説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】 基板が収容された処理室内に光を照射して複数枚の基板を連続的に処理する際に、基板間における基板処理の均一性を向上させる。
【解決手段】 基板を処理する処理室と、処理室内に設けられ、基板を載置する載置面を備える基板載置部と、処理室内に処理ガスを供給するガス供給系と、基板載置部の載置面に対向する位置に設けられ、処理室内に向けて光を照射する光源を備える光源格納室と、処理室と光源格納室とを気密に隔離する光透過性窓と、光透過性窓の温度を調整する窓温度調整部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関し、特に、基板が収容された処理室内に光を照射して基板を処理する基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板が収容された処理室内に光を照射して基板を処理する基板処理工程が行われることがある。係る工程は、基板を処理する処理室と、処理室内に処理ガスを供給するガス供給系と、処理室内に向けて光を照射する光源を備える光源格納室と、処理室と光源格納室とを気密に隔離する光透過性窓と、を備える基板処理装置によって実施される。例えば、基板が搬入された処理室内に処理ガスとしての成膜ガスを供給し、光透過性窓を介して光源から処理室内に向けて光を照射し、処理室内に供給された処理ガスを光で活性化しつつ基板上に供給することで、基板上に所定の薄膜を形成することが出来る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の基板処理装置を用い、複数枚の基板に対して連続的に基板処理を実施すると、基板間における基板処理の均一性が低下してしまう場合があった。例えば、複数枚の基板に対して連続的に成膜工程を行うと、最初の基板と最後の基板とでは成膜速度等が異なってしまい、基板間における薄膜の膜厚均一性や膜質均一性が低下してしまうことがあった。
【0004】
本発明は、基板が収容された処理室内に光を照射して複数枚の基板を連続的に処理する際に、基板間における基板処理の均一性を向上させることが可能な基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられ、基板を載置する載置面を備える基板載置部と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給系と、
前記基板載置部の前記載置面に対向する位置に設けられ、前記処理室内に向けて光を照射する光源を備える光源格納室と、
前記処理室と前記光源格納室とを気密に隔離する光透過性窓と、
前記光透過性窓の温度を調整する窓温度調整部と、を備える基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
処理室内に基板を搬入して基板載置部の載置面上に載置する工程と、
ガス供給系から前記処理室内に処理ガスを供給する工程と、
前記基板載置部の載置面に対向する位置に設けられた光源を備える光源格納室と前記処理室とを気密に隔離する光透過性窓を介し、前記光源から、前記処理室内に向けて光を照射する工程と、
前記光透過性窓を窓温度調整部により加熱する工程と、
前記処理室内から前記基板を搬出する工程と、を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る基板処理装置及び半導体装置の製造方法によれば、基板が収容された処理室内に光を照射して複数枚の基板を連続的に処理する際に、基板間における基板処理の均一性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置の横断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプロセスチャンバの縦断面図である
【図4】本発明の一実施形態に係る光透過性窓及び窓温度調整部の縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光透過性窓及び窓温度調整部の上面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る光透過性窓及び窓温度調整部の上面図である。
【図8】従来の処理炉の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<発明者が得た知見>
上述したように、基板が収容された処理室内に光を照射して複数枚の基板を連続的に処理すると、例えば最初の基板と最後の基板とでは成膜速度等が変動する等、基板間における基板処理の均一性が低下してしまう場合があった。そこで発明者は、基板間における基板処理の均一性を低下させてしまう要因について鋭意研究を行った。その結果、処理室と光源格納室とを気密に隔離する光透過性窓の温度上昇が、基板処理の均一性を低下させる一要因であることを突き止めた。
【0010】
上述の基板処理工程を行うと、光透過性窓は、光源から照射された光を一部吸収することによって加熱される。また、光透過性窓に形成された薄膜が光源から照射された光を一部吸収することによっても加熱される。また、光透過性窓は、加熱された光源格納室内のガス(例えば希ガス)や処理室内のガス(処理ガス)に接触したり、加熱された部材からの熱伝達を受けることによっても加熱される。そのため、複数枚の基板を連続的に処理していくと、光透過性窓の温度が徐々に上昇することになる。発明者の鋭意研究によれば、光透過性窓の温度上昇が成膜速度等に影響を与えており、これが基板間の基板処理の均一性を低下させる一要因となっていることが分かった。例えば、成膜速度が光透過性窓の温度に比例するように増加することがあり、これにより基板間の基板処理の均一性が低下してしまう場合があることが分かった。
【0011】
そして発明者は、光透過性窓の温度を調整する窓温度調整部を設けることにより、上述の課題を解決可能との知見を得た。すなわち、光透過性窓の温度情報をモニタリングしつつ、窓温度調整部による温度調整動作をフィードバック制御することで、光透過性窓の温度を一定に保つことが可能であり、これにより上述の課題を解決可能であるとの知見を得た。上述の窓温度調整部は、例えば、光透過性窓の主面上に配設される抵抗加熱線と、光透過性窓との間で抵抗加熱線を挟み込むと共に、光透過性窓に抵抗加熱線を接触させる光透過性板と、により構成される。そして例えば、複数枚の基板を連続して処理する際、まず、窓温度調整部による加熱動作(抵抗加熱線への通電)により光透過性窓の温度を所定の設定温度に上昇させる。その後、複数枚の基板の処理を進めるにつれて、光源からの光の照射により加熱される光透過性窓の温度が上述の設定温度に維持されるように、窓温度調整部による加熱動作を緩和或いは停止させる(光照射時間の経過に伴い、抵抗加熱線への通電量を低減、或いは通電を停止させる)。このような動作により、光透過性窓の温度を一定に保つことができ、基板間の基板処理の均一性を向上させることができる。
【0012】
以下に、上述の知見が適用された本発明の実施形態について説明する。
【0013】
<本発明の一実施形態>
まず、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置101の横断面図である。図2は、本実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置101の縦断面図である。本実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置101は、真空側と大気側とに分かれている。なお、本明細書中における「真空」とは工業的真空を意味する。
【0015】
(真空側の構成)
クラスタ型の基板処理装置101の真空側には、第1搬送室としての真空搬送室110と、ロードロック室131,141と、処理室としてのプロセスチャンバ151〜154と、が設けられている。ロードロック室131,141、プロセスチャンバ151〜154は、真空搬送室110の外周に星状(クラスタ状)に配置されている。
【0016】
真空搬送室110は、内部を真空状態などの大気圧未満の圧力(減圧)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成されている。真空搬送室110の筐体111は、平面視が例えば五角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。真空搬送室110の筐体111を構成する側壁の1面にはロードロック室131,141が設けられ、他の側壁の4面にはプロセスチャンバ151〜154が設けられている。真空搬送室110内には、第1搬送機構としての真空搬送ロボット112が設けられている。真空搬送ロボット112は、ロードロック室131,141と、プロセスチャンバ151〜154との間で、例えば2枚のウエハ200(図中、2点鎖線で示す)を同時に搬送可能に構成されている。真空搬送ロボット112は、エレベータ117によって、真空搬送室110の気密性を維持しつつ昇降可能に構成されている。また、ロードロック室131,141、プロセスチャンバ151〜154のゲートバルブ近傍には、ウエハ200の有無を検知する基板検知部として図示しないウエハ有無センサが設置されている。
【0017】
プロセスチャンバ151〜154は、ゲートバルブ161〜164を介して真空搬送室110と連通可能に接続されている。プロセスチャンバ151〜154は、例えば後述するように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法等によりウエハ200上へ薄膜を形成する処理や、ウエハ200表面を酸化、窒化、炭化等する処理や、ウエハ200表面をエッチングする処理や、ウエハ200を加熱するアニール処理等の各種基板処理を実施するように構成されている。プロセスチャンバ151〜154には、後述するガス供給系、排気系等が設けられている。
【0018】
ロードロック室131,141は、それぞれゲートバルブ165,166を介して真空搬送室110と連通可能に構成されている。また、ロードロック室131,141は、ゲートバルブ167,168を介して後述する第2搬送室としての大気搬送室120と連通可能に構成されている。ロードロック室131,141は、内部が真空状態などの大気圧未満の圧力(減圧)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成されている。ゲートバルブ165〜168を閉じてロードロック室131,141内部を真空排気した後、ゲートバルブ165,166を開けることで、真空搬送室110の真空状態を保持しつつ、ロードロック室131,141と真空搬送室110との間でウエハ200を搬送可能に構成されている。ロードロック室131,141は、真空搬送室110内へ搬入するウエハ200を一時的に収納する予備室として、また、真空搬送室110内から搬出したウエハ200を一時的に収納して冷却する冷却室として機能するように構成されている。この際、
ロードロック室131内では基板支持部133上に、ロードロック室141内では基板支持部143上にそれぞれウエハ200が載置されるように構成されている。
【0019】
(大気側の構成)
基板処理装置101の大気側には、ロードロック室131,141に接続された第2搬送室としての大気搬送室120と、この大気搬送室120に接続されたロードポートLP1〜LP4と、が設けられている。ロードロック室131,141は、プロセスチャンバ151〜154から大気搬送室120までのウエハ200の搬送経路上に設けられている。
【0020】
ロードポートLP1〜LP4上には、ポッドPD1〜PD4が載置可能に構成されている。ポッドPD1〜ポッドPD4は、図示しない工程内搬送装置(AGV/OHT)によって、ロードポートLP1〜ロードポートLP4上に搬送されるように構成されている。ポッドPD1〜PD4内には、ウエハ200をそれぞれ収納する収納部としての図示しないスロットが複数設けられている。
【0021】
大気搬送室120には、クリーンエアを供給するクリーンエアユニット106(図2参照)が設けられている。また、大気搬送室120内には、第2搬送機構としての大気搬送ロボット122が設けられている。大気搬送ロボット122は、ロードロック室131,141とロードポートLP1〜LP4上に載置されたポッドPD1〜PD4との間で、例えば2枚のウエハ200(図中、2点鎖線で示す)を同時に搬送可能に構成されている。また、大気搬送ロボット122は、エレベータ127によって昇降可能に構成されると共に、移動装置としてのリニアアクチュエータ128によって左右方向(図1における左右方向であり、図2では前後方向になる。)に往復移動可能に構成されている。なお、大気搬送室120のゲートバルブ近傍には、基板検知部としてのウエハ有無センサ(図示しない)が設置されている。
【0022】
さらに、大気搬送室120内には、基板位置の補正装置として、ウエハ200の結晶方位や位置合わせ等をウエハ200のノッチを用いて行うノッチ合わせ装置107が設けられている。もしくは、ノッチ合わせ装置107の代わりに図示しないオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置が設けられている。
【0023】
大気搬送室120の筐体121には、ウエハ200を大気搬送室120内外に搬送するウエハ搬送口104が形成されている。大気搬送室120の筐体121の外部であってウエハ搬送口104の下部には、複数枚のウエハ200を収納するポッドPD1〜PD4を載置する上述のロードポートLP1〜LP4が設けられている。ロードポートLP1〜LP4上には、図示しない工程内搬送装置によってポッドPD1〜PD4が搬送されるように構成されている。また、大気搬送室120内には、ウエハ搬送口104を開閉する蓋105やポッドPD1〜PD4のキャップ等を開閉させる開閉機構102と、開閉機構102を駆動する開閉機構駆動部103とが設けられている。主に、開閉機構102と開閉機構駆動部103とによりポッドオープナーが構成されている。
【0024】
また、基板処理装置101には、上述した構成各部の動作を制御する制御部108が設けられている。
【0025】
(ウエハ搬送動作)
次に、本実施形態に係る基板処理装置101内におけるウエハ200の搬送動作を説明する。なお、基板処理装置101の各部の動作は、制御部108によって制御される。
【0026】
まず、例えば25枚の未処理のウエハ200を収納したポッドPD1〜PD4が、図示
しない工程内搬送装置によって基板処理装置101に搬送される。搬送されたポッドPD1〜PD4は、ロードポートLP1〜LP4上に載置される。開閉機構102は、蓋105及びポッドPD1〜PD4のキャップを取り外し、ウエハ搬送口104及びポッドPD1〜PD4のウエハ出入口を開放する。
【0027】
ポッドPD1〜PD4のウエハ出入口を開放すると、大気搬送室120内に設置されている大気搬送ロボット122は、ポッドPD1〜PD4のいずれか(以下、例えばポッドPD1とする)からウエハ200を1枚ピックアップして、ノッチ合わせ装置107上へ載置する。
【0028】
ノッチ合わせ装置107は、載置されたウエハ200を、水平の縦横方向(X方向,Y方向)及び円周方向に動かして、ウエハ200のノッチ位置等を調整する。ノッチ合わせ装置107で1枚目のウエハ200の位置調整を実施中に、大気搬送ロボット122は、2枚目のウエハ200をポッドPD1からピックアップして大気搬送室120内に搬入し、大気搬送室120内で待機する。
【0029】
ノッチ合わせ装置107により1枚目のウエハ200の位置調整が終了した後、大気搬送ロボット122は、ノッチ合わせ装置107上の1枚目のウエハ200をピックアップする。大気搬送ロボット122は、そのとき大気搬送ロボット122が保持している2枚目のウエハ200を、ノッチ合わせ装置107上へ載置する。その後、ノッチ合わせ装置107は、載置された2枚目のウエハ200のノッチ位置等を調整する。
【0030】
次に、ゲートバルブ167が開けられ、大気搬送ロボット122は、1枚目のウエハ200をロードロック室131内に搬入し、基板支持部133上に載置する。この移載作業中には、真空搬送室110側のゲートバルブ165は閉じられており、真空搬送室110内の減圧雰囲気は維持されている。1枚目のウエハ200の基板支持部133上への移載が完了すると、ゲートバルブ167が閉じられ、ロードロック室131内が図示しない排気装置によって負圧になるよう排気される。
【0031】
ロードロック室131内の排気と並行して、大気搬送ロボット122は、ノッチ合わせ装置107から2枚目のウエハ200をピックアップする。そして、ゲートバルブ168が開けられ、大気搬送ロボット122は、2枚目のウエハ200をロードロック室141内に搬入し、基板支持部143上に移載する。この移載作業中には、真空搬送室110側のゲートバルブ166は閉じられており、真空搬送室110内の減圧雰囲気は維持されている。2枚目のウエハ200の基板支持部143上への移載が完了すると、ゲートバルブ168が閉じられ、ロードロック室141内が図示しない排気装置によって負圧になるよう排気される。
【0032】
以降、大気搬送ロボット122は、上述の動作を繰り返す。但し、ロードロック室131,141が負圧状態の場合、大気搬送ロボット122は、ロードロック室131,141内へのウエハ200の搬入を実行せず、ロードロック室131,141の直前位置で停止して待機する。
【0033】
ロードロック室131内が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ165が開かれる。続いて、真空搬送室110内に配置された真空搬送ロボット112は、基板支持部133から1枚目のウエハ200をピックアップする。
【0034】
真空搬送ロボット112が基板支持部133から1枚目のウエハ200をピックアップした後、ゲートバルブ165が閉じられ、ロードロック室131内が大気圧に復帰させられ、ロードロック室131内に次のウエハ200を搬入するための準備が行われる。それ
と並行して、プロセスチャンバ151のゲートバルブ161が開かれ、真空搬送ロボット112が1枚目のウエハ200をプロセスチャンバ151内に搬入する。プロセスチャンバ151内へのウエハ200の搬入が完了したら、ゲートバルブ161が閉じられる。そして、プロセスチャンバ151内に後述するガス供給系から処理ガスが供給され、1枚目のウエハ200に所定の処理が施される。
【0035】
続いて、ロードロック室141内が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ166が開かれる。続いて、真空搬送ロボット112は、基板支持部143から2枚目のウエハ200をピックアップする。真空搬送ロボット112が2枚目のウエハ200をピックアップした後、ゲートバルブ166が閉じられて、ロードロック室141内が大気圧に復帰させられる。このようにして、ロードロック室141内に次のウエハ200を搬入するための準備が行われる。それと並行して、プロセスチャンバ152のゲートバルブ162が開かれ、真空搬送ロボット112が、2枚目のウエハ200をプロセスチャンバ152内に搬入する。プロセスチャンバ152内へのウエハ200の搬入が完了したら、ゲートバルブ162が閉じられる。そして、プロセスチャンバ152内に後述するガス供給系から処理ガスが供給され、2枚目のウエハ200に所定の処理が施される。
【0036】
以降、同様にしてプロセスチャンバ153内,154内にもウエハ200が搬入され、それぞれのウエハ200に所定の処理が施される。
【0037】
プロセスチャンバ151において所定の処理が終了した後、真空搬送ロボット112は、プロセスチャンバ151内から搬出したウエハ200をロードロック室131内へ搬入し、基板支持部133上に載置する。ロードロック室131内に未処理のウエハ200が存在する場合、真空搬送ロボット112は、未処理のウエハ200をロードロック室131内から真空搬送室110内へ搬入する。
【0038】
そして、ゲートバルブ165が閉じられ、ロードロック室131内で処理済みのウエハ200の冷却開始と併行して、ロードロック室131に接続された図示しない不活性ガス供給系から不活性ガスが導入され、ロードロック室131内の圧力が大気圧に復帰させられる。
【0039】
ロードロック室131において、予め設定された冷却時間が経過し、かつロードロック室131内の圧力が大気圧に復帰させられると、ゲートバルブ167が開かれる。続いて、大気搬送ロボット122が基板支持部133上から処理済みのウエハ200をピックアップして大気搬送室120内に搬入した後、ゲートバルブ167が閉じられる。その後、大気搬送ロボット122は、大気搬送室120のウエハ搬送口104を通して、処理済のウエハ200をポッドPD1に収納する。
【0040】
前述の工程によってポッドPD1内の全てのウエハ200に所定の処理が実施され、処理済みの25枚のウエハ200のすべてが所定のポッドへ収納されると、ポッドPD1のキャップと、ウエハ搬送口104の蓋105とが開閉機構102によって閉じられる。その後、ポッドPD1は、ロードポートLP1上から次の工程へ、工程内搬送装置によって搬送される。以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が25枚ずつ順次処理されていく。
【0041】
(2)プロセスチャンバの構成
続いて、本実施形態に係る処理炉としてのプロセスチャンバ151の構成について、図3を用いて説明する。図3は、プロセスチャンバ151の縦断面図である。なお、プロセスチャンバ152〜154ついては、プロセスチャンバ151と同等に構成されているため説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、処理室としてのプロセスチャンバ151は、処理容器203を備えている。処理容器203は、上端が閉塞し下端が開口して円筒形状に形成された上側容器210と、下端が閉塞し上端が開口して円筒形状に形成された下側容器211と、を備えている。上側容器210と下側容器211とは、互いの開口部が向かい合うように気密に接合されている。下側容器211内には、基板としてのウエハ200が処理される処理室300が形成されている。上側容器210内には、処理室300内に向けて光を照射する光源としてのランプ251を備える光源格納室301が形成されている。処理室300と光源格納室301との間には、これらを気密に隔離する光透過性窓308が設けられている。なお、光透過性窓308には、光透過性窓308の温度を調整する窓温度調整部が設けられている。以下に、これらの構成を詳細に説明する。
【0043】
(処理室の構成)
まず、下側容器211内に形成されている処理室300の構成を説明する。
【0044】
処理室300の側方には、ウエハ200を処理室300内外へ搬送する基板搬送口として、上述のゲートバルブ161が設けられている。また、処理室300内には、ウエハ200を水平姿勢で載置する載置面311aを備える基板載置部としてのテーブル311が設けられている。テーブル311は、例えばアルミニウム等により構成され、円盤状に形成されている。テーブル311の内部には、ウエハ200を加熱する加熱部としてヒータユニット350が設けられている。ヒータユニット350は、例えば抵抗加熱線等からなり、図示しない電源装置によって通電されて加熱されるように構成されている。なお、テーブル311には、ウエハ200の温度を検出する図示しない温度検出器が設けられている。ヒータユニット350及び温度検出器は、上述の制御部108に接続されている。制御部108は、ウエハ200の温度が所定の温度分布となるように、温度検出器により検出された温度情報に基づいてヒータユニット350への通電量を制御するように構成されている。
【0045】
テーブル311の外周には、整流板としてのガス流れ制御リング302が、テーブル311の周囲(すなわちウエハ200の周囲)を囲うように、また、テーブル311から着脱可能に設けられている。ガス流れ制御リング302は、例えばアルミニウム等により形成されている。
【0046】
テーブル311は、円柱状のテーブル支持機構314が備える図示しないシャフトにより下方から支持されている。テーブル支持機構314が備えるシャフトの下端は、下側容器211の底部を貫通しており、回転機構404の回転軸に接続されている。回転機構404がテーブル支持機構314のシャフトを回転させることで、ウエハ200を載置したテーブル311が水平回転させられるように構成されている。また、テーブル支持機構314の下部には、テーブル支持機構314を昇降させる昇降機構405が設けられている。昇降機構405がテーブル支持機構314を昇降させることで、ウエハ200を載置したテーブル311が、下方の基板搬送位置から上方の基板処理位置(図3の位置)まで昇降させられるように構成されている。回転機構404及び昇降機構405は、制御部108に接続されている。制御部108は、回転機構404及び昇降機構405が所定のタイミングにて所定の動作をするよう制御するように構成されている。
【0047】
(ガス供給系の構成)
続いて、処理室300内に処理ガスを供給するガス供給系の構成を説明する。
【0048】
下側容器211の側壁であって、基板処理位置(図3の位置)にあるときのテーブル311の側方には、処理ガスを一時的に溜めるバッファ空間としてのガスバッファ室309
が設けられている。ガスバッファ室309は、テーブル311の外周(すなわちウエハ200の外周)に沿って例えば円弧状に設けられている。ガスバッファ室309の内壁には、複数のガス供給孔303が設けられている。ガス供給孔303は、テーブル311の外周(すなわちウエハ200の外周)に沿って例えば等間隔で開設されている。
【0049】
ガスバッファ室309には、ガス供給管324の下流端が接続されている。ガス供給管324の上流側には、処理ガスとしてのシリコン含有ガスを供給するシリコン含有ガス供給管15、処理ガスとしての酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管25、処理ガスとしてのクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給管35、処理ガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給管45の下流端がそれぞれ接続されている。
【0050】
シリコン含有ガス供給管15には、上流側から順に、シリコン含有ガスとして例えば炭素(C)及び水素(H)を含むTEOS(Si(OC)ガスを供給するシリコン含有ガス供給源13、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ12、及びバルブ11が設けられている。バルブ11、マスフローコントローラ12には、制御部108が接続されている。制御部108は、処理室300内へのシリコン含有ガスの供給動作や供給流量等を所定のタイミングにて制御するように構成されている。主に、シリコン含有ガス供給源13、マスフローコントローラ12、バルブ11、シリコン含有ガス供給管15、ガス供給管324、ガスバッファ室309、ガス供給孔303により、本実施形態に係るシリコン含有ガス供給系が構成されている。
【0051】
酸素含有ガス供給管25には、上流側から順に、酸素含有ガスとして例えば酸素(O)ガスを供給する酸素含有ガス供給源23、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ22、及びバルブ21が設けられている。バルブ21、マスフローコントローラ22には、制御部108が接続されている。制御部108は、処理室300内への酸素含有ガスの供給動作、供給流量等を所定のタイミングにて制御するように構成されている。主に、酸素含有ガス供給源23、マスフローコントローラ22、バルブ21、酸素含有ガス供給管25、ガス供給管324、ガスバッファ室309、ガス供給孔303により、本実施形態に係る酸素含有ガス供給系が構成されている。
【0052】
クリーニングガス供給管35には、上流側から順に、クリーニングガスとして例えばフッ素(F)を含む三フッ化窒素(NF)ガスを供給するクリーニングガス供給源33、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ32、及びバルブ31が設けられている。バルブ31、マスフローコントローラ32には、制御部108が接続されている。制御部108は、処理室300内へのクリーニングガスの供給動作、供給流量等を所定のタイミングにて制御するように構成されている。主に、クリーニングガス供給源33、マスフローコントローラ32、バルブ31、クリーニングガス供給管35、ガス供給管324、ガスバッファ室309、ガス供給孔303により、本実施形態に係るクリーニングガス供給系が構成されている。
【0053】
不活性ガス供給管45には、上流側から順に、不活性ガスとして例えば窒素(N)ガスを供給する不活性ガス供給源43、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ42、及びバルブ41が設けられている。バルブ41、マスフローコントローラ42には、制御部108が接続されている。制御部108は、処理室300内への不活性ガスの供給動作、供給流量等を所定のタイミングにて制御するように構成されている。主に、不活性ガス供給源43、マスフローコントローラ42、バルブ41、不活性ガス供給管45、ガス供給管324、ガスバッファ室309、ガス供給孔303により、本実施形態に係る不活性ガス供給系が構成されている。
【0054】
主に、シリコン含有ガス供給系、酸素含有ガス供給系、クリーニングガス供給系及び不
活性ガス供給系により、本実施形態に係るガス供給系が構成されている。
【0055】
(排気系の構成)
続いて、処理室300内を排気する排気系の構成を説明する。
【0056】
テーブル311を挟んでガス供給孔303と対向する下側容器211の側壁であって、基板処理位置にあるときのテーブル311の側方(ガス流れ制御リング302の下方)には、排気ガスを一時的に溜めるバッファ空間としての排気バッファ室310が設けられている。排気バッファ室310は、テーブル311の外周(すなわちウエハ200の外周)に沿って例えば円弧状に設けられている。排気バッファ室310の上部には、複数の排気孔304が設けられている。排気孔304は、テーブル311の外周(すなわちウエハ200の外周)に沿って例えば等間隔で開設されている。
【0057】
排気バッファ室310には、排気管325の上流端が接続されている。排気管325には、上流側から順に、残留ガス計測計246、圧力検出器としての圧力センサ245、圧力調整装置としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ326、真空ポンプ327が設けられている。
【0058】
圧力センサ245及びAPCバルブ326には、制御部108が接続されている。制御部108は、圧力センサ245により検知した圧力情報に基づいて、処理室300内の圧力が所定のタイミングにて所定の圧力(真空度)となるように、APCバルブ326の開度を制御するように構成されている。また、残留ガス計測計246には、制御部108が接続されている。制御部108は、残留ガス計測計246により検知した排気ガス中の有機物等の分圧をモニタするように構成されている。
【0059】
主に、排気孔304、排気バッファ室310、排気管325、圧力センサ245、APCバルブ326及び真空ポンプ327により、本実施形態に係る排気系が構成されている。
【0060】
(テーブル昇降動作及びガス供給動作)
続いて、テーブル311の昇降動作や処理室300内へのガス供給動作を説明する。
【0061】
基板搬送位置に降下させられたテーブル311の載置面311a上には、ゲートバルブ161を介して搬入されたウエハ200が、処理面が上面になるように水平姿勢で載置される。このとき、ガス流れ制御リング302は、排気バッファ室310及び排気バッファ室310上に一時的に載置されている。テーブル311が昇降機構405によって基板処理位置まで上昇されると、その途中で、テーブル311の外周端部にガス流れ制御リング302の内周端部が嵌め込まれ、テーブル311とガス流れ制御リング302とが共に上昇し、基板処理位置(図3に示す位置)で停止する。その結果、ガス流れ制御リング302は、排気孔304の上方に位置し、排気孔304と所定の間隔を空けて配置される。なお、ガス流れ制御リング302の外周端(外周部分)は、ガスバッファ室309の壁と所定の距離を開けた状態となっている。
【0062】
その後、処理室300内が所定の圧力となるように真空ポンプ327によって真空排気される。処理室300内の圧力は、圧力センサ245で測定された圧力情報に基づきAPCバルブ326の開度をフィードバック制御することで調整される。そして、バルブ11を開くことでシリコン含有ガス供給源13からシリコン含有ガス供給管15内に供給されたTEOSガスは、マスフローコントローラ12にて所定の流量となるよう制御された後、シリコン含有ガス供給管15、ガス供給管324内を流れ、ガスバッファ室309、ガス供給孔303を介して処理室300内に供給される。処理室300内に供給されたTE
OSガスは、ガス流れ制御リング302の表面上を通過し、ウエハ200表面上に接触しつつウエハ200表面(及び後述の光透過性窓308)に対して平行かつ均一に流れ、再びガス流れ制御リング302の表面上を通過した後、ガス流れ制御リング302下方の排気孔304を介して排気バッファ室310内に流れ、排気管325から排気される。なお、TEOS以外の処理ガスも、バルブ21,31,41を開くことでTEOSガスと同様に処理室300内に供給されて排気管325から排気される。
【0063】
(光源格納室の構成)
次に、上側容器210内に形成されている光源格納室301の構成を説明する。
【0064】
光源格納室301内の天井部付近には、光源としてのランプ251が複数設けられている。ランプ251は、テーブル311の載置面311aに対向する位置に設けられており、後述する光透過性窓308を介して、処理室300内に向けて光を照射するように構成されている。
【0065】
ランプ251は、例えば、処理室300内に供給された処理ガスを分解或いは活性化する紫外光等を照射するように構成されている。ランプ251としては、例えばエキシマランプ等が用いられる。ランプ251には、図示しないランプ電源が接続されている。ランプ電源には、制御部108が接続されている。制御部108は、ランプ251の点灯動作や輝度等を所定のタイミングにて制御するように構成されている。
【0066】
光源格納室301内には、例えばアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガスが封入されるように構成されている。光源格納室301内に封入する希ガスの種類を変更することで、処理室300内に照射される紫外光の波長を設定することができる。例えば、光源格納室301内にArガスを封入した場合には、処理室300内に主に波長126nmの紫外光を照射することができ、Krガスを封入した場合には、主に波長146nmの紫外光を照射することができ、Xeガスを封入した場合には、主に波長172nmの紫外光を照射することができる。本実施形態では、光源格納室301にXeガスを封入し、処理室300に波長200nm以下の紫外光を照射させるように構成されている。
【0067】
処理室300内に上述のTEOSガスを供給しつつ、Xeガスが封入された光源格納室301内のランプ251から光透過性窓308を介して紫外光を照射することで、ウエハ200表面(及び光透過性窓308)に対して平行かつ均一に流れるTEOSガスを分解或いは活性化させることができ、ウエハ200上にシリコン酸化膜(SiO膜、単にSiO膜とも呼ぶ)を形成することができる。紫外光が照射される前、TEOSガスはSi−O−Si−R結合(Rは低級アルキル基)の状態にあるが、紫外光の照射によりSi−O−Si−R結合が分解され、すなわちRがとれてシロキサン(Si−O結合)になると共に、シロキサンが励起されて高分子化してウエハ200上に供給される。その結果、ポリシロキサン(Si−O結合)を含むシリコン酸化膜がウエハ200上に形成される。
【0068】
なお、ランプ251は、処理室300内に供給された処理ガスを分解或いは活性化する紫外光に限らず、テーブル311の載置面311a上に載置されたウエハ200を加熱する赤外光を照射するように構成されていてもよい。
【0069】
(光透過性窓、窓温度調整部の構成)
次に、光透過性窓308及び窓温度調整部の構成について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、光透過性窓308及び窓温度調整部の縦断面図であり、図5は、光透過性窓308及び窓温度調整部の上面図である。
【0070】
上述したように、処理室300と光源格納室301との間には、光透過性窓308が設けられている。光透過性窓308は、封止部材としてのOリング220を介して例えば上側容器210の下端開口に設置されている。光透過性窓308は、ランプ251から照射される光を透過可能な材料として例えば石英(SiO)等により形成されており、例えば円盤状の平板として形成されている。光透過性窓308が設けられることで、処理室300と光源格納室301との間は気密に隔離され、それぞれの雰囲気や圧力等を独立して調整できる。
【0071】
光源格納室301内のランプ251からの光は、光透過性窓308を介して処理室300内に向けて照射されるが、このとき、光透過性窓308は、ランプ251からの光を一部吸収することによって加熱される。また、光透過性窓308は、光透過性窓308に付着した薄膜がランプ251からの光を一部吸収することによっても加熱される。また、光透過性窓308は、加熱された光源格納室301内のガス(希ガス)や処理室300内のガス(処理ガス)に接触したり、加熱された部材(上側容器210等)からの熱伝達を受けることによっても加熱される。そのため、複数枚のウエハ200を連続的に処理していくと、光透過性窓308の温度が徐々に上昇することになる。上述したように、発明者の鋭意研究によれば、光透過性窓308の温度上昇が成膜速度等に影響を与えており、これがウエハ200間の基板処理の均一性を低下させる一要因となっていることが分かった。具体的には、成膜速度が光透過性窓308の温度に比例するように増加することがあり、これによりウエハ200間の基板処理の均一性が低下してしまう場合があることが分かった。そこで本実施形態では、光透過性窓308の温度を調整する窓温度調整部を設けることにより、上述の課題を解決するようにしている。
【0072】
窓温度調整部は、光透過性窓308の主面上に配設される抵抗加熱線257と、光透過性窓308との間で抵抗加熱線257を挟み込むと共に、光透過性窓308に抵抗加熱線257を接触させる光透過性板256と、を備えている。
【0073】
抵抗加熱線257は、光透過性窓308上に所定の形状、所定の密度で配設されている。例えば図4に例示するように、抵抗加熱線257は、光透過性窓308上を所定の間隔で横断するように直線状に配設されつつ、光透過性窓308の外周付近で折り返すように(すなわち蛇行するように)配設されている。なお、図示しないが、抵抗加熱線257を、光透過性窓308上に渦巻き状に配設したり、或いは放射状に配設したりしてもよい。図5に例示するように、抵抗加熱線257の両端や各折り返し点等は、光透過性窓308の周囲に設けられた端子台258にそれぞれ固定されている。抵抗加熱線257は、通電されることでジュール熱を発生する例えばニクロム線等により構成されている。抵抗加熱線257の直径は例えば3mm以下に形成されている。これにより、ランプ251から照射される光の抵抗加熱線257による遮光量を極小にすることができる。
【0074】
抵抗加熱線257の両端には、直流電源或いは交流電源として構成された窓加熱電源260が接続されている。光透過性窓308上には、熱電対等の温度測定子259が設けられている。窓加熱電源260及び温度測定子259は、温度コントローラ261にそれぞれ接続されている。温度コントローラ261は制御部108に接続されている。温度コントローラ261及び制御部108は、温度測定子259により検出された温度情報に基づいて窓加熱電源260の出力(抵抗加熱線257への通電量)を制御することにより、光透過性窓308の温度が所定の温度になるように(例えば所定の温度に維持されるように)制御するように構成されている。係る温度制御については後述する。
【0075】
なお、抵抗加熱線257上には、抵抗加熱線257を光透過性窓308に密着させるよう、光透過性窓308との間で抵抗加熱線257を挟み込む光透過性板256が設けられている。光透過性板256は、光透過性窓308の全域を覆う円盤状或いは多角形状の平
板として形成されている。なお、光透過性板256は1枚の平板により構成されている場合に限らず、複数枚の平板により構成されていてもよい。光透過性板256により抵抗加熱線257を光透過性窓308に密着させることで、抵抗加熱線257から光透過性窓308への伝熱効率を向上させることができる。特に、温度変化により抵抗加熱線257が伸縮すると抵抗加熱線257が光透過性窓308から離れてしまうことがあるが、光透過性板256を設けることにより、抵抗加熱線257と光透過性窓308との接触を維持することができ、光透過性窓308の温度制御を確実つ効率的に行うことができる。なお、光透過性板256は、ランプ251から照射される光を透過可能な材料として例えば石英(SiO)等により形成されている。
【0076】
主に、光透過性板256、抵抗加熱線257、端子台258、温度測定子259、窓加熱電源260、温度コントローラ261により、本実施形態に係る窓温度調整部が構成されている。
【0077】
(3)基板処理工程
次に、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ200上にシリコン酸化膜を形成する成膜工程(S40)、処理室300内をクリーニングするクリーニング工程(S70)、処理室300内をプリコートする工程(S80)を実施する基板処理工程について、主に図6を参照しながら説明する。図6は、基板処理工程を示すフロー図である。以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作は制御部108によって制御される。
【0078】
なお、本実施形態では、STI(Shallow Trench Isolation)法による素子分離を行うために予め形成したウエハ200表面のトレンチ(溝)を、成膜工程(S40)を実施することでシリコン酸化膜により埋設する場合を一例として説明する。トレンチ(溝)は、ウエハ200上の素子分離領域を露出させるようにレジストパターンを形成した後、これをエッチングマスクとして用いたドライエッチング等により形成される。以下に、詳細を説明する。
【0079】
(ウエハ搬入工程(S10))
まず、処理対象の複数枚のウエハ200を収納したポッドPD1〜PD4が図示しない工程内搬送装置から基板処理装置101に受け渡され、ロードポートLP1〜LP4上に載置される。その後、大気搬送ロボット122や真空搬送ロボット112等による上述のウエハ搬送動作により、プロセスチャンバ151〜154が備える処理室300内に処理対象のウエハ200が順次搬入される。なお、ウエハ200表面には上述のトレンチ(溝)が予め形成されている。ウエハ200の搬入が完了したら、昇降機構405を作動させ、テーブル311を基板処理位置(図3の位置)まで上昇させる。
【0080】
(減圧工程・ウエハ昇温工程(S20))
テーブル311が基板処理位置まで上昇したら、処理室300内が所定の圧力(10Pa〜100Paであって例えば10Pa)となるように真空ポンプ327によって真空排気する。この際、処理室300内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ326の開度がフィードバック制御される。また、ウエハ200が所定の温度(0〜100℃であって例えば50〜80℃)となるようにヒータユニット350によって加熱する。この際、ウエハ200の温度はテーブル311内の温度検出器で検出され、検出された温度情報に基づきヒータユニット350への通電具合がフィードバック制御される。
【0081】
続いて、回転機構404によるテーブル311及びウエハ200の回転を開始する。処理室300内の圧力調整、ウエハ200の温度調整、テーブル311及びウエハ200の
回転は、少なくとも後述する成膜工程(S40)が完了するまで継続する。ウエハ200を回転させることで、後述する成膜工程(S40)においてランプ251から照射される紫外光の抵抗加熱線257による遮光量(すなわち、ウエハ200に照射される紫外光の光量)のウエハ面内均一性を向上させることができる。また、ウエハ200上に供給されるTEOSガスの供給流量のウエハ面内均一性等を向上させることができる。
【0082】
(光透過性窓の温度調整開始(S30))
減圧工程・ウエハ昇温工程(S20)と並行して、光透過性窓308が所定の温度となるように、窓温度調整部による光透過性窓308の温度調整を開始する。この際、光透過性窓308の温度が予め設定された所定の温度となるように、光透過性窓308に設けられた温度測定子259が検出した温度情報に基づき、抵抗加熱線257への通電具合がフィードバック制御される。光透過性窓308の温度調整は、後述するプリコート工程(S80)が完了するまで継続する。なお、光透過性窓308の温度調整制御の詳細については後述する。
【0083】
(成膜工程(S40))
続いて、ウエハ200上に形成されたトレンチ(溝)内をシリコン酸化膜によって埋設する成膜工程(S40)を実施する。本工程では、まず、成膜速度が小さくなる第1の成膜圧力(例えば10Pa以下)での所定膜厚(例えば1〜2nm)のシリコン酸化膜(初期膜)の成膜工程(S41)を実施し、その後、成膜速度が大きくなる第2の成膜圧力(例えば20Pa以上100Pa以下)でのシリコン酸化膜の成膜工程(S42)と、パージ工程(S43)と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数行う(S44)ことにより、成膜速度を向上させつつ、シリコン酸化膜中の残留有機物濃度を低減させるようにしている。以下、各工程(S41〜S44)を順次説明する。
【0084】
(第1の成膜圧力での成膜工程(S41))
バルブ11を開くことでシリコン含有ガス供給源13からシリコン含有ガス供給管15内に供給されたTEOSガスは、マスフローコントローラ12にて所定の流量となるように制御された後、シリコン含有ガス供給管15、ガス供給管324内を流れ、ガスバッファ室309、ガス供給孔303を介して処理室300内に供給される。このとき、不活性ガスとしての窒素(N)ガスを不活性ガス供給源43から処理室300内に供給してもよい。その場合、窒素ガスは、TEOSガスを希釈する希釈ガスとして、或いはTEOSガスの拡散を促すキャリアガスとして機能する。窒素ガスの供給流量を制御することで、TEOSガスの濃度や拡散速度を制御することができる。
【0085】
このとき並行して、Xeガスが封入された光源格納室301内のランプ251を点灯させ、光透過性窓308を介し、処理室300内に向けて(すなわち処理室300内に供給されたTEOSガスに向けて)紫外光を照射する。このとき、照射する紫外光の強度は、ウエハ200上において例えば3mW/cm程度になるようにする。
【0086】
処理室300内にTEOSガスを供給しつつ、処理室300内に向けて紫外光を照射することで、ウエハ200表面及び光透過性窓308に対して平行かつ均一に流れるTEOSガスが分解或いは活性化され、ウエハ200上にシリコン酸化膜が形成される。紫外光が照射される前、TEOSガスはSi−O−Si−R結合(Rは低級アルキル基)の状態にあるが、紫外光の照射によりSi−O−Si−R結合が分解され、すなわちRがとれてシロキサン(Si−O結合)になると共に、シロキサンが励起されて高分子化してウエハ200上に供給される。その結果、ポリシロキサン(Si−O結合)を含むシリコン酸化膜がウエハ200上に形成される。
【0087】
ここで、ウエハ200上に付着する反応生成物(シリコン酸化膜を構成するシリコン酸
化物)は、ウエハ200上において、界面張力により、自身の密度の小さい所へ移動しようとし、また、平坦になろうとする性質を有している。この反応生成物の移動し易さを「成膜の流動性」と定義すると、この成膜の流動性が高くなるような成膜条件(例えば比較的高い圧力条件)では、形成されたシリコン酸化膜中の残留有機物の濃度(炭素や水素の濃度)が高くなってしまい、残留した有機物が後工程で抜けることで、シリコン酸化膜にボイドが発生しまう場合がある。そこで本工程(S41)では、処理室300内の圧力を、成膜速度が低くなる第1の成膜圧力、すなわち、成膜の流動性が低くなる第1の成膜圧力(比較的低い圧力であって、例えば10Pa以下)としている。これにより、TEOSガスの分子当たりのエネルギを大きくさせることができ、ウエハ200上のシリコンとシリコン酸化膜との密着性を向上させ、残留有機物の濃度が低く、耐熱性の優れたシリコン酸化膜を形成することができる。
【0088】
予め設定された所定の時間が経過し、ウエハ200上に所定の膜厚(例えば1〜2nm)のシリコン酸化膜(初期膜)が成膜されたら、第2の成膜圧力での成膜工程(S42)を実施する。
【0089】
(第2の成膜圧力での成膜工程(S42))
本工程では、上述の成膜工程(S41)と同様の手順で、処理室300内にTEOSガスを供給しつつ、処理室300内に向けて紫外光を照射することで、シリコン酸化膜を更に成膜する。このとき、処理室300内の圧力は、成膜されるシリコン酸化膜の流動性が高くなり、また、成膜速度が大きくなる第2の成膜圧力(比較的高い圧力)とする。処理室300内の圧力が20Paより小さいと成膜速度が小さくなり過ぎて実用的でない。また、処理室300内の圧力が100Paより大きい圧力では、TEOSガスの分子当たりのエネルギーが小さすぎるため、ガスの分解が進みにくくなってしまう。従って、第2の成膜圧力は、例えば20Pa以上100Pa以下の圧力とするとよい。
【0090】
予め設定された所定の時間が経過し、所定の膜厚のシリコン酸化膜が形成されたら(例えばトレンチ(溝)の幅が1/4程度狭まるまでシリコン酸化膜を形成したら)、バルブ11を閉じて処理室300内へのTEOSガスの供給を停止すると共に、ランプ271による紫外光の照射を停止し、パージ工程(S43)を実施する。
【0091】
(パージ工程(S43))
バルブ41を開く(或いは開いた状態を維持する)ことで不活性ガス供給源43から不活性ガス供給管45内に供給された窒素ガスは、マスフローコントローラ42にて所定の流量となるように制御された後、不活性ガス供給管45、ガス供給管324内を流れ、ガスバッファ室309、ガス供給孔303を介して処理室300内に供給される。この窒素ガスの処理室300内への供給を行いつつ、処理室300内を排気することで、処理室300内をパージし、シリコン酸化膜中に含まれる残留有機物濃度を低減させることができる。なお、本工程では、残留ガス計測計246によりモニタしながら、排気ガス中の有機ガスの分圧が予め設定された設定値となるまでパージを継続する。この設定値は、予め実験等により最適値を求めておく。
【0092】
(繰り返し工程(S44))
その後、第2の成膜圧力での成膜工程(S42)とパージ工程(S43)とを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ200上に形成されたトレンチ(溝)内を、残留有機物の少ないシリコン酸化膜によって完全に埋設する。なお、サイクルを繰り返す際、処理室300内の圧力(第2の成膜圧力)及びウエハ温度は、一定としてもよいしサイクル毎に変化させてもよい。例えば、サイクルを繰り返すことでトレンチ(溝)の幅が狭くなってきたら、処理室300内の圧力を高めて成膜の流動性を高めるようにしてもよい。また、上記においては、TEOSガスの供給と紫外光の照射とを同時に
(並行して)行ったが、これらは別々に行ってもよい。すなわち、第1の成膜工程(S41)や第2の成膜工程(S43)においては、処理室300内へのTEOSガスの供給を停止した後、ランプ271による紫外光の照射を開始するようにしてもよい。
【0093】
(圧力復帰・ウエハ降温工程(S50))
ウエハ200上に所定膜厚のシリコン酸化膜が形成され、ウエハ200上に形成されたトレンチ(溝)内がシリコン酸化膜によって完全に埋設されたら、処理室300内への窒素ガスの供給を継続しつつ、APCバルブ326の開度を調整し、処理室300内の圧力を常圧に復帰させる。また、ヒータユニット350への通電を停止し、ウエハ200の温度を所定の温度(ウエハ搬出温度)に降温させる。
【0094】
(ウエハ搬出工程(S60))
その後、回転機構404によるテーブル311及びウエハ200の回転を停止させる。そして、上述した手順と逆の手順により、処理済のウエハ200を処理室300外に搬出すると共に、処理済みのウエハ200と入れ替わりに次の未処理のウエハ200を処理室300内へ搬入する。その後、例えば1ロット分(25枚)の全てのウエハ200の処理が完了するまで、上述のウエハ搬入工程(S10)からウエハ搬出工程(S60)を繰り返し行う。全てのウエハ200の処理が完了したら、処理済のウエハ200を収容したポッドPD1を、図示しない工程内搬送装置によって次の工程へ搬送する。
【0095】
(クリーニング工程(S70))
上述の成膜工程(S40)を実施すると、ウエハ200上だけではなく、光透過性窓308の下面や処理室300の内壁等にもシリコン酸化膜が付着してしまう。シリコン酸化膜は、シリコン含有ガスに含まれていた炭化水素成分、例えばメチル基(CH)やエチル基(CHCH)等を含んでおり、ランプ271からの紫外光を一部吸収する。そのため、光透過性窓308に形成されるシリコン酸化膜の膜厚が厚くなると、紫外光の吸収量が増加し、処理室300内へ照射される紫外光の強度が低下したり、光透過性窓308の温度が上昇し易くなってしまう。また、付着したシリコン酸化膜が剥がれることで処理室300内に異物(パーティクル)が発生し、シリコン酸化膜の膜質等を低下させてしまう。そこで、本実施形態では、成膜工程(S40)を所定回数実施した後、光透過性窓308の下面や処理室300の内壁等に付着したシリコン酸化膜を除去するクリーニング工程(S70)を実施する。例えば、付着したシリコン酸化膜の膜厚が1μmに達したり、成膜工程(S40)を10回繰り返したら、クリーニング工程(S70)を実施することが好ましい。
【0096】
処理済みのウエハ200が処理室300の外部に搬出された後、処理室300内にウエハ200が存在しない状態で、真空ポンプ327によって真空排気しつつ、処理室300内にクリーニングガスとしての三フッ化窒素ガスを供給する。バルブ31を開くことでクリーニングガス供給源33からクリーニングガス供給管35内に供給された三フッ化窒素ガスは、マスフローコントローラ32にて所定の流量となるように制御された後、クリーニングガス供給管35、ガス供給管324内を流れ、ガスバッファ室309、ガス供給孔303を介して処理室300内に供給される。このとき、APCバルブ326の開度を調整し、処理室300内を所定のクリーニング圧力(例えば300Pa)とする。また、窓温度調整部により光透過性窓308を所定のクリーニング温度に加熱する。これにより、光透過性窓308の下面や処理室300の内壁等に付着したシリコン酸化膜がエッチング等されて除去される。なおこのとき、不活性ガスとして窒素ガスを不活性ガス供給源43から処理室300内に供給してもよい。窒素ガスの供給流量を制御することで、三フッ化窒素ガスの濃度や拡散速度を制御することができる。予め設定された所定の時間が経過したら、バルブ31を閉じ、処理室300内への三フッ化窒素ガスの供給を停止すると共に、バルブ41を開いて(或いは開いた状態を維持して、処理室300内をパージする。
【0097】
クリーニング工程(S80)を実施することにより、光透過性窓308の透過性を向上でき、シリコン酸化膜による紫外光の吸収を抑制することができる。そして、処理室300内に照射される紫外光の強度低下や、光透過性窓308の温度上昇をそれぞれ抑制することができる。また、処理室300内におけるパーティクルの発生を防ぎ、基板処理の品質を向上させることができる。
【0098】
(プリコート工程(S80))
クリーニング工程(S70)を実施した後は、続けて、プリコート工程(S80)を実施する。仮に、プリコート工程(S80)を実施することなく、クリーニング工程(S70)直後に連続して成膜工程(S40)を実施することとすれば、以下(a)〜(d)のような不都合が生じることがある。すなわち、(a)処理室300内に残留しているフッ素成分が、ウエハ200上に形成されるシリコン酸化膜の膜質に影響を与えてしまう場合がある。(b)処理室300内に残留しているフッ素成分によって処理室300内の熱輻射の伝達効率が変動し、処理室300の温度が不安定となり、シリコン酸化膜の成膜速度が不安定となってしまう場合がある。(c)クリーニング直後の処理室300の内壁等にはシリコン含有ガスが吸着し易くなるため、シリコン含有ガスの消費量がクリーニング工程(S80)に比べて増加してしまい、ウエハ200上に形成されるシリコン酸化膜の成膜速度が低下してしまう場合がある。(d)処理室300の内壁からシリコン酸化膜が除去されているため、処理室300内の状態がクリーニング工程(S70)の前後で異なってしまい、シリコン酸化膜を形成する際の再現性が損なわれてしまう場合がある。本実施形態では、プリコート工程(S80)を実施することにより、上述の不都合を回避することができる。
【0099】
プリコート工程(S80)は、上述の成膜工程(S40)と同様の手順、同様の処理手順で行うことが出来る。なお、シリコン酸化膜を形成することのできるガスであれば、成膜工程(S40)とは異なる処理ガス(TEOSガス以外のシリコン含有ガス)を用いても構わない。また、プリコート工程(S80)は、例えば1枚又は複数枚の予備成膜専用基板(ダミー用ウエハ)を用いて実施してもよい。
【0100】
(光透過性窓の温度調整停止(S90))
その後、窓温度調整部による光透過性窓308の温度調整を停止し、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0101】
(4)光透過性窓の温度制御
続いて、上述の工程S30〜工程S90間において並行して行う光透過性窓308の温度調整制御につい説明する。
【0102】
上述したように、光源格納室301内のランプ251からの光は、光透過性窓308を介して処理室300内に向けて照射されるが、このとき、光透過性窓308は、ランプ251からの光を一部吸収することによって加熱される。また、光透過性窓308は、光透過性窓308に付着したシリコン酸化膜がランプ251からの光を一部吸収することによっても加熱される。また、光透過性窓308は、加熱された光源格納室301内のガス(希ガス)や処理室300内のガス(処理ガス)に接触したり、加熱された部材(上側容器210等)からの熱伝達を受けることによっても加熱される。そのため、成膜工程(S40)を繰り返し実施し、複数枚のウエハ200を連続的に処理していくと、光透過性窓308の温度が徐々に上昇することになる。発明者の鋭意研究によれば、光透過性窓308の温度上昇は成膜速度等に影響を与えており(例えば、光透過性窓の温度と成膜速度とが比例することがある)、これがウエハ200間の基板処理の均一性を低下させる一要因となる。そこで本実施形態では、窓温度調整部によって光透過性窓308の温度を調整する
ことで、上述の課題を解決するようにしている。
【0103】
温度制御の一例を説明すると、例えば、1枚目のウエハ200を処理する際(1回目の成膜工程(S40)を実施する際)、窓温度調整部による加熱動作により光透過性窓308の温度を予め設定温度に上昇させておく。その後、2枚目以降のウエハ200の処理を順次進めるにつれて(2回目の成膜工程(S40)を順次繰り返すにつれて)、上述した光透過性窓308の温度上昇要因によって光透過性窓308の温度が徐々に増加することを考慮し、これを打ち消すように(光透過性窓308の温度が上述の設定温度に維持されるように)、窓温度調整部による加熱動作を緩和或いは停止させる(抵抗加熱線257への供給電力を順次減少させていく)。これにより、複数枚のウエハ200を連続的に処理する際に光透過性窓308の温度変化を抑制することができる。その結果、複数枚のウエハ200を連続的に処理する際の、ウエハ間における成膜速度の変化等を抑制させ、基板処理の均一性を向上させることができる。
【0104】
なお、参考までに、従来の処理炉の縦断面図を図8に示す。従来の処理炉は、処理室604と、載置面611aを備えるテーブル611と、ガス供給管605と、ランプ601を備える光源格納室610と、処理室604内を排気する排気管606と、処理室604と光源格納室610とを気密に隔離する光透過性窓602と、を備えて構成されているが、光透過性窓602の温度を調整可能なようには構成されていない。そのため、複数枚のウエハ600を連続的に処理すると、光透過性窓602の温度が光吸収や熱伝導によって徐々に上昇し、これにより成膜速度が徐々に増加する等変動し、ウエハ600間における基板処理の均一性が低下してしまうことがあった。
【0105】
(5)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0106】
(a)本実施形態によれば、成膜工程(S40)を繰り返し実施する間、窓温度調整部によって光透過性窓308の温度を調整するようにしている。例えば、最初のウエハ200を処理する際には、窓温度調整部による加熱動作により光透過性窓308の温度を所定の設定温度に上昇させておき、その後、複数枚のウエハ200の処理を進めるにつれて、ランプ271からの光の照射により加熱される光透過性窓308の温度が上述の設定温度に維持されるように、窓温度調整部による加熱動作を緩和或いは停止させるようにしている。これにより、複数枚のウエハ200を連続的に処理する際における光透過性窓308の温度変化を抑制することができる。その結果、複数枚のウエハ200を連続的に処理する際の、ウエハ間における成膜速度の変化等を抑制させ、基板処理の均一性を向上させることができる。
【0107】
(b)本実施形態によれば、抵抗加熱線257上には、抵抗加熱線257を光透過性窓308に密着させるよう、光透過性窓308との間で抵抗加熱線257を挟み込む光透過性板256が設けられている。光透過性板256により抵抗加熱線257を光透過性窓308に密着させることで、抵抗加熱線257から光透過性窓308への伝熱効率を向上させることができる。特に、温度変化により抵抗加熱線257が伸縮すると抵抗加熱線257が光透過性窓308から離れてしまうことがあるが、光透過性板256を設けることにより、抵抗加熱線257と光透過性窓308との接触を維持することができる。
【0108】
(c)本実施形態によれば、ウエハ200を回転させることで、成膜工程(S40)においてランプ251から照射される紫外光の抵抗加熱線257による遮光量(すなわち、ウエハ200に照射される紫外光の光量)のウエハ面内均一性を向上させることができる。また、ウエハ200上に供給されるTEOSガスの供給流量等のウエハ面内均一性を向上させることができる。これにより、シリコン窒化膜のウエハ面内膜厚及び膜質均一性を向
上させることができる。
【0109】
(d)本実施形態によれば、例えばニクロム線等により構成された抵抗加熱線257の直径を、例えば3mm以下としている。これにより、ランプ251から照射される光の、抵抗加熱線257による遮光量を極小にすることができる。
【0110】
(e)本実施形態によれば、光透過性窓308及び光透過性板256を、ランプ251から照射される光を透過可能な材料である例えば石英(SiO)等により形成している。これにより、ランプ251から照射される光の抵抗加熱線257による遮光量を極小にすることができる。
【0111】
(f)本実施形態に係る成膜工程(S40)では、まず、成膜速度が小さくなる第1の成膜圧力(例えば10Pa以下)での所定膜厚(例えば1〜2nm)のシリコン酸化膜(初期膜)の成膜工程(S41)を実施し、その後、成膜速度が大きくなる第2の成膜圧力(例えば20Pa以上100Pa以下)でのシリコン酸化膜の成膜工程(S42)と、パージ工程(S43)と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数行う(S44)。これにより、成膜速度を向上させつつ、シリコン酸化膜中の残留有機物濃度を低減させることができる。
【0112】
(g)本実施形態によれば、付着したシリコン酸化膜の膜厚が所定の膜厚に達したり、成膜工程(S40)を所定回数繰り返したら、クリーニング工程(S70)を実施するようにしている。これにより、光透過性窓308の透過性を向上させ、シリコン酸化膜による紫外光の吸収を抑制することができる。そして、処理室300内に照射される紫外光の強度低下や、光透過性窓308の温度上昇を抑制することができる。また、処理室300内におけるパーティクルの発生を防ぎ、基板処理の品質を向上させることができる。
【0113】
(h)本実施形態によれば、クリーニング工程(S70)を実施した後、続けてプリコート工程(S80)を実施するようにしている。これにより、次の成膜工程(S40)において、処理室300内に残留しているフッ素成分による影響を回避できる。また、成膜速度を安定させ、シリコン酸化膜を形成する際の再現性を向上させることができる。
【0114】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0115】
上述の実施形態における窓温度調整部は抵抗加熱線257を1系統のみ備えていたが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、窓温度調整部は、独立して電力が供給される抵抗加熱線を2系統以上備えていてもよい。
【0116】
例えば、図7に例示するように、窓温度調整部は、光透過性窓308の半面に配設される第1の抵抗加熱線257aと、光透過性窓308の他の半面に配設される第2の抵抗加熱線257bと、を備え、第1の抵抗加熱線257aへの電力供給と第2の抵抗加熱線257bへの電力供給とが、それぞれ窓加熱電源260a,260bにより行われるように構成されていてもよい。なお、窓加熱電源260a,260bには、それぞれ温度コントローラ261a,261bを接続し、温度コントローラ261a,261bと制御部108とにより上述の温度制御を独立して行うようにしてもよい。係る場合、光透過性窓308の面内の温度分布を面内均一とさせずに、意図的に変化させることができる。
【0117】
また例えば、図示しないが、窓温度調整部は、光透過性窓308の中心部に配設される第1の抵抗加熱線と、光透過性窓308の周縁部に配設される第2の抵抗加熱線と、を備
え、第1の抵抗加熱線への電力供給と第2の抵抗加熱線への電力供給とが上述のように独立して行われるようにしてもよい。例えば、光透過性窓308の中心部で温度が高く、光透過性窓308の周縁部で温度が低くなり易い場合には、第1の抵抗加熱線への通電量を第2の抵抗加熱線への通電量よりも小さくすることで、光透過性窓308の面内温度分布を均一化させることができる。逆に、光透過性窓308の中心部で温度が低く、光透過性窓308の周縁部で温度が高くなり易い場合には、第1の抵抗加熱線への通電量を第2の抵抗加熱線への通電量よりも大きくすることで、光透過性窓308の面内温度分布を均一化させることができる。
【0118】
また例えば、上述の実施形態では、抵抗加熱線257を光透過性窓308の上面に接触するように配設し、その上に光透過性板256を設けて光透過性窓308との間で挟み込むように構成した場合を例示したが、本発明は係る形態に限らず、抵抗加熱線257を光透過性窓308の下面に接触するように配設し、その下に光透過性板256を設けて光透過性窓308との間で挟み込むように構成してもよい。また、光透過性窓308内に抵抗加熱線257を埋め込んで一体化するように構成してもよい。
【0119】
また例えば、上述の実施形態では、成膜工程(S40)において、シリコン含有ガスを処理室300内に供給しつつ紫外光を照射するようにしているが、シリコン含有ガスを処理室300内に供給した後、シリコン含有ガスの供給を停止した状態で、紫外光を照射するようにしてもよい。
【0120】
また例えば、上述の実施形態では、成膜工程において、まず、第1の成膜圧力(〜10Pa)で成膜する工程(S41)を行った後、第2の成膜圧力(20〜100Pa)で成膜する工程(S42)を行った場合を例示したが、本発明は係る形態に限らず、例えば第1の成膜圧力で成膜する工程(S41)を行わず、最初から第2の成膜圧力で成膜する工程(S42)を行い、シリコン酸化膜を形成するようにしてもよい。
【0121】
また例えば、上述の実施形態では、ランプ251から照射される紫外光により処理室300内に供給したTEOSガスを分解して得られた活性種等をウエハ200上に供給してウエハ200上にシリコン酸化膜が形成する場合を例示したが、本発明は係る形態に限らず、例えばランプアニール装置のように、ランプ251から照射される赤外光によりウエハ200を加熱するランプ加熱方式にも適用可能である。
【0122】
また上述の実施形態では、炭素及び水素を含むシリコン含有ガスとしてテトラエトキシシラン(Si(OC、略称:TEOS)を例示したが、本発明は係る形態に限らず、例えばテトラメチルシクロテトラシロキサン([(CH)HSiO]、略称:TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン([(CHSiO]、略称:OMCTS)、オクタメチルトリシロキサン(Si(CH、略称:OMTS)、ヘキサメチルジシロキサン([(CHSiOSi(CH]、略称:HNDSO)、テトラメトキシシラン(Si(OCH、略称:TMOS)、ヘキサメチルシクロトリシラザン(Si21、略称:HMCTSN)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン([SiO(CH]、略称:HMCTS)等の有機原料を用いることができる。
【0123】
また例えば、酸素含有ガスとして酸素(O)ガスを例示したが、これに限らず、例えば、オゾン(O)ガスを用いても良く、またこれらを組み合わせて用いても良い。
【0124】
また例えば、クリーニングガスとして三フッ化窒素(NF)ガスを例示したが、これに限らず、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素(ClF)ガス、フッ素(F)ガス等のフッ素(F)や塩素(Cl)等のハロゲンを含むハロゲン含有ガスを用い
ても良く、またこれらを組み合わせて用いても良い。
【0125】
また上述の実施形態では、不活性ガスとして窒素(N)ガスを例示したが、本発明は係る形態に限らず、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガス等を用いても良く、また窒素ガスとこれらの希ガスとを組み合わせて用いても良い。
【0126】
<本発明の好ましい態様>
次に、本発明の好ましい態様を付記する。
【0127】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられ、基板を載置する載置面を備える基板載置部と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給系と、
前記基板載置部の前記載置面に対向する位置に設けられ、前記処理室内に向けて光を照射する光源を備える光源格納室と、
前記処理室と前記光源格納室とを気密に隔離する光透過性窓と、
前記光透過性窓の温度を調整する窓温度調整部と、を備える
基板処理装置が提供される。
【0128】
好ましくは、
前記窓温度調整部は、
前記光透過性窓の主面上に配設される抵抗加熱線と、
前記光透過性窓との間で前記抵抗加熱線を挟み込むと共に、前記光透過性窓に前記抵抗加熱線を接触させる光透過性板と、を備える。
【0129】
また好ましくは、
前記窓温度調整部は、
前記光透過性窓の主面上に配設される冷却媒体流路と、
前記光透過性窓との間で前記冷却媒体流路を挟み込むと共に、前記光透過性窓に前記冷却媒体流路を接触させる光透過性板と、備える。
【0130】
また好ましくは、
前記基板載置部を回転させる回転機構を備える。
【0131】
また好ましくは、前記光透過性窓は石英から構成される。
【0132】
また好ましくは、前記光透過性板は石英から構成される。
【0133】
また好ましくは、
前記抵抗加熱線の直径は3mm以下である。
【0134】
また好ましくは、
前記窓温度調整部は、独立して電力が供給される抵抗加熱線を2系統以上備える。
【0135】
また好ましくは、
前記窓温度調整部は、
前記光透過性窓の半面に配設される第1の抵抗加熱線と、
前記光透過性窓の他の半面に配設される第2の抵抗加熱線と、を備え、
前記第1の抵抗加熱線への電力供給と前記第2の抵抗加熱線への電力供給とが独立して
行われる。
【0136】
また好ましくは、
前記窓温度調整部は、
前記光透過性窓の中心部に配設される第1の抵抗加熱線と、
前記光透過性窓の周縁部に配設される第2の抵抗加熱線と、を備え、
前記第1の抵抗加熱線への電力供給と前記第2の抵抗加熱線への電力供給とが独立して行われる。
【0137】
また好ましくは、
複数枚の基板を連続して処理する際、
まず、前記窓温度調整部による加熱動作により前記光透過性窓の温度を所定の設定温度に上昇させておき、
その後、複数枚の基板の処理を進めるにつれて、前記光源からの光の照射により加熱される前記光透過性窓の温度が前記設定温度に維持されるように、前記窓温度調整部による加熱動作を緩和或いは停止させる制御部を有する。
【0138】
また好ましくは、
前記光源は、前記処理室内に供給された処理ガスを活性化する紫外光を照射する。
【0139】
また好ましくは、
前記光源は、前記基板載置部に支持された前記基板を加熱する赤外光を照射する。
【0140】
本発明の他の態様によれば、
処理室内に基板を搬入して基板載置部の載置面上に載置する工程と、
ガス供給系から前記処理室内に処理ガスを供給する工程と、
前記基板載置部の載置面に対向する位置に設けられた光源を備える光源格納室と前記処理室とを気密に隔離する光透過性窓を介し、前記光源から、前記処理室内に向けて光を照射する工程と、
前記光透過性窓の温度を窓温度調整部により調整する工程と、
前記処理室内から前記基板を搬出する工程と、を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
【0141】
好ましくは、
前記光を照射する工程では、回転機構により前記基板載置部を回転させる。
【0142】
また、好ましくは、
前記光透過性窓の温度を調整する工程では、
まず、前記窓温度調整部による加熱動作により前記光透過性窓の温度を所定の設定温度に上昇させておき、
その後、複数枚の基板の処理を進めるにつれて、前記光源からの光の照射により加熱される前記光透過性窓の温度が前記設定温度に維持されるように、前記窓温度調整部による加熱動作を緩和或いは停止させる。
【符号の説明】
【0143】
101 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
251 ランプ(光源)
257 抵抗加熱線
300 処理室
301 光源格納室
308 光透過性窓
311 テーブル(基板載置部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられ、基板を載置する載置面を備える基板載置部と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給系と、
前記基板載置部の前記載置面に対向する位置に設けられ、前記処理室内に向けて光を照射する光源を備える光源格納室と、
前記処理室と前記光源格納室とを気密に隔離する光透過性窓と、
前記光透過性窓の温度を調整する窓温度調整部と、を備える
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記窓温度調整部は、
前記光透過性窓の主面上に配設される抵抗加熱線と、
前記光透過性窓との間で前記抵抗加熱線を挟み込むと共に、前記光透過性窓に前記抵抗加熱線を接触させる光透過性板と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
処理室内に基板を搬入して基板載置部の載置面上に載置する工程と、
ガス供給系から前記処理室内に処理ガスを供給する工程と、
前記基板載置部の載置面に対向する位置に設けられた光源を備える光源格納室と前記処理室とを気密に隔離する光透過性窓を介し、前記光源から、前記処理室内に向けて光を照射する工程と、
前記光透過性窓の温度を窓温度調整部により調整する工程と、
前記処理室内から前記基板を搬出する工程と、を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−256724(P2012−256724A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129060(P2011−129060)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】