Open Unified Pod)949を載置するオープナー94と、オープナー94上のFOUP949から未処理の基板Wを取り出し、また処理完了後の基板WをFOUP949内に収納するインデクサユニット93と、インデクサユニット93とセンターロボット96との間で基板Wの受け渡しを行うシャトル95と、基板Wをセンターロボット96でその内部に収容して洗浄を行う処理ユニット91と、処理ユニット91に供給される液体や気体の配管、開閉弁等を収容する流体ボックス92と、で構成される。
【0035】
まず、これらの平面的な配置について図2を用いて説明する。基板処理装置9の一端(図2において左端)には複数の(本実施形態においては3台の)オープナー94が配置される。オープナー94の図2における右側(+Y側)に隣接してインデクサユニット93が配置される。インデクサユニット93のX方向における中央付近であって、インデクサユニットの図2における右側(+Y側)に隣接してシャトル95が配置され、シャトル95の図2における右側(+Y側)に、シャトル95と+Y方向に並ぶようにセンターロボット96が配置される。このように、インデクサユニット93と、シャトル95およびセンターロボット96は、直交する二本のラインの配置をなしている。
【0036】
+Y方向に並ぶように配置されたシャトル95とセンターロボット96の図2における上側(−X側)と下側(+X側)には処理ユニット91と流体ボックス92が配置されている。即ち、シャトル95とセンターロボット96の図2における上側(−X側)または下側(+X側)に、インデクサユニット93の図2における右側(+Y側)に隣接して、流体ボックス92、処理ユニット91、処理ユニット91、流体ボックス92の順に配置されている。
【0037】
尚、インデクサユニット93の+X側(図2における下側)の側面には後述する制御ユニット97の操作部971が設置されている(図1参照)。
【0038】
次に、オープナー94について説明する。オープナー94はその上部にFOUP949を載置する載置面941と、FOUP949の正面(図1および図2におけるFOUP949の右側(+Y側)の面)に対向して配置され、FOUP949の正面にある蓋部(図示省略)を開閉する開閉機構943(図3参照)を備える。
【0039】
基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。これにより、後述するインデクサユニット93のインデクサロボット931が、FOUP949内の基板Wを搬出し、逆にFOUP949内に基板Wを搬入することが可能となる。
【0040】
次に、インデクサユニット93について説明する。インデクサユニット93には、FOUP949から処理工程前の基板Wを一枚ずつ取り出すとともに、処理工程後の基板WをFOUP949に一枚ずつ収容し、更に基板Wをシャトル95と受け渡しする、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド933を有するインデクサロボット931が備えられている。インデクサロボット931はX軸方向に水平移動自在であり、またZ軸方向に昇降移動自在であるとともに、Z軸周りに回転可能に構成されている。
【0041】
次に、シャトル95について説明する。シャトル95には、基板Wの図2における上側(−X側)および下側(+X側)の周縁部付近であって、インデクサロボット931のハンド933および後述するセンターロボット96のハンド961と干渉しない位置を保持する、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド951と、2組のハンド951をそれぞれ独立してY軸方向に水平移動する水平移動機構(図示せず)とを備える。
【0042】
シャトル95はインデクサロボット931とセンターロボット96双方との間で基板Wを受け渡し可能に構成されている。即ち、図示しない水平移動機構によりハンド951が図2における左側(−Y側)に移動した場合、インデクサロボット931のハンド951との間で基板Wの受け渡しが可能となり、また、ハンド951が図2における右側(+Y側)に移動した場合はセンターロボット96のハンド961との間で基板Wの受け渡しが可能となる。
【0043】
次に、センターロボット96について説明する。センターロボット96には、基板Wを1枚ずつ保持し、シャトル95または処理ユニット91との間で基板Wの受け渡しを行う、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド961と、鉛直方向(Z軸方向)に延設され、ハンド961の鉛直方向の移動の軸となる昇降軸963と、ハンド961を昇降移動させる昇降機構965と、ハンド961をZ軸周りに回転させる回転機構967を備える。センターロボット96はZ軸方向に昇降軸963に沿って昇降移動自在であるとともに、回転機構967によってハンドがZ軸周りに回転可能に構成されている。
【0044】
尚、処理ユニット91の後述する側壁であって、センターロボット96に対向する面には、センターロボット96のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出するための開口が設けられている。また、センターロボット96が処理ユニット91と基板Wの受け渡しを行わない場合に上記開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
【0045】
尚、図1に示すように処理ユニット91と流体ボックス92は上下2段に積み上げる構成とされている。従って、本実施形態における基板処理装置9には処理ユニット91および流体ボックス92はそれぞれ8台ずつ備えられている。
【0046】
次に、インデクサロボット931、シャトル95およびセンターロボット96による基板Wの搬送の手順について説明する。基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。インデクサロボット931はFOUP949の所定の位置から下側のハンド933により基板Wを1枚取り出す。その後、インデクサロボット931はシャトル95の前(図2におけるインデクサユニット93のX軸方向中央付近)に移動する。同時にシャトル95は下側のハンド951をインデクサユニット93の側(図2における左側(−Y側))へ移動する。
【0047】
シャトル95の前に移動したインデクサロボット931は下側のハンド933に保持した基板Wをシャトル95の下側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は下側のハンド951をセンターロボット96の側(図2における右側(+Y側))に移動する。また、センターロボット96がシャトル95にハンド961を向ける位置に移動する。
【0048】
その後、センターロボット96が下側のハンド961により、シャトル95の下側のハンド951に保持された基板Wを取り出し、8つある処理ユニット91のいずれかのシャッター911へハンド961を向けるように移動する。その後、シャッター911が解放され、センターロボット96が下側のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、処理ユニット91内での基板Wの洗浄処理が開始される。
【0049】
処理ユニット91内で処理が完了した基板Wは、センターロボット96の上側のハンド961で搬出され、その後は上記未処理の基板Wを搬送する場合とは逆にセンターロボット96の上側のハンド961、シャトル95の上側のハンド951、インデクサロボット931の上側のハンド933の順に移載され、最終的にFOUP949の所定の位置に収容される。
【0050】
次に、処理ユニット91の構成について図4を用いて説明する。図4は処理ユニット91の構成を示す模式図である。ここで、本実施形態における8つの処理ユニット91はそれぞれ同じ構成であるため、図2における矢印B3の示す処理ユニット91(図1において左下側の処理ユニット91)を代表として以下説明する。
【0051】
処理ユニット91は、表面にパターンが形成された基板Wを略水平に保持し、回転する基板保持部11と、基板保持部11をその内側に収容し、基板保持部11及び基板Wからの飛散物等を受け止めて排気・排液する排液捕集部21と、基板保持部11に保持された基板Wの表面Wfに対向して配置され、基板表面Wfの上方の空間を外気から遮断する雰囲気遮断部23と、を備える。
【0052】
また、処理ユニット91は、基板Wの表面Wfに第一凝固対象液を供給する第一凝固対象液供給部31と、基板Wの表面Wfに第二凝固対象液を供給する第二凝固対象液供給部43と、基板Wの表面Wf上の第一凝固対象液および第二凝固対象液に対し低温の凝固用気体を供給して凝固する凝固部35と、基板表面Wf上で凝固した第一凝固対象液および第二凝固対象液に対し除去液を供給して除去する除去部45と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するリンス部51と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給して基板表面Wfおよび基板裏面Wbを外気から遮断する乾燥用気体供給部55と、後述する洗浄プログラムに基づいて基板処理装置9の各部の動作を制御する制御ユニット97と、を備える。
【0053】
尚、本実施形態においては、第一凝固対象液として有機溶媒であるターシャリーブタノール(t−ブタノール)(化学式:C10O、凝固点:25.6℃(摂氏))を、第二凝固対象液、除去液及びリンス液として脱イオン水(De Ionized Water:以下「DIW」と記載する)を、それぞれ用いる。また、本実施形態においては、凝固用気体及び乾燥用気体として窒素ガスを用いる。
【0054】
また、第二凝固対象液であるDIWは第一凝固対象液であるターシャリーブタノールに対して良溶媒(第一凝固対象液は第二凝固対象液に対して可溶性)である。
【0055】
また、処理ユニット91は、中空の略角柱形状を有する側壁901と、側壁901に略水平に固設され、処理ユニット91内の空間を仕切る上側ベース部材902及び下側ベース部材903と、側壁901の内部であって上側ベース部材902の上方である上側空間905と、側壁901の内部であって、上側ベース部材902の下方であり、かつ下側ベース部材903の上方である処理空間904と、側壁901の内部であって下側ベース部材903の下方である下側空間906と、を備える。尚、本実施形態において側壁901は略角柱形状としたが、側壁の形状はそれに限定されず、略円柱形状やその他の形状としても良い。
【0056】
尚、前述のとおり側壁901の内センターロボット96に対向する側には、センターロボットが処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出可能な開口と、その開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
【0057】
上側ベース部材902は側壁901の上方(図4における上側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である上側空間905と処理空間904との間を仕切っている。上側ベース部材902の中央付近には、上側ベース部材902の下面から、処理ユニット91の上端に連通する雰囲気導入路907が設けられている。また、雰囲気導入路907の上端付近には、処理空間904へ清浄な雰囲気を供給するファンフィルタユニット908が設けられている。上側空間905内の雰囲気導入路907に設置されたファンフィルタユニット908は、処理ユニット91上方から雰囲気を取り込み、内蔵したHEPAフィルタ等により雰囲気中の微粒子等を捕集した上で、下方である処理空間904内へ清浄化された雰囲気を供給する。
【0058】
下側ベース部材903は側壁901の中程(図4における下側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である処理空間904と下側空間906との間を仕切っている。下側ベース部材903には複数の排気口909が設けられており、各排気口909は図示しない排気系統に接続され、処理空間904内の雰囲気を外部に排出している。
【0059】
ここで、処理空間904内は清浄な雰囲気が保たれており、基板Wの洗浄等が行われる空間である。また、上側空間905及び下側空間906は処理空間904内に設置される各部材を駆動するための駆動源等が配設される空間である。
【0060】
ファンフィルタユニット908を通して処理空間904内に供給された雰囲気は、処理空間904の上方から下方へ向かう流れとなり、最終的に排気口909から処理空間904の外に排出される。これにより、後述する基板Wを処理する各工程において発生する微細な液体の微粒子等を、処理空間904の中を上から下に向かって流れる気流により下向きに移動させて排気口909から排出する。よって、これら微粒子が基板Wや処理空間904内の各部材に付着することを防止できる。
【0061】
次に、基板保持部11、排液捕集部21および雰囲気遮断部23の構成について図5を用いて説明する。図5は基板保持部11、排液捕集部21および雰囲気遮断部23の構成を示す模式図である。
【0062】
まず、基板保持部11について説明する。基板保持部11のベースユニット111は下側ベース部材903の上に固設されており、ベースユニット111の上方に、中心部に開口を有する円板状のスピンベース113が回転可能に略水平に支持されている。スピンベース113の下面中心には中心軸117の上端がネジなどの締結部品によって固定されている。また、スピンベース113の周縁付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個の基板保持部材115が立設されている。基板保持部材115は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース113の周縁に沿って等角度間隔で配置されている。各基板保持部材115のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。
【0063】
各基板保持部材115は公知のリンク機構や褶動部材等を介して基板保持部材駆動機構119内のエアシリンダに連結されている。尚、基板保持部材駆動機構119はスピンベース113の下側であってベースユニット111の内部に設置されている。また、基板保持部材駆動機構119は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、基板保持部材駆動機構119のエアシリンダを伸縮する。これにより、各基板保持部材115を、その基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する「閉状態」と、その基板保持部が基板Wの外周端面から離れる「開状態」との間を切り替え可能としている。尚、基板保持部材115の駆動源としてエアシリンダ以外に、モーターやソレノイド等の公知の駆動源を用いることも可能である。
【0064】
そして、スピンベース113に対して基板Wが受渡しされる際には、各基板保持部材115を開状態とし、基板Wに対して洗浄処理等を行う際には、各基板保持部材115を閉状態とする。各基板保持部材115を閉状態とすると、各基板保持部材115が基板Wの周縁部を把持し、基板Wをスピンベース113から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持する。これにより、基板Wは、その表面Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で保持される。
【0065】
また、基板保持部11の中心軸117には、モーターを含む基板回転機構121の回転軸が連結されている。尚、基板回転機構121は下側ベース部材903の上であってベースユニット111の内部に設置される。また、基板回転機構121は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、基板回転機構121を駆動する。これにより、中心軸117に固定されたスピンベース113が回転中心軸A1を中心に回転する。
【0066】
尚、スピンベース113の上面から中心軸117を通して下側空間906に至るまで、後述する下側第一供給管及び下側第二供給管が挿通可能なように、連通した中空部が形成されている。
【0067】
次に、排液捕集部21について説明する。基板保持部11の周囲であって下側ベース部材903の上側に略円環状のカップ210が、基板保持部11に保持されている基板Wの周囲を包囲するように設けられている。カップ210は基板保持部11及び基板Wから飛散する液体などを捕集することが可能なように回転中心軸A1に対して略回転対称な形状を有している。尚、図中、カップ210については説明のため断面形状を示している。
【0068】
カップ210は互いに独立して昇降可能な内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215で構成される。図5に示すとおり、内構成部材211の上に中構成部材213及び外構成部材215が重ねられた構造を有する。内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215は、下側空間906に設けられた、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成されたガード昇降機構217にそれぞれ接続されている。また、ガード昇降機構217は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が排液捕集部21へ動作指令を行い、ガード昇降機構217を駆動する。これにより、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215がそれぞれ独立に、又は複数の部材が同期して回転中心軸A1に沿って上下方向に移動する。
【0069】
内構成部材211には、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215それぞれで捕集された液体をそれぞれ別の経路で排液処理系へ導くための収集溝が3つ設けられている。それぞれの収集溝は回転中心軸A1を中心とする略同心円状に設けられ、各収集溝には図示しない排液処理系へと接続する配管がそれぞれ管路接続されている。
【0070】
カップ210は内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの上下方向の位置を組合せて使用する。即ち、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが下位置にあるホームポジション、内構成部材211及び中構成部材213が下位置であって外構成部材215のみ上位置にある外捕集位置、内構成部材211が下位置であって中構成部材213及び外構成部材215が上位置に有る中捕集位置、及び内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが上位置にある内捕集位置である。
【0071】
ホームポジションはセンターロボット96が基板Wを処理ユニット91内に搬入出する場合などにおいて取られる位置である。外捕集位置は外構成部材215で受け止めた液体を捕集して外側の収集溝に導く位置であり、中捕集位置は中構成部材213で受け止めた液体を中間の収集溝に導く位置であり、また、内捕集位置は内構成部材211で受け止めた液体を内側の収集溝に導く位置である。
【0072】
このような構成の排液捕集部21を用いることにより、処理に使用される液体に応じて内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの位置を変更して分別捕集することが可能となる。従って、それぞれの液体を分別し、対応する排液処理系に排出することで、液体の再利用や混合することが危険な複数の液体を分別して処理することが可能となる。
【0073】
次に、雰囲気遮断部23について説明する。雰囲気遮断部23の基板対向部材である遮断部材231は、中心部に開口を有する円板状に形成されている。遮断部材231の下面は、基板Wの表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっている。また、遮断部材231の直径は基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材231は、その内部が中空であって略円筒形状を有する支持軸233の下方に回転可能に略水平に支持される。
【0074】
支持軸233の上端部は遮断部材231を回転する遮断部材回転機構235の下面に固設される。遮断部材回転機構235は、例えば中空モーター237及び中空軸239で構成される。中空軸239の一端(図5における上端)は中空モーター237の回転軸に連結されており、他端(図5における下端)は支持軸233の中を通して遮断部材231の上面に連結されている。
【0075】
また、遮断部材回転機構235は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が雰囲気遮断部23へ動作指令を行い、遮断部材回転機構235を駆動する。これにより、遮断部材231を支持軸233の中心を通る回転中心軸A5周りに回転する。遮断部材回転機構235は、基板保持部11に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材231を回転させるように構成されている。尚、スピンベース113と遮断部材231は、回転中心軸A1とA5が略一致するよう配設されている。従って、スピンベース113と遮断部材231略同じ回転中心軸の周りに回転する。
【0076】
尚、遮断部材回転機構235の上面から遮断部材231の中心部の開口にいたるまで、後述する上側第一供給管及び上側第二供給管が挿通可能なように、中空モーター237及び中空軸239の内部空間を含む連通した中空部が形成されている。
【0077】
遮断部材回転機構235の一側面(図5における左側面)にはアーム241の一端が接続され、アーム241の他端は上下軸243の図5における上端付近に接続されている。上下軸243は排液捕集部21のカップ210の周方向外側であって、下側ベース部材903の上に固設された円筒形状のベース部材245に昇降可能に取り付けられる。上下軸243には、ベース部材245の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された遮断部材昇降機構247が接続されている。
【0078】
尚、遮断部材昇降機構247は下側空間906に設けられている。また、遮断部材昇降機構247は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が雰囲気遮断部23へ動作指令を行い、遮断部材昇降機構247を駆動する。これにより、遮断部材231をスピンベース113に近接し、逆に離間する。
【0079】
すなわち、制御ユニット97は、遮断部材昇降機構247の動作を制御して、処理ユニット91に対して基板Wを搬入出させる際には、遮断部材231を基板保持部11の上方の離間位置に上昇させる一方、基板Wに対して後述するリンス処理や基板Wの乾燥等を行う際には、遮断部材231を基板保持部11に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで下降させる。
【0080】
次に、第二凝固対象液供給部43及び除去部45の構成について図6を用いて説明する。図6は第二凝固対象液供給部43及び除去部45の構成を示す模式図である。
【0081】
基板Wの表面Wfに第二凝固対象液または除去液を供給するノズル411は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構413に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構413のベース部材415は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
【0082】
ベース部材415の下方には、旋回上下軸417が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材415は旋回上下軸417と、後述する上下駆動部421及び旋回駆動部419を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸417の下面にはアーム423の一端が結合されており、アーム423の他端にノズル411が取り付けられている。
【0083】
旋回上下軸417はベース部材415の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部421及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部419に接続されている。また、上下駆動部421及び旋回駆動部419は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部421及び旋回駆動部419は上側空間905に配設される。
【0084】
制御ユニット97がノズル駆動機構413へ動作指令を行い、上下駆動部421を駆動する。これにより、旋回上下軸417が上下に移動し、アーム423に取り付けられているノズル411を上下に移動する。また、制御ユニット97がノズル駆動機構413へ動作指令を行い、旋回駆動部419を駆動する。これにより、旋回上下軸417が回転中心軸A4を中心に回転し、アーム423を旋回することで、アーム423に取り付けられたノズル411を揺動する。
【0085】
ノズル411は集合配管449、配管435および455を介して第二凝固対象液供給ユニット433および除去液供給ユニット453に、それぞれ管路接続されている。
【0086】
図7に第二凝固対象液供給ユニット433の構成を示す。第二凝固対象液供給ユニット433は、DIWを貯留するDIWタンク441、DIWタンク441からDIWを圧送するポンプ443、DIWを第一の温度に調整する第一温度調整ユニット445、DIWを第二の温度に調整する第二温度調整ユニット446および開閉弁436、437で構成される。尚、DIWタンク441に管路接続された配管435は一旦配管438と配管439に分岐し、再び合流してノズル411に管路接続している。
【0087】
DIWタンク441と配管435が分岐する部分の間にはポンプ443が介挿され、DIWを加圧して送出する。ポンプ443から送出されたDIWは配管438および439に分岐して供給される。
【0088】
配管438にはDIWを第一の温度に調整する第一温度調整ユニット445およびDIWの流れを制御する開閉弁436が、また配管439にはDIWを第二の温度に調整する第二温度調整ユニット446およびDIWの流れを制御する開閉弁437が、それぞれ介挿されている。開閉弁436および437は共に常時閉成とされている。また、開閉弁436および437は制御ユニット97と電気的に接続されている。
【0089】
制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁436を開成すると、DIWがDIWタンク441からポンプ443により加圧されて第一温度調整ユニット445へ送出される。第一温度調整ユニット445へ送られたDIWは第一の温度に調整され、配管438、配管435、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfに供給される。
【0090】
また、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁437を開成すると、DIWがDIWタンク441からポンプ443により加圧されて第二温度調整ユニット446へ送出される。第二温度調整ユニット446へ送られたDIWは第二の温度に調整され、配管439、配管435、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfに供給される。
【0091】
ここで、第一温度調整ユニット445および第二温度調整ユニット446はペルチェ素子による温度調整装置や、水、オイル、ハイドロフルオロカーボン等を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、第二凝固対象液供給ユニット433にDIWタンク441を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、第二凝固対象液供給ユニット433のポンプ443は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0092】
この、第二凝固対象液供給ユニット433、配管435、集合配管449、ノズル411およびノズル駆動機構413が、第二凝固対象液供給部43を構成する。
【0093】
図6に戻る。配管455には開閉弁457が介挿されており、開閉弁457は常時閉成とされている。また、開閉弁457は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が除去部45へ動作指令を行い、開閉弁457を開成する。これにより、除去液が除去液供給ユニット453から配管455、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfに供給される。尚、除去液供給ユニット453は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0094】
図8に除去液供給ユニット453の構成を示す。除去液供給ユニット453は、DIWを貯留するDIWタンク461、DIWタンク461からのDIWを圧送するポンプ463及びDIWの温度を調整する温度調整ユニット465を有する。DIWタンク461に管路接続されたポンプ463はDIWを加圧して温度調整ユニット465に送出する。ポンプ463を介して温度調整ユニット465に供給されたDIWは、温度調整ユニット465において所定の温度に調整され、配管455、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfに供給される。
【0095】
ここで、温度調整ユニット465はペルチェ素子による温度調整装置や水、オイル、ハイドロフルオロカーボン等を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、除去液供給ユニット453にDIWタンク461を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、除去液供給ユニット453のポンプ463は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0096】
この、除去液供給ユニット453、配管455、集合配管449、開閉弁457、ノズル411およびノズル駆動機構413が、除去部45を構成する。
【0097】
次に、第一凝固対象液供給部31の構成について図9を用いて説明する。図9は第一凝固対象液供給部31の構成を示す模式図である。基板Wに第一凝固対象液を供給するノズル311は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構313に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構313のベース部材315は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
【0098】
ベース部材315の下方には、旋回上下軸317が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材315は旋回上下軸317と、後述する上下駆動部321及び旋回駆動部319を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸317の下面にはアーム323の一端が結合されており、アーム323の他端にノズル311が取り付けられている。
【0099】
旋回上下軸317はベース部材315の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部321及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部319に接続されている。また、上下駆動部321及び旋回駆動部319は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部321及び旋回駆動部319は上側空間905に配設される。
【0100】
制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、上下駆動部321を駆動する。これにより、旋回上下軸317が上下に移動し、アーム323に取り付けられているノズル311を上下に移動する。また、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、旋回駆動部319を駆動する。これにより、旋回上下軸317が回転中心軸A2を中心に回転し、アーム323を旋回することで、アーム323に取り付けられたノズル311を揺動する。
【0101】
ノズル311は配管335を介して、第一凝固対象液供給ユニット333に管路接続されている。配管335には開閉弁337が介挿されており、開閉弁337は常時閉成とされている。また、開閉弁337は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、開閉弁337を開成する。これにより、第一凝固対象液が第一凝固対象液供給ユニット333から配管335及びノズル311を介して基板表面Wfに供給される。尚、第一凝固対象液供給ユニット333は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0102】
図10に第一凝固対象液供給ユニット333の構成を示す。第一凝固対象液供給ユニット333は、第一凝固対象液を貯留する第一凝固対象液タンク341、第一凝固対象液の温度を調整する温度調整ユニット345および第一凝固対象液タンク341を加圧して第一凝固対象液を送出する加圧部344で構成される。
【0103】
第一凝固対象液タンク341には温度調整ユニット345が設けられており、温度調整ユニット345から延びる熱交換パイプ347は第一凝固対象液タンク341内に貯留されている第一凝固対象液に浸漬されている。熱交換パイプ347の内部には水が循環されるようになっており、温度調整ユニット345により、熱交換パイプ347の内部を循環する水の温度が調整される。熱交換パイプ347の内部を流れる水は、第一凝固対象液を融解して液体とするため、第一凝固対象液の凝固点(25.6℃(摂氏))より高い温度に調整され、第一凝固対象液タンク341内の第一凝固対象液と熱交換を行って第一凝固対象液の温度を調節する。
【0104】
温度調整ユニット345には、第一凝固対象液タンク341内の第一凝固対象液を撹拌する攪拌部349が更に設けられている。攪拌部349は回転軸の先端(図10における攪拌部349の下端)にプロペラ状の攪拌翼を備えており、攪拌翼を回転することで第一凝固対象液を撹拌し、全体の温度を均一化する。
【0105】
加圧部344は、第一凝固対象液タンク341を加圧する気体の供給源である窒素ガスタンク342、窒素ガスを加圧するポンプ343および配管336で構成される。窒素ガスタンク342は配管336により第一凝固対象液タンク341と管路接続されており、また配管336にはポンプ343が介挿されている。
【0106】
第一凝固対象液タンク341内には気圧センサ(図示省略)が設けられ、制御ユニット97と電気的に接続されている。制御ユニット97は、気圧センサが検出した値に基づいてポンプ343の動作を制御することにより、第一凝固対象液タンク341内の気圧を大気圧より高い所定の気圧に維持する。これにより、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、開閉弁337を開成すると、加圧されている第一凝固対象液タンク341内から第一凝固対象液が押し出され、配管335を介してノズル311から吐出される。尚、第一凝固対象液タンク341は、上記のとおり窒素ガスによる気圧を用いて第一凝固対象液を供給するため、気密に構成されることが好ましい。
【0107】
第一凝固対象液供給ユニット333からノズル311に送られる第一凝固対象液は、途中の配管335において、配管335の外側の雰囲気により冷却され、ノズル311から吐出される第一凝固対象液の流量や温度が不安定になる、あるいは配管335やノズル331の内部で凝固してノズル311から吐出自体出来なくなる可能性がある。
【0108】
従って、第一凝固対象液供給ユニット333からノズル311に至る経路において、第一凝固対象液を保温することが好ましい。即ち、配管335を断熱材と一体となった断熱性の配管や真空断熱配管とする、配管335に発泡ポリエチレンなどの断熱材を取り付けて断熱する等、公知の断熱方法を使用することが好ましい。また、配管335を二重配管にして、外側の配管内に加熱した気体や液体を循環させる、配管335にケーブルヒーターやシリコンラバーヒーター等のヒーターを取り付けるなど、公知の方法により第一凝固対象液の温度を維持することが更に好ましい。
【0109】
尚、第一凝固対象液の温度調整を行う方法は、上記した方法に限られず、第一凝固対象液タンク341の壁面自体を温度調整する方法や、熱交換パイプ347に替えてペルチェ素子のユニットを浸漬して温度調整する方法等、公知の温度調整方法を用いることができる。
【0110】
また、第一凝固対象液タンク341内の第一凝固対象液の温度を均一にする方法としては、上記した方法に限られず、別途循環用のポンプを設けて第一凝固対象液を循環する方法等、公知の方法を用いることができる。
【0111】
次に、凝固部35の構成について図11を用いて説明する。図11は凝固部35の構成を示す模式図である。基板Wに凝固用気体を供給するノズル351は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構353により、昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構353のベース部材355は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に伸びるように固設されている。
【0112】
ベース部材355の下方には、旋回上下軸357が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材355は旋回上下軸357と、後述する上下駆動部361及び旋回駆動部359を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸357はベース部材355に対して昇降可能及び回転可能に支持される。旋回上下軸357の下面にはアーム363の一端が結合されており、アーム363の他端にノズル351が取り付けられている。
【0113】
旋回上下軸357はベース部材355の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部361及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部359に接続されている。また、上下駆動部361及び旋回駆動部359は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部361及び旋回駆動部359は上側空間905に配設される。
【0114】
制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、上下駆動部361を駆動する。これにより、旋回上下軸357が上下に移動し、アーム363に取り付けられているノズル351を上下に移動する。また、制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、旋回駆動部359を駆動する。これにより、旋回上下軸357が中心軸A3を中心に回転し、アーム363を旋回することで、アーム363に取り付けられたノズル351を揺動する。
【0115】
ノズル351は配管375を介して凝固用窒素ガス供給ユニット373と管路接続されている。また、凝固用窒素ガス供給ユニット373は制御ユニット97に電気的に接続されている。この凝固用窒素ガス供給ユニット373は、第二凝固対象液の凝固点より低い温度の窒素ガスを配管375及びノズル351を介して基板表面Wfに供給する。尚、凝固用窒素ガス供給ユニット373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0116】
図12に凝固用窒素ガス供給ユニット373の構成を示す。凝固用窒素ガス供給ユニット373は、液体窒素の冷熱を用いて窒素ガスを冷却するガス冷却ユニット611、液体窒素を貯蔵する液体窒素タンク613、液体窒素タンク613から液体窒素をガス冷却ユニット611へ供給するポンプ615、窒素ガスを貯蔵する窒素ガスタンク619、窒素ガスタンク619から窒素ガスをガス冷却ユニット611へ供給するポンプ621および窒素ガスタンク619からガス冷却ユニット611に供給される窒素ガスの流量を制御するマスフローコントローラ625で構成される。
【0117】
ガス冷却ユニット611の容器627は内部に液体窒素を貯留できるようタンク状になっており、液体窒素の温度(−(マイナス)195.8℃(摂氏))に耐えうる材料、例えば、ガラス、石英またはHDPE(高密度ポリエチレン:High Density Polyetylene)により形成されている。なお、容器627を断熱容器で覆う二重構造を採用してもよい。この場合、断熱容器は、外部の雰囲気と容器627との間での熱移動を抑制するために、断熱性の高い材料、例えば発泡性樹脂やPVC(ポリ塩化ビニル樹脂:Polyvinyl Chloride)などにより形成するのが好ましい。
【0118】
容器627は配管617を介して液体窒素タンク613に管路接続されており、配管617にはポンプ615が介挿されている。また、ポンプ615は制御ユニット97と電気的に接続されている。また、容器627内には液面センサ(図示省略)が設けられ、制御ユニット97と電気的に接続されている。制御ユニット97は、液面センサが検出した値に基づいてポンプ615の動作を制御することにより、容器627内に貯留される液体窒素の量を一定に保持する。
【0119】
また、容器627の内部には、ステンレス、銅などの金属管で形成されたコイル状の熱交換パイプ629がガス通送路として設けられ、容器627に貯留された液体窒素に浸漬されている。熱交換パイプ629の一方の端(図12において容器627の側壁上方から右に突出する側)は、配管623を介して窒素ガスタンク619に管路接続されており、配管623にはポンプ621が介挿され、ポンプ621と容器627の間にはマスフローコントローラ625が介挿されている。
【0120】
マスフローコントローラ625は制御ユニット97と電気的に接続されている。また、熱交換パイプ629の他方の端(図12において容器627の上方に突出する側)は、配管375を介してノズル351に管路接続されている。尚、ポンプ621は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0121】
制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、マスフローコントローラ625を所定の流量となるように開放する。これにより、窒素ガスが窒素ガスタンク619からガス冷却ユニット611内の熱交換パイプ629に供給され、熱交換パイプ629内を通過する間、容器627内に貯留された液体窒素の冷熱により冷却される。熱交換パイプ629内を通過するうちに冷却された窒素ガスは配管375を介してノズル351へと供給される。
【0122】
尚、熱交換パイプ629の他方の端(図12において容器627の上方に突出する側)と容器627の間には微小な空間が設けられており、容器627の内部の空間から排気管路631に至る連通した流通経路を形成している。容器627の内部に貯留された液体窒素は、熱交換パイプ629の中を流れる窒素ガスを冷却して気化し、気化した窒素ガスは、この流通経路を通り排気管路631を介して図示しない排気系統に排出される。
【0123】
尚、本実施形態においては凝固用気体として窒素ガスを用いたが、凝固用気体としては窒素ガスに限らず、乾燥空気、オゾンガス、アルゴンガス等の他の気体を使用することも可能である。また、凝固用気体を冷却する手段としては、液体窒素に限らず、液体ヘリウム等の低温の液体を使用することが可能であり、またペルチェ素子を用いて電気的に冷却することも可能である。
【0124】
また、凝固用窒素ガス供給ユニット373に液体窒素タンク613及び窒素ガスタンク619を設けず、工場ユーティリティー側から液体窒素と窒素ガスを供給する構成とすることも可能である。尚、凝固用窒素ガス供給ユニット373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0125】
次に、リンス部51および乾燥用気体供給部55の構成について図13を用いて説明する。図13は、リンス部51および乾燥用気体供給部55の構成を示す模式図である。リンス部51は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するものであり、乾燥用気体供給部55は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給するものである。
【0126】
まず、基板表面Wf側の管路構成について説明する。前述の雰囲気遮断部23の遮断部材回転機構235の上面から、遮断部材231の中心部の開口まで連通する中空部の内部に上側第一供給管271が挿通されるとともに、当該上側第一供給管271に上側第二供給管273が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この上側第一供給管271及び上側第二供給管273の下方端部は遮断部材231の開口に延設されており、上側第二供給管273の先端にノズル275が設けられている。
【0127】
次に、基板裏面Wb側の管路構成について説明する。前述の基板保持部11のスピンベース113の上面から中心軸117を通って下側空間906に至る連通空間の内部に下側第一供給管281が挿通されるとともに、当該下側第一供給管281に下側第二供給管283が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この下側第一供給管281及び下側第二供給管283の上方端部はスピンベース113の開口に延設されており、下側第二供給管283の先端にノズル291が設けられている。
【0128】
次に、リンス部51について説明する。リンス部51はリンス液の供給源であるリンス液供給ユニット513から基板表面Wfおよび基板裏面Wbにそれぞれリンス液を供給する。図示しないDIWタンク、温度調整ユニット及びポンプを有するリンス液供給ユニット513に主配管515の一端が管路接続されている。主配管515の他端は、上側分岐配管517および下側分岐配管521に分岐し、上側分岐配管517は上側第二供給管273に、下側分岐配管521は下側第二供給管283にそれぞれ管路接続されている。また、リンス液供給ユニット513のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0129】
上側分岐配管517には開閉弁519が介挿されている。なお、開閉弁519は常時閉成されている。開閉弁519は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97がリンス部51へ動作指令を行い、開閉弁519を開成する。これにより、リンス液がリンス液供給ユニット513から主配管515、上側分岐配管517、上側第二供給管273及びノズル275を介して基板表面Wfに供給される。
【0130】
下側分岐配管521には開閉弁523が介挿されている。なお、開閉弁523は常時閉成されている。開閉弁523は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97がリンス部51へ動作指令を行い、開閉弁523を開成する。これにより、リンス液がリンス液供給ユニット513から主配管515、下側分岐配管521、下側第二供給管283及びノズル291を介して基板裏面Wbに供給される。
【0131】
この、リンス液供給ユニット513、主配管515、上側分岐配管517、下側分岐配管521、開閉弁519、開閉弁523、上側第二供給管273、下側第二供給管283、ノズル275及びノズル291がリンス部51を構成する。尚、リンス液供給ユニット513は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0132】
次に、乾燥用気体供給部55について説明する。乾燥用気体供給部55は乾燥用気体の供給源である乾燥用窒素ガス供給ユニット553から基板表面Wf及び基板裏面Wbにそれぞれ乾燥用窒素ガスを供給する。図示しない窒素ガスタンク及びポンプを有する乾燥用窒素ガス供給ユニット553に主配管555の一端が管路接続されている。主配管555の他端は、上側分岐配管557および下側分岐配管561に分岐し、上側分岐配管557は上側第一供給管271に、下側分岐配管は下側第一供給管281にそれぞれ管路接続している。また、乾燥用窒素ガス供給ユニット553のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
【0133】
上側分岐配管557にはマスフローコントローラ559が介挿されている。マスフローコントローラ559は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が乾燥用気体供給部55へ動作指令を行い、マスフローコントローラ559を所定流量となるように開放する。これにより、常温の窒素ガスが主配管555、上側分岐配管557及び上側第一供給管271の内面と上側第二供給管273の外面との間の空間を介して基板表面Wfに供給される。
【0134】
下側分岐配管561にはマスフローコントローラ563が介挿されている。マスフローコントローラ563は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97が乾燥用気体供給部55へ動作指令を行い、マスフローコントローラ563を所定流量となるように開放する。これにより、常温の窒素ガスが主配管555、下側分岐配管561及び下側第一供給管281の内面と下側第二供給管の外面との間の空間を介して基板裏面Wbに供給される。
【0135】
この、乾燥用窒素ガス供給ユニット553、主配管555、上側分岐配管557、下側分岐配管561、マスフローコントローラ559、マスフローコントローラ563、上側第一供給管271及び下側第一供給管281が乾燥用気体供給部55を構成する。尚、乾燥用窒素ガス供給ユニット553は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
【0136】
制御ユニット97は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備える。磁気ディスクには、基板Wに応じた洗浄条件が、洗浄プログラム(レシピとも呼ばれる)として予め格納されおり、CPUがその内容をRAMに読み出し、RAMに読み出された洗浄プログラムの内容に従ってCPUが基板処理装置9の各部を制御する。尚、制御ユニット97には洗浄プログラムの作成・変更や、複数の洗浄プログラムの中から所望のものを選択するために用いる操作部971(図1参照)が接続されている。
【0137】
次に、上記のように構成された基板処理装置9における洗浄処理動作について図14を参照して説明する。図14は基板処理装置9の全体の動作を示すフローチャートである。尚、以下の説明において特に断らない限り、雰囲気遮断部23は、遮断部材231が対向位置にある場合、基板保持部11の基板回転機構121がスピンベース113を回転する方向に略同じ回転数で遮断部材231を回転するものとする。
【0138】
まず、所定の基板Wに応じた洗浄プログラムが操作部971で選択され、実行指示される。その後、基板Wを処理ユニット91に搬入する準備として、制御ユニット97が動作指令を行い以下の動作をする。
【0139】
すなわち、雰囲気遮断部23が遮断部材231の回転を停止し、基板保持部11がスピンベース113の回転を停止する。雰囲気遮断部23が遮断部材231を離間位置へ移動すると共に、基板保持部11がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。また、排液捕集部21がカップ210をホームポジションに位置決めする。スピンベース113が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、基板保持部11が基板保持部材115開を状態とする。
【0140】
また、第一凝固対象液供給部31がノズル311を、凝固部35がノズル351を、第二凝固対象液供給部43がノズル411をそれぞれ退避位置(各ノズルがカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。更に、開閉弁337、436、437、457、519及び523を閉成する。また、マスフローコントローラ559、563及び625を流量0(ゼロ)に設定する。
【0141】
基板Wを処理ユニット91に搬入する準備が完了した後、未処理の基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程(ステップS101)を行う。即ち、インデクサロボット931がオープナー94上のFOUP949の所定の位置にある基板Wを下側のハンド933で取り出し、シャトル95の下側のハンド951に載置する。その後、シャトル95の下側のハンド951をセンターロボット96の側に移動し、センターロボット96がシャトル95の下側のハンド951上の基板Wを、下側のハンド961で取り上げる。
【0142】
その後、処理ユニット91のシャッター911が開かれ、センターロボット96が下側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを基板保持部11の基板保持部材115の基板支持部の上に載置する。基板Wの処理ユニット91への搬入が終了すると、センターロボット96が下側のハンド961を縮めて処理ユニット91内の外に出すとともに、シャッター911が閉じる。
【0143】
未処理の基板Wが処理ユニット91内に搬入され、基板保持部材115の基板支持部の上に載置されると、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、基板保持部材115を閉状態とする。
【0144】
未処理の基板Wが基板保持部11に保持された後、基板表面Wfに対して、第一凝固対象液であるターシャリーブタノールを供給する第一凝固対象液供給工程(ステップS102)を行う。まず、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転を開始し、第一凝固対象液供給工程の間維持する。また、制御ユニット97が排液捕集部21へ動作指令を行い、カップ210を中捕集位置に位置決めする。尚、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置を維持する。
【0145】
第一凝固対象液供給工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給されたターシャリーブタノールが基板表面Wfの全面に拡散可能なように300〜1000rpmとすることが好ましい。以下では、第一凝固対象液供給工程における基板Wの回転数を500rpmとして説明する。
【0146】
また、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、ノズル311を基板表面Wfの中心付近上空へ位置決めする。ノズル311の位置決めが完了した後、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、開閉弁337を開成する。これにより、ターシャリーブタノールを、第一凝固対象液供給部333から配管335及びノズル311を介して基板表面Wfの中心付近に供給する。
【0147】
尚、ターシャリーブタノールは、基板表面Wfに液体の状態で供給することが好ましい。本実施形態では、ターシャリーブタノールを、第一凝固対象液タンク341の中で温度調整ユニット345により、凝固点(25.6℃(摂氏))以上沸点(82.5℃(摂氏))以下の温度に調節して供給する。尚、後述の低温第二凝固対象液供給工程によりターシャリーブタノールを凝固させる時間を短縮するため、ターシャリーブタノールの温度は凝固点以上で低い温度であることが好ましい。以下では、ターシャリーブタノールの温度を30℃(摂氏)として説明する。
【0148】
基板表面Wfの中心付近に供給されたターシャリーブタノールは、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散する。このターシャリーブタノールの流動に伴って、基板表面Wfに形成されたパターン間隙内部にまでターシャリーブタノールが侵入する。
【0149】
基板表面Wfの全面にターシャリーブタノールが拡散した後、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、開閉弁337を閉成する。また、制御ユニット97が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、ノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0150】
次に、ターシャリーブタノールが付着している基板表面Wfに第一の温度の第二凝固対象液であるDIWを供給する高温第二凝固対象液供給工程(ステップS103)を行う。まず、制御ユニット97が排液捕集部21へ動作指令を行い、カップ210を外捕集位置に位置決めする。尚、基板Wの回転は第一凝固対象液供給工程の際の回転数と同じ回転数を維持する。また、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置を維持する。
【0151】
また、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、ノズル411を基板表面Wfの中心付近上空へ位置決めする。ノズル411の位置決めが完了した後、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁436を開成する。これにより、DIWを第一温度調整ユニット445により第一の温度に調整し、配管438、配管435、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfの中心付近に供給する。以下、第一の温度のDIWを「高温DIW」と称する。
【0152】
尚、高温DIWは、ターシャリーブタノールを液体の状態として基板上から押し流すため、ターシャリーブタノールの凝固点(25.6℃(摂氏))以上沸点(82.5℃(摂氏))以下の第一の温度に調整されて供給するのが好ましい。以下では、高温DIWの温度を30℃(摂氏)として説明する。
【0153】
基板表面Wfの中心付近に供給された高温DIWは、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって基板表面Wfに付着した第一凝固対象液を押し流しながら流動する。また、ターシャリーブタノールはDIWに溶解しやすいため、高温DIWに溶解することによっても基板表面Wf上から除去される。
【0154】
ただし、基板表面Wfに形成されたパターンは微細なものであり、高温DIWがパターン間隙内部の微小領域に侵入する速度は、パターン間隙内部以外の領域において高温DIWがターシャリーブタノールを押し流し、あるいは溶解して除去する速度よりはるかに遅い。従って、高温第二凝固対象液供給工程を行う時間を、パターン間隙内部以外の領域において高温DIWがターシャリーブタノールを押し流し、あるいは溶解して除去するに足る時間とすることで、基板表面Wfに形成されたパターン間隙内部にのみターシャリーブタノールを残留させることができる。
【0155】
尚、後続する低温第二凝固対象液供給工程においても基板表面に供給された第二の温度のDIWによりターシャリーブタノールが押し流され、溶解されて除去される量を勘案し、高温第二凝固対象液供給工程を継続する時間を、パターン間隙内部以外の領域から完全にターシャリーブタノールが除去されうる時間よりも短くしてもよい。
【0156】
パターン間隙内部以外の領域において高温DIWがターシャリーブタノールを押し流し、あるいは溶解して除去して、パターン間隙内部にのみターシャリーブタノールを残留させた後、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁436を閉成する。
【0157】
次に、基板表面Wfに第二の温度のDIWを供給する低温第二凝固対象液供給工程(ステップS104)を行う。まず、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転数を変更し、低温第二凝固対象液供給工程の間維持する。尚、排液捕集部21のカップ210は外捕集位置、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置のまま維持する。
【0158】
低温第二凝固対象液供給工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された第二の温度のDIWが基板表面Wfの全面に拡散し、基板表面Wfに安定して液膜を形成可能なように300〜500rpmとすることが好ましい。以下では、低温第二凝固対象液供給工程における基板Wの回転数を400rpmとして説明する。
【0159】
次に、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁437を開成する。これにより、DIWを第二温度調整ユニット446により第二の温度に調整し、配管439、配管435、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfの中心付近に供給する。以下、第二の温度の第二凝固対象液を「低温DIW」と記載する。
【0160】
ここで、低温DIWは、ターシャリーブタノールを冷却して凝固するため、ターシャリーブタノールの凝固点(25.6℃(摂氏))以下の第二の温度に調整される。尚、後述する凝固工程においてDIWを凝固させる時間を短縮するため、低温DIW液は、DIWの凝固点以上であってDIWの凝固点に近い温度であることが望ましい。以下では、低温DIWの温度を0.5℃(摂氏)として説明する。
【0161】
基板表面Wfの中心付近に供給された低温DIWは、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって基板表面Wf上に存在する高温DIWを押し流しながら流動する。
【0162】
基板表面Wfに供給されて基板表面Wf全体に広がりながら流動する低温DIWは、基板Wおよびパターン間隙内部のターシャリーブタノールを冷却する。パターン間隙内部のターシャリーブタノールは、その温度が凝固点より低くなった時点で凝固する。
【0163】
パターン間隙内部の微小領域に残留して凝固したターシャリーブタノールの凝固体は、パターンと一体となった塊(固形物)と見做せる状態となり、パターンが構造的に補強される。従って、後述する凝固工程においてDIWが凝固して膨張することによる力(特に基板表面Wfと平行に働く力)に対抗することが可能となり、パターン剥離等のダメージを防止することが可能となる。
【0164】
通常の物質は温度が低下するに従って体積が小さくなる(密度が大きくなる)、即ち温度に対して正の膨張率を有する。これに対し、水は4℃(摂氏)以上では正の膨張率を示すものの、それ以下においては負の膨張率(温度が低下するに従って体積が大きくなる(密度が小さくなる))を有する。特に、水が氷に相転移する際に大きく膨張する。これは、氷の結晶構造が、1つの水分子の周りに他の水分子が4個しかない(4配位)という特異な構造を有するためである。換言すると、一つの水分子を中心にして正4面体的に4個の隣接分子と水素結合で結び付いた構造となる。
【0165】
この4配位構造は全ての結晶の中で最も小さな配位数であり、分子間の空間が最も大きな構造である。このため、このような規則的な配列構造を有しない液体の水よりも体積が増加(密度が低下)する。
【0166】
これに対し、ターシャリーブタノールは液体の状態で密度が0.786g/cmであり、固体の状態では0.79g/cmである。即ち、液体より固体のほうが密度が大きく、液体から固体へ相変化した場合には体積が減少する。
【0167】
即ち、第二凝固対象液であるDIWと第一凝固対象液であるターシャリーブタノールがそれぞれ液体から固体に相変化した場合の体積変化を比較すると、ターシャリーブタノールの方が小さい。従って、パターン間隙内部でターシャリーブタノールが凝固しても、周囲のパターンに与える応力が小さく、パターン剥離等のダメージを生ずることはない。
【0168】
この、高温第二凝固対象液供給工程および低温第二凝固対象液供給工程が第二凝固対象液供給工程を構成する。
【0169】
尚、本実施形態では、高温第二凝固対象液供給工程および低温第二凝固対象液供給工程においてそれぞれ別の温度に調整されたDIWを択一的に吐出していたが、それぞれの温度のDIWを、それぞれの流量を調整しながら同時に吐出して配管435内で混合し、基板表面Wfに供給するDIWの温度を変更することも可能である。
【0170】
パターン間隙内部のターシャリーブタノールが凝固した後、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁437を閉成する。また、制御ユニット97が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、ノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0171】
次に、基板表面に形成されたDIWの液膜を凝固する凝固工程(ステップS105)を行う。まず、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転数を変更し、凝固工程の間維持する。凝固工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに形成されたDIWの液膜を均一に凝固可能なように30〜100rpmの回転数で回転することが望ましい。以下では、凝固工程における基板Wの回転数を60rpmとして説明する。また、制御ユニット97が排液捕集部21へ動作指令を行い、カップ210を内捕集位置に位置決めする。尚、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置のまま維持する。
【0172】
また、制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、ノズル351を基板表面Wfの中心付近上空へ位置決めする。ノズル351の位置決めが完了した後、制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、DIWの凝固点(0℃(摂氏))より低い温度に調整された凝固用気体である窒素ガスを、ノズル351から基板表面Wfの中心部付近に供給する。
【0173】
尚、後述するように、回転する基板Wの表面Wf上を基板Wの中心付近上空から端部上空まで移動するノズル351から窒素ガスを吐出し、基板表面Wf上のDIWおよびターシャリーブタノールを冷却するため、基板W上の単位面積当たりに供給される冷熱の量は限られている。また、液体および固体を気体で冷却する効率、および、雰囲気からの吸熱も考慮して、窒素ガスは−50℃〜−(マイナス)190℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、窒素ガスの温度を−(マイナス)190℃(摂氏)に調整するとして説明する。
【0174】
ノズル351から窒素ガスの吐出を開始した後、制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、ノズル351を基板表面Wfの中心付近上空から基板表面Wfの周縁部付近上空へ旋回移動させる。このように、基板Wを回転しながらノズル351を基板表面Wfの中心付近上空から周縁部付近上空まで旋回移動することで、基板表面Wf全面に窒素ガスを吹きつけることが可能となり、基板表面Wf全面に均一にDIWの凝固体を形成することが可能となる。
【0175】
DIWは、凝固して氷となることにより体積が増加する(0℃(摂氏)の水が0度℃(摂氏)の氷になると、その体積はおよそ1.1倍に増加する)。従って、基板表面Wfとパーティクル等との間に侵入したDIWが凝固して膨張することにより、パーティクル等が基板表面Wfから微小距離だけ離間する。その結果、基板表面Wfとパーティクル等との間の付着力が低減され、さらにはパーティクル等が基板Wから脱離することとなる。また、基板表面Wfと平行な方向にも膨張することにより、基板に固着しているパーティクル等を剥離する。これにより、後述する除去工程によりDIWの凝固体である氷を除去するとともに、パーティクル等も併せて除去する。
【0176】
尚、前述のとおり、パターン間隙内部の微小領域には、ターシャリーブタノールが残留して凝固しているため、パターンと一体となった塊(固形物)と見做せる状態となり、パターンを構造的に補強している。従って、DIWが凝固して体積が膨張することによる力に対抗して基板表面Wf上に固着したままの状態を維持することができ、パターンが基板表面Wfから剥離する等のダメージが生じない。
【0177】
尚、ノズル351の旋回移動は、基板表面Wfの中心付近上空から基板表面Wfの周縁部付近上空へ1回移動するだけでなく、中心付近上空から周縁部付近上空への移動を複数回繰り返したり、中心付近上空と周縁部付近上空との間で往復運動させてもよい。
【0178】
基板Wf全面にDIWの凝固体を形成した後、制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、窒素ガスの供給を停止する。また、制御ユニット97が凝固部35へ動作指令を行い、ノズル351を退避位置(ノズル351がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0179】
次に、基板表面Wf上に形成したDIWの凝固体と、パターン間隙内部に残留するターシャリーブタノールの凝固体を除去する除去工程(ステップS106)を行う。まず、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転数を変更し、除去工程の間維持する。尚、カップ210は内捕集位置、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置のまま維持する。
【0180】
除去工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された除去液であるDIWが基板表面Wfの全面に拡散可能であり、かつ基板表面Wfを拡散する流れにより、基板表面Wfから脱離したパーティクル等を押し流すことが可能なように1500〜2500rpmとすることが好ましい。以下では、除去工程における基板Wの回転数を2000rpmとして説明する。
【0181】
また、制御ユニット97が除去部45へ動作指令を行い、ノズル411を基板表面Wfの中心付近の上空へ位置決めする。ノズル411の位置決めが完了した後、制御ユニット97が除去部45へ動作指令を行い、開閉弁457を開成する。これにより、除去液を除去液供給ユニット453から配管455、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfの中心付近に供給する。
【0182】
基板表面Wfに供給される除去液は、ターシャリーブタノールを融解することにより速やかに基板表面Wfから除去するため、ターシャリーブタノールの凝固点(25.6℃(摂氏))よりも高い温度で供給することが望ましい。また、基板表面Wf上に形成された第二凝固対象液であるDIWの凝固体を速やかに解凍し、基板表面を流動する液体の中に未解凍の氷の結晶が浮遊してパターンに衝突することによるダメージを防止するため、50℃(摂氏)から90℃(摂氏)の温度に調節することが好ましい。以下では、除去液として80℃(摂氏)のDIWが供給されるとして説明する。
【0183】
基板表面Wfの中心付近に供給された除去液は、基板Wの回転に伴う遠心力により、基板表面Wfの中心付近から基板表面Wfの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散した後、基板外へ飛散して、排液捕集部21により捕集されて排液される。基板表面Wf上に拡散した除去液は、基板表面Wf上に形成された第二凝固対象液であるDIWの凝固体を急速に解凍するとともに、基板表面Wfから脱離したパーティクル等をその流れにより押し流し、併せてパターン間隙内部のターシャリーブタノールも溶解して除去する。
【0184】
パターン間隙内部の微小空間に対する除去液としてのDIWの侵入速度は遅くはあるが全く侵入しないということではなく、時間の経過と共にパターン間隙内部に侵入しながらターシャリーブタノールを溶解し、最終的にはパターン間隙内部のターシャリーブタノールがDIWに置換される。従って、除去工程を実施する時間は、少なくともパターン間隙内部のターシャリーブタノールが除去されるに足る時間とすればよい。
【0185】
除去工程を所定の時間継続した後、制御ユニット97が除去部45へ動作指令を行い、開閉弁457を閉成する。また、制御ユニット97が除去部45へ動作指令を行い、ノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0186】
次に、リンス工程を行う(ステップS107)。制御ユニット97が雰囲気遮断部23へ動作指示を行い、遮断部材231を対向位置へ移動する。また、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転数を変更し、リンス工程の間維持する。尚、カップ210は内捕集位置のまま維持する。
【0187】
リンス工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに供給されたリンス液としてのDIWが基板表面Wfおよび基板裏面Wbの全面に拡散可能であり、かつ基板表面Wfを拡散する流れにより、基板表面Wfに残留する除去液を排除可能なように300〜1000rpmとすることが好ましい。以下では、リンス工程における基板Wの回転数を800rpmとして説明する。
【0188】
遮断部材231を対向位置に位置決めした後、制御ユニット97がリンス部51へ動作指示を行い、開閉弁519及び開閉弁523を開成する。
【0189】
これにより、リンス液をリンス液供給ユニット513から、主配管515、上側分岐配管517、上側第二供給管273及びノズル275を介して基板表面Wfへ、また、主配管515、下側分岐配管521、下側第二供給管283及びノズル291を介して基板裏面Wbへ供給する。基板表面Wf及び基板裏面Wbのそれぞれ中心付近に供給されたリンス液は、基板Wの回転による遠心力により、基板周縁方向に流動し、最終的には基板周縁部から基板W外へ飛散し、排液捕集部21に捕集されて排液される。
【0190】
尚、リンス液は、先行する各工程において基板Wの裏面Wbへ飛散したDIW等や、雰囲気の中に浮遊していたパーティクル等が基板Wに付着したものなどを除去する役割をも果たす。
【0191】
リンス工程終了後、制御ユニット97がリンス部51へ動作指令を行い、開閉弁519及び開閉弁523を閉成する。
【0192】
次に、基板Wを乾燥する乾燥工程を行う(ステップS108)。制御ユニット97が乾燥用気体供給部55へ動作指令を行い、マスフローコントローラ559とマスフローコントローラ563を所定流量となるように開放する。尚、雰囲気遮断部23の遮断部材231は対向位置のまま維持し、カップ210は内捕集位置のまま維持する。
【0193】
これにより、常温の窒素ガスが乾燥用窒素ガス供給ユニット553から、主配管555、上側分岐配管557及び上側第一供給管271の内面と上側第二供給管273の外面との間隙を介して基板表面Wfへ、また、主配管555、下側分岐配管561及び下側第一供給管281の内面と下側第二供給管283の外面との間隙を介して基板裏面Wbへ供給される。窒素ガスが対向位置に位置決めされた遮断部材231の下面と基板表面Wfとの間の空間に充満し、また、スピンベース113の上面と基板裏面Wbとの間の空間に充満することにより、基板表面Wf及び基板裏面Wbと外気とが接触することを防止する。
【0194】
基板Wが外気から遮断された後、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転数を変更し、乾燥工程の間維持する。乾燥工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに残留したリンス液を遠心力により基板Wの外に振り切ることが可能なように1500〜3000rpmとすることが好ましい。以下では、乾燥工程における基板Wの回転数を2000rpmとして説明する。
【0195】
基板Wの乾燥完了後、制御ユニット97が乾燥用気体供給部55へ動作指令を行い、マスフローコントローラ559とマスフローコントローラ563を流量0(ゼロ)に設定する。また、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転を停止する。また、制御ユニット97が雰囲気遮断部23へ動作指令を行い、遮断部材231の回転を停止する。また、制御ユニット97が排液捕集部21へ動作指令を行い、カップ210をホームポジションに位置決めする。スピンベース113の回転が停止した後、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。更に、制御ユニット97が雰囲気遮断部23へ動作指令を行い、遮断部材231を離間位置へ移動する。
【0196】
最後に、基板Wを処理ユニット91から搬出する基板搬出工程を行う(ステップS109)。基板保持部11を基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めした後、制御ユニット97が基板保持部11へ動作指令を行い、基板保持部材115を開状態として基板Wを基板支持部の上に載置する。
【0197】
その後、シャッター911を開放し、センターロボット96が上側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを処理ユニット91の外に搬出し、シャトル95の上側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は上側のハンド951をインデクサユニット93の側に移動する。
【0198】
そして、インデクサロボット931が上側のハンド933でシャトル95の上側のハンド951に保持されている基板Wを取り出し、FOUP949の所定の位置に搬入し、一連の処理が終了する。
【0199】
以上のように、本実施形態では、パターン間隙内部の微小領域に、ターシャリーブタノールを残留させて凝固するため、ターシャリーブタノールの凝固体とパターンとが一体となった塊(固形物)と見做せる状態となり、パターンが構造的に補強される。従って、後続の凝固工程においてDIWが凝固して膨張することによる力(特に基板表面Wfと平行に働く力)に対抗することが可能となり、パターン剥離等のダメージを防止できる。
【0200】
また、第二凝固対象液であるDIWと第一凝固対象液であるターシャリーブタノールが、それぞれ液体から固体に相変化した場合の体積変化を比較すると、ターシャリーブタノールの方が小さい。従って、パターン間隙内部でターシャリーブタノールが凝固しても、周囲のパターンに与える応力が小さく、パターン剥離等のダメージを生ずることはない。
【0201】
尚、上記第一実施形態では、第一凝固対象液としてターシャリーブタノールを使用しているが、第二凝固対象液であるDIWの凝固点より高い凝固点を有し、かつ液体から固体への相変化時の体積変化がDIWより小さい物質であれば他の物質を使用することも可能である。例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)(化学式:C、凝固点:36.4℃(摂氏))等である。尚、これらは希釈されていても良い。
【0202】
また、第一凝固対象液として使用する物質の凝固点は、第一凝固対象液を液体として供給した後、あるいは第一凝固対象液を除去する場合に第二凝固対象液が蒸発してしまわないよう、第二凝固対象液の沸点より低い温度が好ましい。また、第一凝固対象液として使用する物質の凝固点は、除去工程の際に融解して除去できるよう、除去液の沸点より低い温度であることが好ましい。
【0203】
また、第一凝固対象液供給工程において、基板表面Wfに供給された液体状態のターシャリーブタノールが凝固しないように、予め基板Wをターシャリーブタノールの凝固点以上の温度としておいてもよい。例えば、高温の気体を基板表面Wfあるいは基板裏面Wbあるいはその両面に吐出する、基板裏面Wbに高温の液体を吐出する等の方法を用いることができる。また、第一凝固対象液供給工程の前に高温第二凝固対象液供給工程で使用する高温DIWを基板表面Wfに吐出することで基板Wの温度を調整してもよい。
【0204】
<第二実施形態>
次に、この発明にかかる基板処理装置の第二実施形態を説明する。この第二実施形態が第一実施形態と大きく相違する点は、高温第二凝固対象液供給工程を行わずに低温凝固対象液供給工程のみでパターン間隙内部以外の領域のターシャリーブタノールを除去する点、及び除去工程としてDIWの凝固点以上、ターシャリーブタノールの凝固点以下の温度の除去液を供給する点である。
【0205】
尚、第二実施形態の構成は図3ないし図13に示す基板処理装置9及び処理ユニット91と基本的に同一であるため、以下の説明では同一符号を付して構成説明を省略する。
【0206】
以下、第二実施形態における基板処理装置9の動作を図15に基づいて説明する。図15は第二実施形態における基板処理装置9の全体の動作を示すフローチャートである。この第二実施形態においても第一実施形態と同様に基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程(S201)および基板表面Wfにターシャリーブタノールを供給する第一凝固対象液供給工程(S202)を行う。
【0207】
基板表面Wfの全面に第一凝固対象液が拡散した後、制御ユニット997が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、開閉弁337を閉成する。また、制御ユニット997が第一凝固対象液供給部31へ動作指令を行い、ノズル311を基板表面Wfの退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0208】
次に、ターシャリーブタノールが付着している基板表面WfにDIWを供給する第二凝固対象液供給工程(ステップS203)を行う。まず、制御ユニット997が排液捕集部21へ動作指令を行い、カップ210を外捕集位置に位置決めする。尚、基板Wの回転は第一凝固対象液供給工程の際の回転数と同じ回転数を維持する。また、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置のまま維持する。
【0209】
また、制御ユニット997が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、ノズル411を基板表面Wfの中心付近上空へ位置決めする。ノズル411の位置決めが完了した後、制御ユニット997が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁437を開成する。これにより、ターシャリーブタノールの凝固点より低い温度のDIWが、第二凝固対象液供給ユニット433から配管439、配管435、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfの中心付近に供給される。
【0210】
尚、DIWは、ターシャリーブタノールを凝固し、後述する凝固工程において凝固に要する時間を短縮し、また温度が高いゆえに、凝固工程において凝固される前にDIWが蒸発してDIW液膜がなくなることで基板表面Wfを洗浄できなくなる事態を防止するため、0℃〜5℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、DIWの温度を0.5℃(摂氏)であるとして説明する。
【0211】
基板表面Wfの中心付近に供給されたDIWは、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって基板表面Wfに付着したターシャリーブタノールを凝固しながら流動する。また、ターシャリーブタノールはDIWに溶解しやすいため、DIWの流動にともなって基板表面Wf上から除去される。
【0212】
ただし、基板表面Wfに形成されたパターンは微細なものであり、DIWがターシャリーブタノールを溶解しながらパターン間隙内部の微小領域に侵入する速度は、パターン間隙内部以外の領域においてDIWがターシャリーブタノールを溶解して除去する速度よりはるかに遅い。従って、第二凝固対象液供給工程が行われる時間を、少なくともパターン間隙内部以外の領域においてDIWがターシャリーブタノールを溶解して除去するに足る時間とすることで、基板表面Wfに形成されたパターン間隙内部にのみターシャリーブタノールを残留させることができる。
【0213】
所定の時間第二凝固対象液供給工程を継続した後、制御ユニット997が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、開閉弁437を閉成する。また、制御ユニット997が第二凝固対象液供給部43へ動作指令を行い、ノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0214】
その後、第一実施形態と同様、凝固工程(ステップS204)を行い、次に基板表面Wf上に形成した第二凝固対象液の凝固体と、パターン間隙内部に残留するターシャリーブタノールの凝固体を除去する除去工程(ステップS205)を行う。まず、制御ユニット997が基板保持部11へ動作指令を行い、スピンベース113の回転数を変更し、除去工程の間維持する。尚、カップ210は内捕集位置、雰囲気遮断部23の遮断部材231は離間位置のまま維持する。
【0215】
除去工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された除去液であるDIWが基板表面Wfの全面に拡散可能であり、かつ基板表面Wfを拡散する流れにより、基板表面Wfから脱離したパーティクル等を押し流すことが可能なように1500〜2500rpmとすることが好ましい。以下では、除去工程における基板Wの回転数を2000rpmとして説明する。
【0216】
また、制御ユニット997が除去部45へ動作指令を行い、ノズル411を基板表面Wfの中心付近の上空へ位置決めする。ノズル411の位置決めが完了した後、制御ユニット997が除去部45へ動作指令を行い、開閉弁457を開成する。これにより、除去液を除去液供給ユニット453から配管455、集合配管449及びノズル411を介して基板表面Wfの中心付近に供給する。
【0217】
基板表面Wfに供給された除去液は、DIWを融解して除去するため、DIWの凝固点(0℃(摂氏))よりも高い温度で供給される。以下では、除去液として20℃(摂氏)のDIWが供給されるとして説明する。
【0218】
基板表面Wfの中心付近に供給された除去液は、基板Wの回転に伴う遠心力により、基板表面Wfの中心付近から基板表面Wfの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散した後、基板外へ飛散して、排液捕集部21により捕集されて排液される。基板表面Wf上に拡散した除去液は、基板表面Wf上に形成されたDIWの凝固体を解凍するとともに、基板表面Wfから脱離したパーティクル等をその流れにより押し流し、併せてパターン間隙内部のターシャリーブタノールも溶解して除去する。
【0219】
本実施形態では、除去工程の間もパターン間隙内部のターシャリーブタノールは凝固したままであるが、除去液であるDIWはターシャリーブタノールに対し良溶媒(ターシャリーブタノールはDIWに対し可溶性)であり、時間の経過と共に除去液がターシャリーブタノールを溶解しながらパターン間隙内部に侵入し、最終的にはパターン間隙内部のターシャリーブタノールが除去液に置換される。従って、除去工程を実施する時間は、少なくともパターン間隙内部のターシャリーブタノールが除去されるに足る時間とすればよい。
【0220】
除去工程を所定の時間継続した後、制御ユニット997が除去部45へ動作指令を行い、開閉弁457を閉成する。また、制御ユニット997が除去部45へ動作指令を行い、ノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
【0221】
その後、第一実施形態と同様、リンス工程(ステップS206)、乾燥工程(ステップS207)および基板搬出工程(ステップS208)を行い、一連の処理が終了する。
【0222】
以上のように、本実施形態では、パターン間隙内部の微小領域に、ターシャリーブタノールを残留させて凝固するため、ターシャリーブタノールの凝固体とパターンとが一体となった塊(固形物)と見做せる状態となり、パターンが構造的に補強される。従って、後続の凝固工程においてDIWが凝固して膨張することによる力(特に基板表面Wfと平行に働く力)に対抗することが可能となり、パターン剥離等のダメージを防止できる。
【0223】
また、第二凝固対象液であるDIWと第一凝固対象液であるターシャリーブタノールが、それぞれ液体から固体に相変化した場合の体積変化を比較すると、ターシャリーブタノールの方が小さい。従って、パターン間隙内部でターシャリーブタノールが凝固しても、周囲のパターンに与える応力が小さく、パターン剥離等のダメージを生ずることはない。
【0224】
尚、本実施形態では第一凝固対象液供給工程で基板表面Wfにターシャリーブタノールを供給した後、第二凝固対象液供給工程を行ってDIWによりターシャリーブタノールを凝固させていたが、ターシャリーブタノールを凝固させる方法はこれだけに限らない。即ち、第一凝固対象液供給工程においてターシャリーブタノールを供給した後、そのまま放置して基板W周辺の雰囲気による冷却やターシャリーブタノールが気化することによる気化熱で冷却して凝固する方法などにより凝固することも可能である。尚、これらの方法を行う場合、第一凝固対象液の凝固点は常温より高い温度であることが好ましい。
【0225】
また、ターシャリーブタノールの凝固点より低い温度の気体を基板表面Wfに吹きつける方法、基板裏面Wbにターシャリーブタノールの凝固点より低い温度の液体や気体を吐出する方法などにより凝固することも可能である。
【0226】
また、上記第二実施形態では、第一凝固対象液としてターシャリーブタノールを使用しているが、第二凝固対象液の凝固点より高い凝固点を有し、かつ液体から固体への相変化時の体積変化が第二凝固対象液より小さい物質であれば他の物質を使用することも可能である。例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート)(化学式:C、凝固点:36.4℃(摂氏))等である。尚、これらは希釈されていても良い。
【0227】
尚、第一凝固対象液として使用する物質の凝固点は、第一凝固対象液を液体として供給した後、あるいは第一凝固対象液を除去する場合に第二凝固対象液が蒸発してしまわないよう、第二凝固対象液の沸点より低い温度が好ましい。また、第一凝固対象液として使用する物質の凝固点は、除去工程の際に融解して除去できるよう、除去液の沸点より低い温度であることが好ましい。
【0228】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態では、基板表面Wfに第二凝固対象液としてDIWを供給しているが、第二凝固対象液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。
【0229】
また、上記各実施形態では、基板表面Wfに除去液としてDIWを供給しているが、除去液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。
【0230】
また、上記各実施形態では、第二凝固対象液と除去液を同じDIWとしているが、それぞれ別の液とすることも可能である。
【符号の説明】
【0231】
9 基板処理装置
11 基板保持部
21 排液捕集部
23 雰囲気遮断部
31 第一凝固対象液供給部
35 凝固部
43 第二凝固対象液供給部
45 除去部
51 リンス部
55 乾燥用気体供給部
91 処理ユニット
92 流体ボックス
93 インデクサユニット
94 オープナー
95 シャトル
96 センターロボット
97 制御ユニット
113 スピンベース
115 基板保持部材
119 基板保持部材駆動機構
121 基板回転機構
210 カップ
211 内構成部材
213 中構成部材
215 外構成部材
217 ガード昇降機構
231 遮断部材
233 支持軸
235 遮断部材回転機構
241 アーム
243 上下軸
245 ベース部材
247 遮断部材昇降機構
271 上側第一供給管
273 上側第二供給管
281 下側第一供給管
283 下側第二供給管
313 ノズル駆動機構
331 第一凝固対象液供給部
353 ノズル駆動機構
371 凝固用窒素ガス供給部
413 ノズル駆動機構
553 乾燥用窒素ガス供給ユニット
738 基板保持部材駆動機構
901 側壁
902 上側ベース部材
903 下側ベース部材
904 処理空間
905 上側空間
906 下側空間
907 雰囲気導入路
908 ファンフィルタユニット
909 排気口
911 シャッター
931 インデクサロボット
997 制御ユニット
W 基板
Wb 基板裏面
Wf 基板表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板に対し、凝固体を形成可能な第一凝固対象液を供給する第一凝固対象液供給工程と、
前記第一凝固対象液が供給された前記基板に対し、凝固体を形成可能であって、前記第一凝固対象液の凝固点より低い温度の凝固点を有し、液体から固体へ相変化した際の体積変化が前記第一凝固対象液より大きい第二凝固対象液を供給し、前記パターン間隙内部を除く前記基板上の前記第一凝固対象液を除去する第二凝固対象液供給工程と、
前記第一凝固対象液および前記第二凝固対象液を、前記第二凝固対象液の凝固点以下の温度に冷却して凝固する凝固工程と、
前記第一凝固対象液および前記第二凝固対象液を除去する除去工程と
を備える基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記第一凝固対象液が、前記第二凝固対象液に対し可溶性である基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記第一凝固対象液供給工程が、前記第一凝固対象液を、前記第一凝固対象液の凝固点以上の温度にして供給する基板処理方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記第二凝固対象液供給工程が、
前記第一凝固対象液の凝固点より高い温度の前記第二凝固対象液を供給する高温第二凝固対象液供給工程を行った後、
前記第一凝固対象液の凝固液より低い温度の前記第二凝固対象液を供給する低温第二凝固対象液供給工程を行う基板処理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記第一凝固対象液が、前記除去液に対し可溶性である基板処理方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記除去工程が、前記第一凝固対象液の凝固点以上の温度の除去液を供給する基板処理方法。
【請求項7】
パターンが形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板に対し、凝固体を形成可能な第一凝固対象液を供給する第一凝固対象液供給部と、
前記第一凝固対象液が供給された前記基板に対し、凝固体を形成可能であって、前記第一凝固対象液の凝固点より低い温度の凝固点を有し、液体から固体へ相変化した際の体積変化が前記第一凝固対象液より大きい第二凝固対象液を供給し、前記パターン間隙内部を除く前記基板上の前記第一凝固対象液を除去する第二凝固対象液供給部と、
前記第一凝固対象液および前記第二凝固対象液を、前記第二凝固対象液の凝固点以下の温度に冷却して凝固する凝固部と、
前記第一凝固対象液および前記第二凝固対象液を除去する除去部と
を備える基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−175036(P2012−175036A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38190(P2011−38190)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】