説明

基板処理装置及び基板処理方法及び基板処理プログラム

【課題】 スピンレス方式で被処理基板上に処理液を供給する処理動作のタクトタイムを短縮するとともに、浮上搬送方式において被処理基板上に処理液の塗布膜を均一な膜厚で形成すること。
【解決手段】 浮上力を安定化させるために用いられるバキューム機構の真空圧力に変動が生じると、ノズル高さ位置補正部の制御回路が圧力センサを通じてその真空圧力の変動を検出し、そのような真空圧力の変動に対して一定の応答特性を有する制御信号を生成して圧電アクチエータを駆動制御し、圧電アクチエータより発生される変位によってレジストノズルの高さ位置を可変制御する。これにより、たとえば、バキューム機構の真空圧力の変動に応じて基板Gが設定浮上高度Hbよりも上方へ変位するときは、その基板Gの変位と同じタイミングでレジストノズル78も上方へほぼ同じ変位量だけ変位し、結果的にレジストノズル78と基板GとのギャップSが設定値に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板上に処理液を供給して処理を行う技術に係り、特にスピンレス方式で基板上に処理液を塗布する基板処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、被処理基板(たとえばガラス基板)の大型化に有利なレジスト塗布法として、基板に対して長尺型のレジストノズルよりレジスト液を帯状に吐出させながらレジストノズルを相対移動または走査させることにより、回転運動を要することなく基板上に所望の膜厚でレジスト液を塗布するようにしたスピンレス方式が普及している。
【0003】
スピンレス方式による従来のレジスト塗布装置は、たとえば特許文献1に記載されるように、ステージ上に水平に固定載置される基板とステージ上方に設けられるレジストノズルの吐出口との間に数百μm以下の微小ギャップを設定し、レジストノズルを走査方向(一般にノズル長手方向と直交する水平方向)に移動させながら基板上にレジスト液を吐出させるようにしている。この種のレジストノズルは、ノズル本体を横長または長尺状に形成して、口径の非常に小さい微細径(たとえば100μm程度)の吐出口からレジスト液を帯状に吐出するように構成されている。このような長尺型レジストノズルの走査による塗布処理が終了すると、当該基板は搬送ロボットまたは搬送アームによりステージから取り出され、装置の外へ搬出される。直後に、後続の新たな基板が搬送ロボットにより装置に搬入され、ステージ上に載置される。そして、この新たな基板に対してレジストノズルの走査により上記と同様の塗布処理が繰り返される。
【特許文献1】特開平10−156255
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスピンレス方式のレジスト塗布装置では、処理済の基板をステージからアンローディングないし搬出してステージ上面を完全に空状態にしない限り、後続の新たな基板をステージ上に搬入ないし載置することができない。このため、レジストノズルを走査させる動作の所要時間(Tc)に、未処理の基板をステージ上に搬入ないしローディングする動作の所要時間(Tin)と、処理済の基板をステージからアンローディングないし搬出する動作の所要時間(Tout)とを足し合わせた塗布処理1サイクルの所要時間(Tc+Tin+Tout)がそのままタクトタイムになり、タクトタイムの短縮化が難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、スピンレス方式で被処理基板上に処理液を供給ないし塗布する処理動作のタクトタイムを短縮する基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の別の目的は、浮上搬送方式において基板浮上力安定化用の真空圧力が変動して被処理基板が上下にぶれても基板とノズルとの間のギャップを設定値に保って基板上に処理液の塗布膜を均一な膜厚で形成できるようにした基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の基板処理装置は、気体を噴出する多数の噴出口と気体を吸い込む多数の吸引口とが混在して設けられた第1の浮上領域を有するステージと、被処理基板を前記ステージ上で浮かせた状態で所定の搬送方向に前記第1の浮上領域を通過させる基板搬送部と、前記第1の浮上領域の上方に配置されるノズルを有し、前記基板上に処理液を供給するために前記ノズルより前記処理液を吐出させる処理液供給部と、前記ノズルと前記基板との間のギャップを所望の値に設定するためのギャップ設定部と、前記噴出口に正圧の気体を供給する正圧気体供給機構と、前記吸引口に真空の圧力を供給するバキューム機構と、前記バキューム機構内の真空圧力を検出する圧力検出部と、前記第1の浮上領域で前記ギャップが前記設定値に保たれるように、前記圧力検出部によって検出される真空圧力の変動に応じて前記ノズルの高さ位置を可変制御するノズル高さ位置補正部とを有する。
【0008】
また、本発明の基板処理方法は、ステージ上に搬送方向に沿って、被処理基板よりもサイズの大きい搬入領域と、前記基板よりもサイズの小さい塗布領域と、前記基板よりもサイズの大きい搬出領域とをこの順に一列に設定し、前記ステージの上面に設けた多数の噴出口より噴出する気体の圧力で前記基板を浮かせて、少なくとも前記塗布領域では前記ステージの上面に前記噴出口と混在する多数の吸引口を設けて前記塗布領域を通過する前記基板に対して前記噴出口より加えられる垂直上向きの圧力と前記吸引口より加えられる垂直下向きの圧力とのバランスを制御して前記基板にほぼ均一な浮上力を与え、前記基板を前記搬入領域から前記搬出領域まで搬送する途中、前記塗布領域内で上方に配置したノズルより処理液を吐出させて前記基板上に前記処理液を塗布し、塗布処理中に、前記吸引口に供給される真空の圧力を検出し、前記ノズルと前記基板との間のギャップを設定値に保つように前記真空圧力の変動に応じて前記ノズルの高さ位置を可変制御する。
【0009】
また、本発明の基板処理プログラムは、上面に多数の噴出口と多数の吸引口とを混在させて設けたステージ上で、被処理基板を所望の高さに浮かせた状態で所定の方向に搬送するステップと、搬送中の前記基板に向けて上方のノズルより処理液を吐出させて前記基板上に処理液を塗布するステップと、前記吸引口に供給される真空の圧力を検出し、前記ノズルと前記基板との間のギャップを設定値に保つように前記真空圧力の変動に応じて前記ノズルの高さ位置を可変制御するステップとを実行する。
【0010】
本発明においては、基板がステージの第1の浮上領域(塗布領域)を通過する途中で、ノズルより吐出される処理液の供給を受けることにより、基板上に処理液の塗布膜が形成される。この塗布処理中に、基板浮上力を高い精度で安定させるためにステージ上面の吸引口に供給される真空の圧力(バキューム)が変動すると、基板に対するステージ側からの垂直上向きの圧力と垂直下向きの圧力とのバランスが崩れ、基板が上下にぶれる。本発明によれば、真空圧力の変動によって基板が上下にぶれるのと同じタイミングでノズルを上下に同じようにぶれさせるので、ノズルと基板間のギャップを設定値に安定に保ち、基板上に塗布ムラのない一定膜厚のレジスト塗布膜を形成することができる。また、第1の浮上領域を挟んで、下流側(搬出領域)で処理済の基板をステージの外へ搬出する動作と、上流側(搬入領域)で次に処理を受ける新規の基板をステージ上に搬入する動作とを独立的または並列的に行えるので、タクトタイムを短くすることができる。
【0011】
本発明の好適な一態様によれば、ノズル高さ位置補正部が、ノズルを鉛直方向で可動に支持するノズル支持部と、ノズルを鉛直方向に所定の範囲内で所望の変位量だけ変位させるためにノズル支持部に組み込まれた圧電アクチエータと、圧力検出部より出力される圧力検出信号に応じた制御信号を前記圧電アクチエータに与えるノズル変位制御部とを有する。かかる構成においては、ノズル支持部に組み込まれた圧電アクチエータに制御信号を与えることで、逆圧電効果によって圧電アクチエータの発生する変位をノズル支持部を介してノズルに効率よく伝達することができる。
【0012】
また、好適な一態様によれば、ノズル変位制御部が、上記制御信号を生成するために、圧力検出信号から交流成分を抽出する第1のフィルタ、該圧力検出信号の交流成分から所定周波数以上の高周波成分を除去する第2のフィルタ、圧力検出信号の交流成分を所定の時間または位相だけ遅延させるディレイ回路、および/または該圧力検出信号の交流成分を所定の利得で増幅する増幅回路を有する。かかる構成においては、真空圧力の変動に対してノズルの変位が基板の変位と時間的にも量的にも一致ないし近似するように、フィルタ特性、ディレイ特性、利得特性が設定ないし調整されてよい。
【0013】
また、好適な一態様によれば、ノズルが、搬送方向と交差(たとえば直交)する水平方向に延びる微細径の吐出口を有してよく、ギャップ設定部が、ノズルを昇降移動させるノズル昇降部を有してよい。
【0014】
また、第1の浮上領域を通過する基板に対して噴出口より加えられる垂直上向きの圧力と吸引口より加えられる垂直下向きの圧力とのバランスを制御する浮揚制御部を有する構成も好ましい。
【0015】
さらに、好適な一態様によれば、ステージの搬送方向において第1の浮上領域の上流側に基板を浮かせる第2の浮上領域が設けられ、この第2の浮上領域内に基板を搬入するための搬入部が設けられる。この搬入部は、好ましくは、ステージ上の搬入位置で基板をピン先端で支持するための複数本の第1のリフトピンと、これらの第1のリフトピンをステージ下方の原位置とステージ上方の往動位置との間で昇降移動させる第1のリフトピン昇降部とを有する。
【0016】
また、好適な一態様によれば、ステージの搬送方向において第1の浮上領域の下流側に基板を浮かせる第3の浮上領域が設けられ、この第3の浮上領域内に基板を搬出するための搬出部が設けられる。この搬出部は、好ましくは、ステージ上の搬入位置で基板をピン先端で支持するための複数本の第2のリフトピンと、これらの第2のリフトピンをステージ下方の原位置とステージ上方の往動位置との間で昇降移動させる第2のリフトピン昇降部とを有する。
【0017】
さらに、好適な一態様によれば、ステージの搬送方向において第2の領域と第1の領域との間に基板を浮かせる第4の浮上領域が設けられ、この第4の浮上領域内に気体を吸い込む吸引口が搬送方向に向かって次第に増大する密度で多数配置される。この構成によれば、第2の領域(搬入領域)と第1の領域(塗布領域)との間で基板浮上高度をスムースに移行させることができる。また、ステージの搬送方向において第1の領域(塗布領域)と第3の領域(搬出領域)との間に基板を浮かせる第5の浮上領域が設けられ、この第5の浮上領域内に気体を吸い込む吸引口が搬送方向に向かって次第に減少する密度で多数配置される。この構成によれば、第1の領域(塗布領域)と第3の領域(搬出領域)との間で基板浮上高度をスムースに移行させることができる。
【0018】
また、好適な一態様によれば、基板搬送部が、基板の移動する方向と平行に延びるようにステージの片側または両側に配置されるガイドレールと、このガイドレールに沿って移動可能なスライダと、このスライダをガイドレールに沿って移動するように駆動する搬送駆動部と、スライダからステージの中心部に向かって延在し、基板の側縁部を着脱可能に保持する保持部とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の基板処理装置、基板処理方法または基板処理プログラムによれば、上記のような構成および作用により、スピンレス方式で被処理基板上に処理液を供給ないし塗布する処理動作のタクトタイムを短縮できるだけでなく、浮上搬送方式において浮上力安定化用の真空圧力が変動して基板が上下にぶれても基板とノズルとの間のギャップを設定値に保って基板上に処理液の塗布膜を均一な膜厚で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0021】
図1に、本発明の基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラムが適用可能な構成例として塗布現像処理システムを示す。この塗布現像処理システムは、クリーンルーム内に設置され、たとえばLCD基板を被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベークの各処理を行うものである。露光処理は、このシステムに隣接して設置される外部の露光装置(図示せず)で行われる。
【0022】
この塗布現像処理システムは、大きく分けて、カセットステーション(C/S)10と、プロセスステーション(P/S)12と、インタフェース部(I/F)14とで構成される。
【0023】
システムの一端部に設置されるカセットステーション(C/S)10は、複数の基板Gを収容するカセットCを所定数たとえば4個まで載置可能なカセットステージ16と、このカセットステージ16上の側方でかつカセットCの配列方向と平行に設けられた搬送路17と、この搬送路17上で移動自在でステージ16上のカセットCについて基板Gの出し入れを行う搬送機構20とを備えている。この搬送機構20は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アームを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、後述するプロセスステーション(P/S)12側の搬送装置38と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0024】
プロセスステーション(P/S)12は、上記カセットステーション(C/S)10側から順に洗浄プロセス部22と、塗布プロセス部24と、現像プロセス部26とを基板中継部23、薬液供給ユニット25およびスペース27を介して(挟んで)横一列に設けている。
【0025】
洗浄プロセス部22は、2つのスクラバ洗浄ユニット(SCR)28と、上下2段の紫外線照射/冷却ユニット(UV/COL)30と、加熱ユニット(HP)32と、冷却ユニット(COL)34とを含んでいる。
【0026】
塗布プロセス部24は、スピンレス方式のレジスト塗布ユニット(CT)40と、減圧乾燥ユニット(VD)42と、上下2段型アドヒージョン/冷却ユニット(AD/COL)46と、上下2段型加熱/冷却ユニット(HP/COL)48と、加熱ユニット(HP)50とを含んでいる。
【0027】
現像プロセス部26は、3つの現像ユニット(DEV)52と、2つの上下2段型加熱/冷却ユニット(HP/COL)53と、加熱ユニット(HP)55とを含んでいる。
【0028】
各プロセス部22,24,26の中央部には長手方向に搬送路36,51,58が設けられ、搬送装置38,54,60がそれぞれ搬送路36,51,58に沿って移動して各プロセス部内の各ユニットにアクセスし、基板Gの搬入/搬出または搬送を行うようになっている。なお、このシステムでは、各プロセス部22,24,26において、搬送路36,51,58の一方の側に液処理系のユニット(SCR,CT,DEV等)が配置され、他方の側に熱処理系のユニット(HP,COL等)が配置されている。
【0029】
システムの他端部に設置されるインタフェース部(I/F)14は、プロセスステーション12と隣接する側にイクステンション(基板受け渡し部)56およびバッファステージ57を設け、露光装置と隣接する側に搬送機構59を設けている。この搬送機構59は、Y方向に延在する搬送路19上で移動自在であり、バッファステージ57に対して基板Gの出し入れを行なうほか、イクステンション(基板受け渡し部)56や隣の露光装置と基板Gの受け渡しを行うようになっている。
【0030】
図2に、この塗布現像処理システムにおける処理の手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)10において、搬送機構20が、ステージ12上の所定のカセットCの中から1つの基板Gを取り出し、プロセスステーション(P/S)12の洗浄プロセス部22の搬送装置38に渡す(ステップS1)。
【0031】
洗浄プロセス部22において、基板Gは、先ず紫外線照射/冷却ユニット(UV/COL)30に順次搬入され、最初の紫外線照射ユニット(UV)では紫外線照射による乾式洗浄を施され、次の冷却ユニット(COL)では所定温度まで冷却される(ステップS2)。この紫外線洗浄では主として基板表面の有機物が除去される。
【0032】
次に、基板Gはスクラバ洗浄ユニット(SCR)28の1つでスクラビング洗浄処理を受け、基板表面から粒子状の汚れが除去される(ステップS3)。スクラビング洗浄の後、基板Gは、加熱ユニット(HP)32で加熱による脱水処理を受け(ステップS4)、次いで冷却ユニット(COL)34で一定の基板温度まで冷却される(ステップS5)。これで洗浄プロセス部22における前処理が終了し、基板Gは、搬送装置38により基板受け渡し部23を介して塗布プロセス部24へ搬送される。
【0033】
塗布プロセス部24において、基板Gは、先ずアドヒージョン/冷却ユニット(AD/COL)46に順次搬入され、最初のアドヒージョンユニット(AD)では疎水化処理(HMDS)を受け(ステップS6)、次の冷却ユニット(COL)で一定の基板温度まで冷却される(ステップS7)。
【0034】
その後、基板Gは、レジスト塗布ユニット(CT)40でスピンレス法によりレジスト液を塗布され、次いで減圧乾燥ユニット(VD)42で減圧による乾燥処理を受ける(ステップS8)。
【0035】
次に、基板Gは、加熱/冷却ユニット(HP/COL)48に順次搬入され、最初の加熱ユニット(HP)では塗布後のベーキング(プリベーク)が行われ(ステップS9)、次に冷却ユニット(COL)で一定の基板温度まで冷却される(ステップS10)。なお、この塗布後のベーキングに加熱ユニット(HP)50を用いることもできる。
【0036】
上記塗布処理の後、基板Gは、塗布プロセス部24の搬送装置54と現像プロセス部26の搬送装置60とによってインタフェース部(I/F)14へ搬送され、そこから露光装置に渡される(ステップS11)。露光装置では基板G上のレジストに所定の回路パターンを露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置からインタフェース部(I/F)14に戻される。インタフェース部(I/F)14の搬送機構59は、露光装置から受け取った基板Gをイクステンション56を介してプロセスステーション(P/S)12の現像プロセス部26に渡す(ステップS11)。
【0037】
現像プロセス部26において、基板Gは、現像ユニット(DEV)52のいずれか1つで現像処理を受け(ステップS12)、次いで加熱/冷却ユニット(HP/COL)53の1つに順次搬入され、最初の加熱ユニット(HP)ではポストベーキングが行われ(ステップS13)、次に冷却ユニット(COL)で一定の基板温度まで冷却される(ステップS14)。このポストベーキングに加熱ユニット(HP)55を用いることもできる。
【0038】
現像プロセス部26での一連の処理が済んだ基板Gは、プロセスステーション(P/S)24内の搬送装置60,54,38によりカセットステーション(C/S)10まで戻され、そこで搬送機構20によりいずれか1つのカセットCに収容される(ステップS1)。
【0039】
この塗布現像処理システムにおいては、たとえば塗布プロセス部24のレジスト塗布ユニット(CT)40に本発明を適用することができる。以下、図3〜図19につき本発明をレジスト塗布ユニット(CT)40に適用した一実施形態を説明する。
【0040】
図3に、この実施形態におけるレジスト塗布ユニット(CT)40および減圧乾燥ユニット(VD)42の全体構成を示す。
【0041】
図3に示すように、支持台または支持フレーム70の上にレジスト塗布ユニット(CT)40と減圧乾燥ユニット(VD)42とがX方向に横一列に配置されている。塗布処理を受けるべき新たな基板Gは、搬送路51側の搬送装置54(図1)により矢印FAで示すようにレジスト塗布ユニット(CT)40に搬入される。レジスト塗布ユニット(CT)40で塗布処理の済んだ基板Gは、支持台70上のガイドレール72に案内されるX方向に移動可能な搬送アーム74により、矢印FBで示すように減圧乾燥ユニット(VD)42に転送される。減圧乾燥ユニット(VD)42で乾燥処理を終えた基板Gは、搬送路51側の搬送装置54(図1)により矢印FCで示すように引き取られる。
【0042】
レジスト塗布ユニット(CT)40は、X方向に長く延びるステージ76を有し、このステージ76上で基板Gを同方向に平流しで搬送しながら、ステージ76の上方に配置された長尺型のレジストノズル78より基板G上にレジスト液を供給して、スピンレス法で基板上面(被処理面)に一定膜厚のレジスト塗布膜を形成するように構成されている。ユニット(CT)40内の各部の構成および作用は後に詳述する。
【0043】
減圧乾燥ユニット(VD)42は、上面が開口しているトレーまたは底浅容器型の下部チャンバ80と、この下部チャンバ80の上面に気密に密着または嵌合可能に構成された蓋状の上部チャンバ(図示せず)とを有している。下部チャンバ80はほぼ四角形で、中心部には基板Gを水平に載置して支持するためのステージ82が配設され、底面の四隅には排気口83が設けられている。各排気口83は排気管(図示せず)を介して真空ポンプ(図示せず)に通じている。下部チャンバ80に上部チャンバを被せた状態で、両チャンバ内の密閉された処理空間を該真空ポンプにより所定の真空度まで減圧できるようになっている。
【0044】
図4および図5に、本発明の一実施形態におけるレジスト塗布ユニット(CT)40内のより詳細な全体構成を示す。
【0045】
この実施形態のレジスト塗布ユニット(CT)40においては、ステージ76が、従来のように基板Gを固定保持する載置台として機能するのではなく、基板Gを空気圧の力で空中に浮かせるための基板浮上台として機能する。そして、ステージ76の両サイドに配置されている直進運動型の基板搬送部84が、ステージ76上で浮いている基板Gの両側縁部をそれぞれ着脱可能に保持してステージ長手方向(X方向)に基板Gを搬送するようになっている。
【0046】
詳細には、ステージ76は、その長手方向(X方向)において5つの領域M1,M2,M3,M4,M5に分割されている(図5)。左端の領域M1は搬入領域であり、塗布処理を受けるべき新規の基板Gはこの領域M1内の所定位置に搬入される。この搬入領域M1には、搬送装置54(図1)の搬送アームから基板Gを受け取ってステージ76上にローディングするためにステージ下方の原位置とステージ上方の往動位置との間で昇降移動可能なリフトピン86が所定の間隔を置いて複数本(たとえば4本)設けられている。これらのリフトピン86は、たとえばエアシリンダ(図示せず)を駆動源に用いる搬入用のリフトピン昇降部85(図17)によって昇降駆動される。
【0047】
この搬入領域M1は浮上式の基板搬送が開始される領域でもあり、この領域内のステージ上面には基板Gを所望の浮上高さ位置または浮上高度Haで浮かせるために高圧または正圧の圧縮空気を噴き出す噴出口88が一定の密度で多数設けられている。ここで、搬入領域M1においてステージ76の上面からみた基板Gの浮上高度Haは、特に高い精度を必要とせず、たとえば100〜150μmの範囲内に保たれればよい。また、搬送方向(X方向)において、搬入領域M1のサイズは基板Gのサイズを上回っているのが好ましい。さらに、搬入領域M1には、基板Gをステージ76上で位置合わせするためのアライメント部(図示せず)も設けられている。
【0048】
ステージ76の中心部に設定された領域M3はレジスト液供給領域または塗布領域であり、基板Gはこの領域M3を通過する際に所定の位置で上方のレジストノズル78からレジスト液Rの供給を受ける。この塗布領域M3のステージ上面には、たとえば図6に示すような配列または分布パターンで、基板Gを所望の浮上高度Hbで浮かせるために高圧または正圧の圧縮空気を噴き出す噴出口88と負圧で空気を吸い込む吸引口90とが一定の密度で混在して多数設けられている。
【0049】
ここで、正圧の噴出口88と負圧の吸引口90とを混在させているのは、浮上高度Hbを高い精度で設定値(たとえば50μm)に保持するためである。つまり、塗布領域M3における浮上位置Hbは、ノズル下端(吐出口)と基板上面(被処理面)との間のギャップS(たとえば100μm)を規定する。このギャップSはレジスト塗布膜やレジスト消費量を左右する重要なパラメータであり、高い精度で一定に維持される必要がある。この実施形態では、基板Gの塗布領域M3を通過している部分に対しては、噴出口88から圧縮空気による垂直上向きの力を加えると同時に、吸引口90より負圧吸引力による垂直下向きの力を加えて、双方向の合成された圧力のバランスを制御することで、塗布用の浮上高度Hbを設定値(50μm)に維持するようにしている。この浮上高度制御のために、基板Gの高さ位置を検出する高度検出センサ(図示せず)等を含むフィードバック制御機構が設けられてよい。なお、搬送方向(X方向)における塗布領域M3のサイズは、レジストノズル78の直下に上記のような狭いギャップSを安定に形成できるほどの余裕があればよく、通常は基板Gのサイズよりも小さくてよく、たとえば1/3〜1/4程度でよい。
【0050】
搬入領域M1と塗布領域M3との間に設定された中間の領域M2は、搬送中に基板Gの浮上高さ位置を搬入領域M1における浮上高度Ha(100〜150μm)から塗布領域M3における浮上高度Hb(50μm)へ変化または遷移させるための遷移領域である。この遷移領域M2内でもステージ76の上面には噴出口88と吸引口90とを混在させて配置している。ただし、吸引口90の密度を搬送方向に沿って次第に大きくしており、これによって搬送中に基板Gの浮上高度が漸次的にHaからHbに移るようになっている。
【0051】
塗布領域M3の下流側隣の領域M4は、搬送中に基板Gの浮上高さ位置を塗布用の浮上高度Hb(50μm)から搬出用の浮上高度Hc(たとえば100〜150μm)に変えるための遷移領域である。この遷移領域M4のステージ上面には、搬送方向において上記した上流側の遷移領域M2と対称的な分布パターンで噴出口88と吸引口90とが混在して配置されている。
【0052】
ステージ76の下流端(右端)の領域M5は搬出領域である。レジスト塗布ユニット(CT)40で塗布処理を受けた基板Gは、この搬出領域M5内の所定位置または搬出位置から搬送アーム74(図3)によって下流側隣の減圧乾燥ユニット(VD)42(図3)へ搬出される。この搬出領域M5は上記した搬入領域M1と空間的に対称的な構成になっており、基板Gをステージ76上からアンローディングして搬送アーム74(図3)へ受け渡すためにステージ下方の原位置とステージ上方の往動位置との間で昇降移動可能なリフトピン92が所定の間隔を置いて複数本(たとえば4本)設けられるとともに、基板Gを上記浮上位置Hcに浮かせるための噴出口88がステージ上面に一定の密度で多数設けられている。リフトピン92は、たとえばエアシリンダ(図示せず)を駆動源に用いる搬出用のリフトピン昇降部91(図17)によって昇降駆動される。
【0053】
レジストノズル78は、レジスト液供給部に含まれ、ステージ76上の基板Gを一端から他端までカバーできる長さでY方向に延びる長尺状のノズル本体を有し、レジスト液供給源93(図17)からのレジスト液供給管94(図4)に接続されている。ノズル昇降機構75およびノズル高さ位置補正部77(図3,図13,図14,図17)の構成および作用は、後に詳しく述べる。
【0054】
図4、図7および図8に示すように、基板搬送部84は、ステージ76の左右両サイドに平行に配置された一対のガイドレール96と、各ガイドレール96上に軸方向(X方向)に移動可能に取り付けられたスライダ98と、各ガイドレール96上でスライダ98を直進移動させる搬送駆動部100と、各スライダ98からステージ76の中心部に向かって延びて基板Gの左右両側縁部を着脱可能に保持する保持部102とをそれぞれ有している。
【0055】
ここで、搬送駆動部100は、直進型の駆動機構たとえばリニアモータによって構成されている。また、保持部102は、基板Gの左右両側縁部の下面に真空吸着力で結合する吸着パッド104と、先端部で吸着パッド104を支持し、スライダ98側の基端部を支点として先端部の高さ位置を変えられるように弾性変形可能な板バネ型のパッド支持部106とをそれぞれ有している。吸着パッド104は一定のピッチで一列に配置され、パッド支持部106は各々の吸着パッド104を独立に支持している。これにより、個々の吸着パッド104およびパッド支持部106が独立した高さ位置で(異なる高さ位置でも)基板Gを安定に保持できるようになっている。
【0056】
図7および図8に示すように、この実施形態におけるパッド支持部106は、スライダ98の内側面に昇降可能に取り付けられた板状のパッド昇降部材108に取り付けられている。スライダ98に搭載されているたとえばエアシリンダ(図示せず)からなるパッドアクチエータ109(図17)が、パッド昇降部材108を基板Gの浮上高さ位置よりも低い原位置(退避位置)と基板Gの浮上高さ位置に対応する往動位置(結合位置)との間で昇降移動させるようになっている。
【0057】
図9に示すように、各々の吸着パッド104は、たとえば合成ゴム製で直方体形状のパッド本体110の上面に複数個の吸引口112を設けている。これらの吸引口112はスリット状の長穴であるが、丸や矩形の小孔でもよい。吸着パッド104には、たとえば合成ゴムからなる帯状のバキューム管114が接続されている。これらのバキューム管114の管路116はパッド吸着制御部115(図17)の真空源にそれぞれ通じている。
【0058】
パッド吸着制御部115(図17)は、バキューム管114の管路116(図9)を切替弁(図示せず)を介して圧縮空気源(図示せず)にも接続しており、吸着パッド104を基板Gの側縁部から分離させるときは、該切替弁を該圧縮空気源側に切り替えて、吸着パッド104に正圧または高圧の圧縮空気を供給するようになっている。
【0059】
保持部102においては、図4に示すように、片側一列の真空吸着パッド104およびパッド支持部106が1組毎に分離している分離型または完全独立型の構成が好ましい。しかし、図10に示すように、切欠き部118を設けた一枚の板バネで片側一列分のパッド支持部120を形成してその上に片側一列の真空吸着パッド104を配置する一体型の構成も可能である。
【0060】
上記のように、ステージ76の上面には多数の噴出口88が設けられている。この実施形態では、ステージ76の搬入領域M1および搬出領域M5に属する各噴出口88について、空気の噴出流量を基板Gとの相対的な位置関係で個別的かつ自動的に切り換える噴出制御部122を流量切換弁の形態でステージ76の内部に設けている。
【0061】
図11に、一実施例による噴出制御部122の構成を示す。この噴出制御部122は、ステージ76の内部に形成された球面体形状の壁面を有する弁室124と、この弁室124の中で移動可能に設けられた球状の弁体126とを有している。弁室124の頂部および底部には、鉛直方向で互いに対向する出口124aおよび入口124bがそれぞれ形成されている。出口124aは、当該噴出制御部122と対応する噴出口88に連通している。入口124bは、ステージ76の下部を走っている圧縮空気供給路128に連通している。
【0062】
図12に、ステージ76内における圧縮空気供給路128の配管パターンの一例を示す。たとえばコンプレッサ等の圧縮空気源(図示せず)からの圧縮空気は、外部配管130の中を流れてきてステージ76内の圧縮空気導入部132に導入される。圧縮空気導入部132に導入された圧縮空気は、そこからステージ76内に張り巡らされている多数の圧縮空気供給路128に分配される。
【0063】
図11において、弁室124の出口124aの周りは弁座を構成する。この弁座には、出口124aから放射状に延びる溝部124cが周回方向に所定の間隔(たとえば90°間隔)を置いて複数個(4個)形成されている。これにより、弁体126が弁座に密着または着座して出口124aを塞いでも弁室124から圧縮空気が溝部124cを通って噴出口88側に漏出するようになっている。弁体126は、弁室124の内径よりも一回りないし二回り小さな直径を有するたとえば樹脂製の球体であり、球面の下半部に入口124b側の空気圧に応じた垂直上向きの力PUを受けるとともに、球面の上半部に出口124a側の空気圧に応じた垂直下向きの力(反作用)PDを受ける。また、弁体126にはその質量に応じた重力PG(一定値)が常時垂直下向きに作用する。弁体126は、上記のような垂直上向きの力PUと垂直下向きの力(PD+PG)との差に応じて弁室124内で鉛直方向の位置(高さ位置)を変える。
【0064】
この実施形態では、図11に示すように、各噴出口88の上方に基板Gが在るか否かに応じて、当該噴出口88直下の噴出制御部122では、弁室124内の弁体126の高さ位置が出口124a側の弁座に密着する第1の位置、もしくは該弁座から離間して弁室124内で浮いた状態になる第2の位置のいずれかに切り換わるようになっている。
【0065】
すなわち、各噴出口88の上方に(厳密には設定浮上位置Ha以下の接近距離で)基板Gが在るときは、基板Gからの反作用で当該噴出口88付近やその直下の弁室124の出口124a付近の空気圧が高くなって、弁体126に作用する垂直下向きの力(特にPD)が垂直上向きの力PUと互角かそれを少し上回る程に増大し、弁体126が出口124a側の弁座から離間する。これにより、出口124aが開状態となり、入口124bより弁室124に導入された圧縮空気は大きな流量で出口124aを通り抜けて噴出口88より噴き出る。
【0066】
上記のようにステージ76の上面に形成された多数の噴出口88およびそれらに浮上力発生用の圧縮空気を供給するための圧縮空気供給機構134(圧縮空気源、外部配管130、圧縮空気供給路128、噴出制御部122等)、さらにはステージ76の領域M2,M3,M4内に噴出口88と混在して形成された吸引口90およびそれらに真空の圧力を供給するためのバキューム機構136等により、搬入領域M1および搬出領域M5では基板Gを効率よく所望の高さで浮かせ、塗布領域M3では基板Gを高い精度で設定高さ位置に浮かせるためのステージ基板浮上部138(図17)が構成されている。
【0067】
図13に、ノズル昇降機構75、ノズル高さ位置補正部77およびバキューム機構136の構成を示す。ノズル昇降機構75は、塗布領域M3の上を搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に跨ぐように架設された門形支持体140と、この門形支持体140に取り付けられた鉛直直線運動機構142と、この鉛直直線運動機構142の移動体(昇降体)たとえば水平棒144とレジストノズル78とを結合するジョイント部146とを有する。ここで、直線運動機構142の駆動部は、たとえば電動モータ148、ボールネジ150およびガイド部材152等で構成される。また、ジョイント部146は、水平棒144の上面にノズル高さ位置補正部77の圧電アクチエータ154を介して結合された角筒状のジョイント部材156と、上端がジョイント部材156に接続され下端がレジストノズル78に接続された鉛直棒158とで構成されている。電動モータ148の回転力がボールネジ機構(150,152,144)によって鉛直方向の直線運動に変換され、昇降体の水平棒144と一体にジョイント部146およびノズル78が鉛直方向に昇降移動する。電動モータ148の回転量および回転停止位置によってレジストノズル78の昇降移動量および高さ位置を任意に制御できるようになっている。
【0068】
バキューム機構136は、ステージ76上面で分割された複数のエリア別に吸引口90に接続された複数の上部マニホールド159、それら複数の上部マニホールド159に接続された単体の下部マニホールド160、およびこの下部マニホールド160を真空源162に接続する排気管164等で構成される。真空源162からの真空圧力が排気管164、下部マニホールド160および上部マニホールド159を介してステージ76上面の各吸引口90に供給される。すなわち、ステージ76上面の空気が負圧吸引力によって吸引口90の中に吸い込まれ、さらに上部マニホールド159、下部マニホールド160および排気管164を通って真空源162に吸い取られるようになっている。ここで、各上部マニホールド159はステージ76の各エリアの下(ステージ内)に設けられ、下部マニホールド160はステージ76の外に設けられている。真空源162には、たとえばブロアまたは工場排気ライン(用力)等が用いられる。
【0069】
バキューム機構136内の適当な箇所たとえば排気管164に圧力センサ166が取り付けられている。この圧力センサ166は、ゲージ圧力計からなり、大気圧を基準として排気管164内の真空圧力を測り、測定圧力をゲージ圧力で表す電気信号(圧力検出信号)AGを出力する。この圧力検出信号AGは、後述するノズル高さ位置補正部77の制御回路170(図15)に与えられ、必要に応じてコントローラ180(図17)にも与えられる。
【0070】
図15に、ノズル高さ位置補正部77における信号処理系の構成を示す。制御回路170は、圧力センサ166からの圧力検出信号AGを入力し、バキューム機構136内の真空圧力の変動に応じてレジストノズル78を鉛直方向で変位させるための制御信号CSを生成するものであり、好ましくはフィルタ回路170a、ディレイ回路170b、増幅回路170c等を有する。
【0071】
ここで、フィルタ回路170aは、検出対象である真空圧力の変動分に対応する圧力検出信号AGの交流分を抽出するためのフィルタや、基板Gの上下方向のぶれ(変位)に影響を及ぼさない微小な圧力変動分(高周波成分)を無視(除去)するためのフィルタ等を含んでよい。ディレイ回路170bは、バキューム機構136内の真空圧力の変動とその圧力変動に対応する基板Gの変位との間に一定の時間遅れがあることから、基板Gの変位にレジストノズル78の変位を同期させるように制御信号CSに所定の時間遅れΔT(ms)をもたせるものである。増幅回路170cは、真空圧力の変動に対してレジストノズル78の変位量を基板Gの変位量に合わせるような増幅率または利得で制御信号CSを増幅する。
【0072】
制御回路170より出力された制御信号CSは駆動回路172を介して圧電アクチエータ154に与えられる。圧電アクチエータ154のピエゾ素子154aは、制御信号CSを供給されると逆圧電効果により上下に変位する。図14の(A)に示すように、圧電アクチエータ154のピエゾ素子154aが鉛直上方に変位すると、ジョイント部材156および鉛直棒158を介してレジストノズル78も鉛直上方に同じ変位量だけ変位する。また、図14の(B)に示すように、圧電アクチエータ154のピエゾ素子154aが鉛直下方に変位すると、ジョイント部材156および鉛直棒158を介してレジストノズル78も同じ変位量だけ鉛直下方に変位する。
【0073】
図16に、バキューム機構136内の真空圧力の変動とレジストノズル78の変位との間の関係(一例)を模式的に示す。図中、縦軸上の“−Ps”はバキューム機構136内の(測定点における)真空圧力の設定値または基準値である。上記のように、真空圧力の変動に対するレジストノズル78の変位が基板Gの変位と時間的かつ量的に一致ないし近似するように、制御回路170におけるフィルタ特性、ディレイ特性、利得特性が設定ないし調整される。制御回路170をディジタル回路で構成する場合は、その入力段および出力段にA/D変換器およびD/A変換器をそれぞれ設ける。そして、中心部のディジタル信号処理回路には、コントローラ180(図17)よりフィルタ係数、ディレイ時間、増幅率等の各種設定値を与えてよい。
【0074】
図17に、この実施形態のレジスト塗布ユニット(CT)40における制御系の構成を示す。コントローラ180は、マイクロコンピュータからなり、ユニット内の各部、特にレジスト液供給源93、ノズル昇降機構75、ノズル高さ位置補正部77、搬送駆動部100、パッド吸着制御部115、パッドアクチエータ109、搬入用リフトピン昇降部85、搬出用リフトピン昇降部91、圧縮空気供給機構134、バキューム機構136等の個々の動作と全体の動作(シーケンス)を制御する。
【0075】
次に、この実施形態のレジスト塗布ユニット(CT)40における塗布処理動作を説明する。
【0076】
コントローラ180は、たとえば光ディスク等の記憶媒体に格納されているレジスト塗布処理プログラムを主メモリに取り込んで実行し、プログラムされた一連の塗布処理動作を制御する。
【0077】
搬送装置54(図1)より未処理の新たな基板Gがステージ76の搬入領域M1に搬入されると、リフトピン86が往動位置で該基板Gを受け取る。搬送装置54が退出した後、リフトピン86が下降して基板Gを搬送用の高さ位置つまり浮上位置Ha(図5)まで降ろす。次いで、アライメント部(図示せず)が作動し、浮上状態の基板Gに四方から押圧部材(図示せず)を押し付けて、基板Gをステージ76上で位置合わせする。アライメント動作が完了すると、その直後に基板搬送部84においてパッドアクチエータ109が作動し、吸着パッド104を原位置(退避位置)から往動位置(結合位置)へ上昇(UP)させる。吸着パッド104は、その前からバキュームがオンしており、浮上状態の基板Gの側縁部に接触するや否や真空吸着力で結合する。吸着パッド104が基板Gの側縁部に結合した直後に、アライメント部は押圧部材を所定位置へ退避させる。
【0078】
次に、基板搬送部84は、保持部102で基板Gの側縁部を保持したままスライダ98を搬送始点位置から搬送方向(X方向)へ比較的高速の一定速度で直進移動させる。こうして基板Gがステージ76上を浮いた状態で搬送方向(X方向)へ直進移動し、基板Gの前端部がレジストノズル78の直下付近の設定位置に着いたところで、基板搬送部84が第1段階の基板搬送を停止する。この時、ノズル昇降機構75は、レジストノズル78を上方の退避位置で待機させている。
【0079】
基板Gが止まると、ノズル昇降機構75が作動して、レジストノズル78を垂直下方に降ろし、ノズルの吐出口と基板Gとの距離間隔またはギャップSが設定値(たとえば100μm)に達したところでノズル下降動作を止める。次いで、レジスト液供給部がレジストノズル78より基板Gの上面に向けてレジスト液の吐出を開始させる。この際、最初に微量のレジスト液を出してノズル吐出口と基板GとのギャップSを完全に塞いでから、正規の流量で吐出を開始するのが好ましい。一方で、基板搬送部84が第2段階の基板搬送を開始する。この第2段階つまり塗布時の基板搬送は、比較的低速の一定速度で行われる。こうして、塗布領域M3内において、基板Gが水平姿勢で搬送方向(X方向)に一定速度で移動すると同時に、長尺型のレジストノズル78が直下の基板Gに向けてレジスト液Rを一定の流量で帯状に吐出することにより、基板Gの前端側から後端側に向かってレジスト液の塗布膜RMが形成されていく。
【0080】
少なくとも塗布領域M3内では、基板圧縮空気供給機構134およびバキューム機構136がそれぞれ設定された基準の正圧および負圧を噴出口88および吸引口90に常時安定供給するように動作し、コントローラ180の浮揚制御機能により塗布領域M3を通過する基板Gに対して噴出口88より加えられる垂直上向きの圧力と吸引口90より加えられる垂直下向きの圧力とのバランスがとられ、基板Gの浮上高度Hbが他の領域、特に搬入領域M1および搬出領域M5における浮上高度Ha,Hcよりも格段に高い精度で安定に保たれる。しかしながら、実際には、たとえば真空源のブロアで発生する機械振動等が原因で、バキューム機構136内の真空圧力に図16に示すような変動(一般に振動)が生じることが多々ある。塗布領域M3を通過する基板Gに与えられる浮上力を安定化させるための真空圧力または吸引力に変動が生じると、基板Gが微小ながらも(通常は数ミクロン以下の振幅で)上下にぶれる。
【0081】
この実施形態では、バキューム機構136内の真空圧力に変動が生じると、ノズル高さ位置補正部77の制御回路170が圧力センサ166を通じてその真空圧力の変動を検出し、そのような真空圧力の変動に対して一定の応答特性を有する制御信号CSを生成して圧電アクチエータ154を駆動制御し、圧電アクチエータ154より発生される物理的変位によってレジストノズル78の高さ位置を可変制御する。これにより、図18に示すように、バキューム機構136内の真空圧力の変動に応じて基板Gが設定浮上高度Hbよりも上方へ変位するときは、その基板Gの変位と同じタイミングでレジストノズル78も上方へほぼ同じ変位量だけ変位し、結果的にレジストノズル78と基板Gとの距離間隔またはギャップSが設定値(たとえば100μm)に保たれる。また、図19に示すように、バキューム機構136内の真空圧力の変動に応じて基板Gが設定浮上高度Hbよりも下方へ変位するときは、その基板Gの変位と同じタイミングでレジストノズル78も下方へほぼ同じ変位量だけ変位し、やはりレジストノズル78と基板Gとの距離間隔またはギャップSが設定値(100μm)に保たれる。
【0082】
こうして、塗布処理中に、塗布領域M3内の浮上力または浮上高度を高精度に安定化させるための真空圧力または吸引力に変動が生じて基板Gが上下にぶれても、レジストノズル78と基板G間のギャップSは設定値(100μm)に保たれるので、レジストノズル78の吐出口より帯状に出たレジスト液Rが一定の広がり特性で基板G上に塗布され、膜厚の均一なレジスト塗布膜が得られる。
【0083】
塗布領域M3で上記のような塗布処理が済むと、つまり基板Gの後端部がレジストノズル78の直下を過ぎると、レジスト液供給源93がレジストノズル78からのレジスト液Rの吐出を終了させる。これと同時に、ノズル高さ位置補正部77の機能が停止し、代わりにノズル昇降機構75が作動してレジストノズル78を垂直上方に持ち上げて基板Gから退避させる。一方、基板搬送部84は搬送速度の比較的大きい第3段階の基板搬送に切り替える。そして、基板Gが搬出領域M5内の搬送終点位置に着くと、基板搬送部84は第3段階の基板搬送を停止する。この直後に、パッド吸着制御部115が吸着パッド104に対するバキュームの供給を止め、これと同時にパッドアクチエータ109が吸着パッド104を往動位置(結合位置)から原位置(退避位置)へ下ろし、基板Gの両側端部から吸着パッド104を分離させる。この時、パッド吸着制御部115は吸着パッド104に正圧(圧縮空気)を供給し、基板Gからの分離を速める。代わって、リフトピン92が基板Gをアンローディングするためにステージ下方の原位置からステージ上方の往動位置へ上昇する。
【0084】
しかる後、搬出領域M5に搬出機つまり搬送アーム74がアクセスし、リフトピン92から基板Gを受け取ってステージ76の外へ搬出する。基板搬送部84は、基板Gをリフトピン92に渡したなら直ちに搬入領域M1へ高速度で引き返す。搬出領域M5で上記のように処理済の基板Gが搬出される頃に、搬入領域M1では次に塗布処理を受けるべき新たな基板Gについて搬入、アライメントないし搬送開始が行われる。
【0085】
上記のように、この実施形態においては、ステージ76上に搬入領域M1、塗布領域M3、搬出領域M5を別々に設け、それらの各領域に基板を順次転送して基板搬入動作、レジスト液供給動作、基板搬出動作を各領域で独立または並列的に行うようにしており、これによって、1枚の基板Gについてステージ76上に搬入する動作に要する時間(TIN)と、ステージ76上で搬入領域M1から搬出領域M5まで搬送するのに要する時間(TC)と、搬出領域M5から搬出するのに要する時間(TOUT)とを足し合わせた塗布処理1サイクルの所要時間(TC+TIN+TOUT)よりも、タクトタイムを短縮することができる。
【0086】
しかも、ステージ76の上面に設けた噴出口88より噴出する気体の圧力を利用して基板Gを空中に浮かせ、浮いている基板Gをステージ76上で搬送しながら長尺型レジストノズル78より基板G上にレジスト液を供給して塗布するようにしたので、基板の大型化に無理なく効率的に対応することができる。
【0087】
そして、基板Gがステージ76の塗布領域M3を通過する途中で、吸引口90より受ける垂直下向きの圧力(吸引力)に変動が生じても、その変動によって基板Gが上下にぶれるのと同じタイミングでレジストノズル78も上下に同じぶれかたをするようにしたので、レジストノズル78と基板G間のギャップSを設定値に安定に保ち、基板G上に塗布ムラのない一定膜厚のレジスト塗布膜を形成することができる。
【0088】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0089】
たとえば、上記した実施形態における基板搬送部84の保持部102は真空吸着式のパッド104を有するものであったが、基板Gの側縁部をメカニカルに(たとえば狭着して)保持するパッド等も可能である。また、パッド104を基板Gの側縁部に着脱自在に結合するための機構(パッド支持部106、パッド昇降部108、パッドアクチエータ109)にも種々の方式、構成を採用することができる。また、上記実施形態における基板搬送部84は基板Gの左右両側縁部を保持して搬送したが、基板Gの片側の側縁部のみを保持して基板搬送を行うことも可能である。
【0090】
バキューム機構136内の真空圧力を検出するために、圧力センサ166の取り付け位置を種々選択することが可能であり、たとえばステージ76内の上部マニホールド159付近の真空圧力を検出することも可能である。また、ノズル高さ位置補正部77において、制御回路170の回路構成や信号処理方式等に種々変形が可能であり、圧電アクチエータを他の微小駆動用アクチエータ(たとえばボイスコイルアクチエータ)等に置き換える変形も可能である。
【0091】
上記した実施形態はLCD製造の塗布現像処理システムにおけるレジスト塗布装置に係るものであったが、本発明は被処理基板上に処理液を供給する任意の処理装置やアプリケーションに適用可能である。したがって、本発明における処理液としては、レジスト液以外にも、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の塗布液も可能であり、現像液やリンス液等も可能である。本発明における被処理基板はLCD基板に限らず、他のフラットパネルディスプレイ用基板、半導体ウエハ、CD基板、ガラス基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の適用可能な塗布現像処理システムの構成を示す平面図である。
【図2】実施形態の塗布現像処理システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施形態の塗布現像処理システムにおけるレジスト塗布ユニットおよび減圧乾燥ユニットの全体構成を示す略平面図である。
【図4】実施形態におけるレジスト塗布ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図5】実施形態におけるレジスト塗布ユニットの全体構成を示す略正面図である。
【図6】実施形態のステージ塗布領域における噴出口と吸入口の配列パターンの一例を示す平面図である。
【図7】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける基板搬送部の構成を示す一部断面略側面図である。
【図8】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける基板搬送部の保持部の構成を示す拡大断面図である。
【図9】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける基板搬送部のパッド部の構成を示す斜視図である。
【図10】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける基板搬送部の保持部の一変形例を示す斜視図である。
【図11】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける噴出制御部の構成を示す断面図である。
【図12】実施形態のレジスト塗布ユニットにおけるステージ内部の流路の構成を示す部分断面図である。
【図13】実施形態のレジスト塗布ユニットにおけるノズル昇降機構、ノズル高さ位置補正部およびバキューム機構の構成を示す図である。
【図14】実施形態のレジスト塗布ユニットにおけるノズル高さ位置補正部の機械系の構成を示す一部断面側面図である。
【図15】実施形態のレジスト塗布ユニットにおけるノズル高さ位置補正部の信号処理系の構成を示すブロック図である。
【図16】実施形態のレジスト塗布ユニットにおけるバキューム機構内の真空圧力の変動とレジストノズルの変位との間の関係を模式的に示す波形図である。
【図17】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける制御系の構成を示すブロック図である。
【図18】実施形態におけるノズル高さ位置補正部の作用を示す略側面図である。
【図19】実施形態におけるノズル高さ位置補正部の作用を示す略側面図である。
【符号の説明】
【0093】
40 レジスト塗布ユニット(CT)
75 ノズル昇降機構
76 ステージ
77 ノズル高さ位置補正部
78 レジストノズル
84 基板搬送部
85 搬入用リフトピン昇降部
86 搬入用リフトピン
88 噴出口
90 吸引口
91 搬出用リフトピン昇降部
92 搬出用リフトピン
93 レジスト液供給源
100 搬送駆動部
102 保持部
104 吸着パッド
134 圧縮空気供給機構
136 バキューム機構
138 ステージ基板浮上部
144 ジョイント部
154 圧電アクチエータ
166 圧力センサ
170 制御回路
172 駆動回路
180 コントローラ
1 搬入領域
3 塗布領域
5 搬出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を噴出する多数の噴出口と気体を吸い込む多数の吸引口とが混在して設けられた第1の浮上領域を有するステージと、
被処理基板を前記ステージ上で浮かせた状態で所定の搬送方向に前記第1の浮上領域を通過させる基板搬送部と、
前記第1の浮上領域の上方に配置されるノズルを有し、前記基板上に処理液を供給するために前記ノズルより前記処理液を吐出させる処理液供給部と、
前記ノズルと前記基板との間のギャップを所望の値に設定するためのギャップ設定部と、
前記噴出口に正圧の気体を供給する正圧気体供給機構と、
前記吸引口に真空の圧力を供給するバキューム機構と、
前記バキューム機構内の真空圧力を検出する圧力検出部と、
前記第1の浮上領域で前記ギャップが前記設定値に保たれるように、前記圧力検出部によって検出される真空圧力の変動に応じて前記ノズルの高さ位置を可変制御するノズル高さ位置補正部と
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記ノズル高さ位置補正部が、
前記ノズルを鉛直方向で可動に支持するノズル支持部と、
前記ノズルを鉛直方向に所定の範囲内で所望の変位量だけ変位させるために前記ノズル支持部に組み込まれた圧電アクチエータと、
前記圧力検出部より出力される圧力検出信号に応じた制御信号で前記圧電アクチエータを駆動するノズル変位制御部と
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ノズル変位制御部が、前記制御信号を生成するために、前記圧力検出信号から交流成分を抽出する第1のフィルタを有する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ノズル変位制御部が、前記制御信号を生成するために、前記圧力検出信号の交流成分から所定周波数以上の高周波成分を除去する第2のフィルタを有する請求項2または請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ノズル変位制御部が、前記制御信号を生成するために、前記圧力検出信号の交流成分を所定の時間または位相だけ遅延させるディレイ回路を有する請求項2〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ノズル変位制御部が、前記制御信号を生成するために、前記圧力検出信号の交流成分を所定の利得で増幅する増幅回路を有する請求項2〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ノズルが、前記搬送方向と交差する水平方向に延びる微細径の吐出口を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ギャップ設定部が、前記ノズルを昇降移動させるノズル昇降部を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1の浮上領域を通過する前記基板に対して前記噴出口より加えられる垂直上向きの圧力と前記吸引口より加えられる垂直下向きの圧力とのバランスを制御する浮揚制御部を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記ステージが、前記搬送方向において前記第1の浮上領域の上流側に前記基板を浮かせる第2の浮上領域を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第2の浮上領域内に、前記基板を搬入するための搬入部が設けられる請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記搬入部が、
前記ステージ上の搬入位置で前記基板をピン先端で支持するための複数本の第1のリフトピンと、
前記第1のリフトピンを前記ステージ下方の原位置と前記ステージ上方の往動位置との間で昇降移動させる第1のリフトピン昇降部と
を有する請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記ステージが、前記搬送方向において前記第1の浮上領域の下流側に前記基板を浮かせる第3の浮上領域を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第3の浮上領域内に、前記基板を搬出するための搬出部が設けられる請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記搬出部が、
前記ステージ上の搬入位置で前記基板をピン先端で支持するための複数本の第2のリフトピンと、
前記第2のリフトピンを前記ステージ下方の原位置と前記ステージ上方の往動位置との間で昇降移動させる第2のリフトピン昇降部と
を有する請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記ステージが、前記2の領域と前記第1の領域との間に前記基板を浮かせる第4の浮上領域を有し、前記第4の浮上領域内に気体を吸い込む吸引口を前記搬送方向に向かって次第に増大する密度で多数配置している請求項10〜15のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記ステージが、前記1の領域と前記第3の領域との間に前記基板を浮かせる第5の浮上領域を有し、前記第5の浮上領域内に気体を吸い込む吸引口を前記搬送方向に向かって次第に減少する密度で多数配置している請求項13〜16のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記基板搬送部が、
前記基板の移動する方向と平行に延びるように前記ステージの片側または両側に配置されるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動するように駆動する搬送駆動部と、
前記スライダから前記ステージの中心部に向かって延在し、前記基板の側縁部を着脱可能に保持する保持部と
を有する請求項1〜17のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項19】
ステージ上に搬送方向に沿って、被処理基板よりもサイズの大きい搬入領域と、前記基板よりもサイズの小さい塗布領域と、前記基板よりもサイズの大きい搬出領域とをこの順に一列に設定し、
前記ステージの上面に設けた多数の噴出口より噴出する気体の圧力で前記基板を浮かせて、少なくとも前記塗布領域では前記ステージの上面に前記噴出口と混在する多数の吸引口を設けて前記塗布領域を通過する前記基板に対して前記噴出口より加えられる垂直上向きの圧力と前記吸引口より加えられる垂直下向きの圧力とのバランスを制御して前記基板にほぼ均一な浮上力を与え、
前記基板を前記搬入領域から前記搬出領域まで搬送する途中、前記塗布領域内で上方に配置したノズルより処理液を吐出させて前記基板上に前記処理液を塗布し、
塗布処理中に、前記吸引口に供給される真空の圧力を検出し、前記ノズルと前記基板との間のギャップを設定値に保つように前記真空圧力の変動に応じて前記ノズルの高さ位置を可変制御する基板処理方法。
【請求項20】
前記ノズルに機械的に結合された圧電体に前記真空圧力の変動に応じた駆動信号を与え、前記圧電体の逆圧電効果を利用して前記ノズルの高さ位置を可変制御する請求項19に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記真空圧力の変動に対して前記駆動信号に一定の時間遅れをもたせる請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項22】
上面に多数の噴出口と多数の吸引口とを混在させて設けたステージ上で、被処理基板を所望の高さに浮かせた状態で所定の方向に搬送するステップと、
搬送中の前記基板に向けて上方のノズルより処理液を吐出させて前記基板上に処理液を塗布するステップと、
前記吸引口に供給される真空の圧力を検出し、前記ノズルと前記基板との間のギャップを設定値に保つように前記真空圧力の変動に応じて前記ノズルの高さ位置を可変制御するステップと
を実行する基板処理プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−261394(P2006−261394A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76879(P2005−76879)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】