基板処理装置及び半導体装置の製造方法
基板上に形成する薄膜の再現性と面内均一性、組成均一性を改善する。 反応室100に原料ガスを供給する原料ガス供給管5bに、バルブ34、35を設け、原料ガス供給管5bから分岐したバイパス配管14aにバルブ33を設ける。バルブ34、35の間に不活性ガス供給配管23を設ける。制御装置250は、バルブ33〜35を次のように制御する。成膜時と成膜停止時との間の成膜停止遷移時は、バルブ34を閉じ、バルブ33とバルブ35を共に開き、原料ガスをバイパス配管14aからバイパスさせると共に、不活性ガス供給配管23から不活性ガスを流して原料ガス供給管5b内のバルブ35よりも下流側デッドスペースの残留ガスを反応室から排気する。成膜停止時は、バルブ35を閉じ、バルブ34とバルブ33をともに開き、不活性ガス供給配管23から不活性ガスを流して原料ガス供給管5b内の不活性ガス供給箇所よりも上流側デッドスペースの残留ガスを、原料ガスと共にバイパス配管14aから排気する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の基板を処理するための基板処理装置及び半導体装置(半導体デバイス)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の1つに基板の表面に所定の成膜処理を行うCVD(Chemical Vapor Deposition)工程がある。ここで、基板とはシリコンウェハやガラスなどをベースとする微細な電気回路パターンが形成された被処理基板をいう。CVD工程は、気密な反応室に基板を装填し、室内に設けた加熱手段により基板を加熱し、反応ガスを基板上へ導入しながら化学反応を起こし、基板上にある微細な電気回路パターン上へ薄膜を均一に形成するものである。図13に示すCVD装置は、反応室1内にシャワー板2とサセプタ4を設け、サセプタ4上に基板3を配置して構成されている。反応ガスは、シャワー板2に接続された成膜ガス供給配管8を通って供給され、シャワー板2に設けたシャワー孔6を経由して基板3上へ導入される。基板3上へ導入された成膜ガスの一部は、基板からの熱エネルギーにより分解反応、吸着反応、あるいは結合反応を起こしたりして所定のCVD薄膜の堆積に費やされる。また、成膜ガスの残ガスや副生成物は、排気配管7を通って排気処理される。このCVD薄膜の堆積処理中は、基板3はサセプタ4の下方に設けたヒータ5によって加熱されている。
【0003】
このようなCVD装置としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置やALD(Atomic Layer Deposition)装置がある。これらの装置は、有機金属材料を成膜原料として、酸化ハフニウム膜(以下、HfOと略す)やハフニウムシリケート膜(以下、HfSiOと略す)を形成するものである。
例えばHfOの成膜を行う場合は、成膜原料には、Hf[OC(CH3)3]4(テトラ−シャリーブトラキシ−ハフニウム、略称Hf−OtBu)、Hf[OC(CH3)2CH2OCH3]4(テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ハフニウム、略称Hf−MMP4)、Hf[O−Si−(CH3)]4、HfCl4など様々な有機Hf金属原料が利用されている。
また、HfSiOを成膜する場合は、上記Hf金属原料に加え、Si[OC(CH3)3]4(テトラ−シャリーブトラキシ−シリコン、略称Si−OtBu)、Si[OC(CH3)2CH2OCH3]4(テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)シリコン、略称Si−MMP4)、Si(OC2H5)4(略称TEOS)などの有機Si金属原料が利用されている。この有機Si金属原料は、前記の有機Hf金属材料と混合して使用される。
このような有機金属材料の多くは、輸送や供給の容易性を確保するため、常温常圧において液体、あるいは固体である。このため、ほとんどの原料は加熱して蒸気圧を高めて気体に変換して利用される。
【0004】
図12は、従来の代表的なMOCVD装置の構成図である。成膜原料容器10に充填された液体原料9は、不活性ガス導入口11から圧力をかけた不活性ガスにより押されて、液体供給配管12を経由して気化器13へ導かれる。その液体原料は、気化器13内部に配置されたヒータにより加熱されて液体から気体へ変換される。このようにして液体原料9は成膜ガスとなり、気化ガス供給配管14を通ってガス供給制御配管15へ導かれる。
ガス供給制御配管15において、基板に対して成膜を行う場合は、成膜ガスは成膜ガス供給配管8へ導かれるようになっている。成膜を行わない場合や成膜を停止する場合は、成膜ガスはバイパス配管16へ導かれるようになっている。成膜ガスは、いずれのルートを経由した場合でも排気配管7を経由して排気処理装置17へ導かれて排気処理される。
ガス供給制御配管15は、図8に示すように、バルブ31、バルブ32、及び希釈ガス供給配管19を有する。バルブ31は気化ガス供給配管14から分岐されたバイパス配管16に設けられる。バルブ32は気化ガス供給配管14と連通する成膜ガス供給配管8に設けられる。希釈ガス供給配管19は、バルブ32の下流側の成膜ガス供給配管8に設けられる。このガス制御配管15は、バルブ31、バルブ32の開閉を制御することによって、成膜を行うか否かを制御する。尚、希釈ガスは、成膜を行うか否かに無関係に希釈ガス導入口20から導入され、希釈ガス供給配管19を経由して、常に反応室へ供給される。希釈ガスを、常に反応室へ供給することにより、バルブ31、バルブ32の開閉による反応室の圧力変動を抑制したり、成膜ガスを希釈して薄膜の堆積速度を制御したりできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、図9〜図11を用いて、従来のガス供給制御配管15の問題点を説明する。従来のガス供給制御配管15を用いて、成膜ガスをバイパス配管16へ流している状態、すなわち、成膜を停止している状態は図9で表される。このときバルブ31は開、バルブ32は閉である。成膜ガスが存在する配管は太線で示す。以下、図10及び図11においても太線で示した配管は成膜ガスが存在することを示す。成膜を停止している状態から、ガス供給制御配管15を用いて成膜ガスを成膜ガス供給配管8へ流した状態、すなわち成膜を開始した状態へ移行した状態は図10で表される。このときバルブ31は閉、バルブ32は開であり、反応室へ成膜ガスが導入され、成膜が行われる。
【0006】
この状態から、成膜を停止した瞬間の状態へ移行した状態は図11で示される。このときバルブ31は開、バルブ32は閉である。しかしながら成膜ガス供給配管8内のデッドスペース18には成膜ガスが滞留しているので、成膜を停止したことにはならない。ここでデッドスペース18とは、成膜ガス供給配管8内のバルブ32と希釈ガス供給箇所との間の部分をいう。したがって、従来構造のガス供給制御配管15では、成膜停止状態が曖昧となり、成膜を即座に、かつ完全に停止することは困難である。このため、従来では薄膜の堆積膜厚が変動したり、基板面内の膜厚均一性が得難くなったりしている。以上のような憂慮すべき事象は、特に、2種類の液体原料を用いて成膜を行う2元素系CVD薄膜(HfSiO、AlSiO、ZrSiO、HfAlOなど)の形成時においては、その面内の組成均一性を得難くさせるため、深刻な問題となっている。
【0007】
尚、バルブを閉じた後、真空引きすることによりデッドスペースに滞留した成膜ガスを除去する方法も考えられる。しかし、成膜ガスは壁にへばりついているので、その方法によっては成膜ガスを除去しきれない。
【0008】
本発明は、デッドスペースに滞留する成膜ガスをパージすることが困難であるという従来の問題を解決し、基板へ形成される薄膜の再現性と面内均一性、組成均一性を改善すること可能な基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、少な<とも1枚の基板を処理する反応室と、前記反応室内に原料ガスを供給する原料ガス供給ユニットと、前記反応室と原料ガス供給ユニットとを結ぶ原料ガス供給ラインと、前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられ、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気するバイパスラインと、前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第の1バルブと、前記原料ガス供給ラインの前記第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブと、前記バイパスラインに設けられた第3のバルブと、前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインと、を有することを特徴とする基板処理装置である。
第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインを設けると、第1のバルブ付近の成膜ガス供給ライン(デッドスペース)や、第2バルブ付近の成膜ガス供給ライン(デッドスペース)に滞留する成膜ガスを、不活性ガスで押し流すことが可能になる。したがって、デッドスペースに滞留する成膜ガスを有効にパージすることが可能になる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記反応室内で基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
基板処理の際、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とすると、原料ガスが反応室内に供給されて成膜が行われる。基板処理後、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とすると、反応室をバイパスするようバイパスラインから原料ガスが排気されて成膜が停止される。それと同時に第2のバルブ付近のデッドスペースに滞留する成膜ガスが反応室内に押し流される。その後、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とすると、第1のバルブ付近のデッドスペースに滞留する成膜ガスがバイパスラインから排気される。したがって、成膜停止後の曖昧な状態がなくなり、成膜を即座に停止することができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを、複数回繰り返すよう制御する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを複数回繰り返すので、パージ効果が高まり、また、たとえ成膜ガス供給ラインに原料ガスが残留した場合であっても、その原料ガスの希釈の度合いを高め、原料ガスの濃度を低くすることができる。
【0012】
第4の発明は、第2の発明において、原料ガス供給ユニットは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けるよう構成されることを特徴とする基板処理装置である。
常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けると、原料ガスの安定供給を行うことができる。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、第1の不活性ガス供給ラインは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の不活性ガスを供給し続けるよう構成されることを特徴とする基板処理装置である。
常に一定流量の不活性ガスを供給し続けると、原料ガスが第1の不活性ガス供給ラインに逆流するのを防止することができる。
【0014】
第6の発明は、第1の発明において、前記第2のバルブよりも下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを有することを特徴とする基板処理装置である。
第2のバルブよりも下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを設けると、第2の不活性ガス流量を調整することにより、反応室内の圧力変動を抑えることが可能となる。
【0015】
第7の発明は、第6の発明において、原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量とを一定とし、第2の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量を可変としたことを特徴とする基板処理装置である。
原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量とを一定とし、第2の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量を可変とすることにより、反応室内に導入するトータルガス流量(原料ガスと不活性ガスの合計流量)が常に一定となるよう調整することが可能となり、反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0016】
第8の発明は、第7の発明において、前記反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整するので、基板処理前、基板処理中、基板処理後において、反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0017】
第9の発明は、第8の発明において、前記反応室内で基板を処理する前は、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とし、基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
本発明のように、各バルブを制御すると、第1のバルブ付近および第2のバルブ付近のデッドスペースに滞留する成膜ガスを除去することができるとともに、基板処理前、処理時、処理後、その後において反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0018】
第10の発明は、第1の発明において、原料ガス供給ラインには、少なくとも2種類の原料ガスを供給する少な<とも2つの原料ガス供給ユニットが接続されるか、少なくとも2種類の原料の混合ガスを供給する少なくとも1つの原料供給ユニットが接続されることを特徴とする基板処理装置である。
上述したような2種類の原料ガスを供給する多元素系薄膜の形成を行う場合に、特に軽い原料ほど基板中央部に多く付着するという現象が生じやすいが、本発明によれば、デッドスペースに滞留したいずれの種類の残留ガスであっても有効にパージできるので、このような現象が生じるのを有効に防止でき、基板面内における組成均一性を改善できる。
【0019】
第11の発明は、少なくとも1枚の基板を反応室内に搬入する工程と、前記反応室内に原料ガス供給ユニットより原料ガス供給ラインを介して原料ガスを供給して反応室内に搬入した基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後に、前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられたバイパスラインより、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気する工程と、処理後の基板を前記反応室より搬出する工程とを有し、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第1のバルブを閉とし、前記原料ガス供給ラインの第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブを開とし、バイパスラインに設けられた第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程で、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給するので、バイパスラインより原料ガスを排気しつつ、第2のバルブの下流側の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。
【0020】
第12の発明は、第11の発明において、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、更に、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程で、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給するので、バイパスラインより原料ガスを排気しつつ、第1のバルブと不活性ガス供給箇所との間の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。
【0021】
第13の発明は、第11の発明において、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程とを、複数回繰り返すことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを複数回繰り返すので、パージ効果が高まり、また、たとえ成膜ガス供給ラインに原料ガスが残留した場合であっても、その原料ガスの希釈の度合いを高め、原料ガスの濃度を低くすることができる。
【0022】
第14の発明は、第11の発明において、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第2のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第1のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第2のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程では、第2のバルブの下流側の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。また、第1のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程では、第1のバルブと不活性ガス供給箇所との間の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。したがって、原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスを有効にパージすることができる。
【0023】
第15の発明は、第12の発明において、少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、原料ガス供給ユニットより常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けると、原料ガスの安定供給を行うことができる。
【0024】
第16の発明は、第15の発明において、少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に常に一定流量の不活性ガスを供給し続けることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
常に一定流量の不活性ガスを供給し続けると、原料ガスが第1の不活性ガス供給ラインに逆流するのを防止することができる。
【0025】
第17の発明は、第12の発明において、前記基板処理前にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理前においても、バイパスラインより原料ガスを排気する工程で、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給するので、バイパスラインより原料ガスを排気しつつ、第1のバルブと不活性ガス供給箇所との間の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。
【0026】
第18の発明は、第17の発明において、基板処理前、基板処理中、基板処理後においては、原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に供給する不活性ガスの供給流量とを常に一定とし、反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が常に一定となるよう、第2のバルブ下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給して、その供給流量の調整を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整するので、基板処理前、基板処理中、基板処理後において、反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0027】
第19の発明は、第12の発明において、原料ガス供給ラインを介して反応室内に供給する原料ガスは、少なくとも2種類の原料ガス、または少なくとも2種類の原料の混合ガスを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
上述したような2種類の原料ガスを供給する多元素系薄膜の形成を行う場合に、特に軽い原料ほど基板中央部に多く付着するという現象が生じやすいが、本発明によれば、デッドスペースに滞留したいずれの種類の残留ガスであっても有効にパージできるので、このような現象が生じるのを有効に防止でき、基板面内における組成均一性を改善できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、デッドスペースに滞留する成膜ガスを、不活性ガスで押し流すことにより有効にパージすることができる。このため薄膜の堆積膜厚の変動を抑制することができ、基板へ形成される薄膜の再現性と基板面内の膜厚均一性や組成均一性を改善することができる。加えて、成膜ガスの滞留するデッドスペースが無いため、成膜ガスの自己分解などによるパーティクル発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。実施の形態では、CVD法、より具体的にはMOCVD法を使って、HfO膜のうち特にアモルファス状態のHfO2膜(以下、単にHfO2膜と略す)を形成する1元素系CVD薄膜形成装置の場合について説明する。
【0030】
図1は実施の形態に係る基板処理装置であるリモートプラズマユニットが組み込まれた枚葉式MOCVD装置の一例を示す概略図である。枚葉式MOCVD装置は、少なくとも1枚の基板を処理するように構成される。
図に示すように、反応室100内に中空のヒータユニット180が設けられる。ヒータユニット180は、基板保持手段としてのサセプタ200によって上部開口が覆われている。ヒータユニット180の内部には加熱手段としてのヒータ300が設けられる。ヒータ300によってサセプタ200上に載置される基板400を加熱できるようになっている。ヒータ300は基板400の温度が所定の温度となるよう温度制御手段51により制御される。サセプタ200上に載置される基板400は、例えば半導体シリコンウェハ、ガラス基板等である。
【0031】
反応室100外に回転手段としての基板回転ユニット120が設けられる。基板回転ユニット120によって反応室100内のヒータユニット180を回転して、サセプタ200上の基板400を回転できるようになっている。基板400を回転させるのは、後述する成膜工程、改質工程における基板への処理を基板面内において素早く均一に行うためである。尚、基板回転ユニット120は駆動制御手段54によって制御される。
【0032】
また、反応室100内のサセプタ200の上方に多数の孔800を有するシャワーヘッド600が設けられる。このシャワーヘッド600には、成膜ガスを供給する原料供給管500とラジカルを供給するラジカル供給管130とが共通に接続されて、成膜ガスまたはラジカルをシャワーヘッド600からシャワー状に反応室100内へ噴出できるようになっている。ここで、シャワーヘッド600は、成膜工程で基板400に供給する成膜ガスと、改質工程で基板400に供給するラジカルとをそれぞれ供給する同一の供給口を構成する。
【0033】
反応室100外に、成膜原料としての有機液体原料を供給する原料供給ユニット900と、成膜原料の液体供給流量を制御する流量制御手段としての液体流量制御装置280と、成膜原料を気化する気化器290とが設けられる。また、希釈ガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給ユニット10aと、不活性ガスの供給流量を制御する流量制御手段としてのマスフローコントローラ460a、460bとが設けられる。マスフローコントローラ460a、460bは、不活性ガス供給ユニット10aに接続された第1の不活性ガス供給配管23、第2の不活性ガス供給配管24にそれぞれ設けられる。
有機液体原料としてはHf−(MMP)4などを用いる。また、不活性ガスとしてはAr、He、N2などを用いる。
【0034】
原料供給ユニット900に設けられた原料ガス供給管5bと、不活性ガス供給ユニット10aに設けられた第1の不活性ガス供給配管23、第2の不活性ガス供給配管24とを一本化して、シャワーヘッド600に接続される原料供給管500が設けられる。原料供給管500は、基板400上にHfO2膜を形成する成膜工程で、シャワーヘッド600に成膜ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給するようになっている。原料ガス供給管5b、不活性ガス供給配管23、24はともにガス供給制御配管36に接続されている。このガス供給制御配管36は、成膜を行うか否かを制御する機能を有し、後に詳述するが、第1のバルブ34と、第2のバルブ35と、第3のバルブ33と、第1の不活性ガス供給配管23と、第2の不活性ガス供給配管24と、原料ガスバイパス管14aとを有する。このガス供給制御配管36により成膜ガスと不活性ガスとの混合ガスの供給を制御することが可能となっている。
尚、上述した原料ガス供給管5b及び原料供給管500から原料ガス供給ラインが構成される。また、第1の不活性ガス供給配管23及び第2の不活性ガス供給配管24から第1の不活性ガス供給ライン及び第2の不活性ガス供給ラインがそれぞれ構成される。
【0035】
また、反応室100外に、ガスをプラズマにより活性化させて反応物としてのラジカルを形成するプラズマ源となる反応物活性化ユニット(リモートプラズマユニット)110が設けられる。後述する改質工程で用いるラジカルは、原料としてHf−(MMP)4などの有機材料を用いる場合は、例えば酸素ラジカルが良い。これは酸素ラジカルにより、HfO2膜形成直後にCやHなどの不純物除去処理を効率的に実施することができるからである。また、後述するセルフクリーニング工程で用いるラジカルはClF3ラジカルが良い。改質工程において、酸素含有ガス(O2、N2O、NO等)をプラズマによって分解した酸素ラジカル雰囲気中で、膜を酸化させる処理をリモートプラズマ酸化処理(RPO[remote plasma oxidation]処理)という。
【0036】
反応物活性化ユニット110の上流側には、ガス供給管370が設けられる。このガス供給管370には、酸素(O2)を供給する酸素供給ユニット470、プラズマを発生させるガスであるアルゴン(Ar)を供給するAr供給ユニット480、及びフッ化塩素(ClF3)を供給するClF3供給ユニット490が、それぞれ供給管520、530、540を介して接続されている。酸素供給ユニット470、Ar供給ユニット480、ClF3供給ユニット490は、改質工程で使用するO2とAr、及びセルフクリーニング工程で使用するClF3とArを反応物活性化ユニット110に対し供給するようになっている。酸素供給ユニット470、Ar供給ユニット480、及びClF3供給ユニット490に接続される供給管520、530、540には、それぞれのガスの供給流量を制御する流量制御手段としてのマスフローコントローラ550、560、570が設けられている。供給管520、530、540にはそれぞれバルブ580、590、600を設け、これらのバルブ580、590、600を開閉することにより、O2ガス、Arガス、及びClF3の供給を制御することが可能となっている。
【0037】
反応物活性化ユニット110の下流側には、シャワーヘッド600に接続されるラジカル供給管130が設けられ、改質工程またはセルフクリーニング工程で、シャワーヘッド600に酸素(O2)ラジカルまたはフッ化塩素(ClF3)ラジカルを供給するようになっている。また、ラジカル供給管130にはバルブ240が設けられ、バルブ240を開閉することにより、ラジカルの供給を制御することが可能となっている。
【0038】
反応室100に排気口7aが設けられ、その排気口7aには排気管700が接続されている。この排気管700には、反応室100内の圧力を制御する圧力調整器61と、成膜原料を回収するための原料回収トラップ160とが設置される。この原料回収トラップ160は、成膜工程、改質工程、及びセルフクリーニング工程とに共用で用いられる。排気管700には、更に、排気装置としての真空ポンプ62、除害装置63が設置される。前記排気口7a及び排気管700で排気ラインを構成する。
【0039】
また、原料ガス供給管5b及びラジカル供給管130には、排気管700に設けた原料回収トラップ160に接続される原料ガスバイパス管14a及びラジカルバイパス管14bがそれぞれ分岐接続される。原料ガスバイパス管14aには前述したバルブ33を設け、ラジカルバイパス管14bにはバルブ230を設ける。これらのバルブ33、230の開閉により、成膜工程で反応室100内の基板400に成膜ガスを供給する際は、改質工程で使用するラジカルは、その供給は停止させずに反応室100をバイパスするようラジカルバイパス管14b、原料回収トラップ160を介して排気しておく。また、改質工程で基板400にラジカルを供給する際は、成膜工程で使用する成膜ガスは、その供給は停止させずに反応室100をバイパスするよう原料ガスバイパス管14a、原料回収トラップ160を介して排気しておく。
尚、上述した原料ガスバイパス管14a及びラジカルバイパス管14bからバイパスラインが構成される。
【0040】
そして、枚葉式MOCVD装置には、制御装置250が設けられる。この制御装置250は、反応室100内で基板400上にHfO2膜を形成する成膜工程と、成膜工程で形成したHfO2膜中の特定元素であるC、H等の不純物を反応物活性化ユニット110を用いたプラズマ処理により除去する改質工程とを、連続して複数回繰り返すように制御する。この制御は、ガス供給制御配管36に設けられたバルブ33、34、35、及びラジカルバイパス管14bに設けられたバルブ230、ラジカル供給管130に設けられたバルブ240の開閉等を制御することにより行う。
尚、制御装置250では、ヒータ300の制御を行う温度制御手段51、液体流量制御装置280、マスフローコントローラ460a,460b,550,560,570の制御を行う流量調整手段52、圧力調整器61の制御を行う圧力制御手段53、及び基板回転ユニット120の制御を行う駆動制御手段54の制御も行う。
【0041】
次に上述した図1のような構成の枚葉式CVD装置を用いて、高品質なHfO2膜を堆積するための手順を示す。この手順には、昇温工程、成膜工程、パージ工程、改質工程が含まれる。
【0042】
まず、少なくとも1枚の基板400を図1に示す反応室100内に搬入して、反応室100内のサセプタ200上に基板400を載置する。基板400を基板回転ユニット120により回転させながら、ヒータ300に電力を供給して基板400の温度を350〜500℃に均一に加熱する(昇温工程)。尚、基板温度は、用いる有機材料の反応性により異なるが、Hf−(MMP)4においては、390〜450℃の範囲内が良い。また、基板400の搬送時や基板加熱時は、不活性ガス供給配管23、24より反応室100内に、Ar、He、N2などの不活性ガスを常に流しておくと、パーティクルや金属汚染物の基板400への付着を防ぐことができる。
【0043】
昇温工程終了後、成膜工程に入る。成膜工程では、原料供給ユニット900から供給した有機液体原料例えばHf−(MMP)4を、液体流量制御装置280で流量制御し、気化器290へ供給して気化させる。原料ガス供給管5bに設けたバルブ34、35を開くことにより、気化した原料ガスをシャワーヘッド600を介して基板400上へ供給する。このときも、不活性ガス供給ユニット10aから不活性ガス供給配管23、24を介して反応室100内に不活性ガス(N2など)を常に流して、成膜ガスを撹拌させるようにする。成膜ガスは不活性ガスで希釈すると撹拌しやすくなる。原料ガス供給管5bから供給される成膜ガスと、不活性ガス供給配管23、24から供給される不活性ガスとはガス供給制御配管36で混合され、混合ガスとして原料供給管500からシャワーヘッド600に導びかれ、多数の孔800を経由して、サセプタ200上の基板400上へシャワー状に供給される。尚、このときO2等の酸素原子を含むガスは供給せず、反応性ガスとしてはHf−(MMP)4ガスのみ供給する。
【0044】
この混合ガスの供給を所定時間実施することにより、基板400上に基板との界面層(第1の絶縁層)としてのHfO2膜を0.5Å〜30Å、例えば15Å形成する。この間、基板400は回転しながらヒータ300により所定温度(成膜温度)に保たれているので、基板面内にわたり均一な膜を形成できる。次に、原料ガス供給管5bに設けたバルブ34またはバルブ35を閉じて、原料ガスの基板400への供給を停止する。尚、この際、原料ガスバイパス管14aに設けたバルブ33を開き、成膜ガスの供給を原料ガスバイパス管14aで反応室100をバイパスして排気し、原料供給ユニット900からの成膜ガスの供給を停止しないようにする。液体原料を気化して、気化した原料ガスを安定供給するまでには時間がかかるので、成膜ガスの供給を停止させずに、反応室100をバイパスするように流しておくと、次の成膜工程では流れを切換えるだけで、直ちに成膜ガスを基板400へ供給できる。
【0045】
成膜工程終了後、パージ工程に入る。パージ工程では、反応室100内を不活性ガスによりパージして残留ガスを除去する。尚、成膜工程では、反応室100内には不活性ガス供給ユニット10aから不活性ガス(N2など)が常に流れているので、バルブ34または35を閉じて原料ガスの基板400への供給を停止すると同時にパージが行われることとなる。
【0046】
パージ工程終了後、改質工程に入る。改質工程はRPO(remote plasma oxidation)処理によって行う。ここでRPO処理とは、酸素含有ガス(O2、N2O、NO等)をプラズマによって活性化させて発生させた反応物としての酸素ラジカルを用いて、膜を酸化させるリモートプラズマ酸化処理のことである。改質工程では、供給管530に設けたバルブ590を開き、Ar供給ユニット480から供給したArをマスフローコントローラ560で流量制御して反応物活性化ユニット110へ供給し、Arプラズマを発生させる。Arプラズマを発生させた後、供給管520に設けたバルブ580を開き、酸素供給ユニット470から供給したO2をマスフローコントローラ550で流量制御してArプラズマを発生させている反応物活性化ユニット110へ供給し、O2を活性化する。これにより酸素ラジカルが生成される。ラジカル供給管130に設けたバルブ240を開き、反応物活性化ユニット110から酸素ラジカルを含むガスを、シャワーヘッド600を介して基板400上へ供給する。この間、基板400は回転しながらヒータ300により所定温度(成膜温度と同一温度)に保たれているので、成膜工程において基板400上に形成された15ÅのHfO2膜よりC、H等の不純物を素早く均一に除去できる。
【0047】
その後、ラジカル供給管130に設けたバルブ240を閉じて、酸素ラジカルの基板400への供給を停止する。尚、この際、ラジカルバイパス管14bに設けたバルブ230を開くことにより、酸素ラジカルを含むガスの供給を、ラジカルバイパス管14bで反応室100をバイパスして排気し、酸素ラジカルの供給を停止しないようにする。酸素ラジカルは生成から安定供給するまでに時間がかかるので、酸素ラジカルの供給を停止させずに、反応室100をバイパスするように流しておくと、次の改質工程では、流れを切換えるだけで、直ちにラジカルを基板400へ供給できる。
【0048】
改質工程終了後、再びパージ工程に入る。パージ工程では、反応室100内を不活性ガスによりパージして残留ガスを除去する。尚、改質工程でも、反応室100内には不活性ガス供給ユニット10aから不活性ガス(N2など)が常に流れているので、酸素ラジカルの基板400への供給を停止すると同時にパージが行われることとなる。
【0049】
パージ工程終了後、再び成膜工程に入り、原料ガスバイパス管14aに設けたバルブ33を閉じて、原料ガス供給管5bに設けたバルブ34、35を開くことにより、成膜ガスをシャワーヘッド600を介して基板400上へ供給し、また15ÅのHfO2膜を、前回の成膜工程で形成した薄膜上に堆積する。
【0050】
以上のような、成膜工程→パージ工程→改質工程→パージ工程を複数回繰り返すというサイクル処理により、CH、OHの混入が極めて少ない所定膜厚の薄膜を形成することができる。処理後の基板400は、反応室100より搬出される。
【0051】
ここで、Hf−(MMP)4を用いた場合の好ましい成膜条件は、次の通りである。温度範囲は400〜450℃、圧力範囲は100Pa程度以下である。温度については、400℃より低くなると膜中に取り込まれる不純物(C、H)の量が急激に多くなる。400℃以上になると、不純物が離脱しやすくなり、膜中に取り込まれる不純物量が減少する。また、450℃より高くなるとステップカバレッジが悪くなるが、450℃以下の温度であると、良好なステップカバレッジが得られ、また、アモルファス状態を保つこともできる。
【0052】
また、圧力については、例えば1Torr(133Pa)以上の高い圧力とするとガスは粘性流となり、パターン溝の奥までガスが入って行かなくなる。ところが、100Pa程度以下の圧力とすることにより、流れを持たない分子流とすることができ、パターン溝の奥までガスが行き届く。
【0053】
また、Hf−(MMP)4を用いた成膜工程に連続して行なう改質工程であるRPO(remote plasma oxidation)処理の好ましい条件は、温度範囲は390〜450℃程度(成膜温度と略同一温度)、圧力範囲は100〜1000Pa程度である。また、ラジカル用のO2流量は100sccm、不活性ガスAr流量は1slmである。
【0054】
成膜工程と、改質工程は、略同一温度で行なうのが好ましい。すなわち、ヒータの設定温度は変更せずに一定とするのが好ましい。これは、温度変動を生じさせないことにより、シャワーヘッドやサセプタ等の周辺部材の熱膨張によるパーティクルが発生しにくくなり、また、金属部品からの金属の飛び出し(金属汚染)を抑制できるからである。
【0055】
尚、反応室内に付着した累積膜のセルフクリーニング工程を実施するには、反応物活性化ユニット110でクリーニングガス(Cl2やClF3など)をラジカルにして反応室100に導入する。すなわち、供給管530に設けたバルブ590を開き、Ar供給ユニット480から供給したArをマスフローコントローラ560で流量制御して反応物活性化ユニット110へ供給し、Arプラズマを発生させる。Arプラズマを発生させた後、供給管540に設けたバルブ600を開き、ClF3供給ユニット490から供給したClF3をマスフローコントローラ570で流量制御してArプラズマを発生させている反応物活性化ユニット110へ供給し、ClF3を活性化する。これによりClF3ラジカルが生成される。ラジカル供給管130に設けたバルブ240を開き、反応物活性化ユニット110からClF3ラジカルを含むガスを、シャワーヘッド600を介して基板400上へ供給する。このセルフクリーニングにより、反応室100でクリーニングガスと累積膜とを反応させ、累積膜を塩化金属などに変換して揮発させて、これを排気する。これにより反応室内の累積膜が除去される。
【0056】
上述した実施の形態によれば、HfO2膜形成→改質処理(RPO処理)→HfO2膜形成→…を複数回繰り返すというサイクル処理をしているので、CH、OHの混入が極めて少ない所定膜厚のHfO2膜を形成することができる。
【0057】
ところで、反応室100へ成膜ガスが導入されて成膜が行われるが、この成膜を停止するには、原料ガス供給管5bのデッドスペースに滞留する成膜ガスを十分にパージする必要があることは前述した通りである。本実施の形態では、このデッドスペースに滞留する成膜ガスを、ガス供給制御配管36を制御することによって有効にパージしている。
【0058】
以下、本実施形態におけるこのガス供給制御配管36の構成、作用について詳説する。本発明のガス供給制御配管36の特徴は次の通りである。すなわち、まず、従来のガス供給制御配管15に対して、希釈ガス供給配管とバルブを各々1つずつ追加する。つまり気化ガス供給配管に接続される希釈ガス配管、バルブの接続点数が、シャワー板までの1つの供給経路上に2つ以上直列して配置されることとなる。
【0059】
具体的には、図2に示すように、ガス供給制御配管36は、気化ガス供給配管14及び成膜ガス供給配管8とバイパス配管16とを有する。図面上では逆L字形に接続されている気化ガス供給配管14及び成膜ガス供給配管8は、図1に示す原料ガス供給管5bに対応し、反応室100内に原料ガスを供給する原料ガス供給ラインを構成する。バイパス配管16は、図1に示す原料ガスバイパス管14aに対応し、気化ガス供給配管14及び成膜ガス供給配管8の接続点から分岐するよう設けられ、反応室100をバイパスするよう原料ガスを排気するバイパスラインを構成する。
【0060】
成膜ガス供給配管8のバイパス配管16との分岐点よりも下流側には第の1バルブ34が設けられ、成膜ガス供給配管8の第1のバルブ34よりも下流側には第2のバルブ35が設けられる。バイパス配管16には第3のバルブ33が設けられる。これらのバルブ33〜35にはいずれも2方向バルブを用いている。
【0061】
また、成膜ガス供給配管8には、第1の希釈ガスを供給する第1の希釈ガス供給配管27と、第2の希釈ガスを供給する第2の希釈ガス供給配管28とが設けられている。第1の希釈ガス供給配管27は、図1に示す第1の不活性ガス供給配管23に対応し、第1のバルブ34と第2のバルブ35との間の原料ガス供給ライン内に第1の不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインを構成する。第2の希釈ガス供給配管28は、図1に示す第2の不活性ガス供給配管24に対応し、第2のバルブ35よりも下流の原料ガス供給ライン内に第2の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを構成する。
第1の希釈ガス供給配管27、第2の希釈ガス供給配管28には、不活性ガスとして希釈ガスを導入する第1の希釈ガス導入口25、第2の希釈ガス導入口26とがそれぞれ設けられている。
【0062】
第1及び第2の不活性ガス供給ラインの役割は次の通りである。第1の不活性ガス供給ライン27には、後述する成膜ガス供給ライン8の第1デッドスペース21のパージを行う役割がある(成膜停止状態)。また、後述する成膜ガス供給ライン8の第2デッドスペース21のパージを行う役割がある(成膜停止遷移状態)。第2の不活性ガス供給ライン28には、反応室内に導入するトータルガス流量(原料ガスと希釈ガスの合計流量)が常に一定となるよう第2の不活性ガス流量を調整し、反応室内の圧力変動を抑える役割がある。
【0063】
以下に、図3〜図5を用いて、成膜を停止する方法(プロセス)の一例を示す。本発明では、ガス供給制御配管36は、成膜停止の状態→成膜時の状態→成膜停止遷移の状態→成膜停止の状態→成膜時の状態→成膜停止遷移の状態→‥‥と移り変わる。あらかじめ反応室100に基板400が設置され加熱されたところから、前記の状態別にガス供給制御配管36の動作を説明する。尚、説明図において気化器290からは成膜ガスが常に供給され、第1の希釈ガス導入口25と第2の希釈ガス導入口26へ、それぞれ希釈ガス(Ar、N2、O2など単独では成膜作用のないガス)が常に供給されているものとする。また、成膜ガス、希釈ガスは流量制御装置などにより、流量が制御されていても良い。
【0064】
ここで気化器290から成膜ガスを常に供給し続ける理由は、次の通りである。原料を気化器で気化したり、気化しなかったり、あるいは気化を停止したりすると、気化熱が奪われたり、奪われなかったりし、気化器の温度が安定しなくなる。そうすると、原料の気化開始から原料ガスの安定供給までに時間がかかってしまうこととなる。よって、常に気化器の温度を安定化させ、原料ガスの安定供給を行うため、気化を停止することなく、気化器から原料ガスを常に供給し続けている。
【0065】
また、希釈ガス供給ラインに常に希釈ガスを流し続ける理由は、次の通りである。希釈ガス供給ラインからの希釈ガスの供給を停止すると、原料ガス等が希釈ガス供給ラインに逆流することが考えられる。それを防止するために、希釈ラインには常に希釈ガスを流し続けている。
【0066】
(成膜停止の状態)
図3に成膜停止の状態を示す。この状態では、バルブ33とバルブ34はともに開、バルブ35は閉とする。図3に示す太線の配管内、すなわち気化ガス供給配管14及びバイパス配管16内は気化器290から供給された成膜ガスが流れていることを示している。また、第1の希釈ガスは、矢印で示すように、成膜ガス供給配管8内の第1のデッドスペース21、バルブ34、バルブ33、バイパス配管16を経由して、成膜ガスとともに排気処理装置へ流れる。ここで第1のデッドスペース21とは、成膜ガス供給配管8内の第1のバルブ34と第1希釈ガス供給箇所との間の部分をいう。また、後述する第2のデッドスペース22とは、成膜ガス供給配管8内の第2のバルブ35と第2希釈ガス供給箇所との間の部分をいう。
これにより、第1のデッドスペース21及びバルブ34に滞留している成膜ガスを、希釈ガスで押し流すことによりパージ処理することができる。
成膜停止の状態においては、成膜ガス供給配管8内の第1希釈ガス供給箇所と、気化ガス供給配管14と成膜ガス供給配管8の接続点との間に希釈ガスによる逆流(成膜時とは逆方向の流れ)を生じさせる必要がある。バイパス配管16は真空ポンプ62に直結されているので、バルブ33、34、35を切り換えるだけで、成膜ガス供給配管8内の第1希釈ガス供給箇所と、気化ガス供給配管14と成膜ガス供給配管8の接続点との間に希釈ガスによる逆流を速やかに生じさせることができる。
成膜停止の状態は、基板400への成膜開始前の状態であって、成膜ガスの流量を安定させるために必要な処理であり、この状態から、成膜時の状態へ移行する。
【0067】
(成膜時の状態)
図4に成膜時の状態を示す。この状態では、バルブ33は閉、バルブ34とバルブ35はともに開とする。前記と同様に太線の配管、すなわち気化ガス供給配管14、成膜ガス供給配管8内には成膜ガスが流れていることを示す。したがって、反応室100内に成膜ガスが導入されて、基板400に対して成膜処理が行われる。尚、このとき第1、2の希釈ガスも成膜ガス供給配管8内に供給されることとなる。所定の時間だけ、この状態を維持した後、次の成膜停止遷移の状態へ移行する。
【0068】
(成膜停止遷移の状態)
図5に成膜停止遷移の状態を示す。この状態では、バルブ33とバルブ35はともに開、バルブ34は閉とする。前記と同様に太線の配管、すなわち気化ガス供給配管14及びバイパス配管16内には成膜ガスが流れていることを示すが、成膜ガス供給配管8内の第1のデッドスペース21では、成膜ガスが滞留していることを示す。この状態では、第1のデッドスペース21に滞留した成膜ガスが拡散現象により反応室100へ供給されるため、完全に基板400への成膜が停止する状態ではない。また、この状態では、第2のデッドスペース22にあった成膜ガスは、第1の希釈ガスにより押し流されてパージ処理できるが、第1のデッドスペース21にある成膜ガスは押し流すことが困難である。しかし、この成膜停止遷移の状態から図3の成膜停止の状態へ移行することにより、第1のデッドスペース21にある成膜ガスを第1の希釈ガスでバイパス配管16へ押し流すことができる。
【0069】
したがって、本実施の形態の構造とプロセスを使用することで、従来の問題であるデッドスペースでの成膜ガスの滞留を無くすことが可能となる。尚、上記動作を行うための第1バルブ34、第2バルブ35、第3バルブ33の開閉の制御は制御装置250により行われる。
【0070】
ここで、図14を用いて希釈ガスの流量制御方法の一例を具体的に説明する。気化器から気化ガス供給配管14へ供給する原料ガス流量Aは常に一定とする。第1希釈ガス供給配管27から供給する第1希釈ガス流量Bも一定とする。第2希釈ガス供給配管28から供給する第2希釈ガス流量Cは、成膜ガス供給配管8を通って反応室100内に導入するトータルガス流量Dが常に一定となるよう調整する。反応室100内の圧力変動を防ぐためである。
すなわち、成膜停止状態(図14(a))においては、D=Cとなるように、成膜時(図14(b))においてはD=A+B+Cとなるように、成膜停止遷移状態(図14(c))においてはD=B+CとなるようにCの流量を調整する。例えば、A=0.5slm,B=0.5s1m,D=1.5s1mとすると、Cは次のように調整する。成膜停止状態ではC=1.5slm、成膜時ではC=0.5slm、成膜停止遷移状態ではC=1.0slmとする。
【0071】
以上、説明したように、本実施の形態では、従来の問題であったデッドスペースに滞留する成膜ガスを希釈ガスで押し流してパージするようにしたので、壁にへばりついている成膜ガスも容易に除去することができる。したがって、薄膜の堆積膜厚の変動を抑制することができ、基板面内の膜厚均一性や組成均一性が得られやすい上、成膜ガスの滞留するデッドスペースがなくなるため、成膜ガスの自己分解などによるパーティクル発生を抑制することができる。
【0072】
尚、上記実施形態では、図2のガス供給制御配管36を原料供給管500に設けた場合について説明したが、ラジカル供給管130に設けるようにしても良い。
【0073】
また、上述した実施の形態では、反応室100内で基板400を処理する際は、第1のバルブ34を開、第2のバルブ35を開、第3のバルブ33を閉とし、基板処理後は、第1のバルブ34を閉、第2のバルブ35を開、第3のバルブ33を開とし、その後に、第1のバルブ34を開、第2のバルブ35を閉、第3のバルブ33を開とするよう、制御装置250でバルブ33〜35を制御することにより、デッドスペースに滞留する成膜ガスをパージするようにしている。この場合において、制御装置250にて第1バルブ34、第2バルブ35、第3バルブ33を制御することにより、基板処理後に、第1のバルブ34を閉、第2のバルブ35を開、第3のバルブ33を開とする動作と、第1のバルブ34を開、第2のバルブ35を閉、第3のバルブ33を開とする動作とを、複数回繰り返すよう制御しても良い。これによれば、図3の「成膜停止の状態」と図5の「成膜停止遷移の状態」とが複数回繰り返されることになる。
「成膜停止遷移状態」→「成膜停止状態」を繰り返すメリットは次の通りである。成膜停止状態では、第1希釈ガス供給箇所からバイパス配管16側へ希釈ガスの流れが形成され、第1デッドスペース21に滞留していた原料ガスはバイパス配管16へ押し流されるが、その場合であっても拡散により第1デッドスペース21に滞留していた原料ガスが、第1希釈ガス供給箇所から反応室側、すなわち、第1希釈ガス供給箇所と第2のバルブ35との間へ抜け出る可能性がある。そのような場合、成膜ガス供給配管8内に原料ガスが残留することとなるが、「成膜停止遷移状態」→「成膜停止状態」を繰り返すようにすると、パージ効果が高まり、また第1デッドスペース21から抜け出て残留した原料ガスの希釈の度合いを高め、原料ガスの濃度を低くすることができる。
【0074】
また、上述した実施の形態では、ガス供給制御配管36を構成する第1のバルブ34及び第2のバルブ35に2方向バルブを用いたが、これらに3方向バルブを用いることも可能である。図6にそのような3方向バルブを用いたガス供給制御配管36を示す。
ガス供給制御配管36を構成する成膜ガス供給配管8と第1の希釈ガス供給配管27を第1の3方向バルブ40で接続する。すなわち、第1の3方向バルブ40の第1、第2のポートに成膜ガス供給配管8を接続し、その第3ポートに第1の希釈ガス供給配管27を接続する。また、成膜ガス供給配管8と第2の希釈ガス供給配管28を第2の3方向バルブ41で接続する。すなわち、第2の3方向バルブ41の第1、第2のポートに成膜ガス供給配管8を接続し、その第3ポートに第2の希釈ガス供給配管28を接続する。
このように3方向バルブの第3ポートに希釈ガス供給管を接続することにより、ガス供給制御配管36の第1のバルブ及び第2のバルブに3方向バルブを用いることができる。
3方向バルブを用いると、バルブの外部にデッドスペースは存在しなくなるが、バルブの内部にデッドスペースが存在することとなる。すなわち、図7に示すように、3方向バルブ40または41の内部に、デッドスペース43が必ず存在する。したがって、3方向バルブを用いた場合でも、このデッドスペース43に残留する成膜ガスを、前述した実施の形態のように、希釈ガス(矢印で示す)で押し流す必要がある。
【0075】
また、上記実施の形態では、原料ガス供給ラインに、1種類の有機Hf金属原料を供給する1つの原料供給ユニット900を接続してHfO2膜を形成する1元素系CVD薄膜形成装置の場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、原料ガス供給ラインには、少なくとも2種類の原料を供給する少なくとも2つの原料供給ユニットが接続されたり、少なくとも2種類の原料を液体状態で混合した混合原料を供給する少なくとも1つの原料供給ユニットが接続される多元素系CVD薄膜形成装置の場合についても適用できる。
【0076】
この多元素系薄膜形成装置を2元素系CVD薄膜形成装置、例えばHfSiO成膜装置を例として説明する。HfSiO成膜装置には、例えば次の2種類の装置がある。1つは、原料タンクで2種類の原料を液体状態で混ぜるタイプであり、他の1つは、原料タンク、気化器を原料ごとに別々に設けるタイプである。原料タンクで2種類の原料を混ぜるタイプは、図1に示す構成と同じであり、原料供給ユニット900内でHf原料とSi原料とを混合するようになっている。原料タンク、気化器を原料ごとに別々に設けるタイプは、図15に示すように構成される。
【0077】
図15に示す基板処理装置の構成は、基本的には図1に示す構成と同じであり、図1と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。異なる点は、2種類の成膜原料供給系が並列に設けられ、それらが下流の原料ガス供給管5bで合体して1つの供給系となっている点である。すなち一方のHf原料供給系は、Hf原料を供給する原料供給ユニット900aと、成膜原料の液体供給流量を制御する液体流量制御装置280aと、成膜原料を気化する気化器290aとから構成される。他方のSi原料供給系は、Si原料を供給する原料供給ユニット900bと、成膜原料の液体供給流量を制御する液体流量制御装置280bと、成膜原料を気化する気化器290bとから構成される。これらの気化器290a、290bの各出力ポートは一本化されて原料ガス供給管5bに接続される。各成膜原料供給系から送出された各ガスは、原料ガス供給管5bで混合されて、ガス供給制御配管36を経て反応室内に供給される。
【0078】
本発明は、このような多元素系薄膜の形成を行う場合に特に有効となる。多元素系CVD薄膜の形成を行う場合、複数種類の元素はその質量により拡散力が異なる。軽い元素ほど、拡散力が大きい。すなわちデッドスペースに滞留した複数の元素のうち、質量の軽い方が先に拡散し反応室内へ供給されることとなる。例えば、上述した2元素系CVD薄膜であるHfSiO膜を形成する場合、Hf原料とSi原料を用いるが、この場合、デッドスペースに滞留したHf元素、Si元素はそれぞれ質量が異なり拡散力が異なるため、反応室内に供給されるタイミングがずれることとなる。そうすると、先に供給された方の物質が基板中央部に多く付着することとなり、基板面内における組成均一性に影響を及ぼすこととなる。尚、この問題は、成膜時等、原料供給量が多い場合は特に問題とはならないが、原料供給量が少ない場合に特に顕著となる。以上のことから、本発明は多元素系CVD薄膜の形成を行う場合に特に有効となる。尚ALDによる多元素系薄膜の形成を行う場合にも有効となるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態によるガス供給制御配管を示す図である。
【図3】第1の実施の形態によるガス供給制御配管の説明図である。
【図4】第1の実施の形態によるガス供給制御配管の説明図である。
【図5】第1の実施の形態によるガス供給制御配管の説明図である。
【図6】第2の実施の形態によるガス供給制御配管を示す図である。
【図7】第2の実施の形態による3方向バルブの説明図である。
【図8】従来のガス供給制御配管を示す図である。
【図9】従来のガス供給制御配管の問題を示す説明図である。
【図10】従来のガス供給制御配管の問題を示す説明図である。
【図11】従来のガス供給制御配管の問題を示す説明図である。
【図12】従来のCVD装置の概略構成図である。
【図13】従来の反応室の構造図である。
【図14】実施の形態による希釈ガスの流量制御方法を示す説明図である。
【図15】実施の形態に係る他の基板処理装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0080】
5b 原料ガス供給管(原料ガス供給ライン)
14a 原料ガスバイパス管(バイパスライン)
14b ラジカルバイパス管(バイパスライン)
23 第1の不活性ガス供給配管(不活性ガス供給ライン)
24 第2の不活性ガス供給配管(不活性ガス供給ライン)
33 第3のバルブ
34 第1のバルブ
35 第2のバルブ
100 反応室
400 基板
500 原料供給管(原料ガス供給ライン)
900 原料供給ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の基板を処理するための基板処理装置及び半導体装置(半導体デバイス)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の1つに基板の表面に所定の成膜処理を行うCVD(Chemical Vapor Deposition)工程がある。ここで、基板とはシリコンウェハやガラスなどをベースとする微細な電気回路パターンが形成された被処理基板をいう。CVD工程は、気密な反応室に基板を装填し、室内に設けた加熱手段により基板を加熱し、反応ガスを基板上へ導入しながら化学反応を起こし、基板上にある微細な電気回路パターン上へ薄膜を均一に形成するものである。図13に示すCVD装置は、反応室1内にシャワー板2とサセプタ4を設け、サセプタ4上に基板3を配置して構成されている。反応ガスは、シャワー板2に接続された成膜ガス供給配管8を通って供給され、シャワー板2に設けたシャワー孔6を経由して基板3上へ導入される。基板3上へ導入された成膜ガスの一部は、基板からの熱エネルギーにより分解反応、吸着反応、あるいは結合反応を起こしたりして所定のCVD薄膜の堆積に費やされる。また、成膜ガスの残ガスや副生成物は、排気配管7を通って排気処理される。このCVD薄膜の堆積処理中は、基板3はサセプタ4の下方に設けたヒータ5によって加熱されている。
【0003】
このようなCVD装置としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置やALD(Atomic Layer Deposition)装置がある。これらの装置は、有機金属材料を成膜原料として、酸化ハフニウム膜(以下、HfOと略す)やハフニウムシリケート膜(以下、HfSiOと略す)を形成するものである。
例えばHfOの成膜を行う場合は、成膜原料には、Hf[OC(CH3)3]4(テトラ−シャリーブトラキシ−ハフニウム、略称Hf−OtBu)、Hf[OC(CH3)2CH2OCH3]4(テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ハフニウム、略称Hf−MMP4)、Hf[O−Si−(CH3)]4、HfCl4など様々な有機Hf金属原料が利用されている。
また、HfSiOを成膜する場合は、上記Hf金属原料に加え、Si[OC(CH3)3]4(テトラ−シャリーブトラキシ−シリコン、略称Si−OtBu)、Si[OC(CH3)2CH2OCH3]4(テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)シリコン、略称Si−MMP4)、Si(OC2H5)4(略称TEOS)などの有機Si金属原料が利用されている。この有機Si金属原料は、前記の有機Hf金属材料と混合して使用される。
このような有機金属材料の多くは、輸送や供給の容易性を確保するため、常温常圧において液体、あるいは固体である。このため、ほとんどの原料は加熱して蒸気圧を高めて気体に変換して利用される。
【0004】
図12は、従来の代表的なMOCVD装置の構成図である。成膜原料容器10に充填された液体原料9は、不活性ガス導入口11から圧力をかけた不活性ガスにより押されて、液体供給配管12を経由して気化器13へ導かれる。その液体原料は、気化器13内部に配置されたヒータにより加熱されて液体から気体へ変換される。このようにして液体原料9は成膜ガスとなり、気化ガス供給配管14を通ってガス供給制御配管15へ導かれる。
ガス供給制御配管15において、基板に対して成膜を行う場合は、成膜ガスは成膜ガス供給配管8へ導かれるようになっている。成膜を行わない場合や成膜を停止する場合は、成膜ガスはバイパス配管16へ導かれるようになっている。成膜ガスは、いずれのルートを経由した場合でも排気配管7を経由して排気処理装置17へ導かれて排気処理される。
ガス供給制御配管15は、図8に示すように、バルブ31、バルブ32、及び希釈ガス供給配管19を有する。バルブ31は気化ガス供給配管14から分岐されたバイパス配管16に設けられる。バルブ32は気化ガス供給配管14と連通する成膜ガス供給配管8に設けられる。希釈ガス供給配管19は、バルブ32の下流側の成膜ガス供給配管8に設けられる。このガス制御配管15は、バルブ31、バルブ32の開閉を制御することによって、成膜を行うか否かを制御する。尚、希釈ガスは、成膜を行うか否かに無関係に希釈ガス導入口20から導入され、希釈ガス供給配管19を経由して、常に反応室へ供給される。希釈ガスを、常に反応室へ供給することにより、バルブ31、バルブ32の開閉による反応室の圧力変動を抑制したり、成膜ガスを希釈して薄膜の堆積速度を制御したりできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、図9〜図11を用いて、従来のガス供給制御配管15の問題点を説明する。従来のガス供給制御配管15を用いて、成膜ガスをバイパス配管16へ流している状態、すなわち、成膜を停止している状態は図9で表される。このときバルブ31は開、バルブ32は閉である。成膜ガスが存在する配管は太線で示す。以下、図10及び図11においても太線で示した配管は成膜ガスが存在することを示す。成膜を停止している状態から、ガス供給制御配管15を用いて成膜ガスを成膜ガス供給配管8へ流した状態、すなわち成膜を開始した状態へ移行した状態は図10で表される。このときバルブ31は閉、バルブ32は開であり、反応室へ成膜ガスが導入され、成膜が行われる。
【0006】
この状態から、成膜を停止した瞬間の状態へ移行した状態は図11で示される。このときバルブ31は開、バルブ32は閉である。しかしながら成膜ガス供給配管8内のデッドスペース18には成膜ガスが滞留しているので、成膜を停止したことにはならない。ここでデッドスペース18とは、成膜ガス供給配管8内のバルブ32と希釈ガス供給箇所との間の部分をいう。したがって、従来構造のガス供給制御配管15では、成膜停止状態が曖昧となり、成膜を即座に、かつ完全に停止することは困難である。このため、従来では薄膜の堆積膜厚が変動したり、基板面内の膜厚均一性が得難くなったりしている。以上のような憂慮すべき事象は、特に、2種類の液体原料を用いて成膜を行う2元素系CVD薄膜(HfSiO、AlSiO、ZrSiO、HfAlOなど)の形成時においては、その面内の組成均一性を得難くさせるため、深刻な問題となっている。
【0007】
尚、バルブを閉じた後、真空引きすることによりデッドスペースに滞留した成膜ガスを除去する方法も考えられる。しかし、成膜ガスは壁にへばりついているので、その方法によっては成膜ガスを除去しきれない。
【0008】
本発明は、デッドスペースに滞留する成膜ガスをパージすることが困難であるという従来の問題を解決し、基板へ形成される薄膜の再現性と面内均一性、組成均一性を改善すること可能な基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、少な<とも1枚の基板を処理する反応室と、前記反応室内に原料ガスを供給する原料ガス供給ユニットと、前記反応室と原料ガス供給ユニットとを結ぶ原料ガス供給ラインと、前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられ、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気するバイパスラインと、前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第の1バルブと、前記原料ガス供給ラインの前記第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブと、前記バイパスラインに設けられた第3のバルブと、前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインと、を有することを特徴とする基板処理装置である。
第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインを設けると、第1のバルブ付近の成膜ガス供給ライン(デッドスペース)や、第2バルブ付近の成膜ガス供給ライン(デッドスペース)に滞留する成膜ガスを、不活性ガスで押し流すことが可能になる。したがって、デッドスペースに滞留する成膜ガスを有効にパージすることが可能になる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記反応室内で基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
基板処理の際、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とすると、原料ガスが反応室内に供給されて成膜が行われる。基板処理後、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とすると、反応室をバイパスするようバイパスラインから原料ガスが排気されて成膜が停止される。それと同時に第2のバルブ付近のデッドスペースに滞留する成膜ガスが反応室内に押し流される。その後、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とすると、第1のバルブ付近のデッドスペースに滞留する成膜ガスがバイパスラインから排気される。したがって、成膜停止後の曖昧な状態がなくなり、成膜を即座に停止することができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを、複数回繰り返すよう制御する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを複数回繰り返すので、パージ効果が高まり、また、たとえ成膜ガス供給ラインに原料ガスが残留した場合であっても、その原料ガスの希釈の度合いを高め、原料ガスの濃度を低くすることができる。
【0012】
第4の発明は、第2の発明において、原料ガス供給ユニットは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けるよう構成されることを特徴とする基板処理装置である。
常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けると、原料ガスの安定供給を行うことができる。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、第1の不活性ガス供給ラインは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の不活性ガスを供給し続けるよう構成されることを特徴とする基板処理装置である。
常に一定流量の不活性ガスを供給し続けると、原料ガスが第1の不活性ガス供給ラインに逆流するのを防止することができる。
【0014】
第6の発明は、第1の発明において、前記第2のバルブよりも下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを有することを特徴とする基板処理装置である。
第2のバルブよりも下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを設けると、第2の不活性ガス流量を調整することにより、反応室内の圧力変動を抑えることが可能となる。
【0015】
第7の発明は、第6の発明において、原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量とを一定とし、第2の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量を可変としたことを特徴とする基板処理装置である。
原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量とを一定とし、第2の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量を可変とすることにより、反応室内に導入するトータルガス流量(原料ガスと不活性ガスの合計流量)が常に一定となるよう調整することが可能となり、反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0016】
第8の発明は、第7の発明において、前記反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整するので、基板処理前、基板処理中、基板処理後において、反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0017】
第9の発明は、第8の発明において、前記反応室内で基板を処理する前は、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とし、基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする基板処理装置である。
本発明のように、各バルブを制御すると、第1のバルブ付近および第2のバルブ付近のデッドスペースに滞留する成膜ガスを除去することができるとともに、基板処理前、処理時、処理後、その後において反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0018】
第10の発明は、第1の発明において、原料ガス供給ラインには、少なくとも2種類の原料ガスを供給する少な<とも2つの原料ガス供給ユニットが接続されるか、少なくとも2種類の原料の混合ガスを供給する少なくとも1つの原料供給ユニットが接続されることを特徴とする基板処理装置である。
上述したような2種類の原料ガスを供給する多元素系薄膜の形成を行う場合に、特に軽い原料ほど基板中央部に多く付着するという現象が生じやすいが、本発明によれば、デッドスペースに滞留したいずれの種類の残留ガスであっても有効にパージできるので、このような現象が生じるのを有効に防止でき、基板面内における組成均一性を改善できる。
【0019】
第11の発明は、少なくとも1枚の基板を反応室内に搬入する工程と、前記反応室内に原料ガス供給ユニットより原料ガス供給ラインを介して原料ガスを供給して反応室内に搬入した基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後に、前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられたバイパスラインより、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気する工程と、処理後の基板を前記反応室より搬出する工程とを有し、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第1のバルブを閉とし、前記原料ガス供給ラインの第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブを開とし、バイパスラインに設けられた第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程で、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給するので、バイパスラインより原料ガスを排気しつつ、第2のバルブの下流側の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。
【0020】
第12の発明は、第11の発明において、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、更に、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程で、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給するので、バイパスラインより原料ガスを排気しつつ、第1のバルブと不活性ガス供給箇所との間の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。
【0021】
第13の発明は、第11の発明において、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程とを、複数回繰り返すことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを複数回繰り返すので、パージ効果が高まり、また、たとえ成膜ガス供給ラインに原料ガスが残留した場合であっても、その原料ガスの希釈の度合いを高め、原料ガスの濃度を低くすることができる。
【0022】
第14の発明は、第11の発明において、前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第2のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第1のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
第2のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程では、第2のバルブの下流側の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。また、第1のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程では、第1のバルブと不活性ガス供給箇所との間の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。したがって、原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスを有効にパージすることができる。
【0023】
第15の発明は、第12の発明において、少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、原料ガス供給ユニットより常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けると、原料ガスの安定供給を行うことができる。
【0024】
第16の発明は、第15の発明において、少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に常に一定流量の不活性ガスを供給し続けることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
常に一定流量の不活性ガスを供給し続けると、原料ガスが第1の不活性ガス供給ラインに逆流するのを防止することができる。
【0025】
第17の発明は、第12の発明において、前記基板処理前にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
基板処理前においても、バイパスラインより原料ガスを排気する工程で、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給するので、バイパスラインより原料ガスを排気しつつ、第1のバルブと不活性ガス供給箇所との間の原料ガス供給ラインに滞留した原料ガスをパージすることができる。
【0026】
第18の発明は、第17の発明において、基板処理前、基板処理中、基板処理後においては、原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に供給する不活性ガスの供給流量とを常に一定とし、反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が常に一定となるよう、第2のバルブ下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給して、その供給流量の調整を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整するので、基板処理前、基板処理中、基板処理後において、反応室内の圧力変動を抑えることができる。
【0027】
第19の発明は、第12の発明において、原料ガス供給ラインを介して反応室内に供給する原料ガスは、少なくとも2種類の原料ガス、または少なくとも2種類の原料の混合ガスを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
上述したような2種類の原料ガスを供給する多元素系薄膜の形成を行う場合に、特に軽い原料ほど基板中央部に多く付着するという現象が生じやすいが、本発明によれば、デッドスペースに滞留したいずれの種類の残留ガスであっても有効にパージできるので、このような現象が生じるのを有効に防止でき、基板面内における組成均一性を改善できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、デッドスペースに滞留する成膜ガスを、不活性ガスで押し流すことにより有効にパージすることができる。このため薄膜の堆積膜厚の変動を抑制することができ、基板へ形成される薄膜の再現性と基板面内の膜厚均一性や組成均一性を改善することができる。加えて、成膜ガスの滞留するデッドスペースが無いため、成膜ガスの自己分解などによるパーティクル発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。実施の形態では、CVD法、より具体的にはMOCVD法を使って、HfO膜のうち特にアモルファス状態のHfO2膜(以下、単にHfO2膜と略す)を形成する1元素系CVD薄膜形成装置の場合について説明する。
【0030】
図1は実施の形態に係る基板処理装置であるリモートプラズマユニットが組み込まれた枚葉式MOCVD装置の一例を示す概略図である。枚葉式MOCVD装置は、少なくとも1枚の基板を処理するように構成される。
図に示すように、反応室100内に中空のヒータユニット180が設けられる。ヒータユニット180は、基板保持手段としてのサセプタ200によって上部開口が覆われている。ヒータユニット180の内部には加熱手段としてのヒータ300が設けられる。ヒータ300によってサセプタ200上に載置される基板400を加熱できるようになっている。ヒータ300は基板400の温度が所定の温度となるよう温度制御手段51により制御される。サセプタ200上に載置される基板400は、例えば半導体シリコンウェハ、ガラス基板等である。
【0031】
反応室100外に回転手段としての基板回転ユニット120が設けられる。基板回転ユニット120によって反応室100内のヒータユニット180を回転して、サセプタ200上の基板400を回転できるようになっている。基板400を回転させるのは、後述する成膜工程、改質工程における基板への処理を基板面内において素早く均一に行うためである。尚、基板回転ユニット120は駆動制御手段54によって制御される。
【0032】
また、反応室100内のサセプタ200の上方に多数の孔800を有するシャワーヘッド600が設けられる。このシャワーヘッド600には、成膜ガスを供給する原料供給管500とラジカルを供給するラジカル供給管130とが共通に接続されて、成膜ガスまたはラジカルをシャワーヘッド600からシャワー状に反応室100内へ噴出できるようになっている。ここで、シャワーヘッド600は、成膜工程で基板400に供給する成膜ガスと、改質工程で基板400に供給するラジカルとをそれぞれ供給する同一の供給口を構成する。
【0033】
反応室100外に、成膜原料としての有機液体原料を供給する原料供給ユニット900と、成膜原料の液体供給流量を制御する流量制御手段としての液体流量制御装置280と、成膜原料を気化する気化器290とが設けられる。また、希釈ガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給ユニット10aと、不活性ガスの供給流量を制御する流量制御手段としてのマスフローコントローラ460a、460bとが設けられる。マスフローコントローラ460a、460bは、不活性ガス供給ユニット10aに接続された第1の不活性ガス供給配管23、第2の不活性ガス供給配管24にそれぞれ設けられる。
有機液体原料としてはHf−(MMP)4などを用いる。また、不活性ガスとしてはAr、He、N2などを用いる。
【0034】
原料供給ユニット900に設けられた原料ガス供給管5bと、不活性ガス供給ユニット10aに設けられた第1の不活性ガス供給配管23、第2の不活性ガス供給配管24とを一本化して、シャワーヘッド600に接続される原料供給管500が設けられる。原料供給管500は、基板400上にHfO2膜を形成する成膜工程で、シャワーヘッド600に成膜ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給するようになっている。原料ガス供給管5b、不活性ガス供給配管23、24はともにガス供給制御配管36に接続されている。このガス供給制御配管36は、成膜を行うか否かを制御する機能を有し、後に詳述するが、第1のバルブ34と、第2のバルブ35と、第3のバルブ33と、第1の不活性ガス供給配管23と、第2の不活性ガス供給配管24と、原料ガスバイパス管14aとを有する。このガス供給制御配管36により成膜ガスと不活性ガスとの混合ガスの供給を制御することが可能となっている。
尚、上述した原料ガス供給管5b及び原料供給管500から原料ガス供給ラインが構成される。また、第1の不活性ガス供給配管23及び第2の不活性ガス供給配管24から第1の不活性ガス供給ライン及び第2の不活性ガス供給ラインがそれぞれ構成される。
【0035】
また、反応室100外に、ガスをプラズマにより活性化させて反応物としてのラジカルを形成するプラズマ源となる反応物活性化ユニット(リモートプラズマユニット)110が設けられる。後述する改質工程で用いるラジカルは、原料としてHf−(MMP)4などの有機材料を用いる場合は、例えば酸素ラジカルが良い。これは酸素ラジカルにより、HfO2膜形成直後にCやHなどの不純物除去処理を効率的に実施することができるからである。また、後述するセルフクリーニング工程で用いるラジカルはClF3ラジカルが良い。改質工程において、酸素含有ガス(O2、N2O、NO等)をプラズマによって分解した酸素ラジカル雰囲気中で、膜を酸化させる処理をリモートプラズマ酸化処理(RPO[remote plasma oxidation]処理)という。
【0036】
反応物活性化ユニット110の上流側には、ガス供給管370が設けられる。このガス供給管370には、酸素(O2)を供給する酸素供給ユニット470、プラズマを発生させるガスであるアルゴン(Ar)を供給するAr供給ユニット480、及びフッ化塩素(ClF3)を供給するClF3供給ユニット490が、それぞれ供給管520、530、540を介して接続されている。酸素供給ユニット470、Ar供給ユニット480、ClF3供給ユニット490は、改質工程で使用するO2とAr、及びセルフクリーニング工程で使用するClF3とArを反応物活性化ユニット110に対し供給するようになっている。酸素供給ユニット470、Ar供給ユニット480、及びClF3供給ユニット490に接続される供給管520、530、540には、それぞれのガスの供給流量を制御する流量制御手段としてのマスフローコントローラ550、560、570が設けられている。供給管520、530、540にはそれぞれバルブ580、590、600を設け、これらのバルブ580、590、600を開閉することにより、O2ガス、Arガス、及びClF3の供給を制御することが可能となっている。
【0037】
反応物活性化ユニット110の下流側には、シャワーヘッド600に接続されるラジカル供給管130が設けられ、改質工程またはセルフクリーニング工程で、シャワーヘッド600に酸素(O2)ラジカルまたはフッ化塩素(ClF3)ラジカルを供給するようになっている。また、ラジカル供給管130にはバルブ240が設けられ、バルブ240を開閉することにより、ラジカルの供給を制御することが可能となっている。
【0038】
反応室100に排気口7aが設けられ、その排気口7aには排気管700が接続されている。この排気管700には、反応室100内の圧力を制御する圧力調整器61と、成膜原料を回収するための原料回収トラップ160とが設置される。この原料回収トラップ160は、成膜工程、改質工程、及びセルフクリーニング工程とに共用で用いられる。排気管700には、更に、排気装置としての真空ポンプ62、除害装置63が設置される。前記排気口7a及び排気管700で排気ラインを構成する。
【0039】
また、原料ガス供給管5b及びラジカル供給管130には、排気管700に設けた原料回収トラップ160に接続される原料ガスバイパス管14a及びラジカルバイパス管14bがそれぞれ分岐接続される。原料ガスバイパス管14aには前述したバルブ33を設け、ラジカルバイパス管14bにはバルブ230を設ける。これらのバルブ33、230の開閉により、成膜工程で反応室100内の基板400に成膜ガスを供給する際は、改質工程で使用するラジカルは、その供給は停止させずに反応室100をバイパスするようラジカルバイパス管14b、原料回収トラップ160を介して排気しておく。また、改質工程で基板400にラジカルを供給する際は、成膜工程で使用する成膜ガスは、その供給は停止させずに反応室100をバイパスするよう原料ガスバイパス管14a、原料回収トラップ160を介して排気しておく。
尚、上述した原料ガスバイパス管14a及びラジカルバイパス管14bからバイパスラインが構成される。
【0040】
そして、枚葉式MOCVD装置には、制御装置250が設けられる。この制御装置250は、反応室100内で基板400上にHfO2膜を形成する成膜工程と、成膜工程で形成したHfO2膜中の特定元素であるC、H等の不純物を反応物活性化ユニット110を用いたプラズマ処理により除去する改質工程とを、連続して複数回繰り返すように制御する。この制御は、ガス供給制御配管36に設けられたバルブ33、34、35、及びラジカルバイパス管14bに設けられたバルブ230、ラジカル供給管130に設けられたバルブ240の開閉等を制御することにより行う。
尚、制御装置250では、ヒータ300の制御を行う温度制御手段51、液体流量制御装置280、マスフローコントローラ460a,460b,550,560,570の制御を行う流量調整手段52、圧力調整器61の制御を行う圧力制御手段53、及び基板回転ユニット120の制御を行う駆動制御手段54の制御も行う。
【0041】
次に上述した図1のような構成の枚葉式CVD装置を用いて、高品質なHfO2膜を堆積するための手順を示す。この手順には、昇温工程、成膜工程、パージ工程、改質工程が含まれる。
【0042】
まず、少なくとも1枚の基板400を図1に示す反応室100内に搬入して、反応室100内のサセプタ200上に基板400を載置する。基板400を基板回転ユニット120により回転させながら、ヒータ300に電力を供給して基板400の温度を350〜500℃に均一に加熱する(昇温工程)。尚、基板温度は、用いる有機材料の反応性により異なるが、Hf−(MMP)4においては、390〜450℃の範囲内が良い。また、基板400の搬送時や基板加熱時は、不活性ガス供給配管23、24より反応室100内に、Ar、He、N2などの不活性ガスを常に流しておくと、パーティクルや金属汚染物の基板400への付着を防ぐことができる。
【0043】
昇温工程終了後、成膜工程に入る。成膜工程では、原料供給ユニット900から供給した有機液体原料例えばHf−(MMP)4を、液体流量制御装置280で流量制御し、気化器290へ供給して気化させる。原料ガス供給管5bに設けたバルブ34、35を開くことにより、気化した原料ガスをシャワーヘッド600を介して基板400上へ供給する。このときも、不活性ガス供給ユニット10aから不活性ガス供給配管23、24を介して反応室100内に不活性ガス(N2など)を常に流して、成膜ガスを撹拌させるようにする。成膜ガスは不活性ガスで希釈すると撹拌しやすくなる。原料ガス供給管5bから供給される成膜ガスと、不活性ガス供給配管23、24から供給される不活性ガスとはガス供給制御配管36で混合され、混合ガスとして原料供給管500からシャワーヘッド600に導びかれ、多数の孔800を経由して、サセプタ200上の基板400上へシャワー状に供給される。尚、このときO2等の酸素原子を含むガスは供給せず、反応性ガスとしてはHf−(MMP)4ガスのみ供給する。
【0044】
この混合ガスの供給を所定時間実施することにより、基板400上に基板との界面層(第1の絶縁層)としてのHfO2膜を0.5Å〜30Å、例えば15Å形成する。この間、基板400は回転しながらヒータ300により所定温度(成膜温度)に保たれているので、基板面内にわたり均一な膜を形成できる。次に、原料ガス供給管5bに設けたバルブ34またはバルブ35を閉じて、原料ガスの基板400への供給を停止する。尚、この際、原料ガスバイパス管14aに設けたバルブ33を開き、成膜ガスの供給を原料ガスバイパス管14aで反応室100をバイパスして排気し、原料供給ユニット900からの成膜ガスの供給を停止しないようにする。液体原料を気化して、気化した原料ガスを安定供給するまでには時間がかかるので、成膜ガスの供給を停止させずに、反応室100をバイパスするように流しておくと、次の成膜工程では流れを切換えるだけで、直ちに成膜ガスを基板400へ供給できる。
【0045】
成膜工程終了後、パージ工程に入る。パージ工程では、反応室100内を不活性ガスによりパージして残留ガスを除去する。尚、成膜工程では、反応室100内には不活性ガス供給ユニット10aから不活性ガス(N2など)が常に流れているので、バルブ34または35を閉じて原料ガスの基板400への供給を停止すると同時にパージが行われることとなる。
【0046】
パージ工程終了後、改質工程に入る。改質工程はRPO(remote plasma oxidation)処理によって行う。ここでRPO処理とは、酸素含有ガス(O2、N2O、NO等)をプラズマによって活性化させて発生させた反応物としての酸素ラジカルを用いて、膜を酸化させるリモートプラズマ酸化処理のことである。改質工程では、供給管530に設けたバルブ590を開き、Ar供給ユニット480から供給したArをマスフローコントローラ560で流量制御して反応物活性化ユニット110へ供給し、Arプラズマを発生させる。Arプラズマを発生させた後、供給管520に設けたバルブ580を開き、酸素供給ユニット470から供給したO2をマスフローコントローラ550で流量制御してArプラズマを発生させている反応物活性化ユニット110へ供給し、O2を活性化する。これにより酸素ラジカルが生成される。ラジカル供給管130に設けたバルブ240を開き、反応物活性化ユニット110から酸素ラジカルを含むガスを、シャワーヘッド600を介して基板400上へ供給する。この間、基板400は回転しながらヒータ300により所定温度(成膜温度と同一温度)に保たれているので、成膜工程において基板400上に形成された15ÅのHfO2膜よりC、H等の不純物を素早く均一に除去できる。
【0047】
その後、ラジカル供給管130に設けたバルブ240を閉じて、酸素ラジカルの基板400への供給を停止する。尚、この際、ラジカルバイパス管14bに設けたバルブ230を開くことにより、酸素ラジカルを含むガスの供給を、ラジカルバイパス管14bで反応室100をバイパスして排気し、酸素ラジカルの供給を停止しないようにする。酸素ラジカルは生成から安定供給するまでに時間がかかるので、酸素ラジカルの供給を停止させずに、反応室100をバイパスするように流しておくと、次の改質工程では、流れを切換えるだけで、直ちにラジカルを基板400へ供給できる。
【0048】
改質工程終了後、再びパージ工程に入る。パージ工程では、反応室100内を不活性ガスによりパージして残留ガスを除去する。尚、改質工程でも、反応室100内には不活性ガス供給ユニット10aから不活性ガス(N2など)が常に流れているので、酸素ラジカルの基板400への供給を停止すると同時にパージが行われることとなる。
【0049】
パージ工程終了後、再び成膜工程に入り、原料ガスバイパス管14aに設けたバルブ33を閉じて、原料ガス供給管5bに設けたバルブ34、35を開くことにより、成膜ガスをシャワーヘッド600を介して基板400上へ供給し、また15ÅのHfO2膜を、前回の成膜工程で形成した薄膜上に堆積する。
【0050】
以上のような、成膜工程→パージ工程→改質工程→パージ工程を複数回繰り返すというサイクル処理により、CH、OHの混入が極めて少ない所定膜厚の薄膜を形成することができる。処理後の基板400は、反応室100より搬出される。
【0051】
ここで、Hf−(MMP)4を用いた場合の好ましい成膜条件は、次の通りである。温度範囲は400〜450℃、圧力範囲は100Pa程度以下である。温度については、400℃より低くなると膜中に取り込まれる不純物(C、H)の量が急激に多くなる。400℃以上になると、不純物が離脱しやすくなり、膜中に取り込まれる不純物量が減少する。また、450℃より高くなるとステップカバレッジが悪くなるが、450℃以下の温度であると、良好なステップカバレッジが得られ、また、アモルファス状態を保つこともできる。
【0052】
また、圧力については、例えば1Torr(133Pa)以上の高い圧力とするとガスは粘性流となり、パターン溝の奥までガスが入って行かなくなる。ところが、100Pa程度以下の圧力とすることにより、流れを持たない分子流とすることができ、パターン溝の奥までガスが行き届く。
【0053】
また、Hf−(MMP)4を用いた成膜工程に連続して行なう改質工程であるRPO(remote plasma oxidation)処理の好ましい条件は、温度範囲は390〜450℃程度(成膜温度と略同一温度)、圧力範囲は100〜1000Pa程度である。また、ラジカル用のO2流量は100sccm、不活性ガスAr流量は1slmである。
【0054】
成膜工程と、改質工程は、略同一温度で行なうのが好ましい。すなわち、ヒータの設定温度は変更せずに一定とするのが好ましい。これは、温度変動を生じさせないことにより、シャワーヘッドやサセプタ等の周辺部材の熱膨張によるパーティクルが発生しにくくなり、また、金属部品からの金属の飛び出し(金属汚染)を抑制できるからである。
【0055】
尚、反応室内に付着した累積膜のセルフクリーニング工程を実施するには、反応物活性化ユニット110でクリーニングガス(Cl2やClF3など)をラジカルにして反応室100に導入する。すなわち、供給管530に設けたバルブ590を開き、Ar供給ユニット480から供給したArをマスフローコントローラ560で流量制御して反応物活性化ユニット110へ供給し、Arプラズマを発生させる。Arプラズマを発生させた後、供給管540に設けたバルブ600を開き、ClF3供給ユニット490から供給したClF3をマスフローコントローラ570で流量制御してArプラズマを発生させている反応物活性化ユニット110へ供給し、ClF3を活性化する。これによりClF3ラジカルが生成される。ラジカル供給管130に設けたバルブ240を開き、反応物活性化ユニット110からClF3ラジカルを含むガスを、シャワーヘッド600を介して基板400上へ供給する。このセルフクリーニングにより、反応室100でクリーニングガスと累積膜とを反応させ、累積膜を塩化金属などに変換して揮発させて、これを排気する。これにより反応室内の累積膜が除去される。
【0056】
上述した実施の形態によれば、HfO2膜形成→改質処理(RPO処理)→HfO2膜形成→…を複数回繰り返すというサイクル処理をしているので、CH、OHの混入が極めて少ない所定膜厚のHfO2膜を形成することができる。
【0057】
ところで、反応室100へ成膜ガスが導入されて成膜が行われるが、この成膜を停止するには、原料ガス供給管5bのデッドスペースに滞留する成膜ガスを十分にパージする必要があることは前述した通りである。本実施の形態では、このデッドスペースに滞留する成膜ガスを、ガス供給制御配管36を制御することによって有効にパージしている。
【0058】
以下、本実施形態におけるこのガス供給制御配管36の構成、作用について詳説する。本発明のガス供給制御配管36の特徴は次の通りである。すなわち、まず、従来のガス供給制御配管15に対して、希釈ガス供給配管とバルブを各々1つずつ追加する。つまり気化ガス供給配管に接続される希釈ガス配管、バルブの接続点数が、シャワー板までの1つの供給経路上に2つ以上直列して配置されることとなる。
【0059】
具体的には、図2に示すように、ガス供給制御配管36は、気化ガス供給配管14及び成膜ガス供給配管8とバイパス配管16とを有する。図面上では逆L字形に接続されている気化ガス供給配管14及び成膜ガス供給配管8は、図1に示す原料ガス供給管5bに対応し、反応室100内に原料ガスを供給する原料ガス供給ラインを構成する。バイパス配管16は、図1に示す原料ガスバイパス管14aに対応し、気化ガス供給配管14及び成膜ガス供給配管8の接続点から分岐するよう設けられ、反応室100をバイパスするよう原料ガスを排気するバイパスラインを構成する。
【0060】
成膜ガス供給配管8のバイパス配管16との分岐点よりも下流側には第の1バルブ34が設けられ、成膜ガス供給配管8の第1のバルブ34よりも下流側には第2のバルブ35が設けられる。バイパス配管16には第3のバルブ33が設けられる。これらのバルブ33〜35にはいずれも2方向バルブを用いている。
【0061】
また、成膜ガス供給配管8には、第1の希釈ガスを供給する第1の希釈ガス供給配管27と、第2の希釈ガスを供給する第2の希釈ガス供給配管28とが設けられている。第1の希釈ガス供給配管27は、図1に示す第1の不活性ガス供給配管23に対応し、第1のバルブ34と第2のバルブ35との間の原料ガス供給ライン内に第1の不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインを構成する。第2の希釈ガス供給配管28は、図1に示す第2の不活性ガス供給配管24に対応し、第2のバルブ35よりも下流の原料ガス供給ライン内に第2の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを構成する。
第1の希釈ガス供給配管27、第2の希釈ガス供給配管28には、不活性ガスとして希釈ガスを導入する第1の希釈ガス導入口25、第2の希釈ガス導入口26とがそれぞれ設けられている。
【0062】
第1及び第2の不活性ガス供給ラインの役割は次の通りである。第1の不活性ガス供給ライン27には、後述する成膜ガス供給ライン8の第1デッドスペース21のパージを行う役割がある(成膜停止状態)。また、後述する成膜ガス供給ライン8の第2デッドスペース21のパージを行う役割がある(成膜停止遷移状態)。第2の不活性ガス供給ライン28には、反応室内に導入するトータルガス流量(原料ガスと希釈ガスの合計流量)が常に一定となるよう第2の不活性ガス流量を調整し、反応室内の圧力変動を抑える役割がある。
【0063】
以下に、図3〜図5を用いて、成膜を停止する方法(プロセス)の一例を示す。本発明では、ガス供給制御配管36は、成膜停止の状態→成膜時の状態→成膜停止遷移の状態→成膜停止の状態→成膜時の状態→成膜停止遷移の状態→‥‥と移り変わる。あらかじめ反応室100に基板400が設置され加熱されたところから、前記の状態別にガス供給制御配管36の動作を説明する。尚、説明図において気化器290からは成膜ガスが常に供給され、第1の希釈ガス導入口25と第2の希釈ガス導入口26へ、それぞれ希釈ガス(Ar、N2、O2など単独では成膜作用のないガス)が常に供給されているものとする。また、成膜ガス、希釈ガスは流量制御装置などにより、流量が制御されていても良い。
【0064】
ここで気化器290から成膜ガスを常に供給し続ける理由は、次の通りである。原料を気化器で気化したり、気化しなかったり、あるいは気化を停止したりすると、気化熱が奪われたり、奪われなかったりし、気化器の温度が安定しなくなる。そうすると、原料の気化開始から原料ガスの安定供給までに時間がかかってしまうこととなる。よって、常に気化器の温度を安定化させ、原料ガスの安定供給を行うため、気化を停止することなく、気化器から原料ガスを常に供給し続けている。
【0065】
また、希釈ガス供給ラインに常に希釈ガスを流し続ける理由は、次の通りである。希釈ガス供給ラインからの希釈ガスの供給を停止すると、原料ガス等が希釈ガス供給ラインに逆流することが考えられる。それを防止するために、希釈ラインには常に希釈ガスを流し続けている。
【0066】
(成膜停止の状態)
図3に成膜停止の状態を示す。この状態では、バルブ33とバルブ34はともに開、バルブ35は閉とする。図3に示す太線の配管内、すなわち気化ガス供給配管14及びバイパス配管16内は気化器290から供給された成膜ガスが流れていることを示している。また、第1の希釈ガスは、矢印で示すように、成膜ガス供給配管8内の第1のデッドスペース21、バルブ34、バルブ33、バイパス配管16を経由して、成膜ガスとともに排気処理装置へ流れる。ここで第1のデッドスペース21とは、成膜ガス供給配管8内の第1のバルブ34と第1希釈ガス供給箇所との間の部分をいう。また、後述する第2のデッドスペース22とは、成膜ガス供給配管8内の第2のバルブ35と第2希釈ガス供給箇所との間の部分をいう。
これにより、第1のデッドスペース21及びバルブ34に滞留している成膜ガスを、希釈ガスで押し流すことによりパージ処理することができる。
成膜停止の状態においては、成膜ガス供給配管8内の第1希釈ガス供給箇所と、気化ガス供給配管14と成膜ガス供給配管8の接続点との間に希釈ガスによる逆流(成膜時とは逆方向の流れ)を生じさせる必要がある。バイパス配管16は真空ポンプ62に直結されているので、バルブ33、34、35を切り換えるだけで、成膜ガス供給配管8内の第1希釈ガス供給箇所と、気化ガス供給配管14と成膜ガス供給配管8の接続点との間に希釈ガスによる逆流を速やかに生じさせることができる。
成膜停止の状態は、基板400への成膜開始前の状態であって、成膜ガスの流量を安定させるために必要な処理であり、この状態から、成膜時の状態へ移行する。
【0067】
(成膜時の状態)
図4に成膜時の状態を示す。この状態では、バルブ33は閉、バルブ34とバルブ35はともに開とする。前記と同様に太線の配管、すなわち気化ガス供給配管14、成膜ガス供給配管8内には成膜ガスが流れていることを示す。したがって、反応室100内に成膜ガスが導入されて、基板400に対して成膜処理が行われる。尚、このとき第1、2の希釈ガスも成膜ガス供給配管8内に供給されることとなる。所定の時間だけ、この状態を維持した後、次の成膜停止遷移の状態へ移行する。
【0068】
(成膜停止遷移の状態)
図5に成膜停止遷移の状態を示す。この状態では、バルブ33とバルブ35はともに開、バルブ34は閉とする。前記と同様に太線の配管、すなわち気化ガス供給配管14及びバイパス配管16内には成膜ガスが流れていることを示すが、成膜ガス供給配管8内の第1のデッドスペース21では、成膜ガスが滞留していることを示す。この状態では、第1のデッドスペース21に滞留した成膜ガスが拡散現象により反応室100へ供給されるため、完全に基板400への成膜が停止する状態ではない。また、この状態では、第2のデッドスペース22にあった成膜ガスは、第1の希釈ガスにより押し流されてパージ処理できるが、第1のデッドスペース21にある成膜ガスは押し流すことが困難である。しかし、この成膜停止遷移の状態から図3の成膜停止の状態へ移行することにより、第1のデッドスペース21にある成膜ガスを第1の希釈ガスでバイパス配管16へ押し流すことができる。
【0069】
したがって、本実施の形態の構造とプロセスを使用することで、従来の問題であるデッドスペースでの成膜ガスの滞留を無くすことが可能となる。尚、上記動作を行うための第1バルブ34、第2バルブ35、第3バルブ33の開閉の制御は制御装置250により行われる。
【0070】
ここで、図14を用いて希釈ガスの流量制御方法の一例を具体的に説明する。気化器から気化ガス供給配管14へ供給する原料ガス流量Aは常に一定とする。第1希釈ガス供給配管27から供給する第1希釈ガス流量Bも一定とする。第2希釈ガス供給配管28から供給する第2希釈ガス流量Cは、成膜ガス供給配管8を通って反応室100内に導入するトータルガス流量Dが常に一定となるよう調整する。反応室100内の圧力変動を防ぐためである。
すなわち、成膜停止状態(図14(a))においては、D=Cとなるように、成膜時(図14(b))においてはD=A+B+Cとなるように、成膜停止遷移状態(図14(c))においてはD=B+CとなるようにCの流量を調整する。例えば、A=0.5slm,B=0.5s1m,D=1.5s1mとすると、Cは次のように調整する。成膜停止状態ではC=1.5slm、成膜時ではC=0.5slm、成膜停止遷移状態ではC=1.0slmとする。
【0071】
以上、説明したように、本実施の形態では、従来の問題であったデッドスペースに滞留する成膜ガスを希釈ガスで押し流してパージするようにしたので、壁にへばりついている成膜ガスも容易に除去することができる。したがって、薄膜の堆積膜厚の変動を抑制することができ、基板面内の膜厚均一性や組成均一性が得られやすい上、成膜ガスの滞留するデッドスペースがなくなるため、成膜ガスの自己分解などによるパーティクル発生を抑制することができる。
【0072】
尚、上記実施形態では、図2のガス供給制御配管36を原料供給管500に設けた場合について説明したが、ラジカル供給管130に設けるようにしても良い。
【0073】
また、上述した実施の形態では、反応室100内で基板400を処理する際は、第1のバルブ34を開、第2のバルブ35を開、第3のバルブ33を閉とし、基板処理後は、第1のバルブ34を閉、第2のバルブ35を開、第3のバルブ33を開とし、その後に、第1のバルブ34を開、第2のバルブ35を閉、第3のバルブ33を開とするよう、制御装置250でバルブ33〜35を制御することにより、デッドスペースに滞留する成膜ガスをパージするようにしている。この場合において、制御装置250にて第1バルブ34、第2バルブ35、第3バルブ33を制御することにより、基板処理後に、第1のバルブ34を閉、第2のバルブ35を開、第3のバルブ33を開とする動作と、第1のバルブ34を開、第2のバルブ35を閉、第3のバルブ33を開とする動作とを、複数回繰り返すよう制御しても良い。これによれば、図3の「成膜停止の状態」と図5の「成膜停止遷移の状態」とが複数回繰り返されることになる。
「成膜停止遷移状態」→「成膜停止状態」を繰り返すメリットは次の通りである。成膜停止状態では、第1希釈ガス供給箇所からバイパス配管16側へ希釈ガスの流れが形成され、第1デッドスペース21に滞留していた原料ガスはバイパス配管16へ押し流されるが、その場合であっても拡散により第1デッドスペース21に滞留していた原料ガスが、第1希釈ガス供給箇所から反応室側、すなわち、第1希釈ガス供給箇所と第2のバルブ35との間へ抜け出る可能性がある。そのような場合、成膜ガス供給配管8内に原料ガスが残留することとなるが、「成膜停止遷移状態」→「成膜停止状態」を繰り返すようにすると、パージ効果が高まり、また第1デッドスペース21から抜け出て残留した原料ガスの希釈の度合いを高め、原料ガスの濃度を低くすることができる。
【0074】
また、上述した実施の形態では、ガス供給制御配管36を構成する第1のバルブ34及び第2のバルブ35に2方向バルブを用いたが、これらに3方向バルブを用いることも可能である。図6にそのような3方向バルブを用いたガス供給制御配管36を示す。
ガス供給制御配管36を構成する成膜ガス供給配管8と第1の希釈ガス供給配管27を第1の3方向バルブ40で接続する。すなわち、第1の3方向バルブ40の第1、第2のポートに成膜ガス供給配管8を接続し、その第3ポートに第1の希釈ガス供給配管27を接続する。また、成膜ガス供給配管8と第2の希釈ガス供給配管28を第2の3方向バルブ41で接続する。すなわち、第2の3方向バルブ41の第1、第2のポートに成膜ガス供給配管8を接続し、その第3ポートに第2の希釈ガス供給配管28を接続する。
このように3方向バルブの第3ポートに希釈ガス供給管を接続することにより、ガス供給制御配管36の第1のバルブ及び第2のバルブに3方向バルブを用いることができる。
3方向バルブを用いると、バルブの外部にデッドスペースは存在しなくなるが、バルブの内部にデッドスペースが存在することとなる。すなわち、図7に示すように、3方向バルブ40または41の内部に、デッドスペース43が必ず存在する。したがって、3方向バルブを用いた場合でも、このデッドスペース43に残留する成膜ガスを、前述した実施の形態のように、希釈ガス(矢印で示す)で押し流す必要がある。
【0075】
また、上記実施の形態では、原料ガス供給ラインに、1種類の有機Hf金属原料を供給する1つの原料供給ユニット900を接続してHfO2膜を形成する1元素系CVD薄膜形成装置の場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、原料ガス供給ラインには、少なくとも2種類の原料を供給する少なくとも2つの原料供給ユニットが接続されたり、少なくとも2種類の原料を液体状態で混合した混合原料を供給する少なくとも1つの原料供給ユニットが接続される多元素系CVD薄膜形成装置の場合についても適用できる。
【0076】
この多元素系薄膜形成装置を2元素系CVD薄膜形成装置、例えばHfSiO成膜装置を例として説明する。HfSiO成膜装置には、例えば次の2種類の装置がある。1つは、原料タンクで2種類の原料を液体状態で混ぜるタイプであり、他の1つは、原料タンク、気化器を原料ごとに別々に設けるタイプである。原料タンクで2種類の原料を混ぜるタイプは、図1に示す構成と同じであり、原料供給ユニット900内でHf原料とSi原料とを混合するようになっている。原料タンク、気化器を原料ごとに別々に設けるタイプは、図15に示すように構成される。
【0077】
図15に示す基板処理装置の構成は、基本的には図1に示す構成と同じであり、図1と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。異なる点は、2種類の成膜原料供給系が並列に設けられ、それらが下流の原料ガス供給管5bで合体して1つの供給系となっている点である。すなち一方のHf原料供給系は、Hf原料を供給する原料供給ユニット900aと、成膜原料の液体供給流量を制御する液体流量制御装置280aと、成膜原料を気化する気化器290aとから構成される。他方のSi原料供給系は、Si原料を供給する原料供給ユニット900bと、成膜原料の液体供給流量を制御する液体流量制御装置280bと、成膜原料を気化する気化器290bとから構成される。これらの気化器290a、290bの各出力ポートは一本化されて原料ガス供給管5bに接続される。各成膜原料供給系から送出された各ガスは、原料ガス供給管5bで混合されて、ガス供給制御配管36を経て反応室内に供給される。
【0078】
本発明は、このような多元素系薄膜の形成を行う場合に特に有効となる。多元素系CVD薄膜の形成を行う場合、複数種類の元素はその質量により拡散力が異なる。軽い元素ほど、拡散力が大きい。すなわちデッドスペースに滞留した複数の元素のうち、質量の軽い方が先に拡散し反応室内へ供給されることとなる。例えば、上述した2元素系CVD薄膜であるHfSiO膜を形成する場合、Hf原料とSi原料を用いるが、この場合、デッドスペースに滞留したHf元素、Si元素はそれぞれ質量が異なり拡散力が異なるため、反応室内に供給されるタイミングがずれることとなる。そうすると、先に供給された方の物質が基板中央部に多く付着することとなり、基板面内における組成均一性に影響を及ぼすこととなる。尚、この問題は、成膜時等、原料供給量が多い場合は特に問題とはならないが、原料供給量が少ない場合に特に顕著となる。以上のことから、本発明は多元素系CVD薄膜の形成を行う場合に特に有効となる。尚ALDによる多元素系薄膜の形成を行う場合にも有効となるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態によるガス供給制御配管を示す図である。
【図3】第1の実施の形態によるガス供給制御配管の説明図である。
【図4】第1の実施の形態によるガス供給制御配管の説明図である。
【図5】第1の実施の形態によるガス供給制御配管の説明図である。
【図6】第2の実施の形態によるガス供給制御配管を示す図である。
【図7】第2の実施の形態による3方向バルブの説明図である。
【図8】従来のガス供給制御配管を示す図である。
【図9】従来のガス供給制御配管の問題を示す説明図である。
【図10】従来のガス供給制御配管の問題を示す説明図である。
【図11】従来のガス供給制御配管の問題を示す説明図である。
【図12】従来のCVD装置の概略構成図である。
【図13】従来の反応室の構造図である。
【図14】実施の形態による希釈ガスの流量制御方法を示す説明図である。
【図15】実施の形態に係る他の基板処理装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0080】
5b 原料ガス供給管(原料ガス供給ライン)
14a 原料ガスバイパス管(バイパスライン)
14b ラジカルバイパス管(バイパスライン)
23 第1の不活性ガス供給配管(不活性ガス供給ライン)
24 第2の不活性ガス供給配管(不活性ガス供給ライン)
33 第3のバルブ
34 第1のバルブ
35 第2のバルブ
100 反応室
400 基板
500 原料供給管(原料ガス供給ライン)
900 原料供給ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少な<とも1枚の基板を処理する反応室と、
前記反応室内に原料ガスを供給する原料ガス供給ユニットと、
前記反応室と原料ガス供給ユニットとを結ぶ原料ガス供給ラインと、
前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられ、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気するバイパスラインと、
前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第の1バルブと、
前記原料ガス供給ラインの前記第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブと、
前記バイパスラインに設けられた第3のバルブと、
前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインと、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記反応室内で基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを、複数回繰り返すよう制御する制御手段を有することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
原料ガス供給ユニットは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けるよう構成されることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
第1の不活性ガス供給ラインは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の不活性ガスを供給し続けるよう構成されることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2のバルブよりも下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量とを一定とし、第2の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量を可変としたことを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整する制御手段を有することを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記反応室内で基板を処理する前は、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とし、基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
原料ガス供給ラインには、少なくとも2種類の原料ガスを供給する少な<とも2つの原料ガス供給ユニットが接続されるか、少なくとも2種類の原料の混合ガスを供給する少なくとも1つの原料供給ユニットが接続されることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
少なくとも1枚の基板を反応室内に搬入する工程と、前記反応室内に原料ガス供給ユニットより原料ガス供給ラインを介して原料ガスを供給して反応室内に搬入した基板を処理する工程と、
基板処理前または基板処理後に、前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられたバイパスラインより、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気する工程と、
処理後の基板を前記反応室より搬出する工程とを有し、
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第1のバルブを閉とし、前記原料ガス供給ラインの第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブを開とし、バイパスラインに設けられた第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、更に、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程とを、複数回繰り返すことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第2のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第1のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、原料ガス供給ユニットより常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に常に一定流量の不活性ガスを供給し続けることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記基板処理前にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板処理前、基板処理中、基板処理後においては、原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に供給する不活性ガスの供給流量とを常に一定とし、反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が常に一定となるよう、第2のバルブ下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給して、その供給流量の調整を行うことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
原料ガス供給ラインを介して反応室内に供給する原料ガスは、少なくとも2種類の原料ガス、または少なくとも2種類の原料の混合ガスを含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
少な<とも1枚の基板を処理する反応室と、
前記反応室内に原料ガスを供給する原料ガス供給ユニットと、
前記反応室と原料ガス供給ユニットとを結ぶ原料ガス供給ラインと、
前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられ、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気するバイパスラインと、
前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第の1バルブと、
前記原料ガス供給ラインの前記第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブと、
前記バイパスラインに設けられた第3のバルブと、
前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給ラインと、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記反応室内で基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板処理後に、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とする動作と、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とする動作とを、複数回繰り返すよう制御する制御手段を有することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
原料ガス供給ユニットは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けるよう構成されることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
第1の不活性ガス供給ラインは、少なくとも基板処理中、基板処理後において、常に一定流量の不活性ガスを供給し続けるよう構成されることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2のバルブよりも下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ラインを有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量とを一定とし、第2の不活性ガス供給ラインから供給する不活性ガスの供給流量を可変としたことを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が、基板処理前、基板処理中、基板処理後において一定となるよう、第2の不活性ガス供給ラインから流す不活性ガスの供給流量を調整する制御手段を有することを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記反応室内で基板を処理する前は、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とし、基板を処理する際は、第1のバルブを開、第2のバルブを開、第3のバルブを閉とし、基板処理後は、第1のバルブを閉、第2のバルブを開、第3のバルブを開とし、その後に、第1のバルブを開、第2のバルブを閉、第3のバルブを開とするよう制御する制御手段を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
原料ガス供給ラインには、少なくとも2種類の原料ガスを供給する少な<とも2つの原料ガス供給ユニットが接続されるか、少なくとも2種類の原料の混合ガスを供給する少なくとも1つの原料供給ユニットが接続されることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
少なくとも1枚の基板を反応室内に搬入する工程と、前記反応室内に原料ガス供給ユニットより原料ガス供給ラインを介して原料ガスを供給して反応室内に搬入した基板を処理する工程と、
基板処理前または基板処理後に、前記原料ガス供給ラインから分岐するよう設けられたバイパスラインより、原料ガスを、反応室をバイパスするよう排気する工程と、
処理後の基板を前記反応室より搬出する工程とを有し、
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、前記原料ガス供給ラインのバイパスラインとの分岐点よりも下流側に設けられた第1のバルブを閉とし、前記原料ガス供給ラインの第1のバルブよりも下流側に設けられた第2のバルブを開とし、バイパスラインに設けられた第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、更に、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程とを、複数回繰り返すことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを閉とし、第2のバルブを開とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第2のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給し第1のバルブ側に向かって不活性ガスが流れるようにする工程と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、原料ガス供給ユニットより常に一定流量の原料ガスを原料ガス供給ラインに対して供給し続けることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
少なくとも基板を処理する工程と、基板処理前または基板処理後にバイパスラインより原料ガスを排気する工程では、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に常に一定流量の不活性ガスを供給し続けることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記基板処理前にバイパスラインより原料ガスを排気する工程は、第1のバルブを開とし、第2のバルブを閉とし、第3のバルブを開とした状態で、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板処理前、基板処理中、基板処理後においては、原料ガス供給ユニットから供給する原料ガスの供給流量と、第1のバルブと第2のバルブとの間の原料ガス供給ライン内に供給する不活性ガスの供給流量とを常に一定とし、反応室内に供給される原料ガスと不活性ガスの合計流量が常に一定となるよう、第2のバルブ下流の原料ガス供給ライン内に不活性ガスを供給して、その供給流量の調整を行うことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
原料ガス供給ラインを介して反応室内に供給する原料ガスは、少なくとも2種類の原料ガス、または少なくとも2種類の原料の混合ガスを含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【国際公開番号】WO2005/024926
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513684(P2005−513684)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012855
【国際出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/012855
【国際出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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